JP2001164314A - 脱炭に優れた減圧精錬方法 - Google Patents

脱炭に優れた減圧精錬方法

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JP2001164314A
JP2001164314A JP35036199A JP35036199A JP2001164314A JP 2001164314 A JP2001164314 A JP 2001164314A JP 35036199 A JP35036199 A JP 35036199A JP 35036199 A JP35036199 A JP 35036199A JP 2001164314 A JP2001164314 A JP 2001164314A
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Hiroyuki Aoki
裕幸 青木
Shinya Kitamura
信也 北村
Kenichiro Miyamoto
健一郎 宮本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地金の飛散や付着を抑制した状態で、極低炭
素濃度域までの脱炭や脱ガスを、短時間に且つ確実に安
定的に処理するという減圧精錬方法の工業的確立に発展
させる高効率減圧精錬方法を提供する。 【解決手段】 取鍋11内の溶鋼14に浸漬管12を浸
漬し、浸漬管12内を減圧すると共に浸漬管12の直下
位置にある溶鋼14の下部から、溶鋼14中に不活性ガ
スを吹き込んで溶鋼14を精錬する減圧精錬方法におい
て、不活性ガスの流量をQ(NL/min)、浸漬管1
2内の溶鋼面における気泡の広がり面積をS(m2 )、
浸漬管12内の真空度をP(torr)、溶鋼14の全
重量をW(ton/ch)とした場合、以下の式を満足
する範囲で精錬を行う。 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
10

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鋼の真空脱ガス
処理において、地金の飛散、付着を抑制した状態で、短
時間での極低炭素濃度域までの脱炭や脱ガスを可能とす
る減圧精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、すでに真空脱ガス装置を
用いた脱炭においては、COガスが溶鋼内部から発生す
る内部脱炭と、真空雰囲気に暴露されている自由表面で
COガスが発生する表面脱炭があり、炭素濃度が約30
ppmよりも高い領域では内部脱炭が、それ以下の低炭
素領域では表面脱炭が主として起こり、極低炭素鋼を効
率的に溶製するには表面脱炭の促進が必要であることを
明らかにしてきた(鉄と鋼、第80年(1994)、第
3巻、213ページ以降)。また、表面脱炭を活性化さ
せるためには、溶鋼内に吹き込まれた不活性ガスの気泡
が表面に浮上し破泡する領域である気泡広がり面を広く
とる必要があることも示し、特開平6−116624号
公報には、この気泡広がり面を極限まで広くとり、7p
pm以下という炭素濃度まで効率的に脱炭する方法とし
て直胴型で大径の浸漬管を取鍋内溶鋼に浸漬し、該浸漬
管内部を減圧する真空脱ガス方法を開示した。この真空
脱ガス方法は、浸漬管内の溶鋼面における気泡広がり面
積が、取鍋内の溶鋼面の面積の10%以上、浸漬管の内
側平断面積の10〜95%になるように調整し、更に、
供給するArガス流量を0.6〜15NL/min・t
onの範囲に調整している。また、特開平6−4952
7号公報では、初期に浸漬管内を300torr以下の
高真空にすると共に浸漬管内の溶鋼面における気泡広が
り面の泡立ち高さを高くし、末期に低真空で浸漬管内の
溶鋼面における気泡広がり面の泡立ち高さを低くすると
いった調整が行われている(以下、0torrに近い方
を高真空とし、圧力が高い方を低真空とする。)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶鋼の
脱炭反応を効率的に進めるためには、気泡広がり面の面
積や浸漬管形状だけでなく、吹き込む不活性ガスの流
量、浸漬管内の真空度、ガス吹き込み位置(方法)につ
いても総合的に組み合わせて制御する必要があることが
分かった。ところが、以上の公報で示されていた技術だ
けでは、最適条件が充分に開示されておらず、例えば、
15分以内に10ppm以下の炭素濃度に到達させ、か
つ、地金飛散をほぼ完全に抑制して効率的精錬を実施す
るための条件については、全く明確に示されていなかっ
た。そして、特開平6−116624号公報に示す方法
においては、供給するArガス流量を0.6〜15NL
/min・tonにしているが、精錬における脱炭速度
の向上や耐火物の損耗等を考慮した適正供給量を示すも
のではなく、Arガス量が過剰あるいは不足して、有効
な脱炭が行えず、未だ解決すべき以下のような問題があ
る。過剰な場合、 イ)浸漬管内の溶鋼面においてスピッティングが発生す
る。 ロ)過剰な溶鋼の循環及びガスアタックにより耐火物の
損耗が大きい。 ハ)浸漬管内壁に地金付きが発生し、地金が再び溶鋼内
に溶解することに伴い炭素濃度が上昇し、溶鋼の脱炭速
度が相対的に低下する。 ニ)Arガスの排気量に応じた真空度を確保するための
装置等の設備投資が大きくなる。不足の場合、 ホ)炭素と酸素の接触が不足することにより脱炭が進み
難くなり、精錬に長時間を要する。 ヘ)極低炭素の溶製が困難となる。また、特開平6−4
9527号公報に示す方法においては、以下のような問
題があった。 ト)末期過程では、初期過程よりも低真空で脱炭を行わ
なければならないため、Arガスの気泡膨張を活用した
脱炭反応を積極的に現出できず、脱炭精錬時間の延長と
なる。 チ)脱炭精錬時間の延長に伴い耐火物の損耗が大きくな
る。 本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、前記公報
で開示した後の引き続く研究によって、地金の飛散や付
着を抑制した状態で、極低炭素濃度域までの脱炭や脱ガ
スを、短時間に且つ確実に安定的に処理するという減圧
精錬方法の工業的確立に発展させる高効率減圧精錬方法
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係る脱炭に優れた減圧精錬方法は、取鍋内の溶鋼に
浸漬管を浸漬し、該浸漬管内を減圧すると共に該浸漬管
の直下位置にある前記溶鋼の下部(例えば、前記取鍋の
底部)から、前記溶鋼中に不活性ガスを吹き込んで前記
溶鋼を精錬する減圧精錬方法において、前記不活性ガス
の流量をQ(NL/min)、前記浸漬管内の溶鋼面に
おける気泡の広がり面積をS(m2 )、前記浸漬管内の
真空度をP(torr)、前記溶鋼の全重量をW(to
n/ch)とした場合、以下の式を満足する。 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
10 また、第2の発明に係る脱炭に優れた減圧精錬方法は、
第1の発明方法において、前記不活性ガスの流量Q、気
泡の広がり面積S、又は真空度Pの少なくとも一つを調
整することにより前記式を満足させるように制御してい
る。そして、第3の発明に係る脱炭に優れた減圧精錬方
法は、第1、第2の発明方法において、前記取鍋内の溶
鋼内に浸漬する浸漬管は、内側平断面積が、前記取鍋内
の溶鋼面の面積の10%以上、80%以下としている。
【0005】ここで、前記式において、(Q1/3 ・S
2/3 )/(W・P2/3 )が0.02以上とするのは、
0.02未満では、不活性ガス量の絶対量が不足、及び
/又は、不活性ガスの膨張効果が減少するので、脱炭速
度が低下し、更には、到達炭素濃度が高くなるからであ
る。また、0.10を超えると、不活性ガスの膨張が小
さくなり、脱炭速度も不活性ガス供給量の増加の割合に
比較して向上しなくなる。この理由から極低炭素鋼を溶
製する際には、0.02以上0.1以下とし、より好ま
しくは0.04〜0.1以下とする。また、浸漬管の内
側平断面積を、取鍋内の溶鋼面の面積の10%以上とし
たのは、10%未満では脱炭を効率よく行うための浸漬
管内の溶鋼面における気泡広がり面が確保できないと共
にガスリフトによる溶鋼の循環が十分に行われないから
であり、また、80%を超えると、溶鋼のサンプリング
が困難となり操業の支障となる等の制約上の問題が生じ
るからである。この理由から、浸漬管の内側平断面積
は、取鍋内の溶鋼面の面積の15〜65%にするとより
好ましい。
【0006】第1〜第3の発明に係る脱炭に優れた減圧
精錬方法は、まず、取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬し、該
浸漬管内を減圧するので、浸漬管内で溶鋼が上昇する。
そして、浸漬管の直下に位置する溶鋼の下部から浸漬管
に不活性ガスを吹き込む。吹き込まれた不活性ガスは高
圧域から低圧域に移動、即ち、上昇すると共にその気泡
を膨張させる。その過程において気泡表面では、溶鋼中
に存在する炭素及び酸素がCOガスとなり、気泡内に取
り込まれると考えられる。また、溶鋼中に存在する水
素、窒素等の気体も同様に気泡中に取り込まれると考え
られる。最後にこれらの気体が浸漬管内の溶鋼面から溶
鋼外部に排出されることにより、脱炭は行われる。な
お、気泡は浸漬管内の溶鋼面付近で最も膨張することか
ら、このCOガスの取り込みは、浸漬管内の溶鋼面付近
で最も行われると考えられ、この面での気泡の広がり、
即ち、浸漬管内の溶鋼面における気泡広がり面を拡大す
ることが重要と考えられる。したがって、浸漬管内の溶
鋼面から離脱するときに気泡が破泡して生じる気体と液
体の界面積を大きくすることにより、溶鋼中の炭素がC
Oガスとなって気体側に積極的に移行して脱炭を促進す
る。
【0007】一方、不活性ガスを多量に流入することに
より気泡の前表面積を大きくしようとしても、気泡の広
がりが、不活性ガスの流入量に対応して大きくならない
ため、気泡一つ一つの膨張が充分に起こらず、脱炭の効
果は不活性ガス供給量の増加の割に得られない。これら
を考慮して、最適に脱炭が行えるよう、前記不活性ガス
の流量をQ(NL/min)、前記浸漬管内の溶鋼面に
おける気泡の広がり面積をS(m2 )、前記浸漬管内の
真空度をP(torr)、前記溶鋼の全重量をW(to
n/ch)とした場合に、以下の式を満足する範囲で精
錬を行う。 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
10 前記式を満足する範囲で精錬を行うことにより、溶鋼中
に吹き込んだ不活性ガスの気泡膨張を適切に促進して、
脱炭容量係数(脱炭効率)を高めて極低炭素鋼を溶製す
ることができる。また、不活性ガスの過剰供給よって、
浸漬管内壁に地金付着が発生し、付着地金が溶鋼中に再
溶解することに伴い炭素濃度が上昇する結果、相対的に
脱炭速度が低下することや到達炭素濃度が高くなること
を防止でき、更には、不活性ガスのアタック及び溶鋼の
循環による耐火物の損傷等の発生を抑制することができ
る。また、第2の発明に係る脱炭に優れた減圧精錬方法
では、不活性ガスの流量Q、浸漬管内の溶鋼面における
気泡の広がり面積S、又は浸漬管内の真空度Pの少なく
とも一つを調整して前記式を満足する範囲で精錬を行う
ことにより、不活性ガスの膨張を最適化し、脱炭速度の
向上や到達炭素濃度を低下させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る脱炭に優れた減圧精錬方法を適用する減圧精錬
装置の説明図、図2は(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P
2/3 )の値(以下、指数という)と脱炭容量係数の関係
を表すグラフ、図3は浸漬管径と浸漬管の内側平断面積
及び浸漬管内の溶鋼面における気泡広がり面積の関係を
表すグラフ、図4は真空度と標準大気圧760torr
を基準とした気泡の表面積の拡大率の関係を表すグラフ
である。
【0009】図1に示すように、本発明の一実施の形態
に係る脱炭に優れた減圧精錬方法を適用する減圧精錬装
置10は、取鍋11と浸漬管12を有しており、取鍋1
1底面には、ポーラス煉瓦からなるガス吹き込み孔13
が設けられている。浸漬管12は、取鍋11内の溶鋼1
4内に、浸漬した状態で設けられていると共に浸漬管1
2内は減圧(1〜10torr程度)されている。ここ
で、浸漬管12は、内側の平断面積が、取鍋11内の溶
鋼面の面積の25%程度のものを用いた。以下、これら
について詳しく説明する。まず、浸漬管12の真下位置
にある取鍋11底面のガス吹き込み孔13から、溶鋼1
4中に浸漬管12内に向けて不活性ガスの一例であるA
rガスを流入する。このArガスは、溶鋼を循環させる
役割も果たすので、浸漬管12内の溶鋼面における気泡
広がり面15の中心が浸漬管12の中心からずれるよう
に流入する。このArガスは、図4から分かるように、
上昇するにつれその気泡を大きくし、浸漬管12内の溶
鋼面に気泡広がり面15を形成する。なお、この広がり
方は、Arガスの流量を極端に少量に、又はArガスの
上昇距離を極端に長くしないかぎり一定と考えることが
でき、本発明の実施においては一定と考えることができ
る。また、脱炭は、Arガス上昇中のArガス気泡内に
炭素をCOガスとして取り込むことによって行われる
が、この取り込みは、Arガスが最も膨張する浸漬管1
2内の溶鋼面に達する付近で最も多いと考えられ、気泡
広がり面積を大きくすることが重要となる。一方、Ar
ガスを多量に流入することにより気泡の全表面積を大き
くしようとしても、気泡の広がりが、Arガスの流入量
に対応して大きくならないため、気泡一つ一つの膨張が
充分に起こらず、脱炭の効果はArガス供給量の増加の
割に得られない。
【0010】そこで、Arガスの流量Q(NL/mi
n)、浸漬管12内の溶鋼面における気泡の広がり面積
S(m2 )、浸漬管12内の真空度P(torr)、前
記溶鋼14の全重量W(ton/ch)を以下の式を満
足する範囲で精錬を行う。 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
10 まず例えば、図3から浸漬管径及び気泡広がり面積Sを
決定する。ここで、図3に示すグラフは、溶鋼の全重量
Wが175ton/ch、取鍋内の溶鋼の溶鋼面の直径
が3.3m、溶鋼の取鍋底面からの高さが2.8mであ
り、厚さ30cmの浸漬管を溶鋼に40cm浸漬し、浸
漬管内の真空度Pを1torrとする測定条件にて、浸
漬管径と気泡広がり面積との関係を表したものである。
なお、グラフに示す領域Aがこの条件において可能かつ
適切な気泡広がり面積となる。この可能かつ適切な気泡
広がり面積は、浸漬管径を大きくするにつれ大きくなる
(□によって連結される線)が、浸漬管径が約1.7m
に達した後は浸漬管径を大きくしても大きくならない
(○によって連結される線)。これは、気泡の広がり方
が一定であるのに対し、浸漬管内の溶鋼面の取鍋底面か
らの高さが、浸漬管径を大きくすることにより低くなる
ためである。この値については、実際に実験を行って具
体的に実測してもよいが、溶鋼に対する略逆円錐状の気
泡の頂角は分かっているので、溶鋼の深さから容易に計
算できる。また、浸漬管径及び気泡広がり面積の決定
は、気泡広がり面が浸漬管内の溶鋼面をすべて覆うよう
に決定すると溶鋼の循環が行われなくなるので、浸漬管
内の溶鋼面に対して気泡広がり面が小さくなるように
し、しかも、Arガスの吹き込み位置と浸漬管の中心と
を浸漬管の下端からArガスが洩れない範囲で偏心させ
ることにより気泡広がり面を調整して、溶鋼の攪拌を阻
害することなく精錬ができるようにして、領域Aから決
定する。
【0011】ここで、図3に示す気泡広がり面積Sを決
定する領域Aの下限を示す曲線について説明する。取鍋
の底から吹き出される不活性ガスは通常の操業範囲で
は、図1に示すように略逆円錐状(より正確には、放物
線:0.14H2 の回転体、Hは溶鋼の深さ)となって
いる。不活性ガスが発生するガス吹き込み孔(ノズル)
の位置を、浸漬管の軸心に対して徐々に偏心させると、
略逆円錐状に形成された泡が浸漬管の下端部に接する偏
心位置dがあり、この偏心位置dを超えてガス吹き込み
孔の位置を偏心させると、浸漬管から不活性ガスが漏れ
るので、この範囲が最大の浸漬管中心位置に対する最大
の偏心点となる。この位置にガス吹き込み孔がある場合
には、浸漬管内の溶鋼表面に形成される気泡広がりは、
円形の一方が浸漬管の側壁によって押し潰された形状に
なるので、最大気泡広がり面積より減少する。この面積
は、最大気泡広がり面積が実験又は計算等で分かれば、
容易に計算でき、この点を気泡広がり面積Sの下限とす
ると、図3に示すような領域Aが成立する。このように
して、気泡広がり面積Sは浸漬管の直径が決まると、あ
る広がりを持つことになり、領域Aの適当な数字を選択
することになる。更に、より正確な値を求める必要があ
る場合には、ガス吹き込み孔の偏心させた場合に略逆円
錐状に広がった頂部の気泡広がり面が浸漬管の内壁に触
れるガス吹き込み孔の偏心位置cと、略逆円錐状に広が
る気泡が浸漬口の下端から溢れ出る偏心位置dとを求
め、実際のガス吹き込み孔の偏心位置fとが偏心位置
c、dの間にある場合には、その割合(f−c)/(d
−c)に応じて、気泡広がり面積Sの最大値と最小値の
値を按分すればよいことになる。また、ガス吹き込み孔
の偏心位置fが偏心位置cより小さい場合には、気泡広
がり面積Sは最大値をとればよい。なお、取鍋の直径、
浸漬管の直径や溶鋼の量が異なっても、同じ手順で計算
すれば良いことになる。また、このようにして浸漬管の
中心に対するガス吹き込み孔の偏心長さを制御し、ガス
吹き込み孔の偏心位置が変更できない場合には、浸漬管
の直径を変えてガス吹き込み孔の偏心長さを制御して、
気泡広がり面積Sを制御し、最適の精錬条件を決定する
こともできる。
【0012】この実施の形態においては、例えば、浸漬
管径を1.7mにして、気泡の広がり面積Sを1.7m
2 とすれば、溶鋼の全重量Wは175ton/chは決
まっているので、次に真空度P及びArガスの流量Qを
決定する。ここで、気泡の広がり面積Sは、真空度Pを
1〜10torr程度の間で変化させても、浸漬管内の
溶鋼面の高さはほぼ変化しないため誤差範囲と考えるこ
とができ、また、Arガスの流量Qを変えることによっ
ても、気泡の広がり方はほぼ変化しないため誤差範囲と
考えることができる。そこで、真空度Pを1torr、
Arガスの流量Qを400NL/minとすることによ
り、(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )の値は0.0
6となる。これは、前記式を満足し、脱炭反応を一次反
応で仮定したときの脱炭容量係数は、0.28(1/m
in)となり、脱炭が効率良く行うことができる。な
お、気泡広がり面積Sの値は、Arガスの流量Qによる
浸漬管内の溶鋼面の盛り上がり高さ分の気泡の広がりは
考慮せず、溶鋼の静止面での気泡広がり面の面積とす
る。
【0013】
【実施例】前記脱炭に優れた減圧精錬方法を用いて、炭
素濃度が30ppmから10ppm以下になるまでの脱
炭容量係数の測定実験(NO.1〜20)を行った。こ
こでは、溶鋼の全重量W、Arガスの流量Q、浸漬管内
の溶鋼面における気泡の広がり面積S、浸漬管内の真空
度Pをそれぞれ調整し実験を行った。なお、溶鋼の全重
量Wが350ton/chのときには、取鍋内の溶鋼の
溶鋼面の直径が4.4m、溶鋼の取鍋底面からの高さが
3.3mであり、厚さが50cm、内径が2.2mの浸
漬管を溶鋼に50cm浸漬しており、また、溶鋼の全重
量が175ton/chのときには、取鍋内の溶鋼の溶
鋼面の直径が3.3m、溶鋼の取鍋底面からの高さが
2.8mであり、厚さが30cm、内径が1.7mの浸
漬管を溶鋼に40cm浸漬している。
【0014】
【表1】
【0015】表1及び図2に示すように、溶鋼の全重量
W、Arガスの流量Q、気泡の広がり面積S、及び真空
度Pの調整により、指数が0.02以上0.10以下を
示せば、脱炭容量係数は0.10(1/min)以上を
示し、効率よく脱炭が行われることがわかる。すなわ
ち、10ppm以下の極低炭素鋼が短時間で溶製でき
る。また、溶鋼の全重量Wを350ton/ch、取鍋
内の溶鋼面の直径を4.4mとし、取鍋内の溶鋼面積の
15%と65%に相当する内側の平断面積を有する浸漬
管を用いて、溶鋼の全重量W、Arガスの流量Q、気泡
広がり面積S、及び真空度Pを調整して指数が0.02
〜0.10となるようにした場合についても実施した結
果、地金付着や耐火物の損傷等の操業の支障がなく、効
率よく脱炭を行うことができた。一方、NO.5、N
O.7、NO.9、NO.10、NO.20について
は、指数が前記範囲を満足していない。NO.5、N
O.7、NO.9及びNO.10は、指数が0.02未
満を示し、脱炭容量係数が小さく、精錬に長時間を要
し、その結果として耐火物の損耗をも招く。また、N
O.20は指数が0.10を超え、脱炭容量係数は大き
いものの、スピッティングや耐火物の損耗が非常に大き
いため、工業的方法としては妥当でない。
【0016】
【発明の効果】請求項1〜3記載の脱炭に優れた減圧精
錬方法においては、不活性ガスの流量をQ(NL/mi
n)、前記浸漬管内の溶鋼面における気泡の広がり面積
をS(m 2 )、前記浸漬管内の真空度をP(tor
r)、前記溶鋼の全重量をW(ton/ch)とした場
合、 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
10 を満足する範囲で精錬を行うので、不活性ガスを最適量
流入して、不活性ガスの膨張を最適化でき、それによっ
て、安定且つ確実に、更には、効率的に脱炭や脱ガスを
行うことができる。また、それに伴い以下の効果があ
る。 イ)脱炭容量係数が向上し、精錬時間の短縮、到達炭素
濃度の低下が可能となる。 ロ)浸漬管内壁に地金付着が発生するのを抑制し、付着
地金が溶鋼中に再溶解することによって生じる炭素濃度
の上昇を防止できる。 ハ)前記炭素濃度の上昇によって生じる相対的な脱炭容
量係数の低下を防止することができる。 ニ)不活性ガスを有効に脱炭に寄与せしめるので、不活
性ガスの流量を最小限に抑えることができる。 ホ)不活性ガスの流量を最小限に抑えることにより、真
空度を確保するための装置等の設備にかかる必要コスト
及びエネルギーが低減でき、工業的方法として妥当とな
る。 特に、請求項2記載の脱炭に優れた減圧精錬方法におい
ては、前記不活性ガスの流量Q、気泡の広がり面積S、
又は真空度Pの少なくとも一つを調整することにより前
記式を満足させるので、脱炭に寄与する不活性ガス量を
精度良く制御することができる。請求項3記載の脱炭に
優れた減圧精錬方法においては、前記取鍋内の溶鋼内に
浸漬する浸漬管は、内側平断面積が、前記取鍋内の溶鋼
面の面積の10%以上、80%以下とするので、浸漬管
内の溶鋼面における気泡広がり面が十分に確保できると
共にガスリフトによる溶鋼の循環が十分に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る脱炭に優れた減圧
精錬方法を適用する減圧精錬装置の説明図である。
【図2】(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )の値と脱
炭容量係数の関係を表すグラフである。
【図3】浸漬管径と浸漬管の内側平断面積及び浸漬管内
の溶鋼面における気泡広がり面積の関係を表すグラフで
ある。
【図4】真空度と標準大気圧760torrを基準とし
た気泡の表面積の拡大率の関係を表すグラフである。
【符号の説明】
10:減圧精錬装置、11:取鍋、12:浸漬管、1
3:ガス吹き込み孔、14:溶鋼、15:気泡広がり面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮本 健一郎 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K013 AA07 BA02 CE01 CE02 CE05 DA12 DA13 FA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内の溶鋼に浸漬管を浸漬し、該浸漬
    管内を減圧すると共に該浸漬管の直下位置にある前記溶
    鋼の下部から、前記溶鋼中に不活性ガスを吹き込んで前
    記溶鋼を精錬する減圧精錬方法において、前記不活性ガ
    スの流量をQ(NL/min)、前記浸漬管内の溶鋼面
    における気泡の広がり面積をS(m2 )、前記浸漬管内
    の真空度をP(torr)、前記溶鋼の全重量をW(t
    on/ch)とした場合、以下の式を満足する範囲で精
    錬を行うことを特徴とする脱炭に優れた減圧精錬方法。 0.02≦(Q1/3 ・S2/3 )/(W・P2/3 )≦0.
    10
  2. 【請求項2】 請求項1記載の脱炭に優れた減圧精錬方
    法において、前記不活性ガスの流量Q、気泡の広がり面
    積S、又は真空度Pの少なくとも一つを調整することに
    より前記式を満足させることを特徴とする脱炭に優れた
    減圧精錬方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の脱炭に優れた減圧
    精錬方法において、前記取鍋内の溶鋼内に浸漬する浸漬
    管は、内側平断面積が、前記取鍋内の溶鋼面の面積の1
    0%以上、80%以下とする脱炭に優れた減圧精錬方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014058708A (ja) * 2012-09-14 2014-04-03 Kobe Steel Ltd 精錬処理方法

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