JP2001129932A - 剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルム及びオーバーラミネート用フィルムで被覆された印刷構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷構造物との間に空隙を生じることなく、
印刷構造物との密着性が高いオーバーラミネート用フィ
ルムを得る。 【解決手段】 印刷構造物を被覆保護するのに用いられ
る剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルムを、
ホットメルト接着剤によって形成されたオーバーラミネ
ート用フィルム２と、ホットメルト接着剤の溶融開始温
度において固体である剥離ライナー１とが積層されてな
るものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、印刷構造物を被覆
するオーバーラミネート用フィルムの技術分野に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】印刷構造物を被覆保護するオーバーラミ
ネート用フィルムには、塩化ビニル、ポリプロピレン、
アクリル、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムが使
用されている。しかしながら、印刷構造物表面層とオー
バーラミネート用フィルムとの素材が異なる場合、単に
樹脂フィルムだけを印刷構造物表面に熱圧着することは
容易なことではない。特に、多様な素材のものがある水
性インク用インク吸収材で印刷構造物表面層が形成され
ているような場合、どのようなインク吸収材にも親和性
を呈して単独で密着するような樹脂フィルムは見出し難
い。

【０００３】そこで、樹脂フィルムに粘着剤を積層した
オーバーラミネート用フィルムが一般に用いられてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂フ
ィルムに粘着剤を積層してなるオーバーラミネート用フ
ィルムでは、印刷構造物表面に凹凸がある場合、印刷構
造物と粘着剤との間に空隙ができ、画像が白みを帯びた
ものとなり鮮明さに欠けるという問題がある。また、粘
着剤は印刷構造物表面と接触するか、または印刷構造物
表層のごく浅い部分までしか浸透しないため、印刷構造
物とオーバーラミネート用フィルムとの密着性は低く、
フィルムが容易に剥がれてしまうという問題もある。さ
らに、屋外に露出して使用されるような場合、水が粘着
剤と印刷構造物との間に入り、フィルムが剥がれるとい
う問題もある。

【０００５】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、印刷構造物との間に
空隙を生じることなく、印刷構造物との密着性が高いオ
ーバーラミネート用フィルムを得ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、剥離ライナー
にホットメルト接着剤を積層して剥離ライナー付きオー
バーラミネート用フィルムとし、ホットメルト接着剤自
体をオーバーラミネート用フィルムとしたものである。

【０００７】具体的には、本出願の発明は、印刷構造物
を被覆保護するのに用いられる剥離ライナー付きオーバ
ーラミネート用フィルムであって、ホットメルト接着剤
によって形成されたオーバーラミネート用フィルムと、
該ホットメルト接着剤の溶融開始温度において固体であ
る剥離ライナーとが積層されてなることを特徴とする。

【０００８】以上の構成の剥離ライナー付きオーバーラ
ミネート用フィルムによれば、印刷構造物は加熱溶融し
たホットメルト接着剤で表面が被覆された後、ホットメ
ルト接着剤が固化して形成されたオーバーラミネート用
フィルムによって被覆されたものとなる。すなわち、ホ
ットメルト接着剤自体が、オーバーラミネート用フィル
ムとしての機能を果たしている。

【０００９】そして、ホットメルト接着剤が一旦印刷構
造物表面上で溶融して固化することとなるので、溶融し
た接着剤が印刷構造物表面の微細な凹凸には入り込み、
ホットメルト接着剤が本来的に有する接着能に、かかる
物理的作用も加わり、オーバーラミネート用フィルムと
印刷構造物表面との間には極めて高い接着性が得られる
こととなる。

【００１０】また、このように接着性が高いことによっ
て、粘着剤を介して樹脂フィルムをオーバーラミネート
用フィルムとした従来の印刷構造物のように粘着剤と印
刷構造物との間に空隙が生じることがなく、観察される
画像は鮮明なものとなる。さらに、屋外に露出して使用
される場合でもオーバーラミネート用フィルムが容易に
剥離するということがない。

【００１１】加えて、ホットメルト接着剤のみでオーバ
ーラミネート用フィルムが形成されることとなるので、
被覆された印刷構造物全体の厚さを薄くすることができ
る。

【００１２】ここで、印刷構造物としては、いわゆるシ
ート状の印刷物、屋内外に設置される看板等の表示物
等、特に限定されるものではなく、表面にインク印刷さ
れた構造物すべてを含む。

【００１３】また、剥離ライナー付きオーバーラミネー
ト用フィルムにおけるホットメルト接着剤のフィルム厚
さは、２０〜１００μｍであることが好ましい。厚さが
２０μｍより薄い場合、接着剤が印刷構造物表面の凹凸
に十分行き渡らず、高い接着力が得られない。また、厚
さが１００μｍを越えると画像の鮮明性、接着力は優れ
たものとなるがホットメルト接着剤が端部からはみ出し
てしまう可能性があり、コストも高くなってしまう。

【００１４】さらに、ホットメルト接着剤の溶融開始温
度は、６０〜１８０℃であることが好ましい。これが６
０℃未満の場合、屋外に露出して使用された場合に太陽
熱によりホットメルト接着剤が再溶融する危険性があ
る。また、１８０℃より高い場合、ホットメルト接着剤
を溶融させるためにそれ以上に高温とする必要があり、
加工性が劣ることとなる。加えて、被覆される印刷構造
物にも耐熱性が要求されることとなる。

【００１５】そして、剥離ライナーは、剥離性が良好で
あることからポリエステル樹脂またはポリプロピレン
（ＰＰ）樹脂で形成されているものであることが好まし
い。

【００１６】また、剥離ライナーは、そのホットメルト
接着剤側の表面が微細な凹凸面に形成され且つそれらの
凹凸の表面が鏡面とされ、他方の表面が平坦面とされて
いるものであってもよい。これによって、上記凹凸がホ
ットメルト接着剤によって形成されたオーバーラミネー
ト用フィルムの表面に転写されることとなり、剥離ライ
ナーを剥がした際には、印刷構造物にグロス調の意匠が
付与されることとなる。

【００１７】同様に、剥離ライナーは、そのホットメル
ト接着剤側の表面が微細な凹凸面に形成され且つそれら
の凹凸の表面が粗面とされ、他方の表面が平坦面とされ
ているものであってもよい。これによって、上記凹凸が
ホットメルト接着剤によって形成されたオーバーラミネ
ート用フィルムの表面に転写されることとなり、剥離ラ
イナーを剥がした際には、印刷構造物にマット調の意匠
が付与されることとなる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、ホッ
トメルト接着剤自体が印刷構造物を被覆保護するオーバ
ーラミネート用フィルムの機能を果たしている。そし
て、ホットメルト接着剤が一旦印刷構造物表面上で溶融
して固化することとなるので、溶融した接着剤が印刷構
造物表面の微細な凹凸には入り込み、ホットメルト接着
剤が本来的に有する接着能に、かかる物理的作用も加わ
り、オーバーラミネート用フィルムと印刷構造物表面と
の間には極めて高い接着性が得られることとなる。ま
た、このように接着性が高いことによって、粘着剤を介
して樹脂フィルムをオーバーラミネート用フィルムとし
た従来の印刷構造物のように粘着剤と印刷構造物との間
に空隙が生じることがなく、観察される画像は鮮明なも
のとなる。さらに、屋外に露出して使用される場合でも
オーバーラミネート用フィルムが容易に剥離するという
ことがない。加えて、ホットメルト接着剤のみでオーバ
ーラミネート用フィルムが形成されることとなるので、
被覆された印刷構造物全体の厚さを薄くすることができ
る。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づい
て詳細に説明する。 （剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルム）図
１は本発明の実施形態に係る剥離ライナー付きオーバー
ラミネート用フィルムＢを示す。この剥離ライナー付き
オーバーラミネートフィルムＢは、剥離ライナー１にフ
ィルム状に形成されたホットメルト接着剤からなるオー
バーラミネート用フィルム２が積層されてなっている。

【００２０】剥離ライナー１は、ホットメルト接着剤が
溶融状態にあるときでも固体状態が維持されるように、
溶融温度が２００℃以上であるポリエステル樹脂フィル
ムが用いられている。また、剥離ライナー１は、構成す
る各面が鏡面である多数の微細な凹凸が表面に設けられ
た艶出し加工がなされたものである。これによって、そ
のホットメルト接着剤側の表面には微細な凹凸が形成さ
れ且つその凹凸を構成する各面が鏡面とされ、他方の表
面は平坦とされている。

【００２１】オーバーラミネート用フィルム２を形成す
るホットメルト接着剤としては、ウレタン系の透明のも
のが用いられており、その溶融開始温度は、６０〜１８
０℃の範囲にあり、フィルムの厚さは２０〜１００μｍ
の範囲のものとなっている。 （オーバーラミネート用フィルムによる印刷物Ｐの被覆
方法） ＜第１工程＞図２に示すように、原反から引き出された
上記剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルムＢ
を剥離ライナー１がロール側となるようにして予熱ロー
ル２１に接触させて加熱する。さらに、ホットメルト接
着剤の溶融開始温度以上に加熱された硬質シリコンゴム
製の加熱ロール２２に巻き掛け、ホットメルト接着剤を
溶融状態とする。 ＜第２工程＞ポリエステルフィルムからなる基材３にポ
リウレタン樹脂により形成されたインク吸収材４の層を
積層し、インク吸収材４表面にインク５でフルカラー印
刷された印刷物Ｐをラミネート加工用プレート２３上に
置く。そして、図２に示すように、これらを加熱ロール
２２と補助ロール２４との間に通すことにより、加熱ロ
ール２２に巻き掛けられた剥離ライナー付きオーバーラ
ミネート用フィルムＢを印刷物Ｐに積層する。 ＜第３工程＞図３に示すように、剥離ライナー付きオー
バーラミネート用フィルムＢが積層された印刷物Ｐを、
溶融状態にあったホットメルト接着剤を常温付近の温度
となるまで放熱し、ホットメルト接着剤を固化させる。 ＜第４工程＞ホットメルト接着剤の固化後、図４に示す
ように、剥離ライナー１を剥がす。これによって、図５
に示すように、ホットメルト接着剤からなるオーバーラ
ミネート用フィルム２で被覆された印刷物Ｐが完成する
こととなる。

【００２２】以上の説明から明らかなように、本発明の
本実施形態に係る剥離ライナー付きオーバーラミネート
用フィルムＢによれば、印刷物Ｐは加熱溶融したホット
メルト接着剤で表面が被覆された後、ホットメルト接着
剤が固化して形成されたオーバーラミネート用フィルム
２によって被覆されたものとなる。すなわち、ホットメ
ルト接着剤自体が、オーバーラミネート用フィルムとし
ての機能を果たすこととなる。

【００２３】そして、ホットメルト接着剤が一旦印刷物
Ｐ表面上で溶融して固化することとなるので、溶融した
接着剤が印刷物Ｐ表面の微細な凹凸には入り込み、ホッ
トメルト接着剤が本来的に有する接着能に、かかる物理
的作用も加わり、オーバーラミネート用フィルム２と印
刷物Ｐ表面との間には極めて高い接着性が得られること
となる。

【００２４】また、このように接着性が高いことによっ
て、粘着剤を介して樹脂フィルムをオーバーラミネート
用フィルムとした従来の印刷物のように粘着剤と印刷物
との間に空隙が生じることがなく、観察される画像は鮮
明なものとなる。さらに、屋外に露出して使用される場
合でも、オーバーラミネート用フィルム２が容易に剥離
するということがない。

【００２５】加えて、ホットメルト接着剤のみでオーバ
ーラミネート用フィルム２が形成されることとなるの
で、被覆された印刷物Ｐ全体の厚さを薄くすることがで
きる。

【００２６】また、オーバーラミネート用フィルム２を
形成するホットメルト接着剤の溶融開始温度は６０〜１
８０℃の範囲のものとなっているので、ホットメルト接
着剤を溶融させるために高温度とする必要はなく、加工
性が良好なものとなる。加えて、オーバーラミネート用
フィルムで被覆された印刷物Ｐが屋外に露出された場合
であってもホットメルト接着剤が再溶融することがな
い。

【００２７】さらに、溶融前のオーバーラミネート用フ
ィルム２、すなわち、ホットメルト接着剤の厚さは、２
０〜１００μｍの範囲のものとなっているので、溶融し
たホットメルト接着剤は印刷物Ｐ表面の凹凸に十分行き
渡り、高い接着力が得られる。また、ホットメルト接着
剤が過剰となって端部からはみ出すこともない。

【００２８】そして、剥離ライナー１は、ポリエステル
樹脂フィルムで形成されているので、剥離性に優れ、加
工性が良好なものとなる。

【００２９】また、剥離ライナー１のホットメルト接着
剤側の面には艶出し加工が施されているので、その凹凸
がホットメルト接着剤によって形成されたオーバーラミ
ネート用フィルム２の表面に転写されることとなり、被
覆された印刷物Ｐにはグロス調の意匠が付与されること
となる。 （その他の実施形態）上記実施形態では、剥離ライナー
１はポリエステル樹脂フィルムを用いているが、特にこ
れに限定されるものではなく、ポリプロピレン樹脂フィ
ルム、紙等であってもよい。

【００３０】また、上記実施形態では、剥離ライナー１
には、艶出し加工がなされているが、構成する各面が粗
面である多数の微細な凹凸が表面に設けられた艶消し加
工がなされたものであってもよい。その場合、剥離ライ
ナーのホットメルト接着剤側の表面が微細な凹凸面に形
成され且つそれらの凹凸の表面が粗面とされ、他方のフ
ィルム表面が平坦面とされる。そして、この凹凸がホッ
トメルト接着剤によって形成されたオーバーラミネート
用フィルムの表面に転写されることとなり、剥離ライナ
ーを剥がした際には、被覆された印刷物にマット調の意
匠が付与されることとなる。

【００３１】また、上記実施形態では、ホットメルト接
着剤としてウレタン系のものを用いたが、特にこれに限
定されるものではなく、ポリエステル系等のものであっ
てもよい。

【００３２】また、上記実施形態では、熱ラミネート加
工によりオーバーラミネート用フィルムの積層加工を行
っているが、特にこれに限定されるものではなく、熱プ
レス加工による積層加工等であってもよい。この場合、
熱プレス加工とすると、ホットメルト接着剤を十分に溶
融させることができ、接着剤を印刷物表面の凹凸に十分
行き渡らせることができるため、熱ラミネート加工より
高い剥離接着力を得ることができる。

【００３３】また、上記実施形態では、ホットメルト接
着剤を溶融させた後、剥離ライナー付きオーバーラミネ
ート用フィルムを印刷物に積層したが、印刷物に積層し
た後、ホットメルト接着剤を溶融させるようにしてもよ
い。

【００３４】また、上記実施形態では、シート状の印刷
物Ｐを被覆したが、特にこれに限定されるものではな
く、看板等の他の印刷構造物であってもよい。

【００３５】

【実施例】＜試験サンプルの作成＞試験評価のため以下
の試験サンプルを作成した。 −例１− 塩化ビニルのフィルムにアクリル系２液硬化型粘着剤
（主剤 ＳＫダイン１６０４Ｎ／硬化剤 Ｌ−４５）を
厚さ１５μｍとなるように積層し、粘着剤付きオーバー
ラミネート用フィルムを作成した。次いで、ポリエステ
ルのフィルムに積層されたインク吸収材層上に、上記粘
着剤付きオーバーラミネート用フィルムを粘着剤がイン
ク吸収材側を向くようにして載置した。そして、ラミネ
ータ機を用い、これらを常温でラミネート加工し、例１
に係るオーバーラミネート用フィルムで被覆された印刷
物を得た。なお、インク吸収材表面には、あらかじめイ
ンクジェットプリンターにてテストパターンを印刷して
おいた。 −例２− 粘着剤層の厚さを３０μｍとしたことを除いては例１と
同一の構成のオーバーラミネート用フィルムで被覆され
た印刷物を例２とした。 −例３− 粘着剤層の厚さを４５μｍとしたことを除いては例１と
同一の構成のオーバーラミネート用フィルムで被覆され
た印刷物を例３とした。 −例４− 剥離ライナーとしてのポリエステル樹脂フィルムに溶融
したウレタン系ホットメルト接着剤（ＵＢ４５１０ セ
イコー化成社製）を厚さ２０μｍとなるようにコーティ
ングした後冷却し、剥離ライナー付きオーバーラミネー
ト用フィルムを作成した。次いで、ポリエステルのフィ
ルムに積層されたインク吸収材層上に、上記剥離ライナ
ー付きオーバーラミネート用フィルムをホットメルト接
着剤がインク吸収材側を向くようにして載置した。そし
て、熱プレスにてこれらを挟持し、１５０℃で５分間の
加熱を行った。これを冷却後、剥離ライナーを剥がし、
例４に係るオーバーラミネート用フィルムで被覆された
印刷物を得た。なお、インク吸収材表面には、あらかじ
めインクジェットプリンターにてテストパターンを印刷
しておいた。 −例５− 粘着剤層の厚さを５０μｍとしたことを除いては例４と
同一の構成のオーバーラミネート用フィルムで被覆され
た印刷物を例５とした。 −例６− 粘着剤層の厚さを１００μｍとしたことを除いては例４
と同一の構成のオーバーラミネート用フィルムで被覆さ
れた印刷物を例６とした。 −例７− 粘着剤層の厚さを１２０μｍとしたことを除いては例４
と同一の構成のオーバーラミネート用フィルムで被覆さ
れた印刷物を例７とした。 −例８− ポリエステル系ホットメルト接着剤（日本マタイ社製
ＰＨ４１９）を用い、ホットメルト接着剤層を８０μｍ
としたことを除いては例４と同一の構成のオーバーラミ
ネート用フィルムで被覆された印刷物を例８とした。 −例９− ラミネータ機を用い、１７０℃で熱ラミネート加工した
ことを除いては例５と同一の構成のオーバーラミネート
用フィルムで被覆された印刷物を例９とした。 −例１０− ラミネータ機を用い、１７０℃で熱ラミネート加工した
ことを除いては例８と同一の構成のオーバーラミネート
用フィルムで被覆された印刷物を例１０とした。 ＜試験評価方法＞ −剥離接着力− 例１〜１０の各印刷物から幅２５ｍｍの短冊状のテスト
ピースを作成した。各テストピースの端部からオーバー
ラミネート用フィルムを剥がし、これを剥がされた面と
１８０°をなす向きに漸次剥がしてゆき、そのときの剥
離接着力を測定した。 −画像の鮮明性− 例１〜１０の各印刷物を目視にて観察した際の画像の鮮
明性を評価した。評価は、鮮明な場合は「◎」、やや白
っぽい場合は「○」、かなり白い場合は「×」とした。 −ホットメルト接着剤のはみ出し− 例４〜１０の各印刷物の側面からホットメルト接着剤が
はみ出しがあるかどうかについて目視にて確認した。 ＜試験評価結果＞試験評価の結果を表１に示す。

【００３６】

【表１】

【００３７】−剥離接着力− 例４〜例１０のホットメルト接着剤により形成されたオ
ーバーラミネート用フィルムは、例１〜３の粘着剤付き
オーバーラミネート用フィルムよりも剥離接着力が大幅
に大きいことが分かる。これは、ホットメルト接着剤が
一旦溶融することにより、印刷物表面の凹凸に十分ホッ
トメルト接着剤が行き渡り、接着剤としての接着能に加
え、機械的な密着も営まれることとなるからであると考
えられる。

【００３８】また、例５と例９との比較、例８と例１０
との比較より、熱プレス加工した方が熱ラミネート加工
するよりも剥離接着力が高いことが分かる。これは、熱
プレス加工ではホットメルト接着剤が長時間溶融状態に
あり、印刷物表面の凹凸に十分接着剤が行き渡ってから
固化する対し、熱ラミネート加工では加熱温度は高いも
のの、熱源たる加熱ロールとの接触時間が短いため、熱
プレス加工した場合に比べ印刷物表面の凹凸への接着剤
の行き渡りが不足するためであると考えられる。 −画像の鮮明性− 例１では画像がかなり白っぽく観察されたが、これは粘
着剤層の厚さが薄いためにインク吸収材との密着性が極
めて低く、それらの間に大きな空隙を生じたためである
と考えられる。また、例２及び例３では画像がやや白っ
ぽく観察されたが、これは粘着剤層の厚さが例１に比べ
て厚いものの、粘着剤のインク吸収材への密着性が低い
ために、それらの間に空隙が存在したためであると考え
られる。例４〜１０についてはいずれも鮮明な画像が観
察されたが、これはホットメルト接着剤がインク吸収材
層に十分に浸透し、ホットメルト接着剤層とインク吸収
材層との間に空隙を生じることなく密着していたためで
あると考えられる。−ホットメルト接着剤のはみ出し−
例４〜１０のうち、ホットメルト接着剤層の厚さが１２
０μｍである例８のみにホットメルト接着剤のはみ出し
が観察された。

【図面の簡単な説明】

【図１】剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィル
ムＢの断面図である。

【図２】印刷物Ｐを剥離ライナー付きオーバーラミネー
ト用フィルムＢで被覆する工程を示す説明図である。

【図３】剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィル
ムＢが積層された印刷物Ｐの断面図である。

【図４】剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィル
ムＢで被覆した印刷物Ｐから剥離ライナーを剥がす工程
を示す説明図である。

【図５】オーバーラミネート用フィルムによって被覆さ
れた印刷物の断面図である。

【符号の説明】

Ｂ 剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルム Ｐ 印刷物 １ 剥離ライナー ２ オーバーラミネート用フィルム（ホットメルト接着
剤） ３ 基材 ４ インク吸収材 ５ インク ２１ 予熱ロール ２２ 加熱ロール ２３ ラミネート加工用プレート ２４ 補助ロール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4F100 AK07B AK15 AK25G AK41B AK41G AK51 AS00A AS00B BA02 CB03 DD02B DD07B GB90 JD14 JK15B JL11

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷構造物を被覆保護するのに用いられ
   る剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルムであ
   って、 ホットメルト接着剤によって形成されたオーバーラミネ
   ート用フィルムと、該ホットメルト接着剤の溶融開始温
   度において固体である剥離ライナーとが積層されてなる
   ことを特徴とする剥離ライナー付きオーバーラミネート
   用フィルム。
2. 【請求項２】 上記ホットメルト接着剤のフィルム厚さ
   が２０〜１００μｍであることを特徴とする請求項１に
   記載の剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィル
   ム。
3. 【請求項３】 上記ホットメルト接着剤の溶融開始温度
   が６０〜１８０℃であることを特徴とする請求項１又は
   請求項２に記載の剥離ライナー付きオーバーラミネート
   用フィルム。
4. 【請求項４】 上記剥離ライナーは、ポリエステル樹脂
   またはポリプロピレン樹脂で形成されていることを特徴
   とする請求項１乃至請求項３のいずれか一に記載の剥離
   ライナー付きオーバーラミネート用フィルム。
5. 【請求項５】 上記剥離ライナーは、そのホットメルト
   接着剤側の表面が微細な凹凸面に形成され且つ該凹凸の
   表面が鏡面とされ、他方の表面が平坦面とされているこ
   とを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか一に記
   載の剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルム。
6. 【請求項６】 上記剥離ライナーは、そのホットメルト
   接着剤側の表面が微細な凹凸面に形成され且つ該凹凸の
   表面が粗面とされ、他方の表面が平坦面とされているこ
   とを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか一に記
   載の剥離ライナー付きオーバーラミネート用フィルム。
7. 【請求項７】 表面の印刷がホットメルト接着剤が固化
   して形成されたオーバーラミネート用フィルムで被覆さ
   れた印刷構造物。