JP2000315481A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP2000315481A
JP2000315481A JP2000014869A JP2000014869A JP2000315481A JP 2000315481 A JP2000315481 A JP 2000315481A JP 2000014869 A JP2000014869 A JP 2000014869A JP 2000014869 A JP2000014869 A JP 2000014869A JP 2000315481 A JP2000315481 A JP 2000315481A
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positive electrode
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裕之 長谷部
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隆久 大崎
Motoi Kanda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が向上された非水電解質二次電池を提
供しようとするものである。 【解決手段】 正極と、負極と、前記正極及び前記負極
の間に配置され、加熱により孔が閉塞する性質を有する
多孔質セパレータとを備える電極群5;前記セパレータ
に保持される非水電解質;及び内面の少なくとも一部が
熱可塑性樹脂層から形成されたシートからなり、前記電
極群を収納すると共に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒー
トシールして前記電極群を密封するための外装材3;を
具備し、前記正極、前記負極及び前記セパレータは、一
体化されており、前記熱可塑性樹脂層は、前記セパレー
タの孔閉塞開始温度に比べて高い融点を有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解質二次電
池に係わる。
【0002】
【従来の技術】現在、携帯電話などの携帯機器向けの非
水電解質二次電池として、リチウムイオン二次電池が商
品化されている。この電池は、正極にリチウムコバルト
酸化物(LiCoO2)、負極に黒鉛質材料や炭素質材
料、有機溶媒にリチウム塩を溶解した非水電解質、セパ
レータに多孔質膜、外装材に円筒形あるいは角形の金属
缶が用いられている。
【0003】ところで、携帯機器の薄型化に伴って非水
電解質二次電池の薄型化及び軽量化が要望されている。
前述したリチウムイオン二次電池の厚さを4mm以下に
するには、金属缶の厚さを薄くする必要がある。
【0004】しかしながら、金属缶の厚さを薄くする
と、金属缶を成形すること自体が大変に難しくなる。こ
のため、外装材として金属缶を備え、かつ厚さが4mm
以下のリチウムイオン二次電池の実用化はほとんど困難
であった。
【0005】一方、米国特許公報5,437,692号
には、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配
置されたゲル状のポリマー電解質層とからなる電極群が
電池収納部材内に密封されているリチウムイオン二次電
池が開示されている。これら米国特許公報に記載の発明
の目的は、リチウムイオンの移動度を高くすることによ
りサイクル寿命を向上させることにある。また、電池収
納部材についての詳細な説明が全くなされていない。
【0006】しかしながら、このゲル状ポリマー電解質
層を備えた二次電池は、内部短絡、過充電、あるいは1
30℃以上の高温放置などにより異常な発熱もしくは昇
温を生じると、ポリマー電解質層の粘性が低下し、正極
と負極が接する、つまり内部短絡を生じ、破裂に至ると
いう危険性を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安全
性が向上された非水電解質二次電池を提供しようとする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、正極
と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置され、加
熱により孔が閉塞する性質を有する多孔質セパレータと
を備える電極群;前記セパレータに保持される非水電解
質;及び内面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂層から形
成されたシートからなり、前記電極群を収納すると共
に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒートシールして前記電
極群を密封するための外装材;を具備し、前記正極、前
記負極及び前記セパレータは、一体化されており、前記
熱可塑性樹脂層は、前記セパレータの孔閉塞開始温度に
比べて高い融点を有する非水電解質二次電池が提供され
る。
【0009】本発明によれば、正極と、負極と、前記正
極及び前記負極の間に配置され、ポリオレフィン、セル
ロース及びポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくと
も1種類からなり、空気透過率が600秒/100cm
3以下で、厚さが5〜30μmの多孔質シートからなる
セパレータとを備える電極群;前記セパレータに保持さ
れる非水電解質;及び内面の少なくとも一部が熱可塑性
樹脂層から形成されたシートからなり、前記電極群を収
納すると共に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒートシール
して前記電極群を密封するための外装材;を具備し、前
記正極、前記負極及び前記セパレータは、一体化されて
おり、前記熱可塑性樹脂層は、前記セパレータの孔閉塞
開始温度に比べて高い融点を有する非水電解質二次電池
が提供される。
【0010】本発明によれば、正極と、負極と、前記正
極及び前記負極の間に配置され、ポリオレフィン、セル
ロース及びポリフッ化ビニリデンから選ばれる少なくと
も1種類から形成された多孔質シートからなるセパレー
タとを備える電極群;前記セパレータに保持される非水
電解質;及び内面の少なくとも一部がポリオレフィン層
から形成されたシートからなり、前記電極群を収納する
と共に、前記ポリオレフィン層同士をヒートシールして
前記電極群を密封するための外装材;を具備し、前記正
極、前記負極及び前記セパレータは、一体化されてお
り、前記ポリオレフィン層は、前記セパレータの孔閉塞
開始温度に比べて高い融点を有する非水電解質二次電池
が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る非水電解質二次電池
は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置
され、加熱により孔が閉塞する性質を有する多孔質セパ
レータとを備える電極群;前記セパレータに保持される
非水電解質;及び内面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂
層から形成されたシートからなり、前記電極群を収納す
ると共に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒートシールして
前記電極群を密封するための外装材;を具備する。前記
外装材は、内面の少なくとも一部を形成する熱可塑性樹
脂層を含む多層シートか、もしくは熱可塑性樹脂製のシ
ートを用いることができる。
【0012】前記正極、前記負極及び前記セパレータ
は、一体化されている。また、前記熱可塑性樹脂層は、
前記セパレータの孔閉塞開始温度に比べて高い融点を有
する。
【0013】この二次電池の2種類の具体例(以下、第
1の非水電解質二次電池および第2の非水電解質二次電
池と称す)を説明する。
【0014】<第1の非水電解質二次電池>この第1の
非水電解質二次電池においては、前記正極及び前記セパ
レータがこれらの境界の少なくとも一部に存在する接着
性を有する高分子により一体化されていると共に、前記
負極及び前記セパレータがこれらの境界の少なくとも一
部に存在する接着性を有する高分子により一体化されて
いる。特に、前記正極及び前記セパレータがこれらの内
部及び境界に点在する接着性を有する高分子により一体
化されていると共に、前記負極及び前記セパレータがこ
れらの内部及び境界に点在する接着性を有する高分子に
より一体化されていることが望ましい。
【0015】1)正極 この正極は、活物質、導電剤及び結着剤を含む正極層が
集電体の片面もしくは両面に担持された構造を有する。
【0016】前記正極活物質としては、種々の酸化物、
例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、
リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸
化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム
含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二
硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物
などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバ
ルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニ
ッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8Co0.2
2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiM
2 4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られ
るために好ましい。
【0017】前記導電剤としては、例えばアセチレンブ
ラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができ
る。
【0018】前記結着剤は、活物質を集電体に保持さ
せ、かつ活物質同士をつなぐ機能を有する。前記結着剤
としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−
ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0019】前記正極活物質、導電剤および結着剤の配
合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜2
0重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ま
しい。
【0020】前記正極層の厚さは、10〜150μmの
範囲にすることが好ましい。ここで、正極層の厚さと
は、セパレータと対向する正極層表面と集電体と接する
正極層表面との距離を意味する。例えば、図1に示すよ
うに、集電体Sの両面に正極層Pが担持されている場
合、セパレータと対向する正極層表面P1と集電体と接
する正極層表面P2との距離が正極層の厚さTである。
従って、正極層の厚さを10〜150μmにする場合、
集電体の両面に正極層が担持されている正極では正極層
の合計厚さが20〜300μmの範囲となる。正極層の
厚さを10〜150μmの範囲内にすることによって、
大電流放電特性及びサイクル寿命を向上することができ
る。正極層の厚さは、30〜100μmの範囲内にする
ことがより好ましい。この範囲にすることによって、大
電流放電特性及びサイクル寿命を大幅に向上することが
できる。
【0021】前記正極層の厚さは、以下に説明する方法
で測定される。まず、互いに1cm以上離れて存在する
10点を任意に選択し、各点の厚さを測定し、その平均
値を算出することにより正極の厚さを測定する。但し、
測定しようとしている正極が、集電体の両面に正極層が
担持された構造を有する場合には、片方の正極層を除去
してから正極の厚さを測定する。次いで、集電体から正
極層を除去し、集電体の厚さを測定する。集電体の厚さ
は、互いに1cm以上離れて存在する10点を任意に選
択し、各点の厚さを測定し、その平均値を算出すること
により求められる。前記正極の厚さと前記集電体の厚さ
の差を、求める正極層の厚さとする。
【0022】前記集電体としては、多孔質構造の導電性
基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができ
る。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステ
ンレス、またはニッケルから形成することができる。集
電体の厚さは、5〜20μmの範囲にすることが好まし
い。この範囲内であると、正極強度と軽量化のバランス
がとれるからである。
【0023】2)負極 この負極は、リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物
及び結着剤を含む負極層が集電体の片面もしくは両面に
担持された構造を有する。
【0024】前記炭素質物としては、黒鉛、コークス、
炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材
料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッ
チ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球
体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や
充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3
000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料
または炭素質材料等を挙げることができる。中でも、前
記熱処理の温度を2000℃以上にすることにより得ら
れ、(002)面の面間隔d002 が0.340nm以下
である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好まし
い。このような黒鉛質材料を炭素質物として含む負極を
備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放
電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d
002 は、0.336nm以下であることが更に好まし
い。
【0025】前記結着剤としては、例えばポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン
(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体
(EPDM)、スチレン−プタジエンゴム(SBR)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いること
ができる。
【0026】前記炭素質物及び前記結着剤の配合割合
は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%
の範囲であることが好ましい。特に、前記炭素質物は負
極を作製した状態で片面で10〜70g/cm2 の範囲
にすることが好ましい。また、充填密度は、1.20〜
1.50g/cm3 の範囲にすることが好ましい。
【0027】前記負極層の厚さは、10〜150μmの
範囲にすることが好ましい。ここで、負極層の厚さと
は、セパレータと対向する負極層表面と集電体と接する
負極層表面との距離を意味する。なお、負極層の厚さを
10〜150μmにする場合、集電体の両面に負極層が
担持されている負極では、負極層の合計厚さが20〜3
00μmの範囲となる。負極層の厚さを10〜150μ
mの範囲内にすることによって、大電流放電特性及びサ
イクル寿命を向上することができる。負極層の厚さは、
30〜100μmの範囲内にすることがより好ましい。
この範囲にすることによって、大電流放電特性及びサイ
クル寿命を大幅に向上することができる。
【0028】前記負極層の厚さは、以下に説明する方法
で測定される。まず、互いに1cm以上離れて存在する
10点を任意に選択し、各点の厚さを測定し、その平均
値を算出することにより負極の厚さを測定する。但し、
測定しようとしている負極が、集電体の両面に負極層が
担持された構造を有する場合には、片方の負極層を除去
してから負極の厚さを測定する。次いで、集電体から負
極層を除去し、集電体の厚さを測定する。集電体の厚さ
は、互いに1cm以上離れて存在する10点を任意に選
択し、各点の厚さを測定し、その平均値を算出すること
により求められる。前記負極の厚さと前記集電体の厚さ
の差を、求める負極層の厚さとする。
【0029】前記集電体としては、多孔質構造の導電性
基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができ
る。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、ま
たはニッケルから形成することができる。集電体の厚さ
は、5〜20μmの範囲にすることが好ましい。この範
囲内であると、負極強度と軽量化のバランスがとれるか
らである。
【0030】前記負極層は、前述したリチウムイオンを
吸蔵・放出する炭素物質を含むものの他に、金属酸化
物、金属硫化物、もしくは金属窒化物を含むものか、あ
るいはリチウム金属またはリチウム合金からなるものを
用いることができる。
【0031】前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸
化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸
化物、タングステン酸化物等を挙げることができる。
【0032】前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫
化物、チタン硫化物等を挙げることができる。
【0033】前記金属窒化物としては、例えば、リチウ
ムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガ
ン窒化物等を挙げることができる。
【0034】前記リチウム合金としては、例えば、リチ
ウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛
合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
【0035】3)セパレータ このセパレータは、加熱により孔が閉塞する性質を有す
る多孔質シートからなる。
【0036】前記外装材の前記熱可塑性樹脂層は、前記
セパレータの孔閉塞開始温度に比べて高い融点を有す
る。ここで、前記セパレータの孔閉塞開始温度は、非水
電解質二次電池を分解して電極群を取り出し、この電極
群を分解してセパレータを取り出し、このセパレータを
有機溶剤で洗浄することにより非水電解質等の付着物を
除去し、セパレータが熱収縮しないように60℃で乾燥
させてから測定される。なお、セパレータの乾燥は、常
圧もしくは減圧雰囲気において行うことができる。
【0037】前記セパレータの孔閉塞開始温度は、以下
に説明する方法で測定される。ニッケル板からなる2枚
の電極でセパレータを挟むことにより得られる試験セル
を、二次電池に含まれる非水電解質と同様な組成を有す
る非水溶液に浸漬した後、デシケータ中で1〜15分間
真空含浸を前記非水溶液が揮発しないように行う。な
お、前記電極の大きさを10×15mmにし、かつ前記
セパレータの大きさを20×25mmにする。その後、
100℃で10分間放置した後、2℃/minで昇温さ
せながらセル温度及び交流周波数1KHzでのセル抵抗
値を測定する。測定結果の一例を図2に示す。図2の横
軸はセルの温度で、縦軸がセルの抵抗値である。図2に
示すように、セル抵抗値が急激に上昇し始める温度P
が、前記セパレータの孔閉塞開始温度である。
【0038】本発明に係る非水電解質二次電池において
は、前記外装材の前記熱可塑性樹脂層の融点は、前記セ
パレータが電極群に組み込まれる前、つまりテンション
がかかる前に前述した方法で測定した孔閉塞開始温度並
びに前記電極群中の前記セパレータの孔が閉塞し始める
温度に比べて高くなっている。すなわち、本発明に係る
非水電解質二次電池においては、電極群に組み込まれる
前のセパレータ、電極群中のセパレータ及び二次電池を
分解して取り出したセパレータ、いずれの状態のセパレ
ータについても、セパレータの孔が閉塞し始める温度に
比べて外装材の熱可塑性樹脂層の融点が高いという関係
が成立している。
【0039】前記セパレータの孔閉塞開始温度は、10
0℃以上、150℃以下であることが好ましい。孔閉塞
開始温度を100℃未満にすると、二次電池が異常高温
(非水電解質二次電池の暴走温度で、140℃付近)に
達する危険性のない通常の高温雰囲気(例えば、85℃
付近)に貯蔵した際に、電池インピーダンスが高くなる
恐れがある。一方、孔閉塞開始温度が150℃を超える
と、二次電池が異常高温に達して破裂や発火を生じる恐
れがある。孔閉塞開始温度のより好ましい範囲は、10
5〜140℃である。さらに好ましい範囲は、105〜
135℃である。但し、前記セパレータの孔閉塞開始温
度は、二次電池を前述した方法で分解した後に前述した
方法で測定されたものを意味する。
【0040】前記セパレータは、電極群に組み込まれる
とテンションがかかるため、孔の大きさが大きくなる。
このため、前記セパレータの孔閉塞開始温度並びに前記
電極群中のセパレータの孔が閉塞し始める温度は、前記
セパレータが電極群に組み込まれる前に前述した方法で
測定した孔閉塞開始温度に比べて高くなる傾向がある。
上昇幅は、セパレータの材料、厚さ、空気透過率、熱収
縮率あるいは多孔度等の条件によって変動し、最大で1
0〜15℃である。よって、前記セパレータが電極群に
組み込まれる前に前述した方法で測定した孔閉塞開始温
度を100〜140℃の範囲内にすることによって、前
記セパレータの孔閉塞開始温度(二次電池分解後)を1
00〜150℃の範囲内にすることができる。また、前
記セパレータが電極群に組み込まれる前に前述した方法
で測定した孔閉塞開始温度を110〜135℃の範囲内
にすることによって、前記セパレータの孔閉塞開始温度
(二次電池分解後)を115〜150℃にすることがで
きる。さらに、前記セパレータが電極群に組み込まれる
前に前述した方法で測定した孔閉塞開始温度を105〜
130℃の範囲内にすることによって、前記セパレータ
の孔閉塞開始温度(二次電池分解後)を120〜140
℃にすることができる。
【0041】前記多孔質シートとしては、例えば、多孔
質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。前
記多孔質シートは、例えば、ポリオレフィン、セルロー
ス及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)から選ばれる
少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。前記
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレ
ンあるいはポリプロピレンを含む多孔質フィルムが好ま
しい。特に、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレ
ン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の
安全性を向上できるため、好ましい。
【0042】前記セパレータの厚さは、5〜30μmの
範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によ
るものである。厚さを5μm未満にすると、セパレータ
の孔が閉塞した後の電池抵抗を十分に高くすることが困
難になる恐れがある。このため、電池機能を停止するま
でに時間がかかり、異常高温に達して破裂や、発火を招
く恐れがある。セパレータの厚さが厚くなるほど、孔閉
塞後の電池抵抗が高くなるため、電池機能を速やかに停
止させることができる。しかしながら、厚さが30μm
を越えると、二次電池の重量エネルギー密度ならびに体
積エネルギー密度が低くなる恐れがある。厚さの上限値
は、25μmにすることがより好ましく、また、下限値
は10μmにすることがより好ましい。
【0043】前記セパレータは、空気透過率が600秒
/100cm3 以下であることが好ましい。空気透過率
は、100cm3の空気がセパレータを透過するのに要
した時間(秒)を意味する。空気透過率が600秒/1
00cm3 を越えると、セパレータにおいて高いリチウ
ムイオン移動度を得ることが困難になる恐れがある。ま
た、空気透過率の下限値は、100秒/100cm3
することが好ましい。空気透過率を100秒/100c
3 未満にすると、十分なセパレータ強度を得られなく
なる恐れがあると共に、孔閉塞開始温度が高くなる可能
性がある。空気透過率の上限値は500秒/100cm
3 にすることがより好ましく、更に好ましい上限値は4
00秒/100cm3 である。また、下限値は150秒
/100cm3 にすることがより好ましい。
【0044】前記セパレータは、120℃、1時間での
熱収縮率を20%以下であることが好ましい。前記熱収
縮率が20%を越えると、正負極およびセパレータの接
着強度を十分なものにすることが困難になる恐れがあ
る。前記熱収縮率は、15%以下にすることがより好ま
しい。
【0045】前記セパレータは、多孔度が30〜60%
の範囲であることが好ましい。これは次のような理由に
よるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレ
ータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる
恐れがある。一方、多孔度が60%を越えると、十分な
セパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度の
より好ましい範囲は、35〜50%である。
【0046】前記セパレータとしては、ポリオレフィ
ン、セルロース及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)
から選ばれる少なくとも1種類の材料からなり、厚さが
5〜30μmで、かつ空気透過率が600秒/100c
3 以下の多孔質シートを用いることが好ましい。この
ようなセパレータは、内部短絡、過充電、あるいは13
0℃以上の高温放置などにより異常な発熱もしくは昇温
を生じた際に、その孔が速やかに閉塞するため、異常高
温に達するのを回避することができ、破裂及び発火を確
実に防止することができる。また、このセパレータは、
平常の高温雰囲気で使用した際にインピーダンスが上昇
するのを抑制することができる。さらに、このセパレー
タの多孔度を30〜60%の範囲にすることが好まし
い。セパレータの材料、空気透過率、厚さおよび多孔度
を規定することによって、セパレータの孔閉塞開始温度
を最適なものにすることができる。
【0047】4)接着性を有する高分子 この接着性を有する高分子は、前記正極及び前記セパレ
ータの境界の少なくとも一部と、前記負極及び前記セパ
レータの境界の少なくとも一部に存在する。さらに、前
記接着性を有する高分子は、前記正極、負極およびセパ
レータの内部に保持されていることが好ましい。
【0048】前記接着性を有する高分子は、非水電解質
を保持した状態で高い接着性を維持できるものであるこ
とが望ましい。さらに、かかる高分子は、リチウムイオ
ン伝導性が高いとなお好ましい。具体的には、ポリアク
リロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMM
A)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)、またはポリエチレンオキサイド(PE
O)等を挙げることができる。前記接着性を有する高分
子には、前述した種類の中から選ばれる1種または2種
以上を用いることができる。特に、ポリフッ化ビニリデ
ンが好ましい。ポリフッ化ビニリデンは、非水電解質を
保持することができ、非水電解質を含むと一部ゲル化を
生じるため、イオン伝導度をより向上することができ
る。
【0049】前記接着性を有する高分子は、正極、負
極、セパレータの空隙内において微細な孔を有する多孔
質構造をとることが好ましい。多孔質構造を有する接着
性を有する高分子は、非水電解質を保持することができ
る。
【0050】前記電池に含まれる接着性を有する高分子
の総量(後述する接着部に含有されるものを含む)は、
電池容量100mAh当たり0.1〜6mgにすること
が好ましい。これは次のような理由によるものである。
接着性を有する高分子の総量を電池容量100mAh当
たり0.1mg未満にすると、正極、セパレータ及び負
極の密着性を十分に向上させることが困難になる恐れが
ある。一方、前記総量が電池容量100mAh当たり6
mgを越えると、二次電池のリチウムイオン伝導度の低
下や、内部抵抗の上昇を招く恐れがあり、放電容量、大
電流放電特性及び充放電サイクル特性を改善することが
困難になる恐れがある。接着性を有する高分子の総量の
より好ましい範囲は、電池容量100mAh当たり0.
2〜1mgである。
【0051】5)非水電解質 非水電解質は、少なくともセパレータに保持される。特
に、非水電解質は、電極群全体に分散されていることが
好ましい。この非水電解質としては、液状非水電解質、
ゲル状非水電解質または固体非水電解質を用いることが
できる。
【0052】(1)液状非水電解質 液状非水電解質は、電極群に含浸される。
【0053】この液状非水電解質は、非水溶媒に電解質
を溶解させることにより得られる。
【0054】前記非水溶媒としては、リチウム二次電池
の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができ、特に
限定はされないが、プロピレンカーボネート(PC)や
エチレンカーボネート(EC)と前記PCやECより低
粘度である1種以上の非水溶媒(以下第2の溶媒と称
す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが
好ましい。
【0055】前記第2溶媒としては、例えば鎖状カーボ
ンが好ましく、中でもジメチルカーボネート(DM
C)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチル
カーボネート(DEC)、プロピオン酸エチル、プロピ
オン酸メチル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、アセ
トニトリル(AN)、酢酸エチル(EA)、トルエン、
キシレンまたは、酢酸メチル(MA)などが挙げられ
る。これらの第2の溶媒は、単独または2種以上の混合
物の形態で用いることができる。特に、前記第2種の溶
媒はドナー数が16.5以下であることがより好まし
い。
【0056】前記第2溶媒の粘度は、25℃において2
8mp以下であることが好ましい。前記混合溶媒中の前
記エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネート
の配合量は、体積比率で10〜80%であることが好ま
しい。より好ましい前記エチレンカーボネートまたはプ
ロピレンカーボネートの配合量は体積比率で20〜75
%である。
【0057】前記電解質としては、例えば過塩素酸リチ
ウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(Li
PF6 )、ホウフッ化リチウム(LiBF4 )、六フッ
化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタス
ルホン酸リチウム(LiCF 3 SO3 )、ビストリフル
オロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF 3
SO2 2 ]などのリチウム塩が挙げられる。中でもL
iPF6 、LiBF4を用いるのが好ましい。
【0058】前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量
は、0.5〜2.0モル/1とすることが望ましい。
【0059】特に好ましい液状非水電解質は、γ−ブチ
ロラクトン(BL)を含む混合非水溶媒に電解質(例え
ば、リチウム塩)を溶解したもので、かつBLの組成比
率が混合非水溶媒全体の40体積%以上、95体積%以
下のものである。前記混合非水溶媒では、BLの組成比
率を最も多くすることが好ましい。比率が40体積%未
満であると、高温時にガスが発生し易くなる。また、混
合非水溶媒がBL及び環状カーボネートを含むものであ
る場合、環状カーボネートの比率が相対的に高くなるた
め、溶媒粘度が著しく高くなる恐れがある。溶媒粘度が
上昇すると、液状非水電解質の導電率及び浸透性が低下
するため、充放電サイクル特性、大電流放電特性及び−
20℃付近の低温環境下での放電特性が低下する。一
方、比率が95体積%を越えると、負極とBLとの反応
が生じやすくなるため、充放電サイクル特性が低下する
恐れがある。すなわち、負極(例えば、リチウムイオン
を吸蔵放出する炭素質物を含むもの)とBLとが反応し
て液状非水電解質の還元分解が生じると、負極の表面に
充放電反応を阻害する被膜が形成される。その結果、負
極において電流集中が生じやすくなるため、負極表面に
リチウム金属が析出したり、あるいは負極界面のインピ
ーダンスが高くなり、負極の充放電効率が低下し、充放
電サイクル特性の低下を招く。より好ましい範囲は、6
0体積%以上、90体積%以下である。この範囲にする
ことによって、高温貯蔵時のガス発生を抑制する効果を
より高くすることができると共に、−20℃付近の低温
環境下での放電容量をより向上することができる。更に
好ましい範囲は75体積%以上、90体積%以下であ
る。
【0060】BLと混合される溶媒としては、環状カー
ボネートが負極の充放電効率を高める点で望ましい。
【0061】前記環状カーボネートとしては、プロピレ
ンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(E
C)、ビニレンカーボネート(VC)、トリフロロプロ
ピレンカーボネート(TFPC)等が望ましい。特に、
BLと混合される溶媒としてECを用いると、充放電サ
イクル特性と大電流放電特性を大幅に向上することがで
きる。また、BLと混合する他の溶媒としては、PC、
VC、TFPC、ジエチルカーボネート(DEC)、メ
チルエチルカーボネート(MEC)及び芳香族化合物か
らなる群より選ばれる少なくとも一種からなる第3溶媒
とECとの混合溶媒であると、充放電サイクル特性を高
める点で望ましい。
【0062】さらに溶媒粘度を低下させる観点から低粘
度溶媒を20体積%以下含んでもよい。低粘度溶媒とし
ては例えば鎖状カーボネート、鎖状エーテル、環状エー
テル等が挙げられる。
【0063】本発明に係る非水溶媒のより好ましい組成
は、BLとEC、BLとPC、BLとECとDEC、B
LとECとMEC、BLとECとMECとVC、BLと
ECとVC、BLとPCとVC、あるいはBLとECと
PCとVCである。このとき、ECの体積比率は5〜4
0体積%とすることが好ましい。これは次のような理由
によるものである。ECの比率を5体積%未満にする
と、負極表面を保護膜で緻密に覆うことが困難になる恐
れがあるため、負極とBLとの反応が生じ、充放電サイ
クル特性を十分に改善することが困難になる可能性があ
る。一方、ECの比率が40体積%を超えると、液状非
水電解質の粘度が高くなってイオン伝導度が低下する恐
れがあるため、充放電サイクル特性、大電流放電特性及
び低温放電特性を十分に改善することが困難になる可能
性がある。ECの比率の更に好ましい範囲は、10〜3
5体積%である。また、DEC、MEC及びVCから選
ばれる少なくとも1種類からなる溶媒の比率は、0.5
〜10体積%の範囲内にすることが好ましい。
【0064】前記電解質としては、前述したのと同様な
ものを挙げることができる。中でも、LiPF6 かある
いはLiBF4 を用いるのが好ましい。
【0065】前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量
は、0.5〜2.0モル/lとすることが望ましい。
【0066】前記γ−BLを含む液状非水電解質には、
セパレータとの塗れ性を良くするために、トリオクチル
フォスフェートなどの界面活性剤を0.1〜1%の範囲
で添加しても良い。
【0067】前述した各組成を有する液状非水電解質の
量は、電池単位容量100mAh当たり0.2〜0.6
gにすることが好ましい。これは次のような理由による
ものである。液状非水電解質量を0.2g/100mA
h未満にすると、正極と負極のイオン伝導度を十分に保
つことができなくなる恐れがある。一方、液状非水電解
質量が0.6g/100mAhを越えると、電解質が多
量になるため、シート製外装材を用いた際に封止が困難
になる恐れがある。液状非水電解質量のより好ましい範
囲は、0.4〜0.55g/100mAhである。
【0068】(2)ゲル状非水電解質 ゲル状電解質は、セパレータの内部、前記セパレータと
正極の境界および前記セパレータと負極の境界に存在す
る。
【0069】ゲル状非水電解質は、高分子材料、非水溶
媒および電解質を混合したものからなる。
【0070】前記高分子材料としては、ポリフッ化ビニ
リデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PA
N)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ塩化ビ
ニル(PVC)およびポリアクリレート(PMMA)か
ら選ばれる少なくとも1種類の高分子を用いることがで
きる。また、前記非水溶媒および前記電解質としては、
前述した液状非水電解質の欄で説明したのと同様なもの
を挙げることができる。
【0071】前記ゲル状非水電解質は、正極、負極およ
びセパレータを一体化させるための接着性を有する高分
子としての機能を兼ねる。このため、このゲル状非水電
解質を用いる場合には、前述した(4)の欄で説明した
接着性を有する高分子を添加しなくても良い。
【0072】(3)固体非水電解質 固体非水電解質は、セパレータの内部、前記セパレータ
と正極の境界および前記セパレータと負極の境界に存在
する。
【0073】固体非水電解質は、ポリエチレンオキサイ
ド(PEO)のような高分子材料とリチウム塩を混合さ
せたものからなる。
【0074】前記リチウム塩としては、前述した液状非
水電解質の欄で説明したのと同様なものを挙げることが
できる。
【0075】前記固体非水電解質は、正極、負極および
セパレータを一体化させるための接着性を有する高分子
としての機能を兼ねる。このため、この固体非水電解質
を用いる場合には、前述した(4)の欄で説明した接着
性を有する高分子を添加しなくても良い。
【0076】6)外装材 この外装材内には、電極群及び前記電極群に保持された
非水電解質が密封される。外装材は、例えば、周縁に熱
可塑性樹脂層が形成された1枚もしくは2枚の多層シー
トから形成される。また、前記熱可塑性樹脂層は、前記
セパレータの孔閉塞開始温度に比べて高い融点を有す
る。1枚のシートから外装材を構成する場合、シートを
折り曲げ、対向する熱可塑性樹脂層同士を熱融着させる
ことにより密封構造にし、外装材とする。一方、2枚の
シートから外装材を構成する場合、2枚のシートを重
ね、対向する熱可塑性樹脂層同士を熱融着させることに
より密封構造にし、外装材とする。なお、外装材からリ
ードを延出させる場合、対向する熱可塑性樹脂層同士を
その間にリードを挟んだ状態で熱融着させる。
【0077】外装材による電極群の封止方法の一例を図
3、図4を参照して説明する。正極リード1及び負極リ
ード2が電気的に接続されている電極群と、外装材3と
して少なくとも周縁4(図の斜線で示す領域)に熱可塑
性樹脂層が形成されたシートを用意する。このシートを
長辺側の中心で二つにおり、このシートで前記電極群を
前記正極リード1及び前記負極リード2が前記シートか
ら延出されるように被覆する。この際、前記シートの前
記熱可塑性樹脂層を含む面を内側に位置させる。次い
で、前記シートの長手方向に沿う開口部並びにリード
1,2が延出している開口部の熱可塑性樹脂層を熱融着
させることにより、これら開口部を封止する。なお、シ
ートを内側に熱可塑性樹脂層が位置するように長辺側の
中心で2つに折り、次いで長手方向に沿う両開口部の熱
可塑性樹脂層を熱融着させてシートを袋状に加工し、こ
の袋内に電極群を収納した後、正極リード1および負極
リード2が延出している開口部の熱可塑性樹脂層を熱融
着させることにより封止を行っても良い。
【0078】前記熱可塑性樹脂層の融点が前記セパレー
タの孔閉塞開始温度に比べて低いと、内部短絡、過充
電、あるいは130℃以上の高温放置などにより異常な
発熱もしくは昇温を生じた際、セパレータの孔が閉塞さ
れるよりも先に前記熱可塑性樹脂が再び溶融するため、
外装材の気密性が損なわれる。その結果、電池反応が活
発に生じている電極群が大気に曝されるため、大気中の
水分とリチウムが反応し、急激な発熱を生じて発火に至
る。但し、前記セパレータの孔閉塞開始温度は、二次電
池を前述した方法で分解した後に前述した方法で測定さ
れたものを意味する。
【0079】前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
オレフィン等を挙げることができる。前記ポリオレフィ
ンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どを挙げることができる。前記熱可塑性樹脂には、前述
した種類の中から選ばれる1種類、あるいはポリエチレ
ンとポリプロピレンの混合物のような2種類以上を用い
ることができる。ポリオレフィンの融点は、結晶化度に
より異なる。よって、熱可塑性樹脂には、目的とする融
点を持つポリオレフィンを用いることが望ましい。特
に、融点が150℃以上のポリプロピレンか、あるいは
このポリプロピレンとポリエチレンの混合物からなる熱
可塑性樹脂は、封止強度を高くすることができるため、
好ましい。
【0080】前記熱可塑性樹脂の融点は、120℃以上
にすることが好ましい。融点を120℃未満にすると、
二次電池を異常高温に達しない程度の通常の高温雰囲気
(例えば、40℃付近)に貯蔵した際に、前記熱可塑性
樹脂が溶融し、外装材の気密性が損なわれる恐れがあ
る。より好ましい範囲は、140℃以上である。ところ
で、外装材の開口部を封止するための加熱加圧の温度
は、生産性を高くするために熱可塑性樹脂の融点よりも
高くする。融点が高いほど高温時の気密性が高くなるも
のの、この封止温度も高くなる。融点が250℃を超え
ると、封止時に加える熱により非水電解質が劣化した
り、あるいはセパレータが熱収縮したりする恐れがあ
る。このため、融点の上限値は、250℃にすることが
好ましい。さらに好ましい上限値は、220℃である。
【0081】前記セパレータの孔閉塞開始温度と、前記
外装材の前記熱可塑性樹脂層の融点との温度差は、5℃
以上にすることが好ましい。温度差を5℃未満にする
と、前記セパレータの孔が閉塞して充放電反応が停止す
る前に、前記外装材の封止領域の熱可塑性樹脂層が溶融
して前記外装材の気密性が低下する恐れがある。温度差
は、20℃以上にすることがより好ましい。但し、前記
セパレータの孔閉塞開始温度は、二次電池を前述した方
法で分解した後に前述した方法で測定されたものを意味
する。
【0082】前記外装材の具体例としては、水分を遮断
する機能を有する層と、前記水分遮断層の両面に配置さ
れた保護層とが一体化された多層シートが挙げられる。
前記水分遮断層としては、例えば、金属層を挙げること
ができる。前記金属層は、例えば、アルミニウム、ステ
ンレス、鉄、銅、ニッケル等を挙げることができる。中
でも、軽量で、水分を遮断する機能が高いアルミニウム
が好ましい。前記金属層は、1種類の金属から形成して
も良いが、2種類以上の金属層を一体化させたものから
形成しても良い。前記2つの保護層のうち、外部と接す
る保護層は前記金属層の損傷を防止する役割をなす。こ
の外部保護層は、ポリエチレン及びポリプロピレンから
選ばれる1種類以上の樹脂から形成されることが好まし
い。一方、内部保護層は、前記金属層が非水電解質によ
り腐食されるのを防止する役割を担うと共に、表面の一
部が封止領域となる。この内部保護層は、前述した熱可
塑性樹脂のみから形成されたものでも良いが、表面付近
のみが前述した熱可塑性樹脂から形成されているもので
も良い。また、内部保護層を熱可塑性樹脂から形成する
場合、2種類以上の熱可塑性樹脂層を一体化させたもの
を用いても良い。
【0083】前記外装材の厚さは、500μm以下にす
ることが好ましい。500μmを超えると、電池の重量
当たりの容量が低下する恐れがある。外装材の厚さは3
00μm以下にすることが好ましく、更に好ましくは2
50μm以下で、最も好ましくは150μm以下であ
る。また、厚さが50μmより薄いと、変形や破損し易
くなる。このため、厚さの下限値は50μmにすること
が好ましい。更に好ましい下限値は80μmで、最も好
ましい範囲は100μmである。
【0084】外装材の厚さは、以下に説明する方法で測
定される。すなわち、外装材の封止部を除く領域におい
て、互いに1cm以上離れて存在する3点を任意に選択
し、各点の厚さを測定し、平均値を算出し、この値を外
装材の厚さとする。なお、前記外装材の表面に異物(例
えば、樹脂)が付着している場合、この異物を除去して
から厚さの測定を行う。例えば、前記外装材の表面にP
VdFが付着している場合、前記外装材の表面をジメチ
ルホルムアミド溶液で拭き取ることによりPVdFを除
去した後、厚さの測定を行う。
【0085】前記電極群は、その表面の少なくとも一部
に形成された接着層により前記外装材の内面に接着され
ていることが望ましい。このような構成にすると、前記
電極群の表面に前記外装材を固定することができるた
め、電解液が電極群と外装材の間に浸透するのを抑える
ことができる。
【0086】また、第1の非水電解質二次電池は、電池
容量(Ah)と1kHzの電池内部インピーダンス(m
Ω)の積が10mΩ・Ah以上、110mΩ・Ah以下
であることが望ましい。容量とインピーダンスの積を前
記範囲内にすることによって、大電流放電特性と充放電
サイクル特性をより向上することができる。ここで、電
池容量とは、公称容量あるいは0.2Cで放電した際の
放電容量である。より好ましい範囲は、20mΩ・Ah
以上、60mΩ・Ah以下である。
【0087】この第1の非水電解質二次電池の一例であ
る薄型リチウムイオン二次電池を前述した図3,4及び
図5〜図7を参照して詳細に説明する。
【0088】図5は、図3の薄型リチウムイオン二次電
池のV−V線に沿う断面図、図6は図5のA部を示す拡
大断面図、図7は図5のB部を示す拡大断面図、図7は
図5の二次電池における正極層、セパレータ及び負極層
の境界付近を示す模式図である。
【0089】正極リード1及び負極リード2を有する電
極群5は、外装材3内に前記正極リード1及び前記負極
リード2が前記外装材3から延出した状態で収納されて
いる。前記外装材3は、例えば図6に示すように、熱可
塑性樹脂層6と、前記熱可塑性樹脂層6に積層された金
属層7と、前記金属層7に積層された外部保護層8から
構成されたラミネートフィルムからなる。よって、この
外装材3では、内面全体が熱可塑性樹脂層からなる。前
記電極群5は、正極、セパレータおよび負極からなる積
層物が偏平形状に捲回された構造を有する。前記積層物
は、図7に示すように、(図の下側から)セパレータ
9、正極層10と正極集電体11と正極層10を備えた
正極12、セパレータ9、負極層13と負極集電体14
と負極層13を備えた負極15、セパレータ9、正極層
10と正極集電体11と正極層10を備えた正極12、
セパレータ9、負極層13と負極集電体14を備えた負
極15がこの順番に積層されたものからなる。前記電極
群5は、最外層に前記負極集電体14が位置している。
前記電極群5の表面には、接着部16が存在している。
前記外装材3の封止領域4を除く内面は、前記接着部1
6に接着されている。図8に示すように、正極層10、
セパレータ9及び負極層13の空隙には、接着性を有す
る高分子17がそれぞれ保持されている。正極12及び
セパレータ9は、正極層10及びセパレータ9の内部及
びこれらの境界に点在する接着性を有する高分子17に
より接着されている。一方、負極15及びセパレータ9
は、負極層13及びセパレータ9の内部及びこれらの境
界に点在する接着性を有する高分子17により接着され
ている。液状非水電解質は、前記電極群5に含浸されて
いる。前記正極リード1は、末端が前記電極群5の前記
正極集電体11に接続されされている。一方、前記負極
リード2は、末端が前記電極群5の前記負極集電体14
に接続されている。
【0090】なお、前述した図5においては、電極群5
の表面全体に接着部16を形成したが、電極群5の一部
に接着部16を形成しても良い。電極群5の一部に接着
部16を形成する場合、少なくとも電極群の最外周に相
当する面に形成することが好ましい。また、接着部16
はなくても良い。
【0091】この第1の非水電解質二次電池は、例え
ば、以下に説明する(I)方法で製造される。ただし、
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は本発明の
範囲にあるものであれば以下の形態に限定されるもので
はない。
【0092】<製造方法(I)> (第1工程)正極及び負極の間にセパレータとして多孔
質シートを介在させて電極群を作製する。
【0093】前記電極群は、正極と負極をその間に接着
性を有する高分子未保持のセパレータを介して渦巻き状
に捲回するか、もしくは渦巻き状に捲回した後、径方向
に圧縮するか、あるいは正極と負極をその間に接着性を
有する高分子未保持のセパレータを介して複数回折り曲
げることにより作製されることが望ましい。このような
方法で作製すると、後述する第2工程において、正極、
負極及びセパレータに接着性を有する高分子の溶液を浸
透させつつ、正極とセパレータの境界及び負極とセパレ
ータの境界全体に前記溶液が浸透するのを防止すること
ができる。その結果、正極、負極及びセパレータに接着
性を有する高分子を点在させることが可能になると共
に、正極とセパレータの境界及び負極とセパレータの境
界に接着性を有する高分子を点在させることができる。
【0094】前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤
および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電
体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製され
る。前記正極活物質、導電剤、結着剤及び集電体として
は、前述した(1)正極の欄で説明したのと同様なもの
を挙げることができる。
【0095】前記負極は、例えば、リチウムイオンを吸
蔵・放出する炭素質物と結着剤とを溶媒の存在下で混練
し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所
望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスす
ることにより作製される。
【0096】前記炭素質物、結着剤及び集電体として
は、前述した(2)負極の欄で説明したのと同様なもの
を挙げることができる。
【0097】前記セパレータの多孔質シートとしては、
前述した(3)セパレータの欄で説明したのと同様なも
のを用いることができる。
【0098】(第2工程)封止領域が熱可塑性樹脂から
なるシートを外装材として用意し、熱可塑性樹脂を溶融
・圧着させることにより袋状に加工する。得られた袋内
に前記電極群を積層面が開口部から見えるように収納す
る。溶媒に接着性を有する高分子を溶解させることによ
り得られた溶液を開口部から前記外装材内の電極群に注
入し、前記溶液を前記電極群に含浸させる。
【0099】前記外装材しては、前述した(6)外装材
の欄で説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0100】前記接着性を有する高分子としては、前述
した(4)の接着性を有する高分子の欄で説明したのと
同様なものを挙げることができる。特に、PVdFが好
ましい。
【0101】前記溶媒には、沸点が200℃以下の有機
溶媒を用いることが望ましい。かかる有機溶媒としは、
例えば、ジメチルフォルムアミド(沸点153℃)を挙
げることができる。有機溶媒の沸点が200℃を越える
と、後述する加熱温度を100℃以下にした際、乾燥時
間が長く掛かる恐れがある。また、有機溶媒の沸点の下
限値は、50℃にすることが好ましい。有機溶媒の沸点
を50℃未満にすると、前記溶液を電極群に注入してい
る間に前記有機溶媒が蒸発してしまう恐れがある。沸点
の上限値は、180℃にすることがさらに好ましく、ま
た、沸点の下限値は100℃にすることがさらに好まし
い。
【0102】前記溶液中の接着性を有する高分子の濃度
は、0.05〜2.5重量%の範囲にすることが好まし
い。これは次のような理由によるものである。前記濃度
を0.05重量%未満にすると、正負極及びセパレータ
を十分な強度で接着することが困難になる恐れがある。
一方、前記濃度が2.5重量%を越えると、非水電解質
を保持できるだけの十分な多孔度を得ることが困難にな
って電極の界面インピーダンスが著しく大きくなる恐れ
がある。界面インピーダンスが増大すると、容量及び大
電流放電特性が大幅に低下する。濃度のより好ましい範
囲は、0.1〜1.5重量%である。
【0103】前記溶液の注入量は、前記溶液の接着性を
有する高分子の濃度が0.05〜2.5重量%である場
合、電池容量100mAh当たり0.1〜2mlの範囲
にすることが好ましい。これは次のような理由によるも
のである。前記注入量を0.1ml未満にすると、正
極、負極及びセパレータの密着性を十分に高めることが
困難になる恐れがある。一方、前記注入量が2mlを越
えると、二次電池のリチウムイオン伝導度の低下や、内
部抵抗の上昇を招く恐れがあり、放電容量、大電流放電
特性及び充放電サイクル特性を改善することが困難にな
る恐れがある。前記注入量のより好ましい範囲は、電池
容量100mAh当たり0.15〜1mlである。
【0104】(第3工程)真空を含む減圧雰囲気か、あ
るいは常圧雰囲気にて、前記電極群を所定厚さになるよ
うにプレスを施しながら加熱することにより前記溶液中
の溶媒を蒸発させ、前記正極、負極及びセパレータの空
隙内に接着性を有する高分子を存在せしめる。この工程
により、前記正極と前記セパレータがこれらの内部及び
境界に点在する接着性を有する高分子により接着される
と共に、前記負極と前記セパレータがこれらの内部及び
境界に点在する接着性を有する高分子により接着され
る。また、この加熱により前記電極群中に含まれる水分
の除去を同時に行うことができる。
【0105】なお、前記電極群は、微量の溶媒を含むこ
とを許容する。
【0106】前記加熱は、100℃以下で行うことが好
ましい。これは次のような理由によるものである。加熱
温度が100℃を越えると、前記セパレータが大幅に熱
収縮する恐れがある。熱収縮が大きくなると、セパレー
タの空隙率が低下するため、電池特性が劣化する。ま
た、前述した熱収縮は、ポリエチレンまたはポリプロピ
レンを含む多孔質フィルムをセパレータとして用いる場
合に顕著に生じやすい。加熱温度が低くなるほどセパレ
ータの熱収縮を抑制できるものの、加熱温度を40℃未
満にすると、十分に溶媒を蒸発させることが困難になる
恐れがある。このため、加熱温度は、40〜100℃に
することがより好ましい。
【0107】(第4工程)前記外装材内の電極群に液状
非水電解質を注入した後、前記外装材の開口部を熱可塑
性樹脂の溶融・圧着で封止することにより薄型非水電解
質二次電池を組み立てる。
【0108】前記液状非水電解質としては、前述した
(5)非水電解質の欄で説明したものと同様なものを用
いることができる。
【0109】前述した製造方法においては、接着性を有
する高分子が溶解された溶液の注入を外装材に電極群を
収納してから行ったが、外装材に収納せずに注入を行っ
ても良い。この場合、まず、正極と負極の間にセパレー
タを介在させて電極群を作製する。前記電極群に前記溶
液を含浸させた後、前記電極群にプレス成形を行いなが
ら加熱乾燥を施すことにより前記溶液の溶媒を蒸発さ
せ、前記正極、負極及びセパレータの空隙内に接着性を
有する高分子を存在せしめる。このような電極群を外装
材に収納した後、液状非水電解質を注入し、封口等を行
うことにより薄型の非水電解質二次電池を製造すること
ができる。外装材への収納前に電極群外周に接着剤を塗
布してもよい。それにより外装材に電極群を接着するこ
とができる。
【0110】(第5工程)上記の如くに組み立てた二次
電池に初充電を施す。この初充電では、温度を30℃〜
80℃にし、かつ充電レートを0.05C以上、0.5
C以下にすることが好ましい。このような温度および充
電レートでの充電は1サイクルのみでも良いし、2サイ
クル以上行ってもよい。また、初充電前に30℃〜80
℃の温度条件下に1時間〜20時間程度保管してもよ
い。
【0111】ここで、1C充電レートとは公称容量(A
h)を1時間で充電するために必要な電流値である。
【0112】前記初充電の温度を前記範囲に規定するの
は次のような理由によるものである。初充電温度が30
℃未満であると、液状非水電解質の粘度が高いままであ
るために液状非水電解質を正極、負極及びセパレータに
均一に含浸させることが困難になる恐れがある。このた
め、内部インピーダンスの増加と、活物質の利用率の低
下を招く恐れがある。一方、初充電温度が80℃を超え
ると、正極及び負極に含まれる結着剤が劣化する恐れが
ある。
【0113】初充電の充電レートを0.05〜0.5C
の範囲にすることによって、充電による正極と負極の膨
張を適度に遅くすることができるため、正極及び負極に
液状非水電解質を均一に浸透させることができる。
【0114】30〜80℃の温度条件下で、0.05〜
0.5Cの充電レートで初充電を施すことによって、電
極やセパレータの空隙に液状非水電解質を均一に含浸さ
せることができるため、非水電解質二次電池の1kHz
の内部インピーダンスを小さくすることができ、電池容
量と1kHzの内部インピーダンスの積を10mΩ・A
h以上110mΩ・Ah以下の範囲にすることができ
る。その結果、活物質の利用率を増大させることができ
るため、実質的な電池の容量を大きくすることができ
る。また、電池の充放電サイクル特性及び大電流放電特
性を向上させることができる。
【0115】<第2の非水電解質二次電池>この第2の
非水電解質二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び
前記負極の間に配置され、加熱により孔が閉塞する性質
を有する多孔質セパレータとを備える電極群;前記セパ
レータに保持される非水電解質;及び内面の少なくとも
一部が熱可塑性樹脂層から形成されたシートからなり、
前記電極群を収納すると共に、前記熱可塑性樹脂層同士
をヒートシールして前記電極群を密封するための外装
材;を具備する。前記外装材は、内面の少なくとも一部
を形成する熱可塑性樹脂層を含む多層シートか、もしく
は熱可塑性樹脂製のシートを用いることができる。
【0116】前記正極、前記負極及び前記セパレータ
は、前記正極及び前記負極に含まれる結着剤を熱硬化さ
せることにより一体化されている。また、前記熱可塑性
樹脂層は、前記セパレータの孔閉塞開始温度に比べて高
い融点を有する。
【0117】前記正極、前記負極及び前記セパレータと
しては、接着性を有する高分子を含有させないこと以外
は、前述した第1の非水電解質二次電池で説明したのと
同様なものが用いられる。前記非水電解質および前記外
装材としては、前述した第1の非水電解質二次電池で説
明したのと同様なものが用いられる。
【0118】この第2の非水電解質二次電池は、電池容
量(Ah)と1kHzの電池内部インピーダンス(m
Ω)の積が10mΩ・Ah以上、110mΩ・Ah以下
であることが望ましい。容量とインピーダンスの積を前
記範囲内にすることによって、大電流放電特性と充放電
サイクル特性をより向上することができる。ここで、電
池容量とは、公称容量あるいは0.2Cで放電した際の
放電容量である。より好ましい範囲は、20mΩ・Ah
以上、60mΩ・Ah以下である。
【0119】この第2の非水電解質二次電池は、例え
ば、以下に説明する方法(II)で製造される。
【0120】<製造方法(II)> (第1工程)以下の(a)〜(c)に説明する方法によ
り電極群を作製する。
【0121】(a)正極及び負極をその間にセパレータ
を介在させて渦巻き状に捲回する。
【0122】(b)正極及び負極をその間にセパレータ
を介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮す
る。
【0123】(c)正極及び負極をその間にセパレータ
を介在させて2回以上折り曲げる。
【0124】(第2工程)封止領域が熱可塑性樹脂から
なるシートを外装材として用意し、熱可塑性樹脂を溶融
・圧着させることにより袋状に加工する。得られた袋内
に前記電極群を収納する。
【0125】(第3工程)前記電極群を40〜120℃
に加熱しながら成形する。
【0126】前記成形は、前記電極群が前記(a)の方
法で作製される場合には径方向に、前記電極群が前記
(b)または(c)の方法で作製される場合には積層方
向に圧縮されるように行う。
【0127】前記成形は、例えば、プレス成形、あるい
は成形型への填め込み等により行うことができる。
【0128】電極群の成形を行う際に前記電極群の加熱
を行う理由を説明する。前記電極群には接着性を有する
高分子が含まれていない。このため、この電極群に常温
で成形を行うと、成形後にスプリングバックが生じる、
つまり正極とセパレータ、及び負極とセパレータの間に
隙間が生じる。その結果、正極とセパレータの接触面積
及び負極とセパレータの接触面積が低下するため、内部
インピーダンスが大きくなる。前記電極群に40℃以上
で成形を行うことによって、正極及び負極に含まれる結
着剤を熱硬化させることができるため、電極群の硬度を
高めることができる。その結果、成形後のスプリングバ
ックを抑制することができるため、正極とセパレータの
接触面積及び負極とセパレータの接触面積を向上するこ
とができ、その接触面積を充放電サイクルを繰り返して
も維持することができる。一方、前記電極群の温度が1
20℃を超えると、セパレータが大幅に熱収縮する恐れ
がある。より好ましい温度は、60〜100℃である。
【0129】前述した特定温度に加熱しながらの成形
は、例えば、常圧下、もしくは減圧下、あるいは真空下
で行うことができる。減圧下、あるいは真空下で行う
と、電極群からの水分除去効率が向上されるため、望ま
しい。
【0130】前記成形をプレス成形により行う場合、プ
レス圧は、0.01〜20kg/cm2の範囲にするこ
とが好ましい。これは次のような理由によるものであ
る。プレス圧を0.01kg/cm2より低くすると、
成形後のスプリングバックを抑制することが困難になる
恐れがある。一方、プレス圧が20kg/cm2より高
いと、電極群中の空隙率が低下する恐れがあるため、電
極群の液状非水電解質保持量が不足する恐れがある。
【0131】(第4工程)前記外装材内の電極群に液状
非水電解質を注入した後、前記外装材の開口部を熱可塑
性樹脂の溶融・圧着で封止することにより前述した第2
の非水電解質二次電池を組み立てる。
【0132】前述した製造方法においては、外装材に電
極群を収納してから電極群を特定温度に加熱しつつ成形
したが、外装材に収納する前に前述した加熱成形を行っ
ても良い。この場合、まず、前述した第1の工程により
電極群を作製する。前記電極群を40〜120℃に加熱
しながら成形する。次いで、前記電極群を外装材に収納
した後、液状非水電解質を注入し、封口等を行うことに
よりこの第2の非水電解質二次電池を組み立てることが
できる。
【0133】(第5工程)上記の如くに組み立てた二次
電池に初充電を施す。この初充電では、温度を30℃〜
80℃にし、かつ充電レートを0.05C以上、0.5
C以下にすることが好ましい。このような温度および充
電レートでの充電は1サイクルのみでも良いし、2サイ
クル以上行ってもよい。また、初充電前に30℃〜80
℃の温度条件下に1時間〜20時間程度保管してもよ
い。
【0134】前記初充電の温度及び初充電の充電レート
を前記範囲に規定するのは、前述したのと同様な理由に
よるものである。
【0135】30〜80℃の温度条件下で、0.05〜
0.5Cの充電レートで初充電を施すことによって、電
極やセパレータの空隙に液状非水電解質を均一に含浸さ
せることができるため、非水電解質二次電池の1kHz
の内部インピーダンスを小さくすることができ、電池容
量と1kHzの内部インピーダンスの積を10mΩ・A
h以上110mΩ・Ah以下の範囲にすることができ
る。その結果、活物質の利用率を増大させることができ
るため、実質的な電池の容量を大きくすることができ
る。また、電池の充放電サイクル特性及び大電流放電特
性を向上させることができる。
【0136】以上詳述したように本発明に係る非水電解
質二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極
の間に配置され、加熱により孔が閉塞する性質を有する
多孔質セパレータとを備える電極群;前記セパレータに
保持される非水電解質;及び内面の少なくとも一部が熱
可塑性樹脂層から形成されたシートからなり、前記電極
群を収納すると共に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒート
シールして前記電極群を密封するための外装材;を具備
する。前記正極、前記負極及び前記セパレータは、一体
化されている。また、前記熱可塑性樹脂層は、前記セパ
レータの孔閉塞開始温度に比べて高い融点を有する。
【0137】このような二次電池は、内部短絡、過充電
あるいは130℃以上の高温放置などにより異常な発熱
もしくは昇温を生じると、前記外装材の前記熱可塑性樹
脂が溶融する前に前記セパレータの孔を閉塞させること
ができる。その結果、気密性が保たれた内圧の比較的高
い状態でセパレータにおけるリチウムイオンの移動が阻
害されるため、電池反応を停止することができる。従っ
て、更なる温度上昇を回避することができるため、破裂
や発火を未然に回避することができ、安全性を確保する
ことができる。
【0138】本発明に係る二次電池において、前記セパ
レータの空気透過率を600秒/100cm3 以下にす
ることによって、セパレータのリチウムイオン移動度を
向上することができる。その結果、安全性を高くするこ
とができるほかに、大電流放電特性を改善することがで
きる。
【0139】本発明に係る二次電池において、前記セパ
レータの厚さを5〜30μmの範囲にすることによっ
て、セパレータの孔閉塞後の電池抵抗を高くすることが
できるため、電池機能を速やかに停止することができ
る。その結果、温度上昇をさらに抑えることができるた
め、安全性をより向上することができる。同時に、二次
電池の重量エネルギー密度および体積エネルギー密度を
高くすることができる。
【0140】本発明に係る二次電池において、前記セパ
レータの孔閉塞開始温度を100〜150℃にすること
によって、急激な温度上昇を生じた際に速やかにセパレ
ータの孔を閉塞することができる。その結果、外装材の
封止領域の熱可塑性樹脂が溶融する前のより早い時期に
電池機能を停止させることができるため、安全性をより
向上することができる。また、このセパレータは、通常
の高温環境下で使用した際にインピーダンスが上昇する
のを抑制することができるため、高温で優れた充放電特
性を維持することができる。
【0141】本発明に係る二次電池において、前記セパ
レータとしてポリオレフィン、セルロース及びポリフッ
化ビニリデン(PVdF)から選ばれる少なくとも1種
類の材料からなり、厚さが5〜30μmで、かつ空気透
過率が600秒/100cm 3 以下の多孔質シートを用
いることによって、急激な温度上昇を生じた際に速やか
にセパレータの孔を閉塞することができる。その結果、
外装材の封止領域の熱可塑性樹脂が溶融する前のより早
い時期に電池機能を停止させることができるため、安全
性をより向上することができる。また、このセパレータ
は、通常の高温環境下で使用した際にインピーダンスが
上昇するのを抑制することができるため、高温で優れた
充放電特性を維持することができる。
【0142】本発明に係る二次電池において、前記セパ
レータとしてポリオレフィン、セルロース及びポリフッ
化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種類の樹脂製の
多孔質シートを用い、かつ前記外装材の熱可塑性樹脂と
してポリオレフィンを用いることによって、急激な温度
上昇を生じた際に速やかにセパレータの孔を閉塞するこ
とができる。その結果、外装材の封止領域の熱可塑性樹
脂が溶融する前のより早い時期に電池機能を停止させる
ことができるため、安全性をより向上することができ
る。また、このセパレータは、通常の高温環境下で使用
した際にインピーダンスが上昇するのを抑制することが
できるため、高温で優れた充放電特性を維持することが
できる。さらに、封止領域の熱可塑性樹脂が非水電解質
により腐食されるのを抑制することができるため、外装
材の気密性をより向上することができる。
【0143】本発明に係る二次電池において、非水電解
質として液状非水電解質を用いることによって、ゲル状
のポリマー電解質層を備えるリチウムイオン二次電池に
比べて、正極界面及び負極界面のインピーダンスを小さ
くすることができると共に、リチウムイオン伝導度を高
くすることができるため、大電流での充放電特性を向上
することができる。
【0144】この液状非水電解質として、非水溶媒と、
前記非水溶媒に溶解されるリチウム塩とを含むものを用
い、かつ前記非水溶媒にγ−ブチロラクトンを非水溶媒
全体の40体積%以上95体積%以下含有させることに
よって、前記セパレータに液状非水電解質を均一に浸透
させることができるため、前記セパレータのリチウムイ
オン移動度を向上することができ、大電流放電特性を向
上することができる。また、この非水電解質は、熱安定
性を高くすることができるため、電池の異常発熱を抑制
することができ、安全性をより向上することができる。
さらに、γ−ブチロラクトンは化学的安定性にすぐれて
いるため、非水溶媒中にγ−ブチロラクトンを特定量含
有させることによって、高温条件下で貯蔵を行った際に
正極活物質と液状非水電解質が反応して液状非水電解質
が酸化分解するのを抑制することができる。その結果、
ガス発生量を少なくすることができるため、前記外装材
が膨れるのを抑えることができる。このため、電池が電
子機器に納まらなくなったり、あるいは電子機器の誤作
動を招いたりという不具合を回避することができる。
【0145】前記二次電池に初充電を行う際、充電温度
を30〜80℃にし、かつ充電レートを0.05〜0.
5Cにすることによって、負極とγ−ブチロラクトンと
が反応して液状非水電解質が還元分解するのを抑制する
ことができるため、負極の界面インピーダンスを低くす
ることができ、かつ金属リチウムの析出を抑えることが
できる。従って、前記二次電池の大電流放電特性及び充
放電サイクル特性を向上することができる。
【0146】前記非水電解質としてゲル状非水電解質を
用いることによって、ゲル状のポリマー電解質を備えた
二次電池に比べて、内部短絡、過充電あるいは130℃
以上の高温放置などの異常時に二次電池が発熱するのを
抑制することができるため、安全性をより向上すること
ができる。
【0147】ところで、本発明に係る二次電池に含まれ
る外装材は、充放電反応に伴う電極群の膨張・収縮に追
従して変形しやすく、電極群を挟持する力が弱い。この
ため、充放電サイクルが進行すると、正極とセパレータ
の接触面積及び負極とセパレータの接触面積が減少する
恐れがある。接触面積の減少は、内部抵抗の増加を招
く。前記正極及び前記セパレータをこれらの内部及び境
界に点在する接着性を有する高分子により一体化させる
と共に、前記負極及び前記セパレータをこれらの内部及
び境界に点在する接着性を有する高分子により一体化さ
せることによって、充放電サイクル初期の内部インピー
ダンスを低くすることができ、その値を充放電サイクル
が進行しても維持することができるため、サイクル寿命
をより向上することができる。
【0148】さらに、前述した図8に示すように前記接
着性を有する高分子により形成される微細な空隙に非水
電解質を保持させることによって、フィルム製の外装材
を用いた際にも電池特性が損なわれることがなく、軽量
で、薄型の非水電解質二次電池を実現することができ
る。
【0149】また、本発明に係る二次電池において、前
記正極、前記負極及び前記セパレータを前記正極及び前
記負極に含まれる結着剤を熱硬化させることにより一体
化させることによって、充放電サイクル初期の内部イン
ピーダンスを低くすることができ、その値を充放電サイ
クルが進行しても維持することができるため、サイクル
寿命をより向上することができる。
【0150】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。
【0151】まず、各実施例および各比較例の二次電池
に含まれるセパレータの孔閉塞開始温度を説明する。
【0152】ニッケル板からなる2枚の電極でセパレー
タを挟むことにより得られる試験セルを、各実施例およ
び各比較例で用いられる非水電解質と同様な組成を有す
る非水溶液に浸漬した後、前記非水溶液が揮発しないよ
うにデシケータ中で10分間真空含浸を行った。なお、
電極の大きさを10×15mmにし、かつセパレータの
大きさを20×25mmにした。その後、100℃で1
0分間放置した後、2℃/minで昇温させながらセル
温度及び交流周波数1KHzでのセル抵抗値を測定し、
セル抵抗値が急激に上昇し始める温度を求め、この温度
をセパレータの孔閉塞開始温度とした。
【0153】(実施例1) <正極の作製>まず、リチウムコバルト酸化物(Lix
CoO2 ;但し、Xは0≦X≦1である)粉末91重量
%を、アセチレンブラック2.5重量%、グラファイト
3重量%及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)4重量
%およびN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混合
し、スラリーを調製した。厚さが10μmのアルミニウ
ム箔からなる集電体の両面に得られたスラリーを塗布し
た後、乾燥し、プレスすることにより、集電体の各面に
厚さが48μmの正極層が担持された構造の正極を作製
した。得られた正極において、電極密度は3.0g/c
3 で、正極層の合計厚さは96μmであった。
【0154】<負極の作製>炭素質材料として3000
℃で熱処理したメソフェーズピッチ系炭素繊維(繊維径
が8μm、平均繊維長が20μm、平均面間隔
(d002 )が0.3360nm)の粉末を93重量%
と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)7
重量%と、N−メチルピロリドン(NMP)溶液とを混
合し、スラリーを調製した。厚さが10μmの銅箔から
なる集電体の両面に得られたスラリーを塗布し、乾燥
し、プレスすることにより、集電体の各面に厚さが45
μmの負極層が担持された構造の負極を作製した。得ら
れた負極において、電極密度は1.3g/cm3 で、負
極層の合計厚さは90μmであった。
【0155】<セパレータ>厚さが20μm、多孔度が
40%で、電極群に組み込まれる前の孔閉塞開始温度が
下記表1に示す値であるポリエチレン製多孔質フィルム
からなるセパレータを用意した。
【0156】<電極群の作製>前記正極及び前記負極を
その間に前記セパレータを介在して渦巻き状に捲回した
後、偏平状に成形することによって、厚さが2.5mm
で、幅が30mmで、高さが50mmの電極群を作製し
た。
【0157】<液状非水電解質の調製>四フッ化ホウ酸
リチウム(LiBF4 )をエチレンカーボネート(E
C)とγ−ブチロラクトン(BL)の混合溶媒(混合体
積比率25:75)に1.5モル/1溶解して液状非水
電解質を調製した。
【0158】金属層としてのアルミニウム箔の両面を融
点が160℃のポリプロピレンからなる熱可塑性樹脂層
で覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを用意し
た。このラミネートフィルムに190℃で加熱プレスを
施して封止領域の熱可塑性樹脂層同士を熱融着させるこ
とにより、ラミネートフィルムを袋状に加工した。これ
に前記電極群を収納し、厚さが2.7mmになるように
両面をホルダで挟んだ。接着性を有する高分子であるポ
リフッ化ビニリデン(PVdF)を有機溶媒であるジメ
チルフォルムアミド(沸点が153℃)に0.3重量%
溶解させた。得られた溶液を前記外装材内の電極群に電
池容量100mAh当たりの量が0.6mlとなるよう
に注入し、前記溶液を前記電極群の内部に浸透させると
共に、前記電極群の表面全体に付着させた。
【0159】次いで、前記外装材内の電極群に80℃で
真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発
させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有す
る高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔
質な接着部を形成した。
【0160】前記外装材内の電極群に前記液状非水電解
質を2g注入した後、前記外装材の開口部に190℃で
加熱プレスを施して開口部内面の熱可塑性樹脂層同士を
熱融着させることによりこの開口部を封止し、前述した
図3〜図8に示す構造を有し、厚さが2.7mm、幅が
32mm、高さが55mmの薄型非水電解質二次電池を
組み立てた。
【0161】得られた実施例1の非水電解質二次電池に
初充電工程として以下の処置を施した。まず、40℃の
高温環境下に5h放置した後、その環境下で0.2C
(120mA)で4.2Vまで定電流・定電圧充電を1
0時間行った。その後、20℃において0.2Cで2.
7Vまで放電した。この際の放電容量は400mAhだ
った。さらに、温度を20℃に変更すること以外は1サ
イクル目と同様な条件で2サイクル目の充電を行い、非
水電解質二次電池を製造した。
【0162】(実施例2〜4)セパレータの孔閉塞開始
温度を下記表1に示すように変更した以外は、前述した
実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造し
た。
【0163】(実施例5)セパレータの孔閉塞開始温度
と、外装材のポリプロピレンの融点を下記表1に示すよ
うに変更した以外は、前述した実施例1と同様にして薄
型非水電解質二次電池を製造した。
【0164】(実施例6)液状非水電解質の組成を下記
表2に示すように変更した以外は、前述した実施例1と
同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0165】(実施例7,8)セパレータの孔閉塞開始
温度を下記表1に示すように変更した以外は、前述した
実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造し
た。
【0166】(比較例1)前記外装材の熱可塑性樹脂の
種類を下記表1に示すように変更すること以外は、前述
した実施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を製
造した。
【0167】(比較例2〜3)セパレータの材料並びに
孔閉塞開始温度と、外装材のポリエチレンの融点を下記
表1に示すように変更した以外は、前述した実施例1と
同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0168】(比較例4)セパレータの材料並びに孔閉
塞開始温度と、外装材のポリエチレンの融点を下記表1
に示すように変更した以外は、前述した実施例6と同様
にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0169】(比較例5)前述した実施例6と同様な組
成の液状非水電解質およびポリフッ化ビニリデンを(P
VdF)を混合し、ゲル化させることにより厚さが80
μmのゲル状ポリマー電解質層を作製した。実施例1で
説明したのと同様な正極及び負極の間にゲル状ポリマー
電解質層を介在させることにより電極群を作製した。
【0170】実施例1で説明したのと同様なラミネート
フィルムを実施例1で説明したのと同様にして袋状に加
工した。これに前記電極群を収納し、前記外装材の開口
部を実施例1で説明したのと同様にして封止し、厚さが
2.7mm、幅が32mm、高さが55mmの薄型非水
電解質二次電池を製造した。
【0171】得られた二次電池に前述した実施例1で説
明したのと同様な初充電工程を施し、非水電解質二次電
池を製造した。
【0172】得られた実施例1〜8および比較例1〜5
の非水電解質二次電池について、4.2Vの充電状態に
おける大電流放電特性(0.2〜3C)を測定し、0.
2C放電での放電容量を100%とした際の3C放電で
の放電容量値を求め、その結果を表2に併記する。
【0173】また、実施例1〜8および比較例1〜5の
非水電解質二次電池について、4.2Vに過充電した
後、140℃でオーブン試験を行い、その際の電池最高
温度を測定し、その結果を下記表2に併記する。
【0174】さらに、実施例1〜8の二次電池につい
て、初充電工程後、二次電池を分解してセパレータを取
り出し、セパレータをジメチルフォルムアミド溶液に浸
漬してセパレータに付着した非水電解質並びにポリフッ
化ビニリデンを除去し、セパレータが熱収縮しないよう
に60℃で減圧乾燥させた後、前述した方法で孔閉塞開
始温度を測定し、その結果を下記表1に併記する。な
お、セパレータの乾燥は、前述した減圧乾燥に限らず、
常圧において行うことが可能である。乾燥時間を短縮す
るため、減圧乾燥の方が望ましい。
【0175】
【表1】
【0176】
【表2】
【0177】表1、表2から明らかなように、実施例1
〜8の二次電池は、比較例1〜5の二次電池に比べて、
140℃の高温雰囲気に保管した際の電池最高温度が低
く、漏液がなく、安全性に優れることがわかる。特に、
実施例1,2,4,5の二次電池は、セパレータの孔閉
塞開始温度(二次電池分解後)が低いため、140℃の
高温雰囲気で発熱せず、極めて安全性が高いことがわか
る。また、実施例1〜8の二次電池は、ゲル状のポリマ
ー電解質層を備えた比較例5の二次電池に比べて、大電
流で放電した際の容量低下を小さくできることがわか
る。
【0178】(実施例9) <セパレータ>厚さが20μm、多孔度が40%で、空
気透過率および電極群に組み込まれる前の孔閉塞開始温
度が下記表3に示す値であるポリエチレン製多孔質フィ
ルムからなるセパレータを用意した。
【0179】<電極群の作製>前述した実施例1で説明
したのと同様な正極及び負極をその間に前記セパレータ
を介在して渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形するこ
とによって、厚さが2.5mmで、幅が30mmで、高
さが50mmの電極群を作製した。
【0180】前述した実施例1で説明したのと同様なラ
ミネートフィルムを前述した実施例1で説明したのと同
様にして袋状に加工した。これに前記電極群を収納し、
厚さが2.7mmになるように両面をホルダで挟んだ。
接着性を有する高分子であるポリフッ化ビニリデン(P
VdF)を有機溶媒であるジメチルフォルムアミド(沸
点が153℃)に0.3重量%溶解させた。得られた溶
液を前記外装材内の電極群に電池容量100mAh当た
りの量が0.6mlとなるように注入し、前記溶液を前
記電極群の内部に浸透させると共に、前記電極群の表面
全体に付着させた。
【0181】次いで、前記外装材内の電極群に80℃で
真空乾燥を12時間施すことにより前記有機溶媒を蒸発
させ、正極、負極及びセパレータの空隙に接着性を有す
る高分子を保持させると共に、前記電極群の表面に多孔
質な接着部を形成した。
【0182】前記外装材内の電極群に前述した実施例1
で説明したのと同様な液状非水電解質を2g注入した
後、前記外装材の開口部を前述した実施例1で説明した
のと同様な方法により封止し、前述した図3〜図8に示
す構造を有し、厚さが2.7mm、幅が32mm、高さ
が55mmの薄型非水電解質二次電池を組み立てた。
【0183】得られた実施例9の非水電解質二次電池に
前述した実施例1で説明したのと同様な初充電工程を施
し、非水電解質二次電池を製造した。
【0184】(実施例10〜12)セパレータの孔閉塞
開始温度および空気透過率を下記表3に示すように変更
した以外は、前述した実施例9と同様にして薄型非水電
解質二次電池を製造した。
【0185】(実施例13)セパレータの孔閉塞開始温
度ならびに空気透過率と、外装材のポリプロピレンの融
点を下記表3に示すように変更した以外は、前述した実
施例9と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造し
た。
【0186】(実施例14)液状非水電解質の組成を下
記表4に示すように変更した以外は、前述した実施例9
と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0187】(実施例15)セパレータの材料、孔閉塞
開始温度および空気透過率を下記表3に示すように変更
した以外は、前述した実施例9と同様にして薄型非水電
解質二次電池を製造した。
【0188】(実施例16)セパレータの材料、孔閉塞
開始温度ならびに空気透過率と、外装材の熱可塑性樹脂
の種類を下記表3に示すように変更した以外は、前述し
た実施例9と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造
した。
【0189】(実施例17)セパレータの孔閉塞開始温
度ならびに空気透過率と、外装材の熱可塑性樹脂の種類
を下記表3に示すように変更した以外は、前述した実施
例9と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0190】(実施例18)液状非水電解質の組成を下
記表4に示すように変更した以外は、前述した実施例9
と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造した。
【0191】(実施例19)実施例18で説明したのと
同様な組成の液状非水電解質88モル%と、高分子であ
るポリアクリロニトリルを12モル%とを120℃で混
合することによりゲル状非水電解質を調製した。
【0192】実施例9で説明したのと同様なセパレータ
にゲル状電解質を含浸させた後、実施例1で説明したの
と同様な正極と負極の間に前記セパレータを介在させ、
電極群を作製した。
【0193】実施例1で説明したのと同様なラミネート
フィルムを実施例1で説明したのと同様にして袋状に加
工した。これに前記電極群を収納し、前記外装材の開口
部を実施例1で説明したのと同様な方法により封止し、
厚さが2.7mm、幅が32mm、高さが55mmの薄
型非水電解質二次電池を製造した。
【0194】(実施例20、21)セパレータの空気透
過率を下記表3に示すように変更した以外は、前述した
実施例19と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造
した。
【0195】(比較例6)前記外装材の熱可塑性樹脂の
種類を下記表3に示すように変更すること以外は、前述
した実施例9と同様にして薄型非水電解質二次電池を製
造した。
【0196】(比較例7〜8)セパレータの材料、孔閉
塞開始温度ならびに空気透過率と、外装材のポリエチレ
ンの融点を下記表3に示すように変更した以外は、前述
した実施例9と同様にして薄型非水電解質二次電池を製
造した。
【0197】(比較例9)セパレータの材料、孔閉塞開
始温度ならびに空気透過率と、外装材のポリエチレンの
融点を下記表3に示すように変更した以外は、前述した
実施例14と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造
した。
【0198】(比較例10)前述した実施例14と同様
な組成の液状非水電解質およびポリフッ化ビニリデンを
(PVdF)を混合し、ゲル化させることにより厚さが
80μmのゲル状ポリマー電解質層を作製した。実施例
1で説明したのと同様な正極及び負極の間にゲル状ポリ
マー電解質層を介在させることにより電極群を作製し
た。
【0199】実施例1で説明したのと同様なラミネート
フィルムを実施例1で説明したのと同様にして袋状に加
工した。これに前記電極群を収納し、前記外装材の開口
部を実施例1で説明したのと同様な方法で封止し、厚さ
が2.7mm、幅が32mm、高さが55mmの薄型非
水電解質二次電池を製造した。
【0200】得られた二次電池に前述した実施例1で説
明したのと同様な初充電工程を施し、非水電解質二次電
池を製造した。
【0201】得られた実施例9〜21および比較例6〜
10の非水電解質二次電池について、前述した実施例1
で説明したのと同様にして3C放電時の容量維持率及び
140℃オーブン試験での最高温度を測定し、その結果
を下記表4に併記する。
【0202】また、実施例9〜21の二次電池につい
て、初充電工程後、二次電池を分解してセパレータを取
り出し、セパレータをジメチルフォルムアミド溶液に浸
漬してセパレータに付着した非水電解質並びにポリフッ
化ビニリデンを除去し、セパレータが熱収縮しないよう
に60℃で減圧乾燥させた後、前述した方法で孔閉塞開
始温度を測定し、その結果を下記表3に併記する。な
お、セパレータの乾燥は、前述した減圧乾燥に限らず、
常圧において行うことが可能である。乾燥時間を短縮す
るため、減圧乾燥の方が望ましい。
【0203】
【表3】
【0204】
【表4】
【0205】表3、表4から明らかなように、実施例9
〜21の二次電池は、比較例6〜10の二次電池に比べ
て、140℃の高温雰囲気に保管した際の電池最高温度
が低く、漏液がなく、安全性に優れることがわかる。特
に、実施例9,10,12,13、17の二次電池は、
セパレータの孔閉塞開始温度(二次電池分解後)が低い
ため、140℃の高温雰囲気で発熱せず、極めて安全性
が高いことがわかる。また、実施例9〜21の二次電池
は、ゲル状のポリマー電解質層を備えた比較例10の二
次電池に比べて、大電流で放電した際の容量低下を小さ
くできることがわかる。
【0206】(実施例22)セパレータとして、厚さが
10μmで、空気透過率が90sec/100cm
3で、多孔度が50%で、かつ孔閉塞開始温度が130
℃のポリエチレン製多孔質フィルムを用いること以外
は、前述した実施例9と同様にして薄型非水電解質二次
電池を製造した。
【0207】(実施例23)セパレータの多孔質フィル
ムの空気透過率を150sec/100cm3にするこ
と以外は、前述した実施例22と同様にして薄型非水電
解質二次電池を製造した。
【0208】(実施例24)セパレータの多孔質シート
の空気透過率を400sec/100cm3にすること
以外は、前述した実施例22と同様にして薄型非水電解
質二次電池を製造した。
【0209】(実施例25)セパレータの多孔質シート
の空気透過率を580sec/100cm3にすること
以外は、前述した実施例22と同様にして薄型非水電解
質二次電池を製造した。
【0210】得られた実施例22〜25の二次電池につ
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして3C
放電時の容量維持率及び140℃オーブン試験での最高
温度を測定し、その結果を下記表5に示す。
【0211】また、実施例22〜25の二次電池につい
て、初充電工程後、二次電池を分解してセパレータを取
り出し、セパレータをジメチルフォルムアミド溶液に浸
漬してセパレータに付着した非水電解質並びにポリフッ
化ビニリデンを除去し、セパレータが熱収縮しないよう
に60℃で減圧乾燥させた後、前述した方法で孔閉塞開
始温度を測定したところ、セパレータの孔閉塞開始温度
はいずれも135℃であった。なお、セパレータの乾燥
は、前述した減圧乾燥に限らず、常圧において行うこと
が可能である。乾燥時間を短縮するため、減圧乾燥の方
が望ましい。
【0212】
【表5】
【0213】(実施例26〜27)セパレータの厚さを
下記表6に示すように変更すること以外は、前述した実
施例1と同様にして薄型非水電解質二次電池を製造し
た。
【0214】得られた実施例26〜27の二次電池につ
いて、前述した実施例1で説明したのと同様にして14
0℃オーブン試験での最高温度を測定し、その結果を下
記表6に示す。なお、表6には前述した実施例1の結果
を併記する。
【0215】また、実施例1,26,27の二次電池に
ついて、単位重量当たりのエネルギー密度を求め、その
結果を下記表6に併記する。
【0216】
【表6】
【0217】表6から明らかなように、セパレータの厚
さが厚い方が140℃の高温環境下での発熱を抑制でき
るものの、電池の単位重量当たりのエネルギー密度が低
くなることがわかる。
【0218】なお、ゲル状非水電解質が含浸されたセパ
レータを備える実施例19の二次電池において、セパレ
ータの厚さを5μmに変更したところ、オーブン試験時
の最高温度が10℃上昇したものの、単位重量当たりの
エネルギー密度は12%高くなった。また、セパレータ
の厚さを30μmに変更したところ、単位重量当たりの
エネルギー密度が30%低下したものの、オーブン試験
時の最高温度は140℃のままであった。
【0219】(実施例28)実施例1と同様な正極及び
実施例1と同様な負極をその間に実施例9と同様なセパ
レータを介在して渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形
することによって、厚さが2.5mmで、幅が30mm
で、高さが50mmの電極群を作製した。
【0220】前述した実施例1で説明したのと同様なラ
ミネートフィルムを前述した実施例1で説明したのと同
様にして袋状に加工した。これに前記電極群を収納した
後、80℃の高温真空雰囲気において前記外装材に電極
群の厚さ方向に沿って10kg/cm2の圧力でプレス
を施すことにより、正極、負極及びセパレータを前記正
極及び負極に含まれる結着剤を熱硬化させて一体化し
た。
【0221】前記外装材内の電極群に実施例1と同様な
組成を有する液状非水電解質を2g注入し、実施例1で
説明したのと同様にして封口することにより厚さが2.
7mm、幅が32mm、高さが55mmの薄型非水電解
質二次電池を組み立てた。
【0222】ひきつづき、実施例1で説明したのと同様
な初充電を施すことにより、薄型非水電解質二次電池を
製造した。
【0223】得られた実施例28の二次電池について、
前述した実施例1で説明したのと同様にして3C放電時
の容量維持率及び140℃オーブン試験での最高温度を
測定したところ、3C放電時の容量維持率が95%で、
最高温度が140℃であった。
【0224】(実施例29)実施例1と同様な正極及び
実施例1と同様な負極をその間に実施例9と同様なセパ
レータを介在して渦巻き状に捲回した後、偏平状に成形
することによって、厚さが2.5mmで、幅が30mm
で、高さが50mmの電極群を作製した。
【0225】前述した実施例1で説明したのと同様なラ
ミネートフィルムを前述した実施例1で説明したのと同
様にして袋状に加工した。これに前記電極群を収納した
後、80℃の高温真空雰囲気において前記外装材に電極
群の厚さ方向に沿って10kg/cm2の圧力でプレス
を施すことにより、正極、負極及びセパレータを前記正
極及び負極に含まれる結着剤を熱硬化させて一体化し
た。
【0226】33体積%のエチレンカーボネート(E
C)、66体積%のγ―ブチロラクトン(BL)及び1
体積%のビニレンカーボネートからなる非水溶媒に四フ
ッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )を1.5モル/l溶
解させ、液状非水電解質を調製した。前記外装材内の電
極群に前記液状非水電解質を2g注入し、実施例1で説
明したのと同様にして封口することにより厚さが2.7
mm、幅が32mm、高さが55mmの薄型非水電解質
二次電池を組み立てた。
【0227】ひきつづき、実施例1で説明したのと同様
な初充電を施すことにより、薄型非水電解質二次電池を
製造した。
【0228】得られた実施例29の二次電池について、
前述した実施例1で説明したのと同様にして3C放電時
の容量維持率及び140℃オーブン試験での最高温度を
測定したところ、3C放電時の容量維持率が93%で、
最高温度が140℃であった。
【0229】(実施例30)ポリエチレンオキサイド
(PEO)38モル%と、LiPF6を5モル%と、エ
チレンカーボネートを38モル%と、プロピレンカーボ
ネートを19モル%とを120℃で混合することにより
ゲル状の非水電解質を調製した。
【0230】得られたゲル状非水電解質を実施例9と同
様なセパレータに含浸させた後、実施例1と同様な正極
及び負極の間にこのセパレータを介在させ、これを冷却
して前記非水電解質を固化させることにより、前記セパ
レータに固体非水電解質が保持され、かつ前記正極と前
記セパレータ間および前記負極と前記セパレータ間に固
体非水電解質層が介在された電極群を作製した。
【0231】前述した実施例1で説明したのと同様なラ
ミネートフィルムを前述した実施例1で説明したのと同
様にして袋状に加工した。これに前記電極群を収納した
後、前記外装材の開口部を前述した実施例1で説明した
のと同様な方法により封止することにより、厚さが2.
5mm、幅が30mm、高さが50mmの薄型非水電解
質二次電池を組み立てた。
【0232】得られた実施例30の二次電池について、
140℃オーブン試験での最高温度を測定したところ、
電池最高温度は140℃であった。また、この際、漏液
やガス噴出はなかった。従って、本発明によれば、電気
自動車のような大型の非水電解質二次電池の安全性を向
上することができる。
【0233】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
大電流での充放電特性が向上され、かつ安全性が改善さ
れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解質二次電池における正
極層の厚さを説明するための断面図。
【図2】孔閉塞開始温度測定試験におけるセル温度とセ
ル抵抗値との関係の一例を示す特性図。
【図3】本発明に係わる第1の非水電解質二次電池の一
例を示す平面図。
【図4】図3の非水電解質二次電池の外装材を示す平面
図。
【図5】図3のV−V線に沿う断面図。
【図6】図5のA部を示す拡大断面図。
【図7】図5のB部を示す拡大断面図。
【図8】図3の二次電池における正極、セパレータ及び
負極の境界付近を示す模式図。
【符号の説明】
1…正極リード、 2…負極リード、 3…外装材、 5…電極群、 6…熱可塑性樹脂層、 7…金属層、 8…外部保護層、 9…セパレータ、 10…正極層、 11…正極集電体、 12…正極、 13…負極層、 14…負極集電体、 15…負極 16…接着部、 17…接着性を有する高分子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大崎 隆久 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝川崎事業所内 (72)発明者 神田 基 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝川崎事業所内 Fターム(参考) 5H011 AA13 BB03 CC02 CC06 CC10 DD13 KK04 5H021 AA06 CC15 EE04 EE10 EE11 HH03 HH04 HH06 5H029 AJ12 AK02 AL06 AM01 AM11 BJ02 BJ04 BJ12 BJ14 BJ23 DJ03 DJ04 DJ13 EJ12 HJ04 HJ07

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と、負極と、前記正極及び前記負極
    の間に配置され、加熱により孔が閉塞する性質を有する
    多孔質セパレータとを備える電極群;前記セパレータに
    保持される非水電解質;及び内面の少なくとも一部が熱
    可塑性樹脂層から形成されたシートからなり、前記電極
    群を収納すると共に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒート
    シールして前記電極群を密封するための外装材;を具備
    し、 前記正極、前記負極及び前記セパレータは、一体化され
    ており、 前記熱可塑性樹脂層は、前記セパレータの孔閉塞開始温
    度に比べて高い融点を有することを特徴とする非水電解
    質二次電池。
  2. 【請求項2】 前記孔閉塞開始温度は100〜150℃
    の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の非水電
    解質二次電池。
  3. 【請求項3】 前記セパレータの材料は、ポリオレフィ
    ン、セルロース及びポリフッ化ビニリデンから選ばれる
    少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1記載
    の非水電解質二次電池。
  4. 【請求項4】 前記セパレータの空気透過率は、600
    秒/100cm3以下であることを特徴とする請求項1
    記載の非水電解質二次電池。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂層の融点は、120℃
    以上であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質
    二次電池。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンで
    あることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電
    池。
  7. 【請求項7】 正極と、負極と、前記正極及び前記負極
    の間に配置され、ポリオレフィン、セルロース及びポリ
    フッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種類からな
    り、空気透過率が600秒/100cm3以下で、厚さ
    が5〜30μmの多孔質シートからなるセパレータとを
    備える電極群;前記セパレータに保持される非水電解
    質;及び内面の少なくとも一部が熱可塑性樹脂層から形
    成されたシートからなり、前記電極群を収納すると共
    に、前記熱可塑性樹脂層同士をヒートシールして前記電
    極群を密封するための外装材;を具備し、 前記正極、前記負極及び前記セパレータは、一体化され
    ており、 前記熱可塑性樹脂層は、前記セパレータの孔閉塞開始温
    度に比べて高い融点を有することを特徴とする非水電解
    質二次電池。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂層の融点は、120℃
    以上であることを特徴とする請求項7記載の非水電解質
    二次電池。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィンで
    あることを特徴とする請求項7記載の非水電解質二次電
    池。
  10. 【請求項10】 正極と、負極と、前記正極及び前記負
    極の間に配置され、ポリオレフィン、セルロース及びポ
    リフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1種類から
    形成された多孔質シートからなるセパレータとを備える
    電極群;前記セパレータに保持される非水電解質;及び
    内面の少なくとも一部がポリオレフィン層から形成され
    たシートからなり、前記電極群を収納すると共に、前記
    ポリオレフィン層同士をヒートシールして前記電極群を
    密封するための外装材;を具備し、 前記正極、前記負極及び前記セパレータは、一体化され
    ており、 前記ポリオレフィン層は、前記セパレータの孔閉塞開始
    温度に比べて高い融点を有することを特徴とする非水電
    解質二次電池。
  11. 【請求項11】 前記セパレータの空気透過率は、60
    0秒/100cm3以下であることを特徴とする請求項
    10記載の非水電解質二次電池。
  12. 【請求項12】 前記ポリオレフィン層の融点は、12
    0℃以上であることを特徴とする請求項10記載の非水
    電解質二次電池。
  13. 【請求項13】 前記非水電解質は、液状非水電解質、
    ゲル状非水電解質及び固体非水電解質から選ばれる少な
    くとも1種類からなることを特徴とする請求項1,7,
    10のいずれか1項記載の非水電解質二次電池。
  14. 【請求項14】 前記非水電解質は、非水溶媒と、前記
    非水溶媒に溶解されるリチウム塩とを含み、前記非水溶
    媒は、γ−ブチロラクトンを非水溶媒全体の40体積%
    以上、95体積%以下含有することを特徴とする請求項
    1,7,10のいずれか1項記載の非水電解質二次電
    池。
  15. 【請求項15】 前記正極及び前記セパレータがこれら
    の境界の少なくとも一部に存在する接着性を有する高分
    子により一体化されていると共に、前記負極及び前記セ
    パレータがこれらの境界の少なくとも一部に存在する接
    着性を有する高分子により一体化されていることを特徴
    とする請求項1,7,10のいずれか1項記載の非水電
    解質二次電池。
  16. 【請求項16】 前記正極及び前記負極は結着剤を含ん
    でおり、前記正極、前記負極及び前記セパレータは、前
    記結着剤を熱硬化させることにより一体化されているこ
    とを特徴とする請求項1,7,10のいずれか1項記載
    の非水電解質二次電池。
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