JP2001172259A - 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法 - Google Patents

蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法

Info

Publication number
JP2001172259A
JP2001172259A JP2000087013A JP2000087013A JP2001172259A JP 2001172259 A JP2001172259 A JP 2001172259A JP 2000087013 A JP2000087013 A JP 2000087013A JP 2000087013 A JP2000087013 A JP 2000087013A JP 2001172259 A JP2001172259 A JP 2001172259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
fluorescent
compound
carbodiimide compound
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000087013A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Kimura
直紀 木村
Namiko Shiohata
奈美子 塩畑
Yoko Yoshikawa
陽子 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nisshinbo Holdings Inc
Original Assignee
Nisshinbo Industries Inc
Nisshin Spinning Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshinbo Industries Inc, Nisshin Spinning Co Ltd filed Critical Nisshinbo Industries Inc
Priority to JP2000087013A priority Critical patent/JP2001172259A/ja
Publication of JP2001172259A publication Critical patent/JP2001172259A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Indole Compounds (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然由来の核酸も含めて核酸及び蛋白質に蛍
光性基を簡便に効率よく導入することが可能であり、且
つ水に対して十分な溶解性を有する新規な蛍光性基含有
カルボジイミド化合物、および、前記蛍光性基含有カル
ボジイミド化合物の製造に適した、蛍光性基との結合が
簡便かつ効率的に行える蛍光性基含有カルボジイミド化
合物前駆体を提供する。 【解決手段】 ハロゲン又はスルホン酸基を有する新規
な蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体を作製し、
これを用いてアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、
窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカル
ボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選
ばれる基を少なくとも1つ有する新規な蛍光性基含有カ
ルボジイミド化合物を作製する。さらに、標識物質で標
識した核酸を用いるハイブリダイゼーションによる核酸
の検出方法に、標識物質として前記蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物に関する。詳しくは、蛍光性基との結合
が簡便かつ効率的に行える、ハロゲン又はスルホン酸基
を有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び
その製造方法、並びに、核酸及び蛋白質に蛍光性基を簡
便に効率よく導入可能な、カルボキシル基、スルホ基、
ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1
つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物及びその製
造方法、さらにそれを利用した分析方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】蛍光物質を核酸に導入する方法として
は、例えば、蛍光物質が結合したヌクレオチドを用いて
酵素等により核酸へ導入する方法(特開平6−2715
99号公報)、ビオチン標識した核酸に蛍光物質が結合
したストレプトアビジンを結合させる方法、アミノリン
カーが結合した核酸にアミン反応性基含有蛍光物質を反
応させる方法等がある。また、上記以外の方法では、核
酸塩基に対して極めて高い反応性を示す蛍光性基含有カ
ルボジイミド化合物を用いる方法(特開平10−287
870号公報)等がある。
【0003】しかし、上記方法のうち特開平6−271
599号公報記載の方法、ビオチン標識による方法、ア
ミノリンカー結合を用いる方法においては、蛍光物質を
天然由来の核酸に導入することができず、操作が煩雑で
あるという欠点がある。また、上記蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物を用いる方法では、その分子内に4級ア
ンモニウム塩が存在するため、水に対する溶解性は良好
である。しかし、水に対する溶解性が低い蛍光物質、例
えば、近赤外域に吸収を有する程度に大きなπ電子系を
持つ蛍光物質を使用するためには、水に対する溶解性の
さらなる向上が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、天然由来の
核酸も含めて核酸及び蛋白質に蛍光性基を簡便に効率よ
く導入することが可能であり、且つ水に対して十分な溶
解性を有する新規な蛍光性基含有カルボジイミド化合
物、および、前記蛍光性基含有カルボジイミド化合物の
製造に適した、蛍光性基との結合が簡便かつ効率的に行
える蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン又は
スルホン酸基を有するカルボジイミド化合物を原料とし
て、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ
基から選ばれる基を少なくとも1つ有する、水への溶解
性が十分な蛍光性基含有カルボジイミド化合物を製造す
ることができ、この蛍光性基含有カルボジイミド化合物
を用いれば、核酸及び蛋白質に蛍光性基を導入する際
に、天然由来の核酸も含めて簡便に効率よくこれらを導
入することが可能であることを見出し、本発明を完成さ
せた。
【0006】すなわち本発明は、以下のとおりである。 (1)下記一般式(I)で表されるハロゲン又はスルホ
ン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆
体。
【0007】
【化7】 B−Y3−N=C=N−Y2−W−Y1−[A]n−Y4−X ・・・(I) [式(I)中、Xはハロゲン原子又はスルホン酸基を表
す。Aは、−CH2−、−NHCO−、−CONH−、
−O−、−S−、−NR1−(R1は炭素数1から20ま
での直鎖、環状若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂
肪族炭化水素基を表す。)、−NR23−(R2及びR3
は、独立して水素原子、炭素数1から20までの直鎖若
しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、
又は置換基を有してもよいシクロアルキル基、アリール
基若しくはアラルキル基を表す。但し、R2とR3のどち
らか一方が水素原子である場合、他方は炭素数1から2
0までの直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪
族炭化水素基、置換基を有してもよいシクロアルキル
基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。また、R
2とR3が相互に結合して全体として酸素を含有してもよ
い含窒素複素環式基を形成してもよい。)、−COO
−、−OCO−、−NHSO2−、−NHC(S)NH−
及び−SO2NH−からなる群から選ばれる官能基を表
し、nは0又は1を表す。Wは直接結合又は4級オニウ
ム基を表す。Y1、Y2、Y3及びY4は、各々下記一般式
(II)で示される官能基を表す。Bは水素原子又は式
(I)中の−W−Y1−[A]n−Y4−Xと同一もしく
は異なる一価の有機基を表す。また、前記B、Y1
2、Y3、Y4、A又はWで表される官能基はいずれの
官能基も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒
素若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボ
キシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ば
れる基を有してもよい。]
【0008】
【化8】 −(CH2p−(L)r−(CH2q− ・・・(II) [式(II)中、Lは、−CH2−、−NHCO−、−C
ONH−、−O−、−S−、−NR1−(R1は、式
(I)中におけるものと同意である。)、−NR23
(R2及びR3は、式(I)中におけるものと同意であ
る。)、−COO−、−OCO−、−NHSO2−、−
NHC(S)NH−及び−SO2NH−からなる群から選
ばれる官能基を表す。p及びqは各々0から20の整数
を表し、rは0又は1を表す。]
【0009】(2)下記一般式(III)で表されるアル
カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なく
とも1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物。
【0010】
【化9】 [式(III)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A、X、W
及びnは、各々前記一般式(I)におけるのと同意であ
る。Fは蛍光性基を表し、Qは3級又は4級窒素若しく
は3級又は4級リンを表す。R4及びR5は、独立して水
素原子、炭素数1から20までの直鎖若しくは分岐した
飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又は置換基を有
してもよいシクロアルキル基、アリール基若しくはアラ
ルキル基を表す。但し、R4とR5のどちらか一方が水素
原子である場合、他方は炭素数1から20までの直鎖若
しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、
置換基を有してもよいシクロアルキル基、アリール基若
しくはアラルキル基を表す。また、R4とR5が相互に結
合して−Q+45−として酸素を含有してもよい含窒
素複素環式基又は含リン複素環式基を形成してもよい。
5は、前記Y1、Y2、Y3及びY4と同義である。ま
た、前記B、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、A、W、R4
5及びFから選ばれる少なくとも1つの官能基は、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリ
ンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、ス
ルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少な
くとも1つ有する。]
【0011】(3)式(I)において、B、Y1、Y2
3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも1つの官能
基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
基を少なくとも1つ有する(1)の蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物前駆体。
【0012】(4)式(III)において、B、Y1
2、Y3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも1つ
の官能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、
窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカル
ボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選
ばれる基を少なくとも1つ有する(2)の蛍光性基含有
カルボジイミド化合物。
【0013】(5)式(III)において、Y5、R4、R5
及びFから選ばれる少なくとも1つの官能基が、アルカ
リ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを
含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ
基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくと
も1つ有する(2)の蛍光性基含有カルボジイミド化合
物。
【0014】(6)下記(A)、(B)及び(C)の工
程を含む(1)の蛍光性基含有カルボジイミド化合物前
駆体の製造方法: (A)下記一般式(IV)で表されるイソ(チオ)シアネ
ート化合物と、下記一般式(V)で表されるアミン化合
物とを反応させて下記一般式(VI)で表される(チオ)
尿素化合物を合成する工程、
【0015】
【化10】 [式中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A、W及びnは、各
々前記一般式(I)におけるのと同意である。Tは、酸
素原子またはイオウ原子を表す。Zは、水酸基、アルキ
ル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、フェニル
基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘導体基、又は
ホスホニウム基を表す。] (B)前記(A)工程で得られた一般式(VI)で表され
る化合物をハロゲン化又はスルホン化して下記一般式
(VII)で表される化合物を作製する工程、
【0016】
【化11】 [式(VII)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、W、A、n
及びXは、各々前記一般式(I)におけるのと同意であ
る。Tは、酸素原子またはイオウ原子を表す。] (C)前記(B)工程で得られた一般式(VII)で表さ
れる化合物を脱水反応又は酸化的脱硫反応させてカルボ
ジイミド化する工程。
【0017】(7)前記(6)の製造方法において、
B、Y1、Y2、Y3、Y4、A及びWから選ばれる少なく
とも1つの官能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換
されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホス
ホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有する、(3)の
蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体の製造方法。
【0018】(8)前記(1)の蛍光性基含有カルボジ
イミド化合物前駆体及び下記一般式(VIII)で表される
蛍光性基含有化合物からそれぞれ、カルボジイミド化合
物及び蛍光性基含有化合物を、両化合物の少なくとも1
つが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
官能基を有するように選択し、反応させる工程を含む、
(2)の蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方
法。
【0019】
【化12】Q'R45−Y5−F ・・・(VIII) [式(VIII)中、R4、R5、Y5及びFは、各々前記一
般式(III)におけるのと同意である。Q'は、水酸基、
アルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、フェ
ニル基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘導体基及
びホスホニウム基から選ばれる基で置換されていてもよ
い2級又は3級窒素含有基若しくは2級又は3級リン含
有基を表す。]
【0020】(9)前記(8)の製造方法において、
B、Y1、Y2、Y3、Y4、A及びWから選ばれる少なく
とも1つの官能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換
されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホス
ホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有する、(4)の
蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法。
【0021】(10)前記(8)の製造方法において、
5、R4、R5及びFから選ばれる少なくとも1つの官
能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素
若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれ
る基を少なくとも1つ有する、(5)の蛍光性基含有カ
ルボジイミド化合物の製造方法。
【0022】(11)標識物質で標識した核酸を用いる
ハイブリダイゼーションによる核酸の検出方法におい
て、標識物質として、(2)のアルカリ金属、アルカリ
土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基
で置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及
びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有する蛍光
性基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とす
る方法。
【0023】(12)標識物質として、(4)のアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを
含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ
基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくと
も1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用い
る(11)の方法。
【0024】(13)標識物質として、(5)のアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを
含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ
基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくと
も1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用い
る(11)の方法。
【0025】なお、本明細書において、「イソ(チオ)
シアネート化合物」とは、イソシアネート化合物又はイ
ソチオシアネート化合物を示し、「(チオ)尿素化合
物」とは、尿素化合物又はチオ尿素化合物を示す。ま
た、本明細書において、「スルホニル基含有誘導体基」
とは、スルホニル基の2価のうち一方が原子または基に
結合して生じる1価の基を意味する。スルホニル基含有
誘導体基の例としては、アルキルスルホニル基、アルコ
キシフェニル基が挙げられる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。まず、本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化
合物について説明する。
【0027】(1)蛍光性基含有カルボジイミド化合物 本発明のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素
若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれ
る基を少なくとも1つ有する蛍光性基含有カルボジイミ
ド化合物は、上記一般式(III)で表される化合物であ
り、その製造方法は特に限定されないが、例えば、上記
一般式(I)で表されるハロゲン又はスルホン酸基を有
する蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び上記
一般式(VIII)で表される蛍光性基含有化合物からそれ
ぞれ、カルボジイミド化合物及び蛍光性基含有化合物
を、両化合物の少なくとも1つが、アルカリ金属、アル
カリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基
性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ
基及びホスホ基から選ばれる官能基を有するように選択
し、反応させることにより得られるものである。
【0028】(i)蛍光性基含有カルボジイミド化合物
前駆体 本発明においてハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光
性基含有カルボジイミド化合物前駆体は、上記一般式
(I)で表される構造を有する。
【0029】式(I)中のXは、ハロゲン原子又はスル
ホン酸基であれば、特に制限はなく、公知のものを用い
ることができる。ハロゲン原子としては特に、Cl、B
r及びI原子が反応性の観点から好ましい。また、スル
ホン酸基としては、トシル基及びメシル基が反応性の観
点から好ましい。
【0030】式(I)中のAは、−CH2−、−NHC
O−、−CONH−、−O−、−S−、−NR1−、−
NR23−、−COO−、−OCO−、−NHSO
2−、−NHC(S)NH−及び−SO2NH−からなる群
から選ばれる官能基が挙げられ、nは0又は1を表す。
【0031】R1は炭素数1から20までの直鎖、環状
若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基
を表す。また、R2及びR3は、独立して水素原子、炭素
数1から20までの直鎖若しくは分岐した飽和若しくは
不飽和脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいシ
クロアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表
す。但し、R2とR3のどちらか一方が水素原子である場
合、他方は炭素数1から20までの直鎖若しくは分岐し
た飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有し
てもよいシクロアルキル基、アリール基若しくはアラル
キル基を表す。また、R2とR3が相互に結合して全体と
して酸素を含有してもよい含窒素複素環式基を形成して
もよい。さらに、上述の通りnは0又は1であり、一般
式(I)で表される化合物はAを有しても有しなくても
よい。
【0032】また、Aが有する置換可能な水素は、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基で置換さ
れていてもよい。
【0033】Wは直接結合又は4級オニウム基を表す。
なお、ここで用いる「4級オニウム基」とは、式(I)
に組み込まれて4級オニウム塩を形成し得る基を意味す
る。この様な4級オニウム基として具体的には、下記一
般式(IX)、(X)又は(XI)で表される基が挙げられ
る。
【0034】
【化13】 [式中のR6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、
炭素数1〜20の直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不
飽和脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基又は炭素数6
〜20のアリール基若しくはアラルキル基を表す。ま
た、これらの炭化水素基は、カルボキシル基、スルホニ
ル基含有誘導体基、ホスホニウム基、フェニル基、シク
ロアルキル基あるいは水酸基で置換されていてもよ
い。]
【0035】これらのうちでも本発明において特に好ま
しく用いられる4級オニウム基としては、上記一般式
(IX)においてR6及びR7がアルキル基である4級アン
モニウム基、上記一般式(X)で表させる基等が挙げら
れる。
【0036】さらに、Wが有する置換可能な水素は、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリ
ンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、ス
ルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基で置換
されていてもよい。
【0037】Y1、Y2、Y3及びY4は、カルボジイミド
基とB、A又はXとを結合するリンカー部分であり、各
々上記一般式(II)で表される官能基を示す。上記式
(II)中、Lは、−CH2−、−NHCO−、−CON
H−、−O−、−S−、−NR1−、−NR23−、−
COO−、−OCO−、−NHSO2−、−NHC(S)
NH−及び−SO2NH−からなる群から選ばれる官能
基を表し、p及びqは各々0から20の整数を表し、r
は0又は1を表す。R1、R2及びR3は、式(I)中に
おけるものと同意である。
【0038】また、Y1、Y2、Y3及びY4として好まし
くは、直接結合又は主鎖の炭素数が1から10でありか
つ分岐鎖としてメチル基を有してもよいアルキレン基を
用いることができる。前記アルキレン基としては、特に
制限はなく公知のものを用いることができる。また、こ
れらのアルキレン基が−NHCO−、−CONH−、−
O−、−S−、−NR1−、−NR23−、−COO
−、−OCO−、−NHSO2−、−NHC(S)NH−
及び−SO2NH−からなる群から選ばれる官能基を介
して相互に連結したものであってもよい。
【0039】さらに、Y1、Y2、Y3及びY4においては
いずれも、各々が有する置換可能な水素が、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有
する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、
ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基で置換されてい
てもよい。
【0040】Bは水素原子又は一価の有機基を表し、一
価の有機基の場合は式(I)中の−W−Y1−[A]n
4−Xと同一であっても異なってもよい。好ましくは
アルキル基、3級アミノ基又は4級アンモニウム基であ
り、好適な基としては以下に示すものが挙げられる。
【0041】(イ)窒素原子が水素原子、飽和若しくは
不飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基又は蛍光
性基を含む有機基で4級化されてもよい含窒素複素環式
基、例えば、ピリジル基、ピロリジニウム基若しくはピ
ペリジニウム基等。
【0042】(ロ)窒素原子が水素原子、飽和若しくは
不飽和炭化水素基、アリール基、アラルキル基、又は蛍
光性基を含む有機基で4級化されているアミノ基、例え
ば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基若しくはジイ
ソプロピルアミノ基等。
【0043】(ハ)下記一般式(XII)又は(XIII)で
表される複素環式3級アミノ基若しくは4級アンモニウ
ム基等。
【0044】
【化14】 [式中、R11及びR12は、各々水素原子、炭素数が1か
ら10までの直鎖若しくは分岐鎖の飽和若しくは不飽和
炭化水素基、アリール基又はアラルキル基を示す。Jは
アニオンを示し、具体的には、サルフェートイオン、ア
ルキルサルフェートイオン、アリールサルフェートイオ
ン、ハロサルフェートイオン、ハライドイオン等を示
す。R13は酸素原子またはそのイオン原子又はメチレン
基を表す。mは、0又は1である。] 具体的には、下記式で表される基:
【0045】
【化15】 [式中、R14及びR15は、各々水素原子、炭素数が1か
ら10までのアルキル基又炭素数が1から10までのア
ルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。]
【0046】(ニ)置換基を有してもよいアルキル基、
例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基、シクロヘキシル基及び、アリール基、例え
ば、フェニル基等。
【0047】また、Bが有する置換可能な水素は、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基で置換さ
れていてもよい。
【0048】上記のように、本発明の一般式(I)で示
されるハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有
カルボジイミド化合物前駆体において、B、Y1、Y2
3、Y4、A又はWで表される官能基はいずれの官能基
も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基
を有してもよいが、本発明において好ましくは、これら
から選ばれる少なくとも1つの官能基が、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有
する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、
ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1
つ有するものである。
【0049】アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、
窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカル
ボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基として
具体的には、−COONa、−COOK、(−COO)
2Mg、(−COO)2Ca、(−COO)2Ba、−C
OONH4、−COONR13、−COONR1 22、−
COONR1 3H、−COONR1 4、−SO3Na、−S
3NH4、−SO3NR 13、−SO3NR1 22、−S
3NR1 3H、−SO3NR1 4、−PO3Na2、−PO3
2、−PO3Ca、−PO3(NH42、−PO3(NR
132、−PO3(NR1 222、−PO3(NR
1 3H)2、−PO3(NR1 42、−OPO3Na2、−O
PO32、−OPO3(NR1 42(R1は、前記式
(I)中のR1と同意である。)等が挙げられる。
【0050】この様な、上記一般式(I)で表される本
発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体とし
て、具体的には、N−メチル−(3−モルホリノプロピ
ル)−N−(ヘキサン−6−アイオダイド)−カルボジ
イミド、N−メチル−(3−モルホリノプロピル)−N
−(ヘキサン−6−ブロミド)−カルボジイミド、N−
メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−(ヘキサン
−6−クロライド)−カルボジイミド、N−メチル−
(3−モルホリノプロピル)−N−(ヘキサン−6−ト
シレート)−カルボジイミド、N−メチル−(3−モル
ホリノプロピル)−N−(ヘキサン−6−メシレート)
−カルボジイミド、N−メチル−(3−モルホリノプロ
ピル)−N−(プロピル−(2−エチルカルボン酸ナト
リウム)−3−アイオダイド)−カルボジイミド、N−
メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−(プロピル
−(2−エチルカルボン酸カリウム)−3−アイオダイ
ド)−カルボジイミド、N−メチル−(3−モルホリノ
プロピル)−N−(プロピル−(2−プロピルカルボン
酸ナトリウム)−3−アイオダイド)−カルボジイミ
ド、N−メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−
(プロピル−(2−イソプロピルカルボン酸ナトリウ
ム)−3−アイオダイド)−カルボジイミド等が挙げら
れる。
【0051】(ii)蛍光性基含有カルボジイミド化合物 本発明のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素
若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれ
る基を少なくとも1つ有する蛍光性基含有カルボジイミ
ド化合物は、例えば、上記一般式(I)で表されるハロ
ゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物前駆体及び上記一般式(VIII)で表される蛍
光性基含有化合物からそれぞれ、カルボジイミド化合物
及び蛍光性基含有化合物を、両化合物の少なくとも1つ
が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる官
能基を有するように選択し、反応させることにより得ら
れるものであり、その構造は上記一般式(III)で表さ
れるものである。
【0052】上記(III)中の蛍光性基Fとしては、特
に制限がなく公知のものを用いることができるが、具体
的には、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ピレン
誘導体、ペリレン誘導体、ダンシル誘導体、ローダミン
誘導体、オキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導
体、ベンゾオキサジアゾール誘導体、ジピロメテンボロ
ンジフルオライド誘導体、チアゾールオレンジ誘導体、
蛍光希土類金属化合物誘導体及びシアニン誘導体等から
得られる基が挙げられる。
【0053】また、蛍光性基Fが有する置換可能な水素
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基
で置換されていてもよい。
【0054】また、上記式(III)中のQは、3級又は
4級窒素若しくは3級又は4級リンを表す。式(III)
中、R4及びR5は、独立して水素原子、炭素数1から2
0までの直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪
族炭化水素基、又は置換基を有してもよいシクロアルキ
ル基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。但し、
4とR5のどちらか一方が水素原子である場合、他方は
炭素数1から20までの直鎖若しくは分岐した飽和若し
くは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいシ
クロアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表
す。また、R4とR5が相互に結合して−Q+45−と
して酸素を含有してもよい含窒素複素環式基又は含リン
複素環式基を形成してもよい。なお、上記QはR4及び
5との組み合わせ、つまり−Q+45−というかたち
で、3級又は4級オニウム基を形成しているものであ
る。前記3級又は4級オニウム基のうちの好ましい基と
しては、上記Wにおいて好ましい基として例示した4級
オニウム基と同様のものが例示できる。
【0055】また、R4及びR5が有する置換可能な水素
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基
で置換されていてもよい。
【0056】式(III)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4
A、X、W、R2、R3及びnは、各々前記一般式(I)
におけるのと同意である。さらに、上記式(III)中の
5は、上記式(I)中のY1、Y2、Y3及びY4と同意
である。
【0057】この様に、本発明の一般式(III)で示さ
れる蛍光性基含有カルボジイミド化合物においては、上
記B、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、A、W、R4、R5
びFで表される官能基はいずれの官能基も、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有
する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、
ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を含有すること
ができるが、それと同時にこれらから選ばれる少なくと
も1つの官能基が必ず、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換
されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホス
ホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有するものであ
る。
【0058】例えば、上記一般式(I)で表されるハロ
ゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物前駆体と上記一般式(VIII)で表される蛍光
性基含有化合物を反応させることにより得られる本発明
の一般式(III)で示される蛍光性基含有カルボジイミ
ド化合物においては、前記前駆体由来のB、Y1、Y2
3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも1つの官能
基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
基を少なくとも1つ有する場合には、前記蛍光性基含有
化合物由来のY5、R4、R5及びFで表される官能基は
いずれの官能基も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換され
たカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基
から選ばれる基を有しても、有さなくてもよい。
【0059】同様に、前記蛍光性基含有化合物由来のY
5、R4、R5及びFから選ばれる少なくとも1つの官能
基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
基を少なくとも1つ有する場合には、前記前駆体由来の
B、Y1、Y2、Y3、Y4、A及びWで表される官能基は
いずれの官能基も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、
又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換され
たカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基
から選ばれる基を有しても、有さなくてもよい。
【0060】この様な、上記一般式(III)で表される
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物として、具
体的には、N−メチル−(3−モルホリノプロピル)−
N−(ヘキサン−6−(N−3−(ジメチルアミノプロ
ピル)−1−ローダミンBチオウレア−カリウム塩))
−カルボジイミド、N−メチル−(3−モルホリノプロ
ピル)−N−(ヘキサン−6−(N−3−(ジメチルア
ミノプロピル)−1−ローダミンBチオウレア−ナトリ
ウム塩))−カルボジイミド、N−メチル−(3−モル
ホリノプロピル)−N−(ヘキサン−6−(N−3−
(ジメチルアミノプロピル)−1−ローダミンBチオウ
レア−テトラメチルアンモニウム塩))−カルボジイミ
ド、N−メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−
(ヘキサン−6−(N−3−(ジメチルアミノプロピ
ル)−1−フルオロセインチオウレア−カリウム塩))
−カルボジイミド、2−[2−[3−[[1,3−ジヒ
ドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−
2H−インドール−2−イリデン]エチリデン]−2−
フェノキシ−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニ
ル]−1,1−ジメチル[3−プロピルチオウレア−N
−メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−(ヘキサ
ン−6−(N−3−(ジメチルアミノプロピル)−カル
ボジイミド))]1H−ベンツ[e]−インドリウム
塩、N−メチル−(3−モルホリノプロピル)−N−
(ヘキサン−6−(N−3−(ジメチルアミノプロピ
ル)−1−カスケードブルーアミノエチル−4−アジド
ベンズアミド−トリナトリウム塩))−カルボジイミド
等が挙げられる。
【0061】次に、本発明の蛍光性基含有カルボジイミ
ド化合物の製造方法について説明する。
【0062】(2)蛍光性基含有カルボジイミド化合物
の製造方法 本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法
は、特に限定されるものではないが、一般的には、上記
一般式(I)で表される蛍光性基含有カルボジイミド化
合物前駆体及び上記一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物からそれぞれ、カルボジイミド化合物及び蛍
光性基含有化合物を、両化合物の少なくとも1つが、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリ
ンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、ス
ルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる官能基を
有するように選択し、これらを反応させる製造方法が挙
げられる。
【0063】具体的には、上記一般式(I)で表される
蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び上記一般
式(VIII)で表される蛍光性基含有化合物を組み合わせ
たときに、両化合物の少なくとも1つが、アルカリ金
属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有
する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、
ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる官能基を有するよ
うな(i)上記一般式(I)で表される蛍光性基含有カ
ルボジイミド化合物前駆体を製造する工程、(ii)上記
一般式(VIII)で表される蛍光性基含有化合物を製造す
る工程、(iii)前記(i)工程で製造した蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体と、前記(ii)工程で製
造した上記一般式(VIII)で表される蛍光性基含有化合
物とを反応させる工程を行うことにより、本発明の蛍光
性基含有カルボジイミド化合物を製造することができ
る。
【0064】(i)上記(I)式で表される蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体を製造する工程 本発明におけるハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光
性基含有カルボジイミド化合物前駆体は、各々所望する
蛍光性基含有カルボジイミド化合物の構造に応じて適宜
選択できる。このようなハロゲン又はスルホン酸基を有
する蛍光性基含有カルボジイミド基含有化合物前駆体を
製造する方法については、特に制限されないが、例え
ば、まず、(A)イソシアネート化合物とハロゲン誘導
体又はスルホン誘導体に変換されるために必要な官能基
を有する1級アミン誘導体等のアミン化合物を出発原料
として尿素又はチオ尿素化合物を作製し、次いで、
(B)この(チオ)尿素化合物をハロゲン化又はスルホ
ン化処理して、さらに、(C)得られる化合物について
脱水あるいは酸化的脱硫によるカルボジイミド化を行う
ことにより達成される。以下に(A)から(C)の工程
を詳しく説明する。
【0065】(A)チオ(尿素)化合物を製造する工程 一般的に尿素化合物は、アミン化合物とイソシアネート
化合物との反応により合成することが可能であり[J.H.S
aunders and R.Slocombe,Chem.Rev.,43,203(1948)]、ま
た、チオ尿素誘導体についても、アミン化合物とイソチ
オシアネート化合物との反応により合成することが一般
的に行われている[N.A.Ivanov,R.V.Viasova,V.A.Gancha
rava, and L.N.Smirnov,Izv.Vyssh.Zaved.Khim.Tekhno
l.,19(7),1010(1976)]。
【0066】本発明の製造方法においても上記方法を適
用することが可能であり、上記一般式(IV)で表される
イソ(チオ)シアネート化合物と、上記一般式(V)で
表されるハロゲン誘導体又はスルホン誘導体に変換され
るために必要な官能基を有するアミン化合物とを反応さ
せて、上記一般式(VI)で表される(チオ)尿素化合物
を合成することができる。なお、これにより得られる一
般式(VI)で表される(チオ)尿素化合物も、ハロゲン
誘導体又はスルホン誘導体に変換されるために必要な官
能基、具体的には、水酸基、アルキル基、アルケニル
基、ビニル基、アリル基、フェニル基、カルボキシル
基、スルホニル基含有誘導体基、ホスホニウム基等を有
するものである。
【0067】上記反応の具体例として、例えば、N−
(3−モルホリノプロピル)イソチオシアネート、N−
3−ジメチルアミノプロピル−N−3−(4−モルホリ
ノ)−プロピルイソチオシアネート、1−エチル−3,
3−ジメチルアミノプロピルイソチオシアネート又はビ
ス−(3,3−ジメチルアミノ)プロピルイソチオシア
ネート等の一般式(IV)で表されるイソ(チオ)シアネ
ート化合物と、6−アミノヘキサノール、5−アミノペ
ンタノール、4−アミノブタノール又は3−アミノペン
タノール等の一般式(V)で表されるハロゲン誘導体又
はスルホン誘導体に変換されるために必要な官能基を有
するアミン化合物を、ジクロロメタン、クロロホルム又
はジメチルホルムアミド(以下「DMF」という)等の
公知の溶剤中で混合する反応を挙げることができる。こ
の様にして上記一般式(VI)で示されるハロゲン誘導体
又はスルホン誘導体に変換されるために必要な官能基を
有する(チオ)尿素化合物が得られる。
【0068】また、上記方法以外にも、以下に反応式を
示す様に、第1のアミン化合物と尿素を縮合させ1置換
尿素を得て、更に第2のハロゲン誘導体又はスルホン誘
導体に変換されるために必要な官能基を有する1級アミ
ンを反応させることにより2置換尿素中間体を合成する
ことができる[T. L. Davis and K. C. Blanchard, Org.
Synth. Coll Vol. 1, 453(1941)]。
【0069】
【化16】 [式中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A、W及びnは、各
々前記一般式(I)におけるのと同意である。Tは、酸
素原子またはイオウ原子を表す。Zは、水酸基、アルキ
ル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、フェニル
基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘導体基、又は
ホスホニウム基を表す。]
【0070】また、前記1置換尿素は第1のアミン化合
物とシアン酸又はその塩とを反応させることによっても
合成することができる[F. Kurzer, Org. Synth. Coll.
Vol.4, 49(1963)]。さらに、これらの反応において第1
のアミン化合物としてハロゲン誘導体又はスルホン誘導
体に変換されるために必要な官能基を有する1級アミン
を用いることも可能であり、その場合には、上記第2の
アミン化合物はハロゲン誘導体又はスルホン誘導体に変
換されるために必要な官能基を有しても有さなくてもよ
い。
【0071】なお、上記2置換尿素誘導体は、上述の様
にしてハロゲン誘導体又はスルホン誘導体に変換される
ために必要な官能基を有するアミン化合物とイソシアネ
ート化合物とを反応させることにより直接得ることもで
きる。
【0072】また、上記一般式(VI)で示される(チ
オ)尿素化合物がモルホリノアルキル基、モルホリノア
ルキルエステル基、モルホリノアルキルエーテル基、モ
ルホリノアルキルアミド基、モルホリノアルキルケトン
基、モルホリノアルキルチオウレア基、トリアルキルア
ミノ基、トリアルキルエステルアミノ基、トリアルキル
エーテル基、トリアルキルアミドアミノ基、トリアルキ
ルケトンアミノ基、トリアルキルチオウレアアミノ基、
トリアルキルホスホニウム基、トリアルキルエステルホ
スホニウム基、トリアルキルエーテルホスホニウム基、
トリアルキルアミドホスホニウム基、トリアルキルケト
ンホスホニウム基、トリアルキルチオウレアホスホニウ
ム基等の3級窒素又はリン含有基を有する場合には、こ
れをDMF等の公知の溶剤中でp−トルエンスルホン酸
メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸等と反応させて4
級オニウム塩化することにより、水溶性を向上させるこ
とができる。
【0073】ここで、上記(A)工程は、以下に説明す
る(A')イソ(チオ)シアネート化合物と1級アミン
誘導体等のアミン化合物を出発原料として尿素又はチオ
尿素化合物を作製する工程、次いで、(A")この(チ
オ)尿素化合物に、これら化合物がハロゲン誘導体又は
スルホン誘導体に変換されるために必要な官能基を導入
する工程の2段階で行うこともできる。
【0074】この方法においては、まず、(A')工程
で、上記一般式(IV)で表されるイソ(チオ)シアネー
ト化合物と同様の化合物と、下記一般式(V')で表さ
れるアミン化合物とを反応させて下記一般式(IV')で
表される(チオ)尿素化合物を合成する。この反応も上
記同様に、イソ(チオ)シアネート化合物とアミン化合
物との一般的な反応である。
【0075】
【化17】 [式中、B、Y2及びY3は、各々前記一般式(I)にお
けるのと同意である。W'は、水酸基、アルキル基、ア
ルケニル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、カルボ
キシル基、スルホニル基含有誘導体基及びホスホニウム
基から選ばれる基で置換されてもよい、2級又は3級窒
素含有基若しくは2級又は3級リン含有基を表す。T
は、酸素原子またはイオウ原子を表す。]
【0076】また、アミン化合物と二硫化炭素との反応
により上記(IV')で示される化合物として以下の様な
チオ尿素化合物を合成することもできる[W. W. Levis,
Jr.and E. A. Waipert, U.S. Pat. 3,168,560(1965)]。
【0077】
【化18】 [式中、B及びY3は、各々前記一般式(I)における
のと同意である。]
【0078】この他に、アミン化合物と尿素を縮合させ
1置換尿素を得て、更に第2の又は同一の1級アミンを
反応させることにより上記(IV')で示される化合物と
して以下の様な2置換尿素中間体を合成することができ
る[T. L. Davis and K. C. Blanchard, Org. Synth. Co
ll Vol. 1, 453(1941)]。
【0079】
【化19】 [式中、B、Y2及びY3は、各々一般式(I)における
のと同意である。W'は、置換されてもよいオニウム基
を表す。]
【0080】また、前記1置換尿素はアミン化合物とシ
アン酸又はその塩とを反応させることによっても合成す
ることができる[F. Kurzer, Org. Synth. Coll. Vol.
4, 49(1963)]。
【0081】次いで、上記(A')工程で得られた一般
式(IV')で表される(チオ)尿素化合物を下記一般式
(V")で表されるハロゲン誘導体あるいはスルホン誘
導体に変換されるために必要な官能基を有するアミン化
合物と反応させて一般式(VI)で表される化合物を作製
する(A")工程が行われる。
【0082】
【化20】 [式中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、W、A及びnは、各
々前記一般式(I)におけるのと同意である。Tは、酸
素原子またはイオウ原子を表す。Dは、水酸基、ハロゲ
ン原子又はスルホニル基含有誘導体基を表し、Zは、水
酸基、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリル
基、フェニル基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘
導体基、又はホスホニウム基を表す。]
【0083】この様にして(A)工程において上記一般
式(VI)で示されるハロゲン誘導体又はスルホン誘導体
に変換されるために必要な官能基を有する(チオ)尿素
化合物が、上記1段階の反応工程又は(A')、(A")
工程の2段階の反応工程により得られる。
【0084】(B)ハロゲン化又はスルホン化工程 上記一般式(VI)で示される(チオ)尿素化合物にハロ
ゲンを導入する方法としては、例えば、前記(チオ)尿
素化合物に水酸基が導入されている場合には、前記化合
物と、ハロゲン化試薬、例えば、ハロゲン化水素、ハロ
ゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化リ
ン、ハロゲン化ホスホン酸トリエステル、ハロゲン化ホ
スフィン、ハロゲン化チオニル、酸ハロゲン化合物等を
DMF、ベンゼン、ピリジン等の公知の溶剤中で混合し
反応させる方法が挙げられる[O.Kamm, C. S. Marvel, O
rg. Syhth., 1, 25(1941); T. A. Wnuk, P. Kovacic,
J.Am. Chem. Soc., 97, 5807(1975); J. D. Bartleson,
R. E. Burk, H. P. Lankelma, J. Am. Chem. Soc., 6
8, 2513(1946); K. Friedlich, H. K. Thieme, Synthes
is, 111(1973); H. Stone, H. Shechter, Org. Synth.,
4, 323(1963); T.H. Bevan, T. Malkin, D. B. Smith,
J. Chem. Soc., 1383(1955)]。
【0085】また、上記ハロゲン化試薬として、より具
体的には、臭化水素酸、臭化ナトリウム、塩化亜鉛、三
臭化リン、三塩化リン、ヨウ化カリウム、ヨウ化メチル
トリフェニルホスホン酸、ヨウ素、ヨウ化ナトリウム、
塩化メタンスルホニル、トリフェニルホスフィンジ臭
素、トリフェニルホスフィンジ塩素、トリフェニルホス
フィンジヨウ素、塩化チオニル、臭化チオニル等が挙げ
られる。
【0086】また、上記一般式(VI)で示される(チ
オ)尿素化合物にスルホン酸基を導入する方法として
は、例えば、前記(チオ)尿素化合物に水酸基が導入さ
れている場合には、前記化合物と、スルホン化試薬、例
えば、ハロゲン化スルホン酸等をジクロロメタン、クロ
ロホルム等の公知の溶剤中で混合し反応させる方法が挙
げられる。
【0087】また、上記スルホン化試薬として、具体的
には、塩化ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸塩化物、塩化メタンスルホン酸、臭化ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸臭化物、臭化メタンスル
ホン酸等が挙げられる。
【0088】この様にして上記一般式(VI)で示される
(チオ)尿素化合物をハロゲン化又はスルホン化するこ
とにより、上記一般式(VII)で示される(チオ)尿素
化合物のハロゲン誘導体又はスルホン酸誘導体が得られ
る。
【0089】(C)脱水又は酸化的脱硫工程 本発明の製造方法においては、上記で得られる一般式
(VII)で示される化合物をさらに脱水あるいは酸化的
脱硫反応させることにより、本発明の上記一般式(I)
で示される蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体へ
と導くことができる。
【0090】上記脱水反応は、上記一般式(VII)で示
される化合物のうち、式中のTが酸素である尿素化合物
について行われる反応であり、前記尿素化合物を3級ア
ミン中でp−トルエンスルホン酸クロリドと共に加熱す
ることで達成できる[G. Amiard and R. Heymers, Bull.
Soc. Chim. Fr., 1360(1956)]。また、4級アンモニウ
ム塩の存在下でp−トルエンスルホン酸クロリド及び炭
酸カリウムを用いても行うことができる[Zsuzsa M. Jas
zay., Synthesis, 520(1987)]。
【0091】本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合
物前駆体を得るために、上記一般式(VII)で示される
化合物のうち、式中のTがイオウであるチオ尿素化合物
には、酸化的脱硫反応が施される。前記酸化的脱硫反応
には、一般的に、酸化水銀が脱硫剤として用いられる。
酸化水銀以外にも、酸化鉛[F. Zetzehe and A. Fredric
h, Chem. Ber., 73, 1114(1940)]、酸化亜鉛[R. F. Col
es, U.S. Pat. 2946819(1960)]、炭酸鉛、硝酸鉛、塩化
鉛[J. C. Sheehan, U.S. Pat. 3135748(1964)]等を用い
ることができる。さらに、アルカリ性で次亜塩素酸ナト
リウムを用いてもよい[H. Stetter and C. Wulff, Che
m. Ber., 95, 2302(1962)]。
【0092】本発明の上記一般式(I)で示されるハロ
ゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物前駆体は上述のようにして製造することがで
きるが、上記製造法はあくまでも例示にすぎず、各工程
の順序は上記順序に制限されるものではない。例えば、
ハロゲン化又はスルホン化とカルボジイミド化はどちら
が先でも構わない。
【0093】さらに、上記(A)工程が、(A')工
程、(A")工程の2段階の反応工程により行われる場
合には、(A')工程で得られた一般式(VI')で示され
る化合物をカルボジイミド化した後、(A")工程でハ
ロゲン誘導体又はスルホン誘導体に変換されるために必
要な官能基の導入し、最後にハロゲン化工程を行うこと
で、本発明の上記一般式(I)で示されるハロゲン又は
スルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド化合
物前駆体を製造することも可能である。
【0094】この様にして、本発明の一般式(I)で示
されるハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有
カルボジイミド化合物前駆体が得られるが、一般式
(I)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A又はWで表され
る官能基はいずれの官能基においてもこれらが有する置
換可能な水素原子は、アルカリ金属、アルカリ土類金
属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換
されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホス
ホ基から選ばれる基で置換されていてもよい。
【0095】前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基は、一般式(I)で示される蛍光性基含有
カルボジイミド化合物前駆体が上記の様にして製造され
る際に、用いられる原料の段階で既に含まれていてもよ
いし、原料がこれらの基を含有しない場合は製造の最初
の段階で原料に導入されてもよく、また、製造の途中で
中間体に導入されてもよい。さらには最終的に得られる
一般式(I)で示される蛍光性基含有カルボジイミド化
合物前駆体がこれらの基を含有していない場合には最後
にこれらの基を導入してもよい。
【0096】また、導入の方法としては、カルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基
と導入のための官能基を有する化合物を用い、前記カル
ボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホ基等をナト
リウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マ
グネシウム等のアルカリ土類金属塩、窒素若しくはリン
を含有する塩基性基の塩とした後、これを上記蛍光性基
含有カルボジイミド化合物前駆体の原料、中間体、最終
物質等に導入する方法が挙げられる。あるいは、前記化
合物の有するカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、
ホスホ基等を塩とせずに、そのまま上記前駆体の原料、
中間体、最終物質等に導入した後、これら官能基を上記
同様の塩としてもよい。
【0097】上記前駆体の原料がカルボキシル基、スル
ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を有する
化合物の場合、これらをアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基の
塩とした後、これを上記製造工程に用いればよい。この
場合、原料のカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及
びホスホ基を塩とせずにそのまま上記製造工程に用い、
得られた化合物について適当な段階で、これら官能基を
上記同様の塩としてもよい。
【0098】ここで、上記化合物をこれらが有するカル
ボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホ基等の官能
基を介して、アルカリ金属塩化、アルカリ土類金属塩
化、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基の塩と
する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用い
ることができる。
【0099】具体的には、上記カルボキシル基、スルホ
基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を含有する
化合物に、水、アルコール等の公知の溶剤を加えてこれ
を溶解させ、得られた溶液に、さらに、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化テトラ
メチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、
臭化テトラメチルアンモニウム又はヨウ化テトラメチル
アンモニウム等を加えて混合し反応させる方法等が挙げ
られる。
【0100】(ii)上記一般式(VIII)で表される蛍光
性基含有化合物を製造する工程 上記(i)で得られるハロゲン又はスルホン酸基を有す
る蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体と反応させ
ることにより、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基を有する本発明の蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物を製造することができる上記一般式(VIII)
で表される蛍光性基含有化合物は、各々所望する蛍光性
基含有カルボジイミド化合物に応じて適宜選択できる。
【0101】この様な、上記一般式(VIII)で示される
蛍光性基含有化合物を得るには、蛍光性基Fを含有する
適当な蛍光性基含有化合物、具体的には、アントラセン
誘導体、クマリン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導
体、ダンシル誘導体、ローダミン誘導体、オキサゾール
誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾ
ール誘導体、ジピロメテンボロンジフルオライド誘導
体、チアゾールオレンジ誘導体、蛍光希土類金属化合物
誘導体及びシアニン誘導体等に、2級あるいは3級窒素
含有基又は2級あるいは3級リン含有基を、一般的な方
法により導入すればよい。ここで、蛍光性基Fと2級あ
るいは3級窒素含有基又は2級あるいは3級リン含有基
とを有する上記一般式(VIII)で示される蛍光性基含有
化合物を製造する際の製造方法は特に限定されるもので
はない。
【0102】具体例として、一般式(VIII)中のY5
−(CH2p−NHC(S)NH−(CH2q−である
化合物の製造方法を以下に示すが、この反応はイソチオ
シアネート基と蛍光性基を含有する化合物と2級又は3
級窒素若しくはリン含有基を有するアミン化合物との反
応を示す一般的な反応である。
【0103】
【化21】 [式中、R4、R5及びFは、各々前記一般式(III)に
おけるのと同意である。Q'は、前記一般式(VIII)に
おけるのと同意である。]
【0104】さらに具体的な例として、フルオロセイン
イソチオシアネート、ローダミンBイソチオシアネート
又は2−[2−[3−[[1,3−ジヒドロ−1,1−
ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−インドー
ル−2−イリデン]エチリデン]−2−フェノキシ−1
−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,1−
ジメチル[3−プロピルイソチオシアネート]1H−ベ
ンツ[e]−インドリウム塩等と、1級及び3級のアミ
ノ基を有するアミン誘導体、例えば、N−3−ジメチル
アミノプロピル−N−3−(4−モルホリノ)プロピレ
ン、1−エチル−3,3−ジメチルアミノプロピレン、
ビス−(3,3−ジメチル)アミノプロピレン又はビス
−(3,3−ジメチルアミノ)プロピレン等をジクロロ
メタン、クロロホルム又はDMF等の公知の溶剤中で混
合し反応させる方法等が挙げられる。
【0105】この様にして、上記一般式(VIII)で示さ
れる蛍光性基含有化合物が得られるが、一般式(VIII)
中、Y5、R4、R5及びFで表される官能基はいずれの
官能基においてもこれらが有する置換可能な水素原子
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基
で置換されていてもよい。
【0106】前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基は、一般式(VIII)で示される蛍光性基含
有化合物が上記の様にして製造される際に、用いられる
原料の段階で既に含まれていてもよいし、原料がこれら
の基を含有しない場合は製造の最初の段階で原料に導入
されてもよく、また、製造の途中で中間体に導入されて
もよい。さらには最終的に得られる一般式(VIII)で示
される蛍光性基含有化合物がこれらの基を含有していな
い場合には最後にこれらの基を導入してもよい。
【0107】また、導入の方法としては、上記蛍光性基
含有カルボジイミド化合物前駆体の場合と同様とするこ
とができる。原料がカルボキシル基、スルホ基、ホスホ
ノ基及びホスホ基から選ばれる基を有する化合物の場合
の扱いについても、上記蛍光性基含有カルボジイミド化
合物前駆体の場合と同様とすることができる。さらに、
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基を有する化合物をこれらが有する前記官能
基を介して、アルカリ金属塩化、アルカリ土類金属塩
化、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基の塩と
する方法についても、上記同様とすることができる。
【0108】(iii)前記(i)工程で製造した蛍光性
基含有カルボジイミド化合物前駆体と、前記(ii)工程
で製造した上記一般式(VIII)で表される蛍光性基含有
化合物とを反応させる工程 本発明の上記一般式(III)で表されるアルカリ金属、
アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する
塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホス
ホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有
する蛍光性基含有カルボジイミド化合物は、前記(i)
工程で製造した一般式(I)で表されるハロゲン又はス
ルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物
前駆体と前記(iii)工程で製造した一般式(VIII)で
表される蛍光性基含有化合物とを反応させることにより
製造される。
【0109】ここで用いられる一般式(I)で表される
ハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物前駆体および一般式(VIII)で表される
蛍光性基含有化合物においては、その何れかが必ずアル
カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なく
とも1つ有する化合物でなければならない。
【0110】つまり、一般式(I)で表されるハロゲン
又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド
化合物前駆体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基を少なくとも1つ有する場合、つまり、一
般式(I)中の、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A及びWか
ら選ばれる少なくとも1つの官能基が、アルカリ金属、
アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する
塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホス
ホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有
する場合には、一般式(VIII)で表される蛍光性基含有
化合物は、前記官能基を有しても、有さなくてもよい。
【0111】同様に一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
ら選ばれる基を少なくとも1つ有する場合、つまり、一
般式(VIII)中の、Y5、R4、R5及びFから選ばれる
少なくとも1つの官能基が、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で
置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び
ホスホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有する場合に
は、一般式(I)で表されるハロゲン又はスルホン酸基
を有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体は、
前記官能基を有しても、有さなくてもよい。
【0112】この様な一般式(I)で表されるハロゲン
又はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド
化合物前駆体と一般式(VIII)で表される蛍光性基含有
化合物とを反応させる方法は、特に限定されないが、具
体的には、前記両化合物を、ジクロロメタン、クロロホ
ルム又はDMF等の公知の溶剤中、適当な割合で混合し
反応させることで製造することができる。
【0113】本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合
物においては、その製造に際して、上記一般式(I)で
表されるハロゲン又はスルホン酸基を有する蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体を用いることにより、例
えば、構造中にカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ
基、ホスホ基等の官能基を有する蛍光性基含有化合物に
ついても、これら官能基を前記化合物からあらかじめ除
去することなく、塩のかたちで残してカルボジイミド基
の導入が可能となり、従来の方法に比べて工程数が少な
く効率のよい製造が可能である。
【0114】また、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ
ノ基、ホスホ基等の官能基をその構造中に含む市販品の
蛍光性基含有化合物に対しても、これらを塩として簡便
にカルボジイミド基を導入することができるため、利用
できる蛍光基含有化合物の種類を大幅に増やすことがで
きるものである。
【0115】以上述べた方法により得られる本発明の蛍
光性基含有カルボジイミド化合物は、核酸検出法やイム
ノアッセイ法において標識物質として好適に使用するこ
とができる。その場合は、標識しようとするDNA等の
核酸又は抗原もしくは抗体等のタンパク質とともに、本
発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を、溶媒中で
混合させる等の方法で接触させることにより、前記核酸
又はタンパク質に結合させることができる。すなわち、
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物を、核酸塩
基と高い反応性を示すカルボジイミド基において核酸又
はタンパク質と結合させることにより、高感度な検出試
薬として働く蛍光性物質をこれらに付加し、標識とする
ことができるのである。よって、本発明の蛍光性基含有
カルボジイミド化合物と核酸又はタンパク質と結合させ
る場合には、カルボジイミド基が反応しやすい条件下、
例えばpH7.5〜8.5程度のアルカリ性の条件下で
両者を接触させるのが好ましい。さらに、本発明の蛍光
性基含有カルボジイミド化合物は、化学発光分析法等に
も適用可能である。
【0116】また、本発明の蛍光性基含有カルボジイミ
ド化合物においては、カルボジイミド基がカルボキシル
基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホ基等の官能基の塩と
同一系内に存在できるため、従来の蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物に比べて、水溶性が十分に改善されてお
り、上記核酸検出法やイムノアッセイ法において標識物
質として使用する際や化学発光分析法等に使用する際に
有利である。
【0117】(3)本発明の核酸検出法 本発明のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素
若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキ
シル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれ
る基を少なくとも一つ以上有する蛍光性基含有カルボジ
イミド化合物は、標識物質で標識した核酸を用いるハイ
ブリダイゼーションによる核酸の検出法において、標識
物質として用いることができる。すなわち、蛍光性基含
有カルボジイミド化合物で標識された核酸は、ハイブリ
ダイゼーション用のプローブとして用いることができ
る。測定対象である核酸にプローブをハイブリダイズさ
せて、核酸−核酸ハイブリッドを形成させ、系から遊離
のプローブを除去した後にハイブリッドに含まれる標識
物質を検知することによって、測定対象の核酸を検出す
ることができる。本発明においては、標識物質である蛍
光性基含有カルボジイミド化合物は、蛍光分光光度計、
96穴マイクロタイタープレート用蛍光分光光度計、蛍
光顕微鏡等を用いて蛍光強度等を測定することにより直
接的に検知することができる。測定対象である核酸は、
通常、ナイロンメンブレン、ニトロセルロース等の膜又
はマイクロタイタープレート上に固定化されて用いられ
る。
【0118】本発明の核酸の検出法におけるハイブリダ
イゼーションは、核酸プローブの標識に蛍光性基含有カ
ルボジイミド化合物を用いる以外は、コロニーハイブリ
ダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、ド
ットブロットハイブリダイゼーション、サザンハイブリ
ダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション等
の、通常の核酸のハイブリダイゼーションと特に変わる
ところはない。測定対象である核酸は、DNAであって
もRNAであってもよく、プローブに用いる核酸もまた
DNAであってもRNAであってもよい。
【0119】プローブに用いる核酸の標識は、上記の方
法によってポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを
標識することによって行うことが好ましいが、標識され
たヌクレオチドをポリメラーゼ反応によってポリヌクレ
オチド又はオリゴヌクレオチドに取り込ませることによ
って行うこともできる。
【0120】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0121】
【実施例1】(1)一般式(I)で表される蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体の製造 N−(3−モルホリノプロピル)イソチオシアネート
1.68g(10mmol)を乾燥塩化メチレン15m
lに溶解し、水浴で冷却した。これに、6−アミノヘキ
サノール1.17g(10mmol)を加え、室温で1
晩攪拌した。反応混合物に水を加えた後、塩化メチレン
を用いて抽出し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥さ
せ、セライトを用いて濾過、濃縮して、化合物(I−I
−A)2.7g(収率95%)を得た。NMRスペクト
ルデータを以下に示す。
【0122】1H−NMR(CDCl3):δ=1.35-1.85
(m,12H)、δ=2.40-2.60(m,6H)、δ=3.45(br,2H)、δ=3.
65(t,2H)、δ=3.75(t,4H)。
【0123】
【化22】
【0124】次いで、得られた化合物(I−I−A)
2.0g(4.87mmol)を乾燥DMF5mlに溶
解し、ヨウ化メチル0.691g(4.87mmol)
を加え、室温で1晩攪拌した。反応混合物を濃縮した
後、エーテル/メタノールを加えデカンテーションによ
り化合物(I−I−B)2.6g(収率97%)を得
た。NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0125】1H−NMR(DMSO):δ=1.25-1.65
(m,10H)、δ=1.75(t,2H)、δ=2.30-2.45(m,2H)、δ=2.6
5(s,3H)、δ=3.20-3.50(m,6H)、δ=3.60(t,4H)、δ=3.7
5(br,2H)。
【0126】
【化23】
【0127】次いで、得られた化合物(I−I−B)2
g(3.62mmol)をDMF5mlに溶解し、メチ
ル−(トリフェニル)−ホスホニウムアイオダイド3.
27g(7.23mmol)を加え、室温で3時間攪拌
後、メタノール5mlを加え、20分間攪拌した。さら
に、この反応混合物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラ
フィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=50/
1)により、単離精製して化合物(I−I−C)2.9
8g(収率95%)を得た。NMRスペクトルデータを
以下に示す。
【0128】1H−NMR(CDCl3):δ=1.30-1.90
(m,10H)、δ=2.25(t,2H)、δ=2.85-3.00(m,6H)、δ=2.9
5(s,3H)、δ=3.20(t,2H)、δ=3.45(br,2H)、δ=3.90(t,
4H)。
【0129】
【化24】
【0130】次いで得られた化合物(I−I−C)2g
(2.31mmol)をアセトン5mlに溶解し、酸化
亜鉛1g(4.62mmol)を加え、3時間環流下攪
拌した。さらに、1時間放置して反応混合物を冷却後、
デカンテーションを行い濃縮して、化合物(I−I−
D)1.73g(収率90%)を得た。この化合物は、
本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体の一
つである。NMRスペクトルデータ及びIRスペクトル
データを以下に示す。
【0131】1H−NMR(CDCl3):δ=1.30-1.90
(m,10H)、δ=2.40-2.50(m,8H)、δ=3.15(s,3H)、δ=3.2
0(t,2H)、δ=3.30(t,4H)、δ=3.75(t,4H)。 IR:2127 cm-1(−N=C=N−基)
【0132】
【化25】
【0133】(2)一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物の製造 ローダミンBイソチオシアネート(シグマ社製)2.0
0g(3.73mmol)をジクロロメタンに溶解し、
反応混合液を0℃に冷却後、N−3−(ジメチルアミノ
プロピル)アミン0.57g(5.60mmol)を徐
々に加え、30分間攪拌した。この反応混合物を濃縮
し、さらにエーテル/メタノールを加えてデカンテーシ
ョンを行い化合物(I−II−A)2.26g(収率9
5%)を得た。NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0134】1H−NMR(CDCl3):δ=1.00-1.20
(m,8H)、δ=2.20-2.60(m,6H)、δ=2.20(s,6H)、δ=3.25
-3.70(m,4H)、δ=6.30-8.00(m,9H)。
【0135】
【化26】
【0136】得られた化合物(I−II−A)2.26
g(3.54mmol)をメタノールに溶解し、飽和水
酸化カリウムイソプロピルアルコール溶液を約15ml
加えて固体を溶出させた。次いで、エタノールを用いて
濾過後、乾燥して化合物(I−II−B)を2.30g
(収率96%)で得た。この化合物は、前記化合物(I
−II−A)の、ローダミンB基が有するカルボキシル
基がカリウム塩(−COOK)化された化合物である。
NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0137】1H−NMR(CDCl3):δ=1.00-1.20
(m,8H)、δ=2.20-2.60(m,6H)、δ=2.20(s,6H)、δ=3.25
-3.70(m,4H)、δ=6.30-8.00(m,9H)。
【0138】
【化27】
【0139】(3)一般式(III)で表される蛍光性基
含有カルボジイミド化合物の製造 上記(1)で得られた(I−I−D)1.23g(1.
48mmol)及び上記(2)で得られた化合物(I−
II−B)1g(1.48mmol)をDMFに溶解
し、室温にて一晩攪拌した。さらに、エーテル/メタノ
ールを加え、デカンテーションにより本発明の蛍光性基
含有カルボジイミド化合物として、化合物(1)2.1
0g(収率94%)を得た。NMRスペクトルデータ、
IRスペクトルデータ及びUVスペクトルデータを以下
に示す。
【0140】1H−NMR(CDCl3):δ=1.00-1.85
(m,18H)、δ=2.40-2.55(m,12H)、δ=2.85(s,3H)、δ=2.
90(s,6H)、δ=3.15(t,2H)、δ=3.25(t,4H)、δ=3.50-3.
65(m,6H)、δ=3.75(t,4H)、δ=6.30-8.00(m,9H)。 IR:2125 cm-1(−N=C=N−基) UV(EtOH):λmax542nm
【0141】
【化28】
【0142】
【実施例2】(1)一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物の製造 2−[2−[3−[[1,3−ジヒドロ−1,1−ジメ
チル−3−(4−スルホブチル)−2H−インドール−
2−イリデン]エチリデン]−2−フェノキシ−1−シ
クロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,1−ジメ
チル[3−プロピルイソチオシアネート]1H−ベンツ
[e]−インドリウム塩(LI-COR社製)400mg
(0.502mmol)をジクロロメタン10mlに溶解
し、反応溶液を0℃に冷却後、N−3−(ジメチルアミ
ノプロピル)アミン76.9mg(0.753mmol)を
徐々に加え、1.5時間室温にて攪拌した。この反応溶
液を濃縮し、さらにエーテル/メタノールを加えてデカ
ンテーションを行い化合物(II−I−A)402mg
(収率89%)を得た。NMRスペクトルデータを以下
に示す。
【0143】1H−NMR(CDCl3):δ=1.20-2.40
(m,14H)、δ=2.25(s,6H)、δ=2.45(t,2H)、δ=2.65-3.0
5(m,4H)、δ=3.65-3.95(m,4H)、δ=4.45(t,2H)、δ=6.1
3(d,1H)、δ=6.35(d,1H)、δ=6.90-7.60(m,11H)、δ=7.
70-8.15(m,5H)。
【0144】
【化29】
【0145】(2)一般式(III)で表される蛍光性基
含有カルボジイミド化合物の製造 上記実施例1の(1)で得られた(I−I−D)232
mg(0.445mmol)及び上記実施例2の(1)
で得られた化合物(II−I−A)400mg(0.4
45mmol)をDMF10mlに溶解し、室温にて一
晩攪拌した。さらに、エーテル/メタノールを加え、デ
カンテーションにより本発明の蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物として、化合物(2)575mg(収率91
%)を得た。NMRスペクトルデータ、IRスペクトル
データ及びUVスペクトルデータを以下に示す。
【0146】1H−NMR(CDCl3):δ=1.20-2.10
(m,24H)、δ=2.30-2.50(m,12H)、δ=3.10-3.35(m,4H)、
δ=2.90(s,3H)、δ=2.95(s,6H)、δ=3.60-3.85(m,10
H)、δ=6.13(d,1H)、δ=6.35(d,1H)、δ=6.80-7.60(m,1
1H)、δ=7.80-8.18(m,5H)。 IR:2127 cm-1(−N=C=N−基) UV(EtOH):λmax790nm
【0147】
【化30】
【0148】
【実施例3】(1)一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物の製造 特開平9−325147号公報及びRatnakaer B Mujumd
ar et. al., Bioconjugate Chem., 4, 2, 105-111(199
3)を参考にして製造したCy3.18.OSu200m
g(0.175mmol)をDMF5mlに溶解し、反応溶
液を0℃に冷却後、N−3−(ジメチルアミノプロピ
ル)アミン71.4mg(0.698mmol)を徐々に加
え、12時間室温にて攪拌した。この反応溶液を濃縮
し、さらに酢酸エチル/メタノールを加えてデカンテー
ションを数回繰り返し行い化合物(III−I−A)1
70mg(収率87%)を得た。NMRスペクトルデー
タを以下に示す。
【0149】1H−NMR(DMSO):δ=1.30-1.60
(m,12H)、δ=1.70(s,12H)、δ=2.05(t,4H)、δ=2.10-2.
30(m,8H)、δ=2.15(s,12H)、δ=2.95(q,4H)、δ=4.12
(t,4H)、δ=6.54(d,2H)、δ=7.36-7.95(m,6H)、δ=8.36
(t,1H)。
【0150】
【化31】
【0151】(2)一般式(III)で表される蛍光性基
含有カルボジイミド化合物の製造 上記実施例1の(1)で得られた化合物(I−I−D)
79mg(0.152mmol)及び上記実施例3の
(1)で得られた化合物(III−I−A)170mg
(0.152mmol)をDMF10mlに溶解し、室
温にて一晩攪拌した。さらに、酢酸エチル/メタノール
を加え、デカンテーションにより本発明の蛍光性基含有
カルボジイミド化合物として、化合物(3)249mg
(収率100%)を得た。NMRスペクトルデータ、I
Rスペクトルデータ及びUVスペクトルデータを以下に
示す。
【0152】1H−NMR(DMSO):δ=1.10-1.80
(m,24H)、δ=1.70(s,12H)、δ=2.05(m,4H)、δ=2.10-2.
30(m,8H)、δ=2.15(s,6H)、δ=2.72 (s,3H)、δ=2.85
(s,3H) 、δ=2.85-3.50(m,12H)、δ=3.55(m,4H)、δ=4.
12(t,4H)、δ=6.54(d,2H)、δ=7.36-7.95(m,6H)、δ=8.
36(t,1H)。 IR:2127 cm-1(−N=C=N−基) UV(EtOH):λmax532nm
【0153】
【化32】
【0154】
【実施例4】(1)一般式(VIII)で表される蛍光性基
含有化合物の製造 特開平9−325147号公報及びRatnakaer B Mujumd
ar et. al., Bioconjugate Chem., 4, 2, 105-111(199
3)を参考にして製造したCy5.18.OSu200m
g(0.171mmol)をDMF5mlに溶解し、反応溶
液を0℃に冷却後、N−3−(ジメチルアミノプロピ
ル)アミン70mg(0.684mmol)を徐々に加え、
12時間室温にて攪拌した。この反応溶液を濃縮し、さ
らに酢酸エチル/メタノールを加えてデカンテーション
を行い化合物(IV−I−A)184mg(収率94
%)を得た。NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0155】1H−NMR(DMSO):δ=1.32-1.65
(m,12H)、δ=1.72(s,12H)、δ=2.05(t,4H)、δ=2.00-2.
30(m,8H)、δ=2.15(s,12H)、δ=2.95(q,4H)、δ=4.17
(t,4H)、δ=6.57(d,3H)、δ=7.36-7.95(m,6H)、δ=8.45
(t,2H)。
【0156】
【化33】
【0157】(2)一般式(III)で表される蛍光性基
含有カルボジイミド化合物の製造 上記実施例1の(1)で得られた(I−I−D)82m
g(0.157mmol)及び上記実施例4の(1)で
得られた化合物(IV−I−A)180mg(0.15
7mmol)をDMF10mlに溶解し、室温にて一晩
攪拌した。さらに、酢酸エチル/メタノールを加え、デ
カンテーションにより本発明の蛍光性基含有カルボジイ
ミド化合物として、化合物(4)246mg(収率94
%)を得た。NMRスペクトルデータ、IRスペクトル
データ及びUVスペクトルデータを以下に示す。
【0158】1H−NMR(DMSO):δ=1.22-1.65
(m,12H)、δ=1.72(s,12H)、δ=2.05(t,4H)、δ=1.95-2.
30(m,8H)、δ=2.15(s,12H)、δ=2.95(q,4H)、δ=4.17
(t,4H)、δ=6.57(d,3H)、δ=7.32-7.95(m,6H)、δ=8.45
(t,2H)。 IR:2127 cm-1(−N=C=N−基) UV(EtOH):λmax632nm
【0159】
【化34】
【0160】
【実施例5】<水溶性試験>実施例1〜実施例4で得ら
れた化合物(1)〜(4)の水に対する溶解性試験を行
った。また、比較のために、化合物(1)のローダミン
B基中のカルボン酸カリウム塩基(−COOK)を水素
原子に置換した化合物(1')、化合物(2)のIRD
−41基中のスルホン酸ナトリウム塩基(−SO3
a)をメチル基に置換した化合物(2')、化合物
(3)のCy3基中のスルホン酸カリウム塩基(−SO
3K)を水素原子に置換した化合物(3')及び化合物
(4)のCy5基中のスルホン酸カリウム塩基(−SO
3K)を水素原子に置換した化合物(4')についても、
同様に水に対する溶解性試験を行った。結果を表1に示
す。
【0161】
【表1】
【0162】この結果から、本発明の蛍光性基含有カル
ボジイミド化合物が水溶性に優れることが明らかであ
る。
【0163】
【実施例6】反応溶液[ファージDNA(M13mp1
8複製型:宝酒造株式会社製)1μg;ホウ酸緩衝液
(pH8.5);0.1Mの上記実施例1〜4で得られ
た化合物(1)、(3)及び(4)を作製し、85℃に
て1分間インキュベートした。さらに、この反応溶液
に、その1/9倍量の3M酢酸ナトリウム及び2.5倍
量の冷エタノールを加えて混合し、−80℃にて45分
間放置した。遠心機(国産株式会社製、H−1500F
R)により、4℃にて12000rpmで1.5分間遠
心した。上澄み液を除去した後、100μlの滅菌水に
得られた沈殿を溶解した。
【0164】次いで、制限酵素(HindII)で直鎖
化したファージDNA(M13mp18複製型)を用い
て、2MNaCl中で、480ngから480pg/1
00μlの10倍希釈系列を作製し、100℃にて10
分間熱処理し、氷上で5分間急冷させて熱変性核酸を得
た。プレート上の各ウェルに得られた各濃度の熱変性核
酸を加え、プレートシールをして37℃にて12時間固
定した。
【0165】前記した熱変性核酸を固定化したプレート
を、蒸留水で洗浄後、プレハイブリダイゼーション溶液
[5×SSC(1×SSC=0.15MNaCl、0.
015Mクエン酸ナトリウム)、5×デンハーツ(Denh
ardt's)溶液(0.02%ポリビニルピロリドン、0.
2%フィコール、0.02%BSA)、25mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH6.5)、50%ホルムアミ
ド、0.5mg/ml酵母トランスファRNA及び0.
1%ドデシル硫酸ナトリウム]100μlを加え、室温
にて5分間プレートミキサーで振盪させる操作を3回繰
り返し行った。各ウェルの溶液を捨て、2×SSCを3
00μl加え、室温にて5分間放置した。
【0166】次いで、各ウェルに50mMリン酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.0)及び1.5MNaClを10
0μl加え、化合物(1A)、(3A)及び(4A)と
して蛍光物質含有DNAを作製した。さらに、各ウェル
の溶液にキャピラリーを用いて蛍光分光光度計(F−3
010:日立製作所製)にて、励起光を照射したとこ
ろ、M13複製型DNAに標識した蛍光性基から放出さ
れた蛍光を測定した。その結果を表2に示す。
【0167】
【表2】
【0168】この結果から、本発明の核酸の検出方法に
よれば、核酸の検出が高感度で行えることがわかる。
【0169】
【発明の効果】本発明の蛍光性基含有カルボジイミド化
合物は、水に対して十分な溶解性を有すると共に、これ
を用れば、核酸及び蛋白質に蛍光性基を簡便に効率よく
導入することが可能である。また、本発明の蛍光性基含
有カルボジイミド化合物前駆体は、蛍光性基と簡便かつ
効率的に結合できることから、前記蛍光性基含有カルボ
ジイミド化合物の製造に最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/64 G01N 21/64 F 21/78 21/78 C 33/533 33/533 (72)発明者 吉川 陽子 東京都足立区西新井栄町1−18−1 日清 紡績株式会社東京研究センター内 Fターム(参考) 2G043 AA04 BA16 DA02 EA01 JA04 KA02 LA01 2G054 AA06 CA22 CA23 CD01 CE02 EA03 EB01 GA04 GB02 4C062 HH21 4C204 AB01 BB04 CB03 CB13 DB13 DB15 EB10 FB15 FB16 GB01 GB29

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるハロゲン又
    はスルホン酸基を有する蛍光性基含有カルボジイミド化
    合物前駆体。 【化1】 B−Y3−N=C=N−Y2−W−Y1−[A]n−Y4−X ・・・(I) [式(I)中、Xはハロゲン原子又はスルホン酸基を表
    す。Aは、−CH2−、−NHCO−、−CONH−、
    −O−、−S−、−NR1−(R1は炭素数1から20ま
    での直鎖、環状若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂
    肪族炭化水素基を表す。)、−NR23−(R2及びR3
    は、独立して水素原子、炭素数1から20までの直鎖若
    しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、
    又は置換基を有してもよいシクロアルキル基、アリール
    基若しくはアラルキル基を表す。但し、R2とR3のどち
    らか一方が水素原子である場合、他方は炭素数1から2
    0までの直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪
    族炭化水素基、置換基を有してもよいシクロアルキル
    基、アリール基若しくはアラルキル基を表す。また、R
    2とR3が相互に結合して全体として酸素を含有してもよ
    い含窒素複素環式基を形成してもよい。)、−COO
    −、−OCO−、−NHSO2−、−NHC(S)NH−
    及び−SO2NH−からなる群から選ばれる官能基を表
    し、nは0又は1を表す。Wは直接結合又は4級オニウ
    ム基を表す。Y1、Y2、Y3及びY4は、各々下記一般式
    (II)で示される官能基を表す。Bは水素原子又は式
    (I)中の−W−Y1−[A]n−Y4−Xと同一もしく
    は異なる一価の有機基を表す。また、前記B、Y1
    2、Y3、Y4、A又はWで表される官能基はいずれの
    官能基も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒
    素若しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボ
    キシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ば
    れる基を有してもよい。] 【化2】 −(CH2p−(L)r−(CH2q− ・・・(II) [式(II)中、Lは、−CH2−、−NHCO−、−C
    ONH−、−O−、−S−、−NR1−(R1は、式
    (I)中におけるものと同意である。)、−NR23
    (R2及びR3は、式(I)中におけるものと同意であ
    る。)、−COO−、−OCO−、−NHSO2−、−
    NHC(S)NH−及び−SO2NH−からなる群から選
    ばれる官能基を表す。p及びqは各々0から20の整数
    を表し、rは0又は1を表す。]
  2. 【請求項2】 下記一般式(III)で表されるアルカリ
    金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含
    有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ
    基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくと
    も1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物。 【化3】 [式(III)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A、X、W
    及びnは、各々前記一般式(I)におけるのと同意であ
    る。Fは蛍光性基を表し、Qは3級又は4級窒素若しく
    は3級又は4級リンを表す。R4及びR5は、独立して水
    素原子、炭素数1から20までの直鎖若しくは分岐した
    飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又は置換基を有
    してもよいシクロアルキル基、アリール基若しくはアラ
    ルキル基を表す。但し、R4とR5のどちらか一方が水素
    原子である場合、他方は炭素数1から20までの直鎖若
    しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、
    置換基を有してもよいシクロアルキル基、アリール基若
    しくはアラルキル基を表す。また、R4とR5が相互に結
    合して−Q+45−として酸素を含有してもよい含窒
    素複素環式基又は含リン複素環式基を形成してもよい。
    5は、前記Y1、Y2、Y3及びY4と同義である。ま
    た、前記B、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、A、W、R4
    5及びFから選ばれる少なくとも1つの官能基は、ア
    ルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリ
    ンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、ス
    ルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少な
    くとも1つ有する。]
  3. 【請求項3】 式(I)において、B、Y1、Y2
    3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも1つの官能
    基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
    しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
    ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
    基を少なくとも1つ有する請求項1記載の蛍光性基含有
    カルボジイミド化合物前駆体。
  4. 【請求項4】 式(III)において、B、Y1、Y2
    3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも1つの官能
    基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
    しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
    ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
    基を少なくとも1つ有する請求項2記載の蛍光性基含有
    カルボジイミド化合物。
  5. 【請求項5】 式(III)において、Y5、R4、R5及び
    Fから選ばれる少なくとも1つの官能基が、アルカリ金
    属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有
    する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スルホ基、
    ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1
    つ有する請求項2記載の蛍光性基含有カルボジイミド化
    合物。
  6. 【請求項6】 下記(A)、(B)及び(C)の工程を
    含む請求項1記載の蛍光性基含有カルボジイミド化合物
    前駆体の製造方法: (A)下記一般式(IV)で表されるイソ(チオ)シアネ
    ート化合物と、下記一般式(V)で表されるアミン化合
    物とを反応させて下記一般式(VI)で表される(チオ)
    尿素化合物を合成する工程、 【化4】 [式中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、A、W及びnは、各
    々前記一般式(I)におけるのと同意である。Tは、酸
    素原子またはイオウ原子を表す。Zは、水酸基、アルキ
    ル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、フェニル
    基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘導体基、又は
    ホスホニウム基を表す。] (B)前記(A)工程で得られた一般式(VI)で表され
    る化合物をハロゲン化又はスルホン化して下記一般式
    (VII)で表される化合物を作製する工程、 【化5】 [式(VII)中、B、Y1、Y2、Y3、Y4、W、A、n
    及びXは、各々前記一般式(I)におけるのと同意であ
    る。Tは、酸素原子またはイオウ原子を表す。] (C)前記(B)工程で得られた一般式(VII)で表さ
    れる化合物を脱水反応又は酸化的脱硫反応させてカルボ
    ジイミド化する工程。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の製造方法において、B、
    1、Y2、Y3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも
    1つの官能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
    は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
    カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
    ら選ばれる基を少なくとも1つ有する、請求項3記載の
    蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の蛍光性基含有カルボジイ
    ミド化合物前駆体及び下記一般式(VIII)で表される蛍
    光性基含有化合物からそれぞれ、カルボジイミド化合物
    及び蛍光性基含有化合物を、両化合物の少なくとも1つ
    が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若し
    くはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシル
    基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる官
    能基を有するように選択し、反応させる工程を含む、請
    求項2記載の蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造
    方法。 【化6】Q'R45−Y5−F ・・・(VIII) [式(VIII)中、R4、R5、Y5及びFは、各々前記一
    般式(III)におけるのと同意である。Q'は、水酸基、
    アルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリル基、フェ
    ニル基、カルボキシル基、スルホニル基含有誘導体基及
    びホスホニウム基から選ばれる基で置換されていてもよ
    い2級又は3級窒素含有基若しくは2級又は3級リン含
    有基を表す。]
  9. 【請求項9】 請求項8記載の製造方法において、B、
    1、Y2、Y3、Y4、A及びWから選ばれる少なくとも
    1つの官能基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又
    は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基で置換された
    カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基か
    ら選ばれる基を少なくとも1つ有する、請求項4記載の
    蛍光性基含有カルボジイミド化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の製造方法において、Y
    5、R4、R5及びFから選ばれる少なくとも1つの官能
    基が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若
    しくはリンを含有する塩基性基で置換されたカルボキシ
    ル基、スルホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる
    基を少なくとも1つ有する、請求項5記載の蛍光性基含
    有カルボジイミド化合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 標識物質で標識した核酸を用いるハイ
    ブリダイゼーションによる核酸の検出方法において、標
    識物質として、請求項2記載のアルカリ金属、アルカリ
    土類金属、又は、窒素若しくはリンを含有する塩基性基
    で置換されたカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及
    びホスホ基から選ばれる基を少なくとも1つ有する蛍光
    性基含有カルボジイミド化合物を用いることを特徴とす
    る方法。
  12. 【請求項12】 標識物質として、請求項4記載のアル
    カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
    を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
    ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なく
    とも1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用
    いる請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 標識物質として、請求項5記載のアル
    カリ金属、アルカリ土類金属、又は、窒素若しくはリン
    を含有する塩基性基で置換されたカルボキシル基、スル
    ホ基、ホスホノ基及びホスホ基から選ばれる基を少なく
    とも1つ有する蛍光性基含有カルボジイミド化合物を用
    いる請求項11記載の方法。
JP2000087013A 1999-03-25 2000-03-27 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法 Withdrawn JP2001172259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000087013A JP2001172259A (ja) 1999-03-25 2000-03-27 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8166699 1999-03-25
JP28410799 1999-10-05
JP11-284107 1999-10-05
JP11-81666 1999-10-05
JP2000087013A JP2001172259A (ja) 1999-03-25 2000-03-27 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001172259A true JP2001172259A (ja) 2001-06-26

Family

ID=27303663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000087013A Withdrawn JP2001172259A (ja) 1999-03-25 2000-03-27 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001172259A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6825195B2 (en) 2001-05-31 2004-11-30 Nisshinbo Industries, Inc. Fluorescent group-containing carbodiimide compound and process for producing the compound
JP2020037698A (ja) * 2012-11-14 2020-03-12 ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー アレイ合成および生体分子解析のための、支持体、システム、および方法
US11565231B2 (en) 2012-02-07 2023-01-31 Vibrant Holdings, Llc Substrates, peptide arrays, and methods
US11674956B2 (en) 2012-09-28 2023-06-13 Vibrant Holdings, Llc Methods, systems, and arrays for biomolecular analysis

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6825195B2 (en) 2001-05-31 2004-11-30 Nisshinbo Industries, Inc. Fluorescent group-containing carbodiimide compound and process for producing the compound
EP1439214A3 (en) * 2001-05-31 2006-07-05 Nisshinbo Industries, Inc. Fluorescent group-containing carbodiimide compound and process for producing the compound
US11565231B2 (en) 2012-02-07 2023-01-31 Vibrant Holdings, Llc Substrates, peptide arrays, and methods
US11674956B2 (en) 2012-09-28 2023-06-13 Vibrant Holdings, Llc Methods, systems, and arrays for biomolecular analysis
US11815512B2 (en) 2012-09-28 2023-11-14 Vibrant Holdings, Llc Methods, systems, and arrays for biomolecular analysis
JP2020037698A (ja) * 2012-11-14 2020-03-12 ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー アレイ合成および生体分子解析のための、支持体、システム、および方法
JP7159145B2 (ja) 2012-11-14 2022-10-24 ヴィブラント ホールディングス リミテッド ライアビリティ カンパニー アレイ合成および生体分子解析のための、支持体、システム、および方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5171267B2 (ja) 不飽和ジピロメテン−ボロンホウ素炭素
US9228225B2 (en) Xanthene dyes
US7238789B2 (en) Sulfonated [8,9] benzophenoxazine dyes and the use of their labelled conjugates
JP6840120B2 (ja) クエンチャー及びその用途
KR20030031468A (ko) 활성산소 측정용 시약
US6506567B2 (en) Water-soluble flourescent intercalator compound
JP2006219453A (ja) キノリン環を母核とする金属識別型二波長性蛍光分子
WO2018003686A1 (ja) 酵素特異的な細胞内滞留性赤色蛍光プローブ。
KR20230038676A (ko) 시아닌계 화합물, 이를 포함하는 생체분자 표지용 염료, 키트 및 조영제 조성물
US7897787B2 (en) Maleimide derivative
JP5503836B2 (ja) 蛍光色素及びその製造方法
US6538129B1 (en) Luminescent compounds
JP2003048879A (ja) 蛍光性基含有カルボジイミド化合物及び該化合物の製造方法
JP2001172259A (ja) 蛍光性基含有カルボジイミド化合物前駆体及び蛍光性基含有カルボジイミド化合物並びにこれらの製造方法
US6642380B1 (en) Fluorescent group-containing carbodiimide compound precursor, fluorescent group-containing carbodiimide compound and methods for producing them
EP0808829B1 (en) Fluorescent group-containing carbodiimide compound
JP3851706B2 (ja) 蛍光性基含有カルボジイミド化合物
JP2013183736A (ja) 生体分子標識用の新規蛍光物質
JP2005022985A (ja) 亜鉛蛍光プローブ
WO2019098756A2 (ko) 표지용 염료 및 이를 포함하는 키트
KR102260233B1 (ko) 메로시아닌계 화합물, 이를 포함하는 생체분자 표지용 염료, 키트 및 조영제 조성물
KR20230120998A (ko) 신규한 화합물 및 이의 용도
JP2006180835A (ja) 遺伝子検出方法
KR100464972B1 (ko) 청색발광재료9,10-비스[4-(2,2-디페닐비닐)페닐]안트라센(dpva)의제조방법
JP2001289848A (ja) 蛍光インターカレータおよび相補性核酸断片の検出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061215

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070806