JP2001097915A - トロポロン化合物の製法 - Google Patents

トロポロン化合物の製法

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JP2001097915A JP27409199A JP27409199A JP2001097915A JP 2001097915 A JP2001097915 A JP 2001097915A JP 27409199 A JP27409199 A JP 27409199A JP 27409199 A JP27409199 A JP 27409199A JP 2001097915 A JP2001097915 A JP 2001097915A
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Katsuya Shimizu
克也 清水
Yasuhiro Nagato
康浩 長門
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C45/00Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds
    • C07C45/61Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups
    • C07C45/65Preparation of compounds having >C = O groups bound only to carbon or hydrogen atoms; Preparation of chelates of such compounds by reactions not involving the formation of >C = O groups by splitting-off hydrogen atoms or functional groups; by hydrogenolysis of functional groups

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬、農薬、化粧品原料等、またはその中間
体として有用なトロポロン化合物を高純度かつ高収率に
得る方法を提供する。 【解決手段】 以下の2工程を含むことを特徴とするト
ロポロン化合物の製法。 (1)シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンを反
応させて得られる7,7−ジクロロビシクロ[3.2.
0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を、塩基存在下
に分解する反応の前に減圧下蒸留精製する工程。 (2)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解して得
られた粗トロポロン化合物を、蒸留および晶析により精
製する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬、化粧
品原料等、またはその中間体として有用なトロポロン化
合物を高純度かつ高収率で得るトロポロン化合物の製法
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】下記構造式(1)で示されるトロポロン
化合物は、医薬、農薬、化粧品原料等、またはその中間
体として有用である。中でも4位にイソプロピル基を有
する4−イソプロピルトロポロンは、別名ヒノキチオー
ル(またはβ−ツヤプリシン)とも呼ばれ、広範囲に抗
菌・抗カビ作用を有するとともに、細胞賦活作用、チロ
シナーゼ活性阻害作用、植物のエチレン生成阻害作用な
どを有し、抗菌・抗カビ剤として医薬品、化粧品、養毛
剤、シャンプー・石鹸に配合されるほか、シロアリ駆除
剤のような昆虫忌避剤としても利用されている。
【化1】
【0003】また、鮮度保持フィルム、抗菌塗料にも広
く配合されている。一方、4−イソプロペニルトロポロ
ンは別名β−ドラブリンともいい、4−イソプロピルト
ロポロンとともに天然には青森ヒバや台湾ヒノキに含ま
れ、これらから得られる抽出油の主成分であり、この抽
出油も抗菌・抗カビ作用を有し抗菌ヒバ油などとして広
く使用されている。しかし、天然原料であるため抽出に
よる生産量には限界があり、工業的に製造する方法の開
発が従来進められてきた。また、イソプロピル基の置換
位置が異なる5−イソプロピルトロポロンや置換基のな
いトロポロンも、4−イソプロピルトロポロンと同様、
抗菌・抗カビ作用を持つと言われており、これらについ
ても工業的な製造方法の開発が求められている。
【0004】従来、トロポロン化合物の製造方法として
は、下記のような方法が知られている。 (1)メトキシトロピリデンを原料に、イソプロピルト
ロポロン、アミノイソプロピルトロポロンを経由して製
造する方法(Tetrahedron,32,1051
頁(1991)); (2)カルボンを過酸化水素でエポキシ化した後、アセ
タール化などの6工程を経て製造する方法(特開昭62
−93250号公報); (3)イソプロピルシクロヘキサノンまたはイソプロピ
ルシクロヘキセノンをシアノヒドリン化した後、2工程
を経てイソプロピルシクロヘプタノンを合成し、これを
酸化、臭素化、脱臭化水素化することにより製造する方
法(特開昭63−5048号公報、特開昭63−178
41号公報);および (4)ブロモトロポロンに有機スズ化合物を作用させた
後、Pd/C触媒の存在下、水素還元する方法(J.C
hem.Soc.,Chem.Commun.,198
9,616頁(1989))。しかし、これらの方法
は、工程数が多かったり、原料の入手が困難であった
り、工業的に実施する上で実用的とは言えない。
【0005】これらに対し、置換もしくは非置換のシク
ロペンタジエン化合物を原料として用い、これにジクロ
ロケテンを付加させて7,7−ジクロロビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を得、さら
にこれを塩基存在下に分解してトロポロン化合物を製造
する方法が知られている。この方法は、原料のシクロペ
ンタジエンが入手しやすく、工程数も少ないので、工業
的に実施する上では有利な方法と言える。
【0006】しかし、本発明者らがこの方法を検討した
ところ、従来技術にはいろいろな問題点が存在すること
がわかった。例えば、J.Am.Chem.Soc.,
87,5257頁(1965)では、シクロペンタジエ
ン化合物とジクロロケテンを反応させ7,7−ジクロロ
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンを
得た後、減圧蒸留し、その後分解反応によりトロポロン
化合物を得、銅錯体にした後硫化水素で処理し、最後に
晶析により精製する方法が記載されているが、晶析前の
銅錯体への変換および硫化水素による処理工程が極めて
煩雑である。
【0007】また、特公昭51−33901号公報で
は、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−
2−エン−6−オン化合物をカラムクロマトもしくはカ
ラムクロマトと減圧蒸留を組み合わせて精製した後、分
解反応に供し、得られたトロポロン化合物をカラムクロ
マトもしくはリグロインを溶媒にした晶析により精製す
る方法が開示されている。カラムクロマトで精製する方
法は、実験室規模で実施する上では何ら問題はないが、
工業的に実施する上では生産性および生産コストに問題
が生ずる。例えば、多量の溶剤を要したり、吸着剤の再
生・処理など煩雑な操作が必要となるなど、工業的には
好ましくない。
【0008】また、本発明者らの知見によれば、7,7
−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−
6−オン化合物を分解反応させて得られたトロポロン化
合物を、蒸留等の一時精製を行うことなく晶析操作を実
施すると、結晶化が起こりにくく、起こったとしても黒
色油状物と結晶が共存し、トロポロン化合物がこの黒色
油状物にもかなり含まれ、回収率が低くくなることがわ
かった。また、得られた結晶もその純度が低く、純度の
高い結晶を得るためには何回も晶析操作を繰り返さなけ
ればならないことがわかった。7,7−ジクロロビシク
ロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の
分解反応における高沸点の副生物が晶析回収率の低下と
高純度化を阻害する黒色油状物の原因と考えられる。
【0009】特開平8−40971号公報では、シクロ
ペンタジエン化合物とジクロロケテンとの反応で得られ
る7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2
−エン−6−オン化合物を、クロマト精製や蒸留精製す
ることなく次の分解工程に用いることが、生産性を考慮
すると好ましいと述べ、反応で得られる7,7−ジクロ
ロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン
化合物をそのまま分解反応に供し、ここで得られたトロ
ポロン化合物を、減圧蒸留後晶析操作で精製し精製トロ
ポロン化合物を得ている。しかし、本発明者の実験の結
果、未精製の7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]
ヘプト−2−エン−6−オン化合物を用いて分解反応実
施した場合、反応系に不溶な黒色タール状物が多量に生
じるという重大な問題が発生することがわかった。
【0010】7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]
ヘプト−2−エン−6−オン化合物を分解してトロポロ
ン化合物を得る反応は、通常、酢酸−酢酸ナトリウム
(もしくは酢酸カリウム)−水系や、アセトンなどの親
水性有機溶媒−酢酸−有機アミンなどの反応系を用いた
塩基性媒体中で実施され、反応終了後、希塩酸などを加
えて残存する塩基を中和するとともに、副生した塩を溶
解したのちヘキサン等で抽出操作を行う。ヘキサン等で
抽出する際、下層の水層は反応器の底端から抜液する。
上記の反応系に未精製の7,7−ジクロロビシクロ
[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を加
えると、反応系に不溶の黒色タール状物が多量に発生
し、このまま分解反応を実施した場合、撹拌操作に支障
を来す、あるいは反応液を加熱するための熱交換機が閉
塞するなどの重大な問題が生じた。また、この黒色固体
状物は7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オン化合物の分解反応により変質を受
け、より粘稠なタール状物に変化し、反応終了後のヘキ
サン抽出後反応器底端から水層を抜液する際、抜液口や
配管が詰まるという重大な問題が発生した。
【0011】この黒色タール状物は、水はもとよりアセ
トン、アルコール、ヘキサンなどの有機溶剤にも不溶で
あり、やっかいな代物である。反応系から濾過しように
も、粘稠な性質のため濾材を閉塞する傾向が強く、実質
的に濾過で除去することは不可能である。また、未精製
の7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2
−エン−6−オンを分解反応に供して得られた粗トロポ
ロン化合物は、上述のように変質した黒色タール状物を
含むが、粗トロポロン化合物の蒸留において、該タール
状物が熱分解し、その熱分解物がトロポロン化合物とと
もに留出してトロポロン化合物に不純物として混入し
た。そのためトロポロン化合物の晶析において結晶化が
起こりにくく、起こったとしても該不純物が黒色油状物
となってトロポロン結晶と共存し、トロポロン化合物が
該黒色油状物に取り込まれて回収率が低下した。
【0012】また、得られた結晶の純度が低く、純度を
上げるには何回も晶析操作を繰り返さねばならないとい
う問題が発生した。上述の黒色タール状物は、7,7−
ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6
−オン化合物の原料であるジクロロケテンに由来するも
のと考えられる。通常、ジクロロケテンはジクロロ酢酸
クロライドに有機アミンを作用させて発生させるが、ジ
クロロケテンは極めて不安定であり単離が困難なため、
ジクロロ酢酸と有機アミンを反応させる場にシクロペン
タジエン化合物を共存させ、ジクロロケテンの発生と発
生したジクロロケテンの付加を同時に行う。ジクロロケ
テンの不安定さは、この化合物の重合性にあり、ジクロ
ロケテンはシクロペンタジエン化合物に付加するか、自
身で重合するかは競争反応である。従って、7,7−ジ
クロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−
オン化合物の分解反応時に発生する黒色タール状物は、
ジクロロケテンの重合物と推察され、上述のような競争
反応の結果必然的に生じるものであり、その発生を阻止
することは非常に困難である。
【0013】以上述べてきたように、シクロペンタジエ
ン化合物とジクロロケテンを反応して7,7−ジクロロ
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化
合物を得、これを塩基存在下で分解して粗トロポロン化
合物を得、これを晶析精製してトロポロン化合物を製造
する方法において、7,7−ジクロロビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の分解反応
時に黒色タール状物の発生が無く、かつ粗トロポロン化
合物晶析時に黒色油状物の発生が無く、少ない晶析操作
で高純度品を高回収率で得る方法は未だ開示されておら
ず、そうした方法の提供が強く望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、置換もしく
は非置換のシクロペンタジエン化合物とジクロロケテン
を反応して7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘ
プト−2−エン−6−オン化合物を得、これを塩基存在
下で分解して粗トロポロン化合物を得、これを晶析精製
してトロポロン化合物を製造する方法において、7,7
−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−
6−オン化合物の分解反応時に黒色タール状物の発生が
無く、かつ粗トロポロン化合物晶析時に黒色油状物の発
生が無く、少ない晶析操作で高純度品を高回収率で得る
ことができるトロポロン化合物の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために検討した結果、本発明をなすに至っ
た。すなわち本発明は、以下の通りである。 (1)置換もしくは非置換のシクロペンタジエン化合物
とジクロロケテンを反応させて7,7−ジクロロビシク
ロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を
得、さらにこれを塩基存在下に分解するトロポロン化合
物の製法において、以下の2工程を含むことを特徴とす
るトロポロン化合物の製法。 (I)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オン化合物を、塩基存在下に分解する
反応の前に減圧下蒸留精製する工程。 (II)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解して得
られた粗トロポロン化合物を、蒸留および晶析により精
製する工程。 (2)トロポロン化合物が、4−イソプロピルトロポロ
ンであることを特徴とす上記(1)記載るトロポロン化
合物の製法。 本発明でいう置換もしくは非置換のシクロペンタジエン
化合物は、下記構造式(2)で表され、7,7−ジクロ
ロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン
化合物は下記構造式(3)で表され、トロポロン化合物
は下記構造式(1)で表される化合物である。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】但しこれらの式中、R1 からR3 は、水
素、または直鎖または分岐のアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、シクロアルキル基を表し、直鎖状ま
たは分岐状を問わない。また、不飽和結合が含まれてい
てもかまわない。また、酸素、ケイ素、ハロゲンなどの
ヘテロ原子が含まれていてもかまわない。アルキル基と
しては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブ
チル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブ
チル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、
1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチル
ペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチ
ル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デ
シル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペニ
ル、2−メチル−2−プロペニル、2−ブテニル、3−
ブテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げ
られる。
【0020】アルケニル基としては、一般式−CH=C
4 5 で表され、アルキニル基としては、一般式−C
≡C−R4 で表される。R4 、R5 は水素または炭化水
素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert
−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチ
ルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピ
ル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メ
チルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチル
ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n
−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、2−プロペ
ニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ヘキセニル、
5−ヘキセニルなどが挙げられる。
【0021】シクロアルキル基としては、例えば、シク
ロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シク
ロペンテン−1−イル、2−シクロペンテン−1−イ
ル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、1−シク
ロヘキセン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イ
ル、3−シクロヘキセン−1−イル、1,3−シクロヘ
キサジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−
1−イル、シクロヘプチル、1−シクロヘプテン−1−
イル、2−シクロヘプテン−1−イル、3−シクロヘプ
テン−1−イル、4−シクロヘプテン−1−イル、シク
ロオクチル、1−シクロオクテン−1−イル、2−シク
ロオクテン−1−イル、シクロノニル、シクロデシルな
どが挙げられる。
【0022】また、酸素が含まれるものとしては、今ま
で述べた基に一般式−OR6 や一般式−COOR7 で表
される置換基が有するものが挙げられる。R6 やR7
水素または炭化水素基であり、例えば、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec
−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチ
ルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,
1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチ
ルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチ
ル、1,1−ジメチルブチル、n−ヘキシル、n−オク
チル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−
ドデシル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニ
ル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられ
る。また、今まで述べた基にケイ素やフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素のようなハロゲンが含まれていてもかまわな
い。シクロペンタジエン化合物とジクロロケテンとの反
応は既知の方法で行われる。ジクロロ酢酸クロライドと
シクロペンタジエン化合物をヘキサンなどの溶媒に溶解
した混合溶液に、低温下トリエチルアミンを滴下するこ
とにより実施する。
【0023】このようにして得られた粗7,7−ジクロ
ロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン
化合物を分解反応に供するのに先立ち、減圧下蒸留精製
することが本発明の必須要件の第一である。この段階で
の蒸留精製を行わないと、次の分解反応の仕込み段階で
反応系に不溶の黒色タール状物が析出し、撹拌操作阻
害、熱交換機や配管類の閉塞などの重大な問題が生じ
る。また、該黒色タール状物は分解反応により変質を受
けて熱分解し易くなるため、粗トロポロン化合物の蒸留
においてその熱分解物が留出し、トロポロン化合物に不
純物として混入する。そのためトロポロン化合物の晶析
において結晶化が起こりにくく、起こったとしても該不
純物が黒色油状物となってトロポロン結晶と共存し、ト
ロポロン化合物が該黒色油状物に取り込まれて回収率が
低下する。
【0024】また得られた結晶の純度が低く、純度を上
げるには何回も晶析操作を繰り返さねばならないという
重大な問題が発生する。減圧下蒸留精製する方法は特に
制限はなく、汎用の蒸留又は蒸発装置を用いて実施する
ことができる。例えば、棚段塔や充填塔などの蒸留塔の
他、ジャケット式、薄膜式などの蒸発器を液の性状、不
純物量、生産規模などに応じ適宜選択して用いることが
できるが、除去対象である黒色タール状物が粘稠である
ことを考慮すると、薄膜式蒸発器が好ましい。該蒸留精
製における減圧度は、7,7−ジクロロビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物の熱分解を
抑制するという意味では沸点をできるだけ低くするよう
に高減圧度とするのが好ましいが、装置や運転の費用な
どの経済性も考慮すると0.1〜200mmHgが好ま
しく、さらに好ましくは1〜50mmHgである。
【0025】蒸留精製した7,7−ジクロロビシクロ
[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン化合物を塩
基存在下に分解する方法としては、塩基を含む混合溶媒
中で該化合物を加熱するという公知の方法で実施すれば
よい。該混合溶媒としては、酢酸−酢酸カリウム−水
系、酢酸−酢酸ナトリウム−水系、酢酸−トリエチルア
ミン−アセトン−水系などが提案されているが、トリエ
チルアミンを用いる系が反応速度が速く好ましい。また
本発明者らが鋭意検討した結果、アセトンの代わりにタ
ーシャリーブタノール(t−ブタノール)を用いる酢酸
/トリエチルアミン/t−ブタノール/水系を採用し、
しかもトリエチルアミンを予め全量仕込むのではなく、
後から滴下する方法が副生物低減の観点で好ましいこと
がわかった。
【0026】上記の分解反応で得られた粗トロポロン化
合物を蒸留および晶析により精製することが本発明の必
須要件の第2である。この段階での蒸留を実施しない
と、次の晶析において結晶化が起こりにくく、起こった
としても黒色油状物と結晶が共存し、トロポロン化合物
が該黒色油状物に取り込まれて回収率が低下する。ま
た、得られた結晶の純度が低く、純度を上げるには何回
も晶析操作を繰り返さねばならないという重大な問題が
発生する。一方、蒸留のあとに晶析を実施しないと、高
純度のトロポロン化合物を得ることができない。粗トロ
ポロン化合物の蒸留の方法は特に制限はなく、汎用の蒸
留又は蒸発装置を用いて実施することができる。例え
ば、簡単な単蒸留装置の他、棚段塔や充填塔などの蒸留
塔を用いることができる。また、ジャケット式、薄膜式
などの蒸発器を液の性状、不純物量、生産規模などに応
じ適宜選択して用いることができるが、除去対象である
黒色油状物が粘稠であることを考慮すると、薄膜式蒸発
器が好ましい。
【0027】該蒸留精製における減圧度は、トロポロン
化合物の熱分解を抑制するという意味では沸点をできる
だけ低くするように高減圧度とするのが好ましいが、装
置や運転の費用などの経済性も考慮すると0.1〜20
0mmHgが好ましく、さらに好ましくは1〜50mm
Hgである。蒸留精製したトロポロン化合物を晶析する
方法も特に制限はなく、リグロインやヘキサンなどトロ
ポロン化合物に対し適切な溶解度を有する溶媒を用い、
汎用の晶析装置で実施すればよい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下実施例などにより本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例などにより
何ら限定されるものではない。 <7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2
−エン−6−オン化合物およびトロポロン化合物の分析
方法> 装置:島津製作所製GC−14A、島津製作所製クロマ
トパックCR−4A カラム:J&Wサイエンティフィック社製キャピラリー
カラムDB−1(長さ30m×内径0.25mm、液相
膜厚0.25μm) 温度条件:カラム100℃×2分→250℃(10℃/
分)。注入口300℃、検出器300℃(FID) 本発明の実施例で使用した試薬類は下記のとおりであ
る。 ・n−ヘキサン:和光純薬工業(株)製、特級 ・ジクロロ酢酸クロライド:東京化成工業(株)製 ・トリエチルアミン:和光純薬工業(株)製、特級 ・酢酸:片山化学工業(株)製、特級 ・t−ブタノール:和光純薬工業(株)製、特級 ・6,6−ジメチルフルベン:アルドリッチ社製
【0029】
【実施例1】1−イソプロピルシクロペンタジエン47
3.52g(4.377mol)、ジクロロ酢酸クロラ
イド716.94g(4.864mol)を含むヘキサ
ン溶液2673.5gをジャケット式反応器に仕込み、
溶液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリ
エチルアミン515.65g(5.069mol)を
1.5時間かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実
施した。その間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持され
るよう、ジャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去し
た。トリエチルアミン滴下終了後、反応液に水2394
gと濃塩酸35.7gを添加し、10分間撹拌した。そ
の後10分間静置して有機層と水層をを分離させた後、
反応器底端から水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出
した。該有機層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジ
クロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物103
1.85g(純度76.4%、3.598mol)を得
た(収率82.2%)。
【0030】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約30〜60℃で留出
する初留を区別した後、約75℃で留出する本留を集
め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビ
シクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精
製品802.26g(純度96.0%、3.515mo
l)を得た(蒸留回収率97.7%)。得られた7,7
−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ
[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品1
73.76g(0.761mol)を、t−ブタノール
/水/酢酸=1032g/274g/274gの混合溶
媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式反応器に
仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌しつつ、還
流状態でトリエチルアミン539.04g(5.327
mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実施し
た。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、室温
まで冷却した。該反応液に水1575gと濃塩酸119
g加えた後、ヘキサン1000gを加えて10分間撹拌
した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層と水層
を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出し、続け
て有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧留
去し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物130.
09g(純度79.9%、0.633mol)を得た
(収率83.2%)。
【0031】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約45〜90℃で留出
する初留を区別した後、約95℃で留出する本留を集
め、4−イソプロピルトロポロン106.64g(純度
95.0%、0.617mol)を得た(蒸留回収率9
7.5%)。得られた4−イソプロピルトロポロンにヘ
キサン500gを加え、40℃で溶解させた。該溶液を
撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却し
て結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により採
取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で乾
燥し、4−イソプロピルトロポロンの結晶93.27g
(純度>99.9%、0.568mol)を得た(晶析
回収率92.1%)。本実施例は、本発明の必須要件を
すべて満足しているので、分解反応における黒色タール
状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できるのみな
らず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わず
か一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が
得られていた。
【0032】
【実施例2】実施例1と同様の方法で1−イソプロピル
シクロペンタジエン799.74g(7.393mo
l)にジクロロケテンを付加させ、7,7−ジクロロ−
3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘ
プト−2−エン−6−オンの粗生成物1745.40g
(純度76.2%、6.070mol)を得た(収率8
2.1%)。該粗生成物を0.63kg/Hrの流速
で、蒸発部が150℃に加熱された薄膜蒸発器(蒸発
部:内径50mm、長さ240mm)に10mmHgの
減圧下に供給し、7,7−ジクロロ−3−(1−メチル
エチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−
6−オンの精製品1357.85g(純度95.5%、
5.918mol)を得た(回収率97.5%)。得ら
れた7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビ
シクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精
製品を、実施例1と同様の方法で分解し、4−イソプロ
ピルトロポロンの粗生成物1017.17g(純度7
9.1%、4.900mol)を得た(収率82.8
%)。
【0033】該粗生成物を0.45kg/Hrの流速
で、蒸発部が160℃に加熱された薄膜蒸発器(蒸発
部:内径50mm、長さ240mm)に10mmHgの
減圧下に供給し、4−イソプロピルトロポロン815.
57g(純度95.2%、4.729mol)を得た
(回収率96.5%)。得られた4−イソプロピルトロ
ポロンに対し実施例1と同様の方法で晶析操作を施し、
4−イソプロピルトロポロンの結晶716.71g(純
度>99.9%、4.365mol)を得た(晶析回収
率92.3%)。本実施例は、本発明の必須要件をすべ
て満足しているので、分解反応における黒色タール状物
の発生がなく、円滑な反応操作が実施できているのみな
らず、晶析操作における黒色油状物の発生もなく、わず
か一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン化合物が
得られていた。
【0034】
【実施例3】シクロペンタジエン101.90g(1.
542mol)、ジクロロ酢酸クロライド272.73
g(1.850mol)を含むヘキサン溶液1132g
をジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0℃に冷却
した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン196.
12g(1.938mol)を1.5時間かけて滴下
し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その間、溶液
温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャケットに
冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチルアミン
滴下終了後、反応液に水845gと濃塩酸13.4gを
添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置して有
機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水層を抜
き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキ
サンを減圧留去し、7,7−ジクロロビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの粗生成物27
6.75g(純度70.3%、1.099mol)を得
た(収率71.3%)。
【0035】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約20〜45℃で留出
する初留を区別した後、約62℃で留出する本留を集
め、7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト−
2−エン−6−オンの精製品197.89g(純度9
5.9%、1.072mol)を得た(蒸留回収率9
7.5%)。得られた7,7−ジクロロビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品を、t−
ブタノール/水/酢酸=1454g/386g/386
gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット
式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を撹拌
しつつ、還流状態でトリエチルアミン759.33g
(7.504mol)を2.5時間かけて滴下し、分解
反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流
した後、室温まで冷却した。該反応液に水2218gと
濃塩酸163g加えた後、ヘキサン1400gを加えて
10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して
有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜
き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層からヘキ
サンを減圧留去し、トロポロンの粗生成物136.57
g(純度76.9%、0.860mol)を得た(収率
80.2%)。
【0036】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、20m
mHgの減圧下に単蒸留を行った。約35〜50℃で留
出する初留を区別した後、約65℃で留出する本留を集
め、トロポロン107.78g(純度95.1%、0.
839mol)を得た(蒸留回収率97.6%)。得ら
れたトロポロンにヘキサン512gを加え、40℃で溶
解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速
度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶
を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗
浄した後減圧下で乾燥し、トロポロンの結晶92.32
g(純度>99.9%、0.756mol)を得た(晶
析回収率90.1%)。本実施例は、本発明の必須要件
をすべて満足しているので、分解反応における黒色ター
ル状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できている
のみならず、晶析操作における黒色油状物の発生もな
く、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロン
化合物が得られていた。
【0037】
【実施例4】1−イソプロピルシクロペンタジエンと2
−イソプロピルシクロペンタジエンの混合物(54:4
6)22.78g(0.211mol)、ジクロロ酢酸
クロライド32.90g(0.223mol)を含むヘ
キサン溶液287gをジャケット式反応器に仕込み、溶
液温度を0℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエ
チルアミン23.85g(0.236mol)を2時間
かけて滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。そ
の間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジ
ャケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエ
チルアミン滴下終了後、反応液に水240gと濃塩酸
3.5gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間
静置して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端か
ら水層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機
層からヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロ−3−
(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オンと7,7−ジクロロ−2−(1−
メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−
エン−6−オンの混合物(81.5:18.5)の粗生
成物50.46g(純度62.1%、0.143mo
l)を得た(収率67.9%)。
【0038】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約30〜60℃で留出
する初留を区別した後、約75℃で留出する本留を集
め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビ
シクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンと
7,7−ジクロロ−2−(1−メチルエチル)−ビシク
ロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの混合物
の精製品31.63g(純度95.5%、0.138m
ol)を得た(蒸留回収率96.4%)。得られた精製
品を、t−ブタノール/水/酢酸=187g/50g/
50gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケ
ット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。該溶液を
撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン97.75g
(0.966mol)を2.5時間かけて滴下し、分解
反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流
した後、室温まで冷却した。該反応液に水286gと濃
塩酸22g加えた後、ヘキサン200gを加えて10分
間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置して有機層
と水層を分離させた後、反応器底端から水層を抜き出
し、続けて有機を抜き出した。該有機層からヘキサンを
減圧留去し、4−イソプロピルトロポロンと5−イソプ
ロピルトロポロンの混合物の粗生成物23.80g(純
度74.5%、0.108mol)を得た(収率78.
5%)。
【0039】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約45〜90℃で留出
する初留を区別した後、約95℃で留出する本留を集
め、4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルト
ロポロンの混合物17.81g(純度94.8%、0.
103mol)を得た(蒸留回収率95.2%)。得ら
れた4−イソプロピルトロポロンと5−イソプロピルト
ロポロンの混合物にヘキサン95gを加え、40℃で溶
解させた。該溶液を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速
度で0℃まで冷却して結晶を析出させた。析出した結晶
を減圧濾過により採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗
浄した後減圧下で乾燥し、4−イソプロピルトロポロン
と5−イソプロピルトロポロンの混合物の結晶13.7
9g(純度>99.9%、0.084mol)を得た
(晶析回収率81.3%)。本実施例は、本発明の必須
要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色
タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できて
いるのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生も
なく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロ
ン化合物が得られていた。
【0040】
【実施例5】6,6−ジメチルフルベン47.57g
(0.448mol)、ジクロロ酢酸クロライド15
0.20g(1.019mol)を含むヘキサン溶液1
173gをジャケット式反応器に仕込み、溶液温度を0
℃に冷却した。該溶液を撹拌しつつ、トリエチルアミン
108.02g(1.067mol)を1.5時間かけ
て滴下し、ジクロロケテン付加反応を実施した。その
間、溶液温度が0〜5℃の範囲に維持されるよう、ジャ
ケットに冷媒を流通させて反応熱を除去した。トリエチ
ルアミン滴下終了後、反応液に水500gと濃塩酸7.
3gを添加し、10分間撹拌した。その後10分間静置
して有機層と水層をを分離させた後、反応器底端から水
層を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層か
らヘキサンを減圧留去し、7,7−ジクロロ−4−(1
−メチルエチリデン)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト
−2−エン−6−オンの粗生成物127.82g(純度
53.0%、0.312mol)を得た(収率69.7
%)。
【0041】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、0.7
mmHgの減圧下に単蒸留を行った。約40〜100℃
で留出する初留を区別した後、約105℃で留出する本
留を集め、7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチリ
デン)−ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6
−オンの精製品70.21g(純度94.0%、0.3
04mol)を得た(蒸留回収率97.4%)。得られ
た7,7−ジクロロ−3−(1−メチルエチリデン)−
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの
精製品を、t−ブタノール/水/酢酸=412g/11
0g/110gの混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備え
たジャケット式反応器に仕込み還流温度まで昇温した。
該溶液を撹拌しつつ、還流状態でトリエチルアミン21
5.33g(2.128mol)を2.5時間かけて滴
下し、分解反応を実施した。滴下終了後さらに1.5時
間加熱還流した後、室温まで冷却した。該反応液に水6
30gと濃塩酸46g加えた後、ヘキサン400gを加
えて10分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置
して有機層と水層を分離させた後、反応器底端から水層
を抜き出し、続けて有機層を抜き出した。該有機層から
ヘキサンを減圧留去し、3−イソプロペニルトロポロン
の粗生成物52.53g(純度70.7%、0.229
mol)を得た(収率75.2%)。
【0042】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、1mm
Hgの減圧下に単蒸留を行った。約35〜80℃で留出
する初留を区別した後、約85℃で留出する本留を集
め、3−イソプロペニルトロポロン37.73g(純度
95.0%、0.221mol)を得た(蒸留回収率9
6.5%)。得られた3−イソプロペニルトロポロンに
ヘキサン180gを加え、40℃で溶解させた。該溶液
を撹拌しつつ、1分間に1〜2℃の速度で0℃まで冷却
して結晶を析出させた。析出した結晶を減圧濾過により
採取し、0℃に冷却したヘキサンで洗浄した後減圧下で
乾燥し、3−イソプロペニルトロポロンの結晶32.2
9g(純度>99.9%、0.199mol)を得た
(晶析回収率90.1%)。本実施例は、本発明の必須
要件をすべて満足しているので、分解反応における黒色
タール状物の発生がなく、分解反応を円滑に実施できて
いるのみならず、晶析操作における黒色油状物の発生も
なく、わずか一回の晶析操作で極めて高純度のトロポロ
ン化合物が得られていた。
【0043】
【比較例1】実施例1と同様の方法で1−イソプロピル
シクロペンタジエン219.13g(2.026mo
l)にジクロロケテンを付加させ、7,7−ジクロロ−
3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.2.0]ヘ
プト−2−エン−6−オンの粗生成物478.87g
(純度76.0%、1.661mol)を得た(収率8
2.0%)。該粗生成物を、t−ブタノール/水/酢酸
=2254.46g/598.68g/598.61g
の混合溶媒に溶解し、還流冷却器を備えたジャケット式
反応器に仕込み還流温度まで昇温した。その際、多量の
黒色タール状物が析出し、撹拌に支障を来す状態になっ
たが、そのまま反応操作を継続した。該溶液に対し、還
流状態でトリエチルアミン1176.50g(11.6
27mol)を2.5時間かけて滴下し、分解反応を実
施した。滴下終了後さらに1.5時間加熱還流した後、
室温まで冷却した。該反応液に水3338gと濃塩酸2
52.8gを加えた後、ヘキサン3005gを加えて1
0分間撹拌した。撹拌を停止した後10分間静置し、有
機層と水層を分離させたが、多量の黒色タール状物のた
め両層の界面が極めて不明瞭であった。また、その後反
応器底端から水層を抜き出す際、黒色タール状物が抜液
口を閉塞し、同タール状物を頻繁に除去しながら抜液し
なければならないという事態が発生した。水層抜き出し
後、有機層を抜き出した。該有機層からヘキサンを減圧
留去し、4−イソプロピルトロポロンの粗生成物30
1.72g(純度55.4%、1.018mol)を得
た(収率61.3%)。
【0044】該粗生成物を単蒸留装置に仕込み、実施例
1と同様の方法で単蒸留を実施したが、黒色の液体が4
−イソプロピルトロポロンと共に終始留出した。その結
果留出した4−イソプロピルトロポロン167.73g
の純度は74.5%(0.761mol)と低かった
(蒸留回収率74.8%)。得られた4−イソプロピル
トロポロンを40℃でヘキサン625gに溶解した。そ
の後、実施例1と同様の条件で該溶液を0℃まで冷却し
たが、黒色油状物が析出したのみで結晶は析出しなかっ
た。そこで別途合成した4−イソプロピルトロポロンの
結晶を種結晶として添加して結晶を析出させたが、黒色
油状物と共存するかたちで結晶が析出した。また、分析
の結果、同油状物には多量の4−イソプロピルトロポロ
ンが溶存していた。析出した結晶を減圧濾過により採取
したが、その純度は50.3%と低く、晶析回収率も2
5.1%と極めて低いものであった。本比較例では、本
発明の必須要件である、分解反応前の減圧蒸留による精
製を実施していないため、分解反応における黒色タール
状物の発生が著しく、撹拌操作障害、抜液口閉塞などの
問題が生じたのみならず、晶析工程において黒色油状物
が発生し、結晶純度低下や晶析回収率低下といった問題
も生じていた。
【0045】
【比較例2】実施例1の方法で合成、精製した7,7−
ジクロロ−3−(1−メチルエチル)−ビシクロ[3.
2.0]ヘプト−2−エン−6−オンの精製品100.
0g(純度96.0%、0.438mol)を実施例1
と同様の条件で分解し、4−イソプロピルトロポロンの
粗生成物74.90g(純度79.8%、0.364m
ol)を得た(収率83.1%)。該粗生成物をを40
℃でヘキサン293gに溶解した。その後、実施例1と
同様の条件で該溶液を0℃まで冷却したが、黒色油状物
が析出したのみで結晶は析出しなかった。そこで別途合
成した4−イソプロピルトロポロンの結晶を種結晶とし
て添加して結晶を析出させたが、黒色油状物と共存する
かたちで結晶が析出した。また、分析の結果、同油状物
には多量の4−イソプロピルトロポロンが溶存してい
た。析出した結晶を減圧濾過により採取したが、その純
度は51.2%と低く、晶析回収率も24.0%と極め
て低いものであった。本比較例では、本発明の必須要件
である粗トロポロン化合物の蒸留による精製を実施して
いないため、晶析工程において黒色油状物が発生し、結
晶純度低下や晶析回収率低下という問題が生じていた。
【0046】
【発明の効果】本発明により、医薬、農薬、化粧品原料
等、またはその中間体として有用なトロポロン化合物を
高純度かつ高収率で得ることが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC24 AC27 AC28 AD11 AD15 BA51 BB11 BB17 BB19 BB31 BB48 BC51 BC52 4H039 CA40 CA62 CH40

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換もしくは非置換のシクロペンタジエ
    ン化合物とジクロロケテンを反応させて7,7−ジクロ
    ロビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−6−オン
    化合物を得、さらにこれを塩基存在下に分解するトロポ
    ロン化合物の製法において、以下の2工程を含むことを
    特徴とするトロポロン化合物の製法。 (1)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
    −2−エン−6−オン化合物を、塩基存在下に分解する
    反応の前に減圧下蒸留精製する工程。 (2)7,7−ジクロロビシクロ[3.2.0]ヘプト
    −2−エン−6−オン化合物を塩基存在下に分解して得
    られた粗トロポロン化合物を、蒸留および晶析により精
    製する工程。
  2. 【請求項2】 トロポロン化合物が、4−イソプロピル
    トロポロンであることを特徴とする請求項1記載のトロ
    ポロン化合物の製法。
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