JP2014203583A - 二次電池および該電池用のセパレータ - Google Patents

二次電池および該電池用のセパレータ Download PDF

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Abstract

【課題】スプリングバックを抑制し得るセパレータを提供すること。【解決手段】本発明により、樹脂製の基材42と、該基材の表面に形成された耐熱層44と、を備えた二次電池用のセパレータ40が提供される。耐熱層44は、フィラーとバインダとを含んでいる。そして、耐熱層44を厚み方向に二分したときに、相対的に上記基材に近い領域A1に含まれる単位体積当たりのバインダの量R1と、相対的に表面に近い領域A2に含まれる単位体積当たりのバインダの量R2と、が異なっており、上記R1と上記R2とはR1<R2の関係にある。好適な一態様では、耐熱層44の平均厚みは3μm以上10μm以下である。好適な他の一態様では、基材42の平均厚みは10μm以上30μm以下である。【選択図】図5

Description

本発明は、二次電池用のセパレータと該セパレータの利用に関する。詳しくは、セパレータと、該セパレータを備えた二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等の二次電池は、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。二次電池の典型的な構成では、正極と負極とがセパレータを介して対向してなる電極体が、電解質とともに電池ケース内に収容されている。一般に、上記セパレータはポリオレフィン等の樹脂製の多孔質シートで構成され、正極と負極を電気的に絶縁する機能、非水電解質を保持する機能、およびシャットダウン機能(すなわち、電池内が過熱されて一定の温度域(典型的にはセパレータの軟化点)に達すると軟化して電荷担体の伝導パスを遮断する機能)を兼ね備える。加えて、セパレータには所定レベルの耐熱性(耐久性)をも要求される。すなわち、セパレータの軟化点以上に電池内が過熱されて該セパレータが熱収縮や破断を生じた場合であっても、内部短絡を防止する必要がある。かかる要求に応える手段として、樹脂製の多孔質セパレータの表面に耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)を備えた構成が提案されている。これに関連する技術として、特許文献1が挙げられる。
ところで、二次電池のなかには扁平形状の捲回電極体が電解質とともに電池ケース内に収容されているものがある。このような扁平形状の捲回電極体は、一般に、長尺状の正極シートと負極シートとをセパレータシートを介して重ね合わせて長尺方向に捲回し略円筒状とした後、さらに側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形される。しかしながら、このように扁平形状に成形された捲回電極体では、自身の弾性によって略円筒状に戻ろうとする力(以下、「スプリングバック」という。)が働き、これによって捲回電極体の扁平部が押圧時に比べ厚くなることがある。かかる場合、捲回電極体への集電端子の取り付けが困難になったり、捲回電極体を電池ケース内に挿入することが難しくなったりすることがあり得る。これに関連する技術として、特許文献2が挙げられる。特許文献2には、略円筒状の捲回電極体を加熱圧縮した後に冷却することでセパレータシートにクセ付けを行い、スプリングバックを抑制する方法が開示されている。
特開2007−141497号公報 特開2011−258493号公報
本発明者の検討によれば、特許文献2に記載の技術では、セパレータ(耐熱層および/または基材)の性状(厚み等)によっては好適にスプリングバックを抑制し得ないことがあった。また、特許文献2に記載の製造方法では、概して製造装置が大掛かりになりがちであり、作業工程が増えることによって作業効率が悪化したりコストが増大したりする虞があった。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スプリングバックを抑制し得るセパレータを提供することである。また、関連する他の目的は、扁平形状の捲回電極体を用いる構成において、スプリングバックに起因する上述のような諸問題の発生が抑制され、信頼性の高い二次電池を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決し得る手段を見出し、本発明を完成させた。本発明によって、樹脂製の基材と、該基材の表面に形成された耐熱層と、を備えた二次電池用のセパレータが提供される。上記耐熱層は、フィラー(典型的には無機フィラー)とバインダとを含んでいる。そして、上記耐熱層を厚み方向に二分したときに、相対的に上記基材に近い領域Aに含まれる単位体積当たりのバインダの量R(mol/cm)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる単位体積当たりのバインダの量R(mol/cm)とが異なっており、上記Rと上記RとはR<Rの関係にある。
基材上に耐熱層を備えるセパレータは、基材の軟化点以上に過熱された場合であっても好適に絶縁性を保持することができ、高い信頼性を実現することができる。また、従来とは異なり、耐熱層中のバインダの量をR<Rとする(すなわち、耐熱層の厚み方向に対して、バインダの量に勾配をもたせる)ことで、セパレータに適度な柔軟性を付与することができ、これによってスプリングバックを小さく抑えることができる。したがって、例えば当該セパレータを含む電極体がプレス成形されるような場合に、圧力の負荷後も電極体の形状を好適に維持することができる。
上記AおよびAの各領域に含まれるバインダの量の大小は、一般的な走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)−エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)によって確認することができる。より具体的には、まず被測定物たる耐熱層を備えたセパレータを電池ケースから取り出して、他の部材から分離する。次に、該セパレータを適当な溶媒(例えば非水電解質の溶媒として使用し得るもの)で洗浄して、支持塩等を除去する。そして、かかるセパレータについてクロスセクションポリッシャ加工等で断面出しを行い、耐熱層の基材近傍領域と表面近傍領域とをそれぞれSEMで観察する。得られたSEM観察画像をEDXで解析(例えばバインダに特有の元素でマッピング、典型的には炭素原子でマッピング)し、これらの観察画像を比較することで、相対的に基材に近い領域Aと相対的に表面に近い領域Aとに存在するバインダの量の大小関係を把握することができる。好ましくは、各領域につき任意の数か所(典型的には10〜30箇所)でかかる測定を行い、その算術平均値を採用することでより正確な評価を行うことができる。
なお、AおよびAの各領域に含まれるバインダ量の大小関係(耐熱層中におけるバインダの分布状態)は、上述のSEM−EDXのほかに、例えば一般的な誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析や、蛍光X線分析(X-ray Fluorescence Spectrometer:XRF)等によっても把握することができる。
ここで開示される好適な一態様では、エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて測定される、上記Aの炭素原子の比率C(atm%)に対する上記Aの炭素原子の比率C(atm%)のモル比(C/C)が、0.2〜0.6(例えば0.3〜0.5)である。耐熱層中に含まれるバインダは、典型的には炭素骨格を含む樹脂からなるため、上記炭素原子のモル比は、典型的にはバインダの含有比率を表している。相対的に表面に近い領域Aにおいてバインダの存在比率をより多くすることで、電極体のプレス成形時にクセ付け等を行うことなく、電極体の形状を好適に維持することができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記耐熱層の平均厚みは3μm以上10μm以下である。耐熱層の平均厚みを3μm以上とすることで、スプリングバックを好適に抑制することができる。また、釘刺し試験時の発熱量をより小さく(例えば500℃以下に)抑えることもでき、内部短絡に対する耐性をより一層高めることができる。さらに、耐熱層の平均厚みを10μm以下とすることで、イオン透過性を確保し得、電池抵抗を低減することができる。したがって、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記基材の平均厚みは10μm以上30μm以下である。基材の平均厚みを10μm以上とすることで、正極と負極を電気的に絶縁する機能および非水電解質を保持する機能を好適に発揮し得る。また、基材の平均厚みを30μm以下とすることで、イオン透過性がより良好となり、電池抵抗をより一層低減することができる。このため、より一層優れた電池性能を実現することができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記基材はポリオレフィン系樹脂(典型的には、ポリエチレン樹脂および/またはポリプロピレン樹脂)からなる。ポリオレフィン系の樹脂シートは、シャットダウン温度が凡そ80℃〜140℃と電池の耐熱温度よりも充分に低いため、適切なタイミングでシャットダウン機能を発揮することができる。したがって、より信頼性の高い電池を実現することができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記バインダはアクリル系樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート)からなる。耐熱層にアクリル系樹脂を含むことで良好な接着性(典型的には初期タック、接着強度)を有することとなり、耐熱層と基材とが良好に接着する。また、電気化学的にも安定なため、高い形状保持性を発揮することができる。
本発明によると、他の側面として、上述のようなセパレータを介して正極と負極とが対向してなる扁平形状の捲回電極体と、電解質と、を備えた二次電池(典型的には非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池)が提供される。上述の通り、ここで開示されるセパレータはスプリングバックを抑制し得るため、当該セパレータを含む電極体がプレス成形されるような場合に、押圧(圧力の負荷)後も正極とセパレータと負極とが密着した状態を好適に保つことができる。したがって、かかるセパレータは、捲回電極体(特には扁平形状の捲回電極体)の構成部材として好適に使用することができる。また、スプリングバックに起因する問題は、例えば車両の動力源(駆動用電源)として好適に利用されるような大型および/または大容量の電池で生じ易い。このため、例えば、捲回電極体の厚みが厚い場合(例えば、捲回電極体の扁平部の厚みが10mm以上の場合)や、電池容量が大きい場合(例えば電池容量が20Ah以上の場合)に、特に好適に適用し得る。ここで開示される技術によれば、スプリングバックに起因する諸問題が生じ難く、信頼性の高い二次電池を提供することができる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電池(いわゆる化学反応(ファラデー反応)を蓄電機構とする電池)のほか、電気二重層キャパシタ、疑似容量キャパシタ等のキャパシタ(化学反応を伴わない(非ファラデー反応)いわゆる物理現象(誘電分極)を蓄電機構とする電池)を包含する用語である。
一実施形態に係る非水電解質二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1のII−II線における縦断面図である。 図2の捲回電極体の構成を示す模式図である。 図2の捲回電極体の捲回軸に直交する断面を模式的に示す図である。 図2の捲回電極体の正負極間の一部を拡大して示す模式的な断面図である。
以下、ここで開示されるセパレータおよび該セパレータを備えた非水電解質二次電池の好適な実施形態について説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。かかる構造の非水電解質二次電池は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
≪セパレータ≫
本発明の二次電池用のセパレータは、樹脂製の基材と、該基材の表面に形成された耐熱層とを備える。かかる構成のセパレータは、正極(正極活物質層)と負極(負極活物質層)とを絶縁する機能とともに、電解質の保持機能、シャットダウン機能および耐熱性を兼ね備える。以下、基材および耐熱層について、詳細に説明する。
<基材>
基材としては、従来の二次電池と同様のものを用いることができる。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を主体に構成された多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂を主体に構成された多孔質樹脂シート(例えばPEやPP)は、シャットダウン温度が80℃〜140℃(典型的には110℃〜140℃、例えば120℃〜135℃)と、電池の耐熱温度(典型的には凡そ200℃以上)よりも充分に低いため適切なタイミングでシャットダウン機能を発揮することができる。したがって、より信頼性の高い電池を実現することができる。
多孔質樹脂シートとしては、例えば一軸延伸または二軸延伸されたものを好適に用いることができる。なかでも、長手方向に一軸延伸された多孔質樹脂シートは、適度な強度を備えつつ、幅方向の熱収縮が少ないため、カール等の形状変化を生じ難い。このため、かかるシートを基材として用いることで、長手方向の熱収縮を好適に抑制することができる。なお、上記多孔質樹脂シートは、必要に応じて、各種可塑剤、酸化防止剤等の添加剤を含み得る。
基材は、単層構造であってもよく、あるいは材質や性状(厚みや空孔率等)の異なる2種以上の多孔質樹脂シートが積層された構造であってもよい。多層構造のものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)層の両面にポリプロピレン(PP)層が積層された三層構造の多孔質樹脂シートを好適に採用し得る。
基材の厚みは特に限定されないが、通常、5μm以上(典型的には10μm以上、例えば12μm以上)であって、40μm以下(典型的には30μm以下、例えば25μm以下)であることが好ましい。基材の厚みが上記範囲内にあることで、上述の絶縁機能や電解質の保持機能を好適に発揮し得、且つ、イオン透過性をより良好に保つことができる。このため、より一層優れた電池性能を実現し得る。なお、基材の厚みは、マイクロメータや厚み計等を用いた計測や、断面SEM画像の解析等によって求めることができる。
基材の多孔度(空孔率)は特に限定されないが、概ね20体積%〜70体積%程度であることが好ましく、例えば30体積%〜60体積%程度であることがより好ましい。基材の多孔度があまりに大きすぎると、機械的強度が不足したり、熱収縮が著しくなったりすることがあり得る。基材の多孔度を70体積%以下とすることで、優れた強度を保つことができ、また、正極と負極の絶縁性を好適に維持し得る。一方、上記多孔度があまりに小さすぎると、基材に保持可能な電解液量が少なくなり、イオン透過性が低下して、充放電特性が低下傾向となることがあり得る。基材の多孔度を30体積%以上とすることで、電池性能(例えば、イオン透過性や入出力特性)を一層向上し得る。基材の多孔度は、例えば構成材料の種類や延伸時の強度等によって調整することができる。
なお、基材の多孔度は、質量W(g)と見かけの体積V(cm)と真密度ρ(g/cm)とから、式:〔1−(W/ρV)〕×100により求めることができる。上記「見かけの体積」は、平面視での面積(cm)と厚み(cm)の積によって算出することができる。また、上記「真密度ρ」は、一般的な定容積膨張法(気体置換型ピクノメータ法)等の密度測定装置によって測定することができる。
基材の透気度(ガーレー値)は特に限定されないが、通常、50秒/100mL以上(典型的には100秒/100mL以上、例えば200秒/100mL以上)であって、1000秒/100mL以下(典型的には600秒/100mL以下)であることが好ましい。かかる透気度は、平均空孔径を擬似的に規定するものである。透気度があまりに小さすぎると、イオン透過性が低下して入出力特性が低下傾向となることがあり得る。また、透気度があまりに大きすぎると、例えば後述する耐熱層を基材上に形成する場合に、該耐熱層に含まれるフィラーが基材の空孔に入り込みすぎてイオン透過性や入出力特性が低下傾向となることがあり得る。なお、ここで「透気度」とは、透気抵抗度(ガーレー)のことをいい、JIS P8117(2009)に規定された方法で測定することができる。
<耐熱層>
耐熱層は、例えば内部短絡等によって電池内が高温(例えば150℃以上、典型的には200℃以上)になった場合でも軟化や溶融をせず、形状を保持し得る性質(若干の変形は許容され得る)を有するものである。ここで開示される耐熱層は、フィラーとバインダとを含んでいる。
耐熱層に含まれるフィラーは、有機フィラー、無機フィラー、有機フィラーと無機フィラーの併用のいずれであってもよいが、耐熱性や耐久性、分散性、安定性等を考慮すると、無機フィラーを用いることが好ましい。また、一般に無機フィラーを備えた耐熱層は、その性質(剛性、低接着性等)ゆえ成形後に元の形状に戻ろうとする傾向があり、かかる耐熱層に起因するスプリングバックが生じやすい傾向がある。したがって、本願発明の効果は、特に無機フィラーを備えた耐熱層において好適に発揮され得る。
無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば金属酸化物、金属水酸化物等が挙げられる。具体的には、アルミナ(酸化アルミニウム:Al)、ベーマイト(Al・HO)、シリカ(酸化ケイ素:SiO)、チタニア(酸化チタン:TiO)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム:ZrO)、カルシア(酸化カルシウム:CaO)、マグネシア(酸化マグネシウム:MgO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化鉄等の無機酸化物;シリコンナイトライド(窒化ケイ素:Si)、アルミナイトライド(窒化アルミニウム:AlN)等の無機窒化物;ケイ素、アルミニウム、鉄等の元素系材料;タルク、クレー、マイカ、ベントナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、セリサイト等の鉱物系材料;のうち、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、アルミナ、ベーマイト、シリカ、チタニア、ジルコニア、カルシア、マグネシアが好ましく、アルミナ、ベーマイト、チタニアが特に好ましい。これらの化合物は融点が高く、耐熱性に優れる。また、モース硬度が比較的高く、耐久性(機械的強度)にも優れる。さらには比較的安価なため、原料コストを抑えることができる。特に、アルミニウムは金属のなかでは比重が比較的小さいため、電池の軽量化を実現することができ、本発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。
有機フィラーとしては、例えば、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド等の高耐熱性樹脂粒子を用いることができる。
また、無機フィラーと有機フィラーとを併用する場合、その配合比(無機フィラー:有機フィラー)は特に限定されないが、質量基準で10:90〜90:10(典型的には20:80〜70:30、例えば30:70〜60:40)とすることが好ましい。
フィラーの形態は特に限定されず、例えば粒子状、繊維状、板状(フレーク状)等であり得る。また、無機フィラーの平均粒径は特に限定されないが、分散性等を考慮して0.01〜5μm(例えば0.05〜2μm、典型的には0.1〜1μm)とするのが適当である。フィラーの平均粒径としては、一般的なレーザー回折・光散乱法に基づく粒度分布測定に基づいて測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側からの累積50体積%に相当する粒径(D50粒径、メジアン径ともいう。)をいう。無機フィラーの粒径は、例えば粉砕や篩分け等の手法により調整することができる。
フィラーの比表面積は特に限定されないが、凡そ1m/g〜100m/g(例えば1.5m/g〜50m/g、典型的には5m/g〜20m/g)が好ましい。なお、ここで「比表面積」とは、一般的なBET比表面積を採用するものとする。
耐熱層に含まれるバインダとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(好ましくはアルキル基の炭素原子数が1〜14(典型的には2〜10)のアルキル(メタ)アクリレート)を主成分とするモノマー成分を重合したアクリル系樹脂;ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等のセルロース系樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)等の共重合成分としてアクリロニトリルを含むゴム類;等から1種を単独で、または2種以上を適宜選択して使用することができる。なかでも、アクリル系樹脂は強い接着性(典型的には初期タック、接着強度)を有するとともに電気化学的にも安定であるため、高い形状保持性を発揮することができ、好適である。
アクリル系樹脂の重合に用いられるモノマー成分には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニルモノマー;2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有ビニルモノマー;等、公知のモノマーが含まれていてもよい。それらモノマーの配合割合は特に限定されないが、全モノマー成分の50質量%未満(例えば30質量%以下、典型的には10質量%以下)であり得る。アクリル系樹脂は、1種類のモノマーが重合した単独重合体、2種以上のモノマーが重合した共重合体、上記単独重合体および共重合体の2種類以上を混合したもののいずれであってもよい。また、アクリル系樹脂は、その一部が変性された変性アクリル系樹脂であってもよい。
なお、耐熱層は、上述したフィラーおよびバインダに加えて一般的な二次電池において耐熱層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例としては、増粘剤、分散剤等の各種添加剤が挙げられる。
耐熱層全体に含まれるフィラー割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は85質量%〜99.8質量%(例えば90質量%〜99質量%)とすることが好ましい。耐熱層全体に含まれるバインダの割合は、例えば凡そ1質量%〜15質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜8質量%とすることが好ましい。各種添加剤を使用する場合には、耐熱層全体に占める添加剤の割合を、例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
耐熱層の厚みは特に限定されないが、通常1μm以上であって、例えば2μm以上(典型的には3μm以上)であることが好ましい。耐熱層の厚みを1μm以上とすることで、スプリングバックを好適に抑制し得、且つ、好適に内部短絡を防止し得る。また、耐熱層の厚みを2μm以上とすることで、基材がシャットダウン(溶融)したときに、その溶融物が電極内の空隙に浸入することを好適に抑制することができる。さらに、耐熱層の厚みを3μm以上とすることで、例えば釘刺し試験時の発熱量を小さく(例えば500℃以下に)抑えることができる。したがって、より高い信頼性(内部短絡への耐性)を実現することができる。上限値は特に限定されないが、通常、20μm以下であって、例えば15μm以下(典型的には10μm以下)であることが好ましい。上記範囲を満たす場合、優れた電池性能と信頼性とを、より高いレベルで両立することができる。
ここで開示される耐熱層は、厚み方向に二分したときに、相対的に上記基材に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの上記バインダの量R(mol/cm)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの上記バインダの量R(mol/cm)と、が異なっている。そして、上記Rと上記RとはR<Rの関係にあることを特徴とする。上記バインダは典型的には炭素骨格を含む樹脂からなることから、好適な一態様では、上記Aの炭素原子の比率C(atm%)に対する上記Aの炭素原子の比率C(atm%)のモル比(C/C)が0.2〜0.6(例えば0.3〜0.5)である。相対的に表面に近い領域Aのバインダの量をより多くすることでセパレータに適度な柔軟性を付与することができ、これによってスプリングバックを小さく抑えることができる。また、基材との密着性(接着強度)を好適に保持することができ、耐熱層がひび割れたり剥がれ落ちたりすることを抑制することができる。
上記AおよびAの各領域に含まれる炭素原子の比率(atm%)は、一般的なSEM−EDXによって確認することができる。より具体的には、まず被測定物たる耐熱層を有するセパレータを電池ケースから取り出して、他の部材から分離する。次に、セパレータを適当な溶媒(例えば非水電解質の溶媒として使用し得るもの)で洗浄して、支持塩等を除去する。次に、かかるセパレータについてクロスセクションポリッシャ加工等で断面出しを行い、耐熱層の基材近傍領域と表面近傍領域とをSEMで観察する。得られた観察画像をそれぞれEDXで解析(炭素原子でマッピング)し、相対的に基材に近い領域Aと、相対的に表面に近い領域Aとに存在する炭素原子の割合を把握することができる。好ましくは、各領域につき任意の数か所(典型的には10〜30箇所)でかかる測定を行い、それらの算術平均値を算出する。この場合、測定箇所を多くするほど平均値に収束し、適切に評価することができる。
ここで開示される耐熱層が実質的にフィラーとバインダとからなる場合は、該耐熱層を厚み方向に二分したときに、相対的に上記基材に近い領域Aに含まれる単位体積当たりのフィラーの量(mol/cm)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる単位体積当たりのフィラーの量(mol/cm)とが異なり得、Aのほうがフィラーの含有量が多いものとなり得る。例えば、耐熱層に含まれるフィラーがアルミニウム原子を含む場合は、エネルギー分散型X線分光法(EDX)に基づいて測定される上記Aのアルミニウム原子の比率(atm%)と上記Aのアルミニウム原子の比率(atm%)とが異なり得、Aのほうがアルミニウム原子の比率が多いものとなり得る。
耐熱層全体の空孔率は特に限定されないが、例えば20体積%以上50体積%以下であり得る。耐熱層の空孔率があまりに大きすぎると、機械的強度が不足することがあり得る。空孔率があまりに小さすぎると、イオン透過性が低下して抵抗が増大したり、入出力特性が低下したりすることがあり得る。上記範囲とすることで、本願発明の効果をより高いレベルで発揮することができる。また、本発明の構成では、耐熱層の厚み方向に対してバインダの量に差があるため、耐熱層の空孔率は、例えば相対的に上記基材に近い領域Aと相対的に表面に近い領域Aとで異なり、A>Aであり得る。なお、耐熱層の空孔率は、例えば、構成材料やその配合比率、塗付方法、後述する乾燥方法等によって調整することができる。
≪セパレータの製造方法≫
このような耐熱層を基材上に備えたセパレータは、例えば以下のようにして製造することができる。まず、フィラーとバインダと必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒中に分散させ、ペースト状またはスラリー状の組成物を調製する。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。次に、かかる組成物を基材の表面に付与する。上記付与には、例えば、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、ディップコーター等の適当な塗付装置を使用することができる。そして、組成物に含まれる溶媒を除去することによって、基材上に上述のような性状の耐熱層を備えたセパレータを製造することができる。
ここで開示される製造方法において、上記溶媒の除去は、従来に比べより速い速度で行うことを特徴とする。具体的には、例えば50cm/s以上(典型的には100cm/s以上、例えば100cm/s〜500cm/s程度)の強熱風を、(基材上に)付与した組成物に吹き付けることによって、急速に乾燥させる。熱風の温度(乾燥温度)は、例えば100℃〜200℃(典型的には120℃以上200℃未満)であり得る。乾燥時間は1分〜10分程度であり得る。これによって、ここで開示されるような性状の(すなわち、厚み方向に対してバインダの量が勾配を有する)耐熱層を好適に形成することができる。
なお、ここでは基材の一方の表面に耐熱層を備えた形態を例に説明したが、上記態様には限定されず、例えば基材の両方の表面に耐熱層を形成することもできる。かかる場合、正極に対向する側の面と負極に対向する側の面とで耐熱層の性状が同じであってもよく、例えば含まれるフィラーの種類や割合、空孔率、平均厚み等が異なっていてもよい。
≪非水電解質二次電池≫
本発明によれば、上述のセパレータを備えた非水電解質二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)が開示される。かかる非水電解質二次電池は、上述のセパレータを介して正極と負極とが対向してなる扁平形状の捲回電極体と、電解質と、を備える。上述の通り、本発明のセパレータは好適にスプリングバックを抑制し得るため、捲回電極体(特には扁平形状の捲回電極体)の構成部材として好適に使用し得る。
特に限定することを意図したものではないが、以下では本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成として、扁平に捲回された電極体と非水電解質とを扁平な直方体形状(箱形状)の容器に収容した形態の非水電解質二次電池を例とし、本発明を詳細に説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成を図1、図2に示す。図1は、非水電解質二次電池100の外形を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示した非水電解質二次電池100のII−II線に沿う断面構造を示す模式図である。
図1および図2に示すように、非水電解質二次電池100は、長尺状の正極シート10と長尺状の負極シート20とが長尺状のセパレータシート40を介して扁平に捲回された形態の電極体(捲回電極体)80が図示しない非水電解質とともに該捲回電極体80を収容し得る形状(扁平な箱型)の電池ケース50に収容された構成を有する。
≪電池ケース50≫
電池ケース50は、上端が開放された扁平な直方体状(角形)の電池ケース本体52と、その開口部を塞ぐ蓋体54とを備えている。電池ケース50の上面(すなわち蓋体54)には、捲回電極体80の正極と電気的に接続する外部接続用の正極端子70、および捲回電極体80の負極と電気的に接続する負極端子72が設けられている。蓋体54にはまた、従来の非水電解質二次電池の電池ケースと同様に、電池ケース50の内部で発生したガスをケース50の外部に排出するための安全弁55が備えられている。
電池ケース50の材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料;ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料;が例示される。なかでも、放熱性向上やエネルギー密度を高める目的から、比較的軽量な金属(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を好ましく採用し得る。また、該ケースの形状(容器の外形)は、例えば円形(円筒形、コイン形、ボタン形)、六面体形(直方体形、立方体形)、袋体形、およびそれらを加工し変形させた形状等であり得る。
≪捲回電極体80≫
図3は、図2に示す捲回電極体80の構成を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態に係る捲回電極体80は、捲回電極体80を組み立てる前段階において長尺状のシート構造(シート状電極体)を有している。かかる捲回電極体80は、正極シート10、セパレータシート40、負極シート20、セパレータシート40の順に重ね合わせて長尺方向に捲回し、さらに側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
捲回電極体80の捲回軸方向の両端部では、正極シート10および負極シート20の電極活物質層非形成部の一部がそれぞれ捲回コア部分から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分および負極側はみ出し部分には、正極集電板および負極集電板がそれぞれ付設され、正極端子70(図2)および負極端子72(図2)とそれぞれ電気的に接続されている。
扁平形状の捲回電極体80は、例えば図4に示すように、捲回軸に直交する断面において、略角丸長方形状を有しており、中央側に位置する扁平部81と、扁平部81の両側に位置する半円形状のR部82とを有する。
ここで開示される扁平形状の捲回電極体80は、スプリングバックが好適に抑制されている。かかる捲回電極体80のスプリングバック率は、通常、0〜15%であり、典型的には0〜10%、例えば0〜5%である。なお、スプリングバック率の測定方法は、後述する実施例において詳しく述べる。
捲回電極体80の大きさは特に限定されないが、サイズが大きいほど捲回量(あるいは捲回数)も多くなるため、スプリングバックによる問題が生じやすい傾向がある。このため、例えば、捲回電極体80の扁平部81の厚みが10mm以上(例えば12mm以上、典型的には13mm以上)の場合に本発明の構成を適用することが特に有用である。なお、ここで「捲回電極体の扁平部の厚み」とは、扁平形状の捲回電極体80の扁平部81の最大厚みをいうものとする。具体的には、図4に示す捲回電極体80の断面において、符号Tで示される厚みをいうものとする。
≪正極シート10≫
図3に示すように、正極シート10は、長尺状の正極集電体12と、該集電体の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って形成された正極活物質層14であって少なくとも正極活物質を含む正極活物質層14とを備えている。
正極集電体12には、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性部材が好適に使用され得る。
<正極活物質層14>
正極活物質層14は、少なくとも正極活物質を含んでいる。正極活物質としては、非水電解質二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく採用し得る。好適例として、層状系、スピネル系等のリチウム複合金属酸化物(例えば、LiNiO、LiCoO、LiFeO、LiMn、LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO、LiFePO等)が挙げられる。なかでも、構成元素としてLi,Ni,CoおよびMnを含む層状構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)は、熱安定性に優れ、且つ他の化合物に比べて理論エネルギー密度が高いため好ましい。
ここで、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物とは、Li,Ni,CoおよびMnのみを構成金属元素とする酸化物のほか、Li,Ni,CoおよびMn以外に他の少なくとも1種の金属元素(すなわち、Li,Ni,CoおよびMn以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を含む酸化物をも包含する意味である。かかる金属元素は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pb)、白金(Pt)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)のうちの1種または2種以上の元素であり得る。これらの金属元素の添加量(配合量)は特に限定されないが、通常0.01質量%〜5質量%(例えば0.05質量%〜2質量%、典型的には0.1質量%〜0.8質量%)であり得る。上記添加量の範囲とすることで、優れた電池性能(例えば、高エネルギー密度)を実現し得る。
正極活物質層14には、上記正極活物質に加え、一般的な非水電解質二次電池において正極活物質層14の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、導電材やバインダが挙げられる。導電材としては、例えば、種々のカーボンブラック(典型的にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック)、コークス、活性炭、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の炭素材料を好適に用いることができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等を好適に用いることができる。
正極活物質層14全体に占める正極活物質の割合は、凡そ60質量%以上(典型的には60質量%〜99質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70質量%〜95質量%であることが好ましい。導電材を使用する場合、正極活物質層14全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2質量%〜20質量%とすることができ、通常は凡そ3質量%〜10質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合、正極活物質層14全体に占めるバインダの割合は、例えば凡そ0.5質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
正極集電体12の単位面積当たり設けられる正極活物質層14の質量は、正極集電体12の片面当たり5mg/cm〜45mg/cm(典型的には10mg/cm〜30mg/cm)程度とすることができる。なお、この実施形態のように正極集電体12の両面に正極活物質層14を有する構成では、正極集電体12の各々の面に設けられる正極活物質層14の質量を概ね同程度とすることが好ましい。また、正極活物質層14の片面当たりの厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。また、正極活物質層14の空隙率(空孔率)は、例えば5体積%〜40体積%(好ましくは20体積%〜40体積%)とし得る。正極活物質層14の性状を上記範囲とすることで、所望の容量を維持しつつ、抵抗を低く抑えることができる。このため、非水電解質二次電池の出力特性とエネルギー密度とを高いレベルで両立させることができる。
上述のようなスプリングバックに起因する諸問題は、正極の厚みが比較的厚い場合に生じ易い傾向にある。このため、例えば、正極集電体12の単位面積当たり設けられる正極活物質層14の質量が(片面あたり)10mg/cm以上および/または正極活物質層14の片面当たりの厚みが40μm以上の場合、本発明の適用が特に有効である。
このような正極シート10を作製する方法は特に限定されないが、例えば、正極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を長尺状の正極集電体12に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。上記溶媒としては水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることができる。また、上述のような正極活物質層14の性状(例えば、厚みや空隙率)は、上記組成物の乾燥後に適当なプレス処理を施すことによって調整することができる。
≪負極シート20≫
図3に示すように、負極シート20は、長尺状の負極集電体22と、該集電体の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って形成された負極活物質層24であって少なくとも負極活物質を含む負極活物質層24とを備えている。
負極集電体22には、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)からなる導電性材料が好適に使用され得る。
<負極活物質層24>
負極活物質層24は、少なくとも負極活物質を含んでいる。負極活物質としては、非水電解質二次電池の負極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ、これらを組み合わせた構造を有するもの等の少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む炭素材料が挙げられる。なかでも、高いエネルギー密度が得られることから、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛を好ましく用いることができる。
負極活物質層24には、上記負極活物質に加え、一般的な非水電解質二次電池において負極活物質層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有し得る。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料を好適に用いることができる。その他、増粘剤、分散剤、導電材等の各種添加剤を適宜使用することもでき、例えば増粘剤としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)を好適に用いることができる。
負極活物質層24全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90質量%〜99質量%(例えば95質量%〜99質量%)とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、負極活物質層24全体に占めるバインダの割合は例えば凡そ1質量%〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1質量%〜5質量%とすることが好ましい。
負極集電体22の単位面積当たりに設けられる負極活物質層24の質量は、負極集電体22の片面当たり5mg/cm〜20mg/cm(典型的には7mg/cm〜15mg/cm)程度とすることができる。なお、この実施形態のように負極集電体22の両面に負極活物質層24を有する構成では、負極集電体22の各々の面に設けられる負極活物質層24の質量を概ね同程度とすることが好ましい。また、負極活物質層24の片面当たりの厚みは、例えば40μm以上(典型的には50μm以上)であって、100μm以下(典型的には80μm以下)とすることができる。負極活物質層24の空隙率(空孔率)は、例えば5体積%〜50体積%(好ましくは35体積%〜50体積%)程度とし得る。負極活物質層の性状を上記範囲とすることで、非水電解質との界面を好適に保ち、耐久性(サイクル特性)と出力特性とを高いレベルで両立させることができる。
上述のようなスプリングバックに起因する諸問題は、負極の厚みが比較的厚い場合に生じ易い傾向にある。このため、例えば、負極集電体22の単位面積当たり設けられる負極活物質層24の質量が(片面あたり)7mg/cm以上および/または負極活物質層24の片面当たりの厚みが40μm以上の場合、本発明の適用が特に有効である。
このような負極シート20を作製する方法は特に限定されないが、例えば、負極活物質と必要に応じて用いられる材料とを適当な溶媒に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を長尺状の負極集電体22に付与し、該組成物を乾燥させて負極活物質層24を形成することにより好ましく作製することができる。上記溶媒としては、水性溶媒および有機溶媒のいずれも使用可能であり、例えば水を用いることができる。また、負極活物質層24の性状は、上述した正極活物質層14と同様に、適当なプレス処理によって調整することができる。
≪セパレータシート40≫
図5は、図2の捲回電極体の正負極間の一部を拡大して示す模式的な断面図である。ここで開示されるセパレータシート40は、図5に示すように、上述のような樹脂製の基材42を備える。また、該基材の正極シート10に対向する表面(典型的には正極活物質層14に対向する表面)には、上述のような耐熱層44が設けられている。ここでは耐熱層44は基材42の表面全体に、すなわち基材42の長手方向(捲回方向)および幅方向の全体に亘って形成されている。
≪非水電解質≫
非水電解質としては、非水溶媒中に支持塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等。リチウムイオン二次電池ではリチウム塩。)を溶解または分散させたものを好ましく採用し得る。あるいは、液状の非水電解質にポリマーが添加され固体状(典型的には、いわゆるゲル状)となったものでもよい。
支持塩としては、一般的な非水電解質二次電池と同様のものを適宜選択して採用し得、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等のリチウム塩を用いることができる。このような支持塩は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい支持塩としてLiPFが挙げられる。また、非水電解質は上記支持塩の濃度が0.7mol/L〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
非水溶媒としては、一般的な非水電解質二次電池において非水電解質として用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
さらに、非水電解質中には本発明の目的を大きく損なわない限度で、各種添加剤を適宜添加することもできる。上記添加剤は、例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上等の1または2以上の目的で使用され得る。好ましい添加剤の例として、フルオロリン酸塩(典型的にはジフルオロリン酸塩、例えばジフルオロリン酸リチウム)、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等が挙げられる。
ここで開示される二次電池(典型的には非水電解質二次電池、例えばリチウムイオン二次電池)は各種用途に利用可能であるが、電池サイズ(典型的には電池容量)が大きいほど上述のようなスプリングバックに起因する諸問題が生じ易い傾向にある。このため、本発明の好ましい適用対象として、電池容量が20Ah以上(典型的には25Ah以上、例えば30Ah以上)の高容量タイプの二次電池が挙げられる。あるいは、他の好ましい適用対象として、エネルギー密度が230kWh/m以上(典型的には250kWh/m以上、例えば300kWh/m以上)の二次電池が挙げられる。
上述のように、本発明の二次電池ではスプリングバックが抑制され、高い電池性能と信頼性とを両立することができる。したがって、かかる特徴を活かして、高エネルギー密度や高入出力密度が要求される用途、高い信頼性を要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、典型的には自動車であり、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等であり得る。なお、かかる二次電池は、典型的には、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用され得る。
以下、具体的な実施例として、本発明に関するいくつかの例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<セパレータの作製>
まず、耐熱層を形成するための耐熱層形成用のスラリー状組成物を調製した。具体的には、無機フィラーとしてのアルミナ(平均粒径:1μm、BET比表面積:18m/g)と、アクリル系バインダとを、これら材料の質量比が95:5となるようにイオン交換水と混合して、耐熱層形成用のスラリー状組成物を調製した。次に、上記調製した組成物を、基材(ここでは、平均厚みが12μmの多孔質樹脂シート)の片面に、一般的なグラビアコート法によって表1に示す厚み(μm)となるよう塗布した。塗布には、線数:♯100本/inch、インキ保有量:19.5ml/cmのグラビアロールを用い、塗布条件は、塗工速度を3m/分、グラビアロール速度を3.8m/分、グラビア速度/塗工速度比を1.27とした。塗布後のセパレータは塗布面が上にくるように搬送し、表1に示す流速の熱風(温度:120℃)で乾燥することにより、基材の片面に耐熱層を備えたセパレータシート(長さ10m、例1〜例9)を作製した。
〔モル比(C/C)の測定〕
また、上述した手法(断面SEM−EDX観察)により、相対的に上記基材に近い領域Aに含まれる炭素原子の量C(atm%)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる炭素原子の量C(atm%)とを測定し、モル比(C/C)を算出した。なお、測定誤差は±0.1程度だった。結果を表1の該当欄に示す。表1から明らかなように、熱風の流速を大きくするほど(乾燥速度を速めるほど)、モル比は小さくなる(すなわち、バインダの偏在化が顕著になる)ことがわかった。
<正極の作製>
正極活物質としてのLi[Ni0.33Co0.33Mn0.33]O粉末(LNCM)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)とを、これらの材料の質量比がLNCM:PVdF:AB=94:3:3となり、且つ固形分濃度が約60質量%となるようにN−メチルピロリドン(NMP)と混合して、正極活物質層形成用のスラリー状組成物を調製した。この組成物を、厚み凡そ15μmの長尺状アルミニウム箔(正極集電体)の両面にローラコート法で帯状に塗布した後、乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することによって、正極活物質層を形成した。これをロールプレス機で圧延することにより、正極シート(長さ6m)を得た。
<負極の作製>
負極活物質としての天然黒鉛粉末(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となり、且つ固形分濃度が約45質量%となるようにイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用のスラリー状組成物を調製した。この組成物を、厚み凡そ10μmの長尺状銅箔(負極集電体)の両面にローラコート法で帯状に塗布した後、乾燥(乾燥温度120℃、1分間)することによって、負極活物質層を形成した。これをロールプレス機で圧延することにより負極シート(長さ6m)を得た。
<捲回電極体の作製>
上記得られた正極シートと負極シートとを例1〜例9に係るセパレータシートを介してそれぞれ対面に配置し、略円筒状の捲回電極体(例1〜例9、捲回数:50、扁平部の厚み:13mm)を作製した。この際、セパレータシートの耐熱層は全て正極側に対向するよう配置した。この捲回電極体を、さらに側面方向から押圧(プレス)して拉げさせることにより、扁平形状に成形した。
〔スプリングバック率の測定〕
上記作製した例1〜例9に係る捲回電極体について、スプリングバック率を測定した。スプリングバック率は、捲回電極体をプレスした直後の扁平部の厚みTと、プレス終了(プレス開放)から5分後の扁平部の厚みTとを厚み計で計測し、以下の式:スプリングバック率(%)=(T−T)/T×100を用いて算出した。なお、ここで測定した厚み(T、T)は、それぞれ図4に模式的に示された捲回電極体80の扁平部81の厚みTである。測定した厚み(T、T)およびスプリングバック率を、表1の「スプリングバック率」の欄に示す。
表1から明らかなように、モル比(C/C)が大きいものほどプレス解放後のスプリングバックが大きく、すなわちスプリングバック率が高くなることがわかった。このことから、耐熱層を厚み方向に二分したときに、相対的に上記基材に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの上記バインダの量R(mol/cm)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの上記バインダの量R(mol/cm)とが、R<Rの関係にある場合、スプリングバックを小さく抑えられることがわかった。かかる結果は、本発明の技術的意義を示すものである。なかでも、モル比(C/C)を0.2〜0.6(好ましくは0.3〜0.5)とすることで、スプリングバックを小さく(スプリングバック率を10%以下に、特には5%以下に)抑えられることがわかった。
<捲回電極体の収容>
次に、正極シートと負極シートの未塗工部に、それぞれ集電体と同種の金属からなるシール付きリード(端子)を取り付けた。この捲回電極体を、それぞれ角型の電池ケース内に収容した。このとき、スムーズに挿入が行えるか否かを確認した。結果を表1の「ケースへの挿入」の欄に示す。当該欄において、「○」はスムーズに電池ケース内に挿入できたことを、「×」は電池ケースの開口部に引っかかりスムーズに挿入できなかったことを、それぞれ表している。
表1から明らかなように、スプリングバック率の高かった例3,6,9では捲回電極体が嵩高く、電池ケースへ収容することが困難だった。このことから、モル比(C/C)を0.2〜0.6(0.3〜0.5)とすることで、捲回電極体を再度扁平形状に成形し直したり、成形後に扁平形状を保持しなくとも、捲回電極体を円滑に電池ケース内に挿入し得ることがわかった。このことは生産効率の観点からも好ましい。
<非水電解質二次電池の構築>
次に、例3,6,9以外の捲回電極体を挿入した電池ケースに、開口部から非水電解質(非水電解液)を注入した。ここでは、非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。その後、該開口部を気密に封口し、例1〜例9に係る非水電解質二次電池を構築した。なお、各例に係る非水電解質二次電池は、セパレータに備えられた耐熱層の性状のみが相互に異なっている。
Figure 2014203583
〔安全性試験(釘刺し試験)〕
上記作製した例1,2,4,5,7,8に係る電池をSOC80%の状態に調整し、釘刺し試験を行った。釘刺し試験は、25℃の試験温度で、充電後の非水電解質二次電池の中央付近に直径3mmの鉄製の釘を10mm/secの速度で貫通させた。電池ケースの外表面には2枚の熱電対を貼り付け、このときの電池温度(最高到達温度)を測定した。結果を表1の「電池温度」の欄に示す。
表1に示すように、耐熱層を2μmとした例1,2では、電池温度が最高で550℃まで達したのに対し、耐熱層を3μm以上とした例4,5,7,8では、電池温度が500℃以下に抑えられていた。したがって、耐熱層の厚みを3μm以上とすることで釘刺し等の内部短絡に対する耐性を高め得ることが示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極シート
12 正極集電体
14 正極活物質層
20 負極シート
22 負極集電体
24 負極活物質層
40 セパレータシート
42 基材
44 耐熱層(HRL)
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
55 安全弁
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
81 扁平部
82 R部
100 非水電解質二次電池

Claims (9)

  1. 樹脂製の基材と、該基材の表面に形成された耐熱層と、を備えた二次電池用のセパレータであって、
    前記耐熱層は、フィラーとバインダとを含み、
    ここで、前記耐熱層を厚み方向に二分したときに、相対的に前記基材に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの前記バインダの量R(mol/cm)と、相対的に表面に近い領域Aに含まれる単位体積当たりの前記バインダの量R(mol/cm)と、が異なっており、
    前記Rと前記Rとが、R<Rの関係にあることを特徴とする、二次電池用のセパレータ。
  2. エネルギー分散型X線分光法に基づいて測定される、前記Aの炭素原子の比率C(atm%)に対する、前記Aの炭素原子の比率C(atm%)のモル比(C/C)が、0.2〜0.6である、請求項1に記載の二次電池用のセパレータ。
  3. 前記耐熱層の平均厚みは3μm以上10μm以下である、請求項1または2に記載の二次電池用のセパレータ。
  4. 前記基材の平均厚みは10μm以上30μm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のセパレータ。
  5. 前記基材はポリオレフィン系樹脂からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセパレータ。
  6. 前記バインダはアクリル系樹脂からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載のセパレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセパレータを介して正極と負極とが対向してなる扁平形状の捲回電極体と、電解質と、を備えた二次電池。
  8. 前記捲回電極体は、扁平部の厚みが10mm以上である、請求項7に記載の二次電池。
  9. 電池容量が20Ah以上である、請求項7または8に記載の二次電池。
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