JP2001064607A - 表面保護フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面を親水性処理した偏光板の場合にも温度
や湿度等の環境変化で偏光板より容易に剥離せず、かつ
剥離時には機械や手を介して糊残りなく偏光板より容易
に剥離分離できる保護及び剥離機能が両立した表面保護
フィルムの開発。 【解決手段】 水の接触角が６０度以下の偏光板（２）
の表面を接着被覆する保護フィルム（１）であり、プラ
スチックフィルム（１１）に粘着層（１２）を有して、
３００mm／分の剥離速度による１８０度ピールに基づく
前記偏光板の表面に対する常温での接着力が３５gf／50
mm以下である表面保護フィルム。 【効果】 偏光板に損傷や液晶セルよりの剥離を発生さ
せずに手や機械を介し剥離作業性よく容易に分離でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の技術分野】本発明は、良密着性の偏光板より容
易に剥離できる表面保護フィルムに関する。

【０００２】

【発明の背景】液晶パネルの形成などに用いられる偏光
板は、偏光フィルムに透明保護層を設けてその表面が損
傷されないように表面保護フィルムで接着被覆し、その
保護フィルムを接着したまま液晶セルとの接着工程に供
して液晶パネルとしたのち保護フィルムを剥離除去する
方式が一般に採られている。前記の透明保護層には通例
トリアセチルセルロース（ＴＡＣ）フィルムなどが用い
られ、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）系接着剤等を介
して偏光フィルムと接着されるが、その場合にＰＶＡ系
接着剤等の濡れ性を向上させて密着力を高めることを目
的にＴＡＣフィルムの表面をケン化処理等により親水性
とするときがある。

【０００３】前記において表面保護フィルムに求められ
る基本的な性能は、温度や湿度等の環境変化で偏光板よ
り容易に剥離しない保護機能と、剥離時には機械や手を
介して糊残りなく偏光板より容易に剥離分離できる剥離
機能との両立である。しかしなから上記のＴＡＣフィル
ムでは通例８０〜９０度である水の接触角が親水性処理
で６０度以下となり、そのため従来の表面保護フィル
ム、特に従来のアクリル系粘着層を介した密着力が大き
く上昇して偏光板より分離する際の剥離作業性が低下
し、前記の剥離機能が満足されない問題点があった。

【０００４】

【発明の技術的課題】本発明は、表面を親水性処理した
偏光板の場合にも温度や湿度等の環境変化で偏光板より
容易に剥離せず、かつ剥離時には機械や手を介して糊残
りなく偏光板より容易に剥離分離できる保護及び剥離機
能が両立した表面保護フィルムの開発を課題とする。

【０００５】

【課題の解決手段】本発明は、水の接触角が６０度以下
の偏光板の表面を接着被覆する保護フィルムであり、プ
ラスチックフィルムに粘着層を有して、３００mm／分の
剥離速度による１８０度ピールに基づく前記偏光板の表
面に対する常温での接着力が３５gf／50mm以下であるこ
とを特徴とする表面保護フィルムを提供するものであ
る。

【０００６】

【発明の効果】本発明によれば、温度や湿度等の環境変
化で偏光板より容易に剥離せず、表面を親水性処理した
偏光板の場合にもその表面より偏光板に損傷や液晶セル
よりの剥離を発生させずに手や機械を介し剥離作業性よ
く、かつ糊残りなく容易に分離できる表面保護フィルム
を得ることができる。特にアクリル酸イソノニルとアク
リル酸ステアリルを成分とする共重合体をベースポリマ
ーとする表面エネルギーの小さいアクリル系粘着層を設
けることで、良好な剥離作業性を付与することができ
る。

【０００７】

【発明の実施形態】本発明による表面保護フィルムは、
水の接触角が６０度以下の偏光板の表面を接着被覆する
保護フィルムであり、プラスチックフィルムに粘着層を
有して、３００mm／分の剥離速度による１８０度ピール
に基づく前記偏光板の表面に対する常温での接着力が３
５gf／50mm以下であるものからなる。その例を図１に示
した。１が表面保護フィルムで、１１がプラスチックフ
ィルム、１２が粘着層であり、２が偏光板である。

【０００８】表面保護フィルムは、図例の如くプラスチ
ックフィルム１１に粘着層１２を設けてその粘着層と共
にプラスチックフィルムを偏光板より剥離できるように
形成される。プラスチックフィルムには透視性による偏
光板等の外観検査性や管理性などの点より例えば、ポリ
エステル系樹脂やアセテート系樹脂、ポリエーテルサル
ホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹
脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やアクリ
ル系樹脂の如き透明ポリマーのフィルムやゴムシート、
それらのラミネート体などの適宜なものを用いうる。

【０００９】プラスチックフィルムの厚さは、強度等に
応じて適宜に決定でき、一般には３００μm以下、就中
５〜２００μm、特に１０〜１００μmとされる。プラス
チックフィルムの片面又は両面には、剥離時の帯電防止
を目的に帯電防止層を設けることもできる。またプラス
チックフィルムの粘着層を設ける面には、粘着層との密
着力の向上等を目的にコロナ処理等の適宜な表面処理を
施すこともできる。

【００１０】表面保護フィルムは、プラスチックフィル
ムに粘着層を付設することにより形成でき、その付設は
適宜な方式で行うことができる。ちなみにその例として
は、例えば適宜な溶媒にベースポリマー等を溶解又は分
散させて粘着剤液を調製し、それを流延方式や塗工方式
等の適宜な展開方式でプラスチックフィルム上に直接付
設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層
を形成してそれをプラスチックフィルム上に移着する方
式などがあげられる。

【００１１】前記粘着層の形成には、適宜な粘着性物質
や粘着剤を用いることができ、その種類について特に限
定はないが本発明においては水の接触角が６０度以下の
偏光板の表面に接着した場合の接着力が常温において３
５gf／50mm以下の粘着層として形成される。なお前記の
接着力は、３００mm／分の剥離速度による１８０度ピー
ルに基づく。

【００１２】前記により例えばケン化等の親水性処理を
施した表面を有する偏光板の場合にも、損傷や液晶セル
よりの剥離を発生させずに手や機械を介し容易に剥離分
離できる表面保護フィルムとすることができる。なお偏
光板の表面における水の接触角が６０度以下である特性
は、ケン化等の表面処理にて付与されたものであっても
よいし、表面を形成する材料自体の物性に基づくもので
あってもよい。

【００１３】前記において温度や湿度等の環境変化によ
る偏光板よりの剥離の防止性（保護機能）、剥離時にお
ける糊残りのない偏光板よりの容易な剥離分離性（剥離
機能）などの点より好ましい粘着層は、アクリル系粘着
剤の如く透明性や耐候性、耐熱性等に優れて当該接着力
が３３gf／50mm以下、就中１０〜３０gf／50mm、特に１
５〜２５gf／50mmのものである。

【００１４】粘着層の形成には、上記したように当該接
着力を示す適宜な粘着性物質や粘着剤を用いることがで
きる。ちなみにその例としては、アクリル系重合体やシ
リコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポ
リアミドやポリエーテル、フッ素系やゴム系などの適宜
なポリマーをベースポリマーとするものなどがあげられ
る。

【００１５】水の接触角が６０度以下の偏光板に対する
保護機能を満足させつつ良好な剥離機能を示す表面保護
フィルムを得る点よりは、アクリル酸イソノニルとアク
リル酸ステアリルを成分とする共重合体をベースポリマ
ーとするアクリル系粘着剤が特に好ましく用いうる。ア
クリル酸ステアリルの共重合化でベースポリマーの表面
エネルギーが低下し、これが親水性表面に対する接着力
を低下させて剥離機能を向上させる。

【００１６】粘着層の厚さは、前記の接着力や偏光板の
表面状態などに応じて適宜に決定される。一般には剥離
機能の点で薄層化が有利であることより１〜１００μ
m、就中５〜５０μm、特に１０〜３０μmとされる。粘
着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として設
けることもできる。また粘着層には必要に応じて、接着
力等の制御を目的に例えば粘着性付与樹脂の如き天然物
や合成物の樹脂類、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配
合することができる。

【００１７】本発明による表面保護フィルムは、偏光板
の表面を接着被覆するためのものであるが、その接着被
覆対象の偏光板は、例えば図例の如く透明保護層２１を
偏光フィルム２３の片面又は両面に接着層２２を介して
接着したものなどとして得ることができる。

【００１８】ちなみに前記した偏光フィルムの具体例と
しては、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマ
ール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢
酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高
分子フィルムにヨウ素及び／又は二色性染料を吸着させ
て延伸したものなどがあげられる。

【００１９】また透明保護層としては、上記のプラスチ
ックフィルムで例示のポリマー就中、透明性や機械的強
度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマー、特にＴ
ＡＣなどからなるフィルムが好ましく用いられる。透明
保護層の厚さは適宜に決定でき、一般には５００μm以
下、就中１〜３００μm、特に５〜２００μmの厚さとさ
れる。なお透明保護層のケン化処理は、無機酸等にて表
面を加水分解する方式などにより行うことができる。

【００２０】フィルムからなる透明保護層は、ＰＶＡ系
接着剤などの適宜な接着剤を用いて偏光フィルムの片面
又は両面に接着することができる。なお透明保護層は、
拡散性や防眩性等の付与を目的にそれに透明粒子を含有
させて表面に微細凹凸構造を有するものとすることもで
きる。

【００２１】前記の透明粒子としては、例えば平均粒径
が０．５〜２０μmのシリカやアルミナ、チタニアやジ
ルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや
酸化アンチモン等からなる、導電性のこともある無機系
粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系粒子
などが一般に用いられる。

【００２２】本発明において接着被覆対象の偏光板は、
表面保護フィルムを接着しない片側に位相差板を有する
ものであってもよい。その位相差板は、例えば１／２や
１／４等の各種波長板や、液晶層の複屈折による着色や
視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた
適宜な位相差を有するものであってよく、厚さ方向の屈
折率を制御した傾斜配向フィルムであってもよい。また
２種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制
御したものなどであってもよい。

【００２３】ちなみに可視光域等の広い波長範囲で１／
４波長板として機能する位相差板は、例えば波長５５０
nmの光等の単色光に対して１／４波長板として機能する
位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば１／
２波長板として機能する位相差層とを重畳する方式など
により得ることができる。

【００２４】前記位相差板の具体例としては、ポリカー
ボネートやポリビニルアルコール、ポリスチレンやポリ
メチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリ
オレフィン、ポリアリレートやポリアミドの如き適宜な
ポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性
フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマー
の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられ
る。

【００２５】なお前記した傾斜配向フィルムは、例えば
ポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着して加熱に
よるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理
又は／及び収縮処理する方式や液晶ポリマーを斜め配向
させる方式などにより得ることができる。

【００２６】位相差板は、粘着層等の適宜な接着手段を
介して偏光板と接着処理されていてよい。かかる位相差
板は、液晶パネル等の製造過程で別個に積層する方式に
ても設けうるものであるが、予め積層したものは、品質
の安定性や組立作業性等に優れて液晶パネルなどの製造
効率を向上させうる利点などがある。

【００２７】また図例の如く偏光板２における表面保護
フィルム１を設けない面には、必要に応じて液晶セル等
の他部材と接着するための粘着層３を設けることもでき
る。かかる粘着層は、適宜な粘着剤等にて形成しうる。
就中、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張
差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひい
ては高品質で耐久性に優れる液晶パネルの形成性などの
点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であるこ
とが好ましい。

【００２８】なお設けた粘着層が表面に露出する場合に
は、その粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を
目的に図例の如くセパレータ３１にて仮着カバーするこ
とが好ましい。セパレータの形成は、上記のプラスチッ
クフィルム等に準じた適宜な薄葉体に、必要に応じシリ
コーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン
等の適宜な剥離剤による剥離コートを設ける方式などに
より行うことができる。

【００２９】上記の偏光板や位相差板や粘着層などの各
層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェ
ノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノ
アクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外
線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線
吸収能をもたせたものなどであってもよい。

【００３０】

【実施例】実施例１ アクリル酸イソノニル１００部（重量部、以下同じ）、
アクリル酸ステアリル６５部及びアクリル酸ヒドロキシ
エチル２部をベンゾイルパーオキサイド０．３部を介し
トルエン中、約６０℃で反応させて得たポリマー溶液に
その固形分１００部あたり架橋剤（テトラッドＣ、三菱
化学社製）３部を加え、それを厚さ３５μmのポリエス
テルフィルム上に塗工して厚さ１０μmのアクリル系粘
着層を形成し、表面保護フィルムを得た。

【００３１】比較例 アクリル酸ステアリルが無使用のポリマー溶液を得てそ
れを用いたほかは、実施例１に準じてアクリル系粘着層
を形成し、表面保護フィルムを得た。

【００３２】評価試験 実施例、比較例で得た表面保護フィルムをその粘着層を
介し２ｋｇのゴムロールを一往復させる方式で市販の偏
光板に接着し、それを50mm×150mmのサイズにカットし
て試験片を形成し、それを引張試験機を介し３００mm／
分の剥離速度による１８０度ピール値を測定して２３℃
における偏光板に対する表面保護フィルムの接着力を調
べた。

【００３３】なお前記の偏光板は、ＰＶＡ系偏光フィル
ムの両面にＰＶＡ系接着剤を介し、表面をケン化処理し
たＴＡＣフィルムからなる透明保護層を接着したもので
ある。その透明保護層に対する水の接触角は４６度であ
り、ケン化処理しない場合の約９０度に比べて水の濡れ
性が大きく向上したものである。

【００３４】前記の結果を次表に示した。

【図面の簡単な説明】

【図１】偏光板に適用した場合の説明断面図

【符号の説明】

１：表面保護フィルム １１：プラスチックフィルム １２：粘着層 ２：偏光板 ２１：透明保護層 ２２：接着層 ２３：偏光フィルム

フロントページの続き (72)発明者 済木 雄二 大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号日東電 工株式会社内 (72)発明者 正田 位守 大阪府茨木市下穂積１丁目１番２号日東電 工株式会社内 Ｆターム(参考） 4F100 AK01A AK25B AK25J AK25K AK42 AL01B AR00B BA02 CB05B GB41 GB90 JK06 JL13B JL14 YY00 4J004 AA10 AB01 CA01 CA03 CA04 CA06 CC02 FA04

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水の接触角が６０度以下の偏光板の表面
   を接着被覆する保護フィルムであり、プラスチックフィ
   ルムに粘着層を有して、３００mm／分の剥離速度による
   １８０度ピールに基づく前記偏光板の表面に対する常温
   での接着力が３５gf／50mm以下であることを特徴とする
   表面保護フィルム。
2. 【請求項２】 請求項１において、粘着層がアクリル酸
   イソノニルとアクリル酸ステアリルを少なくとも成分と
   する共重合体をベースポリマーとするものである表面保
   護フィルム。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、偏光板が偏光
   フィルムの片面又は両面にケン化処理したトリアセチル
   セルロースからなる透明保護層を具備して、その片面に
   位相差板を有するものである表面保護フィルム。