JP2001141701A - 保磁力の測定方法 - Google Patents

保磁力の測定方法

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JP2001141701A
JP2001141701A JP32087499A JP32087499A JP2001141701A JP 2001141701 A JP2001141701 A JP 2001141701A JP 32087499 A JP32087499 A JP 32087499A JP 32087499 A JP32087499 A JP 32087499A JP 2001141701 A JP2001141701 A JP 2001141701A
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magnetic
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Akio Nagamune
章生 長棟
Yoshinori Fukuda
義徳 福田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定強磁性体材料の保磁力情報のみを抽出
することができ、従って精度の良い測定が可能な、保磁
力の非破壊的測定方法を提供する。 【解決手段】 三角波形発生器4より発信される三角波
信号は、電力増幅器5により信号増幅されて、励磁電流
として磁化器2の励磁コイルへ印加される。磁気検出器
3で検出された信号は、信号増幅器6で増幅された後フ
ィルター7を通され、バルクハウゼンノイズのみが抽出
される。被測定材料1の表面近傍に、被測定材料1の表
面方向の磁界を計測する磁界検出器9が設けられてお
り、その信号を磁界信号増幅器10により増幅して、被
測定材料1に印加されている磁界を測定する。演算処理
装置8は、フィルター7で抽出されたバルクハウゼンノ
イズの信号と磁界信号増幅器10の出力信号とにより、
バルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の強さを算出
して保磁力に換算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板などの強磁性
体材料の保磁力を非破壊で測定する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】強磁性体材料においては、その磁気特
性、つまり磁気ヒステリシスループ(B−Hカーブ)を
知ることは品質管理上重要である。とりわけ、このヒス
テリシスループがH軸を横切る点である保磁力(HC)
は、強磁性体材料の特性を決定する極めて重要なパラメ
ータである。
【0003】例えば、 パーマロイのような、磁心として用いられる高透磁
率材料に関しては、鉄損を軽減させるために、保磁力が
小さいことが望まれる。 磁気テープのような磁気記録材料に関しては、一度
入力した信号が容易に消失しないように、保磁力が大き
いことが望まれる。 永久磁石に関しては、保磁力は反磁界に逆らって残
留磁束密度を保持しようとする抵抗の目安であり、残留
磁束密度と並んでその性能を左右する重要なパラメータ
である。 保磁力は、鉄鋼材料の結晶粒径、材料劣化、引張試
験値、降伏点といった種々の機械的性質と相関があるの
で、それらの推定に応用されている。
【0004】破壊試験においては、保磁力は以下のよう
な手順によって測定される。まず、被測定材料からドー
ナツ状の試料を切り出し、その試料に励磁コイルと検出
コイルを巻き付ける。次に、励磁コイルに励磁電流を流
すことで磁束が試料内を環状に通るようにする。そし
て、検出コイルにより磁化状態を調べ、B−Hカーブ
(ヒステリシスループ)を描かせ、B−HカーブがH軸
と交わる点から保磁力を得る。この方法では、強磁性体
材料の保磁力が正確かつ完全に求まるが、材料を破壊す
る破壊試験法であり、また測定に多大な時間と労力を要
するという問題点がある。
【0005】これに対し、非破壊的に保磁力を測定する
方法が、従来いくつか開発されており、特開平6−21
3872号公報、特開平6−265525号公報、特開
平7−128294号公報等に開示されている。これら
の技術においては、図7に示すように、被測定強磁性体
71の一方の面からU字型ヨーク72を有する磁化コイ
ル73を対面させ、磁化コイル73に励磁電流発生器7
5からの励磁電流を流して被測定強磁性体71を励磁す
る。すると、磁束変化により同一のU字型ヨークに設け
た磁気検出コイル74に電圧が誘起されるので、この電
圧を検出電圧測定器76で測定して演算装置77に入力
する。演算装置77では、この電圧が尖頭値をとった時
点の励磁電流値より保磁力を求めている。
【0006】保磁力はヒステリシスループ上における磁
束密度のゼロクロス点と定義されるものであるが、これ
らの従来技術では、このときヒステリシスループの勾配
が最も急になることに着目し、ヒステリシスループの勾
配が最も急になる点の励磁電流値より保磁力を求めてい
ることになる。すなわち、磁気検出コイルの出力は磁束
密度の時間微分であるため、この値が極大値をとった時
点を検出することにより、ヒステリシスループの勾配が
最も急になる点を求めることができる。したがって、こ
の時点での励磁電流値を求めることで、保磁力に相当す
る値を求めることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の非破壊的な保磁力の測定方法には、以下のよ
うな問題点があった。すなわち、前述のように、これら
の測定方法においては、十分な励磁能力を得る目的で、
磁化器としてU字型のヨークにコイルを巻き付けたもの
が用いられ、また、磁気検出器としても十分な検出感度
を得る目的で同様にU字型のコアにコイルを巻き付けた
ものが用いられている。そのため、磁化器によって励磁
されるのは被測定強磁性体のみならず、磁化器のヨーク
材と磁気検出器のコアも含まれる。また、磁気検出器に
よって測定される磁気特性も、被測定強磁性体、磁化器
のヨーク材、磁気検出器のコアの特性が重なったものと
なる。
【0008】したがって、このような測定装置構成でヒ
ステリシスループを測定する場合、得られる特性は被測
定強磁性体の特性のみを反映したものではなく、それに
磁化器のヨーク材、磁気検出器コアの特性が加わった特
性となる。また、得られるヒステリシスループもこれら
の保磁力の特性だけが反映されたものでなく、飽和磁束
密度、透磁率、残留磁束密度などの特性や、反磁界の影
響が重畳された複雑なものとなる。
【0009】このように、従来の非破壊的測定系によっ
て得られたヒステリシスループからは、被測定強磁性体
材料の保磁力情報のみを抽出するのは極めて困難であ
り、保磁力計測の精度が極めて悪いといった問題があっ
た。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、被測定強磁性体材料の保磁力情報のみを抽出す
ることができ、従って精度の良い測定が可能な、保磁力
の非破壊的測定方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、被測定強磁性体材料に印加する磁界の
強さを変化させてバルクハウゼンノイズの発生に要する
磁界の強さを求め、当該磁界の強さから強磁性体材料の
保磁力を求めることを特徴とする保磁力の測定方法(請
求項1)である。
【0012】バルクハウゼンノイズとは、強磁性体の磁
化に伴う磁壁の不連続移動によって発生する磁気ノイズ
である。図2に磁性材料の磁化過程を示す。同図内の左
図は磁化に伴う微視的な材料の変化を示したもので、右
図はそれに対応した磁化曲線を示したものである。(1)
→(2)→(3)という順番で磁化が進行し、磁性材料の結晶
は、磁区と呼ばれる磁化の揃った小領域に分割され、そ
の境界は磁壁と呼ばれる。
【0013】(1)は、磁性材料に外部磁場が与えられて
いない状態を示す。この状態では、微視的に見ると磁区
の磁化の状態がランダムになっており、材料全体として
は磁化されていないことになる。
【0014】(2)は、外部磁化を少し与えた状態を示
す。磁区は外部磁場と同一の方向に磁化されたものが成
長し、それに伴い磁壁が移動する。この際、結晶内部に
ピニング因子があると、磁壁の移動が妨げられる。
【0015】(3)は、更に外部磁化を与えた状態を示
す。磁区は更に成長し、磁壁もピニング因子を乗り越
え、最後には結晶全体が同一の方向に磁化される。ここ
で、磁壁がピニング因子を乗り越える際に生じるノイズ
がバルクハウゼンノイズである。この現象は、右図にお
いては、拡大図に示すように、磁化曲線が階段状になる
ことで示される。
【0016】このように、強磁性体の磁区は磁化に伴っ
て成長し、この際磁壁が移動するが、ピニング因子があ
ると磁壁の移動が阻害され、磁界の増加に伴う磁束密度
の増加が不連続的となる。このときに発生するのがバル
クハウゼンノイズであり、図3に示したように、鋭いパ
ルス状のノイズとなって現れる。
【0017】以上説明したように、バルクハウゼンノイ
ズは強磁性体の磁化に伴って発生するが、磁壁の移動が
激しくなる磁界の強さのところで、つまり図4に示すよ
うに微分透磁率が最大になる磁界で最も強く発生する。
ここで、微分透磁率が最大になる磁界の強さは、磁束密
度のゼロクロス点、つまり保磁力にほぼ一致する。その
ため、バルクハウゼンノイズが発生した時点での磁界の
強さを測定することで、被測定強磁性体材料の保磁力の
測定がを非破壊で簡便に行える。
【0018】すなわち、バルクハウゼンノイズが発生し
た時点での磁界の強さと、破壊検査で測定された保磁力
との関係式を予め求めておき、測定においては、バルク
ハウゼンノイズが発生した時点での磁界の強さをこの関
係式に当てはめて、保磁力を測定すればよい。
【0019】先に述べたように、磁束密度の時間微分の
ピーク値に基づくこれまでの方法はいわばヒステリシス
ループを描写しようとするものであり、磁化器ヨーク、
磁気検出器コアのさまざまな磁気特性(保磁力、透磁
率、飽和磁束密度、残留磁束密度)の影響を受ける。一
方、本手段においては、バルクハウゼンノイズの発生す
る磁界の強さに基づいて保磁力を測定しているので、保
磁力以外の磁気特性は影響を与えない。したがって、本
手段において得られる情報は、保磁力に関するもののみ
となり、測定精度が良くなる。
【0020】前記課題を解決するための第2の手段は、
被測定強磁性体材料に印加する磁界の強さを変化させ
て、磁界の増加過程、磁界の減少過程においてバルクハ
ウゼンノイズの発生に要する磁界の強さをそれぞれ求
め、当該磁界の絶対値の和から強磁性体材料の保磁力を
求めることを特徴とする保磁力の測定方法(請求項2)
である。
【0021】被測定強磁性体材料には残留磁化の影響で
永久磁界が存在している可能性がある。この磁界は、磁
化器による磁界の印加に対しバイアスとして働く。その
ため、バルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の値
は、図5に示すように磁界の増加過程と減少過程では異
なった値を示す。しかしながら、図5に示すように、磁
界が増加過程にあるときにバルクハウゼンノイズの発生
に要する磁界の値の絶対値と、磁界が減少過程にあると
きにバルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の値の絶
対値との和は、残留磁界の有無や残留磁界の強さに関わ
らず一定の値となる。
【0022】よって、増加過程にある磁界を印加したと
きにバルクハウゼンノイズの発生に要する印加磁界と、
減少過程にある磁界を印加したときにバルクハウゼンノ
イズの発生に要する印加磁界とをそれぞれ求めて、それ
らの絶対値の和を求め、この絶対値の和と保磁力の関係
式をあらかじめ求めておき、被測定材料において、増加
過程にある磁界を印加したときにバルクハウゼンノイズ
が発生する印加磁界と、減少過程にある磁界を印加した
ときにバルクハウゼンノイズが発生する印加磁界とをそ
れぞれ求めて、それらの絶対値の和を求め、あらかじめ
求めた関係式に当てはめることにより、被測定強磁性体
材料の保磁力を非破壊で知ることができる。
【0023】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段又は第2の手段であって、バルクハウゼ
ンノイズの発生に要する磁界の強さとして、バルクハウ
ゼンノイズの振幅が最大となるときの磁界の強さを採用
することを特徴とするもの(請求項3)である。
【0024】前述のように、バルクハウゼンノイズは微
分透磁率が最大となるところで最も多く発生する。逆に
いえば、バルクハウゼンノイズが最も多く発生するとこ
ろが、微分透磁率が最大となる場所、すなわちB−Hカ
ーブがH軸にゼロクロスする場所である。よって、本手
段においては、バルクハウゼンノイズの発生に要する磁
界の強さとして、バルクハウゼンノイズの振幅が最大と
なるときの磁界の強さを採用し、そのときの磁界の強さ
を基にして保磁力を求めているので、保磁力を正確に求
めることができる。
【0025】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、被
測定強磁性体材料に磁界を印加する磁化器のヨーク材、
及びバルクハウゼンノイズ測定に用いる磁気検出器のコ
ア材として、想定される被測定強磁性体材料の保磁力と
大きく異なる保磁力を有する材料を用いることを特徴と
するもの(請求項4)である。
【0026】ここで、本手段においては、計測に用いる
磁化器および磁気検出器の磁気特性によらない測定が行
える。つまり、バルクハウゼンノイズは磁壁の移動の激
しい領域でのみ発生するため、その出現する磁界の範囲
は狭い。そのため、磁化器ヨークおよび磁気検出器コア
の材料として、被測定強磁性体材料の保磁力として予想
される値と大きく異なる保磁力を有するものを選択すれ
ば、励磁コイルおよび検出コイルのコアから発生するバ
ルクハウゼンノイズと干渉せずに、被測定強磁性体材料
から発生するバルクハウゼンノイズに対応する磁界の強
さのみを測定することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形
態の1例である保磁力測定方法を実施するための測定装
置の概略構成を示す図である。図1において、1は被測
定材料、2は磁化器、3は磁気検出器、4は三角波発生
器、5は電力増幅器、6は信号増幅器、7はフィルタ
ー、8は演算処理装置、9は磁界検出器、10は磁界信
号増幅器である。
【0028】三角波形発生器4より発信される三角波信
号は、電力増幅器5により信号増幅されて、励磁電流と
して磁化器2の励磁コイルへ印加される。この磁化器
は、図示するようにU字型をしており、2つのヨークが
被測定材料1に近接して設置される。この磁化器2のほ
ぼ中央には、被測定材料1の面方向の漏洩磁束を検出す
るため磁気検出器3が設置されている。ここでは、磁気
検出器3としてU字型の磁気コイルを用いている。磁気
コイルで検出された信号は、信号増幅器6で増幅された
後、不要な成分を取り除くためフィルター7を通され、
バルクハウゼンノイズのみが抽出される。
【0029】また、被測定材料1の表面近傍に、被測定
材料1の表面方向の磁界を計測する磁界検出器9が設け
られており、その信号を磁界信号増幅器10により増幅
して、被測定材料1に印加されている磁界を測定する。
演算処理装置8は、フィルター7で抽出されたバルクハ
ウゼンノイズの信号と磁界信号増幅器10の出力信号と
により、バルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の強
さを算出して保磁力に換算する。
【0030】被測定材料1への磁界の印加は磁化器2に
より行われるが、バルクハウゼンノイズの発生に要する
磁界の強さを調べるために、被測定材料1へ印加する磁
界の強さを変化させる必要がある。ここでは、磁界の強
さの変化を、磁化電流値を三角波状に増減させることで
行っている。
【0031】ここで、バルクハウゼンノイズは1〜10kHz
と高周波であるため、被測定材料1の表面近傍で発生し
たもののみが測定される。そのため、バルクハウゼンの
発生に要する磁界の強さは被測定材料表面近傍の値を知
ればよい。この値は隣接する空気層の磁界の強さと連続
となることから、被測定材料1の表面近傍に設置した磁
界検出器9により非破壊で磁界の強さを測定することが
できる。これにより、バルクハウゼンノイズの発生に要
する磁界の強さを知ることができる。
【0032】正確な測定を行うためには、一定の振幅の
磁界が被測定材料1に印加されるように制御することが
好ましい。材料内へ印加される磁界の強さは、材料の透
磁率や厚みによって変化するので、一定の振幅の磁界が
被測定材料1に印加されるようにするには、あらかじめ
求めておいた、材料の厚みおよび成分ごとの磁化器への
磁化電流値と磁界の強さとの校正曲線により、材料の厚
みおよび成分に応じて磁化器の磁化電流を制御するよう
にすることが好ましい。また、表面近傍に設置した磁界
検出器9により測定される磁界の強さの変化が一定にな
るよう、磁化器の磁化電流を制御するようにしてもよ
い。
【0033】この実施の形態では、バルクハウゼンノイ
ズの発生に要する磁化器への磁化電流の強さから、バル
クハウゼンノイズの発生に要する磁界の強さを知り、そ
れから保磁力を演算するようにしているが、演算処理装
置8の動作として、バルクハウゼンノイズの振幅が最大
となるときの磁界の強さを検出し、これをバルクハウゼ
ンノイズの発生に要する磁界の強さと判断するような動
作を採用すれば、より正確で再現性の良い測定が可能と
なる。
【0034】また、演算処理装置8の動作を、図5に示
すように、増加過程にある磁界を印加したときにバルク
ハウゼンノイズの振幅が最大となる印加磁界と、減少過
程にある磁界を印加したときにバルクハウゼンノイズの
振幅が最大となる印加磁界とをそれぞれ求めて、それら
の絶対値の和を求め、これらの絶対値の和を、あらかじ
め求められた絶対値の和と保磁力との関係を示す式にあ
てはめて保磁力を算出する動作とすることにより、被測
定材料の残留磁気の影響を受けずに保磁力を算出するこ
とができるようになる。
【0035】
【実施例】本発明の方法を使用して保磁力を測定した結
果の例を図6に示す。図1に示すような測定装置を使用
し、励磁電流として図5に示すような三角波を与えて測
定を行った。被測定対象材としては、保磁力が1500〜25
00A/mと比較的大きな工具鋼を用い、本発明法に基づい
て測定を行った後、リング状サンプルとして切り出し、
励磁コイルと検出コイルを巻いて求めたヒステリシスル
ープに基づいて保磁力を測定し、回帰分析により、真の
保磁力と本発明による測定値との関係を求めて図6に示
した。
【0036】測定に際しては、被測定対象材の保磁力が
大きいことから、磁化器ヨーク材、磁気検出器コア材に
は保磁力の小さな軟鉄を用い、両者の干渉を避けるよう
配慮した。また、三角波の周波数は5Hzとし、バルクハ
ウゼンノイズの発生に要する磁界の強さは、バルクハウ
ゼンノイズが最大値を示す磁界の強さとして求めた。
【0037】そして、増加過程にある磁界を印加したと
きにバルクハウゼンノイズの振幅が最大となる印加磁界
と、減少過程にある磁界を印加したときにバルクハウゼ
ンノイズの振幅が最大となる印加磁界とをそれぞれ求め
て、それらの絶対値の和を求め、これらの絶対値の和と
保磁力とを対応させた。
【0038】図6より、真の保磁力と本発明法において
測定された保磁力相当値は良好な対応関係にあることが
わかる。ちなみに、回帰分析の結果、両者の間の誤差
は、標準偏差σで20A/mと非常に小さなものであった。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る発明においては、保磁力に関する情報のみを
使用して測定を行うことができるので、測定精度が向上
する。
【0040】請求項2に係る発明においては、これに加
え、被測定対象材中の残留磁界の有無に係わらず正確な
保磁力の測定が可能となる。
【0041】請求項3に係る発明においては、これらに
加え、さらに測定精度を向上させることができる。
【0042】請求項4に係る発明においては、これらに
加え、励磁コイルおよび検出コイルのコアから発生する
バルクハウゼンノイズと干渉せずに、被測定強磁性体か
ら発生するバルクハウゼンノイズに対応する磁界の強さ
のみを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例である保磁力測定方
法を実施するための測定装置の概略構成を示す図であ
る。
【図2】バルクハウゼンノイズの発生機構を示す図であ
る。
【図3】バルクハウゼンノイズの波形の例を示す図であ
る。
【図4】磁気材料の磁化過程と保磁力の関係を示す図で
ある。
【図5】残留磁場がある場合のバイアス磁界によが、バ
ルクハウゼノイズの発生に実用な励磁電流に及ぼす影響
を示す図である。
【図6】本発明により測定した保磁力と、従来の破壊検
査法により測定した保磁力(真の保磁力)の相関を示す
図である。
【図7】従来の非破壊的保磁力測定装置の概要を示す図
である。
【符号の説明】
1…被測定材料 2…磁化器 3…磁気検出器 4…三角波発生器 5…電力増幅器 6…信号増幅器 7…フィルター 8…演算処理装置 9…磁界検出器 10…磁界信号増幅器

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定強磁性体材料に印加する磁界の強
    さを変化させてバルクハウゼンノイズの発生に要する磁
    界の強さを求め、当該磁界の強さから強磁性体材料の保
    磁力を求めることを特徴とする保磁力の測定方法。
  2. 【請求項2】 被測定強磁性体材料に印加する磁界の強
    さを変化させて、磁界の増加過程、磁界の減少過程にお
    いてバルクハウゼンノイズの発生に要する磁界の強さを
    それぞれ求め、当該磁界の絶対値の和から強磁性体材料
    の保磁力を求めることを特徴とする保磁力の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の保磁力の
    測定方法であって、バルクハウゼンノイズの発生に要す
    る磁界の強さとして、バルクハウゼンノイズの振幅が最
    大となるときの磁界の強さを採用することを特徴とする
    保磁力の測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のうちいずれか1
    項に記載の保磁力の測定方法であって、被測定強磁性体
    材料に磁界を印加する磁化器のヨーク材、及びバルクハ
    ウゼンノイズ測定に用いる磁気検出器のコア材として、
    想定される被測定強磁性体材料の保磁力と大きく異なる
    保磁力を有する材料を用いることを特徴とする保磁力の
    測定方法。
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