JP2000319757A - 鋼線材、鋼線及びその製造方法 - Google Patents
鋼線材、鋼線及びその製造方法Info
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Abstract
て、それを素材とする鋼線を高い生産性の下に歩留り良
く廉価に提供する。 【解決手段】C:0.93〜1.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:
0.1〜1.0%、Cr≦1.0%、Cu≦0.5%、Ni≦1.0%、Co≦
2.0%、Mo≦0.5%、W≦0.5%、V≦0.2%、Nb≦0.1%、R
EM≦0.03%、Ca≦0.003%、Mg≦0.003%、B≦0.005%を
含有し、残部はFe及び不純物で不純物中のAl≦0.0020
%、insol.Al≦0.0012%、Ti≦0.0020%、N≦0.0050
%、P≦0.012%、S≦0.01%、O≦0.0020%で、Ti(%)×
N(%)≦6×10-6、N(%)−1.3B(%)−0.3Ti(%)≦0.
0035%である線材。不純物中のSn≦0.005%、As≦0.003
%、Sb≦0.003%であれば一層よい。
Description
その製造方法に関する。より詳しくは、例えば、自動車
のラジアルタイヤや、各種産業用ベルトやホースの補強
材として用いられるスチールコード、更には、ソーイン
グワイヤなどの用途に好適な鋼線材と、前記の鋼線材を
素材とする鋼線及びその製造方法に関する。
ト、ホースの補強材として用いられるスチールコード用
鋼線、あるいは、ソーイングワイヤ用の鋼線は、一般
に、熱間圧延後調整冷却した線径(直径)が5〜6mm
の鋼線材(以下、「鋼線材を」単に「線材」という)
を、1次伸線加工して直径を3〜4mmにし、次いで、
パテンティング処理を行い、更に2次伸線加工して1〜
2mmの直径にする。この後、最終パテンティング処理
を行い、次いで、ブラスメッキを施し、更に最終湿式伸
線加工を施して直径0.2〜0.4mmにする。このよ
うにして得られた極細鋼線を、更に撚り加工で複数本撚
り合わせて撚鋼線とすることでスチールコードが製造さ
れる。
撚り加工する際に断線が生ずると、生産性と歩留りが大
きく低下してしまう。したがって、上記技術分野に属す
る線材や鋼線は、伸線加工時、冷間圧延加工時や撚り加
工時に断線しないことが強く要求される。
コードなどを軽量化する動きが高まってきた。このた
め、前記の各種製品に対して高強度が要求されるように
なり、上記のC含有量が0.8%未満の炭素鋼線材など
では、所望の高強度が得られなくなっている。このた
め、C含有量が高くて鋼線に高い強度を確保させること
ができる線材に対する要求が極めて大きくなっている。
て、偏析やミクロ組織を制御し、線材の伸線加工性や冷
間圧延加工性を高めて大きな真歪量の冷間加工を施し、
この際の加工硬化を利用して高強度化を図る技術が提案
されている。
は、線材のMnの偏析を制御する「伸線加工性のすぐれ
た高強度鋼線材」が開示されている。しかし、この公報
で提案された技術は、線材におけるMnの偏析ピーク幅
を小さくするために、鋳片サイズを大きくとって圧減
比を高める、中心偏析を改善するために鋳造時の溶鋼
過熱度を低めとする、鋳型内電磁攪拌を行う、凝固
末期に鋳片に圧下をかける、鋳片を均熱炉中で加熱し
偏析元素を拡散させる、などの特殊な処理を必要とす
る。このため、線材の製造工程や製造設備が異なる場合
には、必ずしも適用できないものであるし、たとえ適用
できたとしても製造コストが嵩むものであった。更に、
Mnの偏析を制御するものの、不純物元素に対する配慮
がなされていないので、大きな真歪量の冷間加工を施す
と断線する場合があって、必ずしも所望の高強度を鋼線
に付与できるというものではなかった。
の化学組成を有する鋼材からなり、初析セメンタイトの
含有平均面積率、更には、非金属介在物組成をも規定し
た「高強度高靱性鋼線材、該鋼線材を用いた極細鋼線お
よびその製法並びに撚り鋼線」が開示されている。しか
し、この公報で提案された技術においても不純物元素に
対する配慮がなされていないので、必ずしも所望の高強
度を鋼線に付与できるというものではなく、例えば、そ
の実施例に示されているように、直径0.20mmの極
細線における引張強さは高々418kgf/mm2 (4
099MPa)と低いものである。
「高強度高延性鋼線材および高強度高延性極細鋼線の製
造方法」が開示されている。しかし、この公報で提案さ
れた技術は、不純物元素のうち単にAlの含有量を0.
003重量%以下に制限したり、あるいは、前記Al含
有量の制限に加えてC、Mn及びCrの偏析を抑制する
だけで、冷間加工性、なかでも伸線加工性に影響を及ぼ
す他の不純物元素に対する配慮がなされていない。この
ため、必ずしも所望の高強度を鋼線に付与できるという
ものではなく、例えば、その実施例中の第1図及び表4
に示されているように、直径0.4mmの極細線の引張
強さは高々419.0kgf/mm2 (4109MP
a)と低い。なお、この公報で提案された技術の場合、
冷間加工性、なかでも伸線加工性に悪影響を及ぼすAl
以外の不純物元素に対する配慮がなされていないため、
高い伸線加工度(大きな真歪量)で伸線加工する場合に
は加工中に断線することが多くなる。このため、たとえ
直径0.1mmで470〜510kgf/mm2 (46
09〜5001MPa)の強度を有する極細鋼線が得ら
れても、工業的な規模での安定した生産性という点から
は必ずしも満足できるものではなかった。
を0.80〜0.85重量%含有する炭素鋼線材を使用
する「ゴム補強用極超高強度スチールワイヤおよびスチ
ールコード」が開示されている。しかし、この公報で提
案された技術は、素材となる線材の炭素含有量が0.8
0〜0.85重量%と低いため、パテンティング材の引
張強さが十分でなく、又、伸線加工時や冷間圧延加工時
の単位真歪み量あたりの引張強さ増加量、つまり、加工
硬化率も十分でない。したがって、最終伸線で極めて大
きな加工度で伸線加工する必要があるが、不純物元素に
対する配慮がなされていないので、大きな真歪量の伸線
加工を施すと断線する場合があって、必ずしも所望の高
強度を鋼線に付与できるというものではなかった。
冷間圧延加工)前の線材や鋼線の直径(d0 )と加工後
の鋼線の直径(d)を用いて下記の(i)式で表される
ものである。
鑑みなされたもので、その目的は、スチールコードやソ
ーイングワイヤなどの用途に好適な伸線加工性や冷間圧
延加工性に優れた線材を得るとともに、前記の線材を素
材とする鋼線を高い生産性の下に歩留り良く廉価に提供
することである。本発明のもう1つの目的は、前記の鋼
線として、特に、直径が0.4mm以下、引張強さが4
500MPa以上で、しかも、撚り加工を模擬した捻回
試験で縦割れを生じない高強度鋼線を提供することであ
る。
(1)と(2)に示す線材、(3)に示す鋼線及び
(4)に示す鋼線の製造方法にある。
%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0
%、Cr:1.0%以下、Cu:0.5%以下、Ni:
1.0%以下、Co:2.0%以下、Mo:0.5%以
下、W:0.5%以下、V:0.2%以下、Nb:0.
1%以下、REM(希土類元素):0.03%以下、C
a:0.003%以下、Mg:0.003%以下、B:
0.005%以下を含有し、残部はFe及び不可避不純
物から成り、不純物中のAlは0.0020%以下、i
nsol.Alは0.0012%以下、Tiは0.00
20%以下、Nは0.0050%以下、Pは0.012
%以下、Sは0.01%以下、O(酸素)は0.002
0%以下で、更に、下記式で表されるfn1の値が6
×10-6以下、且つ、下記式で表されるfn2の値が
0.0035%以下を満足する鋼線材。
下、Asが0.003%以下、Sbが0.003%以下
である上記(1)に記載の鋼線材。
組成を有し、直径が0.4mm以下で、引張強さが45
00MPa以上である鋼線。
材を冷間加工後に、最終熱処理、メッキ処理、湿式伸線
加工をこの順に施す鋼線の製造方法。
「酸不溶Al」で、本発明においてはAl2O3としての
Alを指す。
鋼で、コイル状に巻かれた鋼材を指し、所謂「バーイン
コイル」を含むものである。
には、通常の穴ダイスを用いた伸線加工だけでなく、ロ
ーラダイスを用いた伸線加工、所謂「2ロール圧延
機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延機」を用い
た冷間圧延加工を含む。
グ処理を指す。又、「メッキ処理」は、ブラスメッキ、
Cuメッキ、Niメッキなどのように、次の湿式伸線の
過程における引き抜き抵抗の低減や、スチールコード用
途の場合におけるようなゴムとの密着性を高めることな
どを目的に施されるものをいう。
をそれぞれ(1)〜(4)の発明という。
性に優れ、スチールコードやソーイングワイヤなどの用
途に好適な線材を得て、それによって前記の線材を素材
とする鋼線を高い生産性の下に歩留り良く製造するため
に、調査・研究を重ねた。その結果、下記の知見を得
た。
めるためには、C、Si、Mn、Crなどの合金元素の
含有量を増やせばよい。しかし、これら合金元素の含有
量の増加は線材の伸線加工性や冷間圧延加工性(以下、
単に「伸線加工性」ともいう)の低下、つまり、線材を
伸線加工したり冷間圧延加工する際の限界加工度の低下
を招くため、伸線加工時や冷間圧延加工時に断線する頻
度が増加する。又、鋼線の撚り加工性(以下、単に「撚
り加工性」ともいう)が低下して、撚り加工時に縦割れ
が発生する頻度が大きくなる。
加工性を高めるためには、不純物元素であるAl、T
i、N、P、S、O(酸素)の含有量を厳しく制限すれ
ばよい。
量について、前記式で表されるfn1が特定の値以下
の場合、TiNの析出する温度が低くなってTiNが微
細化するので、良好な伸線加工性と撚り加工性が得られ
る。
物元素であるTiと結合させて微細なTiNとして固定
することに加えて、Bを添加してBNを形成させてNを
固定すれば、鋼中の固溶N(所謂「フリーN」)量が大き
く減少するので、伸線加工性や撚り加工性が大きく向上
する。
物系介在物の総量を減らすことに加えて、硬質の酸化物
系介在物であるAl2O3の生成量、換言すればinso
l.Alの量を低減すれば、伸線加工性や撚り加工性が
大きく向上する。
Sbの含有量を厳しく制限すれば、伸線加工性や撚り加
工性が極めて良好になる。
たものである。
しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は
「重量%」を意味する。
し、その含有量が0.93%未満の場合には、TSで4
500MPa以上といった高い強度を安定して鋼線に付
与させることが困難である。一方、Cの含有量が多すぎ
ると鋼材が硬質化して伸線加工性や撚り加工性の低下を
招く。特に、C含有量が1.20%を超えると、初析セ
メンタイト(つまり、旧オーステナイト粒界に沿うセメ
ンタイト)の生成を防止することが困難になって、後述
の不純物元素を規定の含有量まで低減しても、伸線加工
時に断線が頻発する。又、撚り加工時に縦割れが多発す
る。したがって、Cの含有量を0.93〜1.20%と
した。
酸剤として必要な元素でもある。しかし、その含有量が
0.1%未満では添加効果に乏しく、一方、1.0%を
超えると伸線加工での限界加工度が低下し、TSで45
00MPa以上という所望の高強度が得られない。した
がって、Siの含有量を0.1〜1.0%とした。
として固定して熱間脆性を防止する作用を有する。しか
し、その含有量が0.1%未満では前記の効果が得難
い。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、1.0%を
超えると特に線材の中心部に偏析し、その偏析部にはマ
ルテンサイトやベイナイトが生成するので、伸線加工性
が低下してしまう。したがって、Mnの含有量を0.1
〜1.0%とした。
ラメラ間隔を小さくして圧延後及びパテンティング後の
強度を高める作用を有する。又、伸線加工を初めとする
冷間加工時の加工硬化率を高める働きがあるので、Cr
の添加によって比較的低い加工率でも高強度を得ること
ができる。こうした効果を確実に得るには、Crは0.
1%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その
含有量が1.0%を超えると、パーライト変態が終了す
るまでの時間が長くなり、熱間圧延後の線材の中心部に
マルテンサイトやベイナイトが生成するため、伸線加工
中の断線頻度が増加する。したがって、Crの含有量を
1.0%以下とした。
作用がある。この効果を確実に得るには、Cuは0.0
5%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その
含有量が0.5%を超えると結晶粒界に偏析して鋼塊の
分塊圧延や線材の熱間圧延など熱間加工時における割れ
や疵の発生が顕著になる。したがって、Cuの含有量を
0.5%以下とした。
に固溶してフェライトの靱性を向上させる効果を発揮す
る。この効果を確実に得るには、Niは0.1%以上の
含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が
1.0%を超えると、焼入れ性が高くなり過ぎてマルテ
ンサイトが生成し易くなり伸線加工性が劣化する。した
がって、Niの含有量を1.0%以下とした。
イトの析出を防止し、更にパーライトを微細化して強度
を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、C
oは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、2.0%を超えて含有させても前記の効果は飽和
し、コストが嵩むばかりである。したがって、Coの含
有量を2.0%以下とした。
ト、フェライト中に固溶し、強度を高める作用がある。
この効果を確実に得るには、Moは0.05%以上の含
有量とすることが好ましい。一方、0.5%を超える
と、焼入れ性が高くなり過ぎてマルテンサイトが生成し
易くなり伸線加工性が劣化する。したがって、Moの含
有量を0.5%以下とした。
フェライト中に固溶し、強度を高める作用がある。この
効果を確実に得るには、Wは0.05%以上の含有量と
することが好ましい。一方、0.5%を超えると、焼入
れ性が高くなり過ぎてマルテンサイトが生成し易くなり
伸線加工性が劣化する。したがって、Wの含有量を0.
5%以下とした。
結晶粒を微細化させ、延性及び靱性を高める作用を有す
る。この効果を確実に得るには、Vは0.05%以上の
含有量とすることが好ましい。しかし、0.2%を超え
て含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばか
りである。したがって、Vの含有量を0.2%以下とし
た。
ト結晶粒を微細化させ、延性及び靱性を高める作用を有
する。この効果を確実に得るには、Nbは0.01%以
上の含有量とすることが好ましい。しかし、0.1%を
超えて含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩む
ばかりである。したがって、Nbの含有量を0.1%以
下とした。
を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、R
EMは0.001%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、REMを0.03%を超えて含有させても
前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。した
がって、REMの含有量を0.03%以下とした。な
お、本発明でいう「REMの含有量」は、「REMの合
計の含有量」を指す。
高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Ca
は0.0001%以上の含有量とすることが好ましい。
しかし、Caを0.003%を超えて含有させても前記
の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがっ
て、Caの含有量を0.003%以下とした。
高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Mg
は0.0001%以上の含有量とすることが好ましい。
しかし、Mgを0.003%を超えて含有させても前記
の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがっ
て、Mgの含有量を0.003%以下とした。
Nと結合してBNを形成し、固溶Nを低減して、伸線加
工性を向上させ、更に、撚り加工時の縦割れ発生を抑制
する効果がある。この効果を確実に得るには、後述する
ように不純物元素としてのN、Tiの含有量にもよる
が、0.0003%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、Bを0.005%を超えて含有させると粗
大なBNが生成するので、伸線加工性や撚り加工性が低
下する。したがって、Bの含有量を0.005%以下と
した。
素であるAl、Ti、N、P、S、O(酸素)の含有量
を下記のとおりに制限する。
て伸線加工性や撚り加工性を低下させてしまう。特にそ
の含有量が0.0020%を超えると、前記酸化物系介
在物が粗大化して、伸線加工中の断線や撚り加工時の縦
割れが多発する。したがって、Alの含有量を0.00
20%以下とした。
不溶Al」で、本発明においてはAl2O3としてのAl
を指す。トータルのAl含有量を前記の0.0020%
以下に制限した上で、insol.Al量を0.001
2%以下に制限すれば、伸線加工中の断線や撚り加工時
の縦割れの発生頻度が低下して工業的な規模で十分な生
産性を確保することができる。したがって、inso
l.Al量を0.0012%以下とした。
大な場合、伸線加工中の断線や撚り加工時の縦割れ発生
の起点となるので伸線加工性や撚り加工性が低下してし
まうが、後述のように、TiとNの含有量について前記
式で表されるfn1が6×10-6以下の場合には、T
iNの析出する温度が低くなってTiNが微細化するの
で、伸線加工性や撚り加工性が低下することはない。し
かし、fn1の値を6×10-6以下にするために、Nの
含有量を0.003%程度を下回って低くすることは製
鋼コストが嵩んで経済性に欠ける。このため、Tiの含
有量を低く制限するのがよいので、Tiの含有量を0.
0020%以下とした。
上昇させる反面で、伸線加工性を低下させ、更に撚り加
工時の縦割れ発生を助長する。特に、その含有量が0.
0050%を超えると伸線加工性や撚り加工性の低下が
著しくなる。したがって、Nの含有量を0.0050%
以下とした。
てしまう。特に、その含有量が0.012%を超えると
伸線加工性や撚り加工性の低下が著しくなる。したがっ
て、Pの含有量を0.012%以下とした。
に、その含有量が0.01%を超えると伸線加工性や撚
り加工性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量
を0.01%以下とした。
を低下させてしまう。特に、Oの含有量が0.0020
%を超えると、酸化物系介在物が粗大化するので伸線加
工性や撚り加工性の低下が著しくなって、伸線加工時や
撚り加工時に断線が多発する。したがって、Oの含有量
を0.0020%以下とした。
大な場合、伸線加工時や撚り加工時の断線起点となるの
で伸線加工性や撚り加工性が低下してしまう。上記Ti
Nのサイズは鋼中での析出温度と密接な関係を有し、高
温で析出するほど粗大になる。TiNの析出温度は前記
した式で表されるfn1で決定され、この値が6×1
0-6を超えると、TiNの析出する温度が高くなってT
iNが粗大化し、伸線加工性や撚り加工性が低下する。
このためfn1の値を6×10-6以下とした。
の伸線加工中や冷間圧延加工中に転位に固着して鋼線の
強度を上昇させる反面で、伸線加工性や撚り加工性を低
下させてしまう。Nは、Ti、Bと結合してTiN、B
Nを形成する傾向が強いため、上記の固溶N量は前記し
た式で表されるfn2で見積もることができ、この値
が0.0035%を超えると伸線加工性や撚り加工性の
低下が大きい。したがって、fn2の値を0.0035
%以下とした。
含有量を制限すれば、伸線加工性や撚り加工性を一層高
めることができる。このため、極めて優れた伸線加工性
や撚り加工性が要求される場合には、前記した各種元素
に加えてSn、As及びSbの含有量を厳しく制限する
のがよい。したがって、(2)の発明においては、不純
物元素であるSn、As及びSbの含有量を下記のとお
りに制限する。
物元素として混入するが、その含有量を0.005%以
下に制限すると極めて良好な伸線加工性と撚り加工性が
得られる。したがって、Snの含有量を0.005%以
下とした。
物元素として混入するが、その含有量を0.003%以
下に制限すると極めて良好な伸線加工性と撚り加工性が
得られる。したがって、Asの含有量を0.003%以
下とした。
物元素として混入するが、その含有量を0.003%以
下に制限すると極めて良好な伸線加工性と撚り加工性が
得られる。したがって、Sbの含有量を0.003%以
下とした。
産業界の要請に応えるため、(3)の発明の鋼線におい
ては、前記(A)項の化学組成に加えて、その直径とT
Sも規定する。つまり、(3)の発明に係る鋼線はその
直径を0.4mm以下とし、TSを4500MPa以上
とする。直径が0.4mmを超えると、撚り加工性が低
下したり製品重量が大きくなってしまう。一方、TSが
4500MPaを下回ると、直径が0.4mm以下の場
合には、最終製品に所望の強度を付与できないことがあ
る。
その直径を0.4mm以下、TSを4500MPa以上
とした。鋼線のTSは4600MPa以上であることが
好ましい。
は特に規定されるものではない。しかし、自動車のラジ
アルタイヤの補強材として最も多く用いられるスチール
コードの直径が0.15mm以上であるので、鋼線の直
径は0.15mm以上であることが望ましい。一方、最
終製品の軽量化を果たすためにTSは高ければ高いほど
よい。
(4)の発明の方法で製造される。つまり、前記(A)
項に記した化学組成を有する線材に、穴ダイスを用いた
伸線加工、ローラダイスを用いた伸線加工、所謂「2ロ
ール圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延
機」を用いた冷間圧延加工など通常の冷間加工を施し
て、中間処理段階の鋼線が加工される。この中間処理段
階の鋼線に、通常の方法で、最終熱処理及び、ブラスメ
ッキ、Cuメッキ、Niメッキなど、次の湿式伸線の過
程における引き抜き抵抗の低減や、ゴムとの密着性の向
上などを目的とするメッキ処理を施し、更に湿式伸線を
行うことで極細鋼線が製造される。
ング処理を指すことは既に述べたとおりで、この処理
は、その組織が微細なパーライトを主体とし、高強度で
伸線加工性や撚り加工性に優れた鋼線を得ることを目的
に施されるものである。なお、最終熱処理後の組織は、
パーライトの面積率が90%以上であることが好まし
い。又、最終熱処理後の鋼線のTSは1500MPa以
上であることが好ましく、1570MPa以上であれば
一層好ましい。
を確実に付与するためには、最終熱処理とメッキ処理を
施した後の湿式伸線は、下記式で表されるfn3以上
の真歪量で行うことが好ましい。
直径(d0 )と伸線後の鋼線の直径(d)を用いて下記
の(i)式で表されるものである。
終製品へと加工される。例えば、極細鋼線を更に撚り加
工で複数本撚り合わせて撚鋼線とすることでスチールコ
ードが成形される。
る。
及び鋼A1〜F1を150kg真空溶解炉を用いて溶製
した。表1における鋼B〜D、鋼F〜O及び表2におけ
る鋼A1〜F1は化学組成が本発明で規定する含有量の
範囲内にある本発明例である。一方、表1における鋼
A、鋼E及び表2における鋼P〜Zは成分のいずれかが
本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例であ
る。
造して直径80mmの丸棒とした後、1150℃に加熱
してから圧延仕上げ温度900℃で直径5.5mmの線
材に熱間圧延した。
一次パテンティング処理、二次伸線加工を施し、直径
1.8mmの鋼線とした。この後更に、最終のパテンテ
ィング処理(オーステナイト化条件:1000℃×20
秒、鉛浴処理:570℃×30秒)を施し、引き続き通
常の方法でブラスメッキを行った後、各ダイスでの減面
率が平均で20%となるパススケジュールで、直径0.
4mm以下(具体的には0.30〜0.23mm)まで
湿式伸線加工を行った。
1.8mmの鋼線について引張試験を行った。又、直径
0.4mm以下の0.30〜0.23mmまで伸線でき
た鋼線について、それぞれ引張試験と捻回試験を行っ
た。なお、捻回試験は線径(直径)の100倍の長さの
部分を15rpmで断線するまで捻り、縦割れが生じた
かどうかをトルク曲線で判定した。すなわち、断線する
前に一旦トルクが減少した場合に縦割れが生じたと判断
した。
て示す。
鋼A、鋼E及び鋼P〜Zを用いた試験番号の場合、つま
り、Alとinsol.Alの含有量がそれぞれ0.0
020%、0.0012%を上回る試験番号1、C含有
量が1.20%を上回る試験番号9、B含有量が0.0
05%を上回る試験番号31、P含有量が0.012%
を超える試験番号32、Al含有量が0.0020%を
上回る試験番号33、insol.Al含有量が0.0
012%を上回る試験番号34、N含有量が0.005
0%を上回る試験番号35、前記式で表されるfn1
の値が6.0×10-6を超える試験番号36〜38、前
記式で表されるfn2の値が0.0035%を上回る
試験番号39、40、O含有量が0.0020%を超え
る試験番号41は伸線加工性が低く、直径0.4mmよ
り太い線径で断線した。
た試験番号、つまり、試験番号2〜8、10〜30及び
42〜53の場合には、伸線加工性が良好で0.4mm
以下に伸線可能なため高強度が得られている。
ちでも、最終熱処理とメッキ処理を施した後の湿式伸線
を前記式で表されるfn3以上の真歪量で行った場合
(試験番号4、6〜8、11、13〜16、23、2
5、27、29及び42〜53)には、TSで4500
MPaを上回る高強度が確実に得られることがわかる。
ちでも、鋼中不純物元素としてのSn、As、Sbの含
有量が低く、それぞれ0.005%以下、0.003%
以下、0.003%以下である場合(試験番号2〜8、
10〜13、17〜19、22〜30、42、43、4
6、47、50及び51)には、線径0.30〜0.2
3mmの鋼線を用いた捻回試験でいずれも縦割れが発生
せず、撚り加工性は極めて優れていた。
で、この線材を素材としてスチールコードやソーイング
ワイヤなどを高い生産性の下に歩留り良く提供すること
ができる。更に、直径が0.4mm以下、引張強さが4
500MPa以上で、しかも、撚り加工性に優れた高強
度鋼線を提供することもできる。
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、C:0.93〜1.20%、S
i:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、C
r:1.0%以下、Cu:0.5%以下、Ni:1.0
%以下、Co:2.0%以下、Mo:0.5%以下、
W:0.5%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%
以下、REM(希土類元素):0.03%以下、Ca:
0.003%以下、Mg:0.003%以下、B:0.
005%以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物か
ら成り、不純物中のAlは0.0020%以下、ins
ol.Alは0.0012%以下、Tiは0.0020
%以下、Nは0.0050%以下、Pは0.012%以
下、Sは0.01%以下、O(酸素)は0.0020%
以下で、更に、下記式で表されるfn1の値が6×1
0-6以下、且つ、下記式で表されるfn2の値が0.
0035%以下を満足する鋼線材。 fn1=Ti(%)×N(%)・・・・・ fn2=N(%)−1.3B(%)−0.3Ti(%)・・・・・ - 【請求項2】重量%で、更に不純物中のSnが0.00
5%以下、Asが0.003%以下、Sbが0.003
%以下である請求項1に記載の鋼線材。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載の化学組成を有し、
直径が0.4mm以下で、引張強さが4500MPa以
上である鋼線。 - 【請求項4】請求項1又は2に記載の鋼線材を冷間加工
後に、最終熱処理、メッキ処理、湿式伸線加工をこの順
に施す鋼線の製造方法。
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JP12768499A JP3528676B2 (ja) | 1999-05-07 | 1999-05-07 | 鋼線材、鋼線及びその製造方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
US7258756B2 (en) | 2003-10-23 | 2007-08-21 | Kobe Steel, Ltd. | Very thin, high carbon steel wire and method of producing same |
KR101449113B1 (ko) | 2012-08-21 | 2014-10-08 | 주식회사 포스코 | 굽힘 피로 특성 및 연성이 우수한 고탄소 강선 및 그 제조방법 |
EP2617848A4 (en) * | 2010-09-15 | 2015-07-01 | Kobe Steel Ltd | STEEL WITH BEARINGS |
-
1999
- 1999-05-07 JP JP12768499A patent/JP3528676B2/ja not_active Expired - Fee Related
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