JP2000319565A - 電気凝固印刷インキおよびその利用 - Google Patents

電気凝固印刷インキおよびその利用

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JP2000319565A
JP2000319565A JP13159899A JP13159899A JP2000319565A JP 2000319565 A JP2000319565 A JP 2000319565A JP 13159899 A JP13159899 A JP 13159899A JP 13159899 A JP13159899 A JP 13159899A JP 2000319565 A JP2000319565 A JP 2000319565A
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printing
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Satoru Otsuji
哲 尾辻
Atsushi Betto
温 別当
Katsuhiko Sawamura
勝彦 澤村
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被印刷体の非画像部に地汚れを引き起こすこ
とがなく、高画質な印刷物を与える電気凝固印刷インキ
を提供すること。 【解決手段】 電解凝固可能なポリマー、可溶性電解
質、顔料および液状媒体を少なくとも含む電気凝固印刷
インキにおいて、前記電気凝固印刷インキ中に分散され
たときの前記顔料の体積累積50%粒子径が0.3〜2
μmであると共にその粒度分布において0.2μm以下
の粒子の割合が25重量%以下であるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気凝固印刷分野
における改良に関するものであり、特に、地汚れ防止性
能に優れた電気凝固印刷インキ、およびそれを用いた印
刷物、ならびに電気凝固印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気凝固印刷は、コンピュータからのデ
ジタル画像信号で直接印刷物を得ることができる全く版
を必要としない印刷方式であり、従来の印刷方式、たと
えばオフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラ
ビア印刷などとは異なり版の製作、版替えなどの工程を
必要としないため、印刷作業に要する時間が短い、とい
うメリットを有している。また、本印刷法では、電解凝
固可能なポリマー、可溶性電解質、顔料等の着色剤およ
び液状媒体を少なくとも含む水性インキ(電気凝固印刷
インキ)を使用することができるため、油性インキを使
用する従来の印刷法と比べて、大気汚染、火災の危険
性、作業時の安全衛生などの点でも優れている。
【0003】電気凝固印刷方法および装置については、
アメリカ特許第4,895,629号(登録日:199
0年1月23日)、第5,538,601号(登録日:
1996年7月23日)、第5,693,206号(登
録日:1997年12月2日)などに記載されている。
【0004】この印刷方法では、陽極表面が洗浄された
後、油性物質を含む被覆剤が陽極表面に塗布され、その
表面上に、電解的に凝固可能なポリマーを含む電気凝固
印刷インキの電気凝固によって生じた、所望の画像に対
応する凝固インキのドットが形成され、陽極表面に残存
する凝固されなかったインキ、すなわち非凝固インキが
取り除かれた後、露出された凝固インキのドットが被印
刷体に転写され、それによって被印刷体に画像が印刷さ
れる。
【0005】また、電気凝固印刷装置は、不動態表面を
有するシリンダー形状等の回転する陽極、陽極と一定の
距離に離間されて配置される複数の陰極、陽極表面洗浄
手段、被覆剤塗布手段、電気凝固印刷インキ供給手段、
非凝固インキ除去手段、および陽極上の凝固インキのド
ットを被印刷体に転写する転写手段を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】印刷インキの電気凝固
後、非凝固インキの除去工程で、非凝固インキは、たと
えば軟質ゴム製スキージで陽極表面をこする等の方法に
より、陽極表面から取り除かれ、その後、凝固インキが
画像として被印刷体に転写される。しかしこのとき、非
凝固インキを陽極表面から完全に取り除く(掻き取る)
ために、スキージの硬度を上げたり、スキージを陽極表
面に押しつける圧を高めたりすると、凝固インキのドッ
ト自体が一部取り除かれたり、傷ついたりしてしまい、
印刷濃度の低下やスジの発生により鮮明な画像が得られ
ず、印刷物の品質が低下してしまうという問題があっ
た。一方、スキージによる非凝固インキの掻き取りが弱
いと、非画像部の非凝固インキが除去しきれず、印刷物
の地汚れの原因となる。このように、凝固インキのドッ
トを傷つけない程度にスキージを調節して、地汚れが生
じない程度に非凝固インキを取り除くことは、極めて困
難で煩雑な作業であるため、従来より、非凝固インキの
陽極表面からの除去が容易であるような電気凝固印刷イ
ンキの開発が望まれていた。
【0007】本発明は、上記に鑑みてなされたものであ
り、印刷時に非凝固インキを容易に陽極表面から取り除
くことができて被印刷体の非画像部に好ましくない地汚
れの発生を防止しうる電気凝固印刷インキ、および、そ
れを用いて得られる、地汚れによる品質低下がなく品質
の高い印刷物ならびに当該インキを用いた電気凝固印刷
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、電気凝固印刷
インキ中に分散された顔料の粒度が細かすぎると、スキ
ージによる掻き取りが不十分となって地汚れが生じるこ
とを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】すなわち、本発明に係る電気凝固印刷イン
キは、電解凝固可能なポリマー、可溶性電解質、顔料お
よび液状媒体を少なくとも含み、前記電気凝固印刷イン
キ中に分散されたときの前記顔料の体積累積50%粒子
径が0.3〜2μmであると共にその粒度分布において
0.2μm以下の粒子の割合が25重量%以下であるこ
とを特徴とするものである。このように、本発明の電気
凝固印刷インキでは、分散時の顔料の粒径が上記所定の
範囲に制御されているので、陽極表面からの非凝固イン
キの離脱が容易になって掻き取りが充分に行われ、印刷
物の非画像部の全面にわたるような地汚れの発生を回避
することができる。
【0010】上記において、分散時の顔料の体積累積5
0%粒子径が0.3μm未満では、スキージにより非凝
固インキを掻き取りきれず地汚れが生じる。一方、分散
時の顔料の体積累積50%粒子径が2μmを超えると、
印刷濃度や顔料の発色性が低下したり、粗大粒子による
スジが発生したりして、鮮明な色が再現された高品質な
画像を提供することができない。また、分散時にその粒
度分布において0.2μm以下の顔料粒子が25重量%
を超えて存在すると、陽極表面から非凝固インキを掻き
取りきれず、印刷物に地汚れが生じる。
【0011】本発明の電気凝固印刷インキはさらに、上
記顔料を分散させるための分散剤を、顔料容積1cm3
当たり0.02〜0.6g含んでいることが好ましい。
これにより、インキの粘度安定性、発色性、再溶解性が
高まる他、分散剤による顔料粒子の被覆が充分に行われ
て顔料粒子表面が親水性となるため、陽極表面に塗布さ
れた被覆剤中の油性物質との親和性が弱まり、その結
果、陽極表面からの非凝固インキの除去が一層容易なも
のとなる。また、電気凝固印刷インキへの顔料の分散性
をより向上させ、効率よく本発明の所定の分散時の粒度
を達成させることができると共に、得られる印刷物の画
像濃度を一層高めることが可能となる。
【0012】また、本発明に係る印刷物は、本発明に係
る電気凝固印刷インキにより印刷されているものであ
る。本発明の電気凝固印刷インキを用いることにより、
非画像部の地汚れがない、高画質な印刷物を得ることが
可能となる。
【0013】さらに、本発明に係る電気凝固印刷方法
は、本発明に係る電気凝固印刷インキを用いるものであ
り、上記の高画質な印刷物を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の電気凝固印刷イン
キについて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる
「インキ」とはすべて、「電気凝固印刷インキ」を示
す。
【0015】本発明のインキには、少なくとも、電解凝
固可能なポリマー、可溶性電解質、顔料および液状媒体
が配合される。
【0016】本発明のインキに用いられる電解凝固可能
なポリマーは、多価金属イオンと化学結合可能なポリマ
ーであり、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基、硝
酸基などの官能基を有していることが好ましく、特にカ
ルボキシル基、スルホン基を有していることが好まし
い。その重量平均分子量は、約1万〜約100万の範囲
のものが好ましく、さらに好ましくは、約10万〜約6
0万である。ここで、重量平均分子量は、ゲル濾過クロ
マトグラフィ(検出器:示差屈折計)や、ポリマーの極
限粘度と重量平均分子量との関係式などにより求めるこ
とができる。このポリマーの重量平均分子量が約1万よ
り小さい場合は、インキが凝固しにくくなって凝固ドッ
トの大きさを充分に確保することができず、印刷物の濃
度が低下する恐れがある。一方、ポリマーの重量平均分
子量が約100万を超える場合は、インキの粘度が高く
なりすぎて、インキ製造時や印刷時の作業性が劣る傾向
がみられる。ポリマーの骨格構造は、枝分かれを有する
分岐状でもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0017】上記電解凝固可能なポリマーの具体例とし
ては、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、寒天などの天
然ポリマーや、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸の変性
物、ポリアクリルアミドの変性物、ポリアクリル酸ヒド
ラジド、アクリル酸とアクリルアミドを構成要素とする
共重合体、などの合成ポリマーを挙げることができ、こ
れらを単独で、または2種以上を混合して用いることが
できる。なお、変性物とは、エステル化、アミド化また
は加水分解反応等により、あるいは一部に別のモノマー
を共重合させる共重合反応により、物理的・化学的性質
を変えたものを意味する。
【0018】好ましい電解凝固可能なポリマーは、ポリ
アクリルアミドの変性物であり、ノニオン性、アニオン
性、あるいはカチオン性のアクリルアミドポリマーを挙
げることができる。こうしたポリアクリルアミドの変性
物は、荒川化学工業株式会社、三菱化学株式会社、ハリ
マ化成株式会社、三井化学株式会社、三井サイテック株
式会社、三洋化成工業株式会社などのメーカーから入手
することができる。なかでも好ましいのは、アニオン性
アクリルアミドポリマーであり、具体的には、三井サイ
テック株式会社から入手可能なアコストレングス86
(ACCOSTRENGTH 86)を挙げることがで
きる。
【0019】この電解凝固可能なポリマーは、インキの
総重量に対して、約4〜約15重量%の量で含まれるの
が好ましく、さらに好ましくは、約6〜約12重量%の
量で含まれる。その含有量が約4重量%未満の場合は、
凝固ドットの大きさを充分に確保することができず被印
刷体に転写された凝固インキの濃度が低下する傾向がみ
られる。一方、含有量が約15重量%より多い場合は、
インキの粘度が高くなりすぎて、インキ製造時や印刷時
の作業性が劣る傾向がみられる。
【0020】インキに配合される可溶性電解質は、イン
キの導電率を高め、さらに陽極表面における不動態酸化
物被膜に所望の破壊を生じさせるためのものである。好
ましい電解質は、ハロゲン化物であり、特に塩化物が好
ましい。たとえば、アルカリ金属のハロゲン化物、アル
カリ土類金属のハロゲン化物として、塩化リチウム、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムな
どが挙げられ、また、塩化アンモニウム、塩化ニッケ
ル、塩化銅、塩化マンガンなども好ましく使用すること
ができる。これらは、単独で、または2種以上を混合し
て用いることができる。
【0021】インキの導電率は、25℃において1mS
/cm以上であることが好ましく、また概ね200mS
/cm以下であることが好ましい。導電率が1mS/c
mより小さい場合には、インキが充分に電気凝固され
ず、被印刷体に転写される凝固インキの反射濃度が低く
なる恐れがある。したがって、可溶性電解質は、インキ
の導電率が上記の範囲になるような量で配合され、一般
には、インキの総重量に対して約5〜約10重量%の
量、より好ましくは約6〜約9重量%の量でインキ中に
含まれる。
【0022】本発明のインキに配合される顔料は、一般
の印刷インキ、塗料、または記録剤などに使用されてい
る有機系あるいは無機系顔料を任意に使用することがで
き、特に限定されることはないが、インキ中に分散され
たときの体積累積50%粒子径は0.3〜2μmであ
り、かつ、その粒度分布において0.2μm以下の粒子
の割合は25重量%以下でなければならない。好ましく
は、分散時の体積累積50%粒子径は約0.5〜約1μ
mであり、その粒度分布において0.2μm以下の顔料
粒子の割合が約10重量%以下であるものが選ばれる。
【0023】ここで、体積累積50%粒子径とは、顔料
粒子の累積体積が全体積の1/2となるような粒子径
(中心径またはメディアン径)をいう。
【0024】この顔料の分散時の粒度は、分散機の粉砕
メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時
間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度、あるい
は後述する分散剤の種類などを適宜調節することによ
り、本発明の所定の粒度になるよう制御することができ
る。なお、インキ中の顔料粒子は、高次の顔料凝集体が
分散されて、一次粒子、二次粒子、あるいはそれらの軟
凝集体の混合物として存在しているものと推察される。
【0025】具体的には、有機顔料としては、アゾ系、
フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペ
リノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサ
ジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメ
チン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系等
が挙げられる。黄インキ、紅インキにはアゾ系顔料を用
いるのが好ましく、たとえば、東洋インキ製造株式会社
から入手可能なリオノールイエロー(Lionol Y
ellow)#1919、クラリアント社から入手可能
なパーマネントルビン(Permanent Rubi
ne)F6BまたはL6Bなどを挙げることができる。
藍インキには銅−フタロシアニン系顔料が好適であり、
たとえば、東洋インキ製造株式会社から入手可能なリオ
ノールブルー(Lionol Blue)FG−740
0Gなどを挙げることができる。
【0026】また、無機顔料としては、カーボンブラッ
ク、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、
炭酸カルシウム、酸化クロムなどが挙げられる。墨イン
キにはカーボンブラックを使用することが好ましい。カ
ーボンブラックの具体例としては、たとえばキャボット
社(CABOT CORP.)から入手可能なカーボン
ブラック モナーク120(Carbon Black
Monarch(登録商標)120)などを挙げるこ
とができる。
【0027】これらの顔料は、単独で、または、色相や
濃度の調整のために2種以上を混合して用いることがで
き、インキの電気凝固により形成される凝固インキのド
ットの濃度と着色力を確保する量で使用される。好まし
くは、インキの総重量に対して、約4〜約20重量%の
量でインキ中に含まれる。なお、顔料は、水性スラリー
の状態で用いてもよく、このスラリーをスプレードライ
などの乾燥により粉末化したものを用いてもよい。ま
た、顔料はあらかじめ、以降に述べる分散剤および/ま
たは上記電解凝固可能なポリマーにより液状媒体に分散
させ、得られた顔料分散体に、可溶性電解質等の残りの
成分を加えるようにすることが好ましい。
【0028】以上述べてきた電解凝固可能なポリマー、
可溶性電解質および顔料を溶解または分散させて所望の
インキを提供するための液状媒体としては、水が使用さ
れることが望ましい。
【0029】本発明のインキには、さらに、顔料を分散
させるための分散剤として、アニオン性、ノニオン性、
カチオン性、両イオン性などの界面活性剤を単独で、ま
たは2種以上を組み合わせて配合することができる。顔
料が自己分散型の顔料である場合、あるいは、電解凝固
可能なポリマーを用いて分散させる場合など、分散剤を
添加しなくても必要な分散は得られるが、分散剤を添加
することにより、一層容易に、本発明の適切な分散を得
ることができ、また、地汚れ防止効果もさらに向上す
る。
【0030】こうした界面活性剤は、特に限定されるこ
とはないが、好ましくは、ナフタレンスルホン酸ホルム
アルデヒド縮合物のアルカリ金属塩であり、より好まし
くは下記一般式(1);
【化1】 (ただし、式中、Mはアルカリ金属であり、nは2から
15の整数である)で示される化合物である。なかで
も、Mがナトリウム、nが5〜12のものが好適であ
る。このようなナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド
縮合物のアルカリ金属塩は、花王株式会社、三洋化成工
業株式会社、サンノプコ株式会社、第一工業製薬株式会
社、共栄社化学株式会社、東邦化学工業株式会社、ボー
ム・フィラテックス・カナダ社(Boehme Fil
atex Canada Inc.)などから市販され
ているものを用いることができる。たとえば、上記一般
式(1)中のMがナトリウムでありnが7である化合物
は、水溶液として、クロスパース2500(Closp
erse2500)の商標でボーム・フィラテックス・
カナダ社によって販売されており、その有効成分は約4
2%である。
【0031】また、別の好ましい分散剤の例としては、
ビスフェノールスルホン酸ポリマーが挙げられる。この
ポリマーは、スルホン酸基(−SO3H)を分子中に含
むビスフェノール骨格を有する化合物の重合体であり、
たとえば、下記一般式(2);
【化2】 で示される化合物であることが好ましい。式中、R1
2は、水素または低級アルキル基であって、水素、メ
チル基、エチル基であることが好ましい。
【0032】こうした分散剤は、顔料容積1cm3当た
り0.02〜0.6gの量でインキ中に含まれることが
好ましく、さらに好ましくは、顔料容積1cm3当たり
約0.04〜約0.4gの範囲が選ばれる。上記含有量
が0.02gより少ない場合は、顔料粒子の表面の被覆
が不足して顔料粒子の表面性状が充分に親水化されない
ために、被覆剤中の油性物質との親和性が強くなる結
果、地汚れを生じやすくなる場合がある。あるいは、粒
子の安定性が低下するために、電解凝固可能なポリマー
や可溶性電解質との混合時に顔料の再凝集が生じ、印刷
濃度の低下や印刷物上のスジが生じやすくなる場合があ
る。また、上記含有量が0.6gより多い場合は、分散
剤の界面活性能によりインキの表面張力が低下して地汚
れを引き起こしたり、また、インキの粘度が高くなった
り、インキに泡立ちが生じたりする恐れがある。
【0033】なお、顔料粒子の表面積は、N2またはC
2ガス吸着により比表面積から求めることができる
が、その場合、顔料の種類によって顔料の細孔が異なる
こと、また、ガスの配座面積は分散剤よりも小さいため
にガス吸着から換算される表面積は顔料分散の観点から
は大きくなってしまうことなどから、ここでは、分散剤
の配合量を、顔料の表面積当たりで換算する代わりに容
積換算を用いている。
【0034】本発明のインキは、また、多価金属イオン
と錯体を形成する金属イオン封鎖剤を含むことができ
る。多価金属イオンは、電気凝固印刷において凝固イン
キのドットを形成させる必須成分であるが、インキ中に
多価金属イオンが存在すると、インキが電気凝固する前
に、インキ中の電解凝固可能なポリマーと多価金属イオ
ンが化学結合し、インキの粘度が増加する。このインキ
の粘度は、多価金属イオンの濃度に応じて上昇し、多価
金属イオン濃度が高い場合は、電気凝固させる前にイン
キのゲル化が生じてしまう。具体的には、インキ中の多
価金属イオン、たとえば第二鉄イオン濃度が約25pp
mを超えると、通常の印刷に不適切なほどインキの粘度
が高くなり、約140ppmを超えるとインキのゲル化
が生じる。
【0035】こうした多価金属イオンは、インキに使用
される原材料に含まれていたり、インキの製造工程で混
入したりする場合がある。また、陽極表面から非凝固イ
ンキを除去してインキ供給手段へ戻して再利用する際、
少量の凝固インキも非凝固インキと共に回収されるた
め、再利用されるインキは陽極表面から溶出された多価
金属イオンを少量含んでいる。したがって、電気凝固印
刷時間が長くなるにつれて、印刷インキ供給手段から供
給されるインキ中の多価金属イオン濃度は増加する場合
がある。
【0036】そこで、こうした好ましくないインキの粘
度上昇を防ぐために、本発明のインキには、インキ中の
多価金属イオン濃度が約20ppm以下、好ましくは約
15ppm以下になるような状態を維持する量で、金属
イオン封鎖剤を配合することができる。なお、金属イオ
ン封鎖剤を大過剰で用いた場合は、多価金属イオンをほ
ぼ完全に錯体化したのちインキ中に錯形成可能な金属イ
オン封鎖剤が残ってしまい、これが電気凝固の際に、陽
極表面から溶出されて凝固インキのドットを形成させる
必須成分である多価金属イオンを錯体化するため、電解
凝固可能なポリマーの架橋を妨げて電気凝固率を低下さ
せてしまう恐れがある。したがって、金属イオン封鎖剤
は、このようなインキの電気凝固を妨げない量の範囲内
で使用される。この金属イオン封鎖剤のインキへの配合
方法は、従来公知の方法でよく、たとえば、インキ製造
時に配合する、印刷作業の直前や印刷作業中に配合す
る、などいずれでも可能である。
【0037】また、上記のように電気凝固印刷では、長
時間印刷を行う場合インキ中の多価金属イオンの量が徐
々に増加してくる場合があるので、印刷開始時に用いる
インキ(始動用インキ)と、印刷途中で追加するインキ
(補充用インキ)とでは、添加する金属イオン封鎖剤の
量を変える(すなわち、補充用インキの方により多量の
金属イオン封鎖剤を用いる)ことが好ましい。
【0038】金属イオン封鎖剤の含有量は、インキ中の
多価金属イオンの濃度の他、使用される金属イオン封鎖
剤の種類に依存し、さらに、インキに含まれる電解凝固
可能なポリマーの種類、量によっても変化するものであ
るため、一律に定まるものではないが、目安としては、
インキの総重量に対して約0.01〜約0.3重量%で
あることが好ましい。インキが上記始動用インキとして
使用される場合、金属イオン封鎖剤は、インキの総重量
に対して、好ましくは0〜約0.2重量%の量、より好
ましくは約0.01〜約0.15重量%の量でインキ中
に含まれる。一方、補充用インキの場合は、印刷中に増
加する多価金属イオンを錯体化することを考慮し、イン
キの総重量に対して好ましくは約0.05〜約0.3重
量%の量、より好ましくは約0.1〜約0.3重量%の
量で、金属イオン封鎖剤がインキ中に含まれる。
【0039】金属イオン封鎖剤として具体的には、金属
イオンとの結合の安定性の観点から、金属イオンを中心
金属原子として組み込んだ環状構造を形成することがで
きる化合物を用いることが好ましく、エチレンジアミン
四酢酸(EDTA)、イミノ二酢酸(IDA)、ヒドロ
キシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、エチレンビス
(ヒドロキシフェニル)グリシン(EHPG)、ヒドロ
キシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニ
トリロ三酢酸(NTA)、エチレン−ビス(オキシエチ
レンニトリロ)四酢酸(EGTA)、シクロヘキサンジ
アミン四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五
酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(T
THA)などのポリアミノカルボン酸とその塩類を好適
に用いることができる。これらは、単独で、または2種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】本発明のインキは、顔料粒子の分散時の粒
度を制御することにより非画像部の全面にわたる地汚れ
を防止しうるものであるが、こうした全面に広がる地汚
れとは別に、若干の斑点状の地汚れが生じる場合があ
る。そこで、本発明のインキは、このような斑点状の地
汚れ発生を防ぐために、アセチレングリコール系界面活
性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸などを含むことができ
る。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0041】本発明のインキは、さらに必要に応じて、
その他の各種添加剤を含んでいてもよい。たとえば、菌
類、カビ等の発生を防ぐための防腐・防かび剤を含むこ
とが好ましい。好ましい防腐・防かび剤としては、デヒ
ドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピ
リジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン
−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3
−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン
塩などが挙げられ、これらを単独で、または2種以上を
混合して用いることができる。より具体的には、たとえ
ば、パルメトールK−50(PARMETOL K−5
0)の商標でグレイプロダクツ社(GRAY PROD
UCTS)により販売されているものを用いることがで
きる。この防腐・防かび剤は、インキの総重量に対し
て、約0.01〜約2.0重量%の量で使用されること
が好ましい。これらは、菌類、かびなどの種類に応じ
て、単独で、または2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0042】その他にも、本発明のインキは、必要に応
じて、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止
剤、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、
保湿剤、有機溶剤などを含むことができる。
【0043】以上のような各成分を分散機を用いて均一
に分散させ、さらに顔料粒子の粒度を調整することによ
り、本発明のインキを製造することができる。分散機と
しては、一般に使用されるもの、たとえば、ローラーミ
ル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミ
ルなどを用いることができる。なかでも、分散効率の観
点から、サンドミルを用いることが好ましい。また、イ
ンキ中に気泡や予期せぬ粗大粒子などが含まれている場
合は、インキの電気凝固を妨げ画像品質を低下させるた
め、脱泡装置、濾過器などを用いた従来公知の方法でこ
れらを取り除くことが好ましい。
【0044】以上のようにして製造されたインキの水素
イオン濃度(pH)は、25℃で測定したときに約3〜
約8の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、
約3〜約6の範囲である。pHが約3〜約8の範囲外で
あると、被印刷体に転写された凝固インキの濃度が低く
なる傾向があるからである。インキのpHを調整するに
は、塩酸、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化アンモニウムなど、従来公知の酸やアルカ
リを使用することができる。
【0045】また、製造されたインキの粘度は、30℃
で約100〜約1500mPa・sの範囲であることが
好ましい。インキの粘度が約100mPa・sより低い
と被印刷体に転写された凝固インキの濃度が低くなる恐
れがあり、約1500mPa・sより高いとインキ製造
時や印刷時の作業性が劣る傾向にある。インキの粘度
は、使用される原材料の種類や量、たとえば電解凝固可
能なポリマー、顔料、液状媒体などを適宜選択すること
により調整することができる。
【0046】本発明のインキは、特に、インキの総重量
に対して、約4〜約15重量%のアニオン性アクリルア
ミドポリマー、約4〜約20重量%の顔料、約5〜約1
0重量%のアルカリ金属のハロゲン化物、約60〜約8
0重量%の水、約0.1〜約5重量%のビスフェノール
スルホン酸ポリマー、約0.01〜約0.3重量%のポ
リアミノカルボン酸またはその塩類、および約0.01
〜約2重量%の防腐・防かび剤を含む、pH約3〜約6
の水性液状分散体であることが好ましい。
【0047】次に、本発明の電気凝固印刷方法について
説明する。本発明の電気凝固印刷方法とは、本発明のイ
ンキを用いる電気凝固印刷法であり、本発明のインキの
電気凝固によって画像が形成され、このようにして形成
された画像が被印刷体に転写される全印刷プロセスを意
味する。全印刷プロセスは、少なくとも以下の(b)、
(c)、(d)、(f)工程を含み、好ましくは以下の
全工程(a)〜(f)を含んでいる。
【0048】(a)洗浄工程:陽極(回転シリンダ)表
面を洗浄する。 (b)被覆工程:陽極表面を油性物質を含む被覆剤のミ
クロ液滴で被覆する。 (c)充填工程:陰陽電極間(ギャップ)に電気凝固印
刷インキを充填する。 (d)凝固工程:選択された陰極と陽極との間に電圧を
印加して、陽極表面に所望の画像を表わす凝固インキの
ドットを形成する。 (e)除去工程:陽極表面に残存する非凝固インキを除
去する。 (f)転写工程:凝固インキのドットを被印刷体に接
触、転写させて、被印刷体に画像を形成する。
【0049】この電気凝固印刷における「インキの電気
凝固」とは、上記プロセス(d)の凝固工程において、
電極間への電圧印加により陽極表面上の不動態酸化物被
膜が破壊されて陽極表面から多価金属イオンが溶出し、
この多価金属イオンと電気凝固印刷インキ中に含まれる
電解凝固可能なポリマーとの反応によりインキが凝固す
ることであり、それにより、陽極表面上に凝固インキの
ドットが形成される。すなわち、通電の際に陽極から放
出される多価金属イオンが、ポリマー分子とイオン結合
や配位結合を形成することによりポリマー分子同士を架
橋し、水に難溶の凝固物(ドット)を形成することであ
る。ここで、陽極表面から溶出する多価金属イオンは、
たとえばステンレス鋼またはアルミニウムからなる陽極
が用いられる場合、3価の鉄イオンまたは3価のアルミ
ニウムイオンなどである。
【0050】上記工程(b)で用いられる、陽極表面を
被覆するための被覆剤は、凝固インキが陽極表面から被
印刷体に転写されやすくなるように、インキの電気凝固
に先立って陽極表面に塗布されるものであり、不飽和脂
肪酸、不飽和植物油、脂肪酸モノエステル、イソステア
リン酸、シリコンオイル、エチレンオキサイド鎖を有す
るノニオン系界面活性剤などの油性物質を含んでいる。
また、被覆剤には、粘度を調整するための金属酸化物を
添加することもできる。
【0051】この電気凝固印刷は、たとえば図1に示す
ような電気凝固印刷装置を用いて実施することができ
る。図1にその概要をみるように、電気凝固印刷装置1
は、複数の足部3でベースプレート5が立設されてお
り、このベースプレート5上には複数のフレーム7が上
下方向へ延伸して立設されている。このフレーム7の上
部には一対の垂直プレート9が設けられ、各垂直プレー
ト9に駆動モータ(図示せず)によって回転自在なシリ
ンダ状陽極11が挟持されている。この陽極11は、図
1において紙面に対して垂直方向に延伸され、不動態酸
化物被膜からなる不動態表面を備えている。
【0052】この電気凝固印刷装置1には、陽極11の
表面に沿って被覆剤を塗布し、陽極表面上に被覆剤のミ
クロ液滴を形成する被覆剤塗布手段13と、本発明のイ
ンキを陽極に供給する温度調節手段(図示せず)を備え
たインキ供給手段15と、本発明のインキの電気凝固に
よって所望の画像を表す凝固インキの複数のドットを前
記陽極表面上に形成するための複数の陰極17を有する
印刷ヘッド19が設けられ、さらに、非凝固インキを陽
極表面から除去するためのスキージのような非凝固イン
キ除去手段21が設けられている。そして、陽極表面上
に得られた所望の画像を表す凝固インキの複数のドット
と被印刷体Wとを接触させて、凝固インキのドットを陽
極表面から前記被印刷体Wへと転写させる(その結果、
被印刷体Wに画像が印刷される)手段として、圧胴23
が設けられている。
【0053】たとえば、上記陽極11はステンレス鋼ま
たはアルミニウムからなり、上記非凝固インキ除去手段
21は軟質ポリウレタン製スキージであり、上記圧胴2
3はポリウレタン製である。また、陽極11と複数の陰
極17との間隔は、約50〜約100μmであることが
好ましい。
【0054】また、陽極11の下方には、陽極表面上に
残留する転写されなかった凝固インキ、非凝固インキ、
被覆剤などを洗浄することで陽極表面から除去する、温
度調節手段(図示せず)を備えた陽極表面洗浄手段25
が設けられている。
【0055】このような構成により、回転している陽極
11の陽極表面に被覆剤塗布手段13により被覆剤が塗
布され、そのミクロ液滴が形成されたのち、インキ供給
手段15により、一定の距離に位置する陰極17と陽極
11との間の電極間に、本発明のインキが供給される。
供給されたインキは、選択された陰極と陽極との電極間
に電圧を印加することにより電気凝固して凝固インキの
ドットを形成し、非凝固インキは非凝固インキ除去手段
(スキージ)21により陽極表面から除去される。
【0056】次いで、陽極表面上に形成された凝固イン
キのドットは、陽極11と圧胴23との間で被印刷体W
が凝固インキのドットと接触することによって、被印刷
体Wに転写され、印刷される。
【0057】多色印刷の場合は、図1に示す電気凝固印
刷装置1を、用いる色の数に合わせた所望の台数用意
し、各電気凝固印刷装置1の陽極表面上に形成された所
望の色相の凝固インキのドットによる画像を、それぞれ
の転写位置で見当を合わせて転写することにより可能と
なる。たとえば、図1に示す電気凝固印刷装置1を4台
タンデムに配置して、4台の装置で黄、藍、紅、墨イン
キを順次印刷することにより、プロセス印刷が可能とな
る。
【0058】また、本発明のインキを使用して印刷を行
う電気凝固印刷装置としては、上記アメリカ特許第5,
538,601号に記載されている種類のセンタードラ
ム式印刷装置であってもよい。この印刷方式は、陽極表
面洗浄手段、被覆剤塗布手段、インキ供給手段、陽極と
一定の距離に位置する複数の陰極、非凝固インキ除去手
段、および転写手段(圧胴)からなる印刷ユニットを、
不動態表面を有するシリンダ形状の回転する単一の陽極
のまわりに配置するシステムである。たとえば、4つの
印刷ユニットを単一の陽極のまわりに配置し、4つの印
刷ユニットで本発明の黄、藍、紅、墨インキを順次印刷
することにより、プロセス印刷が可能となる。
【0059】被印刷体としては、非塗工印刷用紙、塗工
印刷用紙(コート紙、アート紙、キャストコート紙等)
が最適である。また、プラスチックからなる基材上に受
像層を設けた吸水性シートも、好ましく用いられる。受
像層は、特に限定されることはないが、たとえば、水系
の電気凝固印刷インキを吸収させるために、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド等の吸水性樹脂層から構成することができる。
【0060】次に、本発明の印刷物について説明する。
本発明の印刷物は、上記のような任意の被印刷体上に本
発明のインキを用いた印刷がなされているものである。
特に限定はされないが、たとえば、上記のような電気凝
固印刷方法により、本発明の印刷物を好ましく得ること
ができる。
【0061】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、
以下、「重量%」は単に「%」と記載する。
【0062】以下の記載において、pHは25℃で電気
化学計器社製ガラス電極式水素イオン濃度計を用い、導
電率は25℃でHORIBA社製CONDUCTIVI
TYMETER DS−12を用い、粘度は30℃でト
キメック社製B型粘度計を用いて、それぞれ測定した値
である。インキ中の顔料の粒径については、日機製社製
の動的光散乱型粒度分布計MICROTRAC UPA
MODEL:9340−UPAにより測定した。また、
印刷物の反射濃度は、X−Rite社製X−Rite
(登録商標)MODEL408を用いて測定した。
【0063】(1)インキの調製 [実施例1]以下の原料を用いて、実施例1の紅色イン
キを製造した。 アゾ系紅顔料 11.25% (クラリアント社:Permanent Rubin F6B) アニオン性分散剤(ビスフェノールスルホン酸ポリマー) 1.66% (日本製紙株式会社:Visperse P−125) アニオン性アクリルアミドポリマー 7.64% (三井サイテック株式会社:Accostrength 86) 塩化カリウム 9.52% EDTA2ナトリウム2水和物 0.01% 防腐・防かび剤 0.05% 脱イオン水 69.87% 合 計 100.0%
【0064】まず、サンドミルを用い、吐出量6kg/
分で1回通して、顔料を分散剤により水中に分散させ、
顔料分散体を得た。次に顔料分散体にポリマーを添加
し、さらに塩化カリウムとEDTA2ナトリウム2水和
物を加え、その後防腐・防かび剤と脱イオン水を添加し
た。塩酸にてpHが4.1になるように調整した。この
ようにして得られた印刷インキの導電率は121.1m
S/cm、粘度は604mPa・sであった。なお、顔
料の容積を求めるうえで必要な比重(水を1とする)
は、ASTM D153の方法で求められるほか、Na
tional Printing Ink Resea
rch Instituteから出版されているRaw
Material Data Handbookに記
載されている方法で求めてもよい。
【0065】製造したインキ中の顔料の粒径は、体積累
積50%粒子径が0.905μm、粒度分布における
0.2μm以下の粒子の割合は0%であった。
【0066】[実施例2〜7、比較例1〜4]上記実施
例1と同様にして、表1に示した原料を用い、表1に示
した分散条件で、実施例2〜7、比較例1〜4のインキ
をそれぞれ調製した。得られたインキの導電率、粘度、
顔料の体積累積50%粒子径および粒度分布における
0.2μm以下の粒子の割合を表1に示す。
【表1】
【0067】(2)電気凝固印刷 アメリカ特許第5,639,206号に記載された種類
の図1に示した電気凝固印刷装置を使用して、上記得ら
れた各インキにより電気凝固印刷を行った。ここで、陽
極および陰極として、ステンレス鋼シリンダ状陽極と直
径約50μmの複数の陰極(両電極間の間隔は50μ
m)を用いた。被覆剤にはオレイン酸を用いた。また、
インキと、陽極を洗浄する装置に使用される洗浄液とを
40℃に加温し、インキおよび陽極を40℃に保持して
印刷を行った。なお、インキ供給装置におけるインキの
液面が下がるとインキを追加して、液面を一定に保持す
るようにした。なお、被印刷体には、コート紙を用い
た。
【0068】得られた印刷物のシャドー部の反射濃度
(Dmax)と非画像部の反射濃度(地汚れ)を測定し
た。ここで、Dmaxは、色ごとに、数値の大小で画像
濃度の高低を評価するものである。また、地汚れについ
ては、非画像部の反射濃度が0.01未満であれば、地
汚れがないものと評価できる。結果を表1に併せて示
す。
【0069】表1にみるように、分散状態で所定の粒度
を有する顔料を含んだ本発明のインキを使用した場合
は、充分な画像濃度(Dmax)が得られるとともに、
非画像部の地汚れが非常に少なく、画像部にスジ(掻か
れ)等もない高画質な印刷物が得られた。これに対し、
0.2μm以下の粒子の割合が所定量を超えている顔料
を含む比較例1〜3のインキでは、地汚れが発生し、ま
た、体積累積50%粒子径が所定の大きさを超えている
顔料を含む比較例4のインキでは、実用上必要な画像濃
度が得られなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明の電気凝固印刷インキは、電解凝
固可能なポリマー、可溶性電解質、顔料および液状媒体
を少なくとも含み、電気凝固印刷インキ中に分散された
ときの前記顔料の体積累積50%粒子径が0.3〜2μ
mであると共にその粒度分布において0.2μm以下の
粒子の割合が25重量%以下となっているので、被印刷
体の非画像部に好ましくない地汚れを引き起こすことが
なく、高画質な印刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施に用いられる電気凝固印
刷装置の一例を示した概略図である。
【符号の説明】
1 電気凝固印刷装置 11 陽極 13 被覆剤塗布手段 15 インキ供給手段 17 陰極 19 印刷ヘッド 21 非凝固インキ除去手段 23 圧胴 25 陽極表面洗浄手段 W 被印刷体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤村 勝彦 東京都中央区京橋二丁目三番13号 東洋イ ンキ製造株式会社内 Fターム(参考) 4J039 AB01 AB07 AD09 AD12 AF07 BA04 BA10 BA13 BA16 BA17 BA18 BA29 BA30 BA31 BA35 BA36 BA38 BA39 BC39 BC54 BC60 BC64 BE01 BE22 BE29 EA15 EA16 EA17 EA19 EA24 EA42 EA48 FA02 GA34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解凝固可能なポリマー、可溶性電解
    質、顔料および液状媒体を少なくとも含む電気凝固印刷
    インキであって、前記電気凝固印刷インキ中に分散され
    たときの前記顔料の体積累積50%粒子径が0.3〜2
    μmであると共にその粒度分布において0.2μm以下
    の粒子の割合が25重量%以下であることを特徴とする
    電気凝固印刷インキ。
  2. 【請求項2】 前記顔料を分散させるための分散剤を、
    前記顔料の容積1cm3当たり0.02〜0.6g含ん
    でいる請求項1に記載の電気凝固印刷インキ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の電気凝固印刷
    インキにより印刷されていることを特徴とする印刷物。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の電気凝固印刷
    インキを用いることを特徴とする電気凝固印刷方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005132462A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 赤外線透過性に優れた表示を印刷してなる包装用アルミニウム箔
JP2005132460A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 赤外線透過性に優れた表示を印刷してなる包装用アルミニウム箔
JP2005343568A (ja) * 2005-08-19 2005-12-15 Nippon Foil Mfg Co Ltd 赤外線透過性に優れた表示を印刷してなる包装用合成樹脂製フィルム

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