JP2001158102A - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッドの製造方法

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JP2001158102A
JP2001158102A JP34400299A JP34400299A JP2001158102A JP 2001158102 A JP2001158102 A JP 2001158102A JP 34400299 A JP34400299 A JP 34400299A JP 34400299 A JP34400299 A JP 34400299A JP 2001158102 A JP2001158102 A JP 2001158102A
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film
water
discharge nozzle
orifice plate
ink
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JP34400299A
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Yoshihiro Kawamura
義裕 河村
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】吐出面の所要領域に撥水膜を形成すると共に所
望の適正な形状の吐出ノズルを穿設できるインクジェッ
トプリンタヘッドの製造方法を提供する。 【解決手段】(a) オリフィス板37上に吐出ノズルをド
ライエッチングするときのマスクであるTi膜44を形
成する。(b) Ti膜44上にフォトレジストを積層して
エッチング用マスクパターンとしての開口45−1を形
成する。(c) その開口45−1に従ってウェットエッチ
ングにてTi膜44に開口44−1を穿設する。(d) そ
の開口44−1に従ってドライエッチングにてオリフィ
ス板37に吐出ノズル39を穿設する。(e) Ti膜44
上にドライフィルムフォトレジストを被覆し、露光・現
像して、開口44−1上部に閉塞膜49を形成する。
(f) その上から無電解メッキ法によりPTFE撥水性粒
子を分散させた複合Niメッキ膜を被着し撥水膜46を
形成する。(g) 全体をドライフィルム剥離液に浸漬して
ドライフィルムフォトレジストからなる閉塞膜49及び
その上の撥水膜46を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吐出面に撥水処理
膜を適切に形成すると共に所望の形状の吐出ノズルを穿
設できるインクジェットプリンタヘッドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット方式のプリンタが
広く用いられている。このインクジェット方式によるプ
リンタには、インクを加熱し気泡を発生させてその圧力
でインク滴を飛ばすサーマル方式や、ピエゾ抵抗素子
(圧電素子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方
式等がある。これらは、色材たるインクをインク滴にし
て直接記録紙に向かって吐出し印字を行うから、粉末状
の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較した場
合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合によっ
てカラー化が容易であり、印字ドットを小さくできるの
で高画質であり、印字に使用されるインクの量に無駄が
無くコストパフォーマンスに優れており、このため特に
パーソナル用プリンタとして広く用いられている印字方
式である。
【0003】上記のサーマル方式には、インク滴の吐出
方向により二通りの構成がある。一つは発熱素子の発熱
面に平行な方向へインク滴を吐出する構成のサイドシュ
ータ型と呼称されるものであり、他の一つは発熱素子の
発熱面に垂直な方向にインク滴を吐出する構成のルーフ
シュータ型と呼称されるものである。
【0004】図9(a) は、そのようなルーフシュータ型
のインクジェットプリンタに配設されるインクジェット
プリンタヘッドのインク吐出面を模式的に示す平面図で
あり、同図(b) は、そのA−A′断面矢視図、同図(c)
は、このインクジェットプリンタヘッドが製造されるシ
リコンウェハを示す図である。
【0005】同図(c) に示すように、インクジェットプ
リンタヘッド(以下、単に印字ヘッドという)1は、シ
リコンウェハ2の上で、LSI形成処理技術と薄膜形成
処理技術とにより形成され、完成後にシリコンウェハ2
から個々に切り出されて採取される。
【0006】同図(a) に示すように、印字ヘッド1のイ
ンク吐出面には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シ
アン(C)及びブラック(Bk)の4種類のインクを吐
出する4列のノズル列3が形成されている。1列のノズ
ル列3には多数のノズル4が例えば600ドット/2
5.4mmの解像度であれば42.3μmの配列ピッチ
で縦1列に並んで配置されている。これらの各ノズル列
3には不図示のインクカートリッジ等から各ノズル列3
に対応する色のインクがそれぞれ供給される。
【0007】この印字ヘッド1の内部構成は、同図(b)
に示すように、ヘッドチップ5上に、LSIからなる駆
動回路6と薄膜からなる抵抗発熱部7が形成され、この
抵抗発熱部7の一方の端部と駆動回路6を結ぶ個別配線
電極8が形成され、更に抵抗発熱部7の他方の端部と給
電用端子9とを接続する共通電極11が形成されてい
る。そして、これらの上に隔壁12が積層されている。
上記の抵抗発熱部7と個別駆動電極8は、それぞれ後か
ら形成されるノズル列3のノズル4の数だけ配設され
る。
【0008】そして、後から形成されるノズル列3に平
行に延在するインク供給溝13と、このインク供給溝1
3に連通してヘッドチップ5の下面に貫通するインク供
給孔14が穿設され、これらの上からオリフィス板15
が、熱と圧力を加えられて、下面の熱可塑性接着材によ
り隔壁12上に接着されて積層されている。このオリフ
ィス板15の積層により、隔壁12の厚さに対応する高
さおよそ10μmのインク通路16が、抵抗発熱部7と
インク供給溝13間に形成される。この後、オリフィス
板15に、インクを吐出する上述のノズル4が形成され
る。
【0009】同図(c) に示すシリコンウェハ2の直径が
例えば6×25.4mmであるとすると、上述したよう
なヘッドチップ5を90個以上もシリコンウェハ上に形
成することができる。シリコンウェハ上に印字ヘッド1
として完成したヘッドチップ5は、ダイシングソーなど
を用いてシリコンウェハのスクライブラインに沿ってヘ
ッドチップ単位毎にカッテングして個別に切り離され、
切り離されて単体となったヘッドチップ5を実装基板に
ダイスボンデングし、端子接続して、実用単位の印字ヘ
ッド1が完成する。
【0010】この印字ヘッド1は、印字の際には、外部
のインクカートリッジ等から抵抗発熱部7に、インク供
給孔14、インク供給溝13及びインク通路16を介し
てインクが供給される。駆動回路6は、画像情報に応じ
て複数の抵抗発熱部7を選択的に通電して、インクとの
界面に急激に膨張し消滅する膜気泡現象を発生させ、そ
の膨張時の圧力で、インク滴を吐出ノズル4から用紙面
に向かって吐出させる。
【0011】ところで、上記のように用紙面に向けて吐
出されるインク滴の吐出ノズルからの切れが良くない
と、紙面に良い印字ドットを形成することができない。
したがって、インク滴の吐出ノズルからの切れを良くす
るために、従来は、オリフィス板表面の吐出ノズルの開
口部周縁及びその近傍に撥水性を付加するための表面処
理を施す方法が採用されてきた。
【0012】ところが、予め吐出ノズルを形成したオリ
フィス板にそのまま撥水性の表面処理を施すと、その撥
水処理剤が吐出ノズルから印字ヘッド内部に進入して、
その後のインクの円滑な供給に悪影響を及ぼすという問
題が発生する。そこで、表面処理剤が印字ヘッド内部に
悪影響を与えないように吐出ノズルを空ける前に表面処
理を行う方法が種々提案されている。
【0013】図10(a) 〜(e) は、従来提案されている
サブトラクティブ法と呼ばれる撥水処理工程を示す図で
あり、同図(f) 〜(j) は、他に提案されているアディテ
ィブ法と呼ばれる撥水処理工程を示す図である。
【0014】同図(a) 〜(e) に示すサブトラクティブ法
では、先ず、同図(a) に示すように、ポリイミドのオリ
フィス板15の上一面にTi膜17を形成する。次に、
このTi膜の上一面に、無電解で形成できるNiメッキ
法を用い、同図(b) に示すように、PTFE粒子をNi
メッキ液中に分散させた材料からなる撥水膜18を形成
する。この撥水膜18は、表面に分散して現れているP
TFE粒子の働きで撥水性を示すものである。
【0015】続いて、同図(c) に示すように、撥水膜1
8の上一面にフォトレジスト層19−1を積層し、この
フォトレジスト層19−1の図9(a),(b) に示す吐出ノ
ズル4の位置に対応する部分に開口19−2を有するレ
ジストマスク19をフォトリソグラフイー技術等による
形成する。そして、上記のレジストマスク19に従っ
て、ウェットエッチングにより、撥水膜18およびドラ
イエッチング用マスク膜としてのTi膜17に開口21
を穿設し、更に、この開口21に従って、ドライエッチ
ングにより、オリフィス板15に吐出ノズル4を穿設す
る。
【0016】このドライエッチングには、異方性が強
く、オリフィス板15の材質であるポリイミドへのエッ
チングレートが大きいへリコン波ドライエッチング方式
を用いるのがよい。なお、このドライエッチングを実施
する前に、上記のウェットエッチングに用いたレジスト
マスク19は除去されている。
【0017】次に、同図(f) 〜(j) に示すアディティブ
法では、先ず、上記同様に、同図(f) に示すように、ポ
リイミドのオリフィス板15の上一面にドライエッチン
グ用マスク膜としてのTi膜17を形成する。次に、こ
のTi膜17の上一面に、同図(g) に示すように、フォ
トレジスト層19−1を積層し、このフォトレジスト層
19−1の吐出ノズル位置に対応する部分に開口19−
2を有するレジストマスク19をフォトリソグラフイー
技術等により形成する。
【0018】続いて、そのレジストマスク19に従っ
て、ウェットエッチングにより、Ti膜17に開口22
を穿設した後、レジストマスク19を除去してTi膜1
7を露出させる。そして、同図(i) に示すように、露出
させたTi膜17の上一面に且つ上記の開口22を避け
て、PTFE粒子を分散させたNiメッキにより撥水層
18を形成する。続いて、開口22に従って、同図(e)
の場合と同様に、ヘリコン波ドライエッチングにより、
同図(j) に示すように、吐出ノズル4を形成する。
【0019】同図(e) 及び同図(j) に示す両方法の出来
上がりの構造では、共に、オリフィス板15、Ti膜1
7及び撥水層18から成る積層構造になっている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10
(a) 〜(e) に示すサブトラクティブ法による加工方法で
は、ドライエッチングによる吐出ノズル4の孔空け前に
予め形成されている撥水膜18のウェットエッチングに
よって、図10(d) に示す開口21のNiメッキ膜内壁
面にPTFE粒子が露出し、この開口21に従ってドラ
イエッチングにより空けられる吐出ノズル4の内壁に粗
さが発生する。
【0021】即ち、本来ドライエッチングで形成される
吐出ノズル4の形状としては円形もしくはそれに近い形
の開口が必要とされるのだが、ドライエッチングのマス
クパターンとなっている上記の開口21の内壁面にPT
FE粒子の露出による凹凸が生じていると、オリフィス
板15部分の吐出ノズル4内壁面が粗くなる。その結
果、吐出されるインク滴の飛翔方向、量、速度等にむら
が発生する。このように、インク滴の飛翔方向、量、速
度等にむらが発生すると、印字ドットが不安定となって
形成画像の品質を低下させるという問題が発生する。
【0022】また、撥水膜18のように本質的に撥水性
を有する膜層の上に、フォトレジスト19が密着性良く
形成できるかどうかという問題も有している。他方、図
10(f) 〜(j) に示すアディティブ法による加工方法で
は、既に開口22が形成されているTi層17の上に、
その開口22を避けて選択的に撥水膜18となるNiメ
ッキ膜を形成させることが難しい。
【0023】撥水膜18となるNiメッキ膜を無電解で
形成する場合、通常、前処理として被メッキ面にPd触
媒を付与するが、このPd触媒は、Niのような金属膜
上だけに選択的に形成されるわけではなく、オリフィス
板材であるポリイミドのような有機物上にも少々密着性
が劣るとは言え形成される。すなわち、開口22底部に
露出するオリフィス板15の面にもPd触媒が付着し、
ここにNiメッキによる撥水膜18が僅かながら形成さ
れる。
【0024】そうすると、その状態でドライエッチング
によりオリフィス板15に孔空け加工を施しても、オリ
フィス板15上に形成されたNiメッキ撥水膜がマスク
となり、吐出ノズル4の正常な形成を妨げるだけでな
く、加工レートを低下させるという問題が発生する。
【0025】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、
吐出面に撥水処理膜を適切に形成すると共に所望の形状
の吐出ノズルを確実に穿設できるインクジェットプリン
タヘッドの製造方法を実現することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発
明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、イン
クを所定方向に吐出させる複数の吐出ノズルが形成され
たオリフィス板を備えるインクジェットプリンタヘッド
の製造方法であって、上記オリフィス板に上記吐出ノズ
ルを形成する工程と、上記オリフィス板の各上記吐出ノ
ズルに対応させて、該吐出ノズルを塞ぐ閉塞膜を選択的
に形成する閉塞膜形成工程と、上記閉塞膜の形成領域を
含む上記オリフィス板の各上記吐出ノズルの吐出口が形
成された吐出面の所定領域に亙り撥水性を備えた撥水膜
を被着する工程と、上記閉塞膜と共に該閉塞膜上に被着
された撥水膜を選択的に除去するリフトオフ工程とを有
して構成される。
【0027】上記閉塞膜は、例えば請求項2記載のよう
に、ドライフィルムからなり、上記吐出ノズルの吐出口
を覆うように配設されのがよい。また、上記閉塞膜は、
例えば請求項3記載のように、高粘度のフォトレジスト
を、少なくとも上記吐出ノズル内に充填させて形成され
ていることが好ましい。更に、上記閉塞膜は、例えば請
求項4記載のように、高粘度のポジ型フォトレジストか
らなり、該ポジ型フォトレジストを少なくとも上記吐出
ノズル内とその周縁に被着し、該被着されたポジ型フォ
トレジストの全表面を露光した後に現像し、上記吐出ノ
ズル内に被着ポジ型フォトレジストの一部を残すことに
より形成されるのがよい。また、上記撥水膜は、例えば
請求項5記載のように、撥水性物質粒子を分散混合した
Ni膜を無電解メッキ法により形成することが好まし
い。
【0028】そして、例えば請求項6記載のように、上
記吐出ノズルは、Ti膜をマスクとしてドライエッチン
グにより形成し、上記撥水膜は、上記Ti膜上に形成さ
れるようにするのが好ましい。
【0029】次に、請求項7記載の発明のインクジェッ
トプリンタヘッドの製造方法は、インクを所定方向に吐
出させる複数の吐出ノズルが形成されたオリフィス板を
備えるインクジェットプリンタヘッドの製造方法であっ
て、上記オリフィス板に形成すべき吐出ノズルに対応し
た孔が形成されたエッチング用マスク層を設置する工程
と、上記マスク層の各孔に対応させて、該孔を塞ぐ閉塞
膜を選択的に形成する閉塞膜形成工程と、上記マスク層
の表面の所定領域に亙り撥水性を備えた撥水膜を被着す
る工程と、上記閉塞膜と共に該閉塞膜上に被着された上
記撥水膜を選択的に除去するリフトオフ工程と、上記マ
スク層と該マスク層上に形成された上記撥水処理膜を介
して上記オリフィス板に上記吐出ノズルを形成する工経
と、を有して構成される。この場合、上記吐出ノズル
は、例えば請求項8記載のように、ヘリコン波ドライエ
ッチングにより形成することが好ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1(a),(b),(c) は、第1の
実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッドの製
造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程に
おいてシリコンチップの基板上に形成されていく状態の
概略の平面図と断面図を模式的に示している。尚、これ
らの図には、説明の便宜上、いずれもフルカラーのイン
クジェットプリンタヘッドの1個の印字ヘッド(モノカ
ラーインクジェットプリンタヘッドの構成と同じ)のみ
を示しているが、実際には後述するように、このような
印字ヘッドが複数個(通常は4個)連なった形状のもの
が、1個の基板(シリコンチップ)上に多数形成され
る。また、同図(c) には36個の吐出ノズル39を示し
ているが、実際には64個、128個、256個等、設
計上の方針によって多数形成されるものである。
【0031】図2(a) は、上段に図1(a) の平面図を拡
大して示し、中段に上段のC−C′断面矢視図を示し、
下段に上段のD−D′断面矢視図示している。図2(b)
は、上段に図1(b) の平面図を拡大して示し、中段に図
2(a) の中段と同一部位の断面を示し、下段に図2(a)
の下段と同一部位の断面を示している。そして、図2
(c) は、上段に図1(c) の平面図を拡大して示し、中段
に図2(a) の中段と同一部位の断面を示し、下段に図2
(a) の下段と同一部位の断面を示している。尚、図2
(a),(b),(c) には、図示する上での便宜上、本来は64
個、128個又は256個のように多数あるべき吐出ノ
ズルを5個の吐出ノズルで代表させて示している。
【0032】最初に、基本的な製造方法について説明す
る。先ず、工程1として、4×25.4mm以上のシリ
コン基板にLSI形成処理により駆動回路とその端子を
形成すると共に、厚さ1〜2μmの酸化膜(Si O2
を形成し、次に、工程2として、薄膜形成技術を用い
て、タンタル(Ta)−シリコン(Si)−酸素(O)
からなる抵抗発熱体膜の層と、Ti−W等の密着層を介
在させてAuなどによる電極膜を順次積層形成する。そ
して、電極膜と抵抗発熱体膜をフォトリソグラフィー技
術によって夫々ストライプ状にパターニングし、そのス
トライプ状の抵抗発熱体膜上の発熱部とする領域の両側
に配線電極を形成する。この工程で発熱部の位置が決め
られる。
【0033】図1(a) 及び図2(a) は、上記の工程1及
び工程2が終了した直後の状態を示している。すなわ
ち、チップ基板25の表面には酸化膜からなる絶縁層の
下に駆動回路26及び駆動回路端子27(図1(a) 参
照)が形成され、絶縁層の上には、抵抗発熱体層が複数
条のストライプ状に所定の間隔で平行にパターン化さ
れ、その発熱部28となる両端に一対の電極としての共
通電極29と個別配線電極31が形成されている。これ
らの並設によりチップ基板25上には、発熱部列28′
及び個別配線電極列31′が形成されている。そして、
共通電極29には、共通給電端子32が形成されている
(図1(a) 参照)。
【0034】続いて、工程3として、個々の発熱部28
に対応するインク加圧室及びこれらのインク加圧室にイ
ンクを供給するインク流路を形成すべく感光性ポリイミ
ドなどの有機材料からなる隔壁層をコーティングにより
高さ20μm程度に形成し、これをフォトリソ技術によ
りパターン化した後に、300℃〜400℃の熱を30
分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高
さ10μm程度の上記感光性ポリイミドによる隔壁をヘ
ッドチップ上に形成・固着させる。更に、工程4とし
て、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などに
より上記チップ基板の表面に溝状のインク供給路を形成
し、更にこのインク供給路に連通させてチップ基板裏面
に開口するインク給送孔を形成する。
【0035】この工程4では、発熱部、電極、隔壁など
が形成されている表面側のインク供給路と、裏面側のイ
ンク給送孔では、形状が異なるため、表裏から別々に加
工を行う。例えば表面側にインク供給路をヘッドチップ
の厚さ半分程度まで穿設し、裏面側からインク給送孔を
穿設して表裏に貫通させる。
【0036】図1(b) 及び図2(b) は、上述の工程3及
び工程4が終了した直後の状態を示している。すなわ
ち、溝状のインク供給路33及びインク給送孔34が形
成され、インク供給路33の左側に位置する共通電極2
9部分と、右方の個別配線電極31が配設されている部
分、及び各発熱部28と発熱部28の間に、隔壁35
(シール隔壁35−1、35−2、区画隔壁35−3)
が形成されている。上記の隔壁35は、個別配線電極3
1上のシール隔壁35−2を櫛の胴とすれば、各発熱部
28と発熱部28との間に伸び出す区画隔壁35−3は
櫛の歯に相当する形状をなしている。これにより、この
櫛の歯状の区画隔壁35−3を仕切り壁として区画され
た歯と歯の間の付け根部分に発熱部28が位置する微細
なインク加圧室36が、発熱部28の数だけ形成され
る。
【0037】この後、工程5として、ポリイミドからな
る厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板で、そ
の両面又は片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを
極薄に例えば厚さ2〜5μmにコーテングした状態のも
のを、上記積層構造の最上層つまり隔壁の上に載置し、
真空中で200〜250℃で加熱しながら、9.8×1
-4Paの数倍の圧力で加圧し、これを数10分続け
て、そのオリフィス板を固着させる。続いて真空装置又
はスパッタ装置でNi、Cu、Al又はTiなどの厚さ
0.5〜1μm程度の金属膜をオリフィス板表面に蒸着
する。
【0038】更に、工程6として、オリフィス板表面の
上記金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエ
ッチングするマスクを形成する。続いて、詳しくは後述
するが、撥水膜を吐出ノズル形成領域以外の領域に選択
的に形成する処理を伴って、ヘリコン波によるドライエ
ッチングにより上記の金属膜マスクに従って吐出ノズル
として20μmφ〜40μmφの多数の孔をオリフィス
板に一括形成する。
【0039】図1(c) 及び図2(c) は、上述した工程5
と工程6が終了した直後の状態を示している。すなわ
ち、オリフィス板37が共通給電端子32及び駆動回路
端子27の部分を除く全領域を覆っており、これによ
り、隔壁35の厚さ10μmに対応する高さの微細なイ
ンク加圧室36、このインク加圧室36とインク供給路
33とを連通させる高さ10μmのインク流路38が完
成する。
【0040】そして、オリフィス板37には、インク加
圧室36の発熱部28に対向する位置に吐出ノズル39
がドライエッチングによって形成されている。これによ
り、64個、128個又は256個等の多数の吐出ノズ
ル39を1列に備えたモノカラーインクジェットプリン
タヘッド40がシリコンウェハ上に多数完成する。
【0041】このようにオリフィス板37を張り付け
て、その後で、下地のパターンつまり発熱部28の位置
に合わせて吐出ノズル39を加工することは、予め吐出
ノズル39を加工したオリフィス板37を張り合わせる
よりも、遥かに生産性の高い実用性のある方法である。
また、ドライエッチングによる場合は、マスクはNi、
Cu、Al又はTiなどの金属膜を使うことで樹脂と金
属膜との選択比が概略100程度得られる。したがっ
て、20〜40μmのポリイミドフィルムをエッチング
するには1μm以下の金属膜でマスクを形成することで
十分である。
【0042】ここまでが、シリコンウェハの状態で処理
される。そして、最後に、工程7として、ダイシングソ
ーなどを用いてシリコンウェハをスクライブラインに沿
ってカッテングして、ヘッドチップ単位毎に個別に分割
し、実装基板にダイスボンデングし端子接続して実用単
位のモノカラーインクジェットプリンタヘッド40が完
成する。
【0043】通常フルカラー印字においては、減法混色
の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シア
ン(C)の3色に、文字や画像の黒部分に専用されるブ
ラック(Bk)を加えて合計4色のインクを必要とす
る。したがって最低でも4列のノズル列が必要である。
そして上述した製造方法によればモノカラーインクジェ
ットプリンタヘッド40をモノリシックに4列構成とす
ることは可能であり、各ヘッドのノズル列の位置関係も
今日の半導体の製造技術により正確に配置することが可
能である。
【0044】図3(a) は、上述の図1及び図2に示した
チップ基板25、駆動回路26、駆動回路端子27、発
熱部28、共通電極29、共通電極給電端子32、個別
配線電極31、インク供給路33、インク供給孔34、
隔壁35、オリフィス板35、インク加圧室36、イン
ク流路38、吐出ノズル39の各部を1組としてなるヘ
ッド素子つまりモノカラーインクジェットプリンタヘッ
ド40をやや大きく区画したチップ基板41上に4列並
べてフルカラーインクジェットプリンタヘッド42を構
成し、これにより1個のチップ基板41に4列のノズル
列43(43a、43b、43c、43d)を形成した
状態を示す図である。また、図3(b) は、同図(a) の構
成が、モノカラーインクジェットプリンタヘッド40が
4列並んだ構成となっているのを分かり易く示すため、
図1(a) に示した工程1〜工程2まで終了した状態のも
のを示している。
【0045】この図3(a),(b) に示すように、フルカラ
ーインクジェットプリンタヘッド42は、上述のモノカ
ラーインクジェットプリンタヘッド40(40a、40
b、40c、40d)が4個並んで配置されている。そ
して、例えばインク供給路33aからイエローインクが
モノカラーインクジェットプリンタヘッド40aの個々
のインク加圧室36に供給されてノズル列43aから吐
出される。また、インク供給路33bからマゼンタイン
クがモノカラーインクジェットヘッド40bの個々のイ
ンク加圧室36に供給されてノズル列43bから吐出さ
れる。また、インク供給路33cからシアンインクがモ
ノカラーインクジェットヘッド40cの個々のインク加
圧室36に供給されてノズル列43cから吐出される。
そして、インク供給路33dからはブラックインクがモ
ノカラーインクジェットヘッド40dの個々のノズル列
43dに供給されてノズル列43dから吐出される。
【0046】ところで、本発明においては上述した基本
的な製造方法における工程6において、オリフィス板3
7に撥水膜を形成し且つ吐出ノズル39を穿設するに際
し、撥水膜の材料である液状の撥水膜剤がオリフィス内
に進入しないようにするために特別の工夫が施されてい
る。以下これについて説明する。
【0047】図4(a) 〜(g) は、上記第1の実施の形態
においてオリフィス板37に撥水膜と吐出ノズル39を
形成する工程を示す図である。尚、同図(a) 〜(g) に
は、図1及び図2に示した隔壁35上に貼り付けて積層
されたオリフィス37のみを取出して示している。
【0048】図4(a) に示すように、先ず、オリフィス
板37の上一面に、吐出ノズルを穿設加工するドライエ
ッチング時のマスクとして、例えばTi膜44を0.5
μm〜1μmの厚さで形成する。次に、同図(b) に示す
ように、Ti膜44の上一面にフォトレジスト45を積
層し、このフォトレジスト45の吐出ノズル位置に対応
する部分に開口45−1をフォトリソグラフイー技術等
により形成してエッチング用レジストマスクを作成す
る。
【0049】そして、同図(c) に示すように、上記のエ
ッチング用レジストマスクの開口45−1に従って、ウ
ェットエッチングにより、Ti膜44に開口44−1を
穿設する。更に、同図(d) に示すように、Ti膜44の
開口44−1に従って、ドライエッチングにより、オリ
フィス板37に吐出ノズル39を穿設する。本例では、
異方性に富み、オリフィス板37の材質であるポリイミ
ドのエッチングレートが大きいヘリコン波方式のドライ
エッチング装置で加工する。
【0050】続いて、上記のように吐出ノズル39を孔
空け加工済みのTi膜44の上一面にドライフィルムフ
ォトレジストを被せ、その上に所定のパターンのマスク
(不図示)を形成して露光した後、不要部分を除去し、
同図(e) に示すように、開口44−1の上部に選択的に
ドライフィルムフォトレジストを残して閉塞膜49と
し、開口44−1を塞ぐ。
【0051】この場合、ドライフィルムフォトレジスト
は、ポジ型フォトレジスト(光の照射を受けた部分が軟
化して除去されるタイプ)でも又はネガ型フォトレジス
ト(光の照射を受けた部分が硬化して残るタイプ)のい
ずれを用いてもよく、ポジ、ネガ、それぞれの特性に合
わせたパターンを備えるマスクによって同一形状の閉塞
膜49を形成することができる。
【0052】そして、その上から、同図(f) に示すよう
に、PTFE粒子を分散させたNi膜を無電解メッキし
て、撥水膜46を形成する。最後に、全体をドライフィ
ルム剥離液に浸漬すると、同図(g) に示すように、閉塞
膜49上にも形成されていたNiメッキ膜(撥水膜)を
閉塞膜49もろとも剥離(リフトオフ)することが出来
る。
【0053】このように、撥水膜を形成する前に吐出ノ
ズル(図4(d) の吐出ノズル39参照)を所望の適正な
形状に一括形成してしまい、この後、形成した吐出ノズ
ルを閉塞膜により一時的に塞いだ状態で撥水膜を形成す
るので、吐出ノズルからヘッド内に撥水膜剤が浸入して
ヘッドが不良となる不都合の発生を防止することができ
る。これにより、適正な形状の吐出ノズルを備えた良好
なインクジェットヘッドが得られ、吐出されるインク滴
の飛翔方向、量、速度等にむらが発生する不具合が解消
され、品質の良い画像を形成することが可能となる。
【0054】尚、同図(g) に示すように、閉塞膜49を
除去後の「Ni+PTFE」の撥水膜46に形成されて
いる開口46−1は、閉塞膜49をTi膜44上に保持
した面積分として、Ti膜44の開口44−1よりも幅
X1だけ周囲が広く形成されている。閉塞膜49の厚さ
を通常では最も薄いとされている12.5μm程度のも
のとすると、これをTi膜44の開口44−1に保持し
たときの閉塞膜49の張り渡し強度を確保するために
は、幅X1は10μm程度必要である。
【0055】この幅X1の部分は、吐出ノズル39の開
口44−1の周縁であり、最も撥水処理を必要とする領
域であるにも拘わらず撥水処理が施されていない。した
がって、吐出インク滴の所謂キレが悪くなり印字画質を
低下させる虞があるから、この幅X1は出来るだけ狭い
ほうがよい。そのような、撥水膜46の開口と吐出ノズ
ル39の開口(Ti膜44の開口44−1)との幅の差
をより小さく形成することができる製造方法を第2の実
施の形態として以下に説明する。
【0056】図5(a) 〜(g) は、第2の実施の形態にお
いてオリフィス板37に撥水膜46と吐出ノズル39を
形成する工程を示す図である。同図(a) から同図(d) ま
では図4(a) から図4(d) までの工程と同一である。本
例では、次の工程において、ドライフィルムではなく、
高粘度のフォトレジストを用い、この高粘度のフォトレ
ジストをオリフィス板37、つまりTi膜44上に一面
に塗布する。この場合、フォトレジストの粘度を開口4
4−1上に塗布した部分の一部が開口44−1内に入り
込むが吐出ノズル39から流れ出さない程度に設定す
る。このようにして塗布されたフォトレジストに対し
て、不図示のマスクを介して光を照射し感光させた後、
現像して不要部分を除去し、図5(e) に示されるように
閉塞膜47を形成する。
【0057】本例の場合は、上記のように閉塞膜47の
一部が開口44−1内に入り込むことを許容し、この入
り込んだ部分で閉塞膜47がTi膜44に略保持される
から、閉塞膜47をTi膜44の開口44−1の周囲で
保持する必要がなく、同図(e) に示す寸法X2(同図
(g) の幅X2と同じ)は、閉塞膜47に成形する前のフ
ォトレジストを露光する時のアライメント精度分、具体
的には1μm程度の寸法でよいことになる。この場合、
フォトレジスト47の粘度は、吐出ノズルの直径や形状
によって決定するようにする。
【0058】この後、同図(f) 及び同図(g) に示すよう
に、図4(f) 及び図4(g) の場合と同様に処理して、撥
水膜46の開口46−1と吐出ノズル39の開口(Ti
膜44の開口44−1)との幅の差X2を図4(g) の幅
X1よりも小さく形成したインクジェットプリンタヘッ
ドが完成する。
【0059】上記第1及び第2の実施の形態において
は、いずれも撥水膜46をオリフィス板上一面に施して
いるが、撥水性は吐出ノズルから吐出されるインク滴に
対して必要なものであるから、吐出ノズルの開口の周囲
の面にのみ撥水性を備えていさえすれば、他の部分の面
には撥水性が無くても、切れの良い吐出を行なう目的は
達せられる。そのような構成のインクジェットプリンタ
ヘッドの製造方法を第3の実施の形態として以下に説明
する。
【0060】図6(a) 〜(g) は、第3の実施の形態にお
いてオリフィス板37に撥水膜と吐出ノズル39を形成
する工程を示す図である。同図(a) から同図(d) までは
図5(a) から図5(d) までの工程と同一である。本例で
も、次の工程において、高粘度のフォトレジストを用い
るが、本例の場合は、図6(e) に示すように、フォトレ
ジストを、閉塞膜47としてTi膜44の開口44−1
の上にのみ残すのではなく、閉塞膜47の周端面から所
定幅の周囲部47−1だけを除き、それより外側の周囲
一面にもメッキマスク膜47−2として残す。
【0061】そして、この後、図6(f) 及び同図(g) に
おいて、図5(f) 及び図5(g) の場合と同様に処理する
と、上述した周囲部47−1の所に形成された撥水膜4
6のみが残り、他は閉塞膜47及びメッキマスク膜47
−2と共にリフトオフされて、吐出ノズル39の開口、
つまりTi膜44の開口44−1の周囲の面にのみ撥水
膜46を備えたインクジェットプリンタヘッドが完成す
る。
【0062】上述のように、吐出ノズルの開口周縁のみ
に選択的に撥水性を付与する表面処理を施すことによ
り、このインクジェットプリンタヘッドが印字実行中
に、オリフィス板の吐出ノズル開口周縁にインクが付着
しても、その付着インクが開口周縁の撥水性によって吐
出ノズル開口周縁よりも外側の撥水性ではない表面の方
へ流れていき、次のインク吐出に悪影響を及ぼさないと
いう格段の効果が得られる。
【0063】上記の第2及び第3の実施の形態では、T
i膜44の吐出ノズル開口44−1の周囲に、約1μm
幅の撥水性に処理できない領域が形成されるが、更に、
吐出ノズル開口44−1の周囲に、撥水性の無い部分が
全く形成されないようにすることもできる。そのような
吐出ノズル開口44−1の周囲に撥水性の無い部分が全
く形成されないインクジェットプリンタヘッドの製造方
法を第4の実施の形態として以下に説明する。
【0064】図7(a) 〜(h) は、第4の実施の形態にお
いてオリフィス板37に撥水膜と吐出ノズル39を形成
する工程を示す図である。同図(a) から同図(d) までは
図6(a) から図6(d) までの工程と同一である。本例に
おいても、次に続く工程ではポジ型で高粘度のフォトレ
ジストを用いるが、本例の場合は、図7(e) に示すよう
にTi膜44の上一面に塗り込めて一部が吐出ノズル3
9の上部まで入り込んだフォトレジスト層47´を形成
し乾燥させた後、マスクを介さずにこのフォトレジスト
層47´の全面に適宜な光量の紫外線を照射して露光す
る。
【0065】この露光では、吐出ノズル39内の上部ま
で入り込んだポジ型フォトレジスト層47´の最下部ま
では紫外線が到達しないように光量を調整して露光す
る。この後、現像を行うと、同図(f) に示すように、吐
出ノズル39内の上部まで入り込んだフォトレジストの
最下部のみを閉塞膜47として残して、他のレジスト部
分が全て除去される。
【0066】この後、同図(g) に示すように、無電解メ
ッキにより、「PTFE+Ni」からなる複合ニッケル
メッキ膜の撥水膜46を形成する。撥水膜46は、Ti
膜44の面ばかりでなく、吐出ノズル39内上部に張り
渡された形状で残る閉塞膜47の上にも形成されるが、
フォトレジスト除去液に浸漬することにより、閉塞膜4
7上の撥水膜46だけがフォトレジストからなる閉塞膜
47とともに選択的に除去される。これにより、同図
(h) に示すように、インクが吐出される吐出口周縁、つ
まり本例ではTi膜44の開口44−1に続く撥水膜4
6の開口46−1の周縁に撥水性の無い部分が全く無
い、言い換えれば、インク吐出口が形成されている吐出
面の全面が隙間なく撥水性を有するインクジェットプリ
ンタヘッドが完成する。
【0067】上記第1〜第4の実施の形態では、いずれ
も吐出ノズルを形成した後に撥水膜を形成する製造方法
を示したが、先に撥水膜を形成してから吐出ノズルを形
成しても、撥水材が吐出ノズルの形成に悪影響を与えな
いようにすることもできる。これを第5の実施の形態と
して以下に説明する。
【0068】図8(a) 〜(g) は、第5の実施の形態にお
いてオリフィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程
を示す図である。同図(a) から同図(c) までは図6(a)
から図6(c) までの工程と同一である。本例では、次の
工程で、通常のポジ型又はネガ型のフォトレジストを全
面に塗布し、適宜のマスクを介して露光し、同図(d)に
示すように、Ti膜44の開口44−1にフォトレジス
トからなる閉塞膜48を被装する。
【0069】この後、同図(e) に示すように、撥水膜4
6を形成し、次に、閉塞膜48及びこの閉塞膜48上の
撥水膜46とを共にリフトオフ法により除去して、同図
(f)に示すように、Ti膜44の開口44−1内にオリ
フィス板37の面を露出させ、この後、同図(g) に示す
ように、実質的にTi膜44をマスクとしたドライエッ
チングにより吐出ノズル39をオリフィス板37に穿設
して、インクジェットプリンタヘッドが完成する。
【0070】このように、吐出ノズル形成用のメタルマ
スクのバターニング後に、パターニングされた開口部を
フォトレジストで被覆してから、撥水膜を形成するの
で、メタルマスクで被覆されていないオリフィス板表
面、つまり、開口部に露出させてドライエッチングに処
するべきオリフィス板の面にも撥水膜材料の「Ni+P
TFE」皮膜が形成されてエッチングレートが低下する
という従来の不具合が解消される。
【0071】また、この場合、撥水膜を塗布形成する段
階では吐出ノズルを形成していないので、撥水膜材料液
の印字ヘッド内部への浸入をより確実に阻止することが
出来る利点がある。
【0072】尚、撥水膜の形成処理にPTFE粒子を分
散させた複合Niメッキ液を用いているが、PTFE粒
子分散の複合Niメッキ液に限ることなく、これ以外の
無電解メッキ材料液も適用可能である。また、上述した
諸々の実施形態ではTi膜を無電解メッキの素地として
いるが、無電解メッキの素地は金属に限るものではな
い。また、本発明は、ヘリコン波ドライエッチングで吐
出ノズルを形成する場合に限らず、ウェットエッチング
で吐出ノズルを形成する場合にも適用可能である。
【0073】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の一
の方法によれば、適正な形状に形成された吐出ノズルを
閉塞膜で塞いだ後にオリフィス板のインク吐出側表面の
所要領域に撥水性を備えた撥水膜を被着するので、所望
の適正な形状の吐出ノズルを備えると共に吐出面の所要
領域に撥水膜を備えたインクジェットヘッドを内部を撥
水膜材料で汚染されずに容易に製造することができ、こ
れにより、吐出されるインク滴の飛翔方向、量、速度等
にむらが発生する不具合が解消され、品質の良い画像を
形成することが可能となる。
【0074】また、本発明の他の方法によれば、吐出ノ
ズル形成用のエッチング用マスクのバターニング後に形
成すべき吐出ノズルに対応させた開口部を閉塞膜で塞い
だ状態で撥水膜を所要領域に形成するから、オリフィス
板のマスクが被覆されていない吐出ノズルを形成すべき
表面にも撥水膜材料が付着してエッチングレートの低下
等の吐出ノズルのエッチング不良を引き起こすという従
来の不具合が解消される。
【0075】また、本方法による場合、撥水膜形成段階
では吐出ノズルを形成してないので、撥水膜材料液の印
字ヘッド内部への浸入をより確実に押さえることがで
き、これにより、撥水膜材料液の印字ヘッド内部への浸
入により吐出ノズルやインク流路内に生じる悪影響の発
生を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),(c) はそれぞれ第1の実施の形態にお
けるインクジェットプリンタヘッドの製造方法を工程順
に示す概略の平面図と断面図である。
【図2】(a),(b),(c) のそれぞれ上段は図1(a),(b),
(c) の拡大平面図、中段は上段のC−C′断面矢視部分
を示す図、下段は上段のD−D′断面矢視部分を示す図
である。
【図3】(a) はフルカラーインクジェットプリンタヘッ
ドの模式的平面図、(b) はその内部構成を示す模式的平
面図である。
【図4】(a) 〜(g) は第1の実施の形態においてオリフ
ィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程を示す図で
ある。
【図5】(a) 〜(g) は第2の実施の形態においてオリフ
ィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程を示す図で
ある。
【図6】(a) 〜(g) は第3の実施の形態においてオリフ
ィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程を示す図で
ある。
【図7】(a) 〜(h) は第4の実施の形態においてオリフ
ィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程を示す図で
ある。
【図8】(a) 〜(g) は第5の実施の形態においてオリフ
ィス板に撥水膜と吐出ノズルを形成する工程を示す図で
ある。
【図9】(a) は従来のインクジェットプリンタヘッドの
インク吐出面を模式的に示す平面図、(b) はそのA−
A′断面矢視図、(c) はインクジェットプリンタヘッド
が製造されるシリコンウェハを示す図である。
【図10】(a) 〜(e) は従来提案されているサブトラク
ティブ法と呼ばれる撥水処理工程を示す図、(f) 〜(j)
は他に提案されているアディティブ法と呼ばれる撥水処
理工程を示す図である。
【符号の説明】
1 印字ヘッド 2 シリコンウェハ 3 ノズル列 4 吐出ノズル 5 ヘッドチップ 6 駆動回路 7 抵抗発熱部 8 個別配線電極 9 給電用端子 11 共通電極 12 隔壁 13 インク供給溝 14 インク供給孔 15 オリフィス板 16 インク通路 17 Ti膜 18 撥水膜 19 レジストマスク 19−1 フォトレジスト層 19−2 開口 21、22 開口 25 チップ基板 26 駆動回路 27 駆動回路端子 28 発熱部 28′ 発熱部列 29 共通電極 31 個別配線電極 31′ 個別配線電極列 32 共通給電端子 33、33a、33b、33c、33d インク供給路 34 インク給送孔 35 隔壁 35−1、35−2 シール隔壁 35−3 区画隔壁 36 インク加圧室 37 オリフィス板 38 インク流路 39 吐出ノズル 40(40a、40b、40c、40d) モノカラー
インクジェットプリンタヘッド 41 チップ基板 42 フルカラーインクジェットプリンタヘッド 43(43a、43b、43c、43d) ノズル列 44 Ti膜 44−1 開口 45 フォトレジスト 45−1 開口 46 撥水膜 46−1 開口 47、48、49 閉塞膜 47′ フォトレジスト層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを所定方向に吐出させる複数の吐
    出ノズルが形成されたオリフィス板を備えるインクジェ
    ットプリンタヘッドの製造方法であって、 前記オリフィス板に前記吐出ノズルを形成する工程と、 前記オリフィス板の各前記吐出ノズルに対応させて、該
    吐出ノズルを塞ぐ閉塞膜を選択的に形成する閉塞膜形成
    工程と、 前記閉塞膜の形成領域を含む前記オリフィス板の各前記
    吐出ノズルの吐出口が形成された吐出面の所定領域に亙
    り撥水性を備えた撥水膜を被着する工程と、 前記閉塞膜と共に該閉塞膜上に被着された撥水膜を選択
    的に除去するリフトオフ工程と、 を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッ
    ドの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記閉塞膜は、ドライフィルムからな
    り、前記吐出ノズルの吐出口を覆うように配設されるこ
    とを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ
    ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記閉塞膜は、高粘度のフォトレジスト
    を少なくとも前記吐出ノズル内に充填させて形成されて
    いることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプ
    リンタヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記閉塞膜は、高粘度のポジ型フォトレ
    ジストからなり、該ポジ型フォトレジストを少なくとも
    前記吐出ノズル内とその周縁に被着し、該被着されたポ
    ジ型フォトレジストの全表面を露光した後に現像し、前
    記吐出ノズル内に被着されたポジ型フォトレジストの一
    部を残すことにより形成されることを特徴とする請求項
    3記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記撥水膜は、撥水性物質粒子を分散混
    合したNi膜を無電解メッキ法により形成することを特
    徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタヘッド
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記吐出ノズルは、Ti膜をマスクとし
    てドライエッチングにより形成し、前記撥水膜は、前記
    Ti膜上に形成されることを特徴とする請求項1記載の
    インクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 インクを所定方向に吐出させる複数の吐
    出ノズルが形成されたオリフィス板を備えるインクジェ
    ットプリンタヘッドの製造方法であって、 前記オリフィス板に形成すべき吐出ノズルに対応した孔
    が形成されたエッチング用マスク層を設置する工程と、 前記マスク層の各孔に対応させて、該孔を塞ぐ閉塞膜を
    選択的に形成する閉塞膜形成工程と、 前記マスク層の表面の所定領域に亙り撥水性を備えた撥
    水膜を被着する工程と、 前記閉塞膜と共に該閉塞膜上に被着された前記撥水膜を
    選択的に除去するリフトオフ工程と、 前記マスク層と該マスク層上に形成された前記撥水膜を
    介して前記オリフィス板に前記吐出ノズルを形成する工
    経と、 を有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッ
    ドの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記吐出ノズルはヘリコン波ドライエッ
    チングにより形成することを特徴とする請求項7記載の
    インクジェットプリンタヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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