JP2000349403A - 回路基板及び配線設計支援装置 - Google Patents

回路基板及び配線設計支援装置

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JP2000349403A
JP2000349403A JP15515199A JP15515199A JP2000349403A JP 2000349403 A JP2000349403 A JP 2000349403A JP 15515199 A JP15515199 A JP 15515199A JP 15515199 A JP15515199 A JP 15515199A JP 2000349403 A JP2000349403 A JP 2000349403A
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signal
signal conductors
branch
wiring section
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JP15515199A
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Hiroshi Kitamura
啓 喜多村
Yoshiyuki Saito
義行 齊藤
Hiroshi Ikeda
浩 池田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路基板の配線経路上においてインピーダン
スの不整合を生じることなく高密度な配線を可能とす
る。 【解決手段】 始点33から終点36に至る一つの配線
において、配線微細化領域41を通過する箇所について
は、より狭い配線幅の信号導体38及び39の並列接続
による分岐配線とする。このとき、これら信号導体38
及び39の特性インピーダンスの合成インピーダンス
が、両端に接続された太い配線幅の信号導体37a及び
37bそれぞれの特性インピーダンスと一致するよう
に、各信号導体38及び39の配線幅を決定するととも
に、各信号導体38及び39での信号の伝搬時間が一致
するように、各信号導体38及び39の配線長を決定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子回路を実装す
るための基板及びその配線設計を支援する装置に関し、
特に、異なる配線幅の信号導体を用いて配線パターンを
施す技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の電子機器における電子部品の実装
の高密度化に伴い、回路基板(プリント配線基板や半導
体基板など)の一部の領域において、極めて微細な幅の
配線を強いられる場合がある。例えば、LSIのフット
パターンを施す領域や、チップ部品が密集する領域、ビ
アが密集する領域などが該当する。このような領域で
は、同一の回路基板上であっても、他の領域とは異な
り、より厳しい配線設計基準、即ち、より狭い幅の配線
を施すことが要求される。
【0003】ところが、このような厳しい配線設計基準
が適用される領域とそうでない緩やかな配線設計基準が
適用される領域とに跨る配線を施す場合に、単に、それ
ぞれの領域での配線設計基準に見合った配線幅を持つ一
本の信号導体による配線を施したのでは、配線経路の途
中で配線幅が変化することとなり、インピーダンスの不
整合による信号の反射などの不具合が生じる。
【0004】つまり、配線設計基準の異なる領域に対し
て単に配線幅を変化させながら同じ信号導体で配線した
のでは、良好な信号伝送を行うことができない。かとい
って、そのような厳しい配線設計基準の領域を避けて配
線することは、配線長を増大させ、回路基板における配
線の高密度化を妨げてしまう。そこで、インピーダンス
の不整合を生じることなく、配線設計基準の異なる領域
に跨って配線を施す方法が必要とされるが、そのための
従来の技術として、特許公報第2708034号に開示
された分岐配線構造を有するプリント配線基板がある。
【0005】図9は、上記従来のプリント配線基板の平
面図である。このプリント配線基板には、絶縁体11の
上に、始点13から分岐点14に至る幅の太い信号導体
17と、分岐点14から2つの終点16a及び16bそ
れぞれに至る幅の狭い信号導体18、19とが形成され
ている。そして、信号導体17の特性インピーダンス
と、信号導体18及び19の特性インピーダンスの合成
インピーダンス(以下、特性インピーダンスの合成イン
ピーダンスを「合成特性インピーダンス」という。)と
が等しくなるように、各信号導体17〜19の配線幅が
定められている。信号は、始点13から終点16a及び
16bに向かって伝送され、終点16a及び16bに接
続されたデバイスに入力されるというものである。
【0006】つまり、配線幅が小さい信号導体ほど、そ
の特性インピーダンスが高くなることを利用し、配線幅
の小さい信号導体18及び19を並列に(分岐させて)
接続することで、それら信号導体18及び19の合成特
性インピーダンスを信号導体17の特性インピーダンス
に一致させている。これによって、分岐点14において
インピーダンスの不整合が生じるという不具合を防止し
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術には次の問題点がある。第1の問題点は、始点1
3から分岐点14に至る信号導体17や分岐点14から
終点16a、16bそれぞれに至る信号導体18、19
は、いずれも、等しい長さでなければならないという制
約が存在することである。これは、終点16a及び16
bに接続されたデバイスの入力インピーダンスが信号導
体18及び19の特性インピーダンスと整合しない場合
に生じる反射波による影響を最小限に抑えるためと考え
られる。しかし、このような配線長の制約は、プリント
配線基板のレイアウト上の制約となり、プリント配線基
板の配線密度の向上を妨げる要因となる。
【0008】第2の問題点は、双方向の信号伝送には向
かないことである。例えば、終点16aに接続されたデ
バイスが始点13及び終点16bに向けて信号を送出す
る場合には、信号導体18の特性インピーダンスと、信
号導体17及び信号導体19の合成特性インピーダンス
との関係が問題となるが、それら2つの特性インピーダ
ンスは一致しないので、分岐点14においてインピーダ
ンスの不整合が生じる。従って、終点16aや終点16
bそれぞれを始点とする逆向きの信号伝送については、
反射波を生じ、良好な信号伝送は行われない。
【0009】第3の問題点は、全ての終点16a及び1
6bについて、等しいインピーダンスの負荷が接続され
るように処理を施しておく必要があることである。例え
ば、上記公報の第2の実施の形態に開示されているよう
に、終点16aにだけデバイスが接続され、終点16b
が開放端となる場合には、デバイスが接続されない終点
16bに終端抵抗20を接続しておく等の処理が必要と
される。つまり、インピーダンスの整合を確保するため
に信号導体を分岐させた場合には、その分岐数に相当す
る数の終端抵抗が必要とされる。
【0010】そこで、本発明は、上記従来の問題点を解
決するためになされたものであり、インピーダンスの不
整合を生じることなく基板上の配線設計基準の異なる領
域に跨って配線を施す方法であって、その配線長に関す
る制約が従来よりも緩やかで、双方向伝送が可能であ
り、かつ、終端抵抗が必要とされない配線方法を提供す
ることを目的とする。具体的には、そのような配線が施
された回路基板及びそのような配線設計を支援する装置
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る回路基板は、信号導体による配線パタ
ーンが施された回路基板であって、少なくとも一つの配
線パターンは、1本の信号導体からなる第1の配線区間
と、共通の2点間に並列接続された複数の信号導体から
なる第2の配線区間とを有し、前記第2の配線区間にお
ける複数の信号導体は、それぞれの特性インピーダンス
を合成して得られる第2の配線区間における合成インピ
ーダンスが前記第1の配線区間における信号導体の特性
インピーダンスに等しくなるように、それぞれの配線幅
が決定されていることを特徴とする。
【0012】また、前記第2の配線区間における複数の
信号導体は、各信号導体での信号の伝搬時間が等しくな
るように、それぞれの配線長が決定されていてもよい。
また、上記目的を達成するために、回路基板の配線設計
を支援する装置であって、始点と終点とで特定される配
線経路に対して、1本の信号導体による配線を施すべき
第1の配線区間と、共通の2点間に並列接続される複数
の信号導体による配線を施すべき第2の配線区間とを特
定する配線区間特定手段と、前記第2の配線区間に施す
複数の信号導体それぞれの特性インピーダンスを合成し
て得られる第2の配線区間における合成インピーダンス
が前記第1の配線区間に施す信号導体の特性インピーダ
ンスに等しくなるように、前記第2の配線区間に施す複
数の信号導体の総数及び各配線幅を決定する配線幅決定
手段とを備えることを特徴とする配線設計支援装置とす
ることもできる。
【0013】ここで、前記配線設計装置はさらに、前記
第2の配線区間に施す複数の信号導体それぞれでの信号
の伝搬時間が等しくなるように、それら信号導体の配線
長を決定する配線長決定手段を備えてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
面を参照しながら詳細に説明する。 [第1の実施の形態]図1は、本発明に係る分岐配線が
施された第1の実施の形態におけるプリント配線基板1
00の平面図である。
【0015】このプリント配線基板100には、絶縁体
31の上に、始点33から終点36に至る銅箔のパター
ン(信号導体37a、38、39、37b)が形成され
ている。始点33から分岐点34に至る信号導体37a
及び結合点35から終点36に至る信号導体37bは、
いずれも、緩やかな配線設計基準の領域内に形成され、
それぞれの配線幅は同一である。一方、分岐点34から
結合点35に至る並列接続(分岐)された2つの信号導
体(以下、分岐された信号導体を「分岐信号導体」とい
う。)38及び39は、厳しい配線設計基準の領域(配
線微細化領域41)内に形成され、それぞれの配線幅
は、上記信号導体37a、37bの配線幅よりも小さく
形成されている。
【0016】このような第1の実施の形態に係る配線
は、以下の特徴を有する。第1に、分岐信号導体38及
び39は、その両端34、35において相互に結合(接
続)されていることである。つまり、一つの信号導体3
7a〜37bについて始点33を出発点として見た場合
には、幅の太い一つの信号導体37aは、分岐点34に
おいて、幅の狭い2つの分岐信号導体38及び39に分
岐された後、結合点35において、幅の太い一つの信号
導体37bに結合され、終点36に至っている。
【0017】第2に、始点33から終点36に至る信号
導体37a、38、39、37bを直列方向に分割して
得られる3つの異なる配線区間それぞれでの特性インピ
ーダンス、即ち、信号導体37aの特性インピーダンス
と、分岐信号導体38及び39の合成特性インピーダン
スと、信号導体37bの特性インピーダンスとは、いず
れも等しくなるように各配線幅が決められていることで
ある。
【0018】第3に、2つの分岐信号導体38及び39
は、等しい配線長でなくてもよい点である。言い換える
と、これら2つの分岐信号導体38及び39の配線長
は、各信号導体における信号の伝搬時間(電気信号の伝
送遅延時間)が等しくなるように、一定の基準(2つの
分岐信号導体38及び39それぞれの配線長の比率が、
各信号導体の配線幅等に依存して定まる一定の値になる
こと)を満たしていればよい点である。
【0019】図2は、上記第2及び第3の特徴を具体的
に説明するための図であり、始点33から終点36に至
る信号導体37a、38、39、37bの模式的な等価
回路図である。本図において、Zoは信号導体37a及
び37bそれぞれの特性インピーダンスであり、Z1、
S1、L1はそれぞれ分岐信号導体38の特性インピーダ
ンス、単位長さ当たりの伝搬時間、配線長であり、Z
2、S2、L2はそれぞれ分岐信号導体38の特性インピ
ーダンス、単位長さ当たりの伝搬時間、配線長である。
【0020】本実施の形態では、以下の式1及び式2を
満たすように、信号導体37a、38、39、37bが
形成されている。 Zo=1/(1/Z1+1/Z2) ・・・式1 L1×S1=L2×S2 ・・・式2 上記式1は上記第2の特徴に対応する。本実施の形態で
は、式1が成立するように各信号導体37a、38、3
9、37bの配線幅を決定している。
【0021】また、上記式2は上記第3の特徴に対応す
る。本実施の形態では、式2が成立するように各信号導
体38、39の配線長を決定している。図3は、各信号
導体37a、38、39、37bの配線幅を説明するた
めの図であり、図1におけるZ−Z’線でのプリント配
線基板100の断面を示している。ここには、最下層の
グランド導体32と、中間層の絶縁体31と、最上層の
信号導体37bからなる積層構造が示されている。この
ような3層構造においては、最上層の信号導体37bの
特性インピーダンスZoは、以下の式3で表される。
【0022】
【数1】
【0023】ここで、εr、Hは、それぞれ絶縁体31
の比誘電率、厚み(絶縁体厚)であり、W、Tは、それ
ぞれ信号導体37bの幅(配線幅)、厚み(信号導体
厚)である。なお、比誘電率εr、絶縁体厚H及び信号
導体厚Tは、一般に、同一のプリント配線基板や多層基
板における同一の配線層において異なる値に設定するこ
とが困難であるので、ここでは一定値とする。
【0024】すると、上記式3から分かるように、プリ
ント配線基板100の最上層に形成された信号導体の特
性インピーダンスZoは、一定の範囲内で選択可能な設
計パラメータである配線幅Wだけに依存して決定される
ことになる。本実施の形態では、各信号導体37a、3
8、39、37bの配線幅を適切な値に設定すること
で、上記式1の関係を満足させている。
【0025】具体的には、例えば、絶縁体厚H=0.2
mm、比誘電率εr=4.7、信号導体厚T=0.03
mmという条件において、信号導体37a及び37bそ
れぞれの配線幅Wを0.32mmとすればよい。その結
果、信号導体37a及び37bそれぞれの特性インピー
ダンスZoは、上記式3より、 Zo=50Ω となる。
【0026】一方、分岐信号導体38及び39それぞれ
の配線幅W1及びW2を0.05mmとすればよい。その
結果、分岐信号導体38及び39それぞれの特性インピ
ーダンスZ1、Z2は、上記式3より、 Z1=Z2=100Ω となる。このような配線幅とすることで、3つの特性イ
ンピーダンスZo、Z1、Z2の間には、上記式1の関係
が成立する。
【0027】また、分岐信号導体38及び39それぞれ
の配線長L1及びL2については、等長にすればよい。こ
れは、本具体例では、上記式1を満足させるために分岐
信号導体38及び39それぞれの配線幅W1及びW2を等
しく設定したことから、それぞれの単位長さ当たりの伝
搬時間S1及びS2も等しい値となるので、上記式2を満
足させるためには各配線長L1及びL2も等しくする必要
があるためである。
【0028】なお、この具体例では、分岐信号導体38
及び39それぞれの配線幅W1及びW2を等しい値に設定
する場合について説明したが、上記式1を満たす限りに
おいて、それら配線幅W1及びW2を自由に選択できるこ
とは言うまでもない。ただし、それら配線幅W1及びW2
を異なる値に設定した場合には、それぞれの単位長さ当
たりの伝搬時間S1及びS2も異なる値となるので、それ
ぞれの配線長の比L1/L2がS2/S1となるように、各
配線長L1、L2を決定する必要がある。
【0029】具体的には、信号導体の単位長さ当たりの
伝搬時間Sは、一般に、以下の式4で表される。 S=√(L×C) [sec/m] ・・・式4 ただし、L、Cは、それぞれ信号導体の単位長さ当たり
のインダクタンス[nH/cm]、容量[pF/cm]である。
【0030】ここで、式4における単位長さ当たりの容
量Cは、その信号導体の配線幅Wに依存する値である。
従って、信号導体38及び39それぞれの配線幅W1及
びW2とそれぞれの配線長の比L1/L2とは、完全に独
立な関係にあるパラメータではなく、一方を決めると他
方が決まってしまう関係にある。よって、そのような関
係を考慮する限りにおいて、各配線幅W1及びW2や配線
長L1及びL2を自由に決定することができる。つまり、
複数の分岐信号導体の形成において、一定範囲の制約内
で、それぞれの配線幅を異なる値にしたり、それぞれの
配線長を異なる値にすることができる。
【0031】以上のように、本実施の形態によれば、始
点33と終点36とを結ぶ一つの配線パターンは、配線
微細化領域41を通過する部分において、狭い配線幅の
複数の信号導体38及び39に分岐して形成されている
とともに、それら分岐信号導体38及び39の両端は、
配線設計基準の緩やかな領域に設定された共通箇所(分
岐点、結合点)おいて1本に結合されている。そして、
この一つの配線パターンを構成する3つの部分的な配線
区間、即ち、信号導体37a、信号導体38及び39の
並列接続部分、信号導体37bそれぞれの特性インピー
ダンスは整合している。さらに、分岐信号導体38及び
39それぞれにおける信号の伝搬時間は等しい。
【0032】これによって、従来の技術における問題点
が解消された分岐配線方法、即ち、インピーダンスの不
整合を生じることなく基板上の配線設計基準の異なる領
域に跨って配線を施す方法が実現される。つまり、本発
明に係る分岐配線によれば、分岐信号導体38及び39
それぞれの配線長は必ずしも等しい長さである必要はな
く、双方向伝送が可能であり、かつ、終端抵抗は必要と
されない。
【0033】なお、本実施の形態では、各信号導体37
a、38、39、37bは、直線状に配線されていた
が、曲線状に配線されていても同様の効果が発揮される
ことは言うまでもない。また、分岐信号導体の数は2本
に限られず、例えば、より配線幅の狭い150Ωの分岐
信号導体3本を用いることで、50Ωの信号導体37a
及び37bとインピーダンスの整合を保つこともでき
る。
【0034】さらに、本実施の形態では、始点33と分
岐点34、結合点35と終点36それぞれの位置は、一
つの配線パターンにおける異なる箇所であったが、これ
らは一致していてもよい。例えば、始点3と分岐点34
とが同一、即ち、本実施の形態における信号導体37a
の長さがゼロとなる分岐配線としたり、結合点35と終
点36とが同一、即ち、信号導体37bの長さがゼロと
なる分岐配線としたり、信号導体37a及び信号導体3
7bそれぞれの長さがゼロ、即ち、両端が結合された分
岐信号導体38及び39のみの分岐配線とすることもで
きる。これは、本発明における上記3つの特徴は、緩や
かな配線設計基準の領域における信号導体(分岐されて
いない部分の信号導体)の配線長には依存しないからで
ある。 [第2の実施の形態]次に、本発明に係る分岐配線の第
2の実施の形態を説明する。
【0035】図4は、本発明に係る分岐配線が施された
第2の実施の形態におけるプリント配線基板110の平
面図である。本図に示された信号導体37a、38a、
44、45、38b、49、37bからなる分岐配線
は、第1の実施の形態の分岐配線における一つの分岐信
号導体38の経路中にさらに分岐配線44、45が設け
られた入れ子状の構造を有する分岐配線に相当する。な
お、第1の実施の形態と同一の構成要素については同一
の符号を付し、その説明を省略する。
【0036】本図において、一つの信号導体37a〜3
7bについて始点33を出発点として見た場合には、幅
の太い一つの信号導体37aは、外側分岐点42aにお
いて、幅の狭い2つの分岐信号導体38a及び49に分
岐される。そして、その分岐信号導体38aは、内側分
岐点42bにおいて、さらに幅の狭い2つの分岐信号導
体(以下、これら分岐信号導体の経路中に設けられた分
岐信号導体を「内部分岐信号導体」という。)44及び
45に分岐された後、内側結合点43bにおいて、幅の
太い一つの信号導体38bに結合される。そして、信号
導体38bと分岐信号導体49とは、外側結合点43a
において、より幅の太い一つの信号導体37bに結合さ
れ、終点36に至っている。
【0037】この信号導体37a〜37bは、3つの特
徴を有する第1の実施の形態における分岐配線が入れ子
状に結合された構造を有し、以下の条件を満足するよう
各信号導体の配線幅及び配線長が形成されている。つま
り、分岐信号導体38a、44、45、38bからなる
一つの分岐配線に着目すると、(i)分岐信号導体38
aの特性インピーダンスと、内部分岐信号導体44及び
45の合成特性インピーダンスと、分岐信号導体38b
の特性インピーダンスとが同じ値になるように、各配線
幅が決定され、(ii)内部分岐信号導体44での信号
の伝搬時間と内部信号導体45での信号の伝搬時間とが
同じ値になるように、各配線長が決定されている。
【0038】同様に、信号導体37a、38a〜38
b、49、37bからなる一つの分岐配線に着目する
と、(i)信号導体37aの特性インピーダンスと、分
岐信号導体38a〜38b及び49の合成特性インピー
ダンスと、信号導体37bの特性インピーダンスとが同
じ値になるように、信号導体37a、49、37bの配
線幅が決定され、(ii)分岐信号導体38a〜38b
での信号の伝搬時間と分岐信号導体49での信号の伝搬
時間とが同じ値になるように、分岐信号導体49の配線
長が決定されている。
【0039】具体的には、各信号導体の特性インピーダ
ンス及び配線長については、次のように決定されてい
る。つまり、各信号導体の配線幅は、信号導体37a及
び37bそれぞれの特性インピーダンスが50Ω、分岐
信号導体38a及び38bそれぞれの特性インピーダン
スが75Ω、内部分岐信号導体44及び45並びに分岐
信号導体49それぞれの特性インピーダンスが150Ω
となるよう、上記式3に従って決定される値に形成され
ている。
【0040】言い換えると、配線幅については、信号導
体37a及び37bが最も大きく、分岐信号導体38a
及び38bが次に大きく、内部分岐信号導体44及び4
5並びに分岐信号導体49が最も小さく形成されてい
る。例えば、絶縁体厚H=0.5mm、比誘電率εr=
4.7、信号導体厚T=0.03mmという均質なプリ
ント配線基板において、信号導体37a及び37bそれ
ぞれの配線幅を0.86mmとすればよい。その結果、
それら信号導体37a及び37bの特性インピーダンス
は、それぞれ、上記式3より、50Ωとなる。
【0041】また、分岐信号導体38a及び38bそれ
ぞれの配線幅を0.405mmとすればよい。その結
果、それら分岐信号導体38a及び38bの特性インピ
ーダンスは、それぞれ、上記式3より、75Ωとなる。
さらに、信号導体44及び45並びに信号導体49それ
ぞれの配線幅Wを0.015mmとすればよい。その結
果、それらの特性インピーダンスは、それぞれ、上記式
3より、150Ωとなる。
【0042】このような特性インピーダンスにしておく
ことで、第1の実施の形態における第1の特徴を満足さ
せることができ、信号導体37a〜37bのいずれの箇
所においてもインピーダンスの不整合は生じない。つま
り、上記の内部分岐信号導体44と内部分岐信号導体4
5との並列接続部分の合成特性インピーダンスは、以下
の式5より、75Ωとなるので、これらと直列に接続さ
れている両端の信号導体38a及び38bそれぞれの特
性インピーダンス75Ωと整合する。
【0043】 さらに、分岐信号導体38a〜38bと分岐信号導体4
9との並列接続部分の合成特性インピーダンスは、以下
の式6より、50Ωとなるので、これらと直列に接続さ
れている両端の信号導体37a及び37bそれぞれの特
性インピーダンス50Ωと整合する。
【0044】 また、各信号導体の配線長についても、第1の実施の形
態と同様に、式2を考慮し、並列接続される分岐信号導
体38a〜38b及び49、44及び45それぞれでの
信号の伝搬時間が等しくなるように配線長(又は、その
比)を決定すればよい。
【0045】以上のように、本実施の形態によれば、イ
ンピーダンスの整合性を確保し、かつ、並列接続された
分岐信号導体での伝送遅延時間を一致させたまま、内部
分岐信号導体44及び45の配線幅を分岐信号導体38
a及び38bよりも細くすることができる。これによ
り、より厳しい配線設計基準の領域や、2種類以上の厳
しい配線設計基準の領域が入れ子になっているような領
域に対しても、そのような領域を通過する配線パターン
を施すことが可能となる。そして、そのような配線パタ
ーンを流れる信号は、反射等を生じることなく、良好な
波形を維持したまま伝送される。
【0046】なお、本実施の形態では、一つの分岐信号
導体の経路中に一つの分岐配線が施されたが、本発明
は、このような2重の入れ子構造となった分岐配線に限
られず、さらに多重に入れ子となった構造の分岐配線で
あってもよい。 [第3の実施の形態]次に、本発明に係る分岐配線の第
3の実施の形態を説明する。
【0047】図5(a)は、本発明に係る分岐配線が施
された第3の実施の形態におけるプリント配線基板12
0の斜視図、図5(b)は、Y−Y’線でのプリント配
線基板120の断面図である。本図に示された信号導体
37a、38、39a、59、39b、37b及びビア
56a、56bからなる分岐配線は、3つの配線層を持
つ多層のプリント配線基板120に立体的に施されてお
り、第1の実施の形態の分岐配線における一つの分岐信
号導体39の一部が他の信号導体とは異なる配線層に施
されたものに相当する。なお、第1の実施の形態と同一
の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省
略する。
【0048】本図に示されるように、プリント配線基板
120は、第1の実施の形態におけるプリント配線基板
100とは異なり、3層の絶縁体31a〜31cが積層
された構造を有する。本図において、分岐信号導体39
a〜39bは、最上層の絶縁体31aの上面に形成され
た2つの分岐信号導体39a及び39bと、配線微細化
領域41を立体的にバイパスする配線、即ち、最上層の
絶縁体31aの上面と最下層の絶縁体31cの上面とを
接続する2つのビア56a及び56bと、最下層の絶縁
体31cの上面に形成された信号導体59とからなる。
【0049】この分岐信号導体39a〜39bは、第1
の実施の形態における分岐信号導体39と電気的に等価
な性質を持つように形成されている。具体的には、
(i)分岐信号導体39a〜39bを構成する各構成要
素39a、56a、59、56b、39bはいずれも同
一の特性インピーダンス(100Ω)であり、かつ、
(ii)分岐信号導体39a〜39b全体での信号の伝
搬時間が分岐信号導体38での信号の伝搬時間と等しく
なるように、これらの形状及び配線長が決定されてい
る。
【0050】従って、本実施の形態における分岐配線3
7a〜37bは、第1の実施の形態と配線構造が異なる
が、電気的な特性が同一であり、第1の実施の形態にお
ける効果と同様の効果を発揮することができる。つま
り、この分岐配線37a〜37bによれば、分岐信号導
体38及び39a〜39bそれぞれの配線長は必ずしも
等しい長さである必要はなく、双方向伝送が可能であ
り、かつ、終端抵抗は必要とされない。
【0051】さらに、本実施の形態によれば、すべての
分岐信号導体が同一の配線層に形成されるのではなく、
異なる配線層に跨って形成されているので、配線微細化
領域41などを迂回させて配線する場合などに適用する
ことができる。 [第4の実施の形態]次に、本発明に係る分岐配線を適
用した第4の実施の形態に係るCAD(Computer Aided
Design)装置を説明する。
【0052】図6は、第4の実施の形態におけるCAD
装置200の機能ブロック図である。本CAD装置20
0は、上記第1〜第3の実施の形態におけるプリント配
線基板の配線設計を支援する装置であり、機能的には、
回路データ記憶部210、実装データ記憶部211、配
線経路決定部220及び伝搬時間均一化部230から構
成される。なお、本CAD装置200は、CD−ROM
などの記録媒体に格納されたプログラムが汎用のパーソ
ナルコンピュータなどのプラットフォームで実行される
ことによって実現される。
【0053】回路データ記憶部210は、プリント配線
基板に実装する電気回路に関するデータ、例えば、プリ
ント配線基板に実装する電子部品の電気的な接続関係を
示すネットリスト210aや、各電子部品の電気的な特
性や機能等が記述された部品機能ライブラリ210b等
を予め記憶している。これらのデータ210a、210
bは、回路図用CADや論理回路シミュレータなどから
出力されたものである。
【0054】実装データ記憶部211は、プリント配線
基板への電子部品の実装に関するデータ、例えば、プリ
ント配線基板に実装する各電子部品の配置位置を示す配
置データ211aや、各電子部品ごとのサイズや形状を
示す部品形状データ211b、プリント配線基板の構造
上のデータや実装設計上の制約(設計ルール)を示す基
板データ211c等を予め記憶している。これらのデー
タ211a〜cは、実装設計用CADなどで生成された
ものである。
【0055】配線経路決定部220は、回路データ記憶
部210や実装データ記憶部211に格納された各種設
計データを参照したり、設計者と対話しながら、一応の
配置設計が終了したプリント配線基板の全ての接続箇所
について、それらを配線するために必要な全ての信号導
体及び分岐信号導体の配置位置及び形状(配線幅、厚
み、配線長など)等を決定する。このとき、分岐信号導
体を用いて分岐配線を施した場合には、分岐点及び結合
点においてインピーダンスが整合するように、分岐信号
導体の配線幅を調整する。
【0056】伝搬時間均一化部230は、配線経路決定
部220が施した全ての分岐配線に対して、分岐配線ご
とに、並列接続された各分岐信号導体での信号の伝搬時
間が等しくなるように、各分岐信号導体の配線長を調整
する。図7は、配線経路決定部220の動作手順を示す
フローチャートである。まず、配線経路決定部220
は、配線設計の対象となる全ての配線について、自動配
線手法や設計者との対話等により、各配線の始点と終点
とを結ぶ配線経路を決定する(ステップS1)。具体的
には、ネットリスト210aや配置データ211a等を
参照することにより、他の配線経路や部品と交差するこ
となく、かつ、始点と終点とを結ぶ距離が最短となるよ
うなルートを配線経路として決定していく。なお、ここ
で、配線経路とは、始点と終点を結ぶ1本の線であり、
信号導体の配線幅や分岐配線の有無などの実装状態には
依存しない論理的な経路である。
【0057】次に、配線経路決定部220は、各配線経
路について、配線経路上に設けるべき分岐点と結合点と
を特定する(ステップS2)。より詳細には、次の2つ
の処理(ステップS201、202)を実行する。ま
ず、配置データ211aや部品形状データ211b等を
参照することにより、標準の配線幅を持つ信号導体では
配線することが不可能なプリント配線基板上の領域を探
索し、それら全ての領域を配線微細化領域として記憶す
る(ステップS201)。このような配線微細化領域と
は、例えばLSIのフットパターンのある領域やチップ
部品が密集している領域、あるいはビアが密集している
領域などであり、配線設計基準が部分的に微細な配線幅
を要求する領域である。
【0058】次に、それら全ての配線微細化領域を通過
する配線経路について、その配線微細化領域を挟み込む
ように、その配線経路上に分岐点と結合点とを設定し、
それぞれの位置を記憶する(ステップS202)。この
とき、配線経路が配線微細化領域を通過する手前(始点
に近い位置)の点を分岐点とし、通過した直後の点(終
点に近い位置)を結合点とする。
【0059】このようにして分岐点及び結合点を設定し
終えると(ステップS2)、配線経路決定部220は、
それら分岐点と結合点との組それぞれについて、それら
2つの点で挟まれた区間の配線経路を複数に分岐させる
ための必要な分岐配線経路の数(分岐数)nを決定する
(ステップS3)。より詳細には、次の4つの処理(ス
テップS301〜S304)を実行する。
【0060】まず、着目する分岐点と結合点との組につ
いて、それらの点によって挟まれる配線微細化領域を通
過する分岐信号導体がとり得る最大の特性インピーダン
スZsを算出する(ステップS301)。具体的には、
基板データ211c等を参照することで、その配線微細
化領域において最も微細に信号導体を加工した場合に得
られる配線幅Wsを特定し、その配線幅Wsと上記式3
とから、分岐信号導体がとり得る最大の特性インピーダ
ンスZsを算出する。
【0061】次に、配線微細化領域を除く通常の領域
(緩やかな配線設計基準の領域)、例えば、始点から分
岐点、及び、結合点から終点の区間に配線される信号導
体の特性インピーダンスZoを設定する(ステップS3
02)。具体的には、基板データ211cに登録された
標準の配線幅に対応する特性インピーダンスを算出し、
Zoとする。
【0062】さらに、上記特性インピーダンスZs及び
Zoを用いて、以下の式7より、着目する分岐点と結合
点との区間に配線し得る分岐信号導体の最大の本数(最
大分岐数)Nmaxを算出する(ステップS303)。 Nmax=int(Zs/Zo) ・・・式7 ただし、int(x)は、値xの整数部分(値xの小数点
以下を切り捨てた整数値)を意味する。
【0063】次に、以下の式8を満たす一つの整数nを
選択し、その値nを、着目する分岐点と結合点との区間
に施すべき分岐信号導体の数(分岐数n)として記憶す
る(ステップS304)。 2≦n≦Nmax ・・・式8 なお、式8を満たす整数が複数存在する場合には、より
小さい値nを優先して選択する。ただし、後の工程にお
いて、より細い配線幅を採用しなければならない等の事
情が発生した場合には、より大きな値n(式8を満た
し、かつ、よりNmaxに近い値)を選択し直す。
【0064】このようにして分岐数nを決定すると(ス
テップS3)、配線経路決定部220は、それらn本の
分岐配線それぞれの配線経路(分岐配線経路)を決定す
る(ステップS4)。この処理は、基本的に、始点と終
点とを結ぶ配線経路の設定(ステップS1)と同様であ
り、自動配線手法や設計者との対話等により、分岐点と
結合点とを結ぶn本の分岐配線それぞれの分岐配線経路
を特定していく。
【0065】最後に、配線経路決定部220は、上記配
線経路設定(ステップS1)で決定した配線経路及び分
岐配線経路設定(ステップS4)で決定した分岐配線経
路に対して、信号導体及び分岐信号導体による配線を実
行する(ステップS5)。ここで、「配線の実行」と
は、論理的な情報である配線経路及び分岐配線経路それ
ぞれについて、最終的に実装すべき具体的な信号導体の
サイズや位置などを特定することである。
【0066】なお、n本の分岐信号導体及びその両端に
接続される信号導体からなる全ての分岐配線について
は、以下の式9を満足するように、各信号導体の信号導
体厚、配線幅、配線位置の具体的な値を特定し、記憶す
る。 Zo=Zc =1/(1/Z1+1/Z2+・・・+1/Zn) ・・・式9 ただし、Zcはn本の分岐信号導体の合成特性インピー
ダンスであり、Z1〜Znはそれぞれの特性インピーダン
スである。
【0067】このように、配線経路決定部220は、プ
リント配線基板の全ての配線経路及び分岐配線経路につ
いて順次配線を実行していく。もし、配線の実行過程に
おいて、配線微細化領域を通過する分岐信号導体の総数
が多いために上記工程で決定した分岐数nや分岐配線経
路では設計ルール内での配線が困難であると判明した場
合には、各分岐信号導体の配線幅をより小さくしたり、
配線微細化領域を立体的にバイパスする配線経路を採用
したりすることにより、一連の処理(ステップS3〜S
5)を繰り返す。
【0068】図8は、伝搬時間均一化部230の動作手
順を示すフローチャートである。伝搬時間均一化部23
0は、設計者からの指示が与えられた場合に、配線経路
決定部220により決定された分岐信号導体について、
各組の(並列接続された)分岐信号導体それぞれでの信
号の伝搬時間を等しくするために、それら分岐信号導体
の配線経路を最適化する(ステップS6)。より詳細に
は、次の3つの処理(ステップS601〜S603)を
実行する。
【0069】まず、並列接続されたn本の分岐信号導体
について、配線経路決定部220によって決定された配
線幅や上記式4等に基づき、各分岐信号導体の単位長さ
当たりの伝搬時間S1〜Snを算出する(ステップS6
01)。そして、それら伝搬時間S1〜Snを用いて、
以下の式10より、各信号導体の配線長L1〜Lnの比
を算出する(ステップS602)。
【0070】 L1×S1=L2×S2=・・・=Ln×Sn ・・・式10 得られた配線長L1〜Lnの比となるように、配線経路
決定部220によって実行された配線における分岐信号
導体それぞれの配線経路を調整する(ステップS60
3)。具体的には、配線経路決定部220が実行したn
本の分岐信号導体における最小の配線長を有する分岐信
号導体を特定し、その配線長を固定することで他の分岐
信号導体の配線長を順次決定し、それら分岐信号導体の
配線を再実行する。もし、再配線の過程において、配線
長が足りない分岐信号導体が発見された場合には、最小
の配線長を長くして再配線を繰り返したり、配線経路を
他の分岐信号導体のものと入れ換えたりすることによっ
て、n本の分岐信号導体全てについて、上記式10が成
立するように、再配線を実行する。
【0071】伝搬時間均一化部230は、このような伝
搬時間の均一化を、プリント配線基板上の全て分岐配線
について繰り返す。そして、このようにして得られた配
線データ240、即ち、信号導体の配置位置や形状など
を特定する設計データをプリント配線基板の実装機等に
出力し、配線設計を終了する。以上のように、本CAD
装置200によれば、ネットリスト等に基づいて、各始
点と終点とを結ぶ配線経路が決定され、信号導体による
配線が施されるが、このとき、配線経路が配線微細化領
域を通過する場合には、その領域については、より配線
幅の狭い複数の分岐信号導体を用いた並列接続による分
岐配線が施される。そして、それら並列接続される分岐
信号導体は、その合成特性インピーダンスが両端の信号
導体の特性インピーダンスと一致するように配線幅が決
定され、さらに、各分岐信号導体での信号の伝搬時間が
等しくなるように配線長が決定される。
【0072】従って、本CAD装置200によって設計
されたプリント配線基板の配線によれば、分岐点や結合
点でのインピーダンスの不整合に基づく信号の反射や、
並列に接続された複数の分岐信号導体それぞれでの信号
の伝搬時間の相違に基づく信号波形の乱れなどの不具合
の発生が回避され、良好な伝送特性を有する信号伝送が
可能となる。
【0073】なお、本実施の形態では、始点と終点とを
結ぶ配線経路上に分岐配線を設けたが、配線経路上に設
定された分岐点及び結合点それぞれを新たな始点及び終
点と設定することで、分岐信号導体上に分岐配線が施さ
れた入れ子の分岐配線構造を採用することもできる。こ
のような入れ子の分岐配線構造は、一つの配線微細化領
域中にさらに微細な配線が要求される配線微細化領域が
設けられている場合や、ある分岐信号導体の配線幅をさ
らに細くする場合等に有効である。
【0074】また、上記実施の形態では、本発明をプリ
ント配線基板に適用した場合について説明したが、本発
明に係る回路基板はプリント配線基板に限られず、半導
体基板等であってもよい。
【0075】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る回路基板は、信号導体による配線パターンが施さ
れた回路基板であって、少なくとも一つの配線パターン
は、1本の信号導体からなる第1の配線区間と、共通の
2点間に並列接続された複数の信号導体からなる第2の
配線区間とを有し、前記第2の配線区間における複数の
信号導体は、それぞれの特性インピーダンスを合成して
得られる第2の配線区間における合成インピーダンスが
前記第1の配線区間における信号導体の特性インピーダ
ンスに等しくなるように、それぞれの配線幅が決定され
ていることを特徴とする。
【0076】これにより、配線設計基準の緩やかな領域
と厳しい領域に跨る一つの配線を施す場合には、緩やか
な領域を通過する箇所を太い配線幅の1本の信号導体に
よる第1の配線区間とし、厳しい領域を通過する箇所を
細い配線幅の複数の信号導体による第2の配線区間とし
て配線を施すことができる。そして、それら両区間にお
ける特性インピーダンスは等しいので、異なる配線幅の
信号導体を直列に接続した場合に生じる信号波形の乱れ
等の不具合の発生が回避される。また、分岐配線に係る
複数の信号導体は、並列に接続、即ち、それら各信号導
体の両端は共通の分岐点及び結合点に接続され、開放端
とはなっていないので、インピーダンスの整合を確保す
るための終端抵抗は不要となる。
【0077】ここで、前記第2の配線区間における複数
の信号導体は、各信号導体での信号の伝搬時間が等しく
なるように、それぞれの配線長が決定されていてもよ
い。これによって、それら各信号導体での伝搬時間の不
一致に基づく信号波形の乱れ等の不具合の発生は防止さ
れる。そして、直列に接続された第1の配線区間と第2
の配線区間とからなる配線パターンは、伝送特性とし
て、1本の同一の信号導体による配線とみなすことがで
きるので、双方向伝送に用いることができる。また、そ
れら伝搬時間が等しくなるように各信号導体を形成する
限りにおいて、各信号導体の配線長を等しくする必要は
なくなり、配線微細化領域での配線設計の自由度が増
す。
【0078】また、前記第2の配線区間における複数の
信号導体のうち少なくとも一つの信号導体は、1本の信
号導体からなる第1のサブ配線区間と、共通の2点間に
並列接続された複数の信号導体からなる第2のサブ配線
区間とを有し、前記第2のサブ配線区間における複数の
信号導体は、それぞれの特性インピーダンスを合成して
得られる第2のサブ配線区間における合成インピーダン
スが前記第1のサブ配線区間における信号導体の特性イ
ンピーダンスに等しくなるように、それぞれの配線幅が
決定されたり、各信号導体での信号の伝搬時間が等しく
なるように、それぞれの配線長が決定されていてもよ
い。
【0079】これによって、インピーダンスの整合を確
保したまま、入れ子になった分岐配線構造を採用するこ
とができるので、配線微細化領域中に更に厳しい配線微
細化領域が存在するような箇所を通過する配線や、段階
的に配線幅を狭くしなければならないような複雑な配線
等が可能となり、配線密度が向上される。また、前記回
路基板は、信号導体を形成するための複数の配線面が積
層された多層基板であり、前記第2の配線区間における
複数の信号導体のうち少なくとも一つの信号導体は、他
の信号導体とは異なる配線面に形成されていてもよい。
つまり、多層配線基板に対して立体的な分岐配線とする
ことで、上述と同様の効果を得ることができる また、上記目的を達成するために、本発明は、回路基板
の配線設計を支援する装置であって、始点と終点とで特
定される配線経路に対して、1本の信号導体による配線
を施すべき第1の配線区間と、共通の2点間に並列接続
される複数の信号導体による配線を施すべき第2の配線
区間とを特定する配線区間特定手段と、前記第2の配線
区間に施す複数の信号導体それぞれの特性インピーダン
スを合成して得られる第2の配線区間における合成イン
ピーダンスが前記第1の配線区間に施す信号導体の特性
インピーダンスに等しくなるように、前記第2の配線区
間に施す複数の信号導体の総数及び各配線幅を決定する
配線幅決定手段とを備えることを特徴とする配線設計支
援装置とすることもできる。
【0080】ここで、前記配線設計装置はさらに、前記
第2の配線区間に施す複数の信号導体それぞれでの信号
の伝搬時間が等しくなるように、それら信号導体の配線
長を決定する配線長決定手段を備えてもよい。また、上
記目的を達成するために、本発明は、コンピュータを上
記配線設計支援装置として機能させるプログラムを記録
した記録媒体とすることもできる。
【0081】このような配線設計支援装置及びプログラ
ム記録媒体とすることで、本発明に係る分岐配線が施さ
れた回路基板をコンピュータ上で設計することが可能と
なり、高密度実装に対応した回路基板の配線設計に要す
る時間が短縮される。以上のように、本発明によって、
回路基板の配線経路上においてインピーダンスの不整合
を生じることなく高密度に配線することが可能となり、
その実用的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る分岐配線が施された第1の実施の
形態におけるプリント配線基板の平面図である。
【図2】図1における信号導体の模式的な等価回路図で
ある。
【図3】図1におけるZ−Z’線でのプリント配線基板
の断面図である。
【図4】本発明に係る分岐配線が施された第2の実施の
形態におけるプリント配線基板の平面図である。
【図5】(a)は本発明に係る分岐配線が施された第3
の実施の形態におけるプリント配線基板の斜視図、
(b)は(a)におけるY−Y’線でのプリント配線基
板の断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態におけるCAD装置
の機能ブロック図である。
【図7】同CAD装置の配線経路決定部の動作手順を示
すフローチャートである。
【図8】同CAD装置の伝搬時間均一化部の動作手順を
示すフローチャートである。
【図9】従来の技術に係る分岐配線が施されたプリント
配線基板の平面図である。
【符号の説明】
31、31a〜31c 絶縁体 32 グランド導体 33 始点 34 分岐点 35 結合点 36 終点 37a、37b 信号導体 38、38a、38b、39、39a、39b、49
分岐信号導体 41 配線微細化領域 42a 外側分岐点 42b 内側分岐点 43a 外側結合点 43b 内側結合点 44、45 内部分岐信号導体 49 信号導体 56a、56b ビア 59 信号導体 100、110、120 プリント配線基板 200 CAD装置 210 回路データ記憶部 210a ネットリスト 210b 部品機能ライブラリ 211 実装データ記憶部 211a 配置データ 211b 部品形状データ 211c 基板データ 220 配線経路決定部 230 伝搬時間均一化部 240 配線データ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 浩 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E338 AA03 CC01 CD12 CD14 EE11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号導体による配線パターンが施された
    回路基板であって、 少なくとも一つの配線パターンは、1本の信号導体から
    なる第1の配線区間と、共通の2点間に並列接続された
    複数の信号導体からなる第2の配線区間とを有し、 前記第2の配線区間における複数の信号導体は、それぞ
    れの特性インピーダンスを合成して得られる第2の配線
    区間における合成インピーダンスが前記第1の配線区間
    における信号導体の特性インピーダンスに等しくなるよ
    うに、それぞれの配線幅が決定されていることを特徴と
    する回路基板。
  2. 【請求項2】 前記第2の配線区間における複数の信号
    導体は、各信号導体での信号の伝搬時間が等しくなるよ
    うに、それぞれの配線長が決定されていることを特徴と
    する請求項1記載の回路基板。
  3. 【請求項3】 前記第2の配線区間における複数の信号
    導体のうち少なくとも一つの信号導体は、1本の信号導
    体からなる第1のサブ配線区間と、共通の2点間に並列
    接続された複数の信号導体からなる第2のサブ配線区間
    とを有し、 前記第2のサブ配線区間における複数の信号導体は、そ
    れぞれの特性インピーダンスを合成して得られる第2の
    サブ配線区間における合成インピーダンスが前記第1の
    サブ配線区間における信号導体の特性インピーダンスに
    等しくなるように、それぞれの配線幅が決定されている
    ことを特徴とする請求項2記載の回路基板。
  4. 【請求項4】 前記第2のサブ配線区間における複数の
    信号導体は、各信号導体での信号の伝搬時間が等しくな
    るように、それぞれの配線長が決定されていることを特
    徴とする請求項3記載の回路基板。
  5. 【請求項5】 前記回路基板は、信号導体を形成するた
    めの複数の配線面が積層された多層基板であり、 前記第2の配線区間における複数の信号導体のうち少な
    くとも一つの信号導体は、他の信号導体とは異なる配線
    面に形成されていることを特徴とする請求項2記載の回
    路基板。
  6. 【請求項6】 回路基板の配線設計を支援する装置であ
    って、 始点と終点とで特定される配線経路に対して、1本の信
    号導体による配線を施すべき第1の配線区間と、共通の
    2点間に並列接続される複数の信号導体による配線を施
    すべき第2の配線区間とを特定する配線区間特定手段
    と、 前記第2の配線区間に施す複数の信号導体それぞれの特
    性インピーダンスを合成して得られる第2の配線区間に
    おける合成インピーダンスが前記第1の配線区間に施す
    信号導体の特性インピーダンスに等しくなるように、前
    記第2の配線区間に施す複数の信号導体の総数及び各配
    線幅を決定する配線幅決定手段とを備えることを特徴と
    する配線設計支援装置。
  7. 【請求項7】 前記配線設計支援装置はさらに、前記第
    2の配線区間に施す複数の信号導体それぞれでの信号の
    伝搬時間が等しくなるように、それら信号導体の配線長
    を決定する配線長決定手段を備えることを特徴とする請
    求項6記載の配線設計支援装置。
  8. 【請求項8】 回路基板の配線設計を支援するためのプ
    ログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体であって、 始点と終点とで特定される配線経路に対して、1本の信
    号導体による配線を施すべき第1の配線区間と、共通の
    2点間に並列接続される複数の信号導体による配線を施
    すべき第2の配線区間とを特定する配線区間特定ステッ
    プと、 前記第2の配線区間に施す複数の信号導体それぞれの特
    性インピーダンスを合成して得られる第2の配線区間に
    おける合成インピーダンスが前記第1の配線区間に施す
    信号導体の特性インピーダンスに等しくなるように、前
    記第2の配線区間に施す複数の信号導体の総数及び各配
    線幅を決定する配線幅決定ステップとを含むプログラム
    を記録した記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記プログラムはさらに、前記配線幅決
    定ステップによる配線幅の決定後に、前記第2の配線区
    間に施す複数の信号導体それぞれでの信号の伝搬時間が
    等しくなるように、それら信号導体の配線長を決定する
    配線長決定ステップを含む請求項8記載の記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008244179A (ja) * 2007-03-27 2008-10-09 Nec Corp 多層配線基板
JP4856269B1 (ja) * 2010-09-06 2012-01-18 株式会社東芝 配線設計支援装置及び配線設計支援方法
JP2013004134A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Dainippon Printing Co Ltd サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法
JP2014027033A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Japan Display Inc 回路基板及びこれを用いた表示装置

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