JP2000502303A - 相互に直線状に可動の車両部間での信号の無接触伝送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 例えば、少なくとも１つの、車両の車体に設置されている回路ユニットと、少なくとも１つの、レール上に摺動可能に支承された車両シート内に設けられている回路ユニットとの間での信号の無接触伝送装置が開示されており、それにより、損耗なく、且つ、妨害なく信号を伝送することができる。この装置は、少なくとも１つの変成器から構成されており、該変成器の１次巻線（４）及び２次巻線（６）が別個の外鉄形鉄心（１，２）内に配設されており、外鉄型鉄心のうちの一方は、固定車両部（車体）に固定して取り付けられており、他方は、可動車両部（車両シート）に固定して取り付けられている。両外鉄形鉄心（１，２）は、相互に沿い合って摺動するレールとして構成されており、該レールは、共働して、１次巻線（４）と２次巻線（６）との間で磁束の閉回路を形成するようなプロフィールを有している。

Description

【発明の詳細な説明】 相互に直線状に可動の車両部間での 信号の無接触伝送装置 従来技術 本発明は、固定車両部と、該固定車両部に対して直線状に可動の車両部との間 での−有利には、少なくとも１つの、車両の車体に設置されている回路ユニット と、少なくとも１つの、レール上に摺動可能に支承された車両シート内に設けら れている回路ユニットとの間での信号の無接触伝送装置に関する。 車両シート（運転手席、又は助手席）には、種々の電気装置、例えば、シート 暖房又はシート位置調整用の装置を設けることが屡々ある。助手席には、更に、 エアバックシステムと関連してシートの塞がり状態を検出するための電子回路も 付け加わる。最近、助手席には、シートの肘掛け内にサイドバックも設置される 。これらの装置全てに対しては、車両の車体に固定して取り付けられた中央回路 ユニットから制御又はエネルギ信号が伝送される。そのため、損耗せずに大きな 信頼度で、固定車両部と、それに対して直線状に移動する車両部（例えば、車両 シート）との間で信号を伝送する装置を設ける必要がある。 本発明の課題は、請求の範囲１記載の要件、つまり 、変成器が設けられており、該変成器の１次巻線及び２次巻線が別個の外鉄形鉄 心内に配設されており、前記外鉄型鉄心のうちの一方は、固定車両部に固定して 取り付けられており、他方は、可動車両部に固定して取り付けられている。その 際、両外鉄形鉄心は、相互に沿い合って摺動するレールとして構成されており、 該レールは、共働して、１次巻線と２次巻線との間で磁束の閉回路を形成するよ うなプロフィールを有していることにより解決される。 従属請求項によると、外鉄形鉄心レールは、Ｈ−プロフィール、Ｋ−プロフィ ール、Ｔ−プロフィール、Ｅ−プロフィールとして構成することができる。この プロフィール形状により、取り付け許容偏差又は変成器を形成する外鉄形鉄心レ ールの相対運動での許容偏差が、信号伝送に殆ど妨害作用を及ぼさないようにす ることができる。更に、 シートが多数の電気装置を有している場合に、そのようなレール状の複数個の変 成器を車両シートに設置することもできる。この変成器は、有利には、シート用 のスライドレール内に統合することができる。 実施例の説明 以下、本発明について、図示の実施例を用いて説明する。 図１ａは、Ｈ−プロフィールの外鉄形鉄心を備えた変成器の横断面図を示し、 図１ｂは、この外鉄形鉄心 の斜視図を示し、図１ｃは、円錐型のＨ−プロフィールの外鉄形鉄心を備えた変 成器を示す。 図２ａは、Ｌ−プロフィールの外鉄形鉄心を備えた変成器の横断面を示し、図 ２ｂは、この外鉄形鉄心の斜視図を示す。 図３ａは、Ｔ−プロフィールの外鉄形鉄心とＨ−プロフィールの外鉄形鉄心と を備えた変成器の横断面を示し、図３ｂは、この外鉄型鉄心の斜視図を示し、図 ３ｃは、Ｔ−プロフィールの外鉄形鉄心と非分割型Ｈ−プロフィールの外鉄形鉄 心とを備えた変成器の横断面を示す。 図４ａは、Ｅ−プロフィールの外鉄形鉄心を備えた変成器の横断面を示し、図 ４ｂは、この外鉄形鉄心の斜視図を示す。 以下説明する変成器は、レールとして構成された２つの外鉄形鉄心を有してお り、この２つの外鉄形鉄心の中には、１次及び２次巻線が収容されている。この 外鉄型鉄心レール（その内の一方は、固定車両部（例えば、車体）に固定して取 り付けられており、他方は、リニアに移動することができる車両部に固定して取 り付けられている）は、相互に接触しないように相互に沿い合って摺動し、その 際、可動車両部は、リニアに摺動する。両外鉄型鉄心間の間隔（つまり、空隙） は、摺動の際に殆ど変化せず、その結果、１次巻線と２次巻線との間の誘導結合 は一定のままである。従っ て、可動車両部の摺動は、何ら妨害なく伝送信号に作用を及ぼす。外鉄形鉄心レ ールに適した幾つかのプロフィール（１次及び２次巻線間の磁束の閉回路を形成 する）は、図１〜４に示されている。 図１ａは、外鉄形鉄心１及び２がＨ−プロフィールを有している変成器の横断 面が示されている。図１ｂの両外鉄形鉄心１及び２の斜視図から分かるように、 一方のＨ−プロフィールレール２は、他方のＨ−プロフィールレール１内に挿入 されている。比較的大きなＨ−プロフィールレール１の横方向脚部３上には、例 えば、１次巻線が巻回されており、比較的小さなＨ−プロフィールレール２の横 方向脚部上には、２次巻線６が巻回されている。比較的小さなＨ−プロフィール レール２は、比較的大きなＨ−プロフィールレール１内に、両Ｈ−プロフィール レール１及び２の横方向脚部３及び５が相互に平行であるように挿入されている 。両両Ｈ−プロフィールレール１及び２を、このように構成することによって、 両巻線４及び６を貫流する磁束の閉回路を形成することができる。Ｈ−プロフィ ールの形状にすることにより、外鉄形鉄心１及び２が両者間の空隙に大きな当接 面を有しているようにすることができる。そうすることによって、変成器の磁気 抵抗を非常に小さく保持することができ、その結果、１次巻線と２次巻線との間 の誘導結合を極めて良好にすることができる。従って、摺動方向（Ｙ）に対して 横断方向の（Ｘ，Ｚ）方向の両外鉄形鉄心間の位置許容偏差は、誘導結合に極め てわずかしか作用しなくなる。両外鉄形鉄心レールの一方（図示の実施例では、 外鉄形鉄心レール１である）は、摺動方向（Ｙ）において、他方の外鉄形鉄心レ ールよりも所定の大きさだけ長く、即ち、最大摺動位置でも両外鉄形鉄心の相互 に対向し合った側面が完全に覆われるような大きさだけ長い。 図１ｃは、同様に、１次巻線９及び２次巻線１０用の担体としての外鉄形鉄心 レール７及び８が示されている。この実施例では、小さなＨ−プロフィールレー ル８は、円錐形の外部輪郭１１を有しており、大きなＨ−プロフィールレール７ は、円錐形の内部輪郭１２を有している。両Ｈ−プロフィールレール７及び８を 、このような円錐形にすることによって、前述の実施例の場合のように相互に平 行でなく、相互に傾斜している２つの空隙１３及び１４が形成される。両空隙１ ３及び１４の傾斜は、両外鉄形鉄心７及び８が相互に摺動する場合に（矢印方向 ）、空隙１３及び１４が狭くなるように選定されている。そうすることによって 、両空隙間の磁気抵抗は減少し、従って、両巻線９及び１０の磁気結合を、両外 鉄形鉄心７及び８を相互に摺動させることによって補償することができる。従っ て、変成器特性は、両外鉄形鉄心７及び８をＺ−方向にずらしても妨害とはなら ない。 図２ａには、Ｌ−プロフィールを有している２つの外鉄形鉄心レール１５及び １６の横断面を示し、図２ｂには、Ｌ−プロフィールを有している２つの外鉄形 鉄心レール１５及び１６の斜視図を示す。この両Ｌ−プロフィールレール１５及 び１６は、１次巻線１７と２次巻線１８との間に磁束の閉回路が形成されるよう に、相互に配設されている。１次巻線１７は、Ｌ−プロフィールレール１５の一 方の脚部上に巻回されており、２次巻線１８は、Ｌ−プロフィール１６の一方の 脚部上に巻回されている。 図３ａには、２つの外鉄形鉄心レール１９及び２０のうち、一方の外鉄形鉄心 レール１９がＨ−プロフィールを有しており、他方の外鉄形鉄心レール２０がＴ −プロフィールを有している変成器の横断面が示されている。Ｔ−プロフィール レール２０は、このレール２０の、１次巻線２１を支持している長手方向脚部２ ２と一緒に、Ｈ−プロフィールレール１９内に挿入されている。その際、Ｔ−プ ロフィールレール２０の長手方向脚部２２は、Ｈ−プロフィールレール１９の横 方向脚部２３内に挿入された、摺動方向Ｙに延在している部分２４を貫通してい る。２つの外鉄形鉄心レール１９及び２０の、このような構成は、図３ｂの斜視 図から分かる。変成器の２次巻線は、Ｔ−プロフィールレール２０の長手方向脚 部２２に対して垂直な、Ｈ−プロフィールレール１９の横方向脚部２３に巻回さ れている。Ｈ−プロフィールレール１９の横方向脚部２３内のスロット２４のた めに、２次巻線は、電気的に相互に接続された部分巻線２５及び２６に分割され ている；つまり、一方の部分巻線２５は、スリット２４の左側の横方向脚部２３ に巻回されており、他方の部分巻線２６は、スリット２４の右側の横方向脚部２ ３に巻回されている。図３ａおよび３ｂに示された、外鉄形鉄心レール１９及び ２０の装置構成の場合、Ｔ−プロフィールレール２０の長手方向脚部２２は、Ｈ −プロフィールレール１９の横方向脚部２３と共に２つの空隙を形成する。図３ ｃに示されているように、長手方向脚部２２が、通しの（スリットなしの）横方 向脚部２７の手前で終端する場合、Ｔ−プロフィールレール２０の長手方向脚部 ２２とＨ−プロフィールレール１９の横方向脚部２７との間に空隙が１つしか形 成されない。ここでも、２次巻線は、横方向脚部２７上で２つの部分巻線２５及 び２６に分割されている。 図３に示されている、変成器の両実施例では、１次巻線と２次巻線との間に、 ２つの対称的な磁気回路が形成される。この実施例は、その変成器特性が、Ｘ− 及びＹ−方向の位置偏差によって影響されないという利点を有している。 図４ａには、変成器の横断面が示されており、この変成器の両外鉄形鉄心レー ル２８及び２９は、Ｅ−プロフィールを有している。両Ｅ−プロフィールレール ２８及び２９は、図４ｂの斜視図からも分かるように、両Ｅ−プロフィールレー ル２８及び２９の横方向脚部の端面が相互に向き合わされている。１次巻線３０ 及び２次巻線３１は、それぞれＥ−プロフィールレール２８及び２９の真ん中の 横方向脚部３２及び３３に巻回されている。外鉄形鉄心の、このような幾何学的 形状の場合、１次巻線と２次巻線とは完全に閉じられており、そうすることによ って、漏れ磁束を非常に強く減衰することができる。これにより、両巻線の誘導 結合を改善することができるようになる。誘導結合の、その他の改善策は、Ｅ− プロフィールレール２９の横方向脚部の端面に、両レールの摺動方向に延在して いるウェブ３４，３５，３６を形成し、他方のＥ−プロフィールレール２８の横 方向脚部内に溝３７，３８，３９を形成し、この溝の中に、対向するＥ−プロフ ィール２９のウェブ３４，３５，３６を噛み合わせるようにして達成することが できる。 変成器の外鉄形鉄心が純鉄（μｒ＝３００）製である場合、渦電流が形成され ることが知られている。この、外鉄形鉄心内の渦電流は、１次巻線と２次巻線と の励磁電流とは逆方向に流れ、従って、両巻線間の結合を損なう。渦電流の発生 は、外鉄形鉄心に、例えば、Ｙ−方向に順次連続していてＸ−，Ｚ−面に位置し ているスリットを設けるようにして防止することができる。特に有利には、スリ ットを交互に右面と左面か ら外鉄形鉄心に形成するとよい。そうすることによって、渦電流用の経路が拡大 される。つまり、渦電流に対する抵抗が増大され、渦電流強度が減少する。公知 のように、同じ効果を、外鉄形鉄心を相互に絶縁された個別板を順次重畳した層 にして形成することによって達成することができる。外鉄型鉄心用の適切な材料 を選択することによっても、渦電流を小さく保持することができる。この材料は 、純鉄よりも著しく小さな導電度で、ほぼ、純鉄と同じ透磁率μｒを有している 必要がある。この条件をほぼ充足する材料は、合成樹脂と結合した極めて純度の 高い鉄粉である。導電率２２００Ｓ／ｍの、この材料は、導電率５６ＭＳ／ｍの 純鉄よりも著しく小さな導電率である。 前述のように、外鉄形鉄心は、レールの幾何学的形状を有しているので、この 外鉄形鉄心は、有利なやり方で、車両シートのスライドレール内に統合すること ができる。当然、レール状変成器を、車両シートの下側のスライドレールの側方 、又は、その他の適切な個所に設置することもできる。車両シート内の複数の電 気装置に、相互に影響し合わない電気エネルギ又は各制御信号が供給される必要 がある場合、複数のレール状変成器を設けることができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アントン ドゥカルト ドイツ連邦共和国 Ｄ―76744 ヴェルト シュパルベンヘッケ 14デー (72)発明者 トーマス ヘルマン ドイツ連邦共和国 Ｄ―74243 ランゲン ブレタッハ ホーエンローアー シュトラ ーセ 38

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 固定車両部と、該固定車両部に対して直線状に可動の車両部との間での信 号の無接触伝送装置において、 装置は少なくとも１つの変成器から構成されており、該変成器の１次巻線（４， ９，１７，２１，３０）及び２次巻線（６，１０，１８，２５，２６，３１）が 別個の外鉄形鉄心（１，２，７，８，１５，１６，１９，２０，２８，２９）内 に配設されており、前記外鉄型鉄心のうちの一方は、固定車両部に固定して取り 付けられており、他方は、可動車両部に固定して取り付けられており、 前記両外鉄形鉄心（１，２，７，８，１５，１６，１９，２０，２８，２９）は 、相互に沿い合って摺動するレールとして構成されており、該レールは、共働し て、前記１次巻線（４，９，１７，２１，３０）と前記２次巻線（６，１０，１ ８，２５，２６，３１）との間で磁束の閉回路を形成するようなプロフィールを 有している ことを特徴とする装置。 ２． 変成器の両外鉄形鉄心（１，２）は、Ｈ−プロフィールを有しており、一 方のＨ−プロフィールレール（２）は、他方のＨ−プロフィールレール（１）の 中にはめ込まれており、１次巻線（４）及び２ 次巻線（６）は、前記Ｈ−プロフィールレール（１，２）の横方向脚部（３，５ ）上に巻回されている請求項１記載の装置。 ３． はめ込まれたＨ−プロフィールレール（８）の外輪郭（１１）及び他方の Ｈ−プロフィールレール（７）の内輪郭（１２）は、円錐形に成形されており、 その結果、そのように円錐形に成形することによって、前記両Ｈ−プロフィール レール（７，８）の間に、相互に傾けられた２つの空隙（１３，１４）が形成さ れる請求項２記載の装置。 ４． 変成器の両外鉄形鉄心レール（１５，１６）は、Ｌ−プロフィールを有し ており、前記両Ｌ−プロフィールの両外鉄形鉄心レール（１５，１６）は、当該 レールの脚部と共に相互に、磁束の閉回路が形成されるように整列されている請 求項１記載の装置。 ５． 一方の外鉄形鉄心レール（１９）は、Ｈ−プロフィールを有しており、他 方の外鉄形鉄心レール（２０）は、Ｔ−プロフィールを有しており、Ｔ−プロフ ィールの外鉄形鉄心レール（２０）は、前記Ｈ−プロフィール外鉄形鉄心レール （１９）内にはめ込まれており、第１の巻線（２１）を支持する、前記Ｔ−プロ フィールの外鉄形鉄心レール（２０）の縦方向脚部（２２）は、第２の巻線（２ ５，２６）を支持する、前記一方の外鉄形鉄心レール（１９） の横方向脚部（２３，２７）に対して垂直方向に整列されている請求項１記載の 装置。 ６． 巻線は、Ｈ−プロフィールの外鉄形鉄心レール（１９）の横方向脚部（２ ３，２７）上で、電気的に相互に接続された２つの部分巻線（２５，２６）に分 割されており、前記２つの部分巻線の間で、Ｔ−プロフィールの縦方向脚部（２ ２）は、前記Ｈ−プロフィール外鉄形鉄心レール（１９）の横方向脚部（２３， ２７）と共に１つ又は２つの空隙を形成している請求項５記載の装置。 ７． 変成器の両外鉄形鉄心レール（２８，２９）は、Ｅ−プロフィールを有し ており、１次巻線（３０）及び２次巻線（３１）は、前記両Ｅ−プロフィール外 鉄形鉄心レール（２８，２９）真ん中の横方向脚部（３２，３３）上に巻回され ており、前記両外鉄形鉄心レール（２８，２９）は、当該両外鉄形鉄心レール（ ２８，２９）の端面が相互に向き合わされている請求項１記載の装置。 ８． 一方のＥ−プロフィール外鉄形鉄心レール（２８）の横方向脚部には、端 面側に、はめ込み溝（３７，３８，３９）が設けられており、他方のＥ−プロフ ィール外鉄形鉄心レール（２９）の横方向脚部の端面側には、ウェブ（３４，３ ５，３６）が設けられており、該ウェブは、対向配置された前記一方のＥ−プロ フィール外鉄形鉄心レール（２８）の前 記はめ込み溝（３７，３８，３９）内に係合されている請求項７記載の装置。 ９． 変成器は、車両座席用のスライドレール内に設置することができる請求項 １〜８までのいずれか１記載の装置。