JP2001064413A - 易引裂性二軸延伸ポリ乳酸系フィルム - Google Patents
易引裂性二軸延伸ポリ乳酸系フィルムInfo
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Abstract
つ引裂直線性、特に手切り引裂性に優れる包装材料等と
して有用な易引裂性の良好なポリ乳酸系フィルムを提供
する。 【解決手段】 ポリ乳酸系共重合体(A)99.5〜6
0重量%と、エチレンテレフタレート及び/またはエチ
レンイソフタレート単位を主成分とするポリエステル
(B)0.5〜40重量%とからなる二軸延伸フィル
ム。
Description
度、耐熱性、寸法安定性を有し、かつ引裂直線性、特に
手切り引裂性に優れる包装用フィルムやテープ用フィル
ムとして有用なポリ乳酸系フィルムに関するものであ
る。
る包装材料としては、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレ
フィンフィルム、ナイロンフィルム等が広く使用されて
いる。
ルムは、自然環境中に廃棄されると、その化学的安定性
のために、分解せずにゴミとして蓄積する一方である。
将来的にはゴミ処分場、埋立地の確保が益々困難とな
り、また自然環境や野生動物に悪影響を及ぼすなどの問
題が懸念されている。これらのプラスチックフィルムに
代わって、土壌中において加水分解され、次いで微生物
により分解されて無害な分解物となり得る生分解性のフ
ィルムが求められており、このようなフィルムの代表的
なものとして、ポリ乳酸系のフィルムがある。
は強度、伸度が低く、耐衝撃性に劣るため、実用性が不
足していた。そこで、ポリ乳酸の脆性を向上させるため
に、一軸あるいは二軸延伸し、分子配向させる方法が知
られている。ポリ乳酸系二軸延伸フィルムは、情報記録
材料(磁気カード)、工業用パッケージ、農業用マルチ
フィルムなどの分野に展開され、一部は実用化に到って
いるものもある。また、一軸あるいは二軸延伸フィルム
の滑り性、柔軟性を改良したポリ乳酸系フィルムが提案
されている(特開平9−157408号公報、特開平9
−272794号公報)。
ィルムにおいて、食品、医療品等の包装材料に使用され
る際の引裂開封性を付与したものはなかった。包装材料
の引裂開封性を与えるために、袋の一端にノッチを付与
する方法があるが、ノッチから引き裂いた際に直線的に
引き裂けない場合には、内容物が飛散して無駄になるば
かりでなく、クッキーなどの軟らかい菓子は開封時に割
れたり、内容物が液体の場合には、衣服を汚したりする
トラブルが起こることがあった。
ては、ビスコースからなるセルロースにグリセリン等の
軟化剤を付与した薄膜であるセロハンが使用されてい
る。セロハンは生分解性を有しているが、約5%程度の
吸湿性があり、さまざまな環境下で特性が変動するた
め、その利用は制限されたものである。
問題点を解決しようとするものであり、機械的強度、耐
熱性、寸法安定性を有し、かつフィルムの引裂直線性、
特に手切り引裂性に優れる包装材料として有用な易引裂
性二軸延伸ポリ乳酸系フィルムを提供しようとするもの
である。
系フィルムに引裂直線性を付与して包装材料等としての
価値を高めるための検討を行った結果、ポリ乳酸にエチ
レンテレフタレート及び/またはエチレンイソフタレー
ト単位を主成分とするポリエステルを特定量配合して得
られる樹脂組成物を用いて製造した二軸延伸フィルムが
優れた引裂直線性を有することを見出し、本発明に到達
した。
合体(A)99.5〜60重量%と、エチレンテレフタ
レート及び/またはエチレンイソフタレート単位を主成
分とするポリエステル(B)0.5〜40重量%とから
なる易引裂性二軸延伸ポリ乳酸系フィルムである。
する。本発明において、ポリ乳酸系重合体(A)とはL
−乳酸を主構成単位とするホモポリマー、あるいはL−
乳酸とD−乳酸を主構成単位とするポリ乳酸系共重合体
をいう。ポリ乳酸系重合体は、二軸延伸により配向結晶
化を促進させ、実用強度を発現させるためには、L−乳
酸/D−乳酸=100/0〜90/10(モル比)の割
合であることが好ましい。D−乳酸が10モル%よりも
多いとポリ乳酸の融点が低くなり、得られるフィルムの
耐熱性、寸法安定性が低下するので好ましくない。ま
た、ポリ乳酸系共重合体の数平均分子量は5〜30万が
好ましく、より好ましくは8〜15万である。数平均分
子量が5万より小さいとフィルムの機械的強度が不十分
となり、また、フィルム製造時の延伸、巻取工程中での
切断が起こりやすくなり、操業性の低下を招く。一方、
数平均分子量が30万を超えると加熱溶融時の流動性が
乏しくなって製膜性が低下する。
は、縮合重合法及び開環重合法のいずれの方法を採用す
ることもでき、また、分子量を増大させるために少量の
高分子架橋剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエ
ポキシ化合物、酸無水物等を添加してもよい。
(A)にエチレンテレフタレート及び/またはエチレン
イソフタレート単位を主成分とするポリエステル(B)
を混合する。ポリエステル(B)の重合法としては、テ
レフタル酸とエチレングリコール、あるいは、テレフタ
ル酸とイソフタル酸とエチレングリコールを溶融重合す
る直接エステル化法、あるいは、テレフタル酸ジメチル
とエチレングリコール、あるいは、テレフタル酸ジメチ
ルとイソフタル酸ジメチルとエチレングリコールを溶融
重合するエステル交換法が挙げられる。また、溶融重合
後に、固相重合してもよい。
なわない範囲であれば他の成分を共重合することができ
る。他の共重合成分としては、フタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ア
ゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン
酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン
酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカ
ルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクト
ンや乳酸などのオキシカルボン酸があげられる。また、
ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチ
レンオキシド付加体等のグリコ−ル等があげられる。さ
らに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット
酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリ
スリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。
リ乳酸系共重合体(A)とポリエステル(B)の配合比
を、A/B=99.5/0.5〜60/40(重量
比)、好ましくは99/1〜80/20(重量比)とす
ることが必要である。ポリエステル(B)が40重量%
を超えると、機械的強度が低下するため好ましくない。
また、ポリエステル(B)が0.5重量%未満では引裂
直線性が得られない。
ステル(B)には、滑剤のほか、必要に応じて、フィル
ムの静電ピニング性付与剤としての金属化合物、あるい
は難燃剤、消泡剤等の添加剤を含有してもよい。
系共重合体(A)とポリエステル(B)との混合方法と
しては、リボンブレンダー、タンブラー等での混合、ま
たは押出機での加熱溶融混練が挙げられる。
ラットTダイ法、インフレーション法、カレンダー法等
を用いることができるが、厚み精度のよいフラットTダ
イ法が好ましい。フラットTダイ法で製造する場合、例
えば、ポリ乳酸系共重合体(A)とポリエステル(B)
混合物を押出機に投入し、180〜280℃で加熱溶融
した後、Tダイを備えた押出機よりシート状に押出し、
静電印加キャスト法などにより、40℃程度以下に温度
調節した冷却ドラム上に密着させて急冷し、所望の厚み
の未延伸シートを得る。
同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸
法により延伸する。逐次二軸延伸法により製造する場合
には、まず未延伸シートを駆動ロールの回転速度比によ
って、MD方向にロール表面温度50〜80℃、延伸倍
率1.5〜5.0倍で延伸し、引き続きTD方向に延伸
温度50〜90℃、延伸倍率1.5〜8.0倍に延伸
し、次に温度100〜150℃熱処理することによって
製造することができる。
ルムを製造するためには、MD方向のTD方向に対する
延伸倍率の比を0.5〜2.0とすることが好ましい。
上記の延伸倍率比とすることにより、フィルムのMD、
TD両方向の機械的強度、寸法安定性のバランスに優れ
るフィルムを安定して製造することができる。延伸倍率
の比が0.5未満の場合には、フィルムのMD方向の配
向が不十分となり、また、2.0を超えるとTD方向の
配向が不十分となり、上記の性能が低下する。
小さくするために必要な工程であり、熱処理は、熱風を
吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を
照射する方法等公知の方法を行うことができるが、均一
に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が
最適である。
めに従来公知の紫外線、α線、β線、γ線あるいは電子
線等の照射、コロナ処理、プラズマ照射、火炎処理等の
各種加工処理、またはポリアミド、ポリオレフィン等の
樹脂の塗布、ラミネートあるいは酸化アルミニウム等金
属の蒸着、あるいは酸化珪素、酸化チタン等のコーティ
ング等を施す場合もある。
するため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤
を、必要量添加して製膜し、フィルム表面にスリップ性
を付与することが望ましい。さらに、フィルムの印刷加
工性を向上させるため、例えば、帯電防止剤等を含有さ
せることもできる。
いが、通常10〜200μm程度であり、用途、要求性
能、価格等によって適宜設定すればよい。
薬品の包装用フィルムやテープとして好適であるが、生
ごみ包装用袋、ラミネート用フィルム、電気・電子部品
等のラッピング、農業用フィルム等の用途にも好適に使
用できる。
合体(A)のマトリックス中にポリエステル(B)が微
細に分散した形態を有しているため、引裂直線性、特に
手切り性に優れ、かつ機械強度、耐熱性、寸法安定性に
優れた性能を有するものである。
お、本発明におけるフィルムの特性値の測定方法は、次
の通りである。
0mmの試料(n=5)で測定した。 (3)引裂直線性(ノッチあり) MD方向に205mm、TD方向に40mmの短冊状の
フィルム片を切り出し、短辺中央部に長さ5mmの切り
込みを入れた試料を手で引き裂いた。引裂伝播端が切り
込みを入れた辺に向かい合う短辺に到達した本数を評価
値とした。TD方向の引裂直線性は、TD方向に205
mm、MD方向に40mmの短冊状のフィルム片を切り
出し、これを試料とした以外は上記と同様に測定した。
試料はMD、TD各10本ずつとした。評価法は次の通
りとした。 ◎:8本以上 ○:6〜7本 ×:5本以下 (4)手切り引裂性(ノッチなし) 切り込みを入れない以外は上記と同様にしてフィルム片
の短辺中央部を手で引き裂いた。評価法は次の通りとし
た。 ◎:容易に手で引き裂け、直線性がある。 ○:手で引き裂けるが、引き裂く際の抵抗が大きい。 ×:手で引き裂けない。
000のポリ乳酸系重合体(A−1)と、エチレンテレ
フタレート/エチレンイソフタレート=90/10(モ
ル比)のポリエステル(B−1)(極限粘度:0.75
(フェノールと四塩化エタンとの等量混合物を溶媒と
し、濃度0.5g/dl、20℃で測定))を(A−
1)/(B−1)=90/10の重量比で混合した組成
物を、Tダイを具備した200mmφの押出機を使用し
て樹脂温度250℃で溶融押出し、表面温度28℃の冷
却ドラム上に密着させて冷却し、厚さ200μmの未延
伸シートを得た。次いで、得られた未延伸シートを、予
熱ロール温度60℃、延伸ロール温度70℃でMD方向
に3.0倍延伸し、次いで、延伸温度80℃でTD方向
に3.5倍延伸した後、横方向の弛緩率を5%として1
50℃で熱処理を施し、室温まで冷却し、厚さ15μm
の二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を
評価した結果を表1に示した。
ポリエステル(B)のエチレンテレフタレート/エチレ
ンイソフタレートの重合単位比率、ポリ乳酸系重合体
(A)とポリエステル(B)の配合比率を変更した以外
は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
引裂性に優れるとともに、機械的強度、寸法安定性にも
優れていた。これに対し、比較例1では、引裂直線性お
よび手切り引裂性に著しく劣るものであった。比較例
2、3はある程度の引裂直線性を有するが、機械的強
度、特に寸法安定性が劣っていた。
線性、特に手切り引裂性に優れているため、食品、医薬
品等の包装材料、テープ用フィルムとして有用性が高
い。また、ゴミとして廃棄された場合、土壌中で微生物
により分解され、自然環境、野生動物に対する環境問題
を軽減することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリ乳酸系重合体(A)99.5〜60
重量%と、エチレンテレフタレート及び/またはエチレ
ンイソフタレート単位を主成分とするポリエステル
(B)0.5〜40重量%とからなることを特徴とする
易引裂性二軸延伸ポリ乳酸系フィルム。 - 【請求項2】 フィルムの横方向(TD)に対する縦方
向(MD)の延伸倍率が0.5〜2.0倍であることを
特徴とする請求項1記載の易引裂性二軸延伸ポリ乳酸系
フィルム。
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1999
- 1999-08-26 JP JP23968399A patent/JP4402773B2/ja not_active Expired - Fee Related
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