JP2001098382A - 堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成方法

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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚方向に対して組成の分布がある堆積膜
を、大面積の基板上に、特性にばらつきなくかつ連続的
に形成する。 【解決手段】 長尺基板1をその長手方向に連続的に移
動させ、成膜容器602の空間内を順次貫通させ、長尺基
板1を成膜空間の側壁の一つとする。原料ガス供給管
(不図示)から第1乃至第3のガス放出口6051〜6053
通して成膜容器602内に原料ガスを導入する。この原料
ガスは、堆積膜の原料となる物質を複数種類含有する。
長尺基板1と第1乃至第3のアプリケータ6031〜6033
で挟まれた成膜容器602の空間においてプラズマを生起
させ、遮蔽部材610により所定の範囲にわたって堆積膜
の形成を部分的に遮断する。これにより、長尺基板1上
に、膜厚方向に対して組成の分布がある堆積膜が形成さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、堆積膜形成方法に関
し、特に、プラズマCVD法により、長尺基板上に太陽
電池用の半導体膜などの堆積膜を連続的に形成する堆積
膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、全世界的な電力需要の急激な増大
による電力生産の活発化によって、火力発電や原子力発
電に伴う環境汚染や地球温暖化の問題が顕在化してきて
いる。かかる状況の下、太陽光を利用する太陽電池発電
は、環境汚染や地球温暖化の問題を引き起こすことがな
く、太陽光という偏在の少ない資源を利用するため、今
後のさらなる電力需要を満たすものとして注目を集めて
いる。
【0003】ところで、太陽電池発電を実用化するため
には、使用する太陽電池が、光電変換効率が充分に高
く、特性や安全性に優れ、かつ、大量生産に適したもの
であることが要求される。また、発電規模からして、大
面積の太陽電池が必要となる。こうしたことから、容易
に入手できるシランなどの原料ガスをグロー放電により
分解することによって、ガラスや金属シートなどの比較
的安価な基板上に、アモルファスシリコンなどの半導体
薄膜を堆積させて形成されるアモルファスシリコン系太
陽電池が提案されている。アモルファスシリコン系太陽
電池は、単結晶シリコンなどから作成された太陽電池と
比較して、量産性に優れ、低コストであると注目され、
その製造方法についても各種の提案がなされている。
【0004】太陽電池発電では、太陽電池の単位モジュ
ールを直列または並列に接続してユニット化し、所望の
電流と電圧を得ようとすることが多く、各単位モジュー
ルで断線や短絡が生じないことが要求され、さらに、単
位モジュール間の出力電圧および出力電流のばらつきが
少ないことが要求される。そのため、少なくとも単位モ
ジュールを作成する段階で、その最大の特性決定要因で
ある半導体層そのものの特性の均一さが要求される。ま
た、モジュールの組み立て工程を簡略なものとするた
め、大面積にわたって特性の優れた半導体堆積膜が形成
できるようにすることが、太陽電池の量産性を高め、生
産コストの大幅な低減をもたらすこととなる。
【0005】太陽電池の重要な構成要素である半導体層
は、pn接合あるいはpin接合などの半導体接合を含
んでいるが、これらの半導体接合は、導電型の異なる半
導体層を順次積層したり、ある導電型の半導体層に異な
る導電型のドーパントをイオン打ち込みあるいは熱拡散
させることにより形成される。上述のアモルファスシリ
コン系太陽電池の作成においては、ホスフィン(PH
3 )やジボラン(B26)などの、ドーパントになる元
素を含む原料ガスを、主たる原料ガスであるシランガス
などに混合し、混合された原料ガスをグロー放電によっ
て分解することによって所望の導電型を有する半導体膜
が得られ、所望の基板上にこれらの半導体膜を順次積層
させて形成することにより、容易に半導体接合が得られ
ることが知られている。そこで、アモルファスシリコン
系太陽電池を作成するにあたっては、各々の半導体層に
対応して独立な成膜室を設け、この成膜室でそれぞれの
半導体層を形成することが一般的である。
【0006】このようなアモルファスシリコン系太陽電
池の作成に適したプラズマCVD法による堆積膜形成方
法として、米国特許第4400409号明細書には、ロ
ール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式
によるものが開示されている。この堆積膜形成方法は、
帯状の長尺基板をその長手方向に連続的に搬送させ、帯
状の長尺基板が順次貫通する経路に沿って複数のグロー
放電領域を配置し、必要とされる導電型の半導体層を各
グロー放電領域で堆積形成するものである。これによっ
て、所望の半導体接合を有する太陽電池を連続的に形成
することができる。なお、この堆積膜形成方法では、各
グロー放電領域で使われるドーパントガスが他のグロー
放電領域へ拡散および混入することを防ぐため、ガスゲ
ートと呼ばれるスリット状の分離通路によって各グロー
放電領域を相互に分離し、さらに、たとえばAr,H2
などの掃気用ガスの流れを分離通路に形成するようにな
っている。かかる構成により、ロール・ツー・ロール方
式による堆積膜形成方法は、太陽電池などの半導体素子
の製造に適するものとなっている。
【0007】一方、アモルファスシリコン系太陽電池の
光電変換効率を向上させるための試みとして、a−Si
Ge:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:F,
a−SiC:H,a−SiC:F,a−SiC:H:F
などのIV族合金半導体をi型(真性)半導体層に使用す
る場合に、光の入射側から、i型半導体層の禁制帯幅
(バンドギャップ:Eg opt)を膜厚方向に対して連続的
に適宜変化させることにより、太陽電池としての開放電
圧(Voc)や曲線因子(fill factor : FF)が大幅に改善
されることが見い出されている(20th IEEE PVSEC, "A N
ovel Design forAmorphous Silicon Solar Cells", S.
Guha, J. Yang, et al.)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たロール・ツー・ロール方式による堆積膜形成方法で
は、帯状の長尺基板を連続的に移動させながら堆積膜を
形成するため、長尺基板がグロー放電領域を通過する間
に長尺基板上への堆積膜形成が行われるので、堆積速度
とグロー放電領域の通過速度とによって堆積膜の膜厚を
比較的容易に制御することができる。しかし、膜厚方向
に対してバンドギャップに分布をもたせるためには、長
尺基板が連続的に移動していることから、長尺基板の移
動方向に対してグロー放電領域内の膜形成雰囲気に分布
をもたせることが必要であるが、原料ガスの組成および
圧力あるいはグロー放電のエネルギー密度といった膜形
成雰囲気について、かかる分布を再現性よく形成するこ
とは困難である。そのため、バンドギャップを連続的に
変化させつつ、大面積に連続的に堆積膜を形成すること
ができないという問題がある。また、バンドギャップを
連続的に変化させるなどのために、膜厚方向に対して連
続的に組成を変化させつつ、大面積の堆積膜を均一に形
成することができないという問題がある。
【0009】堆積膜形成時の基板温度を変化させること
により堆積膜中の結合水素量が変化して堆積膜のバンド
ギャップが変化することは、従来から知られている(Jap
an Journal of Applied Physics, Volume 20 (1981) Su
pplement, 20-1, p.267-273)。ロール・ツー・ロール方
式の堆積膜形成方法においては、従来、米国特許第43
89970号明細書および米国特許第4470369号
明細書にそれぞれ開示されているように、堆積膜形成時
に基板温度はできるだけ一定化するように制御されてお
り、堆積膜形成時に基板温度を積極的に変化させること
はまったく考えられていない。
【0010】また、原料ガスの組成を変えた上で、さら
に、堆積速度の分布をもたすことにより、連続移動する
長尺基板上の堆積膜の膜厚方向に対する組成制御は可能
となるが、実際には、堆積速度の変化に対して堆積膜の
特性が大きく変化してしまい、最適な組成制御が実現で
きても、堆積膜の膜特性は最良のものとはいえない状態
である。さらに、堆積速度に分布をもたせることによっ
て、連続移動する長尺基板上の堆積膜の膜厚は大きく変
化することになり、所望の膜厚を得るには成膜空間全体
を通じての堆積速度の分布を考慮する必要がある。特
に、スタック型の光起電力素子などでは各発電層で発生
する電流を各発電層の層厚でマッチングすることが高効
率化の必要要件となっている。このために、堆積膜の膜
厚の制御を含めた組成分布の制御法の考案が待たれる状
況にある。
【0011】以上に鑑み、本発明の目的は、バンドギャ
ップを連続的に変化させるなどのために、膜厚方向に対
して連続的に組成を変化させつつ、さらに、堆積膜の端
面あるいは他の種の膜との積層である場合には他の膜と
の界面における組成制御を所望の通りに実現でき、理想
的な接合面を形成して、良好な特性の堆積膜を作成する
ことができる堆積膜形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の堆積膜形成方法
は、プラズマCVD法により、成膜空間を有する真空容
器内で、帯状の長尺基板上に連続的に堆積膜を形成する
堆積膜形成方法において、前記長尺基板をその長手方向
に連続的に移動させ、前記成膜空間内を順次貫通させ
て、該長尺基板を該成膜空間の側壁の一つとし、前記堆
積膜の原料となる物質を複数種類含有する原料ガスを異
なる組成あるいは組成比で前記成膜空間内に複数箇所か
ら導入し、前記成膜空間内の前記長尺基板の移動方向
に、複数箇所からプラズマを生起させ、前記成膜空間の
前記長尺基板の搬入側および搬出側の少なくとも一方で
所定の範囲にわたって前記堆積膜の形成を部分的に遮断
して、前記長尺基板上に前記堆積膜を形成する。
【0013】
【作用】本発明の堆積膜形成方法は、成膜空間の長尺基
板の搬入側および搬出側の少なくとも一方で所定の範囲
にわたって堆積膜の形成を部分的に遮断して、長尺基板
上に堆積膜を形成することにより、たとえば、グレーデ
ィッドバンドギャップのi型a−SiGe:H層を有す
る三層構造の太陽電池(P型a−Si:H/i型a−S
iGe:H/n型a−Si:H)を帯状の長尺基板上に
連続して作成する際に、a−SiGe:H層中のGe含
有量を任意に制御できるため、所望のバンドギャッププ
ロファイルを形成することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。
【0015】A.本発明の第1の参考例に係る堆積膜形
成方法について 本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方法は、プラズ
マCVD法により、グロー放電領域を有する真空容器内
で、長尺基板上に堆積膜を連続的に形成するときに、真
空容器内で、長尺基板をその長手方向に連続的に移動さ
せ、真空容器内のグロー放電領域の入口近傍で長尺基板
を加熱し、真空容器内のグロー放電領域の出口近傍で長
尺基板を冷却するものである。
【0016】まず、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法において好適に用いられる長尺基板について、
詳しく説明する。
【0017】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方
法において好適に用いられる長尺基板の材質としては、
堆積膜形成時に必要とされる温度において変形および歪
みが少なく、所望の強度を有し、また、導電性を有する
ものであることが好ましく、具体的には、ステンレスス
チール,アルミニウムおよびその合金、鉄およびその合
金、銅およびその合金などの金属の薄板およびその複合
体、および、それらの表面に異種材質の金属薄膜および
/またはSiO2 ,Si34,Al23,AlNなどの
絶縁性薄膜をスパッタ法,蒸着法,鍍金法などにより表
面コーティング処理を行ったもの、また、ポリイミド,
ポリアミド,ポリエチレンテレフタレート,エポキシな
どの耐熱性樹脂製シート、または、これらとガラスファ
イバー,カーボンファイバー,ホウ素ファイバー,金属
繊維などとの複合体の表面に金属単位または合金および
透明導電性酸化物などを鍍金,蒸着,スパッタ,塗布な
どの方法で導電性処理を行ったものが挙げられる。
【0018】また、長尺基板の厚さとしては、長尺基板
の移動時に形成される湾曲形状が維持される強度を発揮
する範囲内であれば、コストおよび収納スペースなどを
考慮すると、可能な限り薄い方が望ましい。具体的に
は、好ましくは0.01mm乃至5mm、より好ましく
は0.02mm乃至2mm、最適には0.05mm乃至
1mmであることが望ましいが、金属などの薄板を用い
る場合は、厚さを比較的薄くしても所望の強度が得られ
やすい。長尺基板の幅については、特に制限されること
はなく、真空容器のサイズなどによって決定される。長
尺基板の長さについては、特に制限されることはなく、
ロール状に巻き取られる程度の長さであっても、長尺の
ものを溶接などによってさらに長尺化したものであって
もよい。
【0019】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方
法では、長尺基板の移動方向に対して不均一な温度分布
を形成するが、温度分布をより自由に設定するために
は、長尺基板の移動方向の熱伝導は少ないほうが望まし
い。長尺基板の移動方向の熱伝導を少なくするには、長
尺基板の熱伝導率を低くするとともに、厚さを薄くすれ
ばよい。なお、長尺基板が均一の材質の場合は、(熱伝
導率)×(厚さ)は、好ましくは1×10-1W/K以
下、より好ましくは1×10-2W/K以下が望ましい。
【0020】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法における長尺基板の加熱方法および冷却方法に
ついて、詳しく説明する。
【0021】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方
法における長尺基板の加熱および冷却は、基板加熱手段
および基板冷却手段(一体のものでもよい。以下同
様。)を長尺基板に接触させて熱伝導で行っても、基板
加熱手段および基板冷却手段を長尺基板から離して輻射
で行ってもよく、長尺基板の堆積表面(堆積膜が形成さ
れる面)側から行っても、長尺基板の堆積裏面(堆積膜
が形成されない面)側から行ってもよい。また、基板加
熱手段および基板冷却手段は、移動する長尺基板に対し
て静止させても、長尺基板とともに移動させてもよい。
ただし、本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方法に
おいては、長尺基板は常に移動しており、静止した基板
加熱手段および基板冷却手段により長尺基板の温度を制
御する場合は、基板加熱手段および基板冷却手段の温度
分布と長尺基板の温度分布とは必ずしも一致しない。長
尺基板の比熱,長尺基板の熱伝導率および長尺基板の移
動速度などを考慮し、長尺基板の移動時に所望の基板温
度分布が得られるように、基板加熱手段および基板冷却
手段の温度分布を制御する。また、長尺基板とともに移
動する基板加熱手段および基板冷却手段により長尺基板
の温度を制御する場合は、長尺基板の移動に伴い、基板
加熱手段および基板冷却手段の制御温度を変化させる。
【0022】長尺基板を加熱する具体的な方法として
は、ハロゲンランプや抵抗発熱体などのヒーターによる
加熱,高温ガスプラズマとの接触および電磁波による誘
導加熱などが挙げられる。また、長尺基板を冷却する具
体的な方法としては、空冷または水冷された冷却部材へ
の放熱による冷却および低温ガスの吹き付けによる冷却
などが挙げられる。
【0023】図1(A)〜(C)はそれぞれ、長尺基板
の加熱方法の例を示す概略図である。同図(A)はハロ
ゲンランプ21〜24を用いて長尺基板1を赤外線加熱す
る例を示すものであり、同図(B)は加熱ブロック31
〜34を長尺基板1に接触させて長尺基板1を加熱する
例を示すものであり、同図(C)は加熱ローラー41
4を長尺基板1に接触させて長尺基板1を加熱する例
を示すものである。
【0024】図2(A)〜(C)はそれぞれ、長尺基板
の冷却方法の例を示す概略図である。同図(A)は長尺
基板1に近接して配置した水冷の冷却パイプ51〜54
用いて長尺基板1を冷却する例を示すものであり、同図
(B)は水冷の冷却ブロック61〜64を長尺基板1に接
触させて長尺基板1を冷却する例を示すものであり、同
図(C)は水冷の冷却ローラー71〜74を長尺基板1に
接触させて長尺基板1を冷却する例を示すものである。
【0025】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法における長尺基板の基板温度分布について、詳
しく説明する。
【0026】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方
法においては、移動する長尺基板をグロー放電領域の入
口近傍で加熱し、グロー放電領域の出口近傍で冷却す
る。したがって、グロー放電領域における長尺基板の基
板温度は、その移動方向に対して上昇から下降へと変化
するように分布する。移動方向に対して上昇から下降へ
と変化する基板温度分布としては、図3〜図6にそれぞ
れ示すような温度分布が考えられる。ここで、図3
(A)〜(I)はそれぞれ、上昇から下降へと直線的に
変化する場合の温度分布の例を示しており、図4(A)
〜(I)および図5(A)〜(F)はそれぞれ、途中に
温度一定の領域がある場合の温度分布の例を示してお
り、図6(A)〜(G)は非直線的に変化する場合の温
度分布の例を示している。
【0027】なお、図1(B)に示した加熱ブロック3
1〜34または図1(C)に示した加熱ローラ41〜44
図2(B)に示した冷却ブロック61〜64または図2
(C)に示した冷却ローラ71〜74とを用いて、接触に
よる長尺基板1の加熱および冷却を行った場合は、図6
(F)および図6(G)にそれぞれ示すような段階的に
変化する温度分布になる。
【0028】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法を用いて太陽電池を作成する例について、詳し
く説明する。
【0029】図7は、本発明の第1の参考例に係る堆積
膜形成方法の一実施例が実現可能な堆積膜形成装置10
の構成を示す概略断面図である。
【0030】堆積膜形成装置10は、概ね直方体形状の
真空容器11と、真空容器11内に設けられた放電室1
2とを含む。真空容器11と放電室12とはいずれも金
属製であり、接地されている。堆積膜が形成される長尺
基板1は、真空容器11の図示左側(すなわち、搬入
側)の側壁に取り付けられた第1のガスゲート21を経
て真空容器11内に入り、放電室12を貫通して、真空
容器11の図示右側(すなわち、搬出側)の側壁に取り
付けられた第2のガスゲート22を通って真空容器11
外に出る。なお、真空容器11内には、回転自在な基板
支持ローラー13 1,132が設けられており、移動する
長尺基板1を裏面から支持している。第1および第2の
ガスゲート21,22には、ゲートガスを供給するため
の第1および第2のゲートガス供給管23,24がそれ
ぞれ接続されている。帯状の長尺基板1は、真空容器1
1内を第1のガスゲート21から第2のガスゲート22
に向けて連続的に移動させられる。
【0031】真空容器11内には、連続的に移動する長
尺基板1を放電室12に入る前に加熱する第1の赤外線
ランプヒーター141 と、放電室12の入口近傍で長尺
基板1を加熱する第2の赤外線ランプヒーター142
と、放電室12の出口近傍で長尺基板1を冷却する水冷
の冷却パイプ15とがそれぞれ設けられている。なお、
第1の赤外線ランプヒーター141 と第2の赤外線ラン
プヒーター142 と冷却パイプ15とは、第1乃至第3
の温度制御装置161〜163によってそれぞれ制御され
る。また、真空容器11内の所定の各位置には、長尺基
板1の温度を測定するための第1乃至第4の熱電対17
1〜174が、移動する長尺基板1の裏面に接触するよう
にそれぞれ設けられている。
【0032】放電室12内には、ガス供給系(不図示)
から堆積膜の原料ガスを導入するガス導入管18が設け
られており、また、放電室12の図示背面側の壁面に
は、排気装置(不図示)に接続された排気管(不図示)
が設けられている。放電室12の長尺基板1と互いに対
向する壁面側には、放電電極19が設けられている。な
お、放電電極19は、真空容器11外に設けられた高周
波電源25に接続されている。
【0033】次に、堆積膜形成装置10による堆積膜の
形成方法について説明する。
【0034】堆積膜形成装置10を貫通するように、搬
入側の第1のガスゲート21に接続された基板送出容器
(不図示)から、搬出側の第2のガスゲート22に接続
された基板巻取容器(不図示)にまで、帯状の長尺基板
1を張り渡したのち、第1のガスゲート21から第2の
ガスゲート22へ向う方向に、長尺基板1を一定の速度
で連続的に移動させる。そして、排気装置(不図示)に
より、真空容器11内を真空に排気する。真空容器11
内が所定の真空度に到達したら、第1および第2のゲー
トガス供給管23,24からゲートガスを第1および第
2のガスゲート21,22にそれぞれ供給する。
【0035】続いて、第1乃至第4の熱電対171〜1
4の出力をそれぞれ監視しながら、第1および第2の
赤外線ランプヒーター141,142および冷却パイプ1
5をそれぞれ作動させることにより、放電室12内にお
いて所定の温度分布になるように、移動する帯状の長尺
基板1を加熱および冷却する。そして、ガス導入管18
から放電室12内に堆積膜の原料ガスを導入し、高周波
電源25から放電電極19に高周波電力を供給して、接
地された導電性の長尺基板1との間に高周波グロー放電
を生起させ、プラズマを発生させる。これにより、放電
室12内の原料ガスが分解され、帯状の長尺基板1上に
堆積膜が形成される。
【0036】このとき、放電室12の入口近傍で長尺基
板1を加熱し、出口近傍で長尺基板1を冷却しているた
め、帯状の長尺基板1の移動方向に対して堆積膜の形成
温度が異なることになり、連続的に移動している帯状の
長尺基板1上に形成される堆積膜には、膜厚方向に対し
てバンドギャップの分布が生じることになる。なお、堆
積膜の原料ガスはガス導入管18から導入されて、放電
室12の図示背面側の壁面に設けられた排気管(不図
示)から排気されるため、放電室12内において長尺基
板1の移動方向に対する原料ガスの流れはほとんどな
く、原料ガスの分解の度合いは長尺基板1の移動方向に
対してほとんど一定であり、長尺基板1の移動方向に対
して原料ガスの分解の度合いによって堆積膜のバンドギ
ャップに分布が生じることはない。
【0037】図8は、本発明の第1の参考例に係る堆積
膜形成方法の一実施例が実現可能な他の堆積膜形成装置
30の構成を示す概略断面図である。
【0038】堆積膜形成装置30は、マイクロ波によっ
てプラズマを生起させるものであり、図7に示した堆積
膜形成装置10の放電電極19の代わりに、第1乃至第
4のアプリケータ291〜294が帯状の長尺基板1の移
動方向に沿って順にそれぞれ設けられた構造になってい
る。
【0039】以下、図7に示した堆積膜形成装置10と
の違いに基づいて、堆積膜形成装置30について説明す
る。
【0040】第1のアプリケータ291は放電室32内
にマイクロ波エネルギーを導入するためのものであり、
第1の導波管461を介して第1のマイクロ波電源451
に接続されている。第2乃至第4のアプリケータ292
〜294についても同様である。第1乃至第4のアプリ
ケータ291〜294の放電室32への取付部位は、石英
およびアルミナセラミクスなどのマイクロ波を透過する
材料からなるマイクロ波導入窓47となっている。
【0041】次に、堆積膜形成装置30の動作について
説明する。
【0042】図7に示した堆積膜形成装置10と同様
に、ガス導入管38から放電室32内に堆積膜の原料ガ
スを導入しながら、第1乃至第4のアプリケータ291
〜294からマイクロ波導入窓47を介して放電室32
内にマイクロ波電力を導入すると、放電室32内にマイ
クロ波グロー放電が生起してプラズマが発生し、連続的
に移動する帯状の長尺基板1上に堆積膜が形成される。
このときも、帯状の長尺基板1は、放電室32の入口近
傍で第1の赤外線ランプヒーター341によって加熱さ
れ、放電室302の出口近傍で冷却パイプ35によって
冷却されるため、帯状の長尺基板1の移動方向に対して
堆積膜の形成温度が異なることになり、堆積膜の膜厚方
向に対してバンドギャップの分布が生じる。
【0043】図9は、図7に示した堆積膜形成装置10
を組み込んだ連続堆積形成装置100の構成を示す概略断
面図である。
【0044】連続堆積膜形成装置100 は、nip接合を
有する半導体素子を帯状の長尺基板1上に形成するのに
適したものであり、基板送出容器110 とn型層形成用真
空容器120 とi型堆積膜形成装置130 とp型層形成用真
空容器140 と基板巻取容器150 とを第1乃至第4のガス
ゲート161〜164によって直列に接続した構成となってい
る。以下、連続堆積膜形成装置100 の各構成要素につい
て簡単に説明する。
【0045】(1)基板送出容器110 基板送出容器110 は、帯状の長尺基板1を格納して基板
巻取容器150 に向けて送り出すためのものである。基板
送出容器110 には、帯状の長尺基板1が巻かれるボビン
111 が装着されており、帯状の長尺基板1を支持し搬送
するための搬送ローラー112 が設けられており、排気手
段(不図示)に接続された排気管113 が接続されてい
る。なお、ボビン111 には、長尺基板1を送り出すため
の基板送出機構(不図示)が接続されている。
【0046】(2)n型層形成用真空容器120 n型層形成用真空容器120 は、長尺基板1上にn型半導
体層を形成するためのものである。n型層形成用真空容
器120 には、排気手段(不図示)に接続された排気管12
1 が取り付けられており、また、その内部には、放電室
122 が設けられている。放電室122 内には、ガス導入管
123 と、第1の高周波電源171 に接続された放電電極12
4 と、移動する長尺基板1を加熱するための赤外線ラン
プヒーター125 とが設けられている。
【0047】(3)i型堆積膜形成装置130 i型堆積膜形成装置130 は、長尺基板1上にi型半導体
層を形成するためのものであり、図7に示した堆積膜形
成装置10と同様の構造をしている。なお、図9では、
第1の赤外線ランプヒーター1341に接続された第1の温
度制御装置と、第2の赤外線ランプヒーター1342に接続
された第2の温度制御装置と、水冷パイプ135 に接続さ
れた第3の温度制御装置とは省略されている。また、放
電電極139 は、第2の高周波電源172 に接続されてい
る。
【0048】(4)p型層形成用真空容器140 p型層形成用真空容器140 は、長尺基板1上にp型半導
体層を形成するためのものである。p型層形成用真空容
器140 は、前述したn型層形成用真空容器120と同一の
構成になっている。すなわち、p型層形成用真空容器14
0 には、排気手段(不図示)に接続された排気管141 が
取り付けられており、また、その内部に放電室142 が設
けられている。放電室142 内には、ガス導入管143 と、
第3の高周波電源173 に接続された放電電極144 と、移
動する長尺基板1を加熱するための赤外線ランプヒータ
ー145 とが設けられている。
【0049】(5)基板巻取容器150 基板巻取容器150 は、堆積膜が形成された帯状の長尺基
板1を巻き取るためのものであり、基板送出容器110 と
同様の構造をしている。すなわち、基板巻取容器150 に
は、基板巻取用のボビン151 と基板搬送用の搬送ローラ
ー152 とが設けられており、排気手段(不図示)に接続
された排気管153 が接続されている。なお、ボビン151
には、帯状の長尺基板1を巻き取るための基板巻取機構
(不図示)が接続されている。
【0050】(6)第1乃至第4のガスゲート161〜164 第1乃至第4のガスゲート161〜164には、ゲートガスを
供給するための第1乃至第4のゲートガス供給管165〜1
68がそれぞれ接続されている。
【0051】次に、連続堆積膜形成装置100 の動作につ
いて、nip接合を有する半導体素子を形成する場合を
例として説明する。
【0052】帯状の長尺基板1を基板送出容器110 から
基板巻取容器150 に向けて張り渡す。その後、基板送出
容器110 内とn型層形成用真空容器120 内とi型堆積膜
形成装置130 の真空容器111 内とp型層形成用容器140
内と基板巻取容器150 内とをそれぞれ排気し、所定の真
空度に達したら、第1乃至第4のガスゲート161〜164内
にゲートガスを供給する。
【0053】続いて、n型層形成用真空容器120 の放電
室122 内にn型半導体層を形成するための原料ガスを供
給し、また、i型堆積膜形成装置130 の放電室132 内に
i型半導体層を形成するための原料ガスを供給し、さら
に、p型層形成用真空容器140 の放電室142 内にp型半
導体層を形成するための原料ガスを供給する。その後、
各放電室122,132,142 内に高周波電力を第1乃至第3
の高周波電源171〜173から供給してプラズマをそれぞれ
生起させたのち、基板送出容器110 から基板巻取容器15
0 に向けた帯状の長尺基板1の移動を開始させて、各放
電室122,132,142 で長尺基板1上に堆積膜をそれぞれ
形成する。このとき、帯状の長尺基板1は、n型層形成
用真空容器120 ,i型堆積膜形成装置130 およびp型層
形成用真空容器140 の順に連続的に移動するため、ni
p接合を有する半導体素子が長尺基板1上に形成される
ことになる。また、i型堆積膜形成装置130 において
は、図7に示した堆積膜形成装置10で説明したよう
に、放電室132 の入口近傍で長尺基板1を加熱し、放電
室132 の出口近傍で長尺基板1を冷却しているため、帯
状の長尺基板1の移動方向に対して堆積膜の形成温度が
異なることになり、連続的に移動している帯状の長尺基
板1上に形成される堆積膜に、i型半導体層の膜厚方向
に対してバンドギャップの分布を生じさせることができ
る。
【0054】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法の各種実施例について、具体的数値を挙げて説
明する。なお、ここで述べる各種実施例は、アモルファ
スシリコン系の太陽電池あるいはこの太陽電池の構成要
素であるアモルファスシリコン半導体膜の形成に本発明
の第1の参考例に係る堆積膜形成方法を適用したもので
ある。
【0055】まず、アモルファスシリコン系の太陽電池
の構造について、図10〜図13をそれぞれ用いて説明
する。
【0056】図10に示した太陽電池200 は、透明電極
206 側から光が入射されることを前提としたものであ
る。太陽電池200 は、下部電極202 とn型半導体層203
とi型半導体層204 とp型半導体層205 と透明電極206
とが基板201 上に順次積層され、さらに、格子状の集電
電極207 が透明電極206 上に形成された構造となってい
る。なお、下部電極202 とは、n型半導体層203 ,i型
半導体層204 およびp型半導体層205 を介して透明電極
206 と互いに対向する電極をいう。
【0057】図11に示した太陽電池210 は、基板211
が透光性のものであって、基板211側から光が入射され
ることを前提としたものである。太陽電池210 は、透明
電極212 とp型半導体層213 とi型半導体層214 とn型
半導体層215 と下部電極216とが基板211 上に順次積層
された構造となっている。
【0058】図10に示した太陽電池200 および図11
に示した太陽電池210 はそれぞれ、pin接合を一組の
み有するものであるが、入射光の利用効率を向上させる
ために、二組のpin接合が積層されることがある。
【0059】図12に示す太陽電池220 (いわゆるタン
デム型太陽電池)は、二組のpin接合を有するもので
あり、下部電極222 と第1のpin接合223 と第2のp
in接合224 と透明電極225 と集電電極226 とが基板22
1 上に順次積層された構造となっている。光は、透明電
極225 側から入射する。なお、第1のpin接合223
は、n型半導体層2231,i型半導体層2232およびp型半
導体層2233が順次積層された構造となっており、また、
第2のpin接合224 も、n型半導体層2241,i型半導
体層2242およびp型半導体層2243が順次積層された構造
となっているが、第1のpin接合223 のi型半導体層
2232と第2のpin接合224 のi型半導体層2242とにつ
いては、光電変換効率を向上させるために、バンドギャ
ップや膜厚を異ならせることが行われている。
【0060】図12に示した太陽電池220 よりもさらに
光電変換効率を向上させるため、三組のpin接合が積
層されることがある。
【0061】図13に示す太陽電池230 (いわゆるトリ
プル型太陽電池)は、三組のpin接合を有するもので
あり、下部電極232 と第1のpin接合233 と第2のp
in接合234 と第3のpin接合235 と透明電極236 と
集電電極237 とが基板231 上に順次積層された構造とな
っている。光は、透明電極236 側から入射する。なお、
第1のpin接合233 は、n型半導体層2331,i型半導
体層2332およびp型半導体層2333が順次積層された構造
となっており、また、第2のpin接合234 も、n型半
導体層2341,i型半導体層2342およびp型半導体層2343
が順次積層された構造となっており、さらに、第3のp
in接合235 も、n型半導体層2351,i型半導体層2352
およびp型半導体層2353が順次積層された構造となって
いるが、第1のpin接合233 のi型半導体層2332と第
2のpin接合234 のi型半導体層2342と第3のpin
接合235 のi型半導体層2352とについては、光電変換効
率を向上させるために、バンドギャップや膜厚を異なら
せることが行われている。
【0062】なお、図10〜図13に示した各太陽電池
200〜230においては、p型半導体層が光の入射側に位置
するような層構成となっているが、n型半導体層が光の
入射側に位置するような層構成とすることも可能であ
る。
【0063】次に、上述した太陽電池の各構成要素の詳
細について、図10に示した太陽電池200 を例として説
明する。なお、他の太陽電池210〜230については、特に
説明しない限り太陽電池200 と同様である。
【0064】(1)基板201 太陽電池200 において使用される基板201 は、曲げやす
く湾曲形状を形成し得る材質のものが好適に用いられ、
導電性のものであっても電気絶縁性のものであってもよ
い。基板201 は透光性のものであっても非透光性のもの
であってもよいが、基板201 側より光入射が行われる場
合には、もちろん透光性であることが必要である。具体
的には、上述した帯状の長尺基板を挙げることができ
る。帯状の長尺基板を用いることにより、作成される太
陽電池200 の軽量化,強度向上および運搬スペースの低
減などを図ることができる。
【0065】(2)下部電極202 ,透明電極206 ,集電
電極207 太陽電池では、一般に、電力を取り出すための電極とし
て、その構成形態により適宜の電極が選択使用される。
それらの電極としては、下部電極,透明電極および集電
電極を挙げることができる。ただし、ここでは、「透明
電極」とは光の入射側に設けられたものいい、「下部電
極」とは各半導体層をはさんで透明電極と互いに対向し
て設けられたものをいうものとする。以下、これらの電
極について詳しく説明する。
【0066】(a)下部電極202 太陽電池においては、たとえば基板が金属などの非透光
性の材料である場合には、図11に示した太陽電池210
のように、透明電極212 側から光を照射するなど、上述
した基板の材料が透光性であるか否かによって光起電力
発生用の光を照射する面が異なる。したがって、下部電
極の設置場所も、基板の材料が透光性であるか否かによ
って異なる。具体的には、図10に示したような層構成
の場合には、下部電極202 は、電流取り出し用の電極と
して、基板201 とn型半導体層203 との間に設けられ
る。なお、基板201 が導電性である場合には、基板201
が下部電極202 を兼ねることができるため下部電極202
を省略することもできるが、基板201 のシート抵抗値が
高いときには、電流取り出し用の低抵抗の電極として、
あるいは、支持体面での反射率を高め入射光の有効利用
を図る目的で、下部電極202 を設置することが望まし
い。図12および図13に示したような層構成の場合に
も、同様である。一方、図11に示したような層構成の
場合には、透光性の基板211 が用いられ、基板211 の側
から光が入射されるため、下部電極216 は、電流取り出
しおよび光反射用の目的で、各半導体層213〜215を挟ん
で基板211と互いに対向して設けられる。
【0067】下部電極202 の材料としては、Ag,A
u,Pt,Ni,Cr,Cu,Al,Ti,Zn,M
o,Wなどの金属またはこれらの合金が挙げられ、これ
らの金属の薄膜を真空蒸着,電子ビーム蒸着およびスパ
ッタリングなどで形成する。また、形成された金属薄膜
が太陽電池200 の出力に対して抵抗成分とならぬように
配慮されねばならず、下部電極202 のシート抵抗値は、
好ましくは50Ω以下、より好ましくは10Ω以下であ
ることが望ましい。
【0068】下部電極202 とn型半導体層203 との間
に、導電性酸化亜鉛などの拡散防止層(不図示)を設け
てもよい。この拡散防止層の効果としては、下部電極20
2 を構成する金属元素がn型半導体層203 中へ拡散する
のを防止するのみならず、若干の抵抗値をもたせること
で、各半導体層203〜205に生じたピンホールなどの欠陥
による、下部電極202 と透明電極206 との間の短絡を防
止すること、および、薄膜による多重干渉を発生させ、
入射された光を太陽電池200 内に閉じ込めるなどのこと
を挙げることができる。
【0069】(b)透明電極206 透明電極206 は、太陽や白色蛍光灯などからの光を各半
導体層203〜205内に効率よく吸収させるために、光の透
過率が85%以上であることが望ましく、さらに、電気
的には太陽電池200 の出力に対して抵抗成分とならぬよ
うにシート抵抗値は100Ω以下であることが望まし
い。このような特性を備えた材料としては、SnO2
In23,ZnO,CdO,Cd2SnO4,ITO(I
23+SnO2 )などの金属酸化物や、Au,Al,
Cuなどの金属を極めて薄く半透明状に成膜した金属薄
膜などが挙げられる。図10に示した太陽電池200 にお
いては、透明電極206 はp型半導体層205 の上に積層さ
れるため、p型半導体層205との密着性がよいものを選
ぶことが必要である。図12および図13に示した太陽
電池220,230についても同様である。一方、図11に示
した太陽電池210 においては、透明電極212 は基板211
上に積層されるものであるため、基板211 との密着性が
よいものを選ぶことが必要である。透明電極206 の作成
方法としては、抵抗加熱蒸着法,電子ビーム加熱蒸着
法,スパッタリング法およびスプレー法などを用いるこ
とができ、所望に応じて適宜選択される。
【0070】(c) 集電電極207 集電電極207 は、透明電極206 の表面抵抗値を実効的に
低減させる目的で、透明電極206 の上に格子状に設けら
れる。集電電極207 の材料としては、Ag,Cr,N
i,Al,Ag,Au,Ti,Pt,Cu,Mo,Wな
どの金属またはこれらの合金が挙げられる。これらの薄
膜は、積層させて用いることができる。また、各半導体
層203〜205へ入射する光量が充分に確保されるよう、そ
の形状および面積は適宜設計される。たとえば、その形
状としては、太陽電池200 の受光面に対して一様に広が
り、かつ、受光面積に対してその面積は好ましくは15
%以下、より好ましくは10%以下であることが望まし
い。また、シート抵抗値としては、好ましくは50Ω以
下、より好ましくは10Ω以下であることが望ましい。
【0071】(3)n型半導体層203 ,i型半導体層20
4 ,p型半導体層205 (a)i型半導体層204 i型半導体層204 を構成する半導体材料としては、a−
Si:H,a−Si:F,a−Si:H:F,a−Si
C:H,a−SiC:F,a−SiC:H:F,a−S
iGe:H,a−SiGe:F,a−SiGe:H:
F,poly−Si:H,poly−Si:F,poly−Si:
H:FなどのIV族半導体材料およびIV族合金系半導体材
料が挙げられる。このほか、II−IV族化合物半導体材料
やIII−V族化合物半導体材料などが挙げられる。
【0072】i型半導体層204 においては、光電変換効
率などの向上を目的として、膜厚方向に組成を変化さ
せ、バンドギャップに変化をもたせることが行われる。
図14(A)〜(D)に、i型半導体層204 におけるバ
ンドギャップの変化の様子(バンドギャッププロファイ
ル)の具体例を示す。なお、図中→印は、光の入射側を
表わしている。
【0073】図14(A)に示したバンドギャッププロ
ファイルは、i型半導体層204 中においてバンドギャッ
プが一定のタイプのものである。図14(B)に示した
バンドギャッププロファイルは、i型半導体層204 の光
の入射側のバンドギャップが狭く、徐々にバンドギャッ
プが広がるタイプのものであり、曲線因子(Fill Facto
r;FF)の改善に効果がある。図14(C)に示したバン
ドギャッププロファイルは、光の入射側のバンドギャッ
プが広く、徐々にバンドギャップが狭くなるタイプのも
のであり、開放電圧(Voc)の改善に効果がある。図1
4(D)に示したバンドギャッププロファイルは、光の
入射側のバンドギャップが広く、比較的急峻にバンドギ
ャップが狭まり、再び広がっていくタイプのものであ
り、図14(B)に示したものと図14(C)に示した
ものとを組み合わせて両者の効果を同時に得ることがで
きる。このようにバンドギャップに変化をもたせるため
には、異なる半導体を組み合せればよい。たとえば、a
−Si:H(Eg opt=1.72eV)とa−SiGe:
H(Eg opt=1.45eV)とを組み合せると、図14
(D)に示すバンドギャッププロファイルをもつi型半
導体層204 を作成することができる。また、a−Si
C:H(Eg opt=2.05eV)とa−Si:H(Eg
opt=1.72eV)とを組み合せると、図14(C)
に示すバンドギャッププロファイルをもつi型半導体層
204 を作成することができる。
【0074】なお、i型半導体層204 に不純物を微量に
添加させることにより、導電型をi型としたまま、i型
半導体層204 のフェルミレベルを少し変化させてもよ
い。
【0075】(b)n型半導体層203 およびp型半導体
層205 n型半導体層203 およびp型半導体層205 はそれぞれ、
前述したi型半導体層204 を構成する半導体材料に、価
電子制御剤を公知の方法でドーピングすることによって
得られる。
【0076】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法に関する各種実施例および各種比較例について
説明する。
【0077】〔実施例A1〕図7に示した堆積膜形成装
置10を用い、搬入側の第1のガスゲート21に基板送
出容器(不図示)を接続し、搬出側の第2のガスゲート
22に基板巻取容器(不図示)を接続した。なお、基板
送出容器には、帯状の長尺基板1を繰り出すための基板
送出機構(不図示)が設けられており、基板巻取容器に
は、帯状の長尺基板1を巻き取るための基板巻取機構
(不図示)が設けられている。
【0078】まず、ステンレス(SUS430BA)か
らなる帯状の長尺基板1(幅40cm,長さ200m,
厚さ0.125mm)を充分に脱脂,洗浄したのち、こ
の長尺基板1を巻いたボビン(不図示)を基板送出容器
に装着した。その後、帯状の長尺基板1を、搬入側の第
1のガスゲート21と真空容器11と搬出側の第2のガ
スゲート22とを介して基板巻取容器まで通したのち、
張力調整を行って帯状の長尺基板1がたるまないように
した。その後、基板送出容器内と真空容器11内と基板
巻取容器内とを、メカニカルブースターポンプとロータ
リーポンプからなる真空排気系(不図示)により充分に
それぞれ真空排気した。
【0079】続いて、表A1に示す形成条件により、真
空排気系を作動させつつ、ガス導入管18から堆積膜の
原料ガスを放電室12内に導入した。同時に、第1およ
び第2のゲートガス供給管23,24より、第1および
第2の各ガスゲート21,22に、ゲートガスとして水
素ガスを流量500sccmでそれぞれ供給した。
【0080】
【表1】
【0081】この状態で真空排気系の排気能力を調整
し、放電室12内の圧力を1.1Torrに保持するよ
うにした。放電室12内の圧力が安定したところで、基
板送出容器から基板巻取容器の方向に向け、帯状の長尺
基板1の移動を開始した。このときの長尺基板1の移動
速度は、30cm/分とした。帯状の長尺基板1を移動
させたまま、第1および第2の赤外線ランプヒーター1
1,142をそれぞれ点灯して長尺基板1を放電室12
の入口近傍で加熱するとともに、冷却パイプ15に冷水
を流して長尺基板1を放電室12の出口近傍で冷却し
た。
【0082】このとき、移動する長尺基板1の裏面に接
触するように真空容器11内に設けられた第1乃至第4
の熱電対171〜174により、移動方向の各位置におけ
る長尺基板1の温度をそれぞれ測定した。その結果、各
位置における長尺基板1の温度は、第1の赤外線ランプ
ヒーター141 前の第1の熱電対171 の位置では30
℃,放電室12の入口近傍の第2の熱電対172 の位置
では200℃,第2の赤外線ランプヒーター142 後の
第3の熱電対173 の位置で400℃,冷却パイプ15
後の放電室12の出口近傍の第4の熱電対174 の位置
で300℃であった。
【0083】続いて、放電室12内に設けられた幅40
cm,長さ130cmの放電電極19に、高周波電源2
5から周波数13.56MHzの高周波電力を供給し、
放電室12内に高周波グロー放電を生起させた。そし
て、60分間にわたり、帯状の長尺基板1上に、i型の
水素化アモルファスシリコンからなる堆積膜の形成を行
った。
【0084】なお、帯状の長尺基板1は、長さ200m
と長尺であるので、この実施例A1を実施したのち、帯
状の長尺基板1を堆積膜形成装置10に装着したまま、
後述する実施例A2〜実施例A4を連続して実施し、同
一の帯状の長尺基板1上にその移動方向に対して、i型
の堆積膜を順次形成するようにした。実施例A1〜実施
例A4に関するすべての堆積膜の形成が終了したのち、
帯状の長尺基板1を冷却して、堆積膜形成装置10から
取り出した。
【0085】この実施例A1で形成された堆積膜につい
て膜厚分布を測定したところ、帯状の長尺基板1の幅方
向および長さ方向に対して、膜厚のばらつきは5%以内
に収まっていた。また、堆積膜の形成速度を算出したと
ころ、平均90nm/分であった。
【0086】次に、帯状の長尺基板1の、この実施例A
1で水素化アモルファスシリコンからなる堆積膜が形成
された部分について、2次イオン質量分析計(SIM
S:CAMECA社製,IMS−4F型)を用い、堆積
膜の膜厚方向の水素元素の含有量の分布を測定したとこ
ろ、堆積膜表面近傍で12原子%,表面から膜厚の1/
3の部分で6原子%および基板界面近傍で18原子%で
あり、図15(A)に示すような膜厚方向の分布が得ら
れ、図14(D)に示したものと同様なバンドギャップ
プロファイルとなっていることが確認できた。
【0087】〔実施例A2〕上述した実施例A1により
堆積膜を形成したのち、堆積膜形成用の原料ガスとゲー
トガスの導入を一旦中止し、すべての真空容器を充分真
空排気した。その後、実施例A1と同様にしてゲートガ
スを供給し、表A2に示す形成条件で、帯状の長尺基板
1上に、i型の水素化アモルファスシリコンゲルマニウ
ムからなる堆積膜を連続的に形成した。このとき、放電
室12内の圧力,帯状の長尺基板1の移動速度および移
動方向における長尺基板1の温度分布はそれぞれ、実施
例A1と同様とした。
【0088】
【表2】
【0089】実施例A1と同様に、実施例A1〜実施例
A4についての堆積膜の形成がすべて終了したのち、こ
の実施例A2で形成された堆積膜について、その膜厚の
分布のばらつきを調べたところ、5%以内に収まってい
た。また、堆積膜の形成速度は、平均92nm/分であ
った。
【0090】続いて、実施例A1と同様に、この実施例
A2で水素化アモルファスシルコンゲルマニウムからな
る堆積膜が形成された部分について、膜厚方向の元素の
分布を測定した。その結果、水素元素の含有量は、堆積
膜表面近傍で10原子%,表面から膜厚の1/3の部分
で3原子%および基板界面近傍で15原子%であり、図
15(B)に示すような膜厚方向の分布が得られ、水素
元素の含有量の分布によって、図14(D)に示したも
のと同様なバンドギャッププロファイルになっているこ
とが確認できた。なお、シリコン原子とゲルマニウム元
素の比率は、膜厚方向で変化していなかった。
【0091】〔実施例A3〕上述した実施例A1および
実施例A2により堆積膜を形成したのち、堆積膜形成用
の原料ガスとゲートガスの導入を一旦中止し、すべての
真空容器を充分真空排気した。その後、実施例A1と同
様にしてゲートガスを供給し、表A3に示す形成条件
で、帯状の長尺基板1上に、i型の水素化アモルファス
シリコンカーバイドからなる堆積膜を連続的に形成し
た。
【0092】
【表3】
【0093】このとき、放電室12内の圧力,帯状の長
尺基板1の移動速度および移動方向における長尺基板1
の温度分布はそれぞれ、実施例A1と同様とした。実施
例A1と同様に、実施例A1〜実施例A4についての堆
積膜の形成がすべて終了したのち、この実施例A3で形
成された堆積膜について、その膜厚の分布のばらつきを
調べたところ、5%以内に収まっていた。また、堆積膜
の形成速度は、平均70nm/分であった。
【0094】続いて、実施例A1と同様に、この実施例
A3で水素化アモルファスシルコンカーバイドからなる
堆積膜が形成された部分について、膜厚方向の水素元素
の含有量の分布を測定した。その結果、水素元素の含有
量は、堆積膜表面近傍で15原子%,表面から膜厚の1
/3の部分で10原子%および基板界面近傍で23原子
%であり、図15(C)に示すような膜厚方向の分布が
得られ、水素元素の含有量の分布によって、図15
(D)に示したものと同様なバンドギャッププロファイ
ルになっていることが確認できた。なお、シリコン原子
とゲルマニウム元素の比率は、膜厚方向で変化していな
かった。
【0095】〔実施例A4〕上述した実施例A1乃至実
施例A3により堆積膜を形成したのち、堆積膜形成用の
原料ガスとゲートガスの導入を一旦中止し、すべての真
空容器を充分真空排気した。その後、第1および第2の
赤外線ランプヒーター141,142の加熱能力と冷却パ
イプ15の冷却能力をそれぞれ変えて、長尺基板1の温
度分布を表A4に示すようにした以外は実施例A1と同
様にして、帯状の長尺基板1上に、水素化アモルファス
シリコンからなる堆積膜を連続的に形成した。
【0096】
【表4】
【0097】実施例A1と同様に、実施例A1乃至実施
例A4についての堆積膜の形成がすべて終了したのち、
この実施例A4で形成された堆積膜について、その膜厚
の分布のばらつきを調べたところ、5%以内に収まって
いた。また、堆積膜の形成速度は、平均90nm/分で
あった。
【0098】続いて、実施例A1と同様に、この実施例
A4で水素化アモルファスシルコンからなる堆積膜が形
成された部分について、膜厚方向の水素元素の含有量の
分布を測定した。その結果、水素元素の含有量は、堆積
膜表面近傍で18原子%,表面から膜厚の1/3の部分
で6原子%および基板界面近傍で12原子%であり、図
15(D)に示すような膜厚方向の分布が得られ、水素
元素の含有量の分布によって、図14(D)に示したも
のと同様なバンドギャッププロファイルになっているこ
とが確認できた。
【0099】〔実施例A5〕図8に示した堆積膜形成装
置30を用い、搬入側の第1のガスゲート41に基板送
出容器(不図示)を接続し、搬出側の第2のガスゲート
42に基板巻取容器(不図示)を接続した。なお、基板
送出容器には、帯状の長尺基板1を繰り出すための基板
送出機構(不図示)が設けられており、基板巻取容器に
は、帯状の長尺基板1を巻き取るための基板巻取機構
(不図示)が設けられている。
【0100】まず、ステンレス(SUS304BA)か
らなる帯状の長尺基板1(幅40cm,長さ200m,
厚さ0.123mm)を充分に脱脂,洗浄した。その
後、基板送出容器に、長尺基板1を巻いたボビン(不図
示)を装着したのち、帯状の長尺基板1を、搬入側の第
1のガスゲート41と真空容器31と搬出側の第2のガ
スゲート42とを介して基板巻取容器まで通し、張力調
整を行って帯状の長尺基板1がたるまないようにした。
そして、基板送出容器内と真空容器31内と基板巻取容
器内とをそれぞれ、油拡散ポンプからなる真空排気系
(不図示)により5×10-6Torr以下まで充分に真
空排気した。
【0101】続いて、表A5に示す形成条件により、真
空排気系を作動させつつ、ガス導入管38から堆積膜の
原料ガスを放電室32内に導入した。同時に、第1およ
び第2のゲートガス供給管43,44より、第1および
第2のガスゲート41,42に、ゲートガスとして水素
ガスを流量300sccmでそれぞれ供給した。
【0102】
【表5】
【0103】この状態で真空排気系の排気能力を調整
し、放電室32内の圧力を5mTorrに保持するよう
にした。放電室32内の圧力が安定したところで、基板
送出容器から基板巻取容器の方向に向け、帯状の長尺基
板1の移動を開始した。このときの長尺基板1の移動速
度は、100cm/分とした。帯状の長尺基板1を移動
させたまま、第1および第2の赤外線ランプヒーター3
1,342をそれぞれ点灯して長尺基板1を放電室32
の入口近傍で加熱するとともに、冷却パイプ35に冷水
を流して長尺基板1を放電室32の出口近傍で冷却し
た。
【0104】このとき、移動する長尺基板1の裏面に接
触するように真空容器31内に設けられた第1乃至第4
の熱電対371〜374により、移動方向の各位置におけ
る長尺基板1の温度をそれぞれ測定した。その結果、各
位置における長尺基板1の温度は、第1の赤外線ランプ
ヒーター341 前の第1の熱電対371 の位置で30
℃,放電室32の入口近傍の第2の熱電対372 の位置
で280℃,第2の赤外線ランプヒーター342 後の第
3の熱電対373 の位置で380℃,冷却パイプ35後
で放電室32の出口近傍の第4の熱電対374 の位置で
300℃であった。
【0105】続いて、第1乃至第4のマイクロ波電源4
1〜454から第1乃至第4の導波管461〜464を介
して放電室32内の第1乃至第4のアプリケータ291
〜294に周波数2.45GHzのマイクロ波電力をそ
れぞれ供給して、放電室32内にマイクロ波グロー放電
を生起させた。そして、10分間にわたり、帯状の長尺
基板1上に、i型の水素化アモルファスシリコンからな
る堆積膜の形成を行った。堆積膜の形成終了後、帯状の
長尺基板1を冷却して、堆積膜形成装置30から取り出
した。
【0106】この実施例A5で形成された堆積膜につい
て、膜厚分布を測定したところ、帯状の長尺基板1の幅
方向および長さ方向に対して、膜厚のばらつきは5%以
内に収まっていた。また、堆積膜の形成速度を算出した
ところ、平均570nm/分であった。
【0107】続いて、帯状の長尺基板1の、この実施例
A5で水素化アモルファスシリコンからなる堆積膜が形
成された部分について、2次イオン質量分析計(SIM
S:CAMECA社製,IMS−4F型)を用いて、堆
積膜の膜厚方向の水素元素の含有量の分布を測定したと
ころ、堆積膜表面近傍で18原子%,表面から膜厚の1
/3の部分で12原子%および基板界面近傍で20原子
%であり、図14(D)に示したものと同様なバンドギ
ャッププロファイルとなっていることが確認できた。
【0108】〔実施例A6〕図9に示した連続堆積膜形
成装置100 を用い、図10に示した層構成のアモルファ
スシリコン系の太陽電池200 を作成した。この太陽電池
200 は単一のpin接合を有し、また、i型半導体層20
4 におけるバンドギャッププロファイルは図14(D)
に示したものである。
【0109】まず、上述した実施例A1で使用したもの
と同様の、SUS430BAからなる帯状の長尺基板1
(基板201 )を連続スパッタリング装置(不図示)に装
着し、銀電極(銀純度:99.99%)をターゲットと
して、帯状の長尺基板1上に厚さ100nmの銀薄膜を
スパッタ蒸着した。さらに、ZnO電極(ZnO純度:
99.999%)をターゲットとして、厚さ1.2μm
のZnOの薄膜を銀薄膜の上にスパッタ蒸着し、帯状の
長尺基板1上に下部電極202 を形成した。
【0110】続いて、下部電極202 が形成された帯状の
長尺基板1を基板送出容器110 に装着し、n型層形成用
真空容器120 とi型堆積膜形成装置130 とp型層形成用
真空容器140 とを介して基板巻取容器150 まで通した。
そして、帯状の長尺基板1がたるまないように長尺基板
1にかかる両力を調整したのち、実施例A1と同様にす
べての真空容器を充分真空排気した。
【0111】続いて、帯状の長尺基板1を基板送出容器
110 から基板巻取容器150 に向けて連続的に移動させな
がら、帯状の長尺基板1上に、n型層形成用真空容器12
0 でn型半導体層203 を、i型堆積膜形成装置130 でi
型半導体層204 を、p型層形成用真空容器140 でp型半
導体層205 を順次形成した。n型半導体層203 とp型半
導体層205 の形成条件は、表A6に示す通りであり、i
型半導体層204 の形成条件は、実施例A1のi型水素化
アモルファスシリコンからなる堆積層を形成する場合と
同じにした。なお、n型半導体層203 とi型半導体層20
4 とp型半導体層205 の形成は、放電室122 内,放電室
132 内および放電室142 内で高周波グロー放電をそれぞ
れ生起させ、帯状の長尺基板1を移動速度30cm/分
で連続的に移動させながら行った。また、第1乃至第4
のガスゲート161〜164には、ゲートガスとして水素を3
00sccmずつそれぞれ供給した。
【0112】
【表6】
【0113】n型半導体層203 とi型半導体層204 とp
型半導体層205 とが全長(200m)にわたって形成さ
れた帯状の長尺基板1を冷却したのち、連続堆積膜形成
装置100 から取り出し、p型半導体層205 上に、透明電
極206 と集電電極207 とを形成して、帯状の太陽電池20
0 を完成させた。
【0114】続いて、連続モジュール化装置(不図示)
を用いて、作成した太陽電池200 を大きさが36cm×
22cmの多数の太陽電池モジュールに加工した。加工
した太陽電池モジュールについて、AM1.5,100
mW/cm2 の疑似太陽光を用いて特性評価を行ったと
ころ、8%以上の光電変換効率が得られ、また、各太陽
電池モジュール間の特性のばらつきも5%以内に収まっ
た。
【0115】〔比較例A1〕i型堆積膜形成装置130 に
おいて、移動する帯状の長尺基板1を第1の赤外線ラン
プヒーター1341で200℃まで加熱し、第2の赤外線ラ
ンプヒーター1342および冷却パイプ135 を作動させず
に、放電室132 内における帯状の長尺基板1の温度を2
00℃で一定にした以外は、実施例A6と同様にして、
pin接合からなる太陽電池モジュールを加工した。加
工した太陽電池モジュールについて、AM1.5,10
0mW/cm2 の疑似太陽光を用いて特性評価を行った
ところ、光電変換効率は6.5%であり、実施例A6で
加工した太陽電池モジュールよりも特性が劣っていた。
【0116】〔比較例A2〕i型堆積膜形成装置130 に
おいて、移動する帯状の長尺基板1を第1の赤外線ラン
プヒーター1341で400℃まで加熱し、第2の赤外線ラ
ンプヒーター1342および冷却パイプ135 を作動させず
に、放電室132 内における帯状の長尺基板1の温度を4
00℃で一定にした以外は、実施例A6と同様にして、
pin接合からなる太陽電池モジュールを加工した。加
工した太陽電池モジュールについて、AM1.5,10
0mW/cm2 の疑似太陽光を用いて特性評価を行った
ところ、光電変換効率は6.1%であり、実施例A6で
加工した太陽電池モジュールよりも特性が劣っていた。
【0117】〔比較例A3〕i型堆積膜形成装置130 に
おいて、移動する帯状の長尺基板1を第1の赤外線ラン
プヒーター1341で300℃まで加熱し、第2の赤外線ラ
ンプヒーター1342および冷却パイプ135 を作動させず
に、放電室132 内における帯状の長尺基板1の温度を3
00℃で一定にした以外は、実施例A6と同様にして、
pin接合からなる太陽電池モジュールを加工した。加
工した太陽電池モジュールについて、AM1.5,10
0mW/cm2 の疑似太陽光を用いて特性評価を行った
ところ、光電変換効率は7.2%であり、実施例A6で
加工した太陽電池モジュールよりも特性が劣っていた。
【0118】以上、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法の各実施例について、主として、アモルファス
シリコン系の太陽電池を作成する場合について説明して
きた。しかし、本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成
方法は、アモルファスシリコン系の太陽電池以外の、大
面積あるいは長尺であることが要求される薄膜半導体素
子を形成する場合にも、好適に用いられるものである。
このような薄膜半導体素子として、たとえば、液晶ディ
スプレイの画素を駆動するための薄膜トランジスタ(T
FT)や、密着型イメージセンサ用の光電変換素子およ
びスイッチング素子などが挙げられる。これら薄膜半導
体素子は画像入出力装置の主要な部品として使用される
ことが多く、本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方
法を実施することにより、これら薄膜半導体素子を高品
質で均一性よく量産できることとなり、画像入出力装置
がさらに広く普及することが期待されている。
【0119】次に、本発明の第1の参考例に係る堆積膜
形成方法によって形成される、基板温度によってバンド
ギャップが変化する堆積膜の例について説明する。
【0120】このような堆積膜としては、SiGe,S
iC,GeC,SiSn,GeSn,SnCなどのIV族
合金半導体薄膜、GaAs,GaP,GaSb,In
P,InAsなどのIII-V族化合物半導体薄膜、ZnS
e,ZnS,ZnTe,CdS,CdSe,CdTeな
どのII-VI族化合物半導体薄膜、CuAlS2 ,CuA
lSe2 ,CuAlTe2 ,CuInS2 ,CuInS
2 ,CuInTe2 ,CuGaS2 ,CuGaSe
2 ,CuGaTe,AgInSe2 ,AgInTe 2
どのI-III-VI族化合物半導体薄膜、ZnSiP2 ,Zn
GeAs2 ,CdSiAs2 ,CdSnP2 などのII-I
V-V族化合物半導体薄膜、Cu2O ,TiO 2 ,In2
3,SnO2 ,ZuO,CdO,Bi23,CdSn
4 などの酸化物半導体薄膜、および、これらの半導体
薄膜に価電子を制御するための価電子制御元素を含有さ
せたものを挙げることができる。また、Si,Ge,C
などのIV族半導体薄膜に価電子制御元素を含有させたも
のを挙げることができる。もちろん、a−Si:H,a
−Si:H:Fなどの非晶質半導体において、水素およ
び/またはフッ素含有量を変化させたものであってもよ
い。
【0121】上述した半導体薄膜において堆積膜形成時
に基板温度を変化させることにより、バンドギャップ制
御が行われる。帯状の長尺基板上に膜厚方向にバンドギ
ャップを制御された堆積膜を形成させることにより、電
気的,光学的および機械的に優れた特性を有する大面積
の薄膜半導体デバイスを作成することができる。すなわ
ち、堆積形成された半導体層の膜厚方向に対してバンド
ギャップを変化させることにより、キャリアの走行性を
高めたり、半導体界面でのキャリアの再結合を防止する
ことで、電気的特性が向上する。また、水素含有量など
を変化させることによって、構造的変化を与えることが
でき、内部応力が緩和されて、基板との密着性の高い堆
積膜を形成することができる。
【0122】前述した堆積膜を形成するために用いられ
る堆積膜形成用の原料ガスは、所望の堆積膜の組成に応
じて適宜その混合比を調製して成膜空間内に導入され
る。
【0123】上述のIV族半導体またはIV族合金半導体薄
膜を形成するために好適に用いられる、周期律表第IV族
元素を含む化合物としては、Si原子,Ge原子,C原
子,Sn原子,Pb原子を含む化合物であって、具体的
にはSiH4 ,Si26,Si38,Si36,Si4
8,Si510 などのシラン系化合物、SiF4
(SiF25,(SiF26,(SiF24,Si
26,Si38,SiHF3 ,SiH22,Si22
4 ,Si233 ,SiCl4 ,(SiCl25,Si
Br4 ,(SiBr25,Si2Cl6,Si2Br6,S
iHCl3 ,SiHBr 3 ,SiHI3 ,Si2Cl3
3 などのハロゲン化シラン化合物、GeH4 ,Ge26
などのゲルマン化合物、GeF4 ,(GeF25,(G
eF26,(GeF24,Ge26,Ge38,GeH
3 ,GeH22,Ge224 ,Ge233 ,Ge
Cl4 ,(GeCl25,GeBr4 ,(GeB
25,Ge2Cl6,Ge2Br6,GeHCl3 ,Ge
HBr3 ,GeHI3 ,Ge2Cl33などのハロゲン
化ゲルマニウム化合物、CH4 ,C26,C38などの
メタン列炭化水素、C24,C36などのエチレン列炭
化水素、C66などの環状炭化水素、CF4 ,(C
25,(CF26,(CF24,C26,C38,C
HF 3 ,CH22,CCl4 ,(CCl25,CBr
4 ,(CBr25,C2Cl6,C2Br6,CHCl3
CHI3 ,C2Cl33 などのハロゲン化炭素化合物、
SnH4 ,Sn(CH34などのスズ化合物、Pb(C
34,Pb(C25 6 などの鉛化合物などを挙げる
ことができる。これらの化合物は、一種で用いても二種
以上混合して用いてもよい。
【0124】また、上述したIV族半導体あるいはIV族合
金半導体を価電子制御するために用いられる価電子制御
剤としては、p型の不純物として、周期律表第 III族の
元素、たとえばB,Al,Ga,In,Tlなどが好適
なものとして挙げられ、また、n型不純物として、周期
律表第 V族の元素、たとえばN,P,As,Sb,Bi
などが好適なものとして挙げられる。ことに、B,G
a,P,Sbなどが最適である。ドーピングされる不純
物の量は、要求される電気的および光学的特性に応じて
適宜決定される。このような不純物導入用の原料物質と
しては、常温常圧でガス状態の、または、少なくとも膜
形成条件下で容易にガス化し得るものが採用される。そ
のような不純物導入用の出発物質としては、具体的に
は、PH3 ,P24,PF3 ,PF5 ,PCl3 ,As
3 ,AsF3 ,AsF5 ,AsCl 3 ,SbH3 ,S
bF5 ,BiH3 ,BF3 ,BCl3 ,BBr3 ,B2
6,B 410 ,B59,B511 ,B610 ,B612
,AlCl3 などを挙げることができる。上記の不純
物元素を含む化合物は、一種用いても二種以上併用して
もよい。
【0125】上述したII−VI族化合物半導体を形成する
ために用いられる、周期律表第II族元素を含む化合物と
しては、具体的には、Zn(CH32,Zn(C25
2 ,Zn(OCH32,Zn(OC252 ,Cd(C
32,Cd(C252 ,Cd(C372 ,Cd
(C492,Hg(CH32,Hg(C252 ,H
g(C652 ,Hg[C=(C65)〕2 などが挙げ
られる。また、周期律表第VI族元素を含む化合物として
は、具体的には、NO,N2O ,CO2 ,CO,H2
,SCl2 ,S2Cl2,SOCl2 ,SeH2 ,Se
Cl2 ,Se2Br2,Se(CH32,Se(C25
2 ,TeH2 ,Te(CH32,Te(C252 など
が挙げられる。もちろん、これらの原料物質は一種のみ
ならず二種以上混合して使用することもできる。
【0126】このII−VI族化合物半導体を価電子制御す
るために用いられる価電子制御剤としては、周期律表
I,III,IV,V族の元素を含む化合物などを有効なものと
して挙げることができる。具体的には、第 I族元素を含
む化合物としては、LiC37,Li(sec−C
49),Li2S ,Li3N などが好適なものとして挙
げることができる。また、第 III族元素を含む化合物と
しては、BX3 ,B26,B 410 ,B59,B5
11 ,B610 ,B(CH33,B(C253 ,B6
1 2 ,AlX3 ,Al(CH32Cl,Al(C
33,Al(OCH33,Al(CH3)Cl2,Al
(C253 ,Al(OC253 ,Al(CH33
3 ,Al(i−C493 ,Al(i−C373
Al(C373 ,Al(OC493,GaX3 ,G
a(OCH33,Ga(OC253 ,Ga(OC
373 ,Ga(OC493 ,Ga(CH33,Ga
26,GaH(C252,Ga(OC25)(C
252 ,In(CH33,In(C373 ,In
(C493 、第 V族元素を含む化合物としては、NH
3 ,NH3 ,N253,N24,NH43,PX3
P(OCH33,P(OC253 ,P(OC37
3 ,P(OC493 ,P(CH33,P(C25
3 ,P(C373,P(C493 ,P(SCN)
3 ,P24,PH3 ,AsH3 ,AsX3 ,As(OC
33,As(OC253 ,As(OC373 ,A
s(OC49 3 ,As(CH33,As(C25
3 ,As(C653 ,SbX3 ,Sb(OCH33
Sb(OC253 ,Sb(OC373 ,Sb(OC
493 ,Sb(CH33,Sb(C373 ,Sb
(C493 などが挙げられる。なお、Xは、ハロゲン
元素(F,Cl,Br,I)を示す。もちろん、これら
の原料物質は一種であってもよいが、二種またはそれ以
上を併用してもよい。さらに、第IV族元素を含む化合物
としては、前述した化合物を用いることができる。
【0127】上述した第III−V族化合物半導体を形成す
るために用いられる、周期律表第 III族元素を含む化合
物としては、第II−VI族化合物半導体を価電子制御する
ために用いられる第 III族元素を含む化合物として上述
したものをそのまま使用することができ、また、周期律
表第 V族元素を含む化合物としては、第II−VI族化合物
半導体を価電子制御するために用いられる第 V族元素を
含む化合物として上述したものを同様にそのまま使用す
ることができる。もちろん、これらの原料物質は一種で
あってもよいが、二種またはそれ以上を併用してもよ
い。
【0128】この第III−V族化合物半導体を価電子制御
するために用いられる価電子制御剤としては、周期律表
第II,IV,VI族の元素を含む化合物などを有効なものとし
て挙げることができる。このような化合物としては、上
述した第II族元素を含む化合物、上述した第IV族元素を
含む化合物、上述した第VI族元素を含む化合物をそれぞ
れ使用することができる。
【0129】上述した各原料ガスは、He,Ne,A
r,Kr,Xeなどの希ガス、あるいは、H2 ,HF,
HClなどの希釈ガスと混合して堆積膜形成装置に導入
してもよい。また、これら希ガスや希釈ガスを原料ガス
とは独立に堆積膜形成装置に導入するようにしてもよ
い。
【0130】B.本発明の第2の参考例に係る堆積膜形
成方法について 本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方法は、複数の
成膜空間を有する真空容器内で、少なくとも一つ以上の
成膜空間には一種以上のガス種よりなる原料ガスに補助
ガスを混合して導入し、残りの成膜空間には原料ガスを
導入するとともに、各成膜空間にマイクロ波電力を導入
してプラズマを生起させて、長尺基板上に堆積膜を連続
的に形成するときに、各成膜空間内の圧力を50mTo
rr以下とし、各成膜空間内に導入するマイクロ波電力
を、堆積膜の堆積速度を制限する範囲内でそれぞれ制御
し、長尺基板をその長手方向に連続的に移動させ、各成
膜空間内を順次貫通させて、長尺基板上に堆積膜を形成
する。
【0131】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法によって形成される組成制御された機能性堆積膜とし
ては、SiGe,SiC,GeC,SiSn,GeS
n,SnCなどのいわゆるIV族合金半導体薄膜、GaA
s,GaP,GaSb,InP,InAsなどのいわゆ
るIII−V族化合物半導体薄膜、ZnSe,ZnS,Zn
Te,CdS,CdSe,CdTeなどのいわゆる第II
−VI族化合物半導体薄膜、CuAlS2 ,CuAlSe
2 ,CuAlTe2 ,CuInS2 ,CuInSe2
CuInTe2 ,CuGAs2 ,CuGaSe2 ,Cu
GaTe,AgInSe2 ,AgInTe2 などのいわ
ゆる第I−III−VI族化合物半導体薄膜、ZnSiP2
ZnGeAs2 ,CdSiAs2 ,CdSnP2 などの
いわゆる第II−IV−V族化合物半導体薄膜、Cu2O,T
iO2 ,In23,SnO2 ,ZnO,CdO,Bi2
3,CdSnO4 などのいわゆる酸化物半導体薄膜、
および、これらの半導体を価電子制御するために価電子
制御元素を含有させたものを挙げることができる。ま
た、Si,Ge,Cなどのいわゆる第IV族半導体薄膜に
価電子制御元素を含有させたものを挙げることができ
る。もちろん、a−Si:H,a−Si:H:Fなどの
非晶質半導体において、水素および/またはフッ素含有
量を変化させたものであってもよい。
【0132】上述した半導体薄膜において組成制御を行
うことにより禁制帯幅制御,価電子制御,屈折率制御お
よび結晶制御などが行われる。帯状の長尺基板(帯状部
材)上に、縦方向または横方向に組成制御された機能性
堆積膜を形成させることにより、電気的,光学的および
機械的に優れた特性を有する大面積薄膜半導体デバイス
を作成することができる。すなわち、堆積形成された半
導体層の縦方向に禁制帯幅および/または価電子密度を
変化させることによりキャリアの走行性を高めたり、半
導体界面でのキャリアの再結合を防止することで電気的
特性が向上する。また、屈折率を連続的に変化させるこ
とにより光学的無反射面とすることで、半導体層中への
光透過率を向上させることができる。さらには、水素含
有量などを変化させることにより構造的変化を付けるこ
とで応力緩和がなされ、基板との密着性の高い堆積膜を
形成することができる。また、横方向に結晶性の異なる
半導体層を形成させることにより、たとえば、非晶質半
導体で形成される光電変換素子と結晶質半導体で形成さ
れるスイッチング素子とを同時に同一基板上に連続形成
することができる。
【0133】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法では、主原料ガスが各ガス導入手段から各成膜空間に
それぞれ導入されるとともに、補助ガスが各ガス導入手
段のうち少なくとも一つ以上のガス導入手段から主原料
ガスと混合されて長尺基板上に導入される。ここで、混
合ガスの混合比は、機能性堆積膜の所望の組成制御を行
うために適宜選択することができる。また、主原料ガス
は、一種または複数種類の混合ガスでも構わない。さら
に、補助ガスは、主原料ガスにさらに別種の原料ガスを
一種または複数種類混合したガスからなるものである。
【0134】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法において主原料ガスおよび補助ガスとして好適に用い
られるものとしては、以下に示すものを挙げることがで
きる。
【0135】第IV族半導体または第IV族合金半導体薄膜
を形成するために好適に用いられる周期律表第IV族元素
を含む化合物としては、Si原子,Ge原子,C原子,
Sn原子,Pb原子を含む化合物であって、具体的に
は、SiH4 ,Si26,Si 38,Si36,Si4
8,Si510 などのシラン系化合物、SiF4
(SiF25,(SiF26,(SiF24,Si
26,Si38,SiHF3 ,SiH22,Si22
4 ,Si233 ,SiCl4 ,(SiCl25,Si
Br4 ,(SiBr25,Si2Cl6,Si2Br6,S
iHCl3 ,SiHBr3,SiHI3 ,Si2Cl33
などのハロゲン化シラン化合物、GeH4 ,Ge 26
などのゲルマン化合物、GeF4 ,(GeF25,(G
eF26,(GeF 24,Ge26,Ge38,GeH
3 ,GeH22,Ge224 ,Ge233 ,Ge
Cl4 ,(GeCl25,GeBr4 ,(GeB
25,Ge2Cl6,Ge2Br6,GeHCl3 ,Ge
HBr3 ,GeHI3 ,Ge2Cl33 などのハロゲン
化ゲルマニウム化合物、CH4 ,C26,C38などの
メタン列炭化水素ガス、C24,C36などのエチレン
列炭化水素ガス、C66などの環式炭化水素ガス、CF
4 ,(CF25,(CF26,(CF24,C26,C
38,CHF3 ,CH22,CCl4 ,(CCl25
CBr4 ,(CBr25,C2Cl6,C2Br6,CHC
3 ,CHI3 ,C2Cl33 などのハロゲン化炭素化
合物、SnH4 ,Sn(CH34などのスズ化合物、P
b(CH34,Pb(C256 などの鉛化合物などを
挙げることができる。これらの化合物は一種で用いても
二種以上混合して用いてもよい。
【0136】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法では、これらの化合物を適宜混合して用いることによ
り所望の組成制御が行われる。本発明の第2の参考例に
係る堆積膜形成方法において形成される第IV族半導体、
または、第IV族合金半導体を価電子制御するために用い
られる補助ガスの価電子制御剤としては、p型の不純物
として、周期律表第 III族の元素、たとえば、B,A
l,Ga,In,Tlなどが好適なものとして挙げら
れ、n型不純物としては、周期律表第 V族の元素、たと
えば、N,P,As,Sb,Biなどが好適なものとし
て挙げられるが、殊に、B,Ga,P,Sbなどが最適
である。ドーピンングされる不純物の量は、所望される
電気的および光学的特性に応じて適宜決定される。
【0137】このような不純物導入用の原料物質として
は、常温常圧でガス状態の、または、少なくとも膜形成
条件下で容易にガス化し得るものが採用される。そのよ
うな不純物導入用の出発物質としては、具体的に、PH
3 ,P24,PF3 ,PF5,PCl3 ,AsH3 ,A
sF3 ,AsF5 ,AsCl3 ,SbH3 ,SbF5
BiH3 ,BF3 ,BCl3 ,BBr3 ,B26,B4
10 ,B59,B51 1 ,B610 ,B612 ,Al
Cl3 などを挙げることができる。上記の不純物元素を
含む化合物は、一種で用いてもよく、二種以上併用して
もよい。
【0138】第II族および第VI族化合物半導体を形成す
るために用いられる周期律表第II族元素を含む化合物と
しては、具体的には、Zn(CH32,Zn(C25
2 ,Zn(OCH32,Zn(OC252 ,Cd(C
32,Cd(C252 ,Cd(C372 ,Cd
(C492 ,Hg(CH32,Hg(C252 ,H
g(C652 ,Hg[C=(C65)]2 などが挙げ
られる。また、周期律表第VI族元素を含む化合物として
は、具体的には、NO,N2O ,CO2 ,CO,H2
,SCl2 ,S2Cl2,,SOCl2 ,SeH2 ,S
eCl2 ,Se2Br2,Se(CH32,Se(C
252 ,TeH2 ,Te(CH32,Te(C25
2などが挙げられる。もちろん、これらの原料物質は一
種のみならず二種以上混合して使用することもできる。
【0139】第II−VI族化合物半導体を価電子制御する
ために用いられる補助ガスの価電子制御剤としては、周
期律表第 I,III,IV,V族の元素を含む化合物などを有
効なものとして挙げることができる。具体的には、第 I
族元素を含む化合物としては、LiC37,Li(se
c−C49),Li2S ,Li3N などが好適なものと
して挙げることができる。また、第 III族元素を含む化
合物としては、BX3,B26,B410 ,B59,B5
11 ,B610 ,B(CH33,B(C253 ,B6
12 ,AlX3 ,Al(CH32Cl,Al(CH3
3,Al(OCH33,Al(CH3)Cl2,Al(C2
53 ,Al(OC253 ,Al(CH33Cl
3 ,Al(i−C493 ,Al(i−C373 ,A
l(C373 ,Al(OC493 ,GaX3 ,Ga
(OCH33,Ga(OC253,Ga(OC373
,Ga(OC493 ,Ga(CH33,Ga26
GaH(C252 ,Ga(OC25)(C252
In(CH33,In(C473 ,In(C493
などが挙げられる。さらに、第 V族元素を含む化合物と
しては、NH3 ,HN3 ,N253 ,N24,NH4
3,PX3 ,P(OCH33,P(OC253 ,P
(C373 ,P(OC493 ,P(CH33,P
(C253 ,P(C373 ,P(C493 ,P
(OCH33,P(OC253 ,P(OC373
P(OC493 ,P(SCN)3 ,P24,PH3
AsH3 ,AsX3 ,As(OCH33,As(OC2
53 ,As(OC373 ,As(OC493
As(CH33,As(CH33,As(C253
As(C653 ,SbX3 ,Sb(OCH33,Sb
(OC253 ,Sb(OC373 ,Sb(OC
493 ,Sb(CH33,Sb(C373 ,Sb
(C493 などが挙げられる。なお、上記において、
Xはハロゲン(F,Cl,Br,I)を示す。もちろ
ん、これらの原料物質は一種であってもよいが、二種ま
たはそれ以上を併用してもよい。また、第IV族元素を含
む化合物としては、前述した化合物を用いることができ
る。
【0140】第III−V族化合物半導体を形成するために
用いられる周期律表第 III族元素を含む化合物として
は、具体的には、BX3 ,B26,B410 ,B59
51 1 ,B610 ,B612 ,AlX3 ,Al(CH
32Cl,Al(CH33,Al(OCH33,Al
(CH3)Cl2,Al(C253 ,Al(OC25
3,Al(CH33Cl3 ,Al(i−C493 ,A
l(i−C373 ,Al(C373 ,Al(OC4
93 ,GaX3 ,Ga(OCH33,Ga(OC 2
53 ,Ga(OC373 ,Ga(OC493 ,G
a(CH33,Ga26,GaH(C252 ,Ga
(OC25)(C252 ,In(CH33,In(C
373 ,In(C493 などが挙げられる。また、
周期律表第 V族元素を含む化合物としては、具体的に
は、NH3 ,HN3 ,N253 ,N24,NH43
PX3 ,P(OCH33,P(OC253 ,P(C3
73 ,P(OC493 ,P(CH33,P(C2
53 ,P(C373 ,P(C493 ,P(OC
33,P(OC253 ,P(OC373 ,P(O
49 3 ,P(SCN)3 ,P24,PH3 ,AsX
3 ,AsH3 ,As(OCH33,As(OC25
3 ,As(OC373 ,As(OC493 ,As
(CH 33,As(CH33,As(C253 ,As
(C653 ,SbX3 ,Sb(OCH33,Sb(O
253 ,Sb(OC373 ,Sb(OC
493,Sb(CH33,Sb(C373 ,Sb
(C493 などが挙げられる。ただし、Xはハロゲン
原子、具体的には、F,Cl,BrおよびIの中から選
ばれる少なくとも一つを表わす。もちろん、これらの原
料物質は一種あるいは二種以上混合して用いることがで
きる。
【0141】第III−V族化合物半導体を価電子制御する
ために用いられる補助ガスの価電子制御剤としては、周
期律表第II,IV,VI族の元素を含む化合物などを有効な
ものとして挙げることができる。具体的には、第II族元
素を含む化合物としては、Zn(CH32,Zn(C2
52 ,Zn(OCH32,Zn(OC252 ,C
d(CH32,Cd(C252 ,Cd(C372
Cd(C492 ,Hg(CH32,Hg(C25
2 ,Hg(C652 ,Hg[C≡C(C65)] 2
どを挙げることができる。また、第VI族元素を含む化合
物としては、NO,N2O ,CO2 ,CO,H2S ,S
Cl2 ,S2Cl2,SOCl2 ,SeH2 ,SeCl
2 ,Se2Br2,Se(CH32,Se(C252
TeH2 ,Te(CH32,Te(C252 などを挙
げることができる。もちろん、これらの原料物質は一種
であってもよいが、二種またはそれ以上を併用してもよ
い。さらに、第IV族元素を含む化合物としては、前述し
た化合物を挙げることができる。前述した原料化合物
は、He,Ne,Ar,Kr,Xe,Rnなどの希ガ
ス、およびH2 ,HF,HClなどの希釈ガスと混合し
て導入されてもよい。
【0142】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法において配設されるガス導入手段の数は、一つの成膜
空間内に少なくとも一個またはそれ以上であることが望
ましい。そして、各ガス導入手段はパイプ状のガス導入
管で構成され、その側面には一列または複数列のガス放
出口が開けられている。ガス導入管を構成する材質とし
ては、マイクロ波プラズマ中で損傷を受けることがない
ものが好適に用いられる。具体的には、ステンレススチ
ール,ニッケル,チタン,ニオブ,タンタル,タングス
テン,バナジウム,ミリブデンなど耐熱性金属、およ
び、これらをアルミナ,窒化ケイ素,石英などのセラミ
ックス上に溶射処理などをしたもの、そして、アルミ
ナ,窒化ケイ素,石英などのセラミクス単体および複合
体で構成されるものなどを挙げることができる。
【0143】ガス導入手段は、成膜空間の一部を形成す
る長尺基板の幅方向と平行に配設され、ガス放出口は長
尺基板に向けられている。
【0144】マイクロ波放電手段に導入されるマイクロ
波電力はそれぞれ、マイクロ波電力が長尺基板(帯状部
材)上の堆積膜の堆積速度を制限する範囲で適宜制御さ
れる。各原料ガス流量をパラメータとして、長尺基板上
の堆積速度とマイクロ波電力との関係を実験で求めた結
果の一例を図16(A),(B)にそれぞれ示す。図1
6(A),(B)より、各原料ガス流量において、マイ
クロ波電力の低電力域で、堆積速度が直線的に上昇する
領域(すなわち、マイクロ波電力制限領域)が存在する
ことがわかる。なお、実験条件などの詳細については後
述する。
【0145】3個のマイクロ波放電手段はそれぞれ、長
尺基板の幅方向を平行な方向に向けられたマイクロ波ア
プリケータ手段を長尺基板の長手方向に順に配設してな
り、マイクロ波エネルギーをマイクロ波アプリケータ手
段を介して長尺基板の通過する成膜空間内に放射する構
造になっている。そして、マイクロ波アプリケータ手段
は、具体的には、マイクロ波伝送用導波管の先端部分に
マイクロ波透過性部材を、気密保持が可能な状態に取り
付けたものが好ましく用いられる。そして、マイクロ波
アプリケータ手段は、マイクロ波伝送用導波管と同一規
格のものであってもよいし、他の規格のものであっても
よい。また、マイクロ波アプリケータ手段中でのマイク
ロ波の伝送モードは、成膜空間でのマイクロ波エネルギ
ーの伝送を効率よく行わせしめ、かつ、マイクロ波プラ
ズマを安定して生起,維持,制御せしめる上で、単一モ
ードとなるように、マイクロ波アプリケータの寸法およ
び形状などが設計されるのが望ましい。ただし、複数モ
ードが伝送されるようなものであっても、使用する原料
ガス,圧力およびマイクロ波電力などのマイクロ波プラ
ズマ生起条件を適宜選択することによって使用すること
もできる。単一モードとなるように設計される場合の伝
送モードとしては、たとえば、TE10モード,TE11
ード,eH1 モード,TM11モード,TM01モードなど
を挙げることができるが、好ましくはTE10モード,T
11モードおよびeH1 モードが選択される。そして、
マイクロ波アプリケーター手段には、上述の伝送モード
が伝送可能な導波管が接続され、好ましくは導波管中の
伝送モードとマイクロ波アプリケーター手段中の伝送モ
ードとは一致させるのが望ましい。導波管の種類として
は、使用されるマイクロ波の周波数帯(バンド)および
モードによって適宜選択され、少なくともそのカットオ
フ周波数は使用される周波数よりも小さいものであるこ
とが好ましく、具体的には、JIS,EIAJ,IE
C,JANなどの規格の方形導波管,円形導波管または
楕円波管などの他、2.45GHzのマイクロ波用の自
社規格として、方形の断面の内径で幅96mm×高さ2
7mmのものなどを挙げることができる。
【0146】成膜空間内で生起するマイクロ波プラズマ
のプラズマ電位を制御するために、成膜空間内に、バイ
アス電圧を印加するためのバイアス棒を配設してもよ
い。そして、複数のバイアス棒に印加されるバイアス電
圧はそれぞれ等しくても、また、互いに異なっていても
よい。バイアス電圧としては、直流,脈流および交流電
圧を単独またはそれぞれ重量させて印加させることが望
ましい。バイアス電圧を印加し、プラズマ電位を制御す
ることによって、プラズマの安定性,再現性および膜特
性の向上,欠陥の低減が図られる。
【0147】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方
法において好適に用いられる長尺基板の材質としては、
マイクロ波プラズマCVD方による機能性堆積膜形成時
に必要とされる温度において変形および歪みが少なく、
所望の強度を有し、また、導電性を有するものであるこ
とが好ましい。具体的には、ステンレススチール,アル
ミニウムおよびその合金、鉄およびその合金、銅および
その合金などの金属の薄板およびその複合体、および、
それらの表面に異種材質の金属薄膜および/またはSi
2 ,Si34,Al23,AlNなどの絶縁性薄膜を
スパッタ法,蒸着法,鍍金法などにより表面コーティン
グ処理を行ったもの、また、ポリイミド,ポリアミド,
ポリエチレンテレフタレート,エポキシなどの耐熱性樹
脂性シート、または、これらとガラスファイバー,カー
ボンファイバー,ホウ素ファイバー,金属繊維などとの
複合体の表面に、金属単体または合金および透明導電性
酸化物(TCO)などを鍍金,蒸着,スパッタ,塗布な
どの方法で導電性処理を行ったものが挙げられる。
【0148】また、長尺基板の厚さとしては、搬送手段
による搬送時間に形成される湾曲形状が維持される強度
を発揮する範囲内であれば、コストおよび収納スペース
などを考慮して可能な限り薄い方が望ましい。具体的に
は、好ましくは、0.01mm乃至5mm、より好まし
くは0.02mm乃至2mm、最適には、0.05mm
乃至1mmであることが望ましいが、比較的金属などの
薄板を用いた方が厚さを薄くしても所望の強度が得られ
やすい。
【0149】また、長尺基板の幅寸法については、マイ
クロ波アプリケータ手段を用いた場合において、その長
手方向に対するマイクロ波プラズマの均一性が保たれ、
かつ、湾曲形状が維持される程度であることが好まし
く、具体的には、好ましくは5cm乃至100cm、よ
り好ましくは10cm乃至80cmであることが望まし
い。
【0150】さらに、長尺基板の長さについては、特に
制限されることなく、ロール状に巻き取られる程度の長
さであってもよく、長尺のものを溶接などによってさら
に長尺化したものであってもよい。
【0151】長尺基板を太陽電池用の基板として用いる
場合には、金属などの電気導電性である場合には、直
接、電流取り出し用の電極としてもよい。一方、合成樹
脂などの電気絶縁性である場合には、堆積膜の形成され
る側の表面にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,M
o,W,Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真ちゅ
う,ニクロム,SnO2 ,In23,ZnO,SnO2
−In23 (ITO)などのいわゆる金属単体又また
は合金、および、透明導電性酸化物(TCO)を鍍金,
蒸着およびスパッタなどの方法であらかじめ表面処理を
行って電流取り出し用の電極を形成しておくことが望ま
しい。
【0152】もちろん、長尺基板が金属などの電気導電
性のものであっても、長波長光の基板表面上での反射率
を向上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元素
の相互拡散を防止したり短絡防止用の干渉層とするなど
の目的で異種の金属層などを長尺基板上の堆積膜が形成
される側に設けてもよい。また、長尺基板が比較的透明
であって、長尺基板の側から光入射を行う層構成の太陽
電池とする場合には、透明導電性酸化物や金属薄膜など
の導電性薄膜をあらかじめ堆積形成しておくことが望ま
しい。
【0153】長尺基板の表面性としては、いわゆる平滑
面であっても、微小の凹凸面であってもよい。微小の凹
凸面とする場合には、その凹凸形状は球状,円錐状およ
び角錐状などであって、かつ、その最大高さ(Rma
x)は好ましくは500Å乃至5000Åとすることに
より、表面での光反射が乱反射となり、表面での反射光
の光路長の増大をもたらす。
【0154】次に、本発明の第2の参考例に係る堆積膜
形成方法をより詳細に説明するために、図面を参照して
説明する。
【0155】図17は、本発明の第2の参考例に係る堆
積膜形成方法の一実施例が実現可能な堆積膜形成装置30
0 の構成を示す概略断面図であり、図18は、図17に
示した各成膜空間3021〜3023の構成を示す概略斜視図で
ある。
【0156】堆積膜形成装置300 は、概ね直方体形状の
真空容器301 と、真空容器301 内に設けられた第1乃至
第3の成膜空間3021〜3023とを含む。ここで、真空容器
301は金属製であって、接地されている。堆積膜が形成
される帯状の長尺基板1は、真空容器301 の図示左側
(すなわち、搬入側)の側壁に取り付けられた第1のガ
スゲート321 を経て真空容器301 内に導入され、第1の
成膜空間3021と第2の成膜空間3022と第3の成膜空間30
23とをそれぞれ貫通し、真空容器301 の図示右側(すな
わち、搬出側)の側壁に取り付けられた第2のガスゲー
ト322 を通って真空容器301 の外部に排出される。第1
および第2のガスゲート321,322には、ゲートガスを供
給するための第1および第2のゲートガス供給管323,3
24がそれぞれ接続されている。帯状の長尺基板1は、搬
入側の第1のガスゲート321 に接続された基板送出容器
(不図示)から、搬出側の第2のガスゲート322 に接続
された基板巻取容器(不図示)に向けて、連続的に移動
させられる。また、真空容器301 には、真空容器301 内
を直接排気するための排気管(不図示)が取り付けられ
ており、排気管は真空ポンプなどの排気手段(不図示)
に接続されている。
【0157】第1乃至第3の成膜空間3021〜3023には、
第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033が、帯状の長尺
基板1の幅方向に平行に、かつ、帯状の長尺基板1の移
動方向に沿って並ぶようにそれぞれ取り付けられてい
る。第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033は、第1乃
至第3の成膜空間3021〜3023内にマイクロ波エネルギー
をそれぞれ導入するためのものであり、第1乃至第3の
導波管3041〜3043を介してマイクロ波電源(不図示)に
それぞれ接続されている。また、第1乃至第3のアプリ
ケータ3031〜3033の第1乃至第3の成膜空間3021〜3023
への取り付け部位はそれぞれ、マイクロ波を透過する材
料からなる第1乃至第3のマイクロ波導入窓3051〜3053
となっている。
【0158】また、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023
の底面には、図18に示すように、原料ガスを導入する
ための第1乃至第3のガス導入手段3061〜3063がそれぞ
れ取り付けられており、また、第1乃至第3のアプリケ
ータ3031〜3033と互いに対向する側(すなわち、図18
図示手前側)の側壁には、第1乃至第3の排気パンチン
グボード3071〜3073がそれぞれ取り付けられている。第
1乃至第3のガス導入手段3061〜3063の表面には、原料
ガスを放出するための多数のガス放出孔が設けられてい
る。第1乃至第3のガス導入手段3061〜3063は、第1乃
至第3のガス供給管3081〜3083を介してガスボンベなど
の原料ガス供給源(不図示)にそれぞれ接続されてい
る。また、第1および第2の排気管3091,3092は、第1
および第2の排気スロットルバルブ3101,3102を介して
真空ポンプなどの排気手段(不図示)にそれぞれ接続さ
れている。
【0159】真空容器301 の、帯状の長尺基板1を挟ん
で第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033と反対側の部
分には、多数の赤外線ランプヒーター311 と、赤外線ラ
ンプヒーター311 からの放射熱を効率よく帯状の長尺基
板1に集中させるためのランプハウス312 とが設けられ
ている。また、赤外線ランプヒーター311 で加熱された
帯状の長尺基板1の温度を監視するための熱電対313
が、帯状の長尺基板1に接触して設けられている。
【0160】次に、堆積膜形成装置300 の動作について
説明する。
【0161】堆積膜形成装置300 を貫通するように、搬
入側の第1のガスゲート321 に接続された基板送出容器
から、搬出側の第2のガスゲート322 に接続された基板
巻取容器にまで、帯状の長尺基板1を張りわたしたの
ち、第1および第2の排気管3091,3092を通じて真空容
器301 内と第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内とを真
空に排気する。所定の真空度に到達したら、第1および
第2のゲートガス供給管323,324からゲートガスを第1
および第2のガスゲート321,322にそれぞれ供給する。
ゲートガスは、主として、真空容器301 に取り付けられ
た第1および第2の排気管3091,3092から排気されるこ
とになる。
【0162】続いて、熱電対313 の出力を監視しなが
ら、各赤外線ランプヒーター311 を作動させることによ
り、帯状の長尺基板1を所定の温度にまで加熱する。そ
して、第1乃至第3のガス供給管3081〜3083から第1乃
至第3のガス導入手段3061〜3063に原料ガスを供給し、
原料ガスを第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内にそれ
ぞれ放出させる。第1および第3のガス導入手段3061
3063に供給される原料ガスはそれぞれ、堆積膜の原料と
なる物質を一種または複数種類含有しており、また、第
2のガス導入手段3062に供給される原料ガスは、補助ガ
スとの混合ガスとなっている。その後、第1乃至第3の
導波管3041〜3043を介してマイクロ波電力を第1乃至第
3のアプリケータ3031〜3033に印加したのち、基板送出
容器内に設けられた基板送出手段(不図示)と基板巻取
容器内に設けられた基板巻取手段(不図示)とをそれぞ
れ作動させ、帯状の長尺基板1を基板送出容器から基板
巻取容器に向けて連続的に移動させる。
【0163】このようにすることで、マイクロ波プラズ
マによって原料ガスが分解され、帯状の長尺基板1の移
動方向の位置によって堆積膜の組成が異なることにな
る。さらに、第1および第3のアプリケータ3031,3033
に印加するマイクロ波電力をそれぞれ制御することによ
り、第1および第3の成膜空間3021,3023での帯状の長
尺基板1上の堆積速度を制御することが可能となる。そ
の結果、帯状の長尺基板1上の堆積膜の膜厚方向に対す
る組成制御が可能となる。
【0164】次に、図17に示した堆積膜形成装置300
を組込んだ連続堆積膜形成装置400について、図19を
参照して説明する。
【0165】連続堆積膜形成装置400 は、pin接合を
有する半導体素子を帯状の長尺基板1上に形成するのに
適したものであり、基板送出容器410 と第1の不純物層
形成用真空容器420 と堆積膜形成装置430 と第2の不純
物層形成用真空容器450 と基板巻取容器460 とが第1乃
至第4のガスゲート471〜474によって直列に接続された
構成となっている。以下、連続堆積膜形成装置400 の各
構成要素について、簡単に説明する。
【0166】(1)基板送出容器410 基板送出容器410 は、帯状の長尺基体1を格納して、基
板巻取容器460 に向けて送り出すためのものであり、帯
状の長尺基体1が巻かれるボビン411 が装着されるよう
になっている。基板送出容器410 は、排気管412 を介し
て排気手段(不図示)に接続されている。排気管412 の
途中には、基板送出容器410 内の圧力を制御するための
スロットルバルブ413 が設けられている。基板送出容器
410 には、圧力計414 と、帯状の長尺基板1を加熱する
ためのヒーター415 と、帯状の長尺基板1を支持,搬送
するための搬送ローラ416 とが設けられている。ボビン
411 には、帯状の長尺基板1を送り出すための基板送出
機構(不図示)が接続されている。
【0167】(2)第1の不純物層形成用真空容器420 第1の不純物層形成用真空容器420 はp型半導体層を形
成するためのものであり、排気管421 を介して排気手段
(不図示)に接続されている。排気管421 の途中には、
第1の不純物層形成用真空容器420 の内圧を制御するた
めのスロットルバルブ422 が設けられている。帯状の長
尺基板1は、2本の搬送ローラ423 で支持され、さら
に、その横幅方向の端部が支持リング424 で支持される
ことにより、第1の不純物層形成用真空容器420 の内部
では、概ね円筒状の空間の側面を沿うように移動する。
そして、この円筒状の空間の中心部には、原料ガス導入
管425 が設けられており、この円筒状の空間の頂面にあ
たる部分には、マイクロ波をこの円筒状の空間に導入す
るためのアプリケータ427 が設けられている。なお、ア
プリケータ427 は、マイクロ波電源(不図示)に接続さ
れている。帯状の長尺基板1を加熱するためのヒーター
428 が、第1の不純物層形成用真空容器420 内に設けら
れている。
【0168】(3)第2の不純物層形成用真空容器450 第2の不純物層形成用真空容器450 は、第1の不純物層
形成用真空容器420 と同様の構成をしている。
【0169】(4)基板巻取容器460 基板巻取容器460 は、堆積膜が形成された帯状の長尺基
板1を巻取るためのものであり、基板送出容器410 と同
様の構成をしている。ただし、帯状の長尺基板1を巻き
取るため、ボビン461 には、基板巻取機構(不図示)が
接続されている。
【0170】(5)第1乃至第4のガスゲート471〜474 第1乃至第4のガスゲート471〜474には、ゲートガスを
供給するための第1乃至第4のゲートガス供給管475〜4
78がそれぞれ接続されている。
【0171】次に、連続堆積膜形成装置400 の動作につ
いて、pin接合を有する半導体素子を形成する場合を
例として説明する。
【0172】帯状の長尺基板1を基板送出容器410 から
基板巻取容器460 に向けて張りわたす。その後、基板送
出容器410 内と第1の不純物層形成用真空容器420 内と
堆積膜形成装置430 内と第2の不純物層形成用真空容器
450 内と基板巻取容器460 内とをそれぞれ排気したの
ち、所定の真空度に到達したら、第1乃至第4のガスゲ
ート471〜474内にゲートガスをそれぞれ供給する。
【0173】続いて、第1の不純物層形成用真空容器42
0 内に、p型半導体層を形成するための原料ガスを供給
し、また、堆積膜形成装置430 内にi型半導体層を形成
するための原料ガスを供給し、さらに、第2の不純物層
形成用真空容器450 内に、n型半導体層を形成するため
の原料ガスを供給する。その後、第1および第2の不純
物層形成用真空容器420,450内と堆積膜形成装置430 内
とにマイクロ波電力をそれぞれ供給するとともに、帯状
の長尺基板1を基板送出容器410 から基板巻取容器460
に向けて移動させることによって、第1および第2の不
純物層形成用真空容器420,450内と堆積膜形成装置430
内とにおいてプラズマをそれぞれ生起させ、帯状の長尺
基板1の上に堆積膜を形成する。
【0174】このとき、帯状の長尺基板1は第1の不純
物層形成用真空容器430 ,堆積膜形成装置430 および第
2の不純物層形成用真空容器450 と連続的に移動するた
め、帯状の長尺基板1上には、pin接合を有する半導
体素子が形成されることになる。なお、堆積膜形成装置
430 では、上述したように、堆積膜の膜厚方向に対して
組成の分布をもたせることができるので、形成された半
導体素子のi型半導体層の膜厚方向に対してバンドギャ
ップやフェルミレベルを変化させることができる。
【0175】図17に示した堆積膜形成装置300 におい
て、帯状の長尺基板1上に形成される堆積膜の基礎物性
を調べるために、帯状の長尺基板1の第1乃至第3の成
膜空間3021〜3023の側面にガラス基板を幅方向および長
手方向に任意に設置して、堆積を行った。このとき、第
1乃至第3の成膜空間3021〜3023には、第1乃至第3の
ガス導入手段3061〜3063よりSiH4 ガスをそれぞれ導
入した。また、第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033
のマイクロ波電力を変化させて、マイクロ波プラズマを
第1乃至第3の成膜空間3021〜3023にそれぞれ生起させ
た。さらに、帯状の長尺基板1の温度は300℃一定に
保持し、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内の圧力は
それぞれ、8mTorrとした。
【0176】図16(A)は、SiH4 流量をパラメー
タとして帯状の長尺基板1上の堆積速度とマイクロ波電
力との相関を測定した結果を示すものである。同図よ
り、各SiH4 流量について、堆積速度がマイクロ波電
力に比例して直線的に増加する領域、すなわち、マイク
ロ波電力の供給量でSiH4 の分解量が制限される結果
として堆積速度が制限を受ける「マイクロ波電力制限領
域」の存在が確認できた。さらに、マイクロ波電力を増
加させると、堆積速度は飽和して一定値で安定化するこ
とがわかった。
【0177】図16(B)は、SiH4 ガスにGeH4
ガスを30%の割合で混合した場合の堆積速度とマイク
ロ波電力との相関を測定した結果を示すものである。G
eH 4 ガスはSiH4 ガスに比べて分解しやすいため、
SiH4 ガスのみの場合に比べて低電力で堆積速度の増
加傾向が認められる。また、SiH4 ガスのみの場合と
同様に、堆積速度がマイクロ波電力によって制限される
「マイクロ波電力制限領域」の存在が確認できた。
【0178】図16(A),(B)より、「マイクロ波
電力制限領域」の範囲でマイクロ波電力を適宜調整する
ことにより、帯状の長尺基板1上の堆積膜の堆積速度を
制限することが可能となることがわかった。そして、帯
状の長尺基板1の移動方向に沿って帯状の長尺基板1の
幅方向と平行に配設された第1乃至第3のアプリケータ
3031〜3033へ導入するマイクロ波電力を適宜調整するこ
とにより、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023を経て堆
積される堆積膜の総膜厚を一定とすることができるとと
もに、膜厚方向に任意に組成制御された堆積膜を所望の
膜厚で堆積することができる。
【0179】次に、連続堆積膜形成装置400 を用いて図
10に示した層構成の太陽電池200を作成した場合の効
果について説明する。
【0180】i型半導体層204 に微量に添加する不純物
の濃度を膜厚方向に変化させることにより、導電型をi
型としたまま、i型半導体層204 のフェルミレベルに変
化をもたせることができる。図20(A)〜(D)に、
図14(A)に示したバンドギャッププロファイルを有
する(すなわち、バンドギャップが変化しない)i型半
導体層204 におけるフェルミレベルの変化の様子(フェ
ルミレベルプロファイル)の具体例を示す。なお、図中
→印は光の入射側を表わしている。
【0181】図20(A)は、不純物の添加を行わない
i型半導体層204 のフェルミレベルプロファイルであ
る。これに対して、図7(B)に示したものは、光の入
射側のフェルミレベルが価電子帯寄りで、徐々にフェル
ミレベルが伝導帯によるタイプのものであり、光発生キ
ャリアの再結合を防ぎ、キャリアの走行性を高めるのに
効果がある。図7(C)に示したものは、光の入射側よ
りフェルミレベルが徐々に価電子帯に寄るタイプのもの
であり、光の入射側にn型半導体層を設けた場合に、図
7(B)の場合と同様の効果がある。図7(D)に示し
たものは、光の入射側よりほぼ連続的にフェルミレベル
が価電子帯より伝導帯に変化しているタイプのものであ
る。
【0182】以上は、バンドギャップが一定の場合の例
であるが、図14(B)〜(D)にそれぞれ示すバンド
ギャッププロファイルの場合においても、同様にフェル
ミレベルを制御することができる。バンドギャッププロ
ファイルおよびフェルミレベルプロファイルの設計を適
宜行うことにより、光電変換効率の高い太陽電池を作成
することができる。特に、バンドギャッププロファイル
およびフェルミレベルプロファイルの制御は、図12に
示したタンデム型の太陽電池220 のi型半導体層2232
2242、および、図13に示したトリプル型の太陽電池23
0 のi型半導体層2332〜2352に適用されるのが望まし
い。
【0183】次に、本発明の第2の参考例に係る堆積膜
形成方法の各種実施例および各種比較例について、具体
的数値をあげて説明する。
【0184】〔実施例B1〕図17に示した堆積膜形成
装置300 を用い、搬入側の第1のガスゲート321 に基板
送出容器(不図示)を接続するとともに、搬出側の第2
のガスゲート322 に、基板巻取容器(不図示)を接続し
た。なお、基板送出容器には、帯状の長尺基板1を送り
出すための基板送出機構(不図示)が設けられており、
基板巻取容器には、帯状の長尺基板1を巻き取るための
基板巻取機構(不図示)が設けられている。
【0185】ステンレス(SUS304BA)からなる
帯状の長尺基板1(幅40cm×長さ200m×厚さ
0.125mm)を十分に脱脂,洗浄したのち、帯状の
長尺基板1を巻いたボビン(不図示)を基板送出容器に
装着した。その後、帯状の長尺基板1を、搬入側の第1
のガスゲート1321 と第1乃至第3の成膜空間3021〜30
23と搬出側の第2のガスゲート322 とを介して基板巻取
容器まで通したのち、張力調整を行って、帯状の長尺基
板1がたるまないようにした。その後、基板送出容器内
と真空容器301 内と第1乃至第3の成膜空間3021〜3023
内と基板巻取容器)内とをメカニカルブースターポンプ
(不図示)またはロータリーポンプ(不図示)でそれぞ
れ荒引きしたのち、油拡散ポンプ(不図示)によって5
×10-6Torr以下の高真空にまでそれぞれ排気し
た。その後、各赤外線ランプヒーター311 を点灯させ
て、熱電対313 の出力を監視しつつ、帯状の長尺基板1
の表面温度が300℃になるように温度制御を行い、加
熱,脱ガスを行った。
【0186】十分に脱ガスが行われたところで、表B1
に示す形成条件により、第1および第2の排気管3091
3092に接続された油拡散ポンプ(不図示)を作動させな
がら、第1乃至第3のガス導入手段3061〜3063(図18
参照)から堆積膜形成用の原料ガスを第1乃至第3の成
膜空間3021〜3023内にそれぞれ導入した。同時に、ゲー
トガスとして、流量が300sccmのH2 ガスを、第
1および第2のゲートガス供給管323,324から第1およ
び第2のガスゲート421,422にそれそれ供給するととも
に、ゲートガスを、真空容器301 に直接接続された第1
および第2の排気管3091,3092と基板送出容器と基板巻
取容器とを介して排気した。この状態で、第1乃至第3
の成膜空間3021〜3023内の圧力を8mTorrにそれぞ
れ保持した。
【0187】
【表7】
【0188】第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内の圧
力が安定したところで、第1乃至第3の導波管3041〜30
43および第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033を介し
てマイクロ波電源(不図示)より、周波数2.45GH
zのマイクロ波を第1乃至第3の成膜空間3021〜3023
にそれぞれ導入して、第1乃至第3の成膜空間3021〜30
23内でマイクロ波グロー放電を生起させ、プラズマを発
生させた。
【0189】続いて、基板送出容器から基板巻取容器に
向け(すなわち、図17の図示矢印方向に)、帯状の長
尺基板1の移動を開始した。長尺基板1の移動速度は、
100cm/minとした。10分間にわたり、帯状の
長尺基板1を連続的に移動させつつ、帯状の長尺基板1
上に、i型のa−SiGe:Hからなる堆積膜の形成を
行った。
【0190】なお、帯状の長尺基板1は長さ200mと
長尺であるため、実施例B1を実施したのち、帯状の長
尺基板1を堆積膜形成装置300 に装着したまま、後述す
る実施例B2〜実施例B4を連続して実施し、実施例B
1〜実施例B4で形成された堆積膜が同一の帯状の長尺
基板1上にその移動方向に対して順次出現するようにし
た。実施例B1〜実施例B4に関するすべての堆積膜の
形成が終了したら、帯状の長尺基板1を冷却させたの
ち、長尺基板1を堆積膜形成装置300 から取り出した。
【0191】実施例B1で形成された堆積膜について膜
厚分布を測定したところ、帯状の長尺基板1の幅方向お
よび長手方向に関し、膜厚のばらつきは5%以内に収ま
っていた。また、堆積膜の形成速度を算出したところ、
平均95Å/secであった。
【0192】続いて、帯状の長尺基板1の、実施例B1
でa−SiGe:Hからなる堆積膜が形成された部分に
ついて、任意に6ヶ所を選んで切り出し、2次イオン質
量分析計(SIMS:CAMECA社製,imf−3
型)を用いて、深さ方向の元素分布を測定した。図21
に、深さ方向の元素分布の測定結果を示す。なお、図2
1の横軸は時間を表わしているが、2次イオン質量分析
においては経過時間と深さが比例するので、図21の横
軸を表面からの深さと考えて差し支えない。図21よ
り、形成された堆積膜のバンドギャッププロファイル
は、図14(D)に示したような帯状の長尺基板1の堆
積膜の表面側にバンドギャップの極小点があるものとな
っていることがわかった。また、金属中水素分析計(堀
場製作所製,EMGA−1100型)を用いて、堆積膜
中の全水素を定量したところ、16±2原子%であっ
た。
【0193】次に、バンドプロファイルの制御のため取
り出し時の堆積膜の膜厚を変化させないように、第1乃
至第3のアプリケータ3031〜3033の電力制御領域である
マイクロ波電力をそれぞれ300Wとした他は表B1に
示した形成条件で堆積膜の堆積を行ったところ、取り出
し時の膜厚は変わらないことがわかった。また、2次イ
オン質量分析計で深さ方向の元素分布を測定したとこ
ろ、Geのイオン強度は膜厚中心付近で極大となってい
ることがわかった。
【0194】〔実施例B2〕上述した実施例B1による
堆積膜の形成が終ったのち、堆積膜形成用の原料ガスと
ゲートガスとの導入をいったん中止し、第1乃至第3の
成膜空間3021〜3023内を5×10-6Torrまでそれぞ
れ排気した。その後、実施例B1と同様に、ゲートガス
を供給し、表B2に示す形成条件で、帯状の長尺基板1
上にi型のa−SiC:Hからなる堆積膜を連続的に形
成した。このとき、帯状の長尺基板1の移動速度は95
cm/minとした。また、堆積膜の形成中は、第1乃
至第3の成膜空間3021〜3023内の圧力を12mTorr
にそれぞれ保持した。
【0195】
【表8】
【0196】実施例B1と同様に、実施例B2について
の堆積膜の形成がすべて終了したのち、実施例B2で形
成された堆積膜について、その膜厚の分布のばらつきを
調べたところ、5%以内に収まっていた。また、堆積膜
の形成速度を算出したところ、平均80Å/secであ
った。
【0197】続いて、実施例B1と同様にして、実施例
B2でa−SiC:Hからなる堆積膜が形成された部分
について、任意に6ヶ所を選んで切り出し、深さ方向の
元素分布を測定した。図22(A)に、深さ方向の元素
分布の測定結果を示す。図22(A)より、形成された
堆積膜のバンドギャッププロファイルは、図14(C)
に示したような帯状の長尺基板1の堆積膜の表面側でバ
ンドギャップが最大となり深さ方向に対して単調に減少
していくものであることがわかった。また、堆積膜中の
全水素を定量したところ、14±2原子%であった。
【0198】次に、バンドプロファイルの制御を行っ
た。取り出し時の堆積膜の膜厚を変化させないように、
第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイクロ波電
力をそれぞれ200W,300W,400Wとした他は
表B2に示した形成条件で堆積膜の堆積を行うととも
に、第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイクロ
波電力をそれぞれ400W,300W,200Wとした
他は表B2に示した形成条件で堆積膜の堆積を行った。
その結果、取り出し時の帯状の長尺基板1上の堆積膜の
膜厚は、いずれの場合にも変わらないことがわかった。
また、C- のイオン強度は、前者については図22
(B)図示破線で示すプロファイルとなり、後者につい
ては図22(B)図示一点鎖線で示すプロファイルとな
ることがわかった。
【0199】〔実施例B3〕上述した実施例B1および
実施例B2による堆積膜の形成が終ったのち、堆積膜形
成用の原料ガスとゲートガスとの導入をいったん中止
し、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内を5×10-6
Torrまでそれぞれ排気した。その後、実施例B1と
同様に、ゲートガスを供給し、表B3に示す形成条件
で、帯状の長尺基板1上に、不純物としてBを含むa−
Si:Hからなる堆積膜を連続的に形成した。このと
き、帯状の長尺基板1の移動速度を95cm/minと
した。また、堆積膜の形成中は、第1乃至第3の成膜空
間3021〜3023内の圧力を5mTorrにそれぞれ保持し
た。
【0200】
【表9】
【0201】実施例B1および実施例B2と同様に、実
施例B3についての堆積膜の形成がすべて終了したの
ち、実施例B3で形成された堆積膜についてその膜厚の
分布のばらつきを調べたところ、5%以内に収まってい
た。また、堆積膜の形成速度を算出したところ、平均1
10Å/secであった。
【0202】続いて、実施例B1と同様に、実施例B3
でa−Si:Hからなる堆積膜が形成された部分につい
て、任意に6ヶ所を選んで切り出し、深さ方向の元素分
布を測定した。図23に、深さ方向の元素分布の測定結
果を示す。図23より、形成された堆積膜のフェルミレ
ベルプロファイルは、図20(B)に示したような帯状
の長尺基板1の堆積膜の表面側でフェルミレベルが価電
子帯に最も近づき深さ方向に単調に減少していくものと
なっていることがわかった。また、堆積膜中の全水素を
定量したところ、18±2原子%であった。
【0203】次に、フェルミレベルプロファイルの制御
を行った。取り出し時の堆積膜の膜厚を変化させないよ
うに、第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイク
ロ波電力をそれぞれ200W,300W,400Wとし
た他は表B3に示した形成条件で堆積膜の堆積を行うと
ともに、第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイ
クロ波電力をそれぞれ400W,300W,200Wと
した他は表B3に示した形成条件で堆積膜の堆積を行っ
た。その結果、取り出し時の帯状の長尺基板1上の堆積
膜の膜厚は、いずれの場合にも変わらないことがわかっ
た。また、B-のイオン強度は、前者については図23
図示破線で示すプロファイルとなり、後者については図
23図示一点鎖線で示すプロファイルとなることがわか
った。
【0204】〔実施例B4〕上述した実施例B1〜実施
例B3による堆積膜の形成が終ったのち、堆積膜形成用
の原料ガスとゲートガスとの導入をいったん中止し、第
1乃至第3の成膜空間3021〜3023内を5×10-6Tor
rまでそれぞれ排気した。その後、実施例B1と同様
に、ゲートガスを供給し、表B4に示す形成条件で、帯
状の長尺基板1上に、i型のa−SiGe:Hからなる
堆積膜を連続的に形成した。このとき、帯状の長尺基板
1の移動速度を95cm/minとした。また、堆積膜
の形成中は、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023内の圧
力を7mTorrにそれぞれ保持した。
【0205】
【表10】
【0206】実施例B1,実施例B2および実施例B3
と同様に、実施例B4についての堆積膜の形成がすべて
終了したのち、実施例B4で形成された堆積膜について
その膜厚の分布のばらつきを調べたところ、5%以内に
収まっていた。また、堆積膜の形成速度を算出したとこ
ろ、平均95Å/secであった。
【0207】続いて、実施例B1と同様に、実施例B4
でa−Si:Hからなる堆積膜が形成された部分につい
て、任意に6ヶ所を選んで切り出し、深さ方向の元素分
布を測定した。図24に、深さ方向の元素分布の測定結
果を示す。図24より、形成された堆積膜のバンドギャ
ッププロファイルは、図14(B)に示したような帯状
の長尺基板1の堆積膜の表面側でバンドギャップが最小
となり深さ方向に対して直線的に増大していくものであ
ることがわかった。また、堆積膜中の全水素を定量した
ところ、15±2原子%であった。
【0208】次に、バンドプロファイルの制御を行っ
た。取り出し時の堆積膜の膜厚を変化させないように、
第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイクロ波電
力をそれぞれ200W,300W,400Wとした他は
表B4に示した形成条件で堆積膜の堆積を行うととも
に、第1乃至第3のアプリケータ3031〜3033のマイクロ
波電力をそれぞれ400W,300W,200Wとした
他は表B4に示した形成条件で堆積膜の堆積を行った。
その結果、取り出し時の帯状の長尺基板1上の堆積膜の
膜厚は、いずれの場合にも変わらないことがわかった。
また、Ge- のイオン強度は、前者については図24図
示破線で示すプロファイルとなり、後者については図2
4図示一点鎖線で示すプロファイルとなることがわかっ
た。
【0209】〔実施例B5〕図19に示した連続堆積膜
形成装置400 を用いて、図10に示した層構成のアモル
ファスシリコン系の太陽電池200 を作成した。作成した
太陽電池200 は単一のpin接合を有し、i型半導体層
204 におけるバンドギャッププロファイルは図14
(D)に示したものである。
【0210】上述した実施例B1で使用したものと同様
の、SUS430BAからなる帯状の長尺基板1(基板
201 )を、連続スパッタ装置(不図示)に装着し、Ag
電極(Ag純度:99.99%)をターゲットとして、
帯状の長尺基体1上に厚さ1000ÅのAg薄膜をスパ
ッタ蒸着した。さらに、ZnO(ZnO純度:99.9
99%)電極をターゲットとして、厚さ1.2μmのZ
nO薄膜をAg薄膜の上にスパッタ蒸着して、帯状の長
尺基板1上に下部電極202 を形成した。
【0211】続いて、下部電極202 が形成された帯状の
長尺基板1を基板送出容器410 に装着したのち、第1の
不純物層形成用真空容器420 と堆積膜形成装置430 と第
2の不純物層形成用真空容器450 とを介して基板巻取容
器450 まで帯状の長尺基板1を通した。そして、帯状の
長尺基板1がたるまないように、帯状の長尺基板1の張
力を調整したのち、実施例B1同様に、基板送出容器46
0 内と第1および第2の不純物層形成用真空容器420,4
50内と堆積膜形成装置430 内と基板巻取容器460 内とを
5×10-6Torrまでそれぞれ排気した。
【0212】続いて、帯状の長尺基板1を真空送出容器
410 から真空巻取容器460 に向けて連続的に移動させな
がら、帯状の長尺基板1上に、第1の不純物層形成用真
空容器420 でn型半導体層203 を形成し、堆積膜形成装
置30 でi型半導体層204 を形成し、第2の不純物層形
成用真空容器450 でp型半導体層205 を順次形成した。
表B8に、n型半導体層203 とp型半導体層205 との形
成条件を示す。また、i型半導体層204 の形成条件は、
実施例B1においてiのa−SiGe:Hからなる堆積
層を形成する場合と同じにした。n型半導体層203 とi
型半導体層204とp型半導体層205 の形成は、第1およ
び第2の不純物層形成用真空容器420,450の内部と堆積
膜形成装置430 の内部とでマイクロ波グロー放電を生起
させ、グロー放電によるプラズマが安定したのち、帯状
の長尺基板1を移動速度95cm/minで移動させる
ことにより行った。なお、表B5の成膜領域の長さの欄
に、第1および第2の不純物層形成用真空容器420,450
内において、マイクロ波グロー放電が発生している領域
における帯状の長尺基板1の移動方向の長さを示した。
【0213】
【表11】
【0214】帯状の長尺基板1の全長(200m)のす
べてにわたってn型半導体層203 とi型半導体層204 と
p型半導体層205 とを形成したのち、帯状の長尺基板1
を冷却させてから連続堆積膜形成装置400 から取り出し
た。その後、p型半導体層205 上に、透明電極206 と集
電電極207 とを形成し、帯状の太陽電池200 を完成させ
た。
【0215】続いて、連続モジュール化装置(不図示)
を用いて、作成した太陽電池200 を、大きさが36cm
×22cmの多数の太陽電池モジュールに加工した。加
工した太陽電池モジュールについて、AM値が1.5で
エネルギー密度100mW/cm2 の疑似太陽光を用い
て特性評価を行ったところ、平均フィルファクター=6
0%,平均光電変換効率=7.7%であった。
【0216】〔比較例B1〕第1乃至第3のアプリケー
タ3031〜3033のマイクロ波電力をそれぞれ電力制限領域
の300W,300W,300Wとしたところ、得られ
た太陽電池の膜厚は変わらず、平均フィルファクター=
58%および平均光電変換効率=7.0%であった。
【0217】実施例B5および比較例B1より、第1乃
至第3の成膜空間3021〜3023の堆積密度を電力制限領域
の範囲内で制御することによって、太陽電池特性の最適
化が図れることが実証された。
【0218】〔実施例B6〕実施例B5においては、i
型半導体層204 として、a−SiGe:H堆積膜を用い
たが、本実施例では、a−SiGe:Hの代わりにa−
SiC:Hを用いて太陽電池を作成したのち、太陽電池
モジュールに加工した。かかるi型半導体層204 を実施
例B2の表B2と同様の形成条件で堆積させる以外は、
形成条件は実施例B1と同様にした。なお、i型半導体
層204 は、図14(C)に示したようなバンドギャップ
プロファイルとなっている。
【0219】加工した太陽電池モジュールについて、実
施例B5と同様の特性の評価を行ったところ、平均フィ
ルファクター=58%および平均光電変換効率=7.0
%であった。
【0220】〔比較例B2〕第1乃至第3のアプリケー
タ3031〜3033のマイクロ波電力をそれぞれ電力制限領域
の200W,300W,400Wとしたところ、得られ
た太陽電池の膜厚は変わらず、平均フィルファクター=
57%および平均光電変換効率=6.8%であった。
【0221】〔比較例B3〕第1乃至第3のアプリケー
タ3031〜3033のマイクロ波電力をそれぞれ電力制限領域
の400W,300W,200Wとしたところ、得られ
た太陽電池の膜厚は変わらず、平均フィルファクター=
56%および平均光電変換効率=6.6%であった。
【0222】実施例B6,比較例B2および比較例B3
より、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023の堆積密度を
電力制限領域の範囲内で制御することによって、太陽電
池特性の最適化が図れることが実証された。
【0223】〔実施例B7〕本実施例では、a−SiG
e:Hの代わりにa−Si:Hを用いて太陽電池200 を
作成し、太陽電池モジュールに加工した。このとき、i
型半導体層204 を実施例B3の表B3と同様の形成条件
で堆積させる以外は実施例B5と同様にして、太陽電池
200 を作成した。なお、i型半導体層204 は、図20
(B)に示したようなフェルミレベルプロファイルとな
るようにした。
【0224】加工した太陽電池モジュールについて、実
施例B5と同様の特性の評価を行ったところ、平均ファ
イルファクター=70%および平均光電変換効率=8.
2%以上であった。
【0225】〔比較例B4〕第1乃至第3のアプリケー
タ3031〜3033のマイクロ波電力をそれぞれ電力制限領域
の200W,300W,400Wとしたところ、得られ
た太陽電池の膜厚は変わらず、平均フィルファクター=
69%および平均光電変換効率=8.0%であった。
【0226】〔比較例B5〕第1乃至第3のアプリケー
タ3031〜3033のマイクロ波電力をそれぞれ電力制限領域
の400W,300W,200Wとしたところ、得られ
た太陽電池の膜厚は変わらず、平均フィルファクター=
69%および平均光電変換効率=8.0%であった。
【0227】実施例B7,比較例B4および比較例B5
より、第1乃至第3の成膜空間3021〜3023の堆積密度を
電力制限領域の範囲内で制御することによって、太陽電
池特性の最適化が図れることが実証された。
【0228】〔実施例B8〕図12に示した、二組のp
in接合を積層した構成のアモルファスシリコン系の太
陽電池220 を作成し、太陽電池モジュールに加工した。
作成にあたっては、二組のpin接合を形成できるよう
に、図19に示した連続堆積膜形成装置400の第2の不
純物層形成用真空容器450 と基板巻取容器460 との間
に、連続堆積膜形成装置400 の第1の不純物層形成用真
空容器420 ,堆積膜形成装置430 および第2の不純物層
形成用真空容器450 を順次直列に接続したものを挿入し
た構成の装置を用いた。
【0229】帯状の長尺基板1としては、実施例B1と
同様のものを使用した。また、二組のpin接合のう
ち、光の入射側から遠い方の第1のpin接合223 は実
施例B5でのpin接合と同じ形成条件で形成し、光の
入射側に近い方の第2のpin接合224 は実施例B7で
のpin接合と同じ形成条件で形成した。第1および第
2のpin接合223,224を形成したのち、実施例B5と
同様の工程により、太陽電池モジュールとした。
【0230】加工した太陽電池モジュールについて、実
施例B5と同様の特性の評価を行ったところ、10.8
%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジュール
間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。また、
連続200回の繰り返し曲げ試験後においても、特性の
劣化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかった。さ
らに、疑似太陽光を連続500時間照射したのちの光電
変換効率の変化率は、7.8%以内に収まっていた。こ
の太陽電池モジュールを使用することにより、出力5k
Wの電力供給システムを構成することができた。
【0231】〔実施例B9〕図12に示した、二組のp
in接合を積層した構成のアモルファスシリコン系の太
陽電池220 を作成し、太陽電池モジュールに加工した。
作成にあたっては、第1のpin接合223 は実施例B7
でのpin接合と同じ形成条件で形成した。また、光の
入射側に近い方の第2のpin接合224 は、実施例B6
のpin接合と同じ形成条件で形成したこと以外は、実
施例B8と同様にした。
【0232】加工した太陽電池モジュールについて、実
験例B5と同様の特性の評価を行ったところ、10.3
%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジュール
間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。また、
連続200回の繰り返し曲げ試験後においても、特性の
劣化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかった。さ
らに、疑似太陽光を連続500時間照射したのちの光電
変換効率の変化率は、7.8%以内に収まっていた。こ
の太陽電池モジュールを使用することにより、出力5k
Wの電力供給システムを構成することができた。
【0233】(実施例B10)図13に示した、三組の
pin接合を積層した構成のアモルファスシリコン系の
太陽電池230 を作成し、太陽電池モジュールに加工し
た。作成にあたっては、三組のpin接合を形成できる
ように、図19に示した連続堆積膜形成装置400の第2
の不純物層形成用真空容器450 と基板巻取容器460 との
間に、連続堆積膜形成装置400 の第1の不純物層形成用
真空容器420 ,堆積膜形成装置430 ,第2の不純物層形
成用真空容器450 ,第1の不純物層形成用真空容器420
,堆積膜形成装置430 および第2の不純物層形成用真
空容器450 を順次直列に接続したものを挿入した構成の
装置を用いた。
【0234】帯状の長尺基板1としては、実施例B1と
同様のものを使用した。また、三組のpin接合のう
ち、光の入射側から遠い方の第1のpin接合233 は実
施例B5でのpin接合と同じ形成条件で形成し、第2
のpin接合234 は実施例B7でのpin接合と同じ形
成条件で形成し、光の入射側に近い方の第3のpin接
合235 は実施例B6でのpin接合と同じ形成条件で形
成した。第1乃至第3のpin接合233〜235を形成した
のち、実施例B8と同様の工程により、太陽電池モジュ
ールとした。
【0235】加工した太陽電池モジュールについて、実
験例B5と同様の特性の評価を行ったところ、11.5
%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジュール
間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。また、
連続200回の繰り返し曲げ試験後においても、特性の
劣化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかった。さ
らに、疑似太陽光を連続500時間照射したのちの光電
変換効率の変化率は、7.4%以内の収まっていた。こ
の太陽電池モジュールを使用することにより、出力5k
Wの電力供給システムを構成することができた。
【0236】以上、本発明の第2の参考例に係る堆積膜
形成方法の各実施例について、主として、アモルファス
シリコン系の太陽電池を作成する場合について説明して
きたが、本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方法
は、アモルファスシリコン系の太陽電池以外の、大面積
あるいは長尺であることが要求される薄膜半導体素子を
形成する場合にも、好適に用いられるものである。この
ような薄膜半導体素子として、たとえば、液晶ディスプ
レイの画素を駆動するための薄膜トランジスタ(TF
T)や,密着型イメージセンサ用の光電変換素子および
スイッチング素子などが挙げられる。これら薄膜半導体
素子は画像入出力装置の主要な部品として使用されるこ
とが多く、本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方法
を実施することにより、画像入出力装置がさらに広く普
及することが期待されている。
【0237】C.本発明の堆積膜形成方法および堆積膜
形成装置について本発明の堆積膜形成方法は、プラズマ
CVD法により、成膜空間を有する真空容器内で、帯状
の長尺基板上に連続的に堆積膜を形成するときに、長尺
基板をその長手方向に連続的に移動移動貫通させて、長
尺基板を成膜空間の側壁の一つとし、堆積膜の原料とな
る物質を複数種類含有する原料ガスを成膜空間内に複数
箇所から導入し、成膜空間内の長尺基板の移動方向に、
複数箇所からプラズマを生起させ、成膜空間の長尺基板
の搬入側および搬出側の少なくとも一方で所定の範囲に
わたって堆積膜の形成を部分的に遮断する。
【0238】図25は、本発明の堆積膜形成方法が実現
可能な堆積膜形成装置の一実施例を示す概略構成図であ
る。
【0239】堆積膜形成装置600 は、概ね直方体形状の
真空容器601 と、真空容器601 内に設けられた成膜容器
602 とを含む。真空容器601 と成膜容器602 とはそれぞ
れ、金属製であって、接地されている。堆積膜が形成さ
れる帯状の長尺基板1は、真空容器601 の図示左側(す
なわち、搬入側)の側壁に取り付けられた第1のガスゲ
ート621 を経て真空容器601 内に導入され、成膜容器60
2 を貫通して、真空容器601 の図示右側(すなわち、搬
出側)の側壁に取り付けられた第2のガスゲート622
(不図示)を通って真空容器601 の外に排出される。帯
状の長尺基板1は、搬入側の第1のガスゲート621 に接
続された基板送出容器(不図示)から搬出側の第2のガ
スゲートに接続された基板巻取容器(不図示)に向け
て、連続的に移動させられる。また、真空容器601 に
は、真空容器601 内を直接排気するための真空ポンプな
どの排気手段(不図示)に接続された排気管(不図示)
が取り付けられている。
【0240】成膜容器602 には、第1乃至第3のアプリ
ケータ6031〜6033が、成膜容器602を貫通する帯状の長
尺基板1の側面に対して垂直に、かつ、帯状の長尺基板
1の移動方向に沿って並んで取り付けられている。第1
乃至第3のアプリケータ6031〜6033は、成膜容器602 内
にマイクロ波エネルギーを導入するためのものであり、
第1乃至第3の導波管6041〜6043を介して各マイクロ波
電源(不図示)にそれぞれ接続されている。第1乃至第
3のアプリケータ6031〜6033の成膜容器602 への取り付
け部位はそれぞれ、マイクロ波を透過する材料からなる
マイクロ波導入窓(不図示)となっている。
【0241】成膜容器602 の底壁には、第1乃至第3の
ガス放出口6051〜6053が、貫通する帯状の長尺基板1の
膜堆積を行う面と互いに対向するように、長尺基板1の
移動方向に沿って順に設置されている。成膜室容器602
の帯状の長尺基板1の膜堆積を行わない面の側には、複
数個の赤外線ランプヒーター606 と、赤外線ランプヒー
ター606 からの放射熱を効率よく帯状の長尺基板1に集
中させるためのランプハウス607 とが設けられている。
また、赤外線ランプヒーター606 で加熱された帯状の長
尺基板1の温度を監視するための熱電対608 が、帯状の
長尺基板1に接触するように設けられている。
【0242】帯状の長尺基板1は、真空容器601 の搬入
側(図示左側)の側壁に設けられた第1の開口部609 か
ら導入されて、成膜容器602 を貫通したのち、真空容器
601の搬出側(図示右側)の側壁に設けられた第2の開
口部(不図示)から排出される。ここで、真空容器601
の搬出側の成膜容器602 には、複数の開口を有する遮蔽
部材610 が、帯状の長尺基板1の膜堆積を行う面に近接
し、かつ、互いに対向して設けられている。なお、遮蔽
部材610 は、帯状の長尺基板1に堆積する堆積膜の膜厚
方向に対する組成比を制御するためのものである。
【0243】第1のガスゲート621 には、ゲートガスを
供給するための第1のゲートガス供給管623 が接続され
ている。なお、第2のガスゲートには、ゲートガスを供
給するための第2のゲートガス供給管(不図示)が接続
されている。
【0244】次に、堆積膜形成装置600 の動作について
説明する。
【0245】堆積膜形成装置600 を貫通するように、搬
入側の第1のガスゲート621 に接続された基板送出容器
から、搬出側の第2のガスゲートに接線された基板巻取
容器にまで、帯状の長尺基板1を張り渡したのち、真空
容器601 内と成膜容器602 内とを排気手段により真空に
排気する。所定の真空度に到達したら、第1のゲートガ
ス供給管623 からゲートガスを第1のガスゲート621 に
供給するとともに、第2のゲートガス供給管からゲート
ガスを第2のガスゲートに供給する。このとき、ゲート
ガスは、主として真空容器601 に取り付けられた排気管
から排気されることになる。
【0246】続いて、熱電対608 の出力を監視しなが
ら、各赤外線ランプヒーター606 をそれぞれ作動させる
ことにより、帯状の長尺基板1を所定の温度まで加熱す
る。そして、原料ガス供給管(不図示)から第1乃至第
3のガス放出口6051〜6053を通して成膜容器602 内に原
料ガスを導入する。原料ガスはそれぞれ、堆積膜の原料
となる物質を複数種類含有している。また、第1乃至第
3の導波管6041〜6043を介して第1乃至第3のアプリケ
ータ6031〜6033にマイクロ波電力をそれぞれ印加する。
その後、基板送出容器内に設けられた基板送出手段(不
図示)と基板巻取容器内に設けられた基板巻取手段(不
図示)とをそれぞれ作動させて、帯状の長尺基板1を基
板送出容器から基板巻取容器に向けて連続的に移動す
る。
【0247】その結果、第1乃至第3のガス放出口6051
〜6053から原料ガスがそれぞれ供給されるとともに第1
乃至第3のアプリケータ6031〜6033にマイクロ波電力が
それぞれ印加されることにより、帯状の長尺基板1と第
1乃至第3ののアプリケータ6031〜6033とで挟まれた成
膜容器602 の空間においてマイクロ波グロー放電が生起
し、プラズマが発生し、原料ガスがプラズマにより分解
されて、帯状の長尺基板1上に堆積膜が形成される。こ
のとき、原料ガスが、堆積膜の原料となる物質を複数種
類含有しており、また、遮蔽部材610 の効果により、連
続的に移動している帯状の長尺基板1上に形成される堆
積膜には、膜厚方向に対して組成の分布が生じることに
なる。なお、第1乃至第3のアプリケータ6031〜6033
印加するマイクロ波電力をそれぞれ制御することによ
り、堆積膜の膜厚方向に対する組成分布をより効果的に
形成することができる。
【0248】次に、図25に示した堆積膜形成装置600
を組込んだ連続堆積膜形成装置700について、図26を
参照して説明する。
【0249】連続堆積膜形成装置700 は、pin接合を
有する半導体素子を帯状の長基板1上に形成するのに適
したものであり、基板送出容器710 と第1の不純物形成
用真空容器720 と堆積膜形成装置730 と第2の不純物形
成用真空容器750 と基板巻取容器760 とを第1乃至第4
のガスゲート771〜774によって直列に接続した構成とな
っている。以下、連続堆積膜形成装置700 の各構成要素
について、簡単に説明する。
【0250】(1)基板送出容器710 基板送出容器710 は、帯状の長尺基板1を格納して基板
巻取容器760 に向けて送り出すためのものである。基板
送出容器710 には、帯状の長尺基板1が巻かれるボビン
711 が装着されており、帯状の長尺基板1を支持し搬送
するための搬送ローラ712 が設けられており、排気手段
(不図示)に接続された排気管713 が接続されている。
なお、ボビン711 には、帯状の長尺基板1を送り出すた
めの基板送出機構(不図示)が接続されている。また、
排気管713 の途中には、基板送出容器710 内の圧力を制
御するためのスロットルバルブ(不図示)が設けられて
いる。さらに、基板送出容器710 には、圧力計714 も設
けられている。
【0251】(2)第1の不純物層形成用真空容器720 第1の不純物層形成用真空容器720 はp型半導体層を形
成するためのものであり、排気管721 を介して排気手段
(不図示)に接続されている。排気管721 の途中には、
第1の不純物層形成用真空容器720 の内圧を制御するた
めのスロットルバルブ(不図示)が設けられている。帯
状の長尺基板1は、2本の搬送ローラ723 で支持され
て、第1の不純物層形成用真空容器720 内を貫通する。
第1の不純物層形成用真空容器720 内には、成膜容器72
4 と複数個の赤外線ランプヒーター725 とランプハウス
726 と熱電対727 とがそれぞれ設けられている。成膜容
器724 には、原料ガスを供給するための原料ガス放出口
(不図示)とマイクロ波を導入するためのアプリケータ
728 が設けられている。
【0252】(3)堆積膜形成装置730 堆積膜形成装置730 は、図25に示した堆積膜形成装置
600 と同様の構成をしている。
【0253】(4)第2の不純物層形成用真空容器750 第2の不純物層形成用真空容器750 は、第1の不純物層
形成用真空容器720 と同様の構成をしている。
【0254】(5)基板巻取容器760 基板巻取容器760 は、堆積膜が形成された帯状の長尺基
板1を巻取るためのものであり、基板送出容器710 と同
様の構成をしている。ただし、帯状の長尺基板1を巻き
取るため、ボビン761 には、基板巻取機構(不図示)が
接続されている。
【0255】(6)第1乃至第4のガスゲート771〜774 第1乃至第4のガスゲート771〜774には、ゲートガスを
供給するための第1乃至第4のゲートガス供給管775〜7
78がそれぞれ接続されている。
【0256】次に、連続堆積膜形成装置700 の動作につ
いて、pin接合を有する半導体素子を形成する場合を
例として説明する。
【0257】帯状の長尺基板1を基板送出容器710 から
基板巻取容器760 に向けて張りわたす。その後、基板送
出容器710 内と第1の不純物形成用真空容器720 内と堆
積膜形成装置730 内と第2の不純物形成用真空容器750
と基板巻取容器760 内とをそれぞれ排気したのち、所定
の真空度に到達したら、第1乃至第4のガスゲート771
〜774内にゲートガスをそれぞれ供給する。
【0258】続いて、第1の不純物形成用真空容器720
内に、p型半導体層を形成するための原料ガスを供給
し、また、第2の不純物形成用真空容器750 内に、n型
半導体層を形成するための原料ガスを供給し、さらに、
堆積膜形成装置730 内に、i型半導体層を形成するため
の原料ガスを供給する。その後、第1および第2の不純
物層形成用真空容器720,750内と堆積膜形成装置730 内
とにマイクロ波電力をそれぞれ供給するとともに、帯状
の長尺基板1を基板送出容器710 から基板巻取容器760
に向けて移動させることによって、第1および第2の不
純物層形成用真空容器720,750内と堆積膜形成装置730
内とにおいてプラズマを生起させ、帯状の長尺基板1に
堆積膜が形成する。
【0259】このとき、帯状の長尺基板1は第1の不純
物層形成用真空容器720 ,堆積膜形成装置730 および第
2の不純物層形成用真空容器750 と連続的に移動する
め、帯状の長尺基板1上には、pin接合を有する半導
体素子が形成されることになる。なお、堆積膜形成装置
730 では、上述したように、堆積膜の膜厚方向に対して
組成の分布をもたせることができるので、形成された半
導体素子のi型半導体層の膜厚方向に対して、バンドギ
ャップやフェルミレベルを変化させることができる。
【0260】次に、図25に示した堆積膜形成装置600
の主要な構成要素について詳細に説明する。
【0261】(1)遮蔽部材610 遮蔽部材610 は、帯状の長尺基板1の堆積膜が形成され
る面の一部を幾何学的に連続あるいは非連続に覆うよう
に設けられる。遮蔽部材610 は、導電部材からなるもの
でもよいし、絶縁部材からなるものでもよいが、導電部
材からなるものでは、プラズマ損傷に対する耐久性の観
点から金属,半導体材料からなる部材が好適に用いられ
る。具体的には、ステンレススチール,ニッケル,チタ
ン,ニオブ,タンタル,タングステンおよびバナジウム
の表面に、鍍金,蒸着,スパッタおよび塗布などの方法
で導電処理を行ったものが挙げられる。
【0262】遮蔽部材610 の形状および開口長について
は、堆積膜の膜厚方向に対する組成比を所望のものとす
るように、適宜選択することができる。たとえば、バン
ドギャッププロファイルを変化させるなどのために膜厚
方向に対して組成分布を変化させる場合には、長尺基板
1の移動方向に垂直に縞状に覆うように、成膜面領域を
配置すればよい。堆積膜の端面あるいは他の種の膜との
積層である場合に、他の膜との界面の組成比を急激に変
化させるときには、成膜空間の長尺基板1の搬入側もし
くは搬出側の端部を完全に覆うように、遮蔽部材610 を
設ければよい。また、遮蔽部材610 により堆積膜の膜厚
を調節することも可能であり、遮蔽部材610 を長尺基板
1の移動方向に対して平行に設置することで、長尺基板
1の幅方向の膜厚ムラおよび膜質ムラを改善するのに用
いてもよい。遮蔽部材610 に堆積膜が付着し、これが膜
はがれなどを生じて、長尺基板1の堆積膜に悪影響を及
ぼす場合などは、遮蔽部材610 を巻き取るなどの方法を
用いてもよい。
【0263】遮蔽部材610 は、導電性部材からなる場合
には、成膜空間を構成する導電部材からなる側室および
成膜空間を包含する真空容器601 に対して同電位となる
ように接続してもよいし、フローティング電位となるよ
うに接続してもよい。
【0264】(2)帯状の長尺基板1 帯状の長尺基板1の材質としては、マイクロ波プラズマ
CVD法による機能性堆積膜形成時に必要とされる温度
において変形および歪みが少なく、所望の強度を有し、
また、道電性を有するものであることが好ましい。具体
的には、ステンレススチール,アルミニウムおよびその
合金、鉄およびその合金、銅およびその合金などの金属
の薄板およびその複合体、および、それらの表面に異種
材質の金属薄膜および/またはSiOz,Si34,A
23,AlNなどの絶縁性薄膜をスパッタ法,蒸着
法,鍍金法などにより表面コーティング処理を行ったも
の、また、ポリイミド,ポリアミド,ポリエチレンテレ
フタレート,エポキシなどの耐熱性樹脂性シートまたは
これらとガラスファイバー,カーボンファイバー、ホウ
素ファイバー,金属繊維などとの複合体の表面に金属単
体または合金および透明導電性酸化物(TCO)などを
鍍金,蒸着,スパッタ,塗布などの方法で導電性処理を
行ったものが挙げられる。
【0265】もちろん、帯状のの長尺基板1が金属など
の電気導電性のものであっても、長波長光の基板表面上
での反射率を向上させたり、基板材質と堆積膜との間で
の構成元素の相互拡散を防止したり短絡防止用の干渉層
とするなどの目的で異種の金属層などを長尺基板1上の
堆積膜が形成される側に設けてもよい。また、帯状の長
尺基板1が比較的透明であって、帯状の長尺基板1の側
から光入射を行う層構成の太陽電池とする場合には、透
明導電性酸化物や金属薄膜などの導電性薄膜をあらかじ
め堆積形成しておくことが望ましい。
【0266】また、帯状の長尺基板1の表面性として
は、いわゆる平滑面であっても、微小の凹凸面であって
もよい。微小の凹凸面とする場合には、その凹凸形状は
球状,円錐状,角錐状などであって、かつ、その最大高
さ(Rmax)は、好ましくは500Å乃至5000Å
とすることにより、表面での光反射が乱反射となり、表
面での反射光の光路長の増大をもたらす。
【0267】帯状の長尺基板1の厚さとしては、搬送手
段による搬送時に要求される強度を発揮する範囲内であ
れば、コストおよび収納スペースなどを考慮すると、可
能な限り薄い方が望ましい。具体的には、好ましくは
0.01mm乃至5mm、より好ましくは0.02mm
乃至2mm、最適には0.05mm乃至1mmであるこ
とが望ましい。また、金属などの薄板を用いた方が、厚
さを薄くしても所望の強度が得られやすい。また、帯状
の長尺基板1の幅寸法については、成膜空間内で生起さ
れたプラズマの均一性が保たれる範囲のものが好まし
く、具体的には、5cm乃至100cm、より好ましく
は10cm乃至80cmであることが望ましい。さら
に、帯状の長尺基板1の長さについては、特に制限され
ることはなく、ロール状に巻き取られる程度の長さであ
ってもよく、長尺のものを溶接などによってさらに長尺
化したものであってもよい。
【0268】(3)第1のガスゲート621 および第2の
ガスゲート 基板送出容器および基板巻取容器と真空装置601 とを分
離独立させ、かつ、帯状の長尺基板1をそれらの中に貫
通させて連続的に搬送するためには、ガスゲート手段が
好適に用いられる。ガスゲート手段の能力としては、前
記各容器間に生じる圧力差によって、相互に使用してい
る堆積膜形成用の原料ガスを拡散させないことが必要で
ある。したがって、その基本概念は、米国特許第4,4
38,723号に開示されているガスゲート手段を採用
することができるが、その能力はさらに改善される必要
がある。具体的には、最大106倍程度の圧力差に耐え
得ることが必要であり、排気ポンプとしては、排気能力
の大きい油拡散ポンプ,ターボ分子ポンプ,メカニカル
ブースターポンプなどが好適に用いられる。
【0269】ガスゲートの断面形状としては、スリット
状またはこれに類似する形状であり、その全長および排
気ポンプの排気能力などと合わせて、一般のコンダクタ
ンス計算式を用いてそれらの寸法が計算,設計される。
さらに、分離能力を高めるためにゲートガスを併用する
ことが好ましく、たとえば、Ar,He,Ne,Kr,
Xe,Rnなどの希ガスまたはH2などの堆積膜形成用
の希釈ガスが挙げられる。ゲートガスの能力などによっ
て適宜決定されるが、ガスゲートのほぼ中央部に、圧力
が最大となるポイントを設定すれば、ゲートガスはガス
ゲート中央部から両サイドの真空容器側へと流れる。一
方、ガスゲートのほぼ中央部に、圧力の最小となるポイ
ントを設定すれば、両サイドの容器から流れ込む堆積膜
用の原料ガスとともにゲートガスもガスゲート中央部か
ら排気される。したがって、両者の場合において、両サ
イドの容器間での相互のガス拡散を最小限に抑えること
ができる。実際には、質量分析計を用いて、拡散してく
るガス量を測定したり、堆積膜の組成分析を行うことに
よって最適条件を決定する。
【0270】次に、本発明の堆積膜形成方法の各種実施
例および各種比較例について、具体的数値をあげて説明
する。
【0271】〔実施例C1〕図25に示した堆積膜形成
装置600 を用い、搬入側の第1のガスゲート621 に基板
送出容器(不図示)を接続するとともに、搬出側の第2
のガスゲートに基板巻取容器(不図示)を接続した。な
お、基板送出容器には、帯状の長尺基板1を送り出すた
めの基板送出機構(不図示)が設けられており、また、
基板巻取容器には、帯状の長尺基板1を巻き取るための
基板巻取機構(不図示)が設けられている。
【0272】ステンレス(SUS430BA)からなる
帯状の長尺基板1(幅35cm×長さ150m×厚さ
0.125mm)を十分に脱脂,洗浄したのち、帯状の
長尺基板1を巻いたボビン(不図示)を基板送出容器に
装着した。その後、帯状の長尺基板1を、搬入側の第1
のガスゲート621 と成膜容器602 と搬出側の第2のガス
ゲートとを介して基板巻取容器まで通したのち、張力調
整を行って、帯状の長尺基板1がたるまないようにし
た。その後、基板送出容器内と成膜容器602 内と基板巻
取容器内とをメカニカルブースターポンプ/ロータリー
ポンプ(不図示)で荒引きしたのち、油拡散ポンプ(不
図示)によって2×10-6Torr以下の高真空までそれぞ
れ排気した。その後、各赤外線ランプヒーター606 をそ
れぞれ点灯させて、熱電対608 の出力を監視しつつ、帯
状の長尺基板1の表面温度が300℃になるように温度
制御を行い、加熱,脱ガスを行った。
【0273】十分に脱ガスが行われたところで、表C1
に示す形成条件により、各排気管に接続された油拡散ポ
ンプ(不図示)を作動させながら、第1乃至第3のガス
放出口6051〜6053から堆積膜形成用の原料ガスを成膜容
器602 内にそれぞれ導入した。同時に、第1のゲートガ
ス供給管623 から第1のガスゲート621 にゲートガスと
して300sccmのH2ガスを供給し、ゲートガスを
真空容器601 に接続された排気管と基板送出容器と基板
巻取容器とを介して排気するようにした。この状態で、
成膜容器602 内の圧力を6mTorrに保持した。
【0274】
【表12】
【0275】成膜容器602 内の圧力が安定したところ
で、第1乃至第3の導波管6041〜6043と第1乃至第3の
アプリケータ6031〜6033とを介してマイクロ波電源から
周波数2.45GHzのマイクロ波を成膜容器602 内に導
入して、成膜容器602 内でマイクロ波グロー放電を生起
させ、プラズマを発生させた。
【0276】続いて、基板送出容器から基板巻取容器の
方向に向け、帯状の長尺基板1の移動を開始した。長尺
基板1の移動速度は、120cm/minとした。10
分間にわたり、帯状の長尺基板1を連続的に移動させつ
つ、帯状の長尺基板1上に、i型のa−SiGe:Hか
らなる堆積膜の形成を行った。
【0277】実施例C1で形成された堆積膜について膜
厚分布を測定したところ、帯状の長尺基板1の幅方向お
よび長手方向に関し、膜厚のばらつきは5%以内に収ま
っていた。また、堆積膜の形成速度を算出したところ、
平均105Å/secであった。
【0278】続いて、帯状の長尺基板1の、a−SiG
E:Hからなる堆積膜が形成された部分について、任意
に6ヶ所を選んで切り出し、2次イオン質量分析計(S
IMS;CAMEC社製,imf−3型)を用いて、深
さ方向の元素分布を測定した。図27に、深さ方向の元
素分布の測定結果を示す。なお、図27において、横軸
は時間を表しているが、2次イオン質量分析においては
経過時間と深さとが比例するので、図27の横軸を表面
からの深さと考えて差し支えない。図27より、形成さ
れた堆積膜のバンドギャッププロファイルは、図14
(D)に示したようなものとなっていることがわかっ
た。また、金属中水素分析計(堀場製作所,EMG−1
100型)を用いて、堆積膜中の全水素を定量したとこ
ろ、16±2原子%であった。
【0279】〔実施例C2〕上述した実験例C1による
堆積膜の形成が終ったのち、堆積膜形成用の原料ガスと
ゲートガスとの導入をいったん中止し、成膜容器602 内
を5×10-6Torrまで排気した。その後、実施例C1と
同様に、ゲートガスを供給し、表C2に示す形成条件
で、帯状の長尺基板1上に、i型のa−SiC:Hから
なる堆積膜を連続的に形成した。このとき、帯状の長尺
基板1の移動速度は100cm/minとした。また、
堆積膜の形成中は、成膜容器602 内の圧力を10mTo
rrに保持した。
【0280】
【表13】
【0281】実施例C1と同様に、形成された堆積膜に
ついて、その膜厚の分布のばらつきを調べたところ、
3.5%以内に収まっていた。また、堆積膜の形成速度
を算出したところ、平均80Å/secであった。
【0282】続いて、実施例C1と同様に、a−Si
C:Hからなる堆積膜が形成された部分について、任意
に6ヶ所を選んで切り出し、深さ方向の元素分布を測定
した。図28に、深さ方向の元素分布の測定結果を示
す。図28より、形成された堆積膜のバンドギャッププ
ロファイルは、図14(C)に示したようなものとなっ
ていることがわかった。また、堆積膜中の全水素を定量
したところ、14±2原子%であった。
【0283】〔実施例C3〕実施例C1および実施例C
2の場合と同様にして、表C3に示す形成条件で、帯状
の長尺基板1上に、不純物としてBを含むa−SI:H
からなる堆積膜を連続的に形成した。このとき、帯状の
長尺基板1の移動速度は95cm/minとした。ま
た、堆積膜の形成中は、成膜容器602 内の圧力を5mTo
rrに保持した。
【0284】
【表14】
【0285】実施例C1および実施例C2と同様に、形
成された堆積膜の膜厚の分布のばらつきを調べたとこ
ろ、5%以内に収まっていた。また、堆積膜の形成速度
を算出したところ、平均110Å/secであった。
【0286】続いて、実施例C1と同様に、実施例C3
でa−Si:Hからなる堆積膜が形成された部分につい
て、任意に6ヶ所を選んで切り出し、深さ方向の元素分
布を測定した。図29に、深さ方向の元素分布の測定結
果を示す。図29より、形成された堆積膜のフェルミレ
ベルプロファイルは、図20(B)に示したようなもの
となっていることがわかった。また、堆積膜中の全水素
を定量したところ、18±2原子%であった。
【0287】〔実施例C4〕図25に示した堆積膜形成
装置600 と同様の装置で、高周波電力によってプラズマ
を生起する装置を用いて、実施例C1と同様にして堆積
膜の形成を行った。このとき、帯状の長尺基板1の移動
方法,張力調整および温度制御などの方法については、
実施例C1と同じとした。成膜容器内の脱ガスが十分に
行われたところで、表C4に示す形成条件で原料ガスを
導入した。この状態で、成膜容器内の圧力が1.0To
rrになるように調整し、圧力が安定したところで、高
周波電源から高周波導線を介して周波数13.56MH
zの高周波電力をカソードに印加することにより成膜容
器内に高周波電力を導入して、成膜容器室内で高周波グ
ロー放電を生起させ、プラズマを発生させた。
【0288】
【表15】
【0289】続いて、基板送出容器から基板巻取容器
へ、帯状の長尺基板1を300cm/minの速度で移
動した。10分間にわたり、帯状の長尺基板1を連続移
動しつつ、帯状の長尺基板1上に、i型のa−SiG
e:Hからなる堆積膜の形成を行った。
【0290】形成された堆積膜について膜厚分布を測定
したところ、帯状の長尺基板1の幅方向および長手方向
に関し膜厚のばらつきは5%以内に収まっていた。ま
た、堆積膜の形成速度を算出したところ、平均15Å/
secであった。さらに、a−SiGe;Hからなる堆
積膜が形成された部分について、任意に6ヶ所を選んで
切り出し、実施例C1と同様に、2次イオン質量分析計
を用いて深さ方向の元素分布を測定した。その結果、図
27に示したものと同様の元素分布が得られ、図14
(D)に示したものと同様のバンドギャッププロファイ
ルとなっていることがわかった。また、金属中水素分析
計を用いて堆積膜中の全水素を定量したところ、15±
2原子%であった。
【0291】〔実施例C5〕図26に示した連続堆積膜
形成装置700 を用いて、図10に示した層構成のアモル
ファスシリコン系の太陽電池200 を作成した。この太陽
電池200 は、単一のpin接合を有し、i型半導体層20
4 におけるバンドギャッププロファイルは、図14
(D)に示したものとした。
【0292】上述した実施例C1で使用したものと同様
のSUS430BAからなる帯状の長尺基板1を、連続
スパッタ装置(不図示)に装着し、Ag電極(Ag純
度:99.99%)をターゲットとして、帯状の長尺基
板1上に、厚さ1000ÅのAg薄膜をスパッタ蒸着し
た、さらに、ZnO(ZnO純度:99.999%)電
極をターゲットとして、厚さ1.2μmのZnO薄膜を
Ag薄膜の上にスパッタ蒸着し、帯状の長尺基板1上に
下部電極202 を形成した。
【0293】次に、下部電極202 が形成された帯状の長
尺基板1を基板送出容器710 に装着したのち、第1の不
純物層形成用真空容器720 と堆積膜形成装置730 と第2
の不純物層形成用真空容器750 とを介して基板巻取容器
760 まで帯状の長尺基板1を通した。そして、帯状の長
尺基板1がたるまないように、帯状の長尺基板1の張力
を調整した。その後、実施例C1同様に、基板送出容器
710 内と第1の不純物層形成用真空容器720 内と堆積膜
形成装置730 内と第2の不純物層形成用真空容器750 内
と基板巻取容器760 内とを5×10-6Torrまでそれぞれ
排気した。
【0294】続いて、帯状の長尺基板1を真空送出容器
710 から真空巻取容器760 に向けて連続的に移動させな
がら、帯状の長尺基板1の上に、第1の不純物層形成用
真空容器720 でn型半導体層203 を、堆積膜形成装置73
0 でi型半導体層204 を、第2の不純物層形成用真空容
器750 でp型半導体層205 を順次形成した。このときの
n型半導体層203 およびp型半導体層205 の形成条件は
表C5に示す通りであり、i型半導体層204 の形成条件
は、実施例C1においてi型のa−SiGe:Hからな
る堆積膜を形成したときの形成条件と同じにした。
【0295】
【表16】
【0296】n型半導体層203 ,i型半導体層204 およ
びp型半導体層205 の形成はそれぞれ、第1の不純物層
形成用真空容器720 内,堆積膜形成装置730 内および第
2の不純物層形成用真空容器750 内でマイクロ波グロー
放電を生起させ、グロー放電によるプラズマが安定した
のち、帯状の長尺基板1を移動速度105cm/min
で移動させることにより行った。
【0297】帯状の長尺基板1の全長(100m)のす
べてにわたってn型半導体層203 ,i型半導体層204 お
よびp型半導体層205 を形成したのち、帯状の長尺基板
1を冷却させて、連続堆積膜形成装置700 から取り出し
た。その後、p型半導体層205 上に、透明電極206 と集
電電極207 とを形成して、帯状の太陽電池200 を完成さ
せた。
【0298】続いて、連続モジュール化装置(不図示)
を用いて、作成した太陽電池200 を、大きさが36cm
×22cmの多数の太陽電池モジュールに加工した。加
工した太陽電池モジュールについて、AM値が1.5で
エネルギー密度100mW/cm2 の疑似太陽光を用い
て特性評価を行ったところ、7.8%以上の光電変換効
率が得られ、また、各太陽電池モジュール間の特性のば
らつきも5%以内に収まった。また、加工した太陽電池
モジュールの中から2個を抜き取り、連続200回の繰
り返し曲げ試験を行ったところ、試験後においても特性
が劣化することはなく、堆積膜の剥離などの現象も認め
られなかった。さらに、上述したAM値が1.5でエネ
ルギー密度100mW/cm2 の疑似太陽光を連続50
0時間照射したのちでも、光電変効率は初期値に対して
8.5%以内に収まっていた。この太陽電池モジュール
を接続することにより、出力5kWの電力供給システム
を構成することができた。
【0299】〔実施例C6〕上述した実施例C5ではi
型半導体層203 としてa−SiGe:H堆積膜を用いた
が、ここでは、a−SiGe:H堆積膜の代わりにa−
SiC:H堆積膜を用いて太陽電池200 を作成し、太陽
電池モジュールに加工した。i型半導体層204 を実施例
C2と同様の形成条件で堆積させる以外は、実施例C1
と同様にした。なお、i型半導体層204 は、図14
(C)に示したようなバンドギャッププロファイルとし
た。
【0300】そして、加工した太陽電池モジュールにつ
いて、実施例C5と同様の特性の評価を行ったところ、
7.2%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジ
ュール間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。
また、連続200回の繰り返し曲げ試験後においても特
性の劣化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかっ
た。さらに、連続500時間の疑似太陽光照射ののち
も、光電変換効率の変動は初期値に対して8.5%以内
に収まっていた。この太陽電池モジュールを使用するこ
とにより、出力5kWの電力供給システムを構成するこ
とができた。
【0301】〔実施例C7〕実施例C5ではi型半導体
層204 としてa−SiGe:H堆積膜を用いたが、ここ
では、a−SiGe:H堆積膜の代わりにa−Si:H
堆積膜を用いて太陽電池200 を作成し、太陽電池モジュ
ールに加工した。i型半導体層204 を実施例C3と同様
の形成条件で堆積させる以外は、実施例C1と同様にし
た。なお、i型半導体層204 は、図20(B)に示した
ようなフェルミレベルプロファイルとした。
【0302】そして、加工した太陽電池モジュールにつ
いて、実施例C5と同様の特性の評価を行ったところ、
8.4%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジ
ュール間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。
また、連続200回の繰り返し曲げ試験後においても特
性の劣化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかっ
た。さらに、連続500時間の疑似太陽光照射ののち
も、光電変換効率の変動は初期値に対して8.5%以内
に収まっていた。この太陽電池モジュールを使用するこ
とにより、出力5kWの電力供給システムを構成するこ
とができた。
【0303】〔実施例C8〕図12に示した、二組のp
in接合を積層した構成のアモルファスシリコン系の太
陽電池220 を作成し、太陽電池モジュールに加工した。
作成にあたっては、二組のpin接合を形成できるよう
に、図27に示した連続堆積膜形成装置700の第2の不
純物層形成用真空容器750 と基板巻取容器760 との間
に、連続堆積膜形成装置700 の第1の不純物形成用真空
容器720 と堆積膜形成装置730 と第2の不純物層形成用
真空容器750 とを順次直列に接続したものを挿入した構
成の装置を用いた。
【0304】帯状の長尺基板1としては、実施例C5で
使用したものと同様のものを使用した。また、二組のp
in接合のうち、光の入射側から遠い方の第1のpin
接合223 は、実施例C6で作成した太陽電池200 のpi
n接合と同じ形成条件で形成し、光の入射側に近い方の
第2のpin接合224 は、実施例C7で作成した太陽電
池200 のpin接合と同じ形成条件で形成した。第1お
よび第2のpin接合223,224の形成後、実施例C5と
同様の工程により、太陽電池モジュールを加工した。
【0305】加工した太陽電池モジュールについて、実
施例C5と同様の特性の評価を行ったところ、11.0
%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジュール
間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。また、
連続200回の繰り返し曲げ試験後においても特性の劣
化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかった。さら
に、連続500時間の疑似太陽光の照射ののちも、光電
変換効率の変化率は7.5%以内に収まっていた。この
太陽電池モジュールを使用することにより、出力5kW
の電力供給システムを構成することができた。
【0306】〔実施例C9〕図13に示した、三組のp
in接合を積層した構成のアモルファスシリコン系の太
陽電池230 を作成し、太陽電池モジュールに加工した。
作成にあたっては、三組のpin接合を形成できるよう
に、図27に示した連続堆積膜形成装置700の第2の不
純物層形成用真空容器750 と基板巻取容器760 との間
に、連続堆積膜形成装置700 の第1の不純物形成用真空
容器720 ,堆積膜形成装置730 ,第2の不純物層形成用
真空容器750 ,第1の不純物形成用真空容器720 ,堆積
膜形成装置730 および第2の不純物層形成用真空容器75
0 を順次直列に接続したものを挿入した構成の装置を用
いた。
【0307】帯状の長尺基板1としては、実施例C5で
使用したものと同様のものを使用した。また、三組のp
in接合のうち、光の入射側から遠い方の第1のpin
接合233 は、実施例C6で作成した太陽電池200 のpi
n接合と同じ形成条件で形成し、第2のpin接合234
は、実施例C7で作成した太陽電池200 のpin接合と
同じ形成条件で形成し、光の入射側に近い方の第3のp
in接合235 は、実施例C6で作成した太陽電池200 の
pin接合と同じ形成条件で形成した。第1乃至第3の
pin接合233〜235の形成後、実施例C5と同様の工程
により、太陽電池モジュールを加工した。
【0308】加工した太陽電池モジュールについて、実
施例C5と同様の特性の評価を行ったところ、12.0
%以上の光電変換効率が得られ、各太陽電池モジュール
間の特性のばらつきも5%以内に収まっていた。また、
連続200回の繰り返し曲げ試験後においても特性の劣
化は認められず、堆積膜の剥離も起こらなかった。さら
に、連続500時間の疑似太陽光の照射ののちも、光電
変換効率の変化率は7%以内に収まっていた。この太陽
電池モジュールを使用することにより、出力5kWの電
力供給システムを構成することができた。
【0309】以上、本発明の堆積膜形成方法および堆積
膜形成装置の各種実施例により、主として、アモルファ
スシリコン系の太陽電池を作成する場合について説明し
てきたが、本発明の堆積膜形成方法および堆積膜形成装
置は、アモルファスシリコン系の太陽電池以外の、大面
積おるいは長尺であることが要求される薄膜半導体素子
を形成する場合にも、好適に用いられるものである。こ
のような薄膜半導体素子として、たとえば、液晶ディス
プレイの画素を駆動するための薄膜トランジスタ(TF
T)や密着型イメージセンサ用の光電変換素子,スイッ
チング素子などが挙げられる。これら薄膜半導体素子は
画像入出力装置の主要な部品として使用されることが多
く、本発明の堆積膜形成方法および堆積膜形成装置を実
施することにより、これら薄膜半導体素子を高品質で均
一性よく量産できることとなり、画像入出力装置がさら
に広く普及することが期待されている。
【0310】次に、本発明の堆積膜形成方法および堆積
膜形成装置によって形成される、膜厚方向に対して組成
制御された堆積膜の例について説明する。
【0311】このような堆積膜としては、SiGe,S
iC,GeC,SiSn,GeSn,SnCなどの第IV
族合金半導体薄膜、GaAs,GaP,GaSb,In
P,InAsなどの第III−V族化合物半導体薄膜、Zn
Se,ZnS,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe
などの第II−VI族化合物半導体薄膜、CuAlS2 ,C
uAlSe2 ,CuAlTe2 ,CuInS2 ,CuI
nSe2 ,CuInTe2 ,CuGaS2 ,CuGaS
2 ,CuGaTe,AgInSe2 ,AgInTe2
などの第I−III−VI族化合物半導体薄膜、ZnSiP
2 ,ZnGeAs 2 ,CdSiAs2 ,CdSnP2
どの第 II−IV−V族化合物半導体薄膜、Cu2O ,Ti
2 ,In23 ,SnO2 ,ZnO,CdO,Bi2
3,CdSnO4 などの酸化物半導体薄膜、およびこれ
らの半導体薄膜に価電子を制御するための価電子元素を
含有させたものをあげることができる。また、Si,G
e,Cなどの第IV族半導体薄膜に価電子制御元素を含有
させたものを挙げることができる。もちろん、a−S
i:H,a−Si:H:Fなどの非晶質半導体におい
て、水素および/またはフッ素含有量を変化させたもの
であってもよい。 上述した半導体薄膜において組成制
御を行うことにより、禁制帯幅制御,価電子制御,屈折
率制御および結晶制御などが行われる。帯状の長尺基板
上に膜厚方向に対して組成制御された堆積膜を形成させ
ることにより、電気的,光学的および機械的に優れた特
性を有する大面積の薄膜半導体デバイスを作成すること
ができる。すなわち、堆積形成された半導体層の膜厚方
向に対して禁制帯幅および/または価電子密度を変化さ
せることにより、光学的無反射面することにができ、半
導体層中への光透過率を向上させることができる。さら
には、水素含有量などを変化させることによって、構造
的変化を与えることができ、内部応力が緩和されて、基
板と密着性の高い堆積膜を形成することができる。
【0312】前述した堆積膜を形成するために用いられ
る堆積膜形成用の原料ガスは、所望の堆積膜の組成に応
じてその混合比が適宜調整されて、成膜空間内に導入さ
れる。
【0313】上述した第IV族半導体または第IV族合金半
導体薄膜を形成するために好適に用いられる周期律表第
IV族元素を含む化合物としては、Si原子,Ge原子,
C原子,Sn原子またはPb原子を含む化合物であっ
て、具体的には、SiH4 ,Si26,Si38,Si
36,Si48,Si510 などのシラン系化合物、S
iF4(SiF25 ,(SiF26,(SiF24,S
26,Si38,SiHF3 ,SiH22,Si22
4 ,Si233 ,SiCl4 ,(SiCl25,S
iBr4 ,(SiBr25,Si2Cl6,Si2Br
6 ,SiHCl3 ,SiHBr3 ,SiHI3 ,Si2
Cl33 などのハロゲン化シラン化合物、GeH4
Ge26 などのゲルマン化合物、GeF4 ,(Ge
25,(GeF26,(GeF24,Ge26,Ge
38,GeHF3 ,GeH22,Ge224 ,Ge2
33 ,GeCl4 ,(GeCl25,GeBr4
(GeBr25,Ge2Cl6,Ge2Br6,GeHCl
3 ,GeHBr3 ,GeHI3 ,Ge2Cl33 などの
ハロゲン化ゲルマニウム化合物、CH4 ,C26,C3
8などのメタン列炭化水素、C24,C36などのエ
チレン列炭化水素、C66などの環状炭化水素、CF
4 ,(CF25,(CF26,(CF24,C26,C
38,CHF3 ,CH22,CCl4 ,(CCl25
CBr4 ,(CBr25,C2Cl6,C2Br6 ,CH
Cl3 ,CHI3 ,C2Cl33 などのハロゲン化炭素
化合物、SnH4 ,Sn(CH34などのスズ化合物、
Pb(CH34,Pb(C256 などの鉛化化合物な
どを挙げることができる。これらの化合物は、一種で用
いても二種以上混合して用いてもよい。
【0314】また、上述した第IV族半導体あるいは第IV
族合金半導体を価電子制御するために用いられる価電子
制御剤としては、p型の不純物として、周期律表第 III
族の元素、たとえば、B,Al,Ga,In,Tlなど
が好適なものとして挙げられ、また、n型不純物とし
て、周期律表第 V族の元素、たとえば、N,P,As,
Sb,Biなどが好適なものとして挙げられる。特に、
B,Ga,P,Sbなどが好適である。ドーピングされ
る不純物の量は、要求される電気的および光学的特性に
応じて適宜決定される。このような不純物導入用の原料
物質としては、常温常圧でガス状態の、または少なくと
も膜形成条件下で容易にガス化し得るものが採用され
る。そのような不純物導入用の出発物質として、具体的
には、PH3,P24,PF3 ,PF5 ,PCl3 ,A
sH3 ,AsF3 ,AsF5 ,AsCl3 ,SbH3
SbF5 ,BiH3 ,BF3 ,BCl3 ,BBr3 ,B
26,B410 ,B59,B511 ,B610 ,B6
12 ,AlCl3 などを挙げることができる。上記した
不純物元素を含む化合物は、一種用いても二種以上併用
してもよい。
【0315】上述した第II−VI族化合物半導体を形成す
るために用いられる、周期律表第II族元素を含む化合物
としては、具体的には、Zn(CH32,Zn(C
252,Zn(OCH32,Zn(OC252 ,C
d(CH32 ,Cd(C25 2 ,Cd(C37
2 ,Cd(C492 ,Hg(CH32,Hg(C
252,Hg(C652 ,Hg[C=(C65)]2
などが挙げられる。また、周期律表第VI族元素を含む
化合物としては、具体的には、NO,N2O ,CO2
CO,H2S ,SCl2 ,S2Cl2,SOCl2 ,Se
2 ,SeCl2 ,Se2Br2,Se(CH32,Se
(C252 ,TeH2 ,Te(CH32,Te(C2
52 などが挙げられる。もちろん、これらの原料物
質は、一種のみならず二種以上混合して使用することも
できる。
【0316】第II−VI族化合物半導体を価電子制御する
ために用いられる価電子制御剤としては、周期律表第I,
III,IV,V族の元素を含む化合物などを有効なものとして
挙げることができる。具体的には、第 I族元素を含む化
合物としては、LiC37,Li(sec−C49),L
2S ,Li3N などが好適なものとして挙げることが
できる。また、第 III族元素を含む化合物としては、B
3 ,B26,B41 0 ,B59,B511 ,B6
10 ,B(CH33,B(C253 ,B612 ,Al
3 ,Al(CH32Cl,Al(CH33,Al(O
CH33,Al(CH3)Cl2,Al(C253 ,A
l(OC253 ,Al(CH33Cl3 ,Al(i−
493 ,Al(i−C373 ,Al(C37
3 ,Al(OC 493 ,GaX3 ,Ga(OC
33,Ga(OC253 ,Ga(OC373 ,G
a(OC493 ,Ga(CH33,Ga26,GaH
(C252 ,Ga(OC25)(C252 ,In
(CH33,In(C373 ,In(C 493 、第
V族元素を含む化合物としては、NH3 ,HN3 ,N2
53 ,N 24,NH43,PX3 ,P(OC
33,P(OC253 ,P(OC37 3 ,P(O
493 ,P(CH33,P(C253 ,P(C3
73 ,P(C493 ,P(SCN)3 ,P24
PH3 ,AsH3 ,AsX3 ,As(OCH33,As
(OC253 ,As(OC373 ,As(OC
493 ,As(CH33,As(C253 ,As
(C653 ,SbX3 ,Sb(OCH 33,Sb(O
253 ,Sb(OC373 ,Sb(OC49
3 ,Sb(CH33,Sb(C373 ,Sb(C
493 などが挙げられる。なお、Xは、ハロゲン元素
(F,Cl,Br,I)を示す。もちろん、これらの原
料物質は、一種であってもよいが、二種またはそれ以上
を併用してもよい。さらに、第IV族元素を含む化合物と
しては、前述した化合物を用いることができる。
【0317】上述した第III−V族化合物半導体を形成す
るために用いられる周期律表第 III族元素を含む化合物
としては、第II−VI族化合物半導体を価電子制御するた
めに用いられる第 III族元素を含む化合物として上述し
たものをそのまま使用することができ、また、周期律表
第 V族元素を含む化合物としては、第II−VI族化合物半
導体を価電子制御するために用いられる第 V族元素を含
む化合物として上述したものを同様にそのまま使用する
ことができる。もちろん、これらの原料物質は、一種で
あってもよいが、二種またはそれ以上を併用してもよ
い。
【0318】第III− V族化合物半導体を価電子制御す
るために用いられる価電子制御剤としては、周期律表第
II,IV,VI族の元素を含む化合物などを有効なものとして
挙げることができる。このような化合物としては、上述
した第II族元素を含む化合物、上述した第IV族元素を含
む化合物、上述した第VI族元素を含む化合物をそれぞれ
使用することができる。
【0319】上述した各原料ガスは、He,Ne,A
r,Kr,Xeなどの希ガスあるいはH2 ,HF,HC
lなどの希釈ガスと混合して、堆積膜形成装置に導入し
てもよいし、これら希ガスや希釈ガスを原料とは独立
に、堆積膜形成装置に導入するようにしてもよい。
【0320】本発明の堆積膜形成方法および堆積膜形成
装置は、膜厚方向に対して組成の分布がある堆積膜を、
大面積の基板上に、特性にばらつきなくかつ連続的に形
成することができるので、以下のような応用がある。 (1)比較的幅が広くかつ長尺の基板上に、高い生産効
率で連続して安定性よく、高い光電変換効率を有する太
陽電池を形成することができる。 (2)連続して移動する帯状の長尺基板上に、膜厚方向
に対してバンドギャップが連続的に変化する半導体層を
形成することができる。 (3)連続して移動する帯状の長尺基板上に、膜厚方向
に対して価電子密度が連続的に変化する半導体層を形成
することができる。
【0321】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次の効果を奏する。
【0322】すなわち、本発明は、たとえば、グレーデ
ィッドバンドギャップのi型a−SiGe:H層を有す
る三層構造の太陽電池(P型a−Si:H/i型a−S
iGe:H/n型a−Si:H)を帯状の長尺基板上に
連続して作成する際に、a−SiGe:H層中のGe含
有量を任意に制御できるため、所望のバンドギャッププ
ロファイルを形成することができるなど、バンドギャッ
プを連続的に変化させるなどのために、膜厚方向に対し
て連続的に組成を変化させつつ、さらに、堆積膜の端面
あるいは他の種の膜との積層である場合には他の膜との
界面における組成制御を所望の通りに実現でき、理想的
な接合面を形成して、良好な特性の堆積膜を作成するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】長尺基板の加熱方法の例を示す概略図であり、
(A)はハロゲンランプを用いて長尺基板を赤外線加熱
する例を示す図、(B)は加熱ブロックを長尺基板に接
触させて長尺基板を加熱する例を示す図、(C)は加熱
ローラーを長尺基板に接触させて長尺基板を加熱する例
を示す図である。
【図2】長尺基板の冷却方法の例を示す概略図であり、
(A)は長尺基板に近接して配置した水冷の冷却パイプ
を用いて長尺基板を冷却する例を示す図、(B)は水冷
の冷却ブロックを長尺基板に接触させて長尺基板を冷却
する例を示す図、(C)は水冷の冷却ローラーを長尺基
板に接触させて長尺基板を冷却する例を示す図である。
【図3】移動方向に対して上昇から下降へと直線的に変
化する基板温度分布の例を示すグラフである。
【図4】移動方向に対して上昇から下降へと直線的に変
化し、かつ、途中に温度一定の領域がある場合の温度分
布の例を示すグラフである。
【図5】移動方向に対して上昇から下降へと直線的に変
化し、かつ、途中に温度一定の領域がある場合の温度分
布の他の例を示すグラフである。
【図6】移動方向に対して上昇から下降へと非直線的に
変化する基板温度分布の例を示すグラフである。
【図7】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方法の
一実施例が実現可能な堆積膜形成装置の構成を示す概略
断面図である。
【図8】本発明の第1の参考例に係る堆積膜形成方法の
一実施例が実現可能な他の堆積膜形成装置の構成を示す
概略断面図である。
【図9】図7に示した堆積膜形成装置を組み込んだ連続
堆積形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図10】太陽電池の層構成を説明するための図であ
る。
【図11】太陽電池の他の層構成を説明するための図で
ある。
【図12】いわゆるタンデム型太陽電池の層構成を説明
するための図である。
【図13】いわゆるトリプル型太陽電池の層構成を説明
するための図である。
【図14】i型半導体層の膜厚方向のバンドギャッププ
ロファイルを示す説明図である。
【図15】堆積膜の膜厚方向の水素元素の含有量の分布
を測定した結果を示すグラフである。
【図16】各原料ガス流量をパラメータとして、基板上
の堆積速度とマイクロ波電力との関係を実験で求めた結
果の一例を示すグラフである。
【図17】本発明の第2の参考例に係る堆積膜形成方法
の一実施例が実現可能な堆積膜形成装置の構成を示す概
略断面図である。
【図18】図17に示した各成膜空間の構成を示す概略
斜視図である。
【図19】図17に示した堆積膜形成装置を組み込んだ
連続堆積膜形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図20】i型半導体層のフェルミレベルプロファイル
の具体例を示す説明図である。
【図21】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図22】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図23】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図24】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図25】本発明の堆積膜形成方法が実現可能な堆積膜
形成装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図26】図12に示した堆積膜形成装置を組み込んだ
連続堆積膜形成装置の構成を示す概略構成図である。
【図27】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図28】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【図29】2次イオン質量分析による深さ方向の元素分
布の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 長尺基板 21〜24 ハロゲンランプ 31〜34 加熱ブロック 41〜44 加熱ローラ 51〜54 冷却パイプ 61〜64 冷却ブロック 71〜74 冷却ローラ 10,30,300,430,600,730 堆積膜形成装置 11,31,131,301,601 真空容器 12,32,122,132,142 放電室 131,132,331,332 基板支持ローラー 141,142,341,342,1341,1342 赤外線ラ
ンプヒーター 15,35,135 冷却パイプ 161〜163,361〜363 温度制御装置 171〜174,371〜374,1371〜1374,313,608,
727,757 熱電対 18,38,123,138,14,3081〜3083 ガス導入管 19,124,139,144 放電電極 21,22,41,42,161,162,163,164,321,3
22,471〜474,621,771〜774 ガスゲート 23,24,43,44,165,166,167,168,323,3
24,475〜478,623,775〜478 ゲートガス供給管 25 高周波電源 291〜294,3031〜3033,427,457,6031〜6033,72
8,758 アプリケータ 451〜454 マイクロ波電源 461〜464,3041〜3043,6041〜6043 導波管 47,3051〜3053 マイクロ波導入窓 100,400,700 連続堆積膜形成装置 110,410,710 基板送出容器 111,151,711,761 ボビン 112,152,712,752 基板搬送ローラー 113,121,141,153,3091,3092,412,462,421,45
1,713,721,752,753排気管 120 n型層形成用真空容器 125,145,311,606,725,755 赤外線ランプヒータ
ー 140 p型層形成用真空容器 150,460 基板巻取容器 171〜173 高周波電源 3021〜3023 成膜空間 3061〜3063 ガス導入手段 3071〜3073 排気パンチングボード 3101,3102 排気スロットルバルブ 312,607,726,756 ランプハウス 420,450,720,750 不純物層形成用真空容器 411,461 ボビン 413,463,422,452 スロットルバルブ 414,464,714,754 圧力計 415,465,428,458 ヒーター 416,466,423,453,723,753 搬送ローラ 424,454 支持リング 426,456 原料ガス導入管 602,724,754 成膜容器 6051〜6053 ガス放出口 609 開口部 610 遮断部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 芳里 直 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマCVD法により、成膜空間を有
    する真空容器内で、帯状の長尺基板上に連続的に堆積膜
    を形成する堆積膜形成方法において、 前記長尺基板をその長手方向に連続的に移動させ、前記
    成膜空間内を順次貫通させて、該長尺基板を該成膜空間
    の側壁の一つとし、 前記堆積膜の原料となる物質を複数種類含有する原料ガ
    スを異なる組成あるいは組成比で前記成膜空間内に複数
    箇所から導入し、 前記成膜空間内の前記長尺基板の移動方向に、複数箇所
    からプラズマを生起させ、 前記成膜空間の前記長尺基板の搬入側および搬出側の少
    なくとも一方で所定の範囲にわたって前記堆積膜の形成
    を部分的に遮断して、前記長尺基板上に前記堆積膜を形
    成することを特徴とする堆積膜形成方法。
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