JP2001030074A - 溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法およびアーク溶接ワイヤ - Google Patents

溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法およびアーク溶接ワイヤ

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JP2001030074A
JP2001030074A JP20834499A JP20834499A JP2001030074A JP 2001030074 A JP2001030074 A JP 2001030074A JP 20834499 A JP20834499 A JP 20834499A JP 20834499 A JP20834499 A JP 20834499A JP 2001030074 A JP2001030074 A JP 2001030074A
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welding
welding wire
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less
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柳 平 ▲高▼木
Ryuhei Takagi
Makoto Niwa
羽 誠 丹
Hiroaki Suzuki
木 宏 明 鈴
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンダーカットなどの不具合を伴うことなく
高速での溶接が可能であり、これと同時に、スパッタの
発生量をも少なくして良好なる溶接ビードの形成が可能
であるようにする。 【解決手段】 溶接ワイヤ2が通過する溶接ワイヤ貫通
孔3Hを形成した給電チップ3と、同じく溶接ワイヤ貫
通孔4Hを形成した絶縁チップ4と、同じく溶接ワイヤ
貫通孔5Hを形成したワイヤガイドチップ5を順次結合
したアーク溶接装置1を使用し、鋼中のNb量とAl量
との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤ2を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接ワイヤを送給
しつつアーク溶接を行うに際し、高速での溶接を行った
ときでも溶接欠陥を生じがたく良好な溶接ビードの形成
が可能であるようにした溶接ワイヤを用いるアーク溶接
方法および溶接ワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶接ワイヤを送給しつつアーク溶接を行
うに際しては、例えば、図12に示すようなアーク溶接
装置が用いられる。
【0003】図12に示すアーク溶接装置11は、図示
しない支持機構により支持された給電チップ12をそな
え、その中心には溶接ワイヤ貫通孔12Hが形成されて
いて溶接ワイヤ13の送給が可能となっており、そのま
わりにはシールドガス送給用シールドガスノズル14を
設けた構造をなしている。
【0004】そして、被溶接母材15へのアーク溶接に
際しては、図示しない電源を接続して給電チップ12と
被溶接母材15との間に電圧を印加すると共にシールド
ガス送給用シールドガスノズル14からシールドガスを
供給し、図示しない溶接ワイヤ供給ロールを駆動して溶
接ワイヤ13を送給する。
【0005】このとき、シールドガスとしては、炭酸ガ
スや、アルゴンガスを主体としかつ炭酸ガスまたは酸素
ガスを加えた混合ガスを使用する。
【0006】そして、溶接電流を調整して、例えば、短
絡移行,粒状移行,スプレー移行,パルス制御の溶滴移
行などのアーク形態としてアーク溶接を行う。
【0007】これらのなかでパルス制御の溶滴移行によ
るアーク形態では、溶接ワイヤ13が被溶接母材15と
短絡せずにこの被溶接母材15と一定の距離を保った状
態でI2・Rにより抵抗加熱されたのちアーク加熱によ
って形成された小粒の溶滴が被溶接母材15へ移行する
こととなるため、かなり良好な溶接ビードが形成される
こととなる。
【0008】このパルス制御移行型のアーク溶接では、
平均電流が小さい状態で瞬間的に電流を大きくすること
により溶滴を強制的にスプレー移行させるものであり、
スパッタ発生のない溶接方法として好適なものである
が、溶接速度を大きくすると溶接ビードの幅よりもアー
クの幅が広くなって溶接ビードの両端がアークにさらさ
れることとなるため、ワイヤ溶融量の少ない従来法では
アンダーカットなどの不具合が発生しやすくなって溶接
品質が低下するという問題点があった。
【0009】そこで、このような不具合を解消するた
め、図13および図14に示すようなアーク溶接装置も
開発された。
【0010】このアーク溶接装置21は、溶接ワイヤ2
2を通過させる溶接ワイヤ貫通孔23Hを形成した給電
チップ23と、同じく溶接ワイヤ貫通孔24Hを形成し
た絶縁チップ24とを前記給電チップ23の一端に形成
したおねじ部23Aと絶縁チップ24の一端に形成した
給電チップ側めねじ部24Aとでねじ結合し、溶接ワイ
ヤ貫通孔24Hを形成した絶縁チップ24と、同じく溶
接ワイヤ貫通孔25Hを形成したワイヤガイドチップ2
5とを前記絶縁チップ24の他端に形成したワイヤガイ
ドチップ側めねじ部24Bとワイヤガイドチップ25の
一端に形成したおねじ部25Bとでねじ結合した構造を
なすものである。
【0011】このようなアーク溶接装置21において、
図示しない電源を接続して給電チップ23と被溶接母材
26との間に電圧を印加すると共に図示しないシールド
ガスノズルからシールドガスを供給し、図示しない溶接
ワイヤ供給ロールを駆動して溶接ワイヤ22を送給す
る。
【0012】このとき、溶接ワイヤ22に対する電源の
接続は給電チップ23を介して行われ、溶接ワイヤ22
の先端が被溶接母材26と接触すると通電加熱により、
溶接ワイヤ22が温度上昇して溶断し、溶接ワイヤ22
と被溶接母材26との間にアークが形成され、溶接ワイ
ヤ22の先端から溶滴が被溶接母材26に向けて移行す
ることにより溶接ビードが形成され、この間、溶接ワイ
ヤ22はI2Rによる抵抗加熱によりその温度があらか
じめ上昇しているものとなる。
【0013】このようなアーク溶接装置21では、給電
チップ23の先端からアークの先端までの距離が従来の
ものに比べて長くなっているため、溶接ワイヤの加熱が
十分になされうることから、高速の溶接を行ったときで
もワイヤ溶融量を増大でき、かつ、アーク力を抑制でき
る結果、アンダーカットなどの不具合が発生しないもの
となり、品質のよい溶接ビードが形成されることとな
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、給電チッ
プ23の先端から溶接ワイヤ22の先端までの距離を大
きくすることによって溶接ワイヤ22に対する給電加熱
(I2Rによる通電加熱)が良好に行われ、高速のアー
ク溶接を行ったときでもアンダーカットなどの不具合の
発生がなく、また、昇温した溶接ワイヤ22はワイヤガ
イドチップ25のワイヤ貫通孔25Hによりガイドされ
ているため曲がりの発生もなく、良好な溶接が可能とな
るが、溶接ワイヤの成分組成が適切でないと、スパッタ
の発生が多くなり、良好なる溶接ビードの形成が安定し
て得られないこともありうるという問題点があった。
【0015】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかん
がみてなされたものであって、アンダーカットなどの不
具合を伴うことなく高速での溶接が可能であり、これと
同時に、スパッタの発生を少なくして良好なる溶接ビー
ドの形成が可能であるようにすることを目的としてい
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる溶接ワイ
ヤを用いるアーク溶接方法は、請求項1に記載している
ように、溶接ワイヤが通過する溶接ワイヤ貫通孔を形成
した給電チップと、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形成した
絶縁チップと、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形成したワイ
ヤガイドチップを順次結合したアーク溶接装置を使用
し、鋼中のNb量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようにしたことを特徴として
いる。
【0017】そして、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項2に記載している
ように、重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:
0.15〜1.00%、Mn:0.50〜1.80%、
P:0.025%以下、S:0.025%以下、Cu:
0.50%以下、Cr:0.50%以下、Ni:0.5
0%以下、Mo:1.00%以下、Al:0.30%以
下、Ti:0.25%以下、Nb:1.20%以下、残
部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようになすことができる。
【0018】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項3に記載している
ように、体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下である溶接
ワイヤを用いるようになすことができる。
【0019】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項4に記載している
ように、絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ結合
し、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めねじ
部の深さhをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の
高さHよりも小さくすると共に、絶縁チップに形成した
ワイヤガイドチップ側めねじ部の端面における凹面の傾
斜角θをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の端面
における凸面の傾斜角Θよりも小さくして、少なくと
も、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めねじ
部における溶接ワイヤ貫通孔開口周端部とワイヤガイド
チップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ貫通孔開
口周端部を常時密着状態としたアーク溶接装置を使用す
るようになすことができる。
【0020】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項5に記載している
ように、絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ結合
し、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めねじ
部の深さhをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の
高さHよりも小さくすると共に、絶縁チップに形成した
ワイヤガイドチップ側めねじ部の端面における凹面の曲
率半径Rをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の端
面における凸面の曲率半径rよりも大きくして、少なく
とも、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めね
じ部における溶接ワイヤ貫通孔開口周端部とワイヤガイ
ドチップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ貫通孔
開口周端部を常時密着状態としたアーク溶接装置を使用
するようになすことができる。
【0021】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項6に記載している
ように、給電チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の内径
a(mm)と、絶縁チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔
の内径b(mm)と、ワイヤガイドチップに形成した溶
接ワイヤ貫通孔の内径c(mm)との関係を a≦b<c にすると共に、溶接ワイヤの線径d(mm)との関係を a=d×(1.03〜1.18) c=d×(1.20〜1.70) にしたアーク溶接装置を使用するようになすことができ
る。
【0022】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項7に記載している
ように、ワイヤガイドチップに形成した溶接ワイヤ貫通
孔の内径c(mm)を溶接ワイヤの線径d(mm)およ
び溶接電流Y(A)に対して500・c−400・d−
20≧Y≧500・c−400・d−220の関係とし
たアーク溶接装置を使用するものとなすことができる。
【0023】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項8に記載している
ように、絶縁チップにおける給電チップ側めねじ部とワ
イヤガイドチップ側めねじ部との間の絶縁代Z(mm)
を2〜10mmの範囲としたアーク溶接装置を使用する
ものとなすことができる。
【0024】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項9に記載している
ように、ワイヤガイドチップの突き出し長さL(mm)
を3〜20mmの範囲としたアーク溶接装置を使用する
ものとなすことができる。
【0025】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項10に記載してい
るように、消耗電極式アーク溶接に適用するものとなす
ことができる。
【0026】同じく、本発明に係わるワイヤを用いるア
ーク溶接方法においては、請求項11に記載しているよ
うに、非消耗電極式アーク溶接に適用するものとなすこ
とができる。
【0027】同じく、本発明に係わる溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法においては、請求項12に記載してい
るように、給電チップの先端から被溶接母材までの距離
Pを25〜48mmの範囲としてアーク溶接するものと
なすことができる。
【0028】本発明に係わる溶接ワイヤは、請求項13
に記載しているように、重量%で、C:0.01〜0.
15%、Si:0.15〜1.00%、Mn:0.50
〜1.80%、P:0.025%以下、S:0.025
%以下、Cu:0.50%以下、Cr:0.50%以
下、Ni:0.50%以下、Mo:1.00%以下、A
l:0.30%以下、Ti:0.25%以下、Nb:
1.20%以下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 であるものとしたことを特徴としている。
【0029】そして、本発明に係わる溶接ワイヤにおい
ては、請求項14に記載しているように、体積抵抗率ρ
が32μΩ・cm以下であるものするすことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明に係わる溶接ワイヤを用い
る溶接方法は、上述した構成を有するものであり、図1
に示すようなアーク溶接装置を用いることができる。こ
のアーク溶接装置1は、溶接ワイヤ2が通過する溶接ワ
イヤ貫通孔3Hを形成した導電性材料からなる給電チッ
プ3と、同じく溶接ワイヤ貫通孔4Hを形成した電気絶
縁性材料からなる絶縁チップ4と、同じく溶接ワイヤ貫
通孔5Hを形成した導電性材料または電気絶縁性材料か
らなるワイヤガイドチップ5を順次結合してなるもので
ある。
【0031】そして、本発明において使用する溶接ワイ
ヤ2は、鋼中のNb量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようにしている。
【0032】すなわち、溶接ワイヤ中のNb量およびA
l量によるスパッタ発生への影響を調べたところ図2に
示す結果(○:スパッタ発生少量,△:スパッタ発生や
や多量,×:スパッタ発生多量)が得られ、スパッタの
発生が少ないものとするためには、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 とするのが良いことが認められた。
【0033】そして、このような溶接ワイヤとしてより
望ましくは、重量%で、C:0.01〜0.15%、S
i:0.15〜1.00%、Mn:0.50〜1.80
%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、C
u:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Ni:
0.50%以下、Mo:1.00%以下、Al:0.3
0%以下、Ti:0.25%以下、Nb:1.20%以
下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 であると共に、さらに望ましくは体積抵抗率ρが32μ
Ω・cm以下であるものとするのが良いことが認められ
た。
【0034】ここで、上記成分組成とするのが好ましい
限定理由は下記のとおりである。 C:0.01〜0.15% Cは鋼系溶接ワイヤの基本組成であり、体積抵抗率ρ
(μΩ・cm)の増減への影響はあまり大きくない。そ
こで、溶接作業性および溶接ワイヤの製造性の観点から
その上限は0.15%とし、下限は0.01%とするの
がよい。
【0035】また、溶滴直前の溶接ワイヤの粘性につい
てはC量が多くなればそれに従って粘性が低くなるが、
上限である0.15%までは大きな融点の低下はない。 Si:0.15〜1.00% Siは体積抵抗率ρの増減に大きな影響を及ぼす元素で
あり、体積抵抗率ρを32.0μΩ・cm以下とするた
めには上限を1.00%とし、下限は脱酸元素としての
作用を考慮して0.15%とするのが良い。 Mn:0.50〜1.80% MnはSiと共に脱酸元素として作用するものであり、
体積抵抗率ρには影響が少ないためその上限を1.80
%とし、下限は0.50%とするのが良い。 P:0.025%以下 Pは不純物元素であり、体積抵抗率ρの増減には影響が
少ない。したがって、溶接金属の割れなどへの悪影響を
及ぼさない範囲として上限を0.025%とするのが良
い。 S:0.025%以下 Sは不純物元素であり、体積抵抗率ρの増減には影響が
少ない。したがって、溶接金属への割れなどへの悪影響
を及ぼさない範囲として上限を0.025%とするのが
良い。 Cu:0.50%以下 Cuは体積抵抗率ρを小さくする元素であるが、鋼系溶
接金属の割れ感受性への影響が大きく、溶接ワイヤ表面
のCuめっき量も考慮して上限を0.50%とするのが
良い。 Cr:0.50%以下 Crは体積抵抗率ρを大きくする元素であるため、上限
を0.50に規制するのが良い。 Ni:0.50%以下 Niは体積抵抗率ρの増減には大きな影響を及ぼさない
が、溶接金属への悪影響を考慮して上限を0.50%に
規制するのが良い。 Mo:1.00%以下 Moは体積抵抗率ρの増減には大きな影響を及ぼさない
が、溶接金属への悪影響をもたらさない範囲でその上限
を1.00%とするのが良い。 Al:0.30%以下 Alは体積抵抗率ρを小さくする元素であるが、0.0
5%以上では一般的にもスパッタ発生は減少する。しか
し、I2R法により高温化した溶接ワイヤの溶滴直上の
溶接ワイヤを表面のアルミナ酸化皮膜で強固に覆うこと
によって直下の溶滴と凝集させることなく溶滴移行の安
定化を維持できる効果を有する。そしてAl単独添加の
上限は0.30%とするのが良い。 Ti:0.25%以下 Tiはアーク安定化元素であり、また、脱酸元素であっ
て、溶滴移行性を制御できる有効な元素であるが、体積
抵抗率ρには大きな影響がないのでこの点からは多くし
てもよいものの溶接金属の靭性などへの悪影響を考慮し
て上限を0.25%とするのが良い。 Nb:1.20%以下 Nbは脱窒元素として有効であるが、体積抵抗率ρへの
影響は少ない。また、活性元素であるNbは溶接雰囲気
ガスとの反応によりNbの炭・窒化物を形成しやすく、
これらがAl添加の効果とほぼ同様に溶滴直上の高温化
された溶接ワイヤからの凝集を防止し、溶滴移行を規則
化するのでアーク安定化を促進しスパッタの抑制に効果
を発揮する。
【0036】したがって、Nb単独添加の下限は0.1
0%とし、上限は1,20%とするのが良い。
【0037】そして、スパッタの発生を少なくするため
に、NbとAlとの関係については、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 とするのが望ましい。
【0038】さらにまた、溶接ワイヤの体積抵抗率ρが
大きいと、溶接ワイヤの自己発熱によるワイヤ長手方向
への膨張が大きくなり短絡を生じやすくなってその結果
としてアークの安定化が損なわれると共に、ワイヤ先端
の溶融金属球を中心として溶接ワイヤの自己発熱により
融点以上に過熱した溶融金属が溶融金属球の方向に落下
してより大きな溶融金属球を形成し、それが重力および
他のアーク力などの作用で母材側溶融池に移行し、いっ
たん大きな溶融金属球が離脱・移行するとアークは長く
伸び、溶接ワイヤが定速度で送給されているため次の溶
融金属球が形成されるまでに時間を要することとなり、
あたかもアーク長さが長くなったり短かくなったりして
息継ぎをする状態を呈してアークが不安定になるので、
体積抵抗率はある程度抑制されたものとすることが望ま
しく、具体的には32μΩ・cm以下となる成分組成を
有するものを用いることがより望ましい。
【0039】また、本発明に係わるアーク溶接方法にお
いては、図3に示すように、絶縁チップ4とワイヤガイ
ドチップ5をねじ結合し、絶縁チップ4に形成したワイ
ヤガイドチップ側めねじ部4Bの深さhをワイヤガイド
チップ5に形成したおねじ部5Bの高さHよりも小さく
すると共に、絶縁チップ4に形成したワイヤガイドチッ
プ側めねじ部4Bの端面における凹面の傾斜角θをワイ
ヤガイドチップ5に形成したおねじ部5Bの端面におけ
る凸面の傾斜角Θよりも小さくしたアーク溶接装置1を
使用するものとなすことができ、これによって、絶縁チ
ップ4に形成したワイヤガイドチップ側めねじ部4Bに
おける溶接ワイヤ貫通孔開口周端部4Eとワイヤガイド
チップ5に形成したおねじ部5Bにおける溶接ワイヤ貫
通孔開口周端部5Eを常時密着状態とすることができる
ようになり、溶接ワイヤ2の送給安定性がより一層向上
したものとなる。
【0040】あるいはまた、図4に示すように、絶縁チ
ップ4とワイヤガイドチップ5をねじ結合し、絶縁チッ
プ4に形成したワイヤガイドチップ側めねじ部4Bの深
さhをワイヤガイドチップ5に形成したおねじ部5Bの
高さHよりも小さくすると共に、絶縁チップ4に形成し
たワイヤガイドチップ側めねじ部4Bの端面における凹
面の曲率半径Rをワイヤガイドチップ5に形成したおね
じ部5Bの端面における凸面の曲率半径rよりも大きく
したアーク溶接装置1を使用するものとなすことがで
き、これによっても、絶縁チップ4に形成したワイヤガ
イドチップ側めねじ部4Bにおける溶接ワイヤ貫通孔開
口周端部4Eとワイヤガイドチップ5に形成したおねじ
部5Bにおける溶接ワイヤ貫通孔開口周端部5Eを常時
密着状態とすることができるようになり、溶接ワイヤ2
の送給安定性がより一層向上したものとなる。
【0041】そして、より望ましくは、給電チップ3に
形成した溶接ワイヤ貫通孔3Hの内径a(mm)と、絶
縁チップ4に形成した溶接ワイヤ貫通孔4Hの内径b
(mm)と、ワイヤガイドチップ5に形成した溶接ワイ
ヤ貫通孔5Hの内径c(mm)との関係を a≦b<c にすると共に、溶接ワイヤ2の線径d(mm)との関係
を a=d×(1.03〜1.18) c=d×(1.20〜1.70) としたアーク溶接装置1を使用するものとなすことがで
き、これによって、連続する溶接ワイヤ貫通孔3H,4
H,5Hでの溶接ワイヤ2の通過がより一層安定して良
好に行えるようになると共に、溶接ワイヤ2に対する給
電も良好に行え、さらにまた昇温して熱膨張した溶接ワ
イヤ2の良好な送給性を維持したうえで曲がり防止をも
良好に行えるようになる。
【0042】このように、内径aを1.03×d(m
m)以上とすることによって給電チップ3での溶接ワイ
ヤの良好な送給性が維持されると共に、内径aを1.1
8×d(mm)以下とすることによって給電チップ3で
の良好な給電性が確保されることになり、また、内径c
を1.20×d(mm)以上とすることによってワイヤ
ガイドチップ5での溶接ワイヤ3の良好な送給性が維持
されると共に、内径cを1.70×d(mm)以下とす
ることによってワイヤガイドチップ5での昇温した溶接
ワイヤ2の曲がり変形が防止されるようになる。
【0043】そしてまた、より望ましくは、ワイヤガイ
ドチップ5に形成した溶接ワイヤ貫通孔5Hの内径c
(mm)を溶接ワイヤ2の線径d(mm)および溶接電
流Y(A)に対して 500・c−400・d−20≧Y≧500・c−40
0・d−220 の関係としたアーク溶接装置1を使用するものとなすこ
とができ、これによって、良好なる溶接ワイヤの送給性
が維持されると共に溶接ワイヤの溶着発生がより安定し
て防止されることとなる。
【0044】さらにまた、絶縁チップ4における給電チ
ップ側めねじ部4Aとワイヤガイドチップ側めねじ部4
Bとの間の絶縁代Z(mm)を溶接電流Y(A)との関
係でY=250・Z−350(ただし、Y≧50A,Z
≧1.6mm)により算出される値以上、より具体的に
は2〜10mmの範囲内としたアーク溶接装置1を使用
することがより望ましく、これによって、良好なる絶縁
性が確保されることとなる。
【0045】さらにまた、ワイヤガイドチップの突き出
し長さL(mm)を溶接電流Y(A)との関係でY=3
5・L−55(ただし、Y≧50A,L≧3mm)によ
り算出される値以上、より具体的には3〜20mmの範
囲内としたアーク溶接装置1を使用とすることがより望
ましく、これによって、絶縁チップ4を熱衝撃から保護
する機能を十分良好なものにできるようになる。
【0046】このような本発明による溶接ワイヤを用い
るアーク溶接方法は、消耗電極式アーク溶接に適用する
ものとなすことができ、あるいはまた、非消耗電極式ア
ーク溶接に適用するものとなすことができ、いずれの場
合にも、溶接ワイヤ2をI2Rにもとづく抵抗発熱させ
ることによってより高速の溶接にも十分に対応しうるも
のとなる。
【0047】そして、アーク溶接に際しては、上記した
アーク溶接装置1を用い、給電チップ3の先端から被溶
接母材6までの距離Pを25〜48mmの範囲としてア
ーク溶接することがより望ましく、距離Pが25mmよ
りも短いと溶接ワイヤ2のI 2Rによる発熱効果が小と
なり、ワイヤ溶融量の増加が少なくなる傾向となり、4
8mmよりも長いとI2Rによる発熱が過大となり、溶
滴移行が乱れ、ビード外観不良およびスパッタ発生量の
増大をきたす傾向となる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこのような実施例のみに限定されないことはい
うまでもない。
【0049】図1は本発明の実施例による溶接ワイヤを
用いるアーク溶接方法の実施に使用するアーク溶接装置
を示すものであって、この図1に示すアーク溶接装置1
は、溶接ワイヤ2を通過させる溶接ワイヤ貫通孔3Hを
形成した給電チップ3と、同じく溶接ワイヤ貫通孔4H
を形成すると共にスパナ工具係合部4Tを形成した絶縁
チップ4とを前記給電チップ3の一端に形成したおねじ
部3Aと絶縁チップ4の一端に形成しためねじ部4Aと
でねじ結合し、溶接ワイヤ貫通孔4Hを形成すると共に
スパナ工具係合部4Tを形成した絶縁チップ4と、同じ
く溶接ワイヤ貫通孔5Hを形成したワイヤガイドチップ
5とを前記絶縁チップ4の他端に形成しためねじ部4B
とワイヤガイドチップ5の一端に形成したおねじ部5B
とでねじ結合した構造を有し、図3において拡大して示
すように、絶縁チップ4の他端に形成しためねじ部4B
の深さhをワイヤガイドチップ5の一端に形成したおね
じ部5Bの高さHよりも小さくする(すなわち、この実
施例ではh=6.5mm,H=7.5mmとして、h<
Hとする)と共に、絶縁チップ4の他端に形成したワイ
ヤガイドチップ側めねじ部4Bの端面における凹面の傾
斜角θをワイヤガイドチップ5の一端に形成したおねじ
部5Bの端面における凸面の傾斜角Θよりも小さくする
(すなわち、θ=30°,Θ=45°として、θ<Θと
する)ことにより、絶縁チップ4の他端に形成しためね
じ部4Bとワイヤガイドチップ5の一端に形成したおね
じ部5Bとがねじ結合した状態において、絶縁チップ4
のめねじ部4Bにおける溶接ワイヤ貫通孔開口周端部4
Eとワイヤガイドチップ5のおねじ部5Bにおける溶接
ワイヤ貫通孔開口周端部5Eとを常時密着状態となるよ
うにしている。
【0050】このとき、給電チップ3は溶接ワイヤ2に
対する給電が可能であるように導電性材料(この実施例
では、Cu金属)が使用してあり、絶縁チップ4は溶接
ワイヤ2に対して絶縁体であるように絶縁性材料(この
実施例では、SiCやAl23 等)が使用してあり、
ワイヤガイドチップ5は導電性および絶縁性のいずれで
あってもよいが熱衝撃にも耐え得るように金属材料(こ
の実施例ではCu金属)が使用してあって、絶縁チップ
4の外周部分にはスパナ工具係合部4Tが形成してある
ものとなっている。
【0051】このような構造を有するアーク溶接装置1
を使用し、溶接ワイヤ2として表1に示す成分組成を有
する線径d=1.2mmφのものを用い、実突き出し長
さPを25〜60mmとしてパルスマグ法によりビード
オンプレート溶接を行い、スパッタ発生量を調べたとこ
ろ、同じく表1に示す結果であった。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示すように、Nb量とAl量の関係
が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 を満たしている場合には、スパッタの発生量が少ないも
のとなっていた。また、体積抵抗率ρが32.0μΩ・
cm以下である場合にアークの安定性が良好なものであ
った。
【0054】さらに、溶接ワイヤ2として、線径d=
1.0mmのもの(YGW12),線径d=1.2mm
のもの(YGW16)および線径d=1.6mmのもの
(YGW11)を用い、ワイヤガイドチップ5の溶接ワ
イヤ貫通孔5Hの内径cを種々変えて溶接ワイヤ2の送
給性を評価したところ、それぞれ、図5,図6および図
7に示すものであった。
【0055】さらに、図5〜図7の結果を溶接ワイヤ2
の線径dについて整理したところ、図8に示す結果であ
った。
【0056】そして、溶接ワイヤ2の線径をd(mm)
とし、ワイヤガイドチップ5の内径をc(mm)とし、
溶接電流をY(A)とした場合において、図5より、d
=1.0mmの場合 500・c−450≧Y≧500・c−650 図6より、d=1.2mmの場合 500・c−500≧Y≧500・c−700 図7より、d=1.6mmの場合 500・c−650≧Y≧500・c−850 とするのがよく、定数Cと溶接ワイヤ2の線径dとの関
係において、 −400・d−220≦C≦−400・d−20 から、溶接電流Y(A)は、 500・c−400・d−20≧Y≧500・c−40
0・d−220 とするのがより望ましいことが認められた。
【0057】また、溶接ワイヤ2として線径d=1.2
mm(YGW16)を用いると共に絶縁チップ4の溶接
ワイヤ貫通孔4Hの内径bを1.4mmとし、実突き出
し長さを45mmとしてパルスマグ法によりビードオン
溶接(200A−32V)を行い、給電チップ3の溶接
ワイヤ貫通孔3Hの内径aとワイヤガイドチップ5の溶
接ワイヤ貫通孔5Hの内径cによるワイヤ送給性に及ぼ
す影響を調べたところ、図9に示す結果であった。
【0058】その結果、 ・a≦b ・b<c ・a=d×(1.03〜1.18) ・c=d×(1.20〜1.70) の場合に溶接ワイヤ2の送給性がより一層安定して良好
な状態が得られるものとなっていた。
【0059】次に、溶接ワイヤ2として線径d=1.2
mm(YGW12)を用い、絶縁チップ4における給電
チップ側めねじ部4Aとワイヤガイドチップ側めねじ部
4Bとの間の絶縁代Z(mm)を変化させて絶縁性の評
価を行ったところ、図10に示すように、溶接電流Y
(A)との関係において、 Y=250・Z−350(但し、Y≧50A,Z≧1.
6mm) により算出される値以上とすることによって、良好なる
絶縁性が確保できることが認められた。
【0060】さらにまた、溶接ワイヤ2として線径d=
1.2mm(YGW12)を用い、ワイヤガイドチップ
の突き出し長さL(mm)を変えて絶縁チップ4の耐熱
衝撃性を評価したところ、図11に示すように、溶接電
流Y(A)との関係において、 Y=35・L−55(但し、Y≧50A,L≧3mm) により算出される値以上のものとすることによって、絶
縁チップ4の保護を良好なものとして耐熱衝撃性を向上
できることが認められた。
【0061】
【発明の効果】本発明による溶接ワイヤを用いるアーク
溶接方法によれば、請求項1に記載しているように、溶
接ワイヤが通過する溶接ワイヤ貫通孔を形成した給電チ
ップと、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形成した絶縁チップ
と、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形成したワイヤガイドチ
ップを順次結合したアーク溶接装置を使用し、鋼中のN
b量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いるようにしたから、アンダーカ
ットなどの不具合を伴うことなく高速での溶接を行うこ
とが可能であるのに加えて、スパッタ発生をも少なくし
て良好なる溶接ビードの形成が可能であるようにアーク
溶接を実施することができるという著しく優れた効果が
もたらされる。
【0062】そして、請求項2に記載しているように、
重量%で、C:0.01〜0.15%、Si:0.15
〜1.00%、Mn:0.50〜1.80%、P:0.
025%以下、S:0.025%以下、Cu:0.50
%以下、Cr:0.50%以下、Ni:0.50%以
下、Mo:1.00%以下、Al:0.30%以下、T
i:0.25%以下、Nb:1.20%以下、残部Fe
および不純物からなりNb(%)≧−2.5×Al
(%)+0.10である溶接ワイヤを用いるようになす
ことによって、アーク溶接時のスパッタの発生をより一
層少ないものにすることが可能であるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
【0063】そしてまた、請求項3に記載しているよう
に、体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下である溶接ワイ
ヤを用いるようになすことによって、アーク溶接時のア
ークの安定性をより一層良好なものにすることが可能で
あるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0064】そして、請求項4に記載しているように、
絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ結合し、絶縁チ
ップに形成したワイヤガイドチップ側めねじ部の深さh
をワイヤガイドチップに形成したおねじ部の高さHより
も小さくすると共に、絶縁チップに形成したワイヤガイ
ドチップ側めねじ部の端面における凹面の傾斜角θをワ
イヤガイドチップに形成したおねじ部の端面における凸
面の傾斜角Θよりも小さくしたアーク溶接装置を使用す
ることによって、絶縁チップに形成したワイヤガイドチ
ップ側めねじ部における溶接ワイヤ貫通孔開口周端部と
ワイヤガイドチップに形成したおねじ部における溶接ワ
イヤ貫通孔開口周端部を常時密着状態とすることができ
るようになり、溶接ワイヤの送給安定性がより一層向上
したものとすることが可能になるという著しく優れた効
果がもたらされる。
【0065】あるいはまた、請求項5に記載しているよ
うに、絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ結合し、
絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めねじ部の
深さhをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の高さ
Hよりも小さくすると共に、絶縁チップに形成したワイ
ヤガイドチップ側めねじ部の端面における凹面の曲率半
径Rをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の端面に
おける凸面の曲率半径rよりも大きくしたアーク溶接装
置を使用することによって、絶縁チップに形成したワイ
ヤガイドチップ側めねじ部における溶接ワイヤ貫通孔開
口周端部とワイヤガイドチップに形成したおねじ部にお
ける溶接ワイヤ貫通孔開口周端部を常時密着状態とする
ことができるようになり、溶接ワイヤの送給安定性をよ
り一層向上したものとすることが可能になるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0066】さらにまた、請求項6に記載しているよう
に、給電チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の内径a
(mm)と、絶縁チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の
内径b(mm)と、ワイヤガイドチップに形成した溶接
ワイヤ貫通孔の内径c(mm)との関係を a≦b<c にすると共に、溶接ワイヤの線径d(mm)との関係を a=d×(1.03〜1.18) c=d×(1.20〜1.70) としたアーク溶接装置を使用することによって、連続す
る溶接ワイヤ貫通孔での溶接ワイヤの通過をより一層安
定して良好に行うことが可能であると共に、溶接ワイヤ
に対する給電も良好に行うことが可能であり、さらにま
た昇温して熱膨張した溶接ワイヤの良好な送給性を維持
したうえで曲がり防止をも良好に行うことが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0067】さらにまた、請求項7に記載しているよう
に、ワイヤガイドチップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の
内径c(mm)を溶接ワイヤの線径d(mm)および溶
接電流Y(A)に対して 500・c−400・d−20≧Y≧500・c−40
0・d−220 の関係としたアーク溶接装置を使用することによって、
良好なる溶接ワイヤの送給性を維持することができると
共に溶接ワイヤの溶着発生をより安定して防止すること
が可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0068】さらにまた、請求項8に記載しているよう
に、絶縁チップにおける給電チップ側めねじ部とワイヤ
ガイドチップ側めねじ部との間の絶縁代Z(mm)を溶
接電流Y(A)との関係でY=250・Z−350(た
だし、Y≧50A,Z≧1.6mm)により算出される
値以上としたアーク溶接装置を使用することによって、
良好なる絶縁性を確保することが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0069】さらにまた、請求項9に記載しているよう
に、ワイヤガイドチップの突き出し長さL(mm)を溶
接電流Y(A)との関係でY=35・L−55(ただ
し、Y≧50A,L≧3mm)により算出される値以上
としたアーク溶接装置を使用することによって、絶縁チ
ップを熱衝撃から保護する機能を十分良好なものにする
ことが可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0070】さらにまた、請求項10に記載しているよ
うに、消耗電極式アーク溶接に適用するものとなすこと
によって、消耗電極式アーク溶接の際における高速溶接
を可能にするという著しく優れた効果がもたらされる。
【0071】さらにまた、請求項11に記載しているよ
うに、非消耗電極式アーク溶接に適用するものとなすこ
とによって、非消耗電極式アーク溶接の際における高速
溶接を可能にするという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【0072】そしてまた、請求項12に記載しているよ
うに、給電チップの先端から被溶接母材までの距離Pを
25〜48mmの範囲としてアーク溶接するようになす
ことによって、アンダーカット等の不具合を生じること
なく高速溶接によるアーク溶接が可能になるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0073】本発明に係わる溶接ワイヤでは、請求項1
3に記載しているように、重量%で、C:0.01〜
0.15%、Si:0.15〜1.00%、Mn:0.
50〜1.80%、P:0.025%以下、S:0.0
25%以下、Cu:0.50%以下、Cr:0.50%
以下、Ni:0.50%以下、Mo:1.00%以下、
Al:0.30%以下、Ti:0.25%以下、Nb:
1.20%以下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 であるものとしたから、アーク溶接時におけるスパッタ
の発生が少ないものとすることが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0074】そして、請求項14に記載しているよう
に、体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下であるものとす
ることによって、アーク溶接時におけるアーク安定性を
良好なものにすることが可能であるという著しく優れた
効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による溶接ワイヤを用いるア
ーク溶接方法の実施に使用するアーク溶接装置の断面説
明図である。
【図2】溶接ワイヤ中に含有されるNb量およびAl量
によるスパッタ発生への影響を調べた結果を例示する説
明図である。
【図3】図1に示した溶接装置において絶縁チップなら
びにこれとねじ結合する給電チップおよびワイヤガイド
チップの一実施例を示す断面説明図(図3の(A))お
よび絶縁チップの平面説明図(図3の(B))である。
【図4】図1に示したアーク溶接装置において絶縁チッ
プならびにこれとねじ結合する給電チップおよびワイヤ
ガイドチップの他の実施例を示す断面説明図(図4の
(A))および絶縁チップの平面説明図(図4の
(B))である。
【図5】溶接ワイヤの線径d=1.0mmの場合におい
て、ワイヤガイドチップの溶接ワイヤ貫通孔の内径cに
よるワイヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラ
フである。
【図6】溶接ワイヤの線径d=1.2mmの場合におい
て、ワイヤガイドチップの溶接ワイヤ貫通孔の内径cに
よるワイヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラ
フである。
【図7】溶接ワイヤの線径d=1.6mmの場合におい
て、ワイヤガイドチップの溶接ワイヤ貫通孔の内径cに
よるワイヤ送給性への影響を調べた結果を例示するグラ
フである。
【図8】図5〜図7の結果を溶接ワイヤ径dで整理した
結果を示すグラフである。
【図9】給電チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の内径
aとワイヤガイドチップに形成した溶接ワイヤ貫通孔の
内径cによるワイヤ送給性への影響を調べた結果を例示
するグラフである。
【図10】絶縁チップの絶縁部長さZによる絶縁性への
影響を調べた結果を例示するグラフである。
【図11】ワイヤガイドチップの長さLによる絶縁チッ
プの耐熱衝撃性への影響を調べた結果を例示するグラフ
である。
【図12】溶接ワイヤを用いるアーク溶接装置の従来例
を示す断面説明図である。
【図13】溶接ワイヤを用いるアーク溶接装置の他の従
来例を示す断面説明図である。
【図14】図13に示したアーク溶接装置の絶縁チップ
部分の拡大断面説明図(図14の(A))および平面説
明図(図14の(B))である。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤを用いるアーク溶接装置 2 溶接ワイヤ 3 給電チップ 3A 給電チップのおねじ部 3H 給電チップの溶接ワイヤ貫通孔 4 絶縁チップ 4A 絶縁チップの給電チップ側めねじ部 4B 絶縁チップのワイヤガイドチップ側めねじ部 4E 絶縁チップのワイヤガイドチップ側めねじ部の溶
接ワイヤ貫通孔開口周端部 4H 絶縁チップの溶接ワイヤ貫通孔 5 ワイヤガイドチップ 5B ワイヤガイドチップのおねじ部 5E ワイヤガイドチップのおねじ部の溶接ワイヤ貫通
孔開口周端部 5H ワイヤガイドチップの溶接ワイヤ貫通孔 6 被溶接母材

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接ワイヤが通過する溶接ワイヤ貫通孔
    を形成した給電チップと、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形
    成した絶縁チップと、同じく溶接ワイヤ貫通孔を形成し
    たワイヤガイドチップを順次結合したアーク溶接装置を
    使用し、鋼中のNb量とAl量との関係が、 Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いることを特徴とする溶接ワイヤ
    を用いるアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.01〜0.15%、
    Si:0.15〜1.00%、Mn:0.50〜1.8
    0%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、
    Cu:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Ni:
    0.50%以下、Mo:1.00%以下、Al:0.3
    0%以下、Ti:0.25%以下、Nb:1.20%以
    下、残部Feおよび不純物からなり Nb(%)≧−2.5×Al(%)+0.10 である溶接ワイヤを用いることを特徴とする請求項1に
    記載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下であ
    る溶接ワイヤを用いることを特徴とする請求項1または
    2に記載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ
    結合し、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側め
    ねじ部の深さhをワイヤガイドチップに形成したおねじ
    部の高さHよりも小さくすると共に、絶縁チップに形成
    したワイヤガイドチップ側めねじ部の端面における凹面
    の傾斜角θをワイヤガイドチップに形成したおねじ部の
    端面における凸面の傾斜角Θよりも小さくして、少なく
    とも、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側めね
    じ部における溶接ワイヤ貫通孔開口周端部とワイヤガイ
    ドチップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ貫通孔
    開口周端部を常時密着状態としたアーク溶接装置を使用
    することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  5. 【請求項5】 絶縁チップとワイヤガイドチップをねじ
    結合し、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側め
    ねじ部の深さhをワイヤガイドチップに形成したおねじ
    部の高さHよりも小さくすると共に、絶縁チップに形成
    したワイヤガイドチップ側めねじ部の端面における凹面
    の曲率半径Rをワイヤガイドチップに形成したおねじ部
    の端面における凸面の曲率半径rよりも大きくして、少
    なくとも、絶縁チップに形成したワイヤガイドチップ側
    めねじ部における溶接ワイヤ貫通孔開口周端部とワイヤ
    ガイドチップに形成したおねじ部における溶接ワイヤ貫
    通孔開口周端部を常時密着状態としたアーク溶接装置を
    使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか
    に記載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  6. 【請求項6】 給電チップに形成した溶接ワイヤ貫通孔
    の内径a(mm)と、絶縁チップに形成した溶接ワイヤ
    貫通孔の内径b(mm)と、ワイヤガイドチップに形成
    した溶接ワイヤ貫通孔の内径c(mm)との関係を a≦b<c にすると共に、溶接ワイヤの線径d(mm)との関係を a=d×(1.03〜1.18) c=d×(1.20〜1.70) にしたアーク溶接装置を使用することを特徴とする請求
    項1ないし5のいずれかに記載の溶接ワイヤを用いるア
    ーク溶接方法。
  7. 【請求項7】 ワイヤガイドチップに形成した溶接ワイ
    ヤ貫通孔の内径c(mm)を溶接ワイヤの線径d(m
    m)および溶接電流Y(A)に対して 500・c−400・d−20≧Y≧500・c−40
    0・d−220 の関係としたアーク溶接装置を使用することを特徴とす
    る請求項1ないし6のいずれかに記載の溶接ワイヤを用
    いるアーク溶接方法。
  8. 【請求項8】 絶縁チップにおける給電チップ側めねじ
    部とワイヤガイドチップ側めねじ部との間の絶縁代Z
    (mm)を2〜10mmの範囲としたアーク溶接装置を
    使用することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか
    に記載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  9. 【請求項9】 ワイヤガイドチップの突き出し長さL
    (mm)を3〜20mmの範囲としたアーク溶接装置を
    使用することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか
    に記載の溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  10. 【請求項10】 消耗電極式アーク溶接に適用すること
    を特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の溶接
    ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  11. 【請求項11】 非消耗電極式アーク溶接に適用するこ
    とを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のワ
    イヤを用いるアーク溶接方法。
  12. 【請求項12】 給電チップの先端から被溶接母材まで
    の距離Pを25〜48mmの範囲としてアーク溶接する
    ことを特徴とする溶接ワイヤを用いるアーク溶接方法。
  13. 【請求項13】 重量%で、C:0.01〜0.15
    %、Si:0.15〜1.00%、Mn:0.50〜
    1.80%、P:0.025%以下、S:0.025%
    以下、Cu:0.50%以下、Cr:0.50%以下、
    Ni:0.50%以下、Mo:1.00%以下、Al:
    0.30%以下、Ti:0.25%以下、Nb:1.2
    0%以下、残部Feおよび不純物からなりNb(%)≧
    −2.5×Al(%)+0.10であることを特徴とす
    る溶接ワイヤ。
  14. 【請求項14】 体積抵抗率ρが32μΩ・cm以下で
    あることを特徴とする請求項13に記載の溶接ワイヤ。
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