JP2001120297A - 酵素による光学活性な不飽和2級アルコールの製造法 - Google Patents

酵素による光学活性な不飽和2級アルコールの製造法

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JP2001120297A
JP2001120297A JP30917799A JP30917799A JP2001120297A JP 2001120297 A JP2001120297 A JP 2001120297A JP 30917799 A JP30917799 A JP 30917799A JP 30917799 A JP30917799 A JP 30917799A JP 2001120297 A JP2001120297 A JP 2001120297A
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vinyl
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Yoshihiro Tawara
義博 田原
Masanori Yamaguchi
将憲 山口
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 既知又は新規不飽和2級アルコール(以下該
物質)の光学活性体の製造方法の提供。 【解決手段】 一般式(I) (式中R2はビニル基又はエチニル基を、R1はアルキル
基、アルコキシ基等を示す)の該物質のラセミ体をリパ
ーゼの存在下に無溶媒又は有機溶媒中で一般式(II) H2C=CR3-O-CO-R4 (II) (式中R3は水素原子又はメチル基を、R4は炭素数1〜
18の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す)の脂肪酸ビ
ニルエステルと反応させ、これにより該物質のラセミ体
の一方の鏡像異性体のみを不斉エステル交換反応により
エステル化して次の一般式(III) の光学活性な(R)体の該物質の脂肪酸エステルを生成さ
せ、次いで得られた反応液から式(III)の光学活性な該
物質の脂肪酸エステルを分離し、更にこれを加水分解し
て次の一般式(V) で表される光学活性な(R)体の該物質を生成する式
(V)の光学活性な該物質製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不飽和2級アルコー
ルのラセミ体を簡便で経済的な酵素的方法にて光学分割
する工程を伴う光学活性な不飽和2級アルコールの製造
法に関する。本発明で得られた光学活性な不飽和2級ア
ルコールは、医薬、農薬、液晶などの製造な原料として
有用である既知の、あるいは新規な物質である。
【0002】
【従来の技術】従来、脂肪酸ビニルエステルとアルコー
ルとのエステル交換反応の方法、あるいは脂肪酸ビニル
エステルと2級アルコールのラセミ体をリパーゼの存在
下でエステル交換反応にかけてラセミ分割することから
成る光学活性な2級アルコールの製造方法としては、例
えば下記の〜に示す文献に記載されるような種々の
方法が知られている。
【0003】 ビニルブチレートとエタノールをPPL
(豚肝臓リパーゼ)の存在下にエステル交換反応にかけ
る方法〔「テトラヘドロン レターズ(Tetrahedron Let
ters)」第28巻、第953頁〜第954頁(1987年)〕。 酢酸ビニルと、ラセミ体の2級アルコール(但し該
2級アルコールの不斉炭素に置換されている置換基のひ
とつが、ハロゲンにより置換されていてもよい(C1
18)アルキル基または(C3〜C10)シクロアルキル
基である)を、リパーゼの存在下にエステル交換反応に
かける方法(特公平7-2118号公報)。 1-フェニル-2-プロペン-1-オールと酢酸ビニルをリ
パーゼAK(天野製薬株式会社製)の存在下にエステル交換
反応にかける方法〔「ジャーナル オブ アメリカン
ケミカル ソサイエティ(Journal of American Chemic
al Society)」第113巻、第6129頁〜第6139頁(1991
年)〕。
【0004】 1-フェニル-2-プロピン-1-オールと、
酢酸ビニルをカビの一種Candida antarctica属由来のリ
パーゼの存在下にエステル交換反応にかける方法〔「ジ
ャーナル オブ ケミカル ソサイエティ、ケミカル
コミュニケイションズ(Journal of Chemical Society,
Chemical Communications)」第21巻、第2088頁〜第2084
頁(1997年)〕。 脂肪酸ビニルとアセチレンアルコールを、リパーゼ
の存在下にエステル交換反応にかける方法(特開平5-84
094号公報)。
【0005】しかしながら、上記の文献の方法は、エ
タノールに立体異性がないから立体選択性の問題はな
い。また文献の方法では、本発明による不飽和2級ア
ルコールのラセミ体が酢酸ビニルとエステル交換反応さ
れる方法についての記載がない。
【0006】上記の文献に記載の方法では、高いエナ
ンチオ選択性で光学活性化合物は得られていない。上記
の文献に記載の方法では、高いエナンチオ選択性で光
学活性化合物が得られているものの、詳細な製法につい
ては具体的に開示されていない。上記の特開平公報で
は、脂肪族のアセチレンアルコール以外の光学活性な不
飽和2級アルコールの製造に関しては、全く開示されて
いない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】α位の不斉炭素原子上
にフェニル基と、ビニル基またはエチニル基とを有する
不飽和2級アルコールのラセミ体から、該不飽和2級ア
ルコールの光学活性異性体(エナンチオマー)を簡便に
且つ効率よく高い光学純度で製造できる新規な方法を開
発することが要望されており、かかる新規な方法を提供
することが本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した。その結果、アルコー
ル分子のα位の不斉炭素原子上にフェニル基(アルキル
基、アルコキシ基、ハロ基、等で置換されていてもよ
い)と、ビニル基またはエチニル基とを有する不飽和2
級アルコールのラセミ体と脂肪酸ビニルエステルとをリ
パーゼ酵素の存在下に反応させると、エステル交換反応
が不斉的に進行できて、該2級アルコールの一方の(R)
体のエナンチオーマ(鏡像異性体)のみが特異的に選択的
にエステル交換反応を受けて、(R)体の2級アルコール
の脂肪酸エステルを生成できることが見出された。この
知見に基づいて、本発明は完成された。
【0009】従って、本発明においては、一般式(I) (式中、R2はビニル基 -CH=CH2またはエチニル基 -C≡
CHを示し、R1は(C1〜C4)アルキル基、(C1
4)アルコキシ基、ハロゲンまたはニトロ基で置換さ
れていてもよいフェニル基を示す)で表される不飽和2
級アルコールのラセミ体をリパーゼの存在下に無溶媒で
あるいは有機溶媒中で一般式(II) H2C=CR3-O-CO-R4 (II) (式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は炭
素数1〜18の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す)
で表される脂肪酸ビニルエステルと反応させ、これによ
り前記の不飽和2級アルコールのラセミ体のうちの一方
の鏡像異性体のみを一般式(II)のビニルエステルとの
不斉エステル変換反応によりエステル化して次の一般式
(III) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味である〕で表さ
れる光学活性な(R)体である不飽和2級アルコールの脂
肪酸エステルを生成させ、また他方のエステル化されな
い次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味である〕で表さ
れる(S)体の不飽和2級アルコールを未反応のまま反応
液中に残留させ、次いで、得られた反応液から一般式(I
II)の光学活性な不飽和2級アルコール脂肪酸エステル
を分離し、さらに得られた一般式(III)のエステルを
加水分解して次の一般式(V) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
れる光学活性な(R)体の不飽和2級アルコールを生成す
ることを特徴とする、酵素による光学分割法を伴う上記
の一般式(V)の光学活性な不飽和2級アルコールの製
造法が提供される。
【0010】本発明方法で用いるリパーゼとしては、シ
ュードモナス(Pseudomonas)属、アスペルギルス(Asper
gillus)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)
属、アルカリジェネス(Alcaligenes)属、アクロモバク
ター(Achromobacter)属もしくは、キャンディダ(Candid
a)属由来のリパーゼであるのが好ましい。このリパーゼ
は、上記の微生物から抽出した粗酵素または微生物の細
胞破砕物の形としても使用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法をさらに詳細
に説明する。本発明方法は、下記の反応式で示される第
1の反応工程と第2の反応工程を含む。
【0012】 但し、上記の反応式中でR1、R2、R3およびR4は前記
に定義したと同じ意味を有する。
【0013】上記の第1反応工程では、式(I)のアル
コールのラセミ体に式(II)の脂肪酸ビニルエステルを
加え、得られた溶液にリパーゼを加える。別の有機溶媒
を加える必要はないが、所望ならば添加できる。得られ
た反応混合物を攪拌して混合するだけで不斉エステル交
換反応が進行する。この反応により、式(I)のアルコ
ールのラセミ体のうち一方の鏡像異性体のみが選択的に
エステル化される。もう一方の鏡像異性体である式(I
V)の化合物は未反応のままで反応混合物中に残存す
る。このエステル交換反応において式(II)の脂肪酸ビ
ニルエステルは、ビニルアルコールに転化されるが、こ
のビニルアルコールは、直ちに転位して式(VI)のケト
ンまたはアルデヒドになる。従って、逆反応は抑制さ
れ、不斉エステル交換反応は迅速かつ高収率で進行され
る。
【0014】本発明方法の第1反応工程では、式(I)
の2級アルコールと、式(II)の脂肪酸ビニルエステル
との使用量は、式(I)の2級アルコール1モルに対し
て、式(II)の脂肪酸ビニルエステルを0.5〜2.0モル、
好ましくは、0.5〜1.0モル使用するのが好ましい。また
酵素リパーゼの使用量は、式(I)のアルコール1モル
に対して0.1〜500g、好ましくは、0.1〜10 gの割合であ
る。
【0015】式(I)の不飽和2級アルコールは、公知
の化合物であり、公知の方法により得ることができる。
例えば、式(I)におけるR1がp-メトキシフェニル
基、R2がビニル基の場合のアルコールは、p-メトキシ
ベンズアルデヒドとビニルマグネシウムクロライドの反
応により得られる〔「ジャーナル オブ アメリカン
ケミカル ソサイエティ(Journal of American Chemic
al Society)」第100巻、第6407頁〜第6413頁(1978
年)〕。
【0016】式(I)の不飽和2級アルコールとして
は、具体的には、例えば次のものが挙げられる。1-フェ
ニル-2-プロペン-1-オール、1-(p-メトキシフェニル)-2
-プロペン-1-オール、1-(p-エトキシフェニル)-2-プロ
ペン-1-オール、1-(p-n-プロポキシフェニル)-2-プロペ
ン-1-オール、1-(p-イソプロポキシフェニル)-2-プロペ
ン-1-オール、1-(p-n-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1
-オール、1-(p-イソブトキシフェニル)-2-プロペン-1-
オール、1-(p-sec-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オ
ール、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オ
ール、1-(p-メチルフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-
(p-エチルフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-(p-n-プ
ロピルフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-(p-イソプロ
ピルフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-(p-n-ブチルフ
ェニル)-2-プロペン-1-オール、1-(p-イソブチルフェニ
ル)-2-プロペン-1-オール、1-(p-sec-ブチルフェニル)-
2-プロペン-1-オール、1-(p-tert-ブチルフェニル)-2-
プロペン-1-オール、1-(p-フルオロフェニル)-2-プロペ
ン-1-オール、1-(p-クロロフェニル)-2-プロペン-1-オ
ール、1-(p-ブロモフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-
(p-ニトロフェニル)-2-プロペン-1-オールがあげられ、
また1-フェニル-2-プロピン-1-オール、1-(p-メトキシ
フェニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-エトキシフェニ
ル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-n-プロポキシフェニ
ル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-イソプロポキシフェニ
ル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-n-ブトキシフェニル)-
2-プロピン-1-オール、1-(p-イソブトキシフェニル)-2-
プロピン-1-オール、1-(p-sec-ブトキシフェニル)-2-プ
ロピン-1-オール、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プ
ロピン-1-オール、1-(p-メチルフェニル)-2-プロピン-1
-オール、1-(p-エチルフェニル)-2-プロピン-1-オー
ル、1-(p-n-プロピルフェニル)-2-プロピン-1-オール、
1-(p-イソプロピルフェニル)-2-プロピン-1-オール、1-
(p-n-ブチルフェニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-イ
ソブチルフェニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-sec-ブ
チルフェニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-tert-ブチ
ルフェニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-フルオロフェ
ニル)-2-プロピン-1-オール、1-(p-クロロフェニル)-2-
プロピン-1-オール、1-(p-ブロモフェニル)-2-プロピン
-1-オール、1-(p-ニトロフェニル)-2-プロピン-1-オー
ルがあげられ、また上記のパラ置換フェニル化合物は、
オルソまたはメタに置換されたフェニル化合物でもよ
い。
【0017】式(II)の脂肪酸ビニルエステルは、公知
の化合物であり、公知の方法により得るか、または市販
品を用いればよい。また、式(II)の脂肪酸ビニルエス
テルとしては、具体的には、例えば酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、酪酸ビニル、オクタン酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、酢酸イソプロペニルが使用できる。
【0018】またリパーゼの具体例としては、シュード
モナス(Pseudomonas)属、アスペルギルス(Aspergillu
s)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属、ア
ルカリジェネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Ac
hromobacter)属もしくは、キャンディダ(Candida)属の
微生物由来のリパーゼなどが挙げられる。これらリパー
ゼの市販品としては、商品名がリパーゼPS、リパーゼA
K、リパーゼA、リパーゼM、リパーゼF、リパーゼAY(以
上、天野製薬(株)製)、リパーゼMY、リパーゼOF、リパ
ーゼQL、リパーゼAL、リパーゼPL(以上、名糖産業(株)
製)、Novozym435(ロッシュ(株)製)であるリパーゼなど
が挙げられる。リパーゼPSとNovozym435が好ましい。
【0019】上記のリパーゼ市販品とそれを産生する微
生物の種類の関係を次の表1に要約して示す。
【0020】
【0021】第1反応工程においては溶媒を使用しなく
てもよいが、必要により溶媒を使用することもできる。
使用できる溶媒の具体例としては、シクロヘキサン、n-
ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、tert-ブタノール、
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、四塩化炭素、ク
ロロホルムなどが挙げられる。このうち、非極性溶媒で
あるシクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、トルエ
ンなどが好ましい。但し、無溶媒で反応を行う場合の方
が目的物を採取し易い。反応温度は、通常0〜70℃、好
ましくは20〜40℃、反応時間は、通常1〜150時間、好
ましくは1〜96時間である。
【0022】第1反応工程の反応終了後は、反応液から
ろ過などによりリパーゼを除き、得られたろ液を蒸留す
ることにより、式(III)のエステルを採取できる。
【0023】第1反応工程で生成された式(III)のエス
テルを前述のように分離、採取した後には、本法の第2
の反応工程において、式(III)のエステルを加水分解
して式(IV)の光学活性の2級アルコールを生成させ
る。この加水分解は通常のアルカリ性加水分解により実
施できる。例えば、式(III)のエステル1モルあたり
水酸化カリウム1〜10モルを用いて、1〜10モル量のメ
タノール中で0〜20℃の温度で7〜8時間加水分解を行
うのがよい。得られた反応液をシリカゲルクロマトグラ
フィー(展開溶媒:酢酸エチル-n-ヘキサンまたはクロ
ロホルム-メタノール)にかけると、目的の式(IV)の
アルコールを高い収率で得ることができる。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例について具体的に説明
する。実施例1 (1) 次式(IIIa)の光学活性な(R)-1-フェニル-2-プロ
ペン-1-オール・プロパノエートの生成 1-フェニル-2-プロペン-1-オールのラセミ体5 g(37 mm
ol)とプロピオン酸ビニル20 g(200 mmol)を反応フラス
コにとり、マグネチックスターラーを用いて攪拌した
(溶媒は無添加)。この混合溶液に、リパーゼPSを0.1
g添加し25℃で攪拌した。エステルへの変換率が40%に
なった時点で反応を終了した(固定相としてCeramosphe
r Ru-1カラム、移動相としてメタノールを用いるHPLCに
より測定)。
【0025】得られた反応液から、吸引ろ過によりリパ
ーゼを除去した。引き続き、ろ液を濃縮後にシリカゲル
クロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1
[容積比])により精製し、(R)体の1-フェニル-2-プロ
ペン-1-オール・プロパノエート2.53 g(収率36.0%)を
得た。得られた(R)体の1-フェニル-2-プロペン-1-オー
ル・プロパノエートの鏡像体過剰率(ee)は、HPLCの分析
結果から、>99%であった。
【0026】(2) 次式(Va)の光学活性体1-フェニル-2-
プロペン-1-オールの生成 水酸化カリウム1.46 g(26mmol)とメタノール4.17 g(130
mmol)を反応フラスコにとり、マグネチックスターラー
を用いて攪拌した。この溶液に、実施例1(1)で得た(R)
体の1フェニル-2-プロペン-1-オール・プロパノエート
2.53 g(13 mmol)を20℃以下で滴下し、さらに20℃で8
時間攪拌を続けた。反応終了後、この反応液にトルエン
5 gと水5 gを加えた後、有機層を飽和食塩水5 mlで
洗浄した。
【0027】引き続き、有機層を濃縮後、シリカゲルク
ロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン=1/1
[容積比])により精製し式(Va)で表される(R)体の1-
フェニル-2-プロペン-1-オール1.70 g(収率95%)を得
た。得られた(R)体の1-フェニル-2-プロペン-1-オール
の鏡像体過剰率(ee)は、HPLC分析結果から、>99%であ
った。
【0028】得られた化合物は、下記の物性を示した。 [α]D 25 +3.0°(c=5.17, CHCl31 H-NMR(CDCl3)のピーク値: δ: 7.15〜7.50(m, 5H), 6.0(m, 1H), 5.9(m, 1H), 5.3
(d, 1H), 5.2(m, 1H),2.4(s, 1H)
【0029】実施例2〜18 (1) 実施例1(1)における使用された反応剤および酵素
の種類ならびに不斉エステル交換反応の条件を表2に示
すように変えた以外は、実施例1(1)と同様にエステル
交換反応を行った。すなわち、エステル交換反応は、全
て反応温度25℃で行い、エステル体への変換率が40%に
なった時点で反応を停止した。
【0030】 (2) 得られた式(III)の光学活性エステルの光学純度
を測定した。該エステルの光学純度をE値をもって示
す。結果は表3に示す。なお、E値は下記の式により計
算した。
【0031】 但しC:変換率=0.4 e.e.ester:生成したエステル(III)の光学純度(90%
→0.9)
【0032】
【0033】上記の表3の結果から、得られた光学活性
なエステル(III)の光学純度が高いことが認められる。
【0034】表3に示された式(III)のエステルは、実
施例1、(2)と同様な方法で加水分解できる。
【0035】なお、本発明方法で原料として用いる一般
式(I)のラセミ型の不飽和2級アルコールのうち、次の
一般式(Ia) 〔式中、R2はビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕で
表される不飽和2級アルコール、例えば具体的には、1-
(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-
(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オール、1-
(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1-オールまた
は1-(m-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1-オール
は新規化合物である。
【0036】一般式(Ia)の不飽和2級アルコールは、
一般式(A) R2-MgX (A) 〔式中、R2はビニル基またはエチニル基であり、Xは
ハロゲン原子、好ましくは塩素、臭素またはヨウ素原子
である〕で表されるビニルまたはエチニル・マグネシウ
ムハライドと一般式(B) で表わされるp-またはm-tert-ブトキシベンズアルデヒ
ドとをグリニヤール反応により反応させ、次いで加水分
解させることから成る一般式(Ia) 〔式中、R2はビニル基-CH=CH2またはエチニル基-C≡CH
であり、また式中に示されたフェニル基上のtert-ブト
キシ基は該フェニル基のパラ位またはメタ位にある〕の
不飽和2級アルコールの製造法によって製造できる。
【0037】上記の一般式(Ia)で表される不飽和2級ア
ルコール(ラセミ体)の若干例の製造例を以下に参考例
として示す。
【0038】参考例1 1-(p-tert-ブトキシフェニル)-
2-プロペン-1-オールの合成 窒素置換した1l容量の4つ口フラスコに削り状の金属
マグネシウム9.7 g(0.4 mol)と無水テトラヒドロフラン
30 mlを加え、さらに臭化エチル約2 mlを加えて攪拌
し、発泡による反応を確認した。次いで、無水テトラヒ
ドロフランを300ml加えた後、塩化ビニル8960 ml(0.4 m
ol)を30〜40℃で5時間を要して吹き込みで(マグネシ
ウムが消失した)、ビニル・マグネシウムクロライドの
溶液(0.4mol)を調製した。
【0039】この溶液にp-tert-ブトキシベンズアルデ
ヒド71.3 g(0.4 mol)を30〜40℃で2時間を要して滴下
し、さらに同温度で1時間攪拌を続けた。反応終了後、
この反応液を室温まで冷却し、水60 mlを、30℃以下で
加えて加水分解した。次いで、通常の後処理を行った後
(すなわち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と有機
層とに層分離させ、得られる有機層から溶媒を留去した
後)、得られた粗生成物に重合防止剤として第三級ブチ
ルカテコールを添加し、減圧条件下で蒸留を行うことに
より、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロペン-1-オ
ールが72.5 g(ガスクロマトグラフィーによる純度99.0
%、収率88.0%)得られた。得られた化合物の物性値は
以下のとおりであった。 沸点:133℃/8 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.35(s、9H)、2.40(s、1H)、5.20-5.75(m、3H)、5.
90-6.15(m、1H)、6.93(d、2H)、7.60(d、2H)
【0040】参考例2 1-(m-tert-ブトキシフェニル)-
2-プロペン-1-オールの合成 実施例1において、p-tert-ブトキシベンズアルデヒド
の代りにm-tert-ブトキシベンズアルデヒドを用いた以
外は、実施例1と同様な操作を行い、1-(m-tert-ブトキ
シフェニル)-2-プロペン-1-オールが70.9 g(ガスクロマ
トグラフィーによる純度99.0%、収率86.0%得られた。
得られた化合物の物性値は以下のとおりであった。 沸点:135℃/9 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.34(s、9H)、2.60(s、1H)、5.20-5.75(m、3H)、5.
90-6.10(m、1H)、7.05-7.40(m、4H)
【0041】参考例3 1-(p-tert-ブトキシフェニル)-
2-プロピン-1-オールの合成 窒素置換した1l容量の4つ口フラスコに削り状の金属
マグネシウム9.7 g(0.4 mol)と無水テトラヒドロフラン
30 mlを加え、さらに臭化エチル約2 mlを加えて攪拌
し、発泡による反応を確認した。次いで、無水テトラヒ
ドロフランを300ml加えた後、塩化メチル8960 ml(0.4 m
ol)を30〜40℃で5時間を要して吹き込んで(マグネシ
ウムが消失した)、メチルマグネシウムクロライドの溶
液(0.4 mol)を調製した。さらにこの溶液を20℃以下に
冷却し、アセチレン8960 ml(0.4 mol)を10〜20℃で5時
間を要して吹き込んでエチニルマグネシウムクロライド
の溶液(0.4 mol)を調製した。
【0042】この溶液にp-tert-ブトキシベンズアルデ
ヒド71.3 g(0.4 mol)を30℃〜40℃で2時間を要して滴
下し、さらに同温度で1時間攪拌を続けた。反応終了
後、この反応液を室温まで冷却し、水60 mlを、30℃以
下で加えて加水分解した。次いで、通常の後処理を行っ
た後(すなわち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と
有機層とに層分離させ、得られる有機層から溶媒を留去
した後)、得られた粗生成物に重合防止剤として第三級
ブチルカテコールを添加し、減圧条件下で蒸留を行うこ
とにより、1-(p-tert-ブトキシフェニル)-2-プロピン-1
-オールが74.2 g(ガスクロマトグラフィーによる純度9
9.8%、収率91.0%)得られた。得られた化合物の物性
値は以下のとおりであった。 沸点:135℃/5 mmHg1 H-NMR(CDCl3)のピーク値 δ:1.15(s、9H)、2.55(s、1H)、2.80(d、1H)、5.25
(d、1H)、6.85(d、2H)、7.35(d、2H)
【0043】
【発明の効果】本発明の方法は、従来の合成法に比べ、
簡便で経済的な方法で、医薬、農薬、液晶などの原料と
して有用である光学活性な不飽和2級アルコールを高い
光学純度で且つ高収率で得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07M 7:00 Fターム(参考) 4B064 AC17 AD64 BH01 BH04 CA21 CB26 CC03 CD05 CD06 CD27 DA01 DA11 4H006 AA02 AC13 AC46 AC83 AD17 BA06 BB14 BC10 BC19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) (式中、R2はビニル基 -CH=CH2またはエチニル基 -C≡
    CHを示し、R1は(C1〜C4)アルキル基、(C1
    4)アルコキシ基、ハロゲンまたはニトロ基で置換さ
    れていてもよいフェニル基を示す)で表される不飽和2
    級アルコールのラセミ体をリパーゼの存在下に無溶媒で
    あるいは有機溶媒中で一般式(II) H2C=CR3-O-CO-R4 (II) (式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は炭
    素数1〜18の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を示す)
    で表される脂肪酸ビニルエステルと反応させ、これによ
    り前記の不飽和2級アルコールのラセミ体のうちの一方
    の鏡像異性体のみを一般式(II)のビニルエステルとの
    不斉エステル交換反応によりエステル化して次の一般式
    (III) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味である〕で表さ
    れる光学活性な(R)体である不飽和2級アルコールの脂
    肪酸エステルを生成させ、また他方のエステル化されな
    い次の一般式(IV) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味である〕で表さ
    れる(S)体の不飽和2級アルコールを未反応のまま反応
    液中に残留させ、次いで、得られた反応液から一般式(I
    II)の光学活性な不飽和2級アルコール脂肪酸エステル
    を分離し、さらに得られた一般式(III)のエステルを
    加水分解して次の一般式(V) 〔式中、R1およびR2は前記と同じ意味をもつ〕で表さ
    れる光学活性な(R)体の不飽和2級アルコールを生成す
    ることを特徴とする、酵素による光学分割法を伴う上記
    の一般式(V)の光学活性な不飽和2級アルコールの製
    造法。
  2. 【請求項2】 使用されるリパーゼが、シュードモナス
    (Pseudomonas)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、
    ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属、アルカリ
    ジェネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromob
    acter)属もしくは、キャンディダ(Candida)属由来のリ
    パーゼである請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 不斉エステル交換反応は無溶媒で、0〜
    70℃の温度で行われ、一般式(III)のエステル体への
    変換率が35〜45%に達した時に反応を中止し、反応液か
    らリパーゼを減圧濾過により除去する請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 一般式(II)のビニルエステルは、酢酸
    ビニル、プロピオン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ラウ
    リン酸ビニルまたは酢酸イソプロペニルである請求項1
    に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010195768A (ja) * 2009-01-27 2010-09-09 Japan Science & Technology Agency 蛋白質架橋阻害剤およびその用途
WO2016133020A1 (ja) * 2015-02-16 2016-08-25 日産化学工業株式会社 光学活性アリルアルコール化合物の製造方法

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