JP2000319749A - NiCrMoV鋼及び該NiCrMoV鋼を用いてなる鋳鍛鋼部材 - Google Patents

NiCrMoV鋼及び該NiCrMoV鋼を用いてなる鋳鍛鋼部材

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JP2000319749A
JP2000319749A JP12632999A JP12632999A JP2000319749A JP 2000319749 A JP2000319749 A JP 2000319749A JP 12632999 A JP12632999 A JP 12632999A JP 12632999 A JP12632999 A JP 12632999A JP 2000319749 A JP2000319749 A JP 2000319749A
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Shogo Murakami
昌吾 村上
Shinsuke Haneda
晋介 羽田
Kazuo Fujita
和夫 藤田
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NbやTa等の炭化物形成元素を用いなくと
も、高い強度と高い靭性を発揮する(調質用)NiCr
MoV鋼と該NiCrMoV鋼を用いてなる鋳鍛鋼部材
を提供する。 【解決手段】 調質用NiCrMoV鋼において、長さ
1μm以上の針状セメンタイトが、観察視野において平
均0.15個/μm2以下のベイナイト組織を主体とさ
せる。上記調質用NiCrMoV鋼に対し、800〜1
000℃に加熱して行う少なくとも1回の焼入れ又は少
なくとも1回ずつの焼入れ及び焼きならし、並びに50
0〜700℃に3〜60時間保持する少なくとも1回の
焼戻しを施すことにより、高い強度と高い靭性を発揮す
るNiCrMoV鋼を得ることができる。このようにし
て得られたNiCrMoV鋼は、大型の鋳鍛鋼部材の材
料として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱処理により高強
度高靭性を発揮する調質用NiCrMoV鋼と、調質後
のNiCrMoV鋼、更には上記NiCrMoV鋼を用
いてなる鋳鍛鋼部材(例えば、蒸気タービンのロータ
や、船舶用ディーゼルエンジンのクランクシャフト等)
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】火力発電や原子力発電に用いられている
蒸気タービンのロータ材料としては、大きな引張強さや
良好な切欠き靭性を有するNiCrMoV鋼が採用され
ている。尚、近年では、蒸気タービンの大容量化に伴う
強度や靭性の向上の要求に応えるべく、Niの増量が図
られている。但し、Niは焼戻し脆化感受性を高めるも
のであることから、NbやTa等を添加することによっ
てγ粒径の微細化を行い、Ni添加量の低減を図る技術
が提案されている(例えば、特公昭63−38420
号,特開平1−230723号,特開平6−25689
3号等)。しかしながら、NbやTaなどは、高温で炭
化物を形成して鍛造性を損なうものであることから、こ
のような炭化物形成元素を用いなくとも、NiCrMo
V鋼の強度及び靭性の向上を図ることのできる技術の開
発が要望されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、NbやTa等の炭化物形
成元素を用いなくとも、高い強度と高い靭性を発揮する
(調質用)NiCrMoV鋼と該NiCrMoV鋼を用
いてなる鋳鍛鋼部材を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明に係る調質用NiCrMoV鋼とは、長さ1μm以上
の針状セメンタイトが、観察視野において平均0.15
個/μm2以下のベイナイト組織を主体とするものであ
ることを要旨とするものであり、上記調質用NiCrM
oV鋼に対し、800〜1000℃に加熱して行う少な
くとも1回の焼入れ又は少なくとも1回ずつの焼入れ及
び焼きならし、並びに500〜700℃に3〜60時間
保持する少なくとも1回の焼戻しを施すことにより、高
い強度と高い靭性を発揮するNiCrMoV鋼を得るこ
とができる。このようにして得られたNiCrMoV鋼
は、大型の鋳鍛鋼部材の材料として好適である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明者らは、NbやTa等の炭
化物形成元素を用いないことを前提にして、NiCrM
oV鋼の製造過程の組織状態と、得られる特性の関係に
ついて、鋭意研究を重ねた。その結果、熱処理のいずれ
かの段階で、後述する特定の組織にすれば、以後の熱処
理工程で得られる強度と靭性を大幅に高まることを突き
止めた。上記特定の組織とは、任意の断面で観察される
長さ1μm以上の針状セメンタイトの数密度が平均0.
15個/μm2以下であるベイナイト組織である。ベイ
ナイトは冷却条件の違いによって組織を3種類に分類で
き、図1に示す様に、I型,II型,III型と呼ばれ、この
うちII型が上部ベイナイト,III型が下部ベイナイトと
呼ばれ、上部ベイナイトではラス界面に、下部ベイナイ
トではラス内部に針状のセメンタイトが生成する。
【0006】本発明において、高強度及び高靭性を得る
上でNiCrMoV鋼の中間材(調質用NiCrMoV
鋼)に好適な組織とは、大きな針状セメンタイトの少な
いベイナイト組織であって、下部ベイナイトを主体とし
て、観察視野において長さ1μm以上の針状セメンタイ
トの数密度が平均0.15個/μm2以下という条件を
満足するものである。
【0007】本発明に係る下部ベイナイト組織を得るに
あたっては、オーステナイト域(800〜1300℃)
からの鍛錬後または焼きならし後(特に300〜450
℃間)の冷却速度を遅くするか、或いは上記の温度域で
保持する時に生成する粗大な針状セメンタイトを少なく
することによって、調質(焼入れ−焼戻し)後の強度と
靭性のバランスを従来のNiCrMoV鋼より格段に向
上させることが可能である。
【0008】粗大セメンタイト密度が高いとその後の焼
きならし又は焼入れ後に得られる結晶粒が大きくなり、
FATT[fracture appearance transition temperatu
re破面遷移温度]が高くなる(靭性が低下する)。粗大
セメンタイト(以下、粗大θということがある)は上部
ベイナイト(II型)の生成による。この上部ベイナイト
が生成すると焼きならしまたは焼入れの加熱中にラス構
造が崩れず、逆変態して生成するオーステナイトの方位
が揃ってしまって合体し成長する為、結晶粒が大きくな
るのである。また、最終的に得られた結晶粒が同じ場合
でもFATTが高くなるのは、最終的に得られる旧オー
ステナイト粒間の方位差が小さいために、見掛けの粒度
は同じでも有効結晶粒径が違うためと考えられる。
【0009】また粗大θ密度を低くするには、以下の様
にすればよい。NiCrMoV鋼におけるAc3点から
の冷却時間及び温度と得られる組織の関係の一例を図2
に示す。図2に示すグラフに基づいて、ベイナイトIII
が多く生成する様に、オーステナイト域(800〜13
00℃)からの冷却速度を選択すればよい。特に300
〜450℃間の冷却速度を1〜50℃/hrに制御する
方法が推奨される。50℃/hrを超えると島状マルテ
ンサイトが増大し、靭性が逆に悪くなるので注意が必要
である。また必ずしも一定の冷却速度で冷却する必要は
なく、オーステナイト域から250〜280℃域までマ
ルテンサイト変態しない冷却速度で急冷後保持する冷却
パターン(例えば、600℃で数十時間保持後、急冷し
250℃で保持する等の冷却パターン)でも良い。
【0010】本発明は、NiCrMoV鋼の組成を限定
するものではなく、通常のNiCrMoV鋼を採用すれ
ばよいが、ASTMによれば、表1に示すA469のcl
ass6,7,8 、A470のclass 5,6,7 、A471のclass
1〜9 が例示できる。
【0011】
【表1】
【0012】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の主旨に基づいて設計変更すること
はいずれも本発明の技術的範囲内に含まれるものであ
る。
【0013】
【実施例】[供試材製造方法]真空誘導溶解により表2
の組成を有するインゴットを150kg溶製し、123
0℃で20時間のソーキングを施した後、鍛造と123
0℃加熱を数回繰り返し、鍛錬比(インゴット径/鍛造
部材径)3の加工を施した。その後、再度1230℃に
加熱し、630℃以下の冷却速度を0.2〜100℃/
hrに変化させ生成するセメンタイト形態を制御し、針
状セメンタイトの密度を変化させた。
【0014】[針状セメンタイトの測定方法]試料をピ
クリン酸硝酸溶液で腐食後、走査型電子顕微鏡にて50
00倍で約1000μm2の範囲を数視野写真撮影後、
長さが1μm以上の針状セメンタイト(針状θ)の数を
夫々測定し平均した値を粗大θ密度とした。
【0015】[熱処理と強度及び靭性の測定]上記供試
材を用いて、表3に示す熱処理条件(ヒートパターンの
1〜4は図3に示す)により調質を行い、耐力,引張強
度,FATTを測定した。尚、表3において、焼きなら
し,焼入れ,焼戻しの欄の複数の温度や時間は、左から
順に先行する熱処理工程の条件であり、温度及び保持時
間は、雰囲気ではなく実体測定のものである。
【0016】結果は、表3に併記する。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】ヒートパターン1を採用した場合におい
て、本発明例では、耐力710MPa超、引張強度83
0MPa超、FATTが−20℃以下という特性が得ら
れた。ヒートパターン2〜4では、焼きならしや焼入れ
を繰り返して結晶粒を小さくする程(粒度番号が大きく
なる程)、FATTが低くなる(靭性が良くなる)傾向
にあるが、粗大θ密度が0.1個/μm2を超える場合
にはFATTが高くなる(靭性に乏しい)ことが分か
る。
【0020】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、NbやTa等の炭化物形成元素を用いなくとも、高
い強度と高い靭性を発揮する(調質用)NiCrMoV
鋼と該NiCrMoV鋼を用いてなる鋳鍛鋼部材が提供
できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)の3種のベイナイトを示す説明
図である。
【図2】冷却条件と組織の関係を示すグラフである。
【図3】実施例で採用した熱処理方法(ヒートパター
ン)を示す説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さ1μm以上の針状セメンタイトが、
    観察視野において平均0.15個/μm2以下のベイナ
    イト組織を主体とするものであることを特徴とする調質
    用NiCrMoV鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の調質用NiCrMoV
    鋼を800〜1000℃に加熱して行う少なくとも1回
    の焼入れ又は少なくとも1回ずつの焼入れ及び焼きなら
    し、並びに500〜700℃に3〜60時間保持する少
    なくとも1回の焼戻しを施したものであることを特徴と
    するNiCrMoV鋼。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のNiCrMoV鋼を用
    いてなることを特徴とする鋳鍛鋼部材。
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