JP2001002729A - 水素化ニトリルゴム - Google Patents

水素化ニトリルゴム

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JP2001002729A
JP2001002729A JP17267099A JP17267099A JP2001002729A JP 2001002729 A JP2001002729 A JP 2001002729A JP 17267099 A JP17267099 A JP 17267099A JP 17267099 A JP17267099 A JP 17267099A JP 2001002729 A JP2001002729 A JP 2001002729A
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JP
Japan
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rubber
nitrile rubber
ppm
catalyst
hydrogenated
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JP17267099A
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English (en)
Inventor
Takashi Iwamoto
隆志 岩元
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵安定性に優れる水素化ニトリルゴム
を提供する。 【解決手段】 1H−NMRにおける2.5ppm付近
にピークトップを有するピーク面積(A)と6.1pp
m付近にピークトップを有するピーク面積(B)との比
がB/A≦0.06である貯蔵安定性に優れた水素化ニ
トリルゴム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貯蔵安定性に優れ
た水素化ニトリルゴムを提供するものであり、本発明に
よって得られる水素化ニトリルゴムは、自動車用ゴム部
品及びその他の工業部品原料として、広く利用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】ニトリルゴムの分子中の炭素−炭素二重
結合を選択的に水素化して得られる水素化ニトリルゴム
は、ニトリルゴムの有する優れた耐油性を保持したま
ま、耐熱性、耐候性が向上するため、これらの性能を必
要とする自動車部品等のゴム部材として用途が拡大され
つつある。
【0003】ニトリルゴムの水素化は、耐熱性、耐候性
を向上させるものの、後の安価な加硫のためには、二重
結合を残すことが必要である。この二重結合は、酸化等
の反応により貯蔵中に物性変化、劣化を起こすという欠
点がある。水素化する際に使用する金属触媒は、多くの
場合、ゴムの劣化を促すことが一般的に知られており、
この金属触媒が多量に、ゴム中に存在すると、ゴムの加
工性まで悪化させる問題がある。そのために、使用触媒
除去の方法が例えば、特開平3−210304号公報、
特開平4−290555号公報で提案されているが、金
属触媒を完全に除くことは、不可能である。また、その
ために特開平3−153706号公報に記載されている
ような安定剤を添加する方法等が提案されているが、配
合を変えると、ゴム製品の物性が変化してしまうので好
ましくない。従ってゴムそのものの安定性を向上させる
ことが望まれている。
【0004】金属触媒によるゴムの劣化は、一般的であ
るが、水素化ニトリルゴムの二重結合構造に関するもの
は、原料ブタジエンに由来する1,4−トランスビニ
ル、1,4−シスビニル、1,2−ビニル構造に関する
記載は多いものの、下記化学式(1)に示すアクリロニ
トリルユニット由来の主鎖中の二重結合に関するもの
は、例えば1989年ラバーケミストリー・アンド・テ
クノロジーにその存在は記載されているものの、そのア
クリロニトリルユニット由来の主鎖中の二重結合残存量
とゴム物性の相関は明かではなかった。
【0005】
【化1】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の水素
化ニトリルゴム分子中の二重結合が、酸化等の反応によ
り貯蔵中に物性変化、劣化を起こすという欠点と、金属
触媒が多量にゴム中に存在するとゴムの加工性まで悪化
させる欠点と、安定剤を添加する方法は配合を変えると
ゴム製品の物性が変化してしまう欠点とを同時に解決す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水素化ニ
トリルゴム自身の貯蔵安定性を改良すべく鋭意検討を重
ねた結果、非常に貯蔵安定性に優れる手段を見出し、本
発明に至った。
【0008】すなわち、本発明は、1H−NMRにおけ
る2.5ppm付近にピークトップを有するピーク面積
(A)と6.1ppm付近にピークトップを有するピー
ク面積(B)との比がB/A≦0.06である水素化ニ
トリルゴムに係わる。
【0009】本発明は、ニトリルゴムの水素化工程で、
異性化により新たに生じると推測される下記化学式
(1)に示すアクリルモノマーユニット由来の主鎖中の
二重結合に関するものであり、この新たに生じた二重結
合は、1H−NMRにより6.1ppm付近にピークト
ップを有するピーク面積として同定することが可能であ
る。
【0010】
【化2】
【0011】本発明をより詳細に説明する。本発明に用
いる原料ニトリルゴムは、共役ジエンとα,β−不飽和
ニトリル化合物、そして必要ならばそれらと共重合可能
なモノマーとの共重合体である。共役ジエンとしてはブ
タジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げ
られるが、ブタジエンが好ましい。α,β−不飽和ニト
リル化合物としてはアクリロニトリル、メタアクリロニ
トリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられる
が、アクリロニトリが好ましい。
【0012】共重合可能な他のモノマーとしては、アク
リル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、
またはそれらα,β−不飽和カルボン酸のエステル、ジ
ビニルベンゼン等の非共役ジビニル化合物、エチレング
リコールジメタクリレート等の多価(メタ)アクリレー
ト化合物、また、分子内にアニリノフェニル骨格をもつ
ビニル系モノマーが挙げられる。これら共役ジエンと
α,β−不飽和ニトリル化合物と共重合可能な他のモノ
マーは、必要に応じてそれぞれ単独で、または組み合わ
せて用いることができる。
【0013】本発明に用いる原料ニトリルゴムにおけ
る、共役ジエンと、α,β−不飽和ニトリル化合物と、
それらと共重合可能なその他のモノマーの比は、特に制
限はないが共役ジエン50〜95重量%、α,β−不飽
和ニトリル化合物5〜50重量%、それらと共重合可能
なその他のモノマー0〜10重量%が、水素化ニトリル
ゴムの物性バランスから好ましい。
【0014】本発明に用いる原料ニトリルゴムの重合方
法は、一般的な乳化重合方法を採用できる。
【0015】本発明における水素化ニトリルゴムの製造
は、触媒としてPt、Pd、Rh、Ru等の金属をシリ
カ等の多孔質体に担持して用い、例えば有機溶媒に原料
ニトリルゴムを溶解した溶液に触媒を加え、反応器中で
加熱下、原子状又はガス状の水素と接触させる。さら
に、上記金属を金属錯体の形にして、均一系で水素化す
ることも可能であるが、触媒使用量は低減できるメリッ
トはあるものの、その触媒除去・回収工程が必要となり
製造プロセスとしては、複雑となることから、担持触媒
を用いるのが好ましい。水素化率は得られる水素化ニト
リルゴムの耐熱性から水素化の指標であるヨウ素化12
0以下の水素化ニトリルゴムが好ましい。
【0016】さらに、本発明者は、担持触媒による水素
化工程において、その反応条件によって、アクリルモノ
マーユニット由来の主鎖中の二重結合が新たに生成し、
その量が変わることを発見した。同一触媒量で同一水添
率であっても、反応温度が変わると、アクリルモノマー
ユニット由来の主鎖中の二重結合の量が変化することを
発見し、このアクリルモノマーユニット由来の主鎖中の
二重結合量と貯蔵安定性に相関があることを見出した。
すなわち、1H−NMRにおける2.5ppm付近にピ
ークトップを有するピーク面積(A)と6.1ppm付
近にピークトップを有するピーク面積(B)との比がB
/A≦0.06である水素化ニトリルゴムが非常に貯蔵
安定性に優れることを見出し、B/A>0.06では、
貯蔵安定性が不十分であった。
【0017】以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はその主旨を越えない限り、下記の実施
例に限定されるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
【0019】
【製造例1〜3】表1に示す組成の原料ニトリルゴムを
乳化重合法によって調整した。
【0020】
【実施例1】製造例1で得られた原料ニトリルゴムをア
セトンに溶解し、表2に示す条件1で水素化を行った。
水素化後の懸濁溶液を遠心分離により触媒を除去し、水
を加えて水素化ニトリルゴムを析出させた後、乾燥し
た。
【0021】得られた水素化ニトリルゴムを重水素化ク
ロロホルムに溶解し(5重量%)、1H−NMRを測定
し、2.5ppm付近にピークトップを有するピーク面
積(A)と6.1ppm付近にピークトップを有するピ
ーク面積(B)との比を算出すると、B/A=0.04
9であった。水素化率は64%でありヨウ素化は、10
1であった。次に、貯蔵安定性を調べるために、これら
のゴムをギヤオーブンにいれ70℃で3日及び6日の促
進試験を実施し、促進試験前と促進試験3日後、促進試
験6日後のサンプルゴムのムーニー粘度をJIS K6
384により測定した。貯蔵安定性は、促進試験を実施
してもムーニー粘度の変化が小さいものが優れた貯蔵安
定性のゴムである。ムーニー粘度の変化を表3に示す。
【0022】
【比較例1】製造例1で得られた原料ニトリルゴムをア
セトンに溶解し、表2に示す条件3で水素化を行った。
水素化後の懸濁溶液を遠心分離により触媒を除去し、水
を加えて水素化ニトリルゴムを析出させた後、乾燥し
た。
【0023】得られた水素化ニトリルゴムを重水素化ク
ロロホルムに溶解し(5重量%)、1H−NMRを測定
し、2.5ppm付近にピークトップを有するピーク面
積(A)と6.1ppm付近にピークトップを有するピ
ーク面積(B)との比を算出すると、B/A=0.10
0であった。水素化率は66%でありヨウ素化は、10
0であった。実施例1と同様に、貯蔵安定性を評価し
た。結果を表3に示す。
【0024】
【実施例2、3、4、5及び比較例2、3】表3に示す
原料と水素化条件によりニトリルゴムの水素化を行っ
た。実施例1と同様に、水素化後の懸濁溶液を遠心分離
により触媒を除去し、水を加えて水素化ニトリルゴムを
析出させた後、乾燥した。得られた水素化ニトリルゴム
を重水素化クロロホルムに溶解し(5重量%)、1H−
NMRを測定し、2.5ppm付近にピークトップを有
するピーク面積(A)と6.1ppm付近にピークトッ
プを有するピーク面積(B)との比、B/A、水素化率
を表3に示す。また、実施例1と同様に、貯蔵安定性を
評価した。結果を表3に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】本発明の水素化ニトリルゴムは、従来技
術の分子中の二重結合が、酸化等の反応により貯蔵中に
物性変化、劣化を起こすという欠点と、金属触媒が多量
にゴム中に存在するとゴムの加工性まで悪化させる欠点
と、安定剤を添加する方法は配合を変えるとゴム製品の
物性が変化してしまう欠点とを同時に解決したニトリル
ゴムであり、ゴム部品製造前の貯蔵安定性に極めて優れ
る加硫可能なゴムであり、その取り扱い易さから、自動
車部品や工業用ゴム部品の用途に好適かつ広範に適用さ
れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1H−NMRにおける2.5ppm付近
    にピークトップを有するピーク面積(A)と6.1pp
    m付近にピークトップを有するピーク面積(B)との比
    がB/A≦0.06である貯蔵安定性に優れた水素化ニ
    トリルゴム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010528139A (ja) * 2007-05-22 2010-08-19 ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー ニトリルゴム
JP2018534731A (ja) * 2015-12-10 2018-11-22 エルジー・ケム・リミテッド 導電材分散液およびこれを用いて製造したリチウム二次電池

Cited By (3)

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Effective date: 20040218