JP2000338062A - 表面分析装置 - Google Patents

表面分析装置

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JP2000338062A
JP2000338062A JP11148539A JP14853999A JP2000338062A JP 2000338062 A JP2000338062 A JP 2000338062A JP 11148539 A JP11148539 A JP 11148539A JP 14853999 A JP14853999 A JP 14853999A JP 2000338062 A JP2000338062 A JP 2000338062A
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Takao Kusaka
貴生 日下
Mitsuru Otsuka
満 大塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分光分析を行う試料表面の分析領域の把握を
容易にする。 【解決手段】 紫外線照射装置12より紫外線が照射さ
れることで試料ステージ10上に載置された試料9の表
面から電子が放出される。この電子はレンズ鏡筒2内の
対物レンズ3、静電レンズ5、6により拡大され二次元
検出器16に結像され、試料9の表面観察がなされる。
また、紫外線照射装置14からの紫外線照射により放出
された電子はレンズ鏡筒2内の静電レンズ4、5、6及
びアパーチャ7,8で集束され、二次元検出器16に形
成された入射スリット部31を通過し、半球型エネルギ
分析器17で分光された後、検出器18により特定エネ
ルギの電子が検出されることで試料9の表面分析が行わ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面分析技術に係わ
り、特に固体試料表面から放出された電子の分光分析お
よび結像観察に関する。
【0002】
【従来の技術】表面分析とは試料から放出される電子、
イオン、X線等のエネルギや強度分布を調べることによ
り、その試料の組成や化学結合状態、あるいは試料の電
子構造を分析するものである。試料表面から電子やイオ
ン等を放出させるための励起線には、電子線、X線、イ
オンといった電離放射線を用いる。
【0003】表面分析の一つの手法として光電子分光法
がある。光電子分光は、真空内に置かれた試料に高エネ
ルギの単色光を照射し、外部光電効果によって放出され
る光電子のエネルギ分布(光電子スペクトル)を測定す
る技術として知られている。固体内の原子は電子に対す
る正のポテンシャルを形成し、そのポテンシャル井戸の
中に様々な電子準位が存在し得る。電子の入った被占有
準位としては、化学結合に寄与せずに原子核近傍の深い
ポテンシャルの中に局在している内殻準位と、結合形成
に伴って原子軌道からできた価電子準位とがある。これ
らの被占準位の上には原子間に広がった空準位が存在す
る。
【0004】ここにエネルギhνの光が入射すると、様
々なエネルギをもった電子が被占有準位から空準位へ励
起される。hνが充分に大きければ、励起後の電子エネ
ルギは真空準位よりも高くなり、電子は固体の外に飛び
出す。電子の一部は、固体内を通って表面に到達するま
でに種々の散乱を受けてエネルギを失うが、散乱されず
に表面に達した電子は固体外に放出される。放出電子の
運動エネルギEkは、Ek=hν−Eb−φで与えられ
る。ここでEbは電子の束縛エネルギを、φは試料の仕
事関数を示す。光励起された直後の電子エネルギ分布を
決める最も強い因子は、被占有準位の状態密度であるの
で、散乱を受けなかった光電子のエネルギ分布を測定す
ることにより被占有準位の構造を知ることができる。
【0005】固体の奥深くで励起された電子は、表面に
到達する前に散乱されるため、表面から飛び出せない。
このため、光電子分光で調べることができるのは、表面
から数十オングストローム程度の深さまでである。この
ことは、表面近傍の電子状態だけがスペクトルに寄与
し、表面の分析手段として光電子分光を使用し得ること
を示している。
【0006】光電子分光は、光源のエネルギによって二
つに分けることができる。エネルギが小さい場合には、
電子放出は価電子準位からしか起きない。エネルギが大
きい場合には、より深い原子の内殻準位からも放出が起
きる。このため、価電子準位の電子構造を観測するに
は、真空紫外光源が用いられる。これは紫外線光電子分
光(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)と
呼ばれる。また、内殻準位からの光電子放出を用いて原
子の内殻の電子構造を観察するには、軟X線光源が用い
られる。これはX線光電子分光(XPS:X-ray Photoelect
ron Spectroscopy)と呼ばれる。このように光電子分光
は、化学遷移には現れない被占有準位の電子構造を観察
するために、非常に有力な手段である。
【0007】光電子分光装置は、線源からの単色光を試
料に照射し、照射により試料から発生した光電子をイン
プットレンズにより集束してアナライザーに導き、ここ
でエネルギ分光する。そして、分光された光電子を検出
器で検出して光電子のエネルギスペクトルを得、スペク
トルを解析して試料の組成や化学状態、電子構造などを
分析する。
【0008】一方、従来より、選択された領域の光電子
分光分析のために、試料の位置決めをしたり分析中の領
域を判断するために、光学顕微鏡が表面観察手段として
使用されてきた。
【0009】また、表面形態を観察する一般的なものと
して走査電子顕微鏡(SEM : Scanning Electron Micros
cope)がある。走査電子顕微鏡では一本の集束電子ビー
ムがサンプル面上をラスター走査される。同表面から発
せられた二次電子はラスター位置と相関的に検出され
る。上記二次電子信号は電子的に処理されて表面の位相
的な特徴の様相もしくは映像を提供する。
【0010】あるいは、形態観察の代表的なもう一つの
手法として透過電子顕微鏡(TEM :Transmission Electr
on Microcope)等があげられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、過去に
おいては、試料の位置決めや分析領域の判断には簡単な
光学顕微鏡で十分であったが、機械の進歩に伴い分析領
域の大きさは小さくなり、倍率の拡大、被写体深度の浅
さ、安定性の向上を含めて顕微鏡に対して新たな要求が
課されている。顕微鏡は分析領域の中心に、顕微鏡の光
軸を合わせなければならないが、その操作は不便で種々
の誤差を生じがちである。上記誤差は分析領域が小さい
程著しくなり、システムの使用中は位置合せの誤差は明
らかではないため、誤った分析結果をもたらすおそれが
ある。倍率を大きくし被写体深度を浅くするには顕微鏡
の対物レンズの径を大きくする、または試料表面に近く
することによって、他の装置の場合に使用可能な試料周
囲の立体角が変化できるようにすることが必要である。
【0012】走査電子顕微鏡の場合は、走査電子顕微鏡
を光電子分光装置と同じ高真空チャンバ内に設置するた
めには、電子線源や二次電子検出器の増設のみならず、
多くの可動部品を高真空対応にする必要があり、非常に
高額の装置となってしまうという問題点がある。さらに
インプットレンズの光軸と二次電子像の位置合わせが必
要な上に、電子ビームの照射は試料表面へダメージを与
える可能性が高い。
【0013】また、透過電子顕微鏡の場合は、試料形状
に制約があり、より一般的な試料について固体表面を観
察する目的には不適である。
【0014】以上のように、光電子分光分析の際に試料
の位置決めをしたり分析領域を判断するのに必要な表面
観察手段において、光学顕微鏡よりも高倍率でかつ簡易
に設置できる手法が提案されていないのが現状である。
【0015】ところで、平坦な表面からの電子放出像を
観察する方法として、光電子顕微鏡に代表されるエミッ
ション顕微鏡法が知られている(US Patent No.526680
9:W.Engel, M. E. Kordesch, H. H. Rotermund, S. Kub
ala and A. von Oertzen, Ultramicroscopy, 36(1991)1
48-153.)。エミッション顕微鏡法は平面状の試料表面
から放出される電子(熱電子、光電子等)を加速し、電
子レンズで結像して表面を観察する方法であり、その空
間分解能は走査電子顕微鏡等には及ばないが、光学顕微
鏡よりは拡大率が高く、リアルタイムで像を観察できる
ので、放出強度の空間分布のみならず、時間変化も高い
時間分解能で観測できることが大きな特徴である(M. M
undschau, M. E. Kordesch、 B. Rausenberger、 W. Enge
l、 A. M.Bradshaw and E. Zeitler、 Surface Science、
227(1990)246-260.)。
【0016】そこで本発明の目的は、エミッション顕微
鏡の原理を応用して、試料表面の拡大像観察と光電子分
光の両分析が行える表面分析装置を提供することにあ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の表面分析装置は、固体試料表面から放出され
た電子を、同一の光軸上で集束あるいは拡大させる電子
レンズ系と、前記電子レンズ系により拡大結像された前
記電子が照射されることにより前記固体試料表面の観察
のための拡大像が形成される観察手段と、電子が分光さ
れることにより前記固体試料表面の分光分析を行う分析
手段と、分光分析を行う際に前記電子レンズ系により集
束した電子を前記分析手段へ導くための入射スリットと
を有する。
【0018】上記の通り構成された本発明の表面分析装
置は、固体試料表面の分光分析を行う分析手段、固体試
料表面の拡大像が形成される観察手段を有するととも
に、分光分析及び表面の観察の際に用いる電子レンズ系
が共通であるため、試料を移動させずに分光分析及び表
面の観察を行うことができる。さらに、電子レンズ系が
共通であることより、分光分析領域と表面観察領域との
中心は同一となる。
【0019】固体試料表面から放出された電子が、紫外
線励起による光電子であり、光電子像観察と光電子分光
分析の両手段を有するものであってもよい。また、観察
手段は、電子を増幅するチャンネルプレートと、拡大像
が形成される蛍光膜と、拡大像を電気信号に変換する変
換手段とを有するものであってもよいし、電子を増幅す
るチャンネルプレートと、拡大像が形成される蛍光膜
と、拡大像を撮影するカメラとを有するものであっても
よいし、観察手段に、入射スリットが設けられているも
のであってもよい。
【0020】さらに、本発明の表面分析装置は、入射ス
リットと、前記分析手段とが一体に構成された構造体を
有するものであってもよい。また、固体試料表面の分光
分析を行う際は、入射スリットが電子レンズ系の光軸上
に移動されるとともに、観察手段は前記入射スリットと
干渉しない領域に移動され、固体試料表面の拡大像によ
り固体試料表面の観察を行う際には、観察手段は電子レ
ンズ系の光軸上に移動されるとともに、入射スリットは
観察手段と干渉しない領域に移動されるものであっても
よいし、固体試料表面の分光分析を行う際は、構造体の
入射スリットが電子レンズ系の光軸上に移動されるとと
もに、観察手段は構造体と干渉しない領域に移動され、
固体試料表面の拡大像により固体試料表面の観察を行う
際には、観察手段は電子レンズ系の光軸上に移動される
とともに、構造体は観察手段と干渉しない領域に移動さ
れるものであってもよい。さらに、電子は、熱電子放出
により放出されるものであってもよいし、電界放出によ
り放出されるものでもよいし、表面伝導型電子放出によ
り放出されるものであってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。 (第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態の表
面分析装置の概略図を示す。
【0022】本実施形態の表面分析装置は、高真空度を
保持可能な真空チャンバ1内部に、試料9が載置される
試料ステージ10、観察手段としての二次元検出器1
6、及び電子レンズ系を収納するレンズ鏡筒2を有し、
2つの紫外線照射装置12、14と、光電子分析に用い
る検出器18を有する半球型エネルギ分析器17とで概
略構成された、光電子像観察及び光電子分光分析が可能
な表面分析装置である。
【0023】高真空チャンバ1は、排気部19から真空
ポンプ(不図示)により排気して内部の真空度を10-9
〜10-11Torrに保っている。高真空チャンバ1の
内部には、マニピュレータ11により3軸方向の粗動お
よび微動と回転動作、傾斜動作ができるようになってい
る試料ステージ10が設けられている。また、高真空チ
ャンバ1の両側には、試料ステージ10上に載置された
試料9に紫外線を照射する紫外線照射装置12、14が
設けられている。
【0024】一方の紫外線照射装置12は水銀ランプを
有するものであり、高真空チャンバ1の壁面に設けられ
た石英ポート13を通して試料9に紫外線光を照射す
る。この紫外線照射装置12は高真空チャンバ1の外部
に設けらているので、石英ポート13と紫外線照射装置
12との間にシャッタなどの機構をつければ簡単に紫外
線照射のオンオフが可能になる。
【0025】他方の紫外線照射装置14は排気部20か
ら差動排気ができ、HeもしくはNeのボンベ15から
導入したガスから気ガス共鳴線を生成して試料9に紫外
線を照射する。
【0026】レンズ鏡筒2は、試料9に面する側から順
に、対物レンズ3、静電レンズ4、アパーチャ8、静電
レンズ5、アパーチャ7、静電レンズ6が配置された構
成となっている。
【0027】レンズ鏡筒2の上部に設けられた二次元検
出器16は、試料9側から順にマルチチャンネルプレー
ト、蛍光膜、CCDを積層することで構成され、その中
心部には直径数ミリメートルの穴である入射スリット部
31が形成されている。
【0028】二次元検出器16の上部に設けられた半球
型エネルギ分析器17の、内半球および外半球に印加す
る電圧をスキャンすることで、光電子のエネルギスペク
トルを得ることができる。この半球型エネルギ分析器1
7は、イオンポンプ(不図示)により10-10Torr
より高い真空度に保たれている。
【0029】検出器18は半球型エネルギ分析器17で
分光された特定エネルギの電子を検出する。検出器18
からの出力信号は増幅器(不図示)を経てコンピュータ
(不図示)に送られる。
【0030】次に、本実施形態の表面分析装置の動作に
関して説明する。
【0031】まず、光電子像観察時に関して説明する。
【0032】試料9の光電子像観察時には、単色化され
ておらずエネルギの低い水銀ランプの紫外線が好適であ
るため、紫外線照射装置12が用いられる。これはHe
やNeの共鳴線などの単色化した紫外線を使用すると、
エネルギが高いため、拡大像の空間分解能が低下してし
まうためである。単色化されていない紫外線の照射で
は、試料9の表面の仕事関数の場所的変化によって、光
電子放出効率が変わるため、表面状態の差をコントラス
トとした拡大像を得ることができる。
【0033】紫外線照射装置12から紫外線を照射する
ことにより、試料9より放出された光電子は、試料9と
対物レンズ3の間に印加される加速電圧により数keV
から数十keVに加速され、さらに、対物レンズ3の後
焦点面に配置されたアパーチャ8を通過した電子が静電
レンズ5、6によって拡大され、二次元検出器16の蛍
光膜上に像が形成される。この像はCCDの出力信号と
してコンピュータに送られ、観察および記録される。
【0034】なお、水銀ランプを有する紫外線照射装置
12を使用した場合、光電子像の空間分解能はおよそ1
00nmであった。紫外線照射装置14でHeI(2
1.2eV)を用いて光電子像を観察すると空間分解能
は一桁程度悪くなり、光学顕微鏡レベルであった。
【0035】次に、光電子分光分析に関して説明する。
【0036】試料9の光電子分光分析を行う際には、紫
外線照射装置14を使用し、NeI(16.8eV)、
HeI(21.2eV)、NeII(26.9eV)、
HeII(40.8eV)などの気ガス共鳴線を照射す
る。試料9より放出された光電子は、レンズ鏡筒2内の
レンズ4、5、6とアパーチャ7、8で集束かつ減速
し、二次元検出器16の中心部に形成された入射スリッ
ト部31から半球型エネルギ分析器17へ導かれる。半
球型エネルギ分析器17で分光された特定エネルギの電
子は検出器18で検出され、増幅器を経てその出力信号
はコンピュータに送られ記録される。
【0037】光電子分光分析を行う際の分析領域は、レ
ンズ4、5、6に印加する電圧とアパーチャ7、8の開
閉度の組み合わせで決まり、150μm角平方から3m
m角平方の間で変化させる事ができる。この際、試料9
と対物レンズ3の間には加速電圧を印加しない。
【0038】以上説明したように、本実施形態の表面分
析装置は、光電子像観察及び光電子分光分析に用いるレ
ンズ系をレンズ鏡筒2により共通化することで、光電子
像観察時及び光電子分光分析時の光軸を同一とした。こ
のため、試料9を移動することなく像の観察と分光分析
を行うことができるだけでなく、試料9周辺の空間配置
の自由度も高くなる。
【0039】また、像の観察時に使用される二次元検出
器16が、分光分析時にレンズ鏡筒2により集束した電
子を半球型エネルギ分析器17へ導く際の入射用のスリ
ットを兼ねているため、観察した像の中心と分光分析時
の分析領域の中心は同一となり、分析位置の決定が容易
となる。
【0040】更に、本実施形態の表面分析装置による像
観察の空間分解能は100nm程度であり、光学顕微鏡
よりも拡大率が高く、光電子分光の分析領域決定に必要
な空間分解能を十分に満たしている。
【0041】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態を、図2に示す表面分析装置の概略図を用いて
説明する。
【0042】本実施形態では、図1に示した入射用のス
リットの役目を兼ねる二次元検出器16を使用せず、図
2に示すように、二次元検出器116と入射スリット1
32を切り替えて使用できるように、高真空チャンバ1
01には、二次元検出器116あるいは入射スリット1
32が退避可能な領域が設けられている。それ以外の構
成は第1の実施形態で説明した表面分析装置と基本的に
同様であり、光電子像観察及び光電子分光分析の方法も
第1の実施形態と同様であるため、本実施形態ではそれ
らの詳細の説明は省略する。
【0043】第1の実施形態の表面分析装置の二次元検
出器16は、光電子像観察に用いられるだけでなく、二
次元検出器16の中央部に形成された入射スリット部3
1を、光電子分光分析の際の、半球型エネルギ分析器1
7へ入射する光電子に対する入射用のスリットとしても
用いるため、光電子像観察の際に像の中心部に数ピクセ
ルの欠損が生じてしまう。
【0044】そこで、本実施形態では、光電子像観察時
には二次元検出器116がレンズ鏡筒102の上部に移
動して使用され、この際、入射スリット132は退避領
域133に退避させられている。また、光電子分光時に
は光電子像観察時とは逆に、入射スリット132をレン
ズ鏡筒102の上部に移動して使用され、二次元検出器
116は退避領域133に退避させられている。このよ
うにすることで、欠損の無い像観察が可能になる。
【0045】このため、表面の反応や吸着状態の時間変
化を“その場”観察するような、分光分析より像観察を
重視した使用方法の際には、本実施形態の二次元検出器
116を使用した方が欠損の無い像観察ができるため良
い。
【0046】(第3の実施形態)次に、本発明の第3の
実施形態を、図3(a)及び図3(b)に示す表面分析
装置の概略図を用いて説明する。
【0047】本実施形態の表面分析装置は、第2の実施
形態と異なった装置構成で、第2の実施形態と同様の効
果が得られる表面分析装置を示す。
【0048】すなわち、入射スリット217と、半球型
エネルギ分析器217と、検出器218とで構成される
光電子分光分析器233が移動可能であるため、本実施
形態の表面分析装置も光電子像観察の際、欠損のない像
観察が可能となる。
【0049】図3(a)は、光電子像観察時の状態を示
している。
【0050】光電子像観察時には入射スリット222、
半球型エネルギ分析器217及び検出器218で構成さ
れる光電子分光分析系233は第1の退避領域234に
それぞれ退避する。レンズ鏡筒202の上部にはMCP
(マルチチャンネルプレート)付き蛍光板223が位置
しており、光電子像観察時の像はこのMCP付き蛍光板
223に結像され、反射鏡224及びビューポート22
5を介して、高真空チャンバ201外に設けられたCC
Dカメラ226により撮影される。MCP付き蛍光板2
23及び反射鏡224も、高真空チャンバ201内を移
動可能に設けられている。また、ビューポート225が
高真空チャンバ201の壁面に設けられているので、C
CDカメラ226を通さずにMCP付き蛍光板223
を、すなわち直接像を目視することが可能となる。
【0051】図3(b)は、光電子分光分析の状態を示
している。
【0052】MCP付き蛍光板223及び反射鏡224
は第2の退避領域235に退避しており、代わりにレン
ズ鏡筒202の上部に光電子分光分析系233の入射ス
リット222部が移動され、光電子分光分析が行われる
こととなる。
【0053】(第4の実施形態)本実施形態では本発明
の表面分析装置の応用について述べる。
【0054】固体表面からの電子放出には光電子放出以
外にも熱電子放出や電界放出、表面伝導型電子放出など
が知られている。この中で電界放出、表面伝導型電子放
出はフラットディスプレイを実現させる有力候補として
研究が進められている。電界放出素子や表面伝導型電子
放出素子をフラットディスプレイの電子源として用いる
場合、電子放出部付近の3次元形状や材料の物性が素子
特性を大きく左右するため、良好な特性をもつフラット
ディスプレイを実現するには電子放出部の微小領域にお
ける電子放出現象を十分把握し、また制御する必要があ
る。
【0055】そこで本発明の表面分析装置を用いて、フ
ラットディスプレイのように平面上に配置された電子源
からの放出電子を分析したところ、個々の放出点の強度
分布やゆらぎ、エネルギスペクトルについての情報を得
ることができた。さらにこれらの放出電子像と並行して
素子表面からの光電子像を観察すれば、放出電子像の位
置関係が明らかになるだけでなく、表面状態と電子放出
との関係を解析することが可能になった。
【0056】上記の分析は、固体試料から電子を放出す
るための機構(例えば試料に電圧を印加するための電極
など)のみを追加すれば、第1ないし第3の実施形態の
装置構成のいずれにおいても分析が可能である。
【0057】なお、第1ないし第4の実施形態では、光
電子分光に使用するエネルギ分析器として半球型エネル
ギ分析器17、117、217を提示したが、これに限
られる物ではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でエ
ネルギ分析器を変えても差し支えない。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、固体試料表面の分光分
析を行う分析手段、固体試料表面の拡大像が形成される
観察手段を有するとともに、分光分析及び表面の観察の
際に用いる電子レンズ系が共通であるため、試料を移動
させずに分光分析及び表面の観察を行うことができる。
また、分光分析時の分光領域決定に必要な空間分解能を
十分に満たした表面の像を観察することが可能となり、
試料の位置決めや分析領域の把握が容易にできるように
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の表面分析装置を説明
する概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の表面分析装置を説明
する概略図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の表面分析装置を説明
する概略図である。
【符号の説明】
1、101、201 高真空チャンバ 2、102、202 レンズ鏡筒 3 対物レンズ 4、5、6 静電レンズ 7、8 アパーチャ 9 試料 10 試料ステージ 11 マニピュレータ 12、14 紫外線照射装置 13 石英ポート 15 ボンベ 16、116 二次元検出器 17、117、217 半球型エネルギ分析器 18、218 検出器 19、20 排気部 31、131 入射スリット部 132、222 入射スリット 133 退避領域 223 MCP付き蛍光板 224 反射鏡 225 ビューポート 226 CCDカメラ 234 第1の退避領域 235 第2の退避領域
フロントページの続き Fターム(参考) 2G001 AA07 AA09 AA10 AA20 BA08 BA29 BA30 CA03 DA01 DA02 DA09 EA04 FA06 GA01 GA09 HA12 KA12 KA20 LA11 PA07 SA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体試料表面から放出された電子を、同
    一の光軸上で集束あるいは拡大させる電子レンズ系と、 前記電子レンズ系により拡大結像された前記電子が照射
    されることにより前記固体試料表面の観察のための拡大
    像が形成される観察手段と、 電子が分光されることにより前記固体試料表面の分光分
    析を行う分析手段と、 分光分析を行う際に前記電子レンズ系により集束した電
    子を前記分析手段へ導くための入射スリットとを有する
    表面分析装置。
  2. 【請求項2】 前記固体試料表面から放出された電子
    が、紫外線励起による光電子であり、光電子像観察と光
    電子分光分析の両手段を有する請求項1に記載の表面分
    析装置。
  3. 【請求項3】 前記観察手段は、電子を増幅するチャン
    ネルプレートと、前記拡大像が形成される蛍光膜と、前
    記拡大像を電気信号に変換する変換手段とを有する請求
    項1または2に記載の表面分析装置。
  4. 【請求項4】 前記観察手段は、電子を増幅するチャン
    ネルプレートと、前記拡大像が形成される蛍光膜と、前
    記拡大像を撮影するカメラとを有する請求項1または2
    に記載の表面分析装置。
  5. 【請求項5】 前記観察手段に、前記入射スリットが設
    けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
    表面分析装置。
  6. 【請求項6】 前記入射スリットと、前記分析手段とが
    一体に構成された構造体を有する請求項1、2、4のい
    ずれか1項に記載の表面分析装置。
  7. 【請求項7】 前記固体試料表面の分光分析を行う際
    は、前記入射スリットが前記電子レンズ系の前記光軸上
    に移動されるとともに、前記観察手段は前記入射スリッ
    トと干渉しない領域に移動され、 前記固体試料表面の拡大像により前記固体試料表面の観
    察を行う際には、前記観察手段は前記電子レンズ系の前
    記光軸上に移動されるとともに、前記入射スリットは前
    記観察手段と干渉しない領域に移動される請求項1ない
    し3のいずれか1項に記載の表面分析装置。
  8. 【請求項8】 前記固体試料表面の分光分析を行う際
    は、前記構造体の前記入射スリットが前記電子レンズ系
    の前記光軸上に移動されるとともに、前記観察手段は前
    記構造体と干渉しない領域に移動され、 前記固体試料表面の拡大像により前記固体試料表面の観
    察を行う際には、前記観察手段は前記電子レンズ系の前
    記光軸上に移動されるとともに、前記構造体は前記観察
    手段と干渉しない領域に移動される請求項6に記載の表
    面分析装置。
  9. 【請求項9】 前記電子は、熱電子放出により放出され
    る請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表面分析装
    置。
  10. 【請求項10】 前記電子は、電界放出により放出され
    る請求項1ないし8のいずれか1項に記載の表面分析装
    置。
  11. 【請求項11】 前記電子は、表面伝導型電子放出によ
    り放出される請求項1ないし8のいずれか1項に記載の
    表面分析装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014041148A (ja) * 2005-08-12 2014-03-06 Ebara Corp 検出装置及び検査装置
JP2016183976A (ja) * 2011-03-15 2016-10-20 株式会社荏原製作所 検査装置

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