JP2000327858A - 難燃性樹脂組成物及び電線・ケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物及び電線・ケーブル

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JP2000327858A
JP2000327858A JP11138979A JP13897999A JP2000327858A JP 2000327858 A JP2000327858 A JP 2000327858A JP 11138979 A JP11138979 A JP 11138979A JP 13897999 A JP13897999 A JP 13897999A JP 2000327858 A JP2000327858 A JP 2000327858A
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flame
weight
resin composition
retardant resin
cable
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JP11138979A
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English (en)
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Akinari Nakayama
明成 中山
Kiyoshi Watanabe
清 渡辺
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Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形後の加工歪みがなく、十分な機械的強度
と優れた難燃性を与える非ハロゲン難燃性樹脂組成物の
実現。また、燃焼したときにも内部が露出するような収
縮を生じない、非ハロゲン難燃性樹脂の絶縁体あるいは
外被を有する電線・ケーブルの実現。 【解決手段】 100重量部の、数平均分子量に対する
重量平均分子量の比が3.8以下のエチレン重合体と、
0.2ないし3重量部の脂肪酸又はその誘導体と、30
ないし200重量部の金属水酸化物難燃剤とから成る非
ハロゲン難燃性樹脂組成物。また、これを電線・ケーブ
ルの絶縁体5あるいは外被7に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性樹脂組成物及
び電線・ケーブルに関し、特にハロゲン化合物を含まな
い難燃性樹脂組成物、及びそれを用いた絶縁体または外
被を有する絶縁電線・ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】電線・ケーブルの絶縁体又は外被として
用いる非ハロゲン難燃性樹脂組成物として、従来一般
に、エチレン系重合体に難燃剤として金属水酸化物を添
加したものが用いられていた。エチレン系重合体として
は、材料強度の点から、メルトインデックスが1.0以
下の、分子量の大きい重合体が用いられ、そして難燃
性、難燃剤の充填性の点からエチレン・アクリル酸エチ
ル共重合体(EEA)や、エチレン・酢酸ビニル共重合
体(EVA)が主に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、材料強度を得
るためにメルトインデックスが1.0以下の重合体を用
いた非ハロゲン難燃性樹脂組成物では、下記のような問
題が生ずる。 (1) 流動性がよくない。 (2) 成形後に加工歪みが残りやすい。 (3) 加工機に加わる負荷が大きい。 加工歪みが残っていると、成形品が熱的、機械的なスト
レスに敏感になる。特に電線外被に用いた場合は、万一
燃焼したとき外被が収縮し、内部の絶縁体が露出して、
延焼が速まるという結果を招く恐れがある。
【0004】一方、メルトインデックスが1.0を超え
る低分子量のポリマーを用いた非ハロゲン難燃性樹脂組
成物では、これらの問題はないが、絶縁体等の加工品の
十分な強度が得られない。
【0005】本発明の目的は、成形後の加工歪みがな
く、十分な機械的強度と優れた難燃性を与える非ハロゲ
ン難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、熱的、機械的なスト
レスに敏感でなく、十分な機械的強度と優れた難燃性を
有する、非ハロゲン難燃性樹脂から成る外被を有する電
線・ケーブルを提供することにある。
【0007】本発明のさらに他の目的は、万一燃焼した
ときにも内部が露出するような収縮を生じない、非ハロ
ゲン難燃性樹脂から成る外被を有する電線・ケーブルを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決する手段】上記目的を達成するため、本発
明は、ハロゲンを含まない成分から成る難燃性樹脂組成
物において、100重量部の、重量平均分子量の数平均
分子量に対する比が3.8以下であるエチレン重合体
と、0.2ないし3重量部の脂肪酸またはその誘導体
と、30ないし200重量部の、金属水酸化物難燃剤と
から成る、難燃性樹脂組成物を提供する。
【0009】また、上記目的を達成するため、本発明
は、導体を絶縁体で被覆した絶縁電線を外被で被覆して
構成される電線・ケーブルにおいて、前記絶縁体あるい
は外被が、100重量部の、重量平均分子量の数平均分
子量に対する比が3.8以下であるエチレン重合体と、
0.2ないし3重量部の脂肪酸又はその誘導体と、30
ないし200重量部の金属水酸化物難燃剤とから成る難
燃性樹脂組成物によって形成される、電線・ケーブルを
提供する。
【0010】本発明では、エチレン重合体の重量平均分
子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw
/Mn)を、重合体の分子量分布を評価する尺度として
いる。この比が小さいほど、重合体の分子量分布は小さ
い。エチレン重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均
分子量(Mn)は高温ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィ(GPC)により測定したものによる。測定の
際、溶媒としてオルトジクロロベンゼンを用い、140
℃で毎分1ミリリットルの流速で測定した分子量(重量
平均分子量Mw及び数平均分子量Mn)から、比Mw/
Mnを算出した。GPC用カラムとしては、例えば、東
ソー(株)GMHHR(S)を3本用いる。
【0011】エチレン重合体は、エチレンの単一重合体
だけでなく、共重合体も包含する。例えば、低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度
ポリエチレン等のポリエチレン、エチレンとメチルアク
リレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、酢酸ビニル、グリシジルメタクリレート、ブテン−
1、プロピレン等との共重合体、エチレン−ブテン−ヘ
キセン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエ
ン三元共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1、マレ
イン酸グラフト低密度ポリエチレンである。これらを単
独で、ブレンドして用いることができ、ゴムでもよい。
【0012】加工時の残留歪みを防ぎ、しかも機械的強
度を確保するため、メルトインデックスが1.0ないし
10のエチレン重合体が好ましい。メルトインデックス
が1.0未満であると、加工時の残留歪みが大きく、1
0を越すと、混練加工性と、成形された絶縁層等の強度
が劣る。
【0013】1.0ないし10の範囲のメルトインデッ
クスを有し、酢酸ビニル含有量が10ないし50モル%
のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いる
と、可とう性、柔軟性、難燃性、混練性の良い難燃性樹
脂組成物が得られ、可とう性、柔軟性、難燃性のよい非
ハロゲン難燃性絶縁電線が得られる。酢酸ビニル含有量
が10%未満では可とう性、柔軟性、難燃性が劣り、5
0%を超えると溶融時の粘着性が大となり、混練が困難
となる。
【0014】非ハロゲン難燃性樹脂組成物のベースポリ
マーが、このようなEVAを97ないし60重量%、メ
ルトインデックスが10以下の酸変性ポリオレフィンを
3ないし40重量%それぞれ含む混合物であるとき、加
熱による変形が特に小さい。酸変性ポリオレフィンが4
0重量%を超えると、粘着性が強くなり、混練が難しく
なる。
【0015】この酸変性ポリオレフィンには、エチレン
−無水マレイン酸共重合体、マレイン酸がグラフトされ
た直鎖状低密度ポリエチレン、メチルアクリレート、メ
チルメタクリレート、エチルアクリレート、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート−
無水マレイン酸三元共重合体が包含される。
【0016】ベースポリマーが、97ないし60重量%
のEVAと、3ないし40重量%の、10以下のメルト
インデックスを有する酸変性ポリオレフィンとの混合物
である非ハロゲン難燃性樹脂組成物において、酸変性ポ
リオレフィンとしてエチレン−エチルアクリレート−無
水マレイン酸三元共重合体を用いると、難燃性が特に優
れる。これは、エチレン−エチルアクリレート(EE
A)が有する造殻性(燃焼時に殻を形成して、延焼を防
止する性質)に加え、無水マレイン酸官能基が金属水酸
化物表面と密着することにより系全体を補強する補強硬
化の、効果が大きいためと推察される。
【0017】本発明の樹脂組成物において、脂肪酸誘導
体とは石鹸、金属石鹸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル
(グリセリド等)を包含する。脂肪酸は飽和、不飽和い
ずれでもよい。これらの内で、ステアリン酸ナトリウム
(石鹸)や、ステアリン酸亜鉛、ヒドロキシステアリン
酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ヒドロキシステア
リン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウ
ムのような金属石鹸が、外部活性が高く、好ましい。
【0018】脂肪酸またはその誘導体は3重量部を超え
ると、絶縁層等の加工品の機械的強度が低下する。
【0019】本発明の非ハロゲン難燃性樹脂組成物に
は、難燃性を向上させるため、金属水酸化物等から成る
難燃剤を1種又は2種以上添加してもよく、組成物の3
0ないし200重量部が好ましい。難燃剤として、金属
水酸化物のほか、金属酸化物、リン又はリン化合物を用
いることができる。
【0020】難燃剤として用いる金属水酸化物は、例え
ば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイド
ロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、水酸化
カルシウム、水酸化バリウム、ハードクレーである。特
に、粗大粒子の少ない、平均粒子径8ミクロン以下の水
酸化マグネシウムが、難燃性、加工成形品の外観の点で
好ましい。粗大粒子を含むと、押し出し成形における引
き落としチューブ押し出し成形品の表面に凹凸が現われ
る。
【0021】難燃剤として用いる金属酸化物は、例え
ば、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、酸化マグネシ
ウムである。リン化合物にはフォスフェート、フォスフ
ォネート、フォスフォリネンを包含する。赤リンの添加
は難燃性向上の効果が大きい。
【0022】難燃剤等の配合剤を、耐水性を考慮し、常
法に従って、脂肪酸金属塩、シラン系およびチタネート
系カップリング剤、又はアクリル樹脂で、表面処理して
もよい。
【0023】本発明の樹脂組成物には、必要に応じ、酸
化防止剤、滑り剤、界面活性剤、着色剤、軟化剤、可塑
剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤等を加えてもよい
(電線被覆についても同様)。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明によるケーブルの断面を図1に示す。ケー
ブル1は、コア2とシース7から成り、コア2は3本の
絶縁線心3とその回りに介在6および押さえテープ8を
有し、絶縁線心3は銅導体4と絶縁体5から成る。
【0025】銅導体4は1.25SQの銅撚り線、絶縁
体5はポリエチレンで構成され、絶縁線心3の外径は
2.3mmである。介在6はポリプロピレンで構成さ
れ、絶縁線心3は介在6とともに対撚りされている。シ
ース7は本発明の又は比較用の難燃性樹脂組成物で構成
され、その厚さは1mmである。ケーブル1の外径は7
mmである。
【0026】銅導体4となる銅撚り線を、常法により、
絶縁体5となるポリエチレンで被覆し、介在6とともに
対撚りしてコア2とし、その上にシース7となる樹脂組
成物を、90mm押出機を用いてチューブ押出しにより
被せた。押出し時の引き落とし比(口金部の材料断面積
1 とシースの断面積S0 の比S1 /S0 )は3.5、
温度は170℃、線速度は30m/minとした。
【0027】樹脂組成物は、130℃に予熱した容量3
リットルのニーダに、材料を投入し、15分間混練した
後、一部をプレス成形して各種試験試料とし、大部分は
ペレットにして、ケーブル1のシース7の成形に用い
た。
【0028】ケーブルの評価は下記により行なった。 (1) 引張り強度 JISC3005による引張り試験を行なった。規格値
を10MPaとして、これに達しないものを不合格とし
た。
【0029】(2) 加熱変形 JISC3005による試験を行なった。厚さ2mmの
シートに温度75℃で10Nの荷重を加えて、変形を測
定し、変形率を求めた。変形率50%未満のものを合格
とした。
【0030】(3) 加工歪み ケーブル1からコア2を抜き取ったシース7を、タルク
の上に静置し、180℃で1時間加熱し、収縮させる。
その後、次式により長さ比(%)を求めた。長さ比
(%)=(加熱後長さ/加熱前長さ)×100長さ比7
0%を成形品に残留する加工歪みの目安とし、それ以下
を歪み大、70%未満を歪み小とした。
【0031】(4) 混練加工性 ニーダで混練加工を行なう際、混練物がスクリュー表面
に粘着せず、容易に取り出せたものを◎、いくらか粘着
するが、作業に支障のないものを○、粘着して取り出し
にくいものを×として表示した。
【0032】(5) 難燃性 完成したケーブルを、直径1mmの金属線を用いて3c
m間隔でしばり、ケーブルを固定するバインド部を模擬
した部分を設けた。これを燃焼試験試料とし、JISC
3005による60度傾斜燃焼試験を行なった。30秒
間接炎した後の延焼時間を測定した。5回の燃焼試験の
平均延焼時間が60秒未満を合格、60秒以上を不合格
とした。
【0033】表1に示すエチレン重合体、難燃剤を用い
て、シース7の成形に用いる樹脂組成物を調製した。完
成したケーブルについて上記試験の結果を、樹脂組成と
ともに表1に示した。表1中、MIはメルトインデック
ス、Mw/Mnは分子量分布、VAは酢酸ビニルを表わ
す。ウルトラセンは東ソー(株)の商品名、A1150
はJPOの商品名である。
【0034】
【表1】
【0035】表1の示す通り、実施例1−1、1−2、
1−3、1−4はいずれも、引張り強さ、加熱変形率、
加工歪み試験の長さ比、混練加工性、難燃性の全て良好
であった。
【0036】表2に示すエチレン重合体、難燃剤を用い
て、シース7の成形に用いる樹脂組成物を調製した。完
成したケーブルについて、試験の結果を樹脂組成ととも
に表2に示した。ボンダインTX8030は住友化学
(株)の商品名である。
【0037】
【表2】
【0038】表2の示す通り、実施例2−1、2−2、
2−3、2−4はいずれも、引張り強さ、加熱変形率、
加工歪み試験の長さ比、混練加工性、難燃性の全て良好
であった。
【0039】表3に示すエチレン重合体、難燃剤を用い
て、シース7の成形に用いる樹脂組成物を調製した。完
成したケーブルについて、試験の結果を樹脂組成ととも
に表3に示した。アドテックスR1200はJPOの商
品名である。
【0040】
【表3】
【0041】表3の示す通り、実施例3−1、3−2、
3−3はいずれも引張り強さ、加熱変形率、加工歪み試
験の長さ比、混練加工性、難燃性の全て良好であった。
【0042】比較のため、表4に示す分子量分布の広い
エチレン重合体を用いて、シース7の成形に用いる樹脂
組成物を調製した。完成したケーブルについて上記試験
の結果を、樹脂組成とともに表4に示した。
【0043】
【表4】
【0044】分子量分布を示すMw/Mn比が3.8よ
り大きいエチレン重合体を使用した比較例4−1ないし
4−5は、前述した実施例に比して引張り強さが劣る。
これらの中で脂肪酸誘導体の添加量の少ない比較例4−
2は、混練加工性が悪い。
【0045】分子量分布を示すMw/Mn比が3.8よ
り大きく、しかもメルトインデックスが1より小さいエ
チレン重合体を使用した比較例4−5は、難燃性も劣
る。
【0046】比較例4−5における水酸化マグネシウム
100gの代わりに水酸化アルミニウム150g 、ヒド
ロキシステアリン酸リチウム1gの代わりにステアリン
酸亜鉛1gを用いた比較例4−6の特性は、次の通りで
あった。 引張り強さ(MPa) 7.3 加熱変形率(%) 14.5 長さ比(加工歪み試験) 41 混練加工性 ○ 難燃性 不合格
【0047】分子量分布を示すMw/Mn比が3.8よ
り大きく、しかもメルトインデックスが1より小さいエ
チレン重合体を使用した比較例4−5及び4−6の難燃
性が劣るのは、加工歪み試験で示される通り、シースの
残留歪みが大きいため、燃焼時にバインド部でシースが
裂けてコアが露出することにより、延焼時間の著しい増
大を招いたものである。
【0048】メルトインデックスが10より大きいエチ
レン重合体を用いた比較例4−4は、粘着性が強く、混
練加工性が劣る。
【0049】実施例と比較のため、表5に示すエチレン
重合体及びマレイン酸共重合体を用いてシース7の成形
に用いる樹脂組成物を調製した。完成したケーブルにつ
いて上記試験の結果を、樹脂組成とともに表5に示し
た。
【0050】
【表5】
【0051】メルトインデックスが10より大きいマレ
イン酸共重合EEA(ボンダインHX8140)をブレ
ンドした比較例5−1および5−2では、分子量分布を
示すMw/Mnが3.8以下(表1参照)、かつメルト
インデックスが1以上10以下のエチレン重合体を用い
ていても、引張り強さや混練加工性が劣る。特に、マレ
イン酸共重合EEAを50%ブレンドした比較例5−2
は、加熱変形率が大きい。
【0052】メルトインデックスが1以上のエチレン重
合体を用いていても、ステアリン酸誘導体の添加量の多
い比較例5−3は、実施例2−1に比して強度が著しく
低い。また、メルトインデックスが10以下のマレイン
酸共重合EEA(ボンダインTX8030)をブレンド
した場合でも、ブレンド量が40%を超える比較例5−
4は、混練加工性が劣る。Mw/Mn比が3.8以下
で、メルトインデックスが1以上のエチレン重合体と、
メルトインデックスが10以下のマレイン酸共重合EE
Aを用いていても、水酸化物難燃剤の量を多くした比較
例5−5は、引張り強さも混練加工性も劣る。
【0053】実施例と比較のため、表6に示すエチレン
重合体及びマレイン酸グラフト重合体を用いて、シース
7の成形に用いる樹脂組成物を調製した。完成したケー
ブルについて上記試験の結果を、樹脂組成とともに表6
に示した。
【0054】
【表6】
【0055】水酸化物難燃剤の添加量が少ない比較例6
−1は、加熱変形が大きく、難燃性が劣る。
【0056】実施例1−1ないし3−3と同じ樹脂組成
物を用いて、図2に示すケーブルを製作した。ケーブル
11はコア12とシース17から成り、コア12は2本
の絶縁線心3から成る。絶縁線心3は、銅導体4と絶縁
体5から成る。シース17に実施例1−1ないし3−3
と同じ樹脂組成物を用いた。結果は実施例1−1ないし
3−3と同様であった。
【0057】実施例1−1ないし3−3と同じ樹脂組成
物を用いて、図3に示すケーブルを製作した。ケーブル
21はコア22とシース7から成り、コア22は、2本
づつ対撚りされた(図中、破線の円で示す)8本(4
対)の絶縁線心23から成る。絶縁線心23は、それぞ
れ銅導体4と絶縁体5から成る。シース7に実施例1−
1ないし3−3と同じ樹脂組成物を用いた。結果は実施
例1−1ないし3−3と同様であった。また、実施例1
−1ないし3−3の難燃性樹脂組成物は絶縁体としても
有効であることを確認した。更に、絶縁体とシースの両
方に使用すると効果を高めることができる。
【0058】
【発明の効果】本発明によると、ハロゲンを含まない成
分から成る難燃性樹脂組成物において、100重量部
の、数平均分子量に対する重量平均分子量の比が3.8
以下であるエチレン重合体と、0.2ないし3重量部の
脂肪酸またはその誘導体と、30ないし200重量部の
金属水酸化物難燃剤とから成る組成物としたことによ
り、成形後の加工歪みがなく、十分な機械的強度と優れ
た難燃性を与える非ハロゲン難燃性樹脂組成物が実現さ
れる。
【0059】数平均分子量に対する重量平均分子量の比
Mw/Mnが3.8以下の、すなわち分子量分布が比較
的小さいエチレン重合体を用いると機械的強度が優れる
理由は、引張り強度を低下させる要因となり得る低分子
量成分が排除され、高分子量成分に多く含まれる長鎖分
岐が減少することや、球晶サイズが均一化される等であ
ると推定される。
【0060】本発明の非ハロゲン難燃性樹脂から成る絶
縁体あるいは外被を有する電線・ケーブルは、難燃性樹
脂が100重量部の、数平均分子量に対する重量平均分
子量の比が3.8以下であるエチレン重合体と、0.2
ないし3重量部の脂肪酸又はその誘導体と、30ないし
200重量部の金属水酸化物難燃剤とから成るため、熱
的、機械的なストレスに敏感でなく、十分な機械的強度
と優れた難燃性を有する、非ハロゲン難燃性電線が実現
される。さらに、万一燃焼したときにも内部が露出する
ような収縮を生じない、絶縁体あるいは外被を有する電
線・ケーブルが実現される。
【0061】特に、メルトインデックスが1.0ないし
10のエチレン重合体を用いると、機械的強度を確保し
て、加工時の残留歪みを防ぐ効果が大きい。これは、流
動性が向上することにより、加工歪みが減少するものと
思われる。流動性が増すと、混練加工機の表面に粘着し
やすくなるが、0.2ないし3重量部の脂肪酸又はその
誘導体が滑剤として機能するので、混練加工性が損なわ
れない。
【0062】ベースポリマーとして、分子量分布の小さ
い(数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/M
nが3.8以下)エチレン共重合体97ないし60重量
%と、メルトインデックスが10以下の酸変性ポリオレ
フィン3ないし40重量%との混合物を用いることによ
り、樹脂組成物の加熱変形を小さくすることができる。
これは、酸変性重合体の酸無水物官能基が金属水酸化物
の表面と密着するため、系全体が補強されて、耐熱性が
向上すると推察される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いた電線・ケーブルの実施の形態を
示す断面図である。
【図2】本発明を用いた電線・ケーブルの実施の形態を
示す断面図である。
【図3】本発明を用いた電線・ケーブルの実施の形態を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケーブル 2 コア 3 絶縁線心 4 銅導体 5 絶縁体 6 介在 7 シース 8 押さえテープ 11 ケーブル 12 コア 17 シース 21 ケーブル 22 コア 23 絶縁線心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/44 H01B 3/44 M 7/295 7/34 B Fターム(参考) 4J002 BB031 BB051 BB061 BB062 BB071 BB151 BB171 BB211 BG042 BG052 BG062 BH022 BN051 BN052 DA057 DE077 DE087 DE097 DE127 DE147 DE287 DJ037 EG026 EG036 EG046 EW047 EW127 FD137 GQ01 5G303 AA06 AA10 AB12 AB20 BA01 BA12 CA01 CA09 CB17 5G305 AA02 AA14 AB15 AB25 AB35 BA15 BA22 BA24 BA26 CA01 CA04 CA07 CA51 CA55 CB02 CB13 CC03 CD13 5G315 CA03 CB01 CC08 CD04 CD14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲンを含まない成分から成る難燃性
    樹脂組成物において、100重量部の、数平均分子量に
    対する重量平均分子量の比が3.8以下であるエチレン
    重合体と、 0.2ないし3重量部の脂肪酸またはその誘導体と、 30ないし200重量部の、金属水酸化物から成る難燃
    剤とから成ることを特徴とする、難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記エチレン重合体のメルトインデック
    スが1.0ないし10である、請求項1の難燃性樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 前記エチレン重合体が酢酸ビニル含有量
    10−50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体であ
    り、そのメルトインデックスが1.0ないし10であ
    る、請求項1の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ハロゲンを含まない成分から成る難燃性
    樹脂組成物において、 100重量部の、エチレン共重合体と酸変性ポリオレフ
    ィンとの混合物と、 0.2ないし3重量部の脂肪酸またはその誘導体と、 30ないし200重量部の、金属水酸化物から成る難燃
    剤とから成り、 前記エチレン共重合体は、数平均分子量に対する重量平
    均分子量の比が3.8以下で、10以下のメルトインデ
    ックスを有する、酢酸ビニル含有量が10−50モル%
    のエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、 前記酸変性ポリオレフィンは10以下のメルトインデッ
    クスを有し、 前記混合物は、97ないし60重量%の前記エチレン共
    重合体と3ないし40重量%の前記酸変性ポリオレフィ
    ンとの混合物であることを特徴とする、難燃性樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 前記酸変性ポリオレフィンが、エチレン
    −エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体で
    ある、請求項4の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 導体を絶縁体で被覆した絶縁電線を外被
    で被覆して構成される電線・ケーブルにおいて、前記絶
    縁体あるいは外被が、 100重量部の、数平均分子量に対する重量平均分子量
    の比が3.8以下であるエチレン重合体と、 0.2ないし3重量部の脂肪酸またはその誘導体と、 30ないし200重量部の、金属水酸化物から成る難燃
    剤とから成る難燃性樹脂組成物によって形成されること
    を特徴とする電線・ケーブル。
  7. 【請求項7】 前記エチレン重合体が、1.0ないし1
    0のメルトインデックスを有する、請求項6の電線・ケ
    ーブル。
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