JP2000515198A - 水素処理法 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、炭化水素蒸留液フラクションを2種の水素処理触媒の積層床に対し水素の存在下で下方向に通過させることからなり、積層床が(a)0.1〜15重量%の白金、パラジウムおよびイリジウムから選択される少なくとも1種の貴金属と2〜40重量%のタングステン、クロム、第VIIB族金属およびアクチニウム系列の金属から選択される少なくとも1種の金属とよりなる酸性の耐火性酸化物キャリアに支持してなる水素処理触媒上側触媒床(前記重量%はキャリアの全重量に対する金属の量を示す)、および(b)1〜15重量%の第VIII族の非貴金属と1〜25重量%の第VIB族金属とを非晶質の無機耐火性酸化物キャリアに支持してなる水素処理触媒よりなる下側触媒床(前記重量%は触媒の全重量に対する金属の量を示す)とからなり、さらに減少した芳香族物質含有量と減少した異原子含有量とを有する液体炭化水素油生成物を回収することを特徴とする単一段階における炭化水素蒸留液フラクションの水素処理法に関するものである。
Description
【発明の詳細な説明】
水素処理法
本発明は、専用水素処理触媒の積層床を用いる炭化水素蒸留液フラクションの
単一段階水素処理法に関するものである。
本明細書で用いる「水素処理」という用語は水素化、水素化脱硫および水素化
脱窒素を意味する。
積層床水素処理法は当業界にて公知である。たとえばフランス特許出願公開第
0,203,228号には単一段階の水素処理法が開示されており、ここではコ
ークス形成により水素処理触媒を失活させる傾向を持った或る種の炭化水素油を
2種の水素処理触媒の積層床に水素の存在下で通過させる。積層床は、第VIB
族金属成分と(非貴金属)第VIII族金属成分と燐とを無機酸化物キャリア上
に支持してなる水素処理触媒を含有する上側帯域と同様な水素処理触媒を含有す
るが、全くまたは殆ど燐を含まない下側帯域とで構成される。
英国特許出願公開第2,073,770号には重質炭化水素供給原料を水素処
理する方法が開示されており、ここでは供給原料を好適には積層床配置にて配置
された2種の水素処理触媒と接触させ、これら触媒は異なる気孔寸法分布を有す
る。各触媒は耐火性セラミック酸化物支持体と、水素化成分としての第VIB族
金属および(非貴金属)第VIII族金属の1種もしくはそれ以上の成分とを含
む。たとえば燐および酸化チタンのような促進剤も存在させることができる。適
する重質供給原料は、脱アスファルト化された大気圧および減圧残油、減圧ガス
油およびその混合物により例示されるものである。好適には、この方法はヒドロ
クラッキング条件下で操作され、上側帯域触媒のキャリア(たとえばアルミナ)
は下側帯域触媒(たとえばシリカ−アルミナ)よりも酸性が低い。
積層床法は米国特許第4,913,797号にも開示されている。開示された
方法においては、ワックス成分と硫黄−および窒素−含有化合物とを含有する炭
化水素供給物を先ず最初に水素処理にかけ、次いでワックス除去処理にかける。
水素処理段階で用いる触媒は慣用の水素処理触媒である一方、ワックス除去に使
用する触媒は好適にはゼオライトβキャリアに支持された貴金属を含む。両段階
の間で精製処理を行って硫黄および窒素化合物を水素処理された流出液から除去
することができる。この方法は、ワックス除去触媒の床の頂部における水素処理
触媒の床を用い積層床方式で行うことができる。
積層床方式で行いうる専用ヒドロクラッキング法も当業界にて周知されている
。この種の方法の例はヨーロッパ特許出願公開第0,310,164号;第0,
310,165号;第0,428,224号および第0,671,457号、並
びに米国特許第5,112,472号に開示されている。これらヒドロクラッキ
ング法に使用される触媒は全て第VIB族および/または第VIII族金属の少
なくとも1種の水素化成分を各種のキャリアに支持して構成される。しかしなが
ら、これら方法は一般に貴金属系触媒の使用を含まない一方、全ての方法におい
ては370℃以上で沸騰する炭化水素の実質的部分がより低沸点の物質まで変換
される。
積層床配置を用いる従来技術の水素処理法の多くは供給物中に存在する硫黄物
質および窒素物質の含有量を減少させる点で満足に機能するが、特に供給物中に
存在する芳香族物質の含有量を減少させる点に関しまだ改善の余地が存在する。
特に環境上の観点から、芳香族物質の含有量をできるだけ減少させることが極め
て望ましい。芳香族化合物の減少はさらに、たとえば自動車ガス油の場合におけ
るセタン価およびジェット燃料の場合におけるスモーク点のような或る種の技術
的品質規格に達することも望ましい。従って本発明は、ナフサ〜ガス油の範囲の
炭化水素蒸留液フラクションを積層床配置を用いる単一段階にて効果的に水素処
理することにより芳香族物質含有量と供給物に存在する硫黄および窒素物質の含
有量との両者を実質的なヒドロクラッキングが生ずることなく顕著に減少させる
方法を提供することを目的とする。
従って本発明は、炭化水素蒸留液フラクションを2種の水素処理触媒の積層床
に対し水素の存在下で下方向に通過させ、ここで積層床が
(a)0.1〜15重量%の白金、パラジウムおよびイリジウムから選択される
少なくとも1種の貴金属と2〜40重量%のタングステン、クロム、第VIIB
族金属およびアクチニウム系列の金属から選択される少なくとも1種の金属とを
8水素処理触よりなる上側触媒床(前記重量%はキャリアの全重量に対する金属
の量を示す)、および
(b)1〜15重量%の第VIII族の非貴金属と1〜25重量%の第VIB族
金属とを非晶質の無機耐火性酸化物キャリアに支持してなる水素処理触媒よりな
る下側触媒床(前記重量%は触媒の全重量に対する金属の量を示す)からなり、
減少した芳香族物質含有量と減少した異原子含有量とを有する液体炭化水素油生
成物を回収することを特徴とする単一段階における炭化水素蒸留液フラクション
の水素処理法に関するものである。
本発明に対する供給物として使用する炭化水素蒸留液フラクションは、炭化水
素流の蒸留もしくは分画により得られるナフサ〜ガス油の範囲の任意の蒸留液フ
ラクションとすることができる。この種の炭化水素流は原油としうるが、たとえ
ばクラッキング操作のような変換操作から得られる炭化水素流とすることもでき
る。従って、適する供給源料はナフサフラクション、ケロシンフラクションおよ
びガス油フラクションを包含し、これらフラクションは原油の大気圧蒸留からの
直留フラクション或いは大気圧残油の減圧蒸留から得られる減圧蒸留液フラクシ
ョンのいずれかとして得ることができる。クラッキング流出液、特に熱分解流出
液の分画もしくは蒸留により得られる蒸留液フラクションも本発明による方法に
対し供給源料として使用することができる。この種の供給源料の例は熱分解ガス
油である。異なる供給源からの2種もしくはそれ以上のフラクションの混合物も
用いることができる。一般に本発明の方法は、少なくとも30℃(好ましくは少
なくとも100℃)の10重量%沸点(すなわち炭化水素フラクションの10重
量%がその沸点を有するより低い温度)および最高520℃の90重量%沸点を
有する炭化水素蒸留液フラクションを水素処理するのに有用であると判明した。
一層好適な供給源料は、少なくとも175℃の10重量%沸点および最高450
℃の90重量%沸点を有するような炭化水素蒸留液フラクションである。従って
直流ガス油、軽質ガス油、熱分解ガス油、軽質サイクル油、並びにこれらの2種
もしくはそれ以上の混合物が最も好適に用いられる供給源料の例である。
本発明による水素処理法は、2種の異なる水素処理触媒の積層床を用いる単一
段階プロセスである。これは、たとえば生成された任意のガス状硫黄物質および
窒素物質を除去するストリッピング工程のような、積層床を構成する両触媒床の
間に中間精製処理が存在しないことを意味する。その結果、第1触媒床から出る
流れは直接かつ完全に第2触媒床に通過される。これはプロセス効率の観点から
有利であると理解されるが、これは下側床触媒を上側床にて生成された硫黄およ
び窒素物質(主として硫化水素およびアンモニア)に対し耐性とすべきであり、
従ってこれら物質により失活されてはならないことをも意味する。他方、上側床
触媒は供給物中に存在する有機硫黄および窒素に対し充分高い許容度(tolerance
)を持たねばならない。白金および/またはパラジウムおよび/またはイリジウ
ムとタングステン、クロムおよびアクチニウム系列の金属から選択される少なく
とも1種の金属とを酸性の耐火性酸化物キャリア上に支持してなる水素処理触媒
を上側床触媒として使用すると共に、非貴金属の第VIII族金属と第VIB族
金属とを非晶質無機耐火性酸化物キャリア上に支持してなる水素処理触媒を下側
床触媒として使用すれば、硫黄および窒素物質に対する許容度に関し上記要件を
充分満たしうることが判明した。
上側床触媒は0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の白金、パラジ
ウムおよびイリジウムから選択される少なくとも1種の貴金属と、2〜40重量
%、好ましくは2もしくは5〜30重量%のタングステン、クロム、第VIIB
族金属およびアクチニウム系列の金属から選択される少なくとも1種の貴金属を
酸性の耐火性酸化物キャリア上に支持してなる水素処理触媒であり、前記重量%
はキャリアの全重量に対する金属の量を示す。これら触媒の数種は公知であって
、ヨーロッパ特許出願公開第0,653,242号;国際特許出願公開WO 9
6/03208号および国際特許出願公開WO 97/05948号に記載され
ている。適する第VIIB族金属はマンガンおよびレニウムであり、そのうちレ
ニウムが好適である。アクチニウム系列とは原子番号89(アクチニウム、Ac
)〜103(ローレンチウム、Lr)の範囲の周期律表における元素を意味する
。これら元素はしばしばアクチニドとも呼ばれる。本発明の目的で豊富な形態の
アクチニド(すなわち放射性同位元素)は実際には殆ど使用されない。好適触媒
は貴金属としてパラジウムを含むと共に第2金属としてタングステン、クロム、
レニウムもしくはウラニウムを含むものである一方、一層好適な触媒はパラジウ
ムとレニウムもしくはウラニウムのいずれかとを含むものである。
上側床触媒の酸性の耐火性酸化物キャリアは好適にはゼオライト、アルミナ、
非晶質シリカ−アルミナ、弗素化アルミナ、フィロシリケートまたはこれらの2
種もしくはそれ以上の混合物を含む。適するゼオライトはフェライト、ZSM−
5、ZSM−23、SSZ−32、モルデナイト、ゼオライト−βのようなアル
ミノシリケート、並びにフォージャサイト型のゼオライト、たとえばフォージャ
サイト、さらに合成ゼオライトYを包含する。特に好適なアルミノシリケートゼ
オライトはゼオライトYであって、一般に改変型(すなわち脱アルミニウム型)
にて使用される。特に有用な改変ゼオライトYは24.60Å未満、好ましくは
24.20〜24.45Å、一層好ましくは24.20〜24.35Åの単位格
子寸法および5もしくは10〜150、たとえば5,10もしくは15〜110
または5,10,15もしくは30〜90の範囲のSiO2/Al2O3モル比を
有するものである。この種のキャリアは当業界にて公知であり、たとえばその例
はヨーロッパ特許出願公開第0,247,678号;第0,303,332号お
よび第0,512,652号に記載されている。増大したアルカリ金属(一般に
ナトリウム)含有量を有する改変ゼオライトY(たとえばヨーロッパ特許出願公
開第0,519,573号に記載)も好適に用いることができる。
上記キャリア材料の他に、キャリアは結合物質をも含むことができる。触媒キ
ャリアにおける結合剤の使用は当業界にて周知されており、従って適する結合剤
は無機酸化物、たとえばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ボリア、ジルコ
ニアおよびチタニア、並びに粘土を包含する。シリカおよびアルミナの使用が本
発明の目的に好適である。存在させる場合、キャリアの結合剤含有量はキャリア
の全重量に対し5〜95重量%の範囲で変化することができる。好適具体例にお
いて、キャリアは10〜60重量%の結合剤を含む。10〜40重量%の結合剤
含有量が特に有利であると判明した。本発明の目的には、従って上記種類の改変
ゼオライトYを結合剤としてのアルミナと共に含む耐火性酸化物キャリアを使用
するのが特に有利であると判明した。
下側床水素処理触媒は1〜15重量%の非貴金属の第VIII族金属と1〜2
5重量%の第VIB族金属とを非晶質無機耐火性酸化物キャリア上に支持してな
り、前記重量%は触媒の全重量に対する金属の量を示す。慣用の市販入手しうる
水素処理触媒を下側床触媒として使用することができる。好適な下側床水素処理
触媒は第VIII族金属としてのニッケル(Ni)および/またはコバルト(C
o)と第VIB族金属としてのモリブデン(Mo)および/またはタングステン
(W)とを0〜70重量%のシリカで構成しうるアルミナキャリア上に支持して
構成される。しかしながら、実質的にシリカを含まないアルミナキャリア(好適
にはγ−アルミナ)の使用が好適である。下側床水素処理触媒は好適には燐(P
)をも促進剤として0.1〜5重量%の量で含むことができる。従って、適する
下側床水素処理触媒の特定例はNiMo(P)/アルミナ、CoMo(P)/ア
ルミナおよびNiW/アルミナを包含する。
上側触媒床と下側触媒床との容量比は広範囲に変化することができ、好適には
10:90〜95:5、より好ましくは20:80〜90:10の範囲である。
上側床触媒および下側床触媒に存在させる触媒活性金属は元素状、酸化物、硫
化物またはこれら形態の2種もしくはそれ以上の混合物として存在させることが
できる。一般に水素処理触媒を作成するための適する方法は空気中での焼成の最
終工程を含み、触媒活性金属はその作成直後に少なくとも部分的に酸化物として
存在する。一般に、この種の最終焼成工程は実質的に全触媒活性金属をその酸化
物まで変換させる。触媒を硫黄含有供給物の処理に適するようにするため、触媒
上に存在する金属成分(一般に金属酸化物)の少なくとも1部を硫化物まで変換
すべきである。これは当業界にて知られた予備硫化方法により達成することがで
きる。2種の主たる群の予備硫化法を区別することができ、すなわち現場での硫
化法および現場外での硫化法である。現場での方法は反応器中へ充填した後の触
媒の硫化を含み、これらは好適には触媒を硫黄含有供給物と通常の操作条件より
も過酷でない条件にて接触させる。現場での予備硫化は、室温から150〜25
0℃の温度まで徐々に上昇する温度にて行うことができる。触媒はこの温度に1
0〜20時間にわたり維持すべきである。その後、温度を徐々に実際の水添変換
法のための操作温度まで上昇させる。一般に、現場での予備硫化は炭化水素供給
原料が少なくとも0.5重量%の硫黄含有量を有する場合に行うことができ、前
記重量%は供給原料の全量に対する元素硫黄の量を示す。触媒の現場での予備硫
化は、プロセス効率および経済上の両理由につき有利であることが了解されよう
。他方、現場外での予備硫化法は反応器に充填する前の触媒の硫化を含み、これ
は一般に触媒を適する予備硫化剤と接触させて行われる。適する現場外での予備
硫化法はたとえばヨーロッパ特許出願公開第0,181,254号;第0,32
9,499号;第0,448,435号および第0,564,317号、並びに
国際特許出願公開WO 93/02793号およびWO 94/25157号の
ように当業界にて公知である。本発明による方法では、触媒活性金属を少なくと
も部分的に触媒中に硫化物として上側床触媒および下側床触媒の両者に存在させ
るのが好適である。金属酸化物の硫化程度は、たとえば温度および水素、硫化水
素、水および/または酸素の分圧のような該当パラメータにより制御することが
できる。関与する金属の種類に応じ、金属酸化物は対応の硫化物まで完全に変換
させうるが、触媒活性金属の酸化物と硫化物との間で平衡状態も形成されうる。
後者の場合、触媒活性金属は酸化物および硫化物の両者として存在することが了
解されよう。
水素処理触媒は、当業界で知られた慣用方法により作成することができる。一
般的に用いられる周知方法は、触媒活性金属の溶解塩を含有する1種もしくはそ
れ以上の溶液によるキャリアの含浸に続く乾燥および焼成を含む。
本発明による方法で用いられる操作条件は実質的なヒドロクラッキングが生じ
ないような条件であり、このことはクラッキングの結果として生成すると共に供
給物の初期沸点より低い沸点を有する水素処理生成物における物質の重量%で現
される物質の量が15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、特に好まし
くは6重量%未満となることを意味する。従って水素処理条件は好適には200
〜420℃、好ましくは210〜380℃もしくは400℃の範囲の操作温度お
よび10〜200バール、好ましくは25〜100バールの範囲の全圧力を含む
。さらに、重量空時速度(WHSV)は毎時触媒1リットル当たり0.1〜10
kgの油(kg/l.h)、好ましくは0.5〜5kg/l.hの範囲としうる
一方、水素と油との比は好適には油1リットル当たり100〜2,000リット
ルの水素の範囲である。用いる触媒と組み合わせたこれら操作条件は、芳香族物
質含有量、硫黄含有量および窒素含有量における顕著な減少をもたらすと同時に
、生ずるクラッキングのレベルが最小となる。
下側触媒床から出る生成物流は液体炭化水素生成物と、水素リッチであるがガ
ス状硫黄および窒素物質(たとえば水素処理反応の際に生成される硫化水素およ
びアンモニア)のような物質をも含有する気相との両者を含む。従って、減少し
た芳香族物質含有量および減少した異原子含有量を有する液体炭化水素油生成物
の回収は好適には、ガス状成分を下側触媒床から出る生成物流から公知の相分離
技術(たとえばストリッピング)により除去して行われる。極めて適する相分離
法の例はヨーロッパ特許出願公開第0,336,484号に開示されたような4
−分離器システムである。最終的に回収される液体炭化水素生成物は顕著に減少
した芳香族物質含有量および強度に減少した異原子含有量を有する。回収される
ガスフラクションは、特にアンモニアおよび硫化水素を除去するよう、たとえば
スクラビング技術により処理することができ、次いで清浄された水素リッチなガ
スを全体的または部分的に反応器入口まで循環させることができる。周知のスク
ラビング技術は、たとえばモノ−エタノールアミン、ジ−エタノールアミン、ジ
−イソプロパノールアミン、またはこれらとスルホランとの混合物などアルカノ
ールアミンの水溶液を吸収剤として使用するものである。
以下、本発明の範囲を限定するものでないが実施例により本発明をさらに説明
する。実施例1
80重量%の脱アルミニウム化ゼオライトY(24.25Åの単位格子寸法お
よび80のシリカ/アルミナのモル比)と20重量%のアルミナ結合剤とよりな
る酸性キャリアを使用した。
このキャリアの試料に、20重量%のU3O8(17.0重量%のUに相当;前
記重量%はキャリアの重量に基づく)に達する水性硝酸ウラニル(UO2(NO3)2
・6H2O)溶液を含浸させた。次いで部分作成された触媒を乾燥すると共に4
00℃にて2時間にわたり焼成させ、その後にH2PdCl4の水溶液による含浸
を行って5重量%のPdO含有量(4.3重量%のPdに相当)に達せしめた。
最後に、完成した触媒を乾燥させると共に空気中で350℃にて2時間にわたり
焼成させた。この触媒はPdU/Yとも称せられる。
80cm3の炭化珪素粒子(SiC;直径0.21mm)と混合した20cm3
のNiMo/アルミナ触媒(3.0重量%のNi、13.0重量%Mo)の床を
反応器に入れた。この触媒床の上部に、20cm3の上記PdU/Yと80cm3
と同じSiC粒子との混合物を充填した。このように得られた積層床を、EP−
A−0,181,254号に開示された方法により予備硫化させた。この方法は
n−ヘプタンに希釈されたジ−t−ノニルポリスルフィドでの含浸に続く大気圧
における窒素下での150℃における2時間の乾燥を含んだ。次いで触媒を、5
00 Nl/kgのガス割合における水素により反応器を50バールの全圧力に
することにより活性化させた。温度を室温から50℃まで2時間かけて上昇させ
、次いで供給物を導入すると共に温度を10℃/hrの速度で250℃から31
0℃まで上昇させた。310℃の温度を100時間にわたり維持した。
活性化が完了した後、表Iに示した特性(BPは沸点であり、IBPおよびF
BPはそれぞれ初期および最終の沸点を意味する)を有する供給物を積層床に通
過させた。供給物は75重量%の直留ガス油と25重量%の軽質サイクル油との
配合物とした。工程条件は350℃の上側触媒床の重量平均床温度と、50バー
ルの全圧力と、500 Nl/kgのガス割合と1.0kg/l.hの重量空時
速度(WASV)とを含んだ。生成物の硫黄規格を重量基準における10ppm
(ppmw)で設定した。
表I 供給源料の特性
この硫黄規格に合致するのに要する下側床WABTと、供給物のIBPより低
い沸点を有する生成物質の重量%で現すクラッキングのレベルと、窒素含有量(
ppmw)と、モノ−、ジ−およびポリ−芳香族物質(トリ+)の変換率(重量
%)とを測定した。各種の芳香族物質の変換率を測定する際、芳香族物質は順次
の反応経路により水素化されると推定され、すなわちポリ−芳香族物質はジ芳香
族物質まで、ジ−芳香族物質はモノ−芳香族物質まで、さらにモノ−芳香族物質
はナフテン物質まで変換されると推定される。これは、多核構造に含まれる芳香
族環の水素化が一般に多核構造における芳香族物質の数が減少するにつれて速度
論的に好適でなくなることが知られているため正しい推定である。生成物中に見
られるモノ芳香族物質は従って3種の供給源から生じうる:(i)供給物中に既
に存在する未変換モノ−芳香族物質から、(ii)供給物中に最初から存在する
変換ジ−芳香族物質から、および(iii)供給物中に存在する変換ポリ−芳香
族物質からその後に生ずる変換ジ−芳香族物質から。
その結果を表IIに示す。実施例2
3種の他の触媒を同じキャリアを用いて実施例1と同様に作成したが、ただし
硝酸ウラニル水溶液の代わりに3種の他の含浸溶液を用い、これらはそれぞれW
−、Re−もしくはCr−イオンを含んだ。3種の触媒は全て実施例1のPdU
触媒と同じPd含有量(4.3重量%)を有した。作成した触媒は次の通りであ
る:
PdW/Y: 20重量%のWO3(15.9重量%のWに相当)に達するメタ
タングステン酸アンモニウム含浸水溶液の使用、
PdRe/Y:20重量%のReO2(17.1重量%のReに相当)に達する
水性過レニウム酸(HReO4)含浸溶液の使用、および
PdCr/Y:20重量%のCr2O3(13.7重量%のCrに相当)に達する
水性硝酸クロム(III)(Cr(NO3)3・9H2O)含浸溶液
の使用。
上記3種の触媒のそれぞれをNiMo/アルミナ触媒の底部床を有する積層床
に実施例1と同様に配置した後、表Iに示した特性を有する供給原料を用い、各
積層床につき実施例1に記載の試験手順に従った。
その結果を表IIに示す。
表II プロセス条件および性能
表IIから見られるように、本発明による積層床水素処理法は芳香族物質の変
換率、脱窒素化および脱硫の点で優秀な性能を有する一方、生ずるクラッキング
のレベルにて最小まで減少する。
しかしながら、各種の積層床の間には性能において若干の相違が存在する。上
側床としてPdU/YもしくはPdRe/Yを有する最も好適な積層床が最良の
結果を示すことは明らかである。10ppmwの硫黄規格に達するのに要するW
ABTは上側床としてPdW/YもしくはPdCr/Yを有する積層床の場合よ
りも低い一方、脱窒素化活性およびモノ−芳香族物質変換も一層高い。しかしな
がら、まだPdW/YおよびPdCr/Yからなる積層床は極めて良好な全体的
性能を示す。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C10G 45/12 C10G 45/12 Z
45/46 45/46
45/54 45/54
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
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(72)発明者 ウアン・デン・ベルグ,ヨハンネス,ペト
ルス
オランダ国エヌエル―2596 エイチ・アー
ル ザ・ハーグ、カレル・ウアン・ビラン
トラーン 30
(72)発明者 グランヴアレ,ピエール
フランス国エフ―76530 グラン―クロン
ヌ、ルート・ド・カエン(番地なし)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. 炭化水素蒸留液フラクションを2種の水素処理触媒の積層床に対し水素の 存在下で下方向に通過させ、ここで積層床は (a)0.1〜15重量%の白金、パラジウムおよびイリジウムから選択される 少なくとも1種の貴金属と2〜40重量%のタングステン、クロム、第VIIB 族金属およびアクチニウム系列の金属から選択される少なくとも1種の金属とを 酸性の耐火性酸化物キャリアに支持してなる水素処理触媒よりなる上側触媒床( 前記重量%はキャリアの全重量に対する金属の量を示す)、および (b)1〜15重量%の第VIII族の非貴金属と1〜25重量%の第VIB族 金属とを非晶質の無機耐火性酸化物キャリアに支持してなる水素処理触媒よりな る下側触媒床(前記重量%は触媒の全重量に対する金属の量を示す) とからなり、 減少した芳香族物質含有量と減少した異原子含有量とを有する液体炭化水素油生 成物を回収することを特徴とする単一段階における炭化水素蒸留液フラクション の水素処理法。 2. 炭化水素蒸留液フラクションが少なくとも100℃の10重量%沸点およ び最高520℃の90重量%沸点を有する請求の範囲第1項に記載の方法。 3. 上側床水素処理触媒がパラジウムとレニウムもしくはウラニウムのいずれ かとを含む請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。 4. 上側床触媒の酸性の耐火性酸化物キャリアがゼオライト、アルミナ、非晶 質シリカ−アルミナ、弗素化アルミナ、フィロシリケート、またはこれらの2種 もしくはそれ以上の混合物からなる請求の範囲第1〜3項のいずれか一項に記載 の方法。 5. 耐火性酸化物キャリアがアルミナを結合剤とする改変ゼオライトYからな る請求の範囲第4項に記載の方法。 6. 下側床水素処理触媒が第VIII族金属としてのニッケルおよび/または コバルトと第VIB族金属としてのモリブデンおよび/またはタングステンとを アルミナキャリア上に支持してなる請求の範囲第1〜5項のいずれか一項に記載 の方法。 7. 下側床触媒が0.1〜5重量%の燐をさらに含む請求の範囲第5項に記載 の方法。
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