JP2001213186A - カップリング及びこれを用いたデファレンシャル装置 - Google Patents

カップリング及びこれを用いたデファレンシャル装置

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JP2001213186A
JP2001213186A JP2000027886A JP2000027886A JP2001213186A JP 2001213186 A JP2001213186 A JP 2001213186A JP 2000027886 A JP2000027886 A JP 2000027886A JP 2000027886 A JP2000027886 A JP 2000027886A JP 2001213186 A JP2001213186 A JP 2001213186A
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Japan
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differential
coupling
torque
clutch
torque transmission
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JP2000027886A
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English (en)
Inventor
Masaaki Fushiki
正明 伏木
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部操作によって連結を解除する。 【解決手段】 トルク伝達部材3,5の間に配置された
クラッチ7と、部材3,5の間に生じた差動回転を受け
て作動する差動回転数感応型連結装置9と、装置9が作
動すると、その出力を受けてクラッチ7を連結させる押
圧手段11とを備え、装置9の出力を外部から調整する
ことによって、少なくとも差動回転が生じたときにクラ
ッチ7の連結を解除するトルク伝達特性制御手段15を
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カップリング
と、これを用いたデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】実開平5−12767号公報に図6のよ
うな駆動力伝達装置401が記載されている。
【0003】この駆動力伝達装置401は4輪駆動車の
後輪側動力伝達系に配置されている。この車両は前輪駆
動ベースであり、下記のように、駆動力伝達装置401
は前後輪間に差動回転が生じたとき後輪に駆動力を伝達
する。
【0004】駆動力伝達装置401は、エンジン側のプ
ロペラシャフトに連結されたアウターケース403、ア
ウターケース403に固定されたエンドカバー405、
後輪側のプロペラシャフトに連結されたインナーシャフ
ト407、アウターケース403とインナーシャフト4
07の間に配置された多板クラッチ409、多板クラッ
チ409を押圧する押圧力発生手段411、その押圧力
を制御する押圧力制御手段413、コントローラ41
5、制御回路417などから構成されている。
【0005】押圧力発生手段411は、多板クラッチ4
09を押圧するピストン419、ピストン419とエン
ドカバー405の間に形成された流体室421、流体室
421の中でインナーシャフト407に連結されたロー
タ423、流体室421に封入されたシリコンオイル
(高粘性流体)などから構成されている。
【0006】ロータ423には高粘性流体を撹拌するベ
ーン425が形成されている。
【0007】車両の発進時や加速時、悪路走行中、ある
いは、車輪が空転するスタック時のように、前後輪間に
差動回転が発生する条件下では、ロータ423が回転し
てベーン425が高粘性流体を撹拌し、流体室421に
圧力が発生する。この圧力によってピストン419が移
動し、多板クラッチ409が押圧され締結する。
【0008】多板クラッチ409が締結されると、エン
ジンの駆動力が後輪側に伝達され、発進性、加速性、悪
路走破性、スタックからの脱出性などが向上する。
【0009】多板クラッチ409の押圧力(流体室42
1の圧力)は、差動回転数が上昇する程強くなり、後輪
側に大きな駆動力が伝達され、前記の各向上効果が高く
なる。
【0010】また、前後輪間に差動回転が発生しない
と、多板クラッチ409が締結されないから、後輪側は
連れ回り状態になり、エンジンの燃費低下が防止され
る。
【0011】押圧力制御手段413は、流体室421に
接して配置されたプランジャ427、圧縮スプリング4
29、ソレノイド431などから構成されている。回転
側のソレノイド431はスリップリングを介して静止側
の制御回路417から車載バッテリに接続されている。
【0012】コントローラ415は制御回路417を介
してソレノイド431に励磁電流を送り、プランジャ4
27を図6の右方に吸引させる。プランジャ427が吸
引されると、流体室421の容積が大きくなってロータ
423の回転で発生する圧力が低下し、駆動力伝達装置
401(多板クラッチ409)から後輪側に送られる駆
動力が小さくなる。
【0013】ソレノイド431の励磁電流を調整してプ
ランジャ427の位置を変えると、流体室421の圧力
変化に伴って、後輪側に送られる駆動力が変化する。
【0014】ソレノイド431の励磁を停止すると、圧
縮スプリング429によってプランジャ427が元の位
置に戻り、流体室421の容積が最小になってロータ4
23の回転による圧力が高くなり、後輪側に送られる駆
動力が最も大きくなる。
【0015】このように、駆動力伝達装置401は押圧
力制御手段413によって伝達トルク特性を調整するこ
とが可能である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の駆
動力伝達装置401では、流体室421の容積に関係な
く、差動回転が生じると多板クラッチ409が締結され
るてしまうため、トルク伝達を遮断することは不可能で
あり、必要に応じて前輪と後輪とを完全に切り離すこと
ができない。
【0017】これは、駆動力伝達装置401によって前
輪と後輪の相対回転が常に拘束されている状態であるか
ら、例えば、制動時にA.B.S(アンチロック・ブレ
ーキ・システム)との干渉し、A.B.Sの性能に影響
を与えてしまう恐れがある。
【0018】また、4輪駆動車の中には前輪と後輪の径
が異なったものがあり、このような車両では、前後輪の
径の差によって走行抵抗が発生し、エンジンの燃費が低
下する。この走行抵抗は車速が上昇する程大きくなり、
燃費低下もこれに準じてしまう。
【0019】そこで、この発明は、外部操作によって連
結を解除することができるカップリングと、これを用い
たデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1のカップリング
は、一対のトルク伝達部材の間に配置されたクラッチ
と、両トルク伝達部材の間に生じた差動回転を受けて作
動する差動回転数感応型の連結装置と、この差動回転数
感応型連結装置が作動すると、その出力を受けて作動
し、クラッチを連結させる押圧手段とを備え、前記差動
回転数感応型連結装置の出力を外部から調整することに
よってクラッチのトルク伝達特性を制御可能であり、少
なくとも差動回転が生じたときに伝達トルクを切断する
ことができるトルク伝達特性制御手段を設けたことを特
徴としている。
【0021】両トルク伝達部材の間に差動回転が生じる
と、差動回転数感応型連結装置の出力を受けて押圧手段
が作動し、クラッチ(カップリング)が連結されて、両
トルク伝達部材間のトルク伝達が可能になると共に、ク
ラッチの連結力に応じた強さで両トルク伝達部材間の相
対回転が拘束される。
【0022】差動回転数感応型連結装置の特性によっ
て、押圧手段によるクラッチの押圧力は両トルク伝達部
材間の差動回転数が上昇する程強くなるから、カップリ
ングの伝達トルクは、差動回転数の上昇に伴って大きく
なり、差動回転数の低下に伴って小さくなる。
【0023】両トルク伝達部材が差動回転を停止する
と、差動回転数感応型連結装置も作動を停止し、押圧手
段によるクラッチの押圧力が消失してクラッチが開放さ
れ、カップリングの連結が解除される。
【0024】これに加えて、請求項1のカップリング
は、外部から操作できるトルク伝達特性制御手段によ
り、少なくとも差動回転が生じたときに連結を解除する
ことが可能であり、トルク伝達を遮断し、回転拘束を停
止することができる。
【0025】従って、連結を解除できない従来例と異な
り、制動時に連結を解除すれば、A.B.Sとの干渉が
防止され、A.B.Sの性能を充分に発揮させることが
できる。
【0026】また、このカップリングを、例えば、前輪
と後輪の径が異なった4輪駆動車の前後輪間の動力伝達
系に配置した場合でも、カップリングによって前後輪間
の連結を解除し、前後輪間の回転拘束を停止すれば、車
輪径の差による走行抵抗が消失し、高速で走行しても、
エンジンの燃費低下が防止される。
【0027】また、トルク伝達特性制御手段によって、
上記のような差動回転数感応型のトルク伝達特性を任意
に調整可能であり、用途(例えば、異なった車種)に応
じてトルク伝達特性を調整すれば、1種類のカップリン
グを異なった用途に広く使用することが可能であり、装
置全体をそれだけ低コストに構成できる。
【0028】また、連結を解除できるから、駆動車軸と
車輪との断続を行うハブクラッチと併用し、これらを連
動して連結解除すれば、カップリングとハブクラッチ間
の動力伝達系が、エンジンの回転と車輪による連れ回り
の両方から遮断されて回転が停止し、騒音、振動、摩耗
などが大きく軽減されると共に、エンジンの燃費が向上
する。
【0029】ここで、本発明のカップリングの作用を、
前輪駆動ベースの4輪駆動車において、トランスファか
らリヤデフ(エンジンの駆動力を左右の後輪に配分する
デファレンシャル装置)までの後輪側動力伝達系に配置
した場合を例に説明する。
【0030】車両の、発進時、加速時、悪路走行中、ス
タック時などのように前後輪間に差動回転が発生する状
態では、トルク伝達特性制御手段によってカップリング
を連結すれば、後輪側に駆動力が伝達され、発進性、加
速性、悪路走破性などが向上し、あるいは、スタック脱
出性を高めることができる。
【0031】カップリングを介して後輪に伝達されるト
ルクは、差動回転数が上昇する程大きくなり、これらの
向上効果が大きくなる。
【0032】また、前後輪間に差動回転が発生しない状
態ではカップリング(クラッチ)は実質的に連結が解除
され、トルク伝達を行わない。
【0033】また、トルク伝達特性制御手段によってカ
ップリングの連結を解除すれば、後輪側は連れ回り状態
になり、車両は実質的に前輪駆動状態になって、エンジ
ンの燃費が向上する。
【0034】また、トルク伝達特性制御手段によるトル
ク伝達特性調整機能によって、例えば、車速が速くなる
程カップリングの伝達トルクが小さくなるように構成す
ると、高速走行域では後輪の駆動力が小さくなって燃費
がさらに向上すると共に、発進時、加速時、悪路走行
中、スタック時などのような低速走行域では後輪の駆動
力が大きくなり、発進性、加速性、悪路走破性、スタッ
クの脱出性などの向上効果がさらに大きくなる。
【0035】また、中速走行時は、カップリングによっ
て前後輪間の差動回転が適度に許容されるから、車両の
旋回性が向上すると共に、旋回走行中の操縦性や安定性
などが向上する。
【0036】また、上記のように、制動時に前後輪間の
連結を解除すれば、A.B.Sとの干渉が防止され、
A.B.Sの性能を充分に発揮することができる。
【0037】また、前後輪に異径の車輪を用いても、カ
ップリングによって前後輪の連結を解除して走行すれ
ば、燃費の低下が防止される。
【0038】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のカップリングであって、差動回転数感応型連結装置
が、ポンプケーシングと、ピストンと、差動回転に伴っ
てピストンを駆動するカム機構とからなるポンプである
と共に、ポンプケーシングまたはカム機構の一側部材が
回転自在に配置されており、押圧手段が、このポンプの
吐出圧を受けてクラッチを押圧するアクチュエータであ
り、トルク伝達特性制御手段が、ポンプケーシングまた
はカム機構の一側部材をトルク伝達部材に吸引して摩擦
抵抗を発生させる電磁石であり、この吸引を停止する
と、これらの回転が自由になってトルク伝達が遮断さ
れ、吸引力の大きさを変えると、摩擦抵抗変化によって
トルク伝達特性が変わることを特徴としている。
【0039】ポンプケーシングを電磁石で吸引する場合
を例にして説明すると、ポンプケーシングが吸引される
と、一側トルク伝達部材との間で発生する摩擦によって
ポンプケーシングの自由回転が制限される。この状態
で、トルク伝達部材間に差動回転が生じると、カム機構
が作動してポンプのピストンを駆動し、ポンプの吐出圧
を受けたアクチュエータによってクラッチが押圧され、
カップリングが連結される。
【0040】カップリングが連結されると、両トルク伝
達部材間でトルク伝達が可能になると共に、クラッチの
連結力に応じた強さで両トルク伝達部材間の相対回転が
拘束される。
【0041】このとき、電磁石の励磁電流を調節する
と、摩擦の大きさが変わり、ポンプケーシングの回転拘
束力が変化する。
【0042】この回転拘束力を大きくすると、ポンプケ
ーシングの滑り回転が拘束されて、ポンプから逃げる差
動トルクが小さく(ポンプに掛かる差動トルクが大き
く)なり、カップリングの伝達トルクが大きくなる。ま
た、回転拘束力を小さくすると、ポンプから逃げる差動
トルクが大きくなって、カップリングの伝達トルクが小
さくなる。
【0043】こうして、カップリングのトルク伝達特性
を任意に調整することが可能になる。
【0044】また、電磁石の励磁を停止すると、ポンプ
ケーシングが自由回転できる状態になり、全ての差動ト
ルクがポンプケーシングから逃げてポンプが停止し、カ
ップリングの連結が解除される。
【0045】こうして、請求項2のカップリングは、請
求項1の構成と同等の作用・効果が得られる。
【0046】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
のカップリングであって、差動回転数感応型連結装置
が、ポンプケーシングと、ピストンと、差動回転に伴っ
てピストンを駆動するカム機構とからなるポンプである
と共に、ポンプケーシングまたはカム機構の一側部材が
回転自在に配置されており、押圧手段が、このポンプの
吐出圧を受けてクラッチを押圧するアクチュエータであ
り、トルク伝達特性制御手段が、ポンプケーシングまた
はカム機構の一側部材をトルク伝達部材に固定する噛み
合いクラッチであることを特徴としている。
【0047】噛み合いクラッチが、例えば、ポンプケー
シングをトルク伝達部材に固定すると、ポンプケーシン
グは自由回転が不能になる。この状態で、トルク伝達部
材間に差動回転が生じると、ポンプの吐出圧を受けて作
動するアクチュエータによってクラッチが押圧され、カ
ップリングが連結される。
【0048】また、噛み合いクラッチの噛み合いを解除
すると、トルク伝達部材間の差動トルクを受けてもポン
プケーシングが自由回転し、カップリングの連結が解除
される。
【0049】こうして、請求項3のカップリングは、伝
達トルクの調整機能を除いて、請求項1の構成と同等の
作用・効果が得られる。
【0050】これに加えて、この構成では、ポンプケー
シングや一側部材の固定に、これらの回転を許容しない
噛み合いクラッチを用いるから、カップリングの伝達ト
ルク容量(回転拘束力)がそれだけ大きくなり、さらに
大きい伝達トルクを扱う範囲にまでカップリングの用途
を広げることができる。
【0051】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
のカップリングであって、差動回転数感応型連結装置
が、回転自在に配置された一対の相対回転部材と、これ
らの間に設けられた圧力室とを有し、圧力室に封入され
た高粘性流体の剪断抵抗によってトルクを伝達するもの
であり、押圧手段が、この連結装置を介して受ける両ト
ルク伝達部材間の差動トルクに応じたカムスラスト力で
クラッチを押圧し連結させるカム機構であり、トルク伝
達特性制御手段が、一側の相対回転部材をトルク伝達部
材に吸引して摩擦抵抗を発生させる電磁石であり、この
吸引を停止すると、差動回転数感応型連結装置の回転が
自由になってトルク伝達が遮断され、吸引力の大きさを
変えると、摩擦抵抗変化によってトルク伝達特性が変わ
ることを特徴としている。
【0052】差動回転数感応型連結装置の一側相対回転
部材は、電磁石によって吸引されると、一側トルク伝達
部材との間で生じる摩擦クラッチ機能によって自由回転
が制限される。この状態で、トルク伝達部材間に差動回
転が生じると、差動回転数感応型連結装置から受ける差
動トルクによってカム機構が作動し、クラッチが押圧さ
れ、カップリングが連結される。
【0053】カップリングが連結されると、両トルク伝
達部材間でトルク伝達が可能になり、クラッチの連結力
に応じた強さで両トルク伝達部材の相対回転が拘束され
る。
【0054】また、電磁石の励磁電流を調節すると、摩
擦クラッチ機能による一側相対回転部材の回転拘束力が
変化する。
【0055】この回転拘束力を大きくすると、一側相対
回転部材の滑り回転が拘束されて、差動回転数感応型連
結装置から逃げる差動トルクが小さく(差動回転数感応
型連結装置に掛かる差動トルクが大きく)なり、カップ
リングの伝達トルク(回転拘束力)が大きくなる。ま
た、回転拘束力を小さくすると、差動回転数感応型連結
装置から逃げる差動トルクが大きくなって、カップリン
グの伝達トルクが小さくなる。
【0056】こうして、カップリングのトルク伝達特性
を任意に調整することができる。
【0057】また、電磁石の励磁を停止すると、一側相
対回転部材が自由回転できる状態になり、全ての差動ト
ルクが差動回転数感応型連結装置から逃げて作動が停止
し、カップリングの連結が解除される。
【0058】こうして、請求項4のカップリングは、請
求項1の構成と同等の作用・効果が得られる。
【0059】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
のカップリングであって、差動回転数感応型連結装置
が、回転自在に配置された一対の相対回転部材と、これ
らの間に設けられた圧力室とを有し、圧力室に封入され
た高粘性流体の剪断抵抗によってトルクを伝達するもの
であり、押圧手段が、この連結装置を介して受ける両ト
ルク伝達部材間の差動トルクに応じたカムスラスト力で
クラッチを押圧し連結させるカム機構であり、トルク伝
達特性制御手段が、一側の相対回転部材をトルク伝達部
材に固定する噛み合いクラッチであることを特徴として
いる。
【0060】差動回転数感応型連結装置の一側相対回転
部材は、噛み合いクラッチでトルク伝達部材に固定され
ると自由回転が不能になる。この状態で、トルク伝達部
材間に差動回転が生じると、上記のように、カップリン
グが連結される。
【0061】また、噛み合いクラッチの噛み合いを解除
すると、一側相対回転部材が自由回転し、カップリング
の連結が解除される。
【0062】こうして、請求項5のカップリングは、伝
達トルクの調整機能を除いて、請求項1の構成と同等の
作用・効果が得られる。
【0063】これに加えて、この構成では、一側の相対
回転部材の固定に、その回転を許容しない噛み合いクラ
ッチを用いるから、カップリングの伝達トルク容量(回
転拘束力)がそれだけ大きくなり、さらに大きい伝達ト
ルクを扱う範囲にまでカップリングの用途を広げること
ができる。
【0064】請求項6に記載のデファレンシャル装置
は、エンジンの駆動力によって回転するケ−ス状トルク
伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の回転を一対
の軸状トルク伝達部材を介して車輪側に配分する差動機
構と、トルク伝達部材の間に配置されたクラッチで差動
機構の差動を制限する請求項1〜5のいずれかに記載の
カップリングとを備えたことを特徴としている。
【0065】カップリングが連結状態のとき、差動機構
に差動回転が生じると、例えば、ケ−ス状トルク伝達部
材と軸状トルク伝達部材間の差動トルクによって差動回
転数感応型連結装置が作動しクラッチが連結され、その
摩擦抵抗(差動制限力)によって差動機構の差動が制限
される。
【0066】このとき、請求項1〜5のカップリングの
上記のような機能によって、差動制限力(トルク伝達特
性)を任意に制御することができるから、車両の走行
性、操縦性、安定性、加速性、スタック脱出性などが大
きく向上する。
【0067】また、カップリングの連結を解除すると、
車輪間の回転拘束力が消失してA.B.Sとの干渉が防
止されると共に、差動機構の差動が自由になってエンジ
ンの燃費が向上する。
【0068】
【発明の実施の形態】図1と図4,5によってカップリ
ング1(本発明の第1実施形態)の説明をする。
【0069】このカップリング1は請求項1,2の特徴
を備えている。図1はカップリング1を示しており、図
5はカップリング1を用いた4輪駆動車の動力系を示し
ている。左右の方向はこの車両の左右の方向であり、図
1の左方はこの車両の前方に相当する。また、符号のな
い部材等は図示されていない。
【0070】図5のように、この動力系は、横置きのエ
ンジン201とトランスミッション203、トランスフ
ァ205、フロントデフ207(エンジン201の駆動
力を左右の前輪に配分するデファレンシャル装置)、前
車軸209,211、左右の前輪213,215、後輪
側のプロペラシャフト217、カップリング1、リヤデ
フ219、後車軸221,223、左右の後輪225,
227などから構成されている。
【0071】カップリング1は後輪側の動力伝達系に配
置されており、下記のように、後輪225,227の連
結と切り離し及び伝達トルクの制御を行う。
【0072】エンジン201の駆動力は、トランスミッ
ション203の出力ギヤ229からリングギヤ231を
介してフロントデフ207のデフケ−ス233に伝達さ
れ、フロントデフ207から前車軸209,211を介
して左右の前輪213,215に配分され、さらに、デ
フケ−ス233とトランスファ205とプロペラシャフ
ト217とを介してカップリング1に伝達される。
【0073】カップリング1が連結されると、エンジン
201の駆動力は、リヤデフ219から後車軸221,
223を介して左右の後輪225,227に配分され、
車両は4輪駆動状態になる。
【0074】また、カップリング1の連結が解除される
と、リヤデフ219以下の後輪側が切り離されて車両は
前輪駆動状態になる。
【0075】図5のように、リヤデフ219はデフキャ
リヤ235に収容されている。このデフキャリヤ235
はケ−シング本体237とフロントケ−シング239と
をボルト241で連結して構成されている。
【0076】カップリング1はこのフロントケ−シング
239側に収容されている。
【0077】図1のように、カップリング1は、回転ケ
ース3(一側のトルク伝達部材)、中空のインナーシャ
フト5(他側のトルク伝達部材)、多板クラッチ7(ク
ラッチ)、プランジャポンプ9(差動回転数感応型連結
装置:ポンプ)、油圧アクチュエ−タ11(押圧手
段)、リタ−ンスプリング13、電磁石15(トルク伝
達特性制御手段)、コントローラなどから構成されてい
る。
【0078】回転ケース3は、ケーシング本体17と、
フランジ19から構成されており、フランジ19はケー
シング本体17の前部にボルト20で固定されている。
【0079】インナーシャフト5は後方から回転ケース
3に貫入しており、その前部外周には多板クラッチ7の
クラッチハブ21がスプライン連結されている。インナ
ーシャフト5は前部をクラッチハブ21とボ−ルベアリ
ング23とによってフランジ19に支承され、後部をボ
−ルベアリング25によってケーシング本体17の後壁
部27に支承されている。
【0080】ケーシング本体17とフランジ19との間
にはOリング29が配置されており、インナーシャフト
5と後壁部27との間には、断面がX字状のシールであ
るXリング31が配置されている。こうして、回転ケー
ス3とインナーシャフト5との間に密封された空間33
が形成されている。さらに、インナーシャフト5の中空
部はカバー35によって密封されており、空間33と連
通してその容量を増大する容量増大空間37が形成され
ている。
【0081】空間33と容量増大空間37には、フラン
ジ19に設けられたオイル注入孔39から所定量のオイ
ルが充填されており、空間33と容量増大空間37は充
填されたオイルと空気とで満たされている。オイルを注
入した後この注入孔39はオイルプラグ41で密封され
る。
【0082】図5のように、継ぎ手243側の連結軸2
45はフロントカバ−239からデフキャリヤ235に
貫入しており、この連結軸245のフランジ部247
は、スタッドボルト43(図1)によって回転ケ−ス3
のフランジ部19に連結されている。
【0083】また、図1のように、インナ−シャフト5
にはフランジ部45が形成されており、このフランジ部
45はドライブピニオンシャフト249側のフランジ部
251が連結されている。ドライブピニオンシャフト2
49にはドライブピニオンギヤ253が形成されてお
り、ドライブピニオンギヤ253はリヤデフ219側の
リングギヤ255と噛み合ってリヤデフ219を回転駆
動する。
【0084】デフキャリヤ235にはリヤデフ219の
潤滑用オイルが封入されており、ドライブピニオンギヤ
253とリングギヤ255との噛み合い部及びこれらの
支持ベアリングや各部材の摺動部などを潤滑している。
【0085】多板クラッチ7は、軸方向に交互配置され
た複数枚のアウタープレート47とインナープレート4
9とからなり、各アウタープレート47はケーシング本
体17(回転ケ−ス3)の内周に設けられた噛み合い歯
51に移動自在に連結され、各インナープレート49は
クラッチハブ21の外周に設けられた噛み合い歯53に
移動自在に連結されている。
【0086】多板クラッチ7とフランジ19との間に
は、プレート55が配置されており、その厚さを変える
ことによって、インナープレート49とアウタープレー
ト47の隙間が最適値に調整されている。
【0087】プランジャポンプ9は、磁性材料のポンプ
ケーシング57と、径方向に形成された複数のシリンダ
59と、シリンダ59と同数のプランジャ61(ピスト
ン)と、インナーシャフト5の外周に凹凸状に設けられ
たカム溝63(カム機構)と、コイルスプリング65な
どから構成されている。
【0088】ポンプケーシング57はケーシング本体1
7の内周と摺動しながら回転自在に配置されており、シ
リンダ59はポンプケーシング57に周方向等間隔で形
成されている。プランジャ61はシリンダ59と往復動
自在に係合しており、カム溝63はプランジャ61と対
向している。コイルスプリング65はシリンダ59の内
部でプランジャ61をカム溝63に押圧している。
【0089】油圧アクチュエ−タ11は、シリンダ67
と、ピストン69とで構成されている。シリンダ67は
噛み合い71歯でケーシング本体17の噛み合い歯51
と噛み合って回転ケ−ス3と一体回転し、ピストン69
はシール73,75を介してシリンダ67と往復動自在
に係合している。
【0090】ピストン69は多板クラッチ7に対向して
おり、リタ−ンスプリング13は、シリンダ67に取り
付けられたスナップリング77に位置決めされたワッシ
ャ79とピストン69との間に配置され、ピストン69
を多板クラッチ7の連結解除側に付勢している。
【0091】インナーシャフト5の容量増大空間37は
注入されたオイルを収容するオイル溜まりになってお
り、インナーシャフト5にはこのオイル溜まりと連通す
るオイル流路81が設けられている。プランジャポンプ
9のポンプケーシング57にはオイルの吸入孔83が設
けられており、オイル流路81と吸入孔83はインナー
シャフト5の外周側に設けられたオイル流路85を介し
て連通している。
【0092】また、シリンダ59にはオイルの吐出孔8
7が設けられており、ケーシング本体17の内周には、
ポンプケーシング57(シリンダ59)が回転しても吐
出孔87と常に連通するように周溝89が形成されてい
る。
【0093】また、油圧アクチュエ−タ11のシリンダ
67には、オイルの流入孔91が形成されており、ケー
シング本体17にはこの流入孔91と周溝89とを連通
するオイル流路93が形成されている。
【0094】また、油圧アクチュエ−タ11のピストン
69には、オイルに混入している気泡を通過させるオリ
フィス95が設けられている。
【0095】電磁石15は、回転ケース3の後壁部27
とインナーシャフト5のフランジ部45との間に配置さ
れ、支持部材を介してデフキャリヤ235に固定されて
いる。
【0096】この後壁部27は、ステンレス鋼のような
非磁性材料のリング97によって外周側と内周側とに分
断されており、電磁石15の磁力は、リング97によっ
て短絡が防止され、ポンプケーシング57に集中する。
【0097】電磁石15のリ−ド線はグロメットを介し
てデフキャリヤ235から外部に引き出され、車載のバ
ッテリに接続されている。
【0098】コントロ−ラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、電磁石15の励磁、励磁電流の制御、励磁停止など
を行う。
【0099】電磁石15が励磁されると、磁力のル−プ
99が形成され、ポンプケーシング57が後壁部27
(回転ケース3)側に吸引され、これらの間の摩擦抵抗
によってポンプケーシング57を回転ケース3に連結す
る摩擦クラッチ機能が生じる。この摩擦クラッチ機能
は、その連結力に応じてポンプケーシング57の回転ケ
ース3に対する回転を拘束する。
【0100】コントローラは電磁石15の励磁電流を制
御して、摩擦クラッチ機能の連結力を調整する。
【0101】この摩擦クラッチ機能によってポンプケー
シング57の回転を拘束した状態で、前後輪間に差動回
転が発生すると、回転ケース3とインナーシャフト5が
相対回転し、カム溝63のカムスラスト力とコイルスプ
リング65の付勢力によって各プランジャ61が往復動
し、プランジャポンプ9が作動する。
【0102】プランジャポンプ9が作動すると、オイル
溜まり(容量増大空間37)のオイルがオイル流路8
1,85と吸入孔83とを介してシリンダ59に吸い込
まれ、吐出孔87から吐き出されたオイル(油圧:出
力)は周溝89からオイル流路93と流入孔91とを介
して油圧アクチュエ−タ11のシリンダ67に送られ
る。
【0103】油圧アクチュエ−タ11が作動すると、ピ
ストン69によって多板クラッチ7が押圧され、カップ
リング1が連結される。
【0104】図4の各グラフ301,303,305,
307,309は、カップリング1の差動回転数(△
N)と伝達トルク(T)のトルク伝達特性を示してい
る。
【0105】プランジャポンプ9の吐出圧は前後輪間の
差動回転数が上昇する程大きくなるから、カップリング
1による伝達トルク(T)は、各グラフ301,30
3,305,307,309のように、差動回転数(△
N)が上昇する程大きくなる。
【0106】ここで、上記の摩擦クラッチ機能によって
ポンプケーシング57の回転拘束力を調整すると、プラ
ンジャ61がカム溝63に係合していることによってイ
ンナーシャフト5と一体に回転するプランジャポンプ9
(ポンプケーシング57)と回転ケース3との相対回転
数が変化する。
【0107】この相対回転数が大きい程、ポンプケーシ
ング57の滑り回転が許容され、プランジャポンプ9か
ら逃げる差動トルクが大きくなって吐出圧が低下し、多
板クラッチ7の滑りによってカップリング1の連結力が
低下する。また、相対回転数が小さい程、ポンプケーシ
ング57の滑り回転が強く拘束され、カップリング1の
連結力が大きくなる。
【0108】図4の各グラフ301,303,305,
307,309はこの特性を示しており、ポンプケーシ
ング57の回転拘束力(電磁石15の吸引力)を弱くす
るに従って、各グラフの順に差動回転数(△N)に対す
るカップリング1の伝達トルク(T)が小さくなる。
【0109】また、電磁石15の励磁を停止すると、ポ
ンプケーシング57が自由回転できる状態になり、全て
の差動トルクがプランジャポンプ9から逃げて作動が停
止し、カップリング1の連結が解除される。
【0110】このように、カップリング1は、電磁石1
5によって外部からトルク伝達特性を任意に調整し、ま
た、断続操作することができる。
【0111】そこで、車両の発進時、加速時、悪路走行
中などに前輪213,215が空転し、あるいは、前輪
213,215がスタックし、前後輪間に差動回転が発
生したときは、カップリング1を連結すると、車両は四
輪駆動状態になり、後輪225,227にエンジン20
1の駆動力が送られて、発進性、加速性、悪路走破性な
どが向上し、また、スタックから脱出することができ
る。
【0112】前輪213,215の空転が大きいほど、
上記のように、カップリング1を介して後輪225,2
27に大きな駆動力が伝達され発進性、加速性、悪路走
破性、スタック脱出性などの向上効果が大きくなる。
【0113】また、前輪213,215の空転状況に応
じて、カップリング1のトルク伝達特性を各グラフ30
1,303,305,307,309のように調整すれ
ば、これらの向上効果をさらに大きくすることができ
る。
【0114】制動時は、カップリング1の連結を解除す
れば、前後輪間の回転拘束力が消失するから、A.B.
Sとの干渉が防止され、A.B.Sの性能を充分に発揮
することができる。
【0115】良路走行中のように、後輪225,227
に駆動力を送る必要がないときは、カップリング1の連
結を解除すれば、カップリング1以下の後輪225,2
27側が連れ回り状態になり、車両は実質的に前輪駆動
状態になって、エンジン201の燃費が向上する。
【0116】また、車両の旋回中に、カップリング1に
よって前後輪間の差動回転を適度に許容すれば、旋回性
が向上し、旋回走行中の操縦性や安定性などが向上す
る。
【0117】空間33と容量増大空間37に封入されて
いるオイルは、カップリング1の遠心力によって内部を
循環し、多板クラッチ7のアウタープレート47とイン
ナープレート49の摺動面、プランジャ61とカム溝6
3との接触部、ポンプケーシング57とケーシング本体
17との摺動面などに供給され、これらを潤滑・冷却す
る。
【0118】こうして、カップリング1が構成されてい
る。
【0119】上記のように、カップリング1は、電磁石
15によって外部からトルク伝達特性を任意に調整し、
また、断続操作することができる。
【0120】従って、連結を解除できない従来例と異な
り、制動時に連結を解除すれば、A.B.Sとの干渉が
防止され、A.B.Sが正常に作動する。
【0121】また、前輪213,215と後輪225,
227の径が異なっている場合は、特に、高速走行時に
カップリング1によって前後輪間の連結を解除すれば、
回転拘束力による走行抵抗が消失し、エンジン201の
燃費低下が防止される。
【0122】また、図4の各グラフのように、プランジ
ャポンプ9による差動回転数感応型のトルク伝達特性
を、電磁石15によって任意に調整できるから、用途
(例えば、異なった車種)に応じてトルク伝達特性を調
整すれば、カップリング1を異なった用途に広く使用す
ることが可能である。
【0123】従って、装置全体をそれだけ低コストに構
成できる。
【0124】なお、カップリング1は、図5の矢印27
1が示すように、トランスファ205とプロペラシャフ
ト217との間に配置してもよい。
【0125】この場合、カップリング1は、プロペラシ
ャフト217とリヤデフ219との間に配置された上記
実施形態の場合と同様に、後輪225,227の連結と
切り離し及び伝達される駆動力の制御を行う。
【0126】また、カップリング1は、矢印273,2
75が示すように、フロントデフ207と左右いずれか
の前輪213,215との間に配置してもよく、矢印2
77,279が示すように、リヤデフ219と左右いず
れかの後輪225,227との間に配置してもよい。
【0127】矢印273,275の箇所に配置した場合
は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動状態に
なり、カップリング1の連結力を調整すると前輪21
3,215に伝達される駆動力が制御され、連結を解除
するとフロントデフ207の差動回転が自由になり、前
輪213,215への駆動力伝達が停止されて、車両は
2輪駆動状態になる。
【0128】また、矢印277,279の箇所に配置し
た場合は、カップリング1を連結すると車両は4輪駆動
状態になり、カップリング1の連結力を調整すると後輪
225,227に伝達される駆動力が制御され、連結を
解除するとリヤデフ219の差動回転が自由になり、後
輪225,227への駆動力伝達が停止されて、車両は
2輪駆動状態になる。
【0129】なお、カップリング1を矢印277,27
9に配置した場合は、トランスファ205に駆動力断続
用のクラッチ(2−4切り換え機構)を設け、これをカ
ップリング1と連動して断続すれば、カップリング1に
よって車両が2輪駆動状態になったとき、プロペラシャ
フト217を静止状態に保つことが可能になり、騒音、
振動、摩耗などが大きく軽減されると共に、エンジン2
01の燃費が向上する。
【0130】さらに、カップリング1は、矢印281が
示すように、トランスファ205のギヤ機構と組み合わ
せて配置してもよく、この場合は、プロペラシャフト2
17とリヤデフ219との間に配置された上記実施形態
と同等の機能が得られる。
【0131】また、カップリング1を矢印271,28
1の個所に配置した場合は、後車軸221,223と後
輪225,227との間にハブクラッチ283,285
をそれぞれ配置し、カップリング1の連結が解除されて
いる間、これらの連結を解除すれば、カップリング1か
らハブクラッチ283,285までの動力伝達系が、エ
ンジン201の回転と後輪225,227による連れ回
りの両方から遮断され、回転が停止して騒音、振動、摩
耗などが大きく軽減されると共に、エンジン201の燃
費が向上する。
【0132】次に、図2と図4によってカップリング1
01(第2実施形態)の説明をする。
【0133】このカップリング101は請求項1,3の
特徴を備えており、図5の4輪駆動車のカップリング1
と同位置に配置される。以下、カップリング1と同機能
の部材には同一の符号を与えて引用し、これらの重複説
明は省く。
【0134】カップリング101は、回転ケース3、イ
ンナーシャフト5、多板クラッチ7、プランジャポンプ
9、油圧アクチュエ−タ11、リタ−ンスプリング1
3、ドッグクラッチ103(トルク伝達特性制御手段:
噛み合いクラッチ)、コントローラなどから構成されて
いる。
【0135】ドッグクラッチ103は、プランジャポン
プ9のポンプケーシング57に形成された噛み合い歯1
05と、クラッチ部材107に形成された噛み合い歯1
09とで構成されている。
【0136】クラッチ部材107は、Oリング111を
介して回転ケース3の後壁部27を貫通しており、アク
チュエータによって外部から移動操作される。
【0137】クラッチ部材107が前方に移動すると、
噛み合い歯105,109が噛み合ってドッグクラッチ
103が連結され、クラッチ部材107が後方に戻る
と、連結が解除される。
【0138】コントロ−ラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、このアクチュエータを介しドッグクラッチ103を
開閉操作する。
【0139】ドッグクラッチ103が噛み合うと、ポン
プケーシング57が回転ケース3側にロックされて相対
回転が不能になるから、前後輪間に生じた差動トルクの
全てがプランジャポンプ9に掛かる。
【0140】従って、カップリング101は、図4に破
線で示したグラフ311のように、グラフ301より伝
達トルク(T)の大きいトルク伝達特性が得られ、発進
性、加速性、悪路走破性、スタック脱出性などがさらに
大きく向上する。
【0141】また、ドッグクラッチ103の噛み合いが
解除されると、ポンプケーシング57が自由回転して差
動トルクがプランジャポンプ9に掛からなくなり、カッ
プリング101の連結が解除され、エンジン201の燃
費が向上し、制動時はA.B.Sとの干渉が防止され
る。
【0142】良路走行中のように、後輪225,227
に駆動力を送る必要がないときは、カップリング101
の連結を解除すれば、カップリング101以下の後輪2
25,227側が連れ回り状態になり、車両は実質的に
前輪駆動状態になって、エンジン201の燃費が向上す
る。
【0143】このように、カップリング101は、ポン
プケーシング57の回転拘束に、その回転を許容しない
ドッグクラッチ103を用いるから、グラフ311のよ
うに伝達トルク容量を大きくすることが可能になり、後
輪225,227にそれだけ大きなトルクを伝達できる
と共に、前後輪間で大きな回転拘束力が得られる。
【0144】次に、図3によってカップリング151
(第3実施形態)の説明をする。
【0145】このカップリング151は請求項1,2の
特徴を備えており、図5の4輪駆動車のカップリング1
と同位置に配置される。以下、カップリング1と同機能
の部材には同一の符号を与えて引用し、これらの重複説
明は省く。
【0146】カップリング151は、回転ケース3、イ
ンナーシャフト5、多板クラッチ7、プランジャポンプ
153(差動回転数感応型連結装置:ポンプ)、油圧ア
クチュエ−タ11、リタ−ンスプリング13、電磁石1
5、コントローラなどから構成されている。
【0147】プランジャポンプ153は、ポンプケーシ
ング155、軸方向に形成された複数のシリンダ15
7、シリンダ157と同数のプランジャ61、周方向に
形成された凹凸状のカム溝159(カム機構)が設けら
れたカムリング161(カム機構の一側部材)、コイル
スプリング65などから構成されている。
【0148】ポンプケーシング155はインナーシャフ
ト5に一体形成されており、各シリンダ157はポンプ
ケーシング155に周方向等間隔に設けられている。ま
た、プランジャ61は各シリンダ157と往復動自在に
係合しており、カム溝159はプランジャ61に対向し
ている。コイルスプリング65はシリンダ157の内部
でプランジャ61をカム溝159に押圧している。
【0149】各シリンダ157にはオイルの吸入孔と吐
出孔が形成されており、この吸入孔はオイル流路を介し
てオイル溜まりに連通し、吐出孔はオイル流路を介して
油圧アクチュエ−タ11のシリンダ67に連通してい
る。
【0150】また、カムリング161は磁性材料で作ら
れており、ケーシング本体17(回転ケース3)の後壁
部27と摺動しながら回転自在に配置されている。
【0151】電磁石15が励磁されると、磁力のル−プ
163が形成され、カムリング161が後壁部27(回
転ケース3)側に吸引され、カムリング161を回転ケ
ース3に連結する摩擦クラッチ機能が生じる。この摩擦
クラッチ機能は、その連結力に応じてカムリング161
の回転ケース3に対する回転を拘束する。
【0152】前輪213,215が空転したとき、この
摩擦クラッチ機能によってカムリング161の回転を拘
束すると、回転ケース3とインナーシャフト5の相対回
転に伴い、カム溝159のカムスラスト力とコイルスプ
リング65の付勢力によって各プランジャ61が往復動
し、プランジャポンプ153が作動する。
【0153】プランジャポンプ153が作動すると、油
圧アクチュエ−タ11によって多板クラッチ7が押圧さ
れ、カップリング151が連結される。
【0154】さらに、上記の摩擦クラッチ機能によって
カムリング161の回転拘束力を調整すると、上記のカ
ップリング1と同様に、図4の各グラフ301,30
3,305,307,309のようなトルク伝達特性が
得られる。
【0155】さらに、プランジャ61を磁性材料にすれ
ば、電磁石15の吸引力によってプランジャ61がカム
溝159に押し付けられ、その往復動が規制されるか
ら、上記各グラフのトルク伝達特性を、励磁電流を強め
る程伝達トルク(T)が大きくなる特性に調整すること
ができる。
【0156】また、電磁石15の励磁を停止すると、カ
ムリング161が自由回転してプランジャポンプ153
の作動が停止し、カップリング151の連結が解除され
る。
【0157】このように、カップリング151は、電磁
石15によって外部からトルク伝達特性を任意に調整
し、また、断続操作することができる。
【0158】このカップリング151は、プランジャ6
1が軸方向に往復動するように構成したことにより、プ
ランジャポンプ153に対する遠心力の影響から解放さ
れて、トルク伝達特性が安定する。
【0159】また、プランジャ61を磁力でカム溝15
9に押し付けるように構成すれば、トルク伝達特性をさ
らに広い範囲で調整することができる。
【0160】これに加えて、カップリング151は、上
記のカップリング1と同等の効果が得られる。
【0161】なお、請求項4の発明は、高粘性流体の剪
断抵抗によってトルクを伝達する差動回転数感応型連結
装置を用い、これを介して入力する差動トルクによって
クラッチを押圧するカム機構を押圧手段に用い、電磁石
によってトルク伝達特性を調整する構成であり、請求項
1の構成と同等の効果が得られる。
【0162】また、請求項5の発明は、請求項4と同等
の差動回転数感応型連結装置と押圧手段とを用い、噛み
合いクラッチによって断続操作を行う構成であり、請求
項3の構成と同等の効果が得られる。
【0163】また、請求項1の発明において、差動回転
数感応型連結装置は、各実施形態のようなプランジャポ
ンプ、あるいは、ピストンポンプに限らない。
【0164】例えば、べーンポンプなど他の形式のポン
プでもよく、また、差動回転によってブレードを流体室
の中で回転させ、生じた圧力によってクラッチを連結さ
せる差動回転数感応型連結装置などでもよい。
【0165】また、クラッチは、多板クラッチに限ら
ず、コーンクラッチのような他の形式の摩擦クラッチで
もよい。
【0166】
【発明の効果】請求項1のカップリングは、トルク伝達
特性制御手段によって外部から断続操作できる。
【0167】従って、制動時にA.B.Sとの干渉を防
止できる。
【0168】また、4輪駆動車で径の異なった前後輪間
に配置しても、高速走行時の燃費低下が防止される。
【0169】また、ハブクラッチと併用すれば、カップ
リングとハブクラッチ間で動力伝達系の回転が停止し、
騒音、振動、摩耗などが軽減され、燃費が向上する。
【0170】また、トルク伝達特性制御手段により、異
なった用途に応じてトルク伝達特性を調整可能であるか
ら、1種類のカップリングを異なった用途に広く使用す
ることが可能になり、装置をそれだけ低コストに構成で
きる。
【0171】請求項2のカップリングは、請求項1の構
成と同等の効果が得られる。
【0172】請求項3のカップリングは、伝達トルクの
調整機能を除いて、請求項1の構成と同等の効果が得ら
れると共に、噛み合いクラッチで断続を行うから、伝達
トルク容量がさらに大きくなる。
【0173】請求項4のカップリングは、請求項1の構
成と同等の効果が得られる。
【0174】請求項5のカップリングは、請求項3の構
成と同等の効果が得られる。
【0175】請求項6のデファレンシャル装置は、外部
操作によって差動制限力の調整と断続が可能であり、請
求項1〜5の構成と同等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のカップリングを示す断面図であ
る。
【図2】第2実施形態のカップリングを示す要部断面図
である。
【図3】第3実施形態のカップリングを示す要部断面図
である。
【図4】カップリングの差動回転数(△N)と伝達トル
ク(T)のトルク伝達特性を示すグラフである。
【図5】実施形態のカップリングが用いられた4輪駆動
車の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図6】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1,101,151 カップリング 3 回転ケ−ス(トルク伝達部材) 5 インナ−シャフト(トルク伝達部材) 7 多板クラッチ(クラッチ) 9,153 プランジャポンプ(差動回転数感応型連結
装置:ポンプ) 11 油圧アクチュエータ(押圧手段) 15 電磁石(トルク伝達特性制御手段) 57 ポンプケーシング 61 プランジャ(ピストン) 63,159 カム溝(カム機構) 103 ドッグクラッチ(トルク伝達特性制御手段:噛
み合いクラッチ) 161 カムリング(カム機構の一側部材)
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 1/45 Fターム(参考) 3D036 GA22 GB03 GB05 GD04 GD08 GG40 GH01 GH03 GH13 GJ17 3D042 AA00 AA07 AA08 AB17 CA12 CA14 CB04 3D043 AA05 AA07 AA08 AB17 EA02 EA22 EA32 EB03 EB06 EB07 EB12 EB13 EE07 EF18 3J057 AA01 BB01 BB04 GA01 GA03 GA12 GA17 GB32 GB36 GB40 HH01 JJ05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のトルク伝達部材の間に配置された
    クラッチと、両トルク伝達部材の間に生じた差動回転を
    受けて作動する差動回転数感応型の連結装置と、この差
    動回転数感応型連結装置が作動すると、その出力を受け
    て作動し、クラッチを連結させる押圧手段とを備え、前
    記差動回転数感応型連結装置の出力を外部から調整する
    ことによってクラッチのトルク伝達特性を制御可能であ
    り、少なくとも差動回転が生じたときに伝達トルクを切
    断することができるトルク伝達特性制御手段を設けたこ
    とを特徴とするカップリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の発明であって、差動回
    転数感応型連結装置が、ポンプケーシングと、ピストン
    と、差動回転に伴ってピストンを駆動するカム機構とか
    らなるポンプであると共に、ポンプケーシングまたはカ
    ム機構の一側部材が回転自在に配置されており、押圧手
    段が、このポンプの吐出圧を受けてクラッチを押圧する
    アクチュエータであり、トルク伝達特性制御手段が、ポ
    ンプケーシングまたはカム機構の一側部材をトルク伝達
    部材に吸引して摩擦抵抗を発生させる電磁石であり、こ
    の吸引を停止すると、これらの回転が自由になってトル
    ク伝達が遮断され、吸引力の大きさを変えると、摩擦抵
    抗変化によってトルク伝達特性が変わることを特徴とす
    るカップリング。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の発明であって、差動回
    転数感応型連結装置が、ポンプケーシングと、ピストン
    と、差動回転に伴ってピストンを駆動するカム機構とか
    らなるポンプであると共に、ポンプケーシングまたはカ
    ム機構の一側部材が回転自在に配置されており、押圧手
    段が、このポンプの吐出圧を受けてクラッチを押圧する
    アクチュエータであり、トルク伝達特性制御手段が、ポ
    ンプケーシングまたはカム機構の一側部材をトルク伝達
    部材に固定する噛み合いクラッチであることを特徴とす
    るカップリング。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の発明であって、差動回
    転数感応型連結装置が、回転自在に配置された一対の相
    対回転部材と、これらの間に設けられた圧力室とを有
    し、圧力室に封入された高粘性流体の剪断抵抗によって
    トルクを伝達するものであり、押圧手段が、この連結装
    置を介して受ける両トルク伝達部材間の差動トルクに応
    じたカムスラスト力でクラッチを押圧し連結させるカム
    機構であり、トルク伝達特性制御手段が、一側の相対回
    転部材をトルク伝達部材に吸引して摩擦抵抗を発生させ
    る電磁石であり、この吸引を停止すると、差動回転数感
    応型連結装置の回転が自由になってトルク伝達が遮断さ
    れ、吸引力の大きさを変えると、摩擦抵抗変化によって
    トルク伝達特性が変わることを特徴とするカップリン
    グ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の発明であって、差動回
    転数感応型連結装置が、回転自在に配置された一対の相
    対回転部材と、これらの間に設けられた圧力室とを有
    し、圧力室に封入された高粘性流体の剪断抵抗によって
    トルクを伝達するものであり、押圧手段が、この連結装
    置を介して受ける両トルク伝達部材間の差動トルクに応
    じたカムスラスト力でクラッチを押圧し連結させるカム
    機構であり、トルク伝達特性制御手段が、一側の相対回
    転部材をトルク伝達部材に固定する噛み合いクラッチで
    あることを特徴とするカップリング。
  6. 【請求項6】 エンジンの駆動力によって回転するケ−
    ス状トルク伝達部材と、このケ−ス状トルク伝達部材の
    回転を一対の軸状トルク伝達部材を介して車輪側に配分
    する差動機構と、トルク伝達部材の間に配置されたクラ
    ッチで差動機構の差動を制限する請求項1〜5のいずれ
    かに記載のカップリングとを備えたことを特徴とするデ
    ファレンシャル装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009073462A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Toyota Central R&D Labs Inc 運転状態判定装置及び運転支援装置
CN108343686A (zh) * 2017-01-22 2018-07-31 上海鸣志电器股份有限公司 一种线性离合器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009073462A (ja) * 2007-08-28 2009-04-09 Toyota Central R&D Labs Inc 運転状態判定装置及び運転支援装置
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