JP2001171507A - 車両用ブレーキシステム - Google Patents

車両用ブレーキシステム

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JP2001171507A JP35353999A JP35353999A JP2001171507A JP 2001171507 A JP2001171507 A JP 2001171507A JP 35353999 A JP35353999 A JP 35353999A JP 35353999 A JP35353999 A JP 35353999A JP 2001171507 A JP2001171507 A JP 2001171507A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力が入力に対して遅れることがある作動装
置の作動遅れに対してブレーキ作動力を大きくする車両
用ブレーキシステムを提供する。 【解決手段】 ブレーキペダル踏込みによる入力をバキ
ュームブースタが倍力して出力し、マスタシリンダが発
生させた液圧がブレーキシリンダを作動させる。また、
リザーバ,マスタシリンダの作動液を加圧してブレーキ
シリンダに供給し、液圧を付加するブレーキシリンダ圧
力制御装置を設ける。踏力が設定踏力を超えた時、実マ
スタシリンダ圧と理想マスタシリンダ圧との差が設定マ
スタシリンダ圧差以上であることにより緊急制動を検出
すれば、ブレーキシリンダ圧に圧力を付加し、ブレーキ
シリンダ圧を、踏力に対する理想マスタシリンダ圧より
大きくして緊急制動時のブレーキ作動力を得る。付加圧
はマスタシリンダ圧差が大きいほど大きくする。ブース
タ負圧の大きさを考慮して付加圧を決定してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両用ブレーキシス
テムに関するものであり、特に、作動装置の出力に応じ
てブレーキが作動するブレーキシステムの改良に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の車両用ブレーキシステムには、
例えば、特開平8−230634号公報に記載されてい
るように、作動装置としてブースタの一種であるバキュ
ームブースタを備えたシステムがある。バキュームブー
スタは、ブレーキ操作部材の一種であるブレーキペダル
の踏込みに基づいて加えられる入力を負圧により倍力し
て出力するものであり、その出力によってマスタシリン
ダに液圧が発生させられ、そのマスタシリンダ圧がブレ
ーキのブレーキシリンダに供給されてブレーキが作動さ
せられる。この公報に記載のブレーキシステムにおいて
はまた、ポンプにより加圧された作動液がブレーキシリ
ンダに供給され、ブレーキシリンダ圧がマスタシリンダ
圧より高い液圧に制御されて、ブレーキの作動力がマス
タシリンダ圧自体による場合よりも大きくなるようにさ
れている。このブレーキシリンダ圧付加による作動力付
加は、ブレーキライニングの摩擦係数が異常に低下する
フェードと称される現象が生じた場合に行われる他、緊
急制動時にも行われる。マスタシリンダ圧をマスタシリ
ンダ圧センサにより検出し、マスタシリンダ圧が設定値
より大きく、かつマスタシリンダ圧の増大勾配が設定値
を超える場合に緊急制動であると判定され、ポンプによ
り作動液が加圧されてブレーキシリンダに供給され、緊
急制動時に通常時よりブレーキ作動力が大きくされるの
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかしながら、上記公報に記載のブレーキシステム
においては、ブレーキ操作部材とマスタシリンダとの間
に、バキュームブースタ等の作動装置が設けられる場合
に、その作動装置の作動遅れによって緊急制動であると
の判定が遅くなる恐れがある。例えば、バキュームブー
スタが、ハウジング内に軸方向に移動可能に設けられた
パワーピストンと、そのパワーピストンの前方に形成さ
れてエンジンの吸気側に接続される低圧室と、パワーピ
ストンの後方に形成された変圧室と、ブレーキ操作部材
と連携させられる入力部材と、マスタシリンダの加圧ピ
ストンと連携させられる出力部材と、入力部材と出力部
材との相対移動に基づいて変圧室を低圧室に連通させる
後退位置、大気に連通させる前進位置およびいずれから
も遮断する中間位置に切り換わる切換弁とを含むように
構成される場合、入力は入力部材に加えられる力であ
り、出力は出力部材がマスタシリンダの加圧ピストンに
加える力であることとなるが、変圧室への大気の流入の
遅れや負圧が弱い(大気圧に近い)ことにより作動遅れ
が生じ、出力が入力に対して遅れることがあるのであ
る。この作動遅れは、ブレーキ操作部材の操作が素早く
行われるほど大きくなり、上記「マスタシリンダ圧が設
定値より大きく、かつマスタシリンダ圧の増大勾配が設
定値を超える」という緊急制動の判定条件が満たされる
時期が遅くなり、緊急制動の検出が遅くなることがある
のである。液圧ブースタ等他の作動装置がブレーキ操作
部材とマスタシリンダとの間に配設される場合にも、程
度の差こそあれ、同様な傾向がある。
【0004】また、前記公報に記載のブレーキシステム
においては、バキュームブースタの作動遅れに対する対
策が施されていない。バキュームブースタを始めとする
作動装置においては、上記のように作動遅れが生ずるこ
とがあり、そのためにマスタシリンダ圧がブレーキ操作
部材の操作力(ブレーキ操作力と称する)に対して直ち
には予定の大きさまで増大せず、その分ブレーキ操作力
を大きくする必要が生じるのであるが、これに対する対
策は施されていないのである。
【0005】本発明は、以上の事情を背景とし、ブレー
キ操作部材とマスタシリンダとの間に配設される作動装
置に作動遅れが生じても、緊急制動の検出が遅れたり、
ブレーキ作動力が不足したりすることの少ない車両用ブ
レーキシステムを提供することを課題として為されたも
のであり、本発明によって、下記各態様の車両用ブレー
キシステムが得られる。各態様は請求項と同様に、項に
区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号
を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明
の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術
的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のも
のに限定されると解釈されるべきではない。また、一つ
の項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の
事項を常に一緒に採用しなければならないわけではな
い。一部の事項のみを選択して採用することも可能なの
である。 (1)入力に応じた出力を発生し、その出力が入力に対
して遅れることがある作動装置の出力に応じてブレーキ
が作動する車両用ブレーキシステムにおいて、前記作動
装置の入力に対する出力の遅れに基づき、前記ブレーキ
の作動力を作動装置の出力に対応する大きさより大きく
するブレーキ作動力増大装置を設けたことを特徴とする
車両用ブレーキシステム(請求項1)。本車両用ブレー
キシステムにおいては、作動装置の作動遅れに基づき、
ブレーキ作動力増大装置によりブレーキ作動力が増大さ
せられる。上記「作動装置の出力に対応する大きさ」
は、作動装置の入力に対する出力の遅れを含むものであ
るため、その遅れに基づけば、ブレーキの作動力を適切
に増大させることができる。ブレーキ作動力増大装置
は、例えば、 (2)項に記載のように、ブレーキ操作力に
対応する作動力より大きな作動力をブレーキに発生させ
る装置としてもよく、また、 (3)項に記載のように、ブ
レーキ作動力の不足(ブレーキ操作力に対して予定され
ている作動力に足りないこと)をなくし、あるいは軽減
する装置としてもよい。ブレーキ作動力増大装置が、ブ
レーキの作動力をブレーキ操作力に対応する作動力より
大きな作動力に制御するものである態様においては、作
動装置の作動遅れに基づいて緊急制動であることが検出
される。バキュームブースタ等作動装置の作動遅れは、
ブレーキ操作開始と同時に生じ始め、しかも前述のよう
に、ブレーキ操作部材の操作が素早く行われるほど大き
くなるため、作動遅れに基づけば緊急制動を早期に検出
することができるのである。そして、緊急制動の検出に
応じて、ブレーキ作動力増大装置によりブレーキの作動
力が、作動装置の出力に対応する作動力より大きいのみ
ならず、ブレーキ操作力に対応する作動力よりも大きく
される。そのため、ブレーキの作動遅れが軽減されるの
みならず、通常時より大きなブレーキ作動力が得られ、
制動に要する距離が短縮される。この態様のブレーキ作
動力増大装置を緊急制動制御装置と称することとする。
また、ブレーキ作動力増大装置がブレーキ作動力の不足
をなくし、あるいは軽減するものである態様において
は、作動装置の作動遅れによるブレーキ作動力の不足の
問題が軽減され、あるいは解消される。この態様のブレ
ーキ作動力増大装置をブレーキ作動遅れ低減装置と称す
ることとする。例えば、作動装置がバキュームブースタ
である場合、変圧室への大気の流入の遅れ等、作動遅れ
の原因を考慮して所定の大きさの作動遅れを設定し、そ
の設定遅れ以上の遅れが検出されれば、ブレーキ作動力
増大装置(ブレーキ作動遅れ低減装置)が作動させら
れ、ブレーキの作動力不足の一部または全部が補われる
ようにすることができる。入力に対する出力の遅れを常
に検出する場合には、以下のことが言える。作動遅れ
は、作動装置の作動開始と同時に増加し始めるため、
「設定遅れ」を小さくするほど、作動装置の作動遅れが
早く検出され、ブレーキの効き遅れを小さく抑えること
ができるが、ブレーキ作動遅れ低減装置の作動頻度が高
くなる。逆に、「設定遅れ」を大きくすれば、ブレーキ
作動遅れ低減装置の作動頻度は低くなるが、ブレーキの
効き遅れが大きくなる。そのため、「設定遅れ」は、ブ
レーキ作動遅れ低減装置の作動頻度がそれほど高くな
く、かつ、ブレーキの効き遅れが大きくなり過ぎない大
きさに設定することが望ましい。また、入力に対する出
力の遅れを常に検出せず、ある所定の入力値に対する出
力値を検出して遅れを検出したり、ある所定の出力値に
対する入力値を検出して遅れを検出したりすることもで
きる。この場合には常に入力に対する出力の遅れを検出
する必要がないため、演算処理の負荷を低減することが
できる。なお、ブレーキとしては、例えば、ブレーキシ
リンダに供給される液圧に基づいて作動する液圧ブレー
キ,電動アクチュエータにより作動させられる電動ブレ
ーキ等を採用することが可能である。 (2)前記ブレーキ作動力増大装置が、前記ブレーキの
作動力を前記入力に対応する作動力より大きい値に制御
する緊急制動制御装置を含む (1)項に記載の車両用ブレ
ーキシステム(請求項2)。本態様においては、作動装
置の作動遅れに応じてブレーキの作動力が入力に対応す
る作動力より大きくされるため、作動装置の作動遅れに
よるブレーキ作動力の不足が補われるのみならず、緊急
制動時に必要とされるブレーキ作動力に近づけることが
できる。 (3)前記作動装置が、ブレーキ操作部材を有するブレ
ーキ操作装置により加えられる前記入力を倍力して前記
出力とするブースタを含み、かつ、前記緊急制動制御装
置が、前記ブレーキの作動力を、前記ブレーキ操作部材
の操作力であるブレーキ操作力に対応する作動力より大
きい値に制御する緊急制動制御装置を含む(2)項に記載
の車両用ブレーキシステム(請求項3)。 (4)前記作動装置が、ブレーキ操作部材を有するブレ
ーキ操作装置により加えられる前記入力を倍力して前記
出力とするブースタを含み、かつ、前記ブレーキ作動力
増大装置が、前記ブレーキの作動力を、前記ブレーキ操
作部材の操作力であるブレーキ操作力に対応する作動力
に近づくように制御するブレーキ作動遅れ低減装置を含
む (1)項ないし (3)項のいずれか1つに記載の車両用ブ
レーキシステム。(2)項に従属する態様においては、緊
急制動制御装置とブレーキ作動遅れ低減装置との両方が
設けられることとなる。 (5)前記ブレーキ作動力増大装置が、前記入力の実際
値に対する前記出力の実際値に基づいて前記遅れを検出
する遅れ検出部を含む (1)項ないし (4)項のいずれか1
つに記載の車両用ブレーキシステム(請求項4)。実際
に得られている入力および出力がわかれば、遅れが検出
できる。 (6)前記遅れ検出部が、予め定められた一定時期にお
ける前記入力と前記出力との関係に基づいて前記遅れを
検出する一定時期遅れ検出部を含む (5)項に記載の車両
用ブレーキシステム(請求項5)。「一定時期」は、例
えば、運転者がブレーキを作動させ始めてから予め定め
られた時間が経過した時期や、入力あるいは出力が予め
定められた設定入力まで増大した時期等とすることがで
きる。遅れの検出は、運転者によるブレーキ操作の開始
後、常時行ってもよいが、一定の検出時期、例えば、遅
れが生ずることが予想される時期に行えば遅れを無駄な
く検出することができる。また、作動開始時には、出力
の発生が不安定であり、遅れの検出精度が低くなり易い
のに対し、時期を定めて遅れを検出すれば、出力が安定
して生ずる時期に精度良く検出することができる。 (7)前記遅れ検出部が、前記入力と前記出力との静的
な関係である理想関係において入力の実際値に対応する
出力である理想出力と、前記入力の実際値に対応する前
記出力の実際値との差が、設定出力差以上である場合
に、前記ブレーキ作動力増大装置に作動を開始させる増
大装置起動部を含む (5)項または (6)項に記載の車両用
ブレーキシステム(請求項6)。作動装置に作動遅れが
生ずれば、出力の実際値が、理想出力より小さくなるた
め、両者の差(出力差)から作動遅れを検出し、両者の
差が設定差以上になれば、設定作動遅れ以上の作動遅れ
が生じたとすることができる。したがって、出力差が設
定差以上になった場合に、ブレーキ作動力増大装置を起
動させれば、真に必要な場合にのみブレーキ作動力増大
装置を作動させることができる。作動装置がバキューム
ブースタ等のブースタであれば、出力の実際値は出力自
体を検出して取得してもよいが、代わりにマスタシリン
ダ圧を検出して取得してもよい。後者の方が前者より検
出が容易であるのが普通であるため、可能な限り後者に
よる方が装置コストを低減し得る。また、ブースタの入
力がブレーキ操作部材の操作に基づく場合、入力の実際
値は入力自体を検出して取得してもよいが、代わりにブ
レーキ操作部材の操作力を検出して取得してもよい。 (8)前記作動装置が、入力を負圧により倍力して出力
とするバキュームブースタであり、前記遅れ検出部が、
バキュームブースタの負圧が小さい場合に大きい場合に
比較して前記設定出力差を大きい値に設定する設定出力
差設定部を備える(7)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム(請求項7)。バキュームブースタの低圧室の負圧は
負圧源たるエンジンの作動状態によって変わり、負圧が
小さい場合には大きい場合に比較して同じブレーキ操作
速度に対する作動遅れが大きくなる。したがって、設定
出力差が負圧の大小に無関係に一定である場合には、負
圧が小さい場合に緊急制動の判定が容易になされ過ぎる
こととなる。本態様によれば、バキュームブースタの負
圧が変動しても、緊急制動の判定が適正に行われ易くな
る。 (9)前記ブレーキ作動力増大装置が、前記ブレーキの
作動力を、前記作動装置の出力に対応するブレーキ作動
力より付加量分だけ大きい値に制御する作動力付加部を
含む (1)項ないし (8)項のいずれか1つに記載の車両用
ブレーキシステム(請求項8)。上記付加量は種々の大
きさに選定することができる。例えば、ブレーキ作動力
増大装置が緊急制動制御装置である態様においては、付
加量が、ブレーキの作動力をブレーキ操作力に対応する
作動力より大きい値にするに足る大きさに選定され、ブ
レーキ作動力増大装置が前記ブレーキ作動遅れ低減装置
である態様においては、付加量が、ブレーキ操作力に対
応するブレーキ作動力と、前記作動装置の出力に対応す
るブレーキ作動力との差にほぼ等しい大きさに選定され
ることが望ましい。 (10)前記作動力付加部が、前記入力と出力との実際
の関係である実関係の前記理想関係からの外れ量が大き
い場合に小さい場合より前記付加量を大きくする外れ量
対応付加部を備える (9)項に記載の車両用ブレーキシス
テム(請求項9)。本態様によれば、作動装置の遅れが
大きい場合に、ブレーキ作動力の付加量が大きくされ
る。例えば、外れ量が複数段階に分けられ、各段階毎に
付加量が設定されてもよく、あるいは外れ量に対して付
加量が無段階に設定されてもよい。後者の場合、例え
ば、外れ量に設定比率を掛けることにより付加量を設定
してもよく、その比率は、一定でもよく、外れ量が大き
いほど、無段階あるいは多段階に大きくされてもよい。
ブレーキ作動力増大装置がブレーキ作動遅れ低減装置で
ある態様において、作動遅れの影響をできる限り小さく
するためには、作動力付加部を本項の特徴を有するもの
とすることが不可欠であることは自明であるが、ブレー
キ作動力増大装置が緊急制動制御装置である態様におい
て、作動力付加部を本項の特徴を有するものとすること
は、作動遅れが大きい場合には緊急の度合いが高いとし
てブレーキの作動力を、作動遅れが小さい場合より大き
くすることになる。 (11)前記作動装置が、入力を負圧により倍力して出
力とするバキュームブースタであり、前記作動力付加部
が、バキュームブースタの負圧が小さい場合に大きい場
合に比較して前記付加量を大きくする負圧対応付加部を
備える (9)項または(10)項に記載の車両用ブレーキシス
テム(請求項10)。バキュームブースタの負圧が小さ
い場合には、負圧が大きい場合に比べてバキュームブー
スタの作動遅れが大きいため、同じブレーキ操作力に対
して得られるブレーキ作動力が小さくなる。したがっ
て、ブレーキ作動力増大装置が緊急制動制御装置である
態様において、負圧が小さい場合に作動力付加部による
作動力の付加量を大きくすれば、作動遅れの増大の影響
をなくし、あるいは小さくすることができる。この点
は、ブレーキ作動力増大装置が遅れ低減装置である場合
にも同様である。 (12)前記作動力付加部が、前記作動装置の入力の極
大値が発生してから設定時間以内における入力の減少量
が設定減少量以上である場合に前記付加量を発生させる
ものである (9)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の
車両用ブレーキシステム(請求項11)。作動装置の入
力の極大値は、入力が増大から減少に転じる場合に生ず
る。この変化は、運転者の意図により生ずることもあ
り、意図に反して生じてしまうこともある。例えば、発
明の実施の形態の項において説明するように、ブレーキ
が運転者のブレーキペダルの踏込みにより作動させら
れ、作動装置がバキュームブースタであって、ブレーキ
ペダルの踏力を倍力してマスタシリンダに伝達する場
合、運転者がブレーキペダルを一旦は大きい力で踏み込
んだものの、力不足でその踏力を維持できず、踏力を低
下させてしまったとか、何らかの理由で意図に反して踏
力を低下させてしまったとかの場合には、ブースタの入
力の減少が生ずる。本態様によれば、ブースタの入力の
減少量が設定減少量以上である場合に付加量を発生させ
るため、運転者の意図に反して入力が減少しても、その
減少量が設定量以上であれば、付加量が発生させられて
ブレーキの作動力の減少が軽減され、ブレーキ作動力が
確保される。設定量を超える入力の減少が運転者の意図
により生じたのであれば、ブレーキ作動力の付加は余分
になるが、運転者の意図的な操作により、極大値が発生
してから設定時間以内における入力の減少量が設定減少
量以上となることは稀であり、また、万一、ブレーキ作
動力の付加が余分になっても実害はない。 (13)前記作動力付加部が、前記作動装置の入力の極
大値が発生してから設定時間以内における入力の減少量
が大きい場合に小さい場合に比較して前記付加量を大き
くするものである(12)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。本態様によれば、入力の減少によるブレーキの作動
力の不足が特に良好に補われる。 (14)前記遅れ検出部が、前記作動装置の入力が設定
入力まで増大した時点における作動装置の作動遅れを検
出する特定入力時遅れ検出部を含む (5)項ないし(13)項
のいずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。本態
様によれば、作動装置の作動遅れの検出によって緊急制
動を検出する場合に、緊急の度合いが高いほど早期に検
出することができる。作動装置の実際の出力が設定出力
に達した際における作動装置の作動遅れ(例えば、実際
の出力が設定出力に達した際における実際の入力と、作
動遅れがない理想状態において設定出力に対応する入力
との差に基づいて検出し得る)を検出することによって
緊急制動を検出することも可能なのであるが、その場合
には、作動装置の遅れを含む実際の出力が設定出力に到
達するまで緊急制動を検出することができない。それに
対し、作動装置の実際の入力は作動装置の遅れを含まな
いばかりか、作動装置の遅れが大きいほど急激に増大す
るため、実際の入力が設定入力に達するのに要する時間
は緊急制動の度合いが高いほど短いことになり、早期に
緊急制動を検出することができるのである。 (15)前記設定入力が少なくとも第一設定入力とそれ
より大きい第二設定入力とを含む(14)項に記載の車両用
ブレーキシステム(請求項12)。作動装置の作動遅れ
の生じ方は、運転者による作動装置の作動のさせ方によ
り異なる。例えば、運転者が作動装置を、作動開始当初
から作動装置の入力の増大勾配が大きい状態で作動させ
れば、入力が第一設定入力に達した状態で作動遅れが検
出されるが、作動開始当初は作動装置の入力の増大勾配
が小さい状態で作動させれば、入力が第一設定入力に達
したときには作動遅れは検出されない。そして、入力が
第一設定入力を超えた後、入力の増大勾配を大きくすれ
ば、入力が第二設定入力に達したときに作動遅れが検出
される。設定入力は2つに限らず、3つ以上設定されて
もよく、本態様によれば、遅れ検出の機会が2回以上あ
り、入力が第一設定入力まで増大した状態において遅れ
が検出されなくても、第二設定入力あるいはそれより大
きい設定入力まで増大した状態で遅れが発生することが
あれば、検出され、ブレーキ作動力が増大させられる。 (16)前記作動力付加部が、前記ブレーキ作動力を付
加量だけ大きくすることにより、前記入力と前記ブレー
キ作動力との間に、前記入力と前記出力との間に前記理
想関係が成立する場合と同じ関係が成り立つように、ブ
レーキ作動力を制御する理想的作動力付加部を含む (9)
項に記載の車両用ブレーキシステム(請求項13)。入
力と出力との間に理想関係が成立する場合と同じ関係が
成り立つように、ブレーキ作動力が制御されれば、作動
装置の出力に対応するブレーキ作動力に、作動遅れによ
り不足となった分の作動力が付加されることとなり、作
動力不足が解消される。 (17)前記作動装置が、入力を負圧により倍力して出
力とするバキュームブースタであり、前記作動力付加部
が、前記入力と前記ブレーキ作動力との間に、バキュー
ムブースタが助勢限界に達した後も、助勢限界到達前と
同じ関係が維持されるように、ブレーキ作動力を制御す
る助勢限界後作動力付加部を含む (9)項または(16)項に
記載の車両用ブレーキシステム(請求項14)。バキュ
ームブースタは、変圧室の圧力が大気圧に等しくなれ
ば、それ以上の助勢作用をなし得ない。この状態が助勢
限界であり、バキュームブースタが助勢限界に達すれ
ば、バキュームブースタの出力は、助勢限界がないと仮
定した場合の出力より小さくなり、作動遅れが生じたの
と同じ状態となる。そのため、作動力付加部により作動
力を付加し、入力とブレーキ作動力との関係が、助勢限
界到達後も到達前と同じに維持されるようにすれば、助
勢限界以上の領域でのブレーキの作動力の不足が解消さ
れる。 (18)前記作動装置が、入力を負圧により倍力して出
力とするバキュームブースタであり、そのバキュームブ
ースタの出力によってマスタシリンダに液圧が発生させ
られ、そのマスタシリンダ圧に応じた作動力で前記ブレ
ーキが作動する (1)項ないし(17)項のいずれか1つに記
載の車両用ブレーキシステム。 (19)前記ブレーキ作動力増大装置が、前記ブレーキ
の作動力を、前記バキュームブースタの出力に対応する
ブレーキ作動力より付加量分だけ大きい値に制御する作
動力付加部を含む(18)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。 (20)前記作動力付加部が、前記ブレーキを作動させ
るブレーキシリンダの液圧であるブレーキシリンダ圧を
付加圧だけ高くすることにより、前記ブレーキ作動力を
前記付加量だけ大きくするブレーキシリンダ圧付加部を
含む(19)項に記載の車両用ブレーキシステム。 (21)前記ブレーキシリンダ圧付加部が、前記バキュ
ームブースタと前記マスタシリンダとの間に設けられ、
マスタシリンダの加圧ピストンに、バキュームブースタ
の出力とは別の力を付加する加圧力付加装置を含む(20)
項に記載の車両用ブレーキシステム。加圧ピストンに、
バキュームブースタの出力とは別の力が付加されれば、
その付加された力に対応する付加圧がマスタシリンダ圧
に付加され、それに応じてブレーキシリンダ圧が付加さ
れて、結局、ブレーキ作動力が付加される。 (22)前記加圧力付加装置が、助勢シリンダとその助
勢シリンダに液密かつ摺動可能に嵌合された助勢ピスト
ンとを備え、それら助勢シリンダと助勢ピストンとの間
に形成された助勢室に作用する液圧である助勢圧に基づ
く助勢ピストンの作動力を前記バキュームブースタの出
力とは別の力として付加する助勢用液圧シリンダと、動
力液圧源を備え、前記助勢圧を前記マスタシリンダ圧を
増加させるように制御する助勢圧制御装置とを含む(21)
項に記載の車両用ブレーキシステム。上記助勢シリンダ
および助勢ピストンは、マスタシリンダのシリンダハウ
ジングおよび加圧ピストンと一体に形成されてもよく、
別体に形成されてもよい。 (23)前記ブレーキシリンダ圧付加部が、前記マスタ
シリンダと前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、前
記ブレーキシリンダ圧を前記マスタシリンダ圧より高い
液圧に制御するブレーキシリンダ圧制御装置を含む(20)
項に記載の車両用ブレーキシステム。本態様において
は、マスタシリンダ圧には付加圧が付加されないが、ブ
レーキシリンダ圧制御装置によりブレーキシリンダ圧に
付加圧が付加され、結局、ブレーキ作動力に付加量が付
加される。 (24)前記ブレーキシリンダ圧制御装置が、作動液を
加圧して、前記マスタシリンダと前記ブレーキシリンダ
とを接続する液通路の作動液供給点に供給するポンプ
と、前記作動液供給点より前記マスタシリンダ側に設け
られ、ブレーキシリンダ側の液圧がマスタシリンダ側の
液圧より前記付加圧に相当する分高くなるように制御す
る制御弁とを含む(23)項に記載の車両用ブレーキシステ
ム。上記ポンプが吐出圧の制御が可能なものである場合
には、上記制御弁を単純な電磁開閉弁とし、ポンプの吐
出圧の制御によりブレーキシリンダ圧を制御することが
できる。この場合、電磁開閉弁は、ブレーキシリンダ側
の液圧がマスタシリンダ側の液圧より前記付加圧に相当
する分高くなっても閉状態に保たれる。それに対し、ポ
ンプが吐出圧の制御が不可能なものである場合には、上
記制御弁を、供給電流の制御によりブレーキシリンダ圧
の制御が可能な液圧制御弁とすることが望ましい。この
場合には、ブレーキシリンダ側の液圧がマスタシリンダ
側の液圧より前記付加圧に相当する分高くなるように液
圧制御弁が制御され、余分な作動液はマスタシリンダへ
戻される。ポンプが吐出圧の制御が不可能なものである
場合に、上記制御弁を単純な電磁開閉弁とし、その電磁
開閉弁よりブレーキシリンダ側あるいはポンプ側に、供
給電流の制御によりブレーキシリンダ圧を制御し得る液
圧制御弁を設けてもよい。この場合、液圧制御弁から排
出された作動液は、マスタシリンダへではなく、リザー
バに戻される。リザーバは、マスタシリンダに作動液を
補給するマスタリザーバでも、ブレーキシリンダ圧を減
圧するために作動液が排出される減圧用リザーバでもよ
い。以上、いずれの場合でも、ポンプは液圧制御弁から
排出された作動液が戻される先であるマスタシリンダや
リザーバから作動液を汲み上げるものとすることが、不
可欠ではないが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。本実施形態のブレーキシステ
ムは、図1に示すように、左,右の前輪10,12と
左,右の後輪14,16とを備えた四輪自動車に搭載さ
れている。本ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材と
してブレーキペダル18を備えており、そのブレーキペ
ダル18の踏力がバキュームブースタ20(以下、ブー
スタ20と略称する)により倍力され、その倍力された
踏力に応じた液圧が液圧源たるマスタシリンダ22に発
生させられる。この液圧は、左,右の各前輪10,12
および後輪14,16にそれぞれ設けられたブレーキの
ブレーキシリンダ24に供給され、ブレーキシリンダ2
4が作動させられて左,右の各前輪10,12および後
輪14,16の回転が抑制される。
【0007】マスタシリンダ22は、ハウジングに2つ
の加圧ピストン26a,26bが互いに直列にかつ各々
摺動可能に嵌合されることによってハウジング内に各加
圧ピストン26a,26bの前方において2つの加圧室
が互いに独立して形成されたタンデム型である。このマ
スタシリンダ22においては、ブレーキペダル18の踏
力であるブレーキ操作力が、マスタシリンダ22の2つ
の加圧ピストン26a,26bのうち、ブースタ20側
の加圧ピストン26aにブースタ20により倍力されて
伝達される。
【0008】ブースタ20は、図2に示すように、中空
のハウジング30を備えている。ハウジング30内の空
間は、パワーピストン32によりマスタシリンダ22の
側の低圧室34とブレーキペダル18の側の変圧室36
とに仕切られている。低圧室34は、負圧源としてのエ
ンジンのインテークマニホルド(図示省略)であって、
本実施形態では、スロットルバルブと、複数のインテー
クバルブ側へエアを供給するために分岐させられた部分
との間の部分に接続されている。本実施形態において
は、低圧室34の負圧がブースタ負圧である。
【0009】パワーピストン32は、マスタシリンダ2
2の側において、ゴム製のリアクションディスク38を
介してブースタピストンロッド40と連携させられてい
る。ブースタピストンロッド40は、パワーピストン3
2の作動力をマスタシリンダ22の加圧ピストン26a
に伝達する。
【0010】低圧室34と変圧室36との間に切換弁4
2が設けられている。切換弁42は、オペレーティング
ロッド44とパワーピストン32との相対移動に基づい
て作動するものであり、コントロールバルブ46,エア
バルブ48,バキュームバルブ50およびコントロール
バルブスプリング52を備えている。エアバルブ48
は、コントロールバルブ46と共同して変圧室36の大
気に対する連通・遮断を制御するものであり、オペレー
ティングロッド44と連携させられている。オペレーテ
ィングロッド44は、一端部においてブレーキペダル1
8に回動可能に連結されており、ブレーキペダル18の
踏力を入力ピストン54に伝達する。エアバルブ48
は、オペレーティングロッド44により前記リアクショ
ンディスク38に押し付けられる入力ピストン54と一
体に形成されているのである。オペレーティングロッド
44のエアバルブ48側とは反対側の端部は、図1に示
すように、前記ブレーキペダル18に回動可能に連結さ
れている。コントロールバルブ46はコントロールバル
ブスプリング52により、オペレーティングロッド44
に対してエアバルブ48に着座する向きに付勢されてい
る。バキュームバルブ50は、コントロールバルブ46
と共同して変圧室36の低圧室34に対する連通・遮断
を制御するものであり、パワーピストン32と一体的に
移動可能に設けられている。
【0011】このように構成されたブースタ20におい
ては、非作動状態では、切換弁42は後退位置にあり、
コントロールバルブ46が、エアバルブ48に着座する
一方、バキュームバルブ50から離間し、それにより、
変圧室36が大気から遮断されて低圧室34に連通させ
られる。したがって、この状態では、低圧室34も変圧
室36も共に等しい高さの負圧(大気圧以下の圧力)と
なる。それに対して、作動状態では、オペレーティング
ロッド44がパワーピストン32に対して相対的に前進
し、切換弁42が中間位置に切り換わり、コントロール
バルブ46がバキュームバルブ50に着座して変圧室3
6が低圧室34からも大気からも遮断される。その後、
オペレーティングロッド44がパワーピストン32に対
してさらに前進させられれば、切換弁42が前進位置に
切り換わり、アバルブ48がコントロールバルブ46か
ら離間し、それにより、変圧室36が大気に連通させら
れる。この状態では、変圧室36の負圧が減少して(大
気圧に接近して)低圧室34と変圧室36との間に差圧
が発生し、その差圧によってパワーピストン32が作動
させられる。このパワーピストン32の作動力はブース
タピストンロッド40を介してマスタシリンダ22の加
圧ピストン26aに伝達され、加圧ピストン26aから
の反力がリアクションディスク38によりパワーピスト
ン32と入力ピストン54とに分配され、運転者は入力
ピストン54に分配された反力をオペレーティングロッ
ド44を介して、マスタシリンダ22からの反力として
知覚することができる。オペレーティングロッド44な
いし入力ピストン54がブースタ20の入力部材、ブー
スタピストンロッド40が出力部材なのである。
【0012】図1に示すように、マスタシリンダ22の
一方の加圧室には左前輪10および右後輪18用の第一
ブレーキ系統が接続され、他方の加圧室には右前輪12
および左後輪16用の第二ブレーキ系統が接続されてい
る。本実施形態の液圧ブレーキシステムは、ダイアゴナ
ル2系統式のシステムであり、アンチロック制御および
ブレーキシリンダ圧に圧力を付加してマスタシリンダ圧
より高くする圧力付加制御等が行われる。2つのブレー
キ系統は互いに構成が共通するため、以下、第一ブレー
キ系統のみを代表的に説明し、第二ブレーキ系統につい
ては、同じ作用を為す構成要素とは同一の符号を付して
対応関係を示し、説明を省略する。
【0013】第一ブレーキ系統においては、マスタシリ
ンダ22が主通路80により左前輪10および右後輪1
6の各ブレーキのブレーキシリンダ24にそれぞれ接続
されている。主通路80は、マスタシリンダ22から延
び出た後に二股状に分岐させられており、1本の基幹通
路84と2本の分岐通路86とが互いに接続されて構成
されている。各分岐通路86の先端にそれぞれブレーキ
シリンダ24が接続されている。
【0014】各分岐通路86の途中には常開の電磁開閉
弁である増圧弁90が設けられ、開状態でマスタシリン
ダ22からブレーキシリンダ24へ向かう作動液の流れ
を許容する増圧状態を実現する。各増圧弁90にはバイ
パス通路92が接続され、各バイパス通路92には作動
液戻り用の逆止弁94が設けられている。各分岐通路8
6のうち増圧弁90とブレーキシリンダ24との間の部
分からリザーバ通路96が延びてリザーバ98に至って
いる。各リザーバ通路96の途中には常閉の電磁開閉弁
である減圧弁100が設けられ、開状態でブレーキシリ
ンダ24からリザーバ98へ向かう作動液の流れを許容
する減圧状態を実現する。これら増圧弁90および減圧
弁100は液圧制御弁装置102を構成している。液圧
制御弁装置102は電磁弁装置により構成されているの
である。
【0015】リザーバ98は、作動液を付勢手段として
のスプリングによって圧力下に収容するものである。こ
のリザーバ98はポンプ通路104により、ポンプ10
6の吸入側に接続されている。ポンプ106はポンプモ
ータ107により駆動され、ポンプ106の吸入側には
逆止弁である吸入弁108、吐出側には逆止弁である吐
出弁110がそれぞれ設けられている。ポンプ106の
吐出側と主通路80とを互いに接続する補助通路112
には、絞りとしてのオリフィス114と固定ダンパ11
6とがそれぞれ設けられており、それらにより、ポンプ
106の脈動が軽減される。ポンプ106は、アンチロ
ック制御中、作動液をリザーバ98から汲み上げてブレ
ーキ回路内において還流させる。
【0016】前記主通路80には、補助通路112との
接続点である作動液供給点とマスタシリンダ22との間
の部分に液圧制御弁120が設けられている。液圧制御
弁120は、ポンプ106の非作動時には、マスタシリ
ンダ22とブレーキシリンダ24との間の作動液の双方
向の流れを許容し、ポンプ106の作動時には、ポンプ
106からの作動液をマスタシリンダ22に逃がすとと
もに、その逃がすときのポンプ106の吐出圧の高さを
マスタシリンダ22の液圧に基づいて変化させ、マスタ
シリンダ22の液圧より高い液圧をブレーキシリンダ2
4に発生させる。
【0017】液圧制御弁120の構造を図3に基づいて
詳細に説明する。液圧制御弁120は、マスタシリンダ
圧とブレーキシリンダ圧との関係を電磁的に制御する形
式である。液圧制御弁120は具体的には、図3に示す
ように、図示しないハウジングと、主通路80における
マスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液
の流通状態を制御する弁子130およびそれが着座すべ
き弁座132と、それら弁子130および弁座132の
相対移動を制御する磁気力を発生させるソレノイド13
4とを有している。
【0018】この液圧制御弁120においては、ソレノ
イド134が励磁されない非作用状態(OFF状態)で
は、スプリング136の弾性力によって弁子130が弁
座132から離間させられ、それにより、主通路80に
おいてマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間で
の双方向の作動液の流れが許容され、その結果、ブレー
キ操作が行われれば、ブレーキシリンダ圧がマスタシリ
ンダ圧と等圧で変化させられる。このブレーキ操作中、
弁子130には、弁座132から離間する向きに力が作
用するため、ソレノイド134が励磁されない限り、マ
スタシリンダ圧、すなわちブレーキシリンダ圧が高くな
っても、弁子130が弁座132に着座してしまうこと
はない。すなわち、液圧制御弁120は常開弁なのであ
る。
【0019】これに対し、ソレノイド134が励磁され
る作用状態(ON状態)では、ソレノイド134の磁気
力によりアーマチュア138が吸引され、そのアーマチ
ュア138と一体的に移動する可動部材としての弁子1
30が固定部材としての弁座132に着座させられる。
このとき、弁子130には、ブレーキシリンダ圧とマス
タシリンダ圧との差に基づく力F2 とスプリング136
の弾性力F3 との和と、ソレノイド134の磁気力に基
づく吸引力F1 とが互いに逆向きに作用する。力F2
大きさは、ブレーキシリンダ圧とマスタシリンダ圧との
差と、弁子130がブレーキシリンダ圧を受ける実効受
圧面積との積で表される。
【0020】ポンプ106の吐出圧、すなわちブレーキ
シリンダ圧が小さく、力F2 と弾性力F3 との和が吸引
力F1 以下である間は、液圧制御弁120は閉じてお
り、ポンプ106からの作動液がマスタシリンダ22に
逃げることが阻止され、ポンプ106の吐出圧が増加
し、ブレーキシリンダ18にマスタシリンダ圧より高い
液圧が発生させられる。それに対し、ポンプ106の吐
出圧、すなわちブレーキシリンダ圧が更に増加し、力F
2 と弾性力F3 との和が吸引力F1 より大きくなれば、
弁子130が弁座132から離間する。液圧制御弁12
0が開くのであり、ポンプ106からの余分な作動液が
マスタシリンダ22に戻され、その結果、ポンプ106
の吐出圧、すなわちブレーキシリンダ圧がそれ以上増加
することが防止される。ブレーキシリンダ24には、ス
プリング136の弾性力F3 を無視すれば、マスタシリ
ンダ圧に対して、ソレノイド吸引力F1 に基づく差圧
分、すなわちソレノイド134の励磁により弁子130
を弁座132に着座させる力に基づく差圧分、高い液圧
が発生させられることになる。ブレーキシリンダ圧に付
加圧が付加されるのであり、本実施形態においては、液
圧制御弁120およびポンプ106を含んでブレーキシ
リンダ圧制御装置140が構成されている。本実施形態
においてポンプ106は、ブレーキシリンダ圧制御装置
140と、液圧制御弁装置102およびポンプ106を
含むアンチロック制御用液圧制御装置141とに共用さ
れているのである。このブレーキシリンダ圧制御装置1
40によるブレーキシリンダ圧への付加圧の付加は、ブ
レーキシリンダ24から見れば、ブレーキペダル18の
踏力の助勢である。
【0021】この液圧制御弁120には図1に示すよう
に、バイパス通路142が設けられており、そのバイパ
ス通路142の途中に逆止弁144が設けられている。
万が一、ブレーキペダル18の踏込み時に液圧制御弁1
20内の可動部材に生ずる流体力によって液圧制御弁1
20が閉じることがあっても、マスタシリンダ22から
ブレーキシリンダ24へ向かう作動液の流れが確保され
るようにするためである。液圧制御弁120にはさら
に、それに並列にリリーフ弁146も設けられている。
ポンプ106による吐出圧が過大となることを防止する
ためである。
【0022】ポンプ106は、アンチロック制御中,圧
力付加制御中に作動し、圧力付加制御の実行中には、リ
ザーバ98から作動液を汲み上げ、その作動液を各ブレ
ーキシリンダ24に吐出することによって各ブレーキシ
リンダ24が増圧される。しかし、アンチロック制御が
実行されていない場合には、リザーバ98に汲み上げる
べき作動液が存在しないのが普通であり、圧力付加制御
の実行を確保するためには、アンチロック制御の実行の
有無を問わず、リザーバ98に作動液を補給することが
必要となる。そのため、本実施形態においては、基幹通
路84のうちマスタシリンダ22と液圧制御弁120と
の間の部分から延びてリザーバ98に至る補給通路14
8が設けられている。
【0023】補給通路148の途中に流入制御弁150
が設けられている。流入制御弁150は、マスタシリン
ダ22からリザーバ98への作動液の補給が必要である
ときには開状態となり、マスタシリンダ22からリザー
バ98への作動液の流れを許容し、一方、マスタシリン
ダ22からリザーバ98への作動液の補給が必要ではな
いときには閉状態となり、マスタシリンダ22からリザ
ーバ98への作動液の流れを阻止し、マスタシリンダ2
2による昇圧を可能とする。本実施形態においては、流
入制御弁150が常閉の電磁開閉弁とされている。
【0024】また、ポンプ通路104のうち補給通路1
48との接続点とリザーバ通路96との接続点との間の
部分に、補給通路148からリザーバ98に向かう作動
液の流れを阻止し、その逆向きの流れを許容する逆止弁
152が設けられている。そのため、主通路80のう
ち、液圧制御弁120より上流側の部分内の高圧の作動
液は、リザーバ98により低圧にされずに、ポンプ10
6により汲み上げられ、比較的少ない電気エネルギによ
りブレーキシリンダ24の液圧を十分に高くすることが
できる。
【0025】本液圧ブレーキシステムは、図4に示す電
子制御ユニット160(以下、ECU160と称する)
を備えている。ECU160はコンピュータ162を備
え、このコンピュータ162は、PU(プロセッシング
ユニット)164,ROM166,RAM168,I/
Oポート170を備えている。I/Oポート170に
は、ブレーキスイッチ172,踏力センサ174,マス
タシリンダ圧センサ176,車輪速センサ178および
ブースタ負圧センサ180等の各種センサが接続される
とともに、ポンプモータ107を始めとする各種アクチ
ュエータが駆動回路184を介して接続されている。こ
れら駆動回路184とコンピュータ162とによりEC
U160が構成されている。
【0026】ブレーキスイッチ172は、ブレーキペダ
ル18が踏み込まれた状態と踏み込まれていない状態と
で異なる信号を出力し、ブレーキペダル18の踏込開始
時に出力信号の状態が変化するように構成されている。
本実施形態においてブレーキスイッチ172は、ブレー
キペダル18が踏み込まれた状態ではON信号を出力
し、非踏込位置に復帰した状態ではOFF信号を出力す
る。ブレーキペダル18の非踏込位置は、車体に設けら
れた図示しないストッパにより規定される。
【0027】踏力センサ174は、例えば、ロードセル
により構成され、ブレーキペダル18の操作量の一種で
ある操作力たる踏力を検出し、踏力に応じた踏力信号を
出力する。マスタシリンダ圧センサ176は、マスタシ
リンダ22の2つの加圧室のうちの一方に接続されてマ
スタシリンダ圧に応じたマスタシリンダ圧信号を出力す
る。車輪速センサ178は、左,右の各前輪10,12
および各後輪14,16の各々について設けられ、各輪
の回転速度に応じた車輪速信号を出力する。ブースタ負
圧センサ180はブースタ20の低圧室34の負圧を検
出し、その負圧に応じたブースタ負圧信号を出力する。
【0028】コンピュータのROMには、図5にフロー
チャートで表す圧力付加制御ルーチンの他、アンチロッ
ク制御ルーチン等が記憶されており、コンピュータ16
2のRAM168には、図6に示すように、付加圧メモ
リ188等がワーキングメモリと共に設けられている。
これらルーチンがPU164によりRAM168を使用
しつつ実行されることにより、圧力付加制御,アンチロ
ック制御等がそれぞれ実行される。アンチロック制御
は、車輪速センサ176により各輪の車輪速および車体
の走行速度を監視しつつ、増圧弁90は開状態、減圧弁
100は閉状態とする増圧状態,増圧弁90も減圧弁1
00も閉状態とする保持状態および増圧弁90は閉状
態、減圧弁100は開状態とする減圧状態を選択的に実
現することにより、車両制動時に各輪がロックすること
を防止するように行われる。さらに、アンチロック制御
ルーチンは、アンチロック制御中、ポンプモータ107
を作動させ、ポンプ106によりリザーバ98から作動
液を汲み上げて主通路104に戻す。アンチロック制御
は、本発明とは直接関係がないため、更なる説明は省略
する。
【0029】圧力付加制御ルーチンに基づいて行われる
圧力付加制御を概略的に説明する。圧力付加制御は、ブ
ースタ20の入力、すなわちブレーキペダル18により
オペレーティングロッド44に加えられる力が互いに大
きさが異なる2つの設定値、すなわち第一設定値たる第
一設定踏力FK1,第二設定値たる第二設定踏力FK2をそ
れぞれ超えた状態において、ブースタ20の作動遅れの
検出による緊急制動の検出が行われ、ブースタ20に設
定作動遅れ以上の作動遅れがあり、ブースタ20の入力
に対する出力の遅れが設定遅れ以上であれば、緊急制動
が生じているとされる。本実施形態では、ブースタ20
の入力は、ブレーキペダル18の踏力を検出することに
より取得され、ブースタ20の出力は、マスタシリンダ
圧を検出することにより取得される。ブースタ20の設
定遅れ以上の作動遅れの検出は、ブースタ20の出力の
実際値である実マスタシリンダ圧PMCACと、理想マスタ
シリンダ圧PMCI との差が設定出力差たる設定圧力差で
ある設定マスタシリンダ圧差PTH以上であるか否かを判
定することにより行われる。理想マスタシリンダ圧P
MCI は、ブレーキペダル18の踏力に対して理想とされ
るマスタシリンダ圧であって、踏力とマスタシリンダ圧
との静的な関係である理想関係における踏力に対するマ
スタシリンダ圧であり、ブースタ20において入力が遅
れなく倍力された場合に得られる圧力である。
【0030】ブースタ20の設定作動遅れを超える作動
遅れが検出され、緊急制動が検出されれば、ブレーキシ
リンダへの液圧供給により得られるブレーキ作動力に付
加量が付加され、踏力とマスタシリンダ圧との間に上記
理想関係が成立する場合より大きいブレーキ作動力が得
られるようにされる。具体的には、ブレーキシリンダ圧
制御装置140が作動させられてブレーキシリンダ圧
が、実マスタシリンダ圧より付加圧だけ高くされること
により、ブレーキ作動量が付加量だけ大きくされる。付
加圧は、ブレーキシリンダ圧が、踏力に対して設定され
る理想マスタシリンダ圧より高くなる大きさに設定さ
れ、緊急制動検出時における実マスタシリンダ圧PMCAC
と、理想マスタシリンダ圧PMCI との差が大きいほど大
きく設定される。
【0031】また、踏力が運転者の意図に反して減少す
れば、その減少によるブレーキ作動力の不足がブレーキ
シリンダ圧制御装置140によりブレーキシリンダ圧に
付加される付加圧の増加により軽減される。そして、ブ
レーキペダル18の踏込みが緩められれば、圧力付加制
御が終了させられる。
【0032】フローチャートに基づいて具体的に説明す
る。まず、緊急制動が行われない場合を説明する。ステ
ップ1(S1で表す。他のステップについても同様とす
る)において、ブレーキスイッチ172がONであるか
否かの判定が行われる。ブレーキペダル18が踏み込ま
れたか否かの判定が行われるのであり、ブレーキペダル
18が踏み込まれていなければ、S1の判定はNOにな
ってS2が実行され、フラグF1 〜F7 のリセット,付
加圧メモリ188等のクリア,ブレーキシリンダ圧制御
装置140による圧力付加制御の終了等の終了処理が行
われる。圧力付加制御の終了は、ポンプモータ107の
停止,液圧制御弁120のソレノイド134への供給電
流を0にして液圧制御弁120を開状態とし、流入制御
弁150を閉じることにより行われる。なお、図示しな
いメインルーチンの初期設定においてフラグF 1 〜F7
のリセット,付加圧メモリ188等のクリアが行われて
いる。
【0033】ブレーキペダル18が踏み込まれていれ
ば、S1の判定がYESになってS3が実行され、フラ
グF1 がセットされているか否かの判定が行われる。フ
ラグF 1 はセットにより、圧力付加制御を終了すること
を記憶する。フラグF1 がセットされていなければ、S
3の判定はNOになってS4が実行され、フラグF2
セットされているか否かの判定が行われる。フラグF2
はセットにより、緊急制動が検出されて圧力付加制御を
行うことを記憶する。フラグF2 がセットされていなけ
れば、S4の判定はNOになってS5が実行され、フラ
グF4 がセットされているか否かの判定が行われる。フ
ラグF4 はセットにより、踏力が第二設定踏力FK2を超
えた状態で緊急制動の検出が行われたことを記憶する。
フラグF4がセットされていなければ、S5の判定はN
OになってS6が実行され、フラグF3 がセットされて
いるか否かの判定が行われる。フラグF3 はセットによ
り、踏力が第一設定踏力FK1を超えた状態で緊急制動の
検出が行われたことを記憶する。フラグF3 がセットさ
れていなければ、S6の判定はNOになってS7が実行
され、踏力が第一設定踏力FK1を超えたか否かの判定が
行われる。踏力が第一設定踏力FK1以下であれば、S7
の判定はNOになってルーチンの実行は終了する。
【0034】踏力が第一設定踏力FK1を超えれば、S7
の判定はYESになってS8が実行され、フラグF3
セットされた後、緊急制動が行われたか否かが判定され
る。この判定は、理想マスタシリンダ圧PMCI から実マ
スタシリンダ圧PMCACを差し引いた値、すなわちマスタ
シリンダ圧差が設定出力差である設定マスタシリンダ圧
差PTH以上であるか否かにより行われる。理想マスタシ
リンダ圧PMCI は、ブレーキペダル18の踏力に対して
理想とされるマスタシリンダ圧であり、予め取得されて
コンピュータ162のROM166に記憶されている。
緊急制動時には、踏力の増大勾配が大きく、理想マスタ
シリンダ圧PMCI の増大勾配が大きいため、ブースタ2
0の作動遅れが大きく、マスタシリンダ圧差が大きくな
る。そのため、設定マスタシリンダ圧差PTHは、緊急制
動時であれば、マスタシリンダ圧差が設定マスタシリン
ダ圧差PTH以上となる大きさであって、かつ、ブースタ
20の失陥を検出するための値より小さく設定されてい
る。ブースタ20の失陥とは、ブースタ20が入力を倍
力することができない状態にあることであり、例えば、
低圧室34に負圧を供給する供給管の異常等により負圧
が供給されなくなることにより起こる。ブースタ20の
失陥時には入力が倍力されないため、マスタシリンダ圧
差は緊急制動時より大きくなり、緊急制動検出のための
設定マスタシリンダ圧差PTHによってブースタ20の失
陥を検出することができる。
【0035】ブースタ20の作動遅れが小さく、図8に
示すように、実マスタシリンダ圧P MCACが理想マスタシ
リンダ圧PMCI にやや遅れて増大し、マスタシリンダ圧
差が設定マスタシリンダ圧差PTHより小さければ、緊急
制動ではなく、S9の判定はNOになってルーチンの実
行は終了する。なお、図8において、縦軸がマスタシリ
ンダ圧と踏力との両方とされているが、踏力の値とその
踏力に対応するマスタシリンダ圧の値とが一致するよう
に両縦軸の目盛りが定められている。つまり、踏力を表
すグラフがそのまま踏力に対応するマスタシリンダ圧を
表すようにされているのである。他の図においても同じ
である。フラグF3 がセットされているため、次にS6
が実行されるとき、その判定はYESになり、S12が
実行されて踏力Fが第二設定踏力FK2を超えたか否かの
判定が行われる。この判定は当初はNOであり、ルーチ
ンの実行は終了する。
【0036】踏力Fが第二設定踏力FK2を超えれば、S
12の判定はYESになってS13が実行され、フラグ
4 がセットされた後、S9が実行されて緊急制動が行
われたか否かの判定が行われる。緊急制動が行われてお
らず、マスタシリンダ圧差が設定マスタシリンダ圧差P
THより小さければ、S9の判定はNOになってルーチン
の実行は終了する。フラグF4 がセットされているた
め、次にS5の判定が行われるとき、その判定はYES
になってルーチンの実行は終了する。踏力Fが第二設定
踏力FK2を超えた状態で緊急制動の有無の判定が行われ
た後は、緊急制動が行われたか否かの判定は行われない
のであり、ブレーキペダル18の踏込みが解除されてS
1の判定がNOになるまで、S1,S3,S4,S5が
繰返し実行される。
【0037】次に、緊急制動が行われ、踏力Fが第一設
定踏力FK1を超え、第二設定踏力F K2以下の状態で緊急
制動が検出された場合の制御を説明する。この場合、踏
力Fが第一設定踏力FK1を超えた状態で行われるS9の
判定がYESになる。すなわちマスタシリンダ圧差が設
定マスタシリンダ圧差PTH以上になるのであり、ブース
タ20の作動遅れに基づいて緊急制動が検出される。S
9の判定がYESになればS10が実行され、ブレーキ
シリンダ圧制御装置140によりブレーキシリンダ圧に
付加する付加圧が決定される。付加圧は、マスタシリン
ダ圧差より大きく、ブレーキシリンダ圧が、踏力に対す
る理想マスタシリンダ圧より大きくなる大きさに決定さ
れてもよく、マスタシリンダ圧差より小さく決定されて
もよい。少なくとも、付加圧を付加した後の静的な状態
におけるブレーキシリンダ圧が踏力に対する理想マスタ
シリンダ圧よりも大きくなればよいのである。本実施形
態においては、付加圧は、図7に示すように、マスタシ
リンダ圧差が大きいほど大きく設定される。図7に示す
マスタシリンダ圧差と付加圧との関係は、テーブル,式
等により表されてコンピュータ162のROM166に
記憶されており、これらテーブル,式等に基づいて付加
圧が決定される。決定された付加圧は、付加圧メモリ1
88に記憶される。付加圧は、マスタシリンダ圧差が大
きい領域では一定となるようにされており、それによっ
て付加圧が過大になることが防止される。なお、図7に
おいて、付加圧は、マスタシリンダ圧差が大きくなれ
ば、一定の大きさに抑えられるようにされているが、抑
えることなく、マスタシリンダ圧差の増大に伴って大き
くなるようにしてもよい。
【0038】次いで、S11が実行され、フラグF2
セットされた後、S14が実行され、フラグF5 がセッ
トされているか否かの判定が行われる。フラグF5 はセ
ットにより、踏力Fの極大値が得られたことを記憶す
る。フラグF5 がセットされていなければ、S14の判
定はNOになり、S15が実行されてブースタ20の入
力が増大しているか否かの判定が行われる。この判定
は、ブレーキペダル18の踏力が増大しているか否かに
より行われ、踏力センサ174により検出される踏力で
あって、相前後して取得された2つの踏力に基づいて判
定が行われる。S15では、踏力センサ174の検出信
号に基づいて得られる踏力が読み込まれ、今回踏力メモ
リ190に記憶されて今回踏力F(n) とされるととも
に、それまで今回踏力メモリ190に記憶されていた踏
力は前回踏力メモリ192に移されて前回踏力F(n-1)
とされる。そして、今回踏力F(n) が前回踏力F(n-1)
以上であるか否かの判定が行われ、今回踏力F(n) が前
回踏力F(n-1) 以上であれば、入力が増大中であると判
定され、S15の判定はYESになってS16が実行さ
れ、圧力付加制御が行われる。
【0039】この圧力付加制御は、ブレーキシリンダ圧
に、S10において決定した付加圧を付加することによ
り行われる。液圧制御弁120のソレノイド134への
供給電流量が、ブレーキシリンダ圧が実マスタシリンダ
圧PMCACに対して、付加圧分、高くなる大きさに決定さ
れ、ソレノイド駆動指令信号が出力される。そして、ポ
ンプモータ107が起動され、ポンプ106が作動させ
られてブレーキシリンダ24に作動液が加圧されて供給
される。ブレーキシリンダ圧が実マスタシリンダ圧よ
り、付加圧分、高い液圧に制御され、ブレーキシリンダ
圧に、緊急制動に必要な液圧が付加されるのである。付
加圧は、マスタシリンダ圧差が大きいほど大きく決定さ
れており、緊急制動の度合に応じたブレーキ作動力が得
られる。液圧付加時に必要であれば、例えば、アンチロ
ック制御時ではなく、あるいはリザーバ98に作動液が
なければ、流入制御弁150が開かれ、マスタシリンダ
22から作動液が汲み出されるようにされる。リザーバ
98における作動液の有無は、例えば、減圧弁100の
開時間,ポンプ106の作動時間等に基づいて推定する
ことができる。流入制御弁150は、圧力付加制御時に
は、常に開くようにしてもよい。
【0040】このように踏力Fが第一設定踏力FK1を超
えるまで増大したときにブースタ20の設定作動遅れ以
上の作動遅れが検出されれば、図9に示すように、ブレ
ーキシリンダ圧が実マスタシリンダ圧PMCACより付加圧
分(図中、破線が施された部分)、高い液圧に制御さ
れ、緊急制動に応じたブレーキ作動力が得られる。な
お、図9のグラフにおいては、理解を容易にするため
に、ブースタ20のジャンプ特性は無視されている。他
のグラフについても同じである。
【0041】フラグF2 がセットされているため、次に
S4が実行されるとき、その判定はYESになってS5
〜S13がスキップされてS14が実行され、ブースタ
20の入力が増大している間(入力が変化しない場合を
含む)、S1,S3,S4,S14〜S16が繰返し実
行される。
【0042】ブースタの入力が減少に転ずれば、すなわ
ちブレーキペダル18の踏込みが緩められれば、今回踏
力F(n) が前回踏力F(n-1) より小さくなり、S15の
判定がNOになってS17が実行され、前回踏力F
(n-1) が極大値メモリ194に記憶されてブースタ20
の入力の極大値(図5では、FMAX で表されている)と
される。入力の極大値として、踏力の極大値が取得され
るのである。また、フラグF5 がセットされて極大値の
取得が記憶される。次いでS18が実行され、フラグF
6 がセットされているか否かの判定が行われる。フラグ
6 は、セットにより、付加圧を増加させることを記憶
するが、ここではまだセットされておらず、S18の判
定はNOになってS19が実行され、フラグF7 がセッ
トされているか否かの判定が行われる。フラグF7 はセ
ットにより、付加圧を増加させないことを記憶するが、
ここではまだセットされておらず、S19の判定はNO
になってS20が実行され、入力の極大値が取得されて
から、設定時間が経過したか否かの判定が行われる。こ
の判定は当初はNOであり、S16が実行される。
【0043】踏力の極大値の取得によりフラグF5 がセ
ットされるため、次にS14が実行されるとき、その判
定はYESになってS15,S17がスキップされ、S
18が実行される。踏力の極大値が取得されてから、設
定時間が経過するまで、S1,S3,S4,S14,S
18〜S20,S16が繰返し実行される。そして、設
定時間が経過すれば、S20の判定はYESになってS
21が実行され、入力、すなわち踏力の減少量FDOWN
設定減少量ΔFDOWNより大きいか否かの判定が行われ
る。踏力の減少量FDOWNは、踏力の極大値から、S21
の実行時に踏力センサ174の検出信号に基づいて得ら
れる踏力をひくことにより得られる。踏力減少量FDOWN
が設定減少量ΔFDOWNより大きければ、S21の判定は
YESになってS22が実行され、付加圧増加量が決定
されて付加圧増加量メモリ198に記憶される。この付
加圧増加量は、図12に示すように、踏力減少量FDOWN
が大きいほど大きくされる。また、付加圧増加量が決定
されたときの入力(踏力)が付加圧増加量決定時踏力メ
モリ196に記憶されるとともに、フラグF6 がセット
される。そして、S23が実行され、圧力付加制御が行
われる。この圧力付加制御は、S10において決定され
た付加圧に、S22において決定された付加圧増加量を
加えた液圧がブレーキシリンダ圧に付加されるように行
われる。液圧制御弁120のソレノイド134への供給
電流量が、付加圧増加量に相当する分、多くされるので
ある。
【0044】それにより、例えば、運転者がブレーキペ
ダル18を大きく踏み込んだものの、力不足により踏込
状態を維持できず、運転者の力に応じた位置へブレーキ
ペダル18が戻り、運転者の意図に反して踏力が減少し
てもブレーキの作動力の減少が軽減され、ブレーキ作動
力が確保される。図10に示すように、ブレーキペダル
18の踏力が減少して理想マスタシリンダ圧PMCI が減
少し、実マスタシリンダ圧PMCACは、減少した理想マス
タシリンダ圧PMCI に追いつくが、ブレーキシリンダ圧
は、付加圧の増量により、減少しないようにされる。付
加圧が増加させられなければ、減少後、一定になった理
想マスタシリンダ圧に追いついて、理想マスタシリンダ
圧と等しくなった実マスタシリンダ圧に対して、ブレー
キシリンダ圧は、図10中、斜線を施して示す付加圧
分、高い液圧に制御されるのみであり、このブレーキシ
リンダ圧は、踏力が減少しなかった場合の実マスタシリ
ンダ圧に対して、付加圧分、高い液圧に制御されるブレ
ーキシリンダ圧より小さい。それに対し、付加圧を増加
させれば、踏力が減少せず、ブレーキペダル18が踏込
位置に維持された場合に得られるブレーキシリンダ圧に
近いブレーキシリンダ圧が得られるのである。上記設定
時間および設定減少量ΔFDOWNは、上記のように運転者
の意図に反した踏力の減少が生じたことを検出し得る大
きさに設定されている。
【0045】付加圧増加量が決定された場合、フラグF
6 がセットされるため、次にS18が実行されるとき、
その判定はYESになってS24が実行され、踏力が保
持されているか否かの判定が行われる。踏力の減少が、
運転者が意図してブレーキペダル18の踏込みを緩める
ことにより生じたか、あるいは運転者の意図に反して生
じたかの判定が行われるのである。踏力の減少が運転者
の意図に反して生じたのであれば、ブレーキペダル18
は運転者の力に応じた位置に保持され、踏力は減少した
大きさで一定になるが、運転者の意図により生じたので
あれば、ブレーキペダル18の踏込みが更に緩められ、
踏力は保持されず、減少するからである。
【0046】S24の判定は、踏力センサ174の検出
信号に基づいて得られる踏力を読み込み、付加圧増加量
決定時踏力に基づいて設定される踏力範囲内にあるか否
かにより、すなわち踏力が付加圧増加量決定時踏力とほ
ぼ同じであるか否かにより行われる。踏力がこの設定踏
力範囲内にあれば、S24の判定はYESになってS2
3が実行される。踏力の減少が運転者の意図に反して生
じたと判定され、付加圧が増加させられ続けるのであ
る。
【0047】それに対し、踏力が設定踏力範囲から外れ
ていれば、S24の判定はNOになってS25が実行さ
れ、フラグF1 がセットされた後、S26が実行され
る。この場合、踏力の減少が、運転者がブレーキペダル
18の踏込みを意図的に緩めることにより生じたと判定
され、圧力付加制御が終了させられる。運転者がブレー
キペダル18の踏込みを緩めた場合、運転者に緊急制動
の意図はなくなったと解してよく、圧力付加制御が終了
させられるのである。それにより、実マスタシリンダ圧
MCAC,理想マスタシリンダ圧PMCI および踏力が減少
させられるとともに、ブレーキシリンダ圧は付加圧を付
加されることなく、減少させられる。そのため、S24
においてブレーキペダル18の踏込みの意図的な緩めが
検出されるまでは、付加圧が増加させられるが、増加さ
せられ続けることはなく、ブレーキペダル18の踏込み
の緩めに応じて、実マスタシリンダ圧PMCAC,ブレーキ
シリンダ圧が理想マスタシリンダ圧PMCI に沿って減少
させられる。なお、実マスタシリンダ圧PMCACおよびブ
レーキシリンダ圧が、理想マスタシリンダ圧PMCI に対
してずれながら減少するとすれば、そのずれは、理想マ
スタシリンダ圧PMCIより大きくなる側に生ずる。
【0048】それに対し、運転者の力が十分であってブ
レーキペダル18が踏込位置に維持されれば、踏力減少
量FDOWNが設定時間内に設定減少量ΔFDOWNより大きく
なることはないため、S21の判定はNOになってS2
8が実行され、フラグF7 がセットされた後、S16が
実行される。この場合、付加圧の増加は必要がないた
め、S16が実行されるのであり、図9に示すように、
実マスタシリンダ圧に対して付加圧分、高く制御された
ブレーキシリンダ圧が得られる。フラグF7 がセットさ
れれば、次にS19が実行されるとき、その判定がYE
SになってS27が実行され、ブレーキペダル18の踏
込みが緩められたか否かの判定が行われる。この判定
は、S24におけると同様に実行され、ブレーキペダル
18の踏込みが緩められていなければ、踏力は設定踏力
範囲内にあり、S27の判定はNOになってS16が実
行される。ブレーキペダル18の踏込みが緩められれ
ば、S27の判定がYESになってS25,S26が実
行され、圧力付加制御が終了させられる。そして、ブレ
ーキペダル18の踏込みの緩めに応じて、実マスタシリ
ンダ圧PMCAC,ブレーキシリンダ圧が理想マスタシリン
ダ圧PMCI に沿って減少させられる。
【0049】このように、付加圧が増加させられる場合
にも、増加させられない場合にも、ブレーキペダル18
の踏込みが緩められれば、フラグF1 がセットされるた
め、ブレーキペダル18の踏込みが解除されるまで、S
1,S3が繰返し実行され、ブレーキシリンダ圧は付加
圧を付加されることなく、減少させられる。そして、ブ
レーキペダル18の踏込みが解除されれば、S1の判定
がNOになってS2が実行される。
【0050】踏力Fが第一設定踏力FK1を超えるが、第
二設定踏力FK2以下の状態では緊急制動が検出されず、
1回目の緊急制動の判定実行後、緊急制動が行われ、踏
力Fが第二設定踏力FK2を超えた状態で緊急制動が検出
された場合を説明する。この場合、踏力Fが第一設定踏
力FK1を超えることにより、フラグF3 がセットされる
が、緊急制動が検出されておらず、圧力付加制御が行わ
れないため、フラグF2 がセットされず、踏力Fが第二
設定踏力FK2を超えるまで、S1の判定はYES、S
3,S4,S5の判定はNO、S6の判定はYESにな
ってS12が実行される。踏力Fが第二設定踏力FK2
超えれば、S12の判定がYESになってS13が実行
され、フラグF4 がセットされた後、S9が実行され、
緊急制動が行われたか否かの判定が行われる。緊急制動
が行われていれば、S9の判定はYESになり、以下、
踏力が第一設定踏力FK1を超えた状態で緊急制動が検出
された場合と同様に圧力付加制御が行われる。
【0051】図11に示すように、ブレーキペダル18
の踏込み開始当初は、緊急制動ではなく、通常の制動が
行われ、踏力および理想マスタシリンダ圧PMCI の増大
勾配が小さい場合には、実マスタシリンダ圧PMCACおよ
びブレーキシリンダ圧は、理想マスタシリンダ圧PMCI
に対してやや遅れるが、小さいマスタシリンダ圧差で増
大する。そして、1回目の緊急制動の判定が行われた
後、緊急制動が行われれば、踏力Fおよび理想マスタシ
リンダ圧PMCI の増大勾配が大きくなり、ブースタ20
の作動遅れが大きくなって実マスタシリンダ圧PMCAC
理想マスタシリンダ圧PMCI との差が大きくなり、マス
タシリンダ圧差が設定マスタシリンダ圧差PTHを超え、
圧力付加制御が行われるのである。
【0052】なお、前述のように、設定マスタシリンダ
圧差PTHは、ブースタ20の失陥時に生ずるマスタシリ
ンダ圧差より小さく設定されているため、ブースタ20
に失陥が生ずれば、それにより生ずるマスタシリンダ圧
差は設定マスタシリンダ圧差PTHより大きくなり、緊急
制動時と同様にマスタシリンダ圧差に基づいて付加圧が
決定され、ブレーキシリンダ圧制御装置140により圧
力付加制御が行われ、十分なブレーキ作動力が得られる
ようにされる。
【0053】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ブレーキシリンダ圧制御装置140がブ
レーキシリンダ圧付加部を構成している。また、ECU
160のS7,S12を実行する部分が一定時期遅れ検
出部ないし特定入力時遅れ検出部を構成し、S9を実行
する部分が出力依拠遅れ検出部たるマスタシリンダ圧依
拠遅れ検出部を構成し、これらが遅れ検出部を構成し、
ECU160のS10,S16を実行する部分が作動力
付加部たる外れ量対応付加部を構成し、ECU160の
S9の判定がYESになったときにS16を実行し、ポ
ンプ106を起動させ、液圧制御弁120のソレノイド
134への電流供給を開始させて、ブレーキシリンダ圧
制御装置140にブレーキシリンダ圧の付加を開始させ
る部分が増大装置起動部を構成し、これらがブレーキ作
動力増大装置たる緊急制動制御装置を構成している。
【0054】なお、上記実施形態においては、1回のブ
レーキペダルの踏込みから解除までの間に、緊急制動の
有無の判定が2回行われるようにされていたが、1回行
われるのみでもよい。また、付加圧は、ブースタ負圧、
すなわちブースタ20の低圧室34の負圧に応じて決定
してもよい。これらの例を図13および図14に基づい
て説明する。本実施形態のブレーキシステムは、圧力付
加制御ルーチンを除いて上記実施形態と同様に構成され
ており、このルーチン以外の図示および説明を省略す
る。
【0055】まず、S51においてブレーキスイッチが
ONであるか否かの判定が行われる。ブレーキペダル1
8が踏み込まれておらず、ブレーキスイッチがOFFで
あれば、S51の判定はNOになってS52が実行さ
れ、終了処理が行われる。この終了処理は、前記実施形
態のS2と同様に行われる。ブレーキペダルが踏み込ま
れれば、ブレーキスイッチがONになり、S51の判定
はYESになってS53が実行され、踏力Fが設定踏力
Fより大きいか否かの判定が行われる。設定踏力は、例
えば、前記第一設定踏力FK1あるいは第二設定踏力FK2
と同じ大きさ、あるいはそれらの間の大きさに設定され
ており、踏力Fが設定踏力FK 以下であれば、ルーチン
の実行は終了する。
【0056】踏力Fが設定踏力FK より大きければ、S
53の判定はYESになってS54が実行され、フラグ
8 がセットされているか否かの判定が行われる。フラ
グF 8 は、図示は省略するが、コンピュータのRAMに
設けられており、セットにより、緊急制動が検出され、
圧力付加制御が行われることを記憶する。ここではま
だ、緊急制動の検出は行われておらず、フラグF8 はリ
セットされているためS54の判定はNOになってS5
5が実行され、フラグF9 がセットされているか否かの
判定が行われる。フラグF9 はセットにより、緊急制動
が検出されず、圧力付加制御が行われないことを記憶す
る。
【0057】フラグF9 がリセットされていれば、S5
5の判定はNOになってS56が実行され、緊急制動が
行われているか否かの判定が行われる。この判定は、前
記実施形態のS9におけると同様に行われ、マスタシリ
ンダ圧差が設定マスタシリンダ圧差PTH以上であるか否
かにより行われる。緊急制動が行われていれば、マスタ
シリンダ圧差は設定マスタシリンダ圧差PTH以上であ
り、S56の判定はYESになってS57が実行され、
フラグF8 がセットされる。
【0058】次いでS58が実行され、付加圧が決定さ
れて付加圧メモリに記憶される。付加圧は、ブースタに
設定遅れ以上の作動遅れが検出された際のマスタシリン
ダ圧差とブースタ負圧、すなわちブースタ負圧センサに
より検出されるブースタの低圧室の負圧とに基づいて決
定される。付加圧は、マスタシリンダ圧差が大きいほど
大きく設定され、ブースタ負圧が小さい(大気圧に近
く、負圧が弱い)ほど大きく設定される。例えば、ま
ず、マスタシリンダ圧差に基づいて基本付加圧を設定
し、基本付加圧に、ブースタ負圧に応じた係数をかける
ことにより付加圧が決定される。基本付加圧は、図14
に示すように、マスタシリンダ圧差が大きいほど大きく
設定される。なお、図14において、基本付加圧は、マ
スタシリンダ圧差が大きくなれば、一定の大きさに抑え
られるようにされているが、抑えることなく、マスタシ
リンダ圧差の増大に伴って大きくなるようにしてもよ
い。また、基本付加圧は、図7に示すマスタシリンダ圧
差と付加圧との関係と同様に、設定マスタシリンダ圧差
以上のマスタシリンダ圧差について設定されるようにし
てもよい。上記係数は、ブースタにおいて得られること
が予定されている最大のブースタ負圧について1とさ
れ、ブースタ負圧が小さいほど大きくなるように設定さ
れている。マスタシリンダ圧差に対する基本付加圧およ
びブースタ負圧に対する係数はそれぞれ、例えば、それ
らの関係を規定する式あるいはテーブルが作成されてR
OMに記憶され、それら式あるいはテーブルに基づいて
基本付加圧,係数が設定され、付加圧が決定される。決
定された付加圧は、図示は省略するが、コンピュータの
RAMに設けられた付加圧メモリに記憶される。
【0059】次いで、S59においてブレーキシリンダ
圧制御装置により圧力付加制御が行われる。この制御
は、S58において決定された付加圧分、ブレーキシリ
ンダ圧が実マスタシリンダ圧より高くなるように行われ
る。
【0060】フラグF8 がセットされることにより、次
にS54が実行されるとき、その判定はYESになって
S55〜S58がスキップされ、S59が実行されて圧
力付加制御が行われる。そして、ブレーキペダルの踏込
みが解除されるまで、圧力付加制御が行われ、ブレーキ
ペダルの踏込みが解除されれば、圧力付加制御が終了さ
せられる。
【0061】緊急制動が行われず、マスタシリンダ圧差
が設定マスタシリンダ圧差PTHより小さければ、S56
の判定はNOになってS60が実行され、フラグF9
セットされる。そのため、次にS55が実行されると
き、その判定はYESになってS56〜S60がスキッ
プされ、圧力付加制御は行われない。踏力Fが設定踏力
K を超えた時点で緊急制動が行われているか否かの判
定が1回行われ、このとき、緊急制動が検出されなけれ
ば、圧力付加制御は行われないのである。本実施形態に
おいては、ECUのS58を実行する部分が負圧対応付
加部を構成している。
【0062】なお、マスタシリンダ圧差とブースタ負圧
とに基づいて付加圧を決定するテーブルを作成してコン
ピュータのROMに記憶し、そのテーブルを用いて付加
圧を決定してもよい。あるいは式を用いて付加圧を決定
してもよい。
【0063】上記各実施形態において、緊急制動を検出
するための設定マスタシリンダ圧差PTHは、ブースタ負
圧、すなわちブースタ20の低圧室34の圧力に関係な
く、一定とされていたが、ブースタ負圧に応じて変えて
もよい。また、上記各実施形態において、ブレーキシリ
ンダ圧は、上限なく、圧力が付加されるようになってい
たが、上限を設けてもよい。これらの例を図15および
図16に基づいて説明する。本実施形態のブレーキシス
テムは、圧力付加制御ルーチンを除いて上記実施形態と
同様に構成されており、このルーチン以外の図示および
説明を省略する。
【0064】本実施形態の圧力付加制御ルーチンは、図
13に示す実施形態の圧力付加制御と同様に、緊急制動
の検出は、踏力Fが設定踏力FK を超えたときに1回の
み行われるようにされており、S71〜S75は、上記
実施形態のS51〜S55と同様に実行される。緊急制
動の検出が行われておらず、フラグF10,F11のいずれ
もセットされていなければ、S76が実行され、ブース
タ負圧に基づいて設定マスタシリンダ圧差PTHが決定さ
れる。設定マスタシリンダ圧差PTHは、ブースタ負圧が
小さいほど、大きく設定される。ブースタ負圧が小さい
ほど、低圧室と変圧室との差が小さく、ブースタの作動
遅れが大きくなるからである。これらブースタ負圧と設
定マスタシリンダ圧差PTHとの関係は、テーブル,式等
により表されてコンピュータのROMに記憶されてお
り、S76においては、ブースタ負圧センサにより検出
されるブースタ負圧およびROMに記憶されたテーブ
ル,式等に基づいて設定マスタシリンダ圧差PTHが決定
され、コンピュータのRAMに設けられた設定マスタシ
リンダ圧差メモリ(図示省略)に記憶される。
【0065】次いでS77が実行され、緊急制動が行わ
れたか否かの判定が行われる。この判定は、踏力に見合
う理想マスタシリンダ圧PMCI から実マスタシリンダ圧
MC ACを引くことにより得られるマスタシリンダ圧差
が、S76において決定された設定マスタシリンダ圧差
TH以上であるか否かにより行われる。緊急制動が行わ
れておらず、マスタシリンダ圧差が設定マスタシリンダ
圧差PTHより小さければ、S77の判定はNOになって
S83が実行され、フラグF11がセットされる。それに
より、以下、ブレーキペダル18の踏込みが解除される
まで、S71,S73〜S75が繰返し実行される。
【0066】それに対し、緊急制動が行われれば、マス
タシリンダ圧差が設定マスタシリンダ圧差PTH以上にな
り、S77の判定がYESになってS78が実行され、
フラグF10がセットされる。そして、S79において、
例えば、前記実施形態のS58におけると同様に付加圧
が決定され、付加圧メモリに記憶された後、S80が実
行され、ブレーキシリンダ圧が上限値以上になったか否
かの判定が行われる。この判定は、マスタシリンダ圧セ
ンサにより検出される実マスタシリンダ圧に付加圧を加
えた値が上限値以上になったか否かにより行われる。上
限値は、緊急制動時に十分なブレーキ作動力が得られる
大きさであって、ブレーキシリンダ圧が大き過ぎてブレ
ーキの構成要素に異常が生ずることのない大きさに設定
されている。例えば、運転者の力が強く、大きい踏力を
出すことができるのであれば、付加圧の付加によりブレ
ーキシリンダ圧が大きくなり過ぎる恐れがあるため、上
限値を設け、ブレーキシリンダ圧を抑えることができる
ようにされているのである。
【0067】ブレーキシリンダ圧が上限値より小さけれ
ば、S80の判定はNOになってS81が実行され、圧
力付加制御が行われ、ブレーキシリンダ圧が付加圧分、
実マスタシリンダ圧より大きくなるようにされる。ブレ
ーキシリンダ圧が上限値以上にならなければ、ブレーキ
ペダルの踏込みが解除されるまで、S71,S73,S
74,S80,S81が繰返し実行される。
【0068】そして、踏力,実マスタシリンダ圧が増大
し、ブレーキシリンダ圧が上限値以上になれば、S80
の判定がYESになってS82が実行され、ブレーキシ
リンダ圧が上限値に維持される。上限値から実マスタシ
リンダ圧を引いた圧力が付加圧とされ、ブレーキシリン
ダ圧に付加されるのであり、付加圧は、S79において
決定された付加圧より小さくされ、それにより、図16
に示すように、ブレーキシリンダ圧は増大させられず、
上限値に抑えられる。ブレーキペダル18の踏込みが止
められれば、付加圧は一定になるが、ブレーキシリンダ
圧が上限値に達した後もブレーキペダルが踏み込まれ続
け、踏力が増大し続ける場合には、付加圧は、踏力の増
大に伴って減少させられる。ブレーキペダルの踏込みが
緩められ、ブレーキシリンダ圧が上限値より小さくなれ
ば、S80の圧力付加制御が行われ、ブレーキペダルの
踏込み解除が待たれる。本実施形態においては、ECU
のS76を実行する部分が、設定出力差設定部たる設定
マスタシリンダ圧差設定部を構成している。
【0069】ブースタの入力が設定入力を超えたとき、
出力が設定出力を超えていなければ、圧力付加制御が行
われるようにしてもよい。その例を図17に基づいて説
明する。本実施形態においては、踏力センサおよびマス
タシリンダ圧センサに代えて踏力スイッチおよびマスタ
シリンダ圧スイッチが用いられる。踏力スイッチは、踏
力が設定踏力を超えた状態と、設定踏力以下である状態
とで異なる信号を出力する。本実施形態では、設定踏力
は、例えば、前記実施形態の第一設定踏力FK1と同じ大
きさに設定され、踏力スイッチは、踏力が設定踏力以下
である状態ではOFF信号,設定踏力を超える状態では
ON信号を出力するものとする。また、マスタシリンダ
圧スイッチは、マスタシリンダ圧が設定値を超える状態
と設定値以下である状態とで異なる信号を出力する。本
実施形態においてマスタシリンダ圧の設定値は、上記設
定踏力に対する理想マスタシリンダ圧よりやや小さい大
きさに設定されており、マスタシリンダ圧スイッチは、
マスタシリンダ圧が設定マスタシリンダ圧以下である状
態ではOFF信号,設定マスタシリンダ圧を超える状態
ではON信号を出力するものとされている。これらスイ
ッチの出力信号は、ECUのコンピュータに供給され
る。
【0070】図17に示すフローチャートに基づいて圧
力付加制御を説明する。まず、S91においてブレーキ
スイッチがONであるか否かの判定が行われ、ONでな
ければ、S92が実行され、終了処理が行われる。ブレ
ーキペダルが踏み込まれ、ブレーキスイッチがONであ
れば、S91の判定はYESになってS93が実行さ
れ、踏力スイッチがONであるか否かの判定が行われ
る。踏力が小さく、設定値以下であれば踏力スイッチは
OFFであり、S93の判定はNOになる。踏力が設定
値を超え、踏力スイッチがONになれば、S93の判定
はYESになってS94が実行され、フラグF12がセッ
トされているか否かの判定が行われる。フラグF12は、
セットにより、付加圧が決定され、圧力付加制御が行わ
れることを記憶する。
【0071】フラグF12がセットされていなければ、S
95が実行され、フラグF13がセットされているか否か
の判定が行われる。フラグF13は、セットにより、圧力
付加制御が行われないことを記憶する。フラグF13がセ
ットされていなければ、S96が実行され、マスタシリ
ンダ圧スイッチがOFFであるか否かの判定が行われ
る。
【0072】緊急制動時には、踏力の増大勾配が通常制
動時より大きく、実マスタシリンダ圧の理想マスタシリ
ンダ圧に対する遅れが大きく、マスタシリンダ圧は設定
マスタシリンダ圧に達しない。そのため、マスタシリン
ダ圧スイッチの信号がONにならず、OFFであり、S
96の判定はYESになってS97が実行され、フラグ
12がセットされた後、S98が実行され、付加圧が決
定される。付加圧は、例えば、予め定められた一定の付
加圧に、ブースタ負圧の大きさにより異なる係数を掛け
ることにより決定され、得られた付加圧は付加圧メモリ
に記憶される。次いでS99が実行され、決定された付
加圧分、ブレーキシリンダ圧がマスタシリンダ圧より高
くなるように圧力付加制御が行われる。
【0073】フラグF12がセットされているため、次に
S94が実行されるとき、その判定はYESになってS
95〜S98がスキップされ、S99において圧力付加
制御が行われる。緊急制動が行われているか否かの判定
は、踏力が設定踏力に達したときに1回行われるのみな
のであり、踏力が更に増大しても付加圧は変わらず、ブ
レーキシリンダ圧はマスタシリンダ圧に対して同じ付加
圧分、高くされる。そして、ブレーキペダル18の踏込
みが緩められ、踏力スイッチがOFFになり、あるいは
ブレーキスイッチがOFFになれば、圧力付加制御が終
了させられる。
【0074】踏力スイッチがONになったとき、マスタ
シリンダ圧スイッチもONであれば、S96の判定がN
OになってS100が実行され、フラグF13がセットさ
れてルーチンの実行は終了する。る。そして、次にS9
5が実行されるとき、その判定はYESになってルーチ
ンの実行は終了し、圧力付加制御は行われない。緊急制
動が行われず、通常の制動が行われる場合には、踏力の
増大勾配が緊急制動時より小さく、マスタシリンダ圧の
遅れが小さいため、マスタシリンダ圧が設定値以上にな
り、マスタシリンダ圧スイッチがONになるのであり、
それにより緊急制動が行われていないことがわかり、圧
力付加制御は行われないのである。
【0075】上記各実施形態においては、緊急制動時に
圧力付加制御が行われるようにされていたが、それと共
に、あるいはそれに代えて、圧力付加制御を行ってブレ
ーキ作動力の不足(ブレーキ操作力たる踏力に対して予
定されている作動力に足りないこと)をなくし、あるい
は軽減して、ブレーキの作動遅れを低減するようにして
もよい。緊急制動制御および作動遅れ低減制御の両方が
行われるブレーキシステムを図18ないし図23に基づ
いて説明する。本実施形態のブレーキシステムは、図1
8に示す圧力付加制御ルーチンを除いて上記実施形態と
同様に構成されており、このルーチン以外の図示および
説明を省略する。なお、本実施形態においては、ブレー
キシステムの構成要素に、図1ないし図12に示すブレ
ーキシステムの構成要素と同一の符号を付して説明す
る。
【0076】本実施形態の圧力付加制御を概略的に説明
する。緊急制動の検出およびブレーキの作動力不足の検
出はそれぞれ、踏力が設定踏力を超えたとき、1回のみ
行われる。これらの検出はいずれも、実マスタシリンダ
圧PMCACと、理想マスタシリンダ圧PMCI との差である
マスタシリンダ圧差が設定マスタシリンダ圧差PTH以上
であるか否かを判定することにより行われる。この場
合、大きさが異なる2種類の設定マスタシリンダ圧差が
用いられる。
【0077】緊急制動時には、通常制動時より踏力の増
大勾配が大きく、図19に示すように、緊急制動時に
は、ブレーキ作動力不足時よりマスタシリンダ圧の遅れ
が大きいため、同じ踏力Fに対して、緊急制動時に生ず
るマスタシリンダ圧差は、ブレーキ作動力の不足時に生
ずるマスタシリンダ圧差より大きく、大きさが異なる2
種類の設定マスタシリンダ圧差を用いれば、緊急制動と
ブレーキ作動力の不足とを区別して検出することができ
る。大きい方の設定マスタシリンダ圧差である第一設定
マスタシリンダ圧差PTH1 は、ブレーキ作動力の不足時
におけるブースタの作動遅れは検出できないが、緊急制
動時におけるブースタのかなりの作動遅れは検出できる
大きさ、すなわちブレーキ作動力の不足時に生ずるマス
タシリンダ圧差より大きく、緊急制動時に生ずるマスタ
シリンダ圧差より小さい大きさに設定され、小さい方の
設定マスタシリンダ圧差である第二設定マスタシリンダ
圧差PTH2 は、第一設定マスタシリンダ圧差PTH1 より
小さく、ブレーキ作動力の不足を検出し得る大きさであ
り、ブレーキ作動力の不足時に生ずるマスタシリンダ圧
差であれば超える大きさであって、変圧室36への大気
の流入の遅れ等、作動遅れの原因を考慮して所定の大き
さに設定されている。したがって、マスタシリンダ圧差
が第一設定マスタシリンダ圧差PTH1 以上であれば、緊
急制動が行われていると判定され、マスタシリンダ圧差
が第一設定マスタシリンダ圧差PTH1 より小さいが、第
二設定マスタシリンダ圧差PTH2 以上であれば、ブレー
キの作動力が不足していると判定される。緊急制動時の
ブースタの作動遅れも、ブレーキ作動力不足時のブース
タの作動遅れも、マスタシリンダ圧差に基づき、設定マ
スタシリンダ圧差を設定遅れとして検出されるのであ
り、ブースタの作動遅れの検出により、緊急制動あるい
はブレーキの作動力不足が検出される。
【0078】緊急制動が検出されれば、付加圧が決定さ
れてブレーキシリンダ圧に圧力が付加され、理想マスタ
シリンダ圧より大きくされる。また、ブレーキの作動力
不足が検出されれば、ブレーキシリンダに圧力が付加さ
れ、ブレーキシリンダ圧が理想マスタシリンダ圧となる
ようにされる。
【0079】フローチャートに基づいて具体的に説明す
る。まず、S111においてブレーキスイッチがONで
あるか否かの判定が行われる。ブレーキペダルが踏み込
まれていなければ、S111の判定はNOになってS1
12が実行され、終了処理が行われる。ブレーキペダル
が踏み込まれていれば、S111の判定はYESになっ
てS113が実行され、踏力Fが設定踏力F K より大き
いか否かの判定が行われる。ブースタ20の入力が設定
入力まで増大したか否かの判定が行われるのである。踏
力Fが設定踏力FK 以下であれば、S112が実行され
る。
【0080】踏力Fが設定踏力FK より大きくなれば、
S113の判定はYESになってS114が実行され、
フラグF14がセットされているか否かの判定が行われ
る。フラグF14は、セットにより、緊急制動が検出さ
れ、圧力付加制御が行われることを記憶する。フラグF
14がセットされていなければ、S114の判定はNOに
なってS115が実行され、フラグF15がセットされて
いるか否かの判定が行われる。フラグF15は、セットに
より、ブレーキ作動力の不足が検出されたことを記憶す
る。フラグF15がセットされていなければ、S115の
判定はNOになってS116が実行され、フラグF16
セットされているか否かの判定が行われる。フラグF16
は、セットにより、緊急制動およびブレーキ作動力不足
のいずれも検出されず、圧力付加制御が行われないこと
を記憶する。
【0081】フラグF16がセットされていなければ、S
116の判定はNOになってS117が実行され、マス
タシリンダ圧差が前記第一設定マスタシリンダ圧差P
TH1 以上であるか否かの判定が行われる。緊急制動が行
われているか否かの判定が行われるのであり、マスタシ
リンダ圧差が第一設定マスタシリンダ圧差PTH1 以上で
あれば、S117の判定はYESになってS118が実
行され、フラグF14がセットされた後、S119におい
て付加圧が決定され、S120において圧力付加制御が
行われる。これら付加圧の決定および圧力付加制御は、
例えば、図1ないし図12に示す実施形態と同様に行わ
れる。フラグF14のセットにより、以下、ブレーキペダ
ルの踏込みが解除されるか、あるいは踏力が設定踏力以
下になるまで、S111,S113,S114,S12
0が繰返し実行される。
【0082】マスタシリンダ圧差が第一設定マスタシリ
ンダ圧差PTH1 より小さければ、S117の判定はNO
になってS121が実行され、マスタシリンダ圧差が前
記第二設定マスタシリンダ圧差PTH2 以上であるか否か
の判定が行われる。ブレーキ作動力が不足しているか否
かの判定が行われるのであり、マスタシリンダ圧差が第
二設定マスタシリンダ圧差PTH2 より小さければ、ブレ
ーキ作動力の不足も生じておらず、S121の判定はN
OになってS124が実行され、フラグF16がセットさ
れる。それにより、ブレーキペダルの踏込みが解除され
るか、あるいは踏力が設定踏力以下になるまで、S11
1,S113〜S116が繰返し実行される。
【0083】マスタシリンダ圧差が第二設定マスタシリ
ンダ圧差PTH2 以上であれば、S121の判定はYES
になってS122が実行され、フラグF15がセットされ
た後、S123において圧力付加制御が行われる。この
圧力付加制御は、ブレーキシリンダ圧が理想マスタシリ
ンダ圧PMCI となるように行われる。液圧制御弁120
のソレノイド134への供給電流量が、ブレーキシリン
ダ圧が実マスタシリンダ圧PMCACに対して、理想マスタ
シリンダ圧PMCI と実マスタシリンダ圧PMCACとの差圧
分、高くなる大きさに決定され、ソレノイド駆動指令信
号が出力される。そして、ポンプモータ107が起動さ
れ、ポンプ106が作動させられてブレーキシリンダ2
4に作動液が加圧されて供給される。ブースタ20の作
動遅れにより不足した液圧であって、理想マスタシリン
ダ圧から実マスタシリンダ圧を引いたマスタシリンダ圧
差が付加圧とされ、この付加圧がブレーキシリンダ圧に
付加される。ブレーキ作動力が付加圧により得られる付
加量だけ大きくされ、ブースタ20の作動遅れによって
実マスタシリンダ圧の上昇に遅れがあっても、踏力とブ
レーキ作動力との間に、踏力とマスタシリンダ圧との間
に理想関係が成立する場合と同じ関係が成り立つように
制御されるのである。この際、必要であれば、流入制御
弁150が開かれ、マスタシリンダ22から作動液が汲
み出されるようにされる。付加圧は、マスタシリンダ圧
差が大きいほど大きくされ、ブースタ20の作動遅れに
よるブレーキ作動力の不足が良好に補われる。
【0084】このように踏力Fが設定踏力FK を超える
まで増大したときに、ブレーキ作動力の不足の検出が行
われ、不足があれば、ブレーキシリンダ圧に付加圧が付
加されることにより、ブレーキ作動力の不足が軽減さ
れ、ブレーキの効き遅れが良好に抑えられる。例えば、
図20に示すように、ブレーキペダル18が踏み込ま
れ、踏力が設定踏力を超えた状態で保持され、その後、
更に踏み込まれることなく、踏込みが緩められた場合、
設定踏力を超えたとき、ブースタの作動遅れが設定遅れ
以上であって、マスタシリンダ圧差が第二設定マスタシ
リンダ圧差PTH2 以上であれば、圧力付加制御が行わ
れ、ブレーキシリンダ圧への付加圧の付加により、ブレ
ーキシリンダ圧は理想マスタシリンダ圧PMCI と等しく
される。図中、斜線を施した部分がブレーキシリンダ圧
制御装置140により付加された液圧である。ブレーキ
ペダル18が踏込状態に維持されれば、ブースタ20の
遅れが減少し、やがて実マスタシリンダ圧PMCACが理想
マスタシリンダ圧PMCI と等しくなる。その状態でブレ
ーキペダル18の踏込みが緩められれば、実マスタシリ
ンダ圧PMCACおよびブレーキシリンダ圧は理想マスタシ
リンダ圧PMCI にやや遅れて減少する。
【0085】また、図21に示すように、ブースタ20
の作動遅れが小さく、マスタシリンダ圧差が第二設定マ
スタシリンダ圧差PTH2 より小さく、緊急制動もブレー
キ作動力の不足も検出されなければ、圧力付加制御は行
われない。本実施形態においても、図1ないし図12に
示す実施形態におけると同様に、緊急制動の検出および
ブレーキ作動力の不足の検出が2回行われるようにして
もよい。その場合、設定踏力は、第一設定踏力FK1と、
それより大きい第二設定踏力FK2との2つが設定され、
踏力Fが第一設定踏力FK1を超えた時点では、通常制動
時のブレーキ作動力の不足が検出されなくても、第二設
定踏力FK2を超えた時点で検出されれば、図21に示す
ように、圧力付加制御が行われ、ブレーキシリンダ圧に
付加圧が付加され、ブレーキシリンダ圧が理想マスタシ
リンダ圧になるようにされる。
【0086】踏力が設定踏力を超えたとき、ブレーキの
作動力不足が検出されて圧力付加制御が行われ、そのま
まブレーキペダルが踏み込まれ続けてブースタ20が助
勢限界に達すれば、図22に示すように、ブースタ20
による入力の倍力が行われなくなり、実マスタシリンダ
圧PMCACと理想マスタシリンダ圧PMCI との差は大きく
なるが、実マスタシリンダ圧PMCACが理想マスタシリン
ダ圧PMCI となるようにブレーキシリンダ圧に圧力が付
加され、踏力とブレーキシリンダ圧との関係が、助勢限
界到達後も到達前と同じに維持されるため、助勢限界以
上の領域でのブレーキ作動力の不足が解消される。
【0087】運転者がブレーキペダル18の踏込みを緩
めれば、図22に示すように、ブースタの理想特性が減
少し、実マスタシリンダ圧,理想マスタシリンダ圧,ブ
レーキシリンダ圧がブースタの理想特性に沿って減少す
る。なお、実マスタシリンダ圧PMCACおよびブレーキシ
リンダ圧が、ブースタ20の理想特性に対してずれなが
ら減少するとすれば、そのずれは、液圧がブースタ20
の理想特性により得られる液圧より大きくなる側に生ず
る。
【0088】ブレーキペダル18の踏込みが緩められる
とき、S123が実行されても、実マスタシリンダ圧,
理想マスタシリンダ圧およびブレーキシリンダ圧は、ブ
ースタ20の理想特性に沿って減少させられるため、実
質的に圧力は付加されないが、ブレーキペダル18の踏
込みが緩められるとき、必要であれば、ブレーキシリン
ダ圧制御装置140により圧力付加制御が行われる。例
えば、図23に示すように、ブレーキペダル18が踏み
込まれ、ブースタ20に設定遅れ以上の作動遅れがあっ
てブレーキシリンダ圧制御装置140により圧力付加制
御が行われている状態において、ブレーキペダル18が
踏込位置に保持されることなく、実マスタシリンダ圧が
理想マスタシリンダ圧に追いつく前に踏込みが緩められ
れば、理想マスタシリンダ圧PMCI は実マスタシリンダ
圧PMCACより高い。そのため、ブレーキシリンダ圧が理
想マスタシリンダ圧になるように圧力付加制御が行われ
るが、ブレーキペダル18の踏込みが緩められても、圧
力付加制御が行われる方が、急に圧力付加制御をやめる
よりも運転者の操作意図に合っており、ブレーキペダル
18の踏込みが解除されるまで、あるいは踏力が設定踏
力以下になるまで、圧力付加制御が行われる。図23に
は、踏力が設定踏力以下になったとき、圧力付加制御が
終了させられた状態が図示されている。
【0089】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、図示しないECUのS113を実行する
部分が一定時期遅れ検出部ないし特定入力時遅れ検出部
を構成し、S117,S121を実行する部分が出力依
拠遅れ検出部たるマスタシリンダ圧依拠遅れ検出部を構
成し、これらが遅れ検出部を構成している。また、EC
UのS119,S120を実行する部分が作動力付加部
たる外れ量対応付加部を構成し、遅れ検出部等と共に緊
急制動制御装置を構成している。さらに、ECUのS1
23を実行する部分が外れ量対応付加部ないし理想的作
動力付加部を構成し、S123のブースタが助勢限界に
達した後も付加圧を付加する部分が助勢限界後作動力付
加部を構成し、これらが作動力付加部を構成し、遅れ検
出部等と共にブレーキ作動遅れ低減装置を構成してい
る。
【0090】圧力付加制御は、ブースタとマスタシリン
ダとの間に加圧力付加装置を設け、マスタシリンダの加
圧ピストンに、ブースタの出力とは別の力を付加するこ
とにより行ってもよい。その例を図24および図25に
基づいて説明する。本実施形態のブレーキシステムは、
未だ公開されていないが、本出願人の出願に係る特願平
11−123604号の明細書に記載のブレーキシステ
ムと同様に構成されており、簡単に説明する。
【0091】本ブレーキシステムは、左,右前輪21
0,212,左,右後輪214,216を備えた四輪自
動車に搭載されており、ブレーキ操作部材としてブレー
キペダル220を備えており、そのブレーキペダル22
0はバキュームブースタ222(以下、ブースタ222
と略称する)を介してタンデム型のマスタシリンダ22
4に連結されている。ブースタ222は、上記各実施形
態のブースタ20と同様に構成されており、詳細な図示
および説明は省略する。
【0092】マスタシリンダ224のハウジング230
は有底円筒状をなし、ハウジング230内には、それぞ
れ直径が異なる3つの円形穴232,234,236が
直列にかつ同心に設けられ、最も直径が小さい円形穴2
32に第一加圧ピストン238および第二加圧ピストン
240が互いに直列に配列されている。これら加圧ピス
トン238,240は円形穴232に摺動可能かつ液密
に嵌合され、それぞれの前方に第一,第二加圧室24
2,244が形成されている。第一,第二加圧ピストン
238,240は有底円筒状をなし、それらの内部に配
設された弾性部材としての圧縮コイルスプリング24
6,248により、図示の後退端位置に向かって付勢さ
れている。
【0093】ハウジング230の開口部には、閉塞部材
250が液密に取り付けられ、スナップリング等の固定
部材によりハウジング230に着脱可能に固定されてハ
ウジング230の開口を閉塞している。閉塞部材250
は、第一加圧ピストン238と当接することにより、第
一加圧ピストン238の後退限度を規定する。また、第
二加圧ピストン240の後退限度は、第一加圧ピストン
238の後退限度の規定と、図示しない部材によるスプ
リング246の初期長さおよび初期荷重の規定との共同
により規定されている。
【0094】第一加圧ピストン238の後端面から後方
へ中空円筒状のピストンロッド252が延び出させられ
ており、閉塞部材250を実質的に液密かつ摺動可能に
貫通してブースタ222側に臨まされている。ブースタ
222のブースタピストンロッドの先端部は、ピストン
ロッド252の内部に軸方向に相対移動可能に嵌合され
ており、ブースタピストンロッドからピストンロッド2
52にパワーピストンの作動力が伝達され、その作動力
に基づいて第一,第二加圧室242,244にそれぞれ
互いに等しい高さの液圧が発生させられる。
【0095】閉塞部材250がハウジング230に嵌合
されることにより、その閉塞部材250と第一加圧ピス
トン238との間に助勢室258が形成されている。こ
の助勢室258に圧力が発生させられると、第一加圧ピ
ストン238が前進する向きに押され、それにより、第
一加圧室242に圧力が発生させられる。第一加圧室2
42に圧力が発生させられると、第二加圧ピストン24
0が前進する向きに押され、それにより第二加圧室24
4にも圧力が発生させられる。本実施形態においては、
第一加圧ピストン238の助勢室258側の部分が助勢
ピストンを構成し、ハウジング230の助勢ピストンが
嵌合された部分が助勢シリンダを構成している。助勢ピ
ストンおよび助勢シリンダはそれぞれ、第一加圧ピスト
ン238,ハウジング230と一体に形成されているの
であり、これら助勢ピストンおよび助勢シリンダが助勢
用液圧シリンダ260を構成している。
【0096】第一,第二加圧室242,244は、第
一,第二加圧ピストン238,240が後退端位置にあ
る状態において、ハウジング230に設けられた2個の
リザーバ用ポート262および第一,第二加圧ピストン
238,240にそれぞれ設けられた連通路264によ
り、リザーバ266に連通させられる。第一,第二加圧
ピストン238,240が、図示の後退端位置から小距
離前進すれば、2個のリザーバ用ポート262が遮断さ
れ、それにより第一,第二加圧室242,244が第
一,第二加圧ピストン238,240の前進により昇圧
可能となる。
【0097】第一加圧室242は、ハウジング230に
設けられたブレーキシリンダ用ポート268および主通
路270により、左,右前輪210,212の各回転を
それぞれ抑制する2個のブレーキ272,274を作動
させるブレーキシリンダ276,278に接続されてい
る。主通路270は、基幹通路280および2本の分岐
通路282を有し、各分岐通路282の先端にそれぞれ
ブレーキシリンダ276,278が接続されている。
【0098】また、第二加圧室244は、ハウジング2
30に設けられたブレーキシリンダ用ポート290およ
び主通路292により、左,右後輪214,216の各
回転をそれぞれ抑制する2個のブレーキ294,296
を作動させるブレーキシリンダ298,300に接続さ
れている。主通路292は、基幹通路302および2本
の分岐通路304を有し、各分岐通路304の先端にそ
れぞれブレーキシリンダ298,300が接続されてい
る。本実施形態のブレーキシステムは前後2系統式であ
るのである。
【0099】本実施形態のブレーキシステムには、アン
チロック制御等を行うべく、ブレーキシリンダ276,
278,298,300の各々について液圧制御弁装置
310が設けられている。液圧制御弁装置310はそれ
ぞれ、前記液圧制御弁装置102と同様に、常開の電磁
開閉弁である増圧弁312および常閉の電磁開閉弁であ
る減圧弁314を有し、これら増圧弁312,減圧弁3
14の開閉の組合わせにより、ブレーキシリンダ27
6,278,298,300の液圧であるブレーキシリ
ンダ圧が増大,減少,保持される。ブレーキシリンダ2
76,278,298,300から減圧弁314を経て
リザーバ316に排出された作動液は、ポンプモータ3
18により駆動されるABS用ポンプ320により汲み
上げられて主通路270,292に戻される。符号32
2はダンパ室、符号324はオリフィスであり、それら
によりABS用ポンプ320の脈動が軽減される。アン
チロック制御は、本発明とは直接関係がないため、更な
る説明は省略する。
【0100】前記助勢室258は、ハウジング230に
設けられた増圧用ポート330によって常時、助勢圧制
御装置332に連通させられている。助勢圧制御装置3
32は、ポンプの一種であるギヤポンプにより構成され
た助勢用ポンプ334と、その助勢用ポンプ334を駆
動するポンプモータ336と、液圧制御弁338とを含
む。助勢用ポンプ334およびポンプモータ336が動
力液圧源を構成し、助勢圧制御装置332は、助勢用液
圧シリンダ260と共に加圧力付加装置340を構成し
ている。助勢用ポンプ334は、リザーバ266の作動
液を汲み上げて助勢室258に圧送する。助勢用ポンプ
334の吐出側には、作動液が助勢用ポンプ334側へ
逆流することを防止する逆止弁342が設けられてい
る。
【0101】助勢圧制御装置332は、さらに、助勢用
ポンプ334および液圧制御弁338をバイパスするバ
イパス通路344を含み、バイパス通路344の途中に
は逆止弁346が設けられている。逆止弁346は、リ
ザーバ266から助勢室258に向かう作動液の流れは
常時許容する一方、その逆向きの流れは常時阻止する。
ブレーキペダル220が素早く踏み込まれたとき、リザ
ーバ266内の作動液が逆止弁346を経て助勢室25
8に補給され、負圧の発生が防止される。
【0102】液圧制御弁338は、前記各実施形態の液
圧制御弁120と同様に構成されており、詳細な図示は
省略し、簡単に説明する。液圧制御弁120は、ブレー
キシリンダ圧をマスタシリンダ圧に対して、ソレノイド
134への供給電流によって決まる圧力分、高くなるよ
うに制御するものとされていたが、液圧制御弁338
は、助勢室258の液圧がソレノイドへの供給電流量に
よって決まる大きさとなるように制御する。
【0103】液圧制御弁338は、ソレノイドが励磁さ
れない非作用状態(OFF状態)では、弁子が弁座から
離間させられ、助勢室258とリザーバ266との間に
おける双方向の作動液の流れが許容される。その結果、
ブレーキ操作が行われて第一加圧ピストン238が移動
させられ、それに伴って助勢室258の容積が変化すれ
ば、それに伴い、助勢室258に対する作動液の流入お
よび流出が許容される。そのために液圧制御弁338は
常開弁とされている。
【0104】それに対し、ソレノイドが励磁された作用
状態(ON状態)では、ソレノイドの磁気力に基づくソ
レノイド吸引力により弁子が弁座に着座させられ、液圧
制御弁338が閉じられる。助勢室258の液圧が小さ
い間は、液圧制御弁338は閉じているが、助勢室25
8の液圧が増大し、ソレノイド吸引力が、助勢室258
の液圧に基づく力と、弁子を弁座から離間させる向きに
付勢するスプリングの弾性力との和より小さくなれば、
弁子が弁座から離間させられ、助勢用ポンプ334から
の作動液がリザーバ266に逃がされ、助勢室258の
液圧のそれ以上の増加が阻止される。助勢室258には
ソレノイド吸引力に応じてリニアに増加する液圧が発生
させられることになる。
【0105】本ブレーキシステムは、図25に示す電子
制御ユニット370(以下、ECU370と称する)を
備えている。ECU370はコンピュータ372を備
え、このコンピュータ372は、PU(プロセッシング
ユニット)374,ROM376,RAM378,I/
Oポート380を備えている。I/Oポート380に
は、ブレーキスイッチ382,踏力センサ384,マス
タシリンダ圧センサ386,車輪速センサ388および
ブースタ負圧センサ390が接続されるとともに、前記
ポンプモータ318を始めとする各種アクチュエータが
駆動回路394を介して接続されている。これら駆動回
路394とコンピュータ372とによりECU370が
構成されている。
【0106】ブレーキスイッチ382,踏力センサ38
4,マスタシリンダ圧センサ386,車輪速センサ38
8およびブースタ負圧センサ390はそれぞれ、前記実
施形態のブレーキスイッチ172,踏力センサ174,
マスタシリンダ圧センサ176,車輪速センサ178お
よびブースタ負圧センサ180と同様に構成されてい
る。
【0107】コンピュータ372のROM376には、
圧力付加制御ルーチン,アンチロック制御ルーチン等、
各種ルーチンが記憶されており、PU374はRAM3
78を利用しつつ、これらルーチンを実行する。圧力付
加制御は、助勢室258に液圧を発生させ、マスタシリ
ンダ224の加圧ピストン238,240に、ブースタ
222とは別の力を付加する制御であり、加圧力付加装
置340により行われる。本実施形態において圧力付加
制御ルーチンは、例えば、図1ないし図12に示す実施
形態の圧力付加制御ルーチンと同様に構成され、緊急制
動時にブレーキシリンダ圧に付加圧が付加される。但
し、図5に示す圧力付加制御ルーチンのうち、S10に
おいては、緊急制動を行うべく、助勢室258に発生さ
せる液圧である助勢圧が決定され、S16においては加
圧力付加装置340が作動させられて助勢室258に液
圧が発生させられる。助勢室258に決定された助勢圧
を発生させることにより、第一加圧ピストン238にブ
ースタ222の出力とは別の力が付加され、その付加さ
れた力に対応する付加圧がマスタシリンダ圧に付加さ
れ、それに応じてブレーキシリンダ圧が付加されるので
ある。また、S22においては、助勢室258に発生さ
せる液圧の増分が求められ、S23においては、増加さ
れた液圧を助勢室258に発生させる制御が行われる。
【0108】ブースタ222の設定遅れ以上の作動遅れ
が検出され、緊急制動が検出されれば、助勢室258に
助勢圧が発生させられる。この助勢圧は、ブレーキシリ
ンダ圧が理想マスタシリンダ圧より高く、緊急制動に十
分な高さとなる大きさとされる。マスタシリンダ圧ない
しブレーキシリンダ圧に付加する付加圧は、理想マスタ
シリンダ圧と実マスタシリンダ圧との差であるマスタシ
リンダ圧差に基づいて決定され、実マスタシリンダ圧が
理想マスタシリンダ圧より高くなるようにされるが、第
一加圧ピストン238の助勢室258側の受圧面積は、
第一加圧室242側の受圧面積より、ピストンロッド2
52が設けられている分、小さいため、付加圧に、第一
加圧ピストン238の第一加圧室242側の受圧面積
を、助勢室258側の受圧面積で除した値を掛けること
により得られる液圧が助勢圧とされる。そして、助勢圧
を発生させるのに必要な電流が液圧制御弁338のソレ
ノイドに供給されるとともに、ポンプモータ336が起
動され、助勢室258に助勢圧が発生させられて助勢室
258に作用し、この助勢圧に基づく助勢ピストン(第
一加圧ピストン238の助勢室258側の部分)の作動
力が第一加圧ピストン238(第一加圧ピストン238
の第一加圧室242側の部分)に、ブースタ222の出
力とは別の力として付加される。それによりブレーキシ
リンダ圧が、ブースタ222の倍力のみにより得られる
液圧より高くされ、緊急制動のためのブレーキ作動力が
得られる。
【0109】なお、図24および図25に示すように、
加圧力付加装置により、マスタシリンダの加圧ピストン
に、ブースタの出力とは別の力を付加するブレーキシス
テムにおいて、図13ないし図23に示す各実施形態と
同様に、緊急制動時あるいはブレーキ作動不足時に圧力
付加制御が行われるようにしてもよい。
【0110】また、図13ないし図23に示す各実施形
態において、緊急制動の検出(図18ないし図23に示
す実施形態においては、ブレーキ作動力不足の検出も)
は複数回行ってもよい。図18ないし図23に示す実施
形態において、ブレーキ作動力の不足については、一
旦、不足が検出されたならば、以後、判定は行われず、
圧力付加制御が行われるようにしてもよく、あるいは実
マスタシリンダ圧が理想マスタシリンダ圧とほぼ等しく
なったならば圧力付加制御を終了し、複数回の検出の機
会のいずれかにおいてブレーキ作動力の不足が検出され
たならば、圧力付加制御が再度行われるようにしてもよ
い。
【0111】さらに、ブレーキ作動力の不足時にブレー
キシリンダ圧に圧力を付加する場合、ブレーキ作動力不
足検出時にマスタシリンダ圧差に応じて付加圧を決定
し、あるいはブースタ負圧も考慮して付加圧を決定し、
一旦、付加圧を決定した後は、作動力不足の大きさが変
化しても、同じ付加圧により圧力付加制御を行うように
してもよい。また、設定マスタシリンダ圧差をブースタ
負圧に応じて決定してもよい。
【0112】さらに、ブレーキ作動力の不足時にブレー
キシリンダ圧に圧力を付加する場合であって、付加圧を
一定とする場合、ブースタが助勢限界に達した後は、ブ
レーキシリンダ圧が理想マスタシリンダ圧となるように
圧力付加制御を行ってもよい。ブースタが助勢限界に達
したことは、例えば、特開平10−236294号公報
に記載されているように、ブースタ負圧に基づいて検出
し得る。ブースタ負圧センサにより検出されるブースタ
負圧に基づいて、助勢限界に達したときのマスタシリン
ダ圧を取得し、マスタシリンダ圧がその助勢限界時マス
タシリンダ圧に達したことにより、ブースタが助勢限界
に達したことを検出するのである。
【0113】さらに、図13ないし図17に示す各実施
形態において、付加圧をブースタ負圧を考慮して決定す
ることは不可欠ではなく、マスタシリンダ圧差のみに基
づいて決定し、あるいは予め設定された一定の大きさと
してもよい。
【0114】また、図1ないし図12に示す実施形態に
おいては、踏力が第一,第二の各設定踏力を超えた場合
にそれぞれ、緊急制動が検出されるようになっていた
が、設定踏力は、1つ設定し、踏力がその設定踏力を超
えた後、常時、緊急制動の検出が行われ、緊急制動が検
出されれば、圧力付加制御が行われるようにしてもよ
い。ブレーキ作動力の不足の検出についても同じであ
る。
【0115】さらに、図1ないし図12に示す実施形態
において、踏力が、大きさが異なる2つの設定踏力をそ
れぞれ超えた状態で緊急制動の検出が行われるとき、検
出に用いられる設定マスタシリンダ圧差は同じとされて
いたが、異ならせてもよい。一般的には、ブースタの作
動開始時には慣性による遅れがあり、作動状態では、低
圧室と変圧室との圧力差の減少による遅れがあるが、ブ
ースタ負圧が十分であることを前提とすれば、大きい方
の設定踏力を超えた状態で行われる緊急制動検出のため
の設定マスタシリンダ圧差を、小さい方の設定踏力を超
えた状態で行われる緊急制動検出のための設定マスタシ
リンダ圧差より小さくすることが望ましい。
【0116】さらにまた、図18ないし図23に示す実
施形態の車両ブレーキシステムにおいて、ブレーキ作動
力不足の判定およびブレーキ作動力不足検出時の圧力付
加制御のみを行うようにしてもよい。
【0117】また、上記各実施形態においてブースタ負
圧はブースタ負圧センサにより検出されるようにされて
いたが、ブースタ負圧はブースタ負圧推定装置により推
定してもよい。例えば、未だ公開されていないが、本出
願の出願人に係る特願平11−257333号の明細書
に記載されているように、エンジン吸気側の負圧である
吸気側負圧と、ブレーキシステムの作動状態、例えば、
マスタシリンダ圧,マスタシリンダ圧の増加勾配に基づ
いてブースタ負圧を推定し、あるいは、ブレーキ操作部
材のブレーキ操作力、ブレーキ操作ストローク、マスタ
シリンダ圧の少なくとも2つに基づいて、ブースタ負圧
を推定する。あるいは未だ公開されていないが、本出願
の出願人に係る特願平11−286771号の明細書に
記載のブレーキシステムにおけるように、マスタシリン
ダ圧の変化率に基づいてブースタ負圧を推定してもよ
く、あるいはブレーキ操作部材の操作力の変化率に基づ
いてブースタ負圧を推定してもよい。
【0118】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用ブレーキシステ
ムを示す回路図である。
【図2】上記ブレーキシステムを構成するバキュームブ
ースタを示す側面断面図である。
【図3】上記ブレーキシステムのブレーキシリンダ圧力
制御装置を構成する液圧制御弁の構造および作動を説明
するための正面断面図である。
【図4】上記ブレーキシステムの電子制御ユニットを概
略的に示すブロック図である。
【図5】上記電子制御ユニットを構成するコンピュータ
のROMに記憶された圧力付加制御ルーチンを表すフロ
ーチャートである。
【図6】上記コンピュータのRAMのうち、本発明に関
連の深い部分を示す図である。
【図7】圧力付加制御のためのマスタシリンダ圧差と付
加圧との関係を表すグラフである。
【図8】圧力付加が行われない場合の実マスタシリンダ
圧,理想マスタシリンダ圧,ブレーキシリンダ圧および
踏力の関係を表すグラフである。
【図9】上記圧力付加制御ルーチンの実行により行われ
る圧力付加の一態様を説明するグラフである。
【図10】上記圧力付加制御ルーチンの実行により行わ
れる圧力付加の別の態様を説明するグラフである。
【図11】上記圧力付加制御ルーチンの実行により行わ
れる圧力付加の更に別の態様を説明するグラフである。
【図12】上記圧力付加制御ルーチンにおいて付加圧を
増加するための付加圧増加量と踏力減少量との関係を表
すグラフである。
【図13】本発明の別の実施形態であるブレーキシステ
ムの電子制御ユニットのコンピュータのROMに記憶さ
れた圧力付加制御ルーチンを表すフローチャートであ
る。
【図14】図13に示す圧力付加制御ルーチンにおいて
行われる付加圧の決定のための基本付加圧とマスタシリ
ンダ圧差との関係を表すグラフである。
【図15】本発明の更に別の実施形態であるブレーキシ
ステムの電子制御ユニットのコンピュータのROMに記
憶された圧力付加制御ルーチンを表すフローチャートで
ある。
【図16】図15に示す圧力付加制御ルーチンの実行に
より行われる圧力付加を説明するグラフである。
【図17】本発明の更に別の実施形態であるブレーキシ
ステムの電子制御ユニットのコンピュータのROMに記
憶された圧力付加制御ルーチンを表すフローチャートで
ある。
【図18】本発明の更に別の実施形態であるブレーキシ
ステムの電子制御ユニットのコンピュータのROMに記
憶された圧力付加制御ルーチンを表すフローチャートで
ある。
【図19】図18に示す圧力付加制御ルーチンの実行の
ための2つの設定マスタシリンダ圧差の設定を説明する
図である。
【図20】図18に示す圧力付加制御ルーチンの実行に
より行われるブレーキ作動力不足時の圧力付加の一態様
を説明するグラフである。
【図21】図18に示す圧力付加制御ルーチンの実行に
より行われるブレーキ作動力不足時の圧力付加の別の態
様を説明するグラフである。
【図22】図18に示す圧力付加制御ルーチンの実行に
より行われるブレーキ作動力不足時の圧力付加の更に別
の態様を説明するグラフである。
【図23】図18に示す圧力付加制御ルーチンの実行に
より行われるブレーキ作動力不足時の圧力付加の更に別
の態様を説明するグラフである。
【図24】本発明の更に別の実施形態であるブレーキシ
ステムを示す回路図である。
【図25】図24に示すブレーキシステムの電子制御ユ
ニットを概略的に示す図である。
【符号の説明】
20:バキュームブースタ 22:マスタシリンダ
24:ブレーキシリンダ 120:液圧制御弁
140:ブレーキシリンダ圧制御装置 160:電子
制御ユニット 222:バキュームブースタ 22
4:マスタシリンダ 258:助勢室 260:助
勢用液圧シリンダ 276,278,298,30
0:ブレーキシリンダ 332:助勢圧制御装置
340:加圧力付加装置 370:電子制御ユニット
フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB00 BB28 CC02 HH02 HH16 HH36 JJ03 KK11 LL02 LL10 LL23 LL29 LL30 LL50 3D048 BB21 CC37 HH15 HH18 HH26 HH42 HH66 HH67 HH75 QQ08 RR01 RR06 RR21 RR25 RR35

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力に応じた出力を発生し、その出力が
    入力に対して遅れることがある作動装置の出力に応じて
    ブレーキが作動する車両用ブレーキシステムにおいて、 前記作動装置の入力に対する出力の遅れに基づき、前記
    ブレーキの作動力を作動装置の出力に対応する大きさよ
    り大きくするブレーキ作動力増大装置を設けたことを特
    徴とする車両用ブレーキシステム。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキ作動力増大装置が、前記ブ
    レーキの作動力を前記入力に対応する作動力より大きい
    値に制御する緊急制動制御装置を含む請求項1に記載の
    車両用ブレーキシステム。
  3. 【請求項3】 前記作動装置が、ブレーキ操作部材を有
    するブレーキ操作装置により加えられる前記入力を倍力
    して前記出力とするブースタを含み、かつ、前記緊急制
    動制御装置が、前記ブレーキの作動力を、前記ブレーキ
    操作部材の操作力であるブレーキ操作力に対応する作動
    力より大きい値に制御する緊急制動制御装置を含む請求
    項2に記載の車両用ブレーキシステム。
  4. 【請求項4】 前記ブレーキ作動力増大装置が、前記入
    力の実際値に対する前記出力の実際値に基づいて前記遅
    れを検出する遅れ検出部を含む請求項1ないし3のいず
    れか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  5. 【請求項5】 前記遅れ検出部が、予め定められた一定
    時期における前記入力と前記出力との関係に基づいて前
    記遅れを検出する一定時期遅れ検出部を含む請求項4に
    記載の車両用ブレーキシステム。
  6. 【請求項6】 前記遅れ検出部が、前記入力と前記出力
    との静的な関係である理想関係において入力の実際値に
    対応する出力である理想出力と、前記入力の実際値に対
    応する前記出力の実際値との差が、設定出力差以上であ
    る場合に、前記ブレーキ作動力増大装置に作動を開始さ
    せる増大装置起動部を含む請求項4または5に記載の車
    両用ブレーキシステム。
  7. 【請求項7】 前記作動装置が、入力を負圧により倍力
    して出力とするバキュームブースタであり、前記遅れ検
    出部が、バキュームブースタの負圧が小さい場合に大き
    い場合に比較して前記設定出力差を大きい値に設定する
    設定出力差設定部を備える請求項6に記載の車両用ブレ
    ーキシステム。
  8. 【請求項8】 前記ブレーキ作動力増大装置が、前記ブ
    レーキの作動力を、前記作動装置の出力に対応するブレ
    ーキ作動力より付加量分だけ大きい値に制御する作動力
    付加部を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載の
    車両用ブレーキシステム。
  9. 【請求項9】 前記作動力付加部が、前記入力と出力と
    の実際の関係である実関係の前記理想関係からの外れ量
    が大きい場合に小さい場合より前記付加量を大きくする
    外れ量対応付加部を備える請求項8に記載の車両用ブレ
    ーキシステム。
  10. 【請求項10】 前記作動装置が、入力を負圧により倍
    力して出力とするバキュームブースタであり、前記作動
    力付加部が、バキュームブースタの負圧が小さい場合に
    大きい場合に比較して前記付加量を大きくする負圧対応
    付加部を備える請求項8または9に記載の車両用ブレー
    キシステム。
  11. 【請求項11】 前記作動力付加部が、前記作動装置の
    入力の極大値が発生してから設定時間以内における入力
    の減少量が設定減少量以上である場合に前記付加量を発
    生させるものである請求項8ないし10のいずれか1つ
    に記載の車両用ブレーキシステム。
  12. 【請求項12】 前記遅れ検出部が、前記作動装置の入
    力が設定入力まで増大した時点における作動装置の作動
    遅れを検出する特定入力時遅れ検出部を含み、前記設定
    入力が少なくとも第一設定入力とそれより大きい第二設
    定入力とを含むことを特徴とする請求項4ないし11の
    いずれか1つに記載の車両用ブレーキシステム。
  13. 【請求項13】 前記作動力付加部が、前記ブレーキ作
    動力を付加量だけ大きくすることにより、前記入力と前
    記ブレーキ作動力との間に、前記入力と前記出力との間
    に前記理想関係が成立する場合と同じ関係が成り立つよ
    うに、ブレーキ作動力を制御する理想的作動力付加部を
    含む請求項8項に記載の車両用ブレーキシステム。
  14. 【請求項14】 前記作動装置が、入力を負圧により倍
    力して出力とするバキュームブースタであり、前記作動
    力付加部が、前記入力と前記ブレーキ作動力との間に、
    バキュームブースタが助勢限界に達した後も、助勢限界
    到達前と同じ関係が維持されるように、ブレーキ作動力
    を制御する助勢限界後作動力付加部を含むことを特徴と
    する請求項8または13に記載の車両用ブレーキシステ
    ム。
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