JP2000326188A - 穴あき薄円板状工作物の両面研削方法及び両面研削装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工作物の剛性が増し高精度に加工できると共
に、工作物の高速回転によりサイクルタイムを大幅に短
縮でき、しかも工作物を高精度に案内でき穴あき薄円板
状工作物の両面研削装置を提供する。 【解決手段】 この両面研削装置は、工作物W の外周に
転接する２個の駆動ローラ4,5 と、工作物W の穴内径に
転接し且つ駆動ローラ4,5 との間で工作物W の半径部分
を半径方向に挟み込んで回転自在に支持するガイドロー
ラ6 と、駆動ローラ4,5 とガイドローラ6 との間に配置
され且つ工作物W の両端面を支持する静圧支持手段8,9
とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス板、アルミ
ニウム板、その他の穴あき薄円板状工作物の両端面を平
行に研削する両面研削方法及び両面研削装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】電子機器の記録媒体として使用されるガ
ラス板やアルミニウム板等の穴あき薄円板状工作物の両
端面を平行に研削する両面研削装置において、工作物の
駆動・保持方式には、従来、端面駆動・外径直径ガイド
方式と外径直径駆動・端面ガイド方式とがある。

【０００３】端面駆動・外径直径ガイド方式は、特開平
４−４１１６７号公報に記載されるように、駆動ローラ
を工作物の両端面に、周方向に少なくとも３個のガイド
ローラを工作物の外周に夫々転接させて配置し、各ガイ
ドローラにより工作物を外周側で保持し案内しながら、
駆動ローラにより工作物を端面側から駆動するようにな
っている。

【０００４】また外径直径駆動・端面ガイド方式は、特
開昭５９−７６７６４号公報に記載されるように、周方
向に少なくとも３個の駆動ローラを工作物の外周に、ガ
イドローラを工作物の両端面に夫々転接させて配置し、
各ガイドローラにより工作物を両端面側で保持し案内し
ながら、各駆動ローラにより工作物を外周側で駆動する
ようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の端面駆動・外径
直径ガイド方式は、各ガイドローラにより工作物を直径
方向に挟んで保持し、端面側の駆動ローラで工作物を駆
動するため、駆動ローラの振れ精度が工作物の加工精
度、特に平坦度、面粗度に大きく影響する問題がある。

【０００６】一方、外径直径駆動・端面ガイド方式は、
端面側の各ガイドローラにより工作物を両側から挟んで
保持し、外周側の駆動ローラで工作物を駆動するため、
工作物が撓み易く工作物の加工精度に大きく影響する問
題がある。

【０００７】また従来の方式では、工作物の撓みを少な
くするため、駆動ローラの押し付け力を大きくすること
ができず、工作物の駆動力が小さくなる。従って、工作
物の回転数を上げることができず、切り込み速度を速く
することが困難であり、サイクルタイムが長くなる問題
がある。

【０００８】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、工作物の剛性が増し高精度に加工できると共に、工
作物の高速回転によりサイクルタイムを大幅に短縮で
き、しかも工作物を高精度に案内でき、拘束力による工
作物の撓みを少なくできる穴あき薄円板状工作物の両面
研削方法及び両面研削装置を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係る両面研削方
法は、穴あき薄円板状工作物を回転させながら、該工作
物の両端面を一対の研削砥石により研削するに際し、前
記工作物の穴内径に転接するローラと、前記工作物の外
周に転接するローラとで構成される少なくとも３個のロ
ーラにより、前記工作物の半径部分を半径方向に挟んで
該工作物を回転支持しながら、前記研削砥石により前記
工作物の両端面を研削するものである。

【００１０】また本発明に係る両面研削装置は、穴あき
薄円板状工作物を回転させながら、該工作物の両端面を
一対の研削砥石により研削するようにした穴あき薄円板
状工作物の両面研削装置において、前記工作物の外周に
転接する少なくとも２個のローラと、前記工作物の穴内
径に転接し且つ前記少なくとも２個のローラとの間で前
記工作物の半径部分を半径方向に挟んで回転自在に支持
するローラとを備えたものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図１〜図３において、W は
ガラス板、アルミニウム板、その他の穴あき薄円板状工
作物である。1 は縦形の両面研削装置で、工作物W の上
下両端面を研削する上下一対の研削砥石2,3 と、工作物
W の外周（外周面）に転接する一対の駆動ローラ4,5
と、工作物W の穴内径（内周面）に転接して駆動ローラ
4,5 との間で工作物W を半径方向に挟むガイドローラ6
と、ガイドローラ6 を駆動ローラ4,5 に対して遠近方向
に移動させる転接用移動手段7 と、工作物W の上下両端
面を支持する上下一対の静圧支持手段8,9 と、上側の静
圧支持手段8 を工作物W の被支持面に対して接離自在に
退避させる退避手段10と、これらを研削砥石2,3 の直径
方向に移動可能に支持する摺動ベース11と、この摺動ベ
ース11を摺動可能に支持する固定ベース12とを備えてい
る。

【００１２】摺動ベース11は、固定ベース12上に研削砥
石2,3 の直径方向に移動可能に載置され、図外の駆動手
段により研削砥石2,3 の直径方向に往復移動可能になっ
ている。各研削砥石2,3 はカップ式等であって、同一軸
心上に配置された縦方向の砥石軸（図示省略）に装着さ
れ、回転用駆動手段（図示省略）により砥石軸廻りにａ
矢示方向へと同一方向に回転駆動されている。なお、研
削砥石2,3 は、駆動ローラ4,5 の回転方向と同一方向、
即ち駆動ローラ4,5 により回転駆動される工作物W の回
転に対して連れ廻り方向へと回転する。

【００１３】各駆動ローラ4,5 は工作物W をｂ矢示方向
に駆動するもので、工作物W に対して研削砥石2,3 と反
対側に配置されており、摺動ベース11上の軸受け箱13,1
4 により回転自在に支持された縦軸15,16 に固定され、
巻き掛け伝動手段17を介して回転用駆動手段18によりｃ
矢示方向に回転駆動されている。回転用駆動手段18は駆
動モータ19等により構成され、摺動ベース11の取り付け
台20に下向きに装着されている。なお、駆動ローラ4,5
は工作物W の周方向に３個以上設けても良いが、少なく
とも２個あれば十分である。

【００１４】巻き掛け伝動手段17は、駆動モータ19の回
転軸に固定された駆動プーリ21と、各駆動ローラ4,5 に
固定された従動プーリ22,23 と、従動プーリ22,23 間に
配置された案内プーリ24と、これら駆動プーリ21、従動
プーリ22,23 及び案内プーリ24に跨がって巻き掛けられ
たベルト25等により構成されている。案内プーリ24は支
持台26から突出する支持部材27の先端部に支軸を介して
回転自在に支持されている。

【００１５】ガイドローラ6 は、工作物W の穴内径に下
側から嵌脱し得るようにその穴内径よりも小径であっ
て、図４に示すように、転接用移動手段7 の揺動アーム
28の先端側に縦軸29により回転自在に支持されている。
転接用移動手段7 は、中間で縦方向の枢軸30により摺動
ベース11上に揺動自在に枢支された揺動アーム28と、こ
の揺動アーム28の他端側に連結された揺動用駆動手段31
が連結されている。揺動用駆動手段31はシリンダ等によ
り構成され、ガイドローラ6 が工作物W の穴内径に接離
するように揺動アーム28を駆動すると共に、ガイドロー
ラ6 が駆動ローラ4,5 との間で工作物W を挟むように所
定の圧力で付勢している。

【００１６】各静圧支持手段8,9 は、図４及び図５に示
すように、研削砥石2,3 が工作物Wの上下両端面を研削
する被研削面と反対側で一対の駆動ローラ4,5 とガイド
ローラ6 との間に配置され、工作物W の上下両端面の被
支持面を静圧的に支持し案内するようになっている。各
静圧支持手段8,9 は、静圧支持部材32,33 と、この静圧
支持部材32,33 に工作物W の被支持面に対向して装着さ
れた静圧パット34,35とを備え、その静圧パット34,35
は静圧支持部材32,33 側からの静圧流体を工作物W の被
支持面側に噴出するように多孔質材により構成されてい
る。

【００１７】静圧支持部材32,33 には、静圧パット34,3
5 側に静圧流体を案内する案内通路36,37 が形成され、
その案内通路36,37 はホース等を介して静圧流体供給源
（図示省略）に接続されている。なお、静圧流体には、
エアー、その他の静圧ガス、又は冷却液、研削液、その
他の静圧液体が使用されている。

【００１８】なお、静圧支持部材32,33 には、多孔質材
の静圧パット34,35 に代替して、工作物W の被支持面側
に静圧流体を噴出する噴出孔を設けても良い。噴出孔は
大きいものを１個設けても良いし、小さいものを複数個
分散させて設けても良い。

【００１９】下側の静圧支持手段9 は摺動ベース11上の
支持台38上に着脱自在に固定されている。上側の静圧支
持手段8 は、退避手段10により工作物W の被支持面に対
して退避可能に支持されている。

【００２０】退避手段10は、静圧支持手段8 を昇降させ
る昇降手段39と、上昇位置で静圧支持手段8 を水平方向
に旋回させる旋回手段40とにより構成されている。昇降
手段39は、上下方向の昇降部材41と、この昇降部材41を
上下に昇降させる昇降用駆動手段42とを備え、その昇降
部材41の下端部に静圧支持手段8 の静圧支持部材32が装
着されている。なお、昇降用駆動手段42は、シリンダ駆
動式、モータ駆動式、その他の適宜手段により構成され
ている。

【００２１】旋回手段40は、図６にも示すように、支持
台26上に縦方向の旋回軸43廻りに旋回自在に支持された
旋回アーム44と、この旋回アーム44を駆動する旋回用駆
動手段45とを備え、その旋回アーム44の先端側に昇降手
段39が装着されている。旋回用駆動手段45は、旋回シリ
ンダ、その他の適宜手段により構成されている。なお、
支持台26上には、静圧支持手段8 が工作物W の被支持面
の上方に対応する位置で旋回アーム44を位置決めする旋
回ストッパー46が設けられている。支持台26は駆動モー
タ19の取り付け台20の近傍で摺動ベース11上に固定され
ている。

【００２２】次に上記構成の両面研削装置における研削
方法を説明する。先ず摺動ベース11が研削砥石2,3 から
後退した後退位置において、揺動用駆動手段31により揺
動アーム28を揺動させて、ガイドローラ6 と駆動ローラ
4,5 との間隔を広げた後、穴内径にガイドローラ6 が嵌
合するように工作物W を投入し、工作物W を下側の静圧
支持手段9 上にセットする。従って、静圧支持手段9 上
に工作物W を容易に投入しセットできる。

【００２３】次に退避手段10の旋回手段40を作動させ
て、上側の静圧支持手段8 を工作物Wの上方へと旋回さ
せた後、昇降手段39を作動させて上側の静圧支持手段8
を降ろし、各静圧支持手段8,9 の静圧パット34,35 から
噴出する静圧流体を介して工作物W の被支持面側を上下
両側から静圧的に支持する。このとき静圧支持手段8,9
の静圧パット34,35 から噴出する静圧流体が、静圧パッ
ト34,35 と工作物W の被支持面との間を流れるので、そ
の静圧流体を介して上下の静圧支持手段8,9 により工作
物W を位置決めすることができる。

【００２４】そして、この静圧支持手段8,9 による工作
物W の位置決めが完了すると、揺動用駆動手段31により
揺動アーム28を揺動させて、ガイドローラ6 を工作物W
の穴内径に転接させ、揺動用駆動手段31の付勢力により
ガイドローラ6 を工作物W 側に押し付ける。

【００２５】すると各駆動ローラ4,5 が工作物W の外周
に転接し、この駆動ローラ4,5 とガイドローラ6 とによ
って、工作物W の被研削面と反対側の半径部分を半径方
向に挟み込むので、駆動ローラ4,5 の駆動力により工作
物W がａ矢示方向へと回転する。このため工作物W の穴
内径内にガイドローラ6 を容易に転接でき、またガイド
ローラ6 と駆動ローラ4,5 とにより工作物W を確実に挟
み込むことができる。

【００２６】次に摺動ベース11を研削砥石2,3 側へと前
進させて、工作物W の被研削面側を上下の研削砥石2,3
間に入れた後、研削サイクルに移行して、ａ矢示方向に
回転する上下の研削砥石2,3 により工作物W の上下両端
面の被研削面を研削する。

【００２７】従って、上下の静圧支持手段8,9 により工
作物W の上下両端面の被支持面側を静圧的に支持し、各
駆動ローラ4,5 とガイドローラ6 とにより工作物W を半
径方向に挟んだ状態で、その駆動ローラ4,5 により工作
物W をｂ矢示方向に回転させながら、工作物W の回転に
対して連れ廻り方向に回転する上下一対の研削砥石2,3
により、工作物W の上下両端面を研削する。

【００２８】研削砥石2,3 による研削が終了すると、摺
動ベース11を研削砥石2,3 から後退させた後に、退避手
段10の昇降手段39を作動させて静圧支持手段8 を上昇さ
せると共に、旋回手段40を作動させて上昇状態の静圧支
持手段8 を図６に二点鎖線で示す退避位置へと退避させ
る。

【００２９】一方、ガイドローラ6 を工作物W の穴内径
から離し、駆動ローラ4,5 とガイドローラ6 とによる工
作物W の挟持を解除する。従って、研削済みの工作物W
を下側の静圧支持手段9 上から容易に取り出すことがで
き、これによって工作物W の研削が完了する。

【００３０】この実施形態では、工作物W を外周側の駆
動ローラ4,5 と内周側のガイドローラ6 とによって挟み
込んだ状態で、工作物W の上下両端面の被支持面を一対
の静圧支持手段8,9 により静圧的に支持しながら、外周
側の駆動ローラ4,5 によって工作物W を駆動する半径駆
動・端面ガイド方式を採用しているので、工作物W の平
面度、面粗度を高精度に加工できる等、次のような利点
かある。

【００３１】即ち、外周側の駆動ローラ4,5 と内周側の
ガイドローラ6 とによって工作物Wの半径部分を挟み込
んだ状態で、その外周側の駆動ローラ4,5 により工作物
W を駆動しており、工作物W をその半径部分の外周側か
ら駆動できるため、工作物Wの剛性が従来に較べて増
し、工作物W の歪みが少なく高精度で研削できる。また
工作物W の剛性が増すため、駆動ローラ4,5 による駆動
力を大きくすることが可能であり、工作物W を高速回転
させて研削作業のサイクルタイムを大幅に短縮すること
ができる。

【００３２】特に工作物W の穴内径に転接するガイドロ
ーラ6 があり、このガイドローラ6と、研削砥石2,3 と
反対側の駆動ローラ4,5 とによって、工作物W の半径部
分を半径方向に挟み込んだ状態で研削砥石2,3 により研
削するので、研削時に工作物W に加わる応力が引っ張り
方向となり、工作物W を撓み難くすることができる。

【００３３】しかも研削力を保持する駆動ローラ4,5 を
ガイドローラ6 と一緒に研削砥石2,3 から離すことによ
り、駆動ローラ4,5 とガイドローラ6 との間で工作物W
の半径部分に撓みが発生しても、その撓みの被研削面へ
の影響を小さくすることができる。

【００３４】また研削砥石2,3 の砥石外径が工作物W の
中心からずれており、この研削砥石2,3 の研削力により
工作物W が連れ廻り回転する方向に、駆動ローラ4,5 に
よって工作物W を回転駆動するため、回転用駆動手段18
による工作物W の駆動力を小さくできる。従って、工作
物W を駆動のために駆動ローラ4,5 を工作物W に対して
加圧する加圧力が小さくなり、工作物W の撓みを少なく
することがきる。

【００３５】更に工作物W の両端面を静圧支持手段8,9
で静圧的に支持しながら工作物W を回転方向にガイドし
ているので、この静圧支持手段8,9 により工作物W の両
端面を高精度にガイドすることができる。

【００３６】しかも静圧支持手段8,9 による静圧的な支
持方式であるため、静圧支持手段8,9 の拘束力による工
作物W の撓みを少なくできると共に、静圧流体によるバ
ネ効果により、研削砥石2,3 と静圧支持手段8,9 の支持
面との位置決め精度の影響をラフにでき、位置決め調整
を簡単にできる利点がある。

【００３７】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
両面研削装置は縦型の他、横型、その他の型式でも良
い。駆動ローラ4,5 及びガイドローラ6 の配置形態は、
実施形態のように工作物W の外周側に２個の駆動ローラ
4,5 を、穴内径側に１個のガイドローラ6 を夫々配置す
る他、工作物W の外側に少なくとも２個のローラを配置
し、工作物W の穴内径側に１個のローラを配置し、これ
らの各ローラの内、少なくともその１個を駆動ローラに
すれば良い。

【００３８】従って、工作物W の外周側の少なくとも２
個の内、その１個を駆動ローラとし、他のローラをガイ
ドローラとしても良いし、穴内径側の１個のローラのみ
を駆動ローラとしても良い。また工作物W の内外に駆動
ローラを夫々少なくとも１個配置しても良いし、全てを
駆動ローラとしても良い。

【００３９】その他、工作物W の外周側に１個のローラ
を、工作物W の穴内径側に２個のローラを配置する等、
工作物W の内外合わせて少なくとも３個のローラを配置
しても良い。この場合、外周側に１個のローラを大径の
駆動ローラとし、穴内径側に２個のローラを小径のガイ
ドローラとすることも可能である。

【００４０】一対の静圧支持手段8,9 の内、実施形態で
は上側の静圧支持手段8 を退避手段10により退避させる
ようにしているが、下側の静圧支持手段9 を退避させる
ようにしても良い。横型の場合も同様である。勿論、工
作物W の保持が可能であるならば、両方の静圧支持手段
8,9 を退避させるようにしても良い。

【００４１】ガイドローラ6 を工作物W の穴内径に接離
させる転接用移動手段7 としては、揺動アーム28、揺動
用駆動手段31による揺動方式が最も構造的に簡単になる
が、ガイドローラ6 を接離方向に直線的に移動させるよ
うにしても良い。また穴内径側のガイドローラ6 により
工作物W を複数個の駆動ローラ4,5 に押し付ける場合、
複数個の駆動ローラ4,5 間の略中央に向かって押し付け
ることが望ましい。

【００４２】退避手段10は、工作物W の脱着に支承がな
いように静圧支持手段8,9 の一方を退避させれば十分で
あり、その具体的手段としては、昇降手段39及び旋回手
段40による昇降・旋回方式以外の退避方式を採用するこ
とも可能である。例えば、旋回手段40に代替して、上昇
状態の静圧支持手段8 を直線的に側方へと移動させるよ
うにしても良いし、また昇降手段39のみで構成しても良
い。

【００４３】勿論、横型の場合には、それに応じた退避
手段10を採用すれば良い。例えば、静圧支持手段8,9 の
一方又は両方を工作物W に対して遠近方向（横方向）に
移動させる横移動手段と昇降手段又は旋回手段とを併用
する等によって、退避手段10を容易に構成できる。

【００４４】

【発明の効果】 本発明に係る研削方法に
よれば、穴あき薄円板状工作物を回転させながら、該工
作物の両端面を一対の研削砥石により研削するに際し、
工作物の穴内径に転接するローラと、工作物の外周に転
接するローラとで構成される少なくとも３個のローラに
より、工作物の半径部分を半径方向に挟んで該工作物を
回転支持しながら、研削砥石により工作物の両端面を研
削するので、工作物の剛性が増し高精度に加工できると
共に、工作物の高速回転によりサイクルタイムを大幅に
短縮できる。

【００４５】また工作物の両端面を静圧支持手段により
支持するので、工作物を高精度に案内でき、拘束力によ
る工作物の撓みを少なくできる。

【００４６】しかも、研削砥石を工作物に対して連れ廻
り方向に回転させるので、工作物の駆動力が小さくて済
み、工作物を駆動するための加圧力を小さくでき、工作
物の撓みを少なくできる。

【００４７】本発明に係る研削装置によれば、穴あき薄
円板状工作物を回転させながら、該工作物の両端面を一
対の研削砥石により研削するようにした穴あき薄円板状
工作物の両面研削装置において、工作物の外周に転接す
る少なくとも２個のローラと、工作物の穴内径に転接し
且つ少なくとも２個のローラとの間で工作物の半径部分
を半径方向に挟んで回転自在に支持するローラとを備え
ているので、工作物の剛性が増し高精度に加工できると
共に、工作物の高速回転によりサイクルタイムを大幅に
短縮できる。

【００４８】また各ローラの内、少なくとも１個が工作
物を回転駆動する駆動ローラであり、駆動ローラにより
半径部分で工作物を駆動でき、工作物の剛性が増し高精
度に加工できると共に、工作物の高速回転によりサイク
ルタイムを大幅に短縮できる。

【００４９】しかも工作物の外周に転接する２個の駆動
ローラと、工作物の穴内径に転接し且つ両駆動ローラと
の間で工作物の半径部分を半径方向に挟み込んで回転自
在に支持するガイドローラと、該ガイドローラを両駆動
ローラに対して遠近方向に移動させる転接用移動手段と
を備えているので、工作物の脱着、駆動ローラとガイド
ローラとによる工作物の挟み込みを容易且つ確実にで
き、装置全体を簡単に構成できる。

【００５０】更に工作物の両端面を支持する一対の静圧
支持手段を備えているので、工作物を高精度に案内で
き、拘束力による工作物の撓みを少なくできると共に、
研削砥石と静圧支持手段との位置決め調整を容易にでき
る。また一対の静圧支持手段の内、少なくとも一方を工
作物の被支持面から退避させる退避手段を備えているの
で、工作物の脱着を容易にできる。

【００５１】また２個の駆動ローラとガイドローラとを
研削砥石と反対側に配置し、２個の駆動ローラとガイド
ローラとの間に静圧支持手段を配置しているので、工作
物を高精度に案内できると共に、駆動ローラとガイドロ
ーラとの間での工作物の撓みが少なく、しかも仮に多少
の撓みがあっても、工作物の被研削面への影響を少なく
できる。

【００５２】しかも各ローラ及び静圧支持手段を研削砥
石の直径方向に移動可能な一体の摺動ベース上に備えて
いるので、摺動ベース上の各ローラ、静圧支持手段を研
削砥石に対して一体に容易に進退させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す両面研削装置の側面
図である。

【図２】本発明の一実施形態を示す両面研削装置の正面
図である。

【図３】本発明の一実施形態を示す両面研削装置の平面
図である。

【図４】本発明の一実施形態を示す要部の断面側面図で
ある。

【図５】本発明の一実施形態を示す要部の断面正面図で
ある。

【図６】本発明の一実施形態を示す要部の平面図であ
る。

【符号の説明】

W 穴あき薄円板状工作物 2,3 研削砥石 4,5 駆動ローラ 6 ガイドローラ 7 転接用移動手段 8,9 静圧支持手段 10 退避手段 11 摺動ベース

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 穴あき薄円板状工作物を回転させなが
   ら、該工作物の両端面を一対の研削砥石により研削する
   に際し、前記工作物の穴内径に転接するローラと、前記
   工作物の外周に転接するローラとで構成される少なくと
   も３個のローラにより、前記工作物の半径部分を半径方
   向に挟んで該工作物を回転支持しながら、前記研削砥石
   により前記工作物の両端面を研削することを特徴とする
   穴あき薄円板状工作物の両面研削方法。
2. 【請求項２】 前記工作物の両端面を静圧支持手段によ
   り支持することを特徴とする請求項１に記載の穴あき薄
   円板状工作物の両面研削方法。
3. 【請求項３】 前記研削砥石を前記工作物に対して連れ
   廻り方向に回転させることを特徴とする請求項１又は２
   に記載の穴あき薄円板状工作物の両面研削方法。
4. 【請求項４】 穴あき薄円板状工作物を回転させなが
   ら、該工作物の両端面を一対の研削砥石により研削する
   ようにした穴あき薄円板状工作物の両面研削装置におい
   て、前記工作物の外周に転接する少なくとも２個のロー
   ラと、前記工作物の穴内径に転接し且つ前記少なくとも
   ２個のローラとの間で前記工作物の半径部分を半径方向
   に挟んで回転自在に支持するローラとを備えたことを特
   徴とする穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。
5. 【請求項５】 前記各ローラの内、少なくとも１個が前
   記工作物を回転駆動する駆動ローラであることを特徴と
   する請求項４に記載の穴あき薄円板状工作物の両面研削
   装置。
6. 【請求項６】 前記工作物の外周に転接する２個の駆動
   ローラと、前記工作物の穴内径に転接し且つ前記両駆動
   ローラとの間で前記工作物の半径部分を半径方向に挟み
   込んで回転自在に支持するガイドローラと、該ガイドロ
   ーラを前記両駆動ローラに対して遠近方向に移動させる
   転接用移動手段とを備えたことを特徴とする請求項４又
   は５に記載の穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。
7. 【請求項７】 前記工作物の両端面を支持する一対の静
   圧支持手段を備えたことを特徴とする請求項４〜６の何
   れかに記載の穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。
8. 【請求項８】 前記一対の静圧支持手段の内、少なくと
   も一方を前記工作物の被支持面から退避させる退避手段
   を備えたことを特徴とする請求項４〜７の何れかに記載
   の穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。
9. 【請求項９】 前記２個の駆動ローラと前記ガイドロー
   ラとを前記研削砥石と反対側に配置し、前記２個の駆動
   ローラと前記ガイドローラとの間に前記静圧支持手段を
   配置したことを特徴とする請求項６〜８の何れかに記載
   の穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。
10. 【請求項１０】 前記各ローラ及び前記静圧支持手段を
    前記研削砥石の直径方向に移動可能な一体の摺動ベース
    上に備えたことを特徴とする請求項４〜８の何れかに記
    載の穴あき薄円板状工作物の両面研削装置。