JP2001220657A - 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法Info
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- JP2001220657A JP2001220657A JP2000028625A JP2000028625A JP2001220657A JP 2001220657 A JP2001220657 A JP 2001220657A JP 2000028625 A JP2000028625 A JP 2000028625A JP 2000028625 A JP2000028625 A JP 2000028625A JP 2001220657 A JP2001220657 A JP 2001220657A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低Al濃度の亜鉛めっき浴で製造しためっき
密着性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 鋼板素地とZn層との間にAlが特定量
含有するFe−Al−Zn系金属間化合物層を形成して
なる溶融亜鉛めっき鋼板、および、鋼板を低Al濃度の
亜鉛めっき浴を通板して亜鉛めっきを施し、次いで素地
界面付近を溶体化処理することを特徴とする溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法。
密着性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 鋼板素地とZn層との間にAlが特定量
含有するFe−Al−Zn系金属間化合物層を形成して
なる溶融亜鉛めっき鋼板、および、鋼板を低Al濃度の
亜鉛めっき浴を通板して亜鉛めっきを施し、次いで素地
界面付近を溶体化処理することを特徴とする溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融亜鉛めっき鋼
板およびその製造方法に関するものである。
板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法として
は、現在は無酸化炉方式が主流である。この方法では、
鋼板の表面を必要に応じて無酸化炉で酸化させ、次にH
2 −N2の混合ガス雰囲気で間接加熱により、鋼板表面
の酸化膜を還元・活性処理したまま、溶融した亜鉛浴中
に導かれ、鋼板を亜鉛浴より引き上げた後に不活性ガス
等によりめっき付着量を調整することにより溶融亜鉛め
っき鋼板が製造される。
は、現在は無酸化炉方式が主流である。この方法では、
鋼板の表面を必要に応じて無酸化炉で酸化させ、次にH
2 −N2の混合ガス雰囲気で間接加熱により、鋼板表面
の酸化膜を還元・活性処理したまま、溶融した亜鉛浴中
に導かれ、鋼板を亜鉛浴より引き上げた後に不活性ガス
等によりめっき付着量を調整することにより溶融亜鉛め
っき鋼板が製造される。
【0003】溶融亜鉛めっき鋼板は、アルミニウムを
0.15〜0.25%添加した亜鉛浴中で製造されるの
が通常であり、添加されたアルミニウムは亜鉛浴中で優
先的に鋼板と反応し、Fe−Al−Znの合金層を生成
することで、Fe−Znの合金化反応を抑制し、η−Z
n相主体のめっき層が生成する。また均一で安定的なF
e−Al−Znの合金層の生成により、硬くて脆弱なF
e−Zn合金層の生成、成長が抑制されているので、溶
融亜鉛めっき鋼板を加工した時のめっき層の密着性は良
好である。しかし当然のことながら亜鉛浴中のアルミニ
ウム濃度が低い場合は、硬くて脆弱なFe−Zn合金層
が厚く生成してしまい、それを起点として軽度な加工で
もめっき層が剥離してしまう。このような理由により、
通常めっき密着性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造す
るためには、上述に示した値のように亜鉛浴中のアルミ
ニウム濃度を0.15〜0.25%と高く保つ必要があ
る。
0.15〜0.25%添加した亜鉛浴中で製造されるの
が通常であり、添加されたアルミニウムは亜鉛浴中で優
先的に鋼板と反応し、Fe−Al−Znの合金層を生成
することで、Fe−Znの合金化反応を抑制し、η−Z
n相主体のめっき層が生成する。また均一で安定的なF
e−Al−Znの合金層の生成により、硬くて脆弱なF
e−Zn合金層の生成、成長が抑制されているので、溶
融亜鉛めっき鋼板を加工した時のめっき層の密着性は良
好である。しかし当然のことながら亜鉛浴中のアルミニ
ウム濃度が低い場合は、硬くて脆弱なFe−Zn合金層
が厚く生成してしまい、それを起点として軽度な加工で
もめっき層が剥離してしまう。このような理由により、
通常めっき密着性の良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造す
るためには、上述に示した値のように亜鉛浴中のアルミ
ニウム濃度を0.15〜0.25%と高く保つ必要があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、亜鉛
浴中アルミニウム濃度0.10〜0.14%の低濃度で
製造した溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性の改善をは
かるものである。
浴中アルミニウム濃度0.10〜0.14%の低濃度で
製造した溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性の改善をは
かるものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(1) 鋼
板素地とZn層との間にAlが0.2〜0.3%有する
Fe−Al−Zn系金属間化合物層を形成してなる溶融
亜鉛めっき鋼板、(2)鋼板を浴中アルミニウム濃度0.
10〜0.14%の亜鉛めっき浴を通板して亜鉛めっき
を施し、次いで素地界面を溶体化処理することを特徴と
する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(3) 鋼板を全還元
炉方式にて熱処理を施し、該鋼板を亜鉛浴中アルミニウ
ム濃度0.10〜0.14%の亜鉛めっき浴を通板して
亜鉛めっきを施し、次いで素地界面を溶体化処理するこ
とを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(4) 溶
体化処理がインダクションヒーターによりめっき層が受
ける熱量が500〜2000kJであることを特徴とす
る請求項2又は請求項3記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法にある。
板素地とZn層との間にAlが0.2〜0.3%有する
Fe−Al−Zn系金属間化合物層を形成してなる溶融
亜鉛めっき鋼板、(2)鋼板を浴中アルミニウム濃度0.
10〜0.14%の亜鉛めっき浴を通板して亜鉛めっき
を施し、次いで素地界面を溶体化処理することを特徴と
する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(3) 鋼板を全還元
炉方式にて熱処理を施し、該鋼板を亜鉛浴中アルミニウ
ム濃度0.10〜0.14%の亜鉛めっき浴を通板して
亜鉛めっきを施し、次いで素地界面を溶体化処理するこ
とを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(4) 溶
体化処理がインダクションヒーターによりめっき層が受
ける熱量が500〜2000kJであることを特徴とす
る請求項2又は請求項3記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法にある。
【0006】すなわち本発明は、亜鉛浴中のアルミニウ
ム濃度を0.10〜0.14%まで低減してめっきを施
しても、鋼板を亜鉛浴より引き上げた後、インダクショ
ンヒーターによる熱処理の条件を特定することで、0.
15〜0.25%アルミニウム濃度の亜鉛浴で製造した
ものと同等のめっき密着性を有した溶融亜鉛めっき鋼板
が得られる知見によるものである。
ム濃度を0.10〜0.14%まで低減してめっきを施
しても、鋼板を亜鉛浴より引き上げた後、インダクショ
ンヒーターによる熱処理の条件を特定することで、0.
15〜0.25%アルミニウム濃度の亜鉛浴で製造した
ものと同等のめっき密着性を有した溶融亜鉛めっき鋼板
が得られる知見によるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】0.10〜0.14%の低アルミ
ニウム濃度の亜鉛浴で製造した溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき密着性が劣位であるのは前述したごとく、硬くて脆
弱なFe−Zn合金層が厚く生成することで、それを起
点として軽度な加工でもめっき層が剥離してしまうため
である。本発明は、0.10〜0.14%の低アルミニ
ウム濃度の亜鉛浴で製造しても、めっき層界面のAl欠
如部から突出したFe−Zn合金層部を、界面局部加熱
(インダクションヒーターによる内部加熱)により溶体
化処理を施すことで、3元系金属間化合物であるFe−
Al−Znの薄膜を均一に平滑にし、めっき密着性を損
なわないη−Zn相主体のめっき層を生成することで、
通常の0.15〜0.25%アルミニウム濃度亜鉛浴で
製造した溶融亜鉛めっき鋼板と同等のめっき密着性を有
したものである。
ニウム濃度の亜鉛浴で製造した溶融亜鉛めっき鋼板のめ
っき密着性が劣位であるのは前述したごとく、硬くて脆
弱なFe−Zn合金層が厚く生成することで、それを起
点として軽度な加工でもめっき層が剥離してしまうため
である。本発明は、0.10〜0.14%の低アルミニ
ウム濃度の亜鉛浴で製造しても、めっき層界面のAl欠
如部から突出したFe−Zn合金層部を、界面局部加熱
(インダクションヒーターによる内部加熱)により溶体
化処理を施すことで、3元系金属間化合物であるFe−
Al−Znの薄膜を均一に平滑にし、めっき密着性を損
なわないη−Zn相主体のめっき層を生成することで、
通常の0.15〜0.25%アルミニウム濃度亜鉛浴で
製造した溶融亜鉛めっき鋼板と同等のめっき密着性を有
したものである。
【0008】亜鉛浴中のアルミニウム濃度の条件は、鋼
板の亜鉛付着量、通板速度、亜鉛浴に浸漬する際の板温
度、および亜鉛浴温度等の条件によって異なるが、本発
明のめっき後に生成したFe−Zn合金層を熱処理によ
り溶体化処理を施すことで、めっき密着性の良好域を得
るには、亜鉛浴中のアルミニウム濃度が最小で0.10
%以上は必要である。それ未満の濃度ではめっき後に生
成したFe−Zn合金層の抑制を押さえ切れず、熱処理
により溶体化処理を施しても、Fe−Al−Zn3元系
金属間化合物が平滑かつ安定的に得ることができない。
また亜鉛浴中のアルミニウム濃度が0.14%を上限と
したのは、その濃度を超えた領域では、溶体化処理を施
さなくても、Fe−Al−Zn3元系金属間化合物が安
定的に生成される領域のため、Fe−Znの合金化反応
を抑制し、めっき密着性に優れたη−Zn相主体のめっ
き層が生成するため、本発明の領域外となる。
板の亜鉛付着量、通板速度、亜鉛浴に浸漬する際の板温
度、および亜鉛浴温度等の条件によって異なるが、本発
明のめっき後に生成したFe−Zn合金層を熱処理によ
り溶体化処理を施すことで、めっき密着性の良好域を得
るには、亜鉛浴中のアルミニウム濃度が最小で0.10
%以上は必要である。それ未満の濃度ではめっき後に生
成したFe−Zn合金層の抑制を押さえ切れず、熱処理
により溶体化処理を施しても、Fe−Al−Zn3元系
金属間化合物が平滑かつ安定的に得ることができない。
また亜鉛浴中のアルミニウム濃度が0.14%を上限と
したのは、その濃度を超えた領域では、溶体化処理を施
さなくても、Fe−Al−Zn3元系金属間化合物が安
定的に生成される領域のため、Fe−Znの合金化反応
を抑制し、めっき密着性に優れたη−Zn相主体のめっ
き層が生成するため、本発明の領域外となる。
【0009】また、めっき後のFe−Zn合金層の溶体
化処理においては、鉄素地近傍にダイレクトに入熱可能
であり、かつ低出力制御が容易なインダクションヒータ
ーを適用することが有利であり、めっき層がインダクシ
ョンヒーターから受ける熱量は、先に述べた亜鉛浴中の
アルミニウム濃度同様、通板サイズ、鋼板の亜鉛付着
量、通板速度、亜鉛浴に浸漬する際の板温度、および亜
鉛浴温度等の条件によって決定されるが、本発明はめっ
き層が受ける熱量を他の変動要因500〜2000kJ
と特定すれば良いとする発想によるものであり、かつ5
00〜2000kJでめっき層中の鉄濃度が2%を超え
ない程度の加熱制御をすることにより、良好なめっき密
着性を確保したη−Zn相主体のめっき層を得ることが
可能になる。鋼板の亜鉛付着量が少ない(40g/m2
程度)領域では、めっき層がインダクションヒーターか
ら受ける熱量は、500kJで良好な密着性が得られ、
多い(140g/m2 程度)領域では、めっき層がイン
ダクションヒーターから受ける熱量は、2000kJで
良好な密着性が得られる。また亜鉛付着量に応じて、溶
融亜鉛めっき鋼板のもつ外観を損なわないような(めっ
き層中の鉄濃度が2%をこえないような)熱量の上限値
が各々決まってくる。
化処理においては、鉄素地近傍にダイレクトに入熱可能
であり、かつ低出力制御が容易なインダクションヒータ
ーを適用することが有利であり、めっき層がインダクシ
ョンヒーターから受ける熱量は、先に述べた亜鉛浴中の
アルミニウム濃度同様、通板サイズ、鋼板の亜鉛付着
量、通板速度、亜鉛浴に浸漬する際の板温度、および亜
鉛浴温度等の条件によって決定されるが、本発明はめっ
き層が受ける熱量を他の変動要因500〜2000kJ
と特定すれば良いとする発想によるものであり、かつ5
00〜2000kJでめっき層中の鉄濃度が2%を超え
ない程度の加熱制御をすることにより、良好なめっき密
着性を確保したη−Zn相主体のめっき層を得ることが
可能になる。鋼板の亜鉛付着量が少ない(40g/m2
程度)領域では、めっき層がインダクションヒーターか
ら受ける熱量は、500kJで良好な密着性が得られ、
多い(140g/m2 程度)領域では、めっき層がイン
ダクションヒーターから受ける熱量は、2000kJで
良好な密着性が得られる。また亜鉛付着量に応じて、溶
融亜鉛めっき鋼板のもつ外観を損なわないような(めっ
き層中の鉄濃度が2%をこえないような)熱量の上限値
が各々決まってくる。
【0010】また、亜鉛浴に侵入する前の鋼板の加熱段
階においては、全還元炉方式にて熱処理を施し、めっき
前の鋼板表面の過剰活性を抑制してやることで、亜鉛浴
中でのFe−Zn合金層の不均一成長を抑制することが
でき、前述しためっき後の素地界面の溶体化処理と組み
合わせることで、より良好なめっき密着性を得る事が可
能である。
階においては、全還元炉方式にて熱処理を施し、めっき
前の鋼板表面の過剰活性を抑制してやることで、亜鉛浴
中でのFe−Zn合金層の不均一成長を抑制することが
でき、前述しためっき後の素地界面の溶体化処理と組み
合わせることで、より良好なめっき密着性を得る事が可
能である。
【0011】このようにして本発明にて製造した溶融亜
鉛めっき層は、層中アルミニウム濃度0.2〜0.3%
を有するFe−Al−Zn系金属間化合物を形成してな
ることが特徴であり、従来の0.15〜0.25%高ア
ルミニウム濃度の亜鉛浴中で製造した溶融亜鉛めっき層
中のアルミニウム濃度0.5〜1.0%有するものと同
等のめっき密着性が得られるものである。また本発明に
よって得られた、溶融亜鉛めっき層は、めっき層中鉄濃
度が、2.0%以下ということが必要であり、それ以上
の鉄濃度を有するものは、めっき層の構造が異なること
および表面外観が損なわれ、η−Zn層主体のめっき層
とは異なるものとなり好ましくないものである。
鉛めっき層は、層中アルミニウム濃度0.2〜0.3%
を有するFe−Al−Zn系金属間化合物を形成してな
ることが特徴であり、従来の0.15〜0.25%高ア
ルミニウム濃度の亜鉛浴中で製造した溶融亜鉛めっき層
中のアルミニウム濃度0.5〜1.0%有するものと同
等のめっき密着性が得られるものである。また本発明に
よって得られた、溶融亜鉛めっき層は、めっき層中鉄濃
度が、2.0%以下ということが必要であり、それ以上
の鉄濃度を有するものは、めっき層の構造が異なること
および表面外観が損なわれ、η−Zn層主体のめっき層
とは異なるものとなり好ましくないものである。
【0012】
【実施例】以下、本発明の連続溶融亜鉛めっき設備の一
実施例につき、図1を参照しながら説明すれば、鋼板1
は全還元炉2にて熱処理が施され、焼鈍終了後にこの全
還元炉2に続くガスジェット冷却部3で冷却され、その
後、亜鉛浴4中を通板する間に亜鉛めっきが施されたう
え、この亜鉛浴4に続いて設置されているインダクショ
ンヒーター5により溶体化処理されて巻き取られる。
実施例につき、図1を参照しながら説明すれば、鋼板1
は全還元炉2にて熱処理が施され、焼鈍終了後にこの全
還元炉2に続くガスジェット冷却部3で冷却され、その
後、亜鉛浴4中を通板する間に亜鉛めっきが施されたう
え、この亜鉛浴4に続いて設置されているインダクショ
ンヒーター5により溶体化処理されて巻き取られる。
【0013】表1は本発明により溶融亜鉛と鋼板の界面
の合金層生成を制御し、低アルミニウム濃度亜鉛浴でめ
っき密着性良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造した一例で
ある。条件としては、亜鉛浴中のアルミニウム濃度は
0.10%のものを用い、亜鉛の目付量に対し、Fe−
Zn合金層を溶体化処理するために、インダクションヒ
ーターによる熱量を変化させ、材料サイズ板厚2.0m
m×板巾1000mmの通常Alキルド鋼を用いて通板
速度60m毎分にて溶融亜鉛めっき製造をおこなった。
めっき密着性の評価には、ボールインパクト試験を使用
した。ボールインパクトの条件は、直径12.7mmの
球形ポンチと20φの受けダイスを使用し、2tonの
衝撃荷重により加工を施し、インパクト深さ6.0mm
の加工面のクラック部の剥離程度により次のように判定
を行なった。クラック部および伸び部で剥離がないもの
およびメッキ層全体に亀甲状に亀裂が入ってないものを
◎、クラック部の剥離幅が片側0.5mm以下のものま
たは伸び部の剥離幅が1.0mm以下、またはメッキ層
が亀甲状に剥離し、剥離面積が成形面積の1/4以下の
ものを○、クラック部の剥離幅が片側0.5mm超また
は伸び部の剥離幅が1.0mm超、またはメッキ層が亀
甲状に剥離し、剥離面積が成形面積の1/4超のものを
×として、めっき密着性の判定をおこなった。また、各
条件によって得られたメッキ層中のアルミニウム濃度お
よび鉄濃度をICP発光分析法により測定し、その溶融
亜鉛めっき鋼板としての表面外観については、目視判定
により少しでも合金化しているもの(亀の甲模様有り)
を×と判定した。また、比較として、インダクションヒ
ーターによる熱処理を施さない例、およびNOF型焼鈍
炉で焼鈍した例、および従来の0.20%高アルミニウ
ム亜鉛浴で製造した例も併せて表1に示した。
の合金層生成を制御し、低アルミニウム濃度亜鉛浴でめ
っき密着性良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造した一例で
ある。条件としては、亜鉛浴中のアルミニウム濃度は
0.10%のものを用い、亜鉛の目付量に対し、Fe−
Zn合金層を溶体化処理するために、インダクションヒ
ーターによる熱量を変化させ、材料サイズ板厚2.0m
m×板巾1000mmの通常Alキルド鋼を用いて通板
速度60m毎分にて溶融亜鉛めっき製造をおこなった。
めっき密着性の評価には、ボールインパクト試験を使用
した。ボールインパクトの条件は、直径12.7mmの
球形ポンチと20φの受けダイスを使用し、2tonの
衝撃荷重により加工を施し、インパクト深さ6.0mm
の加工面のクラック部の剥離程度により次のように判定
を行なった。クラック部および伸び部で剥離がないもの
およびメッキ層全体に亀甲状に亀裂が入ってないものを
◎、クラック部の剥離幅が片側0.5mm以下のものま
たは伸び部の剥離幅が1.0mm以下、またはメッキ層
が亀甲状に剥離し、剥離面積が成形面積の1/4以下の
ものを○、クラック部の剥離幅が片側0.5mm超また
は伸び部の剥離幅が1.0mm超、またはメッキ層が亀
甲状に剥離し、剥離面積が成形面積の1/4超のものを
×として、めっき密着性の判定をおこなった。また、各
条件によって得られたメッキ層中のアルミニウム濃度お
よび鉄濃度をICP発光分析法により測定し、その溶融
亜鉛めっき鋼板としての表面外観については、目視判定
により少しでも合金化しているもの(亀の甲模様有り)
を×と判定した。また、比較として、インダクションヒ
ーターによる熱処理を施さない例、およびNOF型焼鈍
炉で焼鈍した例、および従来の0.20%高アルミニウ
ム亜鉛浴で製造した例も併せて表1に示した。
【0014】
【表1】
【0015】評価結果を表1に示すように、比較例4
は、インダクションヒーターの熱量が本発明で規定した
値未満の条件であり、溶体化処理が不十分であったた
め、めっき密着性が劣位である。比較例5は、めっき層
中の鉄濃度が2%を超えてしまい、めっき表面がわずか
に合金化した外観になっており好ましくない結果となっ
た。比較例6は、インダクションヒーターからの熱量を
与えない溶体化処理を施さない場合であり、めっき密着
性は劣位である。比較例8は、従来の溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法0.20%高アルミニウム亜鉛浴のもので
ある。以上本発明を適用し、溶融亜鉛メッキの界面を制
御することで、0.10%アルミニウム濃度の亜鉛浴に
おいても密着性良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造するこ
とができ、本実施例においては、めっき後の特定条件に
よるインダクションヒーターによる溶体化処理を施さな
いと良好な密着性が得られなかった。
は、インダクションヒーターの熱量が本発明で規定した
値未満の条件であり、溶体化処理が不十分であったた
め、めっき密着性が劣位である。比較例5は、めっき層
中の鉄濃度が2%を超えてしまい、めっき表面がわずか
に合金化した外観になっており好ましくない結果となっ
た。比較例6は、インダクションヒーターからの熱量を
与えない溶体化処理を施さない場合であり、めっき密着
性は劣位である。比較例8は、従来の溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法0.20%高アルミニウム亜鉛浴のもので
ある。以上本発明を適用し、溶融亜鉛メッキの界面を制
御することで、0.10%アルミニウム濃度の亜鉛浴に
おいても密着性良好な溶融亜鉛めっき鋼板を製造するこ
とができ、本実施例においては、めっき後の特定条件に
よるインダクションヒーターによる溶体化処理を施さな
いと良好な密着性が得られなかった。
【0016】
【発明の効果】以上にのべたように、本発明によれば
0.10〜0.15%の低アルミニウム濃度の亜鉛浴条
件においても、めっき密着性が十分満足できるη−Zn
相主体の溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能とな
り、その効果は極めて大きいものである。
0.10〜0.15%の低アルミニウム濃度の亜鉛浴条
件においても、めっき密着性が十分満足できるη−Zn
相主体の溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能とな
り、その効果は極めて大きいものである。
【図1】本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板を製造するこ
とが容易な設備の一例を示す説明図である。
とが容易な設備の一例を示す説明図である。
1 鋼板 2 全還元炉 3 ガスジェット冷却部 4 亜鉛めっき浴 5 インダクションヒーター
フロントページの続き (72)発明者 関本 総裕 愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB07 AB28 AB35 AB42 AC12 AC73 AD29 AE03 AE21 AE27 AE33
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼板素地とZn層との間にAlが0.2
〜0.3%有するFe−Al−Zn系金属間化合物層を
形成してなる溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項2】 鋼板を浴中アルミニウム濃度0.10〜
0.14%の亜鉛めっき浴を通板させて亜鉛めっきを施
し、次いで素地界面を溶体化処理することを特徴とする
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 鋼板を全還元炉方式にて熱処理を施し、
該鋼板を亜鉛浴中アルミニウム濃度0.10〜0.14
%の亜鉛めっき浴を通板して亜鉛めっきを施し、次いで
素地界面を溶体化処理することを特徴とする溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 溶体化処理がインダクションヒーターに
よりめっき層が受ける熱量が500〜2000kJであ
ることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の溶融亜
鉛めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000028625A JP2001220657A (ja) | 2000-02-07 | 2000-02-07 | 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000028625A JP2001220657A (ja) | 2000-02-07 | 2000-02-07 | 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001220657A true JP2001220657A (ja) | 2001-08-14 |
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ID=18554001
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000028625A Withdrawn JP2001220657A (ja) | 2000-02-07 | 2000-02-07 | 溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2001220657A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008266685A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Nippon Steel Corp | 外観に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
CN111676435A (zh) * | 2020-06-22 | 2020-09-18 | 鞍钢蒂森克虏伯(重庆)汽车钢有限公司 | 一种无条纹缺陷的镀锌合金的制定工艺及其反应塔 |
-
2000
- 2000-02-07 JP JP2000028625A patent/JP2001220657A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008266685A (ja) * | 2007-04-17 | 2008-11-06 | Nippon Steel Corp | 外観に優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
CN111676435A (zh) * | 2020-06-22 | 2020-09-18 | 鞍钢蒂森克虏伯(重庆)汽车钢有限公司 | 一种无条纹缺陷的镀锌合金的制定工艺及其反应塔 |
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