JP2001206742A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
びにガラスとの接着性などの合わせガラスに必要な基本
性能を損なうことなく、また成形性及び取扱性が十分で
あり、広い温度領域にわたり優れた遮音性能を発現し得
る合わせガラス用中間膜を得る。 【解決手段】 可塑化された複数枚のポリビニルアセタ
ール樹脂膜よりなる積層体からなる合わせガラス用中間
膜であって、少なくとも1層のポリビニルアセタール樹
脂膜が、平均重合度2000〜3000のポリビニルア
セタール樹脂(A)と、平均重合度が300〜600で
あり、かつポリビニルアセタール樹脂(A)との平均重
合度の差が1500以上であるポリビニルアセタール樹
脂(B)とを含み、ポリビニルアセタール樹脂(B)が
ポリビニルアセタール樹脂(A)100重量部に対し、
3〜8重量部の割合で混合されていることを特徴とする
合わせガラス用中間膜。
Description
物の窓ガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関
し、より詳細には、優れた遮音性能を発揮する合わせガ
ラス用中間膜、該合わせガラス用中間膜を用いた合わせ
ガラス及びその製造方法に関する。
脂膜をサンドイッチした構造を有する。破損時に破片が
飛散せず、安全性に優れているため、合わせガラスは、
例えば自動車用などの交通車両の窓板ガラスや建築物の
窓板ガラスに広く用いられている。
サンドイッチされる樹脂膜は、中間膜と称されている。
この中間膜を構成する材料としては、可塑剤の添加によ
り可塑化されたポリビニルブチラール樹脂膜が用いられ
ている。
は、ガラスとの接着性に優れており、引張強度が高く、
高い透明性を備えている。従って、可塑化されたポリビ
ニルブチラール樹脂膜を中間膜として用いた合わせガラ
スは、車両用窓ガラスとして特に好適である。
じた透過損失量で示され、該透過損失量は、JIS A
4708では、図1に実線で示すように、500Hz以
上において遮音等級に応じてそれぞれ一定値で規定され
ている。ところで、ガラス板の遮音性能は、図1に破線
で示すように、2000Hzを中心とする周波数領域で
は、コインシデンス効果により著しく低下する。図1の
破線で示す特性の谷部がコインシデンス効果による遮音
性能の低下部分に相当し、2000Hzを中心とする周
波数領域では所定の遮音性能を有しないことがわかる。
ス板に音波が入射した時に、ガラス板の剛性と慣性によ
り、ガラス面上を横波が伝搬し、横波と入射音とが共鳴
し、その結果、音が透過する現象をいう。
面においては優れているものの、2000Hzを中心と
する周波数領域において、上記コインシデンス効果によ
る遮音性能の低下が避けられず、この点の改善が強く求
められていた。
ら、1000〜6000Hzの範囲では他の周波数領域
に比べて非常に高い感度を示すことが知られている。従
って、コインシデンス効果による上記遮音性能の落ち込
みを解消することは、防音性を高める上で極めて重要で
あることがわかる。
には、上記コインシデンス効果による遮音性能の低下を
緩和し、コインシデンス効果によって生じる透過損失の
極小部(以下、この極小部の透過損失をTL値と呼ぶ。
図1参照)の低下を防ぐ必要がある。
て、合わせガラスの質量を増大させる方法、ガラス
を複層化する方法、ガラス面積を細分化する方法、
ガラス板支持手段を改善する方法など、種々の方法が提
案されている。しかしながら、これらのいずれの方法に
おいても、十分に満足し得る効果を得ることができず、
かつ合わせガラスのコストが高くつくという問題があっ
た。
っており、例えば建築用窓ガラスでは、常温付近で優れ
た遮音性能が要求されている。すなわち、温度に対して
TL値をプロットとすることにより求められた、遮音性
能が最も優れている温度(遮音性能最大温度=TLMAX
温度)が常温付近であり、かつ遮音性能の最大値(遮音
性能最大値=TLMAX 値)自体が大きいことが要求され
ている。同様に自動車用窓ガラスにおいても遮音性能が
高いことが求められ、高速走行時の風切り音及びエンジ
ン部からの振動等に対する遮音性が強く求められてい
る。
と、これらの合わせガラスは、低温域から高温域までの
幅広い環境温度の変化にさらされる。すなわち、室温付
近のみならず、広い温度範囲にわたり、良好な遮音性能
を有することが要求される。
ビニルブチラール樹脂膜を用いた合わせガラスは、遮音
性能最大温度が室温より高く、常温付近では遮音性能が
十分でないという問題があった。
め得る中間膜の一例が、例えば、特開平2−22974
2号公報に開示されている。ここでは、ガラス転移温度
15℃以下の高分子膜、例えば塩化ビニル−エチレン−
グリシジルメタクリレート共重合体膜と、可塑化ポリビ
ニルアセタール膜との積層体からなる中間膜が記載され
ている。
遮音等級でTs−35等級を超える十分な遮音性は発揮
されず、遮音性を示す温度範囲が限定されており、広い
温度範囲で良好な遮音性能を発揮し得るものではなかっ
た。
は、ガラス転移温度が異なる2種以上の樹脂膜を金属板
に積層することにより、広い温度領域で制振性を発現す
る積層体が開示されている。この積層体では、広い温度
領域で制振性が改善される。しかしながら、特開昭51
−106190号公報は、上記制振性を有する複合金属
板を開示しているに留まり、合わせガラスの中間膜とし
て用いた場合の必要な遮音性や透明性などに関しては言
及されていない。また、この先行技術に記載の積層体
は、安全ガラスとして必要な高い衝撃エネルギー吸収性
やガラス破損時の飛散防止性などの要件を満たすもので
はない。
ネルギー吸収性、及びガラスとの接着性等の合わせガラ
ス用中間膜として必要な基本的性能を損なうことなく、
かつ中間膜の成形性及び取扱性も損なうことなく、コイ
ンシデンス効果の緩和によりTL値の低下を防ぎ、かつ
広い温度領域にわたり優れた遮音性能を長期間安定に発
揮し得る、合わせガラス用中間膜、該合わせガラス用中
間膜を用いた合わせガラス並びに該合わせガラスの製造
方法を提供することにある。
ガラスの遮音性能が、中間膜の動的粘弾特性により左右
され、特に貯蔵弾性率と損失弾性率との比である損失正
接に最も影響されることを見出し、該知見に基づき、中
間膜の損失正接を制御すれば、広い温度範囲にわたり合
わせガラスの遮音性能を高め得るのではないかと考え、
鋭意検討した。
膜を用いれば、損失係数が広い温度範囲にわたり、特に
低温域で良好となり、合わせガラスの遮音性能の高めら
れることが見出され、本発明をなすに至った。
間膜は、可塑化された複数枚のポリビニルアセタール樹
脂膜よりなる積層体からなる合わせガラス用中間膜であ
って、少なくとも1層のポリビニルアセタール樹脂膜
が、平均重合度2000〜3000のポリビニルアセタ
ール樹脂(A)と、平均重合度が300〜600であ
り、かつポリビニルアセタール樹脂(A)との平均重合
度の差が1500以上であるポリビニルアセタール樹脂
(B)とを含み、ポリビニルアセタール樹脂(B)がポ
リビニルアセタール樹脂(A)100重量部に対し、3
〜8重量%の割合で混合されていることを特徴とする。
の局面では、前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビニ
ルブチラール樹脂であり、可塑剤が、トリエチレングリ
コールジ2−エチルブチレート、トリエチレングリコー
ルジ2−エチルヘキサノエート及びトリエチレングリコ
ールジn−ヘプタノエートからなる群より選択した少な
くとも1種であることを特徴とする。
一対の板状透明体間に、本発明に係る合わせガラス用中
間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
られるポリビニルアセタール樹脂を得る方法としては、
例えば、ポリビニルアルコールを熱水に溶解し、得られ
たポリビニル水溶液を所定温度に保持した後、これにア
ルデヒドと触媒を加え、アセタール化反応を進行させ、
しかる後、反応液を所定温度に保持した後、中和、水洗
及び乾燥の諸工程を経て樹脂粉末を得る方法が挙げられ
る。
広い温度範囲にわたり良好な遮音性能を得るために、複
数のポリビニルアセタール樹脂膜からなる積層体のうち
少なくとも1層が、平均重合度2000〜3000のポ
リビニルアセタール樹脂(A)と、平均重合度が300
〜600のポリビニルアセタール樹脂(B)とを含む混
合体である。この平均重合度が2000〜3000の高
重合度のポリビニルアセタール樹脂(A)を用いること
により、合わせガラスの遮音性能が、広い温度範囲にわ
たり、特に低温域で良好となる。この平均重合度が20
00より低いと、良好な遮音性能を示す温度範囲が広く
ならず、3000より高いと、遮音性能は広い温度範囲
にわたり良好であるが、高温での流動性が高くなり過
ぎ、成形性が悪くなる。
度のポリビニルアセタール樹脂(A)は、高温での流動
性が比較的高く、場合によっては成形性に悪影響を与え
る可能性がある。そこで、本発明では、平均重合度が3
00〜600の低重合度のポリビニルアセタール樹脂
(B)を上記特定の割合で混合することにより、低重合
度のポリビニルアセタール樹脂(B)が可塑剤のように
作用し、高温域での高流動性を抑制することが可能とさ
れている。しかも、通常の低分子の可塑剤とは異なり、
ブリードアウト等の恐れもない。
(B)の重合度が300より低い場合には、PVAの合
成が非常に困難であり、確実に量産することができず、
逆に600より高いと、高重合度のポリビニルアセター
ル樹脂(A)に対する可塑化効果が発現しない。
(B)の可塑化効果を高めるために、本発明では、ポリ
ビニルアセタール樹脂(A)とポリビニルアセタール樹
脂(B)の平均重合度の差は1500以上とされてい
る。この重合度の差が1500より小さいと、低重合度
のポリビニルアセタール樹脂(B)による可塑化効果が
低くなる。
(B)は、高重合度のポリビニルアセタール樹脂(A)
100重量部に対し、3〜8重量部の割合で混合され
る。3重量%より混合割合が低いと、ポリビニルアセタ
ール樹脂(B)による可塑化効果が発現せず、8重量部
より高くなると、低重合度のポリビニルアセタール樹脂
(B)自身の働きが強くなり、高重合度のポリビニルア
セタール樹脂(A)により得られる広い温度範囲にわた
る良好な遮音性能が失われる。
ポリビニルアセタール樹脂(B)の混合方法は特に限定
されないが、以下の2つの方法を例示することができ
る。まず第1の方法では、平均重合度が異なるポリビニ
ルアルコールを所定量混合した後、アセタール化反応を
行い、混合ポリビニルアセタール樹脂を得る方法であ
る。第2の方法は、平均重合度が異なる各ポリビニルア
ルコールをそれぞれアセタール化反応させて得られた各
ポリビニルアセタール樹脂を、所定量混合する方法であ
る。
ール樹脂膜については、合わせガラス用中間膜として一
般的な平均重合度を有するポリビニルアセタール樹脂膜
を用いて構成することができ、中間膜としての良好な機
械的強度及び成形性を得るには、平均重合度が1000
〜2000の範囲のポリビニルアセタール樹脂膜が好適
に用いられる。
いられるアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブ
チルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデ
ヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアル
デヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒドなどが
挙げられる。
で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。中で
も、n−ブチルアルデヒドでアセタール化して得られる
ポリビニルブチラール樹脂が好ましく用いられる。
ニルブチラール樹脂を用いることにより、ポリビニルブ
チラール樹脂膜及び中間膜の透明性、耐侯性及びガラス
に対する接着性がより優れたものとなる。
タール樹脂膜は、可塑剤により可塑化されたものであ
る。可塑剤としては、特に限定されず、例えば一塩基酸
エステル系、多塩基酸エステル系などの有機エステル系
可塑剤;あるいは有機リン酸系、有機亜リン酸系などの
リン酸系可塑剤が好適に用いられる。
中では、トリエチレングリコール、トリプロピレングリ
コール、テトラエチレングリコール等のグリコールと、
酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタ
ン酸、2−エチルヘキシル酸等の有機酸との反応によっ
て得られたグリコール系エステル等が挙げられる。
ば、単素数4〜8の直鎖状もしくは分岐状アルコール
と、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸
との反応によって得られるエステル等が挙げられる。
キシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルホスフ
ェート等が挙げられる。上記各種可塑剤の中でも、例え
ば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレー
ト(3GH)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチ
ルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール
−ジ−n−ヘプタノエート(3G7)、トリエチレング
リコールジカプリレート、トリエチレングリコール−ジ
−n−オクトエート、テトラエチレングリコール−ジ−
2−エチルブチレート、テトラエチレングリコール−ジ
−n−ヘプタノエート、ジヘキシルアジペート、ジベン
ジルフタレート等が好適に用いられ、中でも特に好適に
用いられるのは、3GH、3GO、3G7等である。
し、2種類以上併用されても良い。上記ポリビニルアセ
タール樹脂に対する可塑剤の添加量は特に限定されない
が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し、可
塑剤30〜70重量部の範囲とすることが望ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の可塑化が不十分となること
があり、逆に70重量部を超えると、ポリビニルアセタ
ール樹脂膜及び中間膜の力学的特性やガラスに対する接
着力が不十分となることがある。
の組み合わせの中でも、ポリビニルアセタール樹脂とし
てポリビニルブチラール樹脂を用い、可塑剤として3G
H、3GO及び3G7からなる群より選択される少なく
とも1種を用いる組み合わせが、中間膜の力学特性及び
ガラスに対する接着性の上で特に好ましい。
記のように、ポリビニルアセタール樹脂(A)及びポリ
ビニルアセタール樹脂(B)との混合体からなる少なく
とも1層のポリビニルアセタール樹脂膜を含む積層体か
らなる。この場合、平均重合度が異なっているアセター
ル樹脂混合膜を「混合膜」と表現し、通常のポリビニル
アセタール樹脂膜を「通常膜」と表現した場合、次のよ
うな積層構造を採用することができる。
「混合膜」/「通常膜」、「通常膜」/「混合膜」/
「通常膜」/「混合膜」/「通常膜」、「混合膜」/
「通常膜」/「混合膜」などである。すなわち、通常膜
と混合膜の積層体については特に限定されない。また、
複数のポリビニルアセタール樹脂膜の積層数についても
特に限定されない。
は、通常の合わせガラス用中間膜としての厚みである
0.3〜1.6mmの範囲が好ましい。中間膜の厚みが
大きい程、遮音性能は高められるが、合わせガラスとし
て必要な耐貫通性を考慮すると、実用上、上記範囲とす
ることが好ましい。
も特に限定されず、例えば、上記各ポリビニルアセター
ル樹脂膜をそれぞれ別途成形した後、一対の板状透明体
間に積層する方法、各ポリビニルアセタール樹脂膜を多
層成形機を用いて一体成形して合わせガラス用中間膜を
得る方法など、任意である。
持して合わせガラスを製造する方法についても、通常の
合わせガラスの製造方法を適宜採用することができる。
例えば、合わせガラス用中間膜を両側からガラス板で挟
み込み、熱圧プレスにより合わせガラスを製造する方法
を用いることができる。
しては、板ガラスの他、ガラス以外の透明体からなるも
の、例えばポリカーボネート樹脂からなるものも用いる
ことができ、すなわち上述したポリビニルアセタール樹
脂膜よりも剛性が高い適宜の板状透明体を用いることが
できる。
び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。
なお、以下において、合わせガラスの遮音性能の測定
は、下記の方法により行った。
て、合わせガラスをダンピング試験用振動発生機(振研
社製加振機、品番:G21−005D)により加振し、
得られる振動特性を機械インピーダンスアンプ(リオン
社製、品番:XG−81)により増幅し、得られた振動
スペクトルをFFTアナライザー(横河ヒューレットパ
ッカー社製、商品名:FFTスペクトラムアナライザー
HP3582AA)にて解析した。このようにして得ら
れた損失係数と、ガラスとの共振周波数との比から透過
損失を算出した。この結果に基づき、周波数2000H
z近辺における極小の透過損失をTL値とした。なお、
測定は0〜+30℃の間、10℃間隔にて行った。ま
た、以下の実施例及び比較例では、合わせガラス用中間
膜の成形性を評価したが、評価方法は官能評価により行
った。
ニルアセタール樹脂膜X,Yを作製し、これらを用いて
合わせガラス用中間膜を作製した。
樹脂(以下、PVBと略す。平均重合度1700、ブチ
ラール化度65.9モル%、アセチル基量0.9モル
%)100重量部に、可塑剤としてトリエチレングリコ
ール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)を40重量
部添加した。これらの混合物をミキシングロールで十分
に混練し、混練物の所定量をプレス成形機で150℃で
30分間保持し、厚み0.2mmのポリビニルブチラー
ル樹脂膜Xを作製した。
800のポリビニルアルコール(以下、PVA)100
重量部に対し、平均重合度=500のPVAを5重量部
混合した。このPVA混合物から、ブチラール化度6
0.2モル%、アセチル基量11.9モル%のPVB樹
脂を合成した。得られたPVB樹脂100重量部に、可
塑剤として3GHを60重量部添加した。この混合物を
ミキシングロールで十分に混練し、混練物の所定量をプ
レス成形機で150℃で30分間保持し、厚み0.4m
mのポリビニルブチラール樹脂膜Yを作製した。
ように得られたポリビニルブチラール樹脂膜X,Yを、
図1に示すように積層構成がポリビニルブチラール樹脂
膜X/ポリビニルブチラール樹脂膜Y/ポリビニルブチ
ラール樹脂膜Xとなるように積層し、3層構造の合わせ
ガラス用中間膜1を得た。
ある正方形の厚み3mmのフロートガラス2枚で両側か
らサンドイッチし、この未圧着サンドイッチ体をゴムバ
ッグに入れ、2.67kPaの真空度で20分間脱気し
た。しかる後脱気状態のまま90℃のオーブンに移し、
30分間保持した。このようにして真空プレスにより、
仮接着されたサンドイッチ体を、次に、オートクレーブ
内で圧力1170kPa及び温度135℃で熱圧着し、
透明な合わせガラスを作製した。得られた合わせガラス
を用い、上述した評価方法に従って、遮音性能を評価し
た。合わせガラス用中間膜の構成及び評価結果を下記の
表1に示す。
700、ブチラール化度=68.9モル%、アセチル基
量=0.9モル%)100重量部に、可塑剤としてトリ
エチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート
(3GO)39重量部を添加した。混合物を用いたこと
を除いては、実施例1と同様にして、厚み0.2mmの
PVB樹脂膜Xを作製した。
度=2800PVAに平均重合度=500のPVAを実
施例1と同様に5重量%混合してなる混合物を用意し、
該混合物からブチラール化度64.0モル%及びアセチ
ル基量13.5モル%のPVB樹脂を合成した。得られ
たPVB樹脂100重量部に、可塑剤として3GOを6
0重量部添加した。これを実施例1と同様にして、厚み
0.4mmのPVB樹脂膜Yを作製した。得られたPV
B樹脂膜X,Yを用い、実施例1と同様にして3層構造
の中間膜を作製した後、合わせガラスを作製し、評価し
た。
樹脂膜Xを作製した。
400のPVA100重量部に、平均重合度=500の
PVAを3重量部混合し、得られたPVA混合物から、
ブチラール化度=64.0モル%、アセチル基量=1
3.5モル%のPVB樹脂を合成した。得られたPVB
樹脂100重量部に、可塑剤として3GOを60重量部
添加した。この混合物を用い、実施例1と同様にして、
厚み0.4mmのPVB樹脂膜Yを作製した。得られた
PVB樹脂膜X,Yを用い、実施例1と同様にして3層
構造の中間膜を作製した後、合わせガラスを作製し、評
価した。
A100重量部に対し、平均重合度=500PVAを3
重量部混合した。このPVA混合物から、ブチラール化
度=68.9モル%及びアセチル基量=0.9モル%の
PVB樹脂を合成した。
剤としてトリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタネー
ト(3G7)を40重量部添加した。この混合物を用
い、実施例1と同様にして厚み0.2mmのPVB樹脂
膜Xを作製した。
B樹脂膜作製において、可塑剤として3GOに代えて、
3G7を用いたことを除いては、実施例3のPVB樹脂
膜Yの製造方法と同様にして、厚み0.4mmのPVB
樹脂膜Yを得た。得られたPVB樹脂膜X,Yを用い、
実施例1と同様にして3層構造の中間膜を作製した後、
合わせガラスを作製し、評価した。
700、ブチラール化度=68.9モル%、アセチル基
量=0.9モル%)100重量部に、可塑剤として3G
Oを39重量部添加した。この混合物を用い、実施例1
のPVB樹脂膜Xの製造方法と同様にして、厚み0.2
mmのPVB樹脂膜Xを作製した。
均重合度=1700、ブチラール化度=64.0モル
%、アセチル基量=13.5モル%)100重量部に、
可塑剤として3GOを60重量部添加し、この混合物を
用い、実施例1と同様にして、厚み0.4mmのPVB
樹脂膜Yを作製した。得られたPVB樹脂膜X,Yを用
い、実施例1と同様にして3層構造の中間膜を作製した
後、合わせガラスを作製し、評価した。
樹脂膜Xを作製した。
均重合度=2800、ブチラール化度=64.0モル
%、アセチル基量=13.5モル%)100重量部に対
し、可塑剤として3GOを60重量部添加した。これを
用い、実施例1と同様にして、厚み0.4mmのPVB
樹脂膜Yを作製した。得られたPVB樹脂膜X,Yを用
い、実施例1と同様にして3層構造の中間膜を作製した
後、合わせガラスを作製し、評価した。
樹脂膜Xを作製した。
800のPVA樹脂100重量部に、平均重合度=17
00のPVAを5重量部混合し、得られたPVA混合物
から、ブチラール化度=60.2モル%、アセチル基量
=11.9モル%のPVB樹脂を合成した。
剤として3GHを60重量部添加した。この混合物を用
い、実施例1と同様にして、厚み0.4mmのPVB樹
脂膜Yを作製した。
例1と同様にして3層構造の中間膜を作製した後、合わ
せガラスを作製し、評価した。
せガラス用中間膜を用いた場合、−10℃の低温域で、
TL値が低下し、十分な遮音性能が得られなかった。ま
た、比較例2の合わせガラス用中間膜を用いた場合、や
はり−10℃でTL値が33dBと若干低く、かつ成形
性が十分でないためか、合わせガラス用中間膜の膜厚に
ばらつきが生じた。
ラス用中間膜では、成形性が良好であり、膜厚のばらつ
きも見られず、かつ−10℃〜+30℃の広い温度範囲
にわたり、TL値の低下が見られず、良好な遮音性能を
示すことが確かめられた。
は、複数枚の可塑化されたポリビニルアセタール樹脂膜
よりなり、少なくとも1層のポリビニルアセタール樹脂
膜が、平均重合度2000〜3000のポリビニルアセ
タール樹脂(A)と、平均重合度が300〜600の範
囲にあり、かつポリビニルアセタール樹脂(A)との平
均重合度の差が1500以上であるポリビニルアセター
ル樹脂(B)との混合体からなり、ポリビニルアセター
ル樹脂(B)は、ポリビニルアセタール樹脂(A)10
0重量部に対し、3〜8重量部の割合で混合されてい
る。従って、高重合度のポリビニルアセタール樹脂
(A)により広い温度範囲にわたり良好な遮音性能が発
揮され、しかも低重合度のポリビニルアセタール樹脂
(B)が上記特定の割合で混合されているので、成形性
が損なわれることもない。よって、可塑化されたポリビ
ニルアセタール樹脂膜からなり、機械的強度やガラスに
対する接着性などの合わせガラス用中間膜としての基本
的な性能を満たしつつ、広い温度範囲にわたり、特に低
温域において良好な遮音性能を発現する合わせガラス用
中間膜を提供することが可能となる。
リビニルブチラール樹脂を用いた場合には、中間膜の透
明性、耐候性、及びガラスに対する接着性をより優れた
ものとすることができ、かつ可塑剤としてトリエチレン
グリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレン
グリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート及びトリエ
チレングリコール−ジ−n−ヘプタネートからなる群か
ら選択した少なくとも1種を用いた場合には、中間膜の
力学特性及びガラスに対する接着性をより優れたものと
することができる。
一対の板状透明体間に本発明に係る合わせガラス用中間
膜を介在させて一体化させているため、本発明に係る合
わせガラス用中間膜の作用により、透明性、耐候性及び
衝撃エネルギー吸収性などの合わせガラスに必要な基本
性能を損なうことなく、コインシデンス効果が緩和され
てTL値の低下が防止され、従って広い温度域にわた
り、特に低温域において優れた遮音性能を発現し得る合
わせガラスを提供することが可能となる。
明するための略図的断面図。
Claims (3)
- 【請求項1】 可塑化された複数枚のポリビニルアセタ
ール樹脂膜よりなる積層体からなる合わせガラス用中間
膜であって、 少なくとも1層のポリビニルアセタール樹脂膜が、平均
重合度2000〜3000のポリビニルアセタール樹脂
(A)と、平均重合度が300〜600であり、かつポ
リビニルアセタール樹脂(A)との平均重合度の差が1
500以上であるポリビニルアセタール樹脂(B)とを
含み、ポリビニルアセタール樹脂(B)がポリビニルア
セタール樹脂(A)100重量部に対し、3〜8重量部
の割合で混合されていることを特徴とする合わせガラス
用中間膜。 - 【請求項2】 前記ポリビニルアセタール樹脂がポリビ
ニルブチラール樹脂であり、 可塑剤が、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブ
チレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘ
キサノエート及びトリエチレングリコール−ジ−n−ヘ
プタノエートからなる群より選択した少なくとも1種で
あることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用
中間膜。 - 【請求項3】 少なくとも1対の板状透明体間に請求項
1または2に記載の合わせガラス用中間膜が介在され
て、一体化されていることを特徴とする合わせガラス。
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