JP2001192698A - 洗浄液、洗浄液生成装置、及び器具洗浄装置 - Google Patents

洗浄液、洗浄液生成装置、及び器具洗浄装置

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JP2001192698A
JP2001192698A JP2000336084A JP2000336084A JP2001192698A JP 2001192698 A JP2001192698 A JP 2001192698A JP 2000336084 A JP2000336084 A JP 2000336084A JP 2000336084 A JP2000336084 A JP 2000336084A JP 2001192698 A JP2001192698 A JP 2001192698A
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cleaning
washing
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alkaline
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JP2000336084A
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Chikayoshi Endo
慎良 遠藤
Sonoko Takasaki
園子 高崎
Hiroyuki Usui
宏之 臼井
Takeshi Shimizu
剛 清水
Hirofumi Sato
裕文 佐藤
Masayuki Nagaishi
昌之 永石
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近年、一般家庭から排出される台所洗剤、洗
濯洗剤、石鹸等に含まれる多量の界面活性剤による環境
への負荷増大は深刻な社会問題の一つとなっている。本
発明では合成界面活性剤や合成添加物を一切使用しない
ことで環境に配慮し、なおかつ油脂系、蛋白質系などの
被洗浄物に対して優れた洗浄能力を発揮する、洗浄液、
洗浄液生成装置、および器具洗浄装置を提供することを
目的とする。 【解決手段】 炭酸水素ナトリウムを含有した水を電気
分解して得られたアルカリ性水においてpH値を10以上、
好ましくはpH12未満とすることによって洗浄液とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、界面活性剤を一切
使用しない洗浄液、該洗浄液を生成する洗浄液生成装
置、および臨床検査器具、医療器具、歯科器具、食器類
などの洗浄、殺菌を行う器具洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化をはじめとした地球規
模での環境汚染が進行し、その対策は急務を要する。中
でも、一般家庭から排出される台所洗剤、洗濯洗剤、石
鹸等に含まれる多量の界面活性剤による環境への負荷増
大は深刻な社会問題の一つである。界面活性剤が引き起
こす環境への影響は主に水環境に対する汚染である。代
表的なものに、海や湖の富栄養化現象が挙げられるが、
最近では内分泌錯乱化学物質いわゆる環境ホルモンの原
因の一つともいわれている。しかしながら洗剤は現代人
の生活から今や切り離すことができない必需品となって
いる。特に、台所用洗浄剤は食生活の衛生を守る上で必
需品として定着し、その市場規模は金額ベースで約600
億円強、量的には26万トンと市場は成熟している。
【0003】このように界面活性剤を含む洗浄液が大半
を占めているが、環境汚染を配慮し界面活性剤を含まな
い各種洗浄剤も提案されるようになってきた。代表的な
ものとしては、合成界面活性剤や合成添加物を一切使用
せずに、天然油脂を原料にした無添加石鹸などがある。
また本出願人は、特開平8-323307号において、水道水に
電解物質として食塩を加えたものを電気分解して得られ
たアルカリ性水を用いて器具類を洗浄し、次いで水道水
を電気分解して得られた酸性水を用いて器具類を殺菌す
る、器具洗浄装置を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術において、
天然油脂を原料にした無添加石鹸などは、石鹸かすが残
存するという欠点を有している。また水に溶けにくく扱
いにくいことから需要が広まっていない。
【0005】特開平8-323307号においては、合成界面活
性剤や合成添加物を一切使用せず、相応の洗浄力が得ら
れたが、洗剤の洗浄力が進歩し、洗浄力の優れた洗浄剤
に見劣りするようになってきた。特に、界面活性剤を使
用しない洗浄液を用いた場合、油脂系、蛋白質系などの
被洗浄物に対しての洗浄力に課題を残した。本発明は、
前記課題を解決することができる洗浄液、洗浄液生成装
置、および器具洗浄装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】本発明
の請求項1に係わる洗浄液は、炭酸水素ナトリウムを含
有した水を電気分解して得られたアルカリ性水であっ
て、pH10以上、好ましくはpH12未満であることを特徴と
する。
【0007】炭酸水素ナトリウムを含有した水を電気分
解して得られたアルカリ性水において、pHを10以上、好
ましくは12未満に設定することにより、アルカリ性水中
の炭酸イオンの存在比率が炭酸水素イオンに比べ増加す
る。炭酸水素ナトリウムが水に溶解すると、水中に炭酸
イオンが生成し、この炭酸イオンは炭酸水素イオンと平
衡状態となる。この平衡はアルカリ性下において炭酸イ
オン側に傾くことが知られている。従って、洗浄力を有
する炭酸イオンをより高濃度で得るためには、水中のpH
をアルカリ性側にコントロールする必要がある。
【0008】また、この炭酸イオンの洗浄力、並びに洗
浄促進力については、いまだ明確な知見は得られていな
いが、汚れの剥離効果、再付着防止効果、硬水軟化効
果、研磨効果などが考えられる。
【0009】本発明者は実験を繰り返すことにより、炭
酸水素ナトリウムを含有した水を電気分解して得られた
アルカリ性水であって、pH10以上の洗浄液は、炭酸水素
ナトリウムを含まない水道水を電気分解して得られたア
ルカリ性水、炭酸水素ナトリウムを含有しただけで電気
分解処理していない水、もしくは炭酸水素ナトリウムを
含有した水を電気分解して得られたpH10未満の水では十
分な洗浄ができなかった油脂系、蛋白質系の汚れに対し
ても十分な洗浄能力を有し、従来の界面活性剤を含む洗
浄液と同等もしくは同等以上の洗浄力を有することを見
出した。
【0010】また、界面活性剤を含む洗剤、及び洗浄液
が、環境、並びに身体に対して有害であったのに対し、
本発明における炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解し
て得られたアルカリ性水であって、pH10以上の洗浄液
は、食品添加物である重曹由来の水溶液であるため、環
境に対して全く無害であり、身体に対しても安全性が高
い。更に、本発明における炭酸水素ナトリウム水溶液を
電気分解して得られたアルカリ性水であって、pH10以上
の洗浄液は、その内含物がすべて無機物であるため、富
栄養化現象等の環境負荷がなく、有機物負荷がないた
め、水棲動物への影響が極めて小さい。
【0011】尚、更なる洗浄力を期待してpHの値を12
以上に設定することも可能ではあるが、身体、特に眼球
への危険性が増大する。また絹、羊毛などのタンパク質
成分をベースにした衣類へのダメージを考え合わせる
と、pHの値は12未満が望ましい。
【0012】本発明の請求項2に係る洗浄液生成装置
は、電解槽を具備し、炭酸水素ナトリウムを含有した水
を電気分解し、pH10以上、好ましくはpH12未満を示すア
ルカリ性水を生成することを特徴とする。
【0013】具備する電解槽により炭酸水素ナトリウム
を含有した水を電気分解することにより得られるpH10以
上を示すアルカリ性水は、従来の界面活性剤を含む洗浄
液と同等もしくは同等以上の洗浄力を有することを見出
した。
【0014】この洗浄液生成装置において、電気分解に
より得られるアルカリ性水のpHを10以上12未満に設定す
るためには、電極板面積、電極板間距離、電解電力を種
々に変えた場合の実際に得られるアルカリ性水のpHを実
験値として把握し、この結果に基づき電解条件を固定す
る。結果として電解条件を最適化することにより、電解
電力の増加を抑制しつつ、pH10以上12未満の強アルカリ
性水を生成できる。この場合、より効率のよい電解を実
施するため食塩などの電解物資を別途供給することも考
えられる。食塩を電解水に添加した場合、得られるアル
カリ性水のpHは食塩濃度に大きく影響されるため、この
濃度についても最適化を行う必要がある。
【0015】また、この洗浄液生成装置は、電解物質添
加装置を有する場合は、炭酸水素ナトリウムを含有した
水をわざわざ作らなくても、手軽に、油脂系、蛋白質系
の汚れに対して十分な洗浄能力を有するpH10以上のアル
カリ性水を創出できる。
【0016】また、電解槽が無隔膜型電解槽である場
合、電極間距離の短縮により電解液の電気分解が促進さ
れ、pH10以上のアルカリ性水を短時間で創出できる。
【0017】尚、更なる洗浄力を期待してpHの値を12
以上に設定することも可能ではあるが、身体、特に眼球
への危険性が増大する。また絹、羊毛などのタンパク質
成分をベースにした衣類へのダメージを考え合わせる
と、pHの値は12未満が望ましい。
【0018】本発明の請求項3に係る器具洗浄装置は、
電解槽を具備し、炭酸水素ナトリウムを含有した水を電
気分解し、pH10以上、好ましくはpH12未満を示すアルカ
リ性水を生成し、該アルカリ性水を洗浄液として用いる
ことを特徴とする。
【0019】炭酸水素ナトリウムを含有した水を電気分
解し、pH10以上を示すアルカリ性水を生成し、該アルカ
リ性水溶液を洗浄液として利用するため、臨床検査器
具、医療器具、歯科器具、食器類などに付着した油脂
系、蛋白質系の汚れに対して十分な洗浄能力を発揮す
る。
【0020】また、洗浄液として、界面活性剤などの有
機物を一切含有しないアルカリ性水溶液を用いるため、
器具洗浄後の排水が従来環境に及ぼしていた多大な負荷
を著しく減少させることができる。
【0021】尚、器具洗浄機にpH12以上のアルカリ水溶
液を用いた場合には、強アルカリ成分と蛋白質、油脂成
分の反応に起因する泡立ちによる洗浄力低下が懸念され
るので、pHの値は12未満が望ましい。
【0022】このアルカリ性水溶液には、水酸化ナトリ
ウム、並びにそのイオン種が存在するため、臨床検査器
具、医療器具、歯科器具、食器類への殺菌、漂白作用も
期待できる。
【0023】また、それら器具類の洗浄後のすすぎが一
回で済むので、極めて大きな節水効果が期待できる。
【0024】更に、洗浄、乾燥後の食器表面の変色、変
性がなく、臭いも無臭などの様々な効果が得られる。
【0025】尚、本明細書において炭酸水素ナトリウム
を添加した「水」とは、水道水、フィルター濾過された
水、イオン交換樹脂等で処理された水(軟水、イオン交
換水、純水)等であって、常温から高温まで含み、水温
を限定するのもではない。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
沿って説明していく。
【0027】図1は本発明の実施例に係る洗浄装置の構
成を示す図である。図1に示すように、洗浄装置Aは洗浄
液生成装置Bと洗浄槽140から構成されている。上水道の
水栓100に、リリーフ弁110を介して、洗浄液生成装置B
が接続されている。
【0028】洗浄液生成装置Bは、電気分解装置123と、
陰極側水タンク121と、陽極側水タンク122とを備えてい
る。陰極側水タンク121と陽極側水タンク122は、切換装
置150に接続されている。切換装置150から延びる管路15
1が洗浄水ポンプ170に接続されている。洗浄水ポンプ17
0から延びる管路152が、洗浄水噴射体142に接続されて
いる。洗浄水噴射体142は斜め上方へ差し向けられた複
数の噴射ノズル142aから成り、器具格納籠141の直下に
設置されている。
【0029】洗浄槽140の下部には、水溜め部143が形成
されている。水溜め部143内に図示しない漉し器が配設
されている。洗浄槽140内には、器具格納籠141が配設さ
れている。
【0030】洗浄槽140の水溜め部143から延びる管路15
3が排水ポンプ180に接続されている。排水ポンプ180か
ら管路154が排水部へ延びている。管路151の、洗浄水ポ
ンプよりも下流の部分に隣接して、ヒーター160が配設
されている。
【0031】洗浄水生成装置Bから排水ポンプ180によ
り、洗浄装置Aが構成されている。
【0032】図2は本発明の実施例に係る洗浄装置が備
える洗浄液生成装置の構成図である。図2に示すよう
に、洗浄液生成装置Bは陰極側水タンク121と陽極側水タ
ンク122と電気分解装置123から構成されている。電気分
解装置123は通水管290aによって連結された流量センサ
ー210と攪拌槽250と電解槽260とを備えている。流量セ
ンサー210から延びる給水管290bが、リリーフ弁110に接
続されている。重曹タンク220とポンプ230とが通水管29
0cにより連結され、ポンプ230は通水管290dと、通水管2
90dの途中に配設された逆止弁を介して、攪拌槽250に接
続されている。電解槽260から陰極側水吐出管290eが延
び、流量制御弁270を介して、陰極側水タンク121に接続
されている。電解槽260から陽極側水吐出管290fが延
び、流量制御弁280を介して、陽極側水タンク122に接続
されている。
【0033】洗浄液生成装置Bは、更に、スイッチング
電源回路と該スイッチング電源回路を制御するようにプ
ログラムされたマイクロコンピュータとを含む電力可変
の直流電源回路を有する制御ユニット240を備えてい
る。制御ユニット240には、流量センサー210から流量信
号が入力され、制御ユニット240からは、ポンプ230に駆
動電力が供給され、攪拌槽250に攪拌電力が供給され、
電解槽260に電解電力が供給される。
【0034】食器洗浄装置Aの作動を以下に示す。図2に
示したように、水栓100から供給され、リリーフ弁110に
より所定の流量に絞られた水道水が、給水管290bを通っ
て洗浄液生成装置Bへ流入し、流量センサー210と通水管
290aとを経由して攪拌槽250へ流れる。流量センサー210
により流量が検出され、流量センサー210から制御ユニ
ット240へ流量信号が出力される。
【0035】重曹タンク220に予め貯えられた重曹が、
ポンプ230と逆止弁を介して攪拌槽250で通水管290aを流
れる水道水と混合され、所定濃度の水溶液が生成する。
その重曹水溶液は、通水管290aを通って、電解槽260へ
流入する。流量センサー210により検出された通水管290
aを流れる水道水の流量に応じて、制御ユニット240によ
りポンプ230の駆動電力が制御され、攪拌槽250に供給さ
れる重曹の量が制御され、ひいては電解槽260へ流入す
る重曹水濃度が常に所定濃度に保てるよう制御される。
【0036】所定濃度に保たれた重曹水は電解槽260で
制御ユニット240によりコントロールされた所定電圧、
電流の電解電力が印加されることにより電気分解処理さ
れる。陰極側に生成した電解水は陰極側水タンク121
へ、陽極側に生成した電解水は陽極側水タンク122に回
収される。その際、陰極側と陽極側それぞれの流量比は
流量制御弁270、280で調整される。
【0037】本発明は、陰極側水タンク121に貯えられ
た電解水を洗浄水として用いる。
【0038】
【実施例1】図1、図2の実施例に基づき、炭酸水素ナ
トリウム(重曹)を添加した水道水を電気分解して得ら
れた各種水溶液を用い、食器洗浄評価を行なった。 洗浄液の作成 茅ヶ崎市における上水道水1Lに炭酸水素ナトリウムを所
定量、完全に溶かした後、Ti/Pt陽電極、Ti/Pt陰電極
から構成された電解槽を用い、電極間に1.5V〜10Vの印
加電圧をかけ電気分解を行った。
【0039】pHと炭酸水素ナトリウム濃度が洗浄に及
ぼす効果を明らかにするため、電解電力および流量制御
弁比率を変え、pHはpH5、pH8、pH9、pH10、pH1
1の5種類、炭酸水素ナトリウム濃度は、0g/L、5g/
L、10g/L、、20g/L、50g/L、70g/L、100g/L
の7種類、合計34種類の水を作成した。また参考のた
め市販合成洗剤、電解処理していない重曹水、及び水道
水を比較対象とした。
【0040】評価方法 前記各種の水を用い、BL基準による汚れサンプル作成法
に基づき食器に汚れを塗布したものを市販の食器洗浄機
(TOTO社製EVD200)に入れ、15分間洗浄を行った。尚、
水温はいずれの水溶液についても60℃に設定した。
【0041】結果 得られた洗浄率をもとに作成した洗浄率評価表を図3に
示す。洗浄率60%以上を○、60〜50%を△、洗浄
率50%以下を×とし、60%以上を合格と判断した。
また、本発明の洗浄液(重曹濃度100g/L、pH11)と市
販合成洗剤を汚れサンプル別に比較評価した結果を図4
に示す。
【0042】図3から以下のことが分かった。重曹水を
電解して得られた水は従来の合成洗剤と同等あるいはそ
れ以上の洗浄能力を有する。また、洗浄能力はpHの値に
依存し、特にpH10以上の場合に洗浄力が優れてい
た。また、重曹の量、すなわち重曹濃度も洗浄能力に影
響し、本実験では20g/L以上が好ましかった。
【0043】また図4から以下のことが判った。本発明
の洗浄水は、油脂系、タンパク系の汚れに対する洗浄力
が強い。本発明の洗浄水は、様々な汚れサンプルに対し
てバランスの良い洗浄力を発揮することができる。
【0044】次に、炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分
解した際の陽極側、陰極側の反応機構を以下に示す。 <陽極側> 4OH- → 2H2O+O2↑+4e- (1) [H+]の存在により酸性条件となる。 NaHCO3+H+ → CO2↑+H2O+Na+ (2) (1)式には水の電気分解機構を示す。この際、水酸化
物イオンが消費され、水と酸素が生成する。結果とし
て、水素イオンが過剰に水溶液中に存在することにな
る。しかしながら、この水素イオンは (2)式に示し
たように炭酸水素ナトリウムと反応して消費されるた
め、陽極側の水溶液は弱アルカリ性(pH8〜9)を示す。 <陰極側>2H++2e- → H2↑ (3) [OH-]の存在によりアルカリ性条件(pH10〜11)となる。 NaHCO3+H2O ←→ H2O+Na++HCO3 - ←→ CO2+H2O+Na++OH- (4) HCO3 -+H+ ←→ 2H++CO3 2- (5) (3)式には水の電気分解機構を示す。この際、水素イ
オンが消費され、水素ガスが生成する。結果として、水
酸化物イオンが過剰に水溶液中に存在することになる。
ここで、水酸化物イオンが過剰に存在するアルカリ性条
件下においては、(4)式の右側の平衡反応は左に傾
く。(4)式とは炭酸水素ナトリウムの加水分解機構で
ある。よって、水溶液中に炭酸水素イオンが過剰に存在
することになる。しかし、この炭酸水素イオンは(5)
式の平衡状態にもある。そこで上記のようなアルカリ性
条件下においては、陰極側の水溶液中、炭酸イオンが割
合的に炭酸水素イオンよりも多く存在することになる。
【0045】炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解して
得られるアルカリ性水溶液が洗浄能力を有する理由を以
下に述べる。炭酸水素ナトリウムを水に溶かした場合、
この水溶液は(4)式に示したような平衡挙動を示す。
この場合、得られた炭酸水素ナトリウム水溶液には、炭
酸水素ナトリウム水溶液を電気分解して得られるアルカ
リ性水溶液ほどの洗浄力が観測されない。よって、炭酸
水素ナトリウム水溶液を電気分解して得られるアルカリ
性水溶液の洗浄力に最も影響を与えている化学因子とし
ては炭酸イオンが考えられる。すなわち、炭酸水素ナト
リウム水溶液を電気分解して得られるアルカリ性水溶液
は、水酸化物イオンが存在する場合では、(5)式の平
衡反応を右側に傾けることになるので、洗浄により有効
に作用する炭酸イオンを水溶液中に保持することができ
る。
【0046】炭酸イオンの洗浄力、並びに洗浄促進力に
ついては、いまだ明確な知見が得られていない。よっ
て、以下に可能性として考えられるものを、市販合成洗
剤に含まれる性能向上剤、すなわちビルダーの働きを参
考にして列挙する。 ・汚れ成分とのイオン結合形成による汚れの剥離効果。 ・一旦食器などから剥離された汚れ成分とイオン結合を
形成することによる再付着防止効果。 ・通常、洗浄の妨げになると考えられているカルシウム
イオンなどの金属イオンと結合することによる硬水軟化
効果。 ・上記結合により生成する炭酸カルシウムなどの化学種
による研磨効果。
【0047】炭酸水素ナトリウム水溶液を電気分解して
得られるアルカリ性水溶液を用いた食器洗浄機による洗
浄実験の結果として、洗浄後の食器には市販洗剤を用い
た場合と同等、あるいはそれ以上に被洗浄物である食器
表面に光沢が観測された。この理由としては、以下の2
点が挙げられる。 ・水溶液中に存在する水酸化ナトリウムによる漂白作
用。 ・アルカリ性水溶液による食器表面の侵食作用。
【0048】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではない。例えば、本
発明では図2に示したように、攪拌槽と電解槽を切り離
したが、電解槽自体に攪拌機能を持たせてコンパクト化
を図ってもよい。その際は、図2のポンプ230から延び
る管路290dを直接電解槽に接続する。
【0049】攪拌機能は流路設計を行うことによって乱
流を形成させるようにしてもよい。
【0050】例えば、洗浄槽自体に電気分解装置を組み
込んでもよい。洗浄槽下部の水溜め部143に電極を配置
してもよい。器具洗浄機Aの図示されない循環流路の途
中に設けられてもよい。その場合、重曹は水溜め部143
に直接投入することになるが、投入は人的にでもよい
し、機械的でもよい。
【0051】重曹を添加する量をコントロールした水を
電解し洗浄水を作成したが、例えば、高濃度の重曹を添
加した水を電解し、得た電解水を水道水に適量混ぜて洗
浄水を作成してもよい。重曹の添加量、電解電力もしく
は電解水の混合量は洗浄対象物の汚れの度合いによって
調整してもよい。
【0052】電解槽は、無隔膜型、有隔膜型のいずれで
もよい。電解槽は陰極水と陽極水に分けなくてもよい。
その場合、pHを調整するために水酸化ナトリウム、炭
酸ナトリウム等のアルカリ性物質を混ぜてもよい。重曹
と前記アルカリ性物質を混合した水を電気分解してもよ
い。電気分解後にpHを所定の値に調整してもよい。
【0053】図2の実施例において重曹タンク220を電気
分解装置123内に記載したが、重曹タンク220を装置外に
置き管路で接続しても構わない。重曹タンク220を電気
分解装置123外に配置することで、タンク容量の拡大が
可能となるため重曹詰め換えの手間を省くことができ
る。
【0054】洗浄に用いた洗浄液は排水することになっ
ているが、本発明の洗浄液は界面活性剤や、有機物を一
切含んでいないため、漉し器で残飯などの固形物を分離
し、簡単な抽出法により油分を分離すれば、洗浄に用い
た洗浄液を複数回使用することも可能である。
【0055】最後に、炭酸水素ナトリウム水溶液を電気
分解して得られるアルカリ性水溶液を用いた食器洗浄実
験の際に若干ではあるが、洗浄後の水溶液に発泡性が認
められた。アルカリ性水溶液を希釈したものよりも原液
を使用した場合のほうが発泡性は大きかったが、これに
ついては現時点で明確な説明を与えることはできない。
あえて推測をするならば以下の点が挙げられる。アルカ
リ分(ナトリウムイオンなど)とタンパク、油脂分の反
応により、石鹸およびグリセリンなどが生成され(ケン
化)発泡。上記対策としてはアルカリpH調整(電解条
件による)、油脂成分削減(予洗いを加えるなど)、添
加剤による低減化などが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る洗浄装置の構成図であ
る。
【図2】本発明の実施例に係る洗浄装置が備える洗浄液
生成装置の構成図である。
【図3】炭酸水素ナトリウムの濃度とpHが洗浄力に及ぼ
す影響を示した図である。
【図4】本発明の洗浄液と市販洗剤の汚れサンプル別の
比較を示した図である。
【符号の説明】
A 洗浄装置 B 洗浄液生成装置 100 上水道の水栓 110 リリーフ弁 121 陰極側水タンク 122 陽極側水タンク 123 電気分解装置 140 洗浄槽 141 食器格納籠 142 洗浄水噴射体 150 切換装置 160 ヒーター 170 洗浄水ポンプ 180 排水ポンプ 210 流量センサー 220 重曹タンク 230 ポンプ 240 制御ユニット 250 攪拌槽 260 電解槽 270 流量制御弁 280 流量制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 剛 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 佐藤 裕文 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 永石 昌之 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭酸水素ナトリウムを含有した水を電気
    分解して得られたアルカリ性水であって、pH10以上、好
    ましくはpH12未満であることを特徴とする洗浄液。
  2. 【請求項2】 電解槽を具備し、炭酸水素ナトリウムを
    含有した水を電気分解し、pH10以上、好ましくはpH12未
    満を示すアルカリ性水を生成することを特徴とする洗浄
    液生成装置。
  3. 【請求項3】 電解槽を具備し、炭酸水素ナトリウムを
    含有した水を電気分解し、pH10以上、好ましくはpH12未
    満を示すアルカリ性水を生成し、該アルカリ性水を洗浄
    液として用いることを特徴とする器具洗浄装置。
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