JP2001011579A - マンガン合金鋼と軸、ネジ部材 - Google Patents

マンガン合金鋼と軸、ネジ部材

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JP2001011579A JP11182003A JP18200399A JP2001011579A JP 2001011579 A JP2001011579 A JP 2001011579A JP 11182003 A JP11182003 A JP 11182003A JP 18200399 A JP18200399 A JP 18200399A JP 2001011579 A JP2001011579 A JP 2001011579A
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孝幸 中村
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直久 宮下
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸炭・窒化等の熱処理不要、メッキ不要、Ni
ゼロを含む最小量であって、切削性に優れた鋼を開発す
る。 【解決手段】 C:0.05〜0.50%、 Si:0.5 %以下、 Mn:6.0 〜15.0%、 Ni:0〜5.0 %、 Cr:10〜20%、 N:0.04〜0.30%、 Al:0.10%以下、 S:0.030 %以下、 Mo:0 〜3.0 %、 Cu:0 〜3.0 %、 残部はFeおよび不可避不純物から成り、かつ式(1) を満
足する鋼組成を有する。 F=Ni+4.71+16.7C −0.51Si+0.088Mn +0.42Cu−0.92Cr−1.3Mo +14.6N −2.3Al ≧0.5 ( 各元素は重量%) ・・・ (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マンガン合金鋼と
それを用いた軸部材およびネジ部材に関し、更に詳述す
れば、OA関連機器、モータ、自動車、建築機材、その他
の製品の内外装品等を構成する鋼材として良好な、高強
度で耐食性、耐摩耗性、および被削性に優れ、かつ安価
なマンガン合金鋼とそれを用いた軸部材およびネジ部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、OA関連機器、モータ、自動
車、建築機材等の部品構成材料としては、メッキ処理、
浸炭窒化処理などを前提とした鋼材もしくは各種ステン
レス鋼材が使用されている。つまり、これらの鋼材は用
途により耐食性、耐摩耗性および高強度を実現する表面
処理、またはそれに関連する表面加工処理を伴ってい
た。
【0003】またそのような部品は切削により目的形状
に加工されることが多いが、そのときの切削加工面は粗
面化することから、目的とする部品に要求される面粗度
に応じて、さらに研削、バニシング等の加工を必要され
る。同様に浸炭・窒化などの表面処理においても歪み、
面粗度の劣化等が見られることからそれらを矯正するた
めの再処理も必要であった。さらにこれらの処理を施す
際には、取り扱い上の疵防止にきわめて細かな注意も必
要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来技術に
おける各種構成部品材料および各処理にはそれぞれ次の
ように問題がある。例えばステンレス鋼のように材質的
に高価な材料には、価格的に問題があり、メッキ処理に
は環境的問題があり、さらに、浸炭焼入れ、窒化などの
表面処理には歪み発生という精度上の問題がある。
【0005】さらに軸、ネジなどの量産時に使用される
自動旋盤の加工領域は、低周速、低送り、高肉厚で切削
面の面粗度を一定水準以下に確保することが困難であ
る。例えば、SUS303が被削材である場合、切削面が初期
的にはRy3μ前後と良好であるが、被削材がNiを8%と
多く含有しているため、ガイドブッシュを有するスイス
型自動旋盤ではガイドブッシュのかじり現象が常に問題
となり、面粗度の劣化はさけられない。
【0006】従来にあっても、このような問題点を解決
するいくつかの材料が提案されている。例えば、特開昭
55−94464 号公報には、C:0.5 %以下、Si:2.0 %以
下、Mn:7〜40%、Ca:0.0005〜0.0200%を含有し、酸
化物組成を規定した被削性が良好な低炭素高マンガン鋼
が提案されている。
【0007】また、特開昭55−76042 号公報には、C:
2.0 %以下、Si:2.0 %以下、Mn:7〜40%、Ca:0.00
05〜0.0200%を含有し、酸化物組成を規定した被削性が
良好な高炭素高マンガン鋼が提案されている。
【0008】しかしながら、これらの対象となる材料
は、耐食性、耐摩耗性などの点で十分でなく、また切削
性に関してもCaを添加させて介在物組成を制御すること
で被削性を改善させることを目的とした技術であるた
め、浸炭・窒化などの表面処理を省略することやメッキ
処理を省略することはできず、これらの問題解決には十
分ではない。
【0009】ここに、本発明の目的は、浸炭・窒化等の
表面処理を不要とし、メッキ処理を行うことなく、最小
限あるいはゼロのNi含有量の材料であって、高強度で耐
食性、耐摩耗性、および被削性に優れた材料を提供する
ことである。
【0010】さらに本発明の別の目的は、浸炭・窒化等
の表面処理を不要とし、またメッキ処理等の表面処理を
行うことなく、最小限あるいはゼロのNi含有量の材料で
もって、高強度で耐食性、耐摩耗性、および被削性に優
れた軸およびネジを提供するとである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題達成のために、種々検討を重ねていたところ、軸部材
やネジ部材ではまず切削性の改善が求められるというこ
とから、切削性を確保することにまず着目した。切削性
を改善するには、金属組織学的に顕微鏡組織で一相組織
であることが望まれるから、本発明の場合について考え
ると、安定したオーステナイト相かフェライト相の単一
相が望まれる。そこで、本発明者らは高強度を確保する
という観点からオーステナイト組織および準安定オース
テナイト組織に着目した。
【0012】一般に常温で安定なオーステナイト組織を
得るためにはNi、CrおよびMnのうち2元素あるいは3元
素を比較的多量にバランス良く添加する必要がある。そ
の代表例として、SUS304、SUS316等のオーステナイト系
ステンレス鋼が挙げられる。しかし、そのような2もし
くは3元素でもって規定するには不十分である。
【0013】ところで、オーステナイト組織の安定性の
指標としてシェフラーの状態図が一般に知られている。
しかし、この状態図は、Nieq. 、Creq. としてそれぞれ
次のような式を用いており、これからも分かるように、
これは、Ni、Cr、C、Mn、Mo、Si、Nbの7元素のみでの
指標であるため、他の元素を含む材料には不十分であっ
た。
【0014】Nieq. =Ni−30C+0.5 Mn (%) Creq. =Cr+Mo+1.5 Si+0.5 Nb (%) ここに、本発明者らは安定なオーステナイト相もしくは
準安定オーステナイトの単一相を得るためにδフェライ
ト量に着目した。δフェライト量が多くなるにつれて透
磁率も上昇していくことから、本発明者らは様々な成分
に調整した鋼塊を製造して、鋼塊中のδフェライト量を
調査し、構成成分との相関調査を実施した。その結果下
式(1) で示すF値が0.5 以上であれば鋼塊中のδフェラ
イト量が著しく減少すること、すなわち安定なオーステ
ナイト相もしくは準安定オーステナイトの単一相を得る
ことを見出した。
【0015】 F=Ni+4.71+16.7C −0.51Si+0.088Mn +0.42Cu−0.92Cr−1.3Mo +14.6N −2.3Al ≧0.5 (各元素は重量%) ・・・(1) 本発明者らは高価なNiをシェフラーの状態図とは別にNi
バランスで評価できる上述のような指標を見出し、下記
に示すように成分設計したところ、予想外にも、優れた
耐食性、耐摩耗性が発揮され、その結果、浸炭・窒化処
理等の表面処理が不要であって、さらにメッキ処理等の
表面処理を行うことなく所定の特性が得られ、かつ、Ni
含有量を最小限あるいは実質上ゼロとすることができる
鋼材が得られることを知り、本発明を完成した。
【0016】ここに、本発明は次の通りである。 (1) 重量%で、 C:0.05〜0.50%、 Si:0.5 %以下、 Mn:6.0 〜15.0%、 Ni:0〜5.0 %、 Cr:10〜20%、 N:0.04〜0.30%、 Al:0.10%以下、 S:0.030 %以下、 Mo:0 〜3.0 %、 Cu:0 〜3.0 %、 残部はFeおよび不可避不純物から成る組成を有する鋼
で、かつ式(1) を満足する、高強度で耐食性、耐摩耗
性、および被削性に優れたマンガン合金鋼。
【0017】 F=Ni+4.71+16.7C −0.51Si+0.088Mn +0.42Cu−0.92Cr−1.3Mo +14.6N −2.3Al ≧0.5 ( 各元素は重量%) ・・・(1) (2) 前記鋼組成が、さらにS: 0.030 〜0.350 %、Pb:
0.04 〜0.35%、およびTe:0.002〜0.060 %から成る群
から選んだ1種または2種以上の快削元素を含有する前
記(1) 記載のマンガン合金鋼。
【0018】(3) 前記鋼組成が、さらにMo: 0.010 〜3.
0 %を含有する前記(1) または(2) 記載のマンガン合金
鋼。 (4) 前記鋼組成が、さらにCu: 0.10〜3.0 %を含有する
前記(1) ないし(3) のいずれかに記載のマンガン合金
鋼。
【0019】(5) 前記(1) ないし(4) のいずれかに記載
の鋼組成を有する鋼に成形加工もしくは熱処理を行い、
Hv ≧200 としたことを特徴とする軸部材。 (6) 前記(1) ないし(4) のいずれかに記載の鋼組成を有
する鋼に成形加工もしくは熱処理を行い、Hv ≧200 と
したことを特徴とするネジ部材。
【0020】
【発明の実施の形態】ここで、本発明にかかるマンガン
合金鋼の化学組成を上述のように規定した理由について
述べる。なお、本明細書において「%」はとくにことわ
りがないかぎり、「重量%」である。
【0021】C (炭素) Cはオーステナイト組織を安定化する元素であり、0.05
%以上含有させる。しかし、0.50%を越えて含有させる
と、オーステナイトの結晶粒界に炭化物が析出し冷間加
工性や耐食性が低下する。従って上限を0.50%とした。
加工後の硬さを調整するために好ましくは0.10〜0.30%
である。
【0022】Si (ケイ素) Siは製錬工程での脱酸剤として溶鋼中に添加されるが、
過剰の添加は脱酸生成物である非金属介在物を増加さ
せ、鋼の清浄性を劣化させる。さらにSiはフェライト生
成元素であるため、多量に含有するとオーステナイト組
織が不安定になる。従って上限を0.5 %とした。
【0023】Mn (マンガン) Mnはオーステナイト組織を安定させる安価な元素であ
り、オーステナイト組織を安定化するNiを減少させるこ
とができる。Niの代替としては、Mnを6%以上含有させ
る。しかし、15%を越えて含有させると熱間加工性が低
下し熱間圧延時に割れが発生することがあり好ましくな
い。従って上限を15%とした。好ましくはMnは8〜13%
である。
【0024】Ni (ニッケル) Niは、所望添加元素であって、オーステナイト組織を安
定にし耐食性を改善するのに有効な元素であるが、Niは
高価であるため5%を越えて含有させるとコストの上昇
を招き好ましくないし、環境への影響からも極力添加量
を減少させることが好ましい。
【0025】一方、オーステナイト組織の安定性は、前
述の式(1) を満足させることで得られることから、本発
明においてNiを添加する場合、好ましくはNi含有量は0.
5 %以上5.0 %以下とした。
【0026】Cr (クロム) Crはフェライト生成元素であるが耐食性を付与するため
に必須な元素である。耐食性を付与させるためには10%
以上を含有させるる。しかし20%を越えるとオーステナ
イト組織の安定性が損なわれる。従って本発明における
Cr量は10〜20%とした。好ましくは13〜17%である。
【0027】N (窒素) NはCと同様にオーステナイト組織を安定化すると同時
に固溶強化に寄与する元素である。さらにNは応力腐食
割れを改善する効果もあり、そのためには0.04%以上含
有させる。これにより、オーステナイト組織の安定化、
耐食性改善等を目的としたNi等の高価な元素の多量添加
を回避することもできる。またNは窒化物を生成し、こ
の窒化物により加工硬化が得られ耐摩耗性が改善され
る。一方、N含有量が0.30%を越えるような鋼を溶解す
ることは極めて難しく、このような高N鋼は鋼塊中にブ
ローホールによる欠陥を発生させる怖れがあり好ましく
ない。従って、本発明におけるN含有量は0.04〜0.30%
とした。好ましくは0.10〜0.25%である。
【0028】Al (アルミニウム) Alは強力な脱酸剤である、製錬工程時に溶鋼中に添加さ
れる。しかし添加量が0.10%を越えると非金属介在物で
ある酸化物が増大し、鋼の清浄性を劣化させる。従って
Alの含有量は0.10%以下とした。
【0029】S (イオウ) Sは通常不可避不純物として0.030 %程度までは許容さ
れる。したがって、本発明にあっても、S添加による切
削性の改善効果が期待されない場合には、Sは0.030 %
以下に制限する。
【0030】しかし、Sは、添加すれば切削性が改善さ
れる作用があるため、被削性を求める場合には、0.030
%以上、好ましくは0.050 %以上添加する。しかし、0.
350%を越えて含有させると熱間加工性や耐食性が劣化
する。従って上限を0.350 %とした。
【0031】Sの添加では被削性が得られない場合ある
いはSの添加が好ましくない場合は、Pb、Teの1種また
は2種を、必要によりSと複合して添加して被削性を確
保する。この場合の添加量は一般的に添加されるPb:0.
04〜0.35%、Te:0.002 〜0.060 %である。これ以上の
添加はPbでは鉛の凝集粒の析出、Teでは熱間割れの問題
に起因した材料欠陥が増加するためである。
【0032】かくして本発明にあって被削性改善のため
にS: 0.030 〜0.350 %、Pb:0.04〜0.35%、およびTe:
0.002〜0.060 %から成る群から選んだ1種または2種
以上を添加する。
【0033】Mo (モリブデン) Moは添加しなくてもよい。添加すれば冷間加工時に加工
誘起マルテンサイトの生成を抑制するため冷間加工性向
上に有効である。しかしMoはフェライト生成元素である
ため、過剰に添加するとオーステナイト組織が不安定に
なる。従ってMoを添加する場合、その含有量は3%以下
とした。
【0034】Cu (銅) Cuは添加しなくてもよい。添加すれば冷間加工時にオー
ステナイト組織を安定化させる作用がある。しかし3.0
%を越えて含有すると熱間加工性が著しく低下する。従
ってCuの含有量は3.0 %以下とした。
【0035】本発明にあっては式(1) で規定するF値を
0.5 以上に規定するが、これは非磁性とするためにδフ
ェライト量を可及的少、つまりゼロとして、オーステナ
イト単相組織を確保するためであり、その上限は制限な
いが、耐食性、耐摩耗性、高強度を確保した上で、各元
素の添加量を必要最小限で安定なオーステナイト単相組
織を得るために、F値は好ましくは4.5 %以下である。
【0036】かくして、本発明によれば、耐摩耗性に優
れた材料が得られるため浸炭・窒化処理などの表面処理
が不要となる。また、耐食性にも優れた材料であるため
めっき処理等の表面処理が不要となる。さらに、式(1)
を満足させることでオーステナイト単相材料にも係わら
ずNi含有量を5.0 %以下に制限できるのである。
【0037】本発明にかかるマンガン合金鋼は、鋼材一
般として利用でき、例えば板材、管材、棒材、線材など
としても利用できる。その用途も軸材やネジ材のように
機能部品としてばかりでなく、構造材として用いてもよ
い。
【0038】次に、本発明鋼を用いて軸部材およびねじ
部材を製造する場合について、その成形加工法および熱
処理方法について説明する。なお、ここに「軸部材」と
してはOA機器端末のシリアルプリンタに使用されるキ
ャリッジシャフト、活字輪選択型プリンタに使用されて
いる活字輪軸、モータシャフト等が例示され、また「ネ
ジ部材」としては、セルフドリリングネジ、タッピング
ネジ、建築用ボルト等が例示される。
【0039】一般的にこれらの部材は、素材からのスケ
ール除去工程を経て潤滑剤が塗布され、冷間圧延、引抜
きおよび鍛造 (熱間、冷間) で中間製品に成形加工され
た後、そのままの状態もしくは切削、または鍛造工程に
よる更なる成形加工を経て使用されるか、または軟化も
しくは硬化の熱処理 (通常は軟化の熱処理) が行われる
が、本発明においても同様である。
【0040】一般的なOA機器に使用されているシャフ
トおよび自動車用シャフトの場合、鋼素材を用いてこれ
ら様々な工程を経て最終的に浸炭処理または窒化処理ま
たはメッキ処理をする製品に対し、本発明によればこれ
らの表面処理を省略することができる。
【0041】このように、本発明によれば、日本国内で
言えば浸炭、窒化処理、メッキ等の表面処理が不要で作
業費、エネルギー費、物流費等が不要となる。海外にお
いての生産の場合は浸炭・窒化処理炉、メッキ設備が不
要で初期投資が削減できるほか国内と同じ利点が得られ
る。
【0042】しかも、近年、地球温暖化防止、化学物質
規制の世論が高まる中、省資源省エネルギーおよび環境
汚染の最小化を図るために、浸炭および窒化処理、メッ
キ処理を省略することができる本発明はその今日的意義
の大きい発明である。
【0043】
【実施例】表1に示す鋼組成の鋼を試験溶解し、熱間圧
延により直径30mmの丸棒と直径6.5 mmの線材を得、熱間
圧延後空冷した。このようにして得られた丸棒は切削性
試験および耐食性試験の供試材とし、線材は、それぞれ
冷間加工性、耐摩耗性および切削表面肌評価試験用の供
試材とした。冷間加工性は溶体化条件および伸線加工に
よって評価した。
【0044】耐食性、切削性および耐摩耗性は、以下の
述べる要領で試験をして評価した。結果を表1ないし表
3にまとめて示す。表1において鋼No.1〜20までが本発
明例で鋼No.21 〜35が比較例である。また鋼No.7〜20お
よび鋼No.28 〜35は切削性改善を目的に快削元素を添加
した材料である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】被削性:切削条件は、表2では、工具がマ
クロアロイAF1 、回転数が2650rpm 、周速度が50m/mi
n 、そして送り量が25μm/REであった。被削性の評価
は、切削表面の仕上がり状態で判断した。すなわち30mm
丸棒を旋盤にて旋削加工後仕上がり表面に全くむしれ疵
が認められなかったものを「○」、若干のむしれ疵は認
められるが手直しによって実用上問題がないと判断され
るものを「△」、むしれ疵が著しく、実用に耐えないと
判断されるものを「×」、として評価し×以外を合格と
した。
【0049】このうちNo.15 材について引き抜きし、旋
削試験、表面面粗度および穴ぐり性の試験を行った結果
を表2および表3に示す。比較材は旋削および表面の面
粗度では現在使用されているSUS416、穴あけ性では量産
時に最低必要である穴あけ性を有する標準的なS45C、SU
S304と比較した。
【0050】表3に示す結果に見られるように、旋削性
および面粗度はSUS416よりも優れ、穴あけ性ではS45Cと
比較しやや劣るが、SUS304に比較し良好な被削性を有し
ていることが確認された。
【0051】表3では、穴明け性を評価しており、その
時の切削条件は、工具が2.6mm のドリル、ドリル回転数
が500rpm、自動送り量が0.07μm/RE、そして送り深さが
10mmであった。表3における溶体化処理Aは1100℃×水
冷、同Bは1150℃×水冷、同Cは1200℃×水冷、そして
同Dは引抜後1050℃×水冷であった。
【0052】耐食性:30mm丸棒を旋盤にて旋削後、#500
のペーパーによって仕上げ研磨した試験片を気温45℃、
湿度90%の雰囲気に360 時間保持し、JIS 鉄鋼材料の錆
判定基準のレーティングで9以上を「○」とし、この基
準を満たさない物は「×」とした。
【0053】また6.5 mmの線材からNo.15 を代表サンプ
ルとし引き抜き後、現行使用しているSUS416と耐食性の
比較を行った。結果は、表4にまとめて示す。これから
も分かるように、本発明鋼の耐食性は良好であり、SUS4
16よりも良好であった。
【0054】
【表4】
【0055】冷間加工性:冷間加工性は、6.5 mm線材を
6.0 mmに伸線加工を行って評価した。評価方法は、伸線
前に溶体化処理を実施した場合と溶体化処理なしで伸線
を実施した場合で比較した。結果は表5にまとめて示
す。熱処理なしの伸線材の硬さは溶体化処理材と大差は
なく、伸線加工による相変態も認められず、冷間加工性
は良好であることを確認した。
【0056】
【表5】
【0057】耐摩耗性:耐摩耗性は6.5 mmの線材を6.0
mmに引き抜きし、同一サイズのSUM24L材に軟窒化したシ
ャフトおよびSUS416材とプリンターの過酷な繰り返し摺
動試験で比較した。結果は表6に示す。
【0058】同一摺動条件下で現行材と同等レベルもし
くは優れていることを確認した。なお、耐摺動性は材料
の硬さの高低に依存せず良好な結果を示しているため、
構成上の必要強度により本発明材料の硬さを選択するこ
とができる。
【0059】
【表6】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性、耐摩耗性、被
削性および耐かじり性を兼ね備えた高強度のマンガン合
金鋼を得ることができ、この材料を用いることによりO
A関連機器、モータ、自動車、建築等の従来の部品構成
材料のメッキ処理、浸炭窒化処理などの表面処理を省略
して代替使用することが可能となる。
【0061】例えば、高強度で耐摩耗性を具備し、耐食
性、被削性に優れた鋼を要求されたとしても、式(1) を
満足するような成分を調整すれば高強度で耐摩耗性、耐
食性および被削性に優れたマンガン合金鋼を提供でき
る。
【0062】したがって、本発明によれば、従来のマン
ガン系の鋼とは異なり、多くの優れた特性を同時に有
し、そのときのニーズに合わせて任意に他分野に提供で
きる汎用性のある鋼材が提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 591274299 新報国製鉄株式会社 埼玉県川越市新宿町5丁目13番地1 (72)発明者 中村 孝幸 北九州市小倉北区許斐町1番地 住友金属 工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 北澤 千弘 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 (72)発明者 宮下 直久 長野県諏訪市上川一丁目1544番地 株式会 社大東製作所内 (72)発明者 村松 栄次郎 埼玉県川越市新宿町5丁目13番地1 新報 国製鉄株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.05〜0.50%、 Si:0.5 %以下、 Mn:6.0 〜15.0%、 Ni:0〜5.0 %、 Cr:10〜20%、 N:0.04〜0.30%、 Al:0.10%以下、 S:0.030 %以下、 Mo:0 〜3.0 %、 Cu:0 〜3.0 %、 残部はFeおよび不可避不純物から成り、かつ式(1) を満
    足する鋼組成を有する、高強度で耐食性、耐摩耗性、お
    よび被削性に優れたマンガン合金鋼。 F=Ni+4.71+16.7C −0.51Si+0.088Mn +0.42Cu−0.92Cr−1.3Mo +14.6N −2.3Al ≧0.5 ( 各元素は重量%) ・・・ (1)
  2. 【請求項2】 前記鋼組成が、さらにS: 0.030 〜0.35
    0 %、Pb:0.04 〜0.35%、およびTe:0.002〜0.060 %か
    ら成る群から選んだ1種または2種以上の快削元素を含
    有する請求項1記載のマンガン合金鋼。
  3. 【請求項3】 前記鋼組成が、さらにMo: 0.010 〜3.0
    %を含有する請求項1または2記載のマンガン合金鋼。
  4. 【請求項4】 前記鋼組成が、さらにCu: 0.10〜3.0 %
    を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載のマンガ
    ン合金鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼
    組成を有する鋼に成形加工もしくは熱処理を行い、Hv
    ≧200 としたことを特徴とする軸部材。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の鋼
    組成を有する鋼に成形加工もしくは熱処理を行い、Hv
    ≧200 としたことを特徴とするネジ部材。
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