JP2001020488A - 塗膜補修フィルム、塗膜補修フィルムの製造方法および塗膜補修方法 - Google Patents

塗膜補修フィルム、塗膜補修フィルムの製造方法および塗膜補修方法

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JP2001020488A
JP2001020488A JP11190270A JP19027099A JP2001020488A JP 2001020488 A JP2001020488 A JP 2001020488A JP 11190270 A JP11190270 A JP 11190270A JP 19027099 A JP19027099 A JP 19027099A JP 2001020488 A JP2001020488 A JP 2001020488A
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repair
coating film
film
coating
boiling point
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JP11190270A
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Masahiro Nishio
正浩 西尾
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塗膜補修に用いる塗膜補修フィルム、補修フィ
ルムの製造方法および補修方法、特に建材等を工場等で
ライン塗装され模様が付与された積層塗膜の塗膜欠陥箇
所を、施工現場で補修する場合に好適に用いられる塗膜
補修フィルム、補修フィルムの製造方法および補修方法
を提供する。 【解決手段】離型可能な基板上に補修用塗膜が形成され
ており、上記補修用塗膜が高沸点溶剤を含む塗膜補修フ
ィルム、該塗膜補修フィルムの製造方法および該塗膜補
修フィルムを用いた補修方法。好ましくは、上記記載の
高沸点溶剤が、沸点150〜300℃の沸点を有し、上
記補修塗膜が、模様が形成された積層塗膜であり、補修
塗膜の最表層塗膜がクリヤー塗膜である塗膜補修フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は塗膜補修に用いる塗膜補
修フィルムおよび塗膜補修方法、特に建材等を工場等で
ライン塗装され模様が付与された積層塗膜の塗膜欠陥箇
所を、施工現場で補修する場合に好適に用いられる塗膜
補修フィルムおよび塗膜補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建造物の内外壁の素材として、工
場等でライン塗装により模様が付与された積層塗膜を有
する建材が多く用いられている。この方法は深みのある
落ち着いた模様を付与することが可能であるため、高級
感の醸成などの品質の向上に寄与している。しかし、上
記積層塗膜を有する建材を生産工場から施工現場への運
搬する際に、また施工現場において、傷の発生や汚れの
付着等による塗膜欠陥が発生することがある。この塗膜
欠陥を補修するために種々の方法が提案されている。例
えば、特開平10−325225号公報には、多彩模様
からなるランダムメッシュ層を含んだ補修シートが提案
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−325225号公報の補修方法は、用いる補修シ
ートの特性から、補修対象が多彩模様塗膜や弾性塗膜に
限定されてしまう。さらにこの補修シートはランダムメ
ッシュ層に不規則な形状および分布の開口部ないし小孔
が存在しているため、補修時にシートが破れやすく、補
修時の取り扱いに配慮が必要である。
【0004】本発明は上記従来の課題に鑑みたものであ
り、その目的は、広い範囲の種類の塗膜に対しての補修
が可能であり、補修作業性に優れた塗膜補修フィルムお
よび補修方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ために、本発明者等は、鋭意研究した結果、以下の本発
明に至った。 1.離型可能な基板上に補修用塗膜が形成されており、
前記補修用塗膜が高沸点溶剤を含むことを特徴とする塗
膜補修フィルム。 2.上記高沸点溶剤の沸点が、150〜300℃である
塗膜補修フィルム。 3.上記離型可能な基板が、補修対象塗膜の基材の表面
形状と略同一である上記記載の塗膜補修フィルム。 4.上記補修用塗膜が積層構造を有するものである塗膜
補修フィルム。 5.上記補修用塗膜が模様塗膜である塗膜補修フィル
ム。 6.上記補修用塗膜の最表層がクリヤー塗膜層である塗
膜補修フィルム。 7.離型可能な基板上に補修用塗膜を形成し、上記補修
用塗膜に高沸点溶剤を浸透させることを特徴とする塗膜
補修フィルムの製造方法。 8.上記補修用塗膜が、補修対象塗膜と同じ構造を有す
るものである塗膜補修フィルムの製造方法。 9.離型可能な基板上に、高沸点溶剤を含む補修用塗膜
が形成されている塗膜補修フィルムを用意し、上記補修
用塗膜を補修対象塗膜の補修箇所に応じた大きさに切り
取ったものを、貼付剤が塗布された上記補修箇所に対し
て貼付する塗膜補修方法。 10.上記補修用塗膜に細孔を開ける塗膜補修方法。 11.上記貼付剤が、上記補修用塗膜の最表層を形成す
る塗料または樹脂である塗膜補修方法。 12.上記補修用塗膜が、上記補修対象塗膜と同じ構造
を有するものである塗膜補修方法。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の塗膜補修フィルムは、離
型可能な基板上に補修用塗膜が形成されており、前記補
修用塗膜が高沸点溶剤を含んでいる。
【0007】上記基板は離型可能である。離型可能と
は、基板上に塗膜が形成された場合に、その塗膜を基板
から剥離することが可能であることを意味する。また、
離型を可能にするために市販の離型剤を用いることが可
能である。
【0008】上記基板として用いられる材料としては、
例えば、アクリル樹脂板、ポリプロピレン樹脂板等を挙
げることができ、離型性の点から、ポリプロピレン樹脂
板を用いることが好ましい。
【0009】上記基板の大きさおよび厚みは任意に設定
することができる。取り扱いの作業性を考慮すると、例
えば、大きさとして30×30〜100×100cm、
厚みとしての2〜50mmを有するものを用いることが
できる。
【0010】上記基板は、塗膜補修フィルム切断面の補
修後の違和感を低減するために、補修対象塗膜の基材の
表面形状と略同一とすることが好ましい。表面形状を略
同一するには、補修対象塗膜の基材の型取り等によって
基板を成形することで可能となる。
【0011】本発明の塗膜補修フィルムには、補修用塗
膜が形成されている。
【0012】上記補修用塗膜としては、特に限定され
ず、様々の種類のものが形成されていて構わない。上記
補修用塗膜は、単層であっても構わないが、補修対象塗
膜が複層構造である場合には、これに適合させた積層構
造を有する塗膜であることが好ましい。また、上記補修
用塗膜は意匠性を有するものでなくてもよいが、本発明
の塗膜補修フィルムの使用に適した建材は、模様が付与
されていることが多いため、模様塗膜であることが好ま
しい。このような模様塗膜は、建材に対して適用される
ものを用いることができる。さらに、上記補修用塗膜
は、その最表層がクリヤー塗膜層であることが好まし
い。ここで補修用塗膜が単層である場合には、補修用塗
膜そのものがクリヤー塗膜となるが、クリヤー塗膜単独
で使用されることは少ないため、補修用塗膜の最表層が
クリヤー塗膜層である場合には、補修用塗膜は実質上複
層構造を有することになる。なお、ここでいうクリヤー
塗膜は、つや消しのものや骨材を含有したものや、およ
びその透明性を妨げない程度に着色されたものも含んで
いる。
【0013】上記補修用塗膜が、積層構造を有する塗
膜、模様塗膜ならびにその最表層がクリヤー塗膜層とな
る具体例としては、例えば、ベースコート塗膜層、ベー
スコート塗膜層とのコントラストの差があり、模様とし
て認識可能な模様塗膜層、クリヤー塗膜層または骨材含
有クリヤー塗膜層からなるものを挙げることができる。
また、クリヤー塗膜層として骨材含有クリヤー塗膜層を
形成した場合、骨材として着色骨材等を使用し模様が形
成されるので、上記模様形成塗膜層は、省略することも
できる。
【0014】特に好ましくは、ベースコート用塗料によ
るベースコート層、次いで(1)所定意匠の模様形成を
転写するスポンジ転写ロールを用いた、塗装時残留粘度
が0.1〜5Pas(25℃)、降伏値が5〜30Pa
(25℃)で、塗料液の表面張力が、25〜45dyn
/cmである模様形成用塗料による所定意匠の模様塗膜
層、または(2)平均粒径0.1〜1mmの着色または
非着色骨材と樹脂とを含む塗料により形成される模様塗
膜層、次いで塗料液の表面張力が、ベースコート用塗料
および模様形成用塗料の乾燥塗膜の表面張力より大きく
なく、乾燥膜厚10μm、波長300〜320nmでの
紫外線透過率が0〜50%であるクリヤー塗料によるク
リヤー塗膜層からなる積層塗膜である。もちろん、この
クリヤー塗料に骨材または着色骨材を含有させて、意匠
性を向上させたものであってもよい。
【0015】なお、上記補修用塗膜の形成に用いられる
塗料の樹脂種としては、例えばアクリル樹脂、ポリエス
テル樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹脂、アク
リルウレタン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポ
キシ樹脂等を用いた溶剤型塗料、エマルション型等の水
性塗料が挙げられる。耐候性の点より、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アクリルシリコン樹
脂、アクリルウレタン樹脂、フッ素樹脂を用いた塗料か
ら形成されたものが好ましく、エマルション型等の水性
塗料から形成されたものが環境保全の点から好ましい。
【0016】上記補修用塗膜は、高沸点溶剤を含んでい
る。そのため、補修用塗膜の柔軟性が発現し、補修箇所
に凹凸や湾曲部があっても、塗膜補修フィルムを貼付す
ることができる。なお、本発明では、溶剤とは認識され
ていない可塑剤も高沸点溶剤に含めるものとする。
【0017】上記高沸点溶剤は、150〜300℃の沸
点を有する有機溶剤が好ましい。沸点が150℃未満で
は、溶剤の揮発が早く、貼付の作業性に問題が生じる。
沸点が300℃を越えると、時間が経過しても溶剤が揮
発せず、補修部分の硬度が増加しない。より好ましい沸
点は、170〜270℃である。沸点150〜300℃
の沸点を有する有機溶剤として、具体的には、ベンジル
アルコール(沸点:205℃)、n−ヘキシルアルコー
ル(沸点:157℃)、2−エチルヘキシルアルコール
(沸点:185℃)、イソホロン(沸点:215℃)、
フルフリルアルコール(沸点:168℃)、ジクロルエ
チルエーテル(沸点:179℃)、ジアセトンアルコー
ル(沸点:169℃)、シクロヘキサノール(沸点:1
61℃)、酢酸シクロヘキシル(沸点:177℃)、酢
酸2−エチルブチル(沸点:162℃)、乳酸エチルエ
ステル(沸点:154℃)、乳酸ブチルエステル(沸
点:188℃)、酪酸ブチルエステル(沸点:166
℃)、蓚酸エチルエステル(沸点:185℃)、安息香
酸エチルエステル(沸点:199℃)、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル(沸点:171℃)、エチレン
グリコールモノベンジルエーテル(沸点:256℃)、
ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
(沸点:247℃)、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル(沸点:203℃)、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル(沸点:194℃)、ジエチレングリ
コールジエチルエーテル(沸点:188℃)、ジエチレ
ングリコールジブチルエーテル(沸点:231℃)、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点:194
℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ート(沸点:217℃)、デカリン(沸点:199
℃)、テレピン(沸点:155℃)、2,2,4−トリ
メチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
(沸点:258℃)等が挙げられる。これらは、補修用
塗膜を構成する樹脂成分に応じて、選択することができ
るが、柔軟性付与の点より、エチレングリコールモノブ
チルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペン
タンジオールモノイソブチレートであることが好まし
い。
【0018】上記高沸点溶剤を予め、塗料中に含有させ
ておいてもよく、その場合には上記高沸点溶剤の含有量
は、塗料100重量部に対して1〜20重量部であるこ
とが好ましい。1重量部未満であると、補修用塗膜の柔
軟性が不充分となり、凹凸や湾曲部に対する貼付が困難
になる。一方、20重量部を越えると、補修用塗膜が過
度に膨潤し、補修に適した硬度を逸脱する恐れがある。
【0019】本発明の塗膜補修フィルムは、離型可能な
基板上に補修用塗膜を形成し、この補修用塗膜に高沸点
溶剤を浸透させることによって製造することができる。
ここで離型可能な基板は、上記塗膜補修フィルムについ
ての説明のところで述べたものと同じものである。
【0020】離型可能な基板上に形成される補修用塗膜
は、特に限定されないが、これについても上記塗膜補修
フィルムについての説明のところで述べたものが該当す
る。また、上記補修用塗膜は、補修対象塗膜と同じ構造
を有することが好ましい。言い換えれば、補修対象塗膜
と同じ塗膜であることが好ましい。これは、補修部と非
補修部との違和感をなくすことができるだけではなく、
本発明の塗膜補修フィルムの製造が容易になるためであ
る。すなわち、工場等でライン塗装により模様が付与さ
れた積層塗膜を有する建材に対して本発明の塗膜補修フ
ィルムを適用する場合、ライン塗装中に建材の空いたス
ペースに離型可能な基板を配置し、ライン塗装を行うこ
とにより、目的とする塗膜補修フィルムを容易に得るこ
とができる。
【0021】このようにして得られる、離型可能な基板
上に補修用塗膜が形成されたものに対する高沸点溶剤の
浸透は、上記補修用塗膜の表面に高沸点溶剤を塗布する
ことによって行うことができる。ここで用いられる高沸
点溶剤は、上記塗膜補修フィルムについての説明のとこ
ろで述べたものと同じである。
【0022】上記高沸点溶剤を補修用塗膜の表面へ塗布
する場合は、スプレー塗布、ローラー塗布、刷毛での塗
布等が可能であるが、作業性の点より、スプレー塗布が
好ましい。塗布量は、20〜200g/m2が好まし
く、20g/m2未満では、塗膜補修フィルムの柔軟性
が不足する恐れがあり、200g/m2を越えると補修
用塗膜が過度に膨潤し、補修に適した硬度を逸脱する恐
れがある。より好ましくは、50〜100g/m2であ
る。上記高沸点溶剤は、徐々に、補修用塗膜に浸透して
いくことから、塗布後、例えば、1〜24時間、常温で
放置し、充分に浸透を行ってから、補修に使用すること
が好ましい。
【0023】本発明の塗膜補修方法は、離型可能な基板
上に、高沸点溶剤を含む補修用塗膜が形成されている塗
膜補修フィルムを用意し、前記補修用塗膜を補修対象塗
膜の補修箇所に応じた大きさに切り取ったものを、貼付
剤が塗布された前記補修箇所に対して貼付することを特
徴とするものである。
【0024】本発明の塗膜補修方法の対象となる塗膜
は、特に限定されるものでないが、建材等を工場等でラ
イン塗装され模様が付与された積層塗膜であることが好
ましい。上記建材としては、種々のものが挙げられるが
凹凸加工された窯業系建材であってもよい。上記凹凸加
工された窯業系建材としては、例えば住宅の内外壁に用
いる窯業系建材であって、石綿スレート板、木片セメン
ト板、珪酸カルシウム板、炭酸マグネシウム板、スラグ
石膏板、軽量気泡コンクリート板およびそれらを用いた
パネルを挙げることができる。上記凹凸加工は、エンボ
ス加工、溝加工等によって行われる。
【0025】上記用意される塗膜補修フィルムは、すで
に上で述べたものを用いることができるが、補修部と非
補修部との違和感をなくす点から、補修対象塗膜に類似
した意匠を有するものが好ましく、補修対象塗膜と同一
の塗装工程により得られた塗膜補修フィルムを用いるこ
とが特に好ましい。
【0026】本発明の塗膜補修方法においては、次に、
補修用塗膜を補修対象塗膜の補修箇所に応じた大きさに
切り取る。切り取りは、直線が少ない任意の不定形の形
状になるように行うことが好ましい。切断部に直線が多
いと、補修箇所の境界線が顕在し、補修性が低下する恐
れがある。上記塗膜補修フィルムは柔軟性を有している
ため、直線が少ない任意の不定形の形状に切り取ること
が容易である。なお、この切り取りの作業は、通常、補
修用塗膜を基板から剥がしてから行われるが、基板の材
質が柔らかいものであり、補修用塗膜と基板とを同時に
切り取り、その後で補修用塗膜を基板から剥がしても構
わない。
【0027】次にこのようにして切り取った補修用塗膜
を、補修箇所に対して貼付する。上記補修箇所は、必要
であればサンドペーパー等で目荒らし等の下地処理を行
われており、多少広めに貼付剤が塗布されている。貼付
剤は、接着性を有するものであれば特に限定されない
が、上記補修用塗膜の最表層の形成に用いた塗料または
樹脂を用いることが好ましい。上記貼付剤の塗布は、補
修面積に適した塗布方法、例えばスプレー塗布、ローラ
ー塗布、刷毛により行うことができる。
【0028】補修用塗膜の補修箇所に対する貼付は、上
記貼付剤に流動性がある状態で、切り取った補修用塗膜
を貼付剤の上から、押しつけることにより行われる。本
発明の塗膜補修方法に用いられる補修用塗膜は柔軟性を
有しているため、補修箇所に凹凸や湾曲部があっても、
容易に貼付することができる。
【0029】この際、補修用塗膜に細孔を開けることに
より、上記貼付剤が上記細孔を通して、表面や境界部に
広がる。これにより、補修部と非補修部とが一体化しや
すく、補修性が向上する。上記細孔は、貼付剤が拡散で
きる大きさであればよいが、塗膜外観を損なわないため
には、その直径は3mm以下であることが好ましい。ま
た上記細孔は、上記補修用塗膜に対して複数個設けるこ
とが好ましい。その配置は任意であるが、補修性の向上
の点からは、略同一間隔が好ましい。
【0030】上記細孔は、例えば、針、ピン等の先の尖
った道具を用いて、補修用塗膜を貫通するように表面ま
たは裏面から開けることができる。なお、上記細孔を開
ける作業は、貼付前後の任意の段階で行うことが可能で
ある。上記細孔を貼付前の段階で開ける方法として、離
型可能な基板に補修用塗膜が被覆されない程度の大き目
の穴を空けておくことにより、また離型可能な基板に補
修用塗膜の膜厚より長い離型可能な針状突起を形成して
おくことにより、補修用塗膜を離型時に細孔を補修用塗
膜に開けることができる。
【0031】このように貼付後、常温で1〜7日間放置
することにより、補修が完了する。貼付当初には上記補
修用塗膜の硬度は、非補修部の塗膜硬度と異なるが、経
時的に塗膜補修フィルム中の高沸点溶剤が揮散し、非補
修部の塗膜硬度と略同一となり、外観的に差異がなくな
る。
【0032】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明
を具体的に説明する。
【0033】実施例1〜9、比較例1〜3基材および転写ロールの選定 塗膜補修フィルムの基板:下記窯業サイディング系外装
用建材パネルの表面の微細な凹凸形状を型取りした厚
さ;1〜5mm、幅;100mm、長さ;200mmの
ポリプロピレン樹脂板を塗膜補修フィルムの基板とし
た。なお実施例8および9の基材は、上記基板上に離型
処理した長さ50mm、太さ1mmの針を、間隔5mm
で配設したものを使用した。
【0034】補修対象塗膜の基材:厚さ;12mm、
幅;460mm、長さ;900mmの窯業サイディング
系外装用建材パネル表面に、表面部幅;10mm、底部
幅;7mm、深さ;3mmの溝を、幅方向(搬入方向と
直角の方向)で65mm毎、長さ方向(搬入方向と同じ
方向)で300mm毎に彫り、溝以外の凸部面にも微細
な凹凸を有するものを補修対象塗膜の基材とした。
【0035】模様形成用凸版転写ロール:凸版転写ロー
ルに、柄の大きさの径が5〜20mmで凸部に0.2m
mの深さの溝を1インチ当たり60本の割合でメッシュ
状に形成した、窯変柄のスポンジ凸版転写ロールを模様
形成用塗料の塗布に使用した。
【0036】塗料の選定 以下、補修対象塗膜の塗料と同一塗料を使用した。
【0037】ベースコート用塗料: ベースコート用塗料A 塗料種:アクリル樹脂エマルション塗料(樹脂と顔料の
固形分重量比:15/10)、乾燥塗膜の表面張力:3
8dyn/cm(N‐アルキルピロリドン系界面活性剤
を用いて調整)、乾燥塗膜の床すべり抵抗係数:0.2
(炭酸カルシウムを用いて調整) ベースコート用塗料B 塗料種:シリコン変性アクリル樹脂エマルション塗料
(樹脂と顔料の固形分重量比:13/10)、乾燥塗膜
の表面張力:35dyn/cm(N‐アルキルピロリド
ン系界面活性剤を用いて調整)、乾燥塗膜の床すべり抵
抗係数:0.3(炭酸カルシウムを用いて調整)
【0038】模様形成用塗料: 模様形成用塗料A 塗料種:骨材として最大粒径1mmの青色と黄色の2種
類の着色珪砂を塗料固形分100重量部に対して各々4
重量部含有したアクリル樹脂エマルション、塗料液の表
面張力:32dyn/cm、乾燥塗膜の表面張力:33
dyn/cm、残留粘度0.5Pas、降伏値15Pa 模様形成用塗料B 塗料種:シリコン変性アクリル樹脂エマルション塗料、
塗料液の表面張力:32dyn/cm、乾燥塗膜の表面
張力:32dyn/cm、残留粘度0.5Pas、降伏
値15Pa
【0039】クリヤー塗料: クリヤー塗料A 塗料種:紫外線透過率が8%になるようにベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤を用いたアクリル樹脂エマルショ
ン塗料、塗料液の表面張力:31dyn/cm(N‐ア
ルキルピロリドン系界面活性剤で調整) クリヤー塗料B 塗料種:紫外線透過率が6%になるようにオキサゾリン
系紫外線吸収剤を用いた、骨材として平均粒径300μ
mの黒色と黄色の2種類の着色硅砂を塗料固形分100
重量部に対して、各々4重量部添加したシリコン変性ア
クリル樹脂エマルション塗料、塗料液の表面張力:30
dyn/cm(N‐アルキルピロリドン系界面活性剤で
調整) 下塗り塗料:ベースコート用塗料Aと同一の塗料を使用
した。
【0040】測定方法 床すべり摩擦抵抗係数:JISA1407「床のすべり
試験方法(振り子型)」において上記ベースコート形成
用塗料の乾燥塗膜を試験片とし、該試験方法に用いるす
べり片の該試験片接触部位に上記模様塗膜形成用塗料を
塗布し、塗布5秒後に模様塗膜形成用塗料との床すべり
抵抗係数を測定した。乾燥塗膜の表面張力:JISK6
786「ポリエチレンおよびポリプロピレンフィルムの
濡れ試験方法」においてベースコート形成用塗料の乾燥
塗膜を試験片とし、該試験方法に用いる標準液にて表面
張力を測定した。 塗料液の表面張力:「ダイノメーター」(ビッグケミー
・ジャパン社製)にて表面張力を測定した。 残留粘度、降伏値:コーンプレート型回転粘度計(東京
計器社製「E型粘度計」)を用いて、ずり速度を変化さ
せて、ずり応力を測定し「CASSONの式」から残留
粘度、降伏値を測定した。 紫外線透過率:乾燥膜厚が10μmのクリヤー塗膜片を
「分光光度計U−3200」(日立製作所社製)にて波
長300〜320nmの紫外線透過率を測定した。
【0041】塗膜形成方法 補修対象塗膜の形成:補修対象塗膜の基材に、ベースコ
ート用塗料を、スプレー塗装にて70g/m2になるよ
うに塗装し、100℃で5分間乾燥した。さらに、実施
例1〜4、8、9、比較例1および3では、ノズル口径
3mmのエアースプレーガン塗装にて、模様形成用塗料
Aを乾燥塗布量が100g/m2になるように塗装し、
100℃で5分間乾燥した。また、実施例5〜7および
比較例2では、凸版転写ロールに柄の大きさの径が5〜
20mmで、凸部に0.2mmの深さの溝を1インチ当
たり60本の割合でメッシュ状に形成した窯変柄のスポ
ンジ凸版転写ロール(AまたはB)を設置したロールコ
ーターにて、模様塗膜形成用塗料Bを乾燥膜厚10〜3
0μm(乾燥塗布量が20g/m2)になるように送り
ロールと凸版転写ロールの間隙を10mmにて塗装し、
100℃で5分間乾燥した。その後、各実施例および比
較例ともクリヤー塗膜形成用塗料を乾燥塗布量が30g
/m2になるようにスプレー塗装し、100℃で10分
間乾燥して積層塗膜を形成した。各実施例、比較例にお
ける塗料の組み合わせを表1に示した。
【0042】塗膜補修フィルムの製造:上記塗膜補修フ
ィルム用に選定した基板に、上記補修対象塗膜の形成と
同一条件で各塗膜が積層して、塗膜補修フィルムを形成
し、次いで表1に示す高沸点溶剤を表1に示す塗布量で
スプレー塗布した。各実施例、比較例における塗膜の組
み合わせを表1に示した。
【0043】補修方法:塗膜欠陥部として、塗膜形成さ
れた基材を積み重ねた際に生じた基材裏面からの擦傷部
を、塗膜欠陥部をエアーブローにより、粉塵、汚れを除
去し下地処理を行った。次いで補修箇所より多少広め
に、補修用塗膜の貼付剤としてクリヤー塗料AまたはB
を刷毛と筆を傷によって使い分けて塗布した。貼付剤に
流動性がある状態で、補修用塗膜を離型可能な基板から
剥がし、切断線に直線部ができるだけ少なくなるよう切
断線がギザギザとなるように補修に必要な大きさで切断
した。次いで補修用塗膜を貼付剤の上から、押しつけな
がら貼付した。貼付後、補修用塗膜に針を用いて補修対
象部に貫通する直径1mmの細孔を、約10mm間隔で
開け、さらに補修用塗膜を押し付けた。なお実施例13
〜16の補修用塗膜は、既に細孔が開いているためこの
段階での細孔を開ける操作は、不要であった。貼付剤
が、補修用塗膜の貫通した穴を通して、表面や境界部に
広がり、広がった貼付剤を補修部と非補修部が、一体と
なるように刷毛でならした。補修作業性および補修部と
非補修部との補修後の塗膜外観を目視で評価し、結果を
表1に示した。
【0044】評価項目 補修性;塗膜補修フィルムの切断性および貼付性を以下
の基準で評価した。 5…任意の形状に非常に容易に切断可能で、貼付作業に
問題なし 4…任意の形状に容易に切断可能で、貼付作業に問題な
し 3…任意の形状に容易に切断可能で、貼付作業時に塗膜
補修フィルムが捲れる不具合が発生 2…任意の形状に切断が困難で、貼付作業時に補修フィ
ルムに亀裂が発生 1…任意の形状に切断が困難で、貼付作業時に塗膜補修
フィルムが捲れる不具合が発生 塗膜外観;目視により補修部と非補修部との差異を観察
し評価した。 4…補修部と非補修部の差異がない 3…補修部と非補修部の差異は認められるが実用上問題
ないレベルである 2…補修部と非補修部の差異があり、多少問題となるレ
ベルである 1…補修部と非補修部の差異が、顕著にある
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る塗膜補修フ
ィルムおよびこの塗膜補修フィルムを用いた補修方法に
よれば、特に工場等でライン塗装され模様が付与された
積層塗膜を有する建材の塗膜欠陥を、施工現場において
簡便に、かつ補修部と非補修部との差異を生ずることな
く行える方法を提供することが可能となった。
【0047】また、本発明の塗膜補修フィルムは、補修
対象に応じて選択することができるので広い範囲の種類
の塗膜に対する補修が可能である。
【0048】さらに上記基板を補修対象塗膜の基材の表
面形状と略同一とすることにより、塗膜補修フィルム切
断面の補修後の違和感を低減することが可能となった。
【0049】このように本発明の塗膜補修方法を用いる
ことにより、深みのある落ち着いた高級感を醸成した模
様が付与された化粧建材等の施工を安定して行うことが
できる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】離型可能な基板上に補修用塗膜が形成され
    ており、前記補修用塗膜が高沸点溶剤を含むことを特徴
    とする塗膜補修フィルム。
  2. 【請求項2】前記高沸点溶剤の沸点が、150〜300
    ℃である請求項1記載の塗膜補修フィルム。
  3. 【請求項3】前記離型可能な基板が、補修対象塗膜の基
    材の表面形状と略同一である請求項1または2記載の塗
    膜補修フィルム。
  4. 【請求項4】前記補修用塗膜が積層構造を有するもので
    ある、請求項1ないし3いずれか1項に記載の塗膜補修
    フィルム。
  5. 【請求項5】前記補修用塗膜が模様塗膜である、請求項
    1ないし4いずれか1項に記載の塗膜補修フィルム。
  6. 【請求項6】前記補修用塗膜の最表層がクリヤー塗膜層
    である、請求項1ないし5いずれか1項に記載の塗膜補
    修フィルム。
  7. 【請求項7】離型可能な基板上に補修用塗膜を形成し、
    前記補修用塗膜に高沸点溶剤を浸透させることを特徴と
    する塗膜補修フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】前記補修用塗膜が、補修対象塗膜と同じ構
    造を有するものである請求項7記載の塗膜補修フィルム
    の製造方法。
  9. 【請求項9】離型可能な基板上に、高沸点溶剤を含む補
    修用塗膜が形成されている塗膜補修フィルムを用意し、
    前記補修用塗膜を補修対象塗膜の補修箇所に応じた大き
    さに切り取ったものを、貼付剤が塗布された前記補修箇
    所に対して貼付することを特徴とする塗膜補修方法。
  10. 【請求項10】前記補修用塗膜に細孔を開けることを特
    徴とする請求項9記載の塗膜補修方法。
  11. 【請求項11】前記貼付剤が、前記補修用塗膜の最表層
    を形成する塗料または樹脂である請求項9または10記
    載の塗膜補修方法。
  12. 【請求項12】前記補修用塗膜が、前記補修対象塗膜と
    同じ構造を有するものである請求項9ないし11いずれ
    か1項に記載の塗膜補修方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018024224A (ja) * 2016-07-25 2018-02-15 株式会社ハセ・プロ 補修用貼付シート及び補修対象面の補修方法
CN114381180A (zh) * 2020-10-20 2022-04-22 廊坊立邦涂料有限公司 一种单组分修补色漆及其制备方法和应用

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