JP2001184649A - 光記録システム及び光記録媒体 - Google Patents

光記録システム及び光記録媒体

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JP2001184649A
JP2001184649A JP2000312880A JP2000312880A JP2001184649A JP 2001184649 A JP2001184649 A JP 2001184649A JP 2000312880 A JP2000312880 A JP 2000312880A JP 2000312880 A JP2000312880 A JP 2000312880A JP 2001184649 A JP2001184649 A JP 2001184649A
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laser beam
optical recording
reflectance
recording medium
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JP2000312880A
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Hiroyuki Arioka
博之 有岡
Kazuki Suzawa
和樹 須沢
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マルチレベル記録に適した光記録媒体を得
る。 【手段】 レーザービームを照射することにより情報を
記録可能な光記録媒体であって、光記録媒体の相対移動
方向には所定長さの複数の仮想記録セルを連続して規定
され、この仮想記録セルの初期反射率X、及び限界最低
反射率Yから規定される反射率変動幅X−Yの20%
を、前記レーザービーム照射によって初期反射率Xから
変化させるのに必要な記録パワーをAとし、且つ前記反
射率変動幅X−Yの80%を前記レーザービーム照射に
よって初期反射率Xから変化させるのに必要な記録パワ
ーをBとした場合、記録層を1.8<(B−A)/A<
11となるように設定し、これにより、レーザーのビー
ムの照射パワーを5段階以上に切り換えてマルチレベル
記録可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録に供するデー
タに応じて、レーザービームの照射パワー(記録パワ
ー)を多段階に切り替えて光記録媒体に照射し、照射パ
ワーに対応する記録マークを形成して前記データをマル
チレベル記録する光記録システム及び光記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の光記録媒体のような、記録マーク
の長さ(反射信号変調部の長さ)を多段階に変えること
によってデータを記録する方法に対して、記録マークの
深さ(反射信号の変調度)を多段階に切り替えることに
より、同じ長さの領域に複数のデータを記録する方法に
関する研究が数多くなされている。
【0003】この光記録方法によれば、単にピットの有
無による2値のデータを記録した場合と比較して、深さ
方向に複数のデータを記録できるため、一定の長さに割
り当てられる信号の量を増やすことができる。従って、
線記録密度を向上することができるため、ホログラフを
利用したものや、記録層を多層とした光記録方法が提案
されている。
【0004】ここでは反射率の深さ変動を用いる等によ
りデータを多段階に記録する場合を、マルチレベル記録
と呼ぶ。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなマルチレベ
ル記録において、記録密度を向上するには記録マークを
短くする必要がある。
【0006】しかしながら、記録・読み取りに使用する
レーザーが集光した時のビーム直径より記録マークを小
さくしようとする場合、マルチレベル記録は困難にな
る。
【0007】例えば、特開平10−134353号公報
には、マルチレベルの記録を行うためにレーザー光量を
調整する旨の記載がある。ここでは、記録媒体が色素膜
や相変化膜の場合、記録部分と未記録部分での反射の違
いで再生信号を形成している。従って、特開平10−1
34353号公報の方法では、未記録段階と記録段階は
記録有り無しの関係にあり、多段階の記録に向いていな
い。より具体的に言えば、相変化膜や色素膜では記録と
未記録の中間状態は存在しないのである。
【0008】又、例えば特開平1−182846号公報
に開示されるように、記録層への入射光量をデジタル量
として与えた時に、記録層での反応物の吸光度がデジタ
ル量として変化する光記録媒体がある。
【0009】しかしながら、この光記録媒体は、レーザ
照射量(回数)に対する吸光度変化の絶対値が非常に小
さいことが推測され、未だ実用化に至っていない。
【0010】更に、特開昭61−211835号公報に
開示されるように、フォトクロミック材料に照射する照
射光の強度もしくは照射回数を変化させて異なる任意の
段階の発色濃度状態に記録するようにした光記録方法が
ある。
【0011】しかしながら、この光記録方法では、レー
ザ光を照射して読み取る際に発色濃度状態を5段階以上
に読み取ることができないという問題点がある。
【0012】以上の問題は、レーザービームの照射パワ
ー設定、記録媒体の特性等のあらゆる要素が複雑に絡み
合った結果であると考えるが、本発明者の知る限りその
原因は現在明らかにされておらず、高密度のマルチレベ
ル記録はその記録媒体及び記録方法を含めて達成されて
いないのが実情である。
【0013】本発明者は、記録マーク長が集光ビーム径
よりも短いような条件下でもレーザー照射パワーを変化
させることで5段階以上のマルチレベル記録が可能な方
法を発見した。さらに記録膜の材料としてはレーザー照
射での温度上昇に伴う未記録から記録への変化が急峻な
相変化材料よりも、変化が緩やかな色素材料の方が適し
ていることも発見した。
【0014】本発明は、上記のことを考慮し、一般に広
く実用化されているCD−Rのような光記録媒体を利用
し、多段階のマルチレベル記録を行い、良好な信号品質
を得ることを可能にする光記録媒体及び光記録方法を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、有機色素記
録層を有する光記録媒体を用いたマルチレベル記録シス
テムについて鋭意研究を重ねた結果、有機色素の熱分解
特性を反射率変化によって制御する事で、5段階以上の
マルチレベル記録が可能な光記録システムに到達した。
さらに研究を重ねた結果、利用する有機色素のレーザー
ビーム照射パワーに対する反射の変化率が重要であり、
反射率が変化するレーザービーム照射パワーの範囲が広
いほうが、マルチレベル記録に対するマージンが大きい
ことを見いだした。
【0016】又、記録マークの周囲の光反射率が高い領
域まで含めた一定の面積の仮想記録領域全体の光反射率
を多段階に変調する記録方法を見いだし、この記録方法
によって、光記録媒体に、5段階以上の高密度のマルチ
レベル記録を行うことが可能であることを確認した。
【0017】即ち、以下の本発明により前記目的が達成
可能となる。
【0018】(1)光透過性基板上に記録層を有する光
記録媒体に、記録に供するデータに応じて、レーザービ
ームのパワーを5段階以上に切り換えて前記レーザービ
ームを照射することでマルチレベル記録する時の記録部
分のレーザービーム照射による反射率の最大変化幅をV
とした時、反射率の変化が0.2×Vとなるレーザービ
ーム照射パワー(A)と、反射率の変化が0.8×Vと
なるレーザービーム照射パワー(B)との関係が、式
(1)を満たすことを特徴とする光記録システム。
【0019】(B−A)/B>0.15 (1)
【0020】(2)前記記録層が主として有機色素によ
り形成されている光記録媒体を用いることを特徴とする
(1)の光記録システム。
【0021】以下(1)及び(2)の本発明を更に詳し
く説明する。
【0022】レーザービームの照射によって反射率が低
下する光記録媒体の場合、まず記録前の状態の反射率を
Ri、レーザービーム照射により記録部分が変質し、そ
の反射率が完全に低下した部分の反射率をRpとし、未
記録状態から記録状態になることによって変化する最大
の反射率の変化幅(Ri−Rp)を、反射率の最大変化
幅Vと定義する。そして、レーザービームの照射により
反射率の変化が0.2×Vとなるレーザービームの照射
パワーを(A)、反射率の変化が0.8×Vとなるレー
ザービームの照射パワーを(B)とした場合(B−A)
/Bを0.15より大きくする事が効果的であることを
見いだした。さらに、この光記録システムは、レーザー
ビーム照射パワーを5段階以上に切り替えるマルチレベ
ル記録に特に有効である。ここで、レーザービームの照
射パワーの単位はmWで、記録の際の線速度によっても
異なるが2〜30mWの範囲が好ましく、更に好ましく
は4〜14mWの範囲である。
【0023】レーザービームの照射パワーと反射率の関
係は、用いる光記録媒体に種々レーザービーム照射パワ
ーによって記録を行い、反射率を測定することで求める
ことができる。
【0024】このときの関係式(1)の値を0.15よ
り大きくするには、レーザービーム照射による記録層の
変化の速度を調節する必要がある。即ち、記録層に色素
を用いる場合は、記録に供するレーザービームの波長に
対して、その有機色素記録層がどれだけの記録感度を持
ってレーザービームを吸収するかが重要となるため、十
分に考慮して有機色素を選択する必要がある。あまり感
度の高い有機色素を用いるとレーザービーム照射パワー
を変化させても光の吸収が急激であるためレーザービー
ム照射パワー(A)と(B)が近い値となり好ましくな
い。逆に感度が低すぎる場合にはジッター値が大きくな
り好ましくない。関係式(1)の値を0.15より大き
くするための別の方法としては、有機色素記録層を多層
構成とし、各層毎に記録感度の異なる有機色素を含有さ
せることも考えられる。この場合、レーザービーム照射
に近い方にある有機色素記録層に記録感度の高い有機色
素を用い、反射層に近い方にある有機色素記録層に記録
感度の低い有機色素を用いるようにすればよい。
【0025】更に、以下の本発明により上記目的が達成
可能となる。
【0026】(3)光透過性基板上に形成される記録層
に対してレーザービームを照射することにより情報を記
録可能な光記録媒体であって、前記光記録媒体における
前記レーザービームとの相対移動方向に、所定の単位長
さ及びこれと直交する方向の所定の単位幅の複数の仮想
記録セルが連続して規定されると共に、前記仮想記録セ
ルにおける前記レーザービーム未照射状態の初期反射率
X%、及び該レーザービーム既照射状態の限界最低反射
率Y%から規定される反射率変動幅をX/100−Y/
100としたとき、その変動幅全体を100%としたと
きの20%分を、前記レーザービーム照射によって初期
反射率X%から変化させるのに必要なレーザービームの
照射パワーをAとし、且つ、前記反射率変動幅X/10
0−Y/100の80%分をレーザービーム照射によっ
て初期反射率X%から変化させるのに必要なレーザービ
ームの照射パワーをBとした場合、前記仮想記録セル
が、1.8<(B−A)/A<11(・・・関係式
(2))の特性になるように設定され、該仮想記録セル
に対して、単位時間の前記レーザービームの照射パワー
を5段階以上に切り換えてマルチレベル記録可能とされ
たことを特徴とする光記録媒体。
【0027】(4)前記レーザービ−ムの照射パワーを
5段階以上に切り換えてマルチレベル記録することによ
って形成された複数サイズの記録マークの少なくとも一
部に、読み取りレーザーの集光ビームウエストの直径以
下の長さとなる記録マークが含まれていることを特徴と
する(3)の光記録媒体。
【0028】(5)前記光記録媒体の前記記録層が有機
色素成分を含んで構成されていることを特徴とする
(3)又は(4)の光記録媒体。
【0029】(6)記録前の前記仮想記録セルの前記初
期反射率Xが60%以上であり、且つ記録後の前記限界
最低反射率が40%以下であることを特徴とする
(3)、(4)又は(5)の光記録媒体。
【0030】この発明においては、記録層に仮想記録セ
ルを仮定し、その仮想記録セル全体の光反射率を読み取
るので、記録マークが記録ビーム径より小さくなった場
合でも、記録レーザービームの照射パワーを多段階に調
整することで、反射率を多段階にコントロールすること
が出来るようになった。つまり読み取りの対象となるセ
ルを一定にした状態で、レーザービーム照射パワーを変
調することで、記録マークの大きさ及び光透過率の少な
くとも一方を変調し、記録マークを含む一定の領域(仮
想セル)全体での光反射率のレベルを多段階に変化させ
ることによりマルチレベルの記録が可能になった。
【0031】さらにこの効果は5段階以上のマルチレベ
ル記録のときに顕著であった。
【0032】つまり4段階程度までであれば通常の記録
マークの長さを変調する方法でもマルチレベルの記録が
可能であった。しかしながら5段階以上の高密度のマル
チレベル記録を行う際には仮想セル全体の光反射率をコ
ントロールすることが重要である。
【0033】特に、光記録媒体に関しては、レーザービ
ームの照射パワーとそれによる反射率の変化の関係に注
目し、上記関係式(2)の範囲内であればマルチレベル
記録する際の信号劣化が大幅に低減することが判明し
た。
【0034】発明者の解析によると、反射率の変動は、
図5に模式的に表されるように、レーザービームの照射
パワーと完全なる比例関係にあるわけではない。図5に
示されるように、全体の反射率変動は、先ず初期反射率
X%に始まり、反射率変動幅Pの約20%に達するまで
の初期照射パワー領域Hにおいては反射率変動が小さ
く、反射率変動幅Pの約80%に達する間の中間照射パ
ワー領域Iは比較的変動が大きく、最終照射パワー領域
Jでは反射率変動が小さくなり、最終的に限界最低反射
率Y%に収束することが解った。
【0035】この特性から、初期照射パワー領域Hを脱
するのに必要な照射パワーAと、その後の中間領域Iを
脱するまでに必要な照射パワーBとの関係が、マルチレ
ベル記録では重要なポイントになるとの予想が本発明者
によってなされた。というのも、マルチレベル記録は、
初期反射率X%と限界最低反射率Y%との間で多段階に
反射率を設定・記録する必要があり、その上記の中間照
射パワー領域Iを有効活用する必要があるからである。
つまり、記録レーザービームにとっては照射パワーAと
照射パワーBとのバランスが大変重要な意義を有してい
る。
【0036】実際に、本発明者の解析によれば、上記関
係式(2)の範囲内では5段階以上のマルチレベル記録
が可能であったが、その範囲外では大きすぎても(10
以上)又小さすぎても(1.8以下)マルチレベル記録
に支障をきたすことが確認されている。例えば、この関
係式(2)において、(B−A)/Aが1.8以下とな
る場合、照射パワーによる反射率変動が急峻であるため
適切な照射パワーが設定できず、又11以上の場合は照
射パワーに対する反射率変動が小さすぎて、適切な照射
パワーが設定出来ないと考えられる。これらは共に、初
期照射パワーAと中間照射パワーBのバランスが悪く、
マルチレベル記録に適さない光記録媒体であるといえ
る。
【0037】この条件を満たす様にするには、記録層の
材料、記録層の膜厚、反射層の材料、基板の材料・厚
み、さらにはレーザービームガイド用に基板に刻まれた
グルーブの形状等を適宜設定する。
【0038】なお、上記関係式(2)の範囲内におい
て、特に2≦(B−A)/A≦9が好ましい。
【0039】又、上記の範囲内で設定された光記録媒体
を利用すれば、(従来不可能と考えられていた)読み取
りレーザービームの集光ビームウエスト以下の大きさの
記録マークを含めることが可能となり、その際の信号の
劣化が大幅に低減される。レーザービームを照射する際
には、レーザービームパワーを制御することにより、仮
想記録セル全体の光反射率を変調する。一般にガウシア
ン分布を示すレーザー光のうち一定の強度を示す閾値を
越えた光のみが記録マークを形成できるので、各単位仮
想記録セルに対して「レーザービームの照射パワー」を
5段階以上に切り換えてレーザービームの閾値を越えた
光の範囲を制御して、記録マークの大きさ、光透過率を
変調する。各仮想記録セルでは、記録マークとその周囲
の未記録領域も含めての光反射率が多段階に変調される
ことになるので、集光ビームウエスト以下の記録マーク
であっても、仮想記録セル全体の光反射率の変調が可能
となる。以上の各要素から、本発明の記録媒体を利用す
れば5段階以上且つ集光ビームウェスト以下のマークを
含んだ極めて高い記録可能密度の光記録媒体が得られ
る。
【0040】又上記発明においては、前記光記録媒体の
前記記録層が有機色素成分を含んで構成される事が好ま
しい。実際に、本発明者によって、有機色素成分の反応
で記録マークを生成する方法によって上記のマルチレベ
ル記録が達成されている。
【0041】更に上記発明では、記録前の前記仮想記録
セルの前記初期反射率Xが60%以上であり、且つ記録
後の前記限界最低反射率Yが40%以下であるものが好
ましい。このようにすれば、反射率変動幅を十分に確保
することができるようになり、更に多段の記録マークの
生成が可能となる。
【0042】なお、本発明の記録媒体は次のように構成
してもよい。
【0043】(7)前記仮想記録セルの単位長さが、前
記最大照射パワーのレーザービーム照射により形成され
る記録マークの長さと略等しく設定されたことを特徴と
する(3)乃至(6)のいずれかの光記録媒体。
【0044】(8)前記記録層に沿って、レーザービー
ムガイド用のグルーブが設けられ、前記仮想記録セルは
前記グルーブ内に設定され、且つ、前記単位幅は前記グ
ルーブの幅に一致されたことを特徴とする(3)乃至
(7)のいずれかの光記録媒体。
【0045】(9)前記記録層の一部に、予め情報をマ
ルチレベル記録済みであることを特徴とする(3)乃至
(8)のいずれかの光記録媒体。
【0046】(10)前記仮想記録セルとマルチレベル
記録済み部分の少なくとも一方に、マルチレベル記録媒
体であることを示す特定情報が記録されていることを特
徴とする(3)乃至(9)のいずれかの光記録媒体。
【0047】(11)前記記録層に沿って、レーザービ
ームガイド用のグルーブが設けられ、このグルーブが、
一部で途切れていることを特徴とする(3)乃至(1
0)のいずれかの光記録媒体。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明に適用可能な光透過性基板
は、従来の光記録媒体に用いられている各種の材料から
任意に選択することができる。例えばポリカーボネート
樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、
アモルファスポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹
脂などが適用可能であるが、耐湿性、寸法安定性および
価格などの点からポリカーボネート樹脂が好ましい。こ
の光透過性基板上には、トラッキング用溝またはアドレ
ス信号等の情報を表わす凹凸(プレグルーブやピット)
が形成されていることが好ましく、この凹凸は、ポリカ
ーボネート樹脂等の樹脂材料を射出成形、あるいは押出
成形することによって、母型(スタンパー)の凹凸を転
写することによって得ることができる。
【0049】この凹凸情報には、当該光記録媒体の記録
再生を、より適切に行うための種々情報が含まれてい
る。これらの情報は、光透過性基板を形成する際に、上
記スタンパーからその情報を転写し、深さの異なる複数
のピットを形成することであらかじめ記録される場合
や、または当該光記録媒体が作製された後にマルチレベ
ル記録を行うことで、その情報を記録することが可能で
ある。上記の種々情報としては、当該光記録媒体である
ことを個別に認識するためのID情報や、当該光記録媒
体がマルチレベル記録用の光記録媒体であることを識別
するための光記録媒体種類識別情報、当該記録媒体を記
録再生するためのレーザービームのパワーを決定するた
めの情報等の記録再生に必要な情報、更には、マルチレ
ベル記録された内容の時間情報や、その情報が当該光記
録媒体のどこにあってどの様な内容が記録されているの
かを表すアドレス情報、目次情報等があり、当該光記録
媒体の記録時及び/又は再生時にこれらの情報を利用す
ることができる。なおこれらの情報は、ディスク状媒体
の場合、最内周近傍や最外周近傍またはディスク上に一
定の規則に従って複数設けるなどすればよい。
【0050】前記光透過性基板上に有機色素記録層が設
けられる。有機色素記録層は、シアニン系色素、スクア
リリウム系色素、クロコニウム系色素、アントラキノン
系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色
素等が適用可能であり、式1を満たすように材料を選択
すればよい。
【0051】有機色素塗布液用の溶剤としては、酢酸ブ
チル、セロソルブアセテートなどのエステル類;メチル
エチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケ
トンなどのケトン類;ジクロルメタン、1,2−ジクロ
ルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素類;ジメ
チルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの
炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジ
オキサンなどのエーテル類;エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトン
アルコールなどのアルコール類;2,2,3,3−テト
ラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルなどのグリコールエーテル類などが使用可能で、
これらの溶剤を、使用する有機色素の溶解性等を考慮し
て単独または混合して使用することができる。塗布液中
には更に一重項酸素クエンチャー、酸化防止剤、UV吸
収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて
添加してもよい。
【0052】このようにして調製される有機色素塗布液
の濃度は一般に0.01〜10重量%、好ましくは0.
1〜5重量%である。塗布方法としては、スプレー法、
スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレー
ドコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法など
を挙げることができるが、なかでもスピンコート法が好
ましく、一般的に乾燥後の有機色素記録層の厚みが20
〜500nm程度になるように形成する。
【0053】上記有機色素記録層上に光反射層を設ける
が、光反射層の材料である光反射性物質は、レーザービ
ームに対する反射率が高い物質が好ましく、その例とし
て、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Pd、Pb、P
t、Cr、Ni、Pt等の元素があげられ、これらを単
独又は合金として用い、スパッタリング法や真空蒸着法
によって形成する。光反射層の厚みは、一般的には10
〜800nmで、好ましくは50〜300nmである。
【0054】光反射層の上には、有機色素記録層や光反
射層等を物理的および化学的に保護する目的で保護層を
設ける。この保護層は、光透過性基板の、有機色素記録
層が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目
的で設けてもよい。保護層には一般的に紫外線硬化性樹
脂が広く用いられており、そのままもしくは適当な溶剤
に溶解して塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布
し、紫外線を照射して硬化させることによって形成す
る。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加し
てもよい。保護層の層厚は0.1〜100μm程度であ
る。
【0055】本発明に用いる光記録媒体は、上記の構成
からなる単板タイプの光記録媒体であってもよいが、あ
るいは更に上記構成を有する二枚の光記録媒体を保護層
が内側となるように向い合わせ、接着剤等を用いて接合
することにより、貼り合せタイプの光記録媒体とするこ
ともでき、二枚の光記録媒体のうち、少なくとも一方に
上記構成を有する光記録媒体を用いて、接合することに
よって得られる貼り合わせタイプの光記録媒体とするこ
ともできる。
【0056】このようにして得られる光記録媒体への記
録方法は、例えば、記録光として770〜790nmの
範囲の波長や630〜660nmの範囲の波長を有する
半導体レーザービームを用い、光記録媒体を定線速度ま
たは定角速度にて回転させながら、有機色素記録層にそ
れに適したレーザービームを照射することで有機色素が
変質することによって行われ、再生方法は、有機色素が
変質した部分とそうでない部分との光の反射光量の差を
読みとることで行われる。
【0057】本発明では、さらに、記録に供するデータ
によって変わる入力信号を、変調信号発生器により5段
階以上の変調信号に変換し、この変調信号を光変調器に
送り、この光変調器を通してレーザービームのパワーを
5段階以上に変化させて当該光記録媒体に照射すること
により記録を行う。こうすることで、一定長さの記録部
分に、深さ方向に5段階以上の情報がマルチレベル記録
され、再生時に照射するレーザービームの反射光量も5
段階以上に変化させることが可能となる。即ちマルチレ
ベル記録された光記録媒体を定線速度又は定角速度で回
転させながら、記録時のレーザービームの照射パワーよ
りも小さなパワー、好ましくは1mW以下のレーザービ
ームを照射して、その反射光を検出することによって再
生することができるため、単位長さあたりの情報量、更
には単位面積あたりの情報量が飛躍的に増加する。
【0058】更に、当該光記録媒体では、あらかじめ、
レーザービームの照射パワーの段数に合わせた数の深さ
の複数のピットを有するか、又は当該光記録媒体の一部
分にあらかじめマルチレベル記録を行うことにより、こ
れらの複数のピット及び/又はマルチレベル記録済み部
分に当該記録媒体を個別に識別する情報、マルチレベル
記録用光記録媒体であることを識別する情報、当該記録
媒体を記録再生するためのレーザービームの照射パワー
を決定するための情報等の特定情報を有し、その特定情
報を、当該光記録媒体再生及び/又は記録時に読み込む
ことによって、マルチレベル記録用光記録媒体であるこ
とを確実に識別したり、さらにそれらを個別に識別した
り、あらかじめ記録されているピットの段数に応じてレ
ーザービームの照射パワーの段数を決定したりすること
ができるため、より確実なマルチレベル記録再生を行う
ことができる。
【0059】以下本発明の実施の形態の更に具体的な例
を図面を参照して詳細に説明する。
【0060】本発明の実施の形態の例に係る光記録媒体
(ディスク)10は、記録層12に色素を用いたCD−
Rであり、透明基材からなる基板14と、この基板14
の一方の面(図1において上面)に形成されたレーザー
ビームガイド用のグルーブ16を覆って塗布された色素
からなる前記記録層12と、この記録層12の上側にス
パッタリング等によって形成された金あるいは銀等の反
射膜18と、この反射膜18の外側を覆う保護層20と
を含んで形成されている。
【0061】前記記録層12に用いられる色素は、シア
ニン、メロシアニン、メチン系色素及びその誘導体、ベ
ンゼンチオール金属錯体、フタロシアニン色素、ナフタ
ロシアニン色素、アゾ色素等の有機色素である。
【0062】前記光記録媒体10へのマルチレベル記録
は、図2に示される光記録装置30によって実行され
る。
【0063】この光記録装置30はCD−Rレコーダで
あり、スピンドルサーボ31を介してスピンドルモータ
32により光記録媒体(ディスク)10を線速度一定の
条件で回転駆動させ、レーザー36からのレーザービー
ムによって光記録媒体(ディスク)10に情報を記録す
るものである。
【0064】前記レーザ36は、記録すべき情報に応じ
て、レーザードライバ38により、図1、図3に示され
る仮想記録セル(詳細後述)40の一つ当りのレーザー
ビーム照射パワーが電気的に制御されるようになってい
る。なお、レーザービームの照射パワーの制御(変調)
は、電圧変調などの電気的な制御の他に、光変調器41
を用いてもよい。この光変調器41としては偏光素子、
音響光学変調器、電気光学変調器等を利用してもよい。
【0065】図2の符号42は、対物レンズ42A及び
ハーフミラー42Bを含む記録光学系である。対物レン
ズ42Aはフォーカストラッキングサーボ44によりレ
ーザービームがディスク10の記録層12に集光するよ
うにフォーカストラッキング制御される。又、対物レン
ズ42Aとハーフミラー42Bとは、送りサーボ46に
よって、ディスク10の回転に同期してその内周側から
外周側に所定速度で移動制御される。
【0066】前記スピンドルサーボ31、レーザードラ
イバ38、フォーカストラッキングサーボ44、送りサ
ーボ46は、制御装置50により制御される。記録層1
2に記録すべきデータ(情報)は制御装置50に入力さ
れる。
【0067】次に、前記仮想記録セル40及びこの仮想
記録セル40に記録される記録マークについて説明す
る。
【0068】この仮想記録セル40は記録媒体の径方向
の単位幅及び回転方向の単位長さに規定されている。単
位幅は、レーザービームのビームウエスト直径以下と
し、ディスク10のトラックピッチやグループ幅など任
意に選択できる幅である。
【0069】この実施の形態の例の仮想記録セル40
は、図1に示されるように、前記グルーブ16内を、デ
ィスク10の回転方向即ち円周方向に、ビーム径(ビー
ムウエストの直径)Dより短い長さ(円周方向の長さ)
に、且つ、幅はクループ16と等しく規定して、円周方
向に連続的に想定したものであり、各仮想記録セル40
毎にレーザービームを照射することによって、図3に模
式的に例示された記録マーク48A〜48Gを、記録す
べき情報に応じて形成するようにされている。
【0070】ここで、前記レーザ36から出射されるレ
ーザービームの、記録層12位置でのビーム径Dは、前
記仮想記録セル40よりも大きくされているが、記録層
12の材料を選択することによって、レーザービームの
中心部に、レーザビーム照射パワーに応じて、直径の異
なる光透過率変調領域、即ち記録マーク48A〜48G
を形成することができる。ここで、レーザービームはほ
ぼ円形であるが、光記録媒体10を回転させながらレー
ザービームを照射するので、レーザービームの円形中心
が照射時間分だけ仮想記録セル40内で相対的に移動す
ることによって長円形となり、又、その径方向の幅がレ
ーザービームの照射パワーによって大きくなる。
【0071】何故なら、フォーカシングされたレーザー
ビームは、一般にその光強度がガウシアン分布をなす
が、記録層12においては、レーザービームの照射エネ
ルギーがある閾値を超えた部分のみで記録が行われるの
で、レーザービームの照射パワーを変化させることによ
って、記録層12に記録可能なレーザービームのスポッ
トサイズが変化し、これにより例えば図3に示されるよ
うな7段階の記録マーク48A〜48Gが形成可能とな
る。但し、各記録マーク48A〜48G内での光透過率
は均一ではなく、一般的に中心ほど低くなる。 この場
合、レーザービームにおける照射エネルギーの閾値を超
える範囲の大きさ、即ち記録マーク48A〜48Gの各
大きさとその光透過率は、仮想記録セル40に読み出し
レーザービームを照射した時の仮想記録セル40内の記
録マーク及びその周囲の未記録部分を含む全体での反射
光の光反射率が7段階になるように設定する。前記光反
射率は、記録マークが小さいほど大きくなり、記録マー
クが形成されていない仮想記録セルでは最大反射率、最
大の記録マーク48Gが形成されている仮想記録セルで
は最小反射率となる。
【0072】更に詳細には、前記光反射率は、各記録マ
ーク48A〜48Gの仮想記録セル40に対する面積比
及び記録マーク自体の光透過率を考慮して設定する。
【0073】記録マーク48A〜48G自体の光透過率
は、記録層12を構成する材料がレーザービームの照射
によって分解変質し、その屈折率が変化する場合や、記
録層12の厚さ方向の変化量によって異なる。形成され
た記録マーク部分の光透過率がゼロであれば、これを考
慮しなくてもよい。
【0074】次にこのディスク10の特性について説明
する。
【0075】このディスク10では、仮想記録セル40
における前記レーザービーム未照射状態の初期反射率が
X%、又、レーザービームを(ある程度長時間)照射し
たことによって限界に達した反射率(最低反射率)がY
%であり、これらの値から反射率変動幅(X−Y)%が
規定される。
【0076】この場合、レーザービーム照射によって、
仮想記録セル40の反射率を、初期反射率X%から反射
率変動幅の20%分低下させるのに必要な記録パワー
(エネルギー)は、図5においてAまでの面積(以下A
と示す)であり、更に照射を続けて、反射率変動幅の8
0%分低下させるのに必要な記録パワーはBまで(以下
Bと示す)である。
【0077】ここで、ディスク10の特性は、上記の各
値から規定される反射率変動バランスT=(B−A)/
Aが、 1.8<(B−A)/A<11(・・・関係式(2)) となるように設定される。これは、基板14、記録層1
2、反射層20等の厚みや材質を適宜調整することによ
り達成される。
【0078】このように設定したことで、仮想記録セル
40に対して、すでに説明したように、レーザービーム
の照射パワーを5段階以上(上記例では7段階)に切り
換えてマルチレベル記録可能となっており、特に、マル
チレベル記録の記録マーク48A〜48Gの長さが、読
み取りレーザーの集光ビームウェストの直径D以下とな
るようにしても確実にデータ検出が可能となる。
【0079】この結果、集光ビームウエスト以下となる
極めて小さな記録マークを、5段階以上に反射率が異な
るようにして生成が可能となっていることから、高い密
度の記録が可能な光記録媒体が得られる。
【0080】又上記発明においては、前記光記録媒体の
前記記録層が有機色素成分を含んで構成されることが好
ましい。実際に、後述の実施例において説明するよう
に、有機色素成分の反応によって記録マークを生成する
方法によって上記のマルチレベル記録が達成されてい
る。
【0081】このディスク10では、仮想記録セル40
の初期反射率Xが60%以上に設定され、更に限界最低
反射率Yが40%以下に設定されている。これは、ある
程度の反射率変動幅を有しなければ5段以上のマルチレ
ベル記録に適さないからである。好ましくは、初期反射
率を65%以上、限界最低反射率Yを35%以下に設定
する。
【0082】なお本実施の形態の例では、上記のように
光記録媒体10をCD−Rであるディスクとして構成し
たものを示したが、本発明はこれに限定されるものでな
く、他の光記録媒体に広く適用可能なものである。
【0083】又、上記の実施の形態の例において、記録
層12はシアニン等の有機色素を用いたものであるが、
本発明はこれに限定されるものでなく、上記の関係式
(2)を満たす特性のものであれば十分であり、上記以
外の有機色素あるいき無機色素であってもよく、又その
他の材料を適宜用いても構わない。但し、上記のような
有機色素を用いた場合は、レーザービームの5段階以上
の照射パワーに対応して、確実に記録マークの大きさを
変化させて記録でき、極めて高い精度で読みとることが
できた。
【0084】更に、上記実施の形態の例は、データ等の
情報が記録されていない未記録領域を含む光記録媒体1
0についてのものであるが、本発明はこれに限定される
ものでなく、5段階以上に情報がマルチレベル記録され
ている光記録媒体にも適用される。
【0085】更に又、上記光記録装置30によって記録
マークを形成する際に記録層12上に設定される仮想記
録セル40のサイズは、実施の形態の例に限定されるも
のではない。特に、レーザービームのビームウエスト径
を更に小さく絞ることができれば、長さはグループ16
の幅と等しくするのがよい。その一方で、8段階等の更
なる多段階に記録マークを記録する場合には、レーザー
ビームウエスト以上に設定しても構わない。その場合、
ある一部の記録マークは、ビームウエスト以上の大きさ
にすることができる。更にグループ16を有しない光記
録媒体においても本発明を適用可能である。
【0086】又、記録用のレーザービームは、記録層1
2の位置で円形とされているが、これは、図4に示され
るように、例えば対物レンズ42Aに加えてシリンドリ
カルレンズ42Cを用いて、ビーム形状が、記録媒体1
0の送り方向に短く、これと直交方向に長い長円形状あ
るいは線状となるようにしてもよい。この場合、記録マ
ーク49が短くなるので仮想記録セルを更に短くするこ
とができる。即ち、記録密度を向上させることができ
る。
【0087】更に、この光記録媒体10では、図1にお
いて符号52で示されるように、あらかじめ、信号変調
の段数に合わせた数の反射率の異なる複数のピットを有
するようにしてもよく、又は当該光記録媒体の一部分に
あらかじめ前述のようにマルチレベル記録を行っても良
い。これらの複数のピット52及び/又はマルチレベル
記録済み部分の記録マーク54には、当該記録媒体を個
別に識別する情報、マルチレベル記録用光記録媒体であ
ることを識別する情報、当該記録媒体を記録再生するた
めのレーザービームの推奨記録パワーを決定するための
情報等の特定情報を記録しておいてもよい。その特定情
報は、当該光記録媒体再生及び/又は記録時に読み込む
ことによって、マルチレベル記録用光記録媒体であるこ
とを確実に識別したり、さらにそれらを個別に識別した
り、あらかじめ記録されているコットの段数に応じてレ
ーザービームの照射時間を決定したりすることができ、
より確実なマルチレベル記録・再生を行うことができ
る。
【0088】あるいは図1に符号56で示されるよう
に、レーザービームガイド用のグループを一部分途切れ
させるグループ中断部を設けることによっても同様の効
果をもたせることもでき、これらの方法は単独で、ある
いは組み合わせて利用することも可能である。
【0089】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を説
明する。
【0090】
【実施例1】レーザービーム波長770〜790nm付
近に光吸収域を持つシアニン系色素をフッ素化アルコー
ルに溶解して2%の記録層形成用塗布液を調製し、この
塗布液を表面にスパイラル状のプレグルーブ(トラック
ピッチ:1.6μm、プレグルーブ幅:0.35μm、
プレグルーブの深さ:0.18μm)が射出成型により
形成されたポリカーボネート(帝人化成(株)製:パンラ
イトAD5503)からなる直径120mm、1.2m
m厚の光透過性基板のプレグルーブ側表面に、回転数2
00rpm〜5000rpmまで変化させながらスピン
コート法により塗布し、プレグルーブ内の底部からの厚
さが約200nmの有機色素記録層を形成した。なお、
ここで使用した光透過性基板には、この光記録媒体がマ
ルチレベル記録に使用されることを示す判別信号と、レ
ーザービームパワーに関する情報信号をあらかじめ記録
したものを用いた。
【0091】次に、有機色素記録層上にAgを約100
nmスパッタリングして光反射層を形成した。更に光反
射層上に紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業
(株):SD318)を回転数300rpm〜4000
rpmまで変化させながらスピンコート法により塗布し
た。塗布後、塗膜の上方から高圧水銀灯により紫外線を
照射して層厚10μmの保護層を形成した。
【0092】こうして得られた光記録媒体を用いてマル
チレベル記録を行った。マルチレベル記録は、定線速度
で回転させた光記録媒体に、レーザービームを、そのパ
ワーを6段階に変化させて照射して記録を行い、再生は
同じく定線速度で回転させながら1mWでレーザービー
ムを照射して、その反射光を検出することによって再生
した。記録・評価機にはパルステック社製のDDU(記
録波長:784nm)を用いた。レーザービーム照射に
よる反射率の変化を、最大変化幅Vの20%、35%、
50%、65%、80%、95%とするための記録レー
ザービーム照射パワーはそれぞれ4.1mW、4.4m
W、4.9mW、5.3mW、5.7mW、6.2mW
であった。なお、このときの記録線速度は1.2m/
s、記録信号は700kHzとし、記録時のデューティ
ー比は70%とした。
【0093】この結果、レーザービーム照射パワー
(A)と、レーザービーム照射パワー(B)との関係は
(B−A)/B=0.28となった。このときの記録さ
れた信号のジッター値を、横河電気(株)TA320を
用いて測定した。
【0094】ジッター値は、記録層へのレーザービーム
の照射によって形成される記録マークの形状に依存し、
ジッター値が小さければ小さいほど、前記記録マークが
確実に形成されていることを意味している。これは情報
が確実に記録できていることと同義であり、従って、再
生も確実に行うことができる。
【0095】なお、この実施例1及び次の実施例2、比
較例1、2で用いたジッター値の評価機では、従来の2
値記録再生方法によって記録した場合を考慮すると、ジ
ッター値が35%以下であれば良好な記録が行えたもの
と判断できる。
【0096】
【実施例2】レーザービーム波長630〜650nm付
近に光吸収域を持つシアニン系色素を、フッ素化アルコ
ールに溶解して2%の記録層形成用塗布液を調製し、こ
の塗布液を表面にスパイラル状のプレグルーブ(トラッ
クピッチ:0.8μm、プレグルーブ幅:0.28μ
m、プレグルーブの深さ:0.16μm)が射出成型に
より形成されたポリカーボネート樹脂(帝人製:パンラ
イトAD5503)からなる直径120mm、0.6m
m厚の光透過性基板のプレグルーブ側表面に、回転数2
00rpm〜5000rpmまで変化させながらスピン
コートにより塗布し、プレグルーブ内の底部からの厚さ
が約200nmの有機色素記録層を形成した。なお、こ
こで使用した光透過性基板には、この光記録媒体がマル
チレベル記録に使用されることを示す判別信号と、レー
ザービームパワーに関する情報信号をあらかじめ記録し
たものを用いた。
【0097】次に、有機色素記録層上にAgを約100
nmスパッタリングして光反射層を形成した。更に光反
射層上に紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業
(株):SD318)を回転数300rpm〜4000
rpmまで変化させながらスピンコート法により塗布し
た。塗布後、塗膜の上方から高圧水銀灯により紫外線を
照射して層厚10μmの保護層を形成した。
【0098】さらに、別の0.6mm厚の光透過性基板
に、Alを約100nmスパッタリングして光反射層を
形成し、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業
(株):SD318)を回転数300rpm〜4000
rpmまで変化させながらスピンコート法により塗布し
た。塗布後、その上から高圧水銀灯により紫外線を照射
して層厚10μmの保護層を形成した。これらを、お互
いの保護層が向かい合うようにカチオン重合系紫外線硬
化型樹脂(ソニーケミカル:SK7000)によって貼
り合わせた。
【0099】こうして得られた光記録媒体を用いてマル
チレベル記録を行った。マルチレベル記録は、定線速度
で回転させた光記録媒体に、レーザービームを、そのパ
ワーを6段階に変化させて照射させて記録を行い、再生
は同じく定線速度で回転させながら1mWでレーザービ
ーム光を照射して、その反射光を検出することによって
再生した。記録・評価機はパルステック社製のDDU
(記録波長:636nm)を用いた。レーザービーム照
射による反射率の変化を最大変化幅Vの20%、35
%、50%、65%、80%、95%とするためのレー
ザービーム照射パワーはそれぞれ8.5mW、9.0m
W、9.5mW、10.0mW、10.5mW、11.
0mWであった。なお、このときの記録線速度は3.5
m/s、記録信号は5MHzとし、記録時のデューティ
ー比は50%とした。
【0100】この結果、レーザービーム照射パワー
(A)と、レーザービーム照射パワー(B)との関係は
(B−A)/B=0.19となった。このときの記録さ
れた信号のジッター値を、横河電気(株)TA320を
用いて測定した。
【0101】
【比較例1】レーザービーム波長770〜790nm付
近に光吸収域を持つアゾ系色素を用いた以外は、実施例
1と同様にして光記録媒体を作製した。
【0102】こうして得られた光記録媒体を用いてマル
チレベル記録を行った。マルチレベル記録は、定線速度
で回転させた光記録媒体に、レーザービームのパワーを
6段階に変化させて照射して記録を行い、再生は同じく
定線速度で回転させながら1mWでレーザービームを照
射して、その反射光を検出することによって再生した。
記録・評価機はパルステック社製のDDU(記録波長:
636nm)を用いた。レーザービーム照射による反射
率の変化を最大変化幅Vの20%、35%、50%、6
5%、80%、95%とするためのレーザービーム照射
パワーはそれぞれ5.0mW、5.2mW、5.4m
W、5.6mW、5.8mW、6.0mWであった。な
お、このときの記録線速度は1.2m/s、記録信号は
700kHzとし、記録時のデューティー比は70%と
した。
【0103】この結果、レーザービーム照射パワー
(A)と、レーザービーム照射パワー(B)との関係は
(B−A)/B=0.13となった。このときの記録さ
れた信号のジッター値を、横河電気(株)TA320を
用いて測定した。
【0104】
【比較例2】レーザービーム波長630〜650nm付
近に光吸収域を持つアゾ系色素を用いた以外は、実施例
2と同様にして光記録媒体を作製した。
【0105】こうして得られた光記録媒体を用いてマル
チレベル記録を行った。マルチレベル記録は、定線速度
で回転させた光記録媒体に、レーザービームのパワーを
6段階に変化させて照射して記録を行い、再生は同じく
定線速度で回転させながら1mWでレーザービームを照
射して、その反射光を検出することによって再生した。
記録・評価機はパルステック社製のDDU(記録波長:
636nm)を用いた。レーザービーム照射による反射
率の変化を最大変化幅Vの20%、35%、50%、6
5%、80%、95%とするためのレーザービーム照射
パワーはそれぞれ9.0mW、9.2mW、9.4m
W、9.5mW、9.7mW、10.0mWであった。
なお、このときの記録線速度は3.5m/s、記録信号
は5MHzとし、記録時のデューティー比は50%とし
た。
【0106】この結果、レーザービーム照射パワー
(A)と、レーザービーム照射パワー(B)との関係は
(B−A)/B=0.07となった。このときの記録さ
れた信号のジッター値を、横河電気(株)TA320を
用いて測定した。
【0107】以上の結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】表1の結果から明らかな様に、レーザービ
ーム照射パワー(A)と、レーザービーム照射パワー
(B)との関係が(B−A)/B>0.15のとき、記
録された信号のジッター値が良好である。このことか
ら、再生時に記録部分の信号を確実に読みとることがで
き、ジッター値の悪化した、即ち不十分な記録がなされ
た場合と比較して良好な記録信号再生が行えることが明
らかであることから、この様な光記録媒体を用いること
で良好なマルチレベル記録を行うことができる。
【0110】以下の実施例3〜5、比較例3〜6での具
体的な条件は次の通りである。
【0111】記録媒体10として記録層に色素を用いた
CD−Rを使用し、マルチレベル記録の実験を行った。
【0112】記録方法としては、CD−Rの記録評価に
使用されるパルステック製DDU(使用レーザー波長=
784nm)に、高周波信号発生器及びレーザーパワー
変調器を接続して行った。
【0113】再生評価もDDUにデジタルオシロスコー
プを接続して行った。
【0114】マルチレベル記録は、ディスクを4.8m
/secの一定線速度で回転させながら、4MHzのク
ロック周波数、即ち1つの仮想記録セル40の送り時間
を0.25μsec、レーザービーム照射時間を0.2
μsecとして、同時間内でのレーザービームの照射パ
ワーを6段階に変化させて記録を行い、再生は同じく定
線速度で回転させながら1mWのレーザービームを照射
して、仮想記録セル毎の反射光量の差を検出することに
よって行なった。
【0115】この場合、記録膜上での記録レーザービー
ムの直径は1.6μmとなる。仮想記録セル40のサイ
ズは、幅がグルーブと等しい0.35μm、長さは全長
4.8mのグルーブに400万の仮想記録セルを想定し
て、4.8m/4M=1.2μmとした。
【0116】さらに、このときの再生された信号のジッ
ター値を「Le Croy製デジタルオシロスコープL
C−534EL」に取り込んで測定した。
【0117】従来の2値記録再生方法によって記録した
場合を考慮すると、実施例3〜5、比較例3〜6で用い
た評価機ではジッター値が10%以下と測定されれば、
良好な記録が行えたものと判断できる。
【0118】
【実施例3】シアニン色素を、塗布溶媒となるフッ素化
アルコールに溶解して濃度2wt%の記録層形成用の色
素溶液を調製し、この溶液を、表面にスパイラル状のプ
レグルーブ(トラックピッチ:1.6μm、プレグルー
ブ幅:0.35μm、プレグルーブの深さ:0.18μ
m)が射出成型により形成されたポリカーボネート(帝
人化成(株)製:パンライトAD5503)からなる直径
120mm、1.2mm厚の光透過性基板のプレグルー
ブ側表面に、回転数200rpm〜5000rpmまで
変化させながらスピンコート法により塗布し、プレグル
ーブ内の底部からの厚さが約200nmの有機色素記録
層を形成した。
【0119】なお、ここで使用した光透過性基板には、
この光記録媒体がマルチレベル記録に使用されることを
示す判別信号と、レーザービームのパワーに関する情報
信号をあらかじめ記録したものを用いた。
【0120】次に、有機色素記録層上にAgを約100
nmの厚さにスパッタリングすることによって光反射層
を形成した。更に光反射層上に紫外線硬化性樹脂(大日
本インキ化学工業(株):SD318)を回転数300
rpm〜4000rpmまで変化させながらスピンコー
ト法により塗布した。塗布後、塗膜の上方から高圧水銀
灯により紫外線を照射して硬化させ、層厚10μmの保
護層を形成した。
【0121】こうして得られた光記録媒体を用いて本発
明のマルチレベル記録を試みた。
【0122】記録時のレーザービームの記録パワーは、
それぞれ、(1)3.5mW、(2)5.6mW、
(3)7.7mW、(4)9.8mW、(5)11.9
mW、(6)14mWの6段階で記録した。記録時はそ
れぞれの照射パワー毎に単一の信号をディスク1周にわ
たって記録を行った。
【0123】この媒体の初期反射率は72%(0.7
2)であり、14mWのレーザービームを250nse
c以上照射した時に限界最低反射率20%(0.20)
になった。従って、反射率変動幅は0.52(=0.7
2−0.20)であった。
【0124】媒体の反射率を、上記初期反射率0.72
から反射率変動幅の20%分(約0.1)低下させるの
に要した照射パワーAは3.5mWであり、同反射率変
動幅の80%分(約0.42)低下させるのに要した照
射パワーBは14mWであった。従って、反射率変動バ
ランスT=(B−A)/A=3であった。
【0125】この光記録媒体では、6段階のマルチレベ
ル記録が達成されており、その記録データを確実に読み
とることができた。なお、この媒体における上記(1)
〜(6)記録マークのジッター値を下記の表に示すが、
総ての記録マークにおいて10%以下の良好な評価が得
られていることがわかる。
【0126】
【実施例4】実施例3におけるシアニンをフタロシアニ
ンに変更し、塗布溶媒をメチルシクロヘキサンに変更し
て色素溶液を作成した。それ以外は実施例1と全く同様
にして光記録媒体を作製した。
【0127】記録時の記録線速度は4.8m/sであ
り、レーザービーム照射パワーはそれぞれ(1)4.3
mW、(2)6.1mW、(3)7.8mW、(4)
9.5mW、(5)11.3mW、(6)13mWとし
た。なお、それぞれの単一信号をディスク1周にわたっ
て記録した。
【0128】この媒体の初期反射率は68%(0.6
8)であり、レーザービームを250nsec以上照射
した時に限界最低反射率22%(0.22)に達した。
従って、反射率変動幅は0.46(=0.68−0.2
2)であった。
【0129】媒体の反射率を、上記初期反射率0.68
から反射率変動幅の20%分(約0.92)低下させる
のに要した記録パワーAは4.3mWであり、同反射率
変動幅の80%分(約0.37)低下させるのに要した
記録パワーBは13mWであった。従って、反射率変動
バランスT=(B−A)/A=2であった。
【0130】この光記録媒体では6段階のマルチレベル
記録が達成されており、その記録データを確実に読みと
ることができた。なお、この媒体における上記(1)〜
(6)記録マークのジッター値を下記の表に示すが、総
ての記録マークにおいて10%以下の良好な評価が得ら
れていることがわかる。
【0131】
【実施例5】実施例3の色素溶液をシアニンとアゾ金属
錯体の混合物に変更し、それ以外は同様にして光記録媒
体を作製した。シアニンとアゾ金属錯体の配合比は5
0:50wt%とした。
【0132】記録時の記録線速度は4.8m/sであ
り、レーザーパワーはそれぞれ(1)1.4mW、
(2)3.9mW、(3)6.4mW、(4)9.0m
W、(5)11.5mW、(6)14mWとした。な
お、それぞれの単一信号をディスク1周にわたって記録
した。
【0133】この媒体の初期反射率は70%(0.7
0)であり、14mWのレーザービームを250nse
c以上照射した時に限界最低反射率21%(0.21)
に達した。従って、反射率変動幅は0.49(=0.7
0−0.21)であった。
【0134】媒体の反射率を、上記初期反射率0.70
から反射率変動幅の20%分(約0.10)低下させる
のに要した記録パワーAは1.4mWであり、同反射率
変動幅の80%分(約0.39)低下させるのに要した
記録パワーBは14mWであった。従って、反射率変動
バランスT=(B−A)/A=9であった。
【0135】この光記録媒体でも6段階のマルチレベル
記録が達成されており、その記録データを確実に読みと
ることができた。なお、この媒体における上記(1)〜
(6)記録マークのジッター値を下記の表に示すが、総
ての記録マークにおいて10%以下の良好な評価が得ら
れていることがわかる。
【0136】
【比較例3】実施例4の色素溶液と同様の構成にして光
記録媒体を作製した。その際、スピンコート法の回転数
を調整することにより色素膜厚を250nmに変更し、
更に反射膜を金に変更した。
【0137】記録時の記録線速度は4.8m/sであ
り、レーザービーム照射パワーはそれぞれ(1)4.4
mW、(2)6.1mW、(3)8.8mW、(4)
9.5mW、(5)11.2mW、(6)13mWとし
た。なお、それぞれの単一信号をディスク1周にわたっ
て記録した。
【0138】この媒体の初期反射率は70%(0.7
0)であり、13mWのレーザービームを250nse
c以上照射した時に限界最低反射率20%(0.20)
に達した。従って、反射率変動幅は0.50(=0.7
0−0.20)であった。
【0139】媒体の反射率を、上記初期反射率0.70
から反射率変動幅の20%分(0.10)低下させるの
に要した記録パワーAは4.4mWであり、同反射率変
動幅の80%分(0.40)低下させるのに要した記録
パワーBは13mWであった。従って、反射率変動バラ
ンスT=(B−A)/A=1.8であった。
【0140】この光記録媒体では、6段階の記録データ
を確実に読みとることができなかった。なお、この媒体
における上記(1)〜(6)記録マークのジッター値を
下記の表に示すが、総ての記録マークにおいて10%以
上となっており、不十分な評価となっていることがわか
る。
【0141】
【比較例4】実施例5における色素溶液の配合比を変更
して光記録媒体を作製した。具体的には、シアニンとア
ゾ金属錯体の配合比を30:70wt%とした。
【0142】記録時の記録線速度は4.8m/sであ
り、レーザーパワーはそれぞれ(1)1.3mW、
(2)4.0mW、(3)6.7mW、(4)9.5m
W、(5)12.2mW、(6)15mWとした。な
お、それぞれの単一信号をディスク1周にわたって記録
した。
【0143】この媒体の初期反射率は70%(0.7
0)であり、15mWのレーザービームを250nse
c以上照射した時に限界最低反射率20%(0.20)
に達した。従って、反射率変動幅は0.50(=0.7
0−0.20)であった。
【0144】媒体の反射率を、上記初期反射率0.70
から反射率変動幅の20%分(0.10)低下させるの
に要した記録パワーAは1.3mWであり、同反射率変
動幅の80%分(0.40)低下させるのに要した記録
パワーBは15mWであった。従って、反射率変動バラ
ンスT=(B−A)/A=11であった。
【0145】この光記録媒体では、記録データ(4)
(5)はある程度の確率で読みとることができたが、そ
の他の記録データを確実に読みとることができなかっ
た。なお、この媒体における上記(1)〜(6)記録マ
ークのジッター値を下記の表に示すが、一部の記録マー
クにおいて10%以上となっており、不十分な評価とな
っていることがわかる。
【0146】
【比較例5】実施例3と全く同様にして光記録媒体を作
製した。
【0147】ここでは、記録時の記録線速度は4.8m
/s、レーザーパワーはそれぞれ(1)1.1mW、
(2)3.6mW、(3)7.4mW、(4)10.6
mW、(5)13.8mW、(6)17mWとした。
【0148】この媒体の初期反射率は72%(0.7
2)であり、17mWのレーザービームを200nse
c以上照射した時に限界最低反射率20%(0.20)
に達した。従って、反射率変動幅は0.52(=0.7
2−0.20)であった。
【0149】媒体の反射率を、上記初期反射率0.72
から反射率変動幅の20%分(約0.10)低下させる
のに要した記録パワーAは1.1mWであり、同反射率
変動幅の80%分(0.42)低下させるのに要した記
録パワーBは17mWであった。従って、反射率変動バ
ランスT=(B−A)/A=15であった。
【0150】この光記録媒体では、総ての記録データを
確実に読みとることができなかった。なお、この媒体に
おける上記(1)〜(6)記録マークのジッター値を下
記の表に示すが、総ての記録マークにおいて10%以上
となっており、その値は上記比較例2(T=11)より
も更に悪化していることが分かる。
【0151】
【比較例6】実施例3と同様にして光記録媒体を作製し
た。
【0152】ここでは記録時の記録線速度は4.8m/
s、レーザーパワーはそれぞれ(1)4.4mW、
(2)5.7mW、(3)7.0mW、(4)8.4m
W、(5)9.7mW、(6)11mWとした。
【0153】この媒体の初期反射率は72%(0.7
2)であり、11mWのレーザービームを300nse
c以上照射した時に限界最低反射率20%(0.20)
に達した。従って、反射率変動幅は0.52(=0.7
2−0.20)であった。
【0154】媒体の反射率を、上記初期反射率0.72
から反射率変動幅の20%分(約0.10)低下させる
のに要した記録パワーAは4.4mWであり、同反射率
変動幅の80%分(0.42)低下させるのに要した記
録パワーBは11mWであった。従って、反射率変動バ
ランスT=(B−A)/A=1.5であった。
【0155】この光記録媒体では、総ての記録データを
確実に読みとることができなかった。なお、この媒体に
おける上記(1)〜(6)記録マークのジッター値を下
記の表に示すが、総ての記録マークにおいて10%以上
となっており、その値は上記比較例1(T=1.8)よ
りも更に悪化していることが分かる。
【0156】実施例3〜5、比較例3〜6の結果を表2
に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
【発明の効果】本発明によれば、5段階以上の新たなマ
ルチレベル記録手法に適用されて確実にデータ検出可能
な光記録媒体を得ることができる。又、その記録マーク
の長さが読み取りレーザーの集光ビーム(ビームウエス
ト)の直径以下のものを含めることが可能になるので、
情報の記録密度を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係る光記録媒体の要
部を示す一部断面とした斜視図
【図2】同光記録媒体にレーザービームを用いて情報を
記録するための光記録装置を示すブロック図
【図3】同光記録装置により記録層に記録マークを形成
する際の、該記録マークと仮想記録セル及びその光反射
率との関係を示す模式図
【図4】仮想記録セルを照射するレーザービームを他の
形状とする場合を示す略示斜視図
【図5】本発明に係る光記録媒体における反射率の変動
を模式的に示す概念図
【符号の説明】
10…光記録媒体 12…記録層 14…基板 16…グルーブ 18…反射膜 20…保護層 30…光記録装置 32…スピンドル 36…レーザー 38…レーザードライバ 40…仮想記録セル 41…変調器 42…記録光学系 42A…対物レンズ 42B…ハーフミラー 42C…シリンドリカルレンズ 44…フォーカスサーボ回路 46…送りサーボ回路 48A〜48G、49、54…記録マーク 52…ピット 56…グルーブ中断部 D…ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 522 B41M 5/26 V

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過性基板上に記録層を有する光記録媒
    体に、記録に供するデータに応じて、レーザービームの
    照射パワーを5段階以上に切り換えて前記レーザービー
    ムを照射することでマルチレベル記録する時の、記録部
    分のレーザービーム照射による反射率の最大変化幅をV
    とした時、反射率の変化が0.2×Vとなるレーザービ
    ーム照射パワー(A)と、反射率の変化が0.8×Vと
    なるレーザービーム照射パワー(B)との関係が、式
    (1)を満たすことを特徴とする光記録システム。 (B−A)/B>0.15 (1)
  2. 【請求項2】請求項1において、前記記録層が主として
    有機色素により形成されている光記録媒体を用いること
    を特徴とする光記録システム。
  3. 【請求項3】光透過性基板上に形成される記録層に対し
    てレーザービームを照射することにより情報を記録可能
    な光記録媒体であって、 前記光記録媒体における前記レーザービームとの相対移
    動方向に、所定の単位長さ及びこれと直交する方向の所
    定の単位幅の複数の仮想記録セルが連続して規定される
    と共に、前記仮想記録セルにおける前記レーザービーム
    未照射状態の初期反射率X%、及び該レーザービーム既
    照射状態の限界最低反射率Y%から規定される反射率変
    動幅をX/100−Y/100としたとき、その変動幅
    全体を100%としたときの20%分を、前記レーザー
    ビーム照射によって初期反射率X%から変化させるのに
    必要なレーザービームの照射パワーをAとし、且つ、前
    記反射率変動幅X/100−Y/100の80%分をレ
    ーザービーム照射によって初期反射率X%から変化させ
    るのに必要なレーザービームの照射パワーをBとした場
    合、前記仮想記録セルが、 1.8<(B−A)/A<11 の特性になるように設定され、 該仮想記録セルに対して、単位時間の前記レーザービー
    ムの照射パワーを5段階以上に切り換えてマルチレベル
    記録可能とされたことを特徴とする光記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記レーザービ−ムの照射パワーを5段階以上に切り換
    えてマルチレベル記録することによって形成された複数
    サイズの記録マークの少なくとも一部に、読み取りレー
    ザーの集光ビームウエストの直径以下の長さとなる記録
    マークが含まれていることを特徴とする光記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項3又は4において、 前記光記録媒体の前記記録層が有機色素成分を含んで構
    成されていることを特徴とする光記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項3、4又は5において、 記録前の前記仮想記録セルの前記初期反射率Xが60%
    以上であり、且つ記録後の前記限界最低反射率が40%
    以下であることを特徴とする光記録媒体。
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