JP2000345179A - 潤滑剤供給組成物及びそれを充填した転がり軸受 - Google Patents

潤滑剤供給組成物及びそれを充填した転がり軸受

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JP2000345179A JP15394799A JP15394799A JP2000345179A JP 2000345179 A JP2000345179 A JP 2000345179A JP 15394799 A JP15394799 A JP 15394799A JP 15394799 A JP15394799 A JP 15394799A JP 2000345179 A JP2000345179 A JP 2000345179A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたる潤滑を確保できる潤滑剤供給組
成物及びそれを充填した転がり軸受を提供する。 【解決手段】 潤滑剤を含有した状態で固形化した合成
樹脂からなり、含有している潤滑剤を徐々に滲み出すこ
とにより近接する被潤滑部材に潤滑剤を供給する潤滑剤
供給組成物において、固体潤滑剤を含有することを特徴
とする潤滑剤供給組成物、及び前記潤滑剤供給組成物を
充填してなる転がり軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め潤滑を含有さ
せた合成樹脂からなる潤滑剤供給組成物及びそれを充填
した転がり軸受の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受の外輪、内輪、転動
体及び保持器により形成される空間(以下、内部空間と
呼ぶ)には、潤滑性を付与するために潤滑油やグリース
が充填されている。しかし、これら潤滑油やグリースは
液体または半固体状の物質であるため、軸受回転中に飛
散したり流動化するのを防止するために必ずシール板等
により密封されている。このため、小型の特殊軸受では
これら潤滑剤やグリースを使用することが困難であっ
た。
【0003】そこで、潤滑剤を含有するポリマを軸受の
内部空間に充填することが提案されており、例えば米国
特許第3729415号、同3547819号、同35
41011号の各明細書には、潤滑油を含有するポリエ
チレンからなる潤滑剤供給組成物が記載されている。ま
た、特公昭63−23239号公報には、分子量が1×
106 〜5×106 程度の超高分子量ポリエチレンに潤
滑グリースを保持させてなる潤滑剤供給組成物が記載さ
れている。これらの潤滑剤供給組成物は、含有している
潤滑剤(潤滑油やグリース)を徐々に滲み出すことによ
り近接する被潤滑部材(内輪や外輪、転動体、保持器)
に潤滑剤を供給し、長期にわたる潤滑を維持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
潤滑剤供給組成物では、ポリエチレン及び潤滑剤は共に
熱伝導率が低く、特に潤滑剤供給組成物が軸受の内部空
間に隙間無く充填される場合、軸受の回転に伴って発生
する熱が放出されなくなる。近年では軸受を高速で回転
させる傾向にあり、潤滑剤供給組成物はより高温にな
り、樹脂成分が軟化して械的強度が低下し、破損に至る
可能性が高くなってきている。また、潤滑剤供給組成物
は、高温になるほど含有する潤滑剤の放出量が多くなる
ため、早期に枯渇するという問題もある。
【0005】本発明は上記の問題点を解決することを目
的とし、即ち長期にわたる潤滑を確保できる潤滑剤供給
組成物及びそれを充填した転がり軸受を提供することを
目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、潤滑剤を含有した状態で固形化した合
成樹脂からなり、含有している潤滑剤を徐々に滲み出す
ことにより近接する被潤滑部材に潤滑剤を供給する潤滑
剤供給組成物において、固体潤滑剤を含有することを特
徴とする潤滑剤供給組成物を提供する。ま、同様の目的
を達成するために、本発明は、外輪、内輪、転動体及び
保持器からなる転がり軸受において、内輪と外輪との間
に形成される空間に、上記潤滑剤供給組成物を充填した
ことを特徴とする転がり軸受を提供する。
【0007】固体潤滑剤を含有させることにより、潤滑
剤供給組成物全体としての熱伝導率が高まり、軸受の回
転に伴って発生する熱を効果的に軸受外部に放熱する。
特に、固体潤滑剤の中でも、その熱伝導率が20W/m・
K以上のものを使用することがより効果的であることも
同時に見い出した。本発明はこのような知見に基づくも
のである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳細に説明
する。本発明の潤滑剤供給組成物は、潤滑剤及び固体潤
滑剤を含有した状態で固形化した合成樹脂からなる。潤
滑剤、固体潤滑剤及び合成樹脂は特に制限されるのでは
ないが、以下に好ましい例を説明する。
【0009】本発明の潤滑剤供給組成物は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテ
ン等の基本的に同じ化学構造を有するポリオレフィン系
樹脂の群から選定された合成樹脂に、潤滑剤としてポリ
α−オレフィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナ
フテン系炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエー
テル油のようなエーテル油、フタル酸エステルのような
エステル油等の何れか単独若しくは混合油の形で混ぜて
調製したものに、更に固体潤滑剤を配合した原料を、樹
脂の融点以上で加熱して可塑化し、その後冷却すること
で固形状にしたものであり、潤滑剤の中に予め酸化防止
剤、錆止め剤、摩耗防止剤、あわ消し剤、極圧剤等の各
種添加剤を加えたものでもよい。また、固体潤滑剤とし
ては、黒鉛(グラファイト)(熱伝導率100〜150W/m
・K)、窒化硼素(h−BN)(50〜85W/m・K)、
フッ素樹脂(PTFE:0.24W/m・K)、二硫化モリ
ブデン(0.1 〜0.2 W/m・K)、二硫化タングステン
(0.1 〜0.2 W/m・K)等公知のものを使用できる
が、中でも熱伝導率が20W/m・K以上である黒鉛(グ
ラファイト)や窒化硼素が好ましい。これらは、粒子状
のほか、繊維状やウィスカー状で使用することができ
る。
【0010】上記潤滑剤供給組成物の組成比は、全重量
に対してポリオレフィン系樹脂10〜47重量%、潤滑剤85
〜50重量%、固体潤滑剤3〜25重量%である。ポリオレ
フィン系樹脂が10重量%未満の場合は、あるレベル以上
の硬さ・強度が得られず、軸受の回転などによって負荷
がかかった時に初期の形状を維持するのが難しくなり、
軸受の内部空間から脱着する等の不具合を生じる可能性
が高くなる。一方、ポリオレフィン系樹脂が47重量%を
越える場合は、相対的に潤滑剤の含有量が少なくなり、
それだけ軸受への潤滑剤の供給が少なくなり、軸受の寿
命が短くなる。また、固体潤滑剤が3重量%未満の場合
は、潤滑剤供給組成物全体の熱伝導率を高める効果が少
なく、それに対して25重量%を超えると、相対的に潤滑
剤の含有量が少なくなり、それだけ軸受への潤滑剤の供
給が少なくなり、軸受の寿命が短くなる。
【0011】上記合成樹脂の群は、基本構造は同じでそ
の平均分子量が異なっており、700〜5×106 の範囲に
及んでいる。使用に際しては、平均分子量700 〜1×10
4 のワックスに分類されるもの、平均分子量1×104
1×106 の比較的低分子量のもの、平均分子量1×106
〜5×106 の超高分子量のものを、単独で若しくは必要
に応じて混合して用いる。例えば、比較的低分子量のも
のと潤滑剤との組合わせによって、ある程度の機械的強
度、潤滑剤供給能力、保油性を持つ潤滑剤供給組成物が
得られる。また、この比較的低分子量のものの一部をワ
ックスに分類されるものに置き換えると、ワックスに分
類されるものと潤滑剤との分子量の差が小さいために潤
滑剤との親和性が高くなり、結果として潤滑剤供給組成
物の保油性が向上し、長期間にわたっての潤滑剤の供給
が可能になる。但し、その反面機械的強度は低下する。
ワックスとしては、ポリエチレンワックスのようなポリ
オレフィン系樹脂の他、融点が100 〜130 ℃以上の範囲
にある炭化水素系のもの(例えば、パラフィン系合成ワ
ックス)であれば使用できる。それに対して、比較的低
分子量のものの一部を超高分子量のものに置き換える
と、超高分子量のものと潤滑剤との分子量の差が大きい
ために潤滑剤との親和性が低くなり、結果として保油性
が低下し、潤滑剤含有ポリマからの潤滑剤の滲み出しが
速くなる。それによって、潤滑剤供給組成物から供給可
能な潤滑剤の限界量に達する時間が短くなり、軸受の寿
命が短くなる。ただし、機械的強度は向上する。そこ
で、成形性、機械的強度、保油性、潤滑剤供給量のバラ
ンスを考慮すると、潤滑剤供給組成物の組成比をワック
スに分類されるもの0〜5重量%、比較的低分子量のも
の8〜45重量%、超高分子量のもの2〜15重量%で、3
つの樹脂分の合計10〜47重量%とするのが実用上好適で
ある。
【0012】機械的強度の指標として、潤滑剤供給組成
物の硬さ[HDA (スケールAを用いたデュロメータ硬
さ)]が65〜85の範囲にあることが好ましく、70〜80の
範囲にあることがより好ましい。硬さ[HDA ]が65未
満の場合は、強度的に弱く軸受の回転によって破損する
恐れがある。それに対して硬さ[HDA ]が85を越える
場合は、転動体を拘束する力が大き過ぎ、それによって
軸受のトルクが大きくなったり、軸受の回転による発熱
が大きくなって軸受の温度が高くなる恐れがある。潤滑
剤供給組成物の機械的強度を向上させるため、上述のポ
リオレフィン系樹脂に、以下のような熱可塑性樹脂及び
熱硬化性樹脂を添加してもよい。熱可塑性樹脂として
は、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテ
ルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド
イミド、ポリスチレン、ABS樹脂等の各樹脂を使用す
ることができる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエ
ステル樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹
脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の各樹脂を使用す
ることができる。これらの樹脂は、単独または混合して
用いてもよい。
【0013】同じく機械的強度を向上させるためには、
充填材を添加しても良い。例えば、炭酸カルシウムウィ
スカーや炭酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウ
ムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等の無機
ウィスカー類、またガラス繊維や金属繊維等の無機繊維
類及びこれらを布状に編組したもの、あるいはアラミド
繊維やポリエステル繊維等の有機繊維類及びこれらを布
状に編組したものを添加してもよい。
【0014】また、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の
樹脂とをより均一な状態で分散させるために、必要に応
じて適当な相溶化剤を加えてもよい。更に、ポリオレフ
ィン系樹脂の熱による劣化を防止する目的で、N,N′
−ジフェニル−p−フェニルジアミン、2,2′−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等
の老化防止剤、また光による劣化を防止する目的で、2
−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2
−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチ
ル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の紫
外線吸収剤を添加してもよい。
【0015】以上に挙げたポリオレフィン系樹脂、潤滑
剤及び固体潤滑剤以外の添加剤の添加量は、添加剤全体
として成形原料全量の20重量%以下であることが、潤滑
剤の供給能力を維持する上で好ましい。
【0016】本発明で用いることのできる合成樹脂とし
ては、上記で説明したようなポリオレフィン系樹脂をベ
ースとしたものの他、射出成形可能な熱可塑性樹脂であ
れば使用でき、その中で含油量を多くすることができる
ものとして例えば、ポリエステル系エラストマー等があ
る。また、熱可塑性樹脂の他に、ポリウレタン、ポリウ
レアエラストマー等の熱硬化性樹脂も用いることができ
る。ポリウレタンの場合は、潤滑剤としてグリースを用
いて、反応原料となる。イソシアネート基を含有するウ
レタンプレポリマーとアミン系硬化剤とをそれぞれある
いはどちらか一方をグリースに均一に混合した後、2つ
の混合物をさらに混合して軸受に充填し、必要に応じて
加熱して反応させ、グリースを含有させた状態で硬化さ
せる。ポリウレアの場合は、分子鎖にソフトセグメント
を含有する芳香族ポリアミン化合物及び芳香族ジアミン
の混合物からなるアミン成分を、それと相溶性のある潤
滑油或いはその潤滑油を基油とするグリースと均一に混
合した混合物に、更にポリイソシアナート成分を加えて
混合し、これを充填後、必要に応じて加熱して反応さ
せ、潤滑剤を含有させた状態で硬化させる。
【0017】本発明はまた、上記の潤滑剤供給組成物を
充填した各種の転がり軸受を提供する。以下にその例を
示す。例えば、図1は玉軸受を示す断面図であるが、玉
軸受は内輪1と外輪2との間に保持器3を介して複数個
の転動体である玉4を保持して構成されており、本発明
においては、内輪1、外輪2、保持器3及び玉4で形成
される空間に、上記した潤滑剤供給組成物5が充填され
ている。この玉軸受では、潤滑剤供給組成物5から徐々
に滲み出した潤滑剤が内輪1の軌道面、外輪2の軌道
面、保持器3の内周面及び玉4の表面に供給されて長期
にわたる潤滑が維持できるとともに、固体潤滑剤の伝熱
作用により、回転により発生する熱が潤滑剤供給組成物
5に溜まることも抑制できる。
【0018】また、図2に示すような潤滑剤供給組成物
を充填した自動調心ころ軸受10とすることもできる。
この自動調心ころ軸受10は、転動体であるころ14が
調心可能な構造となっており、それに伴い軸受全体とし
て調心可能な構造となっている。具体的に説明すると、
自動調心ころ軸受10は内輪13と外輪12との間に2
列に、かつ径方向に互い違いに配置された樽型のころ1
4を一体型に構成された保持器15により保持し、更に
保持器15と内輪13との間にころ14を案内する案内
輪16が該保持器15と同心状に配置されて構成されて
いる。そして、図3に示すように、内輪13と外輪12
との間に存在する空所、内輪13ところ14の外端面と
の間の間隙及びころ14の内端面と案内輪16との間の
間隙には、潤滑剤供給組成物17がそれぞれ充填されて
いる。この自動調心ころ軸受10では、潤滑剤供給組成
物17から徐々に滲み出した潤滑剤が内輪13の軌道
面、外輪12の軌道面、保持器14の表面、ころ14の
表面及び案内輪16の表面に供給されて長期にわたる潤
滑が維持できるとともに、固体潤滑剤の伝熱作用によ
り、回転により発生する熱が潤滑剤供給組成物17に溜
まることも抑制できる。
【0019】尚、潤滑剤供給組成物17の充填方法は特
に制限されないが、下記に示す射出成形法を用いるのが
好ましい。射出成形に際して図4及び図5に示すよう
に、左右に2分割された2つの分割体30,31で構成
される金型が使用される。両分割体30,31には、外
輪12を嵌め入れる凹部32と、内輪13を嵌め入れる
凹部33と、内輪13と外輪12との間に外側から嵌ま
るつば部34とが形成されている。つば部34は、ころ
14の外端面に沿った面と、内輪13の脱落防止つば1
9の周面に沿った面と、外輪12の内周面の軌道より外
側となる面に沿った面とを有する。従って、軸受の側面
から各分割体30,31のつば部34を、内輪13と外
輪12との間に先端面がころ14の外端面に接触するま
で嵌め入れることにより、つば部34の各面が軸受の対
応する前記各面に当接し、凹部32に外輪12の外周面
と側面が嵌め入れられ、凹部33に内輪13の内周面と
側面が嵌め入れられるようになっている。また、一方の
分割体30のつば部34にはゲート35が設けてある。
このゲート35はピンポイントゲートであり、保持器1
5の環状部の外周ラインに沿って、ころ列内のころ14
の設置間隔に対応させた間隔で、ころ列のころ14の数
と同じ数だけ設けてある。そして、この分割体30を軸
受に取り付ける際には、ゲート35がこの分割体30を
取り付ける側のころ列(ここでは、図中左側のころ列)
で隣合うころ14の間となる位置に配置されるようにす
る。
【0020】各ゲート35の基端は円板状のランナ36
に接続してあり、金型のパーティングライン(P.
L.)より外側の部分には、軸受の軸中心となる位置に
スプル(図示せず)が設けてある。従って、射出成形機
から金型のスプルに導入された溶融潤滑剤供給組成物1
7はランナ36内に入って円板状に広げられた後、全て
のゲート35から軸受内に導入される。そして、溶融潤
滑剤供給組成物17は軸受内を、図中矢印で示すように
移動する。即ち、溶融潤滑剤供給組成物17は、先ず図
4に示されるように、ゲート35の先端から図中左側の
列のころ14同士の間に入り、その一部は保持器15の
左側の保持部15aと外輪12との間を移動して、保持
器15の環状部と外輪12との間の空間Aに達する。ま
た、一部は保持器15の保持部15aの外端面と金型の
つば部34との間を移動し、その一部は内輪13の脱落
防止つば19の内側面ところ14の外端面との間の空間
Bに入り、それ以外は保持部15aと内輪13の軌道1
3aとの間を移動して案内輪16ところ14の内端面と
の間の空間Cに入る。空間Aに達した溶融潤滑剤供給組
成物17は、次に、図5に示されるように、図中右側の
列のころ14同士の間に入り、保持器15の右側の保持
部15bと外輪12との間を移動する。その一部は、保
持部15bの外端面と金型のつば部34との間を移動し
て内輪13の脱落防止用つば19との間の空間Dに入
る。それ以外は、保持部15bと内輪13の軌道13a
との間を移動して案内輪16ところ14の内端面との間
の空間Eに入る。また、空間Aに達した溶融潤滑剤供給
組成物17は、ころ14の内端面と保持器15の環状部
との間の空間Fにも入る。上記した射出成形において
は、例えば本出願人による特開平8−309793号公
報に記載の射出成形機を好適に使用することができる。
【0021】そして、このようにして射出成形を行った
後に金型を外すことにより、図3に示されるように、軸
受の内部空間、即ち前記各空間A〜F及び各列の隣り合
うころ14同士の間に、潤滑剤供給組成物17が充填さ
れ固化された自動調心ころ軸受10が得られる。尚、成
形に先立ち、軸受を脱脂洗浄すること、並びに本出願人
による特開平7−139551号公報に記載されている
フッ素系離型剤を塗布しておくことが好ましい。
【0022】また、図6に示すような潤滑剤供給組成物
を充填したアンギュラ玉軸受40とすることもできる。
即ち、アンギュラ玉軸受40は、内輪41と外輪42と
の間に、所定の接触角をもって玉43を冠型の保持器4
4により保持して構成され、玉43の外側に潤滑剤供給
組成物45が充填される。また、潤滑剤供給組成物45
は、内輪41との間に間隙C1(例えば0.5mm )が形成
されるように充填される。このアンギュラ玉軸受40で
は、潤滑剤供給組成物45から徐々に滲み出した潤滑剤
が内輪41の軌道面、外輪42の軌道面、保持器44の
表面及び玉43の表面に供給されて長期にわたる潤滑が
維持できるとともに、固体潤滑剤の伝熱作用により、回
転により発生する熱が潤滑剤供給組成物45に溜まるこ
とも抑制できる。
【0023】上記のアンギュラ玉軸受40は、図7に示
されるように、治具A,Bを用いて作製される。治具
A,Bの当て板50の内輪41または外輪42の側面に
押し当てる側の面には、垂直に突起させた間隙成形用リ
ング突起51を1個ずつ備えている。これらのリング突
起51の突起長さLは、内輪41の外周面41aにおけ
る端面(側面)から軌道溝41b側端までの長さと略同
じである。また、間隙C1は、このリング突起51の厚
さにより調整される。なお、当て板50は、間隙形成用
リング突起51を突設した板に、平板を固定ねじ52で
一体に連結して形成している。成形は、治具Bを下にし
て、未焼成の潤滑剤供給組成物45を充填し、加熱成形
で行う。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。但し、本発明は以下に限定されるものではない。
【0025】(潤滑剤供給組成物の調製)高密度ポリエ
チレン(比較的低分子量に分類)10重量%と、超高分子
量ポリエチレン(超高分子量に分類)12.5重量%と、ポ
リエチレンワックス(ワックスに分類)2.5 重量%とか
らなる樹脂に、黒鉛粉末8重量%と鉱油67重量%とを混
合して潤滑剤供給組成物Aを調製した。また、潤滑剤供
給組成物Aの黒鉛粉末を窒化硼素(h−BN)に代えた
以外は同様にして潤滑剤供給組成物Bを調製した。更
に、高密度ポリエチレン(比較的低分子量に分類)10重
量%と、超高分子量ポリエチレン(超高分子量に分類)
12.5重量%と、ポリエチレンワックス(ワックスに分
類)2.5 重量%とからなる樹脂と、鉱油75重量%を混合
して潤滑剤供給組成物Cを調製した。
【0026】(熱伝導率測定)上記の潤滑剤供給組成物
A、B及びCを溶融し、所定の型に充填した後冷却して
試験片を成形した。そして、各試験片についてレーザー
フラッシュ法により室温で熱伝導率を測定した。測定の
結果、潤滑剤供給組成物Aの試験片は0.35W/m・
Kであり、潤滑剤供給組成物Bの試験片は0.33W/
m・Kであり、潤滑剤供給組成物Cの試験片は0.21
W/m・Kであった。このことから、熱伝導率が20W
/m・K以上の固体潤滑剤を含有させることにより、潤
滑剤供給組成物の熱伝導率が大幅に高まることが確認さ
れた。
【0027】(軸受回転試験)また、自動調心ころ軸受
22331 を脱脂洗浄した後、特開平7−139551号公
報に記載されているフッ素系離型剤を塗布し、図4,5
に示すようにこの軸受を金型中で保持した状態で、上記
の各潤滑剤供給組成物A、B及びCを射出成形(インサ
ート成形)して試験軸受を作製した。尚、潤滑剤供給組
成物の射出は片側から行い、ゲートは各ころの間に設け
た(ピンポイントゲート)。また、射出成形機は、特開
平8−309793号公報に記載されているもの(ホッ
パー部を改良)を用いた。そして、上記各試験軸受につ
いて、Fr=500 kgf の負荷を与え、回転数を300rpmか
ら100rpmずつ上げていき、潤滑剤供給組成物が溶融等に
より破損するまでの回転数を調べた。その際、回転数の
上昇毎に3〜4時間回転停止し、また各回転数で20〜24
時間保持した。その結果、潤滑剤供給組成物Aを充填し
た試験軸受は1200 rpmまで、潤滑剤供給組成物Bを充填
した試験軸受は1100 rpmまで破損しなかったのに対し
て、潤滑剤供給組成物Cを充填した試験軸受は900rpmで
破損した。また、回転数の上昇毎に軸受外輪温度を測定
した。結果を図8に示すが、図示されるように、固体潤
滑剤の熱伝導率が高いものほど温度上昇の勾配が小さく
なっており、それに伴って破損に至るまでの回転数も高
くなっている。これらの結果から、固体潤滑剤を含有す
ることにより、潤滑剤供給組成物の熱伝導性が改善され
て使用可能な回転数が向上することが確認された。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の潤滑剤供
給組成物は放熱効果が高く、それを充填した転がり軸受
は、軸受の回転に伴う発熱による破損が抑えられ、長期
にわたり良好な回転が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る潤滑剤供給組成物を充填した転が
り軸受の一実施形態(玉軸受)を示す要部断面図であ
る。
【図2】本発明に係る潤滑剤供給組成物を充填した転が
り軸受の他の実施形態(自動調心ころ軸受)において、
潤滑剤供給組成物を充填する前の状態を示す要部断面図
である。
【図3】図2に示した自動調心ころ軸受において、潤滑
剤供給組成物を充填した後の状態を示す要部断面図であ
る。
【図4】射出成形法による潤滑剤供給組成物の充填過程
を説明するための図である。
【図5】射出成形法による潤滑剤供給組成物の充填過程
を説明するための図である。
【図6】本発明に係る潤滑剤供給組成物を充填した転が
り軸受の他の実施形態(アンギュラ玉軸受)を示す要部
断面図である。
【図7】図6に示したアンギュラ玉軸受の作製過程を説
明するための図である。
【図8】実施例の軸受回転試験において、軸受回転数毎
に外輪温度を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】 1 内輪 2 外輪 3 保持器 4 玉 5 潤滑剤供給組成物 10 自動調心ころ軸受 12 外輪 13 内輪 14 ころ 15 保持器 17 潤滑剤供給組成物 30,31 金型分割体 40 アンギュラ玉軸受 41 内輪 42 外輪 43 玉 44 保持器 45 潤滑剤供給組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 107/38 C10M 107/38 169/04 169/04 171/06 171/06 F16C 19/06 F16C 19/06 19/28 19/28 33/66 33/66 A // C10N 10:12 20:00 20:06 30:00 30:08 40:02 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA13 AA32 AA42 AA43 AA52 AA62 BA80 CA01 CA12 EA53 FA32 4H104 AA04A AA19A AA26A CA01A CA01C CD02A DA02A EA04A EA07A EB02 FA06 LA04 LA20 PA01 QA11 QA21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑剤を含有した状態で固形化した合成
    樹脂からなり、含有している潤滑剤を徐々に滲み出すこ
    とにより近接する被潤滑部材に潤滑剤を供給する潤滑剤
    供給組成物において、固体潤滑剤を含有することを特徴
    とする潤滑剤供給組成物。
  2. 【請求項2】 前記固体潤滑剤の熱伝導率が20W/m・
    K以上であることを特徴とする請求項1記載の潤滑剤供
    給組成物。
  3. 【請求項3】 外輪、内輪、転動体及び保持器からなる
    転がり軸受において、内輪と外輪との間に形成される空
    間に、請求項1または2に記載の潤滑剤供給組成物を充
    填したことを特徴とする転がり軸受。
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