JP2001011070A - カルコゲノピリリウム化合物の製造方法 - Google Patents

カルコゲノピリリウム化合物の製造方法

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JP2001011070A
JP2001011070A JP11188927A JP18892799A JP2001011070A JP 2001011070 A JP2001011070 A JP 2001011070A JP 11188927 A JP11188927 A JP 11188927A JP 18892799 A JP18892799 A JP 18892799A JP 2001011070 A JP2001011070 A JP 2001011070A
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pentadiyn
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Mitsuhiro Fukuda
光弘 福田
Akio Miura
紀生 三浦
Kiyoshi Fukusaka
潔 福坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カルコゲノピリリウム化合物を簡便に収率よ
く得られる製造方法の提供。 【解決手段】 置換アセチレン類化合物を用いることを
特徴とする、下記一般式(1)で表されるカルコゲノピ
リリウム化合物の製造方法。 【化1】 〔式中、Xは硫黄、セレンまたはテルル原子のいずれか
を表す。またR1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表
し、Aは下記一般式(2−1)または一般式(2−2)
のうちいずれかを表す。〕 【化2】 〔式中、R11、R12、R21およびR22はそれぞれ独立に
置換基を表し、X1およびX2は硫黄、セレンまたはテル
ル原子のいずれかを表す。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光色素、染料、
写真用材料として有用であるカルコゲノピリリウム化合
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルコゲノピリリウム化合物は種々の用
途に用いられることが知られている。たとえばチオピリ
リウム化合物については、米国特許3,141,700
号には直接ポジ写真ハロゲン化銀乳剤に電子受容化合物
として用いる例が、また米国特許3,938,994
号、特開昭56−29586号、同56−30465号
には光導電体の分光増感剤として用いる例が開示されて
おり、さらに米国特許4,508,811号にはチオピ
リリウムスクアリリウム化合物を赤外線吸収染料として
用いる例が開示されている。またセレナピリリウム化合
物については特開平7−133475号に光記録媒体の
有機色素薄膜に用いる例が、特開平7−11248号に
は有機電子蛍光(エレクトロルミネッセンス)材料の発
光層に用いることができる旨の記載があり、さらにテル
ラピリリウム化合物についても先出の特開平7−112
48号に有機電子蛍光(エレクトロルミネッセンス)材
料の発光層に用いることができる旨の記載があるほか、
特開平6−273883号および特開平6−31787
3号に光記録要素の光吸収色素として用いる例が開示さ
れている。
【0003】これらのうち、チオピリリウムスクアリリ
ウム化合物およびチオピリリウムクロコニウム化合物に
ついてはモル吸光係数が高く、赤外線領域に有する主た
る分光吸収がシャープであり、かつ副吸収が小さく可視
光領域にはほとんど分光吸収を有しないことが知られて
おり、この化合物を赤外線によって露光される写真感光
材料に染料として用いることで、感光材料を構成する感
光性層および非感光性層における露光の際の光散乱(イ
ラジエーション)や、感光材料を構成する塗膜同士また
は塗膜と支持体との境界面における露光の際の光反射
(ハレーション)による画像の鮮鋭性の劣化を効率的に
低減または防止することができ、とくに赤外線によって
露光され現像処理によって可視画像を与える写真感光材
料に用いた場合には、鑑賞される可視画像にはほとんど
影響を与えることなく画質の劣化を低減または防止でき
るという、非常に優れた効果を発揮することが知られて
いる。
【0004】このように有用なカルコゲノピリリウム化
合物であるが、これまでに知られている合成方法は製造
上必ずしも好ましい方法ではなかった。たとえばチオピ
リリウムスクアリリウム化合物について述べれば、過塩
素酸4−メチル−4H−チオピリリウムとスクエア酸を
用いて合成する方法が米国特許第4,508,811号
に記載されており、過塩素酸4−メチル−4H−チオピ
リリウムを得るためには対応した4H−チオピラン−4
−オンより合成するのが一般的であるが、4H−チオピ
ラン−4−オンの合成方法としては特開昭56−295
86号に記載の方法があるものの、これはレイノルズら
のザ・ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミス
トリー(The Journal of Hetero
cyclic Chemistry)誌第11巻107
5ページ記載の方法により合成した4H−ピラン−4−
オンを4H−ピラン−4−チオンに変換した後、さらに
4H−チオピラン−4−チオンを経由して4H−チオピ
ラン−4−オンを導くというものであり、したがってチ
オピリリウムスクアリリウム化合物の製造方法としては
段階数が多く、なおかつ総合収率が低いという問題があ
る。クロコニウム化合物についても同様の問題があり、
そのため、より短い合成経路で簡便に収率よく合成でき
る製造方法が待望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、カルコゲノピリリウム化合物を簡便に収率よく合成
できる製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成される。
【0007】(1) 置換アセチレン類化合物を用いる
ことを特徴とする、下記一般式(1)で表されるカルコ
ゲノピリリウム化合物の製造方法。
【0008】
【化3】
【0009】〔式中、Xは硫黄、セレンまたはテルル原
子のいずれかを表す。またR1およびR2はそれぞれ独立
に置換基を表し、Aは下記一般式(2−1)または一般
式(2−2)のうちいずれかを表す。〕
【0010】
【化4】
【0011】〔式中、R11、R12、R21およびR22はそ
れぞれ独立に置換基を表し、X1およびX2は硫黄、セレ
ンまたはテルル原子のいずれかを表す。〕 (2) 1,4−ペンタジイン−3−オール類を用いる
ことを特徴とする上記一般式(1)で表されるカルコゲ
ノピリリウム化合物の製造方法。
【0012】(3) 1,4−ペンタジイン−3−オン
類を用いることを特徴とする上記一般式(1)で表され
るカルコゲノピリリウム化合物の製造方法。
【0013】(4) デス−マーチンパーヨージナンを
用いて1,4−ペンタジイン−3−オール類を1,4−
ペンタジイン−3−オン類に変換する工程を含むことを
特徴とする、上記一般式(1)で表されるカルコゲノピ
リリウム化合物の製造方法。
【0014】(5) 1,4−ペンタジイン−3−オン
類をアセトニトリル−水混合溶媒中にて4H−カルコゲ
ノピラン−4−オン類に変換する工程を含むことを特徴
とする上記一般式(1)で表されるカルコゲノピリリウ
ム化合物の製造方法。
【0015】(6) 4H−カルコゲノピラン−4−オ
ン類をメチル化して得られる4H−カルコゲノピリリウ
ム化合物を単離しないことを特徴とする上記一般式
(1)で表されるカルコゲノピリリウム化合物の製造方
法。
【0016】(7) 上記一般式(1)のX、上記一般
式(2−1)のX1および上記一般式(2−2)のX2
いずれも硫黄原子であることを特徴とする、前記1〜6
のいずれか1項記載の上記一般式(1)で表されるカル
コゲノピリリウム化合物の製造方法。
【0017】以下、本発明を詳細に説明する。一般式
(1)のR1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表し、
該置換基の例としてはアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、複素環基などが挙げられる。これらはさら
に置換基を有していてもよく、その例としては先に挙げ
たアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環
基のほかアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキ
シ基、アリールチオ基、シアノ基、ハロゲン原子などが
挙げられる。Xはカルコゲン原子を表し、具体的には硫
黄原子、セレン原子、テルル原子のいずれかである。
【0018】一般式(1)においてAは一般式(2−
1)または一般式(2−2)から選ばれる化合物残基を
表す。一般式(2−1)のR11およびR12、一般式(2
−2)のR21およびR22はそれぞれ独立に置換基を表
し、その例としては先に一般式(1)のR1およびR2
ついて挙げたものと同じである。一般式(2−1)のX
1および一般式(2−2)のX2は一般式(1)のXと同
義である。
【0019】本発明の好ましい製造方法は以下のスキー
ムで示す。
【0020】
【化5】
【0021】本発明の好ましい製造方法は上記スキーム
に示したように、所望のカルコゲノピリリウム化合物に
対応したアセチレン類を用いて1,4−ペンタジイン−
3−オールを合成し、これを酸化して1,4−ペンタジ
イン−3−オンとした後にカルコゲン原子とともに付加
環化反応させることにより4H−カルコゲノピラン−4
−オンを合成し、これをグリニヤール試薬を用いて4−
メチルカルコゲノピリリウム塩に変換して、後続の反応
により一般式(1)のカルコゲノピリリウム化合物を得
る方法である。化5においては一般式(1)の化合物の
例としてスクアリリウム化合物を示したが、クロコン酸
とカルコゲノピリリウム化合物とを反応させれば同様に
クロコニウム化合物が得られることは言うまでもない。
また化5においては一般式(1)のR1およびR2、一般
式(2−1)のR11およびR12、一般式(2−2)のR
21およびR22に対応する置換基がいずれも同じ構造の置
換基Rであるように示してあるが、後に述べるように該
置換基それぞれが異なる化合物も本発明の方法により合
成することができる。反応はバッチ法で行ってもよい
し、連続法で行うこともできる。
【0022】第1段階の原料である置換アセチレン
(A)において、置換基Rは一般式(1)のカルコゲノ
ピリリウム化合物の置換基R1およびR2、一般式(2−
1)のR11およびR12、一般式(2−2)のR21および
22のそれぞれに対応する。なおRが一般式(1)の化
合物を合成する過程で別の置換基に変換される場合、R
と一般式(1)のR1およびR2、一般式(2−1)のR
11およびR12、一般式(2−2)のR21およびR22とが
同一のものでないことがあるのは、当業の従事者には自
明のことである。また一般式(1)のR1およびR2、一
般式(2−1)のR11およびR12、一般式(2−2)の
21およびR22が互いに異なる化合物を所望の場合に
は、Rの異なる2種類の置換アセチレン(A)を、反応
前または反応途中にて混合して用いれば、1位と5位の
置換基が異なる1,4−ペンタジイン−3−オール類
(B)が得られるので、これを用いて後続の合成反応を
行えばよい。
【0023】第1段階の反応の溶媒は原料を溶解しグリ
ニヤール試薬に対して不活性な溶媒であればよいが、好
ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、
テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒であり、原料
を溶解するかぎりにおいてとくに好ましくはジエチルエ
ーテルである。グリニヤール試薬を用いる反応であるの
で、水分を含まない溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応
を行うことが好ましいのは当業の従事者には周知であ
る。また反応に使用するグリニヤール試薬としては臭化
エチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウムが好ま
しく用いられ、これらの試薬はアセチレン類に対して
0.5〜1.5倍モル用いるのが好ましく、とくに好ま
しくはアセチレン類に対して0.9〜1.2倍モルであ
る。該グリニヤール試薬は反応容器内もしくは別の容器
内で生成させたものをそのまま用いてもよいし、適切な
市販品が入手できればそれを用いることもできる。
【0024】第1段階の反応においては置換アセチレン
(A)にグリニヤール試薬を作用させた後、ぎ酸誘導体
を作用させることにより1,4−ペンタジイン−3−オ
ール類(B)を得る。このとき用いられるぎ酸誘導体と
して化5においてはぎ酸エチルの例を示したが、ぎ酸メ
チルやぎ酸n−プロピルなど、他のぎ酸エステル類、あ
るいはぎ酸アミド類を用いることもできる。好ましくは
ぎ酸メチル、ぎ酸エチルである。
【0025】第1段階の反応は通常の場合において、当
業に従事する研究者には一般的に知られたグリニヤール
反応と同様、置換アセチレン類(A)とグリニヤール試
薬のうち一方を他方に、冷却しながら滴下して反応を行
うことが好ましい。また置換アセチレン類(A)とグリ
ニヤール試薬の反応混合物と、ぎ酸誘導体を混合する際
にも同様に、一方を他方に冷却下にて滴下して混合させ
ることにより反応を行うことが好ましい。どちらの場合
においても好ましい反応温度は−20℃〜10℃であ
り、とくに好ましくは−10℃〜5℃である。さらにい
ずれの段階においても、混合が終了した後で反応混合物
を冷却することを停止して、室温もしくはそれ以上の温
度にて反応を完結させてもよい。反応を完結させるため
に行うこの操作において、好ましい温度範囲は10℃〜
40℃であり、とくに好ましくは15℃〜30℃であ
る。
【0026】第1段階の反応において反応混合物は金属
塩類を含むので、生成物は有機溶媒により抽出されるこ
とが好ましい。抽出に用いる溶媒は水と実質的に混合せ
ず目的生成物を溶解するものであれば特に種類は問わな
いが、好ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、塩
化メチレンやクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶
媒、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ト
ルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒である。
生成物を含む抽出液をそのままもしくは濃縮して精製す
ることなく次の反応に用いることもできるが、精製を行
って次の工程に進んでもよい。精製法の例として減圧下
におけるものを含む蒸留、再結晶、カラムクロマトグラ
フィーなどを挙げることができるが、適切な精製操作が
生成物の性状により異なるのは当業に従事する研究者に
は周知のとおりである。
【0027】1,4−ペンタジイン−3−オール類
(B)の酸化反応は、たとえば過マンガン酸カリウムや
二酸化マンガン、二クロム酸カリウム、クロム酸ナトリ
ウム、さらにはキリアニ試薬(Killiani re
agent)と呼ばれる二クロム酸ナトリウムと硫酸と
の混合水溶液といった金属系酸化試薬を用いてもよい
し、下記、化6に示す、一般にデス−マーチンパーヨー
ジナン(Dess−Martin periodina
ne)として知られる1,1,1−トリアセトキシ−
1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードオキソール−
3(1H)−オンのような有機系酸化試薬を用いてもよ
いが、金属系酸化試薬の廃液処理による環境負荷の観点
から有機系酸化試薬のほうが好ましく、さらに好ましく
はデス−マーチンパーヨージナンである。デス−マーチ
ンパーヨージナンはアイルランドらのザ・ジャーナル・
オブ・オーガニック・ケミストリー(The Jour
nal of Organic Chemistry)
誌第58巻2899ページ(1993年)掲載の論文に
記された方法により、収率よく合成することができるほ
か、ランカスター(Lancaster)社などにより
市販されているものを入手して用いてもよい。酸化試薬
の好ましい使用量は基質に対して1倍〜5倍モルであ
り、とくに好ましくは1倍〜2.5倍モルである。
【0028】
【化6】
【0029】1,4−ペンタジイン−3−オール類
(B)の酸化反応に用いる溶媒は、基質である1,4−
ペンタジイン−3−オール類(B)を溶解し、それ自身
が酸化されやすいものでなければ種類は問わないが、一
般的にはアセトン、メチルエチルケトンなどのジアルキ
ルケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−
ジクロロエタンなどのハロゲン化溶媒、あるいはトルエ
ンやキシレンのような芳香族炭化水素系溶媒が好まし
い。
【0030】好ましい反応温度および反応時間は基質に
より異なり一概には述べられないが、一般的には−10
℃〜30℃、1〜3時間程度である。金属系酸化試薬を
用いた場合には、反応後に金属化合物を濾別するか、ま
たは反応後の金属化合物が反応混合物中に溶解している
のであれば生成物を有機溶媒により抽出するか、あるい
はその両方の操作を行うことが好ましい。抽出に用いる
溶媒は水と実質的に混合せず目的生成物を溶解するもの
であれば特に種類は問わないが、好ましくはジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
などのエーテル系溶媒、塩化メチレンやクロロホルムな
どのハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチル
などのエステル系溶媒、トルエンやキシレンなどの芳香
族炭化水素系溶媒である。精製操作を行うことなく、得
られた生成物をそのまま次の反応に用いることもできる
が、さらに純度の向上した生成物を所望の場合には、抽
出液をそのままもしくは濃縮して、減圧下におけるもの
を含む蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの
精製操作を行うことができる。この段階においても、適
切な精製操作が生成物の性状により異なるのは当業に従
事する研究者には周知のとおりである。
【0031】第3段階の反応において、1,4−ペンタ
ジイン−3−オン類(C)を4H−カルコゲノピラン−
4−オン類(D)に変換するにはカルコゲン化ナトリウ
ムを用いる。単体のカルコゲンを用いて反応容器内で生
成させてもよいし、適切な試薬が入手できればそれを用
いてもよい。使用するカルコゲン化ナトリウムの量は
1,4−ペンタジイン−3−オン類に対して1倍〜3倍
モルが好ましく、とくに好ましくは1.5倍〜2.2倍
モルである。
【0032】溶媒にはアルコール類、アセトニトリルや
ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジエチルエーテ
ルやテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエ
ンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などを用いる
ことができるが、好ましくはアルコール類、アルコール
と水の混合溶媒、またはアセトニトリルと水とを混合し
た混合溶媒である。反応には塩基を用いることもできる
が、その場合には金属アルコキシドが好ましく、とくに
好ましくはナトリウムメトキシドまたはナトリウムエト
キシドである。ただしこの反応においては、基質である
1,4−ペンタジイン−3−オン類の構造によっては、
アルコキシド存在下で副生成物が生じて収率を減少させ
る場合があるため、そのような場合にはアルコール溶媒
および金属アルコキシドをはじめとする塩基の使用は避
けるべきであって、したがってアセトニトリルと水との
混合溶媒を用いて、塩基を使用することなく反応を行う
ことがとくに好ましい。有機溶媒と水との混合溶媒を用
いる際に、その混合比率に特別な制限はなく、反応容器
内で充分に攪拌される限りにおいては均一な溶媒系にな
っている必要もないが、好ましくは水の比率が70容量
%以下であり、とくに好ましくは20〜50容量%であ
る。
【0033】第4段階の、4H−カルコゲノピラン−4
−オン類(D)を4−メチルカルコゲノピリリウム類
(E)に変換する反応はグリニヤール試薬を用いるの
で、先に述べた第1段階と同様、水分を含まないエーテ
ル系の溶媒を用いて不活性雰囲気下にて行うのが好まし
く、好ましい溶媒としてはジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル、テトラヒドロフランを挙げることがで
きる。用いるグリニヤール試薬としてはヨウ化メチルマ
グネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化メチルマグ
ネシウムが挙げられる。これらのグリニヤール試薬は反
応容器内もしくは別の容器内で生成させたものをそのま
ま用いてもよいし、適切な試薬が入手できればそれを用
いることもできる。グリニヤール試薬の量としては原料
である4H−カルコゲノピラン−4−オン類に対して
0.9〜1.5倍モルが好ましく、とくに好ましくは
0.9〜1.3倍モルである。また、先に述べた第1段
階と同様に、冷却した原料にグリニヤール試薬を滴下し
て反応を行うのが好ましく、反応温度としては−20℃
〜10℃が好ましく、とくに好ましくは−10℃〜5℃
である。滴下が終了した後で反応混合物を冷却すること
を停止して、室温もしくはそれ以上の温度にて反応を完
結させてもよい。反応を完結させるために行うこの操作
において、好ましい温度範囲は10℃〜40℃であり、
とくに好ましくは15℃〜30℃である。
【0034】反応混合物は金属塩類を含むので、生成物
は有機溶媒により抽出されることが好ましい。抽出に用
いる溶媒の例としてはジエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶
媒、塩化メチレンやクロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素溶媒、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル系溶
媒、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒を
挙げることができ、好ましくはエーテル系溶媒である。
抽出液をそのままもしくは濃縮して、精製することなく
次の反応に用いることも、再結晶やカラムクロマトグラ
フィーにより精製を行った後に次の合成段階へ進むこと
もできるが、精製を行わずに次段階の反応に用いるほう
が好ましい。再結晶により精製を行う際において、4−
メチルカルコゲノピリリウムの対アニオンを交換して、
生成物の結晶性を向上させることは有用である。この場
合の対アニオンとしては過塩素酸イオン(ClO4 -)、
4フッ化ホウ素酸イオン(BF4 -)、6フッ化リン酸イ
オン(PF6 -)などが挙げられる。
【0035】第5段階の反応によって、4−メチルカル
コゲノピリリウム塩(E)とスクエア酸またはクロコン
酸からカルコゲノピリリウムスクアリリウム化合物
(F)またはカルコゲノピリリウムクロコニウム化合物
を得るには、先に挙げた米国特許第4,508,811
号の方法を用いることができる。反応に用いるスクエア
酸またはクロコン酸は、ピリリウム塩に対して0.4倍
〜0.6倍モル用いることが好ましい。溶媒としてはア
ルコール溶媒を用いることが好ましく、とくに好ましく
は1−プロパノールや1−ブタノール、1−オクタノー
ルなど3つ以上の炭素原子を有する1級アルコールであ
るが、必要に応じてアルコールに他の溶媒を混合して用
いてもよい。混合する溶媒としては系内の反応およびア
ルコールに対して不活性でアルコールと混合できるもの
であれば特別な制限はないが、好ましくはトルエンまた
はキシレンである。混合が可能であるかぎりにおいて混
合比は制限されないが、好ましくはアルコールに対して
体積で0.5倍〜1.5倍であり、とくに好ましくはア
ルコールに対して0.8倍〜1.2倍である。また、反
応の進行を助ける目的で、反応により発生する水を溶媒
とともに留去しながら反応を行ってもよいし、少量の塩
基性化合物を加えてもよい。その際に用いる塩基性化合
物の例としてはトリエチルアミン、ピリジン、ピペリジ
ン、キノリンなどが挙げられる。また、カルコゲノピリ
リウムスクアリリウム化合物(F)またはカルコゲノピ
リリウムクロコニウム化合物において置換基(化合物
(F)におけるR)が異なる化合物を所望の際には、所
望のカルコゲノピリリウム化合物に対応した4−メチル
カルコゲノピリリウム塩を2種類調製し、それらを混合
してスクエア酸またはクロコン酸との反応に供すること
で合成することができる。目的化合物を精製・単離する
ために、再結晶、カラムクロマトグラフィーあるいは昇
華精製などの方法を用いることができるが、好ましい方
法は再結晶による単離である。
【0036】以下に、本発明の製造方法により合成でき
る化合物の例を示すが、本発明はこれらの化合物の合成
にのみ限定されるものではない。
【0037】
【化7】
【0038】
【化8】
【0039】
【化9】
【0040】
【化10】
【0041】
【化11】
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、発明の態様が実施例の記載内容に限定される
ものではない。また特に記載のあるものを除き、合成中
間体を含む化合物の構造はNMRスペクトルおよび質量
スペクトルによって確認した。
【0043】実施例1
【0044】
【化12】
【0045】窒素雰囲気下において、金属マグネシウム
末6.1gをジエチルエーテル中にて攪拌しながら氷水
浴にて冷却し、臭化エチル25.2gを滴下した。さら
にtert−ブチルアセチレン20gを滴下し、これが
終了した後に室温にて3時間攪拌した。これを再び氷水
浴にて冷却し、ぎ酸エチル9.0gを滴下した。滴下終
了後、ジエチルエーテル50mlを加え、6N塩酸を8
0ml滴下した。反応の終わった混合物から有機物を抽
出し、分離した有機層を水洗、濃縮した後カラムクロマ
トグラフィーにて精製し、2,6−ジ−tert−ブチ
ル−1,4−ペンタジイン−3−オール(1a)を3
2.8g得た。(収率70%) 先に述べたアイルランドらのザ・ジャーナル・オブ・オ
ーガニック・ケミストリー(The Journal
of Organic Chemistry)誌第58
巻2899ページ(1993年)掲載の論文に記された
方法により調製したデス−マーチンパーヨージナン66
gを400mlの塩化メチレンに溶解した溶液に、2,
6−ジ−tert−ブチル−1,4−ペンタジイン−3
−オール30gを塩化メチレン300mlに溶解した溶
液を加えて、室温下3時間攪拌した。反応混合物にジエ
チルエーテル1000mlを加え、1N水酸化ナトリウ
ム水溶液1500mlに注ぎ入れて有機物を抽出し、分
離した有機層を水洗した。濃縮した有機層をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーにより精製して、2,6−ジ
−tert−ブチル−1,4−ペンタジイン−3−オン
(1b)を23.7g得た。(収率80%) ナトリウムエトキシドの0.5Mエタノール溶液240
mlに2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−ペンタ
ジイン−3−オン15gを加え、さらに硫化ナトリウム
9水和物18gを加えて室温下3時間攪拌した。反応混
合物を水400mlに注ぎ入れ、塩化メチレンを加えて
有機物を抽出し、分離した有機層を水洗した。濃縮した
有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって
精製し、2,6−ジ−tert−ブチル−4H−チオピ
ラン−4−オン(1c)を11.3g得た。(収率64
%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4H−チオピラン−4
−オン10gをジエチルエーテル150mlに溶解し、
氷水浴にて冷却しながら窒素雰囲気下にてヨウ化メチル
マグネシウムの1Mジエチルエーテル溶液20mlを滴
下し、室温下3時間攪拌して反応させた。反応混合物を
飽和塩化アンモニウム水溶液700mlに注ぎ入れ、有
機物を抽出し、分離した有機層に60%過塩素酸水溶液
を100ml加えたのち一晩静置結析させた。析出した
結晶を濾取して、過塩素酸2,6−ジ−tert−ブチ
ル−4−メチル−4H−チオピリリウム(1d)を9.
3g得た。(収率55%) 過塩素酸2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−
4H−チオピリリウム8.0gとスクエア酸1.4g
を、1−ブタノール50mlとトルエン50mlの混合
溶媒に分散し、キノリン1.0gを加えて2時間加熱還
流させた。反応混合物を濃縮してトルエン200mlを
加えて不溶物を濾別した後、濾液の濃縮物をアセトニト
リルから再結晶して、例示化合物2を3.9g得た。
(収率60%、全5段階の総合収率9.6%) 実施例2
【0046】
【化13】
【0047】窒素雰囲気下において、臭化エチルマグネ
シウムのテトラヒドロフラン1M溶液170mlを氷水
にて冷却しながら、1−オクチン20gを50mlのテ
トラヒドロフランに溶解した溶液を滴下した。滴下終了
後、反応容器を氷水浴からはずして室温にて3時間攪拌
し、再び氷水浴にて冷却しながらぎ酸エチル6.7gを
滴下した。滴下終了後、テトラヒドロフラン50mlを
加え、6N塩酸を60ml滴下した。反応の終わった混
合物から有機物を抽出し、分離した有機層を水洗、濃縮
した後カラムクロマトグラフィーにより精製して、ヘプ
タデカ−7,10−ジイン−9−オール(2a)を1
6.6g得た。化合物の構造はNMRスペクトル、質量
スペクトル、赤外スペクトル、ガスクロマトグラフィー
により確認した。(収率85%) 先に述べたアイルランドらのザ・ジャーナル・オブ・オ
ーガニック・ケミストリー(The Journal
of Organic Chemistry)誌第58
巻2899ページ(1993年)掲載の論文に記された
方法により調製したデス−マーチンパーヨージナン2
0.5gを、150mlの塩化メチレンに溶解した溶液
を室温にて攪拌した。この溶液に、ヘプタデカ−7,1
0−ジイン−9−オール12.0gを塩化メチレン50
ml中に溶解した溶液を加えて、室温にて3時間攪拌し
た。反応混合物にジエチルエーテル300mlを加え、
1N水酸化ナトリウム水溶液500mlに注ぎ入れて有
機物を抽出し、有機層を分離しさらに水洗した。分離し
た有機層を濃縮しシリカゲルカラムクロマトグラフィー
によって精製して、ヘプタデカ−7,10−ジイン−9
−オン(2b)を9.5g得た。(収率85%) 35mlのアセトニトリルにヘプタデカ−7,10−ジ
イン−9−オン7.0gを加え、さらに硫化ナトリウム
9水和物14.0gと35mlの水により調製した水溶
液を加えて室温下30分間攪拌した。反応混合物を静置
し分離した水層を除いた後、飽和塩化アンモニウム水溶
液80mlと酢酸エチル30mlを加えて有機物を抽出
し、分離した有機層を水洗、濃縮した後シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーによって精製し、2,6−ジ−n
−ヘキシル−4H−チオピラン−4−オン(2c)を
5.5g得た。(収率69%) 2,6−ジ−n−ヘキシル−4H−チオピラン−4−オ
ン4.0gをジエチルエーテル100mlに溶解し、氷
水浴にて冷却しながら窒素雰囲気下にてヨウ化メチルマ
グネシウムの1Mジエチルエーテル溶液16mlを滴下
し、室温下3時間攪拌して反応させた。反応混合物に飽
和塩化アンモニウム水溶液500mlを加えた後に有機
物を抽出し、分離した有機層を水洗後、無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥してから濃縮した。濃縮した有機物は精製
することなく次の反応に用いた。
【0048】前の段階で得られた反応生成物とスクエア
酸0.75gを1−プロパノール60mlに分散し、攪
拌しながら4時間加熱還流させた。反応混合物を放冷
後、濃縮してメタノール20mlを加えて再結晶し、得
られた粗結晶を酢酸エチル6mlから再結晶して例示化
合物3を1.8g得た。(2段階の収率40%、全5段
階の総合収率19.9%) 実施例3
【0049】
【化14】
【0050】窒素雰囲気下、臭化エチルマグネシウムの
テトラヒドロフラン1M溶液185mlを氷水にて冷却
しながら、フェニルアセチレン20gを50mlのテト
ラヒドロフランに溶解した溶液を滴下した。滴下終了
後、反応容器を氷水浴からはずして室温にて3時間攪拌
し、再び氷水浴にて冷却しながらぎ酸エチル7.3gを
滴下した。滴下終了後、テトラヒドロフラン50mlを
加え、6N塩酸を60ml滴下した。反応の終わった混
合物から有機物を抽出し、分離した有機層を水洗、濃縮
してヘキサンにて結析させて、1,5−ジフェニル−
1,4−ペンタジイン−3−オール(3a)を16.4
g得た。化合物の構造はNMRスペクトル、質量スペク
トル、赤外スペクトル、ガスクロマトグラフィーにより
確認した。(収率72%) 1,5−ジフェニル−1,4−ペンタジイン−3−オー
ル11.2gを50mlのアセトンに溶解し、二クロム
酸ナトリウム9.0gと12.0gの硫酸を40mlの
水に混合した溶液を、氷冷下にて滴下した。滴下終了
後、反応混合物を300gの氷に注ぎ入れ、有機物を抽
出し、分離した有機層を水洗、濃縮してシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーによって精製して、1,5−ジフ
ェニル−1,4−ペンタジイン−3−オン(3b)を
7.4g得た。(収率67%) ナトリウムエトキシドの0.5Mエタノール溶液50m
lに1,5−ジフェニル−1,4−ペンタジイン−3−
オン7.0gを加え、さらに硫化ナトリウム9水和物1
4gを加えて室温下3時間攪拌した。この混合物を水3
00mlに注ぎ入れ、塩化メチレンを加えて有機物を抽
出し、分離した有機層を水洗、濃縮した後シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーによって精製し、2,6−ジフ
ェニル−4H−チオピラン−4−オン(3c)を5.1
g得た。(収率64%) 2,6−ジフェニル−4H−チオピラン−4−オンを
4.0gをジエチルエーテル100mlに溶解し、氷水
浴にて冷却しながら窒素雰囲気下にてヨウ化メチルマグ
ネシウムの1Mジエチルエーテル溶液21mlを滴下
し、室温下3時間攪拌して反応させた。反応混合物を飽
和塩化アンモニウム水溶液500mlに注ぎ入れ、有機
物を抽出し、分離した有機層に60%過塩素酸水溶液を
100ml加えたのち一晩静置結析させた。析出した結
晶を濾取して過塩素酸2,6−ジフェニル−4−メチル
−4H−チオピリリウム(3d)を3.7g得た。(収
率54%) 過塩素酸2,6−ジフェニル−4−メチル−4H−チオ
ピリリウム3.0gとスクエア酸0.93gを1−ブタ
ノール50mlとトルエン50mlの混合溶媒に分散
し、キノリン1.2gを加えて2時間加熱還流させた。
反応混合物を放冷後濃縮してトルエン200mlを加え
不溶物を濾別した後、濾液の濃縮物をアセトニトリルか
ら再結晶して例示化合物7を3.2g得た。(収率65
%、全5段階の総合収率10.8%) 実施例4
【0051】
【化15】
【0052】窒素雰囲気下において、臭化エチルマグネ
シウムのテトラヒドロフラン1M溶液85mlを氷水に
て冷却しながら、1−オクチン10gを25mlのテト
ラヒドロフランに溶解した溶液を滴下した。滴下終了
後、反応容器を氷水浴からはずして室温にて3時間攪拌
し、再び氷水浴にて冷却しながらぎ酸エチル3.4gを
滴下した。滴下終了後、テトラヒドロフラン25mlを
加え、6N塩酸を30ml滴下した。反応の終わった混
合物から有機物を抽出し、分離した有機層を水洗、濃縮
した後カラムクロマトグラフィーにより精製して、ヘプ
タデカ−7,10−ジイン−9−オール(4a)を8.
2g得た。化合物の構造はNMRスペクトル、質量スペ
クトル、赤外スペクトル、ガスクロマトグラフィーによ
り確認した。(収率73%) 先に述べたアイルランドらのザ・ジャーナル・オブ・オ
ーガニック・ケミストリー(The Journal
of Organic Chemistry)誌第58
巻2899ページ(1993年)掲載の論文に記された
方法により調製したデス−マーチンパーヨージナン1
2.8gを80mlの塩化メチレンに溶解した溶液に、
ヘプタデカ−7,10−ジイン−9−オール7.5gを
塩化メチレン50mlに溶解した溶液を加えて、室温下
3時間攪拌した。反応混合物にジエチルエーテル200
mlを加え、1N水酸化ナトリウム水溶液300mlに
注ぎ入れて有機物を抽出し、分離した有機層を水洗し
た。濃縮した有機層をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーにより精製して、ヘプタデカ−7,10−ジイン−
9−オン(4b)を6.1g得た。(収率82%) 30mlのアセトニトリルにヘプタデカ−7,10−ジ
イン−9−オン6.0gを加え、さらに硫化ナトリウム
9水和物12gと30mlの水により調製した水溶液を
加えて室温下30分間攪拌した。反応混合物を静置し分
離した水層を除いた後、飽和塩化アンモニウム水溶液5
0mlと酢酸エチル30mlを加えて有機物を抽出し、
分離した有機層を水洗、濃縮した後シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーによって精製し、2,6−ジ−n−ヘ
キシル−4H−チオピラン−4−オン(4c)を4.5
g得た。(収率66%) 2,6−ジ−n−ヘキシル−4H−チオピラン−4−オ
ン4.0gをジエチルエーテル100mlに溶解し、氷
水浴にて冷却しながら窒素雰囲気下にてヨウ化メチルマ
グネシウムの1Mジエチルエーテル溶液16mlを滴下
し、室温下3時間攪拌して反応させた。反応混合物に飽
和塩化アンモニウム水溶液500mlを加えた後に有機
物を抽出し、分離した有機層を水洗後、無水硫酸ナトリ
ウムにて乾燥してから濃縮した。濃縮した有機物は精製
することなく次の反応に用いた。
【0053】前の段階で得られた反応生成物とクロコン
酸0.92gを1−ブタノール30mlとトルエン30
mlの混合溶媒に分散し、キノリン0.1gを加えて攪
拌しながら4時間加熱還流させた。反応混合物を放冷
後、カラムクロマトグラフィーにて精製してさらに再結
晶を行い、例示化合物11の結晶1.6gを得た。(2
段階の収率34%、全5段階の総合収率13.4%) 比較例
【0054】
【化16】
【0055】ピバロイル酢酸メチル73gに炭酸水素ナ
トリウム0.1gを加え220℃の油浴で加熱攪拌しな
がら、留出物を除きつつ14時間反応させた。反応混合
物を減圧蒸留によって精製し、5.0gの6−tert
−ブチル−4−ヒドロキシ−3−ピバロイル−2H−ピ
ラン−2−オンを得た。(収率8.6%) 6−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−ピバロイ
ル−2H−ピラン−2−オン5.0gに酢酸9.5ml
と塩酸9.5mlを加えて、還流温度にて加熱攪拌し1
4時間反応を行った。反応混合物を20mlの水で希釈
し、有機物を酢酸エチルによって抽出した。有機層を洗
浄、濃縮後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、
2,6−ジ−tert−ブチル−4H−ピラン−4−オ
ンを2.5g得た。(収率60%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4H−ピラン−4−オ
ン10.4gをトルエン30mlに溶解し、2,4−ビ
ス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチア
ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(一般にローソ
ン試薬として知られている)12.1gを加え、120
℃に加熱して1時間攪拌した。反応混合物を濃縮後カラ
ムクロマトグラフィーにより精製し、2,6−ジ−te
rt−ブチル−4H−ピラン−4−チオン6.5gを得
た。化合物の構造はNMRスペクトル、質量スペクト
ル、赤外スペクトルにて確認した。(収率58%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4H−ピラン−4−チ
オン4.7gをヘキサメチルホスホルアミド240ml
に溶解し、水硫化ナトリウム14.0gを30分かけて
少量ずつ加えた後、90℃に加熱して1.5時間攪拌し
た。反応混合物を水に注ぎ入れ、析出した結晶をヘキサ
ンより再結晶して2,6−ジ−tert−ブチル−4H
−チオピラン−4−チオンを1.7g得た。化合物の構
造はNMRスペクトルおよび質量スペクトルにて確認し
た。(収率33%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4H−チオピラン−4
−チオン1.5gをアセトン20mlに溶解し、ヨウ化
メチル4.8mlを加えて還流温度で1時間攪拌した
後、反応混合物を濃縮乾固してアセトンで再結晶を行
い、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルチオ−
4H−チオピリリウムヨーダイドを1.7g得た。化合
物の構造はNMRスペクトルおよび質量スペクトルにて
確認した。(収率71%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルチオ−4H
−チオピリリウムヨーダイド1.5gを15mlのジメ
チルスルホキシドに溶解し、1.5mlの水を加えて9
0℃に加熱して3時間攪拌した後、反応混合物を氷水1
50mlに注ぎ入れて有機物を酢酸エチルにて抽出し
た。得られた有機層を濃縮した後カラムクロマトグラフ
ィーにより精製し、2,6−ジ−tert−ブチル−4
H−チオピラン−4−オン(1c)を0.7g得た。
(収率79%) 2,6−ジ−tert−ブチル−4H−チオピラン−4
−オン1.0gをジエチルエーテル15mlに溶解し、
氷水浴にて冷却しながら窒素雰囲気下にてヨウ化メチル
マグネシウムの1Mジエチルエーテル溶液2mlを滴下
し、室温下3時間攪拌して反応させた。反応混合物を飽
和塩化アンモニウム水溶液70mlに注ぎ入れ、有機物
を抽出し、分離した有機層に60%過塩素酸水溶液を1
0ml加えたのち一晩静置結析させた。析出した結晶を
濾取して、過塩素酸2,6−ジ−tert−ブチル−4
−メチル−4H−チオピリリウム(1d)を0.9g得
た。(収率55%) 過塩素酸2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル−
4H−チオピリリウム0.8gとスクエア酸0.14g
を、1−ブタノール10mlとトルエン10mlの混合
溶媒に分散し、キノリン0.2gを加えて2時間加熱還
流させた。反応混合物を濃縮してトルエン30mlを加
えて不溶物を濾別した後、濾液の濃縮物をアセトニトリ
ルから再結晶して、例示化合物2を0.4g得た。(収
率60%、全8段階の総合収率0.18%)
【0056】
【発明の効果】本発明により、カルコゲノピリリウム化
合物を簡便に収率よく合成することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換アセチレン類化合物を用いることを
    特徴とする、下記一般式(1)で表されるカルコゲノピ
    リリウム化合物の製造方法。 【化1】 〔式中、Xは硫黄、セレンまたはテルル原子のいずれか
    を表す。またR1およびR2はそれぞれ独立に置換基を表
    し、Aは下記一般式(2−1)または一般式(2−2)
    のうちいずれかを表す。〕 【化2】 〔式中、R11、R12、R21およびR22はそれぞれ独立に
    置換基を表し、X1およびX2は硫黄、セレンまたはテル
    ル原子のいずれかを表す。〕
  2. 【請求項2】 1,4−ペンタジイン−3−オール類を
    用いることを特徴とする上記一般式(1)で表されるカ
    ルコゲノピリリウム化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 1,4−ペンタジイン−3−オン類を用
    いることを特徴とする上記一般式(1)で表されるカル
    コゲノピリリウム化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 デス−マーチンパーヨージナンを用いて
    1,4−ペンタジイン−3−オール類を1,4−ペンタ
    ジイン−3−オン類に変換する工程を含むことを特徴と
    する、上記一般式(1)で表されるカルコゲノピリリウ
    ム化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 1,4−ペンタジイン−3−オン類をア
    セトニトリル−水混合溶媒中にて4H−カルコゲノピラ
    ン−4−オン類に変換する工程を含むことを特徴とする
    上記一般式(1)で表されるカルコゲノピリリウム化合
    物の製造方法。
  6. 【請求項6】 4H−カルコゲノピラン−4−オン類を
    メチル化して得られる4H−カルコゲノピリリウム化合
    物を単離しないことを特徴とする上記一般式(1)で表
    されるカルコゲノピリリウム化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記一般式(1)のX、上記一般式(2
    −1)のX1および上記一般式(2−2)のX2がいずれ
    も硫黄原子であることを特徴とする、請求項1〜6のい
    ずれか1項記載の上記一般式(1)で表されるカルコゲ
    ノピリリウム化合物の製造方法。
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