JP2001179238A - 廃液及び排ガス処理方法 - Google Patents
廃液及び排ガス処理方法Info
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Abstract
程より生じる、多量の水分を含む廃液、あるいは排ガス
に含まれる化学的酸素要求物質(COD物質)や強い臭
気を持つ物質を系外に放出することなく、廃液をより効
率的に濃縮し、その後、廃液ならびに排ガスの無害化処
理を行う方法、並びに上記の処理を長期間安定に行う方
法の提供。 【解決手段】 例えば、気液接触塔を用いて、多量の水
分を含む廃液と有機化合物を合成する工程から派生する
排ガスを直接接触させて、廃液の濃縮を行い、その後、
濃縮された廃液並びに排ガスを完全燃焼させることで、
廃液並びに排ガスの無害化処理を行う。
Description
的合成プロセスで派生する廃液と排ガスの処理方法に関
する。より具体的には、多量の水分の他に、酸化反応に
より含酸素有機化合物を合成する工程中に派生する、処
理が必要な化学的酸素要求物質(COD物質)を含む廃
液と、前記酸化反応に付随する排ガスの処理方法に関す
る。例えば、イソブチレンまたはtert-ブチルアルコー
ル、あるいは両者の混合物を原料として、気相接触酸化
反応によりメタクロレイン(メタクリルアルデヒド)を
製造する工程、または、メタクロレインをさらに気相接
触酸化してメタクリル酸を製造する工程、あるいは、前
記の二工程を持つプラントなどにおいて、これらの気相
接触酸化反応で発生する排ガスならびに工程中に派生す
る廃液の処理を、効率的、かつ長期間安定に行うことが
可能な処理方法に関する。
する方法として、種々の鎖状炭化水素や対応するアルコ
ール類を原料として、気相酸化反応により、前記原料化
合物を部分酸化して、目的とするアルデヒドやカルボン
酸に変換する手法が広く利用されている。この気相酸化
反応の工程では、当然、排ガスが発生し、また、気相反
応で生成する反応生成物を回収し、精製する過程では、
回収に用いた有機化合物や副生する有機化合物を複数種
含む廃液が派生する。
工程においては、第1工程として、イソブチレンまたは
tert−ブチルアルコール、あるいは、両者の混合物を原
料として、分子状酸素と共に熱交換型多管式反応器に導
入し、気相接触酸化反応を用いてメタクロレイン(メタ
クリルアルデヒド)を製造する。第2工程では、このメ
タクロレイン、あるいは、気相接触酸化反応で生成する
メタクロレインと残留する原料イソブチレンやtert−ブ
チルアルコールをも含有する混合物を、さらに気相接触
酸化してメタクリル酸を製造する。この方法を用いてメ
タクリル酸を製造するプラントでは、前記の気相接触酸
化反応工程に由来する排ガス、ならびに、反応後に、メ
タクリル酸の抽出、精製の工程に付随する廃液が大量に
発生する。この排ガスには、利用した空気に由来する窒
素、酸化反応で発生する水、二酸化炭素、あるいは、一
酸化炭素やアルデヒド、その他の副生する有機化合物が
含まれている。一方、廃液には、メタクリル酸の抽出、
精製、ならびに未反応原料メタクロレインなどの回収工
程に利用した大量の水の他に、酢酸や前記の工程で反応
ガスから除かれたその他の副生有機化合物が含まれてい
る。従来より、これらのプラントからの排ガスならびに
廃液中に含まれる、一酸化炭素やアルデヒド、酢酸、そ
の他の副生する有機化合物の除去、無害化の処理を行
い、窒素、水、二酸化炭素など、環境を汚染する懸念の
ないもののみが最終的に排出されている。
リル酸製造プラントから生じる廃液の処理方法として、
従来より活性汚泥法と直接燃焼法が知られている。活性
汚泥法は、藻類やバクテリアを利用して、廃液に含まれ
る有機化合物を生分解する方法であるが、一般に処理に
長時間を要し、加えて、藻類やバクテリアの生成に適し
た濃度に廃液を希釈してやる必要がある。そのため、多
量の廃液を処理する際には、処理設備の設置面積も廃液
量に応じて広大なものとなってしまう。
機化合物を焼却して、水と二酸化炭素として排出する方
法である。例えば、メタクリル酸製造プラントの廃液に
適用する場合、廃液は多量の水を含むため、有機化合物
濃度が低い。よってそのままで処理する際には、処理す
る廃液の量と比較して多量の助燃剤が必要となり、処理
コストが高くなる。そのため、一般的に、廃液中の水分
濃度を下げ、有機化合物濃度を高めるために、前処理と
して廃液を予め濃縮した後、焼却処理する方法が採用さ
れている。しかし、例えば、メタクリル酸製造プラント
から発生する廃液は、例えば、酢酸などの強い臭気を発
し、有害な化学的酸素要求物質(COD物質)を含んで
いるが、濃縮時にこれら酢酸など揮発性を有する物質も
一部、気体となって大気中へ水分と一緒に留出してしま
う。したがって、廃液を燃焼処理する装置とは別に、濃
縮にて生じる排ガスの処理設備が必要となる。また、こ
の廃液を蒸発塔などを用いて単純に濃縮する場合、常圧
程度の圧力下においては液温を、水の沸点である100
℃以上の高温に設定しなければならない。しかし、この
廃液をこのような高温にさらした場合、重合性の高い有
機化合物の重合物や、高沸点の有機化合物に由来すると
考えられる固形物が生成してしまい、塔内壁やリボイラ
ー等に付着して短期間で設備を汚してしまう事態が起こ
る。液温を下げるためには常圧以下の圧力下で濃縮を行
えばよいが、濃縮にて生じる排ガスの処理設備へ排ガス
を送るためには加圧用のブロワー等を用意せねばならな
い上、減圧や加圧のためのユーティリティも余分にかか
るという問題が生じるため、得策とは言えない。
濃縮を行い、その際、発生した揮発性を有する有機物等
の蒸発物を燃焼処理し、この廃液燃焼排ガスを用いて、
さらに直接廃液の濃縮を行った後、二段階で濃縮された
廃液を、助燃剤を利用して焼却処理する方法が提案され
ている(特開昭52−52487号公報)。しかし、こ
の二段階にて廃液の濃縮を行う方法は、処理コストの圧
縮には有効な手段ではあるが、後段の直接廃液を濃縮す
る工程で廃液燃焼排ガスを系外へ抜き出すため、その排
ガス中に混入する有害な有機化合物などに対処して、や
はり後処理の工程を別途設ける必要がある。また、常圧
程度で効率よく廃液を濃縮するためには、間接的に行う
一段階目の濃縮を100℃以上の高温で行う必要があ
り、重合性の高い有機化合物の重合物や、高沸点の有機
化合物に由来すると考えられる固形物が生成してしま
う。このように依然として、化学的酸素要求物質(CO
D物質)が大気中へ流出してしまう問題、重合性の高い
有機化合物の重合物や、高沸点の有機化合物に由来する
と考えられる固形物が生成する問題は解決されておら
ず、更なる改善、改良を要するものである。
に排ガスならびに廃液を処理する方法については、これ
までも長年にわたり、改善と改良が進められてきたが、
さらに高い効率と、また、長期間安定した処理が可能な
方法の開発がなお求められている。
本発明の目的は、気相反応を利用して有機化合物を合成
する工程より生じる、前記反応で派生する強い臭気を持
つ物質や化学的酸素要求物質(COD物質)などを含有
する、多量の水分を含む廃液をより効率的に濃縮し、そ
の後、廃液中に含まれる化学的酸素要求物質(COD物
質)などを燃焼処理するとともに、廃液濃縮と同時に、
工程に付随して発生する排ガス内に混入する化学的酸素
要求物質(COD物質)や強い臭気を持つ物質をも全て
除去・回収し、系外へ放出する廃液ならびに排ガスの無
害化処理を行う方法を提供することにある。より具体的
には、例えば、気相接触酸化反応を用いてメタクロレイ
ンを合成する工程、さらにメタクロレインを原料に、気
相接触酸化反応を用いてメタクリル酸を合成する工程、
あるいは、この両工程を有するプラントから生じる廃液
ならびに排ガスの処理に適する、前記気相接触酸化反応
において派生する化学的酸素要求物質(COD物質)
や、強い臭気を持つ物質を系外に放出することなく、排
ガス中に混入する化学的酸素要求物質(COD物質)の
除去・回収を行いつつ、効率よく廃液の濃縮を行うこと
ができ、また、操作圧力を常圧以下に減圧することな
く、前記処理を実施する装置の長期間にわたる安定運転
を可能とする、濃縮後に廃液を燃焼処理して、廃液なら
びに排ガスの無害化処理を行う方法を提供することにあ
る。
題を解決すべく、鋭意研究・検討を重ねた。気相反応に
より有機化合物を合成する工程では、反応後、目的とす
る生成物と出発原料の回収処理を施した後、反応に付随
する排ガスが多量に発生する。一方、前記の目的とする
生成物と出発原料の回収処理の過程、その後の生成物の
精製の過程においては、多量の水を含む廃液が派生す
る。この排ガス中には、反応副生物のうち、揮発性を有
する有機化合物なども混入するので、従来から、完全燃
焼などの処理を施した後、放出されていた。
生じる、多量の排ガスを利用して、多量の水を含む廃液
と排ガスを直接接触させ、廃液に含まれる水分の一部を
排ガスにより除去し、廃液を濃縮する工程を設け、その
後、排ガスは完全燃焼等の方法で処理し、また、濃縮さ
れる廃液も、直接燃焼処理することで、操作圧力を常圧
以下に設定しなくとも、重合性の高い有機化合物の重合
物や、高沸点の有機化合物に由来すると考えられる固形
物の析出を抑えることのできる温度での廃液濃縮を行う
ことができ、排ガスや廃液中に含有されている、化学的
酸素要求物質(COD物質)や強い臭気を持つ物質を系
外に放出することなく、効率的に廃液ならびに排ガスを
処理することが可能になることを見出した。さらに、前
記廃液と排ガスを直接接触させ、廃液の濃縮を行う工程
を、気液接触を二段以上に分けて実施することで、廃液
の濃縮率を下げることなく気液接触時の操作温度を低く
することができ、前記気液接触を行う装置内に、重合性
の高い有機化合物の重合物や、高沸点の有機化合物に由
来すると考えられる固形物が析出する現象を有効に抑え
ることもでき、長期にわたって安定に廃液の濃縮が行え
ることをも見出した。本発明者らは、これらの知見に基
づき、本発明を完成させるに至った。
法は、気相反応による有機化合物の合成に伴う排ガス、
ならびに前記反応で派生する化学的酸素要求物質(CO
D物質)と多量の水を含む廃液を処理する方法であっ
て、前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直接接触さ
せ、廃液を濃縮する工程を設け、濃縮される前記廃液に
対して、それに含まれる化学的酸素要求物質(COD物
質)を燃焼処理する工程を設けることを特徴とする。
は、前記気相反応による有機化合物の合成工程が、イソ
ブチレンまたはtert−ブチルアルコール、あるいは両者
の混合物を原料として、気相接触酸化反応を用いるメタ
クロレインの合成工程、メタクロレインを原料として、
気相接触酸化反応を用いるメタクリル酸の合成工程、な
いしは、前記二段階の合成反応の双方を行う合成工程で
ある際、前記気相接触酸化反応において副生する一酸化
炭素、アルデヒド類ならびにその他の有機化合物等を含
む排ガスと多量の水分の他に酢酸などの有機物を含む廃
液とを直接接触させ、廃液を濃縮する工程を設け、濃縮
される前記廃液を燃焼処理する工程を設けることを特徴
とする。
おいては、前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直接接
触させ、廃液を濃縮する工程を、気液接触塔で行うこと
が好ましい。加えて、本発明の廃液及び排ガス処理方法
においては、前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直接
接触させ、廃液を濃縮する工程を一段で行うことも可能
であるが、この工程を二段以上に分けて行うことがより
好ましい。加えて、本発明の廃液及び排ガス処理方法に
おいては、前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直接接
触させ、廃液を濃縮する工程を、前記気液接触塔を用い
て二段で行い、塔底温度を40℃以上80℃以下、より
好ましくは50℃以上80℃以下の範囲に選択すると更
に好ましい。
は、従来の手法、多量の水を含む廃液に含まれる水分濃
度を下げ、有機化合物濃度を高める廃液濃縮を行った
後、濃縮された廃液を燃焼処理する方法において、前処
理に当たる廃液濃縮をより効果的に行い、濃縮後の廃液
中に含まれる有機化合物濃度をより高くし、後段の燃焼
処理をより容易に、また、その処理コストの低減を図る
ものである。同時に、従来より、廃液とは別に、完全燃
焼などの処理を施した後に、系外に放出されていた気相
反応による有機化合物の合成に伴い生じる排ガスを、本
発明においては、廃液濃縮の過程に利用することで、排
ガス自体に残留する有機化合物の濃度を減ずるととも
に、濃縮に伴い廃液中に含まれる揮発性の有機化合物の
系外への留出をも抑制したものである。更には、前記排
ガスを廃液濃縮の過程に利用することで、操作圧力を常
圧以下に設定しなくとも、重合性の高い有機化合物の重
合物や、高沸点の有機化合物に由来すると考えられる固
形物の析出を抑えることのできる温度での廃液濃縮を容
易に行うことを可能とするものである。
いて、メタクリル酸製造プラントから生じる廃液、排ガ
スの処理に適用する例を挙げて、より詳しく説明する。
図2は、本発明の方法を実施する際に利用される、廃液
及び排ガスの処理装置の一例を示す。図2は、本発明の
方法を特徴づける、排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液の濃縮を行う工程に利用する気液接触
装置構成の一例を示す。図1に示す気液接触装置構成
は、気液接触塔1、リボイラー3、ポンプ5とストレー
ナー7から構成される第1段の気液接触系、ならびに気
液接触塔2、リボイリボイラー4、ポンプ6とストレー
ナー8から構成される第2段の気液接触系を具え、気液
接触を二段に行うものである。
体は、「第一段気相接触酸化反応」として、イソブチレ
ンまたはtert−ブチルアルコールを原料として、気相接
触反応を用いてメタクロレインを合成する工程、「第二
段気相接触酸化反応」として、前段の反応で生成するメ
タクロレインを原料として、更に気相接触酸化してメタ
クリル酸を合成する工程の二段の反応装置からなる。ま
た、「第一段気相接触酸化反応工程で生じた排ガス」と
は、第一段気相接触酸化反応後の気体からメタクロレイ
ン、未反応のイソブチレン(またはtert−ブチルアルコ
ール)を回収した後の残ガス、「第二段気相接触酸化反
応工程で生じた排ガス」とは、第二段気相接触酸化反応
後の気体からメタクリル酸、未反応のメタクロレインを
回収した後の残ガスを意味する。一方、この装置で処理
される廃液は、上記の第一段気相接触酸化反応ならびに
第二段気相接触酸化反応の工程で生じる、多量の水を含
む廃液を集積したものである。この廃液は、主に第二段
気相接触酸化反応後の抽出工程で用いる多量の水と、酢
酸や前記の水に溶解する副生反応生成物などを含む廃液
である。
ましくは3段〜5段に構成するものであり、メタクリル
酸製造プラントで生じる多量の水を含む廃液は、塔の上
部に設ける廃液供給ライン9から導入される。一方、気
液接触塔2の塔頂から気液接触塔1の下部へ、排ガス循
環ライン14が設けられている。気液接触塔2におい
て、廃液からの水分を取り込んだ排ガス(蒸気)は、前
記排ガス循環ライン14を経て、再度、気液接触塔1内
で廃液と直接接触させるものである。前記二段階の気液
接触を果たした排ガスは、気液接触塔1の塔頂に設ける
排ガス排出ライン12を経て、排ガスの後処理工程を行
う装置に送出される。
排ガスは、本処理装置に供給される原排ガスと同様に、
窒素や二酸化炭素、廃液と直接気液接触による多量の水
分(蒸気)の他に、気相接触酸化反応で副生する一酸化
炭素、酢酸などの強い臭気を持つ化学的酸素要求物質
(COD物質)の一部が気体となって混入している。原
排ガスに含まれていた水溶性の副生有機化合物は、気液
接触に伴い廃液中に溶解・蓄積される。後段の排ガスの
後処理工程を行う装置において、この排ガス中に含まれ
る、一酸化炭素、酢酸などの強い臭気を持つ化学的酸素
要求物質(COD物質)の気体は、燃焼処理等の処置が
施される。この排ガスの後処理工程は、従来の排ガスの
処理に用いる方法・装置と実質的に同じ方法・装置が利
用される。排ガスの後処理に用いる方法としては、助燃
剤を用いた、もしくは用いない直接燃焼処理や、活性ア
ルミナ上に白金等の貴金属を分散担持させた触媒を用い
た気相接触酸化反応器における完全燃焼処理等が利用で
きる。本発明においては、気液接触に伴い、相当部分の
水溶性の副生有機化合物は除去され、排ガス中には、一
酸化炭素、蒸気圧の高い(揮発性の高い)化学的酸素要
求物質(COD物質)の気体が残留するのみであり、後
者の気相接触酸化反応器における完全燃焼処理がより好
ましい。
ガス)を上記の触媒で燃焼処理する場合、気液接触塔1
の上部にデミスターもしくはミストセパレーターもしく
はその両方を設置するとよい。また、排ガス排出ライン
12において、冷却・凝集して溜まったミスト分を気液
接触塔1へ戻すような、循環用配管を設置してもよい。
排ガス排出ライン12から排出されるガス中のミスト
は、水や高沸点有機物からなっており、非常に大きな蒸
発潜熱を持つ。従って、ミストが多量に上記の気相接触
酸化反応器内に混入すると、その蒸発潜熱により、著し
く反応温度を下げてしまい、安定に燃焼処理が行えない
可能性がある。前記のデミスターもしくはミストセパレ
ーターを設けることで、前記のミスト混入を防止すると
好ましいものとなる。
触塔1の上部の段に廃液供給ライン9から導入された
後、前記気液接触によりある程度濃縮を受け、気液接触
塔1の塔底に溜まる。前記廃液供給量に応じて、塔底に
溜まる、ある程度濃縮された廃液の一定量をポンプ5を
用いて抜き出す。この抜き出される廃液中に重合物、固
形物が含まれる場合は、ポンプ5の前段に設けるストレ
ーナー7でこれらを除去する。その後、抜き出される廃
液の一部は、ポンプ5の後段に設けるリボイラー3で加
熱され、再び、気液接触塔1の下部、廃液の供給段と気
液接触塔2からの排ガス(蒸気)供給段の間の段に、廃
液循環ライン16を経て戻される。一方、抜き出される
廃液の残り、通常、廃液供給ライン9から導入される廃
液供給量に見合った量が、廃液循環ライン15を経て、
気液接触塔2に送られる。
るものではないが、通常、プラントから気液接触塔1へ
送液される廃液量と、気液接触塔1内の気液接触に伴
い、排ガスとともに排ガス排出ライン12から送出され
る水分(蒸気)量とを考慮して決定される。一般に、気
液接触塔1へ導入される廃液供給量の40〜60%程度
を気液接触塔2へ送液することで、系全体が安定に運転
される。仮に、気液接触塔2への送液量が廃液供給量の
40%に満たないならば、気液接触塔1の負荷の上昇と
共に、リボイラー3で加熱される廃液の循環量が増す結
果、塔底温度が上がる。塔底温度が上昇するとともに、
重合性の高い有機化合物の重合物や、高沸点の有機化合
物に由来すると考えられる固形物が、気液接触塔1の塔
内やリボイラー3、廃液循環ライン16などの廃液循環
用配管や、排ガス循環ライン14、排ガス抜き取りライ
ン12などに析出する可能性が増す。逆に、気液接触塔
2への送液量が廃液供給量の60%を超えるならば、結
果的に廃液循環ライン16を経て循環される廃液量が減
少するので、気液接触塔1のベーパー量が減少する。そ
れに伴い、気液接触塔1において、廃液ライン9から供
給される廃液に対する、効率的な気液接触が行えなくな
る可能性が増し、所望の濃縮が達成されない懸念が残
る。
工程もしくは第二段気相接触酸化反応工程もしくはその
両方の工程から生じた、反応副生物のアルデヒド類や一
酸化炭素等を含む排ガスと、前記気液接触塔1から送液
される、ある程度濃縮された廃液とを直接接触させるも
のである。図2に示す例では、気液接触塔2の中程に、
第一段気相接触酸化反応工程で生じた排ガスを導入する
排ガス供給ライン10、その下の段に、第二段気相接触
酸化反応工程で生じた排ガスを導入する排ガス供給ライ
ン11が設けられている。一般に、第二段気相接触酸化
反応工程で生じた排ガスは、第一段気相接触酸化反応工
程で生じた排ガスよりも、より酸化の進む反応副生成物
をより高い濃度で含む傾向を持つ。図2に示す例では、
これらより酸化の進む反応副生成物の廃液への溶解をも
図るため、より下の段に、第二段気相接触酸化反応工程
で生じた排ガスを導入する排ガス供給ライン11を設け
る構成を採用している。なお、この例では、気液接触塔
2に気液接触塔1と同じ様式のものを利用しているが、
気液が直接接触でき、廃液の濃縮が行えるものであれば
どのような様式のものでも構わない。
ン15を経て、気液接触塔1から送入されるある程度濃
縮された廃液は、気液接触塔2の塔底から抜き出さる濃
縮された廃液と、ストレーナー8の直前で混合される。
混合された廃液は、廃液中に重合物、固形物が含まれる
場合、ストレーナー8でこれらを除去した後、その一部
はポンプ6を用いて、リボイラー4で加熱され、再び気
液接触塔2へ戻される。この気液接触塔2へ戻される廃
液は、前記排ガス供給ライン10、11が設けられる段
よりも上段において、気液接触塔2に再導入される。こ
の廃液は水の他に酢酸や高沸点の有機化合物を含んでお
り、その一部は、ポンプ6の前に設ける分岐において、
廃液抜き取りライン13へ抜き出される。この抜き出さ
れる濃縮された廃液は、最終的に燃焼処理等の処置が施
される。
は、液相状態で酸化を行う湿式酸化処理、チタンを含有
する酸化物の担体に白金もしくは銅等を担持した固体触
媒を用いて液相で酸化を行う触媒湿式酸化処理、高温の
酸化性もしくは還元性雰囲気下で分解し、燃焼ガスを廃
液中に直接噴射して熱交換を行う液中燃焼処理、流動床
内に廃液を供給して、流動床の表面で廃液を蒸発、分解
させる流動床燃焼処理、助燃剤を用いた、もしくは用い
ない直接燃焼処理等が利用できる。本発明においては、
廃液の濃縮が効果的になされるので、直接燃焼処理に適
するものとなり、直接燃焼処理を採用すると好ましい。
直接燃焼処理に用いる助燃剤としては、灯油などの他
に、メタクリル酸製造プラント自体、あるいは、近接し
て設置される他のプラントから発生する、自燃性を有し
た蒸留残渣も利用できる。
れる濃縮された廃液の量は限定されないが、通常、気液
接触塔1に供給される廃液量の10〜30%程度に設定
するとよい。従って、気液接触塔2への送液量が、気液
接触塔1に導入される廃液供給量の40〜60%とする
と、抜き取り量は、気液接触塔2への送液量の1/4〜
3/4程度に相当する。仮に、抜き取り量が、廃液供給
量の10%に満たないと、廃液の濃縮が過度に進み、得
られる廃液の有機物濃度が所望の水準を超える。それに
伴い、直接燃焼処理を行う際、廃液の単位質量(液量)
当たりの発熱量が大きくなり、燃焼処理が安定に行える
上限の温度を超える懸念がある。一方、抜き取り量が、
廃液供給量の30%を超えると、逆に廃液の濃縮が不十
分であり、得られる廃液の有機化合物濃度は所望の水準
に達しない。この場合には、廃液の単位質量(液量)当
たりの発熱量が小さくなり、例えば、メタクリル酸製造
プラントから生じる蒸留残渣全量を助燃剤として加える
のみでは、安定な燃焼処理が維持できず、更なる助燃剤
の添加が必要となる。
は、メタクリル酸製造プラントから生じる廃液は、第1
段の気液接触塔1と第2段の気液接触塔2において、段
階的に、また効果的な濃縮がなされる。その間、濃縮
は、同じくメタクリル酸製造プラント自体で生じる排ガ
スを用いる気液接触により行われるので、操作圧力を常
圧以下に設定しなくとも、重合性の高い有機化合物の重
合物や、高沸点の有機化合物に由来すると考えられる固
形物の析出を抑えることのできる温度で、系外に化学的
酸素要求物質(COD物質)を放出することなく、所望
の濃縮が行われる。
明では、メタクリル酸製造プラントから、第一段気相接
触酸化反応後、目的生成物のメタクロレイン、未反応の
イソブチレン(またはtert−ブチルアルコール)を回収
した後の残ガス(第一段気相接触酸化反応工程で生じた
排ガス)、ならびに、第二段気相接触酸化反応後、最終
生成物メタクリル酸、未反応のメタクロレインを回収し
た後の残ガス(第二段気相接触酸化反応工程で生じた排
ガス)が、分離して排出される事例について述べた。な
お、メタクリル酸製造プラントによっては、第一段気相
接触酸化反応によって生じたメタクロレインを含む混合
物に、新たに分子状酸素を導入し、そのまま第二段気相
接触酸化反応を行って、メタクリル酸を合成する構成を
とる場合もある。このようなプラント構成では、排ガス
は若干組成が異なるが、上述の「第二段気相接触酸化反
応工程で生じた排ガス」に相当し、本発明の処理方法に
おいて、勿論問題なく処理できる。加えて、図1に示す
例では、第一段気相接触酸化反応工程で生じた排ガスと
第二段気相接触酸化反応工程で生じた排ガスは個別に供
給される構成であるが、プラント構成によっては、両排
ガスが工程直後で既に混合されている場合がある。この
プラント構成でも、上述の「第二段気相接触酸化反応工
程で生じた排ガス」に相当するものとして、本発明の処
理方法において、勿論問題なく処理できる。
気液接触塔の操作圧力は、特に制限されるものではない
が、通常、気相反応の合成によって生じる排ガスの圧力
は常圧以上、多くは140kPa以上であり、また、廃
液の濃縮に利用した後、排ガスを気液接触塔から排出
し、燃焼処理するというプロセスの構造上、塔頂より排
ガスを燃焼処理工程へ送出する気液接触塔の操作圧力
が、塔頂において好ましくは常圧以上、より好ましくは
110kPa以上になるよう設定するとよい。これによ
り、気液接触塔から排ガスを燃焼工程へ送出する際に加
圧ブロワー等を設置する必要がなくなり、効率的な廃液
及び排ガス処理が行われる。
工程は、一段の気液接触で行うこともできるが、二段の
気液接触、あるいは、二段を超える複数段の気液接触に
より行う構成とすると好ましい。気液接触を二段以上と
することで、各段における濃縮率を低減できる結果、個
々の気液接触塔の容量を大幅に低減することが可能とな
る。加えて、気液接触を二段以上とすることで、所望の
濃縮率を達成するために要する時間も相対的に短くな
り、それに伴い、単位時間当たりに、所望の濃縮率まで
濃縮処理を施すことができる廃液量を増すことができ
る。加えて、気液接触を二段以上とすることで、所望の
濃縮率を達成するために必要な操作温度も低くできる。
つまり、後述の重合性の高い有機化合物の重合物や、高
沸点の有機化合物に由来すると考えられる固形物の生成
を抑えることのできる温度範囲で、より高い濃縮率を達
成できる。更に、後述の理由により廃液と排ガスの気液
接触を行う気液接触塔の上下間における温度差を大きく
ならないようにすることが好ましいが、気液接触を二段
以上とすることで、各段の気液接触塔の容量を低減で
き、装置の相対的な小型化が可能となるので、気液接触
塔の上下間における温度差を大きくならないように、処
理の条件を制御することがより容易になる。
の気液接触を、常圧以下に減圧せずに、気液接触塔を用
いて一段で行う場合、気液接触塔の塔底温度は、60℃
以上、80℃以下の範囲に選択すると好ましい。塔底温
度を60℃よりも下げると実質的に廃液の濃縮が行われ
ない。また、塔底温度が80℃を超えると、廃液中に含
まれる重合性の高い有機化合物が重合する他、本来廃液
中に留めるべき高沸点の有機化合物も蒸発し、排ガスと
ともに塔頂から排ガス排出ラインにも流出し、塔内や配
管壁に固形物として析出する。これら重合性の高い有機
化合物の重合物や、高沸点の有機化合物に由来すると考
えられる固形物は、塔内や配管壁などを汚染し、あるい
は、閉塞を引き起こす。さらには、高沸点の有機化合物
はミストとなり、気相接触酸化反応器内に混入するなど
して、長期間安定に装置性能を維持できない可能性を増
す。
の気液接触を、常圧以下に減圧せずに、気液接触塔を用
いて二段以上で行う場合、気液接触塔の塔底温度は、4
0℃以上、80℃以下の範囲に選択すると好ましい。気
液接触塔の一部もしくは全ての塔底温度が40℃以下と
いう条件で気液接触を行うと、40℃以下の条件で気液
接触を行っている気液接触塔では実質的に廃液の濃縮が
行われない。また塔底温度が80℃を越えると、一段で
接触する場合と同等の理由で、長期間安定に装置性能を
維持できない可能性が増す。
の気液接触を、常圧以下に減圧せずに、気液接触塔を用
いて行い、廃液の燃焼処理の工程を、濃縮した廃液を直
接燃焼処理する構成とし、メタクリル酸製造プラントか
ら生じる蒸留残渣(具体的には、真発熱量12000k
J/kg以上25000kJ/kg以下、含有水分10
wt%以上40.0wt%以下、質量にして、主に抽出
工程に由来する廃液の40分の1程度の量生成する自燃
性を有する蒸留残渣)のみを助燃剤として利用する場合
には、気液接触を二段以上で行い、気液接触塔の塔底温
度を、50℃以上、80℃以下の範囲に選択すると好ま
しい。塔底温度が50℃に満たないと、濃縮が不十分と
なり、その際、装置に過負荷を与えないために、廃液抜
き取りライン13から抜き出さなければならない廃液の
量は、メタクリル酸製造プラントから生じる蒸留残渣の
みを利用して燃焼処理を行うことができる範囲の上限を
超えてしまう。そのため、メタクリル酸製造プラントか
ら生じる蒸留残渣に加えて、更なる助燃剤が必要とな
る。また、塔底温度が80℃を超えると、前記の理由に
より長期間安定に装置性能を維持できない可能性が増
す。同様に、気液接触を気液接触塔を用いて一段で行
い、前出の蒸留残渣のみを利用して燃焼処理するために
必要な濃縮率まで廃液を濃縮すると、塔底温度が80℃
を越えてしまい、前記の理由により長期間安定に装置性
能を維持できない可能性が増す。
に詳細に説明する。これら具体例は、本発明の方法にお
ける、最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。
示す構成の気液接触装置を用いて、一段で気液接触を行
った。処理の対象は、メタクリル酸製造プラントの気相
接触酸化反応工程から生じる排ガスと、メタクリル酸製
造プラントから生じる、主にメタクリル酸の抽出工程由
来の、多量の水を含む廃液である。この図1の装置を用
いる濃縮処理工程後、処理された排ガスは、気液接触塔
から排出し、燃焼処理し、また、濃縮された廃液は、助
燃剤を添加して、直接燃焼処理する。
気液接触塔1の直径は0.15m、塔長は0.9mであ
り、その内部に実段数7段のシーブトレイを設置した。
また、各段にはダウンカマーを設けた。プラントからの
多量の水を含む廃液は、気液接触塔1の6段目の廃液供
給ライン9から供給し、第一段気相接触酸化反応工程で
生じた排ガスは気液接触塔1の2段目の排ガス供給ライ
ン10から、第二段気相接触酸化反応工程で生じた排ガ
スは気液接触塔1の1段目の排ガス供給ライン11か
ら、それぞれ供給した。表1に、供給される廃液の組成
を示す。気液接触塔1への廃液供給量は、40.0kg
/hとした。表2に、第一段気相接触酸化反応工程で生
じた排ガスの組成、及び第二段気相接触酸化反応工程で
生じた排ガスの組成を示す。その供給量は、それぞれ6
9.3kg/h、47.3kg/hとした。また、ポン
プ5によって気液接触塔1の塔底から抜き出す廃液の一
部は、リボイラー3で加熱した後、廃液循環ライン16
を経て、気液接触塔1の3段目に送液した。
塔1は表3に示す温度、圧力となった。その際、廃液か
ら水分を吸収し、気液接触塔1の塔頂から排ガス排出ラ
イン12に排出される排ガス量は、142.5kg/
h、また、気液接触塔1から廃液抜き取りライン13よ
り取り出す濃縮済みの廃液量は、14.0kg/hとな
った。表4に、得られた排ガスの組成と、濃縮済み廃液
の組成を、それぞれ示す。この濃縮を行うことで、廃液
量は、重量にして濃縮前の35.0%にまで減少させる
ことができた。また、運転を開始してから30日を経過
しても、気液接触塔1の塔底液中やトレイ上に重合物や
固形物の析出はみられなかった。更に、リボイラー循環
ラインのストレーナー7、排ガス排出ライン12にも重
合物や固形物はみられなかった。
示す構成の気液接触装置を用いた。処理の対象は実施例
1と同様、メタクリル酸製造プラントの気相接触酸化反
応工程から生じる排ガスと、メタクリル酸製造プラント
から生じる、主にメタクリル酸の抽出工程由来の、多量
の水を含む廃液である。この図2の装置を用いる濃縮処
理工程後、処理された排ガスは、気液接触塔から排出
し、燃焼処理し、また、濃縮された廃液は、助燃剤を添
加して、直接燃焼処理する。
気液接触塔1及び気液接触塔2の直径は0.15m、塔
長は0.9mであり、その内部に実段数7段のシーブト
レイを設置した。また、各段にはダウンカマーを設け
た。プラントからの多量の水を含む廃液は、気液接触塔
1の6段目の廃液供給ライン9から供給し、第一段気相
接触酸化反応工程で生じた排ガスは気液接触塔2の2段
目の排ガス供給ライン10から、第二段気相接触酸化反
応工程で生じた排ガスは気液接触塔2の1段目の排ガス
供給ライン11から、それぞれ供給した。ただし、供給
される廃液と排ガスは実施例1で用いたものと実質的に
同じものである。また、気液接触塔1への廃液供給量
は、40.0kg/hとした。更に、第一段気相接触酸
化反応工程で生じた排ガス、及び第二段気相接触酸化反
応工程で生じた排ガスの供給量は、それぞれ69.3k
g/h、47.3kg/hとした。また、ポンプ5によ
って気液接触塔1の塔底から抜き出す廃液の一部は、リ
ボイラー3で加熱した後、廃液循環ライン16を経て、
気液接触塔1の3段目に送液した。気液接触塔2におい
ても、循環させる廃液は、ポンプ6の後段に設けるリボ
イラー4で加熱した後、気液接触塔2の3段目に送液し
た。一方、気液接触塔2の塔頂から取り出される排ガス
は、排ガス循環ライン14を経て、気液接触塔1の1段
目に供給した。
す、気液接触塔1及び気液接触塔2の温度、圧力となっ
た。その際、廃液から水分を吸収し、気液接触塔1の塔
頂から排ガス排出ライン12に排出される排ガス量は、
143.5kg/h、また、気液接触塔2から廃液抜き
取りライン13より取り出す濃縮済みの廃液量は、1
3.0kg/hとなった。表6に、得られた排ガスの組
成と、濃縮済み廃液の組成を、それぞれ示す。この二段
の濃縮を行うことで、廃液量は、重量にして濃縮前の3
2.5%にまで減少させることができた。また、運転を
開始してから30日を経過しても、気液接触塔1及び気
液接触塔2の塔底液中やトレイ上に重合物や固形物の析
出はみられなかった。更に、リボイラー循環ラインのス
トレーナー7、8、及び排ガス排出ライン12にも重合
物や固形物はみられなかった。
用いた図2に示す構成の装置を利用した。運転条件は、
本例では、気液接触塔2の塔底温度を59.4℃とした
が、これ以外は、実施例2と実質的に同じ条件で廃液の
濃縮を行った。すなわち、気液接触塔1の塔底温度、気
液接触塔1から気液接触塔2への送液量、メタクリル酸
製造プラントから生じる多量の水を含む廃液の組成とそ
の供給量、第一段気相接触酸化反応工程で生じた排ガス
の組成とその供給量、第二段気相接触酸化反応工程で生
じた排ガスの組成とその供給量に関しては、実施例2と
実質的に同じとした。
す、気液接触塔1及び気液接触塔2の温度、圧力となっ
た。その際、廃液から水分を吸収し、気液接触塔1の塔
頂から排ガス排出ライン12に排出される排ガス量は、
148.5kg/h、また、気液接触塔2から廃液抜き
取りライン13より取り出す濃縮済みの廃液量は、8.
0kg/hとなった。表8に、得られた排ガスの組成
と、濃縮済み廃液の組成を、それぞれ示す。この二段の
濃縮を行うことで、重量にして濃縮前の20.0%にま
で廃液を減少させることができた。
ては、実施例1及び2と同じく、運転を開始してから3
0日を経過しても、気液接触塔1及び気液接触塔2の塔
底液中やトレイ上に、重合物や固形物の析出はみられな
かった。更に、リボイラー循環ラインのストレーナー
7、8及び排ガス排出ライン12にも重合物や固形物は
みられなかった。
生する蒸留残渣(真発熱量18600kJ/kg、水分
16.7wt%)のみを、助燃剤として1kg/hで供
給しながら、表8に示す組成の得られた廃液8.0kg
/hを廃液燃焼処理装置によって連続的に直接燃焼処理
したところ、安定に処理を行うことができた。
化合物の合成に伴い生ずる排ガスとの気液接触を用いず
に廃液の濃縮を行う場合の装置構成の一例を示す図であ
る。処理の対象は、メタクリル酸製造プラントから生じ
る、主にメタクリル酸の抽出工程由来の、多量の水を含
む廃液である。この図3の装置を用いる濃縮処理工程
後、実施例と同様に、濃縮により生じた排ガスは、気液
接触塔から排出し、燃焼処理し、また、濃縮された廃液
は、助燃剤を添加して、直接燃焼処理する。
は、直径0.15m、塔長0.9mの蒸発塔であり、内
部にトレーやダウンカマーは設けていない。プラントか
らの廃液は、廃液濃縮塔17の上部に設置される廃液供
給ライン9から供給した。ただし、供給される廃液は実
施例1で用いたものと実質的に同じものである。また、
廃液濃縮塔17への廃液供給量は、40.0kg/hと
した。また、ポンプ5によって廃液濃縮塔17の塔底か
ら抜き出した廃液の一部は、リボイラー3で加熱した
後、廃液循環ライン16を経て、廃液濃縮塔17の中程
に送液した。
す、廃液濃縮塔17の温度、圧力となった。その際、廃
液の濃縮によって生じ、廃液濃縮塔17の塔頂から排ガ
ス排出ライン12に排出される排ガス量は、32.0k
g/h、また、廃液濃縮塔17から廃液抜き取りライン
13により抜き出される濃縮済みの廃液量は、8.0k
g/hとなった。表10に、得られた排ガスの組成と、
濃縮済み廃液の組成を、それぞれ示す。この濃縮を行う
ことで、廃液量は、重量にして濃縮前の20.0%にま
で減少し、実施例3の場合と同程度の濃縮、つまり、メ
タクリル酸製造プラントから発生する蒸留残渣(真発熱
量18600kJ/kg、水分16.7wt%)のみを
助燃剤として用いるだけで、燃焼処理が可能となる程度
まで濃縮を行うことができた。
縮塔17の塔底における温度は80℃を超える状態とな
り、運転開始1日でリボイラー循環ラインのストレーナ
ー7に重合物や固形物が蓄積してつまるようになり、度
々安定な運転ができない事態が発生した。更に、運転開
始後3日目に至ると、廃液循環ライン16にも閉塞が発
生し、廃液の循環量が保たれず、それ以上、上記の条件
で連続運転することが不可能となった。
用いた図3に示す構成の装置を利用した。運転条件は、
本例では、廃液濃縮塔17の塔頂圧力102kPaと
し、塔底から廃液抜き取りライン13へ抜き出す廃液の
質量を37.0kgとしたが、これ以外は、比較例1と
実質的に同じ条件で廃液の濃縮を行った。
示す、廃液濃縮塔17の温度、圧力となった。その際、
廃液の濃縮によって生じ、廃液濃縮塔17の塔頂から排
ガス排出ライン12に排出される排ガス量は、3.0k
g/hとなった。表12に、得られた排ガスの組成と、
濃縮済み廃液の組成を、それぞれ示す。
度、かつ、廃液の濃縮率を重量にして濃縮前の92.5
%に設定するなど、塔底温度を低下させようと試みたも
のであるが、表11に示されるごとく塔底温度は80℃
を越えた。結果、比較例1と同様、運転開始1日でリボ
イラー循環ラインのストレーナー7に重合物や固形物が
蓄積してつまるようになり、度々安定な運転ができない
事態が発生した。更に、運転開始後3日目に至ると、廃
液循環ライン16にも閉塞が発生し、廃液の循環量が保
たれず、それ以上、上記の条件で連続運転することが不
可能となった。
ら生じる、主にメタクリル酸の抽出工程由来の、多量の
水を含む廃液中には、水と共沸し、効果的に塔底温度を
下げるような物質は含まれていないと考えられる。
効率的、かつ、長期間安定に濃縮するには、廃液を単純
に加熱することによって濃縮を行うような工程を持つ処
理方法は利用できないことがわかる。
液の濃縮に同じプラントで生じる排ガスを用い、排ガス
と廃液とを直接接触させ、廃液中の水分の除去をおこな
うが、この方法をとると、化学的酸素要求物質(COD
物質)や、強い臭気を持つ物質を含む廃液の濃縮、例え
ば、気相接触酸化反応でメタクロレインもしくはメタク
リル酸もしくはその両方を製造するプラントから生じる
廃液の濃縮が、化学的酸素要求物質(COD物質)や、
強い臭気を持つ物質を系外に放出せずに効率的に行え
る。加えて、従来の方法においては、しばしば生じてい
た、濃縮に伴い気液接触塔内に重合物や固形物が析出す
る現象が、操作圧力を常圧以下に減圧することなく抑え
られ、利用する装置の長期間にわたる安定運転を容易に
行うことができる利点を有する。
に利用する、一段階で廃液の濃縮を行う装置の、装置構
成の一例を示す図である。
に利用する、二段階で廃液の濃縮を行う装置の、装置構
成の一例を示す図である。
合物の合成に伴い生ずる排ガスとを気液接触させずに、
廃液の濃縮を行う装置の、装置構成の一例を示す図であ
る。
より) 11 排ガス供給ライン(第二段気相接触酸化反応工程
より) 12 排ガス排出ライン 13 廃液抜き取りライン 14 排ガス循環ライン 15 廃液循環ライン 16 廃液循環ライン 17 廃液濃縮塔
Claims (8)
- 【請求項1】 気相反応による有機化合物の合成に伴い
生ずる排ガス、ならびに前記反応で派生する化学的酸素
要求物質(COD物質)と多量の水を含む廃液を処理す
る方法であって、 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直接接触させ、廃
液を濃縮する工程を設け、 濃縮される前記廃液に対して、それに含まれる化学的酸
素要求物質(COD物質)を燃焼処理する工程を設ける
ことを特徴とする廃液及び排ガス処理方法。 - 【請求項2】 前記気相反応による有機化合物の合成工
程が、イソブチレンまたはtert−ブチルアルコール、あ
るいは両者の混合物を原料として、気相接触酸化反応を
用いるメタクロレインの合成工程、メタクロレインを原
料として、気相接触酸化反応を用いるメタクリル酸の合
成工程、ないしは、前記二段階の合成反応の双方を行う
合成工程である際、 前記気相接触酸化反応において副生する一酸化炭素、ア
ルデヒド類ならびにその他の有機化合物等を含む排ガス
と多量の水分の他に酢酸などの有機物を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程を設け、 濃縮される前記廃液を燃焼処理する工程を設けることを
特徴とする請求項1に記載の廃液及び排ガス処理方法。 - 【請求項3】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程を、一段で行うことを
特徴とする請求項1または2に記載の廃液及び排ガス処
理方法。 - 【請求項4】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程を、二段以上に分けて
行うことを特徴とする請求項1または2に記載の廃液及
び排ガス処理方法。 - 【請求項5】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程において、 廃液と排ガスの気液接触を気液接触塔で行うことを特徴
とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃液及び排ガス
処理方法。 - 【請求項6】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程において、 廃液と排ガスの気液接触を気液接触塔で行い、その操作
圧力を常圧以下に設定せずに廃液の濃縮を行うことを特
徴とする請求項5に記載の廃液及び排ガス処理方法。 - 【請求項7】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程を、 廃液と排ガスの気液接触を気液接触塔を用いて一段で行
い、前記気液接触塔の操作圧力を常圧以下に設定せず、
塔底温度を60℃以上80℃以下の範囲に選択すること
を特徴とする請求項1または2に記載の廃液及び排ガス
処理方法。 - 【請求項8】 前記排ガスと多量の水を含む廃液とを直
接接触させ、廃液を濃縮する工程を、 廃液と排ガスの気液接触を気液接触塔を用いて二段で行
い、前記気液接触塔の操作圧力を常圧以下に設定せず、
塔底温度を40℃以上80℃以下の範囲に選択すること
を特徴とする請求項1または2に記載の廃液及び排ガス
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP37144499A JP4195163B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 廃液及び排ガス処理方法 |
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JP37144499A JP4195163B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 廃液及び排ガス処理方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001179238A true JP2001179238A (ja) | 2001-07-03 |
JP2001179238A5 JP2001179238A5 (ja) | 2007-02-15 |
JP4195163B2 JP4195163B2 (ja) | 2008-12-10 |
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ID=18498728
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP37144499A Expired - Fee Related JP4195163B2 (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | 廃液及び排ガス処理方法 |
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JP (1) | JP4195163B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013010084A (ja) * | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Hitachi Ltd | 水処理プロセス及びその浄水装置 |
JP2014079677A (ja) * | 2012-10-15 | 2014-05-08 | Nippon Shokubai Co Ltd | 廃ガスの処理方法 |
-
1999
- 1999-12-27 JP JP37144499A patent/JP4195163B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013010084A (ja) * | 2011-06-30 | 2013-01-17 | Hitachi Ltd | 水処理プロセス及びその浄水装置 |
JP2014079677A (ja) * | 2012-10-15 | 2014-05-08 | Nippon Shokubai Co Ltd | 廃ガスの処理方法 |
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