JP2001131892A - 積層板用基材並びにそれを用いたプリプレグ及び電気回路用積層板 - Google Patents
積層板用基材並びにそれを用いたプリプレグ及び電気回路用積層板Info
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Abstract
層板に好適に使用される積層板用基材を提供することに
あり、該積層板の厚さ方向における熱寸法変化が小さ
く、且つ、該積層板に表面実装されるチップ等の部品に
対応して、その熱膨張係数にできるだけ近い面方向の熱
膨張係数を有する電気回路用積層板を可能にする積層板
用基材を提供することにある。 【解決手段】 前記の課題は、マイナスの熱膨張係数を
有する芳香族ポリアミドからなる短繊維及びプラスの熱
膨張係数を有し、且つ、予め熱硬化処理されたフェノー
ル樹脂繊維からなる短繊維と、有機系樹脂バインダー及
び/又は耐熱性の有機高分子重合体からなるフィブリッ
ドとを主成分として形成された耐熱性繊維紙からなり、
前記の短繊維同士が該有機系樹脂バインダー及び/又は
耐熱性の有機高分子重合体からなるフィブリッドにより
結着されている積層板用基材により解決される。
Description
し、さらに詳しくは、熱寸法安定性に優れ、電気回路用
積層板に好適に使用できるに積層板用基材に関する。
は耐熱性や耐熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、電気絶縁
性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生じ難いこ
と)、軽量性などの諸特性が要求される。耐熱性繊維紙
は、他素材からなる紙に比べて、耐熱性、電気絶縁性、
耐熱寸法安定性、軽量性などの点で優れているため、最
近では、電気回路板用積層物の基材に活用されつつあ
る。
ミドの短繊維(帝人(株)製「コーネックス」)とポリ
メタフェニレンイソフタルアミドのパルプからなる紙
(特開平2−236907号公報、特開平2−1068
40号公報など)や、コポリパラフェニレン・3,4’
−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(帝人
(株)製「テクノーラ」)と有機系樹脂バインダーから
なる耐熱性繊維紙(特開平1−92233号公報、特開
平2−47392号公報)などが提案されている。
処理されると収縮して寸法変化を生じるばかりでなく、
繊維の平衡水分率(含水率)が5〜6%と大きく、且
つ、不純イオンの含有量も多いので、特に高湿度下にお
ける電気絶縁性に劣り、高度な信頼性が要求される電気
絶縁用基材には使用することができない。
不純イオンの含有量も少ないが、有機系の樹脂をバイン
ダー成分として多く使用する場合は、該耐熱性繊維紙の
製造工程でバインダー成分が紙の表裏側にマイグレーシ
ョンして偏在化する結果、紙の中層部に存在するバイン
ダー成分の量が微小となって、紙の厚さ方向の不均一
性、信頼性を悪化させるという問題を有している。
層物の基材として使用すると、その製造工程、特にエポ
キシ樹脂などの配合ワニスを含浸、乾燥させるプリプレ
グ作成工程や該プリプレグ品を積層成形する工程など
で、配合ワニスの含浸量(特に厚さ方向)や付着量のバ
ラツキが拡大したり、また、バインダー用樹脂の一部が
溶融して繊維間の接着力が低下するため、紙基材の切断
を発生させたり、更には、紙を形成する短繊維が相互に
移動して、繊維密度分布の均一性を悪化させ、特に高温
で処理されるハンダリフロー工程終了後等に、電気回路
板用積層物に変形(捩じれ、反り、波打ち等)が生じる
という問題を発生させることがあり、好ましくなかっ
た。
用いる代わりにメタ型芳香族ポリアミドのフィブリッド
を用い、パラ型芳香族ポリアミド短繊維(デュポン
(株)製「ケブラー」)とフィブリル化されたパラ型芳
香族ポリアミドの微小繊維(デュポン(株)製「ケブラ
ー」)とを、該フィブリッドの絡合作用により機械的に
結合せしめた紙(特開昭61−160500号公報、特
公平5−65640号公報)も提案されている。
寸法安定性、耐変形性(捩じれ、反り、波打ちなどを生
じ難いこと)などの特性には優れているものの、使用す
るバインダー成分はフィブリッドのみであり、電気回路
板用積層物を製造する各工程において、必要な引張り強
力を維持するためには、フィブリッドの添加量を実生産
時には多くしなければならなかった。ところがこの紙に
用いられるバインダー成分であるメタ型芳香族ポリアミ
ドからなるフィブリッドは、平衡水分率が高く、また、
不純イオンの含有量も多いため、高湿度下で行われる電
気絶縁性テストでこのような紙は不良品を多発するとい
う問題を抱えていた。
主材として多く用いて作成された電気回路板用積層物
は、高湿度下で長時間通電されると含有不純イオンがマ
イグレーションを生じるため、電気絶縁不良が発生し、
長期にわたる信頼性を維持出来ないからである。
繊維とメタ型芳香族ポリアミドからなる短繊維とからな
る芳香族ポリアミド繊維紙(特願平8−30426号公
報)も提案されているが、この紙も、メタ型芳香族ポリ
アミド繊維を使用しているために、吸水率が高く、不純
イオン含有量も多いので、前記の如く、高湿度下で行わ
れる基板の電気絶縁性テストで不良が発生し易くなる問
題や吸脱湿を繰返した場合におけるプリント配線板の厚
さ方向における層間通電抵抗値の変化量が大きくなる問
題を同様に抱えている。
化が進行し、プリント配線板に実装される部品は挿入型
から面付け型に変化してきており、それにより、プリン
ト配線板への部品取付け方式は表面実装方式が主流とな
って来ている。この方式においては、プリント配線板と
該プリント配線板に表面実装されるチップ等の部品との
接続の信頼性が大きな問題となる。すなわち、該接続の
信頼性を得るには、プリント配線板と該プリント配線板
に表面実装されるチップ等の部品の熱膨張係数をできる
だけ近い値にすることが期待されている。
号公報には、パラ系アラミド繊維とフェノール樹脂繊維
からなる混抄不織布を用いた積層板用基材が提案されて
いる。しかし、ここに開示された積層板用基材では、該
フェノール樹脂繊維として未硬化乃至は半硬化の繊維、
すなわち、完全に硬化が完了していない繊維をバインダ
ー成分として使用するために、耐熱性が不足し、混抄不
織布(紙)を加熱圧縮処理する際の温度を250℃以下
に低下させる必要があり、熱履歴を充分に与えることが
出来ないので、積層板用基材の耐熱寸法安定性が低下す
るという問題がある。
混抄不織布(紙)の乾燥工程で未硬化、又は、半硬化の
フェノール樹脂繊維が軟化・溶融して塊状となったり、
また、加熱加圧処理して該フェノール樹脂繊維を硬化さ
せる際に処理温度を高くするとフェノール樹脂繊維が変
形して塊を形成し、混抄不織布(紙)の繊維密度分布の
均一性を低下させる恐れもある。さらに、該未硬化、又
は、半硬化のフェノール樹脂繊維は経時変化(常温下で
保管時に硬化する)を生じるために、同一抄造条件で作
成された混抄紙でもその特性に差異が生じ易いという問
題もあった。
案されているが、吸水性や不純イオンの含有量が低く、
電気絶縁性に優れると共に、耐熱性があり、基材の厚さ
方向の均一性や熱寸法安定性にも優れ、積層板に表面実
装されるチップ等の部品の熱膨張係数にできるだけ近い
熱膨張係数を有する積層板を可能にする積層板用基材は
今まで実現されていなかった。
寸法安定性に優れ、電気回路用積層板に好適に使用され
る積層板用基材を提供することであり、該積層板の厚さ
方向における熱寸法変化が小さく、且つ、該積層板に表
面実装されるチップ等の部品に対応して、その熱膨張係
数にできるだけ近い面方向の熱膨張係数を有する電気回
路用積層板を可能にする積層板用基材を提供することに
ある。
ミドからなる短繊維及びフェノール樹脂繊維からなる短
繊維と、有機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性の有機
高分子重合体からなるフィブリッドとを主成分として形
成された耐熱性繊維紙からなり、該短繊維の使用比率
が、芳香族ポリアミドからなる短繊維:95〜60重量
%とフェノール樹脂繊維からなる短繊維:5〜40重量
%の範囲にあり、且つ、該フェノール樹脂繊維からなる
短繊維が予め熱硬化処理された繊維であり、これら短繊
維同士は該有機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性の有
機高分子重合体からなるフィブリッドにより結着されて
いることを特徴とする積層板用基材にあり、さらに、そ
の積層板用基材を用いたプリプレグ及び電気回路用積層
板を提供するものである。
本発明の積層板用基材は、芳香族ポリアミドからなる短
繊維及びフェノール樹脂繊維からなる短繊維、並びに、
有機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性の有機高分子重
合体からなるフィブリッドとを主成分として形成された
耐熱性繊維紙からなるものである。また、本発明におい
て、該積層板とは、複数枚のプリプレグを加熱加圧成形
したもの、又は、それに金属箔張りをしたものをいう。
また、内層と表面層にプリント配線を有するいわゆる多
層板も含む。また、該プリプレグとは、不織布(紙)等
の基材に熱硬化性樹脂を含浸させ乾燥した1枚のシート
であって前記の積層板等に使用するものをいう。
アミド繊維とは、例えば、ポリアミドを構成する繰り返
し単位の80モル%以上(好ましくは90モル%以上)
が、下記式(1)で表される芳香族ホモポリアミド、ま
たは、芳香族コポリアミドからなる繊維を、その製造工
程において、高温雰囲気中を通過させ、あるいは高温ヒ
ーターなどに接触させ、熱履歴を付与せしめることによ
り、または、公知の方法により製造された繊維を、高温
雰囲気中に保管または高温雰囲気中を通過させ、あるい
は高温ヒーターなどに接触させて、熱履歴を後加工法で
付与せしめることにより得られる芳香族ポリアミド繊維
が好適に例示される。さらに、該芳香族ポリアミド繊維
がより低吸水性になるようにハロゲン原子などで部分的
に置換され、変性された芳香族ポリアミド繊維が最適で
ある。
し、なかでも下記式(2)から選ばれた同一の、また
は、相異なる芳香族基が好ましい。但し、芳香族基の水
素原子は、ハロゲン原子、低級アルキル基、フェニル基
などで置換されていてもよい。
方法や繊維特性については、例えば、英国特許第150
1948号公報、米国特許第3733964号公報、第
3767756号公報、第3869429号公報、日本
国特許の特開昭49−100322号公報、特開昭47
−10863号公報、特開昭58−144152号公
報、特開平4−65513号公報などに記載されてお
り、特に耐熱性の優れたものとしてパラ型芳香族ポリア
ミド繊維があげられるが、これは前記Ar1、Ar2の5
0モル%以上がパラ配位の芳香族基である繊維であり、
具体的には、ポリパラフェニレンテレフタルアミド短繊
維(デュポン(株)製「ケブラー」)や、コポリパラフ
ェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタル
アミド短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)等が例示
される。
ので電気絶縁性に優れ、より好ましい。また、繊維表面
上に固体状のカチオン変換性で且つ非イオン吸着性の無
機化合物が固着されているコポリパラフェニレン・3,
4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維は、
配合ワニスの含浸性も良く、また、該無機化合物を介し
て配合ワニスとの接着性も向上するため、電気絶縁材料
や電気回路用積層板等の製造工程における変形量が少な
くなる効果や、高湿下における電気絶縁性、熱寸法安定
性などを向上させる効果も有しているのでより好まし
い。
性の無機化合物とは、カチオンとの変換能を有し、さら
に非イオンの吸着能をも有する化合物であり、具体例と
してはシリカ・アルミナ、シリカ・マグネシア、カオリ
ン、酸性白土、活性白土、タルク、ベントナイト、オス
モス等があげられる。
て繊維表面に固着されていると接着効果が更に向上する
ので好ましい。粒子の大きさとしては、0.01〜5.
00μm程度のものが用いられる。また、繊維表面に該
無機化合物を固着させるには、例えば、繊維表面が軟化
した状態で該無機化合物粒子を繊維表面に押し付けて繊
維の極表層部に食い込ませたものでよい。
材料や電気回路用積層板等に適用される場合には、繊維
内部に含有される抽出ナトリウムイオンや抽出カリウム
イオン、抽出塩素イオンなどの不純イオンが絶縁不良を
誘発して問題となるため、その製造工程中やその後の後
工程等で、該不純イオンの含有量が下記(1)〜(3)
を、好ましくは下記(4)〜(6)を満足するように充
分洗浄処理する必要がある。 (1)抽出ナトリウムイオンの量≦40mg/リットル (2)抽出カリウムイオンの量≦3.0mg/リットル (3)抽出塩素イオンの量≦7.5mg/リットル (4)抽出ナトリウムイオンの量≦35mg/リットル (5)抽出カリウムイオンの量≦2.5mg/リットル (6)抽出塩素イオンの量≦6.5mg/リットル 該不純イオンの含有量が上記(1)〜(3)を超えると
絶縁不良を誘発し易くなって電気絶縁材料分野では使用
出来なくなる。
アミド短繊維の1部は、破断時の伸度が、5.3%以上
(高伸度)、且つ、破断時の強度が15.44cN/d
tex(17.5g/de)以下(低強度)であり、且
つ、比重が1.380以下(低比重)のパラ型芳香族ポ
リアミド繊維からなる短繊維(市販されていない)であ
ってもよい。このような高伸度で低強度、低比重のパラ
型芳香族ポリアミド繊維からなる短繊維とは、例えば、
前記のコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェ
ニレン・テレフタルアミド繊維の製造工程において、結
晶化が促進されないように未延伸のままで使用したり、
延伸倍率を低く押さえたものや、熱履歴を少なくしたり
するなどの製造条件により得ることが出来る。
の芳香族ポリアミド繊維は、低温で軟化、変形、溶融
(半溶融も含む)、切断し易いなどの特性を有するため
に、これを少量混合して抄造したものは、カレンダー加
工等による加熱加圧加工時に該未延伸、若しくは、低倍
率延伸の芳香族ポリアミド繊維が軟化、変形、部分溶
融、部分切断して紙を形成している他の短繊維(他の芳
香族ポリアミド短繊維やフェノール樹脂短繊維など)と
の交絡性や密着性、接着性、接着面積などを高めて短繊
維相互間の固定度や固着度を向上せしめ、得られる混抄
紙の引張り強度や層間剥離強度、熱寸法安定性を高める
効果が発現されるので、この混抄紙を用いて作成された
電気回路用積層板は、その製造工程における変形量や熱
寸法変化量も減少し、得られる積層板も熱寸法安定性に
優れたものとなる。
からなる短繊維とは、前述の芳香族ポリアミドのうち、
延鎖結合の50モル%以上が非共軸で非平行の芳香族ポ
リアミド、例えば、ジカルボン酸として、テレフタル
酸、イソフタル酸等の一種又は二種以上と、ジアミンと
してメタフェニレンジアミン、4,4−ジアミノフェニ
ルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、キ
シリレンジアミン等の一種又は二種以上を使用したホモ
ポリマー又は共重合ポリマーからなる短繊維をあげるこ
とができ、その代表的な例としては、ポリメタフェニレ
ンイソフタルアミド、ポリメタキシレンテレフタルアミ
ド、あるいはイソフタル酸クロライド、テレフタル酸ク
ロライド、メタフェニレンジアミン等を共重合せしめた
共重合ポリマーからなる繊維等がある。
パラ型芳香族ポリアミド繊維に比べて、平衡水分率(含
水率)が高く、且つ、不純イオン含有量も多いために、
電気絶縁性、特に高湿度下における電気絶縁性を低下せ
しめ、長期に渡って高信頼性が要求される電気材料用基
材や電気回路用積層板の基材に使用する場合には、充分
な洗浄処理を行って不純イオン含有量を低下させたり、
上記のパラ型芳香族ポリアミド繊維よりもさらに過酷な
熱履歴を付与するなどの工夫が必要である。
芳香族ポリアミド繊維表面に固体状のカチオン変換性及
び非イオン吸着性の無機化合物が固着されている方が配
合ワニスの含浸性も良く、また、当該無機化合物を介し
て配合ワニスとの接着性も向上するため、電気絶縁材料
や電気回路用積層板等の製造工程における変形量減少や
高湿下における電気絶縁性、熱寸法安定性向上などの観
点からより好ましい。なお、本発明に使用される芳香族
ポリアミド繊維は、単繊維繊度が0.33〜11.11
dtex(0.3〜10.0de)、繊維長が0.5〜
60mmの範囲にあるものが好ましい。
ノール樹脂繊維からなる短繊維には、吸湿性が比較的少
ないノボラック型フェノール樹脂繊維が好適であるが、
これに限定されるものではない。しかし、未硬化若しく
は半硬化のフェノール樹脂繊維を使用したものは、耐熱
性がなく、110〜250℃の温度範囲での平均熱膨張
係数が測定できないばかりでなく、混抄後に行う加熱加
圧加工処理により該フェノール樹脂繊維が切断された
り、不均一な太さに変形し、又は、塊状になるために紙
全体中での熱膨張率の均一化や調節機能の発現が不十分
となり好ましくない。
脂繊維は予め熱硬化処理されたものを使用することが重
要である。すなわち、全フェノール樹脂繊維の少なくと
も90重量%が予め熱硬化処理をされたものを使用する
必要があり、混合抄造に先立って硬化剤(ヘキサメチレ
ンテトラミン、レゾール型フェノール樹脂等)を使用し
て熱硬化処理を施したものか、又は、該フェノール樹脂
繊維の製造工程で既に熱硬化処理されたものを短繊維に
カットして使用する。従って、前記芳香族ポリアミド短
繊維とフェノール樹脂短繊維とを混合抄造した後はフェ
ノール樹脂繊維用の硬化剤等は不要である。このように
熱硬化処理されたフェノール樹脂繊維を使用することに
より、フェノール樹脂繊維のバインダーとして機能させ
ることは出来なくなるが、得られる耐熱性繊維紙の熱寸
法安定性や熱膨張率を調節することが可能となる。な
お、該フェノール樹脂短繊維は、単繊維繊度が0.56
〜11.11dtex(0.5〜10.0de)、繊維
長が0.5〜10mmの範囲にあるものが好ましく使用
される。
ル樹脂短繊維とを使用する際の両者の使用比率として
は、全短繊維に対して芳香族ポリアミド短繊維:95〜
60重量%、フェノール樹脂短繊維:5〜40重量%の
範囲で使用するものが好ましい。該芳香族ポリアミド短
繊維の使用比率が、95重量%を超える場合には、フェ
ノール樹脂短繊維の使用効果が充分に発揮されず、得ら
れる積層板用基材の特性、特に、熱膨張係数を調節する
ことが困難になるので好ましくない。また、該フェノー
ル樹脂短繊維の使用比率が、40重量%を超える場合に
は、芳香族ポリアミド短繊維を使用することにより得ら
れる優れた特性が損なわれるようになり、特に、耐熱性
が低下し、平衡水分率が高くなり電気絶縁性や高湿度下
における電気絶縁特性の信頼性が損なわれるので好まし
くない。
維の110〜250℃の温度範囲における長さ方向の平
均熱膨張係数が、−1.0×10-6/℃以下であり、且
つ、フェノール樹脂繊維からなる短繊維の前記と同一温
度範囲における長さ方向の平均熱膨張係数が、+1.0
×10-6/℃以上であるものを使用することにより得ら
れる耐熱性繊維紙の熱膨張係数を用途に対応して制御す
ることが可能となる。すなわち、このような芳香族ポリ
アミド短繊維とフェノール樹脂短繊維とを組合わせて用
いることにより、得られる耐熱性繊維紙の面方向の前記
と同一温度範囲における平均熱膨張係数が+10×10
-6/℃〜−10×10-6/℃の範囲になるように調節す
ることが出来、このような耐熱性繊維紙を使用して用途
やその使用温度に応じて最適な熱寸法変化をする積層板
用基材を得ることが出来る。
の長さ方向の熱膨張係数は、通常はマイナス(収縮方
向)であり、その値は製造条件や組成(ホモタイプ、コ
ポリマータイプなど)等により異なるが、市販されてい
るものでは、110〜250℃の温度範囲における平均
熱膨張係数は、−1.5〜−15×10-6/℃である。
維の長さ方向の熱膨張係数は、逆に、プラス(伸張方
向)であり、その値は、製造条件や硬化度、組成により
異なるが、同じく110〜250℃の温度範囲における
平均熱膨張係数は、+4.5〜+30×10-6/℃であ
るために、両繊維の混合比率を上手くコントロールする
ことにより積層板用基材の面方向の平均熱膨張係数を前
記の範囲に調節することが可能となり、さらに、該積層
板用基材の面方向の平均熱膨張係数を限りなく0に近づ
けることも出来る。
維に対してフェノール樹脂からなる短繊維は、該芳香族
ポリアミド繊維とは逆方向に約2〜20倍の熱膨張係数
(長さ方向)を有しているので、フェノール樹脂繊維の
芳香族ポリアミド繊維に対する混合比率は、1/2〜1
/20の範囲内で調節するのが好適である。該フェノー
ル樹脂繊維の混合比率を高くすると、混抄紙の耐熱性が
低下し、平衡公水分率も高くなるために前記のように該
フェノール樹脂繊維の混合比率は、5〜40重量%の範
囲内で使用するものが好ましい。
れたフェノール樹脂短繊維を混抄した耐熱性繊維紙(基
材)は、カレンダー加工工程等で加熱加圧処理された後
に、再度、高温度雰囲気下で加熱処理を行った場合で
も、驚くべきことに、厚さ方向における基材の寸法変化
量(厚さ変化量)が、従来の芳香族ポリアミド紙と比較
して小さくなる。すなわち、温度:335℃、5分間の
熱処理後の該耐熱性繊維紙の厚さ方向の寸法変化率は7
%以下、実質的には0.5〜5%の範囲にあり、市販の
芳香族ポリアミド紙(8〜35%)と比較して著しく低
い値を示すものである。
状となるなどの不均一部分を形成することなく均一分布
を形成し、耐熱性繊維紙を構成する短繊維が加熱加圧下
で圧縮変形、熱セットされるので均一分布の状態がその
まま固定化され、継続維持されるためと推測される。こ
のように厚さ方向における寸法変化が少ないことは、電
気回路積層板用基材に用いた場合に好適である。一般
に、電気回路用積層板は、製造工程で250℃以上、ハ
ンダ耐熱性モデルテストでは300℃以上の高温付与が
なされるばかりでなく、部品実装後の製品でも、使用条
件によっては常温から100℃以上の高温度までの昇降
温を繰返す状況で使用される。そのため、それらの昇降
温過程における該電気回路用積層板の厚さ方向の寸法変
化量が小さい程、該積層板層間のスルーホールやビアを
経由する電気回路接続の信頼性を高めることができる。
ー及び/又は耐熱性の有機高分子重合体からなるフィブ
リッドのうち、有機系樹脂バインダーとしては、熱硬化
性の有機系樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂などであるが、中
でも分子内にエポキシ官能基を有する水分散可能なエポ
キシ系の樹脂が、プリプレグ作成工程で含浸させる配合
ワニスとの相溶性も良く好適である。
からなるフィブリッドは、その平衡水分率が7.5%以
下であることが好ましく、湿式抄造工程において、バイ
ンダー性能を呈する微小フィブリルを有する薄葉状、鱗
片状の小片、又は、ランダムにフィブリル化した微小短
繊維の総称であり、例えば、特公昭35−11851号
公報、特公昭37−5732号公報等に記載の如く、有
機高分子重合体溶液を該高分子重合体溶液の沈澱剤及び
剪断力が存在する系において混合することにより製造さ
れるフィブリッドや、特公昭59−603号公報に記載
の如く、光学的異方性を示す高分子重合体溶液から成形
した分子配向性を有する成形物に叩解等の機械的剪断力
を与えてランダムにフィブリル化させたフィブリッドが
例示され、なかでも前者の方法によるものが最適であ
る。
有機高分子重合体としては、繊維、若しくは、フィルム
形成能を有する耐熱性高分子重合体であって熱分解開始
温度が、260℃以上、好ましくは、310℃以上のも
のであればどれでも使用できる。
芳香族ポリエステル、ヘテロ環含有芳香族ポリマー等を
用いることが出来るが、それらの中でも、特に、不純イ
オン含有量の少ないコポリパラフェニレン・3,4’−
オキシジフェニレン・テレフタルアミド(帝人(株)製
「テクノーラ」)や、平衡水分率の小さいp−ヒドロキ
シ安息香酸と2,6−ヒドロキシナフトエ酸の共重合体
からなる溶融液晶性全芳香族ポリエステル((株)クラ
レ製「ベクトラン」)が好ましく使用され、また、耐熱
性が要求される場合には、前述のポリパラフェニレンベ
ンズビスオキサゾール(東洋紡績(株)製「PBO」)
を使用するものが好ましい。
は耐熱性の有機高分子重合体からなるフィブリッドの耐
熱性繊維紙中に占める比率は、3〜40重量%の範囲で
あり、好ましくは4〜30重量%、さらに好ましくは、
5〜25重量%の範囲にあるものである。このような有
機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性の有機高分子重合
体からなるフィブリッドの耐熱性繊維紙中に占める比率
が、3重量%未満の場合には、短繊維の同士の結着が充
分でなく、得られる耐熱性繊維紙の嵩密度が、0.46
g/cm3未満となり、逆に該比率が、40重量%を超
える場合には、嵩密度が0.90g/cm3を超えるも
のとなり後で述べる理由により好ましくない。
従来から公知の方法で製造することが出来、例えば、パ
ラ型芳香族ポリアミド短繊維やメタ型芳香族ポリアミド
短繊維及びフェノール樹脂短繊維を所定の混合比率にな
るように秤量し、繊維濃度が0.15〜0.40重量%
の範囲になるようにして水中に投入して均一分散させ、
調整した水性スラリー中に、必要に応じて、前記のバイ
ンダー成分であるフィブリッド及び/又は有機系樹脂バ
インダーを加え、さらに必要ならば、分散剤や粘度調整
剤を加えた後に、長網式や傾斜短網、丸網式等の抄紙機
による湿式抄造法で湿紙を形成し、さらに必要に応じて
該湿紙に再度該有機系樹脂バインダーをスプレー方式、
含浸方式等により所定の固形分比率になるように付与し
た後に乾燥して乾燥紙として得られる。また、目的に応
じて必要ならば再度加熱加圧加工して、所定の坪量、嵩
密度、引張り強力等を有する耐熱性繊維紙として得るこ
とが出来る。
を用いて加熱加圧するものが例示される。カレンダー機
を用いて加熱加圧する場合には、直径約15〜80cm
からなる1ケの硬質表面ロールと、直径約30〜100
cmからなる1ケの表面変形可能な弾性ロールとの間
で、又は、直径約20〜80cmからなる2ケの硬質表
面ロール同士の間で行えばよく、その際の加熱加圧の温
度は180℃以上、好ましくは、220〜350℃と
し、線圧力は980N/cm(100kg/cm)以
上、好ましくは、1470〜3920N/cm(150
〜400kg/cm)の範囲で行うものが好ましい。
熱性繊維紙は、その嵩密度が0.46〜0.90g/c
m3、好ましくは、0.50〜0.80g/cm3の範囲
内にあるものがよく、従って前記の加熱加圧加工の条件
は、このような紙密度が得られるように前記の範囲内で
行えばよい。
は、紙の中層部における短繊維相互間の接着力が低下し
て配合ワニスの紙内部への含浸量が多くなりすぎ、プリ
プレグ製造工程や電気回路用積層板の製造工程、特に、
積層プレス工程で含浸ワニスの流れに起因する単繊維の
部分的な移動が生じ、得られる電気回路板用積層物内部
で繊維の密度ムラが発生して、耐熱寸法安定性や耐変形
性の低下を招くことがある。一方、該嵩密度が0.90
g/cm3を超える場合は、配合ワニスの紙内部への含
浸が少なくなり、得られる電気回路板用積層物の電気絶
縁性、耐熱寸法安定性、耐変形性が低下することがある
のでこれも好ましくない。
用基材は、高温時にマイナス(長さ方向で収縮)の熱膨
張係数を有する芳香族ポリアミド短繊維とプラス(長さ
方向で伸張)の熱膨張係数を有するフェノール樹脂短繊
維とを組合わせて構成されているので積層板用基材全体
の熱膨張率を設定した範囲とすることができ、従来の耐
熱性繊維紙とは異なり優れた熱寸法安定性を有するもの
である。
混合抄造する前に予め熱硬化処理されたものを使用する
ために、耐熱性繊維紙を製造する際にはより高い温度で
の処理が可能であり、従って得られる耐熱性繊維紙に優
れた耐熱性を付与することができ、また、加熱加圧加工
時の収縮による皺の発生もなく、短繊維の分布密度の斑
もなく均一な耐熱性繊維紙が得られるために優れた積層
板用基材を提供できるものである。
において加熱加圧加工処理された後は、再度、高温度雰
囲気下での加熱処理を行っても、厚さ方向における基材
の寸法変化量(厚さ変化量)が、従来の芳香族ポリアミ
ド紙と比較して小さくなり電気回路用積層板の基材とし
て優れたものである。このような積層板用基材を用い、
プリプレグとし、さらに該プリプレグを積層して加熱加
圧成形して得られる積層板の厚さ方向の平均熱膨張係数
(温度範囲:50〜250℃)は、260×10-6/℃
以下とすることが出来、熱変化に対して厚さ方向の寸法
変化の極めて少ない優れた電気回路用積層板が得られ
る。
型芳香族ポリアミドからなる繊維に比べて平衡水分率が
高く、電気絶縁材料や電気回路用積層板の用途に使用す
るには制限があるが、本発明の構成とすることにより、
平衡水分率も許容される範囲にあるため優れた積層板用
基材を得ることが出来る。
明する。なお、実施例で用いた物性の測定値は下記の測
定法及び積層物(電気回路用積層板)の製造方法は以下
の通りである。
た。
7に準じて測定した。 B;紙の引張強力と伸度 定速伸長型引張試験機を用い、JIS C−2111の
7に準じて測定した。
より求めた。
た。 A;繊維の平衡水分率 使用する繊維を温度105℃の雰囲気中で24時間乾燥
(絶乾)した後、温度:20℃、且つ、相対湿度:65
%RHにおいて72時間調整し、該繊維中に含まれる水
分率を求めて、該繊維中の絶乾状態での重量に対する割
合を算出し、これを百分率(%)にて表した。但し、2
種類以上の繊維を混合して用いる場合には、各繊維の平
衡水分率を独立に測定し、混合比に従って重量平均にて
表すものとする。 B;繊維紙(混抄紙)の平衡水分率 抄造し、加熱加圧加工後の耐熱性混抄紙を温度:105
℃の雰囲気中で24時間絶乾した後、温度:20℃、且
つ、相対湿度:65%RHにおいて72時間調整し、該
耐熱性混抄紙中に含まれる水分率を求め、該耐熱性混抄
紙の絶乾状態での重量に対する割合を算出し、これを百
分率(%)にて表した。
張係数) 熱分析装置(TMA;理学電機(株)製サーモフレック
ス型)を用い、チャック間初期サンプル長:200m
m、昇降温速度:20℃/分で、常温から280℃まで
昇温(1回目)後、該サンプルを取り付け治具とともに
五酸化リン(P205)入りのデシケーター中で冷却した
後に、再度、常温から280℃まで昇温(2回目)した
場合の2回目の110〜250℃範囲内における寸法変
化量から熱膨張係数を算出し、n=5以上の測定値によ
り平均熱膨張係数を求め表した。なお、測定に用いるサ
ンプルは予め、105℃で約24時間乾燥後、五酸化リ
ン(P2O5)中で48時間冷却調整したものを用いた。 B;混抄紙の平均熱膨張係数(混抄紙の面方向の平均熱
膨張係数) 測定用サンプルとして、5mm幅の試料を用いた以外は
上記繊維の場合と同様に行って、平均熱膨張係数を求め
た。
相対湿度:65%RHにおいて48時間調整した後に、
該耐熱性混抄紙の5ヶ所(印をつける)について厚さを
測定し、その平均厚さ(A)を求め、次に、該耐熱性混
抄紙を温度:335℃の高温雰囲気中にて5分間熱処理
した後、該熱処理後の耐熱性混抄紙を温度:20℃、且
つ、相対湿度:65%RHにおいて48時間冷却調整
後、前記と同一場所(印をつけた5ヶ所)について厚さ
を測定してその平均厚さ(B)を求め、熱処理の前後に
おける平均厚さの変化量(C=B−A)を算出し、熱処
理前の該耐熱性混抄紙の平均厚さ(A)に対する割合
(C÷A)を計算して、これを百分率(%)にて表し
た。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に硬化剤と
してジシアンジアミド、硬化促進剤として2−エチル−
4メチルイミダゾールを配合してなるエポキシ樹脂組成
物をメチルエチルケトンとメチルセルソルブの混合溶液
に溶解して得た配合ワニスを芳香族ポリアミド繊維紙に
含浸させた後、110〜120℃の温度で5〜10分間
乾燥して、樹脂分の体積含有率が55%であるBステー
ジのプリプレグ紙を作成した。該プリプレグ紙を15枚
積層した後、ホットプレスにより、減圧下で温度:17
0℃、圧力:392N/cm(40kg/cm)の条件
で50分間、加熱加圧処理して樹脂を硬化せしめ、電気
回路用積層板を得て、さらに温度:200℃の熱風乾燥
機内で約20分間後硬化処理を行って目的とする電気回
路用積層物を作成する。
向の平均熱膨張係数 A;積層板の面方向の平均熱膨張係数 熱分析装置(セイコー電子工業(株)製「TMA(12
0)SSC/5200」)を用い、厚さが約1.5mm
の電気回路用積層板を5mm×7mm角に裁断し、その
面方向(=7mm長さの方向)について熱膨張係数を測
定した。その測定方法は、常温〜200℃まで昇温速
度:10℃/分で昇温した後、続いて常温まで冷却し、
さらに引き続いて同条件で250℃まで昇温し、2回目
の昇温過程における50℃〜250℃範囲内における面
方向の長さの変化から熱膨張係数を算出し、n=5以上
の測定値により平均熱膨張係数(面方向)を求め表し
た。 B;積層板の厚さ方向の平均熱膨張係数 熱分析装置(セイコー電子工業(株)製「TMA(12
0)SSC/5200」)を用い、厚さが約1.5mm
の電気回路用積層板を5mm×5mm角に裁断し、その
厚さ方向(約1.5mmの厚さの方向)について熱膨張
係数を測定した。その測定方法は、常温〜200℃まで
昇温速度:10℃/分で昇温した後、続いて常温まで冷
却し、さらに引き続いて同条件で250℃まで昇温し、
2回目の昇温過程における50℃〜250℃範囲内にお
ける厚さの変化から熱膨張係数(厚さ方向)を算出し、
n=5以上の測定値により平均熱膨張係数を求め表し
た。
伸度、高強度、高比重の短繊維として、コポリパラフェ
ニレン・3,4’―オキシジフェニレン・テレフタルア
ミドからなり、その繊維表面にタルクが0.5重量%、
オスモスが0.1重量%固着した破断時の伸度が4.6
%で破断時の強度が25.93cN/dtex(29.
4g/de)、比重が1.398である単繊維繊度:
1.67dtex(1.5de)、繊維長:3mm、長
さ方向の平均熱膨張係数が−9.2×10-6/℃、平衡
水分率:1.8%の短繊維(帝人(株)製「テクノー
ラ」):73重量%及び芳香族ポリアミドからなる高伸
度で低強度、低比重の短繊維として、コポリパラフェニ
レン・3,4’―オキシジフェニレン・テレフタルアミ
ドからなり、その繊維表面にタルクが0.6重量%、オ
スモスが0.2重量%固着した破断時の伸度が13.3
%で破断時の強度が3.70cN/dtex(4.2g
/de)、比重が1.349であり、且つ、単繊維繊
度:2.22dtex(2.0de)、繊維長:5m
m、長さ方向の平均熱膨張係数が−4.6×10-6/
℃、平衡水分率:3.9%の短繊維(帝人(株)製):
7重量%と、実質的に硬化しているノボラック型フェノ
ール樹脂繊維からなり、破破断時の伸度が5.6%で破
断時の強度が1.24cN/dtex(1.4g/d
e)、比重が1.287である単繊維繊度:2.22d
tex(2.0で)、繊維長:5mm、長さ方向の平均
熱膨張係数が+24.5×10-6/℃、平衡水分率:
4.6%の短繊維(日本カイノール(株)製「カイノー
ル」):5重量%、バインダー成分として平衡水分率が
4.4%のコポリパラフェニレン・3,4’―オキシジ
フェニレン・テレフタルアミドからなるフィブリッド
(帝人(株)製):5重量%とを加えて、パルパーによ
り水中に離解分散させ、これに0.02%濃度になるよ
うに分散剤(松本油脂(株)製「YM−80」)を添加
して、繊維濃度が0.15重量%である抄紙用スラリー
液を作成した。
紙用スラリー液を使用して抄紙し、軽く加圧脱水後に、
さらにバインダー成分として、固形分濃度:10重量%
のビスフェノールAエピクロルヒドリン型水分散性エポ
キシ樹脂バインダー(大日本インキ化学工業(株)製)
を、該樹脂分が10重量%となるようにスプレー方式で
付与して混抄紙を得た。該混抄紙を温度:130℃のロ
ール状乾燥機で約1分間乾燥後、さらに温度:150℃
の熱風乾燥機中で約10分間乾燥して、乾燥混抄紙を得
た。この乾燥混抄紙を直径約400mmの一対の硬質表
面金属ロールからなるカレンダー機を用いて、温度:2
00℃、線圧:1960N/cm(200kg/cm)
の条件で加熱、加圧した後、直径約500mmの一対の
硬質表面金属ロールからなる高温ハイカレンダー機を用
いて、温度:310℃、線圧:1960N/cm(20
0kg/cm)の条件で加熱、加圧加工して、前記の高
伸度で低強度、低比重のコポリパラフェニレン・3,
4’―オキシジフェニレン・テレフタルアミドからなる
短繊維(帝人(株)製「テクノーラ」)及び/又はコポ
リパラフェニレン・3,4’―オキシジフェニレン・テ
レフタルアミドからなるフィブリッドを軟化、部分溶融
させてバインダーとしての性能を発揮させて混抄紙を構
成する単繊維同士を固着し、同時に付着している前記ビ
スフェノールAエピクロルヒドリン型樹脂バインダー
(大日本インキ化学工業(株)製)も半硬化及び/又は
完全硬化させて、坪量:72g/m2の目的とする混抄
紙を得た。なお、該混抄紙の主な製造条件は表1に示し
た。また、この混抄紙について前記の測定方法により測
定した特性値は表2に示す通りであった。
いて、前記の電気回路用積層板の作成方法により積層板
を作成し、該積層板の面方向と厚さ方法の平均熱膨張係
数を前記の測定方法により測定した。その結果は表2に
示す通りであった。
リアミドからなる低伸度、高強度、高比重である短繊維
の混合比率を73重量%から76重量%に変更し、さら
に、ノボラック型フェノール樹脂繊維からなる短繊維の
混合比率を5重量%から2重量%に変更した以外は、実
施例1と同様に行って混抄紙を得た。この混抄紙の他の
主な製造条件を表1に、また、実施例1と同様にして得
られた電気回路用積層板の特性を表2に併せて示す。
いて、芳香族ポリアミドからなる低伸度、高強度、高比
重である短繊維の混合比率を73重量%から実施例2で
は69重量%に、実施例3では62重量%に、実施例4
では57重量%に、実施例5では48重量%に、比較例
2では40重量%になるように、それぞれ変更し、さら
に、ノボラック型フェノール樹脂繊維からなる短繊維の
混合比率を5重量%から実施例2では9重量%に、実施
例3では16重量%に、実施例4では21重量%に、実
施例5では30重量%に、比較例2では38重量%にな
るように、それぞれ変更した以外は、実施例1と同様に
行って混抄紙を得た。この混抄紙の他の主な製造条件を
表1に、また、実施例1と同様にして得られた電気回路
用積層板の特性を表2に併せて示す。
において、芳香族ポリアミドからなる高伸度、低強度、
低比重の短繊維の混合量を7重量%に固定し、芳香族ポ
リアミドからなる低伸度、高強度、高比重である短繊維
の混合比率、ノボラック型フェノール樹脂繊維からなる
短繊維の混合比率、及び、バインダー成分として用いる
コポリパラフェニレン・3,4’―オキシジフェニレン
・テレフタルアミドからなるフィブリッドの混合比率を
表1に示した値になるように、それぞれ変更して加え、
パルパーにより水中に離解分散させて実施例3と同様に
して抄紙用スラリー液を作成し、このスラリー液を用い
てタッピー式角型手抄機で抄造し、軽く加圧脱水後、さ
らに他のバインダー成分として用いるビスフェノールA
エピクロルヒドリン型水分散性エポキシ樹脂バインダー
の樹脂分の比率も表1に示した値になるように、それぞ
れ変更してスプレー方式で付与した以外は、実施例3と
同様に行って混抄紙を得た。この混抄紙の他の主な製造
条件を表1に、また、実施例3と同様にして得られた電
気回路用積層板の特性を表2に併せて示す。
例3において、最終カレンダーの温度を310℃から実
施例10では220℃に、実施例11では280℃に、
実施例12では340℃に、比較例6では160℃に、
比較例7では400℃になるように、それぞれ変更した
以外は実施例3と同様に行って混抄紙を得た。この混抄
紙の他の主な製造条件を表1に、また、実施例3と同様
にして得られた電気回路用積層板の特性を表2に併せて
示す。
例3において、最終カレンダーの線圧力を1960N/
cm(200kg/cm)から実施例13では1470
N/cm(150kg/cm)に、実施例14では34
30N/cm(350kg/cm)に、比較例8では7
84N/cm(80kg/cm)に、比較例9では44
10N/cm(450kg/cm)になるように、それ
ぞれ変更した以外は実施例3と同様に行って混抄紙を得
た。この混抄紙の他の主な製造条件を表1に、また、実
施例3と同様にして得られた電気回路用積層板の特性を
表2に併せて示す。
ポリアミドからなる高伸度、低強度、低比重の短繊維の
全量を、同じ芳香族ポリアミドからなる低伸度、高強
度、高比重の短繊維で代替した以外は実施例3と同様に
行って混抄紙を得た。この混抄紙の他の主な製造条件を
表1に、また、実施例3と同様にして得られた電気回路
用積層板の特性を表2に併せて示す。
ポリアミドからなる高伸度、低強度、低比重の短繊維の
全量を、同じ芳香族ポリアミドからなる低伸度、高強
度、高比重の短繊維で代替した以外は実施例4と同様に
行って混抄紙を得た。この混抄紙の他の主な製造条件を
表1に、また、実施例4と同様にして得られた電気回路
用積層板の特性を表2に併せて示す。
Claims (11)
- 【請求項1】 芳香族ポリアミドからなる短繊維及びフ
ェノール樹脂繊維からなる短繊維と、有機系樹脂バイン
ダー及び/又は耐熱性の有機高分子重合体からなるフィ
ブリッドとを主成分として形成された耐熱性繊維紙から
なり、該短繊維の使用比率が、全短繊維に対して芳香族
ポリアミドからなる短繊維:95〜60重量%とフェノ
ール樹脂繊維からなる短繊維:5〜40重量%の範囲に
あり、且つ、該フェノール樹脂繊維からなる短繊維が予
め熱硬化処理された繊維であり、これら短繊維同士は該
有機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性の有機高分子重
合体からなるフィブリッドにより結着されていることを
特徴とする積層板用基材。 - 【請求項2】 110〜250℃の温度範囲における芳
香族ポリアミドからなる短繊維の平均熱膨張係数が、−
1.0×10-6/℃以下であり、且つ、110〜250
℃の温度範囲におけるフェノール樹脂繊維からなる短繊
維の平均熱膨張係数が、+1.0×10-6/℃以上であ
る請求項1に記載された積層板用基材。 - 【請求項3】 110〜250℃の温度範囲における芳
香族ポリアミドからなる短繊維の平均熱膨張係数が、−
1.0×10-6/℃以下であり、且つ、110〜250
℃の温度範囲におけるフェノール樹脂繊維からなる短繊
維の平均熱膨張係数が、+1.0×10-6/℃以上であ
るものを用いて形成される耐熱性繊維紙の面方向の前記
の温度範囲における平均熱膨張係数が+10×10-6/
℃〜−10×10-6/℃の範囲にある請求項2に記載さ
れた積層板用基材。 - 【請求項4】 有機系樹脂バインダー及び/又は耐熱性
の有機高分子重合体からなるフィブリッドの耐熱性繊維
紙全体に占める比率が、3〜40重量%の範囲にある請
求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された積層板用
基材。 - 【請求項5】 芳香族ポリアミドがパラ型芳香族ポリア
ミド繊維である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記
載された積層板用基材。 - 【請求項6】 パラ型芳香族ポリアミド繊維がポリパラ
フェニレンテレフタルアミド繊維、又は、コポリパラフ
ェニレン・3,4’−オキシジフェニレン・テレフタル
アミド繊維である請求項5に記載された積層板用基材。 - 【請求項7】 芳香族ポリアミドからなる短繊維が、繊
維の比重が1.380以下である未延伸、若しくは、低
倍率延伸のパラ型芳香族ポリアミド繊維からなり、破断
時の伸度が5.3%以上、且つ、破断時の強度が15.
44cN/dtex以下の強伸度特性を有する短繊維を
含むものである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記
載された積層板用基材。 - 【請求項8】 耐熱性繊維紙の嵩密度が、0.46〜
0.90g/cm3の範囲にある請求項1〜請求項7の
いずれか1項に記載された積層板用基材。 - 【請求項9】 積層板用基材に熱硬化性樹脂を含浸して
形成したプリプレグであって、請求項1〜請求項8のい
ずれか1項に記載された積層板用基材からなることを特
徴とするプリプレグ。 - 【請求項10】 請求項1〜請求項8のいずれか1項に
記載された積層板用基材であって、温度:335℃、5
分間の熱処理後の該積層板用基材の厚さ方向の寸法変化
率が7%以下である積層板用基材からなる請求項9に記
載されたプリプレグ。 - 【請求項11】 プリプレグを積層し加熱加圧成形して
なる電気回路用積層板であって、該プリプレグが請求項
9、又は、請求項10に記載されたものからなることを
特徴とする電気回路用積層板。
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