JP2001145872A - 汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法およびその浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浄化促進成分を超高圧で短時間の間隔でパル
ス状になして間欠的に汚染地盤（廃棄物埋立地盤をも含
む）中に注入し、該浄化促進成分を爆発的に吹き込むこ
とにより、この浄化促進成分をより遠くかつより広範囲
に到達させて汚染地盤の浄化能力を大幅に向上させる。 【解決手段】 汚染地盤１２に挿入した注入井１４に超
高圧をもって浄化促進成分を短時間の間隔でパルス状に
して間欠的に供給し、この注入井１４の噴出口１４ａか
ら超高圧の浄化促進成分を所定の間欠タイミングをもっ
て該汚染地盤１２中に注入する。これによって浄化促進
成分をラビリンス効果をもって爆発的に汚染地盤１２中
に吹き込み、浄化促進成分をより遠くかつより広範囲に
到達させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、汚染地盤や廃棄物
埋立地盤（以下、総称して単に「汚染地盤」と記す。）
の浄化方法およびその浄化装置に関し、特に、汚染地盤
や廃棄物埋立地盤に挿入した注入井から超高圧の空気を
短時間の間隔でパルス状にして間欠的に汚染地盤中に吹
き込むようにした汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法
およびその浄化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】汚染物質として有機塩素系化合物および
油分、その他重金属類等様々の物質が挙げられ、更に、
これら汚染物質以外に有機性の分解成分を含めた汚染物
質等で汚染された地盤や廃棄物埋立地盤が大きな問題と
なっている。ここで、本明細書にあっては廃棄物埋立地
盤をも含めて汚染地盤と称するものとする。

【０００３】近年では上記汚染物質等の浄化方法および
浄化装置が各種提案されており、特に設備やスペース上
有利になる原位置浄化が多く見受けられる。この原位置
浄化では土着の分解微生物を利用する方法（バイオレメ
ディエーション）があり、この分解微生物の活性化を図
るために空気（酸素）や栄養塩類などの栄養源を地盤中
に注入したり、場合によっては新たに分解微生物を補充
したりすることが提案されている。例えば、特開平１０
−２１６６９６号公報には汚染土壌に酸素を供給する装
置が開示される。これは汚染土壌下の地下水まで達する
注入井を設け、この注入井から酸素を過分に含む過飽和
水を地下水中に供給して地下水を酸素過飽和状態とし、
この酸素過飽和の地下水から微細気泡を発生させて表層
の汚染土壌に酸素を供給しようとするものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の地下水から汚染土壌に酸素を供給する場合は、土
壌に酸素が自然に浸透することにより土着の分解微生物
が活性化されていくものであるから、著しく長い浄化期
間が必要になり、しかも土壌には割れ目や柔らかい箇所
があって全体に均一ではないので、このような箇所に酸
素が集中して浸透していってしまう結果、土壌全体を均
一に浄化することはできない。

【０００５】また、注入井を汚染土壌中に挿入して、酸
素（空気）あるいはその他の分解促進性物質および分解
微生物等の浄化促進成分を土壌中に直接注入することが
考えられている。この場合、該浄化促進成分を水溶液や
ガス状として土壌中に注入することになるが、この場合
にあってもやはり土壌の不均一性により浄化ムラを生ず
る。また、注入に際しては、その注入圧を一定に保って
注入するが、連続的に注入するためその注入圧もさほど
高圧にはすることができず、よって浄化促進成分の到達
距離は短く、これ故、注入井１基当たりの浄化領域を広
く確保することができない。従って、広範な所望領域の
汚染地盤を浄化するためには、注入井の本数を多くしな
ければならず、地盤浄化のコストが高くなってしまうと
いう課題があった。

【０００６】本発明はかかる従来の課題に鑑みて成され
たものであり、浄化促進成分をより遠くかつより広範囲
に到達させて汚染地盤の浄化能力を大幅に向上させるこ
とが可能な汚染地盤の浄化方法およびその浄化装置を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の汚染地盤の浄化方法は、汚染地盤や廃棄物
埋立地盤に挿入した注入井に超高圧をもって浄化促進成
分を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に供給し、こ
の注入井の噴出口から超高圧の浄化促進成分を該汚染地
盤や廃棄物埋立地盤中に吹き込むことを特徴とする（請
求項１）。

【０００８】また、この浄化方法を達成するための浄化
装置は、汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される注入井
と、この注入井の上端部に取り付けられて超高圧の圧搾
空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該注入井
に供給する高圧間欠注入装置と、該圧搾空気の供給経路
に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄化促進
成分供給設備とを備え、上記注入井の噴出口から圧搾空
気とともに浄化促進成分を汚染地盤や廃棄物埋立地盤中
に吹き込む構成とする（請求項５）。

【０００９】この浄化方法およびその浄化装置では、浄
化促進成分が超高圧（例えば２〜１０気圧）をもって注
入井に短時間の間隔でパルス状にされて間欠的（例え
ば、1/30〜1/5HZの周期）に供給されるため、該浄化促
進成分は該注入井の噴出口から汚染地盤や廃棄物埋立地
盤中に所定の間欠タイミングをもって超高圧で爆発的に
吹き込まれることになる。このため、注入井から汚染地
盤や廃棄物埋立地盤中に注入される浄化促進成分はより
遠くかつより広い範囲に拡散して到達されることにな
り、汚染地盤や廃棄物埋立地盤中の汚染物質を広範囲に
亘って浄化して、１基当たりの注入井での浄化領域を大
幅に拡大することが可能になる。また、浄化促進成分の
爆発的注入はパルス状にされて間欠的に継続して繰り返
されるため、注入の度に地盤の堆積状況に変化を及ぼし
て浄化促進成分の通り道がランダムになり易く、地盤全
体を可及的にほぼ均一に浄化可能となる。更に、混在す
る汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注入で
実施することにより、注入成分の濃度の管理を容易にし
て無駄が無くなる。

【００１０】更に、上記浄化方法にあって、汚染地盤や
廃棄物埋立地盤に挿入した吸引井から地盤中のガス状物
質を回収し、この回収したガス状物質を浄化処理により
無害化して排出することが望ましい（請求項２）。

【００１１】また、この浄化方法を達成するための浄化
装置は、汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される注入井
と、この注入井の上端部に取り付けられて超高圧の圧搾
空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該注入井
に供給する高圧間欠注入装置と、該圧搾空気の供給経路
に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄化促進
成分供給設備と、上記注入井に所定間隔をあけて汚染地
盤や廃棄物埋立地盤に挿入される吸引井と、該吸引井で
回収した地盤中のガス状物質を浄化処理して無害化する
排出ガス浄化設備と、を備えた構成とする（請求項
６）。

【００１２】この浄化方法および浄化装置では、注入井
から浄化促進成分を汚染地盤や廃棄物埋立地盤中に注入
する一方で吸収井からガス状物質を吸引するので、浄化
促進成分がより拡散し易くなるとともに、分解ガスや余
剰ガス等の有害なガス状物質が地盤から自然に大気中に
放出される前に、これらを吸引井で捕集して浄化処理し
た後に放出できるため、大気汚染を防止することができ
る。

【００１３】ここで、上記浄化促進成分には、空気や過
酸化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、分解
微生物を活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促
進する成分を用いることができ、各種汚染物質に即した
浄化を適正に行うことができる（請求項３）。

【００１４】また、浄化装置としては、汚染地盤や廃棄
物埋立地盤に挿入される注入井と、この注入井の上端部
に取り付けられて超高圧の圧搾空気を短時間の間隔でパ
ルス状にして間欠的に該注入井に供給する高圧間欠注入
装置と、該圧搾空気の供給経路に接続され浄化促進成分
を圧搾空気に添加する浄化促進成分供給設備と、地表部
に噴出した地盤中のガス状物質が拡散するのを防止すべ
く該地表部を覆って設けられたシート部材と、該シート
部材と地表部との間に設けられて噴出したガス状物質を
吸引回収する吸引パイプと、該吸引パイプで回収したガ
ス状物質を浄化処理して無害化する排出ガス浄化設備
と、を備えた構成としても良い（請求項７）。

【００１５】この、浄化装置では、汚染地盤や廃棄物埋
立地盤の地表部を覆ってシート部材を設けることで、地
盤中から地表部に噴出するガス状物質が大気中に拡散し
てしまうことを防止するとともに、該シート部材と地表
部との間に設けた吸引パイプで地表部に噴出したガス状
物質を吸引回収するので、前記同様に大気汚染を防止し
つつ地盤の浄化が行え、しかも吸引井を地盤中に挿入す
る場合に比して、施工が容易でコストの低減が図れる。

【００１６】更にまた、上記浄化方法にあって、上記注
入井の噴出口を汚染地盤や廃棄物埋立地盤中で昇降自在
とし、上記浄化促進成分の注入位置を上下方向に調整す
ることが望ましい（請求項４）。

【００１７】また、この浄化方法を達成するための浄化
装置は、上記注入井は、汚染地盤や廃棄物埋立地盤中に
配置される部分の外周を内外方向に連通するガイド管で
囲繞するとともに、該ガイド管内に上記注入井の噴出口
を昇降可能に配置し、該噴出口の上下位置を調整自在に
構成する（請求項８）。

【００１８】この浄化方法および浄化装置では、１つの
注入井で浄化促進成分の注入位置を上下に変化させるこ
とができるため、汚染地盤や廃棄物埋立地盤の汚染領域
の深度が大きい場合にも浄化促進成分を上下方向に均等
に吹き込んで、地盤の浄化を上下方向に均等化すること
ができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図１は本発明の汚染地盤
の浄化方法の第１実施形態を示し、同図は浄化装置の要
部を概略的に示す断面図である。

【００２０】本発明の汚染地盤（廃棄物埋立地盤をも含
むものとする）の浄化方法の基本とするところは、汚染
地盤１２に挿入した注入井１４に超高圧をもって浄化促
進成分を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に供給
し、この注入井１４の噴出口１４ａから超高圧の浄化促
進成分を所定の間欠タイミングをもって該汚染地盤１２
中に爆発的に吹き込むことにある。

【００２１】即ち、本発明の汚染地盤の浄化方法は図１
に示す浄化装置１０をもって達成できる。この浄化装置
１０は本発明の浄化方法を達成するための一実施形態を
示し、汚染地盤１２に挿入される注入井１４と、この注
入井１４の上端部に取り付けられて超高圧の圧搾空気を
短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該注入井１４に
供給する高圧間欠注入装置１６と、該圧搾空気の供給経
路１８に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄
化促進成分供給設備２０とを備えて構成される。

【００２２】上記汚染地盤１２は廃棄物埋立処分場の場
合であり、この廃棄物埋立処分場には分解性の有機ゴミ
が埋め立てられており、長期間に亘って分解し、爆発性
ガスや有害ガスおよび悪臭が発せられる。また、分解に
より汚濁物質の多い浸出水も発生することになる。そし
て、該汚染地盤１２にはこれに鉛直にボーリングして上
記注入井１４が挿入される。該注入井１４は所定長さの
パイプで形成され、これの下端部に設けられる噴出口１
４ａは汚染地盤１２の所定深度に位置するとともに、該
注入井１４の上端部は地表に突出した状態にある。

【００２３】上記高圧間欠注入装置１６は上記注入井１
４の上端に接続され、該高圧間欠注入装置１６にはエア
コンプレッサ２２で発生される超高圧（例えば、２〜１
０気圧）の圧搾空気が供給管１８ａを介して導入され
る。該高圧間欠注入装置１６は、図示省略したが圧搾空
気を貯留するタンクと、このタンク内の圧搾空気を間欠
的に排出する間欠バルブとを備え、タンク内の圧力が所
定圧以上になると間欠バルブが瞬時に開弁して高圧空気
を排出するとともに、この排出によってタンク内圧力が
低下されると間欠バルブは瞬時に閉弁される構造となっ
ている。

【００２４】従って、エアコンプレッサ２２から圧搾空
気が供給される間は、高圧間欠注入装置１６はタンク内
の高圧空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的（例
えば、1/30〜1/5HZの周期）に排出し続け、この圧搾空
気は上記注入井１４に供給される。すると、この超高圧
の圧搾空気は注入井１４の下端部の噴出口１４ａから所
定の間欠タイミングをもって瞬間的に汚染地盤１２中に
注入される。この注入の際、キャビテーション効果が発
揮されて圧搾空気は爆発的に噴出口１４ａから吹き出さ
れ、このときの吹き出しエネルギーは著しく大きなもの
となる。

【００２５】上記浄化促進成分供給設備２０としては、
浄化促進成分を溜める貯蔵タンク２４が設けられ、この
貯蔵タンク２４は流量調整バルブ２６を介して管路２４
ａで高圧間欠注入装置１６の吐出側の供給経路１８に連
通される。ここで供給経路１８とは、圧搾空気をエアコ
ンプレッサ２２から汚染地盤１２中に供給する経路であ
り、該エアコンプレッサ２２と高圧間欠注入装置１６と
を結ぶ上記供給管１８ａ、および該高圧間欠注入装置１
６自体、更に、注入井１４を含むものとする。そして、
該流量調整バルブ２６を開弁することにより、貯蔵タン
ク２４内の浄化促進成分は圧搾空気中に添加され、か
つ、この添加量は該流量調整バルブ２６の開度調節によ
り制御される。

【００２６】上記貯蔵タンク２４に溜められる浄化促進
成分は、空気や過酸化水素（Ｈ₂Ｏ₂）やオゾン（Ｏ₃）
等の酸素含有物質、分解微生物Ｍ、この分解微生物Ｍを
活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成
分である。汚染物質は特に代表的なものとして有機塩素
系化合物、油、溶剤、揮発性物質、農薬、その他の分解
性の有機性物質、およびシアンなどがある。

【００２７】空気はこれに含まれる酸素により好気性微
生物Ｍの活性化を促進し、Ｈ₂Ｏ₂は酸素を発生するとき
の気泡により油汚染土の土粒子より油を剥離する効果が
あり、水と酸素に分解した後は余分な物質が残留せず、
かつ、霧状として容易に注入できる。また、Ｏ₃は酸化
効率が更に良い。栄養源は、分解微生物Ｍを増殖するに
適した栄養塩類やこの分解微生物Ｍを活性化するに適し
た成分が用いられ、例えば、栄養塩類としては、燐，窒
素，カリ，珪素など生物の生命を維持するうえで必要な
主要元素と、マンガンなどの微量元素で炭素、水素、酸
素以外の主に塩類として摂られるものがある。

【００２８】また、分解微生物ＭとしてはＴＣＥ（トリ
クロロエチレン）を好気分解（酸化）するメタン資化性
菌が知られるが、このメタン資化性菌では栄養源として
メタンが用いられる。また、ＴＣＥ分解に用いられるそ
の他の分解微生物Ｍとしては、トルエン資化性菌、フェ
ノール資化性菌、硝化細菌、プロパン酸化細菌、イソプ
ロピレン酸化細菌などが知られ、それぞれに適した栄養
源が用いられる。勿論、ＴＣＥに限ることなく汚染地盤
１２中のその他の汚染物質に対しては、その汚染物質を
浄化する分解微生物Ｍに適した栄養源が用いられること
はいうまでもない。

【００２９】従って、本実施形態の汚染地盤の浄化方法
では、上記浄化装置１０のエアコンプレッサ２２を駆動
して圧搾空気を高圧間欠注入装置１６に供給することに
より、超高圧の圧搾空気は注入井１４の噴出口１４ａか
ら汚染地盤１２中に注入される。このとき、浄化促進成
分供給設備２０の流量調整バルブ２６を開弁しておくこ
とにより、貯蔵タンク２６内の浄化促進成分が上記圧搾
空気とともに汚染地盤１２中に注入される。ここで、酸
素を含む圧搾空気は浄化促進成分の１つであり、以下、
該圧搾空気を含めて浄化促進成分として表現する。

【００３０】そして、汚染地盤１２中に注入される浄化
促進成分は、上記高圧間欠注入装置１６によって超高圧
をもって短時間の間隔でパルス状にされて所定の間欠タ
イミングで供給されるため、噴出口１４ａから汚染地盤
１２中に爆発的に吹き込まれ、より遠くかつより広範囲
に到達されることになる。また、上記浄化促進成分の爆
発的注入は間欠的に繰り返されるため、注入の度に汚染
地盤１２の堆積状況に変化を及ぼして浄化促進成分の通
り道がランダムになり易く、汚染地盤１２全体がほぼ均
一に浄化される。更に、上記流量調整バルブ２６の開度
調整により浄化促進成分の流量制御が可能となるが、混
在する汚染物質等に適した浄化促進成分の注入を間欠注
入で実施することにより、間欠注入成分の濃度の管理を
容易にして無駄が無くなる。

【００３１】このように汚染地盤１２に注入された浄化
促進成分はより広範囲に拡散されるため、１基当たりの
注入井１４での浄化領域を拡大することができ、一定の
領域の汚染地盤の浄化を行うには浄化装置１０全体の注
入井１４の本数を減らすことができる。つまり、浄化促
進成分は、空気に含まれる酸素や栄養源により汚染地盤
１２中に含まれる分解微生物Ｍを広範囲で活性化して、
汚染物質の分解を促進する。また、解微生物Ｍでは浄化
期間が長期化される油や溶剤や揮発性物質が汚染物質の
場合には、それぞれの浄化に適した浄化促進成分を選択
しておくことにより、これら汚染物質を短期間のうちに
適正に浄化できる。更に、土着の分解微生物Ｍが少ない
場合は、浄化促進成分として補充用の分解微生物Ｍを含
めることが望ましい。

【００３２】因に、高圧間欠注入装置１６を介して浄化
促進成分を汚染地盤１２中に注入するにあたって、一定
期間毎に廃棄物埋立処分場の汚染地盤１２から発生ガ
ス、埋立物、浸出水をサンプリングして分析し、その浄
化度合いをモニタリングし、その結果が安定化したと判
断された時点で浄化装置１０の運転を停止して浄化処理
を完了させる。

【００３３】ところで、本実施形態では汚染地盤１２が
廃棄物埋立処分場である場合を開示したが、図２に示す
ように汚染物質が土壌中に拡散してしまっている自然地
盤１２ａにあっても、上記浄化装置１０を用いて同様に
浄化することができる。勿論、この場合は注入井１４の
噴出口１４ａを汚染物質の拡散層Ｓに位置させてある。
そして、この場合の汚染度合いのモニタリングは、地下
水、発生ガスおよび土壌をサンプリングして分析するこ
とになる。

【００３４】図３は本発明の第２実施形態を示し、上記
実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説
明を省略して述べる。同図は浄化装置の要部を概略的に
示す断面図である。

【００３５】この実施形態の汚染地盤の浄化方法では、
汚染地盤１２に挿入した吸引井３０からガス状物質を回
収し、この回収したガス状物質を浄化処理により無害化
して排出するものである。ガス状物質とは、汚染物質の
浄化により発生する分解ガスや注入井１４から供給した
余剰ガス等が挙げられる。

【００３６】即ち、この実施形態の浄化方法を達成する
ための浄化装置１０ａは、前記実施形態の浄化装置１０
に地盤１２中のガス状物質を吸引するための吸引井３０
を設けて構成される。吸引井３０は上記注入井１４と同
様にパイプで形成され、１つの注入井１４に対して、こ
の注入井１４を囲むように所定距離を設けて複数本の吸
引井３０が配置される。それぞれの吸引井３０の下端部
は汚染地盤１２中の汚染物質の拡散層Ｓに挿入されると
ともに、その下端部には適宜長さに亘ってガス状物質を
吸引するためのスリットや多孔の開口部が形成される。

【００３７】また、吸引井３０の地上に突出された上端
部には、気液分離装置３２を介してガス吸引用の吸引ポ
ンプ３４が接続される。そして、該吸引ポンプ３４を稼
働することにより、上記吸引井３０の開口部から土壌の
浄化時に発生する分解ガスや、上記注入井１４から浄化
促進成分をガス（霧）状にして注入した際の余剰ガス、
および土壌中の水分等が吸引される。このように吸引井
３０で吸引された水分混じりのガス状物質は、気液分離
装置３２で分離された後にガスのみが該吸引ポンプ３４
に吸引される。そして、吸引ポンプ３４で吸引されたガ
スは排出ガス浄化装置３６に送り込まれ、ここでガスは
浄化処理されて無害化された後に、浄化ガス排気設備３
８から大気中に放出される。

【００３８】従って、この実施形態では注入井１４から
浄化促進成分を汚染地盤１２中に注入する一方、吸収井
３０から吸引するので、この吸引により注入井１４から
供給される浄化促進成分がより拡散し易くなる。このた
め、上記注入井１４から高圧間欠注入装置１６を介して
浄化促進成分が爆発的に吹き込まれることと相俟って、
浄化可能領域を著しく拡大することができる。

【００３９】また、汚染地盤１２中の分解ガスや余剰ガ
スが自然に大気中に放出される前に上記吸引井３０で捕
集することができるため、大気汚染を防止することがで
きる。従って、この実施形態では汚染地盤１２の浄化・
安定化が短期間のうちに行われるため、特に早期の跡地
利用や環境保全に有益であるとともに、周辺環境に配慮
することができる。勿論、この実施形態にあっても廃棄
物埋立地盤および汚染物質が拡散された自然地盤のいず
れにあっても有効であることはいうまでもない。

【００４０】図４は本発明の第３実施形態を示し、上記
実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説
明を省略して述べる。同図は浄化装置の要部を示す断面
図である。

【００４１】即ち、この実施形態の浄化方法は、注入井
１４の噴出口１４ａを汚染地盤１２中で昇降自在とし、
浄化促進成分の注入位置を上下方向に調整するようにし
たもので、上記注入井１４は、汚染地盤１２中に配置さ
れる部分の外周を内外方向に連通するガイド管４０で囲
繞するとともに、該ガイド管４０内に上記注入井１４の
噴出口１４ａを昇降可能に配置し、該噴出口１４ａの上
下位置を調整自在に構成してある。

【００４２】上記ガイド管４０の内外方向に連通する構
造としては、該ガイド管４０の全長に亘って上下方向に
形成されるスリットを周方向に複数形成して構成され
る。この場合、スリットで分割された管体は適宜位置で
互いに連結される。また、多孔板でガイド管４０を形成
することによっても達成される。

【００４３】上記注入井１４は上記ガイド管４０より長
く形成され、噴出口１４ａがガイド管４０の最深部に位
置した状態で、注入井３０の上端部が地上に突出される
ようにし、この突出された上端部に高圧間欠注入装置１
６が取り付けられる。そして、注入井１４の外周には噴
出口１４ａの上方に位置してパッカー４２が取り付けら
れ、該パッカー４２がガイド管４０の内周に摺動自在に
密接されることにより、噴出口１４ａから注入される浄
化促進成分が上方に逃げるのを防止して、集中して汚染
地盤１２中に吹き込まれるようになっている。更に望ま
しくは、図示省略したが噴出口１４ａの下側に注入井１
４と一体となって昇降し、ガイド管４０内を摺動自在に
密閉するパッカーを設けることにより、注入される浄化
促進成分の集中度を更に向上することができる。

【００４４】従って、この実施形態では注入井１４を昇
降することにより噴出口１４ａを昇降できるため、１つ
の注入井１４で浄化促進成分の注入位置を上下変化する
ことができる。このため、汚染地盤１２の汚染領域の深
度が大きい場合にも浄化促進成分を上下方向に均等に吹
き込んで、地盤１２の浄化を上下方向に均等化すること
ができる。従って、１基の注入井１４での浄化領域が更
に拡大されるため、浄化装置１０ｂ全体で注入井１４の
数を更に削減することができる。また、この実施形態で
は、吸引井３０の位置を噴出口１４ａの位置によって変
化させることが望ましい。

【００４５】図５は本発明の第４実施形態を示し、上記
実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説
明を省略して述べる。同図は浄化装置の要部を示す断面
図である。図示するように、この第４実施形態では、前
述の実施形態における吸入井３０に代えて、汚染地盤１
２上方の地表部に吸引パイプ４２を縦横に敷設するとと
もに、当該地表部をシート部材４４で覆っており、上記
吸引パイプ４２は地表部とシート部材４４との間に介在
されている。また上記シート部材４４の周縁部４４ａは
所定幅で地表面下に埋められている。

【００４６】従って、このような構成でなる当該第４実
施形態の浄化装置では、汚染地盤１２の上方の地表部を
覆ってシート部材４４を設けることで、地盤１２中から
地表部に噴出するガス状物質が大気中に拡散してしまう
ことを防止できるとともに、該シート部材４４と地表部
との間に設けた吸引パイプ４２で地表部に噴出したガス
状物質を吸引回収するので、前記同様に大気汚染を防止
しつつ地盤１２の浄化が行え、しかも前述の実施形態の
ように吸引井を地盤中に挿入する場合に比して、施工が
容易でコストの大幅な低減が図れる。

【００４７】なお、図５においては図示していないが、
この実施形態にあっても図４の場合と同様に、注入井１
４は汚染地盤１２中に配置される部分の外周を内外方向
に連通するガイド管で囲繞するとともに、該ガイド管内
に上記注入井１４の噴出口１４ａを昇降可能に配置し、
該噴出口１４ａの上下位置を調整自在に構成して、注入
井１４の噴出口１４ａを汚染地盤１２中で昇降自在と
し、浄化促進成分の注入位置を上下方向に調整可能に構
成しても良いことはもちろんである。

【００４８】

【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項１お
よび請求項５に示す汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方
法および浄化装置では、浄化促進成分が注入井の噴出口
から汚染地盤中に短時間の間隔でパルス状にされて所定
の間欠タイミングをもって超高圧で注入されて、爆発的
に吹き込まれるため、浄化促進成分をより遠くかつより
広い範囲に分散して到達させることができる。従って、
１基当たりの注入井の浄化領域を大幅に拡大できること
により、浄化装置全体の注入井の本数を削減して構成を
簡単にできる。また、浄化促進成分の爆発的注入が間欠
的に繰り返されることにより、注入の度に地盤の堆積状
況に変化を及ぼして地盤全体をほぼ均一に浄化すること
ができるとともに、混在する汚染物質等に適した浄化促
進成分の注入を間欠注入で実施することにより、注入成
分の濃度の管理を容易にして無駄が無くなる。

【００４９】また、本発明の請求項２および請求項６に
示す汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法および浄化装
置では、注入井から浄化促進成分を汚染地盤や廃棄物埋
立地盤中に注入しつつ、吸収井から地盤中のガス状物質
を吸引するので、浄化促進成分をより拡散し易くできる
とともに、分解ガスや余剰ガスが地盤から自然に大気中
に放出される前にこれらを吸引井で捕集し、これを浄化
処理した後に放出できるため、大気汚染を防止すること
ができる。

【００５０】更に、本発明の請求項３に示す汚染地盤や
廃棄物埋立地盤の浄化方法では、上記浄化促進成分が空
気や過酸化水素やオゾン等の酸素含有物質、分解微生
物、分解微生物を活性化する栄養源、などの汚染物質の
浄化を促進する成分であるため、広い範囲の汚染物質の
種類に対して有効となり、各種汚染物質に即した浄化を
適正に行うことができる。

【００５１】また、本発明の請求項７に示す浄化装置で
は、汚染地盤や廃棄物埋立地盤の地表部を覆ってシート
部材を設けることで、地盤中から地表部に噴出するガス
状物質が大気中に拡散してしまうことを防止するととも
に、該シート部材と地表部との間に設けた吸引パイプで
地表部に噴出したガス状物質を吸引回収するので、前記
同様に大気汚染を防止しつつ地盤の浄化が行え、しかも
吸引井を地盤中に挿入する場合に比して、施工が容易で
コストの低減が図れる。

【００５２】更にまた、本発明の請求項４および請求項
８に示す汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法および浄
化装置では、１つの注入井で浄化促進成分の注入位置を
上下変化することができるため、汚染地盤や廃棄物埋立
地盤の汚染領域の深度が大きい場合にも浄化促進成分を
上下方向に均等に吹き込んで、地盤の浄化をその深度方
向に均等化することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態の要部を概略的に示す断
面図である。

【図２】本発明の第１実施形態の他の実施形態の要部を
概略的に示す断面図である。

【図３】本発明の第２実施形態の要部を概略的に示す断
面図である。

【図４】本発明の第３実施形態の要部を概略的に示す断
面図である。

【図５】本発明の第４実施形態の要部を概略的に示す断
面図である。

【符号の説明】

１０，１０ａ，１０ｂ 浄化装置 １２，１２ａ 汚染地盤 １４ 注入井 １４ａ 噴出口 １６ 高圧間欠注入装置 １８ 供給経路 ２０ 浄化促進成分供給設備 ３０ 吸引井 ３６ 排出ガス浄化装置 ４０ ガイド管 ４２ 吸引パイプ ４４ シート部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊田 勝彦 東京都港区港南２丁目15番２号 株式会社 大林組東京本社内 (72)発明者 坂本 秀一 東京都港区港南２丁目15番２号 株式会社 大林組東京本社内 (72)発明者 石川 洋二 東京都清瀬市下清戸４丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 辻 博和 東京都清瀬市下清戸４丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 八木 正喜 埼玉県川越市南台１−10−４ 株式会社大 林組東京機械工場内 (72)発明者 赤井 亮太 埼玉県川越市南台１−10−４ 株式会社大 林組東京機械工場内 Ｆターム(参考） 4D004 AA41 AC07 CA18 CA34 CA36 CA50 CC02 CC11 CC20

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入した注
   入井に超高圧をもって浄化促進成分を短時間の間隔でパ
   ルス状にして間欠的に供給し、この注入井の噴出口から
   超高圧の浄化促進成分を該汚染地盤や廃棄物埋立地盤中
   に吹き込むことを特徴とする汚染地盤の浄化方法。
2. 【請求項２】 汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入した注
   入井に超高圧をもって浄化促進成分を短時間の間隔でパ
   ルス状にして間欠的に供給し、この注入井の噴出口から
   超高圧の浄化促進成分を該汚染地盤中に吹き込むととも
   に、汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入した吸引井から地
   盤中のガス状物質を回収し、この回収したガス状物質を
   浄化処理により無害化して排出することを特徴とする汚
   染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法。
3. 【請求項３】 上記浄化促進成分は、空気や過酸化水素
   やオゾン等の酸素含有物質、分解微生物、分解微生物を
   活性化する栄養源、などの汚染物質の浄化を促進する成
   分であることを特徴とする請求項１または２に記載の汚
   染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化方法。
4. 【請求項４】 上記注入井の噴出口を汚染地盤や廃棄物
   埋立地盤中で昇降自在とし、上記浄化促進成分の注入位
   置を上下方向に調整することを特徴とする請求項１また
   は２に記載の汚染地や廃棄物埋立地盤盤の浄化方法。
5. 【請求項５】 汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される
   注入井と、この注入井の上端部に取り付けられて超高圧
   の圧搾空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該
   注入井に供給する高圧間欠注入装置と、該圧搾空気の供
   給経路に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄
   化促進成分供給設備とを備え、上記注入井の噴出口から
   圧搾空気とともに浄化促進成分を汚染地盤や廃棄物埋立
   地盤中に吹き込むことを特徴とする汚染地盤や廃棄物埋
   立地盤の浄化装置。
6. 【請求項６】 汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される
   注入井と、この注入井の上端部に取り付けられて超高圧
   の圧搾空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該
   注入井に供給する高圧間欠注入装置と、該圧搾空気の供
   給経路に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄
   化促進成分供給設備と、上記注入井に所定間隔をあけて
   汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される吸引井と、該吸
   引井で回収した地盤中のガス状物質を浄化処理して無害
   化する排出ガス浄化設備と、を備えたことを特徴とする
   汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化装置。
7. 【請求項７】 汚染地盤や廃棄物埋立地盤に挿入される
   注入井と、この注入井の上端部に取り付けられて超高圧
   の圧搾空気を短時間の間隔でパルス状にして間欠的に該
   注入井に供給する高圧間欠注入装置と、該圧搾空気の供
   給経路に接続され浄化促進成分を圧搾空気に添加する浄
   化促進成分供給設備と、地表部に噴出した地盤中のガス
   状物質が拡散するのを防止すべく該地表部を覆って設け
   られたシート部材と、 該シート部材と地表部との間に設けられて噴出したガス
   状物質を吸引回収する吸引パイプと、 該吸引パイプで回収したガス状物質を浄化処理して無害
   化する排出ガス浄化設備と、を備えたことを特徴とする
   汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化装置。
8. 【請求項８】 上記注入井は、汚染地盤や廃棄物埋立地
   盤中に配置される部分の外周を内外方向に連通するガイ
   ド管で囲繞するとともに、該ガイド管内に上記注入井の
   噴出口を昇降可能に配置し、該噴出口の上下位置を調整
   自在としたことを特徴とする請求項５〜７のいずれかに
   記載の汚染地盤や廃棄物埋立地盤の浄化装置。