JP2001089781A - 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液 - Google Patents

極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液

Info

Publication number
JP2001089781A
JP2001089781A JP2000220584A JP2000220584A JP2001089781A JP 2001089781 A JP2001089781 A JP 2001089781A JP 2000220584 A JP2000220584 A JP 2000220584A JP 2000220584 A JP2000220584 A JP 2000220584A JP 2001089781 A JP2001089781 A JP 2001089781A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
extreme pressure
pressure additive
condensate
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000220584A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Yamada
滋 山田
Kazumasa Ihi
万将 衣斐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000220584A priority Critical patent/JP2001089781A/ja
Publication of JP2001089781A publication Critical patent/JP2001089781A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤を使用せず完全水溶性で、臭気、
色相も良好で、消泡性、錆止め性に優れ、しかも油性油
剤に相当する高い耐荷重性能と潤滑性能を有する極圧添
加剤を提供する。 【解決手段】 硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮
合物の塩からなる極圧添加剤であって、前記縮合物は、
硫黄含有率8〜15重量(質量)%、色相が6以下、酸
価80〜200を有することを特徴とする極圧添加剤、
これと水とを含んでなる切削液または研削液。ヒドロキ
シ不飽和脂肪酸と硫黄と硫化水素とを加熱加圧下で反応
させてヒドロキシ不飽和脂肪酸を硫化すると共に縮合さ
せた後、得られる反応生成物を塩基で中和して極圧添加
剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水溶性の極圧添加
剤及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属を切削あるいは研削する液体
を調製するには種々の油剤が使用され、とりわけ水を媒
体とする事による有利性、即ち冷却効果、不燃性、経済
性及び環境汚染の少なさから水溶性油剤が好ましく用い
られてきた。しかし水溶性油剤には、耐荷重性能不足、
及び摩擦低減効果などの潤滑性能不足による仕上げ面精
度や工具寿命の低下などの金属加工性能上での問題があ
る。さらに、使用中の発泡、錆の発生、腐敗、臭気悪化
などの水溶性油剤特有の問題がある。これら特有の問題
に対して、今までに種々の改善の試みがなされてきた。
【0003】耐荷重性を付与するために、水に対して殆
ど不溶な極圧添加剤、例えば塩素化パラフィンや塩素化
脂肪酸エステル等の塩素系極圧添加剤、あるいは特開平
7ー157793号公報に記載されているように、硫化
油脂、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド等の
硫黄系極圧添加剤を、多量の界面活性剤を利用して水に
分散させたエマルジョン型油剤が使用されている。しか
しエマルジョン型油剤の極圧性能は充分でなく、またエ
マルジョン状態の液の管理が煩雑で、エマルジョンが破
壊された時の油分による汚染や、加工した製品を溶剤等
で洗浄する必要があるなど環境面でも問題がある。
【0004】硫黄系極圧添加剤で水溶化させた例とし
て、硫化オレイン酸のアルカノールアミン塩の様な、硫
化長鎖不飽和脂肪酸塩を用いたソリュブル型油剤の試み
がなされている。しかし、極圧性能は高いが、界面活性
剤を用いないと完全に水溶化は難しく、また臭気が強
く、発泡が激しいという大きな欠点がある。
【0005】他の硫黄系極圧添加剤を用いたソリュブル
型油剤として、米国特許第4250046号明細書には
ジー(2ーヒドロキシエチル)ジスルフィドの使用が、
特開昭63ー284294号公報には3ーメルカプトプ
ロピオン酸ジスルフィドのアルカノールアミン塩の使用
が、特開平5ー43886号公報にはアルキルチオプロ
ピオン酸のアルカノールアミン塩の使用が記載されてい
るが、いずれも極圧性能、潤滑性能は向上はするものの
充分ではない。
【0006】硫黄を含まないソリュブル型油剤として
は、特公昭60ー49677号公報及び特公平2ー57
99号公報に記載されたリシノール酸の縮合物のアルカ
リ金属またはアミン塩、及び特開平7ー97590号公
報に記載されたヒドロキシ長鎖脂肪酸の縮合物のアルカ
リ金属塩またはアミン塩があり、いずれも臭気、消泡
性、耐腐敗性、錆止め性に優れている。しかし極圧性能
は硫黄系極圧添加剤に比べてかなり低いという欠点があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の実状に鑑み、本
発明は完全水溶性で、耐荷重性能、潤滑性能に優れ、か
つ臭気、消泡性、錆止め性の良好な極圧添加剤を提供す
ることを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの目的を
達成するために種々検討を行った結果、ヒドロキシ不飽
和脂肪酸の縮合物の塩そのものを極圧添加剤として用い
るのではなく、それの分子内不飽和二重結合を硫黄で架
橋させ、分子内に硫黄架橋構造を導入して、硫化され縮
合されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の塩とすることより、
より優れた性能を有する極圧添加剤となることを見い出
した。
【0009】またヒドロキシ不飽和脂肪酸としてリシノ
ール酸を用いる場合には、それと、硫黄、硫化水素を比
較的低温で反応させた、分子内に硫黄架橋構造を有する
縮合リシノール酸の塩が水溶性極圧添加剤として最も優
れた特性、すなわち耐荷重性能、潤滑性能、完全水溶
性、臭気、消泡性、錆止め性に優れていることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、特定の硫黄含有量、特
定の色相及び特定の酸価を有する硫化されたヒドロキシ
不飽和脂肪酸の縮合物の塩からなる極圧添加剤である。
【0011】本発明において、硫化されたヒドロキシ不
飽和脂肪酸の縮合物の塩としては、代表的には、化学構
造上、次の構成を全て有するものが挙げられる。
【0012】(X)ヒドロキシ不飽和脂肪酸が、縮合し
た構造(エステル結合)を有していること。(Y)ヒド
ロキシ不飽和脂肪酸に基づく分子内炭素−炭素不飽和二
重結合に硫黄原子が付加した、硫黄架橋構造を有してい
ること。(Z)縮合物分子内に、ヒドロキシ不飽和脂肪
酸に基づくカルボキシル基が塩の構造となって含まれて
いること。
【0013】尚、ヒドロキシ不飽和脂肪酸とは、分子内
に水酸基と炭素−炭素不飽和二重結合とカルボキシル基
を有するものを言う。
【0014】硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合
物の塩は、どの様な順序で反応を行って得ても良いが、
予め硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物を得て
それを塩とするのが好ましい。その前段の硫化されたヒ
ドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物を得るに当たっては、ヒ
ドロキシ不飽和脂肪酸を縮合すると共に硫化して分子内
にエステル結合構造と硫黄架橋構造を導入する方法があ
る。
【0015】この方法は、製造工程数等が少なく生産性
をより高めることができ、分子内により容易に硫黄架橋
構造を導入できるので好ましい。
【0016】また、具体的な方法としては、ヒドロキシ
不飽和脂肪酸と硫黄と硫化水素とを、必要に応じて触媒
の存在下で、加熱加圧下、比較的低温でヒドロキシ不飽
和脂肪酸を硫化すると共に縮合させる方法が採用でき
る。
【0017】この方法では、硫黄含有率等を含めて、反
応を制御するのがより容易であり、得られる生成物は、
着色がより少なく、しかも臭気もより少ないものとなる
ので好ましい。反応温度100℃を越えて150℃かつ
反応時間1〜20時間の範囲で選択するのが好ましい。
比較的低圧かつ比較的低温にて反応が行える点で、単位
生産量当たりエネルギー消費がより少なく出来、しかも
一般的な耐圧性を有する反応器で反応できる点でも好ま
しい。
【0018】硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合
物は、酸価が80〜200mgKOH/g、中でも10
0〜160mgKOH/gであることが、優れた潤滑性
能と界面活性剤を用いずとも安定した水溶性を兼備でき
る点から好ましい。これは、後述する最適な硫化された
リシノール酸の縮合物の場合も同様である。尚、硫化さ
れたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物は、塩となすこと
で、水溶性ではなく水分散性とすることも可能ではある
が、水溶性であるほうが安定性は優る。
【0019】次に、硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸
の縮合物を得るための原料について説明する。
【0020】ヒドロキシ不飽和脂肪酸において、分子内
水酸基数や分子内カルボキシル基数は、限定されるもの
ではないが、いずれも1〜3であれば良い。ヒドロキシ
不飽和脂肪酸の炭素の鎖長は、長鎖であることが好まし
く、不飽和二重結合の炭素を含めて、例えば12〜3
0、好ましくは14〜20である。
【0021】このようなヒドロキシ不飽和脂肪酸として
は、例えば、12−ヒドロキシオレイン酸(リシノール
酸)、13−ヒドロキシオレイン酸、15−ヒドロキシ
オレイン酸の様なモノヒドロキシ不飽和脂肪酸や、9,
10−ジヒドロキシオレイン酸、9,10−ジヒドロキ
シリノール酸、12,13−ジヒドロキシオレイン酸、
15,16−ジヒドロキシリノール酸、9,10−ジヒ
ドロキシパルミトレイン酸の様なジヒドロキシ不飽和脂
肪酸等が挙げられる。これらは、1種の単独使用または
2種以上の併用のいずれでも良い。油剤としての性能及
び経済性等を考慮すると、最も好ましいのは、12−ヒ
ドロキシオレイン酸(リシノール酸)である。
【0022】本発明において、ヒドロキシ不飽和脂肪酸
及び硫化水素は通常市販されているものを使用すること
が出来る。硫黄は固形状または溶融硫黄のいずれを使用
してもよい。
【0023】本発明の製造方法にて用いる触媒は、通常
は塩基性触媒である。塩基性触媒はアミンが適当であ
り、反応性の良い、例えばアルキルアミン、アリールア
ミン、ポリアミン、アルカノールアミンを用いる。一例
としては、例えばブチルアミン、ジブチルアミン、トリ
ブチルアミン、n−オクチルアミン、tert−オクチ
ルアミン、ジオクチルアミン、tert−ドデシルアミ
ン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサ
デシルアミン、tert−オクタデシルアミン、ジシク
ロヘキシルアミン、アリールアミン、ヘキサメチレンテ
トラミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0024】本発明の極圧添加剤における硫黄含有量
は、例えば8〜15重量(質量)%であり。優れた極圧
性能と低腐食性とを兼備する点で9〜11重量(質量)
%が好ましい。原料仕込比率〔重量(質量)換算〕は、
必要とされる硫黄の含有率等により自由に変えられる
が、硫黄含有量9〜11%で、ヒドロキシ不飽和脂肪酸
80〜90%、硫黄6〜7%、硫化水素3〜4%、触媒
0.2〜0.6%が好ましい。
【0025】本発明の製造方法による反応形態は、オー
トクレーブ中でヒドロキシ不飽和脂肪酸、硫黄、触媒に
硫化水素ガスを吹き込む方法や、ヒドロキシ不飽和脂肪
酸、硫黄、液化硫化水素、触媒を一時に仕込み反応させ
る方法のいずれでもよいが、比較的低圧下での反応が可
能な、前者の方法が好ましい。この反応の圧力条件は、
特に制限されないが、例えば98〜2940kPa(1
〜30kg/cm2)から選択すれば良いが、硫化水素
ガスを吹き込む前者の方法では、98〜980kPa
(1〜10kg/cm2)にて反応を行うことができる
ので、安全性の面からより好ましい。
【0026】本発明の製造方法での反応温度は、同一ヒ
ドロキシ不飽和脂肪酸を用いて硫黄のみで硫化する方法
に比べると、相対的に低温である。本発明の製造方法で
の反応温度は、硫化とエステル化をすべきヒドロキシ不
飽和脂肪酸の種類により特に限定されるものではない
が、通常、100〜200℃の範囲から選択出来る。硫
化水素を吹き込む方法では、極力、硫化水素が系内にて
逐次反応で消費される様に吹き込みを行う。本発明の製
造方法では、硫化反応よりも縮合反応のほうが大きく進
行する高温の反応条件を採用することは、好ましくな
い。本発明の製造方法で得られる、ヒドロキシ不飽和脂
肪酸が硫化され縮合された生成物は、淡色となる。本発
明における、硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合
物の色相は、ASTM D−1500に従って測定した
時の色相を言う。本発明における前記縮合物の色相は、
6以下であり、4以下が好ましい。
【0027】ヒドロキシ不飽和脂肪酸として、リシノー
ル酸を用いた場合においては、本発明の製造方法での温
度としては、100〜160℃、中でも100〜140
℃が好適条件であり、100℃より低いと反応がより遅
く、140℃を越えると硫黄架橋反応と競争反応である
リシノール酸の縮合反応が過大に進んでしまい、水溶性
が低下しやすく、また色相、臭気も悪くなる傾向にあ
り、好ましくない。反応時間は、2〜18時間の範囲で
調節できる。こうして、硫化リシノール酸の縮合物が得
られる。
【0028】硫化リシノール酸の縮合物に代表される硫
化ヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物としての酸価は、こ
の競争反応である縮合反応の度合いで変化し、反応温度
と反応時間で調節でき、上記した好適な範囲に調節す
る。上記した通り、酸価が100未満では増粘しやす
く、水溶性も低下しやすく、160を越えると潤滑性能
の効果が低下しやすい。
【0029】硫化ヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物の塩
を得るに当たっては、例えば、それを得る任意の工程に
て、生成物の分子中に含まれるカルボキシル基が、塩基
により中和されて塩とされる。一例として、硫化ヒドロ
キシ不飽和脂肪酸の縮合物が塩基で中和されて、硫化ヒ
ドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物の塩となる。イオン解離
した、この塩の状態が、安定した水溶性に大きく寄与す
る。この結果、従来は、安定な溶解性や分散性を与える
のに必要であった界面活性剤を使用しないか、使用した
としても極少量で済むので、界面活性剤を用いた場合に
おける性能上の欠点が大幅に改善できる。
【0030】硫化リシノール酸の縮合物に代表される硫
化ヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮合物は、これを塩基で塩
となす。塩基としては、金属水酸化物、金属炭酸化物、
アンモニア等の無機塩基、脂肪族第1級アミン、脂肪族
第2級アミン、脂肪族第3級アミン等の有機アミンが挙
げられるが、好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、ア
ルカノールアミンで、それをアルカリ金属塩またはアル
カノールアミン塩となす。
【0031】アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等を例示でき、またアルカノー
ルアミンとしてはモノ、ジ、またはトリ型のエタノール
アミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、オク
タノールアミン等各種が使用出来る。これらは1種のみ
の使用でも2種以上の併用も出来る。塩基としては、と
りわけモノ、ジ、またはトリ型のエタノールアミンが好
ましい。
【0032】硫化リシノール酸の縮合物の塩に代表され
る硫化ヒドロキシ脂肪酸の縮合物のかかる塩は、前記ア
ルカリ金属の水酸化物、アルカノールアミンと混合する
ことにより当該塩に変換出来るが、当量比で1〜3と多
くした方が水溶性と消泡性が良好になる。カルボキシル
基の中和に要するより少ない量が加えられた場合、硫化
リシノール酸の縮合物は遊離の状態で本発明の極圧添加
剤に一部含まれることになる。一方、カルボキシル基の
中和に要するより多くの量が加えられた場合、アルカノ
ールアミンは遊離の状態で本発明の極圧添加剤に一部含
まれることになる。
【0033】本発明の極圧添加剤から切削液や研削液を
製造するには、公知の油剤、防錆剤、殺菌剤、消泡剤を
併用してもよい。本発明の極圧添加剤は、公知慣用の水
溶性切削油剤や水溶性研削油剤に添加して用いてもよ
い。
【0034】本発明の極圧添加剤には、例えば、リシノ
ール酸の縮合物のアルカリ金属塩またはアルカノールア
ミン塩の様なヒドロキシ不飽和長鎖脂肪酸の縮合物の塩
を併用することが出来る。
【0035】本発明の極圧添加剤からは、それと水とを
含んでなる切削液や研削液を得ることが出来る。
【0036】かかる極圧添加剤において、本発明に係わ
る硫化ヒドロキシ脂肪酸の縮合物の塩の有効な配合比率
〔重量(質量)換算〕は、使用目的、状況により適宜選
択されるが、実際の金属加工時に適用する水溶液(切削
液または研削液)中の1〜50%、好ましくは1から1
0%である。
【0037】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。以下、%は重量(質量)%を表す。
【0038】<合成例1>オートクレーブにリシノール
酸89.3g、硫黄6.56g、触媒としてジシクロヘキシ
ルアミン0.53gを仕込む。装置を密閉し110℃で
硫化水素ガス3.60gを圧力6Kg/cm2(588k
Pa)で15時間を要して吹き込む。70℃まで冷却
後、硫化水素吸収装置に接続した弁を開けて圧力を常圧
に戻す。吹き込み管から空気を吹き込み、残留硫化水素
を留去する。
【0039】このようにして硫黄含有量9.8%を有す
る淡黄色液体の硫化リシノール酸の縮合物(生成物)9
8.0g(収率98%)を得た。
【0040】<合成例2〜4>合成例1において、反応
温度を120〜130℃、硫化水素吹込時間を4〜12
時間に変えた以外は合成例1と同様に処理した。
【0041】<比較合成例1>合成例2でリシノール酸
に代えてオレイン酸(水酸基を含まない不飽和長鎖脂肪
酸の代表例)を用いる以外は同様にして、硫化オレイン
酸を合成した。この硫化オレイン酸は、前記硫黄架橋構
造(Y)相当を含んでいるが、重縮合により形成される
構造であるエステル結合(X)は有さない。
【0042】<比較合成例2>リシノール酸を120℃
で12時間加熱し、縮合リシノール酸を合成した。この
リシノール酸重縮合物は、前記縮合により形成される構
造であるエステル結合(X)相当を含んでいるが、硫黄
架橋構造(Y)は有さない。
【0043】これら合成例と比較合成例の結果等につい
ては、表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例1 合成例1で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にトリ
エタノールアミン1.2当量を混合してアミン塩(硫化
ヒドロキシ脂肪酸の縮合物の塩)となし、これを1%〜
10%水溶液に調整して、耐荷重性能(融着荷重、平均
ヘルツ荷重)、耐磨耗性能(磨耗痕経)、潤滑性能(摩
擦係数)などの性能、水溶解性、消泡性、金属腐食性を
測定した。
【0046】実施例2 合成例2で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にトリ
エタノールアミン1.2当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0047】実施例3 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にトリ
エタノールアミン1.2当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0048】実施例4 合成例4で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にモノ
エタノールアミン1.9当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0049】実施例5 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にモノ
エタノールアミン3.3当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0050】実施例6 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にジエ
タノールアミン1.9当量を混合してアミン塩となし、
実施例1と同様に性能試験を行った。
【0051】実施例7 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にジエ
タノールアミン3.3当量を混合してアミン塩となし、
実施例1と同様に性能試験を行った。
【0052】実施例8 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にトリ
エタノールアミン1.9当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0053】実施例9 合成例3で得た硫化リシノール酸の縮合物1当量にトリ
エタノールアミン3.0当量を混合してアミン塩とな
し、実施例1と同様に性能試験を行った。
【0054】比較例1 比較合成例1の硫化オレイン酸1当量にトリエタノール
アミン1.6当量を混合してアミン塩となし、実施例1
と同様に性能試験を行った。
【0055】比較例2 合成比較例2のリシノール酸の縮合物1当量にトリエタ
ノールアミン3当量を混合してアミン塩となし、実施例
1と同様に性能試験を行った。
【0056】耐荷重性能は、高速4球EP試験機を用
い、ASTM D2783に基ずき、室温、1770r
pm、10秒条件で融着荷重、および平均ヘルツ荷重を
測定した。
【0057】耐磨耗性能は、高速4球WEAR試験機を
用い、ASTM D4172に基ずき、75℃、120
0rpm、40Kg、60分条件で磨耗痕径を測定した。
【0058】潤滑性能は、曽田式振り子摩擦試験機を用
い、室温、0.5ラジアン条件で動摩擦係数を測定し
た。
【0059】水溶解性は、アミン塩試料を10%水に溶
解し、透明性を5段階で判定した。判定基準は◎は完全
透明、○は透明、△はかすかに濁り、×は濁り、××は
二層分離とした。
【0060】消泡性は、アミン塩試料の1%水溶液20
0mlを500mlメスシリンダーにとり、30秒間振
り混ぜ、60分後の残留泡量(ml)を測定した。
【0061】金属腐食性は、アミン塩試料の1%水溶液
100mlに鉄片を1ケ月半漬し、錆の発生程度を3段
階で判定した。判定基準は、○は全く錆びなし、△は数
点錆が発生、×は数十点のさびが発生とした。
【0062】実施例と比較例の性能試験及び各特性の測
定結果を表2及び表3に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】これらの表が示すように、本発明の硫化リ
シノール酸の縮合物の塩類からなる極圧添加剤は、完全
に水溶性で、微臭、淡色であり、それの水溶液は消泡
性、錆止め性に優れた特性を有する。また、耐荷重性、
潤滑性が極めて優れている。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、界面活性剤を使用せず
完全水溶性で、臭気、色相も良好な硫黄系極圧添加剤を
提供できる。消泡性、錆止め性に優れた、しかも従来の
切削油や研削油に相当する高い耐荷重性能と潤滑性能を
有する切削液や研削液が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 30:06 C10N 30:06 30:12 30:12 30:18 30:18 40:22 40:22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化されたヒドロキシ不飽和脂肪酸の縮
    合物の塩からなる極圧添加剤であって、前記縮合物は、
    硫黄含有率8〜15重量(質量)%、色相が6以下、酸
    価80〜200を有することを特徴とする極圧添加剤。
  2. 【請求項2】 前記ヒドロキシ不飽和脂肪酸が、リシノ
    ール酸である請求項1記載の極圧添加剤。
  3. 【請求項3】 硫化された前記縮合物の酸価が100〜
    160である、請求項2記載の極圧添加剤。
  4. 【請求項4】 塩が、アルカノールアミン塩またはアル
    カリ金属水酸化物塩である請求項1、2または3記載の
    極圧添加剤。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシ不飽和脂肪酸、硫黄、硫化水
    素を加熱加圧下で反応させてヒドロキシ不飽和脂肪酸を
    硫化すると共に縮合させた後、得られる反応生成物を塩
    基で中和することを特徴とする極圧添加剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応圧力が、98〜2940kPaの範
    囲にある請求項5記載の極圧添加剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 反応温度が、100から160℃である
    請求項5または6記載の極圧添加剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3または4のいずれかの
    極圧添加剤と水とからなる切削液。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3または4のいずれかの
    極圧添加剤と水とからなる研削液。
JP2000220584A 1999-07-21 2000-07-21 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液 Pending JP2001089781A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000220584A JP2001089781A (ja) 1999-07-21 2000-07-21 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20607199 1999-07-21
JP11-206071 1999-07-21
JP2000220584A JP2001089781A (ja) 1999-07-21 2000-07-21 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001089781A true JP2001089781A (ja) 2001-04-03

Family

ID=26515436

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000220584A Pending JP2001089781A (ja) 1999-07-21 2000-07-21 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001089781A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102002424A (zh) * 2010-12-14 2011-04-06 上海德润宝特种润滑剂有限公司 一种微乳化切削液组合物及其制备方法
JP2011094079A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Pilot Ink Co Ltd ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
CN102618358A (zh) * 2012-03-06 2012-08-01 上海应用技术学院 一种绿色微乳化金属切削液及其制备方法
JP5576361B2 (ja) * 2009-03-31 2014-08-20 出光興産株式会社 水溶性加工油剤

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5576361B2 (ja) * 2009-03-31 2014-08-20 出光興産株式会社 水溶性加工油剤
JP2011094079A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Pilot Ink Co Ltd ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン
CN102002424A (zh) * 2010-12-14 2011-04-06 上海德润宝特种润滑剂有限公司 一种微乳化切削液组合物及其制备方法
CN102618358A (zh) * 2012-03-06 2012-08-01 上海应用技术学院 一种绿色微乳化金属切削液及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104164283B (zh) 微乳金属切削液
JPH0226666B2 (ja)
CN103819370B (zh) 脂肪酸单乙醇酰胺琥珀酸酯磺酸盐及其制备方法及应用
AU2002352961B2 (en) Lubricating oil having enhanced resistance to oxidation, nitration and viscosity increase
CN107418673A (zh) 一种基于聚异丁烯基琥珀酸酐的新型乳化体系的切削液及其制备方法和应用
JP2001089781A (ja) 極圧添加剤、その製造方法、切削液及び研削液
KR100704876B1 (ko) 극압 첨가제 및 그 제조 방법, 절삭액 및 연삭액
JPS62500937A (ja) 防食組成物及びこの防食組成物を含む油組成物
JP2000256695A (ja) 水溶性金属加工油剤
CN110156719A (zh) 一种含荒氨酸酯的噻二唑化合物及其制备方法和应用
US2481585A (en) Lubricating oil composition
CN103833613A (zh) 脂肪酸聚氧乙烯琥珀酸酯磺酸盐及其制备方法和用途
CA1256093A (en) Aminocarboxylic acid-terminated polyoxyaklylene containing extreme pressure functional compositions
KR100761557B1 (ko) 대두유를 이용한 수용성 금속가공유의 제조방법 및 이를이용한 금속가공유
JPH0765065B2 (ja) 水系潤滑剤
TWI811270B (zh) 馬來酸化大豆油衍生物作爲金屬加工液中的添加劑
AU602407B2 (en) Olefin polysulfide compositions of high sulfur content and very low chlorine content, their manufacture and use as additives for lubricants
JPH01301793A (ja) 潤滑油
JP2623058B2 (ja) コールドピルガー圧延用水溶性潤滑剤及びコールドピルガー圧延機における潤滑方法
JP3368045B2 (ja) 水溶性加工油剤
JPS59189195A (ja) 金属不活性化剤含有組成物
JP4761096B2 (ja) 硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体及びその塩の製造方法
CN114525162B (zh) 一种润滑剂、包含其的全合成切削液及润滑剂的制备方法
CN110295080A (zh) 一种用于不锈钢的切削液及其制备方法
JPH0525485A (ja) 水溶性金属加工油剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040818

RD01 Notification of change of attorney

Effective date: 20050624

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070306

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070313

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070511

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071106