JP2001069735A - 永久磁石式リラクタンス型回転電機 - Google Patents

永久磁石式リラクタンス型回転電機

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JP2001069735A
JP2001069735A JP24617199A JP24617199A JP2001069735A JP 2001069735 A JP2001069735 A JP 2001069735A JP 24617199 A JP24617199 A JP 24617199A JP 24617199 A JP24617199 A JP 24617199A JP 2001069735 A JP2001069735 A JP 2001069735A
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permanent magnet
magnetic flux
electric machine
rotating electric
rotor
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JP24617199A
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Kazuto Sakai
和人 堺
Masanori Shin
政憲 新
Mikio Takahata
幹生 高畠
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】永久磁石による誘起電圧が低く、かつ小型、高
出力、高力率で広範囲の可変速運転を行なうこと。 【解決手段】鉄心に電機子巻線2を設けた固定子1と、
鉄心4に永久磁石5を設けた回転子3とを備えて構成さ
れ、固定子1と回転子3との間で生じる全トルクは、リ
ラクタンストルクと、電機子巻線2の電流と永久磁石5
の鎖交磁束との作用で発生するトルクとを合成して作ら
れるように構成し、電機子巻線2は、巻線ピッチを極ピ
ッチの40%〜80%として固定子鉄心に巻き付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石による誘
起電圧が低く、かつ小型、高出力、高力率で広範囲の可
変速運転が可能な永久磁石を複合した永久磁石式リラク
タンス型回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13は、この種の従来のリラクタンス
型回転電機の構成例を示す径方向断面図である。
【0003】図13において、リラクタンス型回転電機
は、鉄心に電機子巻線2を設けた固定子1と、回転子鉄
心4を有する回転子3とをから構成されている。
【0004】このリラクタンス型回転電機は、回転子3
に界磁を形成する巻線が不要であり、図13に示すよう
に、回転子3は凹凸のある回転子鉄心4のみで構成する
ことができる。このため、従来のリラクタンス型回転電
機は、簡素であり、かつ安価である。
【0005】次に、かかるリラクタンス型回転電機の出
力の発生原理について説明する。
【0006】リラクタンス型回転電機は、回転子3に凹
凸があることにより、凸部で磁気抵抗が小となり、凹部
では磁気抵抗が大となる。
【0007】すなわち、凸部と凹部上の空隙部分で、電
機子巻線2に電流を流すことによって蓄えられる磁気エ
ネルギーが異なる。そして、この磁気エネルギーの変化
によって、出力が発生する。
【0008】また、凸部と凹部は、幾何的でのみでな
く、磁気的に凹凸を形成できる(磁気抵抗、磁束密度分
布が回転子3の位置により異なる)形状であればよい。
【0009】一方、他の高性能な回転電機として、永久
磁石回転電機がある。この永久磁石回転では、電機電機
子は、誘導機やリラクタンス型回転電機と同様に構成さ
れるが、回転子は回転子鉄心と回転子のほぼ全周にわた
って、永久磁石が配置されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】次に、前述した従来の
回転電機における技術課題について説明する。
【0011】リラクタンス型回転電機は、回転子鉄心4
の表面の凹凸により、回転位置によって磁気抵抗が異な
り、磁束密度も変化することになる。そして、この変化
によって、磁気エネルギーが変化して出力が得られる。
【0012】しかし、電流が増加するにつれて、磁極と
なる回転子鉄心4の凸部において、局部的な磁気飽和が
拡大する。これにより、磁極の磁気抵抗は高くなり、磁
極間となる凹の部分に漏れる磁束が増加する。その結
果、有効な磁束は減少して出力が低下し、同時に漏れ磁
束によって力率が著しく低下する。
【0013】かかる作用を磁気エネルギーから考える
と、次のようにも説明することができる。
【0014】すなわち、磁極の凸の鉄心部が磁気飽和し
て、凹部への漏れ磁束が生じる。その結果、空隙磁束密
度の変化が緩やかになって、磁気エネルギー変化が小と
なる。このため、電流に対して出力の増加率が低下し、
やがて出力は飽和する。同時に、漏れ磁束によって力率
が低下する。
【0015】一方、他方式の高出力の回転電機として、
高磁気エネルギー積の希土類永久磁石を適用した永久磁
石電動機がある。しかし、回転子鉄心の表面に永久磁石
を配置していることから、界磁に高エネルギーの永久磁
石を適用することによって、高磁界を電動機のエアギャ
ップに形成できるので、小型化、高出力化が可能とな
る。
【0016】しかしながら、永久磁石の磁束は一定であ
るので、高速回転時に電機子巻線に誘導される誘起電圧
は比例して大きくなる。従って、高速時の高い誘起電圧
で端子電圧が著しく上昇して電源電圧に達すると、これ
以上の回転速度を高くすることが不可能となる。
【0017】すなわち、最高速度が永久磁石の誘起電圧
による電圧制限で抑えられるため、広範囲の可変速運転
を行なうことが不可能となっている。
【0018】例えば、電源電圧を一定の条件で、永久磁
石電動機は基底速度の2倍以上の定出力運転は困難であ
る。
【0019】以上は、通常の永久磁石電動機の課題であ
るが、電流べクトル制御によって永久磁石電動機の可変
速運転範囲を改善する新たな方法が提案されてきてい
る。ただし、可変速運転範囲は、基底速度の2〜3倍程
度までが限界となっている。
【0020】この方法では、基底速度以上の中・高速度
領域において、磁石の磁化方向と逆方向の減磁界を形成
するような電流を流す。そして、この電流による減磁界
が、永久磁石に作用して永久磁石の磁束量が減少し、電
動機の電圧の上昇を抑制することになる。
【0021】しかしながら、この減磁界を形成するため
の余分な電流を流すことから、銅損が大幅に増加して効
率が低下するという問題点がある。同時に、永久磁石が
大きな減磁界により不可逆減磁することもある。
【0022】基底速度以下の低速度領域においては、永
久磁石は常に一定で多量の磁束が存在するので、永久磁
石による大きな鉄損が常に生じて軽負荷時の効率を低下
する要因となる。
【0023】さらに、システム上にも、次のような大き
な問題点がある。
【0024】前述の減磁界で永久磁石の磁束を強制的に
抑え込む制御を適用したシステムにおいて、制御が不能
になった瞬間に、永久磁石の過大な誘起電圧は、電動機
本体のみでなく、電動機に電気的に接続された周辺の回
路にもかかる。
【0025】すなわち、制御が不能、誤動作すると、イ
ンバータを構成するパワー素子、コンデンサ、インバー
タに接続された電源等が破壊、損傷することになる。
【0026】本発明の目的は、永久磁石による誘起電圧
が低く、かつ小型、高出力、高力率で広範囲の可変速運
転を行なうことが可能な永久磁石を複合した永久磁石式
リラクタンス型回転電機を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明の永久磁石式リラクタンス型回転
電機は、鉄心に電機子巻線を設けた固定子と、鉄心に永
久磁石を設けた回転子とを備えて構成され、固定子と回
転子との間で生じる全トルクは、リラクタンストルク
と、電機子巻線の電流と永久磁石の鎖交磁束との作用で
発生するトルクとを合成して作られるように構成し、電
機子巻線は、巻線ピッチを極ピッチの40%〜80%と
して固定子鉄心に巻き付けるようにしている。
【0028】従って、請求項1の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、固定子と回転子間で生
じる全トルクが、リラクタンストルクと、電機子巻線の
電流と永久磁石の鎖交磁束との作用で発生するトルクと
を合成して作られるようにし、電機子巻線の巻線ピッチ
を極ピッチの40%〜80%とすることにより、以下の
ような作用を奏することができる。すなわち、d軸とな
る磁束の通り易い部分(d軸方向の部分)と、q軸とな
る磁束の通り難い部分(q軸方向の部分)とが、回転子
に交互に形成されている。つまり、d軸方向は磁束量が
多く、空隙磁束密度も高い値となり、q軸方向は磁束量
が少なく、空隙磁束密度も低い値となる。このように、
空隙中において周方向で磁束密度の高低(凹凸)が形成
される。これにより、回転子の位置によって磁気エネル
ギーが変化し、トルクが得られる。この主磁束を形成す
るのは、電機子巻線の電流であり、誘導電動機、同期電
動機では、十分なトルクを発生させるために、回転子の
空隙面上で一様な高い磁束密度を形成する。従って、高
トルクを得るために、主磁束を形成する電機子巻線は、
磁極ピッチと同等の100%の巻線ピッチで巻かれる。
一方、請求項1の発明の永久磁石式リラクタンス型回転
電機は、空隙中の周方向磁束密度の高低(凹凸)によっ
てトルクを発生する。トルクの発生原理が異なるため、
特性向上を図るためには、巻線構成も異なることが考え
られる。この磁束密度の高低を大きくするために、回転
子側では、磁気抵抗が変化するように、透磁率の高い磁
性部(鉄心部)と透磁率の低い非磁性部(永久磁石部)
とを設け、また固定子側では、極ピッチの40〜80%
の巻線ピッチで、電機子巻線を鉄心に配置させる。電機
子巻線の巻線ピッチが極ピッチの40〜80%では、極
ピッチの半分程度になるため、空間的に制限された部分
のみに磁束を分布することができる。これにより、電機
子巻線の巻線電流による磁束は、d軸方向の磁極部に分
布させて、無効なq軸方向の磁束量を低減することがで
きる。さらに、q軸の磁束が重畳することによる鉄心の
磁気飽和も緩和される。この結果、本永久磁石式リラク
タンス型回転電機の力率と出力を向上することができ
る。一方、回転子内に配置された永久磁石は、q軸方向
から侵入する電機子電流のq軸方向成分の磁束を打ち消
すように作用する。また、永久磁石の比透磁率は、磁気
障壁と同等で約1であり、磁気抵抗が高く、電機子電流
のq軸方向成分の磁束は小となる。すなわち、永久磁石
の磁束と逆方向の電機子電流のq軸方向成分の磁束とが
打ち消し合うため、q軸方向の合成磁束は小となるか、
電流が小の場合では、合成磁束は電流rの磁束と逆方向
になる。これにより、q軸方向の鎖交磁束は小となるた
め、磁気的な凹凸の変化が大きくなり、出力が増加す
る。同時に、q軸方向成分の鎖交磁束の減少で端子電圧
は低くなり、永久磁石の磁束で力率も向上する。以上に
より、電機子巻線の電流による磁束の集中的な分布と、
永久磁石の磁束による電機子電流の磁束の通り難い部分
(q軸)磁束の相殺、磁気障壁によるq軸方向の高磁気
抵抗が総合的に作用して、磁束の通り易い部分(d軸)
方向磁束が大となり、q軸方向の合成磁束が小となる。
この結果、永久磁石によって空隙磁束密度の凹凸の変化
が大となるため、磁気エネルギー変化が大となり、高ト
ルク、および高力率を得ることができる。
【0029】また、請求項2の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、鉄心に電機子巻線を設けた固定子
と、鉄心に永久磁石を設けた回転子とを備えて構成さ
れ、固定子と回転子との間で生じる全トルクは、リラク
タンストルクと、電機子巻線の電流と永久磁石の鎖交磁
束との作用で発生するトルクとを合成して作られるよう
に構成し、リラクタンストルクは、電機子巻線の電流と
永久磁石の鎖交磁束とによるトルクよりも大きくなるよ
うにし、電機子巻線は、巻線ピッチを極ピッチの40%
〜80%として固定子鉄心に巻き付けるようにしてい
る。
【0030】従って、請求項2の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1の発明と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も奏
することができる。すなわち、本回転電機のトルクは、
主にリラクタンストルクとなるため、永久磁石の磁束が
全鎖交磁束に占める割合は僅かとなる。電機子巻線の巻
線ピッチを短くすると、最大のリラクタンストルクが得
られる電流位相の近傍では、永久磁石の鎖交磁束と電機
子巻線の電流とで生じるトルクは大幅に低下する。ここ
で、リラクタンストルクを、電機子巻線の電流と永久磁
石の鎖交磁束とによるトルクよりも大とすることによ
り、本回転電機のトルクは、ほとんどリラクタンストル
クからなるため、電機子巻線の巻線ピッチを40〜80
%にした時のトルクの低下は僅かである。そして、この
電機子巻線の巻線ピッチでは、リラクタンストルクとし
て問題となるq軸磁束は低減できるため、力率がより一
層向上し、鉄心の磁気飽和も緩和されて出力特性を向上
することができる。また、永久磁石の鎖交磁束も少なく
なるため、全鎖交磁束で誘導される電圧は、励磁電流で
ほとんど調整できる。この結果、電圧が一定条件で可変
速運転を行なうことが可能となり、広範囲にわたって可
変速で運転することができる。さらに、軽負荷時では、
永久磁石の磁束は少ないため、電流を絞ることによっ
て、余分な磁束がなく、鉄損を低減することができる。
【0031】一方、請求項3の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、上記請求項1または請求項2の発
明の永久磁石式リラクタンス型回転電機において、回転
子鉄心は、磁束の通り易い部分(d軸方向の部分)と磁
束の通り難い部分(q軸方向の部分)とが回転子に交互
に形成されるように磁気障壁を設けた回転子鉄心とし、
回転子鉄心における、磁気抵抗が小さくてインダクタン
スが大となる磁極部分の周方向の幅を極ピッチの30〜
40%としている。
【0032】従って、請求項3の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1または請
求項2の発明と同様の作用を奏するのに加えて、磁気抵
抗が小さくてインダクタンスが大となる回転子の磁極部
分(d軸を形成する部分)は、その磁極の周方向の幅を
極ピッチの30〜40%とすることにより、磁気抵抗変
化を大として、q軸磁束量に対するd軸磁束量を大きく
することができ、これにより出力と力率をより一層増加
することができる。
【0033】また、請求項4の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項3のいず
れか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機に
おいて、永久磁石による空隙磁束密度の平均値を0.3
〜0.5Tとしている。
【0034】従って、請求項4の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項3のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、永久磁石による空隙磁束密度の平均値を0.3〜
0.5Tとすることにより、永久磁石による空隙磁束密
度は、負荷時磁束密度の約1/3〜2/3であり比較的
大きいが、極めて短かい電機子巻線の巻線ピッチによっ
て永久磁石の鎖交磁束を僅かにすることができる。ま
た、同一電流で形成する磁束は減少するため、空隙中に
おいて永久磁石の磁束が電流の磁束を打ち消すことので
きる電流値をより大きくすることができる。すなわち、
高出力のため大電流を流しても、本回転電機の力率等の
特性を良好にすることができる。
【0035】さらに、請求項5の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項4のい
ずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機
において、電機子巻線の巻線ピッチを極ピッチの40%
〜70%とし、永久磁石の空隙磁束密度の平均値を0.
4〜0.6Tとしている。
【0036】従って、請求項5の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項4のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、電機子巻線の巻線ピッチを極ピッチの40%〜7
0%とすることにより、永久磁石の鎖交磁束が減少し、
よって永久磁石の空隙磁束密度の平均値を0.4〜0.
6Tと大きくしても、鎖交磁束量を前記請求項4の発明
における鎖交磁束程度に抑えることができる。また、電
機子電流の磁束は、さらに短い巻線ピッチによって減少
するため、q軸の電流と永久磁石の合成磁束に対するd
軸の磁束を大にすることができる。
【0037】一方、請求項6の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項5のいず
れか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機に
おいて、電流が流れていない状熊では、回転子に設けら
れた磁性部材によって永久磁石の発生する磁束の30%
以上が回転子内に分布し、最大トルク時には、永久磁石
による鎖交磁束は電流の磁束と永久磁石の磁束とが合成
された鎖交磁束の10%以上あるようにしている。
【0038】従って、請求項6の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項5のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、以下のような作用も奏することができる。すなわ
ち、負荷時の電流と永久磁石の合成鎖交磁束は、電流の
磁束べクトルと永久磁石の磁束べク卜ルとの位相差で変
化するため、互いに影響を与えないような位相が90度
の交差状態とした時の合成の鎖交磁束量とし、無励磁時
では、永久磁石の発生する磁束の30%以上が回転子内
に分布するように、永久磁石の磁束を磁気的に短絡する
磁性部がある。この回転子構成により、回転中に発生す
る誘起電圧は、定格電圧の0〜70%にすることができ
る。例えば、永久磁石の誘起電圧を33%とすれば、基
底速度の3倍の高速回転まで回転させても、電源回路に
過電圧を与えることはない。また、誘導電圧は極めて小
であるため、電源を含めて電気的な短絡が発生しても、
永久磁石の誘導電圧で生じる短絡電流が僅かであり、巻
線の焼損や過大なブレーキ力を防ぐことができる。他に
も、永久磁石の磁束で固定子鉄心内に生じる鉄損は小と
なるため、無負荷、軽負荷時の効率を向上することがで
きる。次に、負荷時においては、固定子鉄心と対向する
永久磁石周囲の磁性部材は、磁気的に短絡されており、
負荷電流によって強く磁気飽和する。これにより、永久
磁石の磁束は、前述の短絡する磁性部材を通り難くな
り、固定子の電機子コイルと鎖交する永久磁石の磁束が
増加する。さらに、永久磁石は、磁性材で周囲を覆われ
ているため、永久磁石の磁束の一部が短絡の磁性部を通
って漏れ、永久磁石内部の反磁界を小とすることができ
る。すなわち、永久磁石のB(磁束密度)一H(磁界の
強さ)特性である減磁曲線上の動作点が高くなり(パー
ミアンス係数は大となる)、高温度、電機子反作用に対
する耐減磁特性が向上する。特に、永久磁石の磁束は、
q軸方向の電機子電流の磁束を相殺するように作用する
ため、q軸磁束の電流によって永久磁石に減磁界が作用
するが、短絡の磁性部によって永久磁石の減磁を防ぐこ
とができる。従って、空隙中の磁束が永久磁石の磁束と
逆方向に形成されるまで電流を流しても、永久磁石が減
磁することはない。
【0039】また、請求項7の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項6のいず
れか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機に
おいて、永久磁石の磁束の磁路となるように回転子の磁
気障壁と接する鉄心部を鉄のブリッジで結合し、電流が
流れていない状態で、永久磁石の発生する磁束の30%
以上がブリッジを磁路として回転子内に分布するように
している。
【0040】従って、請求項7の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項6のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、以下のような機械的な作用も奏する。すなわち、
回転子の磁気障壁間の磁性材は、外周の鉄のブリッジで
磁性部が結合され、30%以上の磁束の漏れが生じる程
度にブリッジの厚みが十分あるため、回転子は強度的に
強くなる。これにより、大容量、高速回転の回転子を実
現することができる。
【0041】さらに、請求項8の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項7のい
ずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機
において、電機子巻線を重ね巻としている。
【0042】従って、請求項8の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項7のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、電機子巻線を重ね巻で構成することにより、スロ
ットによる磁束の脈動と高調波磁束を低減すると共に、
前述したような巻線ピッチと回転子構成により、q軸磁
束を低減して、より一層高出力、高力率を得ることがで
きる。
【0043】また、請求項9の発明の永久磁石式リラク
タンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項7のいず
れか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電機に
おいて、電機子巻線を集中巻とし、回転子鉄心の形状を
突極形状としている。
【0044】従って、請求項9の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請求
項7のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに加
えて、回転子鉄心の形状を突極形状とすることにより、
突極部に磁束が集中する。分布巻の電機子鉄心では、磁
極上に常にスロットと歯が位置するため、電機子の鉄心
歯に磁束が集中して磁気飽和が生じ易くなり、これによ
りトルクが低下する。また、磁気抵抗が最小となる回転
位置で、回転子の磁極と対面する固定子鉄心にはスロッ
トがなく、ほぼ固定子歯と対向させるような集中巻鉄心
で構成することにより、スロットが突極の磁極上には位
置しないため、磁束が通る電機子鉄心歯の幅が等価的に
広くなり、磁気飽和が著しく緩和されて、より一層高ト
ルクと高力率を得ることができる。さらに、電機子巻線
の巻線ピッチは40〜80%であるが、本回転電機で
は、リラクタンストルクが大であるため、前述した請求
項1の発明と同様に、q軸の磁束が低減されて、より一
層高出力で高力率を得ることができる。
【0045】さらに、請求項10の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項9の
いずれか1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、固定子から見て回転子の磁束の通り難い部
分(q軸)で、固定子鉄心と対向する側の回転子鉄心に
空洞を形成している。
【0046】従って、請求項10の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項9のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するのに
加えて、固定子から見て回転子の磁束の通り難い部分
(q軸)で、固定子鉄心と対向する側の回転子鉄心に空
洞を形成することにより、永久磁石の磁気抵抗に空洞の
磁気抵抗が加わるため、回転子のq軸方向の磁気抵抗が
著しく大となる。これにより、磁気抵抗変化が大きくな
り、本回転電機のトルクでは、リラクタンストルクが主
となる。
【0047】一方、請求項11の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項10の
いずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、回転子の永久磁石は、フェライト磁石と希
土類磁石とを組み合わせて構成している。
【0048】従って、請求項11の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項10のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、以下のような作用も奏することができる。す
なわち、本回転電機はリラクタンストルクを主としてお
り、永久磁石は磁束の調整として作用するため、磁力の
弱い永久磁石でも高出力を得ることができる。これによ
り、磁力が弱いが資源が豊富で製造の容易な酸化鉄で作
られたフェライト磁石を回転電機に適用することができ
る。しかし、フェライト磁石は、低温で減磁するため、
低温で特性が良好な希土類磁石を組み合わせることによ
り、汎用的な材料で製造することができ、かつより一層
高出力、高効率、高力率の回転電機を得ることができ
る。さらに、酸化鉄からなるフェライト磁石は、高電気
抵抗であるため、永久磁石中の渦電流による損失が低減
して、発熱による希土類磁石の高温減磁を抑制すると共
に、回転電機としては高効率を得ることができる。
【0049】また、請求項12の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項11の
いずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、回転子の永久磁石は、表面側をフェライト
磁石から成る層とし、内部側を希土類磁石から成る層で
構成している。
【0050】従って、請求項12の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項11のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、以下のような作用も奏することができる。す
なわち、電機子電流の高調波電流によって誘導された時
間高調波磁束と、スロットによって生じる空間高調波磁
束は、渦電流を発生するが、周波数が高いため、渦電流
は表面に分布する。ここで、表面の層は、高電気抵抗の
特性を有するフェライト磁石で形成されていることによ
り、渦電流が低減される。これにより、渦電流による損
失は僅かであり、永久磁石は損失で高温にならず、回転
電機の効率も向上することができる。
【0051】さらに、請求項13の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項11
のいずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、回転子の永久磁石は、フェライト磁石か
ら成る層と希土類磁石から成る層とを、回転軸方向に交
互に配置して構成している。
【0052】従って、請求項13の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項11のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、以下のような作用も奏することができる。す
なわち、希土類磁石は、低電気抵抗の金属であるため、
電機子電流の高調波電流によって誘導された時間高調波
磁束と、スロットによって生じる空間高調波磁束は、多
量の渦電流を発生する。ここで、希土類磁石とフェライ
ト磁石の層が、回転軸方向に交互に配置されていること
により、高抵抗のフェライト磁石で電気的に電流回路が
断絶されることになる。すなわち、渦電流は、希土類磁
石の層の狭い範囲にしか流れないために僅かとなる。こ
れにより、渦電流による損失は僅かであり、永久磁石は
損失で高温にならず、回転電機の効率も向上することが
できる。
【0053】一方、請求項14の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項13の
いずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、定格トルク時に磁束の通り難い方向(q
軸)の電機子電流が作る磁束成分が永久磁石の磁束と打
ち消し合って鎖交磁束が零となるように永久磁石の磁石
量を設定している。
【0054】従って、請求項14の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項13のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、以下のような作用も奏することができる。す
なわち、負荷電流を与えた時に、電機子電流のq軸磁束
と永久磁石の磁束とが打ち消し合って、q軸方向の合成
磁束が0となるため、q軸方向成分の磁束で誘導される
電圧は0となる。これにより、端子電圧はd軸方向成分
の磁束で誘起されるため、低電圧と高力率を得ることが
できる。また、永久磁石が厚みのある磁性材で覆われて
いるため、鎖交磁束を零にしても永久磁石の磁束は回転
子内に分布する。すなわち、永久磁石を不可逆減磁する
ことなく鎖交磁束を零にすることができる。さらに、リ
ラクタンストルクは、電機子巻線を流れる励磁電流とト
ルク電流成分との積となるため、出力は励磁電流とトル
ク電流成分と回転速度との積となる。
【0055】ここで、q軸方向の磁束を形成する電機子
電流成分(トルク電流)は、前述したq軸方向の合成磁
束が0となるような一定値とし、d軸方向の磁束を形成
する電機子電流成分(励磁電流)を回転速度に応じてほ
ぼ反比例で調整することにより、定出力(トルク×回転
速度が一定)特性を容易に得ることができる。
【0056】また、請求項15の発明の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項14の
いずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転電
機において、電機子巻線が電気的に短絡した時に永久磁
石の磁束によって誘導される電機子電流で生じるジュー
ル損による発熱が回転電機本体の熱的許容値以下、また
は電流で生じるブレーキ力が装置の許容値以下となるよ
うに永久磁石の鎖交磁束数を決定している。
【0057】従って、請求項15の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項14のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、以下のような作用も奏することができる。す
なわち、インバータ、端子で電気的な短絡事故が発生し
た時に、電機子巻線と鎖交する永久磁石の磁束があれ
ば、回転子が回転すると誘導電圧が生じ、この誘導電圧
で電機子巻線に短絡電流が流れて、電機子巻線が焼損し
たり、過大なブレーキ力が生じる。
【0058】ここで、電機子巻線が電気的に短絡した時
に永久磁石の磁束によって誘導される電機子電流で生じ
るジュール損による発熱が回転電機本体の熱的許容値以
下、または電流で生じるブレーキ力が装置の許容値以下
となるように、永久磁石の鎖交磁束数を決定することに
より、少ない永久磁石の鎖交磁束で高出力が得られるた
め、短絡電流、ブレーキ力を許容値以下となるように誘
導電圧を小さくすることができる。これにより、短絡事
故が発生しても、回転電機、および装置の不具合を防止
することができる。
【0059】さらに、請求項16の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機は、上記請求項1乃至請求項15
のいずれか1項の発明の永久磁石式リラクタンス型回転
電機において、回転子鉄心内に、導体を周方向に分布さ
せて設けている。
【0060】従って、請求項16の発明の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機においては、前記請求項1乃至請
求項15のいずれか1項の発明と同様の作用を奏するの
に加えて、回転子鉄心内に導体を周方向に分布させて設
けることにより、非同期時に、導体には誘導電流が流れ
るため、自己起動と安定した回転を得ることができる。
また、インバータ駆動時の高調波電流による渦電流を吸
収することができる。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0062】(第1の実施の形態:請求項1に対応)図
1は、本実施の形態による永久磁石式リラクタンス型回
転電機の一構成例を示す径方向断面図であり、図13と
同一要素には同一符号を付して示している。
【0063】本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型
回転電機は、図1に示すように、積層された珪素鋼板か
らなる鉄心に電機子巻線2を設けた4極の固定子1と、
積層された珪素鋼板からなる回転子鉄心4に永久磁石5
を設けた回転子3とから構成している。
【0064】ここで、回転子鉄心4は、磁気的に凹凸を
形成していないが、回転子鉄心4に8個のNdFeBの
永久磁石5が、図1に示すように磁化してされて配置さ
れており、永久磁石5を貫く方向では磁気抵抗が大とな
る。
【0065】すなわち、電機子電流にとっては永久磁石
5が磁気障壁となることから、図1に示すように、永久
磁石5の無い部分が磁束の通り易いd軸方向で磁気的な
凸部で磁極となり、永久磁石5のある部分が磁束の通り
難いq軸方向で磁気的な凹部となる。そして、永久磁石
5は、q軸方向成分の電機子電流の磁束を打ち消すよう
に磁化している。
【0066】なお、ここでは、突極同期機と同様に、回
転子3において磁束の通り易い方向をd軸方向、磁束の
通り難い方向をq軸方向とする。
【0067】一方、固定子1と回転子3との間で生じる
全トルクは、リラクタンストルクと、電機子巻線2の電
流と永久磁石5の鎖交磁束との作用で発生するトルクと
を合成して作られるような構成としている。
【0068】また、電機子巻線は、巻線ピッチを極ピッ
チの40%〜80%とし、固定子鉄心に巻き付けてい
る。
【0069】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機の作用について説
明する。
【0070】本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型
回転電機においては、d軸となる磁束の通り易い部分
と、q軸となる磁束の通り難い部分とが、回転子3に交
互に形成されている。
【0071】すなわち、d軸方向は磁束量が多く、空隙
磁束密度も高い値となり、q軸方向は磁束量が少なく、
空隙磁束密度も低い値となる。このように、空隙中にお
いて周方向で磁束密度の高低(凹凸)が形成される。こ
れにより、回転子3の位置によって磁気エネルギーが変
化し、トルクが得られる。
【0072】この主磁束を形成するのは、電機子巻線の
電流であり、誘導電動機、同期電動機では、十分なトル
クを発生させるために、回転子の空隙面上で一様な高い
磁束密度を形成する。従って、高トルクを得るために、
主磁束を形成する電機子巻線は、磁極ピッチと同等の1
00%の巻線ピッチで巻かれる。
【0073】ただし、高調波磁束による電圧波形歪、ト
ルク脈動を低減するために、高調波磁束を低減する目的
で、電機子巻線の巻線ピッチを90%前後にする。
【0074】一方、本実施の形態の永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機は、空隙中の周方向磁束密度の高低(凹
凸)によってトルクを発生する。トルクの発生原理が異
なるため、特性向上を図るためには、巻線構成も異なる
ことが考えられる。
【0075】この磁束密度の高低を大きくするために、
本実施の形態では、回転子3は、磁気抵抗が変化するよ
うに、透磁率の高い鉄心部と透磁率の低い永久磁石部と
からなる。
【0076】固定子1側では、極ピッチの40〜80%
の巻線ピッチで、電機子巻線2を鉄心に配置させる。好
ましくは、電機子巻線2の巻線ピッチは、極ピッチの5
0〜70%にする。
【0077】本例では、図1に示すように、電機子巻線
2は、AのスロットからBのスロットに渡って収納して
いる。この時、全スロット数を12または16スロット
として、電機子巻線2の巻線ピッチを極ピッチの50〜
67%にする。
【0078】巻線ピッチが50〜67%では、極ピッチ
の半分程度になるため、空間的に制限された部分のみに
磁束を分布できる。これにより、電機子巻線2の巻線電
流による磁束は、d軸方向の磁極部に分布させて、無効
なq軸方向の磁束量を低減することができる。さらに、
q軸の磁束が重畳することによる鉄心の磁気飽和も緩和
される。この結果、本実施の形態の永久磁石式リラクタ
ンス型の回転電機の力率と出力を向上することができ
る。
【0079】次に、永久磁石5の作用について述べる。
【0080】磁束の流れを示した図1のように、回転子
3内に配置された永久磁石5は、q軸方向から侵入する
電機子電流のq軸方向成分の磁束を打ち消すように作用
する。また、永久磁石5の比透磁率は、磁気障壁と同等
で約1であり、磁気抵抗が高く、電機子電流のq軸方向
成分の磁束は小となる。
【0081】すなわち、永久磁石5の磁束と逆方向の電
機子電流のq軸方向成分の磁束とが打ち消し合うため、
q軸方向の合成磁束は小となるか、電流が小の場合で
は、合成磁束は電流rの磁束と逆方向になる。これによ
り、q軸方向の鎖交磁束は小となるため、磁気的な凹凸
の変化が大きくなり、出力が増加する。
【0082】同時に、q軸方向成分の鎖交磁束の減少で
端子電圧は低くなり、永久磁石5の磁束で力率も向上す
る。
【0083】以上により、電機子巻線2の電流による磁
束の集中的な分布と、永久磁石5の磁束による電機子電
流のq軸磁束の相殺、磁気障壁によるq軸方向の高磁気
抵抗が総合的に作用して、d軸方向磁束が大となり、q
軸方向の合成磁束が小となる。この結果、永久磁石5に
よって空隙磁束密度の凹凸の変化が大となるため、磁気
エネルギー変化が大となり、高トルクおよび高力率を得
ることができる。
【0084】(変形例)図2は、本実施の形態による永
久磁石式リラクタンス型回転電機の他の構成例を示す径
方向断面図であり、図1と同一要素には同一符号を付し
てその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ
述べる。
【0085】すなわち、本実施の形態の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、図2に示すように、回転子鉄心
4に4個のNdFeBの永久磁石5が、図2に示すよう
に磁化されて配置されている。
【0086】本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型
回転電機においては、リラクタンストルクは、あまり大
きくないが、前述した第1の実施の形態の場合と同様な
作用効果を得ることができる。
【0087】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、永久磁石5による誘起
電圧が低く、かつ小型、高出力、高力率で広範囲の可変
速運転を行なうことが可能となる。
【0088】(第2の実施の形態:請求項2、請求項1
0に対応)図3は、本実施の形態による永久磁石式リラ
クタンス型回転電機の構成例を示す径方向断面図であ
り、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0089】すなわち、本実施の形態の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、図3に示すように、前述した第
1の実施の形態において、リラクタンストルクが、電機
子巻線2の電流と永久磁石5の鎖交磁束とによるトルク
よりも大きくなる構成としている。
【0090】ここで、リラクタンストルクが、電機子巻
線2の電流と永久磁石5によるトルクよりも大きくなる
構成は、例えば以下のような手法により実施することが
できる。
【0091】回転子3は、次のような特徴的な構成とす
る。回転子鉄心4は、磁化の容易方向と困難方向とを形
成している。
【0092】すなわち、回転子鉄心4において、磁気的
に凹凸を形成するために、励磁電流で形成される4極の
磁束分布に沿って、永久磁石5を挿入するための8個の
磁気障壁となる空洞6を設けた電磁鋼板を積層して構成
する。
【0093】8個の磁気障壁の空洞6は、十字状に配置
することにより、4極の凸極を形成する。
【0094】すなわち、磁気障壁の空洞6に沿った方向
が磁束の通り易いd軸方向で磁気的な凸部で磁極とな
り、磁気障壁の空洞6の法線方向が磁束の通り難いq軸
方向で磁気的な凹部となる。そして、q軸方向成分の電
機子電流の磁束を打ち消すように磁化されたNdFeB
永久磁石5を、上記磁気障壁の空洞6に配置する。
【0095】本実施の形態では、永久磁石5は、d軸に
ほぼ垂直な方向に磁化されており、各永久磁石5の発生
する磁束量もほぼ同一とする。
【0096】さらに、本実施の形態では、図3に示すよ
うに、固定子1から見て回転子3の磁束の通り難い部分
(q軸方向の部分)で、固定子鉄心と対向する側(空隙
側に近い)の回転子鉄心4に扇形の空洞6を形成する。
【0097】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機の作用について説
明する。
【0098】本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型
回転電機においては、q軸方向の回転子鉄心4に空洞6
が形成されているため、永久磁石5の磁気抵抗に空洞6
の磁気抵抗が加わり、回転子3のq軸方向の磁気抵抗が
著しく大きくなる。これにより、磁気抵抗変化が大とな
り、回転電機のトルクは、リラクタンストルクが主とな
る。
【0099】このように、本実施の形態の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機のトルクは、主にリラクタンスト
ルクとなるため、永久磁石5の磁束が全鎖交磁束に占め
る割合は僅かでよい。巻線ピッチを短くすると、最大の
リラクタンストルクが得られる電流位相の近傍では、永
久磁石5の鎖交磁束と電機子巻線2の巻線電流で生じる
トルクは大幅に低下する。
【0100】この点、本実施の形態の永久磁石式リラク
タンス型回転電機のトルクは、ほとんどリラクタンスト
ルク成分からなるため、全トルクの低下を抑えることが
できる。
【0101】図4は、磁界解析で得られた巻線ピッチに
対するトルクの変化を示す特性図である。
【0102】すなわち、電機子巻線2の巻線ピッチを極
ピッチの50〜67%にした本実施の形態では、トルク
の低下は8〜30%程度に抑えることができる。
【0103】この時の電気特性を検討すると、電機子巻
線2の巻線ピッチが極ピッチの50〜67%では、極ピ
ッチの半分程度になるため、空間的に制限された部分の
みに磁束を分布することができる。これにより、電機子
巻線2の巻線電流による磁束はd軸方向の磁極部に分布
させ、無効なq軸方向の磁束量を低減することができ
る。
【0104】さらに、q軸の磁束が重畳することによる
鉄心の磁気飽和も緩和される。この巻線ピッチでは、リ
ラクタンストルクとして問題となるq軸磁束は低減でき
るため、より一層力率が向上し、鉄心の磁気飽和も緩和
されてより一層出力特性を向上することができる。
【0105】図5は、磁界解析で得られた巻線ピッチに
対する力率と効率の変化を示す特性図である。
【0106】すなわち、電機子巻線2の巻線ピッチが極
ピッチの100%の時の値に対して、本実施の形態で
は、力率を0.1〜0.3%も向上することができる。
また、効率も、電機子巻線2の巻線ピッチが極ピッチの
60〜70%の時に最大となっている。
【0107】図6は、磁界解析で得られた巻線ピッチに
対する負荷電圧の変化を示す特性図である。
【0108】すなわち、電機子巻線2の巻線ピッチが極
ピッチの100%の時の値に対して、本実施の形態で
は、電圧は60〜80%に低減されており、前述したよ
うに、q軸磁束が著しく減少した効果が大となってい
る。
【0109】図7は、磁界解析で得られた巻線ピッチに
対する誘起電圧の変化を示す特性図である。
【0110】すなわち、永久磁石5による誘起電圧を示
すように、電機子巻線2の巻線ピッチが極ピッチの10
0%の時の値に対して、本実施の形態では、誘起電圧は
70から85%に低減されている。
【0111】この結果からわかるように、永久磁石5の
鎖交磁束も少なくなるため、全鎖交磁束で誘導される電
圧は励磁電流でほとんど調整することができる。電圧が
一定条件で可変速運転を行なうことが可能となり、広範
囲にわたって可変速で運転をすることができる。
【0112】また、軽負荷時では、永久磁石5の磁束は
少ないため、電流を絞ることによって、余分な磁束がな
く、鉄損を低減することができる。
【0113】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1の実施の
形態の場合と同様の効果を得ることができるのに加え
て、以下のような効果も得ることができる。すなわち、
本永久磁石式リラクタンス型回転電機のトルクは、主に
リラクタンストルクとなるため、永久磁石5の磁束が全
鎖交磁束に占める割合は僅かとなる。電機子巻線2の巻
線ピッチを短くすると、最大のリラクタンストルクが得
られる電流位相の近傍では、永久磁石5の鎖交磁束と電
機子巻線2の電流とで生じるトルクは大幅に低下する。
【0114】ここで、リラクタンストルクを、電機子巻
線2の電流と永久磁石5の鎖交磁束とによるトルクより
も大とすることにより、本永久磁石式リラクタンス型回
転電機のトルクは、ほとんどリラクタンストルクからな
るため、電機子巻線2の巻線ピッチを40〜80%にし
た時のトルクの低下は僅かである。そして、この電機子
巻線2の巻線ピッチでは、リラクタンストルクとして問
題となるq軸磁束は低減できるため、より一層力率が向
上し、鉄心の磁気飽和も緩和されてより一層出力特性を
向上することが可能となる。
【0115】また、永久磁石5の鎖交磁束も少なくなる
ため、全鎖交磁束で誘導される電圧は、励磁電流でほと
んど調整でき、この結果電圧が一定条件で可変速運転を
行なうことが可能となり、広範囲にわたって可変速で運
転することができる。
【0116】さらに、軽負荷時では、永久磁石5の磁束
は少ないため、電流を絞ることによって、余分な磁束が
なく、鉄損を低減することが可能となる。
【0117】さらにまた、固定子1から見て回転子3の
磁束の通り難い部分(q軸方向の部分)で、固定子鉄心
と対向する側の回転子鉄心4に空洞6を形成しているの
で、永久磁石5の磁気抵抗に空洞6の磁気抵抗が加わる
ため、回転子3のq軸方向の磁気抵抗が著しく大とな
る。これにより、磁気抵抗変化が大きくなり、本永久磁
石式リラクタンス型回転電機のトルクでは、リラクタン
ストルクが主となる。
【0118】(第3の実施の形態:請求項3に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1または第2の実施の形態において、回転子鉄
心4は、磁束の通り易い部分(d軸方向の部分)と磁束
の通り難い部分(q軸方向の部分)とが回転子3に交互
に形成されるように磁気障壁を設けた回転子鉄心4と
し、この回転子鉄心4における、磁気抵抗が小さくてイ
ンダクタンスが大となる磁極部分の周方向の幅Wを、図
3のWで示すように、極ピッチの30〜40%となるよ
うに構成している。
【0119】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1または第2の実施の形態の場合と同様の作用を
奏するのに加えて、磁気抵抗が小さくてインダクタンス
が大となる回転子3の磁極部分は、その磁極の周方向の
幅を極ピッチの30〜40%としていることにより、磁
気抵抗変化を大として、q軸磁束量に対するd軸磁束量
を大きくすることができ、これにより出力と力率をより
一層増加することができる。
【0120】図8は、本実施の形態のモデルにおいて、
磁界解析により磁極幅の比率に対するトルクの変化を検
討した結果を示す特性図である。
【0121】図8に示すように、回転子3の磁極幅Wを
極ピッチの33%にした時に、トルクが最大となってい
る。すなわち、d軸を形成する回転子3の磁極幅Wを極
ピッチの30〜40%としていることにより、磁気抵抗
変化を大として、q軸磁束量に対するd軸磁束量を大き
くすることができる。これにより、出力と力率がより一
層増加する。
【0122】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1または第
2の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる
のに加えて、磁気抵抗変化を大として、q軸磁束量に対
するd軸磁束量を大きくすることができ、これにより出
力と力率をより一層増加することが可能となる。
【0123】(第4の実施の形態:請求項4に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1乃至第3のいずれか一つの実施の形態におい
て、永久磁石5による空隙磁束密度の平均値が0.3〜
0.5Tとなるように構成している。
【0124】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第3のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、永久磁石5による空隙
磁束密度の平均値を0.3〜0.5Tとしていることに
より、永久磁石5による空隙磁束密度は、負荷時磁束密
度の約1/3〜2/3であり比較的大きいが、極めて短
かい電機子巻線2の巻線ピッチによって永久磁石5の鎖
交磁束を僅かにすることができる。
【0125】また、同一電流で形成する磁束は減少する
ため、空隙中において永久磁石5の磁束が電流の磁束を
打ち消すことのできる電流値をより大きくすることがで
きる。すなわち、高出力のため大電流を流しても、本永
久磁石式リラクタンス型回転電機の力率等の特性を良好
にすることができる。
【0126】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第3
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、高出力のため大電流を流して
も、力率等の特性を良好にすることが可能となる。
【0127】(第5の実施の形態:請求項5に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1乃至第4のいずれか一つの実施の形態におい
て、電機子巻線2の巻線ピッチを極ピッチの40%〜7
0%とし、永久磁石5の空隙磁束密度の平均値が0.4
〜0.6Tとなるように構成している。
【0128】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第4のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、電機子巻線2の巻線ピ
ッチを極ピッチの40%〜70%としていることによ
り、永久磁石5の鎖交磁束が減少する。従って、永久磁
石5の空隙磁束密度の平均値を0.4〜0.6Tと大き
くしても、鎖交磁束量を前述した第4の実施の形態の場
合における鎖交磁束程度に抑えることができる。
【0129】また、電機子巻線2の巻線電流の磁束は、
さらに短い巻線ピッチによって減少するため、q軸の電
流と永久磁石5の合成磁束に対するd軸の磁束を大きく
することができる。
【0130】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第4
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、永久磁石5の空隙磁束密度の
平均値を0.4〜0.6Tと大きくしても、鎖交磁束量
を抑えることができ、またq軸の電流と永久磁石5の合
成磁束に対するd軸の磁束を大きくすることが可能とな
る。
【0131】(第6の実施の形態:請求項6に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1乃至第5のいずれか一つの実施の形態におい
て、前記図3に示すように、電流が流れていない状態で
は、永久磁石5は回転子鉄心4で周囲を覆われて十分な
磁路が形成されることから、回転子3に設けられた磁性
部材によって永久磁石5の発生する磁束の30%以上が
回転子3内に分布し、最大トルク時には、永久磁石5に
よる鎖交磁束は、電流の磁束と永久磁石5の磁束とが合
成された鎖交磁束の10%以上あるように構成してい
る。
【0132】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第5のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も奏
することができる。
【0133】すなわち、負荷時の電流と永久磁石5の合
成鎖交磁束は、電流の磁束べクトルと永久磁石5の磁束
べク卜ルの位相差で変化するため、互いに影響を与えな
いような位相が90度の交差状態とした時の合成の鎖交
磁束量とし、無励磁時では、永久磁石5の発生する磁束
の30%以上が回転子3内に分布するように、永久磁石
5の磁束を磁気的に短絡する磁性部がある。
【0134】この回転子構成により、回転中に発生する
誘起電圧は、定格電圧の0〜70%にすることができ
る。
【0135】一例として、永久磁石5の誘起電圧を33
%とすれば、基底速度の3倍の高速回転まで回転させて
も、電源回路に過電圧を与えることはない。
【0136】また、誘導電圧は極めて小であるため、電
源を含めて電気的な短絡が発生しても、永久磁石5の誘
導電圧で生じる短絡電流が僅かであり、巻線の焼損や過
大なブレーキ力を防ぐことができる。
【0137】他にも、永久磁石5の磁束で固定子鉄心内
に生じる鉄損は小となるため、無負荷、軽負荷時の効率
が向上することができる。
【0138】次に、負荷時においては、固定子鉄心と対
向する永久磁石5周囲の磁性部材は、磁気的に短絡され
ており、負荷電流によって強く磁気飽和する。これによ
り、永久磁石5の磁束は前述の短絡する磁性部材を通り
難くなり、固定子1の電機子巻線2と鎖交する永久磁石
5の磁束が増加する。
【0139】さらに、永久磁石5は、磁性材で周囲を覆
われているため、永久磁石5の磁束の一部が短絡の磁性
部を通って漏れ、永久磁石5内部の反磁界を小とするこ
とができる。
【0140】すなわち、永久磁石5のB(磁束密度)−
H(磁界の強さ)特性である減磁曲線上の動作点が高く
なり(パーミアンス係数は大となる)、高温度、電機子
反作用に対する耐減磁特性が向上する。
【0141】特に、永久磁石5の磁束は、q軸方向の電
機子電流の磁束を相殺するように作用するため、q軸磁
束の電流によって永久磁石5に減磁界が作用するが、短
絡の磁性部によって永久磁石5の減磁を防ぐことができ
る。
【0142】従って、空隙中の磁束が永久磁石5の磁束
と逆方向に形成されるまで、電流を流しても永久磁石5
が減磁することはない。
【0143】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第5
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、回転中に発生する誘起電圧を
低くし、電気的な短絡が発生しても電機子巻線の焼損や
過大なブレーキ力を防ぐことができ、また無負荷、軽負
荷時の効率が向上することができ、さらに空隙中の磁束
が永久磁石5の磁束と逆方向に形成されるまで電流を流
しても、永久磁石5が減磁しないようにすることが可能
となる。
【0144】(第7の実施の形態:請求項7に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1乃至第6のいずれか一つの実施の形態におい
て、永久磁石5の磁束の磁路となるように回転子3の磁
気障壁と接する鉄心部を鉄のブリッジ9で結合し、電流
が流れていない状態で、永久磁石5の発生する磁束の3
0%以上がブリッジ9を磁路として回転子3内に分布す
るように構成している。
【0145】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第6のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような機械的な
作用も奏することができる。
【0146】すなわち、回転子3の磁気障壁間の磁性材
は、外周の鉄のブリッジ9で磁性部が結合され、30%
以上の磁束の漏れが生じる程度にブリッジ9の厚みが十
分あるため、回転子3は強度的に強くなる。これによ
り、大容量、高速回転の回転子3を実現することができ
る。
【0147】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第6
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、回転子3を強度的に強くし
て、大容量、高速回転の回転子3を実現することが可能
となる。
【0148】(第8の実施の形態:請求項8に対応)本
実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機は、前
述した第1乃至第7のいずれか一つの実施の形態におい
て、前記図1、または図2、あるいは図3に示す電機子
巻線2を重ね巻で構成している。
【0149】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第7のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、電機子巻線2を重ね巻
で構成していることにより、スロットによる磁束の脈動
と高調波磁束を低減すると共に、第1の実施の形態で前
述したような巻線ピッチと回転子3構成により、q軸磁
束を低減してより一層高出力、高力率を得ることができ
る。
【0150】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第7
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、q軸磁束を低減してより一層
高出力、高力率を得ることが可能となる。
【0151】(第9の実施の形態:請求項9に対応)図
9は、本実施の形態による永久磁石式リラクタンス型回
転電機の構成例を示す径方向断面図であり、図1乃至図
3と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、
ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0152】すなわち、本実施の形態の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、図9に示すように、前述した第
1乃至第7のいずれか一つの実施の形態において、電機
子巻線2を集中巻とし、回転子鉄心4の形状を突極形状
で構成している。
【0153】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第7のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、回転子鉄心4の形状を
突極形状としていることにより、突極部に磁束が集中す
る。
【0154】分布巻の電機子鉄心では、磁極上に常にス
ロットと歯が位置するため、電機子の鉄心歯に磁束が集
中して磁気飽和が生じ易くなり、これによりトルクが低
下する。
【0155】また、本実施の形態では、図9に示すよう
に、磁気抵抗が最小となる回転位置で、回転子3の磁極
と対面する固定子鉄心にはスロットがなく、固定子1の
突極歯7と回転子鉄心4の磁極がほぼ対向するような集
中巻鉄心で構成している。
【0156】ここで、スロッ卜が突極の磁極上には位置
しないため、磁束が通る電機子鉄心歯の幅が等価的に広
くなり、磁気飽和が著しく緩和されて、より一層高トル
クと高力率を得ることができる。
【0157】さらに、電機子巻線の巻線ピッチは極ピッ
チの40〜80%であるが、本実施の形態では、リラク
タンストルクが大であるため、前述した第1の実施の形
態の場合と同様に、q軸の磁束が低減されて、より一層
高出力で高力率を得ることができる。
【0158】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第7
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、より一層高トルクと高力率を
得ることが可能となる。
【0159】(第10の実施の形態:請求項11に対
応)本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機
は、前述した第1乃至第9のいずれか一つの実施の形態
において、回転子3の永久磁石5を、フェライト磁石と
希土類磁石とを組み合わせて構成している。
【0160】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第9のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も奏
することができる。すなわち、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機は、リラクタンストルクを主
としており、永久磁石5は磁束の調整として作用するた
め、磁力の弱い永久磁石5でも高出力を得ることができ
る。これにより、磁力が弱いが、資源が豊富で製造の容
易な酸化鉄で作られたフェライト磁石を、本永久磁石式
リラクタンス型回転電機に適用することができる。
【0161】しかし、フェライト磁石は低温で減磁する
ことから、低温で特性が良好な希土類磁石を組み合わせ
ていることにより、汎用的な材料で製造することがで
き、かつより一層高出力、高効率、高力率の回転電機を
得ることができる。
【0162】さらに、酸化鉄からなるフェライト磁石
は、高電気抵抗であるため、永久磁石5中の渦電流によ
る損失が低減して、発熱による希土類磁石の高温減磁を
抑制すると共に.回転電機としては高効率を得ることが
できる。
【0163】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第9
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、汎用的な材料で製造すること
ができ、かつより一層高出力、高効率、高力率を得るこ
とが可能となる。
【0164】(第11の実施の形態:請求項12に対
応)図10は、本実施の形態による永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機における永久磁石の構成例を示す径方向
断面図である。
【0165】すなわち、図10に示すように、本実施の
形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機における永久
磁石5は、前述した第1乃至第9のいずれか一つの実施
の形態において、回転子3の永久磁石5を、表面側をフ
ェライト磁石10から成る層とし、内部側を希土類磁石
11から成る層で構成している。
【0166】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第9のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も奏
することができる。すなわち、電機子電流の高調波電流
によって誘導された時間高調波磁束と、スロットによっ
て生じる空間高調波磁束は、渦電流を発生するが、周波
数が高いため、渦電流は表面に分布する。
【0167】ここで、本実施の形態では、表面の層は、
高電気抵抗の特性を有するフェライト磁石10で形成さ
れていることにより、渦電流が低減される。これによ
り、渦電流による損失は僅かであり、永久磁石5は損失
で高温にならず、回転電機の効率も向上することができ
る。
【0168】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第9
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、渦電流による損失を僅かとし
て、効率を向上することが可能となる。
【0169】(第12の実施の形態:請求項13に対
応)図11は、本実施の形態による永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機における永久磁石の構成例を示す回転軸
方向断面図である。
【0170】すなわち、図11に示すように、本実施の
形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機における永久
磁石5は、前述した第1乃至第9のいずれか一つの実施
の形態において、フェライト磁石10から成る層と、希
土類磁石11から成る層とを、回転軸方向に交互に配置
して構成している。
【0171】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第9のいずれか一つの実施の形態の場合と
同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も奏
することができる。すなわち、希土類磁石11は、低電
気抵抗の金属であるため、電機子電流の高調波電流によ
って誘導された時間高調波磁束と、スロットによって生
じる空間高調波磁束は、多量の渦電流を発生する。
【0172】ここで、本実施の形態では、希土類磁石1
1とフェライト磁石10の層が、回転軸方向に交互に配
置されていることにより、高抵抗のフェライト磁石10
で電気的に電流回路が断絶されることになる。すなわ
ち、渦電流は、希土類磁石11の層の狭い範囲にしか流
れないために僅かとなる。これにより、渦電流による損
失は僅かであり、永久磁石5は損失で高温にならず、回
転電機の効率も向上することができる。
【0173】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第9
のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得る
ことができるのに加えて、渦電流による損失を僅かとし
て、効率を向上することが可能となる。
【0174】(第13の実施の形態:請求項14に対
応)本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機
は、前述した第1乃至第12のいずれか一つの実施の形
態において、定格トルク時に磁束の通り難い方向(q
軸)の電機子電流が作る磁束成分が永久磁石5の磁束と
打ち消し合って鎖交磁束が零となるように、永久磁石5
の磁石量を設定する構成としている。
【0175】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第12のいずれか一つの実施の形態の場合
と同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も
奏することができる。すなわち、負荷電流を与えた時
に、電機子電流のq軸磁束と永久磁石5の磁束とが打ち
消し合って、q軸方向の合成磁束が0となるため、q軸
方向成分の磁束で誘導される電圧は0となる。これによ
り、端子電圧はd軸方向成分の磁束で誘起されるため、
より一層低電圧と高力率を得ることができる。
【0176】また、本実施の形態では、永久磁石5が厚
みのある磁性材(鉄心)で覆われているため、鎖交磁束
を零にしても永久磁石5の磁束は回転子3内に分布す
る。すなわち、永久磁石5を不可逆減磁することなく鎖
交磁束を零にすることができる。
【0177】さらに、リラクタンストルクは、電機子巻
線を流れる励磁電流とトルク電流成分との積となるた
め、出力は励磁電流とトルク電流成分と回転速度との積
となる。
【0178】ここで、q軸方向の磁束を形成する電機子
電流成分(トルク電流)は、前述したq軸方向の合成磁
束が0となるような一定値とし、d軸方向の磁束を形成
する電機子電流成分(励磁電流)を回転速度に応じてほ
ぼ反比例で調整することにより、定出力(トルク×回転
速度が一定)特性を容易に得ることができる。
【0179】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第1
2のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得
ることができるのに加えて、定出力(トルク×回転速度
が一定)特性を容易に得ることが可能となる。
【0180】(第14の実施の形態:請求項15に対
応)本実施の形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機
は、前述した第1乃至第13のいずれか一つの実施の形
態において、電機子巻線2が電気的に短絡した時に永久
磁石5の磁束によって誘導される電機子電流(短絡電
流)で生じるジュール損による発熱が回転電機本体の熱
的許容値以下、または電流で生じるブレーキ力が装置の
許容値以下となるように、永久磁石5の鎖交磁束数を決
定する構成としている。
【0181】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第13のいずれか一つの実施の形態の場合
と同様の作用を奏するのに加えて、以下のような作用も
奏することができる。すなわち、インバータ、端子で電
気的な短絡事故が発生した時に、電機子巻線2と鎖交す
る永久磁石5の磁束があれば、回転子3が回転すると誘
導電圧が生じる。そして、この誘導電圧で、電機子巻線
2に短絡電流が流れて、電機子巻線2が焼損したり、過
大なブレーキ力が生じる。
【0182】ここで、本実施の形態では、電機子巻線2
が電気的に短絡した時に永久磁石5の磁束によって誘導
される電機子電流で生じるジュール損による発熱が回転
電機本体の熱的許容値以下、または電流で生じるブレー
キ力が装置の許容値以下となるように、永久磁石5の鎖
交磁束数を決定していることにより、少ない永久磁石5
の鎖交磁束で高出力が得られるため、短絡電流、ブレー
キ力を許容値以下となるように誘導電圧を小さくするこ
とができる。これにより、短絡事故が発生しても、回転
電機および装置の不具合を防止することができる。
【0183】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第1
3のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得
ることができるのに加えて、短絡事故が発生しても、回
転電機および装置の不具合を防止することが可能とな
る。
【0184】(第15の実施の形態:請求項16に対
応)図12は、本実施の形態による永久磁石式リラクタ
ンス型回転電機の構成例を示す径方向断面図であり、図
1乃至図3、図9乃至図11と同一要素には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について
のみ述べる。
【0185】すなわち、本実施の形態の永久磁石式リラ
クタンス型回転電機は、図12に示すように、前述した
第1乃至第14のいずれか一つの実施の形態において、
回転子鉄心4内に、導体バー8を周方向に分布させて設
ける構成としている。
【0186】次に、以上のように構成した本実施の形態
の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、前述
した第1乃至第14のいずれか一つの実施の形態の場合
と同様の作用を奏するのに加えて、回転子鉄心4内に導
体バー8を周方向に分布させて設けていることにより、
非同期時に導体バー8には誘導電流が流れるため、自己
起動と安定した回転を得ることができる。また、インバ
ータ駆動時の高調波電流による渦電流を吸収することが
できる。
【0187】上述したように、本実施の形態の永久磁石
式リラクタンス型回転電機では、前述した第1乃至第1
4のいずれか一つの実施の形態の場合と同様の効果を得
ることができるのに加えて、自己起動と安定した回転を
得ることができ、またインバータ駆動時の高調波電流に
よる渦電流を吸収することが可能となる。
【0188】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の永久磁石
式リラクタンス型回転電機によれば、電機子巻線の短い
巻線ピッチによって、電機子電流によるq軸磁束に対す
る永久磁石の磁束の割合を高く取れるため、電機子電流
によるq軸磁束を永久磁石の磁束で効果的に相殺するこ
とが可能となる。これにより、回転子の空隙面で磁気的
な凹凸が大となり、回転子の位置によって磁気エネルギ
ーの変化が大きくなるため、出力を著しく増加すること
ができ、また力率も増加することができる。
【0189】また、q軸の合成磁束、漏れ磁束が減少す
るため、鉄心の磁気飽和が緩和されて、より一層トルク
と力率を向上することができる。
【0190】さらに、永久磁石を回転子鉄心内に配置し
て、周囲の磁性材によって永久磁石内の反磁界は小さく
なり、さらに電機子反作用の影響も緩和されるため、q
軸の鎖交磁束を零、または永久磁石の鎖交磁束と逆方向
の鎖交磁束で動作させても、永久磁石が減磁することを
抑制することが可能となる。
【0191】さらにまた、q軸の鎖交磁束を零にでき、
励磁電流でd軸磁束を変化できるため、端子電圧を大幅
に調整することが可能となる。これにより、基底速度時
の電圧を維持して、高速回転までの広範囲の可変速運転
を行なうことができる。
【0192】以上により、永久磁石による誘起電圧が低
く、かつ小型、高出力、高力率で広範囲の可変速運転を
行なうことが可能な永久磁石を複合した永久磁石式リラ
クタンス型回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による永久磁石式リラクタンス型回転電
機の第1の実施の形態を示す径方向断面図
【図2】本発明による永久磁石式リラクタンス型回転電
機の第1の実施の形態の変形例を示す径方向断面図
【図3】本発明による永久磁石式リラクタンス型回転電
機の第2の実施の形態を示す径方向断面図
【図4】同第2の実施の形態の永久磁石式リラクタンス
型回転電機における巻線ピッチに対するトルクの変化を
示す特性図
【図5】同第2の実施の形態の永久磁石式リラクタンス
型回転電機における巻線ピッチに対する力率と効率の変
化を示す特性図
【図6】同第2の実施の形態の永久磁石式リラクタンス
型回転電機における巻線ピッチに対する負荷電圧の変化
を示す特性図
【図7】同第2の実施の形態の永久磁石式リラクタンス
型回転電機における巻線ピッチに対する誘起電圧の変化
を示す特性図
【図8】本発明の第3の実施の形態の永久磁石式リラク
タンス型回転電機における磁極幅の比率に対するトルク
の変化を示す特性図
【図9】本発明による永久磁石式リラクタンス型回転電
機の第9の実施の形態を示す径方向断面図
【図10】本発明の第11の実施の形態の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機における永久磁石の構成例を示す
径方向断面図
【図11】本発明の第12の実施の形態の永久磁石式リ
ラクタンス型回転電機における永久磁石の構成例を示す
回転軸方向断面図
【図12】本発明による永久磁石式リラクタンス型回転
電機の第15の実施の形態を示す径方向断面図
【図13】従来のリラクタンス型回転電機の構成例を示
す径方向断面図
【符号の説明】
1…固定子 2…電機子コイル 3…回転子 4…回転子鉄心 5…永久磁石 6…回転子鉄心4内の空洞 7…突極歯 8…導体バー 9…回転子鉄心4の外周部のブリッジ部 10…フェライト磁石 11…希土類磁石。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/04 H02K 21/04 (72)発明者 高畠 幹生 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 5H619 AA01 AA05 BB15 BB22 BB24 PP01 PP02 PP04 PP08 PP14 5H621 GA01 GB10 HH01 HH07 JK01 JK08 5H622 AA04 CA01 CA07 CA10 CA13 CB03 DD01 DD02 PP05 QA01

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄心に電機子巻線を設けた固定子と、鉄
    心に永久磁石を設けた回転子とを備えて構成され、 前記固定子と回転子との間で生じる全トルクは、リラク
    タンストルクと、前記電機子巻線の電流と前記永久磁石
    の鎖交磁束との作用で発生するトルクとを合成して作ら
    れるように構成し、 前記電機子巻線は、巻線ピッチを極ピッチの40%〜8
    0%として前記固定子鉄心に巻き付けるようにしたこと
    を特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  2. 【請求項2】 鉄心に電機子巻線を設けた固定子と、鉄
    心に永久磁石を設けた回転子とを備えて構成され、 前記固定子と回転子との間で生じる全トルクは、リラク
    タンストルクと、前記電機子巻線の電流と前記永久磁石
    の鎖交磁束との作用で発生するトルクとを合成して作ら
    れるように構成し、 前記リラクタンストルクは、前記電機子巻線の電流と前
    記永久磁石の鎖交磁束とによるトルクよりも大きくなる
    ようにし、 前記電機子巻線は、巻線ピッチを極ピッチの40%〜8
    0%として前記固定子鉄心に巻き付けるようにしたこと
    を特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  3. 【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の永
    久磁石式リラクタンス型回転電機において、 前記回転子鉄心は、磁束の通り易い部分(d軸方向の部
    分)と磁束の通り難い部分(q軸方向の部分)とが回転
    子に交互に形成されるように磁気障壁を設けた回転子鉄
    心とし、 前記回転子鉄心における、磁気抵抗が小さくてインダク
    タンスが大となる磁極部分の周方向の幅を極ピッチの3
    0〜40%としたことを特徴とする永久磁石式リラクタ
    ンス型回転電機。
  4. 【請求項4】 前記請求項1乃至請求項3のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記永久磁石による空隙磁束密度の平均値を0.3〜
    0.5Tとしたことを特徴とする永久磁石式リラクタン
    ス型回転電機。
  5. 【請求項5】 前記請求項1乃至請求項4のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記電機子巻線の巻線ピッチを極ピッチの40%〜70
    %とし、前記永久磁石の空隙磁束密度の平均値を0.4
    〜0.6Tとしたことを特徴とする永久磁石式リラクタ
    ンス型回転電機。
  6. 【請求項6】 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 電流が流れていない状熊では、前記回転子に設けられた
    磁性部材によって前記永久磁石の発生する磁束の30%
    以上が回転子内に分布し、最大トルク時には、前記永久
    磁石による鎖交磁束は電流の磁束と永久磁石の磁束とが
    合成された鎖交磁束の10%以上あるようにしたことを
    特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  7. 【請求項7】 前記請求項1乃至請求項6のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記永久磁石の磁束の磁路となるように前記回転子の磁
    気障壁と接する鉄心部を鉄のブリッジで結合し、電流が
    流れていない状態で、前記永久磁石の発生する磁束の3
    0%以上が前記ブリッジを磁路として回転子内に分布す
    るようにしたことを特徴とする永久磁石式リラクタンス
    型回転電機。
  8. 【請求項8】 前記請求項1乃至請求項7のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記電機子巻線を重ね巻としたことを特徴とする永久磁
    石式リラクタンス型回転電機。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至請求項7のいずれか1
    項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記電機子巻線を集中巻とし、前記回転子鉄心の形状を
    突極形状としたことを特徴とする永久磁石式リラクタン
    ス型回転電機。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至請求項9のいずれか
    1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機におい
    て、 前記固定子から見て回転子の磁束の通り難い部分(q
    軸)で、前記固定子鉄心と対向する側の回転子鉄心に空
    洞を形成したことを特徴とする永久磁石式リラクタンス
    型回転電機。
  11. 【請求項11】 前記請求項1乃至請求項10のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 前記回転子の永久磁石は、フェライト磁石と希土類磁石
    とを組み合わせて構成したことを特徴とする永久磁石式
    リラクタンス型回転電機。
  12. 【請求項12】 前記請求項1乃至請求項11のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 前記回転子の永久磁石は、表面側をフェライト磁石から
    成る層とし、内部側を希土類磁石から成る層で構成した
    ことを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  13. 【請求項13】 前記請求項1乃至請求項11のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 前記回転子の永久磁石は、フェライト磁石から成る層と
    希土類磁石から成る層とを、回転軸方向に交互に配置し
    て構成したことを特徴とする永久磁石式リラクタンス型
    回転電機。
  14. 【請求項14】 前記請求項1乃至請求項13のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 定格トルク時に磁束の通り難い方向(q軸)の電機子電
    流が作る磁束成分が前記永久磁石の磁束と打ち消し合っ
    て鎖交磁束が零となるように前記永久磁石の磁石量を設
    定したことを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転
    電機。
  15. 【請求項15】 前記請求項1乃至請求項14のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 前記電機子巻線が電気的に短絡した時に前記永久磁石の
    磁束によって誘導される電機子電流で生じるジュール損
    による発熱が回転電機本体の熱的許容値以下、または電
    流で生じるブレーキ力が装置の許容値以下となるように
    前記永久磁石の鎖交磁束数を決定したことを特徴とする
    永久磁石式リラクタンス型回転電機。
  16. 【請求項16】 前記請求項1乃至請求項15のいずれ
    か1項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機にお
    いて、 前記回転子鉄心内に、導体を周方向に分布させて設けた
    ことを特徴とする永久磁石式リラクタンス型回転電機。
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