JP2001218590A - 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途 - Google Patents

新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Info

Publication number
JP2001218590A
JP2001218590A JP2000368983A JP2000368983A JP2001218590A JP 2001218590 A JP2001218590 A JP 2001218590A JP 2000368983 A JP2000368983 A JP 2000368983A JP 2000368983 A JP2000368983 A JP 2000368983A JP 2001218590 A JP2001218590 A JP 2001218590A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
enzyme
deamidating
nucleotide
amide group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000368983A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3696500B2 (ja
Inventor
Shotaro Yamaguchi
庄太郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Amano Enzyme Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Amano Enzyme Inc filed Critical Amano Enzyme Inc
Priority to JP2000368983A priority Critical patent/JP3696500B2/ja
Publication of JP2001218590A publication Critical patent/JP2001218590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3696500B2 publication Critical patent/JP3696500B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/30Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis
    • A23J3/32Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis using chemical agents
    • A23J3/34Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis using chemical agents using enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/78Hydrolases (3) acting on carbon to nitrogen bonds other than peptide bonds (3.5)
    • C12N9/80Hydrolases (3) acting on carbon to nitrogen bonds other than peptide bonds (3.5) acting on amide bonds in linear amides (3.5.1)

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カル
ボキシル基とアンモニアを遊離する作用を有する新規蛋
白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコー
ドする遺伝子、その製造法及び用途を提供する。 【解決手段】シトファガレス(Cytophagales)或いはア
クチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌
に属し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有す
る酵素生産能を有する菌株、あるいはクリセオバクテリ
ウム(Chryseobacterium)属に属する新菌クリセオバク
テリウム・エスピーNo. 9670を培地に培養し、該酵素を
生産せしめ、培養物より該酵素を採取する酵素の製造
法、蛋白質中のアミド基に直接作用する新規な酵素を用
いた蛋白質の修飾方法、並びに該酵素をコードする遺伝
子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該ベクターを
導入した形質転換体、および、該形質転換体を培地に培
養し、蛋白質脱アミド酵素を生産せしめ、培養物より蛋
白質脱アミド酵素を採取する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な酵素、即ち
蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カルボキシル
基とアンモニアを遊離する作用を有する新規な酵素及び
その製造法に関する。更に詳細には、シトファガレス
(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomy
cetes)に分類される細菌、より詳細にはクリセオバク
テリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム
(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacte
r)属、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)
属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミ
ロイデス(Myroides)属に属し、蛋白質中のアミド基を
脱アミドする性質を有する酵素生産能を有する菌株を培
地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を
採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミ
ドする性質を有する酵素の製造法に関する。更に詳細に
は、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属
する新菌株クリセオバクテリウム・エスピー No.9670
(Chryseobacterium sp. No.9670)を培養し、該酵素を
生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴と
する蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵
素の製造法に関する。更に本発明は、蛋白質中のアミド
基に直接作用する新規な酵素を用いた蛋白質の修飾方法
に関する。更に、本発明は、蛋白質中のアミド基を脱ア
ミドする性質を有する酵素、該酵素をコードする遺伝
子、該遺伝子を含有するベクター、該ベクターを導入し
た形質転換体、及び形質転換体を培地に培養し、該酵素
を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴
とする蛋白質のアミド基を脱アミドする性質を有する酵
素の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】グルタミナーゼ及び/又はアスパラギナ
ーゼはグルタミン及び/又はアスパラギンを水解してグ
ルタミン酸及び/又はアスパラギン酸とアンモニアにす
る酵素であり、これが動植物及び微生物から得られるこ
とはよく知られている。しかし、この酵素はグルタミン
及び/又はアスパラギンに特異的に作用する酵素であ
り、ペプチド中のグルタミン及び/又はアスパラギンを
脱アミドすることはできない。ましてペプチドより分子
量の大きな蛋白質中のグルタミン及び/又はアスパラギ
ンのγ及び/又はβ-アミド基を脱アミドすることはで
きない。まして蛋白質中の状態に結合するグルタミン及
び/又はアスパラギンに作用することはできない。
【0003】また、ペプチド状態に存在するアミド基に
作用する酵素としては、トランスグルタミナーゼがあ
る。この酵素はペプチド結合グルタミンのアミド基をア
シル供与体、一級アミンのアミノ基をアシル受容体とし
て、蛋白質にアミン化合物の共有結合的導入や、蛋白質
中のグルタミンとリジン両残基間でのε-(γ-グルタミ
ル)リジン-ペプチド結合による架橋形成を触媒する。反
応系にアミンやリジンが存在しない或いはブロックされ
ている場合には水がアシル受容体になり、ペプチド中の
グルタミン残基が脱アミドされグルタミン酸となること
が知られているが、この酵素は上述のように本来アシル
転移酵素であるため、通常の蛋白質に作用させると架橋
反応が起こり、蛋白質を脱アミド化する反応は生ぜず、
本発明の酵素とは異なる。
【0004】また、ペプチド中に結合するグルタミンに
作用して脱アミドする酵素についてはバチルス サーキ
ュランス(Bacillus circulans)由来の酵素、ペプチド
グルタミナーゼ I(Peptidoglutaminase I)及びペプ
チドグルタミナーゼ II(Peptidoglutaminase II)が知
られている。前者は、ペプチドのC末端に位置するグル
タミン残基に作用し、後者はペプチド中のグルタミン残
基に作用することが知られている.しかしながら、これ
らの酵素は高分子蛋白質には作用せず、低分子ペプチド
にのみ作用する酵素である [M. Kikuchi, H. Hayashid
a, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10
巻, 1222-1229(1971)]。
【0005】これらの酵素(ペプチドグルタミナーゼI
及びII)を、低分子ペプチドでなく高分子の蛋白質に作
用させる試みが、複数の研究によってなされてきたが、
それらの酵素が高分子蛋白質に作用せず、蛋白質加水分
解ペプチドにしか作用しないことが明らかにされてい
る.具体的には、Gillらは、乳カゼインとホェイ蛋白質
に対して、未変性(native)の状態ばかりでなく、変性後
においても、ペプチドグルタミナーゼI及びIIいずれも
作用しないことを報告している。彼らは、またそれらの
蛋白質の加水分解物に対する作用性を検討した結果、ペ
プチドグルタミナーゼ IIのみ作用したが、分子量5000
以下のペプチドにしか作用しないことを報告している
(B. P. Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson an
d D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33
-41(1985))。大豆蛋白質を用いて同様の検討が、Hamada
らによって行われたが、Gillらの結果との一致を見てい
る。即ち、大豆ペプチド(Peptone)に対する脱アミド率
が24.4−47.7%に対し、大豆蛋白質に対しては実質的に
作用しないことが報告されている(J. S. Hamada,F. F.S
hih, A. W. Frank and W. E. marshall, J. Food Scien
ce, 53巻, 2号, 671-672(1988)、USP 5082672)。
【0006】Hamadaらのこれらの一連の報告において
は、Bacillus circulans由来のペプチドグルタミナーゼ
が、蛋白質に対してごく僅かながら作用しているデータ
が示されている。一方、同じ菌株(Bacillus circulans
ATCC21590)由来の同じ酵素を用いたKikuchiら(M. Kikuc
hi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Bio
chemistry, 10巻, 1222-1229(1971))及びGillら(B. P.
Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R.
Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(198
5))は、本酵素は低分子ペプチドには作用するが、蛋白
質には作用しないと報告している。本発明者は、Bacill
us circulans ATCC 21590からペプチドグルタミナーゼ
を精製し確認したところ、Hamadaらが報告している蛋白
質に対する僅かな脱アミド活性は、使用されたペプチド
グルタミナーゼ標品中に混在していたプロテアーゼによ
り生じたペプチド即ち低分子化したペプチドに、ペプチ
ドグルタミナーゼが作用した結果であることが判明し
た。
【0007】一方、植物の種子中に蛋白質を脱アミドす
る酵素の存在の可能性が報告されている(I. A. Vaintr
aub, L. V. Kotova, R. Shara, FEBS Letters, 302巻,
169-171 (1992))。しかしながら、この報告において
は、部分精製品を用いて蛋白質からアンモニアの遊離を
観察しているが、以下に述べる理由により、本発明に開
示される酵素の存在を証明するものではないことは明ら
かである。即ち、部分精製品を用いている点、プロテア
ーゼ活性が存在しないことが確認されていない点、反応
後の基質蛋白質の分子量変化が生じていないことが確認
されていない点により、一つの酵素の作用ではなく複数
の酵素、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼにより蛋白
質から遊離したアミノ酸グルタミン及び/又はアスパラ
ギンがグルタミナーゼ及び/又はアスパラギナーゼによ
り脱アミドされアンモニアが遊離されている可能性、或
いは同様にして生じたグルタミン含有低分子ペプチドが
ペプチドグルタミナーゼ様酵素により脱アミドされてい
る可能性が残されている。或いはまたプロテアーゼの副
反応により脱アミドされている可能性も否定できない。
とりわけ、上記の報告中において、用いられた部分精製
標品中に遊離のグルタミンに作用してアンモニアを遊離
するグルタミナーゼ活性が存在することが明記されてい
ることは特記すべきである。このように、高分子蛋白質
に作用して脱アミド反応を触媒する酵素について、単一
蛋白質まで精製し、さらに遺伝子を単離し発現させるこ
とにより、その存在を証明した報告はこれまでにはなか
った。とりわけ、工業的生産に有利な微生物由来のその
ような酵素は、これまでに知られていなかった。
【0008】一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラ
ギン残基を脱アミド化し、カルボキシル基を生じさせる
と、その蛋白質の負電荷が増加し、その結果等電点が低
下、水和力が増加する。さらに静電反撥力の上昇による
蛋白質間の相互作用の低下すなわち会合性の低下がもた
らさる。これらの変化により蛋白質の可溶性、水分散性
は大きく増大する。また蛋白質の負電荷の増加は、その
蛋白質の折りたみをほぐし、高次構造を変化させ、分子
内部に埋もれていた疎水性領域を分子表面に露出させ
る。したがって脱アミド化蛋白質は、両親媒性を有し理
想的な界面活性剤となり、蛋白質の乳化力、乳化安定
性、起泡性、泡沫安定性が大きく向上する。
【0009】このように、蛋白質の脱アミド化は、蛋白
質の様々な機能特性の向上をもたらし、その蛋白質の用
途は飛躍的に増大させる (例えばMolecular Approaches
toImproving Food Quality and Safety, D. Chatnagar
and T. E. Cleveland, eds., Van Nostrand Reinhold,
New York, 1992, p. 37)。
【0010】この為、蛋白質を脱アミド化する方法は、
古くより盛んに研究され多くの方法が考えられてきた。
蛋白質を化学的に脱アミド化させる方法としては、高温
条件下での温和な酸 (または温和なアルカリ処理法など
があった。一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギ
ン残基のアミド基は、酸或いは塩基により加水分解され
る。しかしながらこの反応は非特異的であり、強酸、強
アルカリ条件下では、ペプチド結合の切断も伴う。また
蛋白質の変性も伴い、その蛋白質の機能性を損なう結果
となる。
【0011】そこでこれらの望ましくない反応を制限す
るため種々工夫されて、温和な酸処理 (例えばJ.W. Fin
ley, J. Food Sci. 40, 1283, 1975; C.W. Wu, S. Naka
i, and W.D. Powie, J. Agric. Food Chem., 24, 504,
1976など)や温和なアルカリ処理 (例えばA. Dilollo,
I. Alli, C. Biloarders, N. Barthakur, J. Agric.Foo
d Chem., 41. 24, 1993など)が考案された。また、酸と
してドデシル硫酸ナトリウム(F.F. Shih and A. Kalma
r, J. Agric. Food Chem., 35, 672, 1987)や陽イオン
交換樹脂(F.F. Shih, J.food Sci., 52, 1529, 1987)な
どを触媒として用いたり、或いはまた低水分下での高温
処理法(J. Zhang, T.C. Lee, and C.-T.Ho, J. Agric.
Food Chem., 41, 1840, 1993)なども試みられてきた。
【0012】しかしながら、いずれの方法でもペプチド
結合の切断を完全に制限することは困難であった。ペプ
チド結合の切断は、脱アミド化により期待される蛋白質
の機能性の向上を阻害する(特に泡沫安定性の低下)ば
かりでなく、苦味の生成ももたらし好ましくない。また
酸処理法に比べて効率のよいアルカリ処理法では、アミ
ノ酸のラセミ化や毒性の疑いのあるリジノアラニンが生
ずる欠点もあった。
【0013】一方、上述の化学法の問題点を克服するた
め、蛋白質の酵素的脱アミド化法もいくつか試みられて
きた。高pH (pH10)条件下でのプロテアーゼ処理法(A. K
ato,A. Tanaka, N. Matsudomi, and K. Kobayashi, J.
Agric. Food Chem., 35, 224, 1987)、トランスグルタ
ミナーゼ法(M. Motoki, K. Seguro, A. Nio, and K.Tak
inami, Agric. Biol. Chem., 50, 3025, 1986)、ペプチ
ドグルタミナーゼ法(J.S. Hamada, and W.E. Marshall,
J. Food Sci., 54, 598, 1989)の三つの方法が考えら
れてきたが、いずれも欠点があった。
【0014】まずプロテアーゼ法では、その本来の反応
であるペプチド結合の切断はさけられなかった。ペプチ
ド結合の切断が好ましくないことは上述の通りである。
【0015】またトランスグルタミナーゼ法では、その
本来の反応であるグルタミンとリジン間でのイソベプチ
ド結合の形成による架橋反応を押さえるためには、予め
リジン残基のε-アミノ基を化学的に保護しておく必要
があった。脱アミド化蛋白質を食品用などに供する場合
は、可逆的保護基であるシトラコニル基などで保護して
おいた後グルタミンを脱アミドさせ、その後保護基をは
ずし、さらに遊離したシトラコニル酸と脱アミド化蛋白
質を分離しなければならなかった。これらの過程は製造
コストを大きく増大させ、実用化にほど遠いものである
のは明らかである。
【0016】一方ペプチドグルタミナーゼ法では、前述
のように本酵素が、本来低分子化されたペプチドの脱ア
ミド化を専ら触媒する酵素であるため、プロテアーゼと
の併用を余儀なくされ、上記のプロテアーゼ法の場合と
同様に苦味ペプチドの生成、機能性(特に泡沫安定性)
の低下という問題を生じる。
【0017】このように本来酵素法においては、酵素の
持つ高い基質特異性に由来する反応選択性が、化学的、
物理的方法を凌ぐ最大の利点の一つであるが、蛋白質を
脱アミド化する目的においては、副反応が伴わず、また
高分子蛋白質に作用して脱アミド化する、ふさわしい酵
素が存在しなかったため、実用化されていなかったのが
現状である
【0018】この様に、蛋白質の脱アミド化は大きな機
能性向上をもたらす優れた修飾法であるにもかかわら
ず、化学法、酵素法いずれの方法でも欠点があり、実用
化は進んでいなかった。
【0019】このような事情から、食品蛋白質工業界で
は、蛋白質の低分子化を招かずに蛋白質を脱アミド化す
る酵素が長年要望されてきた。そこで、本願発明者は、
広く微生物界に適用できるスクリーニング法を確立し、
当該方法を用いることにより、蛋白質の低分子化を招か
ず、蛋白質を脱アミド化する酵素を生産する微生物を、
微生物界において広く見出すことに成功し、当該微生物
の培養、脱アミド酵素の分離・精製により本願発明を完
成した。
【0020】
【課題を解決するための手段】よって、本発明者は蛋白
質に結合した状態にあるアミド基に直接作用して脱アミ
ドする酵素の給源を安価な微生物に求め、鋭意研究を重
ねた結果、広く微生物に適用できるスクリーング法を確
立した。そして、さらに本発明者が土壌中より新たに分
離したクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に
属する新菌株が、蛋白質中に結合するアミド基に直接作
用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、
脱アミドする作用を有する酵素を生産することを見いだ
した。さらに、本発明者は、スクリーニングにより得ら
れた本酵素により脱アミド化された蛋白質が優れた機能
性を有する事を見出し、本発明を完成した。本明細書に
おいては上述の作用を有する酵素を蛋白質脱アミド酵素
と称する。
【0021】さらに、本発明者らは、蛋白質脱アミド酵
素を単離、精製し、該蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子の塩基配列を決定し、さらに、該遺伝子を含有す
るベクターを導入した形質転換体を用いて蛋白質脱アミ
ド酵素を製造することが可能であることを確認した。従
って、本発明は、以下の構成からなる。 (1)蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する
酵素。 (2)蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合
の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有
する酵素。 (3)該酵素が微生物由来であることを特徴とする上記
(1)又は(2)記載の酵素。 (4) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列にお
いて、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿
入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ
酸配列を有し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用
を有するポリペプチドからなるポリペプチド。 (5) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有
するポリペプチドからなるポリペプチド。 (6) 蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド。 (7) 蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチド結
合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする活性
を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。 (8) 下記(a)〜(g)から選択されるヌクレオチ
ドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミドする
活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドか
らなるヌクレオチド。 (a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列
表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又
は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置
換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列
表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチ
ド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列におい
て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有する
ヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに
記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズするヌクレオチド、(f)上記(a)〜
(d)のいずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有す
るヌクレオチド、(g)上記(a)〜(f)の少なくと
もいずれか1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレ
オチド。 (9) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードするヌクレオチドからなるヌ
クレオチド。 (10) 上記6から9のいずれかに記載のヌクレオチ
ドを含有することを特徴とする組換えベクター。 (11) 上記(10)記載の組換えベクターを導入さ
せた形質転換体。 (12) 上記(11)記載の形質転換体を培養し、蛋
白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素を生
産せしめ、培養物より蛋白質中のアミド基を脱アミドす
る作用を有する酵素を採取することを特徴とする蛋白質
中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素の製造
法。 (13) 上記(11)記載の形質転換体を培養し、該
培養物から採取される、蛋白質中のアミド基を脱アミド
する作用を有する組換えポリペプチド。 (14)微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中のアミド
基を脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産せし
め、該酵素を採取することを特徴とする新規な酵素の製
造法。 (15)微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中のアミド
基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋
を伴わず脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産せ
しめ、該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のア
ミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素の製造
法。 (16)微生物がシトファガレス(Cytophagales)或い
はアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される
細菌である上記(14)或いは上記(15)記載の製造法。 (17)微生物がフラボバクテリアチェ(Flavobacteri
aceae)に分類される細菌である上記(14)或いは上記
(15)記載の製造法。 (18)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacte
rium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、
エンペドバクター(Empedobacter)属、スフインゴバク
チリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウ
ム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属
より選ばれる上記(14) 或いは上記(15)記載の製造
法。 (19)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacte
rium)属である上記(14)或いは上記(15)記載の製造
法。 (20)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacte
rium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エスピー
(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERMBP−7
351)である上記(14)或いは上記(15)記載の製造
法。 (21)蛋白質或いはペプチドに、蛋白質或いはペプチ
ド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び
蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する酵素を
作用させることを特徴とする蛋白質或いはペプチドの修
飾法。 (22)蛋白質或いはペプチド中のアミド基に直接作用
し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱
アミドする作用を有する酵素を有効成分としてなる蛋白
質或いはペプチドの修飾用組成物。 (23)単離されたクリセオバクテリウム(Chryseobac
terium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エスピ
ー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM BP
−7351)。 (24)蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接作用
し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱
アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋白質及
び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/又はペ
プチドの機能性を改善する方法。 (25)蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接作用
し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱
アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋白質及
び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食品の機
能性を改善する方法。
【0022】本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質中
の少なくともアスパラギン残基及びグルタミン残基のア
ミド基に有効であるが、特にその作用部位は、それらに
限定されるものではなく、他のアミノ酸残基に結合した
アミド基に対しても有効であってもよい。尚、本願明細
書において蛋白質とは、蛋白質単体に限定されるもので
はなく、糖、脂質等との複合蛋白質等であってもよい。
そして、その蛋白質の分子量は、特に限定されないが、
通常、5000(50残基)以上、好ましくは10,0
00〜2,000,000の範囲である。
【0023】また、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋
白質以外にもアミド基を有するペプチドやそれらの誘導
体等に対しても脱アミド化に用いることができる。ペプ
チドとしては、通常、アミノ酸残基数が2〜50のもの
が挙げられ、用途としては、栄養改善剤等に用いられて
いるものに好適である。即ち、本発明の蛋白質脱アミド
酵素は、ポリペプチドを含むジペプチド以上から高分子
の蛋白質まで基質とすることができる。なお、本願明細
書の「ポリペプチド」という用語は、蛋白質を含む。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の蛋白質脱アミド酵素を生
産する微生物は、例えば以下のようにしてスクリーニン
グすることができる。即ち、 1)Cbz-Gln-Glyを唯一のN源とした培地に、土壌などの微
生物給源を接種し集積培養する。 2)次にさらに、Cbz-Gln-Glyを唯一のN源とした寒天培地
に1)で得られた培養液を摂取し、生育した菌株を得る。 3)得られた菌株を適当な液体栄養培地で培養し培養液中
のCbz-Gln-Gly及びカゼインからのアンモニア遊離活性
をチェックする。
【0025】ここで集積培養に用いられる培地の組成は
Cbz-Gln-Glyを唯一のN源とする点以外は培養される微生
物に従い適宜選定されるものであり、また培養温度その
他の諸条件も、培養される微生物に従い適宜選定される
ものである。対象微生物が細菌の場合は、例えば本発明
の実施例1に記述の培地、対象微生物がFungiや酵母の
場合は、実施例1の培地の他Czapex-Dox液体培地からN
源を除いた培地(3% sucrose, 0.1% K2HPO4, 0.05% MgSO
4・7H2O, 0.05% KCl, 0.0001% FeSO4・7H2O)や修飾SD培
地(2% glucose, 0.17% Bacto Yeast Nitrogen base wi
thout amino acids and ammonium sulfate (Difco))な
どをそれぞれ用いる事が出来る。Algaeのスクリーニン
グのための培養については、例えば「Microalgae, biot
echnology and microbiology」(Becker, E. W., pp.9-4
6, 1993, Cambridge UniversityPress, Cambridge, Uni
ted Kingdom)を参照して行う事が出来る。3)における栄
養培地での培養も同様である。これらの選定及び実施
は、当業者ならば不必要、不適切、広範且つ過度の実験
を強いられるものではない。
【0026】この様にして得られた菌株の一つ(No.967
0株)について、バージー著のマニュアル・オブ・デタ
ーミネテイブ・バクテリオロジーに従って同定したとこ
ろ、クリセオバクテリウム属と同定された。本菌株は、
クリセオバクテリウム・エスピー(Chryseobacterium s
p.)No. 9670と命名され、受託番号FERM BP−7
351(平成12年11月8日付の移管請求に基づき受
託番号FERM P−17664の国内寄託から移管)
として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
寄託されている。No.9670は,グラム陰性,桿菌,非運
動性,好気性,カタラーゼ陽性,オキシダーゼ陽性,不
溶性の黄〜橙色色素生成であることなどから,Chryseob
acteriumsp. であった。
【0027】文献: Vandamme, P., J.-F. Bernardet, P. Segers, K. Ker
sters, and B. Holmes.1994. NewPerspective in the
Classification of the Flavobacteria: Description o
fChryseobacterium gen. nov., Bergeyella gen. no
v., and Empedobacter nom. rev. Int. J. Syst. Bact
eriol. 44: 827-831. Holmes, B., R. J. Owen, and T. A. McMeekin. 198
4. Genus Flavobacteruium Bergey, Harrison, Breed,
Hammer, and Huntoon 1923, 97AL, p.353-361. In N.
R. Krieg and J. G. Holt (ed.), Bergey's manual of
systematic bacteriology, vol.1. The Williams & Wil
kins Co., Baltimore.
【0028】I.形態 菌体細胞の形: 桿菌 グラム染色性: 陰性 運動性: 陰性 胞子形成: 陰性 II.生理的性質
【0029】
【表1】
【0030】尚、この酵素は、蛋白質のグルタミン残基
とリジン残基の間でのイソペプチド形成を触媒する活性
すなわちトタンスグルタミナーゼ活性を有しておらず、
既知のトランスグルタミナーゼとは区別される。また蛋
白質のペプチド結合を加水分解する活性すなわちプロテ
アーゼ活性も有しておらず既知のプロテアーゼとも区別
される。
【0031】上述した菌株を用いて蛋白質脱アミド酵素
を製造するための菌株の培養法としては液体培養、固体
培養の何れでも良いが、好ましくは液体培養が利用され
る。液体培養としては例えば、以下のようにして行うこ
とができる。
【0032】使用できる培地としては、蛋白質脱アミド
酵素を生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何
なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロー
ス、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素
源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、
酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分
解物、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシ
ウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、
亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができ
る。
【0033】培地のpHは例えば約3〜9、好ましくは約
5.0〜8.0程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好
ましくは約20〜37℃程度で、12時間〜20日間、好まし
くは1〜7日間程度好気的条件下で培養する。培養法とし
ては例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好
気的深部培養法が利用できる。
【0034】得られた培養液から蛋白質脱アミド酵素を
通常の手段で単離し、本発明の蛋白質脱アミド酵素を得
ことができる。例えば培養液から、蛋白質脱アミド酵素
を単離精製するには、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオ
ン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを組み合わせ、
常法により処理して、精製した蛋白質脱アミド酵素を得
ることができる。
【0035】更に、より具体的に本発明を詳述する。即
ち、蛋白質脱アミド酵素を生産する菌株として、上述し
たクリセオバクテリウム・エスピー No.9670(Chryseob
acterium sp. No.9670)を使用し、液体培地で培養し、
当該酵素の産生と該酵素の精製、酵素の諸性質について
検討した。
【0036】新鮮なスラントから1白金耳の菌をとり、
LB Base培地(Gibco社製)で25℃、2〜7日間振盪培養
し、その後遠心上清を得る。酵素の精製方法は、培養終
了後、培養液を遠心分離(12000rpm、4℃、20分間)
し、上清を粗酵素液として得、UF濃縮(SEP-0013)、塩
析、フェニールセファロース、セファクリルS-100によ
り処理し酵素を精製した。精製の工程を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】尚、酵素活性の測定は以下のように従い、
基質としてZ-Gln-Gly及びカゼインを使用した。
【0039】活性測定方法:10mmol/l Z-Gln-Glyを含む
176mmol/lリン酸緩衝液(pH6.5)100μlに酵素溶液10μ
lを添加して、37℃、60分間インキュベートした後、12
%トリクロロ酢酸溶液100μlを加えて反応を停止する。
遠心分離(15000rpm、4℃、5分間)した後、上清につ
いて以下のようにF-kit ammonia(ベーリンガー・マン
ハイム社製)を用いて測定する(A1)。別に酵素溶液の代
わりに水を用いて同様にして測定する(A2)。
【0040】F-kit ammonia 100μl 試薬2に上清10μl
と水190μlを加え室温で5分間放置後100μlを用いての
340nmの吸光度(E1)を測定する。残りの200μlに、1.0μ
lの試薬3(グルタメートデヒドロゲナーゼ)を加えた
後、更に20分間室温に放置した後に残りの200μlの340n
mの吸光度(E2)を測定する。上記条件下で1分間あたり
1μmolのアンモニアを遊離する酵素量を1単位とし、
以下の式に従って求める。 u/ml=1.76×[A1(E1-E2)-A2(E1-E2)] 基質として10mmol/l Z-Gln-Glyに代えて1%カゼイン
(ハマーステン、メルク社製)を用いて同様にして活性
を求め、蛋白質に結合するアミド基に作用することを確
認する。この時同時に反応停止後の遠心上清について28
0 nmの吸光度を測定することによりプロテアーゼ活性を
測定した。プロテアーゼ活性は、この条件下で1ODユ
ニット上昇させる酵素量を1単位とした。
【0041】また、トランスグルタミナーゼ活性は、基
質としてZ-Gln-Glyを用いた以下に示すヒドロキシサム
酸法で測定した。 試薬A 0.2mol/lトリス塩酸緩衝液(pH6.0) 0.1mol/lヒドロキシルアミン 0.01mol/l還元型グルタチオン 0.03mol/lベンジルオキシカルボニル -L-グルタミニルグリシン 試薬B 3mol/l塩酸 12%トリクロロ酢酸 5%FeCl3・6H2O(0.1mol/l HCl に溶解) 上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。 酵素液の0.05mlに試薬A 0.5mlを加えて混合し、37℃で
10分間反応後、試薬B0.5mlを加えて反応停止とFe錯体
の形成を行った後、525nmの吸光度を測定する。対照と
して予め熱失活させた酵素液を用いて同様に反応させた
ものの吸光度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。
別に酵素液のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロ
キサム酸を用いて検量線を作成し、前記吸光度差により
生成されたヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモ
ルのヒドロキサム酸を生成する酵素活性を1単位とし
た。尚、蛋白質の定量はBCAプロテイン・アッセイ・キ
ット(ピアース社製)により、牛血清アルブミンを標準
蛋白質として用いて定量した。
【0042】分子量の測定:SDS-ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動で20kDa(図1)であった。 至適pHの測定:各pHの(10mmol/lのZ-Gln-Glyを含
む)100μl[40mmol/lブリットン−ロビンソン緩衝液
(pH3〜12)を37℃で5分間予熱後、0.32μgの蛋白質
脱アミド酵素を含む酵素液10μlを加え、37℃で60分間
反応し、酵素活性を測定した。その結果、至適pHは6付
近であった。
【0043】至適温度の測定:基質溶液(10mmol/lの
Z-Gln-Glyを含む)100μl [176mmol/lリン酸緩衝液(p
H6.5)]に1.21μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液
10μlを添加して、各温度で60分間反応し、酵素活性を
測定した。その結果、至適温度は60℃付近であった。
【0044】pH安定性の測定:0.75μgの蛋白質脱ア
ミド酵素を含む酵素溶液22μl[40mmol/lブリットン−
ロビンソン緩衝液(pH3〜12)]を30℃で18時間処理す
る。その後残存する酵素活性を測定した。その結果、pH
5から9付近まで安定であった。
【0045】温度安定性の測定:1.76μgの蛋白質脱
アミド酵素を含む酵素溶液43μl[50mmol/lリン酸緩衝
液(pH7.0)]を10分間、各温度で放置した後、残存する
酵素活性を測定した。その結果、50℃まで安定であっ
た。
【0046】基質特異性:基質として終濃度1%の各
種蛋白質溶液(50mmol/l リン酸緩衝液(pH6.5))を用
い、蛋白質脱アミド酵素を添加し混合後、37℃で1時間
反応させた。反応後トリクロロ酢酸溶液を終濃度6.4%に
なるように加え反応を停止し13000rpmで3分間遠心分離
を行い得られた上清中のアンモニア量を測定した。対照
として、反応停止後に酵素を加え同様に処理し、上清中
のアンモニア量を測定した。酵素反応試験の遊離アンモ
ニア量から対照試験の遊離アンモニア量を差し引いて、
酵素の反応によって遊離したアンモニア量を求め、アン
モニア遊離速度を求めた。アンモニア遊離速度は、酵素
1mgが1分間に遊離するアンモニア量として表した。
結果を表3に示す。また、反応終了後の混合液の一部を
SDS-PAGEに供し、対照と比較したところ、蛋白質の高分
子化及び蛋白質の低分子化は観察されなかった。このこ
とは本酵素が既知のトランスグルタミナーゼやプロテア
ーゼとは区別される新規な酵素であることを意味する。
【0047】
【表3】
【0048】等電点の測定:アンフォラインを用いた
等電点集積(600V、4℃、48時間通電)により測定した
ところ、本酵素の等電点は、10.0であった。
【0049】次いで、本発明である上記した蛋白質脱ア
ミド酵素を用いた蛋白質の修飾方法について詳述する。
各種蛋白質に本発明の蛋白質脱アミド酵素を作用させ
る。蛋白質としては上記酵素の作用を受けるものであれ
ばいかなるものであってもよく、例えば、植物性蛋白質
であれば豆類、穀類由来の蛋白質、動物性蛋白質であれ
ばカゼイン、β−ラクトグロブリンなどの乳蛋白、オボ
アルブミンなどの卵蛋白、ミオシン、アクチンなどの肉
蛋白、血清アルブミンなどの血液蛋白、ゼラチン、コラ
ーゲンなどの腱蛋白質があげられる。また、酸、アルカ
リなどによる化学的、あるいはプロテアーゼなどによる
酵素的部分分解蛋白質や、各種試薬による化学修飾蛋白
質や、合成ペプチドであってもよい。
【0050】これら基質蛋白質は、溶液またはスラリー
あるいはペースト状態で反応に供されるが、その濃度は
特に限定されるものではなく、目的の脱アミド化蛋白質
の望まれる性状、状態によって適宜選択される。またこ
の基質蛋白質の溶液またはスラリーあるいはペースト
は、水溶液に限らず油脂とのエマルジョンであってもよ
く、さらに必要に応じて塩類、糖類、蛋白質、香料、保
湿剤、着色料などが添加されたものであってもよい。
【0051】反応条件として、酵素量、反応の時間、温
度、反応溶液のpHなども特に限定されるものではない
が通常、蛋白質1gに対し0.1〜100ユニット、好ましく
は1〜10ユニット、反応温度は5〜80℃、好ましくは20
〜60℃、反応溶液のpHは2〜10、好ましくは4〜8で
10秒〜48時間、好ましくは10分〜24時間反応させる。ま
た、これらの条件は、使用する酵素の純度や基質蛋白質
の種類、純度などに応じて適宜変更して行うことができ
る。
【0052】このように本発明の蛋白質脱アミド酵素を
各種蛋白質に作用させることにより、蛋白質中のアミド
基を直接脱アミドすることができる。その結果、生じた
脱アミド化蛋白質は、負電荷の増加に伴い、pIの低
下、水和力の上昇、静電反発力の上昇がもたらされる。
更に蛋白質の高次構造の変化により、表面疎水性の上昇
がもたらされる。これらの効果により、可溶性・分散性
の向上、起泡性・泡沫安定性の向上、乳化性・乳化安定
性の向上など、蛋白質の機能性の改善がもたらされる。
【0053】このように機能性が改善された蛋白質は、
主として食品分野での用途が大きく拡大する。多くの植
物性蛋白質は、特に通常の食品のpH範囲である弱酸性に
おいて、可溶性、分散性、乳化性などの機能性が乏しい
ため、多くの食品例えはコーヒー・ホワイトナー、ジュ
ースなどの酸性飲料、ドレッシング、マヨネーズ、クリ
ームなどへの使用が制限されていた。しかしながら、例
えば小麦グルテンなどの植物性難溶解性蛋白質を本発明
により脱アミド化することにより、可溶性、分散性が増
大し、これまで使用に適さなかったこれらの食品への使
用が可能となり、また分散性の高い天ぷら粉としても使
用できる。
【0054】また、製パン・製菓におけるドウの改質の
ためにも本酵素が使用できる。例えばグルテン含量が高
いドウは伸展性が低く、ドウのハンドリング性や機械特
性に問題があり、また出来上がったパンの体積や品質に
も問題があった。グルテンを本酵素により脱アミド化す
ることにより、伸展性が向上し、これらの問題を改善す
ることが出来る。また脱アミド化グルテンが乳化剤とし
ての効果も示し、日持ち性、ソフトネスなどの製パン特
性も向上する。さらに脱アミド化グルテンを含むドウ
は、可塑性が低く伸展性に優れているため、クラッカ
ー、ビスケット、クッキー、ピザや或いはパイのクラス
トの製造にふさわしく、これらの製造にも本酵素が使用
できる。この用途のためには、小麦粉、水等からなるド
ウの全量に対して、本発明の酵素を通常、0.01〜10000
ユニット、好ましくは0.1から150ユニット、通常の方法
によって混合する。
【0055】またさらに、食品中の蛋白質に起因するア
レルギー、不耐症或いは遺伝的疾患などの原因となる蛋
白質を本酵素による処理によって、その毒性、アレルゲ
ン性を除去、低減化することが出来る。食物アレルギー
の場合、一般にアレルゲンペプチドは疎水性が高いもの
が多い。本酵素処理により親水性ペプチドに変換される
ことによりアレルゲン性の除去、低下がなされる。とり
わけ、小麦グルテン由来のアレルゲンに見られるよう
に、アレルゲンペプチド中にグルタミン残基を含有する
場合は大きな効果がもたらされる。
【0056】またさらに、蛋白質を本酵素により脱アミ
ド化することにより、蛋白質のミネラル感受性を低下さ
せ、蛋白質・ミネラル溶液中の可溶性ミネラル含量を高
め、ミネラルの人体への吸収性を高めることが出来る。
一般に食品中のカルシウムの人体への吸収性は、カルシ
ウムを有機酸やカゼインホスホペプチドを用いて可溶化
させると向上することはよく知られている。同じメカニ
ズムにより、本酵素により蛋白質を脱アミド化させるこ
とにより、多量のカルルシムを可溶化させることが可能
である。この脱アミド化蛋白質を用いて、高ミネラル
(例えばカルシウム)含有飲料や、ミネラル(例えばカ
ルシウム)の吸収促進剤を製造することもできる。
【0057】さらに、アミノ酸系調味料(動物性蛋白質
の加水分解物(HAP), 植物性蛋白質の加水分解物(HV
P))或いは味噌・醤油製造においては、苦味の低下、
プロテアーゼの蛋白質分解率の向上、グルタミン酸含量
の増強などの効果がもたらされる。一般に苦味の原因は
疎水性ペプチドに由来することは周知のとおりであり、
脱アミドにより苦味ペプチドの低減化がもたらされる。
N末端にグルタミン酸を有するペプチドは苦味のマスキ
ング効果を有することも知られている。また脱アミド化
により、原料蛋白質の一次構造、高次構造が変化するた
め、その蛋白質のプロテアーゼ感受性を高めることもで
きる。結果、酵素的HAP,HVP製造において問題の一つで
あった低分解率を改善することも出来る。また一方、HA
P,HVP製造においては、ピログルタミン酸生成によるグ
ルタミン酸含量の低下が問題であった。このピログルタ
ミン酸は遊離のグルタミンの分子内環状化により生成す
るものであるが、原料蛋白質を脱アミド化しておくこと
によりこれを防ぐことが出来、結果としてグルタミン酸
含量の増強がもたらされる。
【0058】またさらにトランスグルタミナーゼの反応
制御剤としても使用できる。トランスグルタミナーゼ
は、蛋白質の改質剤すなわち架橋用酵素として食品分野
をはじめ産業用に広く利用されている。トランスグルタ
ミナーゼの蛋白質架橋反応により蛋白質のゲル化物を得
ることや蛋白質の機能性を向上させることを目的とする
のであるが、それそれの用途、目的に応じた架橋度や機
能性を有する産物を得ること、すなわち反応を適当な時
点で停止させるなど架橋反応を制御することは困難であ
った。特に食品用蛋白質の改質の場合、EDTAや塩化アン
モニウムあるいはSH試薬など一般に知られているトラン
スグルタミナーゼ阻害剤を添加することは好ましくなか
った。
【0059】本発明による蛋白質脱アミド酵素をトラン
スグルタミナーゼの反応中適当な時点で添加する事によ
り、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが可
能である。つまり基質蛋白質中のトランスグルタミナー
ゼ反応のターゲットであるグルタミン残基を、蛋白質脱
アミド酵素によりグルタミン酸残基に変換することによ
り、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが出
来る。
【0060】この場合、蛋白質脱アミド酵素の基質であ
る蛋白質中のグルタミン残基との親和性が、トランスグ
ルタミナーゼのそれより高いことが必要であるが、後者
の反応においては、グルタミン残基の他にリジン残基の
ε−アミノ基が必要であるのに対し、前者の場合グルタ
ミン残基の他には反応環境中豊富に存在する水を必要と
するだけであるので、一般に蛋白質脱アミド酵素の反応
の方がトランスグルタミナーゼの反応に先行することが
推定できる。もちろん、予め基質蛋白質を蛋白質脱アミ
ド酵素により適当に処理でして、所望のグルタミン残基
をグルタミン酸残基に変換しておいた後トランスグルタ
ミナーゼ反応に供すれば、所望の架橋度の蛋白質改質
物、蛋白質ゲル化物を得ることが出来る。
【0061】またさらに蛋白質の機能改変用すなわち蛋
白質工学用試薬としても使用できる。基質蛋白質が酵素
である場合は、その酵素の酵素化学的、物理化学的性質
を改変する事が出来る。例えば酵素蛋白質を本酵素によ
り脱アミドすることにより、酵素蛋白質の等電点が低下
しpH安定性を改変することが出来る。また、活性部位の
構造や電気的環境を変化させることにより、その酵素の
基質親和性、基質特異性、反応速度、pH依存性、温度依
存性、温度安定性などを改変することが出来る。
【0062】またさらに蛋白質のアミド含量定量用試
薬、蛋白質の可溶化用試薬など蛋白質分析・研究用試薬
としても使用できる。
【0063】またさらに穀類、豆類蛋白質の抽出・濃縮
効率の向上などに利用できる。一般に小麦、大豆など穀
類や豆類の蛋白質は水に不溶性の蛋白質が多く、蛋白質
を抽出することは容易ではないが、小麦粉や大豆粉の縣
濁液を本酵素で処理し蛋白質を可溶化することにより、
蛋白質を容易に抽出することが出来、また高含量の蛋白
質単離物を得ることが出来る。
【0064】大豆蛋白質の場合、一般に、脱脂大豆粉ま
たはフレーク(蛋白質含量約50%)から蛋白質を抽出す
る際には、まず熱処理やエタノール処理或いはpH4.
5付近の等電点処理により蛋白質を不溶化させた後、可
溶性の多糖を除いて蛋白質含量約70%の大豆蛋白質濃
縮物(コンセントレート)が得られる。さらに高純度の
蛋白質が望まれる場合は、大豆粉や濃縮物を希釈アルカ
リに縣濁・溶解し蛋白質を溶解させ不溶性の物質を除い
て調整される。このものは大豆蛋白質単離物(アイソレ
ート)と呼ばれ蛋白質を約90%含む。これらの大豆蛋
白質製品は、大豆蛋白質の乳化性、ゲル化特性、保水性
等の機能性や高栄養価を利用して、ハム・ソーセージや
乳児用食品をはじめ様々な食品に利用されている。
【0065】これらの大豆蛋白質製品を製造する際に本
酵素を利用すれば、蛋白質の溶解性の向上により収率の
向上ばかりでなくより高濃度の蛋白質製品を製造するこ
とが出来る。さらにこのようにして得られた蛋白質製品
は、脱アミド化されているため機能性に優れている。従
って、畜肉、魚肉製品、麺類など種々の食品に使用した
場合優れた効果を示し、また新しいテクスチャーや機能
を有する食品の製造が可能となる。
【0066】以下、本発明の蛋白質脱アミド酵素、蛋白
質脱アミド酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有す
る組換えベクター、該ベクターを導入した形質転換体、
および、該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド
酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採
取することを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法に
ついてさらに説明する。
【0067】本発明の蛋白質脱アミド酵素としては、上
述した蛋白質脱アミド酵素の製造法で得られるすべての
蛋白質脱アミド酵素が含まれるが、特に、配列表の配列
番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個
のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少な
くとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペ
プチドが好ましく、さらに、配列表の配列番号6に記載
のアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。
【0068】本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子としては、該蛋白質脱アミド酵素を産生する微生
物から該遺伝子のクローニングによって取得することが
できる遺伝子や該遺伝子に相同性を有する遺伝子があげ
られる。相同性としては、少なくとも60%以上の相同
性を有する遺伝子、好ましくは80%以上の相同性を有
する遺伝子、さらに好ましくは95%以上の相同性を有
する遺伝子をあげることができる。本発明の蛋白質脱ア
ミド酵素をコードする遺伝子としては以下のようなヌク
レオチド(ポリヌクレオチド;DNAまたはRNA)が
好ましい。
【0069】下記(a)〜(g)から選択されるヌクレ
オチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミド
する活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチ
ド。 (a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列
表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又
は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置
換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有す
るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列
表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチ
ド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列におい
て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有する
ヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに
記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズする遺伝子、(f)上記(a)〜(d)のい
ずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオ
チド、(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか
1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
【0070】本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする
遺伝子は、上述した蛋白質脱アミド酵素を産生する微生
物から、例えば以下に記載するような方法で該遺伝子の
クローニングを行うことによって取得することができ
る。まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から上
述の方法によって本発明の蛋白質脱アミド酵素を単離、
精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。
【0071】部分アミノ酸配列決定方法としては、例え
ば、精製した蛋白質脱アミド酵素を直接常法に従ってエ
ドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー、第 256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によ
りアミノ酸配列分析〔プロテイン−シーケンサ476
A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosyste
ms)社製等〕に供してもよいし、あるいはタンパク質加
水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られた
ペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片
についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的である。
【0072】こうして得られる部分アミノ酸配列の情報
を基に、蛋白質脱アミド酵素遺伝子をクローニングす
る。一般的に、 PCRを用いる方法あるいはハイブリダイ
ゼーション法を利用してクローニングを行うことができ
る。
【0073】ハイブリダイゼーション法を利用する場
合、例えば、モレキュラー クローニング、ア ラボラ
トリー マニュアル〔Molecular Cloning, A Laborator
y Manual、T .マニアティス(T. Maniatis )他著、コ
ールド スプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spr
ing Harbor Laboratory )、1989年発行〕に記載の方法
を用いることができる。
【0074】また、 PCR法を利用する場合、以下のよう
な方法を用いることができる。まず、蛋白質脱アミド酵
素を産生する微生物のゲノムDNA を鋳型とし、部分アミ
ノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオ
チドプライマーを用いて PCR反応を行い、目的の遺伝子
断片を得る。PCR 法は、PCR テクノロジー〔PCR Techno
logy、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレ
ス社(Stocktonpress)、1989年発行〕に記載の方法に
準じて行う。更に、この増幅 DNA断片について通常用い
られる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネータ
ー法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成
オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外に蛋白質脱ア
ミド酵素の部分アミノ酸配列に対応する配列が見出さ
れ、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子の一部を取得する
ことができる。もちろん得られた遺伝子断片をプローブ
として更にハイブリダイゼーション法等を行うことによ
って蛋白質脱アミド酵素全長をコードする遺伝子をクロ
ーニングすることができる。
【0075】下記の実施例11ではクリセオバクテリウム
・エスピー No.9670を用い、PCR法を利用して、蛋白質
脱アミド酵素をコードする遺伝子を決定した。クリセオ
バクテリウム・エスピー No.9670由来の蛋白質脱アミ
ド酵素をコードする遺伝子の全塩基配列は、配列番号5
に記載したものであり、これによってコードされるアミ
ノ酸配列は配列番号6に記載したものであると決定され
た。なお、配列番号6に記載したアミノ酸配列に対応す
る塩基配列は配列番号5に記載したもの以外に無数に存
在するが、これらはすべて本発明の範囲に含まれる。
【0076】配列番号6に記載のアミノ酸配列や配列番
号5に記載の塩基配列の情報を元にして、化学合成によ
って目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:G
ene,60(1), 115-127 (1987))。また、本発明の蛋白質脱
アミド酵素遺伝子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列
において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレ
オチドや該ヌクレオチドにストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズする遺伝子、該ヌクレオチドに相同性を
有するヌクレオチド、及び該ヌクレオチドに縮重するヌ
クレオチドもそれらがコードするポリペプチドが蛋白質
脱アミド酵素活性を有する限り本発明に含まれる。
【0077】ここでいう「ストリンジェントな条件下」
とは、例えば以下の条件をいう。すなわち 0.5%SD
S、5×デンハルツ〔Denhartz's、0.1%ウシ血清アル
ブミン(BSA )、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%
フィコール400 〕及び 100μg/mlサケ***DNA を含む6
×SSC (1×SSC は、0.15 mol/l NaCl 、0.015 mol/l
クエン酸ナトリウム、pH7.0 )中で、50℃〜65℃で4時
間〜一晩保温する条件をいう。
【0078】クリセオバクテリウム・エスピー No.9670
を用いて全塩基配列が明らかにされた蛋白質脱アミド酵
素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーショ
ン用のプローブとして用いて、他の蛋白質脱アミド酵素
を産生する微生物のゲノムDNA ライブラリーあるいはcD
NAライブラリーから、配列表5の蛋白質脱アミド酵素遺
伝子と相同性の高いDNA を選別することができる。
【0079】ハイブリダイゼーションは、上記に示した
ストリンジェントな条件下で行うことができる。例え
ば、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から得たゲノ
ムDNAライブラリーあるいはcDNAライブラリーを固定化
したナイロン膜を作成し、6×SSC 、 0.5%SDS 、5×
デンハルツ、100 μg/mlサケ***DNA を含むプレハイブ
リダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキ
ングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加え
て、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC
中、室温で10分間、0.1% SDSを含む2×SSC 中、室温
で10分間、0.1% SDSを含む0.2×SSC 中、45℃で30分
間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プロー
ブと特異的にハイブリダイズするDNA を検出することが
できる。また、洗いなどの条件を変えることによって様
々な相同性を示す遺伝子を得ることができる。
【0080】一方、本発明の遺伝子の塩基配列から PCR
反応用のプライマーをデザインすることができる。この
プライマーを用いて PCR反応を行うことによって、本発
明の遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出したり、更
にはその遺伝子全体を得ることもできる。
【0081】得られた遺伝子が目的の蛋白質脱アミド酵
素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子である
かどうかを確認するには、決定された塩基配列を本発明
の蛋白質脱アミド酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比
較し、その遺伝子構造及び相同性から推定することもで
きる。また、得られた遺伝子のポリペプチドを製造し、
蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより、目的の
蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコード
する遺伝子であるかどうか確認することができる。
【0082】本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用い
て、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生
産するには以下の方法が便宜である。まず、目的の蛋白
質脱アミド酵素遺伝子を含むベクターを用いて宿主の形
質転換を行い、次いで該形質転換体の培養を通常用いら
れる条件で行うことによって、蛋白質脱アミド酵素活性
を有するポリペプチドを生産させることができる。
【0083】また、宿主としては微生物、動物細胞、植
物細胞等を用いることができる。微生物としては、大腸
菌、Bacillus属、Streptomyces属、Lactococcus属等の
細菌、Saccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属等
の酵母、Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma
属等の糸状菌が挙げられる.動物細胞としては、バキュ
ロウイルスの系統が挙げられる.
【0084】発現の確認や発現産物の確認は、蛋白質脱
アミド酵素に対する抗体を用いて行うことが簡便である
が、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより発現
の確認を行うこともできる。
【0085】形質転換体の培養物から蛋白質脱アミド酵
素を精製するには上述のように、遠心分離、UF濃縮、塩
析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを適宜
組み合わせて行うことができる。
【0086】また、本発明により蛋白質脱アミド酵素の
一次構造及び遺伝子構造が明らかとなったことにより、
本発明の遺伝子を用いて、ランダム変異あるいは部位特
異的変異を導入し、天然の蛋白質脱アミド酵素のアミノ
酸配列中に、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
遺伝子を得ることが可能である。これにより、蛋白質脱
アミド酵素活性を有するが、至適温度、安定温度、至適
pH、安定pH、基質特異性等の性質が少し異なった蛋白質
脱アミド酵素をコードする遺伝子を得ることが可能であ
り、遺伝子工学的にこれら蛋白質脱アミド酵素を製造す
ることが可能となる。
【0087】ランダム変異を導入する方法としては、例
えば、 DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素
ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変
換するトランジション変異を起こさせる方法〔プロシー
ディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ
サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408〜14
12頁(1982)〕、生化学的方法として、〔α-S〕dNTP存
在下、二本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方
法〔ジーン(Gene)、第64巻、第313 〜319 頁(198
8)〕、 PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを
加えて PCRを行い、ヌクレオチドの取込みの正確さを低
くする方法〔アナリティカル バイオケミストリー(An
alytical Biochemistry )、第224 巻、第347 〜353 頁
(1995)〕等を用いることができる。
【0088】部位特異的変異を導入する方法としては、
例えば、アンバー変異を利用する方法〔ギャップド デ
ュプレックス(gapped duplex )法、ヌクレイック ア
シッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12
巻、第24号、第9441〜9456頁(1984)〕、制限酵素の認
識部位を利用する方法〔アナリティカル バイオケミス
トリー、第 200巻、第81〜88頁(1992)、ジーン、第 1
02巻、第67〜70頁(1991)〕、dut (dUTPase )とung
(ウラシルDNA グリコシラーゼ)変異を利用する方法
〔クンケル(Kunkel)法、プロシーディングズ オブ
ザ ナショナル オブ サイエンシーズ オブ ザ US
A、第82巻、第488 〜492 頁(1985)〕、 DNAポリメラ
ーゼ及び DNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する
方法〔オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュア
ル アンバー(Oligonucleotide-directed Dual Amber
:ODA )法、ジーン、第 152巻、第271 〜275 頁(199
5)、特開平7-289262号公報〕、 DNAの修復系を誘導さ
せた宿主を利用する方法(特開平 8-70874号公報)、 D
NA鎖交換反応を触媒するタンパク質を利用する方法(特
開平8-140685号公報)、制限酵素の認識部位を付加した
2種類の変異導入用プライマーを用いた PCRによる方法
(USP5,512,463)、不活化薬剤耐性遺伝子を有する二本
鎖 DNAベクターと2種類のプライマーを用いた PCRによ
る方法〔ジーン、第 103巻、第73〜77頁(1991)〕、ア
ンバー変異を利用した PCRによる方法〔国際公開WO98/0
2535号公報〕等を用いることができる。
【0089】また、市販されているキットを使用するこ
とにより、部位特異的変異を容易に導入することができ
る。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュ
プレックス法を用いた Mutan(登録商標)-G(宝酒造社
製)、クンケル法を用いた Mutan(登録商標)-K(宝酒
造社製)、ODA 法を用いたMutan (登録商標)-Express
Km (宝酒造社製)、変異導入用プライマーとピロコッ
カス フリオサス(Pyrococcus furiosus )由来 DNAポ
リメラーゼを用いたQuikChangeTM Site-Directed Mutag
enesis Kit〔ストラタジーン(STRATAGENE)社製〕等を
用いることができ、また、 PCR法を利用するキットとし
て、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(宝酒造
社製)、Mutan (登録商標)-Super Express Km (宝酒
造社製)等を用いることができる。
【0090】このように、本発明により、蛋白質脱アミ
ド酵素の一次構造及び遺伝子構造が提供されたことによ
り、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安
価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。なお、
本明細書では種々の文献等を引用したが、これらはすべ
て参考として本明細書に組み込まれるものである。以
下、本発明を実施例を用いて詳述するが本発明はこれら
に限定されるものではない。以下、特に明記しない限
り、本明細書において%はW/V%で示した。
【0091】
【実施例】実施例1 蛋白質脱アミド酵素生産菌のスク
リーニング a)集積培養:Cbz-Gln-Glyを唯一のN源としたA培地5mlに
320の土壌サンプルを接種し、30度で6日間振トウ培養し
た。その培養液50μlを新しいA培地に接種し、さらに30
度で3日間振トウ培養した。培養液を栄養培地にSpread
もしくはStreakして生育してきたバクテリアもしくはFu
ngiを単菌分離した。 b)プレート選択:得られた菌株を、1.5%の寒天を含むA
培地からなる寒天培地にレ プリカして、30度、6日間
培養し、生育した菌株(バクテリア150株、Fungi294
株)をピックアップした。 c)蛋白質脱アミド酵素生産性チェック:これらの菌株を
ラクトース液体培地に接種 し、30度、2から7日間振ト
ウ培養し、培養液を遠心分離して、培養上清を得た 。
この培養上清中の蛋白質脱アミド酵素活性を測定したと
ころ、バクテリア50株 、Fungi85株が陽性であった。 *A培地:0.1% Cbz-Gln-Gly, 0.5% Glucose, 0.02% KH2PO
4, 0.02% MgSO4・7H2O,0.01% NaCl,0.002% CaCl2,0.0002
% FeSO4・7H2O,0.0005% NaMoO4・2H2O,0.0005% NaWO4・4H
2O, 0.0005% MnSO4・4H2O, 0.01% CuSO4・5H2O (pH8.0) *ラクトース液体培地:0.5% lactose, 1.0% peptone,0.
17% Na2HPO4・H2O,0.025%KH2PO4, 0.025% MgSO4・7H2O an
d 0.005% FeSO4・7H2O(pH7.2, adjustedwith 6mol/l NaO
H). 実施例2 実施例1で得られたバクテリア50株、Fungi85株から、1
株(No.9670株)を選択し、以下の実験を行った。本株
は、明細書に記述の様にクリセオバクテリウム属に属す
る菌株と同定された。クリセオバクテリウム・エスピー
No.9670(Chryseobacterium sp. No9670)を前述したL
B Base培地で、25℃、64時間振盪培養した。その培養経
過を表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】実施例3 実施例1で得られたバクテリア50株、Fungi85株から、1
株(No.9671株)を選択し、以下の実験を行った。本株
も、クリセオバクテリウム属に属する菌株と同定され
た。実施例2と同様にしてクリセオバクテリウム・エス
ピー No.9671について培養した。培養液中の蛋白質脱ア
ミド活性を表5に示す。 実施例4 実施例2と同様にしてクリセオバクテリウム・インドロ
ゲネス(Chryseobacterium indologenes) IFO14944、
クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseob
acterium meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテ
リウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinu
m)IFO15053、フラボバクテリウム・アクアティレ(Fla
vobacterium aquatile)IFO15052、エンペドバクター・
ブレビス(Empedobacter brevis)IFO14943、スフィン
ゴバクテリウム・スピリチボラム(Sphingobacterium s
piritivorum)IFO14948、スフィンゴバクテリウム・ヘ
パリナム(Sphingobacterium heparinum)IFO12017、ア
ウレオバクテリウム・エステロアロマティカム(Aureob
acterium esteraromatidum)IFO3751、ミロイデス・オ
ドラタス(Myroides odoratus)IFO14945について培養
した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表5に示
す。
【0094】
【表5】
【0095】何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産
が確認された。 実施例5 LB培地に代え、M17培地(Difco社製)、Tryptone
Soya培地(Oxioid社製)、ハート・インフュージョン培
地(Dico社製)を用いて同様にして培養したところ、実
施例2〜4で用いた何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素
の生産が確認された
【0096】実施例6 実施例2で得られた、40時間培養液を4℃、12000 rpm(2
2200 x g)、20分間の遠心分離により菌体を除去し、得
られた遠心上清を、限外濾過膜(SEP-0013、旭化成製)
により約25倍に濃縮後、凍結乾燥して粗酵素粉末を得
た。これに、2.0mol/l NaClを含む10 mmol/l 燐酸ナト
リウム緩衝液(pH6.5)に溶解し、不溶物を4℃、10000 rp
m(12300 x g)、15分間の遠心分離により除いた後、得ら
れた遠心上清を、2.0 mol/l NaClを含む10 mmol/l 燐酸
ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したフェニルセファ
ロース CL-6Bカラム(ファルマシア社製)に供し、2.0 mo
l/lから0 mol/lのNaCl直線濃度勾配により吸着した蛋白
質を溶離させた。
【0097】蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過
膜で濃縮後、0.6 mol/l NaCl及び0.05% Tween 20を含む
10 mmol/l 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化した
セファクリルS-100カラムに供して、同緩衝液で溶離し
た。蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮
し蛋白質脱アミド酵素溶液を得た。精製の結果を表2に
示す。
【0098】このようにして得た蛋白質脱アミド酵素の
精製標品を4〜12%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気
泳動に供したところ、図1のレーン2のように分子量20
kDaの単一蛋白質であることが確認された。
【0099】上述の測定法(Z-Gln-Glyを基質とする方
法とカゼインを基質とする方法)で活性を測定したとこ
ろ33.7単位/ml(Z-Gln-Glyを基質)、13.5単位/ml(カ
ゼインを基質)の酵素標品が得られた。また、トランス
グルタミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されな
かった。
【0100】実施例7 脱アミド化蛋白質の調製 小麦グルテン、乳カゼイネート、乳清蛋白質、卵白蛋白
質及び大豆蛋白質1gを100 mlの100 mmol/l 燐酸ナト
リウム緩衝液(pH 6.5)に縣濁し、6.13 Uの蛋白質脱アミ
ド酵素を添加して、37 ℃で24時間振とう反応させた。
この時の脱アミド化率の変化のタイムコースを図2に示
す。脱アミド化率は、反応終了後に溶液中に遊離したア
ンモニア又はアンモニウムを定量し、蛋白質の総アミド
含量に対する百分率として表した。蛋白質の総アミド含
量は、蛋白質(2% w/v)を1.5mol/l硫酸中110℃で3時間
加水分解し、遊離したアンモニアを定量して求めた。こ
のように、対照として行った酵素無添加の反応ではアン
モニアの遊離が観察されなかったのに対し、酵素添加の
反応においては、反応時間の進行と共にアンモニアが遊
離し脱アミド反応が生じていることが判る。脱アミド化
率は、小麦グルテンで74%、カゼイネートで60%、乳清
蛋白質で23%、大豆蛋白質で20%、卵白蛋白質で7%で
あった。反応後、75℃で15分間加熱し酵素を失活させ反
応を停止し、水に対して透析後凍結乾燥して脱アミド化
蛋白質粉末を得た。また対照として行った酵素無添加の
反応物も同様の処理を施し、対照粉末を得た。
【0101】又、図3にこれらの脱アミド化蛋白質を対
照蛋白質と共に4〜12%SDS-ポリアクリルアミドゲル
電気泳動に供したパターンを示す。脱アミド化蛋白質
(レーン3、6、9、12)は対照の酵素未処理蛋白質
と比べて分子量の変化が生じていないこと、すなわち蛋
白質の分解も架橋高分子化も生じていないことが判る。
ここで脱アミド化したカゼイネート(レーン3)や大豆
蛋白質(レーン12)において蛋白質のバンドがわずか
に高分子側にシフトしていることが観察されるが、これ
は脱アミド化により蛋白質の負電荷が増加したため同じ
負電荷を持つSDSとの結合が静電反発力により減少し、
その結果蛋白質−SDS複合体の全体の負電荷が脱アミド
化されていない蛋白質に比べ小さくなった結果、電気泳
動での移動度が減少したためと考えられる。
【0102】実施例8 脱アミド化蛋白質の機能性-泡
沫特性の向上 実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得
た酵素未処理蛋白質粉末を10 mmol/l リン酸緩衝液(pH
7.0)に0.5mg/mlの濃度に溶解し、マイクロコンダクティ
ビティ法(Wilde PJ, Colloid and Interface Science,
178, 733-739,1996)で起泡性、泡沫安定性を測定した。
泡沫安定性は5分後の伝導度の残存度で表した。結果を
表6に示す。
【0103】
【表6】
【0104】この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドする
ことにより蛋白質の泡沫特性を著しく向上させることが
できることが判る。
【0105】実施例9 脱アミド化蛋白質の機能性-乳
化特性の向上 実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得
た酵素未処理蛋白質粉末の溶液4ml(1.0mg/ml-10mmol/l
10 mmol/l リン酸緩衝液(pH7.0))と1.0gのコーンオイル
(シグマ社製)をバイアルにとり、1分間ボルテックス・
ミキサーにより前攪拌後、シングルパス・バルブ・ホモ
ゲナイザー(EmulsiFlex-20000-B3, Avesten, Ottawa, C
anada)に高圧(200kPa)下、5回通すことにより油/水エ
マルジョンを調製した。フレッシュなエマルジョンの粒
子分布を、レーザー・ディフラクション・パーティクル
・サイズ分析機(Coulter LS230, Coulter, Hialesh, F
L)を用いて測定した。乳化活性は、比表面積 (1mlのエ
マルジョン当たりの粒子の表面積)で表した。乳化安定
性は、7日間室温に放置後肉眼でエマルジョンの崩壊を
示すクリーミング、フロキュレーション、コアレッセン
スの程度を観察した。乳化活性の結果を表7に、乳化安
定性の結果を表8に示す。
【0106】
【表7】
【0107】
【表8】
【0108】この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドする
ことにより蛋白質の乳化活性、乳化安定性を著しく向上
させることができることが判る。
【0109】実施例10 脱アミド化蛋白質の機能性-溶
解性の向上 実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得
た酵素未処理蛋白質粉末を2.0mg/mlの濃度pH2.7から6
までの10 mmol/lクエン酸−燐酸緩衝液、pH7から9ま
での10 mmol/l Tris-HCl緩衝液及びpH12の水溶液(NaOH
で調整)に縣濁、溶解させ室温で30分間振とう後、さら
に30分間室温に静置した。ここでpHを測定後、16000×g
の高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μmの膜で濾
過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定した。この濾
液中の蛋白質含量を溶解性の指標とし、pH12での溶解度
を100%として表示した(Methods of Testing Protein
Functinality, p47-55, edited by G.M.Hall, Blackie
Academic & Professional, London, 1996)。脱アミド
化蛋白質のpH-溶解性曲線を図4〜8に示す。
【0110】この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドする
ことにより蛋白質の溶解性を著しく向上させることがで
きることが判る。即ち、小麦グルテンの場合、酵素未処
理蛋白質はpH4.5以上9付近までほとんど溶解性を
有しなかったのに対し、脱アミド化小麦グルテンは、p
H4.8で約40%、pH6以上で80%以上の溶解性
を示し、著しい溶解性の改善を示した(図4)。カゼイ
ネートの場合、酵素未処理カゼイネートが、多くの食品
のpH領域であるpH5〜6の弱酸性領域で溶解性が乏
しい(pH5.4で22%)のに対し、脱アミド化カゼ
イネートは、pH5.1で約30%、pH5.3以上で
約70%以上の溶解性を示した(図5)。乳清蛋白質の
場合、酵素未処理蛋白質がpH3.8から4.7の範囲
で全く溶解性を示さなかったのに対し、脱アミド化蛋白
質は、pH3.9及び4.7で約50%の溶解性を示し
た(図6)。大豆蛋白質の場合、酵素未処理蛋白質は全
体に溶解性が乏しく、pH6.6で約10%、pH7.
5で約30%の溶解性を有しているに過ぎなかったが、
脱アミド化蛋白質は、pH6以上で70%以上の溶解性
を示し、著しく溶解性が改善された(図7)。また、卵
白蛋白質の場合、酵素未処理蛋白質がpH3.9から
4.3の範囲で全く溶解性を示さなかったのに対し、脱
アミド化蛋白質は、pH3.9で約70%、pH4.3
で約43%の溶解性を示した(図8)。
【0111】実施例11 クリセオバクテリウム・エス
ピー No.9670(Chryseobacterium sp. No.9670)由来の蛋
白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の単離
【0112】本明細書においては、遺伝子操作手法は特
に記載しない限り成書(例えば"Molecular Cloning" 2
nd ed., Cold Spring Harbor Laboratoty Press, 198
9)に従って行った。 a)染色体DNAの単離 "Current Protocols in Molecular Biology", Unit 2.4
(John Wiley & Sons, Inc., 1994)に従って、100ml の
カルチャーから、210μg/mlの濃度の染色体DNAを、4.5m
l得た。
【0113】b)部分アミノ酸配列の決定 実施例3で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を、
プロテイン・シークエンサー(Applied Biosystems社)
に供し、配列番号1に示す20残基のN末端アミノ酸配列を
決定した。次に、実施例3で得られた蛋白質脱アミド酵
素の精製標品を過ギ酸により還元・アルキル化した後、
トリプシンによる分解を行った。得られた分解物を逆相
液体クロマトグラフィーに供し、分離されたペプチド画
分の一つをプロテイン・シークエンサーに供し、配列番
号2に示す20残基の内部アミノ酸配列を決定した。
【0114】配列番号1: Leu-Ala-Ser-Val-Ile-Pro-Asp-Val-Ala-Thr-Leu-Asn-Se
r-Leu-Phe-Asn-Gln-Ile-Lys-Asn 配列番号2: Ser-Pro-Ser-Asn-Ser-Tyr-Leu-Tyr-Asp-Asn-Asn-Leu-Il
e-Asn-Thr-Asn-Cys-Val-Leu-Thr
【0115】c) PCRによるDNAプローブの作成 N末端領域アミノ酸配列および内部アミノ酸配列をもと
に、以下の2種の混合オリゴヌクレオチドをDNA合成機
(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマ
ーとした。 配列番号3 センス・プライマー: 5'-GCI(TA)(CG)IGTIAT(TCA)CC(TACG)GA(TC)GT-3' <N
-1g> 配列番号4 アンチセンス・プライマー:
【0116】5'-A(AG)(AGTC)AC(AG)CA(AG)TT(AGTC)GT(A
G)TT(AGT)AT-3' <M-2a> これらのプライマーとクリセオバクテリウム・エスピー
No.9670 (Chruseobacterium sp. No9670)の染色体DNA
を鋳型として、以下の条件下、Omnigene Thermal Cycle
r(Hybaid 社)を用いてPCR反応を行なった。
【0117】 <PCR反応液> 10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 5.0 μl dNTP混合液 (それぞれ2.5 mmol/l、Promega社) 4.0 μl 20 μmol/l センス・プライマー 10. 0 μ l 20 μmol/l アンチセンス・プライマー 10.0 μ l 蒸留水 20.25 μl 染色体DNA溶液 (190μg/ml) 0.5 μl Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.25 μl
【0118】 <PCR反応条件> ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル アニール(44℃、1分) 伸長(72℃、1分) ステージ3: 伸長(72℃、10分) 1サイクル
【0119】得られた約0.48kbのDNA断片をpCRII(Invit
rogene社)にクローニング後、塩基配列を確認したとこ
ろ、センス・プライマーの直後とアンチセンス・プライ
マーの直前に、上記の部分アミノ酸配列をコードする塩
基配列が見出された。本DNA断片を全長遺伝子クローニ
ングのためのDNAプローブとした。
【0120】d)遺伝子ライブラリーの作成 クリセオバクテリウム・エスピー No.9670 (Chryseobac
terium sp. No9670)の染色体DNAのサザン・ハイブリダ
イゼーション解析の結果、Eco RI分解物中にプローブDN
Aとハイブリダイズする約4.9 kbのシングルバンドが確
認された。この約4.9 kbのEcoRI DNA断片をクローニン
グするため、以下の様に遺伝子ライブラリーを作成し
た。上記a)で調製した染色体DNAをEcoRIで分解し、得ら
れた分解物をEcoRI処理したλZAPII (Stratagene社)ベ
クターにライゲーションし、Gigapack III gold (Strat
agene社)を用いてパッケージングし遺伝子ライブラリー
を得た。
【0121】e)遺伝子ライブラリーのスクリーニング 上記c)で得た0.48 kbのDNA断片をMegaprime DNA Labeli
ng system (Amersham社)とP32-α-dCTPを用いてラベル
した。これをDNAプローブとして、d)で得た遺伝子ライ
ブラリーをプラーク・ハイブリダイゼーションによりス
クリーニングした。得られた陽性プラークからファージ
を回収した後、Stratagene社のインストラクションに従
い、in vivo Exicision法により、約4.5 kb Eco RI断片
を含むプラスミドp9T1-2を得た。
【0122】f)塩基配列の決定 プラスミドp9T1-2の塩基配列を定法に従って決定した。
蛋白質脱アミド酵素をコードする塩基配列を配列番号5
に示す。また配列番号5によりコードされるアミノ酸配
列を、配列番号6に示す。このアミノ酸配列中には、
b)で決定したN末端領域アミノ酸配列(配列番号1)およ
び内部アミノ酸配列(配列番号2)が見出された。
【0123】 配列番号5 TTGGCGAGTGTAATTCCTGATGTAGCTACATTAAATTCTTTATTCAATCA AATAAAGAATCAGTCTTGCGGTACCTCTACGGCGTCCTCACCATGCATCA CATTCAGATATCCTGTAGACGGATGTTATGCAAGAGCCCATAAGATGAGA CAAATCTTAATGAACAACGGCTATGACTGTGAAAAACAATTTGTATACGG AAACCTAAAGGCATCAACAGGAACTTGCTGTGTGGCGTGGAGCTACCACG TTGCAATATTGGTAAGCTATAAAAATGCTTCCGGAGTAACGGAAAAAAGA ATTATTGATCCTTCACTATTTTCAAGCGGTCCTGTAACAGATACAGCATG GAGAAACGCTTGCGTTAACACCTCTTGCGGATCTGCATCCGTTTCCTCTT ATGCTAATACTGCAGGAAATGTTTATTACAGAAGTCCTAGTAATTCTTAC CTGTATGACAACAATCTGATCAATACCAACTGTGTACTGACTAAATTTTC ACTGCTTTCCGGATGTTCTCCTTCACCTGCACCGGATGTATCCAGCTGTG GATTT (555 bp)
【0124】 配列番号6 L A S V I P D V A T L N S L F N Q I K N Q S C G T S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R A H K M R Q I L M N N G Y D C E K Q F V Y G N L K A S T G T C C V A W S Y H V A I L V S Y K N A S G V T E K R I I D P S L F S S G P V T D T A W R N A C V N T S C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S P S N S Y L Y D N N L I N T N C V L T K F S L L S G C S P S P A P D V S S C G F (185 amino acid)
【0125】この遺伝子のオープンリーディングフレー
ムを配列番号7に示す。配列番号7に示すように、全体
が320アミノ酸残基のPrepro体としてコードされてお
り、うちN−末端の135残基(下記配列番号7の下線
部)がPrepro領域、残りの185残基が成熟体に対応する
(配列番号6を参照)。Prepro領域135残基のうち、N-
末端の21残基がシグナル配列の特徴を有しているためPr
e領域と推定され、残りの114残基がPro領域と推定され
る。本発明は蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチ
ドやそれをコードするヌクレオチドに特に限定されるも
のではなく、蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチ
ドからなる更に長いポリペプチド(例えば、Prepro体や
Pro体等)やそれをコードするヌクレオチドを含むもの
である。
【0126】 配列番号7 AGTTAAAATAACCAACCAACTTAACAAAAACTCACCATTAAACTACAAATTACAATTATT ATGAAAAATCTTTTTTTATCAATGATGGCCTTTGTGACCGTCTTAACTTTTAATTCCTGT M K N L F L S M M A F V T V L T F N S C GCCGATTCCAACGGGAATCAGGAAATCAACGGAAAGGAAAAACTAAGTGTAAATGATTCT A D S N G N Q E I N G K E K L S V N D S AAGCTGAAAGATTTCGGAAAGACTGTACCGGTAGGGATAGACGAAGAAAACGGAATGATA K L K D F G K T V P V G I D E E N G M I AAGGTGTCATTTATGTTAACTGCGCAATTCTATGAAATTAAGCCGACCAAAGAAAATGAG K V S F M L T A Q F Y E I K P T K E N E CAGTATATCGGAATGCTTAGACAGGCTGTTAAGAATGAATCTCCTGTACACATTTTCTTA Q Y I G M L R Q A V K N E S P V H I F L AAGCCTAATAGCAATGAAATAGGAAAAGTGGAGTCTGCAAGTCCGGAAGACGTAAGATAT K P N S N E I G K V E S A S P E D V R Y TTTAAAACGATCCTGACAAAAGAAGTAAAAGGGCAAACCAATAAATTGGCGAGTGTAATT F K T I L T K E V K G Q T N K L A S V I CCTGATGTAGCTACATTAAATTCTTTATTCAATCAAATAAAGAATCAGTCTTGCGGTACC P D V A T L N S L F N Q I K N Q S C G T TCTACGGCGTCCTCACCATGCATCACATTCAGATATCCTGTAGACGGATGTTATGCAAGA S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R GCCCATAAGATGAGACAAATCTTAATGAACAACGGCTATGACTGTGAAAAACAATTTGTA A H K M R Q I L M N N G Y D C E K Q F V TACGGAAACCTAAAGGCATCAACAGGAACTTGCTGTGTGGCGTGGAGCTACCACGTTGCA Y G N L K A S T G T C C V A W S Y H V A ATATTGGTAAGCTATAAAAATGCTTCCGGAGTAACGGAAAAAAGAATTATTGATCCTTCA I L V S Y K N A S G V T E K R I I D P S CTATTTTCAAGCGGTCCTGTAACAGATACAGCATGGAGAAACGCTTGCGTTAACACCTCT L F S S G P V T D T A W R N A C V N T S TGCGGATCTGCATCCGTTTCCTCTTATGCTAATACTGCAGGAAATGTTTATTACAGAAGT C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S CCTAGTAATTCTTACCTGTATGACAACAATCTGATCAATACCAACTGTGTACTGACTAAA P S N S Y L Y D N N L I N T N C V L T K TTTTCACTGCTTTCCGGATGTTCTCCTTCACCTGCACCGGATGTATCCAGCTGTGGATTT F S L L S G C S P S P A P D V S S C G F 320 TAATTAATTGATAATTTTACAGCACCTGCTCATTTACAGAATCAGCAGGTGCTGTTATAT (1080) *
【0127】 配列番号8 M K N L F L S M M A F V T V L T F N S C A D S N G N Q E I N G K E K L S V N D S K L K D F G K T V P V G I D E E N G M I K V S F M L T A Q F Y E I K P T K E N E Q Y I G M L R Q A V K N E S P V H I F L K P N S N E I G K V E S A S P E D V R Y F K T I L T K E V K G Q T N K L A S V I P D V A T L N S L F N Q I K N Q S C G T S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R A H K M R Q I L M N N G Y D C E K Q F V Y G N L K A S T G T C C V A W S Y H V A I L V S Y K N A S G V T E K R I I D P S L F S S G P V T D T A W R N A C V N T S C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S P S N S Y L Y D N N L I N T N C V L T K F S L L S G C S P S P A P D V S S C G F (320 amino acid)
【0128】実施例12 蛋白質脱アミド酵素の大腸菌で
の発現プラスミドの構築 N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列を
コードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレ
オチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合
成し、PCRプライマーとした。
【0129】配列番号9 成熟体発現用センス・プライマー: 5'-CCGAATTCTTGGCGAGTGTAATTCCTGATG-3' 配列番号10 プレプロ体発現用センス・プライマー 5'-CAGAATTCATGAAAAATCTTTTTTTATCAATGGCC-3' 配列番号11 アンチセンス・プライマー: 5'-TCGAATTCTTAAAATCCACAGCTGGATAC-3'
【0130】これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素
遺伝子を有するプラスミドp9T1-2を鋳型として、以下の
条件下、Omnigene Thermal Cycler (Hybaid 社)を用い
てPCR反応を行なった。
【0131】 <PCR反応液> 10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 10.0μl dNTP混合液 (それぞれ2.5 mmol/l、Promega社) 8.0μl 20 μmol/l センス・プライマー 2.5μl 20 μmol/l アンチセンス・プライマー 2.5μl 蒸留水 75.5μl プラスミドp7T-1溶液 (50μg/ml) 1.0μl Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.5μl <PCR反応条件> ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル アニール(55℃、1分) 伸長(72℃、1分) ステージ3: 伸長(72℃、10分) 1サイクル
【0132】成熟体発現用センスプライマーとアンチセ
ンスプライマーの組み合わせで得られた約0.57kbのDNA
断片及びプレプロ体発現用センスプライマーとアンチセ
ンスプライマーの組み合わせで得られた約0.98kbのDNA
断片をそれぞれpCRII(Invitrogen社)にクローニング
し、塩基配列が正しいことを確認した後、これらのプラ
スミドから EcoRI処理により約0.57 kb及び約0.98kbのD
NA断片を回収した。これらのDNA断片を大腸菌での発現
ベクターpGEX-1λT (Pharmacia社)のEcoRI部位に挿入
し、pGEX-1λTが有するグルタチオンSトランスフェラー
ゼのコードDNAのC末端に蛋白質脱アミド酵素のコードDN
Aを同方向に連結し、成熟体をコードするDNAを含むプラ
スミドpN7-9及びプレプロ体をコードするDNAを含むプラ
スミドpP3-9をそれぞれ得た。これらのプラスミドは、t
acプロモーターの制御下でグルタチオンSトランスフェ
ラーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質を発現させる
ことが出来、Thrombin処理により融合蛋白質から蛋白質
脱アミド酵素を切り出すことが出来る。
【0133】実施例13 蛋白質脱アミド酵素の大腸菌で
の発現 発現プラスミドpN7-9及びpP3-9を大腸菌BL21(Pharmacia
社)に導入し形質転換体を得た。また対照として発現ベ
クターpGEX-1λTを有する大腸菌BL21の形質転換体も得
た。これらの形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを
含有するLB培地で37℃, 200rpmで培養して得た対数増殖
期(OD600=0.9〜1.0)の細胞に終濃度0.1mmol/lのIPTGを
添加後さらに4時間同条件で培養し集菌した。菌体を培
養液の1/10量の50 mmol/l TrisHCl, pH8.0/2 mmol/l E
DTAに縣濁し、終濃度0.1 mg/mlのEgg white lysozymeと
終濃度0.1%のTriton X-100を添加し、30℃で15 min放置
後、温和な超音波処理(10 sec. On and 30 sec. Offを3
cycles)で粘凋なDNAを揃断しCell extractを得た。こ
のCell extract 100 μlに、4μlのThrombin(1U/μl-9
mmol/l sodium phosphate, pH6.5/140 mmol/l NaCl)を
添加し、室温に16時間放置し、Trombin処理Cell extrac
tを得た。また4μlの緩衝液(9 mmol/l sodium phosphat
e, pH6.5/140 mmol/l NaCl)を添加し、同様の反応を行
ったものをTrombin処理の対照とした。
【0134】得られたサンプルについて、蛋白質脱アミ
ド酵素活性の測定を行った結果を以下の表9に示す。
【0135】
【表9】
【0136】この様に、成熟体の蛋白質脱アミド酵素発
現プラスミドpN7-9を有する大腸菌は、蛋白質脱アミド
活性を発現していることが判る。また、プレプロ体の蛋
白質脱アミド酵素発現プラスミドpP3-9を有する大腸菌
も低レベルながら蛋白質脱アミド酵素活性を発現した。
一方、対照とした発現ベクターpGEX-1λTを有する大腸
菌には蛋白質脱アミド活性の発現は観察されなかった。
【0137】また、サンプル1、2,5及び6を12% SD
S-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、蛋白質脱ア
ミド酵素に対する抗体を用いたWestern解析を行った。
その結果、サンプル1中にはグルタチオンSトランスフ
ェラーゼと成熟体蛋白質脱アミド酵素との融合蛋白質に
相当する分子量約43Daの位置に抗体と反応するバンドが
検出され、サンプル2中には、この分子量約43Daのバン
ドの他に成熟体蛋白質脱アミド酵素の分子量約20kDaの
位置にバンドが検出された。一方、サンプル5,6中に
は抗体と反応するバンドは何も検出されなかった。
【0138】これらの結果より、本発明で得られた蛋白
質脱アミド酵素遺伝子を用いて、組換え蛋白質脱アミド
酵素を大腸菌を用いて製造出来ることが確認された。
【0139】
【発明の効果】従来見出されていなかった、蛋白質中の
アミド基に作用して脱アミド反応を触媒する新規な酵素
が、工業生産に有利な微生物より初めて見い出された。
本酵素は広い応用範囲が期待される。また、本発明によ
り、蛋白質脱アミドの一次構造及び遺伝子構造が提供さ
れたことにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリ
ペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能と
なる。
【0140】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Amano Enzyme Co. , Ltd. <120> NOVEL PROTEIN-DEAMIDATING ENZYME, MICROORGANISM PRODUCING THE SAME, GENE ENCODING THE SAME, PRODUCTION PROCESS THEREFOR, AND USE THEREOF <130> P-36424 <140> <141> <150> JP Hei. 11-345044 <151> 1999-12-03 <160> 11 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 20 <212> PRT <213> Cryseobacterium sp. No. 9670 <400> 1 Leu Ala Ser Val Ile Pro Asp Val Ala Thr Leu Asn Ser Leu Phe Asn 1 5 10 15 Gln Ile Lys Asn 20 <210> 2 <211> 20 <212> PRT <213> Chryseobacterium sp. No. 9670 <400> 2 Ser Pro Ser Asn Ser Tyr Leu Tyr Asp Asn Asn Leu Ile Asn Thr Asn 1 5 10 15 Cys Val Leu Thr 20 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified#base <222> (3) <223> i <220> <221> modified#base <222> (6) <223> i <220> <221> modified#base <222> (9) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 3 gcnwsngtna thccngaygt 20 <210> 4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 4 arnacrcart tngtrttdat 20 <210> 5 <211> 555 <212> DNA <213> Chryseobacterium sp. No. 9670 <400> 5 ttggcgagtg taattcctga tgtagctaca ttaaattctt tattcaatca aataaagaat 60 cagtcttgcg gtacctctac ggcgtcctca ccatgcatca cattcagata tcctgtagac 120 ggatgttatg caagagccca taagatgaga caaatcttaa tgaacaacgg ctatgactgt 180 gaaaaacaat ttgtatacgg aaacctaaag gcatcaacag gaacttgctg tgtggcgtgg 240 agctaccacg ttgcaatatt ggtaagctat aaaaatgctt ccggagtaac ggaaaaaaga 300 attattgatc cttcactatt ttcaagcggt cctgtaacag atacagcatg gagaaacgct 360 tgcgttaaca cctcttgcgg atctgcatcc gtttcctctt atgctaatac tgcaggaaat 420 gtttattaca gaagtcctag taattcttac ctgtatgaca acaatctgat caataccaac 480 tgtgtactga ctaaattttc actgctttcc ggatgttctc cttcacctgc accggatgta 540 tccagctgtg gattt 555 <210> 6 <211> 185 <212> PRT <213> Chryseobacterium sp. No. 9670 <400> 6 Leu Ala Ser Val Ile Pro Asp Val Ala Thr Leu Asn Ser Leu Phe Asn 1 5 10 15 Gln Ile Lys Asn Gln Ser Cys Gly Thr Ser Thr Ala Ser Ser Pro Cys 20 25 30 Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly Cys Tyr Ala Arg Ala His Lys 35 40 45 Met Arg Gln Ile Leu Met Asn Asn Gly Tyr Asp Cys Glu Lys Gln Phe 50 55 60 Val Tyr Gly Asn Leu Lys Ala Ser Thr Gly Thr Cys Cys Val Ala Trp 65 70 75 80 Ser Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser Tyr Lys Asn Ala Ser Gly Val 85 90 95 Thr Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser Leu Phe Ser Ser Gly Pro Val 100 105 110 Thr Asp Thr Ala Trp Arg Asn Ala Cys Val Asn Thr Ser Cys Gly Ser 115 120 125 Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr Ala Gly Asn Val Tyr Tyr Arg 130 135 140 Ser Pro Ser Asn Ser Tyr Leu Tyr Asp Asn Asn Leu Ile Asn Thr Asn 145 150 155 160 Cys Val Leu Thr Lys Phe Ser Leu Leu Ser Gly Cys Ser Pro Ser Pro 165 170 175 Ala Pro Asp Val Ser Ser Cys Gly Phe 180 185 <210> 7 <211> 1080 <212> DNA <213> Chryseobacterium sp. No. 9670 <220> <221> CDS <222> (61)..(1020) <220> <221> mat#peptide <222> (466)..(1020) <400> 7 agttaaaata accaaccaac ttaacaaaaa ctcaccatta aactacaaat tacaattatt 60 atg aaa aat ctt ttt tta tca atg atg gcc ttt gtg acc gtc tta act 108 Met Lys Asn Leu Phe Leu Ser Met Met Ala Phe Val Thr Val Leu Thr -135 -130 -125 -120 ttt aat tcc tgt gcc gat tcc aac ggg aat cag gaa atc aac gga aag 156 Phe Asn Ser Cys Ala Asp Ser Asn Gly Asn Gln Glu Ile Asn Gly Lys -115 -110 -105 gaa aaa cta agt gta aat gat tct aag ctg aaa gat ttc gga aag act 204 Glu Lys Leu Ser Val Asn Asp Ser Lys Leu Lys Asp Phe Gly Lys Thr -100 -95 -90 gta ccg gta ggg ata gac gaa gaa aac gga atg ata aag gtg tca ttt 252 Val Pro Val Gly Ile Asp Glu Glu Asn Gly Met Ile Lys Val Ser Phe -85 -80 -75 atg tta act gcg caa ttc tat gaa att aag ccg acc aaa gaa aat gag 300 Met Leu Thr Ala Gln Phe Tyr Glu Ile Lys Pro Thr Lys Glu Asn Glu -70 -65 -60 cag tat atc gga atg ctt aga cag gct gtt aag aat gaa tct cct gta 348 Gln Tyr Ile Gly Met Leu Arg Gln Ala Val Lys Asn Glu Ser Pro Val -55 -50 -45 -40 cac att ttc tta aag cct aat agc aat gaa ata gga aaa gtg gag tct 396 His Ile Phe Leu Lys Pro Asn Ser Asn Glu Ile Gly Lys Val Glu Ser -35 -30 -25 gca agt ccg gaa gac gta aga tat ttt aaa acg atc ctg aca aaa gaa 444 Ala Ser Pro Glu Asp Val Arg Tyr Phe Lys Thr Ile Leu Thr Lys Glu -20 -15 -10 gta aaa ggg caa acc aat aaa ttg gcg agt gta att cct gat gta gct 492 Val Lys Gly Gln Thr Asn Lys Leu Ala Ser Val Ile Pro Asp Val Ala -5 -1 1 5 aca tta aat tct tta ttc aat caa ata aag aat cag tct tgc ggt acc 540 Thr Leu Asn Ser Leu Phe Asn Gln Ile Lys Asn Gln Ser Cys Gly Thr 10 15 20 25 tct acg gcg tcc tca cca tgc atc aca ttc aga tat cct gta gac gga 588 Ser Thr Ala Ser Ser Pro Cys Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly 30 35 40 tgt tat gca aga gcc cat aag atg aga caa atc tta atg aac aac ggc 636 Cys Tyr Ala Arg Ala His Lys Met Arg Gln Ile Leu Met Asn Asn Gly 45 50 55 tat gac tgt gaa aaa caa ttt gta tac gga aac cta aag gca tca aca 684 Tyr Asp Cys Glu Lys Gln Phe Val Tyr Gly Asn Leu Lys Ala Ser Thr 60 65 70 gga act tgc tgt gtg gcg tgg agc tac cac gtt gca ata ttg gta agc 732 Gly Thr Cys Cys Val Ala Trp Ser Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser 75 80 85 tat aaa aat gct tcc gga gta acg gaa aaa aga att att gat cct tca 780 Tyr Lys Asn Ala Ser Gly Val Thr Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser 90 95 100 105 cta ttt tca agc ggt cct gta aca gat aca gca tgg aga aac gct tgc 828 Leu Phe Ser Ser Gly Pro Val Thr Asp Thr Ala Trp Arg Asn Ala Cys 110 115 120 gtt aac acc tct tgc gga tct gca tcc gtt tcc tct tat gct aat act 876 Val Asn Thr Ser Cys Gly Ser Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr 125 130 135 gca gga aat gtt tat tac aga agt cct agt aat tct tac ctg tat gac 924 Ala Gly Asn Val Tyr Tyr Arg Ser Pro Ser Asn Ser Tyr Leu Tyr Asp 140 145 150 aac aat ctg atc aat acc aac tgt gta ctg act aaa ttt tca ctg ctt 972 Asn Asn Leu Ile Asn Thr Asn Cys Val Leu Thr Lys Phe Ser Leu Leu 155 160 165 tcc gga tgt tct cct tca cct gca ccg gat gta tcc agc tgt gga ttt 1020 Ser Gly Cys Ser Pro Ser Pro Ala Pro Asp Val Ser Ser Cys Gly Phe 170 175 180 185 taattaattg ataattttac agcacctgct catttacaga atcagcaggt gctgttatat 1080 <210> 8 <211> 320 <212> PRT <213> Chryseobacterium sp. No. 9670 <400> 8 Met Lys Asn Leu Phe Leu Ser Met Met Ala Phe Val Thr Val Leu Thr -135 -130 -125 -120 Phe Asn Ser Cys Ala Asp Ser Asn Gly Asn Gln Glu Ile Asn Gly Lys -115 -110 -105 Glu Lys Leu Ser Val Asn Asp Ser Lys Leu Lys Asp Phe Gly Lys Thr -100 -95 -90 Val Pro Val Gly Ile Asp Glu Glu Asn Gly Met Ile Lys Val Ser Phe -85 -80 -75 Met Leu Thr Ala Gln Phe Tyr Glu Ile Lys Pro Thr Lys Glu Asn Glu -70 -65 -60 Gln Tyr Ile Gly Met Leu Arg Gln Ala Val Lys Asn Glu Ser Pro Val -55 -50 -45 -40 His Ile Phe Leu Lys Pro Asn Ser Asn Glu Ile Gly Lys Val Glu Ser -35 -30 -25 Ala Ser Pro Glu Asp Val Arg Tyr Phe Lys Thr Ile Leu Thr Lys Glu -20 -15 -10 Val Lys Gly Gln Thr Asn Lys Leu Ala Ser Val Ile Pro Asp Val Ala -5 -1 1 5 Thr Leu Asn Ser Leu Phe Asn Gln Ile Lys Asn Gln Ser Cys Gly Thr 10 15 20 25 Ser Thr Ala Ser Ser Pro Cys Ile Thr Phe Arg Tyr Pro Val Asp Gly 30 35 40 Cys Tyr Ala Arg Ala His Lys Met Arg Gln Ile Leu Met Asn Asn Gly 45 50 55 Tyr Asp Cys Glu Lys Gln Phe Val Tyr Gly Asn Leu Lys Ala Ser Thr 60 65 70 Gly Thr Cys Cys Val Ala Trp Ser Tyr His Val Ala Ile Leu Val Ser 75 80 85 Tyr Lys Asn Ala Ser Gly Val Thr Glu Lys Arg Ile Ile Asp Pro Ser 90 95 100 105 Leu Phe Ser Ser Gly Pro Val Thr Asp Thr Ala Trp Arg Asn Ala Cys 110 115 120 Val Asn Thr Ser Cys Gly Ser Ala Ser Val Ser Ser Tyr Ala Asn Thr 125 130 135 Ala Gly Asn Val Tyr Tyr Arg Ser Pro Ser Asn Ser Tyr Leu Tyr Asp 140 145 150 Asn Asn Leu Ile Asn Thr Asn Cys Val Leu Thr Lys Phe Ser Leu Leu 155 160 165 Ser Gly Cys Ser Pro Ser Pro Ala Pro Asp Val Ser Ser Cys Gly Phe 170 175 180 185 <210> 9 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 9 ccgaattctt ggcgagtgta attcctgatg 30 <210> 10 <211> 35 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 10 cagaattcat gaaaaatctt tttttatcaa tggcc 35 <210> 11 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Synthetic DNA <400> 11 tcgaattctt aaaatccaca gctggatac 29
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6の精製蛋白質脱アミド酵素のSDS−ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。
レーン1は分子量マーカー蛋白質、レーン2が精製蛋白
質脱アミド酵素である。
【図2】実施例7の蛋白質の脱アミド化率の変化のタイ
ムコースを示す図である。
【符号の説明】
●は小麦グルテン、○はカゼイネート、▲は乳清蛋白
質、□は卵白蛋白質、△は大豆蛋白質を表す。
【図3】実施例7の脱アミド化蛋白質のSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。レーン
1、4、7、10は分子量マーカー蛋白質、レーン2、
5、8、11は順に対照のカゼイネート、乳清蛋白質、
卵白蛋白質、大豆蛋白質、レーン3、6、9、12は順
に脱アミド化されたカゼイネート、乳清蛋白質、卵白蛋
白質、大豆蛋白質である。
【図4】実施例10の脱アミド化グルテンのpH-溶解性曲
線を示す図である。
【符号の説明】
●は脱アミド化小麦グルテン、○は対照の小麦グルテン
を表す。
【図5】実施例10の脱アミド化カゼイネートのpH-溶解
性曲線を示す図である。
【符号の説明】
●は脱アミド化カゼイネート、○は対照のカゼイネート
を表す。
【図6】実施例10の脱アミド化乳清蛋白質のpH-溶解性
曲線を示す図である。
【符号の説明】
●は脱アミド化乳清蛋白質、○は対照の乳清蛋白質を表
す。
【図7】実施例10の脱アミド化大豆蛋白質のpH-溶解性
曲線を示す図である。
【符号の説明】
●は脱アミド化大豆蛋白質、○は対照の大豆蛋白質を表
す。
【図8】実施例10の脱アミド化卵白蛋白質のpH-溶解性
曲線を示す図である。
【符号の説明】
●は脱アミド化卵白蛋白質、○は対照の卵白蛋白質を表
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/20 C12N 1/21 1/21 9/80 Z 5/10 (C12N 1/20 A 9/80 C12R 1:01) //(C12N 1/20 (C12N 9/80 C12R 1:01) C12R 1:01) (C12N 9/80 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:01) 5/00 A Fターム(参考) 4B024 AA03 AA05 BA11 CA03 CA07 CA09 DA06 EA04 GA11 HA13 HA14 4B050 CC01 CC03 DD02 EE01 FF03E FF04E FF05E FF09E FF11E FF13E LL02 LL05 4B065 AA01X AA01Y AA26X AA27X AB01 AC14 AC15 AC16 BA02 BA23 BB01 BC03 BC26 BD01 BD14 BD15 BD18 BD39 CA31 CA41 4H045 AA20 EA01 FA52

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を
    有する酵素。
  2. 【請求項2】蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチ
    ド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作
    用を有する酵素。
  3. 【請求項3】該酵素が微生物由来であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の酵素。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付
    加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている
    アミノ酸配列を有し、蛋白質中のアミド基を脱アミドす
    る作用を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
  6. 【請求項6】 蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性
    を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプ
    チド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドす
    る活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチ
    ド。
  8. 【請求項8】 下記(a)〜(g)から選択されるヌク
    レオチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミ
    ドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオ
    チドからなるヌクレオチド。 (a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列
    表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又
    は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置
    換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列
    表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチ
    ド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列におい
    て、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは
    置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有する
    ヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに
    記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズするヌクレオチド、(f)上記(a)〜
    (d)のいずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有す
    るヌクレオチド、(g)上記(a)〜(f)の少なくと
    もいずれか1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレ
    オチド。
  9. 【請求項9】 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配
    列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドから
    なるヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項6から9のいずれかに記載のヌ
    クレオチドを含有することを特徴とする組換えベクタ
    ー。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の組換えベクターを導
    入させた形質転換体。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の形質転換体を培養
    し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵
    素を生産せしめ、培養物より蛋白質中のアミド基を脱ア
    ミドする作用を有する酵素を採取することを特徴とする
    蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素の
    製造法。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の形質転換体を培養
    し、該培養物から採取される、蛋白質中のアミド基を脱
    アミドする作用を有する組換えポリペプチド。
  14. 【請求項14】微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中の
    アミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産
    せしめ、該酵素を採取することを特徴とする新規な酵素
    の製造法。
  15. 【請求項15】微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中の
    アミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質
    の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する新規な酵素を
    生産せしめ、該酵素を採取することを特徴とする蛋白質
    中のアミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素の
    製造法。
  16. 【請求項16】微生物がシトファガレス(Cytophagale
    s)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類
    される細菌である請求項14或いは請求項15記載の製造
    法。
  17. 【請求項17】微生物がフラボバクテリアチェ(Flavob
    acteriaceae)に分類される細菌である請求項14或いは
    請求項15記載の製造法。
  18. 【請求項18】微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
    obacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteiu
    m)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフイ
    ンゴバクチリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバ
    クテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myro
    ides)属より選ばれる請求項14 或いは請求項15記載の
    製造法。
  19. 【請求項19】微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
    obacterium)属である請求項14 或いは請求項15記載の
    製造法。
  20. 【請求項20】微生物がクリセオバクテリウム(Chryse
    obacterium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エ
    スピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM
    BP−7351)である請求項14 或いは請求項15記載
    の製造法。
  21. 【請求項21】蛋白質或いはペプチドに、蛋白質或いは
    ペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切
    断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する
    酵素を作用させることを特徴とする蛋白質或いはペプチ
    ドの修飾法。
  22. 【請求項22】蛋白質或いはペプチド中のアミド基に直
    接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を有効成分としてな
    る蛋白質或いはペプチドの修飾用組成物。
  23. 【請求項23】単離されたクリセオバクテリウム(Chry
    seobacterium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・
    エスピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM
    BP−7351)。
  24. 【請求項24】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋
    白質及び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/
    又はペプチドの機能性を改善する方法。
  25. 【請求項25】蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接
    作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わ
    ず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋
    白質及び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食
    品の機能性を改善する方法。
JP2000368983A 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途 Expired - Lifetime JP3696500B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000368983A JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34504499 1999-12-03
JP11-345044 1999-12-09
JP2000368983A JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004342158A Division JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001218590A true JP2001218590A (ja) 2001-08-14
JP3696500B2 JP3696500B2 (ja) 2005-09-21

Family

ID=18373917

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000368983A Expired - Lifetime JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途
JP2004342158A Expired - Lifetime JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004342158A Expired - Lifetime JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP1106696B1 (ja)
JP (2) JP3696500B2 (ja)
DE (1) DE60021160T2 (ja)
DK (1) DK1106696T3 (ja)

Cited By (35)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006075772A1 (ja) 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 乳製品及びその製造方法
WO2006075771A1 (ja) 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 食肉加工品又は水産練り製品及びその製造方法
WO2009113628A1 (ja) 2008-03-14 2009-09-17 味の素株式会社 酵素によるタンパク質の改質方法
WO2009113627A1 (ja) * 2008-03-14 2009-09-17 味の素株式会社 食品素材及びその利用方法
WO2009154212A1 (ja) 2008-06-19 2009-12-23 味の素株式会社 加工食品及びその製造方法
WO2010029685A1 (ja) 2008-09-09 2010-03-18 天野エンザイム株式会社 変異型酵素の設計法、調製法、及び変異型酵素
WO2010035825A1 (ja) 2008-09-29 2010-04-01 味の素株式会社 改質乳の製造方法
WO2011024994A1 (ja) 2009-08-31 2011-03-03 味の素株式会社 低脂肪又は無脂肪ヨーグルト及びその製造方法
WO2011108633A1 (ja) 2010-03-04 2011-09-09 味の素株式会社 コーヒーホワイトナー、その製造方法及び飲料の製造方法
WO2011125826A1 (ja) 2010-03-31 2011-10-13 味の素株式会社 アイスクリーム類及びその製造方法
WO2015133590A1 (ja) * 2014-03-07 2015-09-11 味の素株式会社 新規タンパク質脱アミド酵素
KR20160039394A (ko) * 2014-10-01 2016-04-11 이현기 식충식물로부터 분리한 신규한 미생물 및 그로부터 생성된 단백질분해효소
WO2019049927A1 (ja) 2017-09-07 2019-03-14 天野エンザイム株式会社 安定化蛋白質脱アミド酵素乾燥組成物
WO2020171106A1 (ja) 2019-02-21 2020-08-27 天野エンザイム株式会社 植物性ミルクの凝集防止
WO2020171105A1 (ja) 2019-02-21 2020-08-27 天野エンザイム株式会社 ナッツミルクの凝集防止
WO2021049591A1 (ja) 2019-09-12 2021-03-18 天野エンザイム株式会社 植物タンパク質濃縮物の製造方法
WO2021201277A1 (ja) 2020-04-03 2021-10-07 天野エンザイム株式会社 蛋白質の脱アミド方法
WO2022039281A1 (en) 2020-08-19 2022-02-24 Ajinomoto Co., Inc. Methods for producing stirred yogurt
WO2022045152A1 (ja) 2020-08-24 2022-03-03 天野エンザイム株式会社 タンパク質脱アミド酵素により処理された植物性ミルク
WO2022059754A1 (ja) 2020-09-18 2022-03-24 天野エンザイム株式会社 加工ひよこ豆ミルクの製造方法
WO2022059755A1 (ja) 2020-09-18 2022-03-24 天野エンザイム株式会社 加工ココナッツミルクの製造方法
WO2022092242A1 (ja) 2020-10-30 2022-05-05 天野エンザイム株式会社 香りが増強された植物性タンパク質飲食品の加工物の製造方法
WO2022092241A1 (ja) 2020-10-30 2022-05-05 天野エンザイム株式会社 食感が向上した植物性タンパク質加工物の製造方法
WO2022097675A1 (ja) 2020-11-05 2022-05-12 天野エンザイム株式会社 分散安定性及び/又は溶解性を高めた加工植物性ミルクの製造方法
WO2022102723A1 (ja) 2020-11-11 2022-05-19 天野エンザイム株式会社 加工植物性タンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022114059A1 (ja) 2020-11-27 2022-06-02 天野エンザイム株式会社 卵白タンパク質の熱凝固ゲル強度調整剤
WO2022118914A1 (ja) 2020-12-04 2022-06-09 天野エンザイム株式会社 液体酵素製剤
WO2022138872A1 (ja) 2020-12-24 2022-06-30 天野エンザイム株式会社 コメタンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022215688A1 (ja) 2021-04-05 2022-10-13 アマノ エンザイム ヨーロッパ リミテッド 加工ヘンプタンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022244875A1 (ja) 2021-05-21 2022-11-24 天野エンザイム株式会社 加工オート飲食品又は食品素材の製造方法
WO2023048195A1 (ja) 2021-09-21 2023-03-30 天野エンザイム株式会社 タンパク質発酵飲食品の製造方法
WO2023085316A1 (ja) 2021-11-09 2023-05-19 天野エンザイム株式会社 組織化植物性タンパク質含有食品の製造方法
WO2023085315A1 (ja) 2021-11-09 2023-05-19 天野エンザイム株式会社 植物性タンパク質含有組成物の消化性向上剤
WO2023145832A1 (ja) * 2022-01-27 2023-08-03 天野エンザイム株式会社 卵白タンパク質の熱凝固ゲルの物性改変剤
WO2023176943A1 (ja) * 2022-03-16 2023-09-21 天野エンザイム株式会社 改変型プロテイングルタミナーゼ

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3961956B2 (ja) * 2001-02-27 2007-08-22 天野エンザイム株式会社 乳蛋白質の脱アミド化方法及び乳蛋白質の変性方法
DK1914298T3 (en) * 2005-07-07 2018-01-15 Amano Enzyme Inc PROCEDURE FOR MAKING BEER OR BEER-LIKE BEVERAGES
EP2913045B1 (en) 2012-10-17 2019-04-10 Ajinomoto Co., Inc. Cosmetic composition
ES2719698T3 (es) 2013-02-05 2019-07-12 Oatly Ab Base de avena líquida
EP3145325A1 (en) * 2014-05-23 2017-03-29 FrieslandCampina Nederland B.V. Method for the preparation of an acid dairy drink and said acid dairy drink
US20220142210A1 (en) * 2019-02-26 2022-05-12 Amano Enzyme Usa Co., Ltd. Stable protein formulations
EP4271198A1 (en) * 2021-01-04 2023-11-08 Roquette Freres Oat protein composition of high solubility
CN114717151B (zh) * 2021-11-25 2023-05-12 宜宾五粮液股份有限公司 金黄杆菌属新菌种及其用途

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3796633A (en) * 1971-05-10 1974-03-12 Kikkoman Shoyu Co Ltd Peptidoglutaminase
US5082672A (en) * 1989-06-21 1992-01-21 The United States Of American As Represented By The Secretary Of Agriculture Enzymatic deamidation of food proteins for improved food use
BR9709006A (pt) * 1996-05-20 1999-08-03 Novo Nordisk As Processo para obter á partir de sumbstrato protéico um hidrolisado enriquecido com ácido glutámico livre e/ou resíduos de ácido glutámico libados por peptídeo produto alimentício e aditivo de racão animal
JPH1175835A (ja) * 1997-08-29 1999-03-23 Amano Pharmaceut Co Ltd 脱アミド化酵素及び当該酵素の測定法
US6251651B1 (en) * 1998-06-04 2001-06-26 Amano Pharmaceutical Co., Ltd. Protein-deamidating enzyme, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof

Cited By (52)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006075772A1 (ja) 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 乳製品及びその製造方法
WO2006075771A1 (ja) 2005-01-13 2006-07-20 Ajinomoto Co., Inc. 食肉加工品又は水産練り製品及びその製造方法
EP1836907A1 (en) * 2005-01-13 2007-09-26 Ajinomoto Co., Inc. Processed meat product or fish paste product and process for producing the same
US7947315B2 (en) 2005-01-13 2011-05-24 Amano Enzyme Inc. Dairy products and method of manufacturing the same
EP1836907A4 (en) * 2005-01-13 2012-08-01 Ajinomoto Kk PROCESSED MEAT PRODUCT OR FISH PULP PRODUCT AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
WO2009113627A1 (ja) * 2008-03-14 2009-09-17 味の素株式会社 食品素材及びその利用方法
JP5385894B2 (ja) * 2008-03-14 2014-01-08 味の素株式会社 食品素材及びその利用方法
WO2009113628A1 (ja) 2008-03-14 2009-09-17 味の素株式会社 酵素によるタンパク質の改質方法
WO2009154212A1 (ja) 2008-06-19 2009-12-23 味の素株式会社 加工食品及びその製造方法
JP5623282B2 (ja) * 2008-09-09 2014-11-12 天野エンザイム株式会社 変異型酵素の設計法、調製法、及び変異型酵素
WO2010029685A1 (ja) 2008-09-09 2010-03-18 天野エンザイム株式会社 変異型酵素の設計法、調製法、及び変異型酵素
US8735131B2 (en) 2008-09-09 2014-05-27 Amano Enzyme Inc. Method for designing mutant protein deamidase
WO2010035825A1 (ja) 2008-09-29 2010-04-01 味の素株式会社 改質乳の製造方法
US8318223B2 (en) 2008-09-29 2012-11-27 Ajinomoto Co., Inc. Method for producing modified milk
WO2011024994A1 (ja) 2009-08-31 2011-03-03 味の素株式会社 低脂肪又は無脂肪ヨーグルト及びその製造方法
WO2011108633A1 (ja) 2010-03-04 2011-09-09 味の素株式会社 コーヒーホワイトナー、その製造方法及び飲料の製造方法
KR20130059321A (ko) 2010-03-04 2013-06-05 아지노모토 가부시키가이샤 커피 화이트너,이의 제조방법 및 음료의 제조방법
US8617632B2 (en) 2010-03-04 2013-12-31 Ajinomoto Co., Inc. Coffee whitener, process for producing same, and process for producing beverage
WO2011125826A1 (ja) 2010-03-31 2011-10-13 味の素株式会社 アイスクリーム類及びその製造方法
JPWO2015133590A1 (ja) * 2014-03-07 2017-04-06 味の素株式会社 新規タンパク質脱アミド酵素
WO2015133590A1 (ja) * 2014-03-07 2015-09-11 味の素株式会社 新規タンパク質脱アミド酵素
US10717971B2 (en) 2014-03-07 2020-07-21 Ajinomoto Co., Ltd. Protein deamidase
US10941390B2 (en) 2014-03-07 2021-03-09 Ajinomoto Co., Inc. Protein deamidase
KR20160039394A (ko) * 2014-10-01 2016-04-11 이현기 식충식물로부터 분리한 신규한 미생물 및 그로부터 생성된 단백질분해효소
KR101648539B1 (ko) 2014-10-01 2016-08-16 이현기 식충식물로부터 분리한 신규한 미생물 및 그로부터 생성된 단백질분해효소
WO2019049927A1 (ja) 2017-09-07 2019-03-14 天野エンザイム株式会社 安定化蛋白質脱アミド酵素乾燥組成物
CN111051507A (zh) * 2017-09-07 2020-04-21 天野酶制品株式会社 稳定化蛋白质脱酰胺酶干燥组合物
US11685914B2 (en) 2017-09-07 2023-06-27 Amano Enzyme Inc. Stabilised dry protein deamidase composition
JP7315461B2 (ja) 2017-09-07 2023-07-26 天野エンザイム株式会社 安定化蛋白質脱アミド酵素乾燥組成物
JPWO2019049927A1 (ja) * 2017-09-07 2020-10-22 天野エンザイム株式会社 安定化蛋白質脱アミド酵素乾燥組成物
WO2020171106A1 (ja) 2019-02-21 2020-08-27 天野エンザイム株式会社 植物性ミルクの凝集防止
WO2020171105A1 (ja) 2019-02-21 2020-08-27 天野エンザイム株式会社 ナッツミルクの凝集防止
WO2021049591A1 (ja) 2019-09-12 2021-03-18 天野エンザイム株式会社 植物タンパク質濃縮物の製造方法
WO2021201277A1 (ja) 2020-04-03 2021-10-07 天野エンザイム株式会社 蛋白質の脱アミド方法
WO2022039281A1 (en) 2020-08-19 2022-02-24 Ajinomoto Co., Inc. Methods for producing stirred yogurt
WO2022045152A1 (ja) 2020-08-24 2022-03-03 天野エンザイム株式会社 タンパク質脱アミド酵素により処理された植物性ミルク
WO2022059754A1 (ja) 2020-09-18 2022-03-24 天野エンザイム株式会社 加工ひよこ豆ミルクの製造方法
WO2022059755A1 (ja) 2020-09-18 2022-03-24 天野エンザイム株式会社 加工ココナッツミルクの製造方法
WO2022092242A1 (ja) 2020-10-30 2022-05-05 天野エンザイム株式会社 香りが増強された植物性タンパク質飲食品の加工物の製造方法
WO2022092241A1 (ja) 2020-10-30 2022-05-05 天野エンザイム株式会社 食感が向上した植物性タンパク質加工物の製造方法
WO2022097675A1 (ja) 2020-11-05 2022-05-12 天野エンザイム株式会社 分散安定性及び/又は溶解性を高めた加工植物性ミルクの製造方法
WO2022102723A1 (ja) 2020-11-11 2022-05-19 天野エンザイム株式会社 加工植物性タンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022114059A1 (ja) 2020-11-27 2022-06-02 天野エンザイム株式会社 卵白タンパク質の熱凝固ゲル強度調整剤
WO2022118914A1 (ja) 2020-12-04 2022-06-09 天野エンザイム株式会社 液体酵素製剤
WO2022138872A1 (ja) 2020-12-24 2022-06-30 天野エンザイム株式会社 コメタンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022215688A1 (ja) 2021-04-05 2022-10-13 アマノ エンザイム ヨーロッパ リミテッド 加工ヘンプタンパク質含有液状組成物の製造方法
WO2022244875A1 (ja) 2021-05-21 2022-11-24 天野エンザイム株式会社 加工オート飲食品又は食品素材の製造方法
WO2023048195A1 (ja) 2021-09-21 2023-03-30 天野エンザイム株式会社 タンパク質発酵飲食品の製造方法
WO2023085316A1 (ja) 2021-11-09 2023-05-19 天野エンザイム株式会社 組織化植物性タンパク質含有食品の製造方法
WO2023085315A1 (ja) 2021-11-09 2023-05-19 天野エンザイム株式会社 植物性タンパク質含有組成物の消化性向上剤
WO2023145832A1 (ja) * 2022-01-27 2023-08-03 天野エンザイム株式会社 卵白タンパク質の熱凝固ゲルの物性改変剤
WO2023176943A1 (ja) * 2022-03-16 2023-09-21 天野エンザイム株式会社 改変型プロテイングルタミナーゼ

Also Published As

Publication number Publication date
EP1106696A1 (en) 2001-06-13
DK1106696T3 (da) 2005-08-01
JP3769289B2 (ja) 2006-04-19
JP3696500B2 (ja) 2005-09-21
DE60021160T2 (de) 2006-05-11
JP2005052158A (ja) 2005-03-03
DE60021160D1 (de) 2005-08-11
EP1106696B1 (en) 2005-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3696500B2 (ja) 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途
JP3609648B2 (ja) 新規蛋白質脱アミド酵素、それをコードする遺伝子、その製造法並びにその用途
US7846709B2 (en) Protein-deamidating enzyme, microorganism producing the same, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof
US6251651B1 (en) Protein-deamidating enzyme, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof
JP3669390B2 (ja) バチルス属細菌由来のトランスグルタミナーゼ
EP1371734B1 (en) Method of deamidation of milk protein and method of denaturation of milk protein
US20160316786A1 (en) Method for Producing a Wheat Protein Hydrolysate
EP4249590A1 (en) Thermotolerant protein glutaminase
WO2023176943A1 (ja) 改変型プロテイングルタミナーゼ
JP2003259876A (ja) 変異制限酵素
JPH07163341A (ja) 安定化された改変タンパク質
JPH0870815A (ja) 調味料の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040128

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040329

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040616

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040816

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040816

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041126

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20041201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050629

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3696500

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060425

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080708

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090708

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100708

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110708

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120708

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130708

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term