JP2001019557A - 窒化珪素焼結体とその製造方法、及び回路基板 - Google Patents

窒化珪素焼結体とその製造方法、及び回路基板

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JP2001019557A
JP2001019557A JP11185474A JP18547499A JP2001019557A JP 2001019557 A JP2001019557 A JP 2001019557A JP 11185474 A JP11185474 A JP 11185474A JP 18547499 A JP18547499 A JP 18547499A JP 2001019557 A JP2001019557 A JP 2001019557A
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nitride sintered
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Hiroshi Yokota
博 横田
Yoichi Ogata
陽一 尾形
Hideyuki Emoto
秀幸 江本
Suzuya Yamada
鈴弥 山田
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高熱伝導性で、しかも機械的特性に優れる窒化
珪素焼結体を提供する。 【解決手段】酸素、Al、Ca、Feの含有量の合計が
1500ppm以下であり、短軸径が2μm以上である
窒化珪素粒子を有することを特徴とする窒化珪素焼結体
であり、窒化珪素粉末にイットリウム及び/又はランタ
ノイド族元素の1種以上の酸化物を添加してなる原料粉
末を成形後に焼結する窒化珪素焼結体の製造方法であっ
て、Alを300ppm以下、酸素を1重量%以下含有
し、α化率が70%以下である窒化珪素粉末を用いる前
記窒化珪素焼結体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体用の基板、
自動車、機械などの幅広い分野で使用される各種構造部
品、電気部品の素材として利用できる、高い熱伝導率を
有するとともに強度、破壊靭性等の機械的特性にも優れ
た窒化珪素焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素焼結体(窒化珪素セラミックス
ともいう)は、化学的に安定な材料であり、優れた機械
的特性を有するので、自動車用エンジン部材、摺動部材
等として適した材料である。また、高い絶縁性を利用し
て、電気絶縁材としても使用されている。
【0003】しかしながら、窒化珪素は共有結合性の強
い物質であり、優れた高温特性を有する反面、難焼結性
の物質である。このため、窒化珪素セラミックスは、Y
23等の酸化物を焼結助剤として添加し、焼結性を高め
て緻密化させている。これらの焼結助剤及び原料である
窒化珪素中に含まれるSiO2が窒化珪素セラミックス
の粒界相を形成し、機械的特性や熱的特性に影響を及ぼ
す。
【0004】従来の窒化珪素セラミックスは、窒化珪素
粉末に焼結助剤を添加し、成形した後、得られた成形体
を1600〜2200℃の高温で所定時間焼成し、得ら
れた焼結体を所望の形状に研削加工して製造されてい
る。
【0005】一方、半導体回路用の基板としては、電気
絶縁性に加えて、優れた放熱特性が要求されるために高
熱伝導率が必要となる。
【0006】近年、回路基板を自動車あるいは高速電気
鉄道用途に適用するために、回路基板の小型化、半導体
素子の高集積化等が進みに従い、これらの回路基板にお
ける絶縁材料の一層の放熱特性アップが望まれてきてい
る。このような材料としてはBeOを添加した炭化ケイ
素(SiC)や窒化アルミニウム(AlN)等が開発さ
れている。しかしながら、SiCやAlNは熱伝導率は
高いが、強度や破壊靭性と言った機械的特性が低いた
め、耐熱サイクル特性や取り扱い時の強度等に問題があ
る。
【0007】即ち、従来の電気絶縁性高熱伝導セラミッ
クスとして知られているSiC、BeO、AlNは、熱
伝導率が100W/mK以上と高く、放熱特性には優れ
ているが、強度、破壊靭性等の機械的特性が低くく、こ
のために、回路基板等として用いる場合、実装工程にお
いて半導体素子をネジ締めで固定する際にセラミックス
基板の割れ等の破損を生じたり、半導体素子の作動に伴
う繰り返し熱サイクルを受けて、金属回路層との接合部
付近のセラミックス基板にクラックが発生し易く、耐熱
サイクル特性及び信頼性が低いと言う問題がある。
【0008】窒化珪素焼結体は、強度や破壊靭性等の機
械的特性に優れるため、構造材料への適用が進んでいる
材料ではあるが、SiCやAlNに比べて熱伝導率が低
いため、高い放熱特性が要求される電気絶縁性基板への
適用は十分には進んでいなかった。一般的な焼結助剤で
あるY23とAl23を添加した焼結体では、熱伝導率
は20W/mK程度であり、AlNやSiCの100〜
270W/mKに比較すると非常に低熱伝導率であっ
た。
【0009】窒化珪素は電気絶縁材料であるため、室温
付近での熱伝達は主にフォノンによって起こる。フォノ
ンは空孔、転移、点欠陥などの結晶格子の乱れや、粒界
相、気孔等により散乱されるので、窒化珪素の熱伝導率
も窒化珪素粒子の結晶学的純度や焼結助剤の種類、焼結
体密度などの影響を受ける。窒化珪素の理論的予測値
は、その結晶構造から280W/mK程度であると推測
されているが、実際に窒化珪素の単結晶を合成して実用
用途に適用することは難しく、一般には焼結体として製
造されている。
【0010】窒化珪素の焼結は、窒化珪素粒子が焼結助
剤と窒化珪素粉末中に含まれるSiO2成分とから構成
される液相に溶解、析出しながら進むので、得られる窒
化珪素焼結体中の個々の窒化珪素粒子は単結晶に近いと
考えられ、比較的高熱伝導率が期待される。しかし、実
際の窒化珪素焼結体においては、前述した粒界相や窒化
珪素粒子内への結晶学的純度の影響の方が大きく、通常
の製造条件によるならば、理論熱伝導率の1〜2割程度
の熱伝導率しか得られていないのが現状である。
【0011】窒化珪素焼結体の高熱伝導化については、
「日本セラミックス協会学術論文誌」1989年1月号
56〜62頁に、Alを含む焼結助剤を用いず、Y23
のみを添加してHIP(熱間等方圧)焼結することによ
り、熱伝導率が70W/mKの焼結体を得られること
が、記載されている。
【0012】また、特開平4−175268号公報や特
開平4−219371号公報に記載されている通りに、
焼結体中のAl、酸素含有量を低下させ、Ti、Zr、
Hf等の金属を添加し、場合によってはY23を焼結助
剤として添加することにより、熱伝導率40W/mK以
上の焼結体を得る方法が知られている。
【0013】更に、「日本セラミックス協会学術論文
誌」1996年1月号49〜53頁には、焼結助剤とし
て少量のY23及びNd23を用い、2200℃と非常
に高い温度で4時間HIP焼結することにより、熱伝導
率が122W/mKの窒化珪素焼結体を得ている。
【0014】従来の窒化珪素セラミックスは、強度、破
壊靭性等の機械的特性には優れていても、熱伝導率に関
しては、上記の通りにSiC、AlN、BeOセラミッ
クスに比べてまだ低く実用上充分でないこと、更には、
高熱伝導率を有したものを得ようとすると、Al等の不
純物が少ない高純度の窒化珪素原料粉末を用いて、高温
でHIP焼結等の特殊な焼結法を用いなければならず、
得られる焼結体が非常に高価になってしまい、半導体用
回路基板等の電子材料用途にはほとんど実用化されてい
ないのが現実である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであり、高熱伝導性、並びに強度
や破壊靭性などの優れた機械的特性を損なうことなく、
放熱特性及び信頼性に優れる半導体回路基板やバルブ等
の自動車部品の素材として好適な窒化珪素焼結体を安価
に提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、窒化珪素焼結体を得るための原料粉末
の粉体特性、焼結助剤の組成、量、更には焼結条件等に
関して鋭意検討した結果、得られる窒化珪素焼結体中の
所定サイズ以上の窒化珪素粒子が特定の組成を満足する
ときに、強度や破壊靭性などの優れた機械的特性を損な
うことなく、しかも従来よりも高熱伝導性を示す窒化珪
素焼結体を得て、本発明を完成するに至った。
【0017】すなわち、本発明は、窒化珪素粉末に、イ
ットリア及び/又はランタノイド族元素の1種以上の酸
化物を添加してなる原料粉末を成形後に焼結する窒化珪
素焼結体の製造方法であって、Alを300ppm以
下、酸素を1重量%以下含有し、α化率が70%以下で
ある窒化珪素粉末を用い、2μm以上の短軸径を有する
窒化珪素粒子の酸素、Al、Ca、Feの含有量の合計
が1500ppm以下となるように窒化珪素粒子を成長
させながら焼結することを特徴とする窒化珪素焼結体の
製造方法である。
【0018】本発明は、窒化珪素粉末のα化率をX%、
窒化珪素粉末中の累積平均径の2.5倍以上の粒径を有
する窒化珪素粒子の窒化珪素粉末中における割合をY体
積%とした場合に、0≦X≦70、Y≧0、しかもY≧
−0.05X+1を満足する粒度分布を有することを特
徴とする前記の窒化珪素焼結体の製造方法である。
【0019】本発明は、焼結操作を9.8MPa以下の
窒素加圧雰囲気中で、温度1800〜2000℃の範囲
で8時間以上保持することを特徴とする前記の窒化珪素
焼結体の製造方法である。
【0020】また、本発明は、酸素、Al、Ca、Fe
の含有量の合計が1500ppm以内であり、短軸径が
2μm以上である窒化珪素粒子を有することを特徴とす
る窒化珪素焼結体である。
【0021】本発明は、前記短軸径が2μm以上の窒化
珪素粒子が、窒化珪素焼結体全体に対して10面積%以
上65面積%以下であることを特徴とする前記の窒化珪
素焼結体である。
【0022】本発明は、前記短軸径が2μm以上の窒化
珪素粒子が、窒化珪素焼結体全体に対して10面積%以
上65面積%以下であることを特徴とする前記の窒化珪
素焼結体である。
【0023】本発明は、前記短軸径が2μm以上の窒化
珪素粒子が、窒化珪素焼結体全体に対して10〜35面
積%であり、しかも短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子
の面積平均径が17.5μm以下であることを特徴とす
る前記の窒化珪素焼結体である。
【0024】本発明は、熱伝導率が100〜160W/
mKであることを特徴とする前記の窒化珪素焼結体であ
る。
【0025】本発明は、窒化珪素82〜91.5重量
%、イットリウム及び/又はランタノイド族元素合計が
酸化物換算して8〜15重量%、ハフニウムとジルコニ
ウムの合計が酸化物換算して0〜3重量%含有すること
を特徴とする前記の窒化珪素焼結体である。
【0026】本発明は、窒化珪素焼結体を構成する粒界
相が、M相(Re2Si334)又はJ相(Re4Si2
74)を含有し、前記M相とJ相のX線回折における
メインピーク強度の合計が当該窒化珪素焼結体中のβ型
窒化珪素の(200)面のピーク強度に対して0.01
〜0.2であることを特徴とする前記の窒化珪素焼結体
である。
【0027】加えて、本発明は、前記の窒化珪素焼結体
を用いてなることを特徴とする窒化珪素回路基板であ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】窒化珪素セラミックスは、柱状の
β型窒化珪素粒子が複雑に絡み合った微細組織を呈して
おり、この組織が強度、破壊靭性などの機械的特性に大
きく寄与している。また、焼結体中の気孔は、欠陥とし
て作用し強度特性に影響を及ぼす。窒化珪素セラミック
スにおいては、これらの欠陥をも含めた焼結体組織を最
適化することが、高い熱伝導率を有しながら強度、破壊
靭性等の機械的特性にも優れた焼結体を得るために重要
である。
【0029】窒化珪素焼結体中の窒化珪素粒子が相接す
る時の二粒子界面の厚みは1nm程度であり、これは室
温におけるフォノン平均自由工程の1/3程度以下であ
るから、窒化珪素焼結体の熱伝導率に寄与する割合は、
粒界相よりも窒化珪素粒子内の方が大きいと考えられ
る。従って、窒化珪素焼結体の熱伝導率を高くするに
は、窒化珪素粒子の結晶学的純度を上げることが重要で
あると考えられる。
【0030】本発明者らは、上記推察に基づき、窒化珪
素焼結体中の窒化珪素粒子の結晶学的純度を上げるため
に、いろいろな原料窒化珪素粉末や焼結助剤を用いて実
験的に検討した結果、特定の窒化珪素原料粉末を用い、
特定の焼結条件を採用することにより、酸素や特定の金
属不純物の窒化珪素粒子からの吐き出し、即ち窒化珪素
粒子の純化作用が生じ、その結果、2μm以上の短軸径
を有するまでに発達した窒化珪素粒子が成長し、しかも
それが高度に純化されている窒化珪素焼結体が、従来の
優れた機械的性質を損なうことなく、しかも熱伝導率が
著しく高く改善されているという知見を得て、本発明に
至ったものである。
【0031】すなわち、本発明は、窒化珪素粉末に、イ
ットリウム及び/又はランタノイド族元素の1種以上の
酸化物を添加してなる原料粉末を成形後に焼結する窒化
珪素焼結体の製造方法であって、Alを300ppm以
下、酸素を1重量%以下含有し、α化率が70%以下で
ある窒化珪素粉末を用い、2μm以上の短軸径を有する
窒化珪素粒子の酸素、Al、Ca、Feの含有量の合計
が1500ppm以下となるように窒化珪素粒子を成長
させながら焼結することを特徴とする窒化珪素焼結体の
製造方法である。
【0032】窒化珪素の焼結助剤としては、各種の酸化
物等が用いられているが、Al23に例示される窒化珪
素と固溶する焼結助剤を用いて得られる従来公知の窒化
珪素焼結体は、窒化珪素粒子内に前記アルミナ等の焼結
助剤が固溶した部分が点欠陥として存在するために、室
温付近においてはフォノン散乱を起こし、熱伝導率を低
下させる。これに対して、本発明では、窒化珪素と固溶
しないイットリウム及び/又はランタノイド族元素の1
種以上の酸化物を焼結助剤として採用しているものであ
る。前記イットリウム並びにランタノイド族元素の中で
は、Yb、Er、Dy、Hoなどのイオン半径の小さい
元素が好ましい。
【0033】本発明の焼結助剤とその添加量を例示すれ
ば、窒化珪素原料粉末82〜91.5重量%に対して、
イットリウム及び/又はランタノイド族元素合計が酸化
物換算して8〜15重量%、必要ならば、更にハフニウ
ムとジルコニウムの合計が酸化物換算して0〜3重量%
添加する。イットリウム及び/又はランタノイド族元素
の酸化物、並びにハフニウムとジルコニウムの酸化物
は、いずれも窒化珪素とは固溶しないので、焼結助剤と
して用いるとき、得られる窒化珪素焼結体の高熱伝導率
化へ寄与するからである。
【0034】イットリウム及び/又はランタノイド族元
素の合計が酸化物換算で8重量%未満では、液相総量が
少なくなくなるため、過度に粒成長し強度低下を招く場
合がある。特に6重量%以下の場合には得られる焼結体
の緻密化不足を招きやすい。また、15重量%以上の添
加量では粒界相量が多くなりすぎて粒界相でのフォノン
散乱の影響が窒化珪素粒内でのフォノン散乱に比べて無
視できなくなり、熱伝導率低下を招く場合がある。
【0035】一方、ハフニウム及び/又はジルコニウム
の添加は粒成長と純化効果の助長に役立つものであり、
必ずしも添加する必要はないが、ハフニウム及び/又は
ジルコニウムを0.5重量%〜3重量%添加すると焼結
時に窒化珪素粒子の成長と純化効果が助長され、本発明
の目的が達成しやすい。つまり、ハフニウムとジルコニ
ウムの酸化物の添加の合計量が0.5重量%未満では粒
成長への寄与は小さく、窒化珪素粒子純化作用へのさら
なる効果が認めがたいことがある。また、添加量が酸化
物換算で3重量%を超えるときには、粒界相の量が多く
なりすぎて粒界相でのフォノン散乱の影響が窒化珪素粒
内でのフォノン散乱に比べて無視できなくなり、熱伝導
率低下を招く場合がある。
【0036】次ぎに、本発明において、窒化珪素原料粉
末として、Alを300ppm以下、酸素を1重量%以
下含有し、α化率が70%以下である窒化珪素粉末を用
いる理由について説明する。
【0037】まず、Alについては、原料粉末中に含有
する金属不純物の中で、Alは焼結時における溶解−再
析出過程の中で粒界へ吐き出されることなく、窒化珪素
粒子中に固溶したまま存在するようになり、結果的に得
られる窒化珪素焼結体の熱伝導率を低下させてしまうた
めである。
【0038】原料窒化珪素粉末中のAl量の得られる窒
化珪素焼結体の熱伝導率への影響は、本発明者らの検討
結果に依れば、Alが100ppm増加する毎に窒化珪
素焼結体の熱伝導率を約3W/mK低下させるので、半
導体搭載用回路基板を狙って、例えば100W/mK以
上の高熱伝導率を発現させるためには、原料粉末中のA
l含有量を150ppm以下とすることが必要で、13
0W/mK以上の高熱伝導率を発現させるにはAl含有
量を100ppm以下に抑えることが好ましい。
【0039】また、窒化珪素粉末中に含有する酸素は、
焼結過程において通常SiO2として存在し、焼結時の
液相を構成するが、その存在量と得られる窒化珪素焼結
体の特性へ影響に関しては、本発明者らの検討結果に基
づけば、原料粉末時の酸素量が少なすぎると緻密化せず
に気孔が残存して熱伝導率が低下し、一旦固溶したAl
以外の金属不純物や酸素を粒界に吐き出す駆動力が低減
して窒化珪素粒内の純化作用を阻害すること、一方、多
すぎると液相形成時に窒化珪素粒子内に酸素が多量に固
溶して熱伝導率低下を起こすこと、液相中のSiO2
度が高くなり粒成長を抑制する効果があることが判っ
た。このような理由から、実際の製造上で問題なく焼結
体を得るには、1.0重量%以下であることが必要で、
0.5重量%以上であることが好ましい。
【0040】窒化珪素原料粉末のα化率については、α
化率が70%以上であると緻密化が阻害されてしまうこ
とがあり、この場合には焼結体中に気孔が残存して熱伝
導率が低下してしまう。半導体搭載用回路基板の用途に
適するため100W/mK以上の高熱伝導率窒化珪素焼
結体を作製しようとすると、相対密度として98〜10
0%が必要となる。従って、このようなほぼ理論密度に
達するような焼結体密度を得るには、窒化珪素原料粉の
α化率を70%以下にすることが必要である。
【0041】尚、α化率が70%以上の窒化珪素原料
を、窒化珪素と固溶しないイットリウム及び/又はラン
タノイド族元素の1種以上の酸化物を含有する焼結助剤
系とともに焼結する場合、SiO2を助剤として1重量
%以上添加することにより比較的容易に緻密化すること
ができるが、この場合は液相中のSiO2濃度が高くな
り前記の通り熱伝導率が低下するので100W/mK以
上の高熱伝導率は得がたい。
【0042】前記窒化珪素粉末とイットリウム及び/又
はランタノイド族元素の1種以上の酸化物を含有する混
合粉末を成形し焼結することで、本発明の焼結体を得る
ことができるが、その際の成形方法に関しては従来公知
の成形法、例えばプレス成形法、押出成形法、射出成形
法、鋳込み成形法等のいずれをも採用できる。また、焼
結方法については、本発明の目的を達成できればどのよ
うな方法でも構わないが、以下に詳述する窒素雰囲気下
での加圧焼結法が、高価な設備を必要とせず、安定し
て、多量に窒化珪素焼結体を供給できるので、好まし
い。
【0043】焼結時の雰囲気については、後述するよう
に、本発明で選択する温度範囲において、窒化珪素の分
解を抑えるために窒素加圧下で行なう必要がある。窒素
加圧の上限圧力は窒化珪素焼結体の熱伝導率及び強度や
破壊靭性などの機械的特性面から9.8MPa以下であ
り、好ましくは1MPa以下で行われれば、HIP等の
特殊な焼成装置を必要とせず、得られる焼結体のコスト
を安くすることができる。
【0044】窒素雰囲気下での加圧焼結方法では、前記
原料粉末から得た成形体を、9.8MPa以下の窒素加
圧雰囲気中で、温度1800〜2000℃の領域で加熱
し、焼結体中の窒化珪素粒子の短軸径が2μm以上にま
で成長させると共に、前記窒化珪素粒子中の酸素、A
l、Ca、Feの合計量が1500ppm以下になるま
で純化させればよいが、通常は、前記温度領域で8時間
以上保持すればよい。保持時間の上限については、窒化
珪素粒子の純化、成長という観点からは制限されない
が、生産性が低下すること、場合によっては窒化珪素粒
子が成長しすぎて強度が低下することなどの問題も発生
することがあり、通常72時間程度までの保持が好まし
い。
【0045】尚、前記温度領域について、1800℃未
満の焼成温度では緻密不足が発生し、2000℃を超え
る温度では、粒成長が進みすぎて得られる焼結体の強度
などの機械的特性が低下することがある。好ましい温度
領域は1850〜1950℃である。
【0046】また、窒化珪素粉末について、本発明者ら
の実験的検討の結果より、窒化珪素粉末のα化率をX
%、窒化珪素粉末の累積平均径の2.5倍の粒径を有す
る原料粉末中における割合をY体積%としたときに、0
≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05X+1を満
足する粒度分布を有することが、100W/mK以上の
熱伝導率を有する窒化珪素焼結体を得ることができるの
で、好ましい。
【0047】上記XとYとの関係については、本発明者
らが実験的検討の結果見出したものであり、半導体回路
基板等の用途に応じた熱伝導率を達成するためには、
X、Yが特定の関係を満足する必要があり、熱伝導率を
パラメーターとして前記の関係を示したものが図1であ
る。
【0048】即ち、窒化珪素粉末のα化率をX%、窒化
珪素粉末の累積平均径の2.5倍以上の粒径を有する窒
化珪素粒子の窒化珪素粉末中における割合をY体積%と
した場合に、100W/mK以上の高熱伝導率を得るた
めには、0≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05
X+1を満足する必要があり、115W/mK以上の高
熱伝導率を得るには、0≦X≦70、Y≧0、しかもY
≧−0.05X+2.5を満足することが好ましく、更
に、130W/mK以上の高熱伝導率を得るには、0≦
X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05X+4.5を
満足することが好ましい。
【0049】尚、本発明で使用する窒化珪素原料粉の粒
度分布を測定する方法は、JISR1629に準じてレ
ーザー散乱法によって測定できる。
【0050】上記の方法で得られる本発明の窒化珪素焼
結体の微細組織は、短軸径2μm以上の粗大粒子と、短
軸径2μm未満の微細な粒子並びに粒界相に分類するこ
とができる。短軸径2μm未満の微細粒子は、前述の純
化作用が十分に行われていないため、窒化珪素原料粉末
中の金属不純物や酸素が多く含有されており、窒化珪素
焼結体の中では粒界相とともにフォノンを散乱し、熱伝
導率を低下させる部分と考えられる。
【0051】これに対して、短軸径2μm以上の粗大粒
子は、粒成長と共に不純物の純化が進んでいるため、短
軸径2μm未満の微細粒子や粒界相に比べて、純度の高
い窒化珪素粒子となっており、この存在によって窒化珪
素焼結体の熱伝導が高く維持される。窒化珪素焼結体で
100W/mK以上の高熱伝導率を発現させるには、前
記粗大粒子中の酸素、Al、Ca、Feの含有量の合計
が1500ppm以下である。
【0052】前記窒化珪素焼結体中の不純物量測定方法
に関しては、窒化珪素焼結体を瑪瑙乳鉢で解砕した後、
60メッシュ篩通しを行ない、Journal of
the American Ceramic Soci
ety論文誌1994年7月号1857〜1862頁に
記載の方法で、粒界相を溶解させた後、湿式分級あるい
は遠心分級で短軸径2μmを境界に微細粒子と粗大粒子
とに分類する。その抽出された窒化珪素粒子の酸素分析
に付いてはLECO社製のO/N同時分析計(TC-4
36)にて定量し、他の金属不純物に付いてはICP分
析法で定量化すれば良い。
【0053】本発明の窒化珪素焼結体においては、上記
した通りに、窒化珪素粒子中における酸素、Al、C
a、Feの含有量の合計が1500ppm以内である短
軸径が2μm以上の窒化珪素粒子を有することが特徴で
ある。前記不純物量の合計が1500ppmよりも多い
と、100W/mK以上の高熱伝導率を発現させること
が難しく、半導体搭載用回路基板に用いた時の用途を制
限されてしまう。130W/mK以上の高熱伝導率を発
現するには、前記不純物量の合計が1000ppm以下
であることが好ましい。
【0054】本発明の窒化珪素焼結体においては、前記
短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子が、窒化珪素焼結体
全体に対して10面積%以上65面積%以下であること
が好ましい。前記の通り、窒化珪素は粒成長とともに窒
化珪素粒内の不純物を粒界に吐き出すことから、ある程
度の粒成長が必要である。短軸径が2μm以上の窒化珪
素粒子が、窒化珪素焼結体全体に対して10面積%未満
であれば、粒内純化作用が不充分で十分な高熱伝導率が
得られないことがある。また、短軸径が2μm以上の窒
化珪素粒子が、窒化珪素焼結体全体に対して65面積%
以上存在するときには、粒成長した粒子同士が立体的に
衝突し、その衝突部分に欠陥を発生させ、熱伝導率の低
下を起こす場合が有るし、またこの場合には強度低下が
生じて、実用上問題となる場合もある。
【0055】窒化珪素焼結体の微細組織評価に関して
は、窒化珪素焼結体を研削加工し、更にダイアモンド砥
粒で鏡面研磨した後、酸素を8%含有するCF4ガス中
でRFプラズマエッチングを行ない、得られた試料を走
査型顕微鏡(SEM)を用いて350倍の倍率で観察を
行なえば良い。更に、微細組織の定量評価に関しては、
得られたSEM写真を用いて、画像解析装置によって窒
化珪素粒子と粒界とを二値化し、窒化珪素粒子のみ存在
面積を得て、短軸径2μm以上の粒子1000個以上に
ついてを観察総面積に対する存在割合を面積%で算出す
る。また、短軸径2μm以上の面積平均径については、
粒子径の面積50%に相当する粒子径を面積平均径とす
る。
【0056】本発明の窒化珪素焼結体の機械的特性は、
3点曲げ強度で450MPa以上で、破壊靭性値が6M
Pa・m1/2以上であることを特徴としている。これら
の値は、回路基板のみならず、放熱基板やエンジン部品
として用いる場合にも充分であり、高い信頼性を要求さ
れる用途に用いることがでる。
【0057】加えて、本発明に用いる窒化珪素焼結体の
微細組織として、前記短軸径が2μm以上の窒化珪素粒
子が、窒化珪素焼結体全体に対して10〜35面積%で
あり、しかも短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子の面積
平均径が17.5μm以下であることが好ましい。この
場合、前述の通り、放熱基板やエンジン部品として用い
る場合にも、一層優れた機械的特性を有するので、極め
て高い信頼性を要求される用途にも用いることができる
からである。
【0058】また、本発明に用いる窒化珪素焼結体の熱
伝導率は、100〜160W/mKであることを特徴と
する。熱伝導率が100W/mK未満では、放熱基板と
して十分な放熱特性が得られず、その用途が限定される
からである。また、160W/mK以上の高熱伝導率を
窒化珪素焼結体で発現させようとすると、AlNやSi
Cに比べて機械的強度が劣る場合があるからである。
【0059】本発明の窒化珪素焼結体においては、X線
回折で調べたときの粒界結晶相として、M相(Re2
334)又はJ相(Re4Si274)を含有し、
前記M相とJ相のX線回折におけるメインピーク強度の
合計(IGB)が当該窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素
の(200)面のピーク強度ISNに対して0.01〜
0.2であることを特徴とする。なお、結晶相の同定
は、焼結体を研削加工した後、焼結体のままX線回折装
置で測定することができる。
【0060】窒化珪素焼結体の熱伝導率は、窒化珪素粒
子内の結晶欠陥及び粒界相によるフォノン散乱によって
起こされる。そこで、粒界相を結晶化することが一層の
高熱伝導化に役にたつ。本発明の窒化珪素焼結体の粒界
結晶相の種類に関しては、M相(Re2Si334)又
はJ相(Re4Si274)を少なくとも含有するもの
である。窒化珪素の粒成長は、本発明のように助剤とし
て添加した希土類酸化物、窒化珪素及び窒化珪素に不可
避で存在するシリカが液相を形成し、比較的大きい窒化
珪素粒子上に析出することが特徴であるが、粒成長初期
には液相中のシリカ濃度が十分に高く、Re2SiO
5相、H相(Re10Si7234)、K相(ReSi
2N)などのような比較的シリカリッチな液相を形成す
る。
【0061】そのため、この段階では液相中から多量の
シリカ由来の酸素が窒化珪素粒子内に固溶されるが、溶
解−再析出を繰り返す内に窒化珪素粒子内から液相中に
酸素等が吐き出されるいわゆる純化作用が起こることが
本発明者たちによって確認された。この純化作用は金属
不純物ではAl以外の金属不純物及び酸素が対象になる
が、このうち酸素については、粒界へ吐き出され、液相
中でシリカとなり、更に気相中へ一酸化珪素として排出
される。このため、窒化珪素粒子の成長とともに、液相
中のシリカ濃度は低くなっていき、窒化珪素粒子内の純
化が非常に起こりやすい状況になってくる。この状態を
呈するときの粒界相組成がJ相(Re4Si274)で
あり、さらにシリカ濃度が低くなったときには、最終的
にはM相(Re2Si334)となる。即ち、これらの
粒界相組成はいずれも窒化珪素の高熱伝導化に寄与して
いる。
【0062】本発明の窒化珪素焼結体においては、前述
の通り、粒界相が特定の値以上に結晶化していることが
特徴であり、その結晶化の程度に関しては、M相(Re
2Si334)又はJ相(Re4Si274)を含有
し、前記M相とJ相のX線回折におけるメインピーク強
度の合計(IGB)が当該窒化珪素焼結体中のβ型窒化
珪素の(200)面のピーク強度ISNに対して0.0
1〜0.2であることが好ましい。IGB/ISNの比
が0.01未満では、粒界相の結晶化が不充分であり、
十分な熱伝導率が得られない場合が有る。一方、IGB
/ISNの比が0.2を超えると、粒界相の量が多くな
りすぎて、熱伝導率を低下させてしまうことがある。
【0063】本発明の窒化珪素焼結体は、高熱伝導性、
電気絶縁性及び機械的特性が要求される回路基板等に用
いることができる。例えば、パワーモジュール用の回路
基板等では、従来回路基板に求められていた電気絶縁性
に加え、高い熱伝達性能と機械的特性が要求されてきて
いる。
【0064】本発明の窒化珪素回路基板は、基板に用い
られる窒化珪素焼結体の強度、破壊靭性などの機械的特
性が優れているため、ヒートサイクル等の繰り返し熱応
力や基板自身に対する曲げ応力に対し、高い信頼性を有
している。また、窒化珪素自体、高い絶縁抵抗を有する
ため、厳しい使用条件で用いられる回路基板に適してい
る。更に、本発明の窒化珪素焼結体を用いた窒化珪素回
路基板は、一般的なセラミックス回路基板であるアルミ
ナ回路基板に比べ、機械的特性に優れるだけでなく、高
熱伝導率が要求される回路基板の用途に適している。
【0065】本発明の窒化珪素焼結体より回路基板を得
る方法としては、板状の窒化珪素焼結体又は研削加工等
により板状に加工した窒化珪素焼結体を、例えば銅等の
金属板と接合した後、エッチング等の手法によって回路
を形成することで製造することができる。
【0066】窒化珪素焼結体と金属板との接合方法に関
しては、例えば、窒化珪素焼結体と金属板とを不活性ガ
ス又は真空雰囲気中で加熱し、窒化珪素焼結体と金属板
を直接接合する方法(直接接合法)やTi、Zr等の活
性金属と低融点合金を作るAg、Cu等の金属を混合又
は合金としたろう材を窒化珪素焼結体と金属板との間に
介在させて不活性ガス又は真空雰囲気中で加熱圧着する
方法(活性金属法)を利用して製造できる。
【0067】
【実施例】以下、実施例と比較例をあげて、更に本発明
を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0068】〔実施例1〜25、比較例1〜12〕表1
に示す粉体特性の異なる窒化珪素原料粉末A〜Nに、表
2に示すとおりに焼結助剤を添加し、更にメタノールを
添加して湿式ボールミルで1時間混合を行なった。次に
これらのスラリーをろ過、乾燥して原料粉末を得た後、
20MPaの成形圧で金型成形した後、200MPaの
成形圧でCIP成形して、5mm×30mm×50mm
の成形体を得た。得られた成形体は、窒化ホウ素(B
N)製の坩堝内に充填し、カーボンヒーターの電気炉で
表3に示す窒素ガス圧力、焼成温度、焼成時間で焼成
し、焼結体を作製した。また、上記操作で得た各種焼結
体の密度をアルキメデス法で測定し、その結果を表4、
表5に示した。
【0069】
【表1】
【0070】尚、本発明における窒化珪素粉末の粒度分
布はJIS R1629に準じてレーザー散乱法によっ
て測定し、窒化珪素粉末の累積平均径の2.5倍以上の
粒径を有する窒化珪素粒子の原料粉末中における割合を
体積%として算出した。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】次に、得られた各種の焼結体を#200の
ダイアモンドホイールで平面研削し、20mm×20m
m×3mmの形状に加工した。実施例1、5、14〜1
9、及び比較例5〜7、10〜12については、これら
の加工体を用いX線回折により結晶相の同定を行なっ
た。X線回折の結果を前記表5に示した。
【0076】尚、表3中の結晶相の表記に関して、Mは
M相、JはJ相、R1Sはモノシリケート、R2Sはダ
イシリケートを示す。
【0077】次に、前記焼結体を研削加工し、熱伝導率
測定用の10mmφ×3mmの試片並びにJIS R1
601に準じた強度試験体を作製し、室温の熱伝導率と
室温の3点曲げ強さを調べた。尚、熱伝導率は、レーザ
ーフラッシュ法(JIS R1611に準拠)により熱
拡散率と比熱容量を測定し、焼結体密度、熱拡散率及び
比熱容量の積によって熱伝導率とした。また、強度試験
体をダイアモンド砥粒で鏡面研削し、JIS R160
7に準じてIF法による破壊靭性の評価を行なった。
【0078】また、鏡面研削した焼結体を8%の酸素を
含有するCF4ガス雰囲気中でRF80Wの出力で8分
間エッチングを行なった後、SEMにより焼結体微細組
織の観察を350倍の倍率で行なった。次いで、これら
のSEM写真を用いて画像解析装置により焼結体組織の
定量評価を行なった。微細組織の定量評価に関しては、
得られたSEM写真を用いて、画像解析装置によって窒
化珪素粒子と粒界とを二値化し、窒化珪素粒子のみ存在
面積を得て、短軸径2μm以上の粒子1000個以上に
ついて観察総面積に対する存在割合を粗大粒子割合と称
して面積%で算出した。また、短軸径2μm以上の面積
平均径については、粒子径の面積50%に相当する粒子
径を面積平均径とした。
【0079】尚、窒化珪素焼結体中の不純物量測定方法
に関しては、窒化珪素焼結体を瑪瑙乳鉢で解砕した後、
60メッシュ篩通しを行ない、Journal of
the American Ceramic Soci
ety論文誌1994年7月号1857〜1862頁に
記載されている公知の方法で粒界相を溶解させた後、湿
式分級で短軸径2μmを境界に微細粒子と粗大粒子とに
分類した。前記操作で得た窒化珪素粒子の酸素分析に付
いては、LECO社製のO/N同時分析計(TC-43
6)にて定量し、他の金属不純物に付いてはICP分析
法で金属不純物としてAl、Ca及びFeの含有量を定
量化して、先の酸素量分析結果と併せて窒化珪素粒子内
の(酸素+Al+Ca+Fe)不純物量合計を算出し
た。
【0080】次に、前記窒化珪素焼結体を研削加工によ
り40mm×80mm×0.6mmの形状の平板とし
た。得られた平板の両面に活性金属含有のろう材(Ag
−Cu−Ti:80−15−5)を30μmの厚さでス
クリーン印刷し、回路側に0.3mm厚の銅板及び裏面
に0.15mm厚の銅板を搭載し、10-3Torr台の
真空雰囲気下、温度850℃で30分間加熱した。その
後、冷却して複合体を得た。
【0081】この複合体について、板厚0.3mmの銅
板側を研磨し、パターニング用レジストを印刷して、熱
硬化後、塩化第二鉄水溶液に浸積エッチングして所望の
パターン形成した。更に、回路間に残留する接合材を除
くために銅板部を酸性フッ化アンモニウム水溶液に浸触
させた後、水洗してパターン形成した回路基板を作製し
た。
【0082】上記回路基板を、−50℃と150℃の恒
温槽にてそれぞれ30分間ずつ保持することを一サイク
ルとして、これを最高3000サイクルまで行ない、銅
回路を接合した部分においてクラックが発生するまでの
サイクル数を調べた。
【0083】以上の実施例と比較例との対比より以下の
ことが明瞭である。即ち、イットリウム及び/またはラ
ンタノイド族元素の1種以上の酸化物を焼結助剤に用
い、Alが300ppm以下、酸素を1重量%以下含有
した、α化率が70%以下である窒化珪素粉末を用い
て、2μm以上の短軸径を有する窒化珪素粒子の酸素、
Al、Ca、Feの含有量合計が1500ppm以下に
なるように窒化珪素粒子を成長させながら焼結したもの
で、100W/mK以上の高熱伝導率を有する窒化珪素
焼結体が得られている。特に窒化珪素原料粉末中のAl
含有量が150ppm以下のものを使用し、かつ、実施
例1〜3の通り、イッテルビウム、エルビウム、ジスプ
ロミウム等のイオン半径の小さなランタノイド族元素酸
化物との組み合わせでは130W/mK以上の高熱伝導
率の窒化珪素焼結体が得られている。
【0084】また、100W/mK以上の高熱伝導率を
発現する窒化珪素焼結体は、短軸径2μm以上の粗大粒
子を有し、その窒化珪素粒子中の酸素、Al、Ca、F
eの含有量合計が1500ppm以下になっている。
【0085】更に、実施例1、20〜25より図1を得
ることができる。図1に示すようにα化率をX%、窒化
珪素粉末の累積平均径の2.5倍の粒径を有する原料粉
末中における割合をY体積%とした場合に、所望の熱伝
導率をパラメーターとして、XとYとの関係式が得ら
れ、100W/mK以上の高熱伝導率を得るためには、
0≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05X+1で
あり、115W/mK以上の高熱伝導率を得るには、0
≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05X+2.5
であり、更に130W/mK以上の高熱伝導率を得るに
は、0≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05X+
4.5を満足すれば良い。
【0086】なお、比較例2の通りに、窒化珪素原料粉
末のα化率が97.5%のものを本発明の助剤系と組み
合せても、表2の通り十分に緻密化せず、100W/m
K以上の高熱伝導率が得られない。更に、比較例3の通
りに、この原料粉末にシリカを緻密化するように多量に
添加しても、その窒化珪素粒子中の酸素、Al、Ca、
Feの含有量合計が1500ppm以上になってしま
い、100W/mK以上の高熱伝導率が得られない。
【0087】比較例4、5及び6のように窒化珪素原料
粉末中のAl含有量が多いものは、窒化珪素粒子内中に
Alが不純物として残留するため、短軸径2μm以上の
粗大粒子を有しても、その窒化珪素粒子中の酸素、A
l、Ca、Feの含有量合計1500ppm以上になっ
てしまい、100W/mK以上の高熱伝導率が得られな
い。
【0088】比較例10及び11のように窒化珪素原料
粉末中の酸素含有量が多いものは、窒化珪素粒子内中に
Al量が少ない原料粉末を用いても、酸素が不純物とし
て十分に純化されないので、短軸径2μm以上の粗大粒
子を有しても、その窒化珪素粒子中の酸素、Al、C
a、Feの含有量合計1500ppm以上になってしま
い、100W/mK以上の高熱伝導率が得られない。
【0089】更に、比較例例5〜7及び比較例11、1
2の通りに、使用する窒化珪素粉末中のAl含有量が多
いか、酸素含有量が多い場合には、短軸径が2μm以上
の窒化珪素粒子の面積割合が10面積%に満たなく、窒
化珪素の粒成長による純化作用が不十分で100W/m
K以上の高熱伝導率が達成できていない。
【0090】実施例中の100W/mK以上の高熱伝導
率を発現する窒化珪素焼結体の中でも、短軸径が2μm
以上の窒化珪素粒子の面積平均径が17.5μm以下で
あるものは、表2に示す通り、室温曲げ強度が450M
Pa以上の高強度を示し、前記回路基板を使った−50
℃と150℃の恒温槽にてそれぞれ30分間ずつ保持し
つつ行ったヒートサイクル試験において、3000サイ
クルにおいてもクラックの発生は全く見られなかった。
なお、窒化珪素焼結体の室温曲げ強度とヒートサイクル
試験の結果には相関があり、室温曲げ強度が350MP
a以下のものは、すべて2000サイクル未満にクラッ
クが発生した。
【0091】窒化珪素82〜91.5重量%、イットリ
ウム及び/又はランタノイド族元素の1種以上の合計が
酸化物換算して8〜15重量%、ハフニウムとジルコニ
ウムの合計が酸化物換算して0.5〜3重量%含有する
窒化珪素焼結体は、表2の通り、100W/mK以上の
高熱伝導率を発現する。
【0092】実施例の100W/mK以上の高熱伝導率
を発現する窒化珪素焼結体の粒界相は、表2の通り、M
相(Re2Si33N)又はJ相(Re4Si274
を含有し、前記M相とJ相のX線回折におけるメインピ
ーク強度の合計が当該窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素
の(200)面のピーク強度に対して0.01〜0.2
である。
【0093】
【発明の効果】本発明の窒化珪素焼結体は、窒化珪素粒
子内部への不純物固溶を極力抑え、窒化珪素粒子内の純
度、微細組織、結晶粒界相の組成、量などを制御してい
るので、強度、破壊靭性等の機械的特性に優れると共
に、熱伝導率が100W/mK以上と高く、半導体用基
板をはじめとし、自動車及び高速電気鉄道の幅広い分野
で各種構造部品用素材として利用することができる。
【0094】本発明の窒化珪素焼結体の製造方法に依れ
ば、前記窒化珪素焼結体を安定して多量に提供すること
ができ、産業上有用である。
【0095】本発明の窒化珪素回路基板は、熱伝導率が
高く、機械的特性に優れているので、信頼性が要求され
る輸送機器等の用途や、パワーモジュール用回路基板等
に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 窒化珪素焼結体の熱伝導率をパラメーターと
して、窒化珪素粉末のα率(X%)と、窒化珪素粉末中
の累積平均径の2.5倍以上の粒径を有する窒化珪素粒
子の窒化珪素粉末中における割合(Y体積%)とが満足
するべき関係を表す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 鈴弥 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4G001 BA08 BA09 BA10 BA12 BA14 BA32 BA71 BA73 BB08 BB09 BB10 BB12 BB14 BB32 BB71 BC12 BC13 BC48 BC52 BC54 BC55 BD03 BD13 BD14 BD16 BD23 BE01 BE22 BE26

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化珪素粉末にイットリウム及び/又はラ
    ンタノイド族元素の1種以上の酸化物を添加してなる原
    料粉末を成形後に焼結する窒化珪素焼結体の製造方法で
    あって、Alを300ppm以下、酸素を1重量%以下
    含有し、α化率が70%以下である窒化珪素粉末を用
    い、2μm以上の短軸径を有する窒化珪素粒子の酸素、
    Al、Ca、Feの含有量の合計が1500ppm以下
    となるように窒化珪素粒子を成長させながら焼結するこ
    とを特徴とする窒化珪素焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】窒化珪素粉末のα化率をX%、窒化珪素粉
    末中の累積平均径の2.5倍以上の粒径を有する窒化珪
    素粒子の窒化珪素粉末中における割合をY体積%とした
    場合に、0≦X≦70、Y≧0、しかもY≧−0.05
    X+1を満足する粒度分布を有することを特徴とする請
    求項1記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】焼結操作を9.8MPa以下の窒素加圧雰
    囲気中で、温度1800〜2000℃の範囲で8時間以
    上保持することを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    の窒化珪素焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】酸素、Al、Ca、Feの含有量の合計が
    1500ppm以下であり、短軸径が2μm以上である
    窒化珪素粒子を有することを特徴とする窒化珪素焼結
    体。
  5. 【請求項5】短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子が、窒
    化珪素焼結体全体に対して10面積%以上65面積%以
    下であることを特徴とする請求項4記載の窒化珪素焼結
    体。
  6. 【請求項6】短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子が、窒
    化珪素焼結体全体に対して10〜35面積%であり、し
    かも短軸径が2μm以上の窒化珪素粒子の面積平均径が
    17.5μm以下であることを特徴とする請求項4又は
    5記載の窒化珪素焼結体。
  7. 【請求項7】熱伝導率が100〜160W/mKである
    ことを特徴とする請求項4、請求項5又は請求項6記載
    の窒化珪素焼結体。
  8. 【請求項8】窒化珪素82〜91.5重量%、イットリ
    ウム及び/又はランタノイド族元素の1種以上の合計が
    酸化物換算で8〜15重量%、ハフニウムとジルコニウ
    ムの合計が酸化物換算して0〜3重量%含有することを
    特徴とする請求項7記載の窒化珪素焼結体。
  9. 【請求項9】窒化珪素焼結体を構成する粒界相が、M相
    (Re2Si334)又はJ相(Re4Si274)を
    含有し、前記M相とJ相のX線回折におけるメインピー
    ク強度の合計が当該窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素の
    (200)面のピーク強度に対して0.01〜0.2で
    あることを特徴とする請求項7又は請求項8記載の窒化
    珪素焼結体。
  10. 【請求項10】請求項4、請求項5、請求項6、請求項
    7、請求項8又は請求項9記載の窒化珪素焼結体を用い
    てなることを特徴とする窒化珪素回路基板。
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