JP2000348713A - 電池用正極合剤の製造方法およびこの正極合剤を用いた電池用正極板 - Google Patents
電池用正極合剤の製造方法およびこの正極合剤を用いた電池用正極板Info
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Abstract
のにする。 【解決手段】 比表面積Sa[m2/Kg]の活物質を
Wa[Kg]と、比表面積Sd[m2/Kg]の導電剤
をWd[Kg]とに増粘剤を添加し、練合装置の釜4に
投入して攪拌翼2により練合する場合、増粘剤は、その
総量ΣVN[m3]が下記に示される式を満す範囲になる
ように7回を限度として分割して添加し、練合したの
ち、所定量の増粘剤を追加して添加し、練合し、つい
で、結着剤を添加して練合する。 【数1】
Description
例えばリチウム二次電池に用いるペースト状の正極合剤
を製造する方法の技術およびこの正極合剤を用いた電池
用正極板の技術に関するものである。
剤、結着剤および増粘剤を均一に高分散させて混練した
高品質のペースト状の正極合剤を、アルミニウム箔のよ
うな集電体の両面に塗布し、乾燥して形成している。
に、従来では、活物質と導電剤と結着剤とを、これらを
均一に分散させる作用をする増粘剤の溶液に添加して練
合する工程と、この練合したものを所定時間放置してそ
の粘性を増大させて増粘する工程と、この増粘されたも
のを再び練合して調整する工程とを有する製造方法が提
案されている(例えば、特開平9−204917号公報
参照)。また、高分散されたペースト状にするために、
増粘剤の溶液に予め結着剤を分散させた分散液に、活物
質および導電剤を添加して練合分散させる方法が提案さ
れている(例えば、特開平8−195201号公報参
照)。
池用正極合剤の製造方法にあっては、増粘する工程では
練合したものを放置するための容器が必要になり、後者
の電池用正極合剤の製造方法にあっては、結着剤を予め
分散させておく混合装置が必要になるなど複数の設備を
備える必要があり、工程が複雑になるという問題点があ
った。さらに、後者の電池用正極合剤の製造方法にあっ
ては、所定量の増粘剤が一度に添加された状態で練合す
るので、活物質および導電剤との馴染みが悪くなって練
合に長時間を要し、また、粉状の活物質および導電剤
は、その表面は濡れるが内部までは充分に濡れ難いの
で、乾いた状態の凝集塊として残存し、不均一に分散さ
れた、いわゆる継子状になったペースト状の正極合剤が
得られるという問題点があった。その上、凝集塊が残存
しているペースト状の正極合剤を集電体の両面に塗布す
ると、塗工スジによる不良部分が発生して平滑で良好な
正極合剤の塗膜が得られ難く、優れた電池性能が得られ
ないという問題点もあった。
めに、本発明の電池用正極合剤の製造方法においては、
活物質と導電剤とに、増粘剤を少なくとも2回以上に分
割して添加し、練合し、ついで結着剤を添加して練合す
るもので、練合する際の増粘剤の添加量を規制して活物
質と導電剤と増粘剤との粉体−液体充填状態を、まずフ
ァニキュラー状態にして固練りの練合をし、ついで増粘
剤を追加して添加することにより粉体−液体充填状態を
スラリー状態に希釈分散させて練合したのち、結着剤を
添加して練合することにより正極合剤を調整することと
し、また、このようにして調整した正極合剤を集電体の
表面に塗着して正極板を形成することとしている。
水分を含み、粘度が比較的高い状態にあるので、この状
態で練合すると、増粘剤が良く馴染み、しかも粒子間に
強い剪断作用が働いて活物質および導電剤の凝集塊が短
時間で分散されて残存することがなくなり、均一に分散
させた状態に練合することができる。つぎに、増粘剤の
添加量を所定量にするために添加する増粘剤により希釈
分散させ、スラリー状態にして練合することにより、均
一に分散練合された正極合剤が得られ、この正極合剤を
用いた電池用正極板は電池性能に優れたものとなる。
法においては、活物質と導電剤とに、増粘剤を少なくと
も2回以上に分割して添加し、練合し、ついで結着剤を
添加して練合することとし、特に、活物質と導電剤と増
粘剤との粉体−液体充填状態をファニキュラー状態にし
て練合する固練り工程、および、活物質と導電剤と増粘
剤との粉体−液体充填状態をスラリー状態にして練合す
る希釈分散工程とにより活物質と導電剤と増粘剤とを均
一に練合したのち、結着剤を添加して練合するものであ
る。
剤とを練合する場合の粉体−液体充填状態は、液体の含
有率により表1に示すようなペンデュラー状態、ファニ
キュラー状態、キャピラリー状態、スラリー状態の4状
態を形成する。
体相との3相が存在するが、液体の充填量が少ない場合
は、粉体相間に気体が充填されているので、液体相は不
連続となり、液体の充填量が増大するにしたがって粉体
相間に液体が充填されてくるので、気体相は不連続相と
なり、ついで消失する。そして、ファニキュラー状態で
は、充填相に気体相、液体相、粉体相の3相が存在し、
液体相および粉体相は連続相になっているが、液体の充
填量により気体相は連続相もしくは不連続相になって粘
度が高い状態にある。また、スラリー状態では、液体相
は連続相になっているが、粉体相は不連続相で気体相は
消失しており、粘度が低い状態になっている。
物は、粉体−液体充填状態のファニキュラー状態では、
適度に水分を含み、粘度が比較的高い状態にあるので、
この状態で練合すると、活物質と導電剤とは、これらを
均一に分散させる目的で添加する増粘剤と良く馴染んで
均一に分散された状態で練合することができる。しか
も、適度に水分を含んで比較的粘度が高いファニキュラ
ー状態で練合すると固練りとなり、活物質粒子間および
導電剤粒子間に強い剪断作用が働くので、活物質および
導電剤の凝集塊が発生しても短時間で崩壊し、分散して
残存することがなくなり、均一に分散された状態で練合
することができる。さらに、増粘剤の添加量を所定量に
するために増粘剤を追加して添加することにより、希釈
分散されたスラリー状態で練合することになり、均一に
分散されて練合された良好な電池性能を示す正極合剤を
得ることができる。
分割して添加すると、その都度に練合することになり、
均一に分散された練合状態にする上で効果的であり、そ
の分割の回数は7回を限度としてそれ以下が好ましい。
それは、増粘剤を分割して添加する場合、8回以上に分
割して添加すると練合する回数も8回以上となるので、
練合時間が長くなり、また、増粘剤の添加量の計量ばら
つきが大きくなって生産性および計量性が低下して好ま
しくないからである。
粘剤の総量ΣVN[m3]は、活物質の比表面積をSa
[m2/Kg]、活物質の質量をWa[Kg]、導電剤
の比表面積をSd[m2/Kg]、導電剤の質量をWd
[Kg]とした場合、式1で示される関係を満す範囲に
するのが効果的である。
粘剤の総量ΣVN[m3]が、3×10-8×(Sa・Wa
+Sd・Wd)以下であると、液体相が少なすぎるため
に剪断力が強く作用して活物質や導電剤に破壊が発生
し、これら粒子の活性面が露出して再凝集し易くなり、
また、1.7×10-7×(Sa・Wa+Sd・Wd)以
上であると、ファニキュラー状態を越えるため、これら
粒子の凝集塊に剪断力が充分に作用しなくなり、凝集塊
を短時間で崩壊し、分散させる効果が得られなくなって
好ましくないからである。
加する場合の増粘剤の添加量の決定について説明する。
なお、ここでは3回に分割して添加する場合を例に説明
する。
れる関係を満す範囲で決定して添加し、練合したのち、
第2回の添加量V2[m3]は、第1回の添加量V
1[m3]との合計が式3で示される関係を満す範囲で決
定して添加し、練合し、ついで、第3回の添加量V
3[m3]は、第1回の添加量V1[m3]および第2回の
添加量V 2[m3]との合計が式4で示される関係を満す
範囲で決定して添加し、練合する。
してスラリー状態にして練合し、ついで結着剤を添加し
て練合し、ペースト状の電池用正極合剤を得る。その合
剤を集電体の表面に塗着することにより電池性能に優れ
た電池用正極板を提供することができる。
されるものではないが、例えば、MnO2、V2O5、V6
O13などの金属酸化物、TiS2、MoS2、FeSなど
の金属硫化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO
4などのCo、Ni、Mn、Fe、Tiなどの遷移金属
を主成分とするリチウム複合金属酸化物などがある。
ルボキシメチルセルロース(Li、Na、K、NH
4塩)、あるいはこれらの何れかを主成分としたメチル
セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセル
ロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、燐酸ス
ターチなどの1種または2種以上の混合物がある。
樹脂、ゴム弾性を有するポリマーを単独またはこれらの
混合物を用いることができる。例えば、エチレン樹脂不
飽和モノマーの重合体、ポリエステル、ポリウレタン、
ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレア、ポリシロキサ
ン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、セルロース類、糖類および糖類誘導体などがある。
好ましい例としては、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)、ポリ弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレ
ン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン/環状ジエ
ンポリマー(EPDM)、スチレン/ブタジエン共重合
体(SBR)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリメチルビニルエーテル、ポリアクリ
ルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ
エチレンアジペート、ポリビニルアセタール、ポリビニ
ルブチラールのようなエチレン性不飽和モノマーの重合
体、ヘキサメチレンジイソシアネート/ブタンジオール
縮合体のようなポリウレア、ポリエチレンオキサイド、
ポリプロピレンオキサイドのようなポリエーテル、ポリ
ジメチルシロオキサンのようなポリシロキサン、ビスフ
ェノールA/エピクロルヒドリン付加重合体のようなエ
ポキシ樹脂、フェノール/ホルマリン縮合体のようなフ
ェノール樹脂、アルギン酸、キチン、キトサン、アガロ
ース、ゼラチンのような糖類ならびにその誘導体、およ
びカルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロースのようなセルロース類などが
ある。また、上記エチレン性不飽和モノマーの重合体例
を構成するモノマーと他のモノマーとの共重合体でもよ
い。
用しても2種以上を混合して使用してもよい。結着剤を
溶媒中に添加するときの形態は、粉末状、溶液状、ある
いはディスパージョン、エマルジョンのような分散状の
何れでもよい。結着剤の添加量は、導電剤などを添加し
た活物質合剤の全重量に対して0.1〜20重量%が好
ましく、特に0.5〜10重量%が好ましい。結着剤の
添加量が0.1重量%以下であると芯材となる集電体と
の結着性が悪くなり、20重量%以上であると結着剤が
多すぎて電池容量が低下して好ましくない。
おいて化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば用
いることができ、通常は、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状
黒鉛などの天然黒鉛、あるいは、人工黒鉛、カーボンブ
ラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど
の導電性材料を単独またはこれらの混合物として用いる
ことができる。
しては、パドル型混合機、リボン混合機、遊星運動形混
合機、スクリュー形混合機、高速流動形混合機、水平単
軸形混練機、水平複軸混練機などがある。具体的には、
縦型リボン形混合機、横型リボン形混合機、縦型スクリ
ュー形混合機、横型スクリュー形混合機、ボールミル、
ピンミキサー、双腕形ニーダ、加圧ニーダ、サンドグラ
インダー、万能ミキサなどを用いることができる。
を練合装置として用い、活物質、導電剤、増粘剤、結着
剤などの混合物を練合することにより、リチウム二次電
池の正極板に用いる活物質のペースト状の合剤を製造す
る場合について詳述する。
る図1において、1は練合機、2は練合機1により駆動
されて混合物を撹拌して練合する撹拌翼、3はスクレー
バ、4は混合物を投入する釜、5は釜4内で練合した混
練物を取り出すホース6に設けたバルブである。
4.5×102m2/KgのLiCoO2粉末を100K
g、導電剤として比表面積Sdが7.0×104m2/K
gのアセチレンブラックを3Kg、結着剤としてポリテ
トラフルオロエチレンの50重量部水溶液を15Kg、
増粘剤としてカルボキシメチルセルロースの1重量部水
溶液を50Kg用い、固練り工程での練合は1回行うこ
とにして正極のペースト状合剤を調整する。
100Kgと、アセチレンブラック3Kgと、カルボキ
シメチルセルロース水溶液30Kgとを釜4に投入し、
撹拌翼2の回転数を100rpmとして12分間練合し
たのち希釈分散工程へ移行する。なお、カルボキシメチ
ルセルロース水溶液の比重を1.1とすると、増粘剤の
添加量V1は2.7×10-2m3となる。
練合した混練物に、残りのカルボキシメチルセルロース
水溶液20Kgを添加して希釈分散させ、撹拌翼2の回
転数を100rpmとし、さらに15分間練合する。そ
の後、ポリテトラフルオロエチレン水溶液を15Kg添
加し、撹拌翼2の回転数を100rpmとし、さらに3
分間練合して正極のペースト状合剤を調整する。
合剤を、厚さ20μmのアルミニウム箔の表面上にダイ
コーターにより塗布し、ついで乾燥してリチウム二次電
池用正極板を形成させる。なお、ダイコーターによる塗
布条件は、乾燥温度を120℃、塗布速度を15m/分
として行った。
活物質、導電剤、増粘剤、結着剤を用い、固練り工程で
は、カルボキシメチルセルロースの1重量部水溶液を1
0Kgづつ3回に分割して添加し、その都度練合して3
回の練合を行った。なお、固練り工程でのカルボキシメ
チルセルロースの1重量部水溶液の添加総量は、実施例
1の場合と同じ30Kgである。
粉末100Kgと、アセチレンブラック3Kgと、カル
ボキシメチルセルロースの1重量部水溶液10Kgとを
釜4に投入し、撹拌翼2の回転数を100rpmとして
4分間練合して第2回目の固練り工程へ移行する。な
お、カルボキシメチルセルロース水溶液の比重を1.1
とすると、増粘剤の添加量V1は9.1×10-3m3とな
る。
チルセルロース水溶液10Kgを添加し、撹拌翼2の回
転数を100rpmとして4分間練合して第3回目の固
練り工程へ移行する。なお、カルボキシメチルセルロー
ス水溶液の比重を1.1とすると、増粘剤の総添加量
(V1+V2)は1.8×10-2m3となる。
チルセルロース水溶液10Kgを添加し、撹拌翼2の回
転数を100rpmとして4分間練合して希釈分散工程
へ移行する。なお、カルボキシメチルセルロース水溶液
の比重を1.1とすると、増粘剤の総添加量(V1+V2
+V3)は2.7×10-2m3となる。希釈分散工程以降
の処理は、実施例1の場合と同じにしている。
物質、導電剤、増粘剤、結着剤を用い、固練り工程およ
び希釈分散工程を経ずに増粘剤は一度に所定量を添加し
て調整した。
ンブラック3Kgと、カルボキシメチルセルロースの1
重量部水溶液50Kgとを釜4に投入し、撹拌翼2の回
転数を100rpmとして90分間練合したのち、ポリ
テトラフルオロエチレンの50重量部水溶液を15Kg
添加し、実施例1の場合と同様な処理をした。
よるリチウム二次電池用正極板の表面1000cm2に
存在するLiCoO2およびアセチレンブラック(カー
ボン)の凝集塊の数を目視により計測した結果は表2に
示す通りで、比較例のように増粘剤を一度で添加するの
ではなく、実施例のように分割して添加し、その都度練
合することにより、凝集塊の発生を極度に減少させるこ
とができる。
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
することにより、活物質などが凝集してできる塊の発生
がなくなり、短時間で均一に分散練合されたペースト状
の正極合剤を調整することができ、このペースト状の正
極合剤を集電体の表面に塗布して乾燥し、正極板を形成
した場合、塗工スジおよび凝集塊のない良好な正極塗膜
が得られ、電池性能に優れた正極板を歩留まりよく、生
産性よく提供することができる。
図
Claims (6)
- 【請求項1】 活物質と導電剤とに、増粘剤を少なくと
も2回以上に分割して添加し、練合し、ついで結着剤を
添加して練合する電池用正極合剤の製造方法。 - 【請求項2】 活物質と導電剤と増粘剤との粉体−液体
充填状態をファニキュラー状態にして練合する固練り工
程、および、活物質と導電剤と増粘剤との粉体−液体充
填状態をスラリー状態にして練合する希釈分散工程とに
より活物質と導電剤と増粘剤とを練合し、ついで結着剤
を添加して練合する電池用正極合剤の製造方法。 - 【請求項3】 固練り工程では、増粘剤を複数回に分割
して添加し、練合する請求項2記載の電池用正極合剤の
製造方法。 - 【請求項4】 固練り工程では、7回を限度として増粘
剤を分割して添加し、練合する請求項2または3記載の
電池用正極合剤の製造方法。 - 【請求項5】 固練り工程で添加する増粘剤の総量ΣV
N[m3]を、式1で示される関係を満す範囲にする請求
項2ないし4のいずれかに記載の電池用正極合剤の製造
方法。 【数1】 - 【請求項6】 導電剤を加えた活物質に増粘剤を添加し
てファニキュラー状態にして練合し、さらに、増粘剤を
添加してスラリー状態にして練合し、ついで結着剤を添
加して練合したペースト状の電池用正極合剤を集電体の
表面に塗着した電池用正極板。
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