JP2000345160A - 液晶性組成物およびこの組成物を用いた液晶フィルム - Google Patents

液晶性組成物およびこの組成物を用いた液晶フィルム

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JP2000345160A
JP2000345160A JP11158298A JP15829899A JP2000345160A JP 2000345160 A JP2000345160 A JP 2000345160A JP 11158298 A JP11158298 A JP 11158298A JP 15829899 A JP15829899 A JP 15829899A JP 2000345160 A JP2000345160 A JP 2000345160A
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徹 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コレステリック液晶フィルムの提供。 【解決手段】 下記の一般式(1)で表される化合物
(I)と、下記の一般式(2)で表される化合物(II)
と、光学活性な部位を有する低分子化合物とで構成され
る液晶性組成物を使用して塗膜層を形成して構成分子を
コレステリック配向させ、その配向を固定化して塗膜層
を光硬化させる。 【化1】 (一般式(1)及び(2)において、R1,R2及びR3
は水素又はメチル基を、Xはハロゲン、低級アルキル基
等を、a,b,cは2〜12の整数を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶性組成物とこ
の組成物を用いた液晶フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】光硬化型液晶性化合物は、ポリマーネッ
トワーク液晶を用いた光拡散型ディスプレイ、ポリマー
安定化強誘電性液晶ディスプレイなどの能動素子、光重
合誘発型液晶相分離フィルム、あるいは光硬化により耐
久性を高めた各種光学補償フィルムなどへの応用が近年
報告されている(J.L.Fergason et.al., SID Dig.Tech.
Paper, 16, 68(1985), P.S.Drzaic, J.Appl.Phys., 60,
2142(1986), T.Fujisawa et.al., 1989 Japan Displa
y, 690(1989)など)。現在では、光硬化型液晶性化合物
に対する需要が高まり、その光学的な性質や物性が注目
されている光硬化型液晶性化合物は、室温付近の低温域
においては適度な流動性を保持し、分子配向後に光照射
等によりこれを固定化した後は、比較的強靱な膜を形成
する点で、光学補償フイルム等の分野に利用できる可能
性が極めて高い。しかしながら、従来の光硬化型液晶性
化合物は、簡便な方法で、しかも安価に合成することが
難しく、このことが光硬化型液晶性化合物を用いた光学
補償フィルムの量産化や市場拡大の障害になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低コ
ストで合成が容易な2種類の非光学活性な化合物と、分
子配列にコレステリック相を形成させる光学活性な部位
を有する低分子化合物とで構成される液晶性混合物と、
この混合物を含有する組成物から得られる高品質のコレ
ステリック配向液晶フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
液晶性組成物は、下記の一般式(1)で表される化合物
(I)と、下記の一般式(2)で表される化合物(II)
と、光学活性な部位を有する低分子化合物とで構成さ
れ、化合物(I):化合物(II)の重量比が99:1〜5
0:50の範囲にあり、前記の低分子化合物の含有量が
化合物(I)と化合物(II)の合計量100重量部当り、
0.1〜60重量部の範囲にある。
【化5】 (一般式(1)及び(2)において、R1,R2及びR3
はそれぞれ独立に水素又はメチル基を示し、Xは水素、
塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メト
キシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる
一つを示し、a,b,cはそれぞれ2〜12の整数を示
す。) 前記の液晶性混合物の一成分である光学活性な部位を有
する低分子化合物としては、下記の一般式(3)又は一
般式(4)で表される化合物(III)を使用すること
ができる。
【化6】 (一般式(3)及び一般式(4)において、R4は水素
又はメチル基を示し、d,eはそれぞれ2〜12の整数
を示し、Yは下記の(i)〜(xxiv)から選ばれる
2価の基の一つを示す。)
【化7】 但し、上記(i)及び(ii)におけるZは水素、塩
素、臭素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シ
アノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる一つを示
す。
【化8】 本発明に係る液晶フィルムは、上記した液晶性組成物に
て膜を形成させ、組成物中の分子をコレステリック配向
させてこれを固定化し、次いで膜を光照射で硬化させる
ことで得ることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明の液晶性組成物は、一般式(1)で
表わされる化合物(I)と、一般式(2)で表わされる
化合物(II)と、光学活性な部位を有する低分子化合
物とで構成される。化合物(I)としては、一般式
(1)に包含される化合物の2種を混合して使用するこ
とができ、同様に、化合物(II)としては、一般式
(2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用す
ることができる。そして、光学活性な部位を有する低分
子化合物も、2種以上混合して使用することができる。
化合物(I)を表わす一般式(1)において、R1及び
2はそれぞれ水素又はメチル基を示すが、液晶相を示
す温度範囲の広さからR1及びR2は共に水素であること
が好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1
〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基の
いずれであっても差し支えないが、塩素又はメチル基で
あることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端
の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサ
ーであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞ
れ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4
〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であ
ることがさらに好ましい。a=b=0である一般式
(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けや
すい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びb
がそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、ア
イソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由か
ら、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が
狭く好ましくない。化合物(I)は任意の方法で合成す
ることができる。例えば、Xがメチル基である化合物
(I)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−
(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸
とのエステル化反応により得ることができる。エステル
化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水
物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応
させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単
位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもでき
る。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキ
ノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキ
シ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得
られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化し
た後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、
化合物(I)を合成することができる。メチルヒドロキ
ノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸
とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキ
ノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶
融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能で
ある。一般式(1)のXがメチル基でない場合の化合物
(I)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メ
チルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行
うことにより得ることができる。
【0006】化合物(II)を表わす一般式(2)にお
いて、R3は水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す
温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。
アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が
2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。し
かしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考
慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、
6〜9の範囲であることがさらに好ましい。化合物(I
I)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の
4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)ア
クリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反
応により化合物(II)を合成することができる。この
エステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様
に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物など
で活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させ
るのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシル
カルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4
−シアノフェノールを反応させてもよい。
【0007】本発明に用いられる光学活性な部位を有す
る低分子化合物とは、光学活性な部位を有する分子量1
500以下の化合物を意味する。この低分子化合物は主
として化合物(I)及び化合物(II)が発現する正の
一軸ネマチック液晶性にねじれを誘起させる目的で用い
られる。この目的が達成される限り、化合物(I)と化
合物(II)の混合物と、溶液状態あるいは溶融状態に
おいて相溶し、前記混合物のネマチック液晶性を損なう
ことなく、これに所望のねじれを誘起できるものであれ
ば、上記の低分子化合物の種類は特に限定されない。液
晶にねじれを誘起させるために使用する低分子化合物
は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有して
いることが必須である。従って、本発明で使用可能な光
学活性低分子化合物としては、例えば1つあるいは2つ
以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラ
ルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点が
ある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不
斉を持つ化合物が例示できる。さらに具体的には、市販
のカイラルネマチック液晶、例えば、Merck社製S−8
11等が挙げられる。本発明の液晶性組成物を使用して
ねじれ角の大きなフィルム、特に、選択反射帯域が可視
光波長近辺であるような短ピッチのコレステリックフィ
ルムを得る場合には、強いねじれを誘起させる必要性か
ら、液晶性組成物に含有させる光学活性な部位を有する
低分子化合物の量を、ねじれの少ない系に比べて増加さ
せなければならない。特に、光学活性な部位を有する低
分子化合物について以下に定義される単位絶対膜厚、単
位添加量当りのねじれ角(以下ねじれ力と称する)が小
さい化合物を、本発明の液晶性組成物に含有させる光学
活性な部位を有する低分子化合物として選択した場合に
は、ことさらに液晶性組成物に占める光学活性な部位を
有する低分子化合物の割合を増大させる必要がある。 ねじれ角(単位:度)=(フィルムの一方の面から他方
の面に至るまで、液晶ダイレクターが回転するトータル
角度) ねじれ力(単位:度/μm・%)=(ねじれ角)/(フ
ィルムの絶対膜厚)/(液晶性組成物にしめる、光学活
性な部位を有する化合物の重量百分率) しかし、選択した光学活性な部位を有する低分子化合物
の性質によっては、化合物(I)及び化合物(II)が
形成するネマチック液晶の破壊、配向性の低下、あるい
は該化合物が非重合性の場合には、液晶性組成物の硬化
性の低下、硬化フィルムの信頼性の低下を招く虞があ
る。さらに、光学活性な部位を有する化合物の多量使用
は、組成物のコストアップを招来する。従って、短ピッ
チのコレステリックフィルムを製造する場合には、本発
明の液晶性組成物に含有させる光学活性な部位を有する
低分子化合物には、ねじれ力の大きな化合物を選択する
ことが好ましく、具体的には一般式(3)又は(4)で
表されるような分子内に軸不斉を有する低分子化合物
(III)の使用が好ましい。
【0008】低分子化合物(III)を表わす一般式
(3)又は(4)において、R4は水素又はメチル基を
示す。Yは先に示した式(i)〜(xxiv)の任意の
一つであるが、なかでも、式(i),(ii),(ii
i),(v)及び(vii)の何れか一つであることが
好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すd及びe
は、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり
得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9
の範囲であることがさらに好ましい。d又はeの値が0
又は1である一般式(3)又は(4)の化合物は、安定
性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一
方、d又はeの値が13以上である化合物は融点(T
m)が低い。これらの化合物は液晶性を示す化合物
(I)及び化合物(II)との相溶性が低下し、濃度に
よっては相分離等が起きる虞がある。低分子化合物(I
II)は任意の方法で合成することができる。例えば、
1当量の(R)-(+)-または(S)-(-)-1,1'-ビ-2-ナフトール
と、2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアル
コキシ)基を有するカルボン酸あるいは4−アルコキシ
基を有するカルボン酸とのエステル化反応により、低分
子化合物(III)を合成することができる。ちなみ
に、一般式(3)又は(4)におけるYが前記の式
(i)又は(ii)であって、その式中のZが水素であ
る低分子化合物(III)、換言すれば、一般式(3)
又は(4)におけるYがフェニレン基である低分子化合
物(III)は、1当量の(R)-(+)-又は(S)-(-)-1,1'-
ビ-2-ナフトールと、2当量の4−(m−(メタ)アク
リロイロキシアルコキシ)安息香酸あるいは4−アルコ
キシ安息香酸とのエステル化反応により製造することが
できる。このエステル化には、化合物(I)や化合物
(II)を合成する場合と同様に、原料となるカルボン
酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などへ導入して活性
化し、これと4−シアノフェノールとを反応させる手法
も採用できるが、低分子化合物(III)のラセミ化を
防ぐ都合上、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド)等の縮合剤を用いて原料カルボン酸と4−シアノフ
ェノールを直接反応させる方法の採用が特に好ましい。
【0009】本発明の液晶性組成物において、化合物
(I)と化合物(II)の相対量は、使用する各化合物
の分子長や最終的に製造せんとする液晶フィルムの特性
を考慮して最適値が決めらるが、一般的には、化合物
(I):化合物(II)の重量比は、99:1〜50:
50、好ましくは95:5〜60:40、さらに好まし
くは90:10〜65:35、最も好ましくは85:1
5〜70:30の範囲で選ばれる。液晶組成物中に含ま
れる化合物(I)の量が、化合物(I)と化合物(I
I)の合計量の99重量%を上回る場合は、化合物
(I)の結晶性が比較的高いことに起因して、液晶性組
成物から得られるフィルムに満足な液晶性を付与するこ
とができない。また、上記の量が50重量%を下回る場
合は、液晶性組成物としてのアイソトロピック転移温度
(TI)が低下するため、液晶温度範囲が極端に狭くな
り好ましくない。本発明の液晶性組成物に配合される光
学活性な部位を有する低分子化合物又は低分子化合物
(III)の量、当該化合物固有のねじれ誘起能力や最
終的に得られる液晶フィルムにコレステリック性を考慮
して最適値が決められるが、一般的には、本発明の液晶
性組成物を構成する化合物(I)と化合物(II)の合
計量100重量部当り、0.01〜60重量部、好まし
くは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜3
0重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で、光
学活性な部位を有する低分子化合物又は低分子化合物
(III)の配合量は選ばれる。この配合量が0.01
重量部も少ない場合は、液晶性組成物に充分なコレステ
リック性を付与できない虞なりがあり、60重量部を越
える場合は、分子の配向が阻害され、光硬化に悪影響を
及ぼす危惧がある。
【0010】本発明の液晶性組成物には、本発明の目的
を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加するこ
とができる。添加できる化合物としては、例えば、多価
アルコールと1塩基酸又は多塩基酸を縮合して得られる
ポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反
応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;
ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を
互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリ
ル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリ
レート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポ
リカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリ
グリシジルエーテル、脂肪族又は脂環式エポキシ樹脂、
アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ
樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキ
シ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエ
ポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アク
リル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物
等が挙げられる。本発明の液晶性組成物に対するこれら
化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で
選択され、一般的には、本発明の液晶性組成物の40重
量%以下、20重量%以下である。これらの化合物の添
加により、本発明の液晶性組成物は硬化性が向上し、硬
化膜の機械強度が増大し、液晶の安定性が改善される。
【0011】本発明の液晶性組成物は、光反応開始剤の
無存在下でも電子ビームの照射によって硬化させること
ができるが、必要に応じて、1種又は2種以上の光反応
開始剤を、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜
10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲で
本発明の液晶性組成物に添加することができる。使用可
能な光反応開始剤を例示すると、ベンジル(ビベンゾイ
ルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイ
ル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイ
ル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメ
チルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2
−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエー
ト、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´
−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベン
ゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチル
チオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オ
ン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モ
ルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−
ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
パン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニ
ル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオ
キサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、
2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキ
サントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン
等を挙げることができる。なお、光反応開始剤の他に増
感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加するこ
とも可能である。
【0012】本発明の液晶性組成物を使用して、液晶フ
ィルムを得るに際しては任意の方法が採用可能であっ
て、例えば、溶融状態の液晶性組成物を支持フィルム上
でキャスト成形する方法あるいはラミネート成形する方
法などが採用できる。本発明の液晶性組成物から液晶フ
ィルムを製造するのに好適な方法の一つは、当該液晶性
組成物を溶剤に溶解し、この溶液を支持フィルム又は基
板上に塗布した後、塗膜層を乾燥して溶剤を揮散させ、
次いで乾燥膜を必要に応じて熱処理する方法である。以
下にこの液晶フィルム製造法を詳述する。溶液調製用溶剤 本発明の液晶性組成物を溶解又は分散させる溶剤には、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベ
ンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素
類、メトキシベンゼン、1,2-ジメトキシベンゼン、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、2、4−ペンタンジオン等のケ
トン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル
類、2-ピロリドン,N-メチル-2-ピロリドン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶
剤、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジク
ロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチ
レン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソ
ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、t-ブチルアルコ
ール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチ
ン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘ
キシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等のアル
コール類、フェノール、パラクロロフェノール等のフェ
ノール類等の1種又は2種以上が使用可能である。単一
種の溶剤を使用しただけでは、液晶性組成物の溶解性が
不充分であったり、あるいは後述する支持フィルムが侵
食される虞がある場合でも、2種以上の溶剤を混合使用
することにより、この不都合を回避することができる。
上記した溶剤のなかにあって、単独溶剤として好ましい
ものは、炭化水素系溶剤とグリコールモノエーテルアセ
テート系溶剤であり、混合溶剤媒として好ましいのは、
エーテル類又はケトン類と、グリコール類との混合系で
ある。溶液の濃度は、液晶性組成物の溶解性や製造せん
とする液晶フィルムの膜厚に依存するため一概には規定
できないが、通常は1〜60重量%、好ましくは3〜4
0重量%の範囲で調整される。液晶性組成物の溶液に
は、塗布を容易にするために界面活性剤等を加えること
ができる。添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダ
ゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサ
イド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤、ポ
リオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一
級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキル
フェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及
びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫
酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換
芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるい
は芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界
面活性剤、ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリル
アミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤、ポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンア
ルキルアミン等の非イオン系界面活性剤、パーフルオロ
アルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン
酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、
パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パー
フルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフ
ルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロア
ルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙
げられる。 界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種
類、硬化型液晶性組成物の種類、溶剤の種類、さらには
溶液を塗布する支持フィルムの種類にもよるが、通常は
溶液に含まれる液晶性組成物の10重量ppm〜10重
量%、好ましくは100重量ppm〜5重量%、さらに
好ましくは0.1〜1重量%の範囲にある。
【0013】支持フィルム、支持基板及びそれらへの配
向能付与 液晶性組成物の溶液は、支持フィルム上又は基板上に塗
布される。支持フィルムとしては、例えば、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケト
ン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリ
レート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプ
ロピレン、セルロース、トリアセチルセルロースおよび
その部分鹸化物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの
プラスチックフィルムが使用できる。これらのプラスチ
ックフィルムは、2種以上のフィルムを積層させたラミ
ネートフィルムであって差し支えなく、また、一軸延伸
又は二軸延伸されたフィルムであって差し支えない。さ
らに、支持フィルムには親水化処理や疎水化処理などの
表面処理を予め施しておくことができる。溶液に含まれ
る液晶性組成物の組成によっては、支持フィルムに配向
能を別途付与させる必要がないが、溶液の塗布に先立っ
て支持フィルムに配向能を付与しておくことが好まし
い。配向能の付与は、支持フィルムに配向膜を積層させ
るか、支持フィルムもしくはこれに積層された配向膜を
ラビングする方法で行われる。また、支持フィルム上に
酸化ケイ素を斜め蒸着させて配向能を付与することもで
きる。配向膜には、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニ
ルアルコール等が通常使用され、ラビング処理は、レー
ヨン、綿、ポリアミド等の素材から選ばれるラビング布
を金属ロールに捲き付け、これをフィルムに接した状態
で回転させるか、ロールを固定したままフィルムを搬送
することより、フィルム面をラビング布で摩擦する方法
が通常採用される。上記した支持フィルムに代えて、表
面にスリット状の溝を設けたアルミニウム、鉄、銅など
の金属基板や、表面をスリット状にエッチング加工した
アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなど
のガラス基板を用いることもできる。
【0014】溶液の塗布と乾燥 支持フィルム又は支持基板への溶液の塗布には、スピン
コート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ
法、カーテンコート法(ダイコート法)などが任意に採用
可能である。塗膜層は次いで乾燥され、塗膜層中の溶剤
が揮散される。塗膜層の乾燥には、室温での風乾、ホッ
トプレートでの乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹
き付けなどが利用され、乾燥の程度は、塗膜層が流動し
たり、流れ落ちたりしない程度でよい。塗膜層に含まれ
る液晶性組成物の組成の如何によっては、塗膜層を乾燥
する過程でサーモトロピック液晶又はライオトロピック
液晶が形成される場合が多い。換言すれば、乾燥工程が
終了した時点で、分子配列のネマチック配向が完了して
いる場合が多い。しかしながら、液晶の配向をより完全
ならしめるには、乾燥工程後に乾燥塗膜層に熱処理を施
すことが好ましい。塗膜層を形成している液晶性組成物
を液晶転移点以上に加熱して液晶状態とし、この状態を
所定の時間維持する方法、液晶転移点よりさらに高温に
加熱して組成物を等方性液体状態にした後、降温して液
晶状態とし、この状態を所定の時間維持する方法等が乾
燥塗膜層の熱処理に利用できる。乾燥塗膜層の熱処理
は、通常、40℃〜220℃の温度範囲で行われ、50
℃〜180℃の範囲が好ましく、さらに60℃〜160
℃の範囲が好適である。処理時間は塗膜層に含まれる液
晶性組成物の組成の如何によるが、通常は5秒〜2時
間、好ましくは10秒〜40分、特に好ましくは20秒
〜20分の範囲が選ばれる。熱処理時間が5秒未満で
は、分子を充分に配向させ得ない虞があり、2時間を越
える熱処理は分子配向に不必要である。
【0015】光照射による塗膜層の硬化 塗膜層の硬化に利用する光は、任意に選ぶことができ、
例えば、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を
情況に応じて使用することができる。通常は紫外光又は
可視光線が使用され、波長が150〜500nm、好ま
しくは250〜450、さらに好ましくは300〜40
0nmの照射光が用いられる。この照射光の光源として
は、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルラン
プ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ラン
プ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ラン
プ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノン
ランプ)などが例示できる。なかでもメタルハライドラ
ンプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推
奨される。尚、光照射に際しては、光源と被照射体との
間にフィルターを設置し、特定の波長領域の光に被照射
体を曝すことができる。照射光量は、塗膜層を形成して
いる液晶性組成物の組成や開始剤の有無ないしは多寡に
よって調節されるが、一般的には、2〜5000mJ/
cm2、より好ましくは10〜3000mJ/cm2、さ
らに好ましくは100〜2000mJ/cm2の範囲で
ある。光照射を行う際の雰囲気温度は、塗膜層の物理的
及び化学的性状に応じて適宜選択されるが、通常は0〜
200℃、好ましくは20〜180℃、さらに好ましく
は25〜160℃の範囲にある。但し、例えば、室温付
近の低温領域にスメクチック相や結晶相などの高次相を
持ち、それより高温領域にカイラルネマチック相を持つ
ような液晶性組成物を、カイラルネマチック相の状態で
光硬化により固定化する場合には、高次相−カイラルネ
マチック相の相転移点以上の温度で光照射を行わなけれ
ばならないことがある。また、光硬化に先立つ熱処理の
工程で、過冷却によりネマチック相が既に固定化されて
いる場合には、液晶相の硬化速度が遅いので、塗膜層を
再加熱して流動性を持たせた後に光照射を行うのがとよ
い。光照射は複数回繰り返して行ってもよい。例えば、
加熱下で一度光照射を行って塗膜層をある程度を硬化さ
せ、冷却後再度光照射を行うことにより、光反応の反応
率を一層向上させることができる。さらに、光照射の後
に改めて熱処理を行い、未反応部位をさらに反応させ
る、いわゆるエージングを行ってもよい。光照射を行う
雰囲気は、特に限定されることがない。しかし、塗膜層
が雰囲気中の酸素又はオゾンにより硬化阻害を受けやす
い場合、塗膜層及び/又はその支持フィルムが雰囲気中
の酸素又はオゾンの影響で着色する虞がある場合には、
照射雰囲気を窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とすること
が好ましい。塗膜層内での液晶性分子の配向が阻害され
ない限り、不活性ガス雰囲気を採用する代わりに、酸素
又はオゾン遮断能を有するフィルムで塗膜層表面を覆
い、光照射を行うことも可能である。この場合に遮断フ
ィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート
フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフ
ェニレンサルファイドフィルム、ポリアリレートフィル
ム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコール
フィルム、ポリ酢酸ビニルフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィル
ム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアミドフィル
ム、ポリイミドフィルム、ポリエチレン−酢酸ビニル共
押し出しフィルム等が使用できる。
【0016】本発明の液晶フィルムは、化合物(I)及
び化合物(II)の分子がコレステリックに配向してい
ると共に、正の複屈折性を備えている。ラビング処理な
どで配向能を付与した支持フィルム又は支持基板を用
い、本発明の液晶性組成物から液晶フィルムを調製した
場合には、支持フィルム又は支持基板と液晶フィルムと
の界面において、ネマチック配向した液晶分子ダイレク
ターの液晶フィルム面内への投影軸(以下配向軸と呼
ぶ)は、支持フィルム又は支持基板のラビング方向(以
下ラビング軸と呼ぶ)と基本的に一致し、ダイレクター
は膜厚方向に進むに従って回転し、その回転角度は当該
液晶フィルムに固有の値をとる。本発明に係るコレステ
リック液晶フィルムの波長帯域幅、膜厚、ねじれ巻き数
等の各種光学パラメーターは、液晶フィルムの用途によ
って調整することできるが、選択反射の波長帯域幅は通
常15〜120nmの範囲とし、液晶層の実膜厚は通常
0.6μm以上とすることが望ましい。ここで選択反射
の波長帯域幅とは、コレステリック配向を形成する液晶
分子のねじれ方向と同一方向の円偏光を液晶フィルムに
入射した際に、選択反射による反射率が70%以上とな
る波長範囲のことを意味する。波長帯域幅が前記範囲か
らはずれた場合、液晶層自体は色鮮やかであるが反射光
が暗いとか、あるいはその逆のケースとなることがあ
り、用途によっては視認性に劣化する虞がある。また液
晶層の実膜厚が0.6μm未満の場合、コレステリック
配向による選択反射効果が低減する虞がある。さらにコ
レステリック液晶性フィルムにおける液晶層のねじれ巻
き数は、通常2巻き以上であることが望ましい。2巻き
未満の場合、コレステリック配向による選択反射効果を
十分に得ることができない虞がある。
【0017】
【発明の効果】本発明の化合物(I)、化合物(II)
及び光学活性な低分子化合物、典型的には化合物(II
I)から得られるコレステリック液晶性フィルムは、光
学・光エレクトロニクス分野への応用のみでなく、その
選択反射波長が可視光域にある場合には非常に美しい色
を呈することから、装飾品、ファッション品としても有
用である。また、顔料、カラー偏光板、輝度向上フィル
ムおよび偽造防止用フィルムとして使用しすぐれた性能
を発揮することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに
限定されるものではない。 実施例1化合物(I)−aの調製 蒸留精製したテトラヒドロフラン180gに、4−(6
−アクリロイロキシヘキシルオキシ)安息香酸151.
3g(518mmol)と、2,6−ジターシャリブチ
ル−4−メチルフェノール1.5gを溶解させ、これに
ジイソプロピルエチルアミン70.1g(543mmo
l)を加えた溶液を調製する。メタンスルホニルクロリ
ド62.1g(543mmol)のテトラヒドロフラン
溶液を−10℃に冷却して攪拌しながら、前記の溶液を
30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を0℃まで
昇温してさらに15分攪拌した後、この反応液にメチル
ヒドロキノン29.87g(246mmol)のテトラ
ヒドロフラン溶液を滴下した。その後反応液を15分攪
拌後、さらに4−ジメチルアミノピリジン3.0g(2
5mmol)をトリエチルアミン62.4g(617m
mol)に溶解した溶液を15分かけて滴下した。滴下
後、反応液を0℃で1時間攪拌、さらに室温に昇温して
5時間攪拌下反応を行った。反応終了後、反応液を10
00mlの酢酸エチルで希釈し、分液ロートに移した後
1規定塩酸で分液し、さらに有機層を1規定塩酸、飽和
炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和硫酸マグネシウム水溶
液で洗浄した。有機層に100gの無水硫酸マグネシウ
ムを加えて室温で1時間攪拌することにより脱水・乾燥
し、硫酸マグネシウムを濾別後、ロータリーエバポレー
ターにより濃縮してメチルヒドロキノン ビス(4−
(6−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)
エステルを粗生成物として得た。この粗生成物を酢酸エ
チル/メタノールにより再結晶することによりメチルヒ
ドロキノン ビス(4−(6−アクリロイロキシオヘキ
シルオキシ)安息香酸)エステル(化合物(I)−a)
146.9gを白色結晶として得た(収率85.2
%)。この化合物のGPCによる純度は98.7%であ
った。GPCは溶出溶媒としてテトラヒドロフランを用
い、高速GPC用充填カラム(TSKgelG−100
0HXL)を装着した東ソー製GPC分析装置CCP&
8000(CP−8000、CO−8000、UV−8
000)により行った。また、この化合物を偏光顕微鏡
下メトラーホットステージで観察すると、室温では結晶
相、85℃付近でネマチック相に転移し、さらに加熱す
ると115℃付近で等方相となった。化合物(II)−aの調製 化合物(I)−aの合成と同様の手法を用い、4−(6
−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸32.
5g(111mmol)、4−シアノフェノール12.
6g(106mmol)から34.8gの4−シアノフ
ェノール 4−(6−アクリロイロキシオヘキシルオキ
シ)安息香酸エステル(化合物(II)−a,収率84
%)を得た。この化合物のGPCによる純度は99.3
%であった。液晶フィルムの調製 上記の化合物(I)−aを7.0g、化合物(II)−
aを1.07g、キラルドーパント液晶S−811
(ロディック社製)を1.93g量り取り、N−メチル
−2−ピロリドン90gに溶解した。この溶液にフッ素
系界面活性剤S−383(旭硝子製)を1.5mg添加
した。表面をレーヨン布によりラビング処理したポリエ
チレンナフタレートフィルム(三菱ダイヤホイル製)上
にバーコーターを用いて前記の溶液を塗布した。塗布
後、該フィルムごと60℃に設定したクリーンオーブン
に投入し15分乾燥を行った後、さらに80℃に設定し
たオーブン中で5分熱処理し、その温度から約1℃/分
で50℃まで冷却することにより液晶層のコレステリッ
ク配向を完了させた。熱処理後、フィルムをオーブンか
らとりだし室温まで冷却し、室温にてエレクトロンビー
ム(EB)照射を行い、液晶フィルムAを得た。EB照
射は、アイエレクトロンビーム社製のEB照射装置を用
い、室温下、酸素濃度0.20%の雰囲気において、加
速電圧30kVにて行った。照射後の液晶層は硬化して
おり、その表面硬度は鉛筆硬度にしてH〜2H程度であ
った。液晶フィルムAは斜めに傾けて見るとコレステリ
ック配向特有の選択反射光を有しており、分光器V−5
00(日本分光製)により透過スペクトルを評価したと
ころ、赤外線領域の780nm近辺に選択反射に由来す
る透過光の低下領域が見られた。 実施例2化合物(III)−aの調製 (S)-(-)-1,1'-ビ-2-ナフトール(東京化成製、キラル純
度99%ee)5.00g(17.5mmol)、4−
n−オクチルオキシ安息香酸8.96g(35.8mm
ol)を含有するジクロロメタン溶液に、0℃でジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC、東京化成製)のジ
クロロメタン溶液を滴下し、0℃で1時間、その後室温
に昇温してさらに6時間反応させた。得られた反応液の
不溶分を濾別し、濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液で
洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して粗エステ
ル化物を得た。これをアセトン/メタノール混合系によ
り再結晶し、エステル体11.2g(収率84%)を淡
黄色結晶として得た(化合物(III)−a)。液晶フィルムの調製 実施例1で得た化合物(I)−aを7.0g、化合物
(II)−aを7.0g、上記の化合物(III)−a
を0.5g量り取り、N−メチル−2−ピロリドン90
gに溶解した。この溶液にフッ素系界面活性剤S−38
3(旭硝子製)を0.05mg添加した。表面をレーヨ
ン布によりラビング処理したポリエチレンナフタレート
フィルム上にスピンコーターを用いて上記の溶液を塗布
した。塗布後、フィルムごと60℃に設定したクリーン
オーブンに投入し15分乾燥を行った後、さらに80℃
に設定したオーブン中で5分熱処理し、その温度から約
1℃/分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレ
ステリック配向を完了させた。しかる後、実施例1と全
く同様に、フィルムをオーブンからとりだして室温まで
冷却し、室温にてエレクトロンビーム(EB)照射を行
い、液晶フィルムBを得た。EB照射は、アイエレクト
ロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温下、酸素濃
度0.20%の雰囲気において、加速電圧30kVにて
行った。照射後の液晶層は硬化しており、その表面硬度
は鉛筆硬度にしてH〜2H程度であった。液晶フィルム
Bの液晶層の膜厚を触針式膜厚計により測定したとこ
ろ、1.2μmであった。液晶フィルムBは正面からで
もオレンヂ色のコレステリック配向特有の選択反射光を
有しており、分光器V−500(日本分光製)により透
過スペクトルを評価したところ、赤外線領域の580n
m近辺に選択反射に由来する透過光の低下領域が見られ
た。 実施例3 実施例1と同様な手法により合成したメチルヒドロキノ
ン ビス(4−(9−アクリロイロキシノニルオキシ)
安息香酸)エステル(化合物(I)−b)7.8gと、
4−シアノフェノール 4−(3−アクリロイロキシプ
ロピルオキシ)安息香酸エステル(化合物(II)−
b)2.2gと、実施例2で調製したビナフトール誘導
体(化合物(III)−a)0.5gと、光反応開始剤
イルガキュアー907(チバガイギー製) 0.3g
と、増感剤ジエチルチオキサントン0.1gを40gの
テトラクロロエタンに溶解して溶液を調製した。表面を
ナイロン−6布によりラビング処理したポリフェニレン
サルファイドフィルム(東レ製)上に、ダイコーターを
用いて上記の溶液を塗布した後、フィルムの裏面を青板
ガラス基板に貼り付け、ガラス基板−フィルム一体品を
80℃に設定したホットプレートに載せて20分乾燥し
た。液晶層はすでにコレステリック配向が完了してい
た。その後、フィルムがガラス基板に密着した状態で5
0℃に設定したオーブンに投入し、2〜3分間雰囲気を
酸素濃度が250ppm以下になるまで窒素置換しなが
らオーブン設定温度まで放冷してからその温度にてUV
照射を行い、液晶フィルムCを得た。UV光源としては
高圧水銀灯を使用し、照射強度は120W/cm2で、
照射時間15秒の間の積算照射量は1260mJであっ
た。照射後の液晶層は硬化しており、その表面硬度は鉛
筆硬度にして2H程度であった。液晶フィルムCは、実
施例2で作成した液晶フィルムBとほぼ同じ光学特性を
示し、585nmに選択反射の中心をもつコレステリッ
ク液晶フィルムであった。また、液晶フィルムCの液晶
層の膜厚を触針式膜厚計により測定したところ、1.7
μmであった。 比較例1 実施例1に記載した液晶フィルムの調製において、化合
物(II)−aを使用しないこと以外は、実施例1と同
様な溶液を調製し、この溶液をポリエチレンナフテート
フィルム上に塗布して乾燥したところ、フィルム全面に
微結晶が生じて白濁し、さらに熱処理を行っても結晶に
由来して液晶層が平滑にならず、均一なコレステリック
フィルムを得ることは出来なかった。 比較例2 実施例1に記載した液晶フィルムの調製において、キラ
ルドーパント液晶S−811(ロディック社製)を使用
しないこと以外は、実施例1と同様な溶液を調製し、こ
の溶液をポリエチレンナフテートフィルム上に塗布して
乾燥したところ、得られたフィルムは液晶分子のダイレ
クターが支持フィルムとの界面ではフィルム面に平行に
近く、膜厚方向で徐々にチルトしてゆくネマチックハイ
ブリッド配向を取っていることがわかり、コレステリッ
クフィルムは得られなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 徹 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 西村 涼 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4H027 BA02 BE05 BE06 CC04 CE03 CE05 DK03 DK05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表される化合物
    (I)と、下記の一般式(2)で表される化合物(II)
    と、光学活性な部位を有する低分子化合物とで構成さ
    れ、化合物(I):化合物(II)の重量比が99:1〜5
    0:50の範囲にあり、前記の低分子化合物の含有量が
    化合物(I)と化合物(II)の合計量100重量部当り、
    0.01〜60重量部の範囲にある液晶性組成物。 【化1】 (一般式(1)及び(2)において、R1,R2及びR3
    はそれぞれ独立に水素又はメチル基を示し、Xは水素、
    塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メト
    キシ基、シアノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる
    一つを示し、a,b,cはそれぞれ2〜12の整数を示
    す。)
  2. 【請求項2】 前記の低分子化合物が下記の一般式
    (3)又は一般式(4)で表される化合物(III)で
    ある請求項1記載の液晶性組成物。 【化2】 (一般式(3)及び一般式(4)において、R4は水素
    又はメチル基を示し、d,eはそれぞれ2〜12の整数
    を示し、Yは下記の(i)〜(xxiv)から選ばれる
    2価の基の一つを示す。) 【化3】 但し、上記(i)及び(ii)におけるZは水素、塩
    素、臭素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シ
    アノ基及びニトロ基からなる群から選ばれる一つを示
    す。 【化4】
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載した液晶性
    組成物の膜を形成させ、分子をコレステリック配向させ
    てその配向を固定化し、しかる後光照射による膜を硬化
    させた液晶フィルム。
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