JP2001213976A - 低結晶性ポリプロピレンシート - Google Patents
低結晶性ポリプロピレンシートInfo
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Abstract
成形が可能であり、かつ、成形後の透明性および光沢を
確保できる低結晶性ポリプロピレンシートを提供するこ
と。 【解決手段】平均球晶半径が0.1μm以上4μm以
下、シート断面の平均球晶数が600個/mm2以下、
個体密度が0.895g/cm3以下、示差走査熱分析
(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔ
Hが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以
上、かつ、前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上
の発熱ピークを有し、厚さ50μm以上の低結晶性ポリ
プロピレンシート。
Description
ピレンシートに関する。
してポリプロピレンシートを製造するに当たっては、一
般的に、シートの透明性を向上させるために冷却を行っ
ている。ところが、シートの厚さが50μmを超える場
合には、シート全体が均一に冷却されにくく、その透明
性が十分に得られないため、さらに造核剤を添加して透
明性を向上させる手法が採用されている。
うな造核剤を添加して成形したポリプロピレンシート
は、α晶の増加や、球晶数の増加等により結晶化度が高
くなり、それに伴い、シートの軟化点温度が上昇し、こ
れにより、ポリプロピレンシートに熱を加えて二次加工
(熱成形)を施す際に、加工温度領域が狭くなり、熱成
形が非常に困難になるという問題があった。
シートの熱成形には特殊な成形装置が必要であるため、
透明ポリプロピレンシートを熱成形した成形品の利用分
野の拡大を妨げていた。
なくとも、容易に低温熱成形が可能であり、かつ、成形
後の透明性および光沢を確保できる低結晶性ポリプロピ
レンシートを提供することにある。
る低結晶性ポリプロピレンシートは、平均球晶半径が
0.1μm以上4μm以下、シート断面の平均球晶数が
600個/mm2以下、個体密度が0.895g/cm3
以下、示差走査熱分析(DSC)曲線の最大吸熱ピーク
の融解エンタルピーΔHが90J/g未満、少なくとも
片面の光沢が90%以上、かつ、前記最大吸熱ピークの
低温側に1J/g以上の発熱ピークを有し、厚さ50μ
m以上であることを特徴とする。
と、内部ヘイズが高くなり(透明性が低下して)好まし
くない。より好ましくは、平均球晶半径3μm以下であ
る。また、シート断面の平均球晶数が600個/mm2
より多いと、シートの軟化点温度が高くなり好ましくな
い。より好ましくは、平均球晶数400個/mm2以下
である。さらに、固体密度が0.895g/cm3より
大きいと、密度が大きすぎる、すなわち、結晶化度が高
すぎて好ましくない。そして、シートの厚さが50μm
未満であると、熱成形した後に剛性を有する成形品(容
器等)を造ることが困難になり好ましくない。
置および方法により行うことができる。例えば、複数の
冷却ロールに巻装された鏡面エンドレスベルトと鏡面冷
却ロールとを備えた装置を用い、鏡面冷却ロールとエン
ドレスベルトとの間にTダイ押出機により押し出された
溶融ポリプロピレン(造核剤を含まない)を導入、圧接
してシート状に成形するとともに、所定温度以下で急
激、かつ十分に冷却する方法により製造することができ
る。なお、本発明における低結晶性ポリプロピレンシー
トは、低結晶性ポリプロピレンの単層シート、低結晶性
ポリプロピレンシートを含む多層シートのどちらでも構
わない。
径が0.1μm以上4μm以下、平均球晶数600個/
mm2以下、固体密度が0.895g/cm3以下という
特性を有する造核剤非添加のポリプロピレンシートであ
る。したがって、加熱軟化点温度が低く、低温熱成形可
能、かつ、内部ヘイズ(透明性)の良好なシートを得る
ことができる。また、特殊な成形装置を使用する必要も
ないから、製造コストの低減も図ることができる。さら
に、このような低結晶性ポリプロピレンシートを熱成形
することで、透明性および光沢の高い熱成形品を得るこ
とができる。
未満と比較的小さく、かつ、低温側で1J/g以上の発
熱が見られるから、シートを軟化させるのに外部から供
給しなければならない熱量が少なく、かつ、軟化時の加
熱温度が比較的低いので、低温熱成形が一層容易にな
る。さらに、90%以上の光沢を有する低結晶性ポリプ
ロピレンシートであるから、シートの光沢が高く、これ
を熱成形して得られる熱成形品の光沢度も高くなるの
で、熱成形品の商品価値が高くなる。
ンシートの厚さをtmmとした場合に、低結晶性ポリプ
ロピレンシートの内部ヘイズが(330t2−150t
+20)%以下であることが好ましい。ここで、(33
0t2−150t+20)は、内部ヘイズとシート厚さ
との関係を測定し、最小二乗法により求められた式であ
る。内部ヘイズが、上記値よりも大きいと、ポリプロピ
レンシートを熱成形して得られる熱成形品の透明性が悪
くなり好ましくない。すなわち、ポリプロピレンシート
の内部ヘイズを上記範囲にすることで、熱成形品の内部
ヘイズを(330s 2−150s+25)%以下(s:
熱成形品の厚さ(mm))とすることができる。
トの引張弾性率が1500MPa以下であることが好ま
しい。すなわち、低結晶性ポリプロピレンシートの引張
弾性率が1500MPa以上であると、腰が強くなりす
ぎて熱成形しにくくなる可能性があるとともに、熱成形
品の引張弾性率が低下し、成形品としての強度が不足す
る可能性がある。すなわち、ポリプロピレンシートの引
張弾性率を上記範囲とすることで、熱成形品の引張弾性
率を1700MPa以上とすることができるので、十分
な強度を得ることができる。なお、本発明における引張
弾性率は、JIS K7113に準拠した方法により、
シート製造時の移動方向(MD方向)について測定した
値をいう。
ートの原料は、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロ
ピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合
物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである
ことが好ましい。ここで、ランダムポリプロピレンおよ
びブロックポリプロピレンとしては、エチレンとプロピ
レンとの共重合体等が採用できる。特にエチレンとのラ
ンダム共重合体は、透明性に優れている。
たはテルペン樹脂を含むことが好ましい。ここで、石油
樹脂としては、石油系不飽和炭化水素を原料とした樹
脂、例えば、シクロペンタジエン、高級オレフィン系炭
化水素等を酸触媒下で加熱重合させた樹脂等を採用する
ことができる。一方、テルペン樹脂としては、例えば、
テレビン油、β−ピネン、ジペンテン等のテルペン類を
酸触媒下で重合させた樹脂を採用できる。
プロピレン原料に添加することで、低結晶性ポリプロピ
レンシートの軟化点温度を下げることができ、低温熱成
形がより一層容易になる。
面に基づいて説明する。図1には、本発明に係る低結晶
性ポリプロピレンシートを製造する製造装置1が示され
ている。製造装置1は、押出機のTダイ12と、第1冷
却ロール13、第2冷却ロール14、第3冷却ロール1
5および第4冷却ロール16と、金属製エンドレスベル
ト17と、冷却水吹き付けノズル18と、水槽19と、
吸水ロール20と、剥離ロール21とを備えて構成され
ている。
および第3冷却ロール15は、金属製ロールであり、そ
の内部には表面温度調節を可能にするために水冷式等の
冷却手段(図示省略)が内蔵されている。ここで、第
1、第2冷却ロール13、14の表面には、ニトリル−
ブタジエンゴム(NBR)製の弾性材22が被覆されて
いる。この弾性材22は、その硬度(JIS K630
1Aに準拠した方法で測定)が60度以下、厚さが10
mmのものである。なお、第1、第2、第3冷却ロール
13、14、15の少なくとも一つは、その回転軸が回
転駆動手段(図示省略)と連結されている。
S以下の鏡面を有する金属製ロールであり、その内部に
は表面の温度調節を可能にするための水冷式等の冷却手
段(図示省略)が内蔵されている。ここで、表面粗さが
1.0Sより大きいと、得られるポリプロピレンシート
11の光沢度が低くなり、透明性の低いシート11とな
る。この第4冷却ロール16は、ポリプロピレンシート
11を金属製エンドレスベルト17を介して第1冷却ロ
ール13との間に挟むように配置されている。エンドレ
スベルト17は、ステンレス等からなり、その表面粗さ
が1.0S以下の鏡面を有するものである。このエンド
レスベルト17は、上述の第1〜第3冷却ロール13〜
15に回動自在に巻装されている。
ール16の下面側に設けられており、この冷却水吹き付
けノズル18によって、エンドレスベルト17の裏面に
冷却水が吹き付られることとなる。これにより、エンド
レスベルト17を急冷するとともに、第1、第4冷却ロ
ール13、16により面状圧接された直後のポリプロピ
レンシート11をも急冷している。また、水槽19は、
上面が開口した箱状に形成され、第4冷却ロール16の
下面全体を覆うように設けられている。この水槽19に
より、吹き付けられた冷却水を回収するとともに、回収
した水を水槽19の下面に形成された排出口19Aより
排出する。
おける第2冷却ロール14側の側面部に、エンドレスベ
ルト17に接するように設置されており、エンドレスベ
ルト17の裏面に付着した余分な冷却水を除去する作用
をする。剥離ロール21は、低結晶性ポリプロピレンシ
ート11をエンドレスベルト17および第2冷却ロール
14にガイドして圧接するように配置されるとともに、
冷却終了後の低結晶性ポリプロピレンシート11をエン
ドレスベルト17から剥離する。
た低結晶性ポリプロピレンシート11の製造方法を説明
する。まず、ポリプロピレンシート11と直接接触し、
これを冷却するエンドレスベルト17および第4冷却ロ
ール16の表面温度が露点以上、30℃以下に保たれる
ように、予め各冷却ロール13、14、15、16の温
度制御を行う。
レスベルト17の表面温度が露点以下では、表面に結露
が生じ均一な製膜が困難になる可能性がある。一方、表
面温度が30℃より高いと、得られるポリプロピレンシ
ート11の透明性が低くなるとともに、α晶が多くな
り、熱成形しにくいものとなる可能性がある。したがっ
て、本実施形態では表面温度を14℃としている。
たポリプロピレンシート11(造核剤を含まない)を第
1冷却ロール13上でエンドレスベルト17と、第4冷
却ロール16との間に挟み込む。この状態で、ポリプロ
ピレンシート11を第1、第4冷却ロール13、16で
圧接するとともに、14℃で急冷する。この際、第1冷
却ロール13および第4冷却ロール16間の押圧力で弾
性材22が圧縮されて弾性変形することとなる。この弾
性材22が弾性変形している部分、すなわち、第1冷却
ロール13の中心角度θ1に対応する円弧部分で、ポリ
プロピレンシート11は各冷却ロール13、16により
面状圧接されている。この際の面圧は、0.1〜20M
Paである。
6およびエンドレスベルト17間に挟まれたポリプロピ
レンシート11は、続いて、第4冷却ロール16の略下
半周に対応する円弧部分でエンドレスベルト17と第4
冷却ロール16とに挟まれて面状圧接されるとともに、
冷却水吹き付けノズル18によるエンドレスベルト17
の裏面側への冷却水の吹き付けにより、さらに急冷され
る。この際の面圧は、0.01〜0.5MPaであり、
また、冷却水の温度は8℃である。なお、吹き付けられ
た冷却水は、水槽19に回収されるとともに、回収され
た水は排水口19Aより排出される。
および冷却された後、エンドレスベルト17に密着した
ポリプロピレンシート11は、エンドレスベルト17の
回動とともに第2冷却ロール14上に移動される。ここ
で、剥離ロール21によりガイドされて第2冷却ロール
14側に押圧されたポリプロピレンシート11は、前述
同様、第2冷却ロール14の略上半周に対応する円弧部
分でエンドレスベルト17により面状圧接され、再び3
0℃以下の温度で冷却される。この際の面圧は、0.0
1〜0.5MPaである。なお、エンドレスベルト17
の裏面に付着した水は、第4冷却ロール16から第2冷
却ロール14への移動途中に設けられている吸水ロール
20により除去される。
ロピレンシート11は、剥離ロール21によりエンドレ
スベルト17から剥離され、巻き取りロール(図示省
略)により、所定の速度で巻き取られる。このようにし
て製造されたポリプロピレンシート11は、平均球晶半
径が0.1μm以上4μm以下、シート断面の平均球晶
数が600個/mm2以下、個体密度が0.895g/
cm3以下、DSC曲線の最大吸熱ピークの融解エンタ
ルピーΔHが90J/g未満(図2参照)、少なくとも
片面の光沢が90%以上、かつ、最大吸熱ピークの低温
側に1J/g以上の発熱ピークを有し(図2参照)、厚
さ50μm以上のものである。このように結晶化度が低
く、低温熱成形可能な低結晶性ポリプロピレンシート1
1は、食品包装容器、ブリスター包装容器等に熱成形す
るのに好適である。
うな効果がある。 (1)得られたポリプロピレンシート11は、造核剤を
用いていないため、平均球晶半径、固体密度が小さく、
平均球晶数が少ないポリプロピレンシート11となって
いる。したがって、ポリプロピレンシート11の結晶化
度が低いから、加熱軟化点温度が低く、低温熱成形可
能、かつ、内部ヘイズの良好なシートを得ることができ
る。さらに、特殊な成形装置を使用する必要もないか
ら、製造コストの低減も図ることができる。
未満と比較的小さく、かつ、低温側で1J/g以上の発
熱が見られるから、ポリプロピレンシート11を軟化さ
せるのに外部から供給しなければならない熱量が少な
く、かつ、軟化時の加熱温度が比較的低いので、低温熱
成形が一層容易になる。 (3)90%以上の光沢度を有するポリプロピレンシー
ト11であるから、これを熱成形して得られる熱成形品
の光沢度も高くなり、熱成形品の製品としての価値が高
くなる。
スベルト17の表面粗さを1.0S以下としているか
ら、表面光沢度および透明度の高い低結晶性ポリプロピ
レンシート11が得られる。 (5)第4冷却ロール16およびエンドレスベルト17
の表面温度を露点以上、30℃以下に保っているから、
均一に製膜された、低結晶性ポリプロピレンシート11
を得ることができる。
却水を吹き付けてさらに冷却しているから、ポリプロピ
レンシート11の急冷効果が一層向上し、ポリプロピレ
ンシート11の低結晶化を一層図ることができる。 (7)弾性材22の弾性変形を伴ってポリプロピレンシ
ート11を面状に圧接して冷却しているから、鏡面転写
効率および冷却効率が高まり、透明度の高い低結晶性ポ
リプロピレンシート11を高速度で製造することができ
る。
ものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変
形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、前
記実施形態では、エンドレスベルト17は第1、第2、
第3冷却ロール13、14、15に巻装されていたがこ
れに限られない。要するにエンドレスベルトを回動、冷
却できる装置であれば、エンドレスベルトが巻装される
冷却ロールの数は任意に設定することができる。
として鏡面ステンレスベルトを採用していたが、これに
限られない。すなわち、表面粗さが1.0S以下のエン
ドレスベルトであれば特に限定はなく、例えば、金属製
エンドレスベルトの表面にポリイミド樹脂、ポリテトラ
フルオロエチレン等のフッ素樹脂等をコーティングした
ベルトを採用してもよい。
て、硬度60度、厚さ10mmのNBR製の弾性材22
を採用していたがこれに限られない。要するに、所定の
硬度および厚さを持ち、ポリプロピレンシートの圧接時
に弾性変形する材質のものであればよい。例えば、シリ
コーン製の弾性材等を採用することもできる。さらに、
第4冷却ロール16およびエンドレスベルト17の表面
温度を14℃としていたが、これに限定されず、露点以
上30℃以下の任意の温度を採用することができる。
吹き付けられる水の温度は8℃に設定されていたが、こ
れに限られず、第4冷却ロール16、エンドレスベルト
17の表面温度より低い値で任意に設定することができ
る。その他、本発明を実施する際の具体的な構造および
形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造
としてもよい。
より具体的に説明する。 [実施例1]前記実施形態において、製造装置1および
製造方法の具体的条件を以下の用に設定し、低結晶性ポ
リプロピレンシート11を得た。 押出機の直径:90mm Tダイ12の幅:800mm ポリプロピレン:商品名 出光ポリプロE−304GP
出光石油化学(株)製(メルトフローインデックス3
g/10min、ホモポリプロピレン) シート11の引き取り速度:10m/min 第4冷却ロール16およびエンドレスベルト17の表面
温度:14℃ 冷却水温度:8℃ 冷却水吹き付け量:200リットル/min
ダムポリプロピレン(商品名 出光ポリプロ F534
N4 出光石油化学(株)製)を使用した以外は、実施
例1と同様にして低結晶性ポリプロピレンシート11を
得た。
ンに石油樹脂を3wt%添加したものを使用した以外
は、実施例1と同様にして低結晶性ポリプロピレンシー
ト11を得た。
ンに造核剤としてゲルオールMD(新日本理化学株式会
社製)を0.3%添加したものを使用し、Tダイ押出機
により押し出したメルトウェブの冷却ロール接触面とは
逆側の面にエアを吹き付けて冷却して(エアナイフ法)
製膜し、ポリプロピレンシートを得た。
ンを使用し、比較例1と同様の方法で製膜し、ポリプロ
ピレンシートを得た。
ンに比較例1の造核剤を0.3%添加したものを使用
し、実施例1と同様の方法で製膜し、ポリプロピレンシ
ートを得た。
ンを使用し、Tダイ押出機の押し出し量を制限してTダ
イからのメルトウェブが透明な状態になるまで応力を緩
和し、この状態で押し出したメルトウェブを水槽を通し
て冷却し(水冷法)、得られたポリプロピレンシートに
さらにアニール処理を施した。
プロピレンの厚み、平均球晶半径、単位断面積当たりの
球晶数、DSC発熱ピークの有無、融解エンタルピー、
内部ヘイズ、表面光沢度、引張弾性率について測定し、
結果を表1にまとめた。
た。 平均球晶半径 得られたシートの断面を偏光顕微鏡により観察すること
により測定した。 DSC発熱ピーク有無 示差走査熱量計(DSC−7 パーティエルマージャパ
ン(株)製)を用いて、以下の条件により測定した熱分
析曲線(図2、図3参照)において、最大吸熱ピークを
与える温度よりも低温側に、発熱ピークが生じるか否か
を確認することにより行った。 測定開始温度:25℃ 測定終了温度:190℃ 昇温速度:10℃/min 融解エンタルピー の示差走査熱分析曲線(図2、図3参照)において、
最大吸熱ピークの面積より求めた。
した後、このシート両面をガラス板で挟み、シート外側
の影響を消去して次のように測定した。ヘイズ測定器
(NHD−300A、日本電色工業株式会社製)を使用
し、ポリプロピレンシートに光を照射し、透過した光線
の全量を表す全光線透過量(Tt)とシートによって拡
散されて透過した拡散光線透過量(Td)との比によっ
て下式により求めた。全光線透過量(Tt)とは、入射
光と同軸のまま透過した平行光線透過率(Tp)と拡散
光線透過率(Td)との和である。 ヘイズ(H)=Td/Tt*100
スガ試験機株式会社製)を使用し、シートに光を入射角
60度で照射し、同じく60度で反射光を受光したとき
の反射光束ψsを測定し、屈折率1.567のガラス表
面からの反射光束ψ0sとの比により、下式により求め
た。 表面光沢度(Gs)=(ψs/ψ0s)*100 引張弾性率 JIS K7113に準拠した方法によりMD方向につ
いて試験を行った。
たポリプロピレンシートについて、一般的な真空圧空成
形機でφ100、深さ10mmの透明容器を成形した際
の、熱成形性、成形した容器の厚み、内部ヘイズ、引張
弾性率について表2にまとめた。
った際に、賦型され、かつ、透明性を失わない温度範囲
を示している。なお、内部ヘイズおよび引張弾性率につ
いては、前述の方法と同様にして測定を行った。
実施例1から実施例3で得られたポリプロピレンシート
11は、エンドレスベルト17を用いて急冷する方法に
より行っているため、平均球晶半径が0.1μm以上4
μm以下、球晶密度が600個/mm2以下、表面光沢
性が90%以上、個体密度が0.895g/cm3以
下、厚さ50μm以上の低結晶性ポリプロピレンシート
11となっていることがわかる。
前述の式により、内部ヘイズを算出すると4.7%とな
るが、実施例1から実施例3で得られたポリプロピレン
シート11が内部ヘイズ1.7〜2.1%であり、全て
4.7%以下であることがわかる。また、各実施例のシ
ート11は融解エンタルピーΔHが80〜83.4J/
kgと比較的小さく、図2からわかるように融解点より
も低温側に発熱ピークを有するものとなっている。した
がって、熱成形性できる温度が低く(表2参照)、か
つ、その温度範囲が広いため、熱成形しやすいポリプロ
ピレンシート11であることがわかる。
実施例のポリプロピレンシート11を熱成形して得られ
る熱成形品は、内部ヘイズが1.3〜1.8%と透明性
に優れ、かつ、引張弾性率が1800〜2050MPa
と1700MPa以上であることがわかる。
してエアナイフ法により製膜してポリプロピレンシート
を得ている。したがって、得られたシートはある程度の
透明性を有しているものの、表面光沢度が低く、かつ、
造核剤による球晶密度の増加効果により結晶化度が向上
し、融解エンタルピーが高く、熱成形性が悪いことがわ
かる。
剤を添加しないで製膜しているから、透明性、表面光沢
度が低くなっていることがわかる。比較例3では、実施
例1と同様の方法で製膜を行っているが、原料樹脂に造
核剤を添加しているから、球晶密度が増加して結晶化度
が高くなり、熱成形性が悪くなっていることがわかる。
おり、Tダイからのメルトウェブが透明な状態になるま
で応力を緩和しているため、熱成形性、透明性、光沢も
比較的よいものが得られているが、前記各実施例ほどで
はないことがわかる。また、水冷法により得られたシー
トはフラットにならないので、アニール処理を施してフ
ラット性を高めているが、この処理により融解エンタル
ピーが増加して熱成形性が悪くなっていることがわか
る。
ートは、平均球晶半径が0.1μm以上4μm以下、平
均球晶数600個/mm2以下、固体密度が0.895
g/cm3以下という特性を有する造核剤非添加のポリ
プロピレンシートである。したがって、加熱軟化点温度
が低く、低温熱成形可能、かつ、内部ヘイズ(透明性)
の良好なシートを得ることができる。また、特殊な成形
装置を使用する必要もないから、製造コストの低減も図
ることができる。さらに、このような低結晶性ポリプロ
ピレンシートを熱成形することで、透明性、光沢の高い
熱成形品を得ることができる。
未満と比較的小さく、かつ、低温側で1J/g以上の発
熱が見られるから、シートを軟化させるのに外部から供
給しなければならない熱量が少なく、かつ、軟化時の加
熱温度が比較的低いので、低温熱成形が一層容易にな
る。さらに、90%以上の光沢度を有する低結晶性ポリ
プロピレンシートであるから、これを熱成形して得られ
る熱成形品の光沢度も高くなり、熱成形品の製品として
の価値が高くなる。
レンシートの製造装置を示す概略図である。
差走査熱分析曲線を示す図である。
差走査熱分析曲線を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】平均球晶半径が0.1μm以上4μm以
下、シート断面の平均球晶数が600個/mm2以下、
個体密度が0.895g/cm3以下、示差走査熱分析
(DSC)曲線の最大吸熱ピークの融解エンタルピーΔ
Hが90J/g未満、少なくとも片面の光沢が90%以
上、かつ、 前記最大吸熱ピークの低温側に1J/g以上の発熱ピー
クを有し、厚さ50μm以上であることを特徴とする低
結晶性ポリプロピレンシート。 - 【請求項2】請求項1に記載の低結晶性ポリプロピレン
シートにおいて、当該低結晶性ポリプロピレンシートの
厚さをtmmとした場合に、前記低結晶性ポリプロピレ
ンシートの内部ヘイズは、 (330t2−150t+20)%以下であることを特
徴とする低結晶性ポリプロピレンシート。 - 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の低結晶性
ポリプロピレンシートにおいて、 当該低結晶性ポリプロピレンシートの引張弾性率は、1
500MPa以下であることを特徴とする低結晶性ポリ
プロピレンシート。 - 【請求項4】請求項1から請求項3のいずれかに記載の
低結晶性ポリプロピレンシートにおいて、 当該低結晶性ポリプロピレンシートの原料は、ホモポリ
プロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプ
ロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいず
れかから選択されたものであることを特徴とする低結晶
性ポリプロピレンシート。 - 【請求項5】請求項4に記載の低結晶性ポリプロピレン
シートにおいて、 前記原料は、石油樹脂および/またはテルペン樹脂を含
むことを特徴とする低結晶性ポリプロピレンシート。
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