JP2001025395A - 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法 - Google Patents

光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法

Info

Publication number
JP2001025395A
JP2001025395A JP20118499A JP20118499A JP2001025395A JP 2001025395 A JP2001025395 A JP 2001025395A JP 20118499 A JP20118499 A JP 20118499A JP 20118499 A JP20118499 A JP 20118499A JP 2001025395 A JP2001025395 A JP 2001025395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
trimethyl
optically active
chloroacetate
hydroxy
oxo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20118499A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromasa Kiyota
洋正 清田
Yoshio Nakabayashi
美穂 中林
Takayuki Oritani
隆之 折谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP20118499A priority Critical patent/JP2001025395A/ja
Publication of JP2001025395A publication Critical patent/JP2001025395A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−オンを高収率かつ高
い光学純度で、工業的に有利に製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 式(1) 【化1】 で示される(±)−4−オキソ−3,5,5−トリメチ
ル−2−シクロヘキセニルクロロアセテートに、エステ
ル加水分解能を有する酵素を作用させて式(2) 【化2】 で示される光学活性4−オキソ−3,5,5−トリメチ
ル−2−シクロヘキセニルクロロアセテートを得、得ら
れた光学活性4−オキソ−3,5,5−トリメチル−2
−シクロヘキセニルクロロアセテートを加溶媒分解する
ことを特徴とする式(3) 【化3】 で示される光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法(上
記式中、*は不斉炭素原子を表す。)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学活性4−ヒドロ
キシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−
1−オンの製造方法に関する。本発明によって得られる
光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2
−シクロヘキセン−1−オンは、例えば植物ホルモンで
ある光学活性アブシジン酸や、カロテノイドのゼアキサ
ンチンなどの合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−
トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造法と
しては、1)2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキ
セン−1,4−ジオンから誘導されるシス−およびトラ
ンス−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−
1,4−ジオールを酵素(リパ−ゼPS−30:天野製
薬製)により不斉モノアセチル化して4−O−アシル化
物(40%収率、81%ee)および1−O−アシル化
物(18%収率、92%ee)を得、次いで再結晶、酸
化などの多工程を経て光学活性4−ヒドロキシ−2,
6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの
シリルエーテル体を得る方法[テトラヘドロン アシメ
トリー(Tetrahedron Asymmetr
y)、第6巻、1273頁(1995年)参照]、2)
2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4
−ジオンを酵母(Saccharomyces cer
evisiae)により還元して(R)−2,6,6−
トリメチル−1,4−シクロヘキサンジオンを得、次い
でこの化合物の4位をラネーニッケル触媒の存在下に還
元して(1R,5R)−4−オキソ−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン−1−オールを得、このものを酢
酸エステルに変換した後に5位を臭素化し、続いて脱臭
化水素化および脱エステル化反応に付して(S)−4−
ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキ
セン−1−オンを得る方法[ヘルベティカキミカ アク
タ(Helv.Chim.Acta)、第59巻、18
32頁(1976年);ヘルベティカ キミカ アク
タ、第61巻、2609頁(1978年)参照]が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法では多くの
工程を必要とする上、各工程において、生成物と副生す
る異性体との分離が容易ではなく、光学活性4−ヒドロ
キシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−
1−オンの工業的に有利な製造方法とは言い難い。しか
して、本発明の目的は、光学活性4−ヒドロキシ−2,
6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンを
高収率かつ高い光学純度で、工業的に有利に製造し得る
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、式(1)
【0005】
【化4】
【0006】で示される(±)−4−オキソ−3,5,
5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセテー
ト(以下、クロロアセテート(1)と略称する)に、エ
ステル加水分解能を有する酵素を作用させて式(2)
【0007】
【化5】
【0008】(式中、*は不斉炭素原子を表す。)で示
される光学活性4−オキソ−3,5,5−トリメチル−
2−シクロヘキセニルクロロアセテート(以下、光学活
性クロロアセテート(2)と略称する)を得、得られた
光学活性クロロアセテート(2)を加溶媒分解すること
を特徴とする式(3)
【0009】
【化6】
【0010】(式中、*は前記定義のとおりである。)
で示される光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリ
メチル−2−シクロヘキセン−1−オン(以下、光学活
性ヒドロキシシクロへキセノン(3)と略称する)の製
造方法を提供することにより達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】まず、クロロアセテート(1)に、エステ
ル加水分解能を有する酵素を作用させて光学活性クロロ
アセテート(2)を得る工程について説明する。
【0013】クロロアセテート(1)に作用させるエス
テル加水分解能を有する酵素としては、Pseudom
onas属に属する微生物が生産するリパーゼ、Kle
bsiella oxytoca属に属する微生物が生
産する酵素などがあり、例えばPseudomonas
属に属する微生物が生産するリパーゼ2G(長瀬産業
製)、Klebsiella oxytoca属に属す
る微生物が生産するSNSM−87(長瀬産業製)、P
seudomonas属に属する微生物が生産するリパ
ーゼP(天野製薬製)、リパーゼPS30(天野製薬
製)が挙げられる。これらの中でも、リパーゼ2Gまた
はSNSM−87を用いると、クロロアセテート(1)
の(R)体が優先して加水分解されるため、(S)体の
光学活性クロロアセテート(2)を得ることができる。
また、リパーゼPまたはリパーゼPS30を用いると、
クロロアセテート(1)の(S)体が優先して加水分解
されるため、(R)体の光学活性クロロアセテート
(2)を得ることができる。酵素の使用量は、クロロア
セテート(1)に対して通常0.01〜100重量%の
範囲が好ましく、0.1〜10重量%の範囲がより好ま
しい。
【0014】反応は、溶媒の存在下に行うのが好まし
い。溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリルなどの
ニトリル;アセトンなどのケトン;トルエン、ヘキサ
ン、ヘプタンなどの炭化水素などが挙げられる。これら
の中でも、ジイソプロピルエーテルが特に好ましい。溶
媒の使用量は、クロロアセテート(1)に対して通常5
〜40重量倍の範囲が好ましく、10〜20重量倍の範
囲がより好ましい。
【0015】反応に際しては、酵素のエステル加水分解
能を最大限に発現させる観点から、反応液のpHを4〜
8の範囲に保つのが好ましく、かかるpHの調節は、反
応系にリン酸緩衝液や酢酸緩衝液などの緩衝液を共存さ
せることにより行うのが特に好ましい。緩衝液の使用量
は、特に制限はないが、通常クロロアセテート(1)に
対して1〜50重量倍の範囲が好ましく、10〜30重
量倍の範囲がより好ましい。
【0016】反応温度は、0〜40℃の範囲が好まし
く、10〜30℃の範囲がより好ましい。反応時間は、
クロロアセテート(1)と酵素の使用量比、使用する溶
媒、緩衝液の種類などによっても異なるが、通常1時間
〜1週間の範囲である。
【0017】反応は、クロロアセテート(1)と酵素、
必要に応じて溶媒、緩衝液を混合し、所定温度で攪拌す
ることにより行う。反応はバッチ方式で実施してもよい
し、固定化された酵素を用いて連続方式で実施してもよ
い。
【0018】このようにして得られた光学活性クロロア
セテート(2)の反応混合物からの単離は、通常の有機
化合物の単離・精製に用いられる方法と同様にして行う
ことができる。例えば、反応混合物から酵素を濾別し、
濾液をジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、酢
酸エチルなどで抽出し、抽出液を飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して無水硫
酸マグネシウムなどで乾燥後、濃縮して得られた生成物
をカラムクロマトグラフィーなどで精製する。
【0019】次に、光学活性クロロアセテート(2)を
加溶媒分解して光学活性ヒドロキシシクロへキセノン
(3)を得る工程について説明する。
【0020】加溶媒分解反応は塩基性物質または酸性物
質の共存下で行うことができる。かかる塩基性物質とし
ては、例えばトリエチルアミン、ヒドラジン、ピリジン
などのアミン;ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブ
トキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸
塩などが挙げられる。また、酸性物質としては、例えば
塩酸、硫酸などのプロトン酸;四塩化チタン、三フッ化
ホウ素などのルイス酸が挙げられる。これらの塩基性物
質または酸性物質の使用量は、特に制限はないが、通常
光学活性クロロアセテート(2)に対して0.2〜2モ
ル倍の範囲が好ましく、0.5〜1モル倍の範囲がより
好ましい。
【0021】また、加溶媒分解反応は中性条件下でも実
施することができ、例えばシアン化カリウムやCand
ida cylindraceae属の生産するリパー
ゼMY(名糖産業製)などを触媒として用いることがで
きる。かかる触媒の使用量は、特に制限はないが、通常
光学活性クロロアセテート(2)に対して0.2〜2モ
ル倍の範囲が好ましい。
【0022】反応は、水;メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノールなどのアルコール;または水と
アルコールの混合液の存在下に行う。水またはアルコー
ルの使用量は、特に制限はないが、通常光学活性クロロ
アセテート(2)に対して5〜200重量倍の範囲が好
ましい。
【0023】反応は、さらに反応に悪影響を与えない溶
媒を存在させていてもよく、かかる溶媒としては、例え
ばヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの脂肪族または芳香族炭化水素;
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが
挙げられる。これらの溶媒は1種類を単独で使用しても
2種類以上を混合して使用してもよい。溶媒の使用量
は、特に制限はないが、通常光学活性クロロアセテート
(2)に対して1〜200重量倍の範囲が好ましい。
【0024】反応温度は0〜100℃の範囲が好まし
く、20〜50℃の範囲がより好ましい。反応時間は、
反応条件によっても異なるが、通常8時間以内の範囲で
ある。
【0025】このようにして得られた光学活性ヒドロキ
シシクロへキセノン(3)は、通常の有機化合物の単離
・精製に用いられる方法により単離・精製することがで
きる。例えば、反応液に酢酸エチル、ジエチルエーテ
ル、塩化メチレンなどの有機溶媒を加え、希塩酸、水、
食塩水などで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムなど
で乾燥後、濃縮して得られる粗生成物を再結晶、蒸留、
カラムクロマトグラフィーなどにより精製する。
【0026】なお、本発明の出発原料であるクロロアセ
テート(1)は、(±)−4−ヒドロキシ−2,6,6
−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンとクロロ
酢酸クロリドを、塩基の存在下で縮合させて容易に製造
することができる。この反応に用いられる塩基としては
トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン;ナトリウム
メトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物
などが挙げられる。反応は溶媒の存在下でも不存在下で
も行うことができ、溶媒としては、例えば塩化メチレ
ン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル;ヘ
キサン、トルエンなどの炭化水素などが用いられる[テ
トラヘドロン レターズ(Tetrahedron L
ett.)、第20巻、251頁(1979年)参
照]。また、(±)−4−ヒドロキシ−2,6,6−ト
リメチル−2−シクロヘキセン−1−オンは、2,6,
6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4−ジオン
をセリウムクロリド存在下に水素化ホウ素ナトリウムで
還元することで容易に製造することができる[ジャーナ
ル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.
Chem.)、第51巻、491頁(1986年)参
照]。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
い。
【0028】参考例1 4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロ
ヘキセン−1−オン(1.50g、9.73mmol)
およびピリジン(1.24g、14.8mmol)を乾
燥ジエチルエーテル(30ml)に溶解して0℃に冷却
し、この溶液にクロロ酢酸クロリド(1.32g、1
1.7mmol)を内温を0℃以下に保ちながら滴下
し、滴下終了後、20℃で5時間攪拌した。反応液をジ
エチルエーテル30mlで希釈し、水(5ml)、2規
定塩酸(10ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
(10ml)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、得られた残留物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー[展開溶媒:ヘキサ
ン/酢酸エチル=7/1(体積比)]で精製し、無色油
状物として、下記の物性を有する(±)−4−オキソ−
3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロ
アセテート(2.13g、9.23mmol)を得た
(収率94.9%)。
【0029】UV(c=8.7x10−5 mol/l
in EtOH):ε=9900(λmax 228
nm) IR νmax(cm−1、film):2960
(s),2930(s),2860(s),1755
(s,C=O),1740(s,C=O),1680
(s,C=C),1470(m),1450(m),1
410(m),1380(m),1350(m),13
15(s),1280(s),1160(br.s,C
−O),1105(m),1045(m),1000
(s),980(s),960(s),860(m),
790(m),700(w) H−NMR(300MHz,CDCl,TMS,p
pm) δ:1.182(s,3H,5−Me),1.
187(s,3H,5−Me),1.82(t,3H,
3−Me,J=1.7Hz),2.00(dd,1H,
J=12.9,9.3Hz,6−H),2.21(dd
d,1H,J=12.9,5.5,1.9Hz,6−
H),4.11(s,2H,Cl−CH),5.71
(1H,m,1−H),6.53(dq,1H,J=
4.1,1.4Hz,2−H) EIMS m/z:43,61,98,174,230
(M) HREIMS m/z (M)=Calcd. fo
r C1115Cl:230.0709、 fo
und:230.0711
【0030】実施例1 参考例1の方法で得られた(±)−4−オキソ−3,
5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセ
テート(60.0mg,260μmol)、ジイソプロ
ピルエーテル(1.5ml)および酢酸緩衝液(0.1
M、pH=5.0、1.5ml)を混合し、酵素として
SNSM−87(長瀬産業製、60mg)を加えて、4
0℃で2日間攪拌した。反応液をセライトで濾過し、濾
液を有機層と水層に分液し、水層をジエチルエーテル1
0mlで抽出した。抽出液と先の有機層を合わせて飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液(3ml)および飽和塩化ナ
トリウム水溶液(3ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー〔展開溶媒:ヘキサン
/酢酸エチル=7/1(体積比)〕で精製することによ
り、下記の物性を有する(S)−4−オキソ−3,5,
5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセテー
ト(12.2mg、52.9μmol)を得た(収率2
0.3%)。
【0031】[α] 24:−73.7°(c=0.4
55,EtOH) IRおよびH−NMRスペクトルは(±)−4−オキ
ソ−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルク
ロロアセテートと一致した。なお、得られた化合物を高
速液体クロマトグラフィー[カラム:Chiralce
l OB−H,φ4.6mm x 250mm[ダイセ
ル化学(株)社製]、溶離液:ヘキサン/イソプロパノ
ール=7:1(体積比)、流速:1.0ml/分、検出
器:UV233nm]で分析したところ、光学純度は9
8.8%e.e.であった。
【0032】実施例2 参考例1の方法で得られた(±)−4−オキソ−3,
5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセ
テート(60.0mg、260μmol)、ジイソプロ
ピルエーテル(1.5ml)およびリン酸緩衝液(0.
1M、pH=7.0、1.5ml)を混合し、酵素とし
てリパーゼP(天野製薬製、60mg)を加えて、40
℃で2日間攪拌した。反応液をセライトで濾過し、濾液
を有機層と水層に分液し、水層をジエチルエーテル10
mlで抽出した。抽出液と先の有機層を合わせて飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液(3ml)および飽和塩化ナト
リウム水溶液(3ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、減圧下に濃縮し、得られた残留物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー〔展開溶媒:ヘキサン/
酢酸エチル=7/1(体積比)〕で精製することによ
り、下記の物性を有する(R)−4−オキソ−3,5,
5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセテー
ト(16.0mg、52.9μmol)を得た(収率2
6.7%)。
【0033】[α] 22:+70.0゜(c=0.8
00,EtOH) IRおよびH−NMRスペクトルは(±)−4−オキ
ソ−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルク
ロロアセテートと一致した。なお、得られた化合物を実
施例1と同様に高速液体クロマトグラフィーで分析した
ところ、光学純度は98.5%e.e.であった。
【0034】実施例3 実施例1の方法で得られた(S)−4−オキソ−3,
5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセ
テート(300mg、1.30mmol)、炭酸カリウ
ム(100mg)およびメタノール(50ml)を混合
し、20℃で4時間攪拌した。反応液を減圧下に濃縮
し、メタノールを留去した。残留物に水5mlを加え、
ジエチルエーテル50mlで抽出した。抽出液を水(5
ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮
し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー〔展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=7/1(体積
比)〕で精製することにより、下記の物性を有する
(S)−4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2
−シクロヘキセン−1−オン(209mg、1.19m
mol)を得た(収率92.3%、光学純度98.8%
e.e.)。
【0035】[α] 24:−50.0°(c=0.1
00,EtOH) H−NMR(300MHz、CDCl、TMS、p
pm) δ:1.12(s,3H,6−Me),1.1
6(s,3H,6−Me),1.60(br,s,1
H,OH),1.79(dd,3H,J=3Hz,2H
z,2−Me),1.82(dd,1H,J=13H
z,10Hz,5−H),2.16(ddd,1H,J
=13,Hz,6Hz,2Hz,5−H),4.60
(m,1H,4−H),6.61(m,1H,3−H) IR νmax(cm−1、film):3430
(s),3015(w),2960(s),2920
(s),2860(m),1675(s),1660
(s),1450(m),1380(m),1350
(m),1100(m),1040(s),1020
(s),950(w),955(w),935(m),
900(w),860(w)
【0036】実施例4 実施例2の方法で得られた(R)−4−オキソ−3,
5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニルクロロアセ
テート(300mg、1.30mmol)、炭酸カリウ
ム(100mg)およびメタノール(50ml)を混合
し、20℃で4時間攪拌した。反応液を減圧下に濃縮
し、メタノールを留去した。残留物に水5mlを加え、
ジエチルエーテル50mlで抽出した。抽出液を水(5
ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮
し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー〔展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=7/1(体積
比)〕で精製することにより、下記の物性を有する
(R)−4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2
−シクロヘキセン−1−オン(203mg、1.16m
mol)を得た(収率89.7%、光学純度98.5%
e.e.)。
【0037】[α] 24:+52.7°(c=0.4
45,EtOH) IRおよびH−NMRスペクトルは(S)−4−ヒド
ロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン
−1−オンと一致した。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、光学活性4−ヒドロキ
シ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1
−オンを高収率かつ高い光学純度で、工業的に有利に製
造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で示される(±)−4−オキソ−3,5,5−トリメチ
    ル−2−シクロヘキセニルクロロアセテートに、エステ
    ル加水分解能を有する酵素を作用させて式(2) 【化2】 (式中、*は不斉炭素原子を表す。)で示される光学活
    性4−オキソ−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘ
    キセニルクロロアセテートを得、得られた光学活性4−
    オキソ−3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセニ
    ルクロロアセテートを加溶媒分解することを特徴とする
    式(3) 【化3】 (式中、*は前記定義のとおりである。)で示される光
    学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−
    シクロヘキセン−1−オンの製造方法。
  2. 【請求項2】 エステル加水分解能を有する酵素が、P
    seudomonas属に属する微生物が生産するリパ
    ーゼまたはKlebsiella oxytoca属に
    属する微生物が生産する酵素である請求項1記載の光学
    活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シ
    クロヘキセン−1−オンの製造方法。
JP20118499A 1999-07-15 1999-07-15 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法 Pending JP2001025395A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20118499A JP2001025395A (ja) 1999-07-15 1999-07-15 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20118499A JP2001025395A (ja) 1999-07-15 1999-07-15 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001025395A true JP2001025395A (ja) 2001-01-30

Family

ID=16436750

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20118499A Pending JP2001025395A (ja) 1999-07-15 1999-07-15 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001025395A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7087778B2 (en) Process for producing benzoxazine derivative and production intermediate thereof
US7803950B2 (en) Method for the production of diarylcycloalkyl derivatives
JPH1057094A (ja) ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法
JP2001025395A (ja) 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造方法
CA2574625A1 (en) Process for the preparation of (2r, 3r)-2-hydroxy-3-amino-3-aryl-propionamide and (2r, 3r)-2-hydroxy-3-amino-3-aryl-propionic acid alkyl ester
JP3024299B2 (ja) 光学活性なシクロペンテンアルコール類、その製造法及びその利用
US5191109A (en) Process for preparing optically active cyclopentenones
US7169944B2 (en) Optically active epoxy compounds and processes for their production
EP1086942B1 (en) Optically active alcohols and processes for the preparation thereof
JP2001025396A (ja) 光学活性4−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンの製造法
JP5026833B2 (ja) 光学活性(s)−7−ヒドロキシ−6−メチルヘプタン−2−オンおよびその前駆体の製造方法
KR20070076549A (ko) 광학적으로 활성인 사이클로펜텐온의 제조방법 및 그로부터제조된 사이클로펜텐온
JP3583798B2 (ja) 光学活性2−メチルブタン酸およびその誘導体の製造方法
JP2001224396A (ja) 光学活性1,2−エポキシ−2,6,6−トリメチルシクロヘキサンメタノールの製造方法
JPH08119958A (ja) 光学活性クロマン化合物の製造方法
JP2645341B2 (ja) 光学活性な置換−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテノンの製造法
JP3206011B2 (ja) イミド誘導体およびその製造法
JP2001226363A (ja) 光学活性1,2−エポキシ−2,6,6−トリメチルシクロヘキサンメタノールの製造法
JP4789889B2 (ja) (r)−2−アルキルシクロペンタノンの製造方法
JPH08113550A (ja) 光学活性3−ヒドロキシヘキサン酸類の製造方法
JPH06192221A (ja) 光学活性な1−(4−t−ブチルフェニル)−5−オキソ−3−ピロリジンカルボン酸の製造方法
JP3018508B2 (ja) 光学活性なシクロペンテノン類の製造方法
JP4599691B2 (ja) 光学活性化合物およびその製造方法
RU2258069C2 (ru) Способ получения производного бензоксазина, способы получения его промежуточного соединения и промежуточные соединения
KR0163156B1 (ko) 광학활성 2-아실옥시메틸글라이시돌 및 그의 제조방법