JP2001041142A - サージタンクを備えた水力プラントの水力機械 - Google Patents

サージタンクを備えた水力プラントの水力機械

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JP2001041142A JP11218382A JP21838299A JP2001041142A JP 2001041142 A JP2001041142 A JP 2001041142A JP 11218382 A JP11218382 A JP 11218382A JP 21838299 A JP21838299 A JP 21838299A JP 2001041142 A JP2001041142 A JP 2001041142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サージタンクの設計条件となっているガバナ印
加信号が同じでも、ガバナ自身をインテリジェント化し
過大なサージングを自動的に防止できるようにしたサー
ジタンクを備えた水力プラントの水力機械を提供する。 【解決手段】可動の流量制御手段と流量制御手段を制御
するガバナと、上流または下流管路にサージタンクを備
え、ガバナがサージタンクの固有振動数近辺の周波数帯
域の入力信号に対しては低い周波数応答特性を与えるた
めの低応答設定と、その他の周波数領域の入力信号に対
してはより高い周波数応答特性を与えるための高応答設
定を具備した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上流または下流側
にサージタンクを備えた水力プラントに設置され、水量
制御手段と水量制御手段を制御するガバナを備えた水力
機械に係わり、特に当該サージタンクの容量合理化を計
るに好適な水力機械に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電力系統に接続される水力発電
機械においては、系統に連繋されて運転されている時は
系統から強力な回転速度安定化作用が期待できるので、
回転速度を制御するガバナの設定値は安定性より速応性
を重視して比較的高いゲインに設定され、系統から分離
された時や系統から事実上分離され系統側から回転速度
安定化作用があまり期待できない場合には速応性より回
転速度の安定性を重視して比較的低いゲインに設定され
る。そこで、従来は、ガバナのゲインは連繋運転中で考
えられる最高のゲインを想定し、かつ、水量制御手段を
考えられる最大振幅で、しかも、サージタンク固有振動
相当周期で、考えられる最多回数開閉するような信号が
ガバナに与えられたと仮定して、それでも上下流のサー
ジタンクはオーバーフローしないよう十分な容量に設計
していた。
【0003】又、水力発電所の水路系の解析をしたもの
に、日立評論 VOL.56 No.12(1974−1
2) p1155〜1160に記載のものがある。この
文献には、非線形性を考慮して水路系の水撃作用を解析
している。
【0004】又、従来の装置である電力系統に接続され
た発電機、これに直結された水車からなる水力プラント
では、一般に、回転速度検出器を備え該回転速度検出器
の出力信号に応答して水車の流量制御手段(例えばガイ
ドベーン)を制御して水車出力を上げて発電機負荷と比
較してより大きくして回転速度を上げて、あるいは水車
出力を下げて発電機負荷と比較してより小さくして回転
速度を下げて回転速度を所定値に制御する回転速度ガバ
ナを設けているが、回転速度→回転速度検出器→回転速
度ガバナ演算部→回転速度ガバナ増幅部→流量制御手段
→水車出力→発電機負荷との差修正→回転速度修正とな
って一巡する回転速度制御系に対して、一種のバイアス
調整をする部分を回転速度ガバナの演算部に設けてい
る。水力プラントが大電力系統から切り離され、特定の
小負荷だけに電力を供給するような実質的に単独送電や
完全な無負荷運転になった場合には、発電機負荷は一定
と考えられるので、このバイアスの調整は結果的に速度
調整の役割を果たす。すなわち、発電機負荷に見合う水
車出力は変わらないので、バイアス調整分を相殺できる
のは回転速度Nの変化であるためである。
【0005】これに対して水力プラントが大電力の系統
に同期接続されている場合には、回転速度が電力系統相
当値で固定されるので、バイアスの調整は出力調整の役
割を果たす。すなわち、バイアスの調整によって流量制
御手段の開度が変わり水車出力は変わるが回転速度は変
われないので、発電機負荷が水車出力に直ちに追従す
る。この場合には、バイアスは水車出力調整→電力調整
の役割を果たすことになる。
【0006】ところで、水力プラントが大電力系統に連
繋されている場合に、電力系統全体の電力需給調整制御
やAFC等の周波数調整制御のために、管轄下の各プラ
ントに対して配分指令が出され、水力プラントに対して
遠方の中央制御所から電力の要求値である出力調整指令
が出される場合がある。しかし、従来の水力発電プラン
トでは、この遠方指令に対する応答が極めて遅く、系統
制御という観点では水力発電プラントの貢献度は低過ぎ
るという問題があった。
【0007】従来の技術では、ガバナ側で遠方指令と別
途検出した実際の発電機電力を比較して偏差信号を算出
し、その偏差信号を積分演算した結果を回転速度制御系
へ一種のバイアス信号として与えていた。バイアス信号
は、具体的には65Pと称する出力調整部に与えてい
た。しかし、発明者らの解析結果では、積分演算のゲイ
ンを許容限界まで上げてみても遠方指令→実電力との偏
差導出→偏差の積分演算(以下電力偏差積分と呼ぶ)→
ガバナ演算部へのバイアス調整(即ち65P調整)→流量
制御手段の開度調整→水車出力調整→発電機の実電力調
整と一巡する制御回路に致命的な問題があり、抜本的な
応答改善は望めないことが判明した。
【0008】その理由の一つにガバナ演算部のPID演
算ゲインが低すぎる問題がある。しかし、ガバナ演算部
のPID演算ゲインは、水力発電プラントが大電力系統
から切り離されて実質的に単独送電状態になる可能性が
あれば、単独送電状態になっても回転速度制御系の安定
性が損なわれないようにする必要があるため、任意に上
げることはできないという事情がある。これを解決する
方法として、ガバナ演算部のPID演算ゲインを大電力
系統と連繋運転中は所望の高さに設定しておいて、単独
送電へ移行した時は低い値に自動切換する方法が考えら
れるが、電力系統の構成が複雑であることを考慮する
と、単独送電への移行が充分な信頼性をもって検出でき
ない限り(実際には困難)採用できない。又、遠方指令
に対する一巡制御回路において流量制御手段の開度調整
→水車出力調整間の伝達関数は線形近似では(1−Tw
S)/(1+0.5Tw・S)と表現されるように、水撃に
よる出力の逆向き応答成分が含まれているため、遠方指
令に対する一巡制御回路にも直接の悪影響を与える。こ
こで、Tw=ΣLi・Vi/(g・H)で、Liは上下流水路
の長さ、Vi は上下流水路内の平均流速、gは重力の加
速度、Hは有効落差、Sはラプラス演算子である。
【0009】ところで、ガバナ演算部のPIDゲイン
は、回転速度→回転速度検出器→回転速度ガバナ演算部
→回転速度ガバナ増幅部→流量制御手段→水車出力→発
電機負荷との差修正→回転速度修正と一巡する回転速度
制御系の安定性や速応性を考慮して設定され、遠方指令
に対する電力制御の一巡制御回路専用の演算部としては
単に電力偏差積分演算があるだけで適正な設定ができる
構成になっていない。まして、電力の手動操作のための
上げ、下げ指令も電力偏差積分演算器で受けるのが一般
的で、この場合には目視確認しながら調整するすること
になるので電力偏差積分のゲインは自ずと低くならざる
を得ず自由に上げられない。
【0010】電力系統と連繋運転中は、事実上一定速度
で運転される従来の水力発電プラントでは、回転速度制
御系と遠方指令に応答する電力制御系の両方が最終的に
は同一の操作端を制御する。このように従来の技術に
は、遠方指令に対する電力の一巡制御系についても回転
速度制御系の低いPID演算ゲインの影響や水撃の逆応
答等の阻害要因にも拘わらず適正な遅れ補償やゲイン補
償を行うことのできる演算部を設けた例はない。
【0011】特開平7−279814 号公報に記載の装置で
は、遠方指令自体を一時的に拡大してから回転速度制御
系の一つのバイアス信号として入力する方法が開示され
ている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の装置は、サージ
タンク容量を低減することには配慮されておらず、サー
ジタンク容量増加は地下発電所の場合であれば岩盤の掘
削ボリュームの増大を意味し、土木コストの上昇は大き
な負担になっている。例えば、サージタンクの高さを僅
か1m上げるにしても、サージタンクの横断面積が各水
車の水路断面積の何十倍にもなるため掘削ボリュームで
は膨大になるためである。
【0013】又、特開平7−279814号公報に記載の装置
のように、遠方からの電力指令の受信部で指令自体を一
時的に拡大する対策を講じれば、その後の一巡制御系の
応答低下をある程度は補償できる可能性がある。しか
し、この方法は、一巡制御系でゲインが1/10になる
なら予め10倍にしておき10×(1/10)=1とゲ
インを1とする考え方であるが、一巡制御系の周波数特
性は複雑で信号の周波数に応じて応答ゲインは大きく変
化し、1/100のところもあれば1に近いところもあ
るのでこのような単純にはいかない。結局、一巡制御系
の外だけで補償するやり方には限界があり、少なくとも
精度低下や非効率性は避けられないため、効率的ではな
く、実用的ではないものであった。
【0014】又、従来の技術では、たとえ電力指令に対
する一巡制御系の応答性改善に成功したとしても、水力
機械の建設条件によっては上下流水路のサージタンクの
サージング等特定の周波数帯での異常加振が生じるとい
う新たな問題を引き起こす場合も少なくなかった。この
対策としては、サージタンクの容量を増すという高価な
対策か一巡制御系の応答性改善を諦めるかしか対策がな
かった。
【0015】本発明の第1の目的は、サージタンクの設
計条件となっているガバナ印加信号が同じでも、ガバナ
自身をインテリジェント化し過大なサージングを自動的
に防止できるようにして、安価な対策でサージタンクの
設計合理化という大きな経済効果を達成し、水力プラン
トの建設コスト低減に貢献できるサージタンクを備えた
水力プラントの水力機械を提供することにある。
【0016】本発明の第2の目的は、サージタンクの固
有振動相当周期で加振されても、ガバナの出力である水
量制御手段の振動振幅は自動的に所望のレベルに抑制さ
れるようガバナをインテリジェント化したサージタンク
を備えた水力プラントの水力機械を提供することにあ
る。
【0017】本発明の第3の目的は、回転速度制御系と
遠方指令に応答する電力制御系の両方が最終的には同一
の操作端を制御するような場合でも、遠方指令に応答す
る電力制御系の応答性を回転速度制御系の応答性能、特
に安定性を損なうことなく合理的に適正化でき、応答ゲ
インを大幅に改善した水力機械を提供することにある。
【0018】本発明の第4の目的は、電力の手動操作の
ための上げ,下げ指令も電力偏差積分演算器で受ける場
合のように、電力偏差積分のゲインが充分高くない場合
でも、遠方指令に対する電力制御系の応答性を自在に上
げられる水力機械を提供することにある。
【0019】本発明の第5の目的は、上下流水路のサー
ジタンクのサージング等特定の周波数帯での異常加振現
象を合理的に防止し、その他の周波数帯では一巡制御系
の応答性を最大限に保持することのできる水力機械を提
供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のサージタンクを備えた水力プラントの水力
機械は、可動の流量制御手段と前記流量制御手段を制御
するガバナと、上流または下流管路にサージタンクを備
えた水力プラントに設置される水力機械であって、前記
ガバナが前記サージタンクの固有振動数近辺の周波数帯
域の入力信号に対しては低い周波数応答特性を与えるた
めの低応答設定と、その他の周波数領域の入力信号に対
してはより高い周波数応答特性を与えるための高応答設
定を具備したことを特徴とする。
【0021】又、過大なサージングまたはその前兆現象
を検出するサージングセンサーを備え、前記サージング
センサーが動作したことを条件に前記ガバナが低応答設
定を自動選択するものである。
【0022】又、可動の流量制御手段と前記流量制御手
段を制御するガバナと、上流または下流管路にサージタ
ンクと、過大なサージングまたはその前兆現象を検出す
るサージングセンサーを備えた水力プラントに設置され
る水力機械であって、前記ガバナの演算部が積分要素ゲ
インを高低切換可能に構成され、前記サージングセンサ
ーが動作した時には低ゲイン側を自動選択することを特
徴とする。
【0023】又、可動の流量制御手段と前記流量制御手
段を制御するガバナと、上流または下流管路にサージタ
ンクと、前記ガバナの周波数応答特性を設定したバンド
フィルター回路を備えた水力プラントに設置される水力
機械であって、前記バンドフィルター回路の周波数応答
特性が前記サージタンクのサージング固有振動数に近い
周波数帯域の入力に対しては、その他の周波数帯域の入
力に比べて前記ガバナの周波数応答特性が低くなるよう
に設定されていることを特徴とする。
【0024】又、上記目的を達成するために、本発明の
水力機械は、電力指令に対する一巡制御系の電力偏差積
分演算器と並列に配置されてその出力で電力偏差積分演
算器の出力を補正するようにした並列演算手段を設け、
該並列演算手段は電力偏差積分演算器と同じ電力偏差信
号を入力とするものの、電力偏差がある過渡時には電力
偏差積分演算器の応答を高めるような信号を出力し、定
常状態に戻ればその出力をゼロまたは略ゼロに戻すよう
に構成したものである。
【0025】又、並列演算手段には比例演算をさせ、電
力偏差積分演算器の代わりにP+I(比例+積分)演算
要素を入れるものである。このP+I演算要素を使っ
て、電力指令に対する電力制御系の応答を適正化するも
のである。
【0026】又、並列演算手段には比例演算+微分演算
をさせ、電力偏差積分演算器の代わりにP+I+D(比
例+積分+微分)演算要素を入れるものである。このP
+I+D演算要素を使って、電力指令に対する電力制御
系の応答を適正化することである。
【0027】又、遠方指令受信部には特定の周波数帯の
変動入力に対しては応答ゲインが他の周波数帯の変動入
力に比べて低下するバンドフィルターを設けるものであ
る。又、上記の電力偏差積分演算器をP+I演算要素で
置換またはP+I+D演算要素で置換した上で遠方指令
受信部に設けるバンドフィルターを組み合わせるもので
ある。
【0028】又、バンドフィルターの例としては、伝達
関数を[(1+T2・S)*(1+T3・S)]/[(1+T1
・S)*(1+T4・S)]または同等(但し、T1 からT
4 は所定の時定数、Sはラプラス演算子でT1<T2<T
3<T4)とし、サージング共振周波数等制御対象側で共
振が予想される特定の周波数帯が1/(2π・T1)と1
/(2π・T4)の間に入るようにT1 ,T4 を調整する
ことである。より好ましくは1/(2π・T2)と1/(2
π・T3)の間に入るようにT2 ,T3 を調整するもので
ある。
【0029】
【発明の実施の形態】図2は上下水路の両方にサージタ
ンクを有する水力プラントの水路構成を示す。105は
上池、101は上池105の導水路、106は導水路1
01に設けられた上流側サージタンク、102は上流側
サージタンク106に接続された水圧鉄管、100は水
圧鉄管102に接続されたポンプ水車、103はポンプ
水車100に接続された吸出管、107は吸出管103
に設けられた下流側サージタンク、104は下流側サー
ジタンク107に接続された放水路を示す。図2中で、
fuはポンプ水車100中心を基準に測った上流側サー
ジタンク水位、HfLはポンプ水車100中心を基準に測
った下流側サージタンク水位、△Hfuは上流側サージタ
ンク106の水位と上池105の水位の差、△HfLは下
流側サージタンク107の水位と下池108の水位の
差、Afuは上流側サージタンク106の断面積、AfL
下流側サージタンク107の断面積、L1 ,A1 ,V1
は、それぞれ導水路101の長さ,管路断面積,流速、
2 ,A2 ,V2 はそれぞれ水圧鉄管102の長さ,管
路断面積,流速、L3 ,A3 ,V3 はそれぞれ吸出管1
03の長さ,管路断面積,流速、L4 ,A4 ,V4 はそ
れぞれ放水路104の長さ,管路断面積,流速を示す。
【0030】図2のように構成された水力プラントの水
撃を含む水車の挙動、すなわち、ガバナの出力であるガ
イドベーン(水量制御手段ともいう)の開度Yを入力と
するガバナの制御対象の挙動を模擬する模擬式の例を次
に説明する。以下の説明では、水柱は非圧縮性流体であ
ると仮定し、剛性理論に基づき近似する。又、説明を簡
単にするためこの水柱には摩擦損失はないと仮定する。
【0031】先ず、導水路101と上流側サージタンク
106について検討すると、上池105から上流側サー
ジタンク106までの管路内水柱は、断面積A1x 長さ
1 であり、サージタンク水位上昇により水柱に作用す
る力は水柱を押し戻す方向に作用するので、運動方程式
は数1となる。
【0032】
【数1】 −γ・ΔHfu・A1=[(A1・L1・γ)/g]×(dV1/dt) …(1) ここで、γは水の比重であり、数1を変形すると数2と
なる。
【0033】
【数2】 −ΔHfu=(L1/g)×(dV1/dt) …(2) 一方、連続の式から、サージタンクへの流入水量と流出
水量の差がサージタンク水位を変化させるから、数3が
成り立つ。
【0034】
【数3】 (A1・V1−A2・V2)=Afu・(dΔHfu/dt) …(3) 次に、102水圧鉄管について検討する。水圧鉄管内の
水柱は断面積A2x 長さL2 であり、管路左端の水圧力
変動分は、γ・△Hfu・A2 、他方管路右端の水圧変動
分は、γ・△Hu・A2なので、数4が成り立つ。すなわ
ち、数5となる。
【0035】
【数4】 γ(ΔHfu−ΔHu)・A2=[(A2・L2・γ)/g]×(dV2/dt) …(4)
【0036】
【数5】 ΔHfu−ΔHu=(L2/g)×(dV2/dt) …(5) 従って、数8となる。
【0037】次に、ポンプ水車100について検討す
る。水車の出力Pt は数6で表すことができる。
【0038】
【数6】 Pt =9.8η・H・Q …(6) ここで、ηは効率を、Hは有効落差を示す。有効落差H
の変動分は上流側変動△Hu と下流側変動△HL の差で
数7のように表される。
【0039】
【数7】 ΔH=ΔHu−△HL …(7) また、流量Qは数8にて近似する。
【0040】
【数8】 Q=K・Y・√H …(8) ここでYはガイドベーン開度を示す。さらに、連続の方
程式から数9が得られる。
【0041】
【数9】 Q=A2・V2=A3・V3 …(9) 次に、吸出管103について検討する。吸出管の管路内
水柱は断面積A3x 長さL3 であり、管路左端の水圧力
変動分は、γ・△HL・A3、他方管路右端の水圧変動分
は、γ・△HfL・A3なので、数10が成り立つ。
【0042】
【数10】 γ(△HL−△HfL)・A3=[(A3・L3・γ)/g]×(dV3/dt) …(10) すなわち、数11が得られる。
【0043】
【数11】 △HL−△HfL=(L3/g)×(dV3/dt) …(11) 次に、放水路104と下流側サージタンクについて検討
する。まず、下サージタンクから下池までの管路内水柱
は断面積A4x 長さL4 であり、この水柱に作用する力
は下サージタンク水位上昇により、水柱を加速する方向
に作用するので、数12が成り立つ。
【0044】
【数12】 γ・△HfL・A4=[(A4・L4・γ)/g]×(dV4/dt) …(12) すなわち、数13が得られる。
【0045】
【数13】 △HfL=(L4/g)×(dV4/dt) …(13) 他方、連続の方程式から下サージタンクへの流入水量と
流出水量の差が下サージタンク水位を変化させるので、
数14が得られる。
【0046】
【数14】 (A3・V3−A4・V4)=AfL・(dΔHfL/dt) …(14) ここで、各係数を数15に示すように無次元化して数
2,数3,数5,数6,数7,数8,数9,数11,数
13,数14の線形近似式を求めると数16から数25
が得られる。
【0047】
【数15】
【0048】これらの式は、無次元変数v1,v2
3,v4,hfu,hfL,hu,hL,pt,q,yを変数
とする線形近似式であり、これら変数の高次項はneglig
iblesmallとして省略している。
【0049】
【数16】 v1=−g・H0・hfu/(L1・V10・S) …(16)
【0050】
【数17】 hfu=(A1・V10・v1−A2・V20・v2)/(H0・Afu・S) …(17)
【0051】
【数18】 v2=g(H0・hfu−Hu0・hu)/(L2・V20・S) …(18)
【0052】
【数19】 p=h+q …(19)
【0053】
【数20】 h=(Hu0u−HL0L)/(Hu0・HL0)=(Hu0u−HL0L)/H0 …(20)
【0054】
【数21】 q=y+0.5h …(21)
【0055】
【数22】 q=v2=v3 …(22)
【0056】
【数23】 v3=g(HL0・hL−H0・hfL)/(L3・V30・S) …(23)
【0057】
【数24】 v4=g・H0・hfL/(L4・V40・S) …(24)
【0058】
【数25】 hfL=(A3・V30・v3−A4・V40・v4)/(H0・AfL・S) …(25) このことから、図2に示す水力プラントのガバナの制御
対象の線形化モデルは、図3のように示すことができ
る。すなわち、ガイドベーン(水量制御手段)の無次元化
された開度yによって無次元化された流量変化qが発生
し、これにより無次元化された上流側サージタンクの水
位hfu,無次元化された下流側サージタンクの水位hfL
が応動することが解る。図3に示す上サージングブロッ
ク図,下サージングブロック図は、それぞれ図4,図5
に示すように構成されている。なお、流量変化に対する
上流側サージタンク水位,下流側サージタンク水位の応
答はいずれも典型的な正弦波発生回路になっており、上
流側サージタンクサージングの周期,下流側サージタン
クサージングの周期はそれぞれ2π√(Afu・L1/A1
・g),2π√(AfL・L4/A4・g)となる。
【0059】図1は本実施例のガバナの制御ブロック線
図である。1はポンプ水車100の回転速度Nを検出す
る速度検出部、Xn は速度検出部1で検出された速度検
出信号、2は回転速度の基準値を設定する速度調整部、
0 は速度調整部2から出力される設定値、3は設定値
0 と速度検出信号Xn と後述する速度調定率設定部か
らの復元信号Xσとの加算器、Xεは加算器3で算出さ
れた信号ですぐ下流のPID演算回路の入力信号、20
は上流側サージタンク用サージングセンサー、4aは通
常使用する比例演算要素(P要素)、4bはサージング
センサーが動作した時、すなわち、サージング抑制を行
う場合に使用する比例演算要素(P要素)を示す。なお、
前者の比例演算要素のゲインKpa<後者の比例演算要素
のゲインKpbとなっている。5aは通常使用する積分演
算要素(I要素)、5bはサージングセンサーが動作し
た時、すなわち、サージング抑制を行う場合に使用する
積分演算要素(I要素)を示し、前者の積分ゲインKia
と後者の積分ゲインKibとはKia<Kibとなっている。
19a,19bはそれぞれ比例演算要素4a,4b,積
分演算要素5a,5bの前段に設けられたサージングセ
ンサー20の接点で、サージングセンサー20が動作し
た時にスイング動作して、比例演算要素4aを開き比例
演算要素4bを閉じ、積分演算要素5aを開き積分演算
要素5bを閉じ、比例演算要素,積分演算要素共に切換
える。
【0060】6は微分演算要素(D要素)を示し、その
出力信号Zd ,比例演算要素の出力信号Zp ,積分演算
要素の出力信号Zi は、加算部7で加算される。この比
例演算要素の出力信号Zp ,積分演算要素の出力信号Z
i ,微分演算要素の出力信号Zd を総合した信号は、ガ
イドベーン開度指令Zであり、このガイドベーン開度指
令Zに実際のガイドベーン開度Yがフィードバックさ
れ、加算部8で偏差がとられる。この偏差信号Y
ε1 は、リミッター9を介して油圧サーボモータ10に
入力される。リミッター9のθR はガイドベーンの開速
度をθR・Cyに、θL は閉速度をθl・Cy に制限する
ためのものであり、リミッター9の出力信号Yε2は偏
差信号Yε1 を上記開閉速度制限を考慮して制限した信
号となっている。油圧サーボモータ10は一種の油圧増
幅器になっており、伝達関数では一次遅れ要素を構成
し、ガイドベーン開度指令zを増幅して充分なストロー
クと操作力をもつガイドベーン開度Yに変換し、水量制
御手段であるガイドベーンを直接操作する。
【0061】実際のガイドベーン開度Yはフィードバッ
クされ、加算部11で、出力調整部13からのガイドベ
ーン開度設定信号Ya との偏差が与えられる。もし実際
のガイドベーン開度Yがガイドベーン開度設定信号Ya
に達していない場合、すなわち、Y<Ya の場合にはそ
の差がゼロになるまでガバナのPID演算部に開信号σ
(Ya −Y)が送り続けられるので、やがてはY=Ya
なりその段階で落ち着く。開信号σは速度調定率設定部
12で設定され、復元信号Xσを出力する。この開信号
σは速度検出信号Xn の変化に対するガイドベーン開度
Yの変化の割合を決めるゲインで、一般には電力系統の
中でのプラントの役割を考慮して一度決めたら変更され
ないものである。
【0062】14は図3に示すブロック線図全体を示
し、実際のガイドベーン開度Yがフィードバックされて
いる。このブロック線図14は、前述したように、簡単
に表現すると水路系を含むポンプ水車の制御ブロック線
図を示す。ブロック線図14の出力である水車の出力P
t と後述する総合負荷LΣとの偏差がとられ、この偏差
は回転部慣性効果の算出部16に入力され、回転速度N
を算出する。この回転速度Nは、自己制御性の演算部1
7a,電力系統からの同期化作用の演算部17bにフィ
ードバックされる。
【0063】演算部17bでは、回転速度Nが定格速度
(同期速度)N0 から外れない様に電力系統が連れ戻す
同期化作用を示す負荷電力RL を算出する。Lは水車軸
に直結された発電機に与えられる外部負荷であり、この
外部負荷Lと負荷電力RL が加算され、発電機負荷Pg
が算出される。ポンプ水車100の自己制御性の演算部
17aでは、回転速度上昇に伴い増加する機械損や効率
低下等を総合した特性を演算しており、回転速度変化に
伴う自己制御性による水車出力のロスRT を算出してい
る。
【0064】水車からみれば発電負荷Pg だけでなくロ
スRT も一種の負荷のようにみなすことができ、水車の
出力Pt を消費する総合負荷LΣ=Pg +RT とみなす
ことができる。発電負荷Pg とロスRT が加算されて総
合負荷LΣを算出し、さらに水車の出力Pt との偏差が
とられて、(Pt −LΣ)が回転部慣性効果の算出部1
6に入力され、回転部慣性効果の算出部16の出力とし
て回転速度Nが算出される。
【0065】ところで図1に示すガバナには外部から与
えられる信号として、発電機に与えられる外部負荷Lと
出力調整部13から与えられるガイドベーン開度設定信
号Ya の2つの信号がある。外部負荷Lは、その変動に
よって回転速度Xn の速度変動を生じさせる。一方、出
力調整部13に入力される信号の代表的なものがAFC
(自動周波数制御)であり、AFCの場合には専ら電力
系統の周波数制御の観点で出される指令であるので、サ
ージング異常加振等の水力プラントの特殊事情は感知せ
ずに出され、図示してない遠方の中央制御所から遠隔操
作で与えられる。従って、回転速度Xn ,ガイドベーン
開度設定信号Ya いずれの信号によっても上流側,下流
側いずれのサージタンクも異常加振される可能性がある
ので、サージングセンサーは両信号の総合効果を監視で
きるように両信号の合流点である加算器3より下流側に
配置している。
【0066】図6は、図1に示すガバナのPID演算部
への入力信号Xεを入力しているサージングセンサー2
0の一例を示す図である。20Aは絶対値演算部、20
Bは入力が0.004(pu)以上の時には1をそれ以下の
時には0を出力するスイッチである。20Cは、スイッ
チ20Bの出力が1の時は0を選択し、スイッチ20Bの
出力が0の時は0.2 を選択する信号選択要素、20D
はスイッチ20Bの出力と信号選択要素20Cの出力と
の偏差をとる加算部、20Fは加算部20Dの出力信号
を積分する積分要素、20Eは積分要素20Fの前段に
設けられ、積分要素20Fの上限が25を超えない様
に、下限が0を超えない様に積分要素20Fへ送る信号の
通過/阻止を司るリミッター、20Gは積分要素20F
の出力が設定値の10以上の場合にサージングセンサー
をONし、10未満の場合にサージングセンサーをOF
Fするサージングセンサー作動部である。
【0067】次に、図6に示すサージングセンサーの動
作について図7,図8のサージングセンサーの動作説明
図を用いて説明する。図7に示すレコード1はガバナの
PID演算部への入力信号Xεを、レコード2はガバナの
PID演算部の出力信号Zを、レコード3は積分要素2
0Fの出力信号を、レコード4はサージングセンサー作
動部20Gの出力信号を夫々示す。又、図8に示すレコ
ード1は回転速度Nを、レコード2はガイドベーン開度
設定信号Ya を、レコード3はガイドベーン開度Yを示
す。なお、この場合、図8に示すレコード2のように出
力調整部13から与えられるガイドベーン開度設定信号
a がサージング加振信号となっている。
【0068】時点taでPID演算部の入力Xε>0.0
04となるとスイッチ20Bは1を出力する。すると信
号選択要素20Cは0を出力する。この結果、加算部2
0Dの出力は1となり、積分要素20Fが積分を開始
し、レコード3で示す積分要素20Fの出力値は直線的
に上昇する。時点tb になると、積分要素20Fの出力
が10を超えるのでこの段階でサージングセンサーがO
Nする。なお時点tc になると積分要素20Fの出力が
25に達すると、リミッター20Eの作用で直ちに上昇
が止む。時点tdになるとPID演算部の入力Xε<0.
004となり、スイッチ20Bは0を出力し、信号選択
要素20Cは0.2 を出力するので加算部20Dの出力
は−0.2 となり、積分要素20Fの出力は上昇時の1
/5勾配で降下し始める。時点teになると再びPID
演算部の入力Xε>0.004となり、積分要素20F
の出力が上昇を始める。
【0069】絶対値演算部20Aで絶対値を採っている
理由は、PID演算部の入力Xεが正(水量制御手段を
開く場合)の場合でも、負(水量制御手段を閉じる場
合)の場合でも最終的な水量変化が同じであれば、水位
上昇から始まるか、下降から始まるかの差はあれ同じ振
幅のサージングになるためである。もちろん前述したよ
うに、精度が多少悪くなってもサージングセンサーをで
きるだけ簡単化できるためである。
【0070】スイッチ20Bで|Xε|の振幅を考慮し
ている理由は正負に関係なく振幅が大きければ大きいほ
どサージングも大きくなるためである。また信号選択要
素20Cの設定値0.2 を大きくすると積分要素20F
の出力の下降を速くすることになり、サージングセンサ
ーのリセットを早めることになる。サージング固有振動
周期よりはるかに長い周期で繰り返されるPID演算部
の入力Xεの振動ならサージングの異常加振の危険性は
かなり小さくなるので、過去の加振歴の影響はほとんど
無視してよくなるが、信号選択要素20Cの設定値0.
2 はこの種の判断をさせるものである。リミッター2
0Eの上限設定値25を下げると、信号選択要素20C
の設定値が同じでもサージングセンサーがリセットしや
すくなるので正確には信号選択要素20Cとリミッター
20Eの設定はセットで検討する。なお、PID演算部
の入力Xεが同じ振幅で加振周期がサージング固有振動
相当周期よりはるかに短くなってもサージングは減衰す
るので、サージングセンサーはOFFしてもよいが、図
4に示すサージングセンサーでもそのように調整するこ
とができる。なお、サージングセンサーの精度は図3を
参照しながらより理論に忠実に模擬して作ればかなり高
い精度が期待でき、サージングセンサーの動作範囲を必
要最小限にし、ガバナの周波数応答性能の犠牲も必要最
小限にできる。
【0071】以上述べたように、図7の時点tb におい
てサージングセンサーがONし、図1に示すサージング
センサーの接点19a,19bが切換り、比例要素4b
(ゲインKpb),積分要素5b(ゲインKib)が選択さ
れ、図6に示すレコード3のようにガイドベーン(Y)
の動作が急に抑制され、サージングが許容レベルに自動
的に抑えられる。なお、図7,図8に示すシミュレーシ
ョン解析では、図8に示すレコード1のように回転速度
Nは終始一定と仮定している。
【0072】なお、発明者らは上述のサージングセンサ
ーが実機でどれほど有効に作動するかを確認するために
あるプラントを対象に非線形項を加味してシミュレーシ
ョン解析を行った。その結果を要約したのが図9であ
る。この場合、出力調整部13からのガイドベーン開度
設定信号Ya として正弦波を与えることとし、パラメー
タとして3種類の振幅,5種類の周期の合計12ケース
で検証している。ここで、サージングセンサーの要否の
判定については、サージングセンサーを設けない無対策
では予め決めた対象サージタンクの許容最高水位を超え
る場合を「要」,超えない場合を「不要」とした。ガイ
ドベーン開度設定信号Yaの振幅±0.49で周期が10
0sec,400secの2ケースを除いて、シミュレーショ
ン解析結果が「要」の場合はサージングセンサーは実際
にONし、「不要」の場合には実際にOFFしている。
例外の2ケースはサージングセンサーの簡略化による誤
差であるが、誤差は安全サイドに出ており充分許容でき
るレベルと判断できる。なお、上述の対象のサージタン
クの許容最高水位はこのプラントが電力系統と連繋運転
中の値で、負荷遮断によって上乗せされる追加変動分を
考慮してもサージタンクがオーバーフローしない値に設
定している。
【0073】以上述べたように、ガバナに低い周波数応
答特性を与えるための低応答設定と、より高い周波数応
答特性を与えるための高応答設定を用意しておいて、サ
ージタンクの固有振動数近辺の周波数帯域での運転で
は、低応答設定を使うようにしているので、水量制御手
段までのガバナ自身の総合応答ゲインが低下し、水量制
御手段の振幅を所望のレベルに低下できるので、ガバナ
への印加信号がサージングの固有振動数相当の周波数で
本来なら過大サージングが避けられそうにない振幅で加
振したとしても、過大なサージングには至らない。
【0074】又、サージングセンサーを備えているの
で、過大サージングが懸念される運転条件を的確に検出
できるので、低応答設定の使用範囲も必要最小限に止め
ることができる。すなわち、ガバナの周波数応答特性を
高く維持して、速応性を重視する通常の設定を最大限に
利用することができる。
【0075】ガバナ演算部の積分要素のゲインは、低い
方のゲインは負荷遮断後の回転速度Nの安定性確保のた
めの設定になっているが、このゲインを過大サージング
抑制も可能なレベルに設定しておき、サージングセンサ
ーが動作した時も負荷遮断時と同様に低い方のゲインを
自動選択するようにすれば好都合である。なお、積分要
素の場合には何時ゲイン切換えを行っても出力側が飛ぶ
ことがないので切換対象としては好ましい。
【0076】ガバナの演算部の積分要素,比例要素の両
方のゲインを高低切換可能とし、サージングセンサーが
動作した時に両要素共に低ゲイン側を自動選択するよう
にした場合には、切換前においても、切換後においても
比例要素がある分だけ自由度が高いので各状態でより好
適な設定が可能になる。但し、比例要素の場合は、過渡
時に切換えが行われると、出力側が飛ぶ可能性があるの
でこの点を配慮して切換えを行う。
【0077】サージングセンサーとしては幾つかのロジ
ックが考えられるが、あまり複雑にするのは好ましくな
い。そこで、速度検出信号と出力調整信号の合流点より
下流側で前記流量制御手段の変位を含むガバナの状態量
から簡単に演算できて、サージングの大小との相関を確
認できる所定の指標を予めシミュレーション等によって
見つけておく。その上で、この指標の値を刻々のガバナ
状態量から計算して過大サージングを予測/検出する方
法が考えられる。なお、指標を計算するには速度検出信
号と出力調整信号の総合効果が問題になるので、両信号
の合流点より下流側のガバナ状態量をデータとして取り
込む。
【0078】なお、サージングセンサー用の指標を算出
するためのガバナ状態量としては、定常時にゼロまたは
それに近い値に復帰する状態量を選ぶとよい。ガバナが
ある信号によって加振されている時を考えると、サージ
ング(サージタンクの水位変動)に関係するのは、いず
れのガバナ状態量についても変化幅で、絶対値ではない
からである。
【0079】ガバナの状態量自身は定常時にはゼロまた
はそれに近い値に復帰しないとしても、微分等所定の演
算を加えて定常時にはゼロまたはそれに近い値に復帰す
る状態量に変換した上で指標算出に使うのは上述した点
を配慮していることによる。又、サージングセンサーを
適用する場合において、指標の算出のために、刻々の状
態量の瞬時値だけでなく、それ以前の状態量の経歴も反
映されるように、積分演算または記憶演算も含むと効果
的である。同じ水量制御手段の変位、例えば、80%開
度から60%開度への変位、を考えても、サージングの
固有振動の1周期前にも100%開度から80%開度へ
の変位があった場合には、前の変位によるサージングと
今回の変位によるサージングが重なってサージングの変
動幅は約2倍になる。また別の例で、サージングの固有
振動の1/2周期前に100%開度から80%開度への
水量制御手段の変位があった場合には、前の変位による
サージングと今回の変位によるサージングが打ち消し合
ってサージングの変動幅はほとんどゼロになる。
【0080】別の例では、サージングの固有振動の1周
期前に水量制御手段が60%開度から80%開度へ変位
していた場合には、前の変位によるサージングと今回の
変位によるサージングが打ち消し合ってサージングの変
動幅はごく小さくなる。別の例では、サージングの固有
振動の1/2周期前に水量制御手段が60%開度から8
0%開度へ変位していた場合には、前の変位によるサー
ジングと今回の変位によるサージングが重なってサージ
ング変動幅は約2倍になる。このように過去の水量制御
手段の変位幅,方向,タイミングによってサージングの
増幅,減衰が大きく変わるため、前述のようにサージン
グセンサーの指標演算ロジックに過去のデータを反映す
る積分要素等の記憶要素を入れた方が精度を上げること
ができる。しかし、精度を追求し過ぎると指標演算ロジ
ックが難しくなり過ぎるので、実際的には、ある程度の
妥協が必要である。妥協の例としては、水量制御手段に
与えられる変位の方向は無視して変動幅の絶対値と頻度
だけに応答するタイプの指標演算ロジックを作ってもよ
い。しかし、この場合、サージングセンサーが働かない
方向に精度が低下するのは危険であるので、無用でも働
く方向に設計するべきである。前述の例の変動幅の絶対
値と頻度だけに応答するタイプの指標演算ロジックには
このような配慮が働いている。結果としてサージングセ
ンサーは必要以上に動作することになり、その度にガバ
ナゲインが下げられ、周波数応答特性が低下するがこの
程度は一般に充分許容できるものである。
【0081】なお、指標の演算に使う積分または記憶演
算の効果は、入力信号のサージング加振レベルが低下す
れば時間と共に減衰していくようにする。この理由は、
過去の水量制御手段の変位によるサージングは時間の経
過と共に減衰していくためである。
【0082】バンドフィルター回路を配置するのは出力
調整信号回路に限られるものではなく、最終的に前記流
量制御手段を制御する印加信号であれば必要に応じて同
様に配置する。一般に負荷制限装置と呼ばれている一種
の水量制御手段の開度上限制限装置が遠方信号で繰り返
し操作される構成の場合には、負荷制限装置も対象にな
る。
【0083】図10は本発明の別の実施例でAFC(系
統の自動周波数制御)運転中のサージング抑制制御に関
するものである。13Aはガバナの出力調整部の演算
部、13Bはガバナ13Aの前段に設けられた加算部、
13Cは加算部13Bの前段に設けられ、電力系統全体
のAFCを司る遠方の制御所から当プラントに指令され
るAFC指令信号Pafc が入力されるバンドフィルター
であり、後述するバンドフィルター13Cの出力と発電
機の発電機電力Pg との偏差がとられる。50は回転速
度Nを入力するガバナ、100はガバナ50に接続され
たポンプ水車、200はポンプ水車100に接続された
発電機を示す。Pxはバンドフィルター13Cの出力、
g は発電機の実際の発電機電力を示す。
【0084】本実施例の説明に入る前に、プラント側で
行う従来のAFC対応制御の説明を行う。ガバナ50の
は図1に示す構成からサージングセンサー20,比例要
素4b,積分要素5b,サージングセンサー接点19
a,19bを削除した構成となっている。AFC指令信
号Pafc は、直接加算部13Bに入力され、これに発電
機電力Pg が追従するよう発電機電力Pg が加算部13
Bに負帰還され、演算部13AはAFC指令信号Pafc
と発電機電力Pg の偏差が小さくなり、最終的にゼロに
なるように積分等の演算を行い、ガイドベーン開度設定
信号Ya を出力する。ガイドベーン開度設定信号Ya
追従してガイドベーン開度Yが制御され、ポンプ水車1
00の出力pt が制御され、機械的出力pt は発電機2
00によって発電機電力Pg に変換されて電力系統に送
り出される。なお、ガバナ50にはガイドベーン開度設
定信号Ya の他に回転速度信号Nも入力されるが、回転
速度信号Nについてはサージング異常加振の心配はない
と想定する。
【0085】当然ながらAFCの観点では、AFC指令
信号Pafc から発電機電力Pg までのプラント側の周波
数応答特性が高い方が望ましい。他方、プラント側には
周波数応答特性を上げ過ぎるとガイドベーン開度設定信
号Ya の振れが大きくなり過ぎてサージングが過大にな
るという問題がある。そこで、本実施例では、特にバン
ドフィルター13Cの作用について説明する。図10に
示すバンドフィルター13Cの伝達関数は[(1+T2
S)*(1+T3・S)]/[(1+T1・S)*(1+T4
・S)]である。ここで、T1からT4は所定の時定数、
Sはラプラス演算子である。このバンドフィルターの周
波数応答特性をボード線図で示すと図11となる。図1
1で、横軸は周波数(HZ)、縦軸はゲイン(db)を
示す。周波数1/(2πT1)はサージング共振周波数よ
り低くなるように時定数T1 を設定し、また、周波数1
/(2πT4)はサージング共振周波数より高くなるよう
に時定数T4を設定する。より好ましくは、周波数1/
(2πT2)はサージング共振周波数より低くなるように
時定数T2を設定し、また、周波数1/(2πT3)はサー
ジング共振周波数より高くなるように時定数T3 を設定
する。このように時定数T1,T2,T3,T4を設定すれ
ば、サージング共振周波数近辺の周波数帯域においてA
FC指令信号Pafc に対するバンドフィルターPx の出
力の周波数応答ゲインを何十分の一にすることができ
る。なお、サージング異常加振はサージング共振周波数
1点のみで起こるわけではなく上下にある程度の危険バ
ンドを想定しておく必要がある。このためにはT1
2,T3,T4をサージング共振周波数から所定の余裕を
付けて離す必要がある。他方、このバンドフィルター1
3Cを付ければ、1/(2πT1)より低い周波数や1/
(2πT4)より高い周波数帯域ではサージング異常加振
問題には囚われずに存分に高いゲインを設定してもよい
ことになる。すなわち、この帯域ではAFC応答性能を
随意に上げることができる。図8に示す例では線形化モ
デルのバンドフィルターが示されているが、AFC応答
とサージング抑制が両立できるものであれば線形,非線
形いかなるタイプでも構わない。
【0086】以上述べたように、本実施例では、サージ
タンクのサージング固有振動数に近い周波数帯域の入力
に対しては、その他の周波数帯域の入力に比べてガバナ
の周波数応答特性が低くなるように設定したバンドフィ
ルター回路を備えているので、サージングセンサーのよ
うな特別の判断要素を必要としない。過大サージングを
引き起こす可能性のあるような信号が与えられても、ガ
バナの出口である水量制御手段は過度には振られないよ
うバンドフィルターの低い方の周波数応答特性を設定す
るだけでよい。
【0087】バンドフィルター回路をガバナの出力調整
信号の印加回路上で、速度検出信号との合流点より手前
に配置しておけば、バンドフィルターを出力調整信号だ
けに作用させ、ガバナ本来の速度制御動作には支障を与
えない様にすることができる。この場合には、過大サー
ジングを引き起こす可能性のある信号を出力調整信号に
限定できる場合を想定している。このような、出力調整
信号の例としては、遠方制御で与えられるAFC(自動
周波数制御)信号等がある。
【0088】バンドフィルターの具体例として、伝達関
数で[(1+T2・S)*(1+T3・S)]/[(1+
1・S)*(1+T4・S)](但し、T1からT4は所
定の時定数、Sはラプラス演算子)を例として挙げたが
もちろんこれに限定されるものではない。ある周波数帯
域fa から周波数帯域fb の間で通常より低い周波数応
答特性をもたせるようにして、サージングの固有振動数
がこの周波数帯域fと周波数帯域fの間に入るよ
うにしたものであれば何でもよい。
【0089】上述において、水量制御手段は水車やポン
プ水車の発電モードではガイドベーンに相当するが、可
変速揚水発電機械の揚水運転モードを考えれば、ポンプ
のガイドベーンというより回転速度制御手段に相当す
る。揚水量は回転速度を変えれば大きく変化するがガイ
ドベーン開度を変えてもあまり変わらないためである。
又、上記説明では、サージングセンサーとバンドフィル
ターの2つの実施例を単独使用するケースにつき説明し
たが、両者を併用することも可能である。
【0090】なお、本実施例は、次のように構成するこ
とを特徴とすることができる。すなわち、前記ガバナの
演算部がゲインを高低切換可能な比例要素を備えるもの
であって、前記サージングセンサーが動作した時には積
分要素ゲイン及び比例要素ゲインを低ゲインに自動選択
する請求項3に記載のサージタンクを備えた水力プラン
トの水力機械。
【0091】前記バンドフィルター回路をガバナの出力
調整信号の印加回路上で、速度検出信号との合流点より
手前に配置した請求項4に記載のサージタンクを備えた
水力プラントの水力機械。
【0092】前記サージングセンサーが、速度検出信号
と出力調整信号の合流点より下流側で前記流量制御手段
の変位を含むガバナの状態量のうちの特定の状態量を連
続監視し、サージングの大小との相関を予め確認してあ
る所定の指標の刻々の値を前記特定状態量から算出し、
この刻々の指標の大小で過大サージングを検出するもの
である請求項2に記載のサージタンクを備えた水力プラ
ントの水力機械。
【0093】前記特定の状態量が、定常時にはゼロまた
はそれに近い値に復帰するガバナの状態量、又は定常時
にはゼロまたはそれに近い値に復帰しないとしても、微
分等所定の演算を加えて定常時にはゼロまたはそれに近
い値に復帰する状態量に変換した上で特定の状態量の代
わりに使用するものであるサージタンクを備えた水力プ
ラントの水力機械。
【0094】前記演算部が、前記指標の算出に刻々の状
態量の値の他それ以前の状態量の経歴も反映するための
積分演算または記憶演算を含むものであるサージタンク
を備えた水力プラントの水力機械。
【0095】前記積分または記憶演算を、入力信号のサ
ージング加振レベルが低下した時に時間と共に減衰して
いくようにしたサージタンクを備えた水力プラントの水
力機械。
【0096】前記バンドフィルター回路を最終的に前記
流量制御手段を制御するガバナへの特定の印加信号の回
路上に配置した請求項4に記載のサージタンクを備えた
水力プラントの水力機械。
【0097】前記バンドフィルターの伝達関数を[(1
+T2・S)*(1+T3・S)]/[(1+T1・S)
*(1+T4・S)]または同等としサージング抑制の
対象となるサージタンクの固有振動数が1/(2π・T
1)と1/(2π・T4)の間に入るようにT1,T2を
調整した請求項4に記載のサージタンクを備えた水力プ
ラントの水力機械。
【0098】次に、特に電力系統の自動周波数制御(A
FC)等の系統制御に関係して遠方から発電機または電
動機の電力の設定値を高速で調整する場合に好適な水力
機械に関する実施例について説明する。
【0099】図2に示すように構成された水路構成で
は、図2に示す水力プラントの水撃を含む水車の挙動、
すなわち、ガバナの出力であるガイドベーン(水量制御
手段)開度Yを入力とするガバナの制御対象の線形化モ
デルは図3に示す100Fをg/(0.2・V20+L3
30)・Sに置き換えたようになる。ここで、各変数は
無次元化したものであり、数15で表すことができる。
【0100】ガイドベーン(水量制御手段)の開度変化
y→加算部100A→水撃の模擬項100B→(pu
単位の水撃を(m)単位に変換する係数100D→加算
部100E→管路内水柱の加速を模擬する項100F→
水車流量変化qと一巡する回路の総合伝達関数は時定数
は(L2・V20+L3.V30)/(2g・H0)であり、ゲ
イン1.0 の一次遅れ要素となる。ガイドベーン(水量
制御手段)開度変化y→加算部100A→水撃の模擬項
100B→有効落差変化hの総合伝達関数は時定数が
(L2・V20+L3・V30)/(2g・H0)でゲイン2.
0の不完全微分要素となる。このことから、ガイドベー
ン(水量制御手段)開度変化yから水車出力変化pt
での総合伝達関数は(1−Tw・S)/(1+0.5Tw
S)となる。ここで、Tw=(L2・V20+L3.V30
/(g・H0)としている。
【0101】すなわち、ガイドベーンを開けた時には水
車出力pt は最終的にはy相当値に増加するものの一時
的には逆に減少し、反対にガイドベーンを閉じた時には
水車出力pt は最終的にはy相当値に減少するものの一
時的には逆に増加することを示している。この水車出力
t の一時的な逆応答の影響は回転速度Nの変化にも現
れ、これがまた回転速度ガバナの入力側へと復元されて
くる。従って、水力プラントが大電力系統から分離さ
れ、実質的に単独送電状態になった場合や、完全に負荷
遮断された後の無負荷運転の場合には、この逆応答があ
っても回転速度制御系の安定性は、回転速度ガバナだけ
で確保する必要があり、後述する回転速度ガバナの比例
ゲインP,積分ゲインIを充分小さく設定する必要があ
る。又、回転速度ガバナの微分ゲインDはある程度まで
は大きくした方が回転速度制御系の安定化に貢献する
が、それを超えると逆に安定性を損なう関係になってい
る。
【0102】図12は、本実施例のガバナの制御ブロッ
ク図である。図12において、50は回転速度を入力す
るガバナ(電力制御部あるいは電力制御手段ともい
う)、100はガバナ50に接続されたポンプ水車、2
00はポンプ水車100に接続された発電機または電動
機を示す。
【0103】回転速度ガバナ50のブロック線図は図1
5に示すようになっている。1はポンプ水車100の回
転速度Nを検出する速度検出部、Xn は速度検出部1で
検出された速度検出信号、2は回転速度の基準値を設定
する速度調整部、x0 は速度調整部2から出力される設
定値、3は設定値x0 と速度検出信号Xn と後述する速
度調定率設定部からの復元信号Xσとの加算器、Xε
加算器3で算出された信号ですぐ下流のPID演算回路
の入力信号、20は上流側サージタンク用サージングセ
ンサー、4は比例演算要素(P要素)、5は積分演算要
素(I要素)、6は微分演算要素(D要素)を示し、そ
の出力信号Zd ,比例演算要素の出力信号Zp ,積分演
算要素の出力信号Zi は、加算部7で加算される。この
比例演算要素の出力信号Zp ,積分演算要素の出力信号
i ,微分演算要素の出力信号Zd を総合した信号は、
ガイドベーン開度指令Zであり、このガイドベーン開度
指令Zに実際のガイドベーン開度Yがフィードバックさ
れ、加算部8で偏差がとられる。この偏差信号Y
ε1 は、リミッター9を介して油圧サーボモータ10に
入力される。リミッター9のθR はガイドベーンの開速
度をθR・Cyに、θL は閉速度をθl・Cy に制限する
ためのものであり、リミッター9の出力信号Yε2は偏
差信号Yε1 を上記開閉速度制限を考慮して制限した信
号となっている。油圧サーボモータ10は一種の油圧増
幅器になっており、伝達関数では一次遅れ要素を構成
し、ガイドベーン開度指令zを増幅して充分なストロー
クと操作力をもつガイドベーン開度Yに変換し、水量制
御手段であるガイドベーンを直接操作する。
【0104】実際のガイドベーン開度Yはフィードバッ
クされ、加算部11で、出力調整部13からのガイドベ
ーン開度設定信号Ya との偏差が与えられる。もし実際
のガイドベーン開度Yがガイドベーン開度設定信号Ya
に達していない場合、すなわち、Y<Ya の場合にはそ
の差がゼロになるまでガバナのPID演算部に開信号σ
(Ya−Y)が送り続けられるので、やがてはY=Ya
なりその段階で落ち着く。開信号σは速度調定率設定部
12で設定され、復元信号Xσを出力する。この開信号
σは速度検出信号Xn の変化に対するガイドベーン開度
Yの変化の割合を決めるゲインで、一般には電力系統の
中でのプラントの役割を考慮して一度決めたら変更され
ないものである。
【0105】ところで図15に示すガバナには外部から
与えられる信号として、発電機に与えられる外部負荷L
と出力調整部13から与えられるガイドベーン開度設定
信号Ya の2つの信号がある。外部負荷Lは、その変動
によって回転速度Xn の速度変動を生じさせる。一方、
出力調整部13に入力される信号の代表的なものがAF
C(自動周波数制御)であり、AFCの場合には専ら電
力系統の周波数制御の観点で出される指令であるので、
サージング異常加振等の水力プラントの特殊事情は感知
せずに出され、図示してない遠方の中央制御所から遠隔
操作で与えられる。
【0106】図12に示すAFC制御系の構成は次のよ
うになっている。出力調整部13がAFCによって遠方
から制御されるが、ここでは、電力の手動操作のための
上げ,下げ指令も受けられる例を示す。Pafc はAFC
指令信号でAFCが要求する電力値を、Pg は実際の発
電機電力を示し、13Cは両者の偏差、すなわち電力偏
差Pε1を求める比較部を示す。電力偏差Pε1は加算部
13Bで手動操作のための上げ,下げ指令と加算され合
成入力信号Pε1 となり、電力偏差積分器13A(積分演
算手段ともいう)に入力される。ここで、電力偏差積分
器13Aは純粋の積分としているが近似的に積分とみな
せるものも含んでいる。例えば、電力偏差Pε1 に応じ
て+1/OFF/−1パルス列を作りこれを積分演算す
るタイプとし、パルス列のOFF時間を電力偏差Pε1
に応じて調整するものもある。電力偏差積分器13Aと
並列に比例要素13D(並列演算器ともいう)が設けられ
ており、この比例要素13Dの出力を電力偏差積分器1
3Aの出力に加算部13Eで加算する。このようにする
ことにより、電力偏差Pε1 の演算がI演算からPI演
算となり応答性が大きく改善できる。加算部13Eの出
力Ya は図8で詳細に説明した回転速度ガバナ50に入
力される。なお、ポンプ水車100は入力であるガイド
ベーン開度Yに応じて水車出力Pt を発生させる。20
0は電力系統と連繋運転中の同期発電機を示し、ここで
機械的な水車出力Pt が電気的出力すなわち発電機の発
電機電力Pg 変換される。
【0107】電力偏差積分器13Aは手動操作のための
上げパルス信号がある間はガイドベーン開度設定信号Y
aを毎秒Kの速度で上げ続け、下げパルス信号があ
る間はガイドベーン開度設定信号Ya を毎秒Kの速
度でYa を下げ続ける。パルス信号がなくなればガイド
ベーン開度設定信号Ya の上げ下げを停止する。ところ
で速度Kが大き過ぎるとガイドベーン開度設定信号
aが速く走行し過ぎて所望の値に正確に止められず手
動調整が難しくなるので、速度Kは一般に1(pu)
/50sec〜1(pu)/60secに設定される。
【0108】回転速度N,ガイドベーン開度設定信号Y
a いずれの変化によっても水車の上流側,下流側いずれ
のサージタンクも異常加振される可能性があるが、ここ
では上流側サージタンクを中心に説明する。
【0109】図16,図17は図15において出力調整
部13の出力、すなわちガイドベーン開度設定信号Ya
を正弦波状に変化させた場合の上流側サージタンクの応
答例を示すボード線図である。図16は回転速度ガバナ
の比例ゲインKp ,積分ゲインKi を比較的大きく設定
したケース、図17は回転速度ガバナの比例ゲイン
p,積分ゲインKiを比較的小さく設定したケースを示
す。この場合、上流側サージタンクの固有振動数は0.
00474Hzで、いずれのケースも0.00474Hz付近
で上流側サージタンク水位hfuの応答ゲインが急激に立
ち上がっている。なお、上流側サージタンクの固有振動
数における応答ゲインのピーク値は、図16の方が2
4.4(db)で、図17の7.6(db)より高く、この差
16.8(db)は6.9 倍に相当する。図16の設定で
も上サージタンクがオーバーフローしなければ問題ない
が、オーバーフローの可能性があればピーク値を下げる
ため対策が必要である。すなわち、入力であるガイドベ
ーン開度設定信号Ya の振幅を制限するか、比例ゲイン
p 、積分ゲインKi を下げる対策が必要になる。
【0110】以下の説明では、上流側サージタンクの固
有振動数における応答ゲインのピーク値の許容最大値は
図17に示す7.6(db)相当と仮定する。図18は、
比例要素13Dを設けない場合のAFCの周波数応答特
性、すなわち、AFC指令Pafc に対する水車出力Pt
の応答性能を示す。なお、水車出力Pt と発電機電力P
g の間にはほとんど遅れがないので、AFC指令Pafc
に対する発電機電力Pgの応答性能としてもよい。な
お、この場合回転速度ガバナの比例ゲインKp,積分ゲ
インKi は図17に示すものと同じに設定している。こ
のように比例要素13Dを設けない場合には、約0.0
1Hz 以上ではAFC応答ゲインは1/100以下に
大きく低下してしまい、約0.01Hz 以上でAFC応
答は期待できない。
【0111】図20は本実施例のAFC運転時の電力の
周波数応答特性を示す。並列回路として比例要素13D
を設け、ゲインKを1.0にしているので、図18に
示す周波数応答特性に対し、特に0.01Hz 以上の周
波数帯における特性が大きく改善されることが解る。
【0112】図19は本実施例のAFC運転時の上流側
サージタンク水位応答のボード線図である。条件は図2
0に示すものと同じである。図19から分かるように、
AFC応答の改善に伴って上流側サージタンクのサージン
グも拡大している。
【0113】以上説明したように、電力指令に対する一
巡制御系の電力偏差積分演算器と並列に電力偏差積分演
算器と同じ電力偏差信号を入力とする並列演算手段を設
け、電力偏差がある過渡時に限って電力偏差積分演算器
の応答を高めるような信号を出力させるようにしている
ので、定常的には(遠方からの電力指令=実際の電力)の
関係を保持しながらも過渡的には応答の遅れを的確に補
償することができる。特に、電力偏差積分演算器の出力
と並列演算手段の出力を加算した和信号を回転速度制御
系の回転速度ガバナ演算部に一種のバイアス信号として
印加する構成の場合には、並列演算手段が回転速度制御
ループの外にあるので、回転速度制御系の一巡伝達関数
に影響を与えることなく遠方からの電力指令に対する電
力応答を自由に改善することができる。また、電力偏差
積分演算器が電力の手動操作のための上げ,下げ指令も
受けられるように充分低いゲインになっていたとして
も、電力偏差積分演算器をバイパスして遠方からの電力
指令に対する電力応答ゲインを自由に上げることができ
る。
【0114】又、並列演算手段として比例演算を設ける
ことによって電力偏差積分器だけの単純なI演算からP
+I(比例+積分)演算に置き換えることができ、周波
数応答で言えばゲイン低下や位相遅れの補償が自在にで
きるようになり、遠方からの電力指令に対する電力制御
系の応答をより的確に適正化することが可能になる。
又、並列演算手段に比例演算+微分演算を設けることに
よって電力偏差積分器だけの単純なI演算からP+I+
D(比例+積分+微分)演算に置き換えることができ、
遠方からの電力指令に対する電力制御の周波数応答特性
を一層的確に改善することができ適正化が可能になる。
回転速度ガバナ演算部より下流の回転速度制御系側の特
殊事情、例えば回転速度ガバナのPIDゲインを自由に
上げることはできない等の事情にも拘わらずより的確に
適正化が可能になる。
【0115】図13は本発明の他の実施例のAFC制御
系を示す。本実施例は図12に示す実施例と同様に構成
されているが、本実施例では、AFC入力の受信部にバ
ンドフィルター13Fを設けている。なお、図14は図
13に示すバンドフィルター部の周波数応答特性を示
す。すなわち、バンドフィルター13F単独の周波数応
答特性を示すボード線図である。このバンドフィルター
では、応答ゲインが1/(2πT1)(Hz)から低下し始
め、1/(2πT2)(Hz)〜1/(2πT3)(Hz)の範囲
で最低になり、1/(2πT3)(Hz)から再び上昇を始
め、1/(2πT4)(Hz)で元のレベルに戻るように
なっている。そして、上流側サージタンクの固有振動数
0.00474(Hz)が1/(2πT2)(Hz)〜1/(2π
3)(Hz)の周波数帯に入るように時定数T2 ,T3
を設定している。なお、上流側サージタンクの固有振動
数がバンドフィルターの低ゲイン部に正確に入らなくて
も1/(2πT1)(Hz)から1/(2πT4)(Hz)の
間に入るようにしておけば効率的ではないが効果が期待
できる。
【0116】図22は本実施例のAFC運転時の電力応
答のボード線図である。条件は0.00474Hzが1/(2
πT2)(Hz)〜1/(2πT3)(Hz)の周波数帯に入
るように設定したバンドフィルターを設けたこととK
を1/10 に下げた以外は、図20に示すものと変
わらない設定としている。この結果、0.00474Hz 前後
の電力応答が若干低下したが0.1Hz以上では全く影
響が出ていない。
【0117】図19は本実施例のAFC運転時の上サー
ジタンク水位応答のボード線図で、条件は図20のもの
と同じ設定である。上流側サージタンクの固有振動数0.
00474Hzにおけるピーク値は0.89(db)で、図1
9に示す24.2(db)より大幅に低下している。ま
た、上述したオーバーフロー判定レベルである7.6(d
b)を大幅に下回っている。上述した例では、バンドフ
ィルターとして線形モデル[(1+T2・S)*(1+T3
・S)]/[(1+T1・S)*(1+T4・S)]を例にし
て説明したが、最終的にサージング共振周波数近傍でサ
ージングの周波数応答ゲインを下げる効果を発揮するも
のであれば何でもよい。
【0118】又、上流側,下流側サージタンクの水位変
動だけを共振のポテンシャルとして説明してきたが、回
転速度ガバナ自身及びその制御対象について同様の共振
ポテンシャルがある場合にはその個々について同様の対
策を講じればよい。
【0119】以上説明したように、本実施例によれば、
遠方指令受信部にバンドフィルターを設けているので、
たとえ前述の電力制御応答対策の結果、サージタンクの
サージング共振等特定の周波数帯での異常加振の可能性
が出てきてもその特定周波数帯だけの電力制御応答を的
確に下げ問題を回避することができ、その他の危険性の
ない周波数帯では電力制御応答を一杯に上げることが可
能になる。
【0120】遠方電力制御用にP+I+D演算を採用
し、遠方指令受信部にバンドフィルターを採用した場合
は、遠方電力制御用にP+I演算を採用し、遠方指令受
信部にバンドフィルターを採用した場合より、より木目
細かな調整ができる。
【0121】なお、バンドフィルターの伝達関数を
[(1+T2・S)*(1+T3・S)]/[(1+T1・S)
*(1+T4・S)](但し、T1 からT4 は所定の時定
数、Sはラプラス演算子でT1 <T2 <T3 <T4 )と
すれば、周波数応答特性を1/(2π・T1)から1/(2
π・T4)の周波数帯に限って下げることができるのでサ
ージング共振周波数等制御対象側の共振が予想される特
定の周波数帯がこの範囲に入るようにT1,T4を調整す
れば共振を的確に防止できる。
【0122】又、このフィルターの周波数応答特性は1
/(2π・T2)と1/(2π・T3)の間で底になるので共
振が予想される特定の周波数帯がこの間に入るようにT
2 ,T3 を調整すれば一層好ましい。
【0123】バンドフィルターは上記した例に限定され
るものではなく、ある周波数帯域fa からfb の間で通
常より低い周波数応答特性をもたせるようにし、共振が
予想される特定の周波数帯がこの周波数fa と周波数f
b の間に入るようにしたものであればよい。
【0124】なお、本実施例では、次のように構成する
ことを特徴とすることができる。すなわち、ランナーを
有する水車と、該ランナーに機械的に直結され電力系統
と電気的に接続された発電機または電動機と、該発電機
の出力または該電動機の入力を制御する電力制御手段
と、電力の上げ,下げ操作指令を手動で与える手動操作
指令手段と、遠方からの電力の要求値を与える遠方指令
手段と、実際の電力値を復元する電力復元手段と、該遠
方指令手段からの要求値と電力復元手段からの実際の電
力値の偏差を求める偏差導出手段と、該偏差導出手段か
ら出力される電力偏差信号と前記手動操作指令手段から
の指令に応じて目視確認に好適な速度で走行し該電力制
御手段に対して電力の上げ,下げ指令信号とを入力する
積分または同等の演算を行う積分形電力指令演算手段を
備え、遠方からの電力制御の場合には、前記偏差導出手
段→積分形電力指令演算手段→水車および発電機/電動
機→電力復元手段の負帰還回路が構成されるようにした
ものであって、前記電力偏差信号を入力し、前記積分形
電力指令演算手段と並列に配置されその出力で前記積分
形電力指令演算手段の出力を補正するようにした並列演
算手段を設け、該並列演算手段は電力偏差がある過渡時
には該積分形電力指令演算手段の応答を高めるような信
号を出力し、定常状態に戻ればその出力をゼロまたは略
ゼロに戻すようにしたことを特徴とする水力機械。
【0125】前記並列演算器が比例演算要素と微分演算
要素を直列に接続されたものである請求項5から8のい
ずれかに記載の水力機械。
【0126】前記演算部が目視確認に好適な速度で走行
し手動で与える電力の上げ,下げ指令信号を入力するも
のである請求項5から8のいずれかに記載の水力機械。
【0127】前記演算器が前記比較部から出力される電
力偏差信号がある間は、前記電力制御部に対し前記該電
力偏差を減少させるように作用する出力信号を増やし続
けるものである請求項5から8のいずれかに記載の水力
機械。
【0128】前記比較部もしくは偏差導出手段の前段に
設けられ、前記遠方からの電力の要求値を入力するバン
ドフィルターを備えたものであって、該バンドフィルタ
ーの応答ゲインが特定の周波数帯の変動入力に対しては
他の周波数帯の変動入力に比べて低下するものである請
求項5から8のいずれかに記載の水力機械。
【0129】前記演算器の特性が電力偏差がある過渡時
には応答を高めるような信号を出力し、定常状態に戻れ
ばその出力をゼロまたは略ゼロに戻すものである請求項
5、又は8に記載の水力機械。
【0130】T1,T2,T3,T4を所定の時定数でT1
<T2<T3<T4、Sをラプラス演算子とした時、前記
バンドフィルターの伝達関数を[(1+T2・S)*(1+
3・S)]/[(1+T1・S)*(1+T4・S)]または
同等とし、共振の可能性のある特定の周波数帯が1/
(2π・T1)と1/(2π・T4)の間に入るようにT1
4を設定した水力機械。
【0131】
【発明の効果】本発明によれば、サージングの異常加振
を自動的に防止できるという保証ができるので、安全を
損なうことなく、上下流水路に設置されるサージタンク
の容量(具体的には横断面積や高さ)を大幅に低減し土
木コスト低減を計ることができる。しかも、サージング
センサー方式にしても、バンドフィルター方式にしても
ガバナを大幅に変更することなく達成でき、このための
コストアップは効果から比べれば無視できるものであ
る。バンドフィルターを活用することによってサージン
グと矛盾しない形でAFC等のガバナ応答特性を大幅に
改善することができる。
【0132】又、回転速度制御系と遠方指令に応答する
電力制御系の両方が最終的には同一の操作端を制御する
ケースでも、遠方指令に応答する電力制御系の応答性を
回転速度制御系の応答性能、特に安定性を損なうことな
く合理的に適正化でき、特に応答ゲインを大幅に改善す
ることができる。
【0133】また、電力の手動操作のための上げ,下げ
指令も電力偏差積分演算器で受ける場合のように電力偏
差積分のゲインが充分高くできない場合でも、遠方指令
に対する電力制御系の応答性を自在に上げることができ
る。
【0134】また、上下流水路のサージタンクのサージ
ング等特定の周波数帯での異常加振現象を合理的に防止
することができ、その他の周波数帯では一巡制御系の応
答性を最大限に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるガバナのブロック線図
である。
【図2】上下水路の両方にサージタンクを有する水力プ
ラントの水路構成図である。
【図3】ガバナの制御対象の線形化モデルを示すブロッ
ク図である。
【図4】図3に示す上サージングタンクのブロック図で
ある。
【図5】図3に示す下サージングタンクのブロック図で
ある。
【図6】サージングセンサーの一例を示す構成図であ
る。
【図7】サージングセンサーの動作を説明する図であ
る。
【図8】サージングセンサーの動作を説明する図であ
る。
【図9】サージングセンサーの検出精度の評価の解析例
を示す図である。
【図10】バンドフィルターの例を示すブロック図であ
る。
【図11】図10に示すバンドフィルターの周波数応答
特性を示すボード線図である。
【図12】本発明の他の実施例のAFC制御系の構成を
示す図である。
【図13】本発明の他の実施例のAFC制御系の構成を
示す図である。
【図14】図13のバンドフィルター部の周波数応答特
性を示す図である。
【図15】回転速度ガバナのブロック線図である。
【図16】図15においてYa を正弦波状に変化させた
場合のサージタンクの応答を示すボード線図である。
【図17】図15においてYa を正弦波状に変化させた
場合のサージタンクの応答を示すボード線図である。
【図18】図15の並列回路を設けない場合のAFCの
周波数応答特性を示す図である。
【図19】図12の実施例のAFC運転時の上サージタ
ンク水位応答のボード線図である。
【図20】図12の実施例のAFC運転時の電力の周波
数応答特性を示す図である。
【図21】図13の実施例のAFC運転時の上サージタ
ンク水位応答のボード線図である。
【図22】図13の実施例のAFC運転時の電力応答の
ボード線図である。
【符号の説明】
1…速度検出部、2…速度調整部、3…加算器、4,4
a,4b…比例演算要素、5,5a,5b…積分演算要
素、6…微分演算要素、7,8,11…加算部、9…リ
ミッタ−、10…油圧サーボモータ、12…速度調定率
設定部、13…出力調整部、14…ブロック線図、16
…算出部、17a,17b…演算部、20…サージング
センサ、100…ポンプ水車、101…導水路、102
…水圧鉄管、103…吸出管、104…放水路、105
…上池、106…上流側サージタンク、107…下流側
サージタンク、108…下池。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯本 伸司 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所火力・水力事業部内 (72)発明者 石黒 光宏 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 羽田 尚之 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東 京電力株式会社内 Fターム(参考) 3H073 AA12 BB06 BB33 CC05 CC20 CD03 CD06 CE09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可動の流量制御手段と前記流量制御手段を
    制御するガバナと、上流または下流管路にサージタンク
    を備えた水力プラントに設置される水力機械であって、
    前記ガバナが前記サージタンクの固有振動数近辺の周波
    数帯域の入力信号に対しては低い周波数応答特性を与え
    るための低応答設定と、その他の周波数領域の入力信号
    に対してはより高い周波数応答特性を与えるための高応
    答設定を具備したことを特徴とするサージタンクを備え
    た水力プラントの水力機械。
  2. 【請求項2】過大なサージングまたはその前兆現象を検
    出するサージングセンサーを備え、前記サージングセン
    サーが動作したことを条件に前記ガバナが低応答設定を
    自動選択するものである請求項1に記載のサージタンク
    を備えた水力プラントの水力機械。
  3. 【請求項3】可動の流量制御手段と前記流量制御手段を
    制御するガバナと、上流または下流管路にサージタンク
    と、過大なサージングまたはその前兆現象を検出するサ
    ージングセンサーを備えた水力プラントに設置される水
    力機械であって、前記ガバナの演算部が積分要素ゲイン
    を高低切換可能に構成され、前記サージングセンサーが
    動作した時には低ゲイン側を自動選択することを特徴と
    するサージタンクを備えた水力プラントの水力機械。
  4. 【請求項4】可動の流量制御手段と前記流量制御手段を
    制御するガバナと、上流または下流管路にサージタンク
    と、前記ガバナの周波数応答特性を設定したバンドフィ
    ルター回路を備えた水力プラントに設置される水力機械
    であって、前記バンドフィルター回路の周波数応答特性
    が前記サージタンクのサージング固有振動数に近い周波
    数帯域の入力に対しては、その他の周波数帯域の入力に
    比べて前記ガバナの周波数応答特性が低くなるように設
    定されていることを特徴とするサージタンクを備えた水
    力プラントの水力機械。
  5. 【請求項5】電力系統と電気的に接続された発電機また
    は電動機と、該発電機または電動機と接続された水車
    と、前記発電機または電動機の発電電力を制御する電力
    制御部と、遠方からの電力の要求値と実際の電力値との
    電力偏差を求める比較部と、該比較部で求められた電力
    偏差を入力し前記電力制御部へガイドベーン開度設定信
    号を出力する演算器を備え、該演算器を電力偏差積分器
    及び該電力偏差積分器に並列に設けられた比例要素を具
    備する並列演算器で構成したことを特徴とする水力機
    械。
  6. 【請求項6】電力系統と電気的に接続された発電機と、
    該発電機と接続された水車と、前記発電機の発電電力を
    制御する回転速度ガバナと、遠方からの電力の要求値と
    実際の電力値との電力偏差を求める比較部と、該比較部
    で求められた電力偏差を入力し前記回転速度ガバナへガ
    イドベーン開度設定信号を出力する演算器を備え、該演
    算器を電力偏差積分器及び該電力偏差積分器に並列に設
    けられた比例要素を具備する並列演算器で構成したこと
    を特徴とする水力機械。
  7. 【請求項7】電力系統と電気的に接続された発電機また
    は電動機と、該発電機または電動機と接続された水車
    と、前記発電機または電動機の発電電力を制御する電力
    制御部と、遠方からの電力の要求値と実際の電力値との
    電力偏差を求める比較部と、該比較部で求められた電力
    偏差を入力し前記電力制御部へガイドベーン開度設定信
    号を出力する演算器を備え、該演算器が積分演算器また
    は同等の演算器と並列に配置され該積分演算手段または
    同等の演算手段の出力を補正する並列演算器を具備する
    ものであって、電力偏差がある過渡時には積分演算器ま
    たは同等の演算器の応答を高めるような信号を出力し、
    定常状態に戻ればその出力をゼロまたは略ゼロに戻す特
    性を有することを特徴とする水力機械。
  8. 【請求項8】ランナーを有する水車と、該ランナーに機
    械的に直結され電力系統と電気的に接続された発電機ま
    たは電動機、前記水車の回転速度を検出する速度検出器
    と、該速度検出器の出力信号に応答して前記水車の機械
    的出力/入力と発電機出力/電動機入力の偏差を最小に
    するように作用する回転速度ガバナと、前記速度検出器
    →回転速度ガバナ→水車及び該発電機/電動機→回転速
    度→速度検出器よりなる回転速度制御ループの総合伝達
    関数は変えずにバイアスを変える形で前記水車の出力/
    入力の設定値を調整する電力調整手段と、遠方からの電
    力の要求値を与える遠方指令手段と、実際の電力値を復
    元する電力復元手段と、前記遠方指令手段からの要求値
    と電力復元手段からの実際の電力値の偏差を求める偏差
    導出手段と、該偏差導出手段で求められた偏差を入力し
    積分演算手段または同等の演算手段と並列に配置されそ
    の出力で前記積分演算手段または同等の演算手段の出力
    を補正するようにした並列演算手段とを備え、電力偏差
    がある過渡時には前記積分演算手段または同等の演算手
    段の応答を高めるような信号を出力し、定常状態に戻れ
    ばその出力をゼロまたは略ゼロに戻すように構成したこ
    とを特徴とする水力機械。
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