JP2001035492A - リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法 - Google Patents
リチウム二次電池用正極活物質及びその製造方法Info
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Abstract
性及び安全性が高いリチウム二次電池用正極活物質及び
その製造方法の提供。 【解決手段】LiNixCoyMzO2(Mは、Al、M
n、Ti、Mg又はCr、0.95≦x+y+z≦1.0
5、0.5≦x≦0.9、0.05≦y≦0.3、0≦
z≦0.2)を有し、X線回折の、2θ=65±1°の
回折ピークの半値幅が、0.13〜0.20°のリチウ
ム含有複合酸化物。
Description
酸化物からなる新規なリチウム二次電池用正極活物質及
びその製造方法に関する。
化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を
有する非水電解液二次電池、特にリチウム二次電池に対
する期待が高まっている。リチウム二次電池用の正極活
物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8C
o0.2O2、LiMn2O4、LiMnO2などのリチウム
と遷移金属の複合酸化物が知られている。LiNi0.8
Co0.2O2のようにコバルトやニッケルを固溶させた岩
塩層状複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電
池は、180〜190mAh/gと比較的高い容量密度
を達成できるとともに2.7〜4.3Vといった高い電
圧域で良好な可逆性を示す。
して、LiNi0.8Co0.2O2に代表されるリチウム−
ニッケル−コバルト複合酸化物の採用が始まっている。
これらを正極活物質に用い、リチウムを吸蔵、放出する
ことができる炭素材料等を負極活物質として使用するこ
とによる、高電圧、高エネルギー密度のリチウム二次電
池の商品化が進められている。
バルトやニッケルを固溶させた岩塩層状複合酸化物の製
造方法として、ニッケル−コバルト共沈物をリチウム化
合物と混合し、静置炉で空気中、920℃で3時間加熱
する方法(特開平1−129364号公報)、ニッケル
−コバルト共沈物をリチウム化合物と混合し、ロータリ
ーキルンを用いて330℃/分の速度で昇温し、予備焼
成を行なった後、降温し、更に静置炉で酸素雰囲気下に
て750℃で4〜20時間本焼成を行う方法(特開平1
1−111290号公報)、ニッケル−コバルト共沈物
をリチウム化合物と混合し、静置炉にて500℃で予備
焼成を5時間行なった後、降温し、更に静置炉にて酸素
雰囲気下で720℃で10時間本焼成を行う方法(特開
平10−214624号公報)等が提案されている。
成または本焼成を行う方法では、固体粉末をロータリー
キルン内で流動させるためにロータリーキルンの摩耗に
より、内壁材料であるアルミナ等の不純物の混入が避け
られないため、その焼成物を活物質に用いたリチウム二
次電池の充放電サイクル耐久性が乏しい問題や、ロータ
リーキルンのアルミナ等の内壁材料の高温劣化等の問題
がある。
こなう場合、生産性向上のために1回に多量に焼成する
ことを要する工業規模生産では固体粉末の昇温および降
温時のロット内の温度バラツキが避けられないため、特
性の良いリチウム含有複合酸化物が製造し難い問題や、
温度バラツキを少なくするために、昇温又は降温速度を
小さくする必要がある。その結果、昇温および降温時間
が長くなり、著しく生産性が低下する問題がある。
共沈水酸化物と水酸化リチウムとを混合し熱処理して得
られるX線回折における(003)面に基づく回折ピー
クの半値幅が0.01〜0.1°のリチウム含有複合酸
化物が、高容量かつ熱安定性に優れるとの提案もある
(特開平9−129231号公報)。しかし、かかる公
報記載の製造方法で得られ、且つ(003)面に基づく
回折ピークの半値幅が上記範囲を有するリチウム含有複
合酸化物であっても、容量、放電平均電圧、充放電サイ
クル耐久性および安全性は未だ不満足なものであった。
方法で製造されたリチウム含有複合酸化物は、リチウム
二次電池用の正極活物質としては、電池の初期容量、初
期放電平均電圧、充放電サイクル耐久性、安全性および
生産性において更なる改良を必要としていた。
均電圧が高く、充放電サイクル耐久性に優れ、安全性の
高い、リチウム含有複合酸化物からなる新規なリチウム
二次電池用正極活物質及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
式で表され、且つ、CuKα線を使用した粉末X線回折
の、2θ=65±1°における、(110)面に基づく
回折ピークの半値幅が特定値を有するリチウム含有複合
酸化物が、リチウム二次電池の正極活物質として、高い
初期電池容量、高い放電平均電圧、優れた充放電サイク
ル耐久性および高い安全性のいずれも満足することを見
出した。
CoyMzO2(但し、Mは、Al、Mn、Ti、Mg及
びCrから選ばれる少なくとも1種の元素、0.95≦
x+y+z≦1.05、0.5≦x≦0.9、0.05≦
y≦0.3、0≦z≦0.2)で表され、且つ、CuK
α線を使用した粉末X線回折の、2θ=65±1°にお
ける(110)面に基づく回折ピークの半値幅が、0.
13〜0.20°であるリチウム含有複合酸化物からな
ることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質にあ
る。
る。
池の正極活物質を構成するリチウム含有複合酸化物は、
一般式、LiNixCoyMzO2で表される。ここにおい
て、Mは、Al、Mn、Ti、Cr及びMgから選ばれ
る少なくとも一種の元素である。x、y、zは、それぞ
れ、0.95≦x+y+z≦1.05、0.5≦x≦0.
9、0.05≦y≦0.3、0≦z≦0.2を満足する
ように選ばれる。
場合でも、電池の初期容量は高く、充放電サイクル安定
性も高い。zが0でなく、MがAlの場合は、Mの無添
加(z=0)に較べ、電池の充放電サイクル安定性が更
に高く、急速充放電における容量低下が少なく、発熱温
度が高く、安全性が更に高い。zが0でなく、MがMn
の場合、Mの無添加に較べ、電池の発熱温度が高く、安
全性が更に高い。更に、zが0でなく、MがTi、Cr
又はMgの場合、それらの無添加に較べ、電池の充放電
サイクル安定性が高く、放電電圧も高い。特に、本発明
において、Mは、Al及びMnの少なくとも一種の元素
が好ましい。
0.5未満であると、電池の初期容量が低下する。0.
9を超えると、電池の熱安定性が低下したり、充放電サ
イクル耐久性が低下する。好ましくは、0.60≦x≦
0.85である。yが0.05未満であると、電池の熱
安定性が低下したり、充放電サイクル耐久性が低下する
ので好ましくない。0.3を超えると、電池の初期容量
が低下する。好ましくは、0.10≦y≦0.20であ
る。また、zは、添加元素にもよるが、好ましくは、
0.005≦z≦0.10である。
含有複合酸化物は、CuKα線を使用した粉末X線回折
において、2θ=65±1°における、(110)面に
基づく回折ピークの半値幅が、0.13〜0.20°を
有する。(110)面に基づく回折ピークの半値幅はリ
チウム含有複合酸化物の結晶子径を反映し、半値幅が大
きいほど結晶子径は小さくなる関係にあると思われる。
(110)面に基づく回折ピークの半値幅が0.13°
未満であると、正極活物質として用いた電池の充放電サ
イクル耐久性、初期容量、平均放電電圧、あるいは安全
性が低下する。また、(110)面に基づく回折ピーク
の半値幅が0.20°を超えると、電池の初期容量、安
全性が低下する。好ましい半値幅は、0.14〜0.1
7°である。
定のX線回折ピークの半値幅を有するリチウム含有複合
酸化物は、以下のようにして製造するのが好ましい。即
ち、ニッケルとコバルトを含む塩若しくは共沈物、又は
ニッケルとコバルトと元素Mを含む塩若しくは共沈物
と、リチウム化合物との混合物、又はリチウム化合物と
元素Mを含む化合物との混合物を、430〜530℃で
前段焼成し、次いで、700〜850℃で後段焼成す
る。上記において、リチウム複合酸化物に元素Mが含ま
れない場合(z=0のとき)には、ニッケルとコバルト
を含む塩若しくは共沈物とリチウム化合物との混合物が
焼成される。
共沈物、又はニッケルとコバルトと元素Mを含む塩若し
くは共沈物では、ニッケルとコバルト、そして元素Mが
含まれる場合は、ニッケルとコバルトと元素Mとが均一
に分布しているのが好ましい。また、ニッケルとコバル
トを含む塩及びニッケルとコバルトと元素Mを含む塩で
は、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、錯塩などが好ましく用い
られる。
は共沈物、又はニッケルとコバルトと元素Mを含む塩若
しくは共沈物は、好ましくは、以下の方法により製造さ
れる。例えば、塩化ニッケル、塩化コバルト、及び元素
Mを含む場合には、元素Mのそれぞれの塩化物を炭酸ガ
スを飽和させた水溶液に溶解せしめ、炭酸水素ナトリウ
ム溶液を加えて共沈させて、乾燥させる方法、上記と同
じニッケル、コバルト、及び元素Mを含む場合には、元
素Mのそれぞれの塩化物を含む水溶液にアルカリを添加
して共沈させて乾燥させる方法、ニッケル、コバルト及
び、必要に応じて、元素Mを含むアンミン錯体混合水溶
液を1〜5気圧の圧力で100〜150℃に加熱させ、
乾燥する方法が採用される。
に含まれる場合で、ニッケルとコバルトと元素Mを含む
塩若しくは共沈物を使用しないときは、ニッケルとコバ
ルトを含む塩若しくは共沈物と、元素Mの化合物を含む
水溶液とを混合し、更にリチウム化合物を混合し、乾燥
する方法が好ましく採用される。また、ニッケルとコバ
ルトと元素Mを含む塩若しくは共沈物を使用するときで
も、更に元素Mの化合物を含む水溶液と混合して元素M
を補充してもよい。ニッケル、コバルト及び必要に応じ
て含まれる元素Mを含む塩若しくは共沈物に対して混合
されるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸
リチウム、酸化リチウム等が好ましく使用される。
応じて元素Mを含む塩若しくは共沈物とリチウム化合物
との混合物は、次いで焼成される。焼成は、上記それぞ
れの特定の温度範囲での前段焼成と、後段焼成とで行う
ことが必要である。前段と後段の焼成は、それぞれ2段
以上の複数であってもよい。上記の前段と後段との2段
焼成の代わりに、いずれかの1段焼成を行うと、得られ
たリチウム含有複合酸化物の正極活物質としての特性、
具体的には、電池の初期容量、充放電サイクル耐久性、
安全性、平均放電電圧等が低下する。2段焼成にあって
も、前段焼成の温度が430℃未満、又は530℃を超
えたり、後段焼成の温度が700℃未満、又は850℃
を越えた場合には、上記と同様に得られたリチウム含有
複合酸化物の正極活物質としての特性、即ち、初期容
量、充放電サイクル耐久性、安全性、平均放電電圧、急
速充放電特性等が低下する。
度における保持時間が、0.3〜3時間であるのが好ま
しく、特には0.5〜2時間が適切である。また、前段
焼成における降温速度(焼成温度から200℃まで炉の
温度が降下する速度)は、200〜600℃/時が好ま
しく、特には、300〜500℃/時が適切である。前
段焼成時間が0.3時間未満であるとニッケル、コバル
トを主体とする粉末とリチウム化合物との反応が不十分
であり、得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質
として用いたリチウム二次電池の初期容量が低下するの
で好ましくない。一方、焼成時間が3時間を超えると、
電池の生産性が低下するので好ましくない。前段焼成で
は、その昇温速度がほとんど影響を及ぼさないのに対し
て、この降温速度が200℃/時未満であるとリチウム
含有複合酸化物の結晶径が大きくなり好ましくない。一
方、降温速度が600℃/時を超えると、大規模生産に
おいては急速冷却設備を必要とするので設備費、ランニ
ングコストが高くなるので好ましくない。更に、本発明
で、後段焼成は、上記焼成温度での保持時間が1〜4時
間であるのが好ましく、特には、1〜2.5時間が適切
である。また、後段焼成における降温速度(焼成温度か
ら200℃まで炉の温度が降下する速度)は、100〜
500℃/時が好ましく、特には、200〜400℃/
時が適切である。上記焼成時間が1時間未満であるとニ
ッケル、コバルトを主体とする粉末とリチウム化合物と
のリチウムを含む層状構造への転化反応が不十分である
ので好ましくない。一方、上記焼成時間が4時間を超え
た場合、結晶が成長する結果、得られたリチウム含有複
合酸化物の正極活物質としての性能が低下し、またリチ
ウム含有複合酸化物の生産性が低下するので好ましくな
い。後段焼成でも、その昇温速度がほとんど影響を及ぼ
さないのに対して、この降温速度が100℃/時未満で
あるとリチウム含有複合酸化物の結晶径が大きくる。一
方、降温速度が300℃/時以上を超えると、大規模生
産においては急速冷却設備を必要とするので設備費、ラ
ンニングコストが高くなるので好ましくない。
ガス中で行うことが好ましく、前段焼成での酸素濃度
は、特に問題にされないが、大気中で行うのが適切であ
る。一方、後段焼成は、酸素濃度の高い酸素含有ガス中
で行うのが好ましい。後段焼成の酸素濃度は、19〜1
00体積%が好ましく、特には25〜50体積%が適切
である。かかる後段焼成での酸素濃度が低いと得られた
リチウム含有複合酸化物の正極活物質としての性能が低
下するので好ましくない。
規模で実施する手段として、ロータリーキルン、トンネ
ル炉、ローラーハースキルン等が挙げられるが、ロータ
リーキルンはキルン内壁の摩耗によるその構成材料の製
品への混入問題やキルン内壁の耐久性が乏しく、また急
速焼成の場合には出口での粉塵処理問題があるので好ま
しくない。トンネル炉は工業規模で多量の粉体を処理す
る場合には温度分布を均一にし難い結果、得られたリチ
ウム含有複合酸化物の正極活物質としての性能が劣るの
で好ましくない。
らなる鞘箱に焼成すべき粉末を充填し、連続的に鞘箱を
トンネル状の炉に投入して回転ローラー上を鞘箱が移動
することにより連続焼成する装置である。ローラーハー
スキルンは、急速な昇温あるいは急速な降温において
も、鞘箱内の温度分布を均一にできるので得られたリチ
ウム含有複合酸化の正極活物質としての特性が特に優
れ、かつ生産性が高いので好ましい。これは温度分布が
均一であるために平均結晶子径を制御できるためであ
る。前段焼成及び後段焼成は、いずれもローラーハース
キルンで実施することが好適であるが、そのいずれか一
方、好ましくは、後段焼成をローラーハースキルンで実
施することが適切である。
化物の正極活物質とする正極は、好ましくは、次のよう
にして製造される。即ち、上記リチウム含有複合酸化物
の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチェンブラ
ック等のカーボン系導電材と結合材を混合することによ
り正極合剤が形成される。
の溶媒又は分散媒とからなるスラリーまたは混練物を、
アルミニウム箔、ステンレス箔等の正極集電体に塗布及
び/又は、担持せしめて正極板とする。結合材には、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂
等が用いられる。セパレータには多孔質ポリエチレン、
多孔質ポリプロピレンフィルム等が使用される。
物質とするリチウム二次電池に使用される電解質溶液の
溶媒としては炭酸エステルが好ましい。炭酸エステル
は、環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステル
としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネ
ート(以下、ECという)等が例示される。鎖状炭酸エ
ステルとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート(以下、DECという)、エチルメチルカーボネ
ート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピ
ルカーボネート等が例示される。
又は2種以上を混合して使用できる。また、他の溶媒と
混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によ
っては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用す
ると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良で
きる場合がある。また、これらの有機溶媒にフッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えば、
「カイナー」アトケム社商品名)、特開平10−294
131号公報に開示されたフッ化ビニリデン−パーフル
オロ(プロピルビニルエーテル)共重合体を添加し、後
記する溶質を加えることによりゲルポリマー電解質とし
ても良い。
質としては、ClO4 -、CF3SO3 -、BF4 -、P
F6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3CO2 -、(CF3SO
2)2N-等をアニオンとするリチウム塩のいずれか1種
以上を使用することが好ましい。上記の電解質溶液また
はポリマー電解質は、リチウム塩からなる電解質を前記
溶媒または溶媒含有ポリマーに0.2〜2.0モル/リ
ットルの濃度で添加するのが好ましい。この範囲を逸脱
すると、イオン伝導度が低下し、電解質溶液の電気伝導
度が低下する。特に好ましくは0.5〜1.5モル/リ
ットルが選定される。
物質は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であ
る。これらの負極活物質を形成する材料は特に限定され
ないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材
料、周期律表の14又は15族の金属を主体とした酸化
物、炭化ケイ素化合物、炭化ホウ素化合物等の炭素化合
物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン等が挙げられる。炭
素材料としては、有機物の熱分解物、人造黒鉛、天然黒
鉛、土状黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。
また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が
使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔等
が用いられる。
材料等である場合は、有機溶媒と混練してスラリーと
し、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥、又はプレ
スして製造することが好ましい。リチウム電池の形状に
は特に制約はない。シート状(いわゆるフィルム状)、
折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形等が用途に応
じて選択される。
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。な
お、例6〜例8は、本発明の比較例である。 [例1]ニッケルとコバルトのそれぞれのアンミン錯体
を混合し、これを1〜5気圧の圧力下で100〜150
℃に加熱して得られたニッケルとコバルトを含む塩(N
i:Coの原子比0.8:0.2)と水酸化リチウム1
水和物粉末とを混合し、ムライト−コージェライト系耐
火物からなる鞘箱(外寸で、長さ300mm×幅300
mm×高さ80mm)に充填した。原料粉末が充填され
た上記の鞘箱を、ローラーハースキルン(全長15m、
高さ1.8m、幅1.8m)に連続的に供給し、515
℃にて30分保持して前段焼成を行った。室温から51
5℃までの昇温速度は、100℃/時、515℃から2
00℃までの降温時間は40分(降温速度470℃/
時)であった。
合後、再度、鞘箱に前段焼成後の粉体を充填した。上記
と同じローラーハースキルンを用い、入口から出口まで
の温度分布設定と鞘箱の供給速度を変えて、鞘箱を連続
的に供給し、酸素40体積%を含む酸素−窒素気流下
で、770℃にて1.5時間保持して後段焼成を行っ
た。室温から770℃までの昇温速度は400℃/時、
770℃から200℃までの降温速度は350℃/時で
あった。
0.20O2粉末について、理学電機製RINT2100型
X線回折装置を用い、CuKαでX線回折を測定した。
このX線回折の、2θ=65±1°における、(11
0)面に基づく回折ピークの半値幅は0.148°であ
った。
チレンブラックとポリテトラフルオロエチレン粉末とを
80/16/4の重量比で混合し、トルエンを添加しつ
つ混練、成形、乾燥し、厚さ150μmの正極板を製作
した。厚さ20μmのアルミニウム箔を正極集電体と
し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレ
ンを用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用
い負極集電体に厚さ20μmのニッケル箔を使用し、電
解液には、ECとDECの1:1の混合溶媒にLiPF
6を1モルの濃度で含む溶解液を用いてステンレス製簡
易密閉セル(電池)をアルゴングローブボックス内で組立
た。
り、定電流0.2mAで4.3Vまで充電し、次いで、
定電流0.2mAにて2.5Vまで放電して初期放電容
量を求めるとともに充放電サイクル試験を20回行なっ
た。2.5〜4.3Vにおける初期放電容量は198m
Ah/gであり、初期放電平均電圧は3.777Vであ
り、20回充放電サイクル後の容量は198mAh/g
であった。また、同様にステンレス製簡易密閉セルを、
その正極面積1cm2当たり、定電流0.2mAで4.
3Vまで充電し、アルゴングローブボックス内で解体し
充電後の正極体シートを取り出しその正極板を洗浄後、
径3mmに打ち抜き、ECと共にアルミニウムカプセル
に密閉し、走査型示差熱量計にて5℃/分の速度で昇温
して発熱開始温度を測定した。その結果、発熱開始温度
は186℃であった。 [例2]ニッケルとコバルトのそれぞれのアンミン錯体
を混合し、これを1〜5気圧の圧力下で100〜150
℃に加熱させることで得られたニッケルとコバルトを含
む塩と、硝酸アルミニウム水溶液とを混合した後乾燥
し、300℃にて5時間焼成することにより粉体を得
た。該粉体と水酸化リチウム1水和物粉末を混合し、例
1と同じローラーハースキルンに、原料粉末が充填され
た鞘箱を連続的に供給し、例1と同じ条件にて前段焼成
と後段焼成を行った。
Co0.17Al0.03O2粉末についてX線回折チャートを
測定した。このX線回折において、2θ=65±1°付
近の(110)面に基づく回折ピークの半値幅は0.1
68°であった。
を用いて例1と同様にして電池性能を評価した。その結
果、2.5〜4.3Vにおける初期放電容量は188m
Ah/gであり、初期放電平均電圧は3.770Vであ
り、20回充放電サイクル後の容量は185mAh/g
であった。また、例1と同様にして、走査型示差熱量計
にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定し
た。その結果、発熱開始温度は192℃であった。 [例3]ニッケルとコバルトのそれぞれの塩化物を含む
水溶液をアルカリで共沈させた共沈物を加熱して得たニ
ッケル−コバルト共沈水酸化物と硝酸マンガン水溶液を
混合した後乾燥し、300℃にて5時間焼成することに
より粉体を得た。
合し、例1と同じローラーハースキルンに、原料粉末が
充填された鞘箱を連続的に供給し、例1と同じ条件にて
前段焼成と後段焼成を行った。得られたLiNi0.76C
o0.18Mn0.06O2粉末について、例1と同様にして、
CuKα線を使用し、X線回折を測定した。このX線回
折の、2θ=65±1°における、(110)面に基づ
く回折ピークの半値幅は0.161°であった。
末を用いて例1と同様にして電池性能を評価した。その
結果、2.5〜4.3Vにおける初期放電容量は183
mAh/gであり、初期放電平均電圧は3.767Vで
あり、20回充放電サイクル後の容量は183mAh/
gであった。また、例1と同様にして、走査型示差熱量
計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定し
た。その結果、発熱開始温度は188℃であった。 [例4]ニッケルとコバルトのそれぞれの塩化物を含む
水溶液をアルカリで共沈させた共沈物を加熱して得たニ
ッケル−コバルト共沈水酸化物と硝酸チタン水溶液を混
合した後乾燥し、300℃にて5時間焼成することによ
り粉体を得た。
合し、例1と同じローラーハースキルンに、原料粉末が
充填された鞘箱を連続的に供給し、例1と同じ条件にて
前段焼成と後段焼成を行った。得られた、LiNi0.75
Co0.22Ti0.03O2粉末について、例1と同様にし
て。CuKα線を使用し、X線回折を測定した。このX
線回折の、2θ=65±1°における、(110)面に
基づく回折ピークの半値幅は0.162°であった。
末を用いて例1と同様にして電池性能を評価した。その
結果、2.5〜4.3Vにおける初期放電容量は187
mAh/gであり、初期放電平均電圧は3.795Vで
あり、20回充放電サイクル後の容量は187mAh/
gであった。また、例1と同様にして、走査型示差熱量
計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定し
た。その結果、発熱開始温度は195℃であった。ま
た、硝酸チタンの替わりに硝酸マグネシウムあるいは硝
酸クロムをもちいたLiNi0.75Co0.22Mg0.03O2
及びLiNi0.75Co0.22Cr0.03O2についても同様
の回折ピークの半値幅が得られ、優れた電池特性が得ら
れた。 [例5]例1と同じく、ニッケルとコバルトのそれぞれ
のアンミン錯体を混合し、これを1〜5気圧の圧力下で
100〜150℃に加熱させることにより得られた塩
(Ni:Co原子比は、0.8:0.2)と水酸化リチ
ウム1水和物粉末とを混合し、ムライト−コージェライ
ト系耐火物からなる鞘箱に充填した。例1と同じローラ
ーハースキルンに、原料粉末が充填された上記鞘箱を連
続的に供給し、490℃で1時間保持して前段焼成を行
った。室温から490℃への昇温速度は100℃/時、
490℃から200℃までの降温速度400℃/時であ
った。
合後、再度、鞘箱に前段焼成後の粉体を充填した。例1
と同じローラーハースキルンを用い、入口から出口まで
の温度分布設定と鞘箱の供給速度を変えて、鞘箱を連続
的に供給し、酸素40体積%の酸素−窒素気流下で、7
90℃にて2時間保持して後段焼成を行った。室温から
790℃までの昇温速度は200℃/時とし、790℃
から200℃までの降温速度は150℃/時とした。
例1と同様にして、LiNi0.80Co0.20O2粉末につ
いて、CuKα線を使用したX線回折を測定した。この
X線回折の、2θ=65±1°における、(110)面
に基づく回折ピークの半値幅は0.142°であった。
て電池性能を例1と同様にして評価した結果、2.5〜
4.3Vにおける初期放電容量は198mAh/gであ
り、初期放電平均電圧は3.760Vであり、20回充
放電サイクル後の容量は197mAh/gであった。ま
た、例1と同様に、走査型示差熱量計にて5℃/分の速
度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、発熱
開始温度は183℃であった。 [例6]例1と同じく、ニッケルとコバルトのそれぞれ
のアンミン錯体を混合し、これを1〜5気圧の圧力下で
100〜150℃に加熱させることにより得られた塩
(Ni:Coの原子比は、0.8:0.2)と水酸化リ
チウム1水和物粉末とを混合し、ムライト−コージェラ
イト系耐火物からなる鞘箱に充填した。高さ2.8m、
幅2.8m、奥行き2.8mの静止炉に、原料粉末が充
填された上記鞘箱を積層し、515℃で18時間保持し
て前段焼成を行った。室温から515℃への昇温速度は
30℃/時、515℃から200℃までの降温時間は5
時間(降温速度63℃/時)であった。
合後、再度、鞘箱に前段焼成後の粉体を充填した。上記
と同じ静止炉を用い、鞘箱を積層し、酸素40体積%を
含む酸素−窒素気流下で、770℃にて35時間保持し
て後段焼成を行った。室温から770℃までの昇温速度
は70℃/時とし、770℃から200℃までの降温速
度は60℃/時とした。
ついて、例1と同様にして、CuKα線を使用したX線
回折を測定した。このX線回折の、2θ=65±1°に
おける、(110)面に基づく回折ピークの半値幅は
0.125°であった。
て電池性能を例1と同様にして評価した結果、2.5〜
4.3Vにおける初期放電容量は187mAh/gであ
り、初期放電平均電圧は3.730Vであり、20回充
放電サイクル後の容量は182mAh/gであった。ま
た、例1と同様に、走査型示差熱量計にて5℃/分の速
度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、発熱
開始温度は176℃であった。 [例7]ニッケルとコバルトのそれぞれのおアンミン錯
体を混合し、炭酸ガスで共沈させた共沈物を加熱して得
たニッケル−コバルト水酸化物(Ni:Coの原子比
は、0.8:0.2)と水酸化リチウム1水和物粉末と
を混合し、ムライト−コージェライト系耐火物からなる
鞘箱に充填した。例1と同じローラーハースキルンに、
原料粉末が充填された上記鞘箱を連続的に供給し、51
5℃で5時間保持して前段焼成を行った。室温から51
5℃への昇温速度は50℃/時、515℃から200℃
までの降温時間は5時間(降温速度63℃/時)であっ
た。
合後、再度、鞘箱に前段焼成後の粉体を充填した。
口から出口までの温度分布設定と鞘箱の供給速度を変え
て、前段焼成後の粉体を充填した鞘箱を連続的に供給
し、酸素40体積%の酸素−窒素気流下で、770℃に
て8時間保持して後段焼成を行った。室温から770℃
までの昇温速度は50℃/時、770℃から200℃ま
での降温速度は63℃/時であった。
Co0.20O2粉末について、CuKα線を使用したX線
回折を測定した。このX線回折の、2θ=64±1°に
おける、(110)面に基づく回折ピークの半値幅は
0.118°であった。
て電池性能を評価した結果、2.5〜4.3Vにおける
初期放電容量は182mAh/gであり、初期放電平均
電圧は3.715Vであり、20回充放電サイクル後の
容量は175mAh/gであった。また、例1と同様
に、走査型示差熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発
熱開始温度を測定した。その結果、発熱開始温度は17
9℃であった。 [例8]ニッケルとコバルトのそれぞれのアンミン錯体
を混合し、炭酸ガスで共沈させた共沈物を加熱して得た
ニッケル−コバルト水酸化物(Ni:Coの原子比は、
0.8:0.2)と水酸化リチウム1水和物粉末とを混
合し、ムライト−コージェライト系耐火物からなる鞘箱
に充填した。例1と同じローラーハースキルンに、上記
鞘箱を連続的に供給し、515℃で5時間保持して前段
焼成を行った。室温から515℃への昇温速度は50℃
/時、515℃から200℃までの降温時間は5時間
(降温速度63℃/時)であった。
合後、再度、鞘箱に前段焼成後の粉体を充填した。前段
焼成の合計時間は20時間であった。上記と同じローラ
ーハースキルンを用い入口から出口までの温度分布設定
と鞘箱の供給速度を変えて、前段焼成後の粉体を充填し
た鞘箱を連続的に供給し、酸素40体積%を含む酸素−
窒素気流下で、750℃にて1時間保持して後段焼成を
行った。室温から750℃までの昇温速度は50℃/時
とし、750℃から200℃までの降温速度は63℃/
時とした。
Co0.20O2粉末について、CuKα線を使用したX線
回折スペクトルを測定した。このX線回折の、2θ=6
5±1°における、(110)面に基づく回折ピークの
半値幅は0.215°であった。
て電池性能を評価した結果、2.5〜4.3Vにおける
初期放電容量は178mAh/gであり、初期放電平均
電圧は3.765Vであり、20回充放電サイクル後の
容量は177mAh/gであった。また、例1と同様
に、走査型示差熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発
熱開始温度を測定した。その結果、発熱開始温度は17
9℃であった。
い放電平均電圧、優れた充放電サイクル耐久性および高
い安全性をいずれも満足するリチウム二次電池の正極活
物質として使用されるリチウム含有複合酸化物、及び低
コストで、効率的なその製造方法が提供される。
Claims (5)
- 【請求項1】一般式、LiNixCoyMzO2(但し、M
は、Al、Mn、Ti、Mg及びCrから選ばれる少な
くとも1種の元素、0.95≦x+y+z≦1.05、
0.5≦x≦0.9、0.05≦y≦0.3、0≦z≦
0.2)で表され、且つ、CuKα線を使用した粉末X
線回折の、2θ=65±1°における(110)面に基
づく回折ピークの半値幅が、0.13〜0.20°であ
るリチウム含有複合酸化物からなることを特徴とするリ
チウム二次電池用正極活物質。 - 【請求項2】一般式、LiNixCoyMzO2(但し、M
は、Al、Mn、Ti、Mg及びCrから選ばれる少な
くとも1種の元素、0.95≦x+y+z≦1.05、
0.5≦x≦0.9、0.05≦y≦0.3、0≦z≦
0.2)で表され、且つ、CuKα線を使用した粉末X
線回折の、2θ=65±1°における(110)面に基
づく回折ピークの半値幅が、0.13〜0.20°であ
るリチウム含有複合酸化物からなるリチウム二次電池用
正極活物質の製造方法であって、ニッケルとコバルトを
含む塩若しくは共沈物、又はニッケルとコバルトと元素
Mを含む塩若しくは共沈物と、リチウム化合物との混合
物、又はリチウム化合物と元素Mを含む化合物との混合
物を、430〜530℃で前段焼成し、次いで、700
〜850℃で後段焼成することを特徴とするリチウム二
次電池用正極活物質の製造方法。 - 【請求項3】前段焼成の降温速度が200〜600℃/
時である請求項2記載のリチウム二次電池用正極活物質
の製造方法。 - 【請求項4】後段焼成の降温速度が100〜500℃/
時である請求項2又は3記載のリチウム二次電池用正極
活物質の製造方法。 - 【請求項5】少なくとも後段焼成が、ローラーハースキ
ルンにて行われる請求項2、3又は4記載のリチウム二
次電池用正極活物質の製造方法。
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