JP2727595B2 - 加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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JP2727595B2 JP27043288A JP27043288A JP2727595B2 JP 2727595 B2 JP2727595 B2 JP 2727595B2 JP 27043288 A JP27043288 A JP 27043288A JP 27043288 A JP27043288 A JP 27043288A JP 2727595 B2 JP2727595 B2 JP 2727595B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、自動車や家電機器或は建材等に使用される
Fe−Zn合金めっき鋼板に関するものである。
[従来技術] 亜鉛めっき鋼板は安価で耐食性や強度に優れた材料と
して広く使われており、なかでも自動車の内外板には耐
食性に加えて、加工性や塗装性を考慮したものが多量に
使われている。亜鉛めっき鋼板の量産法として一般的に
は電気めっき法と溶融めっき法とがあるが、電気めっき
法では、低温で処理するので熱影響による相変化が無く
めっき皮膜の成分コントロールも容易であるが、めっき
付着量を多くするには処理時間を増さねばならない。こ
れに対して、溶融めっき法では処理時間を増すことなく
簡単に付着量を増すことが出来、めっき後熱処理を施す
ことにより容易にFe−Zn合金を作ることが出来る。しか
し、めっき皮膜組成と生成される相のコントロールに工
夫を要する。近年自動車用の鋼板では、塩害への対処等
もあってより高度の耐食性が要求され、これに呼応し
て、付着量が容易に確保出来、且つ経済的な溶融亜鉛め
っきを主体に、めっき組成や相コントロールを上手に行
い、高い耐食性を確保しながらその上で加工性や塗装性
を合わせ持っためっき鋼板が求められている。
加工性で最も問題になるのが耐パウダリング性であ
り、塗装性で問題になるのが耐クレータリング性であ
る。パウダリングとは、プレス成形の際にめっき皮膜が
粉状になって脱落する現象であり、クレータリングと
は、めっき皮膜に化成処理を施した後行う電着塗装処理
において塗膜に目視できる凹凸(クレータ)が発生する
現象である。
前者はめっき皮膜中に鉄含有率の高いΓ相(Fe3Zn10,
Fe20〜28wt%)が生成され、これが硬くて脆いために起
こり、後者はめっき皮膜表面の不均一さ(表面形状、酸
化膜、めっき皮膜相構造等)に起因して発生する。
従来、自動車用に使用されている合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、溶融めっき後全めっき皮膜平均の鉄含有率が
10wt%前後に達するまで合金化処理を施し、めっき表面
までFeを拡散させて耐食性、特に塗装後耐食性を向上さ
せたものである。即ち、鋼板に連続的に前処理(熱処理
を含む)を施して素材を調整した後、亜鉛を溶融しため
っき浴に浸漬してめっきし、後続してこのめっき鋼板を
合金化炉内で500℃から700℃の温度に急速に昇温させ短
時間(10〜30秒)保持して、めっき皮膜の鉄含有率を10
%前後に合金化させたものである。しかし、このように
して作られる合金化溶融亜鉛めっき鋼板は急速な昇温に
よって高温に加熱されるので、めっき皮膜中の鉄含有量
が場所により異なりがちで、めっき皮膜の面方向及び深
さ方向共に合金化が不均一になること、これに加えてめ
っき皮膜内での鉄濃度勾配が大きくなり、表層の鉄含有
量を確保するため鋼素地との界面の鉄含有率が高まりΓ
相の生成が避けられないこと、更に高温処理と急速冷却
によりめっき皮膜に熱応力が発生すること等の問題を抱
えている。
一方、合金化処理を一次二次の二工程に分けて処理す
る方法が提案されている。例えば、特公昭59−14541号
では、一次加熱において、めっき皮膜の平滑性を得るた
めにZnめっき皮膜を再溶融させる急速昇温高温加熱を行
う。この加熱では鉄含有率を2.2〜5.5wt%の低い範囲に
留まるので、この一次加熱の結果に応じて、二次加熱を
亜鉛の融点以下の低温で時間をかけて行い、鉄含有率を
6〜13wt%の範囲に納めるものである。そしてこの方法
によつて、表面が平滑で外観が優れ、且つ加工の際に剥
離やパウダリングのない合金化溶融亜鉛めっき皮膜が得
られることを開示している。
他方、めっき皮膜表層のみの鉄含有率を高めて耐クレ
ータリング性を改善したものも提案されている。例え
ば、特公昭58−15554号の提案は、耐食性金属層を内層
とし、その上に鉄含有率の高いFe−Zn合金被覆層を付し
てカチオン電着塗装性を向上させためっき鋼板である。
この提案では、内層である前記耐食性金属層として溶融
亜鉛めっき後に熱処理によりFe−Zn合金化した合金化溶
融亜鉛めっき層が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら上述した特公昭59−14541号では、耐ク
レータリング性を満足するものではない。耐クレータリ
ング性に関しては、表面の鉄含有率は不十分であり、
又、耐パウダリング性に関しても、溶融亜鉛めっき後急
速昇温高温加熱によって合金化処理を行うので合金化反
応が不均一に進むことが避けられず、その結果、加工性
に劣るΓ層が成長してしまう。又、場合によっては、合
金化されない部分と合金化の進んだ部分とが混在してい
わゆる焼けむらの現象を呈したりする。このように、一
次加熱が不均一になり易いので、一次加熱の結果を基に
した二次加熱条件が極めて複雑になり実操業ではその実
施に大きな困難を伴う。
特公昭58−15554号では、めっき表面の鉄濃度を飛躍
的に高めたので、耐クレータリング性は改善されるが、
溶融亜鉛めっき後の熱処理によって合金化を完結させて
いるので、特公昭59−14541号と同様に合金化の不均一
さの問題があり、加えてめっき皮膜内での鉄濃度勾配が
大きくなり、鉄濃度の高くなる鋼素地との界面ではΓ相
が成長してしまう。又、急熱急冷による熱応力も耐パウ
ダリング性にとっては好ましくない。
このように、耐パウダリング性、耐クレータリング性
を満たすべく工夫がなされてきたが、未だ両特性を共に
満足させる溶融亜鉛めっき鋼板は得られていない。
この問題を解決するために、この発明はなされたもの
で、耐食性に加えて耐パウダリング性と耐クレータリン
グ性とを共に満たすめっき鋼板の製造法を提供すること
を目的とするものである。
[課題を解決するための手段及び作用] この目的を達成するための手段は、鋼板の少なくとも
片面に、溶融亜鉛めっきによる第一層とその上のFe+Mn
めっきによる第二層とを熱処理して形成しためっき皮膜
を有し、該めっき皮膜は、表層が前記第二層のFe+Mnめ
っきであって、内層が厚さ0.5μmの鋼素地との境界層
を除いてδ相とζ相とからなり、且つ面方向に鉄およ
びマンガン含有率が均一に分布していることを特徴とす
る加工性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板で
ある。
上記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造する方法として
次のものがある。
一つの方法は次のようである。
(イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
t%以下、且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき
浴に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下のめっきを施す工
程。
(ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちにスパングルの
微細化処理を施す工程。
(ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い、
溶融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程。
(ニ)この鋼板の片面又は両面に0.5g/m2以上10g/m2
下のFe−Mnめっきを施す工程。
(ホ)前記工程でめっきを施した鋼板を非酸化性又は還
元性雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内でオープンコイ
ルの状態で320℃以上亜鉛の融点以下の範囲内の温度で1
0分から50時間加熱する工程。
他の方法は次のようである。
前記(イ)の溶融亜鉛めっき工程の後、めっき皮膜が
溶融状態であるうちに鋼板の片面又は両面にFe−Mnパウ
ダーを吹き付けて0.5g/m2以上10g/m2以下の上層めっき
を施す工程を含み、その後前記(ハ)、(ニ)、(ホ)
の工程を含む合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法
である。
以上の手段について、以下にその作用も含め、詳しく
述べる。
先ず、めっき用の鋼板は冷延鋼板でも熱延鋼板でもよ
く、通常の前処理として表面調整とともに焼鈍処理を施
してもよい。
めっき皮膜表層をFe−Mn合金とすると、電着塗装時の
クレータ発生が防止される。即ち、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、めっき面に燐酸塩処理を施した後カチオン電
着塗装が施されるが、この化成処理によって生成される
燐酸塩結晶に、Feを含むホスホフィライト[Zn2Fe(P
O4・4H2O]と称する粒状で緻密な結晶とFeを含まな
いホパイト[Zn3(PO4・4H2O]と称する粗大な針状
結晶とがある。これらの燐酸塩結晶生成時に表層にMnが
存在すると、ホパイト中のZnの一部がMnと置き換わり結
晶が緻密になる。またFeの存在はホスホフィライトを形
成し易くする。クレータ発生原因の一つに化成処理皮膜
欠陥部への局所的な電流集中が考えられるが、緻密な結
晶皮膜は欠陥部が少ない。したがって、表層がFe−Mn合
金であるとクレータは生じにくくなる。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合、めっき付着量と皮
膜中の鉄およびマンガン含有率によって耐食性の殆どが
決定される。Znめっき皮膜はFe−Mn合金化することによ
って、裸耐食性、塗装後耐食性は共に著しく向上する。
本発明では前記した表層と内層の境界層が相互に熱拡
散されて形成した一体構造を有することが重要である。
熱拡散された一体構造によって表層と内層の合金成分濃
度が連続して変化しFe−Mn合金化Znめっき層を形成し、
めっき皮膜は機械的性質や電気化学的性質が隣接した部
分で極端に異なることが無く、加工性及び耐食性におい
て優れたものとなる。
めっき皮膜の大半を占める内層が、厚さ0.5μmの鋼
素地との境界層を除いて、硬くて脆いΓ相を含まない
で、且つ鉄およびマンガンの含有率の分布が面方向に均
一であると加工時のパウダリングを防止することが出来
る。Γ相は内層部と鋼素地との境界に生成し易いが、こ
のΓ相が検出されないめっき皮膜は耐パウダリング性が
良好である。そしてΓ相が0.5μm以上の厚さに成長し
ていないと検出することは困難である。
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は用途によっては
他面にはめっき皮膜がなくても或は他のめっき皮膜を形
成してもよい。
以下に、本発明の製造方法について述べる。溶融亜鉛
めっき浴には通常、Fe−Zn合金反応の抑制やめっき面の
平滑化等のためAlが0.2%前後添加されており、スパン
グル調整のためPbが含まれている。このうちAlは合金化
抑制効果を持つので、0.05wt%以上添加し、溶融亜鉛め
っき浴浸漬後のFe−Zn合金が部分的且つ不均一に生成す
ることを防ぐ。この工程で不均一にFe−Zn合金を生成さ
せないことは重要なことであり、一旦不均一化すると後
の工程で修正することが出来ない。Alの添加量が多過ぎ
て0.3wt%を超えると合金化の抑制効果が過剰となり、
後の合金化処理に時間が掛かり過ぎ工業的には不適切に
なる。Pbは合金化反応には直接関与しないが、多量のPb
は耐パウダリング性を低下させるので、0.2wt%以下に
制限しなければならない。
内層は30g/m2から90g/m2の付着量が高耐食化のために
適当であり、この場合表層のように高い鉄含有率は必要
でなく5wt%〜20wt%の範囲が好ましい。なお90g/m2
超えた場合には過剰品質となるばかりか、後の工程の低
温で行う合金化処理において長時間を要し生産性を低下
させる。又、一般にめっき皮膜が厚くなると加工時に皮
膜の破壊や剥離が起こることがあり、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の場合ではパウダリングが起こり易くなる。
この溶融亜鉛めっき皮膜が溶融状態であるうちにスパ
ングルを微細化し、更にめっき皮膜が固化した後スキン
パス処理を行うことによって平滑なめっき面が得られ、
この後に施す上層めっきの被覆率が向上する。その結
果、耐クレータリング性を効率的に向上させることがで
きると共に、塗装後の鮮映性を向上させることもでき
る。スキンパスは伸長率0.3%以上で行うとめっき面は
平滑となるが、伸長率が大き過ぎて5%を超えると、一
般的薄板用鋼板では加工性に影響するおそれがある。
Fe−Mn合金めっきは、耐クレータリング性を確保する
と共に、この後の加熱処理において、先に施した溶融亜
鉛めっき層へ鋼素地とは反対面からFeおよびMnを拡散さ
せその結果めっき皮膜内層の鉄濃度勾配を小さく押さえ
ることになる。上記合金めっきの処理方法は、亜鉛の融
点より高い温度で処理する方法でなければ、電気めっ
き、蒸着めっき、溶射等どのような方法でもよい。この
合金めっき処理を合金パウダー吹き付けで行うときは、
先の溶融亜鉛めっき層が溶融状態のうちに行うとスパン
グルの微細化も同時に行われ、工程を一つ省くことが出
来る。
表層は付着量が0.5g/m2から10g/m2であることが必要
である。0.5g/m2未満ではめっき面全体にわたって十分
にFeを供給することが出来ない。また10g/m2を超えて付
着した場合にはその効果が飽和し、コスト的に不利にな
るばかりでなく、塗装後耐食性においても赤錆が発生し
易くなる。
上記した二度のめっき工程を経ためっき鋼板を加熱処
理するが、非酸化性又は還元性雰囲気で行うのは表面の
酸化を防ぎ,塗装前の化成処理において化成皮膜結晶が
不均一になることを避けるためであり、バッチ式焼鈍炉
内で行うのは低温で時間を掛けて処理するからである。
オープンコイルの状態で加熱するのは、均一に加熱する
ことによって合金化にむらが生ずることを防止すると同
時にめっき面同士が付着して欠陥が発生することを防ぐ
ためである。タイトコイルの状態では、温度分布が不均
一となり、部分的に合金化速度の大きい部分と小さい部
分とができてしまう。特に、鋼板長手方向にこの不均一
が生じ、高品質製品は得られ難い。加熱は低温で行う
が、320℃以上の温度が必要である。320℃未満では塗装
後耐食性を確保するに足る合金化度を得るのに時間が掛
かり過ぎる。温度を亜鉛の融点(419.5℃)よりも高く
すると、合金化が急速に進む箇所が現れ又Γ相の生成も
無視できなくなる。更にオープンコイルの鋼板間に挿入
するスペーサーがめっき面に痕跡を残すおそれも出てく
る。第1図は上記の温度範囲で、パウダリングとクレー
タの両者が共に発生しない条件を調べたもので、横軸は
加熱時間縦軸は加熱温度である。図で、点a,b,c,dを結
ぶ線で囲まれた範囲が、パウダリング及びクレータを発
生させない実操業上好ましい条件範囲で、加熱時間につ
いては、a点の時間座標からc点の時間座標まで、即ち
10分以上50時間以下となる。以上の加熱条件で熱処理を
行うと、Feは鋼素地側と表層めっき側とから拡散し、Mn
は表層から拡散するので、鋼素地側に大きなFe濃度勾配
が出来ずに適正な合金化が達成される。このため、Γ相
は実質的に生成せず加工性の良いめっき皮膜が得られ
る。そして、このめっき皮膜は、急速な高温加熱を避け
ているので、面に沿っても均一となる。又、鉄含有率も
5wt%から20wt%の範囲に収まる。しかし、実操業時に
起こりがちな条件のバラツキ等を考えると特に好ましい
のは、加熱温度が320℃から380℃まで、加熱時間が30分
から10時間までである。この場合めっき皮膜の鉄含有率
は5wt%から14wt%の範囲に収まる。更に、この熱処理
によって、表層と内層はFe−Mnの熱拡散によって一体構
造となる。
[実施例] 二種類の鋼板を使用し、溶融亜鉛めっき条件、上層め
っき条件及び合金化処理条件を変えて処理した17例(実
施例)の合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、めっき皮
膜中の鉄含有率を調べ、パウダリング試験及びクレータ
リング試験を行って評価した。なお比較のために、この
発明の範囲外の条件で処理した6例(比較例)および従
来技術による3例(従来例)についても同様に調べた。
条件の詳細は以下の通りである。
用いた鋼板は板厚0.8mmの冷延鋼板で、汎用されてい
る薄板用低炭素Alキルド(素材A)及び高加工用でパウ
ダリングを起こし易いと言われている超低炭チタン含有
鋼(素材B)とである。各々の成分を第1表に示す。
溶融亜鉛めっきは、無酸化炉、還元加熱炉を備えた連
続式めっき設備で行い、めっき浴直後に設けられた気体
絞り装置によって付着量の調整を行い、つづいてミスト
スプレイによりスパングルを微細化し、めっき層が冷却
後伸長率1.5%でスキンパスを行い表面を平滑にした。
Fe−Mn合金めっきには、電気めっき、プラズマ溶射又
はパウダースプレイの方法を用いたが、各々次の条件で
処理した。
(1)電気めっき MnSO4・H2O:20〜200g/ FeSO4・7H2O:20g/ (NH42SO4:200g/ Na2SO4:30g/ pH:3.2, 浴温:15℃ カソード電流密度:3A/dm2 (2)プラズマ溶射 プラズマガス:Ar 溶射入熱:20KW 溶射距離:100mm 平均粉末粒径:約5μm 粉末供給速度:5g/min・dm2 (3)パウダースプレイ 平均粉末粒径:約5μm 粉末供給速度:3g/min・dm2 めっき皮膜表層および内層中の鉄およびマンガン含有
率は、それぞれオージェ電子スペクトロメトリおよびグ
リムグロー放電発光分光分析によって調べた。
耐パウダリング性は、曲率半径2mmで90度に曲げた
後、曲げの内側に粘着テープを貼り付け、これを剥し
て、パウダーがこの粘着テープに付着した状況を目視観
察し、点数付けて評価した。
評点の基準は、 1;全く付着無し、2;極くわずかに付着、 3;わずかに付着、4;少し付着、 5;かなり付着、の五段階である。
耐クレータリング性は、めっき面に化成処理を施し、
次いで電着塗装を行い、このとき発生したクレータの数
で評価した。化成処理には市販されている浸漬型の燐酸
塩系処理剤を用いた。電着塗装にはやはり市販されてい
るカチオン電着塗料を用いたが、調合後一週間撹拌し、
極間距離4cmで電着電圧300vを瞬時に印加して電着し
た。
これらの例の各々の処理条件と調査結果を第2表〜第
4表に示す。
実施例では、素材Bでも耐パウダリング性に劣るもの
はなく、限界付着量である実施例No.6及び限界加熱時間
に近い実施例No.17とで、極く僅かにパウダリングが認
められたが、実用上は問題がない。耐クレータリング性
では、表層部のめっき付着量が下の限界である実施例N
o.13で1個乃至2個の小さなクレータが発見されたが、
これも実用上は問題ない。このように、実施例では全て
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板が耐パウダリング性と耐ク
レータリング性とを兼ね備えている。又、内層の鉄の含
有率も6.0wt%から13wt%の範囲内にあり、塗装後耐食
性を十分に確保するものである。
一方、発明の範囲から外れた条件で処理された比較例
では、浴中Alの無い比較例No.1、加熱時間過剰の比較例
No.2、浴中Pbの多い比較例No.3、付着量の多すぎる比較
例No.4、上層部の無い比較例No.5、加熱温度の高過ぎる
比較例No.6等耐パウダリング性か耐クレータリング性の
何れかに問題がある。
従来例では、従来例1は急速昇温高速加熱のみにより
合金化したもので両特性に問題があり、従来例2は急速
昇温高速加熱の後低温で合金化調整したもので耐クレー
タリング性が劣り、従来例3は急速昇温高速加熱によっ
て合金化しその上に鉄含有量の高いめっき層を付したも
ので、耐パウダリング性に劣る。このように、両特性が
同時には満足されていない。
次に本発明によるめっき皮膜の内層の鉄およびマンガ
ンの含有率分布を調べた。
ここでは実施例No.12の合金化溶融亜鉛めっきコイル
(幅1800mm)の幅方向について、200mm間隔でめっき内
層の鉄およびマンガンの含有率を調べた。この結果を第
2図に示す。図において横軸はコイル左端からの距離、
縦軸は鉄およびマンガンの含有率であり、○印は実施例
No.12の鉄含有率をプロットしたものであり、△印はマ
ンガンの含有率をプロットしたものである。また●印は
従来例No.2の鉄含有率をプロットしたものである。図か
ら明らかなように実施例No.12の鉄含有率は平均8.0wt%
であり、全ての測定点が7.8wt%から8.2wt%の間に分布
していた。またマンガン含有率は平均0.5wt%であり、
すべての測定点が0.4wt%から0.6%の間に分布してい
る。また従来例No.2の鉄含有率は平均8.3wt%であり、
全ての測定点が8.0wt%から9.0wt%にばらつく。したが
って、本発明においては面方向に鉄およびマンガンのば
らつきが顕著に少ない。更にめっき皮膜の底部にΓ相が
存在しているか否かについて、実施例No.1からNo.17迄
の合金化溶融亜鉛めっき処理を施した試料について、め
っき皮膜の上層約三分の二を取り除きX線回折を行った
結果、何れの試料についてもΓ相は検出されなかった。
[発明の効果] 本発明のめっき鋼板は、めっき皮膜中にΓ相が実質的
に存在せず、鉄含有率が高い表層と内層とが一体構造に
なっており、しかも鉄含有率の分布が面方向に均一な皮
膜を持っているので、十分な耐食性に加えて優れた耐パ
ウダリング性と耐クレータリング性とを共に有してお
り、また本発明の方法は上記めっき鋼板を簡単な工程で
容易に製造出来るので産業上効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の主要部を説明するための熱処理条件
と特性適正との関係を示す図、第2図は本発明の一実施
例の鉄およびマンガン含有率の分布を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−88752(JP,A) 特開 平2−73953(JP,A) 特開 昭61−253397(JP,A) 特開 昭60−67690(JP,A) 特開 昭57−79160(JP,A) 特開 昭57−114692(JP,A) 特開 昭58−39792(JP,A) 特開 昭61−119663(JP,A) 特開 昭58−34169(JP,A) 特開 昭56−158864(JP,A) 特公 昭58−15554(JP,B2) 特公 昭59−14541(JP,B2) 鉄と鋼、72[13](1986),(昭61− 9−9)p.S1331

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の少なくとも片面に、溶融亜鉛めっき
    による第一層とその上のFe+Mnめっきによる第二層とを
    熱処理して形成しためっき皮膜を有し、該めっき皮膜
    は、表層が前記第二層のFe+Mnめっきであって、内層が
    厚さ0.5μmの鋼素地との境界層を除いてδ相とζ相
    とからなり、且つ面方向に鉄およびマンガン含有率が均
    一に分布していることを特徴とする加工性、塗装性に優
    れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】以下の工程を含むことを特徴とする加工
    性、塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。 (イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
    t%以下、且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき
    浴に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下のめっきを施す工
    程、 (ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちにスパングルの
    微細化処理を施す工程、 (ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い、
    溶融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程、 (ニ)この鋼板の片面又は両面に0.5g/m2以上10g/m2
    下のFe−Mnめっきを施す工程、 (ホ)前記工程でめっきを施した鋼板を非酸化性又は還
    元性雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内でオープンコイ
    ルの状態で320℃以上亜鉛の融点以下の範囲内の温度で1
    0分から50時間加熱する工程。
  3. 【請求項3】次の工程を含むことを特徴とする加工性、
    塗装性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 (イ)通常の前処理を施した鋼板をAl0.05wt%以上0.3w
    t%以下、且つPb0.2wt%以下を含有する溶融亜鉛めっき
    浴に浸漬して30g/m2以上90g/m2以下のめっきを施す工
    程、 (ロ)めっき皮膜が溶融状態であるうちに鋼板の片面又
    は両面にFe−Mnパウダーを吹き付けて0.5g/m2以上10g/m
    2以下の上層めっきを施す工程、 (ハ)めっき皮膜が固化した後スキンパス処理を行い溶
    融亜鉛めっき皮膜の表面を平滑化する工程、 (ニ)前記工程で平滑化した鋼板を非酸化性又は還元性
    雰囲気に維持したバッチ式焼鈍炉内でオープンコイルの
    状態で320℃以上亜鉛の融点以下の範囲内の温度で10分
    から50時間加熱する工程。
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