JP2001038766A - 射出成形型のフィルム又はシート保持装置 - Google Patents

射出成形型のフィルム又はシート保持装置

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JP2001038766A
JP2001038766A JP11215578A JP21557899A JP2001038766A JP 2001038766 A JP2001038766 A JP 2001038766A JP 11215578 A JP11215578 A JP 11215578A JP 21557899 A JP21557899 A JP 21557899A JP 2001038766 A JP2001038766 A JP 2001038766A
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正明 鈴村
Kotaro Oami
浩太郎 大網
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形型の成形面内の規定位置に保護フィ
ルムを確実に保持することが可能な射出成形型のフィル
ム保持装置を提供する。 【解決手段】 合せ面を垂直方向とする合せ型からなる
射出成形用金型1,2の成形面2a内にインナフィルム
11を保持するためのフィルム保持装置において、金型
2の成形面2aの上縁部に、インナフィルム11の上縁
側を掛止可能な2本の位置決めピン6と、その位置決め
ピン6を上下から挟むように配設されたフィルム吸着用
の第1と第2のバキューム開口部7,8とを設ける。そ
して、上側のバキューム開口部7を成形面2aの上縁に
沿って連続して延びる線状に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパネル状の
樹脂成形品を射出成形する場合において、該樹脂成形品
の表面保護や加飾等を目的とし、該樹脂成形品の表面に
配置されるフィルム又はシートを射出成形型内にセット
するためのフィルム又はシート保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば自動車の車両用窓において
は、車両の軽量化に対応するために、採光部材としてガ
ラスよりも比重の小さい樹脂を用いたものが知られてい
る。しかし、樹脂窓の場合、その表面に物理的接触によ
って傷が付き易いという問題を有することから、一般に
は、樹脂窓の品質保護の観点から耐摩耗性の高いハード
コート付き保護フィルムによって被覆している。
【0003】そして、上記のような樹脂窓は、インモー
ルド成形によって成形される。即ち、図7に示すよう
に、垂直方向を合せ面とする2つの合せ型の射出成形用
金型101内の片方の成形面(両面の場合もある)に、
予め成形すべき樹脂窓の形状に対応したサイズに切断さ
れた保護フィルム103をセットした状態でキャビティ
ー102内に溶融樹脂を射出することによって成形と同
時に保護フィルム103で被覆する。この場合、図示の
如く樹脂窓の表面形状と同形状又はそれよりもやや小さ
い形状の保護フィルム103で被覆するには、該保護フ
ィルム103をキャビティー102内で保持することに
なる。
【0004】そこで、従来は保護フィルム103を射出
成型用の金型101の成形面に保持する手段として、図
8に示すように、成形面の上縁側(樹脂充填口側)に設
けた2本の位置決めピン104によって保護フィルム1
03の上縁部を掛止した状態で、その位置決めピン10
4と横並びに設けた複数のバキューム孔105によって
吸着して保持していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、位置決めピ
ン104に対応する保護フィルム103の小孔について
は、保護フィルム103の温度による伸縮や製造上の誤
差、作業上の効率を考慮し、位置決めピン104に対
し、大き目に余裕を持たせて形成されている。このた
め、保護フィルム103の上端部を位置決めピン104
に掛止後、バキューム孔105を通して吸着したとき
に、図9の(A)に示すように、保護フィルム103の
成形面に対する浮き103aが発生することがあった。
また、図9の(B)に示すように、バキューム孔105
から外れた部位については、保護フィルム103の吸着
後型締め前、あるいは溶融樹脂の射出前に、位置決めピ
ン104からの剥れ103bが発生する可能性があっ
た。そして、このような浮き103aや剥がれ103b
が発生したときは、射出成形時に溶融樹脂が浮き103
aや剥がれ103bの部分から表面側に回り込み、不良
品が発生するという問題があった。
【0006】本発明は、上述した従来の問題点に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、射出成
形型の成形面の規定位置にフィルム又はシートを確実に
保持することが可能な射出成形型のフィルム又はシート
保持装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明に係る射出成形型のフィルム又はシート保持
装置は、特許請求の範囲の各請求項に記載の通りの構成
を備えた。従って、請求項1の発明によれば、位置決め
ピンにて位置決めされたフィルム又はシートの上縁部を
線状のバキューム開口部によって射出成形型の成形面に
吸着することでフィルム又はシートの上縁部全体にわた
って浮きのない状態に保持できる。また、位置決めピン
を挟んでフィルム又はシートの上下両側をバキューム開
口部によって吸着することによってフィルム又はシート
の位置決めピンに対する掛止状態を維持し、射出成形時
の溶融樹脂の流動あるいは充填圧力によるフィルム又は
シートの位置ずれを防止できる。かくして、フィルム又
はシートを成形面内の規定位置に確実に保持することが
可能となり、高品質のフィルム又はシート付き樹脂成形
品を得ることができる。
【0008】また、請求項2の発明によれば、線状のバ
キューム開口部が、上下方向に位置ずれをもって形成さ
れた複数から構成されており、しかもそれら線状のバキ
ューム開口部は互いにその端部が上下方向で重なり合う
構成としたことによって、例えば樹脂成形品の形状規制
のために、フィルム又はシートの上縁部形状が上下方向
に段差部分を有するような場合であっても、請求項1の
発明の場合と同様に、フィルム又はシート上縁部の浮き
を防止し、かつ位置決めピンに対する掛止状態を維持す
ることができる。
【0009】ところで、射出成形型内の成形面にセット
されたフィルム又はシートは、キャビティー内に充填さ
れる溶融樹脂の充填圧力及び流動の影響を受けて位置ず
れを生じ易いものであるが、請求項3の発明のように、
位置決めピン及びバキューム開口部によるフィルム又は
シートの保持を溶融樹脂の充填口側で行う構成とすれ
ば、樹脂流れの上流側での保持であることから、射出充
填される溶融樹脂でフィルム又はシートが捲れるとか皺
が入るとかいったトラブルの発生を未然に防止すること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。先ず第1の実施の形態を図1〜図
3に基づいて説明する。本実施の形態は、自動車のリヤ
ウインド又はサンルーフに用いられる樹脂窓の表面を保
護するための保護フィルム、特に車内側表面を保護する
ために設けられるインナフィルムを対象としたものであ
る。図1は本実施の形態に係る射出成形型のフィルム保
持装置を示す縦断面図であり、図2は同じくフィルム保
持装置とそれに保持されるインナフィルムを示す正面図
である。図3は成形品としての樹脂窓を示す断面図であ
る。
【0011】図1に示すように、インモールド成形に用
いられる射出成形用金型1,2は、合せ面を垂直方向と
する合せ型から構成されており、上部側には射出成型機
5から射出される溶融樹脂をキャビティー3内に充填す
るための樹脂充填口4を備えている。両金型1,2のキ
ャビティー3は、正面視で略矩形状をなし、かつ断面視
で湾曲状をなすパネル状に形成されており、そして、そ
のキャビティー3の凸曲面側の成形面(成形品では凹曲
面側)を有する金型2の上側、即ち、樹脂充填口4側に
インモールド成形すべきインナフィルム11をセット保
持するためのフィルム保持装置が設けられている。
【0012】フィルム保持装置は、金型2内の成形面2
aの上縁部に横並びに設けられた左右2本の位置決めピ
ン6と、第1のバキューム開口部7と、第2のバキュー
ム開口部8とから構成されている。なお、位置決めピン
6は、2本以上とすることも可能である。図2に示すよ
うに、2本の位置決めピン6は、成形面2aの上縁部側
にその縁に沿う方向に所定の間隔を置いて立設されてい
る。この位置決めピン6は、成形品としての樹脂窓にピ
ンホールとして残留するため、その突出高さは極力小さ
く設定することが望ましい。そして、第1と第2のバキ
ューム開口部7,8は、位置決めピン6を上下から挟む
ように配設されている。即ち、第1のバキューム開口部
7は、成形面2aの上縁付近に沿ってその略全長にわた
って連続する一直線状に設けられ、一方、第2のバキュ
ーム開口部8は、各位置決めピン6の下方に必要最小範
囲の短い領域で線状に形成されている。上記のように設
定された第1及び第2のバキューム開口部7,8は、金
型2内に貫通された連通孔9を通して真空発生装置10
に接続されている。
【0013】本実施の形態に係る射出成形金型用のフィ
ルムセット装置は上記のように構成したものである。樹
脂窓のインモールド成形に用いられるインナフィルム1
1は、例えばポリカーボネート樹脂製又はアクリル樹脂
製等の透明な樹脂から形成されている。そして、射出成
形工程の前段階で、既存のハードコート処理により硬化
層(ハードコート層)が形成されたインナフィルム11
は、成形すべき樹脂窓の外形形状よりやや小さ目の所定
形状に切断されるが、その切断工程において位置決めピ
ン6に掛止可能な2個の小孔11aが同時に形成され
る。なお、位置決めピン6を2本以上としたときは、同
数の小孔1aを設ける。
【0014】このようにして準備されたインナフィルム
11は、金型1,2の離型状態において、金型2の位置
決めピン6に小孔11aを通して掛止され、成形面2a
の規定位置に位置決めされる。その後、図示省略のバル
ブの開放操作によって真空発生装置10の吸引力が、バ
キューム開口部7,8を通してインナフィルム11に作
用し、インナフィルム11の上縁側が成形面2aに吸着
される。かくして、インナフィルム11は金型2内の成
形面2aに保持されてセットされる。その後は、金型
1,2を型合わせした状態で、射出成型機5から成形す
べき樹脂パネルの基材である溶融樹脂が樹脂充填口4を
通して金型1,2のキャビティー3内に射出充填され、
このときの溶融樹脂のもつ熱によってインナフィルム1
1が融着される。
【0015】かくして、図3に示すように、樹脂パネル
12の表面をインナフィルム11によって被覆された樹
脂窓13が成形される。この場合、本実施の形態では、
インナフィルム11を樹脂パネル12の外形形状よりも
やや小さ目に設定してあるため、射出成形時において、
溶融樹脂がインナフィルム11の端面まで回り込む。こ
のため、成形後のインナフィルム11はその外周縁が樹
脂パネル12によって包み込まれた状態となり、剥れを
防止する上で効果がある。
【0016】さて、本実施の形態によれば、インナフィ
ルム11を金型2内の成形面2aに保持する手段とし
て、インナフィルム11の上縁部を一直線状に形成した
第1のバキューム開口部7によって成形面2aに吸着す
る構成としたので、その上縁部の全幅にわたってインナ
フィルム11の“浮き”が発生しない。また、位置決め
ピン6を挟んでその上下部分を第1と第2のバキューム
開口部7,8を通して吸着するので、位置決めピン6か
らインナフィルム11が外れる虞もない。従って、位置
決めピン6によるインナフィルム11の位置ずれ防止機
能が射出充填中継続されることから、溶融樹脂の充填圧
力によるフィルム11の位置ずれが確実に防止される。
このようなことから、樹脂パネル12の射出成形時にお
いて、インナフィルム11は成形面2aの規定位置に終
始保持されることによって、高品質の樹脂窓13を得る
ことができる。
【0017】また、インナフィルム11の保持を、金型
1,2の樹脂充填口4側のみで行う構成であるから、キ
ャビティー3内に充填される溶融樹脂の流れによってイ
ンナフィルム11は成形面2aに押付けられつつ引き延
ばされる。このため、その全域に関して皺のない良好な
状態となる。
【0018】次に、本発明の第2の実施の形態を図4及
び図5に基づいて説明する。樹脂パネルの周縁部におけ
る特定部位に突起部を持つ樹脂窓を成形する場合には、
インナフィルムはその突起物を回避するようにな形状に
形成されることになる。図5には、樹脂パネル12の上
縁部の略中央部に突起物としての、例えば金具取付用の
ボス部12aを設ける場合が示してあり、インナフィル
ム11の上縁部は、そのボス部12aを避けるべく中央
部が内側に凹まされた段差状に形成されている。従っ
て、このときは形状上の規制によってバキューム開口部
を連続する一直線状に設定できないことになる。第2の
実施の形態は、このような場合に有効なフィルム保持装
置を提供するものである。
【0019】そこで、第2の実施の形態では、図4に示
すように、金型2の成形面2aの上縁部において、左右
2本の位置決めピン6を横並びに設け、また各位置決め
ピン6をそれぞれ上下から挟むように上縁左右に第1と
第2のバキューム開口部7,8を設け、さらに中央部に
は下方に位置をずらして補助用としての第3のバキュー
ム開口部14を設けることによってフィルム保持装置を
構成している。なお、図4において、成形面2aの上縁
部の略中央部には、ボス部12aを成形するためのボス
成形部2bが設けられている。そして、各バキューム開
口部7,8,14は、それぞれが上縁に沿う線状に形成
されるとともに、第3のバキューム開口部14の両端部
が第1及び第2のバキューム開口部7,8の端部に対し
てそれぞれ上下方向で重なり合うように配置された構成
とされている。このような重なり合いLを設定したこと
によって、インナフィルム11の上縁部に図示の如き段
差がある場合であっても、インナフィルム11の上縁部
を実質的に連続する形で成形面2aに吸着することがで
きる。
【0020】従って、第2の実施の形態によれば、上縁
部に段差部分を有するようなインナフィルム11であっ
ても、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、その
上縁部の全幅にわたってインナフィルム11の“浮き”
を防止し、また、位置決めピン6に対する掛止を確保し
て位置ずれが生じない状態で保持できるため、高品質の
樹脂窓13を得ることができる。
【0021】なお、バキューム開口部の設定について
は、図6に示すような形態に変更することが可能であ
る。図6の変更例は、位置決めピン6の下側に位置する
第2のバキューム開口部8を上縁全体にわたって一直線
状に延びる線状バキューム開口部とし、上側に位置する
第1のバキューム開口部7を部分的な線状バキューム開
口部としたものである。要するに、第1の実施の形態に
おける第1と第2のバキューム開口部7,8を位置替え
したものであるが、この場合であっても第1の実施の形
態と同等な作用効果を得ることができる。
【0022】なお、前記の第1の実施の形態で説明した
第2のバキューム開口部8、第2の実施の形態で説明し
た第1又は第2のバキューム開口部7,8のいずれか一
方、図6の変更例で説明したに示した第1のバキューム
開口部7は、それぞれ線状に変えて孔に変更しても差し
支えない。また、前記の実施の形態では、自動車用のリ
ヤウインドやサンルーフといった樹脂窓の車内側表面を
被覆する保護フィルムとして、インナフィルム11の場
合で説明したが、車外面側表面を被覆するアウタフィル
ムに適用しても何ら差し支えない。また、前記実施の形
態では、保護フィルムの場合で説明したが、本発明を適
用するフィルム又はシートの目的は表面保護に限定され
るものではなく、例えば、模様や文字を印刷したフィル
ム又はシートに適用しても差し支えない。要するに、本
発明は、射出成形型の成形面にフィルム又はシートを保
持するような場合であれば適用できるものである。ま
た、成形品としては樹脂パネルに限定されるものではな
い。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
射出成形型の成形面の規定位置にフィルム又はシートを
確実に保持することができるため、高品質のフィルム又
はシート付き樹脂成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る射出成形型のフィルム
保持装置を示す縦断面図である。
【図2】フィルム保持装置とそれに保持されるインナフ
ィルムを示す正面図である。
【図3】成形品としての樹脂窓を示す断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係るフィルム保持装置とそ
れに保持されるインナフィルムを示す正面図である。
【図5】成形品としての樹脂窓を示す正面図である。
【図6】変更例の説明図である。
【図7】射出成形型を用いてのインモールド成形を説明
する縦断面図である。
【図8】従来のフィルム保持装置の説明図である。
【図9】フィルムの保持不良説明図であり、(A)はフ
ィルム浮きを示し、(B)はフィルム剥れを示す。
【符号の説明】
1,2…金型 2a…成形面 3…キャビティー 4…樹脂充填口 6…位置決めピン 7…第1のバキューム開口部 8…第2のバキューム開口部 11…インナフィルム
フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AD08 AG03 AH25 CA11 CB01 CB12 CQ01 CQ06 4F206 AD08 AG03 AH25 JA07 JB12 JF05 JF23 JQ81

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合せ面を垂直方向とする合せ型からなる
    射出成形型の成形面にフィルム又はシートを保持するた
    めのフィルム又はシート保持装置であって、 前記射出成形型の成形面上縁部に、前記フィルム又はシ
    ートの上縁側を掛止可能な少なくとも2本の位置決めピ
    ンと、その位置決めピンを上下から挟むように配設され
    たフィルム又はシート吸着用の上下のバキューム開口部
    とを備えており、前記バキューム開口部のうちの少なく
    とも一方のバキューム開口部が前記成形面上縁に沿って
    連続して延びる線状に形成されている射出成形型のフィ
    ルム又はシート保持装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフィルム又はシート保持
    装置であって、線状に形成されるバキューム開口部が、
    上下方向に位置ずれをもって形成された複数から構成さ
    れており、しかもそれら線状のバキューム開口部は互い
    にその端部が上下方向で重なり合うことで実質的に成形
    面上縁に沿う方向に連続されている射出成形型のフィル
    ム又はシート保持装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の射出成形型のフィ
    ルム又はシート保持装置であって、合せ面の上側に溶融
    樹脂の充填口を備える射出成形型に適用された射出成形
    型のフィルム又はシート保持装置。
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