JP2001010337A - 自動車用部分撥水ガラスおよびその製造方法 - Google Patents

自動車用部分撥水ガラスおよびその製造方法

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JP2001010337A
JP2001010337A JP11187321A JP18732199A JP2001010337A JP 2001010337 A JP2001010337 A JP 2001010337A JP 11187321 A JP11187321 A JP 11187321A JP 18732199 A JP18732199 A JP 18732199A JP 2001010337 A JP2001010337 A JP 2001010337A
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滋生 濱口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ドアガラスの昇降に伴う長期の摺動作用に対し
ても撥水性被膜の劣化が生ぜず、長期間にわたり光学的
性能、外観が均一で、安全上或いは外観上優れた撥水性
被膜を有する自動車ドアガラスを得ること。 【解決手段】自動車用ドアガラスの車外側表面に撥水性
被膜が形成された撥水ガラスにおいて、少なくとも該ガ
ラスの昇降機構に係わるスタビライザーにより摺動され
る部分を除いて撥水性被膜を形成すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部分的に撥水性を
有しない部分を設けた自動車用部分撥水ガラスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用の撥水処理ガラスとしては、高
耐久性の撥水性ガラスが種々提案されている。例えば、
特開平5-238781号公報には、シリカよりなる下
地層表面に撥水剤であるペルフルオロアルキルシランで
処理されたガラス基体からなる物品が記載され、特開平
7-138050号公報には、マイクロピット上表層ま
たは凹凸状表層よりなる下地層を形成し、その表面に撥
水性被膜を形成した撥水性酸化物被膜が記載されてい
る。
【0003】また、部分撥水処理ガラスについては、例
えば特開平9-142888号公報には、ガラス基板表
面に文字、模様および/または図柄をパターニングし、
該パターニングした部分に透明な撥水性被膜を形成し、
水滴や雨滴等の水分付着時の光散乱強度の差により前記
パターニング部分を浮き上がらせた装飾ガラスが記載さ
れ、特開平7−157336号公報には、透明基板表面
が撥水性被膜形成部と非形成部とを有し、塗布に際して
非形成部には溶剤を撥水被膜形成用塗布液とその一部が
重なるように塗布する撥水被膜の形成方法が記載され、
特開平10−297939号公報には、自動車用窓ガラ
スのワイパー払拭部分のみに撥水性膜を施し、それ以外
の部分は撥水性膜を付与しない部分撥水処理ガラス等が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5-238781号公報或いは特開平7-138050号
公報記載のものは、撥水層の下層に下地層を形成するも
のであるが、たとえ高硬度な下地層を形成したとして
も、例えばウィンドシールドにおけるワイパー摺動やド
アガラスのドア昇降のような過酷な摺動に対しては、使
用期間が長期になるにしたがって摺動部分とそれ以外の
部分との撥水特性、光学特性、外観等の差異が顕在化し
て商品として好ましくないものとなる。
【0005】また、部分撥水ガラスに関する特開平9-
142888号公報記載のものは、目的は装飾ガラスで
あり、特開平7−157336号公報記載のものは、例
えばガラス周縁のモールを接着させる部分を非撥水膜部
とすることによりモール接着時の接着強度の低下を改善
する目的のものであり、特願平10−297939号公
報記載のものは、目的はシャンデリア現象による視界悪
化の領域を改善するものであり、これらの部分撥水ガラ
スに関する発明は、何れも自動車用ドアガラスの摺動作
用に対する性能劣化が及ぼす諸問題を予防措置的に回避
することを目的とするものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、スタビライザ
ーにより摺動される部分には撥水性被膜を形成させない
ようにした自動車用ドアガラスの部分撥水ガラスであっ
て、特に摺動作用の激しい部分には撥水性被膜を形成し
ないことにより、該ドアガラスの昇降に伴う長期の摺動
作用に対しても撥水性被膜の部分的な劣化が顕在化ぜ
ず、長期間にわたり光学的性能、外観の経時変化が少な
く、安全上或いは美観上優れたガラスが得られる。
【0007】すなわち、本発明の自動車用部分撥水ガラ
スは、自動車用ドアガラスの車外側表面に撥水性被膜が
形成された撥水ガラスにおいて、該ガラスの昇降機構に
係わるスタビライザーにより摺動を受ける部分を除いて
撥水性被膜が形成されてなることを特徴とする。
【0008】また、本発明の自動車用部分撥水ガラス
は、該ガラスを支持するためのホルダーが接着される部
分は、撥水性被膜が形成されてないことを特徴とする。
その撥水性被膜の水滴に対する接触角θは、70°以上
であることが好ましい。
【0009】また、本発明の自動車用部分撥水ガラスの
製造方法は、撥水性被膜を形成しない部分にマスキング
材を貼り付けたのち、該ガラス面に撥水液を塗布し、次
いで熱処理を行い撥水性被膜を形成後、該マスキング材
を除去することを特徴とする。
【0010】さらに、本発明の自動車用部分撥水ガラス
の製造方法は、自動車用ドアガラスの全面に撥水液を塗
布したのち、熱処理を行い撥水性被膜を形成後、撥水性
被膜を形成する部分にマスキング材を貼り付け、該マス
キング材を貼り付けた以外の部分を研磨剤により、研磨
して撥水性被膜を除去することを特徴とする。
【0011】さらにまた、本発明の自動車用部分撥水ガ
ラスの製造方法は、自動車用ドアガラスの全面に撥水液
を塗布したのち、熱処理を行い撥水性被膜を形成後、撥
水性被膜を形成する部分にマスキング材を貼り付け、該
マスキング材を貼り付けた以外の部分をアルカリ水溶液
により処理して撥水性被膜を除去することを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の自動車用ドアガラスは、
極めて摺動作用が激しい部分である昇降機構に係わるス
タビライザーにより摺動される部分には撥水性被膜を形
成させないようにした自動車用部分撥水ガラスに関する
ものである。
【0013】前記のスタビライザーは、ドアガラス下部
のパネル内に配設され、該ガラスの昇降時に両側からガ
ラスを挟持して押圧しながら摺動させ、特に昇降動作を
行う時にガラスが振れないように、ガラスの円滑な昇降
運動を案内する装置である。
【0014】このスタビライザーは、ガラスの昇降時に
は該ガラスの車外側表面に激しい摺動作用を与える機構
のものであり、該摺動部がロール、植毛、ボール等種々
の機構(例えば、実開昭60−23413号公報、特開
昭56−131419号公報、特開昭61−16122
号公報、実開平2−75311号公報等)のものがある
が、本発明はその機構に限定されるものではなく、ま
た、設置個数或いは設置箇所も限定されるものではな
い。
【0015】撥水性被膜を形成しない部分としては、例
えばスタビライザーがガラスに対して1対だけ配設され
ている場合には、図1に示すように該スタビライザーを
含む帯状の領域(黒塗り部)を撥水性被膜を形成しない
部分とし、また、スタビライザーが2対配設されている
場合には、図2に示すように2ヶ所のスタビライザーに
よる摺動部分を含む1本の太い帯状(黒塗り部)のみを
設けてもよく、その方法は限定されるものではなく、目
的により適宜行うことが出来るが、運転者がドアミラー
を見るドアガラスの前方部は撥水性被膜とすることが好
ましい。
【0016】なお、前記スタビライザーにより摺動を受
ける部分以外に、他の摺動を強く受ける部分あるいは図
1或いは図2に示すようなガラスを支持するためのホル
ダー部の接着性の低下を防止するため該ホルダー接着部
を含む部分も撥水性被膜を形成させないことが好まし
い。
【0017】スタビライザーにより摺動される部分も含
めて全面に撥水性被膜を形成すると、該摺動部分の被膜
は他の部分よりも早く摩耗され、スタビライザーにより
摺動される部分の接触角が大幅に低下し、特に雨天時に
はその部分が筋状に浮き上がり、撥水性被膜の剥離が生
じ易く、外観上好ましいものではなくなる。
【0018】自動車用ドアガラスは、特に限定されるも
のではなく、無色または着色、ならびにその種類あるい
は色調、形状等に特に限定されるものではなく、さらに
曲げ板ガラスとしてはもちろん、各種強化ガラスや強度
アップガラス、平板や単板で使用できるとともに、合せ
ガラスとしても使用できることは言うまでもない。さら
に、ガラス車内側表面に紫外線遮蔽膜、熱線遮蔽膜、導
電性膜等各種の被膜が形成されているものでも差し支え
ない。
【0019】撥水性被膜を形成する撥水液としては、例
えば、フルオロアルキル基含有シラン化合物からなる撥
水剤と、希釈用の溶媒と、触媒としての酸性水溶液を所
定量混合したのち、所定時間攪拌して加水分解反応を終
結させ、次いで該溶液に脱水剤を添加し、所定時間脱水
処理を行って重縮合させることにより得ることができ
る。
【0020】上記の出発原料としては、撥水剤としてフ
ルオロアルキルアルコキシシラン系化合物或いはフルオ
ロアルキルハロゲン化シラン系化合物であり、その化合
物としては、例えばCF3(CF211CH2CH2Si
(OR)3、CF3(CF29CH2CH2Si(O
R)3、CF3(CF27CH2CH2Si(OR)3、C
3(CF25CH2CH2Si(OR)3、CF3(C
211CH2CH2SiR(OR)2、CF3(CF29
CH2CH2SiR(OR)2、CF3(CF27CH2
2SiR(OR)2、CF3(CF25CH2CH2Si
R(OR)2、CF3CH2CH2SiCl3、CF3(CF
27CH2CH2SiCl3、CF3(CF27CH2CH2
SiRCl2、CF3(CF29CH2CH2SiCl3
CF3(CF29CH2CH2SiRCl2等を用いること
が出来る。なお、上記化学式におけるRはCH3、C2
5、C37を示す。
【0021】希釈溶媒としては、イソプロピルアルコ−
ル(以下、「i−PA」と略す)の他に、メタノ−ル、
エタノ−ルなど炭素数が5以下の低級アルコ−ル溶媒で
あってもよく、アルコ−ル以外にエ−テル類やケトン類
を用いることができ、ことにイソプロピルアルコールを
主成分としてなるアルコールが塗布液の調製における希
釈溶媒として好ましい。
【0022】触媒としての酸性水溶液は、0.01N以
上、好ましくは0.1N〜13N程度の濃度の硝酸、塩
酸、硫酸などの無機酸あるいは、酢酸、クエン酸などの
有機酸を使用することができる。なお、撥水剤:希釈溶
剤:酸性水溶液は、重量割合で1:5〜50:0.09
〜1.0の範囲が好ましいが、これらの範囲に限定され
るものではない。
【0023】脱水剤としては、シリカゲル、合成ゼオラ
イト、活性アルミナ等を用いることが出来るが、これに
限定するものではない。また本発明は、加水分解終結後
に重縮合する場合あるいは加水分解の途中で重縮合が開
始する場合等、特に限定するものではない。
【0024】なお、撥水液としては、前記の方法に限定
されず、ジメチルシリコーン系撥水剤、前記撥水剤とジ
メチルシリコーン系との混合系撥水剤、およびフッ素樹
脂をシリカゾルにハイブリッド化させた撥水膜を形成す
るなど、他の方法でも用いることが可能である。
【0025】なお、撥水性被膜が優れた撥水性を発現す
るためには、適当な接触角θ(°)と転落性δ(μl)
を兼ね備えることが肝心であり、例えば一般に接触角が
大きくなると、転落性は小さくなる傾向があり、接触角
θは70°以上が好ましい。
【0026】撥水液をガラス基板の表面上に塗布する条
件は、撥水剤成分のシラノール基と基材表面の水酸基と
の反応を活性化させるために、通常雰囲気湿度が約75
%RH以下が好ましいが、これらに限定されるものでは
ない。撥水液を塗布するガラス基板の表面を予め酸処理
することにより表面改質すると、被膜の強度等が増し好
ましい。
【0027】さらに、ガラス基板表面に凹凸の下地層を
形成すると耐久性がより向上するので特に好ましく、そ
の方法としては、例えば金属アルコキシド系化合物或い
は金属アセチルアセトネート系化合物の中から少なくと
も1種以上選択し、しかも該選択した2つ以上の化合物
は4官能および3官能のアルコキシドであって、該2つ
以上の化合物を溶剤とともに混合してコーティング溶液
とし、該溶液を被覆・加熱してマイクロピット状の表層
をつくる方法等が採用できるがこれに限定されるもので
はない。
【0028】自動車用部分撥水ガラスを製造するに際
し、例えば撥水性被膜を形成しない部分にマスキング材
を貼り付けたのち、該ドアガラス全面に撥水液を塗布
し、次いで熱処理を行い撥水性被膜を形成後、該マスキ
ング材を除去する方法、またはドアガラスの面に撥水液
を塗布したのち、熱処理を行い撥水性被膜を形成後、撥
水性被膜を形成する部分にマスキング材を貼り付け、該
マスキング材を貼り付けた以外の部分を研磨剤により研
磨、或いはUVオゾン洗浄、或いは強力なUV光を照
射、或いはコロナ放電を暴露する方法、或いはアルカリ
水溶液により処理して撥水性被膜を除去する方法等によ
り部分撥水ガラスを製造することができる。
【0029】上記に示すように、本発明の自動車用部分
撥水ガラスは、撥水処理した撥水性被膜部分と非撥水性
被膜部分の両者が形成されており、雨天時における撥水
性被膜形成部分の水に対する接触角は約70°以上であ
り、非撥水性被膜部は通常のガラス表面と同じ接触角の
約50〜60°以下であり、同じガラス面内に水滴との
接触角の異なる部分が共存しているが、雨天時には通常
運転者は、撥水性被膜が形成された接触角の大きい部分
を透してドアミラー或いは車外の景色をはっきりと見る
ことが可能となり、安全性が向上される。
【0030】なお、ガラスへの撥水液の塗布法として
は、手塗り(ラビング法)、ノズルフロ−コ−ト法、デ
ィッピング法、スプレー法、リバ−スコ−ト法、フレキ
ソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート
法、ならびにそれらの併用等既知の塗布手段等各種の塗
布法が適宜採用し得るものである。
【0031】さらに、前記塗布液の粘度は、1〜10セ
ンチポイズに調製することが好ましく、1センチポイズ
未満では粘性が低すぎて膜となり難く、また10センチ
ポイズを超えると被膜した際に過剰に塗膜され加熱乾燥
過程で膜中にクラック等が生じてしまうためである。
【0032】またさらに、前記塗布液の酸化物換算固形
分濃度は0.2〜20wt%とする。0.2wt%未満
では希薄すぎるため膜の形態となり難く、また20wt
%を超えると濃度が高すぎるため膜厚が厚くなり、膜中
にクラックの発生を生じたりあるいは成膜時に白濁を生
じたりして良質な薄膜が得られなかったり、材料費がア
ップすることにつながるものである。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はかかる実施例に限定されるもので
はない。
【0034】
【実施例1】自動車用ドアガラスの車外側のガラス表面
を、研摩液(三井金属工業製ミレークAなどを水に1%
程度懸濁させたもの)を用いプラシポリッシャーで研磨
した後充分に水洗した。次いで、35℃、0.1N硫酸
水溶液中に1分間浸漬する「酸処理」を行った。次に、
このガラスの非撥水処理部分(図3に黒塗りで示すスタ
ビライザーにより摺動される部分を含む該ガラスの右半
分の領域、およびホルダー部を含むガラス下辺部の領
域)にマスキング材(日東電工製SPV-362X-2)
を貼り付けた。なお、該ガラスの右側半分の黒塗り部分
の中の斜線部分はスタビライザーが摺動する部分を示
し、下辺部の黒塗り部分は、ドアガラスを支持するため
のホルダー等が接着される部分であり、ホルダーとガラ
スとの接着強度を低下させないように、撥水処理しない
方が良い。
【0035】撥水処理は、撥水液を塗布(23℃,45
%RHの環境下で、約2ml/pcの撥水液をガラス基板に
滴下し、綿布(商品名;ベンコット)でガラス全面に十分
引き伸ばした)して5分間風乾した。撥水液は、撥水剤
にヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(CF3
(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3:信越化学製KBM
-7803、以下FASと記す)を用い、希釈溶媒にイ
ソプロピルアルコール(i-PA)、酸触媒に0.1N硝酸
(HNO3)を、それぞれ、重量比で1:25:0.3で
混合し、室温で2時間攪拌した後、混合ゾルにFASの
5倍(重量)の脱水剤(モレキュラーシーブ4A相当
品)を入れて約16時間脱水処理し、最終的にろ紙でろ
過して得た。
【0036】その後、マッフル炉でガラス温度が5分で
140℃に達するような熱処理(以下、キュアリングと
呼ぶ)を行い、白濁して残った余剰な撥水剤をiPAで
拭き上げ、最終的に非撥水処理部分のマスキング材を取
り除いて部分撥水撥水処理ガラスを得た。
【0037】得られた部分撥水ガラスの面内の接触角を
測定した結果を図4に示す。撥水処理部分では107〜
110°の高い接触角が得られたが、マスキング部分で
はマスキング材の接着剤の影響が若干ながら認められた
が、50〜68°と通常ガラスに比べて問題の生じない
レベルの低い接触角を示した。なお、接触角の測定は次
の条件で行った。
【0038】「接触角測定条件」 機器:協和界面科学製CA−X型 環境:大気中(約25℃) 液滴:純水(2μl)。
【0039】
【実施例2】実施例1と同様に撥水ドアガラスを作製し
た。ただし、実施例2では撥水処理前には非撥水処理部
分を設けず、ドアガラスの車外側全面を撥水処理した。
次に、図3で示す撥水処理が必要な部分をマスキング材
(日東電工製SPV-A-303S)で覆った。次いで、
研摩液(三井金属工業製ミレークAなどを水に5〜10
wt%程度懸濁させたもの)を用い、プラシポリッシャ
ーでマスキング部分以外のガラス面を十分に研磨した。
その後、十分に水洗いして乾燥後、マスキング材を取り
除いて部分撥水ガラスを得た。
【0040】得られた部分撥水ガラスの面内の接触角を
測定した結果、撥水処理部分では107〜110°の高
い接触角は保持されていたが、研摩部分では10〜20
°と非常に低い接触角を示し、通常のガラスと同程度の
値を示した。
【0041】
【実施例3】実施例2と同様に撥水ドアガラスを作製後
に、撥水処理の必要な部分をマスキング材(日東電工製
SPV-A-303S)で覆った。次いで、ガラスを65
℃の1N水酸化ナトリウム溶液中に10分間浸漬後、十
分に水洗いして乾燥後、マスキング材を取り除き、部分
撥水ガラスを得た。
【0042】得られた部分撥水ガラスの面内の接触角を
測定した結果、撥水処理部分では107〜110°の高
い接触角は保持されていたが、アルカリ処理した部分で
は30〜40°と低い接触角を示し、通常のガラスと同
程度の値を示した。
【0043】
【実施例4】実施例2と同様に撥水処理ドアガラスを作
製後に、撥水処理の必要な部分を黒色のマスキング材
(日東電工製SPV-A-303S)で覆った。次いで、
ガラス表面にUVオゾン洗浄装置(アイグラフィックス
製OC-4010、40W10灯タイプ)を用いて、撥
水性被膜を除去する部分を約10分間UVオゾン洗浄し
た。次いで、マスキング材を取り除いて部分撥水ガラス
を得た。
【0044】得られた部分撥水処理ガラスの面内の接触
角を測定した結果、撥水処理部分では107〜110°
の高い接触角は保持されていたが、UVオゾン洗浄した
部分は6〜35°と非常に低い接触角を示し、撥水性被
膜が除去されていることが確認できた。
【0045】
【実施例5】実施例2と同様に撥水ドアガラスを作製後
に、撥水処理の必要な部分を黒色のマスキング材(日東
電工製SPV-A-303S)で覆った。次いで、ガラス
表面にメタルハライドランプ(アイグラフィックス製
M075-L312など)から得られる強力なUV光
(約250mW/cm2)を約15分間照射した。次に水洗い
して乾燥後、マスキング材を取り除き、部分撥水ガラス
を得た。
【0046】得られた部分撥水ガラスの面内の接触角を
測定した結果、撥水処理部分では107〜110°の高
い接触角は保持されていたが、UV照射した部分では3
6°と非常に低い接触角を示し、通常のガラスと同程度
の値を示した。
【0047】
【実施例6】実施例2と同様に撥水処理ドアガラスを作
製した。次に、シンクエンジニアリング(株)製のコロ
ナ放電装置CT-0212を用いて、非撥水処理するガ
ラス表面にコロナ放電を暴露した。なお、コロナ放電出
力は0.4KWとし、放電ワイヤー線から暴露されるガラ
ス表面までの距離を2〜2.5mmに保った状態でガラス
基板を約200〜500mm/minで搬送した。このよう
に、放電ワイヤー線が通過したしたガラス表面のみ撥水
性被膜が選択的に除去され、部分撥水処理ガラスが得ら
れた。
【0048】部分撥水ガラスの面内の接触角を測定した
結果、撥水処理部分(コロナ放電ワイヤー線が通過して
いない部分)では107〜110°の高い接触角は保持
されていたが、コロナ放電ワイヤー線が通過した部分で
は約10°と非常に低い接触角を示し、撥水性被膜が効
率よく除去されていることが確認できた。
【0049】次に、実施例1〜6で得られた部分撥水ガ
ラスを用いて、実車ドア昇降試験(2万回昇降)を行っ
た。その結果、試験後においても撥水処理部分の接触角
は100〜105°で大きな低下は認められず、また、
スタビライザーなどの摺動部分についても初期状態との
差異は認められず、特に雨天時でも摺動劣化部分が浮き
上がることもなく、商品の外観品質を損なうものではな
く、部分撥水処理ガラスの効果が認められた。なお、こ
の効果は上記の実施例1〜6のいずれかの方法で得られ
た部分撥水ガラスにおても同様に認められた。
【0050】
【比較例1】実施例1または2と同様に撥水ドアガラス
を作製した。ただし、撥水処理にあたってはドアガラス
の車外側全面を処理した。
【0051】得られた撥水ガラスの面内の接触角は、1
07〜110°と高い接触角を示した。このガラスを用
いて、実車ドア昇降試験(2万回昇降)を行った。図5
に、試験後のガラスの面内の接触角を示す。スタビライ
ザーにより摺動される部分の接触角が大幅に低下し、特
に雨天時にはその部分が筋状に浮き上がり、撥水性被膜
の剥離が観察されて外観上好ましいものではなく、この
部分は予め非撥水処理を行う方が良いことが確認でき
た。
【0052】
【発明の効果】本発明は、スタビライザーにより摺動さ
れる部分には撥水性被膜を形成させないようにした自動
車用ドアガラスの部分撥水ガラスであって、特に摺動作
用の激しい部分には撥水性被膜を形成しないことによ
り、該ドアガラスの昇降に伴う長期の摺動作用に対して
も撥水性被膜の劣化が生ぜず、長期間にわたり光学的性
能、外観が均一であり、安全上或いは美観上優れたガラ
スが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタビライザーが1ヶ所の場合の部分撥水ガラ
スを示す図である。
【図2】スタビライザーが2ヶ所(非撥水部分1ヶ所)
の場合の部分撥水ガラスを示す図である。
【図3】ドアーガラスのマスキング状態を示す図であ
る。
【図4】ドアーガラス表面の接触角を示す図である。
【図5】撥水ドアーガラスの実車ドアー試験後の接触角
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 喜多 信一 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝子 株式会社生産技術研究所内 Fターム(参考) 2E016 AA07 BA07 CA01 CB01 CC01 DA00 DC01 3D127 AA01 BB01 CB05 CC05 DD05 DF01 4G059 AA01 AB06 AB07 AC22 FA11 FB06 4H020 BA36

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】自動車用ドアガラスの車外側表面に撥水性
    被膜が形成された撥水ガラスにおいて、少なくとも該ガ
    ラスの昇降機構に係わるスタビライザーにより摺動され
    る部分を除いて撥水性被膜が形成されてなることを特徴
    とする自動車用部分撥水ガラス。
  2. 【請求項2】該ガラスを支持するためのホルダーが接着
    される部分は、撥水性被膜が形成されてないことを特徴
    とする請求項1記載の自動車用部分撥水ガラス。
  3. 【請求項3】撥水性被膜の水滴に対する接触角θが70
    °以上であることを特徴とする請求項1または2記載の
    自動車用部分撥水ガラス。
  4. 【請求項4】請求項1記載の自動車用部分撥水ガラスを
    製造するにおいて、撥水性被膜を形成しない部分にマス
    キング材を貼り付けたのち、該ガラス面に撥水液を塗布
    し、次いで熱処理を行い撥水性被膜を形成後、該マスキ
    ング材を除去することを特徴とする自動車用部分撥水ガ
    ラスの製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の自動車用部分撥水ガラスを
    製造するにおいて、自動車用ドアガラスの全面に撥水液
    を塗布したのち、熱処理を行い撥水性被膜を形成後、撥
    水性被膜を形成する部分にマスキング材を貼り付け、該
    マスキング材を貼り付けた以外の部分を研磨剤により、
    研磨して撥水性被膜を除去することを特徴とする自動車
    用部分撥水ガラスの製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の自動車用部分撥水ガラスを
    製造するにおいて、自動車用ドアガラスガラスの全面に
    撥水液を塗布したのち、熱処理を行い撥水性被膜を形成
    後、撥水性被膜を形成する部分にマスキング材を貼り付
    け、該マスキング材を貼り付けた以外の部分をアルカリ
    水溶液により処理して撥水性被膜を除去することを特徴
    とする自動車用部分撥水ガラスの製造方法。
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