JP2000313997A - 複合メッキ液および複合メッキ被膜の形成方法 - Google Patents

複合メッキ液および複合メッキ被膜の形成方法

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JP2000313997A
JP2000313997A JP11118624A JP11862499A JP2000313997A JP 2000313997 A JP2000313997 A JP 2000313997A JP 11118624 A JP11118624 A JP 11118624A JP 11862499 A JP11862499 A JP 11862499A JP 2000313997 A JP2000313997 A JP 2000313997A
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Michio Saito
道雄 斎藤
Mitsuaki Yamada
光昭 山田
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い撥水性を示し、しかも摩擦に対して安定
な複合メッキ被膜を実現する。 【解決手段】 複合メッキ液は、金属塩と撥水性微粒子
とを含んでいる。撥水性微粒子は、コアと、その表面を
被覆する撥水層とを有しており、撥水層は界面活性能を
有するフッ化ピッチを用いて形成されている。上記メッ
キ液を用いて無電解メッキ法や電解メッキを行って複合
メッキ被膜を形成するが、さらに熱処理を付加しても良
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、メッキ液およびメ
ッキ被膜の形成方法、特に、複合メッキ液および複合メ
ッキ被膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】金属製や樹脂製の基材に対し
て撥水性を付与するための被膜として、ポリテトラフル
オロエチレンなどのフッ素系樹脂からなるものが知られ
ている。ところが、フッ素系樹脂は、軟化流動しにくい
ため、細かな金属管の内面や複雑な凹凸形状を有する部
材の表面に対して均一な被膜を形成するのが困難であ
る。そこで、複雑な形状等を有する部材の表面等に対し
て均一な撥水性を付与することができる被膜として、フ
ッ素系化合物の粒子またはフッ素系化合物により処理さ
れた粒子が分散された複合メッキ被膜が提案されてい
る。
【0003】例えば、特開平7−26397号公報に
は、金属母材層中にフッ化ピッチ微粒子などのフッ素系
化合物微粒子を分散共析させた複合メッキ被膜が示され
ている。この複合メッキ被膜は、高い撥水性を示すフッ
素系化合物微粒子を金属母材層中に含んでいるために撥
水性が高く、しかも慣用的なメッキ手法により形成する
ことができることから、複雑な形状等を有する部材の表
面等に対しても均一に付与することができる。
【0004】ところで、上述のような複合メッキ被膜を
形成する場合は、通常、金属母材層を形成するための金
属塩、フッ素系化合物微粒子および当該フッ素系化合物
微粒子を水中に均一に分散させるための界面活性剤を含
む複合メッキ液を調製し、この複合メッキ液中に基材を
浸漬してメッキ法を適用している。しかし、この複合メ
ッキ液により形成される複合メッキ被膜は、界面活性剤
を含むことになるため、フッ素系化合物微粒子を用いる
ことによって本来期待できる撥水性を発揮できない場合
が多い。
【0005】また、上述の複合メッキ被膜は、摩擦が加
わった場合、金属母材層中に分散されたフッ素系化合物
微粒子が脱落しやすい。したがって、この複合メッキ被
膜は、それから脱落したフッ素系化合物微粒子により周
辺環境を汚染するおそれがあり、また、形成初期には高
い撥水性を発揮し得るが、摩擦を受けると撥水性が徐々
に低下してしまうものと予想される。
【0006】本発明の目的は、高い撥水性を示し、しか
も摩擦に対して安定な複合メッキ被膜を実現することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る複合メッキ
液は、金属塩と撥水性微粒子とを含んでいる。撥水性微
粒子は、コアと、その表面を被覆する撥水層とを有して
おり、撥水層は界面活性能を有するフッ化ピッチを用い
て形成されている。
【0008】ここで、撥水性微粒子を構成するコアは、
例えばフッ化ピッチと化学結合可能な官能基を表面に有
している。この場合、フッ化ピッチと化学結合可能な官
能基は、例えば、アミノ基、水酸基、アルコラート基、
フェノラート基、酸のアルカリ金属塩基、メルカプト基
およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1
つである。この官能基は、例えば、表面処理剤を用いて
コアの表面に付与されている。
【0009】本発明に係る複合メッキ被膜の形成方法
は、金属母材層中に撥水性微粒子が分散された複合メッ
キ被膜を基材に対して形成するための方法である。この
形成方法は、金属母材層を形成するための金属塩と、コ
アおよびその表面を被覆する撥水層を有しかつ撥水層が
界面活性能を有するフッ化ピッチを用いて形成されてい
る撥水性微粒子とを含む複合メッキ液を用意する工程
と、当該複合メッキ液中に基材を浸漬し、当該基材に対
してメッキ法を適用する工程とを含んでいる。
【0010】この形成方法は、通常、メッキ法により得
られた複合メッキ被膜を熱処理する工程をさらに含んで
いる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の複合メッキ液は、金属塩
が溶解されかつ撥水性微粒子を含む水溶液からなる。こ
こで、金属塩は、複合メッキ被膜の金属母材層を形成す
るための材料であり、例えば、ニッケル、銅、亜鉛、ス
ズ、鉄、鉛、カドミウム、クロム、金や銀などの貴金属
類、およびこれらの合金などの塩が用いられる。このよ
うな金属の塩としては、塩化ニッケルなどの塩化物塩、
炭酸ニッケルなどの炭酸塩、スルファミン酸ニッケルな
どのスルファミン酸塩などを例示することができる。
【0012】一方、図1に示すように、撥水性微粒子1
は、コア2と、その表面を被覆する撥水層3とを有して
いる。
【0013】ここで、コア2は、樹脂などの有機材料、
金属,セラミック,鉱物などの無機材料からなるもので
あり、球状、円柱状、りん片状などの種々の形状に形成
されたものである。なお、図1では、コア2が球状に示
されているが、これは本発明を限定するものではない。
このようなコア2を有機材料としての樹脂を用いて構成
する場合、撥水性微粒子1を微粒子化し易いことなどの
観点から、例えば、懸濁重合されたポリアミド樹脂(ナ
イロン)やポリウレタン樹脂などを用いることができ
る。また、無機材料を用いてコア2を構成する場合は、
利用可能な金属の具体例としてアルミニウムなどを、セ
ラミックの具体例としてシリコーンカーバイドなどを、
さらに鉱物の具体例として、タルク,シリカ,ムライト
などを挙げることができる。
【0014】なお、複合メッキ被膜の熱衝撃に対する安
定性を高める観点および複合メッキ被膜を使用する温度
領域の観点から、コア2を構成する材料は、上述の金属
塩により形成される金属母材層との熱膨張係数の差を考
慮して選択するのが好ましい。
【0015】コア2は、撥水層3を構成する後述する界
面活性能を有するフッ化ピッチと化学結合反応可能な官
能基をその表面に有している。このような機能を発揮し
得る官能基は、例えば、アミノ基、水酸基、アルコラー
ト基、フェノラート基、酸のアルカリ金属塩基、メルカ
プト基およびエポキシ基などである。コア2は、これら
の官能基を2種類以上有していてもよい。
【0016】上述の官能基の内で特に好ましいものは、
フッ化ピッチとの反応性が高いアミノ基である。ここ
で、アミノ基は、下記の式で示されるような第1級、第
2級または第3級のアミノ基のうちのいずれのものであ
ってもよい。また、ここでのアミノ基は、アミド基およ
びウレタン結合をも含む概念である。
【0017】
【化1】
【0018】また、酸のアルカリ金属塩基としては、カ
ルボン酸やスルホン酸のナトリウム塩基やカリウム塩基
を例示することができる。さらに、上述のエポキシ基
は、グリシジル基をも含む概念である。
【0019】上述の官能基は、コア2を構成する有機材
料または無機材料そのものが有するものであってもよい
し、表面処理剤を用いてコア2の表面に付与されたもの
であってもよい。
【0020】前者の場合、アミノ基を有する有機材料と
しては、ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポ
リ(トリメチレンイミン)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ
ペプチド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリイミダゾール樹脂、ポリオキサゾール
樹脂、ポリピロール樹脂、ポリアニリン樹脂、アラミド
樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などの窒素含有樹脂を例
示することができる。水酸基を有する有機樹脂として
は、フェノール樹脂やセルロースを例示することができ
る。アルコラート基を有する有機樹脂としては、イオン
交換樹脂を例示することができる。フェノラート基を有
する有機樹脂としては、アルカリ処理したフェノール樹
脂を例示することができる。酸のアルカリ金属塩基を有
する有機樹脂としては、イオン交換樹脂を例示すること
ができる。メルカプト基を有する有機樹脂としては、チ
オコールを例示することができる。
【0021】一方、後者の場合(表面処理剤を用いる場
合)、コア2としては、目的とする官能基を付与するた
めの表面処理剤と化学結合可能な化学構造を表面に有す
るものが用いられる。ここで、表面処理剤と反応し得る
化学構造としては、例えば、水酸基、カルボキシル基お
よびカルボニル基などの官能基、金属酸化物、並びにS
iO2などのケイ素酸化物を挙げることができる。この
ような化学構造を表面に有するコア2としては、例え
ば、シリカを材料として形成されたものが挙げられる。
【0022】コア2に目的とする官能基を付与するため
の表面処理剤は、コア2の表面に存在する上述の化学構
造と反応し得る化学構造部位と、コア2に付与すべき官
能基とを有するものである。当該表面処理剤は、このよ
うな条件を満たすものであれば特に限定されるものでは
ないが、例えば、コア2に付与すべき官能基を有するシ
ランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およ
び有機クロム系カップリング剤などを挙げることができ
る。
【0023】例えば、コア2に付与すべき官能基がアミ
ノ基の場合は、表面処理剤としてγ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピル−トリメトキシシラン、n(ジメトキシメ
チルシリルプロピル)−エチレンジアミンなどのアミノ
基を有するシランカップリング剤、イソプロピルトリ
(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどの
アミノ基を有するチタネート系カップリング剤、下記の
構造式で示されるクロミッククロリド系化合物などのア
ミノ基を有する有機クロム系カップリング剤を用いるこ
とができる。
【0024】
【化2】
【0025】また、コア2に付与すべき官能基がエポキ
シ基の場合は、表面処理剤として、2−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシ
ドキシプロピルメチルジメトキシシランなどを用いるこ
とができる。これらの表面処理剤は、2種以上のものが
併用されてもよい。
【0026】上述の各種表面処理剤を用いてコア2の表
面に所定の官能基を付与する場合は、コア2を表面処理
剤を用いて処理する。表面処理剤を用いてコア2を処理
する方法としては、表面処理剤中にコア2を浸漬する方
法、或いはコア2に対して表面処理剤を塗布する方法な
どが採用され得る。表面処理剤を塗布する場合には、例
えば、刷毛、各種ローラー、スプレー等を用いることが
できる。また、コア2を形成するための材料を表面処理
剤の存在下で湿式粉砕する方法を採用することもでき
る。
【0027】コア2を上述の表面処理剤により処理する
際の処理温度は、表面処理剤の種類等により異なり、特
に限定されるものではないが、通常、室温〜90℃に設
定するのが好ましい。また、処理時間は、表面処理剤の
種類や表面処理剤の処理方法により異なるが、例えば表
面処理剤中にコア2を浸漬する場合は、浸漬時間を1〜
24時間に設定するのが好ましい。
【0028】上述の表面処理剤により処理されたコア2
は、後述する撥水層3を形成するための工程へ移る前に
十分に乾燥させておくのが好ましい。コア2の乾燥条件
は、コア2の種類や耐熱温度にもよるが、通常、60〜
150℃で1〜24時間に設定するのが好ましい。この
ようなコア2の乾燥処理は、減圧下で実施されてもよ
い。
【0029】一方、撥水層3は、界面活性能を有するフ
ッ化ピッチを用いて形成されている。ここで、フッ化ピ
ッチは、ピッチをフッ素ガスを用いてフッ素化すること
により製造できる公知の物質であり、例えば、特開昭6
2−275190号公報に開示されている。
【0030】このようなフッ化ピッチを製造するために
用いられるピッチは、一般に芳香族縮合六員環平面がメ
チレンなどの脂肪族炭化水素基により架橋しながら積層
した層構造を有するものであり、通常、石油蒸留残渣、
ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム油、石炭液化油およ
びコールタールなどの石油系または石炭系重質油を蒸留
して沸点が200℃未満の低沸点成分を除去したもの、
ナフタレン等の縮合によって合成されたもの、およびこ
れらをさらに熱処理や水添処理したものである。具体的
には、等方性ピッチ、メソフェースピッチ、水素化メソ
フェースピッチ、石油系または石炭系重質油を蒸留して
低沸点成分を除去した後に生成するメソフェース球体か
らなるメソカーボンマイクロビーズなどを挙げることが
できる。
【0031】上述のピッチを用いて目的とするフッ化ピ
ッチを製造する際には、ピッチとフッ素ガスとを直接反
応させる。この反応時の温度は、0〜350℃程度に設
定するのが好ましく、ピッチの軟化点以下に設定するの
がより好ましい。また、反応時のフッ素ガス圧は、特に
限定されるものではないが、一般に0.07〜1.5気
圧に設定するのが好ましい。なお、フッ素ガスとして
は、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガ
スを用いて希釈したものが用いられてもよい。
【0032】本発明で利用可能なフッ化ピッチとして好
ましいものは、実質的に炭素原子とフッ素原子とからな
り、フッ素と炭素との原子比(フッ素/炭素)が、例え
ば0.5〜1.8程度の粉末状のものである。このよう
なフッ化ピッチは、次の(a)、(b)、(c)および
(d)の特性を示す。
【0033】(a)粉末X線回折において、2θ=13
゜付近に最大強度のピークを示し、2θ=40゜付近に
最大強度ピークよりも強度の小さなピークを示す。 (b)X線光電子分光分析において、290.0±1.
0eVにCFに相当するピークおよび292.5±0.
9eV付近にCF2に相当するピークを示し、CFに相
当するピークに対するCF2に相当するピークの強さの
比が0.15〜1.5程度である。 (c)真空蒸留により膜を形成することができる。 (d)30℃における水に対する接触角が141°±8
°である。
【0034】また、本発明では、透明樹脂状のフッ化ピ
ッチを使用することもできる。透明樹脂状のフッ化ピッ
チは、例えば、フッ化ピッチをフッ素ガス雰囲気下にお
いて0.1〜3℃/分程度、好ましくは0.5〜1.5
℃/分程度の昇温速度で250〜400℃程度まで昇温
し、所定時間、例えば1〜18時間程度、好ましくは6
〜12時間程度反応させることにより製造することがで
きる。この方法によれば、例えば次のような特性を示す
透明樹脂状のフッ化ピッチを得ることができる。
【0035】F/C原子比:1.5〜1.7 光透過率(250〜900nm):90% 分子量:1,500〜2,000 軟化点:150〜250℃
【0036】なお、フッ化ピッチは、上述の粉末状のも
のと透明樹脂状のものとが併用されてもよい。
【0037】上述のようなフッ化ピッチは、その構造中
にコア2側の上述の官能基と直接に化学反応可能な化学
構造部位、例えば、モノフルオロカーボン構造やカルボ
ン酸の酸無水物構造などを有している。ここで、モノフ
ルオロカーボン構造とは、炭素原子に対して1つのフッ
素原子が結合している炭素−フッ素結合構造をいい、具
体的には下記の構造式で示される構造をいう。このよう
なモノフルオロカーボン構造には、酸フルオライド構造
も含まれる。因みに、モノフルオロカーボン構造は、コ
ア2側の上述の官能基のうち、特にアミノ基、水酸基お
よびメルカプト基との反応性が高い。
【0038】
【化3】
【0039】本発明で用いられる界面活性能を有するフ
ッ化ピッチは、上述のフッ化ピッチに対してジアミン化
合物を反応させたものである。ここで用いられるジアミ
ン化合物は、アミノ基を2つ有するものであれば特に限
定されるものではなく、公知の各種のものであるが、好
ましくは下記の一般式(1)で示されるものである。
【0040】
【化4】
【0041】一般式(1)中、Rは炭素数が1〜3のア
ルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基またはiso−プロピル基を示している。Rで示さ
れるアルキル基の炭素数が3を超える場合は、その立体
障害により、ジアミン化合物とフッ化ピッチとが反応し
にくくなる可能性がある。一方、nは2〜5の整数を示
している。nが1の場合は、ジアミン化合物が不安定に
なり、取扱いが困難になるおそれがある。逆に、5を超
えると、界面活性能の高いフッ化ピッチが得られ難くな
るおそれがある。
【0042】なお、一般式(1)で示されるジアミン化
合物のうち特に好ましいものは、Rで示されるアルキル
基がメチル基でありかつnが3の、N,N−ジメチル−
1,3−プロパンジアミンである。
【0043】上述のフッ化ピッチとジアミン化合物とを
反応させる際には、通常、両者をそれぞれ適当な溶媒に
溶解した溶液を調製し、両溶液を混合してフッ化ピッチ
とジアミン化合物とを反応させる。フッ化ピッチおよび
ジアミン化合物を溶解させるための溶媒は、両者を溶解
することができるものであれば特に限定されるものでは
ないが、例えば、アルコール類、フラン類などを用いる
ことができる。
【0044】フッ化ピッチとジアミン化合物とを反応さ
せる際の反応温度は、通常、常温〜100℃に設定する
のが好ましく、10〜40℃に設定するのがより好まし
く、10〜20℃に設定するのがさらに好ましい。反応
温度が100℃を超える場合は、生成物がタール化する
おそれがある。また、上述の反応の際には、フッ化ピッ
チに対するジアミン化合物の使用量が実質的に当量にな
るよう設定するのが好ましいが、通常はジアミン化合物
の使用量をフッ化ピッチに比べて多目に設定するのが好
ましい。
【0045】上述のような界面活性能を有するフッ化ピ
ッチ(以下、変性フッ化ピッチという場合がある)によ
る撥水層3をコア2の表面に形成する場合は、変性フッ
化ピッチを溶媒に溶解した溶液を調製し、これをコア2
に塗布する。塗布方法としては、例えば、コア2に対し
て変性フッ化ピッチの溶液を吹き付ける方法やコア2を
当該溶液中に浸漬する方法などを採用することができ
る。
【0046】変性フッ化ピッチを溶解するための溶媒
は、変性フッ化ピッチを溶解し得るものであれば特に限
定されないが、通常はフッ素系の溶媒が好ましく用いら
れる。ここで、フッ素系の溶媒としては、例えば、パー
フルオロデカヒドロフェナンスレン、パーフルオロデカ
リン、パーフルオロ−1−メチルデカリン、パーフルオ
ロジメチルナフタレン、パーフルオロ−1,3−ジメチ
ルシクロヘキサン、2,5−ジクロロベンゾトリフロラ
イド、クロロペンタフルオロベンゼン、1,1,2−ト
リクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(例えば、
旭硝子株式会社製の商品名”フロンソルブ”)、ヘキサ
フルオロベンゼン、1.3−ジトリフルオロメチルベン
ゼン、2,2,2−トリフルオロエタノール、トリフル
オロメチルベンゼン、住友スリーエム株式会社製の商品
名”PF5052”、パーフルオロ−2−ノルマルブチ
ルフラン系溶媒(例えば、住友スリーエム株式会社製の
商品名”フロリナートFC75”)、トリスパーフルオ
ロn−ブチルアミン系溶媒(例えば、住友スリーエム株
式会社製の商品名”フロリナートFC43”)、同じく
トリスパーフルオロアルキルアミン系溶媒(例えば、住
友スリーエム株式会社製の商品名”フロリナートFC3
283”、同”フロリナートFC40”および同”フロ
リナートFC70”)、日本モンテジソン株式会社製の
ガルデンDO2(商品名)並びにクロロフルオロカーボ
ン(例えば、旭硝子株式会社製の商品名”フロン11
3”)などを挙げることができる。このようなフッ素系
の溶媒のうち特に好ましいものは、変性フッ化ピッチを
溶解し易い点でクロロペンタフルオロベンゼン、ヘキサ
フルオロベンゼンおよびトリスパーフルオロアルキルア
ミン系溶媒である。
【0047】変性フッ化ピッチを溶媒に溶解して用いる
場合は、通常、変性フッ化ピッチの濃度が0.01〜5
0重量%になるよう設定するのが好ましく、0.1〜2
0重量%になるよう設定するのがより好ましい。当該濃
度が0.01重量%未満の場合は、例えば後述するよう
な浸漬によりコア2に対して撥水層3を形成する場合に
浸漬時間を長く設定する必要があり、また、コア2に対
して所要の撥水層3を形成しにくくなるおそれがある。
逆に、50重量%を超える場合は、変性フッ化ピッチ溶
液の液粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難になるおそ
れがあり、また、溶媒中に変性フッ化ピッチの不溶物が
残存し、コア2に対して均一な撥水層3を形成しにくい
場合がある。
【0048】撥水性微粒子1の粒径(平均粒径)は、特
に限定されるものではないが、一般に、本発明の複合メ
ッキ液を用いて形成しようとする複合メッキ被膜の金属
母材層の厚さよりも小さく設定されるのが好ましい。粒
径が金属母材層の厚さを超える場合は、複合メッキ被膜
に摩擦が加わった場合、撥水性微粒子1が金属母材層か
ら脱落し易くなる。因みに、撥水性微粒子1の粒径の好
ましい範囲は、通常、0.01〜20μmであり、0.
1〜5μmがより好ましい。なお、撥水性微粒子1は、
金属母材層中における均一な分散性を確保するために、
粒径が20μm以上の粗大粒子を含まないように分級さ
れたものを用いるのが好ましい。
【0049】本発明の複合メッキ液は、水中に上述の金
属塩を溶解した水溶液を調製し、この水溶液中に上述の
撥水性微粒子1を添加して均一に分散させると製造する
ことができる。ここで調製する水溶液中における金属塩
の濃度は、通常、30〜60重量%に設定するのが好ま
しい。金属塩の濃度が30重量%未満の場合は、所要の
厚さの金属母材層が形成されにくい場合がある。逆に、
60重量%を超える場合は、複合メッキ液の粘性が高く
なり、撥水性微粒子1を均一に分散させるのが困難にな
るおそれがある。
【0050】また、本発明の複合メッキ液中における撥
水性微粒子1の含有量は、複合メッキ被膜において撥水
性微粒子1の占める体積分率が1〜50%になるよう設
定するのが好ましく、10〜40%になるよう設定する
のがより好ましいが、通常は5〜100g/l、好まし
くは10〜80g/lに設定すると、このような体積分
率を達成することができる。
【0051】本発明の複合メッキ液は、上述の各種成分
の他に、一次光沢剤、二次光沢剤、複合メッキ被膜を着
色するための顔料などの、メッキ液に通常添加され得る
各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0052】本発明の複合メッキ液は、上述の金属塩が
溶解された水溶液中に撥水性微粒子1およびその他の添
加剤などを添加して混合・分散させると製造することが
できる。ここで、撥水性微粒子1は、上述のように表面
部の撥水層3が界面活性能を有するフッ化ピッチからな
るため、水溶液中に別の界面活性剤を添加しなくても水
溶液中に均一にかつ安定に分散し得る。
【0053】上述の複合メッキ液を用いて複合メッキ被
膜を形成する場合は、上述のようにして調製された複合
メッキ液中に所定の基材を浸漬し、当該基材に対してメ
ッキ法を適用する。
【0054】この際、複合メッキ被膜に含まれる撥水性
微粒子1が金属母材層中でムラなく均一に分散するよう
にするため、複合メッキ液は十分に撹拌するのが好まし
い。撹拌方法は、特に限定されるものではないが、例え
ば、スクリュー撹拌、マグネチックスターラーによる撹
拌など、公知の種々の方法を採用することができる。ま
た、メッキ法としては、公知の無電解メッキ法や電解メ
ッキ法を採用することができる。この際のメッキ条件
は、一般的な複合メッキ法において採用されているもの
と同様に設定することができる。具体的には、基材の性
質や複合メッキ液の種類などに応じて、液温、pH値お
よび電流密度などを適宜設定することができる。
【0055】このような複合メッキ被膜の形成方法で
は、複合メッキ液中に含まれる金属塩が還元されて金属
になり、当該金属が基材上に電着する。これにより、基
材上に金属母材層が形成される。この際、複合メッキ液
中に含まれる撥水性微粒子1が同時に共析し、金属母材
層中に均一に分散する。これにより、基材上には目的と
する複合メッキ被膜が形成される。
【0056】このようにして形成された複合メッキ被膜
は、さらに熱処理するのが好ましい。このような熱処理
を施すことにより、複合メッキ被膜の撥水性をより高め
ることができる。ここでの熱処理は、通常、処理温度を
150〜300℃に設定し、処理時間を30分〜2時間
に設定するのが好ましい。熱処理温度が150℃未満の
場合は、十分な熱処理効果を得るために熱処理時間を長
く設定する必要があり、効率的ではない。逆に、処理温
度が300℃を超える場合は、複合メッキ被膜が劣化す
るおそれがある。
【0057】上述のようにして形成される複合メッキ被
膜の概念図(縦断面図)を図1に示す。図において、複
合メッキ被膜10は、基材S上に形成されており、金属
母材層11と、当該金属母材層11中に分散共析された
多数の撥水性微粒子1とを主に備えている。ここで、多
数の撥水性微粒子1のうちの一部は、金属母材層11の
表面から一部が突出している。
【0058】このような複合メッキ被膜10が形成され
る基材Sは、通常、複合メッキ被膜10により撥水性を
付与する必要があるものであり、例えば、下記の通りで
ある。
【0059】◎防錆性が要求される部材。例えば、各種
の建築用資材や船舶用資材など。 ◎着雪・着氷があると不都合が生じるおそれのある部
材。例えば、製氷板、送電線、パラボラアンテナなど。 ◎耐汚染性、撥油性、耐熱焦げ付き性などが要求される
部材。例えば、食器洗い機の内面、洗濯機水槽内面、レ
ンジフード、換気扇、テーブルコンロ天板、テーブルコ
ンロ汁受け皿、オーブン皿、焼き肉用鉄板、ロストル、
ジンギスカン鍋、フライパン、ごとく、焼き網、ガスコ
ンロ、オーブン、電子レンジ、炊飯器、バーベキューコ
ンロ、ホットプレート、鍋、オーブントースター、電気
ポット、電磁誘導ヒーター、システムキッチン天板、流
し台(シンク)、水栓、混合水栓、ガス管内外面コート
など。 ◎結露防止性が要求される部材。例えば、浴室の内装
材。 ◎撥水性および防汚性が要求される部材。例えば、浴
槽。 ◎熱伝導性が損なわれると不都合のある部材。例えば、
排気トップ、熱交換器のフィン部、炭素繊維表面コー
ト、炭素材コート、LNG気化器蒸発板、コピーローラ
ーなど。 ◎離型性が要求される部材。例えば、金型。 ◎撥水性および離氷性が要求される部材。例えば、航空
機およびヘリコプター用部品。 ◎摺動性が要求される部材。例えば、ガスバルブ内面コ
ートなど。 ◎良好な液切れ性が要求される部材。例えば、マイクロ
シリンジのニードル、ピペット、ディスペンサ、分液ロ
ートおよび一般のノズルなどの液体供給管。
【0060】このような基材Sを構成する具体的な材質
は、電気メッキ法を適用可能なものであれば特に限定さ
れるものではないが、例えば、銅、ステンレス鋼、一般
鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金などの各種金
属、炭素プレートや黒鉛プレートなどの炭素材などであ
る。
【0061】基材Sは、複合メッキ被膜10との密着性
を高めるために、当該複合メッキ被膜10が形成される
部位が予め微細な凹凸状に粗面化されていてもよい。こ
のような粗面化の方法としては、フッ化水素酸,フッ化
アンモニウムまたは塩酸などのエッチング剤水溶液を用
いて基材Sを化学的に処理する方法、或いはショットブ
ラスト処理,サンドブラスト処理,液体ホーニング処理
およびスチールワイヤやスチールウールを用いた研摩処
理などの機械的処理方法を採用することができる。
【0062】また、基材Sは、複合メッキ被膜10が形
成される面に、ニッケルメッキ層や銅メッキ層などの下
地メッキ層を備えていてもよい。
【0063】上述のような複合メッキ被膜10は、それ
に含まれる撥水性微粒子1の撥水層3のために良好な撥
水性を発揮し得る。ここで、複合メッキ液中の撥水性微
粒子1は、複合メッキ被膜10の撥水性を阻害する原因
となる界面活性剤を用いて分散されているのではなく、
その撥水層3を形成するフッ化ピッチそのものの界面活
性能により分散されているので、複合メッキ被膜10
は、高い撥水性を示し得る。また、この複合メッキ被膜
10は、界面活性剤を利用する必要の無い複合メッキ液
を用いて形成されているため、ムラの発生や変色が少な
く、仕上がり具合、すなわち外観が良好である。
【0064】また、この撥水性微粒子1は、内部にコア
2を有しているため、金属母材層11中に安定にかつ強
固に保持され得る。したがって、複合メッキ被膜10
は、摩擦を受けた場合でも撥水性微粒子1が金属母材層
11から脱落しにくいため、周辺の環境を汚染するおそ
れが少なく、また、撥水性が長期間良好に維持され得
る。
【0065】
【実施例】製造例1(撥水性微粒子の製造) 平均粒径が0.2μmのシリカ真球微粉末(株式会社ア
ドマティクス製の商品名”シリカSO−C1”)の表面
を、アミノ基を有するシランカップリング剤(N−β
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン:信越化学工業株式会社製の商品名”KBM60
3”)の3重量%水溶液を用いて処理した後、100℃
で1時間乾燥した。
【0066】一方、界面活性能を有するフッ化ピッチを
調製した。ここでは、粉末状のフッ化ピッチ(大阪瓦斯
株式会社の試作品名“N−6”)100gを200ml
のエタノールに溶解し、フッ化ピッチ溶液を得た。ま
た、5gのN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミ
ンを200mlのエタノールに溶解し、ジアミン化合物
溶液を得た。そして、得られたフッ化ピッチ溶液とジア
ミン化合物溶液とを常温下で混合したところ、フッ化ピ
ッチとN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンと
が発熱しながら反応し、黒褐色の固形物(界面活性能を
有するフッ化ピッチ)が得られた。
【0067】上述のようにして得られた界面活性能を有
するフッ化ピッチを6重量%含む六フッ化ベンゼン溶液
を調製し、これにシランカップリング剤で処理されたシ
リカ真球微粉末を浸漬して100℃で2時間処理した。
その後、ボールミルを用いてシリカ真球微粉末を解砕し
たところ、シリカをコアとし、その表面に界面活性能を
有するフッ化ピッチによる撥水層が形成された撥水性微
粒子が得られた。
【0068】製造例2(撥水性微粒子の製造) 平均粒径が5μmのナイロン真球微粉末(東レ株式会社
製)を製造例1で用いたものと同様の界面活性能を有す
るフッ化ピッチを6重量%含む六フッ化ベンゼン溶液中
に浸漬し、80℃で1時間処理した後に乾燥した。これ
により、ナイロン真球をコアとし、その表面に界面活性
能を有するフッ化ピッチによる撥水層が形成された撥水
性微粒子が得られた。
【0069】実施例1〜3 スルファミン酸ニッケルを360g/l、塩化ニッケル
を45g/lおよびホウ酸を30g/l含むニッケルメ
ッキ水溶液を調製した。これに製造例1で得られた撥水
性微粒子を50g/lの割合で添加して懸濁させ、複合
メッキ液を得た。
【0070】得られた複合メッキ液に板状基材を浸漬し
て電解メッキ処理を施し、当該板状基材に複合メッキ被
膜を形成した。ここでは、板状基材として鏡面を有する
ステンレス板(SUS430)を用い、また、メッキ処
理の条件を下記のように設定した。
【0071】 pH:4.1 電流密度:3,5または7A/dm2 被膜の厚さ:10〜13μm
【0072】実施例4〜6 板状基材をサンドブラスト処理(#80)されたステン
レス板(SUS430)に変更した点を除き、実施例1
〜3の場合と同様にして複合メッキ被膜を形成した。
【0073】実施例7〜9 実施例1〜3で得られた複合メッキ被膜を熱処理した。
ここでの熱処理条件は、250℃で30分間に設定し
た。
【0074】実施例10〜12 実施例4〜6で得られた複合メッキ被膜を熱処理した。
ここでの熱処理条件は、実施例7〜9と同様に設定し
た。
【0075】実施例13〜15 スルファミン酸ニッケルを360g/l、塩化ニッケル
を45g/lおよびホウ酸を30g/l含むニッケルメ
ッキ水溶液を調製した。これに製造例2で得られた撥水
性微粒子を50g/lの割合で添加して懸濁させ、さら
に炭酸ニッケルを添加してpHを4.0〜4.2に調整
し、複合メッキ液を得た。
【0076】得られた複合メッキ液に板状基材を浸漬し
て電解メッキ処理を施し、当該板状基材に複合メッキ被
膜を形成した。ここでは、板状基材として鏡面を有する
ステンレス板(SUS430)を用い、また、メッキ処
理の条件は実施例1〜3の場合と同様に設定した。
【0077】実施例16〜18 板状基材をサンドブラスト処理(#80)されたステン
レス板(SUS430)に変更した点を除き、実施例1
3〜15の場合と同様にして複合メッキ被膜を形成し
た。
【0078】実施例19〜21 実施例13〜15で得られた複合メッキ被膜を熱処理し
た。ここでの熱処理条件は、250℃で1時間に設定し
た。
【0079】実施例22〜24 実施例16〜18で得られた複合メッキ被膜を熱処理し
た。ここでの熱処理条件は、実施例19〜21と同様に
設定した。
【0080】比較例1 製造例1で得られた撥水性微粒子に代えて平均粒径が
0.8μmのフッ化ピッチ粉末を70g/lの割合でニ
ッケルメッキ水溶液に添加し、これをニッケルメッキ水
溶液に対して1.5g/lの割合で添加された界面活性
剤(大日本インキ株式会社製のカチオン性界面活性剤:
商品名”150Br”)を用いて分散させた点を除いて
実施例1〜3と同様に操作し、複合メッキ被膜を得た。
【0081】比較例2 比較例1で得られた複合メッキ被膜を熱処理した。ここ
での熱処理条件は、250℃で30分間に設定した。
【0082】評価 実施例1〜24および比較例1、2で得られた複合メッ
キ被膜について、蒸留水を滴下した場合の接触角および
転落角、ビッカース硬さ並びに動摩擦係数を調べた。こ
こでは、形成直後の複合メッキ被膜に対する場合(形成
直後)および十条キンバリー株式会社製の商品名”キム
ワイプ”を用いて表面を20回強く拭いた場合(摩擦処
理後)のそれぞれについて、各評価をした。なお、摩擦
処理後については、撥水性微粒子またはフッ化ピッチ粉
末の脱落状況をさらに調べた。各評価の方法は下記の通
りである。結果を表1および表2に示す。因に、通常の
ニッケルメッキ被膜は、ビッカース硬さが250〜40
0Hvであり、また、動摩擦係数が0.5程度である。
【0083】(接触角)接触角計(協和界面科学株式会
社製の”CA−A型”)を用いて評価した。
【0084】(転落角)接触角の測定で用いた接触角計
に水滴を滴下して滴下面を水平面から徐々に傾けて行
き、水滴が流れるときの角度を転落角とした。
【0085】(ビッカース硬さ)ビッカース硬さ計(松
沢精機株式会社製の商品名”DVK−1”)を用いて評
価した。
【0086】(動摩擦係数)メッキ面を有する15cm
×15cmの大きさのメッキ板を水平に固定し、その上
に同様のメッキ面を有する5cm×5cmの大きさのメ
ッキ板をメッキ面同士が対向するように重ねて配置し
た。そして、5cm×5cmの大きさのメッキ板上に1
00gの鉄製おもりを固定し、当該おもりに水平荷重を
加えてメッキ板が滑っているときの荷重を動荷重とし
た。この動荷重から、下記の数式に従って動摩擦係数を
求めた。
【0087】
【数1】
【0088】(脱落状況)キムワイプに付着した撥水性
微粒子またはフッ化ピッチ粉末の付着状況を目視で判定
した。評価の基準は次の通りである。 ○:付着なし。 △:僅かな付着がある。 ×:多量の付着がある。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【発明の効果】本発明の複合メッキ液は、コアの表面が
界面活性能を有するフッ化ピッチを用いて被覆された撥
水性微粒子を含んでいるため、界面活性剤を用いずに調
製することができる。このため、この複合メッキ液によ
り形成される複合メッキ被膜は、高い撥水性を示し得
る。また、撥水性微粒子は、コアを含んでいるために摩
擦を受けても複合メッキ被膜から脱落しにくく、摩擦に
対して安定である。このため、この複合メッキ被膜は、
周辺の環境を汚染するおそれが少なく、また、撥水性が
低下しにくい。
【0092】また、本発明に係る複合メッキ被膜の形成
方法は、本発明の複合メッキ液を用いているので、高い
撥水性を示し、しかも摩擦に対して安定な複合メッキ被
膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る複合メッキ液に含
まれる撥水性微粒子の一例の断面図。
【図2】前記複合メッキ液を用いて形成された複合メッ
キ被膜の一例の断面図。
【符号の説明】
1 撥水性微粒子 2 コア 3 撥水層 10 複合メッキ被膜 11 金属母材層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属塩と撥水性微粒子とを含み、 前記撥水性微粒子は、コアと、その表面を被覆する撥水
    層とを有しており、前記撥水層は界面活性能を有するフ
    ッ化ピッチを用いて形成されている、複合メッキ液。
  2. 【請求項2】前記コアは、前記フッ化ピッチと化学結合
    可能な官能基を前記表面に有している、請求項1に記載
    の複合メッキ液。
  3. 【請求項3】前記官能基がアミノ基、水酸基、アルコラ
    ート基、フェノラート基、酸のアルカリ金属塩基、メル
    カプト基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少な
    くとも1つである、請求項3に記載の複合メッキ液。
  4. 【請求項4】前記官能基は、表面処理剤を用いて前記コ
    アの表面に付与されている、請求項2または3に記載の
    複合メッキ液。
  5. 【請求項5】金属母材層中に撥水性微粒子が分散された
    複合メッキ被膜を基材に対して形成するための方法であ
    って、 前記金属母材層を形成するための金属塩と、コアおよび
    その表面を被覆する撥水層を有しかつ前記撥水層が界面
    活性能を有するフッ化ピッチを用いて形成されている撥
    水性微粒子とを含む複合メッキ液を用意する工程と、 前記複合メッキ液中に前記基材を浸漬し、前記基材に対
    してメッキ法を適用する工程と、を含む複合メッキ被膜
    の形成方法。
  6. 【請求項6】前記メッキ法により得られた複合メッキ被
    膜を熱処理する工程をさらに含む、請求項5に記載の複
    合メッキ被膜の形成方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002313138A (ja) * 2001-04-18 2002-10-25 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気自動車用アルミニウム合金導電体
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JP2007262528A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Kumamoto Univ 複合めっき材の製造方法
JP2007281125A (ja) * 2006-04-05 2007-10-25 Murata Mfg Co Ltd 電子部品
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JP2017201053A (ja) * 2016-05-06 2017-11-09 豊橋鍍金工業株式会社 複合めっき方法および親水性粒子

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